JP2014117200A - 撹拌型発酵乳の製造方法 - Google Patents

撹拌型発酵乳の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】香料や食品添加物により臭気をマスキング方法によらず、また蛋白質分解酵素を使用する方法によらずに、コラーゲン臭が低減された撹拌型発酵乳を製造する。
【解決手段】乳蛋白質を含む第1の調製液と、コラーゲンペプチドを含む第2の調製液を、それぞれ加熱殺菌処理する加熱殺菌処理工程と、加熱殺菌処理した第1の調製液と、加熱殺菌処理した第2の調製液を混合して混合液を得る混合工程と、前記混合液に発酵菌を作用させてカードを形成する発酵工程と、前記カードを破砕して撹拌型発酵乳を得る破砕工程を有し、前記コラーゲンペプチドの重量平均分子量(Mw)が2,000〜9,500であり、前記撹拌型発酵乳における該コラーゲンペプチドの含有量が、5.0〜7.9質量%であり、かつ前記撹拌型発酵乳の粘度が2,000〜4,500mPaであることを特徴とする撹拌型発酵乳の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明はコラーゲンペプチドを含有する撹拌型発酵乳の製造方法に関する。
ヨーグルト等の発酵乳は、整腸作用等の健康に良い効能を有するとともに、安全性が高いため、毎日のように食べる食品として定着しつつある。撹拌型発酵乳(前発酵タイプの発酵乳、ソフトヨーグルトとも呼ばれる。)は、原料を発酵させて得られたカードを撹拌して破砕して得られる発酵乳であり、プレーンタイプのほか、果肉等を混合した具入りタイプの発酵乳製品の製造にも適するため汎用性が高い。
一方、コラーゲンは、主に美肌やアンチエイジングへの効果が期待され、コラーゲンを配合した健康食品は市場の伸長が著しい。
効果実感のあるコラーゲン摂取量の目安は5.0g/日以上と言われており、例えば100gの食品であれば、コラーゲンを5質量%以上含有させることが好ましいが、コラーゲンは特有の獣のような臭い(コラーゲン臭)を有するため、食品中に多量に含有させることが難しい。
例えば美容飲料等、コラーゲンを高濃度で含有することに特化した健康食品であれば、香料や食品添加物によってコラーゲン臭をマスキングする方法を用いることができる。しかし、ヨーグルト等の発酵乳において、香料や食品添加物を使用して臭気をマスキングする方法は商品イメージの上で好ましくない。
下記特許文献1の実施例2には、牛乳とコラーゲンペプチドの混合物を加熱殺菌処理した後に、発酵菌及び蛋白質分解酵素を作用させて、牛乳の発酵処理とコラーゲンの分解処理とを同時に行うことにより、コラーゲン臭等が低減されたヨーグルトを製造する方法が記載されている。
しかし、この方法では製造に使用した蛋白質分解酵素がヨーグルト中に残存するため、風味や商品イメージの点で好ましくない。
下記特許文献2には、脱脂豆乳に乳酸菌(ヨーグルト菌)を添加し、さらにビルベリー原液、可溶性コラーゲン、および酸性溶液を加えたpH3.5〜6.5のヨーグルト原液を、温度20〜35℃程度で24時間熟成させて、ヨーグルト状の食品を製造した例が記載されている。
しかし本発明者等の知見によれば、このように豆乳とコラーゲンの混合物に乳酸菌を作用させても、コラーゲン臭を効果的に低減させることはできない。
特開2008−283948号公報 特開2004−357557号公報
本発明は、香料や食品添加物により臭気をマスキング方法によらず、また蛋白質分解酵素を使用する方法によらずに、コラーゲン臭が低減された、コラーゲンペプチドを含有する撹拌型発酵乳を製造する方法を提供する。
本発明は、乳蛋白質を含む第1の調製液と、コラーゲンペプチドを含む第2の調製液を、それぞれ加熱殺菌処理する加熱殺菌処理工程と、加熱殺菌処理した第1の調製液と、加熱殺菌処理した第2の調製液を混合して混合液を得る混合工程と、前記混合液に発酵菌を作用させてカードを形成する発酵工程と、前記カードを破砕して撹拌型発酵乳を得る破砕工程を有し、
前記コラーゲンペプチドの重量平均分子量(Mw)が2,000〜9,500であり、前記撹拌型発酵乳における該コラーゲンペプチドの含有量が、5.0〜7.9質量%であり、かつ前記撹拌型発酵乳の粘度が2,000〜4,500mPaであることを特徴とする撹拌型発酵乳の製造方法である。
前記撹拌型発酵乳の総蛋白質含有量は10.6質量%以下であることが好ましい。
前記撹拌型発酵乳の無脂乳固形分は8.0質量%以上であることが好ましい。
本発明は、前記の撹拌型発酵乳を製造する工程と、該工程により製造された撹拌型発酵乳を容器に充填する充填工程とを有する、発酵乳製品の製造方法も提供するものである。
本発明によれば、香料や食品添加物により臭気をマスキング方法によらず、また蛋白質分解酵素を使用する方法によらずに、コラーゲン臭が低減された撹拌型発酵乳、および該撹拌型発酵乳を使用した発酵乳製品を製造することができる。
<発酵乳・発酵乳製品>
発酵乳は、牛乳等の獣乳を原料とし、乳酸菌または酵母を含む発酵菌を作用させて発酵させたものである。
撹拌型発酵乳は、原料を発酵させて得られたカードを破砕したものである。撹拌型発酵乳を用いた発酵乳製品の形態は、カードを破砕した破砕物である撹拌型発酵乳を、必要に応じて果肉等の固形物とともに、容器に充填した形態が好ましい。
<乳蛋白質を含む原料>
発酵乳の原料として、乳蛋白質を含む原料(以下、乳蛋白質含有原料という。)が用いられる。本発明における乳蛋白質は獣乳由来の蛋白質である。
乳蛋白質含有原料としては、生乳、牛乳、水牛乳、やぎ乳、羊乳、馬乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、乳清蛋白質濃縮物(WPC)、乳清蛋白質分離物(WPI)、乳蛋白質濃縮物(MPC)、ミセラカゼインアイソレート(MCI)、ミルクプロテインアイソレート(MPI)等が挙げられる。特に必須の乳蛋白質含有原料として、生乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳からなる群から選ばれる1種以上である第1の乳蛋白質含有原料と、WPC、WPI、MPC、MCI、MPIからなる群から選ばれる1種以上である第2の乳蛋白質含有原料とを組み合わせて用いることが好ましい。
乳蛋白質含有原料の全体に含まれる蛋白質に対して、第1の乳蛋白質含有原料に含まれる蛋白質と第2の乳蛋白質含有原料に含まれる蛋白質の合計量は85質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。
また、乳蛋白質含有原料の全体に含まれる蛋白質に対して、第2の乳蛋白質含有原料に含まれる蛋白質は5〜27質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。該第2の乳蛋白質含有原料に含まれる蛋白質の割合が上記範囲の下限値以上であると、製造した発酵乳の充分な粘度が得られやすく、上限値以下であると形成される乳カードが適度な柔らかさになりやすく、滑らかな発酵乳が得られやすい。
<コラーゲンペプチド>
本発明に使用するコラーゲンペプチドは、コラーゲンを酵素等で分解して低分子化したものであり、重量平均分子量(Mw)が2,000〜9,500のものである。
本明細書において、コラーゲンベプチドの重量平均分子量の値は、写真用ゼラチン試験法(PAGI法)第10版「20−2 平均分子量」に記載されている方法により算出される値である。
かかるコラーゲンペプチドは市販品から入手可能である。重量平均分子量(Mw)が2,000以上であると、発酵乳における、コラーゲン由来の好ましくない風味の低減効果が良好に得られやすい。9,500以下であるとコラーゲンペプチドを含む第2の調製液の粘度が適度に低くなり、加熱殺菌処理工程を適正に行いやすい。
コラーゲンペプチド重量平均分子量(Mw)は3,500〜8,000が好ましく、5,000〜8,000がより好ましい。
コラーゲンペプチドの原料由来は特に限定されない。例えば牛由来、豚由来、魚由来等のコラーゲンペプチドを用いることができる。
<その他の成分>
その他の成分として、例えば、砂糖、オリゴ糖等の糖類、植物性脂肪、安定剤、香料、甘味料等の、発酵乳の製造において添加される公知の成分を適宜含有させることができる。
安定剤としては、寒天、ゼラチン、ペクチン等を用いることができる。風味や食感の点では安定剤の使用量は少ない方が好ましい。例えば、撹拌型発酵乳に含まれる安定剤の量(2種以上の場合は合計量)は、0.5質量%以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましく、ゼロが最も好ましい。
<撹拌型発酵乳の製造方法・発酵乳製品の製造方法>
[第1の調製液]
乳蛋白質を含む第1の調製液を調製する。発酵乳の製造に用いる原料のうち、乳蛋白質含有原料は第1の調製液に含有させる。第1の調製液にコラーゲンペプチドは含有させない。コラーゲンペプチドが含まれなければ、発酵乳の製造に用いられるその他の成分の一部または全部を第1の調製液に含有させてもよい。
具体的には第1の調製液に含有させる成分を水に溶解させて、第1の調製液を調製する。該成分を溶解させる際に液を加温してもよい。該成分を溶解させた後、均質化を行ってもよい。均質化を行うと、特に乳成分の分散安定性が向上する。
第1の調製液における乳蛋白質含有原料の含有量は、後述の撹拌型発酵乳における総蛋白質含有量の好ましい範囲が得られるように設定することが好ましい。
さらに、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令による「発酵乳」の成分規格は、無脂乳固形分(SNF)8%以上であるため、撹拌型発酵乳における無脂乳固形分が8.0質量%以上であることが好ましく、これを満たすように乳蛋白質を含む原料の含有量を設定することがより好ましい。
[第2の調製液]
コラーゲンペプチドを含む第2の調製液を調製する。第2の調製液に、乳蛋白質含有原料は含有させない。乳蛋白質含有原料が含まれなければ、発酵乳の製造に用いられるその他の成分の一部または全部を第2の調製液に含有させてもよい。
具体的には第2の調製液に含有させる成分を水に溶解させて、第2の調製液を調製する。該成分を溶解させる際に液を加温してもよい。該成分を溶解させた後、均質化を行ってもよい。
第2の調製液におけるコラーゲンペプチドの含有量は、後述の撹拌型発酵乳におけるコラーゲンペプチド含有量の好ましい範囲が得られるように設定することが好ましい。
[加熱殺菌処理工程]
乳蛋白質を含む第1の調製液と、コラーゲンペプチドを含む第2の調製液を、それぞれ別箇に加熱殺菌処理する。加熱殺菌処理工程は常法により行うことができる。例えば、プレート式殺菌機、チューブラー式殺菌機、直接加熱式殺菌機、ジャケット付きタンク等の加熱殺菌装置を用いて行うことができる。
殺菌条件は、85〜95℃で5〜15分間が好ましい。第1の調製液の殺菌条件と第2の調製液の殺菌条件とは同じでもよく、異なっていてもよい。両者において同等の殺菌効果が得られる条件とすることが好ましい。
加熱殺菌後に37〜40℃程度に冷却することが好ましい。第1の調製液の冷却温度と第2の調製液の冷却温度とは異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
[混合工程]
加熱殺菌処理した第1の調製液と、加熱殺菌処理した第2の調製液を混合して混合液を調製する。好ましくは、加熱殺菌後に冷却された第1の調製液と、加熱殺菌後に冷却された第2の調製液を混合する。
[発酵工程]
混合工程で得られた混合液に発酵菌を作用させてカードを形成する。発酵菌は、発酵乳の製造において公知の乳酸菌、ビフィズス菌、または酵母を使用できる。発酵菌は2種以上組み合せて使用することができる。
具体的には、該混合液に発酵菌のスターターを接種(添加)し、所定の発酵温度に保持して発酵させることによりカードが形成される。
発酵菌のスターターとして、乳酸菌スターターを用いることが好ましい。乳酸菌スターターとしては、例えば、ラクトバチルス・ブルガリクス(L.bulgaricus)、ラクトコッカス・ラクチス(L.lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(S.thermophilus)等のヨーグルト製造に通常用いられている乳酸菌スターターが挙げられる。乳酸菌スターターを用いる場合、ビフィズス菌スターター、例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B.longum)等を併用してもよい。これらのスターターは市販品から入手可能である。
乳酸菌スターターを用いる場合、該スターターの添加量は、混合液に対して1×10〜1×1010 CFU/ml(CFU(colony forming unit):コロニー形成単位)が好ましく、1×10〜1×10 CFU/mlがより好ましい。ビフィズス菌スターターを用いる場合、該スターターの添加量は、混合液に対して1×10〜1×1011 CFU/mlが好ましく、1×10〜1×1010 CFU/mlがより好ましい。
スターターが添加された混合液は、発酵菌の生育に好適な温度(発酵温度)に保持する。好適な温度(発酵温度)は菌種によって異なるが、上記で例示した乳酸菌またはビフィズス菌であれば37〜40℃が好ましい。
乳酸菌またはビフィズス菌を用いた場合、発酵が進むにつれてpHが低下し、pHが4.6〜4.7に到達するまで発酵を行う。発酵時の到達pHが前記の範囲であると、組織がなめらかで良好なカードが形成されやすい。
[破砕工程]
発酵工程において所定のpHに達したら、直ちに冷却して発酵を終了させる。冷却温度は5〜15℃程度が好ましい。このとき撹拌しながら冷却する。撹拌することによってカードが破砕される。所定の冷却温度に達した時点でカードの破砕が不充分であれば、引き続き温度を保ちながら、撹拌する方法またはフィルターを通過させる方法でカードを破砕し、均質な撹拌型発酵乳を得る。その後、必要に応じてエージングを行ってもよい。
[充填工程]
カード破砕して得られる撹拌型発酵乳は、充填機等を使用して容器に充填して発酵乳製品を製造することができる。または、果肉、フルーツプレザーブ等の固形物を撹拌型発酵乳と一緒に容器に充填してもよく、これにより具入りの発酵乳製品が得られる。
撹拌型発酵乳の粘度は2,000〜4,500mPa・sであり、2,200〜4,200mPa・sが好ましく、2,400〜4,000mPa・sがより好ましい。
本発明における撹拌型発酵乳の粘度は、破砕後の撹拌型発酵乳を10℃で24時間静置し、B型粘度計にて、回転数60rpmでNo.4ローターを使用して測定したときの、測定開始から10秒後の値(単位:mPa・s)である。
撹拌型発酵乳の粘度が低いと、例えばドリンクヨーグルトに近い性状となり、コラーゲン臭が強く感じられやすくなる。粘度が低いほどフレーバーリリースが生じやすいためと考えられる。
撹拌型発酵乳の粘度が2,000mPa・s以上であると、撹拌型発酵乳としてボディ感がある食感が得られ、撹拌型発酵乳をノズルを介して容器等に充填する場合にも、ノズルからの液垂れが良好に防止される。また粘度が高いとコラーゲン臭の低減効果が良好に得られやすい。
一方、撹拌型発酵乳の粘度が4,500mPa・s以下であると口溶けが良好で、食感に優れる。
本発明において、撹拌型発酵乳におけるコラーゲンペプチドの含有量は5.0〜7.9質量%であり、5.0〜7.7質量%が好ましく、5.0〜7.5質量%がより好ましい。
該コラーゲンペプチドの含有量が5.0質量%以上の範囲は、前述したように、効果実感のあるコラーゲン摂取量として望まれる範囲であるが、コラーゲンの添加量が多くて不都合が発生しやすい範囲である。
具体的には、コラーゲンペプチドの含有量が5.0質量%以上と多い場合に、本発明の方法によらずに、単に全原料を加熱殺菌した後に発酵させる方法で撹拌型発酵乳を製造すると、加熱殺菌後の調乳液に凝集が生じ、凝集が生じた調乳液を発酵させると撹拌型発酵乳の粘度が低くなり、ドリンクヨーグルトに近い性状となり、充填機の液垂れが生じやすい。
本発明によれば、撹拌型発酵乳にコラーゲンペプチドを5.0質量%以上含有させても、加熱殺菌処理後の凝集が抑制され、撹拌型発酵乳の粘度低下が生じにくく、充填機の液垂れが良好に防止され、粉っぽさも良好に抑えられる。
また、該コラーゲンペプチドの添加量が7.9質量%以下であると、コラーゲン特有の風味が良好に抑えられ、製品全体の風味が良好となりやすい。
撹拌型発酵乳における総蛋白質含有量は10.6質量%以下が好ましく、10.4質量%以下がより好ましく、10.2質量%以下がさらに好ましい。
該総蛋白質含有量は、撹拌型発酵乳の調製に用いた各原料中の蛋白質含有量と各原料の配合比率とから求められる値である。
該総蛋白質含有量が10.6質量%以下であると、上記の好ましいpHに達するまで発酵させたときに、酸味が強くなりすぎず、風味が良好な発酵乳が得られやすい。
一方、該総蛋白質含有量の下限値は、カードが良好に形成される範囲であればよいが、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令による「発酵乳」の成分規格は、無脂乳固形分(SNF)8%以上であるため、撹拌型発酵乳の無脂乳固形分(SNF)が8.0質量%以上となる程度に総蛋白質含有量が高い方が好ましい。撹拌型発酵乳の調製に用いた原料によっても異なるが、例えば総蛋白質量8.4質量%以上でSNF8質量%以上を達成することができる。
また、撹拌型発酵乳の総蛋白質含有量を100質量%とすると、そのうちの乳蛋白質が占める割合は、組織が良好なカードが形成されやすい点で、26質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、100質量%でもよい。
<効果>
本発明によれば、コラーゲンペプチドを5.0〜7.9質量%と比較的多く含有するにもかかわらず、コラーゲン臭が良好に低減され、風味および食感が良好な撹拌型発酵乳が得られる。
好ましくは、コラーゲンペプチドを5.0〜7.9質量%含み、総蛋白質含有量が10.6質量%以下であり、風味および食感が良好な撹拌型発酵乳、またはコラーゲンペプチドを5.0〜7.9質量%含み、総蛋白質含有量が10.6質量%以下であり、無脂乳固形分が8.0質量%以上であり、風味および食感が良好な撹拌型発酵乳が得られる。
また該撹拌型発酵乳が容器に充填された発酵乳製品、または該撹拌型発酵乳と果肉やプレザーブ等、および/またはナタデココ等の固形物を含む混合物が容器に充填された発酵乳製品が得られる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において、百分率(%)は、特に断りのない限り、質量による表示である。
<原料>
以下の例において用いた原材料は以下の通りである。
・脱脂粉乳:森永乳業社製、蛋白質含有量34.0%、無脂乳固形分95.2%。
・WPI(乳清蛋白質分離物):フォンテラ社製、蛋白質含有量91.9%、無脂乳固形94.6%。
・砂糖:東洋精糖社製。
・水:イオン交換水。
・豚由来コラーゲンペプチド(Mw5,000):重量平均分子量5,000、新田ゼラチン社製、蛋白質含有量93%。
・魚由来コラーゲンペプチド(Mw3,000):重量平均分子量3,000、新田ゼラチン社製、蛋白質含有量93%。
・乳酸菌スターター:クリスチャン・ハンセン社製、ストレプトコッカス・サーモフィラス(S.thermophilus)とラクトバシラス・ブルガリクス(L.bulgaricus)の混合培養物。
・ビフィズス菌スターター:森永乳業社製、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)。
・紙製容器:シンギ社製、容量120ml、開口径71mm、高さ56mm。
・蓋材:アルミ箔製蓋材。
<試験例1>
本試験では、加熱殺菌処理工程の違いによる影響およびコラーゲンペプチドの添加量による影響を調べた。
下記サンプル1−1〜1〜5は、乳蛋白質とコラーゲンペプチドを一液として一括的に加熱殺菌処理する一括殺菌で得られた発酵乳であり、サンプル2−1〜2〜7は、乳蛋白質とコラーゲンペプチドを別液として加熱殺菌処理する別殺菌で得られた発酵乳である。加熱殺菌処理装置はジャケット式バッチ殺菌装置(森永乳業社製)を用いた。
[調製例1:サンプル1−1〜1−5の調製(一括殺菌)]
脱脂粉乳、WPI、砂糖、豚由来コラーゲンペプチド(Mw5,000)、および水を表1に記載する割合で混合した後、65℃に加温して溶解し、15MPaの圧力で均質化し、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却して調乳液を得た。
この調乳液99.995kgに乳酸菌スターター(5×10 CFU/ml)を接種し、38℃でpH4.65まで発酵させてカードを形成した。
発酵後、攪拌しながら10℃まで冷却した後、さらに撹拌してカードを破砕し、撹拌型発酵乳約100kgを得た。
得られた撹拌型発酵乳を紙製容器に、10℃で100g充填し、蓋材で密封して容器入り発酵乳製品50個を得た。
[調製例2:サンプル2−1〜2−7の調製(別殺菌)]
脱脂粉乳、WPI、砂糖、および水を表2に記載する割合で混合した第1の調製液を、65℃に加温して溶解し、15MPaの圧力で均質化し、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却した。
これとは別に、豚由来コラーゲンペプチド(Mw5,000)および水を表2に記載する割合で混合した第2の調製液を、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却した。
加熱殺菌処理した第1の調製液と第2の調製液を混合し、得られた混合液99.995kgに、乳酸菌スターター(5×10 CFU/ml)を接種し、調製例1と同様にして発酵させてカードを形成した。発酵後、攪拌しながら10℃まで冷却した後、さらに撹拌してカードを破砕し、撹拌型発酵乳約100kgを得た。
得られた撹拌型発酵乳を調製例1と同様にして紙製容器に充填し、蓋材で密封して容器入り発酵乳製品50個を得た。
Figure 2014117200
Figure 2014117200
<評価方法>
[凝集レベル]
調製例1(サンプル1−1〜1−5)において、一括殺菌後10℃まで冷却した調乳液について、凝集の有無を目視により観察し、凝集レベルを下記の基準で4段階評価した。結果を表3に示す。表3に、撹拌型発酵乳におけるコラーゲンペプチドの含有量の値を示す。
調製例2(サンプル2−1〜2−7)において、別殺菌後10℃まで冷却した第1の調製液と第2の調製液を混合した混合液について、凝集の有無を目視により観察し、凝集レベルを下記の基準で4段階評価した。結果を表3に示す。
4:凝集が著しい。
3:凝集が認められる。
2:わずかな凝集が認められる。
1:凝集が認められない。
[粘度]
紙製容器への充填に使用した各サンプル(撹拌型発酵乳)を、10℃で24時間静置保存し、B型粘度計(製品名:RB−80L、TOKI社製、No.4ローター使用、60rpm、10秒後)により粘度(単位:mPa・s)を測定した。結果を表3に示す。
[充填機液垂れ]
各サンプルについて、充填機にて50個の紙製容器に連続的に充填した際、ノズルからの吐出が停止した後にノズル孔から液垂れが生じた頻度をカウントし、下記の基準で5段階評価した。充填回数は50回である。評価が2以下(充填回数の5%以下)であれば製造適性は良好である。結果を表3に示す。
5:液垂れが著しい(液垂れ回数 充填回数の50%超)。
4:液垂れが多い(液垂れ回数 充填回数の20%超、50%以下)。
3:液垂れが認められる(液垂れ回数 充填回数の5%超、20%以下)。
2:液垂れがわずかに認められる(液垂れ回数 充填回数の5%以下)。
1:液垂れが認められない
[官能評価]
得られた容器入り発酵乳製品を10℃で24時間保存した後、トレーニングされたパネル10名にて、コラーゲン臭の強さ及び粉っぽさを下記の基準で5段階評価し、平均値を求めた。結果を表3に示す。
コラーゲン臭の強さの評価が2.9以下であるとコラーゲン臭低減効果が良好である。粉っぽさの評価が2.9以下であると食感が良好である。
(コラーゲン臭の強さ)
5:コラーゲン臭を強く感じる。
4:コラーゲン臭をやや強く感じる。
3:コラーゲン臭を感じる。
2:コラーゲン臭をわずかに感じる。
1:コラーゲン臭を感じない。
(粉っぽさ)
5:粉っぽさを強く感じる。
4:粉っぽさをやや強く感じる。
3:粉っぽさを感じる。
2:粉っぽさをわずかに感じる。
1:粉っぽさを感じない。
Figure 2014117200
表3の結果より、一括殺菌を行ったサンプル1−1〜1−5では、コラーゲンペプチドの添加量が増大するにしたがって、加熱殺菌処理後の凝集レベルが増大し、撹拌型発酵乳の粘度が低下し、充填機液垂れの頻度が高くなった。また、コラーゲン臭の強さが強く感じられるようになり、粉っぽさが強く感じられるようになった。
具体的には、撹拌型発酵乳中のコラーゲンペプチドの含有量が3.5質量%であるサンプル1−1では凝集および充填機液垂れの問題はなかったが、該含有量が5.0%を超えるサンプル1−2〜1−5では、殺菌後の調乳液に凝集が生じ、凝集が生じた調乳液を発酵させると撹拌型発酵乳の粘度が2,000mPa・s以下と低くなり、充填機の液垂れが見られた。粘度が2,000mPa・s以下になると、攪拌型ヨーグルトとしては粘度が不足し、ドリンクヨーグルトに近い性状となり、食感が物足りないものとなった。
官能評価において、コラーゲンペプチドの添加量が多いと粉っぽさが強くなるのは、凝集が発生したためと考えられ、コラーゲン臭が強くなるのは、粘度が低下したためフレーバーリリースが生じやすくなったと考えられる。
一方、別殺菌を行ったサンプル2−1〜2−7では、撹拌型発酵乳中のコラーゲンペプチドの含有量が8.5質量%まで増大しても、加熱殺菌処理後の凝集は認められず、撹拌型発酵乳の粘度低下は生じず、充填機液垂れは良好に防止され、粉っぽさも良好に抑えられた。
該コラーゲンペプチドの含有量が7.9質量%以下であるサンプル2−1〜2−5では、コラーゲン臭低減効果が良好に得られた。一方、該コラーゲンペプチドの含有量が8.0質量%以上であるサンプル2−6、2−7では、コラーゲン臭が感じられるようになり、過度な酸味も感じられた。
サンプル1−2とサンプル2−2とを比較すると、コラーゲンペプチドの含有量は同量であるが、一括殺菌を行ったサンプル1−2においてのみ加熱殺菌時に凝集が発生した。該サンプル1−2の方が発酵乳の粘度がかなり低く、やや粉っぽさが感じられた。
<試験例2>
本試験では、撹拌型発酵乳の総蛋白質含有量による影響を調べた。
[調製例3:サンプル3−1〜3−7の調製(別殺菌)]
調製例2において、第1の調製液および第2の調製液の配合を表4に記載する割合に変更した。その他は調製例2と同様にして容器入り発酵乳製品を得た。表4に、撹拌型発酵乳中の総蛋白質含有量(単位:質量%)および無脂乳固形分(単位:質量%)を記載する。
Figure 2014117200
<評価方法>
[酸度およびpH]
紙製容器への充填に使用した各サンプル(撹拌型発酵乳)を、10℃で24時間静置保存し乳酸酸度(単位:質量%)及びpHを測定した。結果を表5に示す。
[粘度]
紙製容器への充填に使用した各サンプル(撹拌型発酵乳)を、10℃で24時間静置保存し、上記B型粘度計により粘度(単位:mPa・s)を測定した。結果を表5に示す。
[官能評価]
(酸味の強さ)
容器入り発酵乳製品を10℃で24時間保存した後、トレーニングされたパネル10名にて、酸味の強さを下記の基準で5段階評価し、平均値を求めた。結果を表5に示す。
酸味の強さの評価が1.5〜2.9であると風味が良好である。
4:酸味がかなり強い。
3:酸味が強い。
2:適度な酸味を感じる。
1:酸味が弱い。
Figure 2014117200
表5の結果より、撹拌型発酵乳の総蛋白質含有量が10.6%以下であるサンプル3−1〜3−5では、撹拌型発酵乳の適度な粘度が得られ、酸味が強くなく良好な風味が得られた。
一方、該総蛋白質含有量が10.6%を超えるサンプル3−6、3−7は、酸味が強すぎた。また粘度は4,500mPa・s以上と高くなり、攪拌型ヨーグルトとしては、口溶けが悪く、食感が劣った。
なお、サンプル3−1〜3−7においてコラーゲン臭は良好に低減されていた。
<試験例3>
本試験では、添加するコラーゲンペプチドの重量平均分子量の影響を調べた。
調製例2のサンプル2−4の調製方法において、豚由来コラーゲンペプチド(Mw5,000)を、表6に示すように重量平均分子量(Mw)が異なる豚由来コラーゲンペプチドに変更したほかは、サンプル2−4の調製方法と同様にして、容器入り発酵乳製品を得た。表6のサンプル4−4は、調製例2のサンプル2−4と同じである。
Figure 2014117200
<評価方法>
[官能評価]
(コラーゲン由来の風味)
容器入り発酵乳製品を10℃で24時間保存した後、トレーニングされたパネル10名にて、コラーゲン由来の好ましくない風味(コラーゲン臭または苦味)の強さを官能評価した。具体的には下記の基準で5段階評価し、平均値を求めた。結果を表7に示す。
コラーゲン由来の風味の強さの評価が2.9以下であるとコラーゲンに由来する好ましくない風味の低減効果が良好である。
5:コラーゲン臭または苦味を強く感じる。
4:コラーゲン臭または苦味をやや強く感じる。
3:コラーゲン臭または苦味を感じる。
2:コラーゲン臭または苦味をわずかに感じる。
1:コラーゲン臭および苦味のいずれも感じない。
Figure 2014117200
表7の結果より、コラーゲンペプチドの分子量が大きいほど、撹拌型発酵乳におけるコラーゲン由来の好ましくない風味(臭い・苦味)が低下する傾向が認められた。具体的には、コラーゲンペプチドの分子量が2,000以上であるサンプル4−2〜4−7で、コラーゲン由来の好ましくない風味の低減効果が良好に得られた。
また、コラーゲンペプチドの分子量が大きくなるほど、コラーゲンペプチド溶液の粘度が高まる傾向がある。これはコラーゲンペプチドの分子量が大きくなるほど、ゼラチンの物性に近づくためと考えられる。一般に液の粘度が高すぎると、加熱殺菌処理を適正に実施できないおそれがある。本試験例で用いたコラーゲンペプチドの分子量が9,500以下であるサンプル4−1〜4−7において、加熱殺菌処理工程を適正に行うことができた。
<試験例4>
本試験では、コラーゲンペプチドを添加するタイミングによる影響を調べた。
[調製例4:サンプル5−1の調製(発酵前添加)]
調製例2のサンプル2−5と同様にして容器入り発酵乳製品を得た。
すなわち、脱脂粉乳7.70kg、WPIの0.70kg、砂糖5.70kg、および水60.895kgを混合した第1の調製液を、65℃に加温して溶解し、15MPaの圧力で均質化し、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却した。
これとは別に、豚由来コラーゲンペプチド(Mw5,000)7.50kgおよび水17.50kgを混合した第2の調製液を、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却した。
加熱殺菌処理した第1の調製液と第2の調製液を混合して得られた混合液99.995kgに、乳酸菌スターター(5×10 CFU/ml)を接種し、38℃でpH4.65まで発酵させてカードを形成した後、攪拌しながら10℃まで冷却した後、さらに撹拌してカードを破砕し、撹拌型発酵乳約100kgを得た。
得られた撹拌型発酵乳を調製例1と同様にして紙製容器に充填し、蓋材で密封して容器入り発酵乳製品50個を得た。
[調製例5:サンプル5−2の調製(発酵後添加・粉末)]
本例では、発酵乳を製造した後にコラーゲンペプチドの粉末を添加した。
すなわち、脱脂粉乳7.70kg、WPIの0.70kg、砂糖5.70kg、水78.395kgを混合した後、65℃に加温して溶解し、15MPaの圧力で均質化し、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却して調乳液を得た。
この調乳液に乳酸菌スターター(5×10 CFU/ml)を接種し、38℃でpH4.65まで発酵させてカードを形成した。発酵後、攪拌しながら10℃まで冷却した後、さらに撹拌してカードを破砕し、撹拌型発酵乳約92.5kgを得た。
得られた発酵乳92.5kgに対し、粉末状の豚由来コラーゲンペプチド(Mw5,000)7.50kgを添加し、よく攪拌して溶解させ、コラーゲンペプチドを発酵後に添加した撹拌型発酵乳約100kgを得た。
得られた撹拌型発酵乳を調製例1と同様にして紙製容器に充填し、蓋材で密封して容器入り発酵乳製品50個を得た。
[調製例6:サンプル5−3の調製(発酵後添加・溶液)]
本例では、発酵乳を製造した後にコラーゲンペプチドを溶液状で添加した。
すなわち、脱脂粉乳7.70kg、WPIの0.70kg、砂糖5.70kg、水65.90kgを混合した後、65℃に加温して溶解し、15MPaの圧力で均質化し、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却して調乳液を得た。
この調乳液に乳酸菌スターター(5×10 CFU/ml)を接種し、38℃でpH4.65まで発酵させてカードを形成した。発酵後、攪拌しながら10℃まで冷却した後、さらに撹拌してカードを破砕し、撹拌型発酵乳約80.0kgを調製した。
これとは別に、粉末状の豚由来コラーゲンペプチド(Mw5,000)7.50kgと、水12.50kgとを混合した後、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却して、コラーゲンペプチド溶液20.0kgを調製した。
上記で得た撹拌型発酵乳約80.0kgに、上記で得たコラーゲンペプチド溶液20.0kgを添加して混合し、コラーゲンペプチドを発酵後に添加した撹拌型発酵乳約100kgを得た。
得られた撹拌型発酵乳を調製例1と同様にして紙製容器に充填し、蓋材で密封して容器入り発酵乳製品50個を得た。
<評価方法>
[官能評価]
試験例1と同様にしてコラーゲン臭の強さを評価した。
すなわち、容器入り発酵乳製品を10℃で24時間保存した後、トレーニングされたパネル10名にて、コラーゲン臭の強さを下記の基準で5段階評価し、平均値を求めた。結果を表8に示す。コラーゲン臭の強さの評価が2.9以下であるとコラーゲン臭低減効果が良好である。
(コラーゲン臭の強さ)
5:コラーゲン臭を強く感じる。
4:コラーゲン臭をやや強く感じる。
3:コラーゲン臭を感じる。
2:コラーゲン臭をわずかに感じる。
1:コラーゲン臭を感じない。
[香気分析]
容器入り発酵乳製品を10℃で24時間保存した後、内容物(撹拌型発酵乳)を5g採取し、これに塩化ナトリウム1gおよび溶解水4g添加し混合して試料液を得た。
得られた試料液を40℃にて30分間放置した後、固相マイクロ抽出法により香気成分を抽出し、抽出した香気成分をガスクロマトグラフィー・マススペクトロメトリー(GC/MS)により測定し、ジメチルジスルフィドのピーク面積を測定した。ジメチルジスルフィドはコラーゲンペプチドの臭気成分の一つとされている。
結果を表9に示す。表9のピーク面積比の値は、サンプル5−2を基準としたときのサンプル5−1のピーク面積の割合(5−1/5−2)、またはサンプル5−3を基準としたときのサンプル5−1のピーク面積の割合(5−1/5−3)を百分率で示したものである。
(測定装置)
ガスクロマトグラフィー(GC):アジレントテクノロジー社製(GC6890型)。
カラム:DBI(商品名) アジレントテクノロジー社製。
膜厚:5μm。
長さ:60m。
直径:0.32mm。
(測定条件)
GCオーブン昇温条件:35℃、10分間、15℃/分(260℃まで)2分間保持。
ガス流量:2ml/分 ヘリウムガス。
検出器:パルスド炎光光度検出器(PFPD:金陵電機株式会社製)。
Figure 2014117200
Figure 2014117200
表8、9の結果より、コラーゲンペプチドと乳蛋白質を含む成分を発酵させたサンプル5−1では、発酵乳を製造した後にコラーゲンペプチドを添加したサンプル5−2、5−3に比べて、コラーゲン特有の風味が顕著に低減した。
<試験例5>
本試験では、先行文献2に記載されている方法のように、豆乳とコラーゲンの混合物に乳酸菌を作用させたときに、コラーゲン臭を低減する効果が得られるかどうかを調べた。
[調製例7:サンプル6−1〜6−7の調整(豆乳使用)]
脱臭豆乳(キッコーマン社製、蛋白質含有量4.4%)、豚由来コラーゲンペプチド(Mw5,000)、砂糖、および水を表10に示す割合で混合した混合液(10℃)の99.995kgに、乳酸菌スターター(5×10 CFU/ml)を接種し、38℃でpH4.65まで発酵させてカードを形成した。
発酵後、攪拌しながら10℃まで冷却した後、さらに撹拌してカードを破砕し、大豆発酵製品約100kgを得た。
得られた大豆発酵製品を紙製容器に、10℃で100g充填し、蓋材で密封して容器入り大豆発酵製品50個を得た。
表10に示すサンプル6−1〜6−7の総蛋白質含有量は、表2に示すサンプル2−1〜2−7の総蛋白質含有量とそれぞれ同じである。
Figure 2014117200
<評価方法>
[粘度]
紙製容器への充填に使用した各サンプル(大豆発酵製品)について、試験例1と同様にして粘度(単位:mPa・s)を測定した。結果を表11に示す。
[官能評価]
容器入り大豆発酵製品を10℃で24時間保存した後、試験例1と同様にしてコラーゲン臭の強さを評価した。結果を表11に示す。
Figure 2014117200
表11の結果より、サンプル6−1〜6−7において、コラーゲンペプチドの含有量が多くなるにしたがって、コラーゲン臭の強さが増大しており、本発明のようなコラーゲン臭の低減効果は認められなかった。
サンプル6−1〜6−7のいずれにおいても、大豆発酵製品の粘度が低いため、撹拌型発酵乳のような食感は得られず、充填機での液垂れも生じやすいものであった。
サンプル6−1〜6−7の大豆発酵製品は、脱臭豆乳を使用しているものの、豆臭さが残っており、製品自体の美味しさは、試験例1で作成したサンプル2−1〜2−7よりも劣っていた。
<実施例1:加糖プレーンヨーグルトの製造>
脱脂粉乳10.70kg、WPIの0.65kg、砂糖5.70kg、および水57.745kgを混合した第1の調製液を、65℃に加温して溶解し、15MPaの圧力で均質化し、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却した。
これとは別に、魚由来コラーゲンペプチド(Mw3,000)6.25kg、および水18.75kgを混合した第2の調製液を、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却した。
加熱殺菌処理した第1の調製液と第2の調製液を混合し、得られた混合液に、乳酸菌スターター(5×10 CFU/ml)とビフィズス菌スターター(1.2×10 CFU/ml)を接種し、38℃でpH4.65まで発酵させてカードを形成した。この後、攪拌しながら10℃まで冷却した後、さらに撹拌してカードを破砕し、撹拌型発酵乳約100kgを得た。この撹拌型発酵乳の総蛋白質含有量は10質量%であり、試験例1と同様にして粘度を測定したところ3,030mPa・sであった。
得られた撹拌型発酵乳を紙製容器に、10℃で80g充填し、蓋材で密封して容器入り加糖プレーンヨーグルト1,000個を得た。
得られた容器入り加糖プレーンヨーグルト(発酵乳製品)は、製品1個(80g)当りコラーゲンペプチドを5.0g(6.25%)含有しており、充填適性および風味は良好であった。
<実施例2:アロエヨーグルトの製造>
脱脂粉乳9.80kg、WPIの0.65kg、ゼラチン(豚由来、新田ゼラチン社製、蛋白質含有量93%)0.25kg、砂糖5.70kg、および水58.595kgを混合後、65℃に加温して溶解し、15MPaの圧力で均質化し、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却した。
これとは別に、豚由来コラーゲンペプチド(Mw5,000)7.35kg、水17.65kgを混合した第2の調製液を、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃に冷却した。
加熱殺菌処理した第1の調製液と第2の調製液を混合し、得られた混合液に、乳酸菌スターター(5×10 CFU/ml)を接種し、38℃でpH4.65まで発酵させてカードを形成した。この後、攪拌しながら10℃まで冷却した後、生成したカードを発酵させてカードを形成した後、さらに撹拌してカードを破砕し、撹拌型発酵乳約100kgを得た。この撹拌型発酵乳の総蛋白質含有量は10質量%であり、試験例1と同様にして粘度を測定したところ3,470mPa・sであった。
得られた撹拌型発酵乳85kgに、アロエ、砂糖、香料、酸味料、増粘多糖類、水から成るアロエプレザーブ(長谷川香料製)15kgを混合し、アロエヨーグルトを調製した。得られたアロエヨーグルトを紙製容器に、10℃で80g充填し、蓋材で密封して容器入りアロエヨーグルト1,000個を得た。
得られた容器入りアロエヨーグルト(発酵乳製品)は、製品1個(80g)当りコラーゲンペプチドを5.0g(6.25%)含有しており、充填適性及び風味は良好であった。

Claims (3)

  1. 乳蛋白質を含む第1の調製液と、コラーゲンペプチドを含む第2の調製液を、それぞれ加熱殺菌処理する加熱殺菌処理工程と、
    加熱殺菌処理した第1の調製液と、加熱殺菌処理した第2の調製液を混合して混合液を得る混合工程と、
    前記混合液に発酵菌を作用させてカードを形成する発酵工程と、
    前記カードを破砕して撹拌型発酵乳を得る破砕工程を有し、
    前記コラーゲンペプチドの重量平均分子量(Mw)が2,000〜9,500であり、前記撹拌型発酵乳における該コラーゲンペプチドの含有量が、5.0〜7.9質量%であり、かつ
    前記撹拌型発酵乳の粘度が2,000〜4,500mPaであることを特徴とする撹拌型発酵乳の製造方法。
  2. 前記撹拌型発酵乳の総蛋白質含有量が10.6質量%以下である、請求項1に記載の撹拌型発酵乳の製造方法。
  3. 前記撹拌型発酵乳の無脂乳固形分が8.0質量%以上である、請求項1または2に記載の撹拌型発酵乳の製造方法。
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