JP2014111956A - 電磁駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スライドリングの製造コストを低く抑えて安価な電磁駆動装置を提供する。
【解決手段】励磁コイル31を有する環状のフィールドコア21と、円筒部3と結合部4とを有する磁性材製のスライドリング2とを備える。前記円筒部3に移動自在に支持されたプランジャ11と復帰用のばね部材とを備える。フィールドコア21の内周部には磁極36と環状の空間Sが形成されている。プランジャ11は、前記円筒部3に支持された非磁性材製の支持部材12と、外周部に位置する磁性材製の磁力作用部材13とからなる。磁力作用部材13は、結合部4と磁極36とに間隔をおいて対向し、環状の空間Sの開口部分を塞ぐような位置に設けられる。スライドリング2の結合部4における磁力作用部材13と対向する部位には、この部位を通る磁束を低減させる断磁部26が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、環状の励磁コイルの軸心部内にプランジャを備えた電磁駆動装置に関するものである。
従来のこの種の電磁駆動装置としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に開示された電磁駆動装置は、自動車のデフロック装置の動力源として用いられている。前記デフロック装置は、ディファレンシャル装置において差動が行われる通常運転状態と、差動が行われることがないロック状態とを切換えるためのものである。
特許文献1に示すデフロック装置は、電磁駆動装置のプランジャに接続されたドッグクラッチを備えている。このドッグクラッチは、前記プランジャによって一方の歯が復帰用ばねのばね力に抗して他方の歯に向けて押されることによって接続状態になり、プランジャによる押圧力が消失することによって非接続状態になる。
前記デフロック装置は、このドッグクラッチが接続されることによって、ロック状態となり、ドッグクラッチが切断されることによって、通常運転状態になる。
前記プランジャは、円筒状に形成されており、電磁駆動装置のスライドリングに軸線方向に移動自在に支持されている。
前記スライドリングは、前記プランジャの内周部を貫通してプランジャを移動自在に支持する円筒部と、この円筒部の軸線方向の一端から径方向の外側へ延びる環状の円板部とによって構成されている。このスライドリングは、非磁性材によって形成されている。
前記円板部の径方向外側の端部は、環状のフィールドコアの内周部に突き当てられた状態で溶接されている。
前記フィールドコアは、励磁コイルを内蔵しており、軸線方向の一端から径方向の内側に突出する磁極を有している。このフィールドコアは、励磁コイルが励磁されることによって、プランジャの外周部が前記磁極に磁気によって吸着されるように構成されている。
前記プランジャが前記磁極に吸着されることによって、このプランジャが前記ドッグクラッチの前記一方の歯を前記他方の歯に向けて押圧する。
特開2004−263842号公報
特許文献1に開示されている電磁駆動装置では、製造コストが高くなるという問題があった。この理由は、プランジャを移動自在に支持するスライドリングが非磁性材によって形成されているからである。非磁性材のうち、自動車用デフロック装置に必要な強度や耐久性等の条件を満たすものは、ステンレス鋼である。ステンレス鋼は、鋼板などの磁性材に較べて高価なものである。すなわち、この高価なステンレス鋼を材料としてスライドリングが形成されているから、上述したように電磁駆動装置の製造コストが高くなってしまう。
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、スライドリングの製造コストを低く抑えて安価な電磁駆動装置を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明に係る電磁駆動装置は、励磁コイルを内蔵する環状のフィールドコアと、前記フィールドコアの軸心部内に挿入された円筒部およびこの円筒部の一端から径方向の外側に延びて前記フィールドコアの軸線方向の一端部に固着された結合部を有するスライドリングと、前記フィールドコアの内周部と前記円筒部との間に挿入され、前記円筒部に軸線方向へ移動自在に支持された円筒状のプランジャと、前記プランジャを前記軸線方向の一方であって前記結合部側へ付勢するばね部材とを備え、前記フィールドコアの軸線方向の他端部には、このフィールドコアの内周部から軸心側へ突出する磁極が設けられ、前記フィールドコアの内周部における前記磁極と隣接する部位には、この内周部を径方向に貫通するように環状の空間が形成され、前記スライドリングの円筒部と結合部とは、それぞれ磁性材によって形成され、前記プランジャは、非磁性材によって形成されて前記円筒部の外周面に移動自在に接触する円筒状の支持部材と、この支持部材の外周部に固着された磁性材からなる磁力作用部材とによって構成され、前記磁力作用部材は、前記支持部材が前記スライドリングの結合部に当接する状態において、前記結合部と前記磁極とに予め定めた間隔をおいて対向するとともに、前記環状の空間の開口部分を塞ぐような位置に設けられ、前記スライドリングの結合部における前記磁路形成材と対向する部位には、この部位を通る磁束を低減させる断磁部が設けられていることを特徴とするものである。
本発明は、前記発明において、前記結合部は、前記円筒部から径方向の外側に延びる環状であって外周部分に回り止めフランジを一体に有する平板によって形成されているとともに、前記円筒部と一体に形成され、
前記断磁部は、前記平板に穿設された複数の貫通穴によって形成されていることを特徴とする。
本発明は、前記発明において、前記スライドリングの結合部は、前記フィールドコアの軸線方向の一端部に重ねられてプロジェクション溶接によって溶接されていることを特徴とする。
本発明によれば、プランジャを支持するスライドリングを安価な材料で形成することができるから、スライドリングの製造コストを低く抑えて安価な電磁駆動装置を提供することができる。
本発明に係る電磁駆動装置の断面図で、同図は、図4におけるI−I線断面図である。図1の上半部は非通電時の状態を示し、下半部は通電時の状態を示している。 要部を拡大して示す断面図である。 本発明に係る電磁駆動装置の出力側から見た右側面図である。 本発明に係る電磁駆動装置の結合部から見た左側面図である。
以下、本発明に係る電磁駆動装置の一実施の形態を図1〜図4によって詳細に説明する。この実施の形態においては、本発明に係る電磁駆動装置を自動車用のデフロック装置の駆動源として使用する場合の例を説明する。
図1に示す電磁駆動装置1は、図示していないデファレンシャル装置用デフケースと同一軸線上に位置付けられており、デファレンシャル装置の固定ハウジング(図示せず)に支持されている。前記デフケースは、エンジンの動力で回転させられるもので、一対のサイドギヤと、これらのサイドギヤどうしの間に挟まれて両サイドギヤに噛合するピニオンギヤとを備えている。前記一対のサイドギヤのうち、一方のサイドギヤは、車体左側の車軸と一体に回転するものである。他方のサイドギヤは、車体右側の車軸と一体に回転するものである。前記ピニオンギヤは、前記デフケースの軸線とは直交する軸線回りに回転するようにデフケースに回転自在に支持されている。図1においては、前記一対のサイドギヤのうち一方のサイドギヤを符号Aによって示す。
電磁駆動装置1は、前記デフケースの図示していない回転軸が貫通するスライドリング2を備えている。デフケースは、図1中に示す軸線Cを中心にして回転する。スライドリング2は、前記回転軸と同一軸線上に位置付けられた円筒部3と、この円筒部3の軸線方向の一端から径方向の外側に延びる結合部4とによって構成されている。この実施の形態によるスライドリング2は、冷間圧延鋼板(SPCC)や熱間圧延鋼板(SPHC)等の磁性材料に絞り加工と打ち抜き加工とを施すことによって所定の形状に形成されている。このため、この実施の形態による前記結合部4は、前記円筒部3から径方向の外側に延びる環状の平板によって形成されているとともに、円筒部3と一体に形成されている。
前記結合部4の外周部分には、図4に示すように、径方向の外側に突出する回り止めフランジ5が一体に形成されているとともに、切り欠き6が形成されている。前記回り止めフランジ5は、前記デファレンシャル装置の固定ハウジングに係止され、電磁駆動装置1がデフケースとともに回転することを阻止する。前記切り欠き6は、後述するコイルボビン(図示せず)の端子圧入部7を通すためのものである。
前記円筒部3の外周部には、図1および図2に示すように、円筒状のプランジャ11が軸線方向および周方向に移動自在に支持されている。このプランジャ11は、前記円筒部3の外周面に移動自在に接触する支持部材12と、この支持部材12の外周部に固着された磁力作用部材13とによって構成されている。
前記支持部材12は、非磁性材によって円筒状に形成されている。この支持部材12の内周部であって軸線方向の両端部には、図2に示すように、スライド脚部14がそれぞれ設けられている。このスライド脚部14は、支持部材12の内周面を部分的に径方向の内側に突出させたような形状に形成されており、前記円筒部3の外周面に接触している。プランジャ11は、このスライド脚部14が前記円筒部3に対して滑ることによって、スライドリング2に対して移動する。
支持部材12の軸線方向の一端面12aには、前記結合部4に向けて突出する突条15が形成されている。この突条15は、支持部材12の周方向に途切れることなく一連に延びるように形成されている。
支持部材12の軸線方向の他端部には、他の部位と較べて外径が大きい円筒状の押圧子16が一体に形成されている。この押圧子16の外周面16aは、後述するフィールドコア21の内側端面21a(図2および図3参照)と予め定めた微小な隙間dをおいて対向するように形成されており、シール面として機能している。
押圧子16の軸線方向の端面16bには、図1に示すように、デフロック装置22の受圧部材23が押し付けられる。この受圧部材23は、デファレンシャル装置のサイドギヤAと隣り合う位置に設けられている。また、この受圧部材23は、サイドギヤAとの間に弾装された復帰用ばね24によってプランジャ11側に付勢されており、上述したようにプランジャ11の押圧子16に押し付けられている。
すなわち、プランジャ11は、前記復帰用ばね24のばね力によって軸線方向の一方であって前記結合部4側へ付勢され、前記結合部4に押し付けられている。この実施の形態においては、前記復帰用ばね24によって、本発明でいう「ばね部材」が構成されている。
デファレンシャル装置のデフロック装置22は、前記受圧部材23とサイドギヤAとの間に設けられたドッグクラッチ25が接続されることによってロック状態に移行するものである。また、このデフロック装置22は、前記ドッグクラッチ25の接続状態が解消されることによって、通常運転状態に移行するものである。すなわち、デフロック装置22は、プランジャ11が図1に示す初期位置に位置している状態において通常運転状態であり、プランジャ11が前記初期位置から復帰用ばね24のばね力に抗して移動して受圧部材23を押すことによって、ロック状態に移行する。
前記磁力作用部材13は、磁性材によって円筒状に形成されている。この磁力作用部材13は、前記支持部材12の外周部であって、前記押圧子16より前記結合部4側に位置する小径部12bに嵌合状態で固着されている。この磁力作用部材13の厚みは、支持部材12に取付けられた状態で外周面が前記押圧子16より径方向の外側に突出するように形成されている。また、この磁力作用部材13の軸線方向の長さは、前記支持部材12の突条15が前記結合部4に接触する状態において、軸線方向の一端面13aが前記結合部4に予め定めた長さL1だけ離れて対向するように形成されている。
前記結合部4における磁力作用部材13と対向する部位には、この部位を通る磁束を低減させる断磁部26が設けられている。この実施の形態による断磁部26は、図4に示すように、前記円環状の平板からなる結合部4に穿設された複数の貫通穴27によって形成されている。この貫通穴27の開口形状は、結合部4の周方向に延びる長穴である。複数の貫通穴27は、同一円周上に位置し、かつ周方向に等間隔おいて並ぶように形成されている。
前記スライドリング2の結合部4における前記プランジャ11より径方向の外側に位置する外周部分には、図1および図2に示すように、環状のフィールドコア21が溶接されている。
フィールドコア21は、後述する励磁コイル31を内蔵しており、前記プランジャ11と協働してソレノイドを構成するものである。このフィールドコア21は、ヨーク組立体32と、このヨーク組立体32の中に収納された励磁コイル31とを備えている。
前記ヨーク組立体32は、図2に示すように、前記スライドリング2に軸線方向(図2においては左右方向)の一端部が溶接されたヨーク33と、このヨーク33の軸線方向の他端部に嵌合されカシメ固定された円環状の磁路部材34とによって構成されている。
前記ヨーク33は、スライドリング2の結合部4に重ねられて溶接された環状の円板部33aと、この円板部33aの外周縁から軸線方向に延びる円筒状の外磁極部33bと、前記円板部33aの内周縁から軸線方向に延びる円筒状の内磁極部33cとを有する断面C字状に形成されている。前記円板部33aと前記結合部4とは、プロジェクション溶接法によって溶接されている。すなわち、前記スライドリング2の結合部4は、前記フィールドコア21の軸線方向の一端部に重ねられてプロジェクション溶接によって溶接されている。
このプロジェクション溶接は、図4に示すように、複数の溶接部35が同一円周上に位置しかつ周方向に等間隔おいて離間するように行われている。これらの溶接部35は、前記断磁部26を構成する貫通穴27より結合部4の径方向の外側であって、結合部4の外周縁より径方向の内側に位置付けられている。
前記磁路部材34は、円環状の板によって形成されており、主面がヨーク33の軸線方向と直交する状態で前記外磁極部33bの先端部分に嵌合状態でカシメ固定されている。この磁路部材34の内周部は、ヨーク33の内磁極部33cと対向している。この磁路部材34の内周部であって、前記内磁極部33cとは反対側に位置する端部には、径方向の内側(軸心側)へ突出する複数の磁極36が一体に形成されている。これらの磁極36は、図3に示すように、それぞれ所定の長さで磁路部材34の周方向に延びるように形成されている。互いに隣り合う二つの磁極36の間には、連通部37が形成されている。この連通部37は、プランジャ11が移動するときに磁極36とプランジャ11との間でオイルを出入りさせるためのものである。
磁極36の径方向の長さ(突出方向の長さ)は、この磁極36と前記プランジャ11の押圧子16との間に前記隙間dが形成されるような長さに形成されている。すなわち、前記押圧子16は、磁極36より径方向の内側を軸線方向に移動することになる。この押圧子16の軸線方向の長さは、図2に示すように、プランジャ11の前記突条15が前記結合部4に接触する状態において、プランジャ11の磁力作用部材13が磁極36から予め定めた長さL2だけ離間するように形成されている。
前記磁路部材34の内周部におけるヨーク33の内磁極部33cと対向する部位には、この内磁極部33cに向けて突出する対向部38が形成されている。内磁極部33cは、外磁極部33bと較べてヨーク33の軸線方向の長さが短く形成されている。このため、この内磁極部33cと磁路部材34との間(フィールドコア21の内周部における磁極36と隣接する部位)には、フィールドコア21の内周部を径方向に貫通するように環状の空間Sが形成されている。この環状の空間Sは、内磁極部33cと磁路部材34との間にプランジャ11の磁力作用部材13が介在する磁路を形成する機能を有している。また、この環状の空間Sは、フィールドコア21とプランジャ11との間に浸入した異物(図示せず)を収容するための異物収容空間としても機能する。
内磁極部33cの内周面と、前記磁路部材34の内周面における磁極36と隣接する部分は、前記プランジャ11の軸線方向への移動が許容される最小限度の隙間だけプランジャ11の磁力作用部材13から離間するように形成されている。すなわち、前記磁力作用部材13は、プランジャ11の突条15が前記結合部4に当接する状態において、前記環状の空間Sの開口部分を塞ぐような位置に設けられている。
磁力作用部材13の外周部であって、前記磁路部材34に近接する軸線方向の一端部には、傾斜面39が形成されている。この傾斜面39は、磁力作用部材13の周方向に途切れることなく一連に形成されている。また、この傾斜面39は、磁力作用部材13の軸端側に向かうにしたがって磁力作用部材13の外径が漸次小さくなるように傾斜している。このような傾斜面39が前記磁力作用部材13に形成されていることにより、磁力作用部材13と磁路部材34の対向部38との間にエアギャップGが形成される。
前記フィールドコア21に内蔵された励磁コイル31は、詳細には図示してはいないが、自己融着電線からなるコイル巻体と、このコイル巻体を保持するコイルボビンとを備えている。この励磁コイル31は、前記ヨーク33の内部に挿入された状態でヨーク33内に注入された熱可塑性樹脂41によってヨーク33内で封止されている。コイル巻体の端部は、コイルボビンの端子圧入部7(図1および図4参照)の中でリード線42に端子(図示せず)を介して接続されている。このコイル巻体とリード線42との結線部分は、前記熱可塑性樹脂41によって覆われている。
前記端子圧入部7は、図1に示すように、ヨーク33の前記円板部33aに形成された貫通穴43と、前記スライドリング2の結合部4に形成された切り欠き6とを通ってフィールドコア21の外に突出している。
このように構成された電磁駆動装置1においては、励磁コイル31が非励磁状態であるときは、図1の上半部および図2に示すように、プランジャ11の支持部材12が復帰用ばね24のばね力によってスライドリング2の結合部4に押し付けられる。この初期状態において、プランジャ11の磁力作用部材13は、スライドリング2の結合部4から長さL1だけ離間するとともに、ヨーク33の磁極36から長さL2だけ離間した位置に保持される。
励磁コイル31が励磁状態になると、図2中に二点鎖線で示すように、ヨーク組立体32とプランジャ11の磁力作用部材13とを通る磁束Φ1と、この磁束Φ1とは異なる磁路を通る漏洩磁束Φ2とが生じる。漏洩磁束Φ2は、ヨーク33の内磁極部33cを迂回してスライドリング2の結合部4および円筒部3と、プランジャ11の支持部材12とを通る。しかし、この実施の形態による電磁駆動装置1においては、スライドリング2の結合部4に断磁部26が設けられているから、この漏洩磁束Φ2は殆ど無視できるほどに低減される。このため、スライドリング2が磁性材によって形成されているにもかかわらず、プランジャ11を結合部4側へ引く磁力は著しく小さくなる。
この結果、励磁コイル31が励磁されて磁束Φ1が磁力作用部材13を通ることにより、エアギャップGが狭くなる方向にプランジャ11が移動する。すなわち、プランジャ11は、図1の下半部に示すように、磁路部材34の磁極36に当接するまで磁力によって軸線方向に移動する。このようにプランジャ11が移動することによって、デフロック装置22がロック状態に移行する。
したがって、この実施の形態によれば、プランジャ11を支持するスライドリング2をステンレス鋼と較べて価格が低い材料で形成することができるから、スライドリング2の製造コストを低く抑えて安価な電磁駆動装置を提供することができる。
この実施の形態による前記結合部4は、前記円筒部3から径方向の外側に延びる環状の平板によって形成されているとともに、前記円筒部3と一体に形成されている。この実施の形態による前記断磁部26は、前記平板に穿設された複数の貫通穴27によって形成されている。
このため、この実施の形態によるスライドリング2は、鋼板に絞り加工と打ち抜き加工とを施すことによって形成することができる。すなわち、この実施の形態によるスライドリング2は、型を用いて形成することができるものである。
したがって、この実施の形態によれば、スライドリング2の加工費を低減でき、製造コストがより一層低い電磁駆動装置を提供することができる。
この実施の形態による前記スライドリング2の結合部4は、前記フィールドコア21の軸線方向の一端部に重ねられてプロジェクション溶接によって溶接されている。
このため、スライドリング2とフィールドコア21との溶接部35には、フィールドコア21の軸線方向へ突出する凸部が形成されることがない。
上述した特許文献1に示す従来の電磁駆動装置では、スライドリング2の径方向外側の外周がフィールドコア21の内周に嵌合され、例えば、レーザー溶接法によって嵌合部が溶接されているから、溶接後にフィールドコア21の軸線方向に突出する凸部が生じ易い。
この凸部は、機械加工によって取り除く必要がある。このため、特許文献1に示す電磁駆動装置では、前記凸部を除去する加工費が嵩むという問題があった。しかしながら、この実施の形態による電磁駆動装置1は、前記溶接部35に凸部が形成されることがないから、溶接部35に機械加工を施す必要がないものである。したがって、この実施の形態によれば、従来の電磁駆動装置と較べて製造コストが低い電磁駆動装置を提供することができる。
この実施の形態によるスライドリング2の結合部4には、回り止めフランジ5が一体に形成されている。このため、スライドリングとは別体に形成された回り止めフランジをスライドリングに溶接して取付ける場合と較べると、部品点数を削減できるとともに、溶接工程を削減することができる。
この実施の形態による励磁コイル31の端子圧入部7は、ヨーク33の底面(円板部33a)から軸線方向に沿って突出している。このため、リード線42がヨーク底部から端子圧入部7とともに引き出される構造であるから、ヨーク33の円板部33aにリード線のみを貫通させる場合と較べて、円板部33aに形成する貫通穴の精度が低くてよく、しかもリード線貫通部の防水処理が不要になるから、フィールドコア21を安価に製造することができる。
この実施の形態によるスライドリング2の結合部4とフィールドコア21とはプロジェクション溶接によって溶接されている。しかし、これらの部材を溶接する方法は、適宜変更することができる。
また、この実施の形態においては、本発明に係る電磁駆動装置1を自動車用デフロック装置22の駆動源として用いる例を示した。しかし、本発明は、このような限定にとらわれることはなく、他の装置の駆動源として用いることが可能である。
1…電磁駆動装置、2…スライドリング、3…円筒部、4…結合部、11…プランジャ、12…支持部材、13…磁力作用部材、21…フィールドコア、24…復帰用ばね(ばね部材)、26…断磁部、27…貫通穴、31…励磁コイル、36…磁極、S…環状の空間。

Claims (3)

  1. 励磁コイルを内蔵する環状のフィールドコアと、
    前記フィールドコアの軸心部内に挿入された円筒部およびこの円筒部の一端から径方向の外側に延びて前記フィールドコアの軸線方向の一端部に固着された結合部を有するスライドリングと、
    前記フィールドコアの内周部と前記円筒部との間に挿入され、前記円筒部に軸線方向へ移動自在に支持された円筒状のプランジャと、
    前記プランジャを前記軸線方向の一方であって前記結合部側へ付勢するばね部材とを備え、
    前記フィールドコアの軸線方向の他端部には、このフィールドコアの内周部から軸心側へ突出する磁極が設けられ、
    前記フィールドコアの内周部における前記磁極と隣接する部位には、この内周部を径方向に貫通するように環状の空間が形成され、
    前記スライドリングの円筒部と結合部とは、それぞれ磁性材によって形成され、
    前記プランジャは、非磁性材によって形成されて前記円筒部の外周面に移動自在に接触する円筒状の支持部材と、この支持部材の外周部に固着された磁性材からなる磁力作用部材とによって構成され、
    前記磁力作用部材は、前記支持部材が前記スライドリングの結合部に当接する状態において、前記結合部と前記磁極とに予め定めた間隔をおいて対向するとともに、前記環状の空間の開口部分を塞ぐような位置に設けられ、
    前記スライドリングの結合部における前記磁力作用部材と対向する部位には、この部位を通る磁束を低減させる断磁部が設けられていることを特徴とする電磁駆動装置。
  2. 請求項1記載の電磁駆動装置において、前記結合部は、前記円筒部から径方向の外側に延びる環状であって外周部分に回り止めフランジを一体に有する平板によって形成されているとともに、前記円筒部と一体に形成され、
    前記断磁部は、前記平板に穿設された複数の貫通穴によって形成されていることを特徴とする電磁駆動装置。
  3. 請求項2記載の電磁駆動装置において、前記スライドリングの結合部は、前記フィールドコアの軸線方向の一端部に重ねられてプロジェクション溶接によって溶接されていることを特徴とする電磁駆動装置。
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