JP2003322240A - 動力断続装置及びトランスファ装置及びデファレンシャル装置 - Google Patents

動力断続装置及びトランスファ装置及びデファレンシャル装置

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JP2003322240A JP2002111045A JP2002111045A JP2003322240A JP 2003322240 A JP2003322240 A JP 2003322240A JP 2002111045 A JP2002111045 A JP 2002111045A JP 2002111045 A JP2002111045 A JP 2002111045A JP 2003322240 A JP2003322240 A JP 2003322240A
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Masao Teraoka
正夫 寺岡
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幸二 大塚
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大きなアクチュエータを必要とすることな
く、ドッグクラッチの係合及び離脱を確実に行うことが
できる簡単な構造のデファレンシャル装置を提供する。 【解決手段】 エンジンの駆動力が入力して回転するア
ウタデフケース203と、エンジンの駆動力を差動分配
する差動機構2057を内部に有し、アウタデフケース
203内に同軸に回転可能に支持されたインナデフケー
ス41と、インナデフケース41の軸方向に隣接して配
置され、軸方向に移動可能で、且つアウタデフケース2
03と一体に回転するクラッチ部材43と、インナデフ
ケース41とクラッチ部材43との対向間に設けられ、
クラッチ部材43の軸方向の移動によって係合離脱可能
に噛み合うドッグクラッチ41a、43aと、ドッグク
ラッチ41a、43aが係合離脱するようにクラッチ部
材43を軸方向に移動させる環状のプランジャ65を有
し、出力軸と同軸に設けられた電磁駆動手段61とを備
える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の動力断続装
置及びトランスファ装置及びデファレンシャル装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】図29は特公平5−54574号公報に
記載された従来のデファレンシャル装置を示す。このデ
ファレンシャル装置100は、パートタイム4輪駆動車
の2輪切り換え時に駆動が断たれるものであり、車両の
フロントデフに適用される。
【0003】デファレンシャル装置101はインナデフ
ケース103とアウタデフケース105とを備えてい
る。
【0004】インナデフケース103の内部には、ピニ
オンシャフト107が固定されており、ピニオンシャフ
ト107にはピニオンギア109が回転可能に取り付け
られている。ピニオンギア109にはドライブシャフト
111,111がスプライン連結された左右のサイドギ
ア113,113が噛み合っている。ドライブシャフト
111,111はインナデフケース103の左右のボス
部115,117から外側に突出しており、突出部分に
左右の車輪が装着される。
【0005】アウタデフケース105はインナデフケー
ス103のボス部115,117に配置したボールベア
リング119を介して相対回転可能となっている。ま
た、アウタデフケース105の左右のボス部121,1
23はテーパーローラベアリング125を介してデフキ
ャリア127に回転可能に支持されている。
【0006】アウタデフケース105にはリングギア1
29が固定され、リングギア129がプロペラシャフト
131噛み合うことにより、エンジンからの回転力が入
力されてアウタデフケース105が回転する。
【0007】インナデフケース103のボス部115に
は、スプライン連結されたスリーブ133が軸方向へ移
動可能に配置されている。スリーブ133の外周には、
環状の凹部135が形成されており、この凹部135に
はシフトフォーク137が相対回転可能に係合してい
る。シフトフォーク137はデフキャリア127に設置
された空圧、油圧等のシリンダ139に連結されてお
り、シリンダ139の駆動によってスリーブ133が往
復方向に移動するようになっている。シリンダ139は
運転席側からのリモート操作によって伸縮駆動する。
【0008】スリーブ133とアウタデフケース105
との対向部には、クラッチ手段141が設けられてい
る。クラッチ手段141はスリーブ133の端面に環状
に形成されたドッグクラッチ143と、アウタデフケー
ス105のボス部121の端面に形成されドッグクラッ
チ143と噛み合うドッグクラッチ145とからなって
いる。
【0009】このデファレンシャル装置101では、シ
リンダ139を伸長駆動してスリーブ133を右方向に
移動させ、ドッグクラッチ143をアウタデフケース1
05のドッグクラッチ145に噛み合わせることによ
り、アウタデフケース105とインナデフケース103
とを結合させる。これにより、四輪駆動走行を行う。一
方、シリンダ139を短縮駆動してスリーブ133を左
方向に移動して、ドッグクラッチ143,145の噛み
合いを解除することにより、二輪駆動走行が可能とな
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このようなデファレン
シャル装置では、ドッグクラッチ143,145の噛み
合い及び離脱を行うためのアクチュエータとしてシリン
ダ139を用いているが、アクチュエータが空圧、油圧
等の流体圧で駆動するため、大型化している。特に、高
地等における走行では、流体圧が気圧に左右されやすい
ため、アクチュエータを大型化する必要がある。
【0011】また、流体圧で四輪駆動、二輪駆動を切り
換えるためには、摺動部分が必要となっている。例え
ば、図29においては、シフトフォーク137とスリー
ブ133とが摺動する必要がある。このように摺動部分
が必要となっている場合には、摺動抵抗が発生するた
め、出力トルクに影響を及ぼす恐れがある。
【0012】そこで、本発明は、大きなアクチュエータ
を必要とすることなく、しかも摺動抵抗を低減して出力
トルクを大きくすること可能なデファレンシャル装置を
提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の動力断続装置
は、入力側と出力側の各トルク伝達部材と、前記両トル
ク伝達部材の間に設けられ、クラッチ部材の軸方向移動
によって噛み合いと噛み合いの解除を行う噛み合いクラ
ッチと、前記クラッチ部材を軸方向に移動させる環状の
プランジャと、前記両トルク伝達部材と同軸に設けら
れ、前記プランジャを磁力で移動操作する電磁駆動手段
とを備えていることを特徴としている。
【0014】この発明では、電磁駆動手段がクラッチ部
材を軸方向に移動させるアクチュエータとなっている。
電磁駆動手段は電流を制御することにより、駆動が切り
換えられるため、気圧に左右されることがなくなり、ア
クチュエータを小型とすることができる。
【0015】また、流体の漏れを考慮する必要がなく、
流体の漏れ防止のためのシール部材が不要となり、部品
点数が減じ、構造が簡単となり、組み立ても容易とな
る。
【0016】また、流体圧で駆動するアクチュエータの
ように摺動部分が不要となるため、摺動抵抗が低減し、
出力トルクへの影響を低減させることができる。
【0017】また、電磁駆動手段が両トルク伝達部材と
同軸となるように配置されることにより、プランジャを
始めとした電磁駆動手段の全体がリング形状となる。リ
ング形状では、その全体から駆動力を作用させることが
できるため、クラッチ部材を大きな力で駆動することが
でき、安定した駆動を行うことができる。また、リング
形状では、出力軸や入力軸を通したレイアウトが可能と
なるため、バランス性が良好となる。
【0018】請求項2のトランスファ装置は、原動機の
駆動力によって回転すると共に、前後輪の一方に連結さ
れた入力側のトルク伝達部材と、前後輪の他方に連結さ
れた出力側のトルク伝達部材と、前記両トルク伝達部材
の間に設けられ、クラッチ部材の軸方向移動によって噛
み合いと噛み合いの解除を行う噛み合いクラッチと、前
記クラッチ部材を軸方向に移動させる環状のプランジャ
と、前記両トルク伝達部材と同軸に設けられ、前記プラ
ンジャを磁力で移動操作する電磁駆動手段とを備えてい
ることを特徴としている。
【0019】この発明でも、電磁駆動手段がクラッチ部
材を軸方向に移動させるアクチュエータとなっており、
電磁駆動手段は電流を制御することによって、駆動が切
り換えられるため、気圧に左右されることがなくなり、
アクチュエータを小型とすることができる。
【0020】また、流体の漏れを考慮する必要がなく、
流体の漏れ防止のためのシール部材が不要となり、部品
点数が減じ、構造が簡単となり、組み立ても容易とな
る。
【0021】また、流体圧で駆動するアクチュエータの
ように摺動部分が不要となるため、摺動抵抗が低減し、
出力トルクへの影響を低減させることができる。
【0022】また、電磁駆動手段が両トルク伝達部材と
同軸となるように配置されることにより、プランジャを
始めとした電磁駆動手段の全体がリング形状となる。リ
ング形状では、その全体から駆動力を作用させることが
できるため、クラッチ部材を大きな力で駆動することが
でき、安定した駆動を行うことができる。また、リング
形状では、出力軸や入力軸を通したレイアウトが可能と
なるため、バランス性が良好となる。
【0023】請求項3のデファレンシャル装置は、エン
ジンの駆動力が入力して回転するデフケースと、前記デ
フケースに収容され、エンジンの駆動力を車輪側出力軸
に差動分配する差動機構と、軸方向に移動可能な一側の
クラッチ部材と他側のクラッチ部材との間に設けられ、
前記一側クラッチ部材の軸方向移動によって係合離脱可
能に噛み合い、差動制限、あるいは、トルクの断続を行
う噛み合いクラッチと、前記噛み合いクラッチが係合離
脱するようにクラッチ部材を軸方向に移動させる環状の
プランジャを有し、前記出力軸と同軸に設けられた電磁
駆動手段とを備えていることを特徴としている。
【0024】この発明でも、電磁駆動手段がクラッチ部
材を軸方向に移動させるアクチュエータとなっており、
電磁駆動手段は電流を制御することによって、駆動が切
り換えられるため、気圧に左右されることがなくなり、
アクチュエータを小型とすることができる。
【0025】また、流体の漏れを考慮する必要がなく、
流体の漏れ防止のためのシール部材が不要となり、部品
点数が減じ、構造が簡単となり、組み立ても容易とな
る。
【0026】また、流体圧で駆動するアクチュエータの
ように摺動部分が不要となるため、摺動抵抗が低減し、
出力トルクへの影響を低減させることができる。
【0027】また、電磁駆動手段が出力軸と同軸となる
ように配置されることにより、プランジャを始めとした
電磁駆動手段の全体がリング形状となる。リング形状で
は、その全体から駆動力を作用させることができるた
め、クラッチ部材を大きな力で駆動することができ、安
定した駆動を行うことができる。また、リング形状で
は、出力軸を通したレイアウトが可能となるため、バラ
ンス性が良好となる。
【0028】請求項4のデファレンシャル装置は、エン
ジンの駆動力が入力して回転するアウタデフケースと、
エンジンの駆動力を左右の出力軸に差動分配する差動
機構を内部に有し、アウタデフケース内に同軸に回転可
能に支持されたインナデフケースと、インナデフケース
の軸方向に隣接して配置され、軸方向に移動可能で、且
つアウタデフケースと一体に回転するクラッチ部材と、
インナデフケースとクラッチ部材との対向間に設けら
れ、クラッチ部材の軸方向の移動によって係合離脱可能
に噛み合う噛み合いクラッチと、噛み合いクラッチが係
合離脱するようにクラッチ部材を軸方向に移動させる環
状のプランジャを有し、前記出力軸と同軸に設けられた
電磁駆動手段とを備えていることを特徴としている。
【0029】この発明でも、電磁駆動手段がクラッチ部
材を軸方向に移動させるアクチュエータとなっており、
電磁駆動手段は電流を制御することによって、駆動が切
り換えられるため、気圧に左右されることがなくなり、
アクチュエータを小型とすることができる。
【0030】また、流体の漏れを考慮する必要がなく、
流体の漏れ防止のためのシール部材が不要となり、部品
点数が減じ、構造が簡単となり、組み立ても容易とな
る。
【0031】また、流体圧で駆動するアクチュエータの
ように摺動部分が不要となるため、摺動抵抗が低減し、
出力トルクへの影響を低減させることができる。
【0032】また、電磁駆動手段が出力軸と同軸となる
ように配置されることにより、プランジャを始めとした
電磁駆動手段の全体がリング形状となる。リング形状で
は、その全体から駆動力を作用させることができるた
め、クラッチ部材を大きな力で駆動することができ、安
定した駆動を行うことができる。また、リング形状で
は、出力軸を通したレイアウトが可能となるため、バラ
ンス性が良好となる。
【0033】請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれ
かに記載された動力断続装置またはトランスファ装置ま
たはデファレンシャル装置であって、前記プランジャの
内周に非磁性体からなる環状部材が設けられており、前
記電磁駆動手段の作動力が環状部材を介してクラッチ部
材に伝達されることを特徴としている。
【0034】この発明では、請求項1〜4の発明と同様
な作用・効果を有するのに加えて、プランジャの内周に
設けた非磁性体の環状部材がクラッチ部材に作動力を伝
達するため、プランジャがクラッチ部材等の構成部品と
接触することがない。このため、磁路が漏れることがな
く、最短の距離で磁路を形成することができる。
【0035】また、磁路の漏れがないことから、磁路を
効率良く形成することができると共に電磁駆動手段に供
給する電流を大きくする必要がなく、電力の節減を行う
ことができる。
【0036】請求項6の発明は、請求項5に記載された
動力断続装置またはトランスファ装置またはデファレン
シャル装置であって、前記プランジャが環状部材によっ
てセンターリングされていることを特徴としている。
【0037】この発明では、請求項5の発明と同様な作
用・効果を有するのに加えて、プランジャのセンターリ
ングを簡単に行うことができると共に、センターリング
のための部材が不要となり、構造を簡単にすることがで
きる。
【0038】請求項7の発明は、請求項3または請求項
4に記載されたデファレンシャル装置であって、前記環
状部材が前記デフケースまたは前記アウタデフケースの
ボス部によってセンターリングされていることを特徴と
している。
【0039】この発明では、請求項3または請求項4の
発明と同様な作用・効果を有するのに加えて、環状部材
をセンターリングするための部材が不要となり、構造が
簡単となり、小型化することができる。
【0040】請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれ
かに記載された動力断続装置またはトランスファ装置ま
たはデファレンシャル装置であって、前記プランジャ
が、前記電磁駆動手段を構成する電磁ソレノイドのコイ
ルハウジングにより、所定の位置で軸方向移動自在に保
持されていることを特徴としている。
【0041】この発明では、請求項1〜7の発明と同様
な作用・効果を有するのに加えて、電磁ソレノイドのコ
イルハウジングによってプランジャを支持(センターリ
ング)するため、コイルハウジングとプランジャの間の
クリアランス調整が容易であり、これらの間の磁力ロス
と摺動抵抗をそれぞれ最小にすることができる。
【0042】請求項9の発明は、請求項8に記載された
動力断続装置またはトランスファ装置またはデファレン
シャル装置であって、前記コイルハウジングと前記プラ
ンジャとの間に、シールが配置されていることを特徴と
している。
【0043】この発明では、請求項8の発明と同様な作
用・効果を有するのに加えて、コイルハウジングとプラ
ンジャとの間に配置されたシールによって、オイル中に
含まれるコンタミネーション(例えば、磁性金属粉)が
コイルに吸着されることがなくなり、磁性金属粉の詰ま
りによるプランジャの移動不良(噛み合いクラッチの動
作不良)が防止され、正常な機構が長期にわたって保た
れる。
【0044】請求項10の発明は、請求項3または請求
項4に記載されたデファレンシャル装置であって、前記
電磁駆動手段が、前記デフケースまたは前記アウターデ
フケース上に支持されており、これらのデフケース及び
アウターデフケースが、ケーシングに収容されていると
共に、回り止め手段を設けて、前記電磁駆動手段を前記
ケーシング側に回り止めしたことを特徴としている。
【0045】この発明では、請求項3または請求項4の
発明と同様な作用・効果を有するのに加えて、電磁駆動
手段がデフケースやアウターデフケースに固定されてい
るから、デフケース側ギアやアウターデフケース側ギア
とこれと噛み合う相手側ギアのバックラッシ調整を行っ
ても、あるいは、組み付け誤差が生じても、電磁駆動手
段はデフケースやアウターデフケースと一体に移動する
から、デフケースやアウターデフケース側クラッチとの
距離が変動しない。
【0046】従って、電磁駆動手段のストロークに、こ
の距離の変動を吸収するために余裕を設ける必要がな
く、電磁駆動手段の作動力を大きくする必要がないか
ら、電磁駆動手段の大型化と重量化、コストの上昇、デ
ファレンシャル装置の車載性低下などが防止される。
【0047】さらに、電磁駆動手段の消費電力増加と、
それに伴うバッテリーの負担増加及びエンジンの燃費低
下なども防止される。
【0048】また、デフケース側ギアやアウターデフケ
ース側ギア及び相手側ギヤとの充分なバックラッシ調整
を行うことが可能になるから、これらの噛み合いが正常
に設定され、ギア音や振動などが防止されて、耐久性が
向上する。
【0049】また、回り止め手段(例えば、ブラケッ
ト)は、電磁駆動手段をケーシング(例えば、デフキャ
リヤ)に回り止めするだけでよく、電磁駆動手段をケー
シングに固定する機能及びそれに応じた強度が要求され
ないから、軽量化とコストの低減が可能になる。
【0050】また、電磁駆動手段をデフケースやアウタ
ーデフケースに固定する請求項10の構成は、電磁駆動
手段をケーシングに固定する構成と異なって、ケーシン
グ側の電磁駆動手段とデフケースやアウターデフケース
側クラッチとの相対位置を調整する必要がない上に、回
り止め対策は、組み付け時に回り止め手段をケーシング
に係合させるだけですむから、組み付けが極めて容易で
ある。
【0051】また、電磁駆動手段がデフケースやアウタ
ーデフケースによってセンターリングされているから、
電磁駆動手段をケーシング側に固定する構成と異なっ
て、環状部材などを設けて電磁駆動手段をセンターリン
グする必要がなくなり、それだけ部品点数が低減され、
構造が簡単になる。
【0052】請求項11の発明は、請求項10に記載さ
れたデファレンシャル装置であって、前記デフケース及
び前記アウターデフケースが、それぞれのボス部で前記
ケーシングに支承されており、前記電磁駆動手段が、前
記ボス部上に支持されていると共に、デフケースまたは
アウターデフケースの軸方向投影範囲の中に配置されて
いることを特徴としている。
【0053】この発明では、請求項10の発明と同様な
作用・効果を有するのに加えて、電磁駆動手段を、アウ
ターデフケースのボス部で支承し、アウターデフケース
の軸方向投影範囲の中に配置したことによってスペース
を有効に利用したから、デファレンシャル装置がそれだ
けコンパクトに構成され、車載性が向上する。
【0054】請求項12の発明は、請求項8または請求
項9に記載された動力断続装置またはトランスファ装置
またはデファレンシャル装置であって、前記コイルハウ
ジングが前記プランジャの内周面に沿って突設されるガ
イド部を備え、前記電磁ソレノイドによって、前記ガイ
ド部に磁路が形成されることを特徴としており、請求項
8または請求項9の構成と同等の作用・効果を得ること
ができる。
【0055】また、この構成では、電磁ソレノイドとプ
ランジャとの間にコイルハウジングが介在する構成(例
えば、コイルハウジングに分岐部が設けられており、こ
の分岐部を介して磁束がプランジャに通る構成)と較べ
て、コイルハウジングは、形状と加工が簡単になり、そ
れだけ低コストになる。
【0056】また、コイルハウジングの介在部を削除し
たことによって、電磁ソレノイド(コイル)の巻き数を
増やすことが可能になり、巻き数を増やせば、電磁ソレ
ノイドの磁力と噛み合いクラッチの操作力が強化される
から、例えば、プランジャや噛み合いクラッチのクラッ
チ部材などがオイルの抵抗を受けても、操作時のレスポ
ンスを向上させることができる。
【0057】また、コイルの巻き数(電磁ソレノイドの
磁力)を一定に保つ場合は、介在部(上記の分岐部)を
削除しただけコイルハウジングと電磁駆動手段とこれを
用いた動力断続装置とトランスファ装置とデファレンシ
ャル装置が軽量でコンパクトになり、車載性が向上す
る。
【0058】また、コイルハウジングは鉄系金属である
から、介在部の削除による軽量化効果は大きい。
【0059】請求項13の発明は、請求項1〜12のい
ずれかに記載された動力断続装置またはトランスファ装
置またはデファレンシャル装置であって、前記コイルハ
ウジングと前記プランジャの少なくともいずれか一方
に、前記プランジャの作動に伴ってオイルの流出入を促
進するオイル溝を設けたことを特徴としており、請求項
1〜12の構成と同等の作用・効果を得ることができ
る。
【0060】また、コイルハウジングやプランジャにオ
イル溝を設けたこの構成では、例えば、プランジャが電
磁駆動手段やリターンスプリングによって移動操作され
るとき、プランジャを収容するコイルハウジングの袋状
部分からのオイルの流出入が促進され、オイルの抵抗が
それだけ軽減される。
【0061】オイルの抵抗が軽減されたことによって、
噛み合いクラッチの操作レスポンスが向上すると共に、
オイルの抵抗と対抗するために電磁ソレノイドの磁力を
強化する必要がなくなり、これに伴う動力断続装置とト
ランスファ装置とデファレンシャル装置の大型化、重量
化が防止され、各装置が車両に搭載される場合は、各装
置の車載性低下が防止される。
【0062】さらに、車両に搭載される場合は、電磁ソ
レノイドを励磁するバッテリー及びバッテリーを充電す
るオルタネータの負担増加と、このオルタネータを駆動
するエンジンの燃費低下が防止される。
【0063】また、オイル抵抗の軽減効果は、オイルの
粘度が増大する低温時で、特に著しい。
【0064】また、上記のように、コイルハウジングに
形成される袋状の部分からのオイルの流出入が促進され
ることによって、オイル中に分散している鉄粉のような
磁性金属粉(コンタミネーション)がオイルと共に外部
に排出され、内部に溜まらないから、鉄粉などの噛み込
みによるプランジャの移動不良が防止され、噛み合いク
ラッチと、これを用いた各装置の動作(性能)が正常に
保たれ、耐久性が向上する。
【0065】また、磁路を構成するコイルハウジングと
プランジャに設けられたオイル溝は、磁束が集中して極
部磁石になり、磁性金属粉が吸着されてオイルへの再分
散が防止されるから、磁性金属粉の噛み込み防止効果が
さらに向上する。
【0066】また、オイル溝の断面形状は、円形、三角
形、四角形など任意に選んでよいが、磁束が集中し易い
ように、鋭い角度を持った凹部や凸部を形成すれば磁性
金属粉の吸着機能がさらに向上して有利である。
【0067】また、上記のようにオイルの移動が促進さ
れ、オイルによる冷却機能が向上するから、電磁ソレノ
イドの温度上昇(電気抵抗の上昇)と励磁電流の低下
(プランジャの移動操作力の低下)が防止され、励磁電
流の低下を補うために電磁ソレノイドの磁力を強化する
必要がなくなる。
【0068】従って、上記のように、電磁ソレノイドの
磁力強化に伴う、各装置の大型化、重量化、車載性の低
下、バッテリー及びオルタネータの負担増加、エンジン
燃費の低下などが防止される。
【0069】なお、請求項13の構成において、オイル
溝は、コイルハウジングとプランジャのいずれか一方に
設けても、あるいは、これらの両方に設けてもよい。
【0070】請求項14の発明は、請求項13に記載さ
れた動力断続装置またはトランスファ装置またはデファ
レンシャル装置であって、前記オイル溝が傾斜して設け
られており、前記プランジャが作動するとこの傾斜によ
ってオイルの流出入が促進されることを特徴とし、請求
項13の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0071】また、オイル溝を、例えば、プランジャに
傾斜して設けたことにより、プランジャの往復移動に伴
って、オイルの移動(排出)が促進される。
【0072】また、プランジャが回転する場合は、傾斜
したオイル溝の回転に伴ってポンプ作用が生じ、オイル
の移動(排出)がさらに促進される。
【0073】従って、上記のような鉄粉などの噛み込み
防止機能及びその効果と、オイルによる冷却機能及びそ
の効果が向上する。
【0074】なお、請求項14の発明において、傾斜と
は、例えば、スパイラル(螺旋)を含む概念である。
【0075】請求項15の発明は、請求項1〜14のい
ずれかに記載された動力断続装置またはトランスファ装
置またはデファレンシャル装置であって、前記コイルハ
ウジングと前記プランジャとが構成する前記電磁ソレノ
イドの磁路において、前記コイルハウジングと前記プラ
ンジャの少なくともいずれか一方に、磁気抵抗材を配置
したことを特徴としており、請求項1〜14の構成と同
等の作用・効果を得ることができる。
【0076】例えば、図14のように、磁路中に介在す
るエアギャップ(隙間)の変化に対する磁力の変化を示
すグラフにおいて、同一の隙間による磁力の変化は、磁
力が弱い領域程小さくなる。
【0077】そこで、コイルハウジングやプランジャが
構成する電磁ソレノイドの磁路中に、例えば、テフロン
コーティングのような磁気抵抗材を配置し、磁路上での
磁力を適度に低減させたこの構成では、環状のプランジ
ャとコイルハウジングとの隙間が、周方向に変化して
も、隙間の変化による磁力変化が小さく抑えられるか
ら、プランジャとコイルハウジングの間の磁束(磁束変
化)が周方向で均一化される。
【0078】従って、噛み合いクラッチと、これを用い
た動力断続装置とトランスファ装置とデファレンシャル
装置の動作と性能が安定し、信頼性が向上する。
【0079】また、磁気抵抗材に、上記のテフロンコー
ティングのような摩擦抵抗の小さい部材(低μ部材)を
用い、これをコイルハウジングとプランジャ間の摺動部
に配置すれば、プランジャが移動操作されるとき(ある
いは、プランジャのセンターリング部で)の摩擦抵抗が
それだけ小さくなり、電磁ソレノイドの操作力ロスが低
減される。
【0080】なお、請求項15の構成において、磁気抵
抗材は、コイルハウジングとプランジャのいずれか一方
に配置しても、あるいは、これらの両方に配置してもよ
い。
【0081】請求項16の発明は、請求項1〜15のい
ずれかに記載された動力断続装置またはトランスファ装
置またはデファレンシャル装置であって、オイルに含ま
れる磁性粉を吸着して除去する磁力発生手段を、前記プ
ランジャの近傍に設けたことを特徴としており、請求項
1〜15の構成と同等の作用・効果を得ることができ
る。
【0082】また、鉄粉のような磁性金属粉(コンタミ
ネーション)を吸着し除去する磁力発生手段を設けたこ
の構成では、例えば、コイルハウジングとプランジャと
の摺動部(プランジャのセンターリング部)で鉄粉など
の噛み込みと、噛み込みによるプランジャの移動不良が
防止されるから、噛み合いクラッチと、これを用いた動
力断続装置とトランスファ装置とデファレンシャル装置
の動作(性能)が正常に保たれ、耐久性が向上する。
【0083】請求項17の発明は、請求項16に記載さ
れた動力断続装置またはトランスファ装置またはデファ
レンシャル装置であって、前記磁力発生手段が、前記プ
ランジャの近傍に配置された磁石と、前記磁路に形成さ
れ磁気を集中させて極部磁石になる切り欠きの、少なく
ともいずれか一方であることを特徴としており、請求項
16の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0084】また、磁石(永久磁石)を用いる構成は、
磁路を通る磁束を利用しないから、磁石の配置箇所を任
意に選ぶことが可能であり、こうすることによってプラ
ンジャの動作を阻害するコンタミネーションの蓄積を最
も効果的に防止することができる。
【0085】また、例えば、コイルハウジングに切り欠
きを設け、磁気を集中させて極部磁石にする構成では、
磁石が不要であるから、部品点数の増加とコストの上昇
が防止されると共に、切り欠きの重量分だけ、動力断続
装置とトランスファ装置とデファレンシャル装置が軽量
化される。
【0086】なお、請求項17の構成において、磁力発
生手段である磁石と切り欠きのいずれか一方を用いて
も、あるいは、これらを両方用いてもよい。
【0087】請求項18の発明は、請求項1〜17のい
ずれかに記載された動力断続装置またはトランスファ装
置またはデファレンシャル装置であって、前記噛み合い
クラッチの前記クラッチ部材に、オイルの通過を促して
オイルによる移動抵抗を低減させるオイル流路を設けた
ことを特徴としており、請求項1〜17の構成と同等の
作用・効果を得ることができる。
【0088】また、この構成では、噛み合いクラッチの
クラッチ部材に設けたオイル流路によってオイルの通過
が促進されるから、電磁ソレノイドがプランジャを介し
てクラッチ部材を移動操作するとき、及び、リターンス
プリングによってクラッチ部材が反対方向へ移動すると
き、クラッチ部材に掛かるオイルの移動抵抗が大幅に低
減され、操作レスポンスが向上する。
【0089】また、オイル流路の重量だけ、クラッチ部
材と動力断続装置とトランスファ装置とデファレンシャ
ル装置が軽量化され、車載性が向上する。
【0090】また、クラッチ部材は鉄系金属であるか
ら、オイル流路を設けたことによる上記の軽量化効果は
大きい。
【0091】請求項19の発明は、請求項1〜18のい
ずれかに記載された動力断続装置またはトランスファ装
置またはデファレンシャル装置であって、前記コイルハ
ウジングと、前記噛み合いクラッチの前記クラッチ部材
と前記プランジャとを連結するプレッシャープレートの
少なくともいずれか一方に、放熱を促す冷却フィンを設
けたことを特徴としており、請求項1〜18の構成と同
等の作用・効果を得ることができる。
【0092】電磁ソレノイドは、上記のように、温度が
上昇すると電気抵抗も上昇し、励磁電流が低下してプラ
ンジャの移動操作力が低下する。
【0093】そこで、この構成では、噛み合いクラッチ
のクラッチ部材とプランジャとを連結するプレッシャー
プレートや、コイルハウジングに冷却フィンを設けて、
オイルや空気との接触面積を広くし、冷却機能を増大さ
せて電磁ソレノイドの温度上昇を防止している。
【0094】従って、温度上昇による励磁電流の低下を
補うために電磁ソレノイドの磁力を強化する必要がなく
なり、これに伴う、動力断続装置とトランスファ装置と
デファレンシャル装置の大型化、重量化、車載性の低下
などが防止され、バッテリー及びオルタネータの負担増
加、エンジン燃費の低下などが防止される。
【0095】また、冷却フィンを回転部材であるプレッ
シャープレートに設ければ、その回転によって、接触す
る(放熱する)オイル及び空気の量が増加すると共に、
冷媒がオイルの場合は、オイルの循環が促進され、電磁
ソレノイドの冷却効果がさらに向上する。
【0096】なお、請求項19の構成において、冷却フ
ィンは、コイルハウジングとプレッシャープレートのい
ずれか一方に設けても、あるいは、これらの両方に設け
てもよい。
【0097】請求項20の発明は、請求項1〜19のい
ずれかに記載された動力断続装置またはトランスファ装
置またはデファレンシャル装置であって、前記コイルハ
ウジングにおいて、所要の磁路断面積を超えた部分が削
除されていることを特徴としており、請求項1〜19の
構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0098】一般に、噛み合いクラッチのクラッチ部材
とプランジャとを連結する上記のプレッシャープレート
は、噛み合いクラッチの噛み合いが解除された状態で、
電磁ソレノイドのコイルハウジングに最接近し、磁束が
コイルハウジングからプレッシャープレート側に漏洩す
る恐れがある。
【0099】また、ケーシングのような周辺部材とコイ
ルハウジングとの距離が近ければ、同様に、磁束が周辺
部材に漏洩する恐れがある。
【0100】しかし、所要の磁路断面積を超えた部分を
コイルハウジングから削除したこの構成では、例えば、
コイルハウジングのプレッシャープレートと対向した部
分を削れば、プレッシャープレートが移動しコイルハウ
ジングに接近しても、プレッシャープレートとコイルハ
ウジングとの隙間が広くなるから、磁束の漏洩が防止さ
れるか、あるいは、大幅に軽減される。
【0101】従って、漏洩による磁束の低下を補うため
に電磁ソレノイドの磁力を強化する必要がなくなり、上
記のように、電磁ソレノイドの磁力強化に伴う電磁駆動
手段と、これを用いた動力断続装置とトランスファ装置
とデファレンシャル装置の大型化、重量化、車載性の低
下、バッテリー及びオルタネータの負担増加、エンジン
燃費の低下などが防止される。
【0102】また、コイルハウジングの削除分だけ、電
磁駆動手段と各装置が軽量でコンパクトになり、車載性
が向上する。
【0103】また、鉄系金属であるコイルハウジングの
余分な部分(肉)を削除したことによる軽量化効果は大
きい。
【0104】なお、コイルハウジングは、所要の磁路断
面積を維持しているから、充分なスラスト力でプランジ
ャを移動操作することができる。
【0105】
【発明の実施の形態】[第1実施形態]本発明の第1実
施形態を図1〜図3により説明する。図1は後輪駆動車
をべ一スにしたパートタイム4輪駆動車の動力伝達系を
示し、本実施形態のデファレンシャル装置はこの車両の
フロントデフに適用されている。図2は本実施形態のフ
ロントデフの全体断面図である。
【0106】図1に示すように、エンジン1の駆動力
は、トランスミッション3および動力切換装置5を経
て、後輪7側と前輪9側とに配分される。前輪9側への
駆動力はプロペラシャフト11を介してフロントデフ
(本実施形態のデファレンシャル装置)13に入力し、
さらに左右の前出力軸15,15に配分されて前輪9,
9を駆動する。一方、後輪7側への駆動力はプロペラシ
ャフト17を介してリアデフ19に入力し、さらに左右
の後出力軸21,21に配分されて後輪7,7を駆動す
る。図2に示すように、フロントデフ13のアウタデフ
ケース31は、ケース本体31aとカバー31bとがボ
ルト33により固定されて構成される。このアウタデフ
ケース31にはリングギヤ35(図1参照)が固定さ
れ、エンジン1の駆動力がドライブピニオンを介して、
リングギヤ35に入力され、駆動される。
【0107】アウタデフケース31は両端のボス部31
c,31dによって固定側のデフキャリア39(図1参
照)内に回転可能に支持されている。アウタデフケース
31をデフキャリア39に回転可能に支持するため、両
端のボス部31a、31dとデフキャリア39との間に
は、テーパーローラベアリング81が配置されている。
【0108】ケース本体31aの内周には略短円筒状の
インナデフケース41が同軸に回転可能に支持されてい
る。インナデフケース41は、その外周に所定幅の周溝
44を有し、この周溝44の両側でケース本体31aに
支持されている。このインナデフケース41の右隣り
に、同様に略短円筒状のクラッチ部材43が配置されて
いる。
【0109】インナデフケース41とクラッチ部材43
との対向間、すなわち両部材41,43間の対向する面
に係合離脱可能な放射状のドッグクラッチ(噛み合いク
ラッチ)41a,43aがそれぞれ形成されている。こ
のドッグクラッチ41a,43aの噛合凸部はそれぞれ
所定の先細り傾斜に形成され、噛合い易くされている。
【0110】インナデフケース41には、その回転軸に
直交してピニオンシャフト45がスプリングピン47に
より一体化されている。ピニオンシャフト45上には、
ピニオンギヤ49が2個(内1個は図示省略)回転可能
に配置され、対向する一対のサイドギヤ51,53と噛
み合っている。
【0111】インナデフケース41の内周面41bがピ
ニオンギヤ49のスラストを受けている。また、サイド
ギヤ51,53とアウタデフケース31間にはワッシャ
55,55がそれぞれ配置され、サイドギヤ51,53
のスラストを受けている。また、インナデフケース41
の左端面とアウタデフケース31の対向面との間には、
受けワッシャ59が配置されており、ドッグクラッチ4
3aがドッグクラッチ41aに噛み込んだときのクラッ
チ部材43のスラストを受けている。
【0112】そして、サイドギヤ51,53はそれぞれ
図1の前出力軸15,15にスプライン連結されてい
る。こうして、インナデフケース41、ピニオンギヤ4
9およびサイドギヤ51,53からなる差動機構57
は、これを収容しているアウタデフケース31とは直接
には連結されていない。
【0113】クラッチ部材43は、図3に示すように、
ドッグクラッチ43aを持たない側の端面(右端面)
に、突設した周方向等分配置の4本の扇形脚部43bを
有する。この突設した扇形脚部43bの周方向両端面4
3cは、軸方向外方(右方)に向って先細りに所定角度
傾斜して形成されている。
【0114】一方、アウタデフケース31のケース本体
31aの右端壁には扇形孔31eが、クラッチ部材43
の扇形脚部43bにそれぞれ対応する位置に設けられて
いる。こうして、これら脚部43bが扇形孔31eに軸
方向に嵌合し、脚部43bの周方向端面43cが扇形孔
31eの端縁に接して、クラッチ部材43はアウタデフ
ケース31と常時一体的に回転する。扇形孔31eの端
縁も、図3に示すように、脚部43bの周方向端面43
cの傾斜と平行に傾斜している。
【0115】従って、アウタデフケース31がクラッチ
部材43を回転駆動するときには、クラッチ部材43は
脚部43bの周方向端面43cの傾斜によりインナデフ
ケース41側(図2の左方)へ押され、ドッグクラッチ
41a,43aが係合し易くなる。このようにして、ク
ラッチ部材43はアウタデフケース31内で軸方向への
移動可能に嵌合している。
【0116】アウタデフケース31の右方向の外側に
は、電磁駆動手段61が配置されている。この電磁駆動
手段61は、電磁ソレノイド63と、プランジャ65
と、環状部材67と、リターンスプリング69とを有し
ている。
【0117】電磁ソレノイド63はコイル63aと、コ
イル63aの外側のコア63bとを有しており、ブラケ
ット71によって車体側に固定されている。電磁ソレノ
イド63は、全体がケース本体31aの右側のボス部3
1cを囲むリング状に成形されている。
【0118】プランジャ65は環状(リング状)に成形
されており、電磁ソレノイド63の内周側に配置されて
いる。プランジャ65の内周面には、環状部材67が係
合状態で取り付けられている。すなわち、プランジャ6
5の内周面には、凸部65aが形成されており、この凸
部65aに環状部材67が係合している。これにより、
プランジャ65は、環状部材67の外側で環状部材67
にセンターリング(位置決め)されている。
【0119】環状部材67は全体が非磁性体によって成
形されている。また、環状部材67はケース本体31の
ボス部31c外周面に接触することにより、ボス部31
cによってセンターリングされている。プランジャ65
はこの環状部材67の外周に対して係合状態となってい
るため、プランジャ65は環状部材67を介してボス部
31cに間接的にセンターリングされる。
【0120】このように電磁ソレノイド63、プランジ
ャ65及び環状部材67がいずれもリング状となってい
ると共に、環状部材67がケース本体31aのボス部3
1cにセンターリングされることにより、電磁駆動手段
61の全体は、ボス部31c内に挿入されてインナデフ
ケース41のボス部53にスプライン連結される前出力
軸15(図1参照)と同軸に設けられた構造となってい
る。
【0121】環状部材67はボス部31cの外周面に接
触した状態で、ボス部31cの軸方向に往復移動可能と
なっている。この移動によって、環状部材67がボス部
31cから脱落しないように、ボス部31cにはストッ
パ板75が取り付けられている。
【0122】また、環状部材67とクラッチ部材43と
の間には、クラッチ部材43の脚部43b(図3参照)
に当接するリテーナ73が配置されている。このように
リテーナ73がクラッチ部材43の脚部43bに当接す
ることにより、リテーナ73はクラッチ部材43をドッ
グクラッチ43a、41aの噛み合い方向に押圧移動さ
せるように作用する。
【0123】リテーナ73には、クラッチ部材43の軸
方向に屈曲して立ち上がることにより、クラッチ部材4
3の窪み部43eに係止する係止部73aが形成されて
いる。このように係止部73aがクラッチ部材43に係
止することにより、リテーナ73がインナデフケース4
1から離れる方向に移動する際に、クラッチ部材43を
同方向に引き連れるため、ドッグクラッチ41a、43
aの噛み合いを解除することができる。
【0124】リターンスプリング69は、リテーナ73
とアウタデフケース31のケース本体31aとの間に配
置されており、ドッグクラッチ41a、43aの噛み合
い解除方向にリテーナ73を付勢している。従って、電
磁ソレノイド63が駆動していないときは、リターンス
プリング69によってドッグクラッチ41a、43aが
切断される。
【0125】図2の上半部はドッグクラッチ41a、4
3aが噛み合った状態(四輪駆動時)を示し、下半部は
ドッグクラッチ41a、43aが離脱した状態(二輪駆
動時)を示す。
【0126】電磁ソレノイド63に通電すると、コア6
3b及びプランジャ65を通過する磁路が形成され、プ
ランジャ65が軸方向左方向に移動する。この移動で
は、プランジャ65に係合している環状部材67が一体
的に同方向に移動し、環状部材67はリテーナ73を押
圧する。これにより、クラッチ部材43が左方向に移動
し、クラッチ部材43のドッグクラッチ43aがインナ
デフケース41のドッグクラッチ41aと噛み合う。こ
のため、クラッチ部材43を介してアウタデフケース3
1とその内部のインナデフケース41とが一体回転する
(四輪駆動状態)。ドッグクラッチ41a,43a係合
時のインナデフケース41のスラストはこれに接してい
る受けワッシャ59が受ける。
【0127】電磁ソレノイド63への通電を停止する
と、リターンスプリング69の付勢力によってリテーナ
73がクラッチ部材43を伴って軸方向右側に移動す
る。このため、噛み合っていたドッグクラッチ41a、
43aが離脱する。従って、アウタデフケース31とそ
の内部のインナデフケース41とは独立に回転可能とな
る(2輪駆動状態)。
【0128】この車両の場合、4駆状態から2輪駆動に
切換えられると、エンジンから前輪側への駆動力は動力
切換装置5で遮断される。そして、エンジン1の駆動力
はプロペラシャフト17、リアデフ19を介して後輪
7,7だけを駆動することとなる。
【0129】その後は、2輪駆動状態が維持される限
り、フロントデフ13内の差動機構57は、それまでの
4駆時とは逆の駆動経路をたどって前輪9により空転さ
せられるが、2輪駆動への切換えに連動して、リターン
スプリング69によってドッグクラッチ41a、43a
の係合がなくなるので、クラッチ部材43、アウタデフ
ケース31およびリングギヤ35等が空転させられるこ
とはない。したがって、これら空転部材の走行抵抗によ
るエネルギー損失及び騒音の発生を低減することができ
る。
【0130】このような実施形態によれば、電磁駆動手
段61がクラッチ部材43を軸方向に移動させてドッグ
クラッチ41a、43aを断続する構造であり、電流を
制御することにより駆動が切り換えられるため、アクチ
ュエータを小型とすることができる。また、流体の漏れ
を考慮する必要がなく、流体の漏れ防止のためのシール
部材が不要となり、部品点数が減じ、構造が簡単とな
り、組み立ても容易となる。
【0131】また、流体圧で駆動するアクチュエータの
ように摺動部分が不要となるため、摺動抵抗が低減し、
出力トルクへの影響を低減させることができる。
【0132】また、電磁駆動手段61が前出力軸15と
同軸となるように配置されたリング形状となっているた
め、リング形状の全体から駆動力を作用させることがで
きる。このため、クラッチ部材43を大きな力で駆動す
ることができ、安定した駆動を行うことができる。ま
た、このようなリング形状では、前出力軸15を通した
レイアウトが可能となるため、バランス性が良好とな
る。
【0133】また、この実施形態では、プランジャ65
の内周面に非磁性体からなる環状部材67が設けられる
ことにより、磁性体からなるプランジャ65がアウタデ
フケース31やリテーナ73等と接触することがない。
このため、磁路が漏れることがなく、最短の距離で磁路
を形成することができる。また、このように磁路の漏れ
がないことから、磁路を効率良く形成することができる
と共に電磁駆動手段61に供給する電流を大きくする必
要がなく、電力の節減を行うことができる。
【0134】また、プランジャ65が環状部材67によ
ってセンターリングされるため、プランジャ65のセン
ターリングを簡単な構造とすることができる。
【0135】また、環状部材67がアウタデフケース3
1のボス部31cによってセンターリングされるため、
環状部材67をセンターリングするための部材が不要と
なり、構造が簡単となって小型化することができる。
【0136】[第2実施形態]図4は本発明の第2実施
形態を示す。この実施形態において、第1実施形態と同
一の部材は同一の符号を付して対応させてある。
【0137】この実施形態では、電磁駆動手段61の電
磁ソレノイド63におけるコア63bが断面コ字形に形
成されており、クラッチ部材43から離れた位置の端面
が開口されている。また、リテーナ73には、クラッチ
部材43から遠ざかる方向に延びた支持プレート部77
が一体的に形成されており、この支持プレート部77に
プランジャ65が取り付けられている。
【0138】プランジャ65はリング状に成形されてお
り、支持プレート部77のクラッチ部材43側の面に固
定されている。このプランジャ65はコア63の開口部
63cに対して進入及び退出可能な寸法に成形されてい
ると共に、開口部63cとの対応位置となるように支持
プレート部77に固定される。
【0139】なお、コア63bには、空気或いはオイル
抜きのための抜き孔79が部分的に形成されるものであ
る。
【0140】69はリターンスプリングで、リテーナ7
3とアウタデフケース31のケース本体31aとの間に
配置されており、ドッグクラッチ41a、43aの噛み
合い解除方向にリテーナ73を付勢している。従って、
電磁ソレノイド63が駆動していないときは、リターン
スプリング69によってドッグクラッチ41a、43a
が切断される。
【0141】図4の上半部はドッグクラッチ41a、4
3aが噛み合った状態(四輪駆動時)を示し、下半部は
ドッグクラッチ41a、43aが離脱した状態(二輪駆
動時)を示す。
【0142】電磁ソレノイド63に通電すると、コア6
3b及びプランジャ65を通過する磁路が形成され、プ
ランジャ65が軸方向左方向に移動する。この移動で
は、プランジャ65を固定している支持プレート部77
及びリテーナ73が一体的に同方向に移動する。これに
より、クラッチ部材43が左方向に移動し、クラッチ部
材43のドッグクラッチ43aがインナデフケース41
のドッグクラッチ41aと噛み合う。このため、クラッ
チ部材43を介してアウタデフケース31とその内部の
インナデフケース41とが一体回転する(四輪駆動状
態)。ドッグクラッチ41a,43a係合時のインナデ
フケース41のスラストはこれに接している受けワッシ
ャ59が受ける。
【0143】電磁ソレノイド63への通電を停止する
と、リターンスプリング69の付勢力によってリテーナ
73がクラッチ部材43を伴って軸方向右側に移動す
る。このため、噛み合っていたドッグクラッチ41a、
43aが離脱する。従って、アウタデフケース31とそ
の内部のインナデフケース41とは独立に回転可能とな
る(2輪駆動状態)。
【0144】このように第2実施形態では、非通電時に
ドッグクラッチ41a,43aの噛み合いを解除して2
輪駆動状態とし、必要に応じてドッグクラッチ41a,
43aの噛み合わせて4輪駆動状態にするようにしてあ
るため、例えば、電磁ソレノイド63に不具合が生じた
ときでも、2輪駆動状態を維持し舗装路の走行性を高め
ておくことができる。
【0145】なお、プランジャ65がコア63の開口部
63c内に進入した状態では、コア63b内のコイル6
3aとの間に所定の隙間が維持されるものである。この
ように隙間を維持できる構造では、摺動抵抗が少なくな
り、その分、トルクへの影響を低減することができる。
【0146】また、この第2実施形態では、環状部材6
7を設けていないため、部品点数が少なくなり、構造が
簡単となる。また、プランジャ65がコア63内に進入
する構造のため、作動のスペースが小さくなり、小型化
することができる。
【0147】図5は第2実施形態の支持プレート部77
の異なる形態を示す。
【0148】この形態では、支持プレート部77或いは
支持プレート部77を有したリテーナ73の全体を磁性
体によって形成するものである。また、支持プレート部
77におけるコア63の開口部63cとの対応位置に
は、プランジャ65の代わりに開口部63c内に進入可
能な凸部77aが形成されている。従って、コイル63
aに通電することにより、凸部77aが開口部63c内
への進入方向に移動するため、この移動によってドッグ
クラッチ41a、43aを結合させることができる。
【0149】なお、この形態における凸部77aには、
空気或いはオイル抜きのための抜き孔83が形成されて
いる。
【0150】[第3実施形態]図6は本発明の第3実施
形態を示している。この実施形態において、第2実施形
態と同一の部材は同一の符号を付して対応させ、重複す
る説明は省略する。
【0151】この実施形態では、電磁駆動手段61の電
磁ソレノイド63におけるコア63bが断面コ字形に形
成されており、クラッチ部材43側の端面が開口されて
おり、リテーナ73にリング状に形成されたプランジャ
65が取り付けられている。
【0152】このプランジャ65は、前述の第2実施形
態と同様にコア63の開口部63cに対して進入及び退
出可能な寸法に成形されていると共に、開口部63cと
の対応位置となるようにリテーナ73に固定される。
【0153】なお、コア63bには、空気或いはオイル
抜きのための抜き孔79が部分的に形成されている。
【0154】リターンスプリング69は、アウタデフケ
ース31のケース本体31a内に該ケース本体31aと
クラッチ部材43との間に配置されており、ドッグクラ
ッチ41a、43aの噛み合い方向にリテーナ73を付
勢している。従って、電磁ソレノイド63が駆動してい
ないときは、リターンスプリング69によってドッグク
ラッチ41a、43aが連結されるようになっている。
【0155】図6の上半部はドッグクラッチ41a、4
3aが噛み合った状態(四輪駆動時)を示し、下半部は
ドッグクラッチ41a、43aが離脱した状態(二輪駆
動時)を示す。
【0156】この第3実施形態では、電磁ソレノイド6
3への通電が停止されているとき、リターンスプリング
69の付勢力によってリテーナ73がクラッチ部材43
を軸方向左側に付勢する。これにより、クラッチ部材4
3のドッグクラッチ43aがインナデフケース41のド
ッグクラッチ41aと噛み合った状態が保たれ、クラッ
チ部材43を介してアウタデフケース31とその内部の
インナデフケース41とが一体回転する(四輪駆動状
態)。ドッグクラッチ41a,43a係合時のインナデ
フケース41のスラストはこれに接している受けワッシ
ャ59が受ける。
【0157】そして、電磁ソレノイド63に通電する
と、コア63b及びプランジャ65を通過する磁路が形
成され、プランジャ65が軸方向右方向に移動する。こ
の移動により、プランジャ65を固定しているリテーナ
73が一体的に同方向に移動して、クラッチ部材43が
右方向に移動し、噛み合っていたドッグクラッチ41
a、43aが離脱する。従って、アウタデフケース31
とその内部のインナデフケース41とは独立に回転可能
となる(2輪駆動状態)。
【0158】このように第3実施形態では、非通電時に
ドッグクラッチ41a,43aを噛み合わせて4輪駆動
状態とし、必要に応じてドッグクラッチ41a,43a
の噛み合いを解除して2輪駆動状態にするようにしてあ
るため、例えば、電磁ソレノイド63に不具合が生じた
ときでも、4輪駆動状態を維持し悪路走破性を高めてお
くことができる。
【0159】なお、第2実施形態同様、プランジャ65
がコア63の開口部63c内に進入した状態では、コア
63b内のコイル63aとの間に所定の隙間が維持され
るものである。このように隙間を維持できる構造では、
摺動抵抗が少なくなり、その分、トルクへの影響を低減
することができる。
【0160】このような実施形態では、環状部材67を
設けていないため、部品点数が少なくなり、構造が簡単
となる。また、プランジャ65がコア63内に進入する
構造のため、作動のスペースが小さくなり、小型化する
ことができる。
【0161】また、この第3実施形態においても、上記
第2実施形態と同様に支持プレート部77或いは支持プ
レート部77を有したリテーナ73の全体を磁性体によ
って形成して、該支持プレート部77におけるコア63
の開口部63cとの対応位置に、開口部63c内に進入
可能な凸部77aを形成してもよい。
【0162】[第4実施形態]図7は本発明の第4実施
形態を示している。
【0163】本実施形態のデファレンシャル装置201
は、前輪駆動車の前輪側、または、後輪駆動車の後輪側
に用いられている。
【0164】デファレンシャル装置201は、デフケー
ス203、ベベルギア式の差動機構205、ドッグクラ
ッチ207(噛み合いクラッチ)、リターンスプリング
209、電磁ソレノイド211(電磁駆動手段)、プラ
ンジャ213、Oリング215(シール)などから構成
されている。
【0165】デフケース203は、ケーシング本体21
7と左右のカバー219,221から構成されており、
ケーシング本体217と左のカバー219はボルト22
3で固定され、ケーシング本体217と右のカバー22
1は溶接されている。
【0166】デフケース203はデフキャリヤ225の
内部に配置されており、カバー219,221に形成さ
れた各ボス部227,229はテーパーローラーベアリ
ング231,233を介してデフキャリヤ225に支承
されている。
【0167】デフキャリヤ225の内部にはオイル溜り
が形成されている。
【0168】デフケース203にはリングギアがボルト
で固定されており、リングギアは動力伝達系の出力ギヤ
と噛み合っている。この動力伝達系はトランスファ側に
連結されており、デフケース203はトランスファとこ
の動力伝達系とを介して伝達されるエンジンの駆動力に
よって回転駆動される。
【0169】差動機構205は、ピニオンシャフト23
5、ピニオンシャフト235上に支承されたピニオンギ
ア237、出力側サイドギア239,241から構成さ
れている。
【0170】ピニオンシャフト235は、デフケース2
03(ケーシング本体217)に設けられた貫通孔24
3に端部を係合し、スプリングピン245で固定されて
いる。サイドギア239,241は左右からそれぞれピ
ニオンギア237と噛み合っている。
【0171】デフケース203とピニオンギア237と
の間には球面ワッシャ247が配置されており、ピニオ
ンギア237の遠心力と、サイドギア239,241と
の噛み合いによって生じた噛み合い反力を受けている。
【0172】各サイドギア239,241のボス部24
9,251は、カバー219,221に形成された支承
部253,255によって支承されており、各ボス部2
49,251はスプライン連結された車軸を介して左右
の車輪側に連結されている。
【0173】左サイドギア239とデフケース203と
の間にはスラストワッシャ257が配置されてサイドギ
ア239の噛み合いスラスト力を受けており、右サイド
ギア241とデフケース203との間にはスラストワッ
シャ259が配置されてサイドギア241の噛み合いス
ラスト力を受けている。
【0174】ドッグクラッチ207は右サイドギア24
1に形成された噛み合い歯261と、クラッチリング2
63(クラッチ部材)に形成された噛み合い歯265に
よって構成されている。
【0175】クラッチリング263には脚部267が周
方向等間隔に形成されている。クラッチリング263は
各脚部267をカバー221に形成された周方向等間隔
の開口269にそれぞれ貫通させてデフケース203に
回り止めされ、軸方向移動自在に配置されている。
【0176】クラッチリング263が左に移動するとド
ッグクラッチ207が噛み合って差動機構205の差動
がロックされ、図7のように、クラッチリング263が
右に移動するとドッグクラッチ207の噛み合いが解除
され、差動ロックが解除される。
【0177】リターンスプリング209は右サイドギア
241とクラッチリング263との間に配置され、クラ
ッチリング263をドッグクラッチ207の噛み合い解
除側(右方)に付勢している。
【0178】電磁ソレノイド211は電磁コイル271
とこれを左右から挟み込んで一体にされた一対のコア2
73,275(コイルハウジング)などから構成されて
いる。
【0179】コア275は連結部材277を介してデフ
キャリヤ225に固定されており、電磁コイル271の
リード線279はデフキャリヤ225の外部に引き出さ
れ、コントローラを介して車載のバッテリに接続されて
いる。
【0180】プランジャ213は磁性材料で作られてお
り、コア273,275の内部に軸方向移動自在に配置
されている。プランジャ213には押圧部281が周方
向等間隔に形成されており、各押圧部281はOリング
215を介してコア273を貫通し、左方に突き出てい
る。
【0181】ドッグクラッチ207のクラッチリング2
63は、リターンスプリング209の付勢力により、摺
動プレート283を介して各押圧部281(プランジャ
213)を右方に押圧している。摺動プレート283は
腕部285によって回転側のクラッチリング263に連
結されており、静止側のプランジャ213(押圧部28
1)との間で摺動を吸収している。
【0182】コア273,275とプランジャ213と
によって電磁ソレノイド211の磁路が構成されてお
り、プランジャ213はアーマチャになっている。
【0183】コントローラは、電磁ソレノイド211の
励磁、励磁停止を行う。
【0184】電磁ソレノイド211が励磁されると、磁
路に磁力ループ287が発生し、プランジャ213がリ
ターンスプリング209を撓ませながら左方に移動し、
クラッチリング263を移動させてドッグクラッチ20
7を噛み合わせ、上記のように、差動機構205の差動
をロックさせる。
【0185】悪路走行中のように、左右の駆動輪が空転
し易い状況で差動をロックさせると、空転車輪からの駆
動力の逃げが防止されて、悪路などの脱出性、走破性が
向上する。
【0186】また、電磁ソレノイド211の励磁を停止
すると、リターンスプリング209によってクラッチリ
ング263とプランジャ213が右方へ戻り、ドッグク
ラッチ207の噛み合いが解除される。
【0187】このような実施形態によれば、電磁ソレノ
イド211がクラッチリング263を軸方向に移動させ
てドッグクラッチ207を断続する構造であり、電流を
制御することにより駆動が切り換えられるため、アクチ
ュエータを小型とすることができる。また、流体の漏れ
を考慮する必要がなく、流体の漏れ防止のためのシール
部材が不要となり、部品点数が減じ、構造が簡単とな
り、組み立ても容易となる。
【0188】また、流体圧で駆動するアクチュエータの
ように摺動部分が不要となるため、摺動抵抗が低減し、
出力トルクへの影響を低減させることができる。
【0189】また、電磁ソレノイド211がデファレン
シャル装置201(車軸)と同軸となるように配置され
たリング形状となっているため、リング形状の全体から
駆動力を作用させることができる。このため、クラッチ
リング263を大きな力で駆動することができ、安定し
た駆動を行うことができる。また、このようなリング形
状では、車軸を通したレイアウトが可能となるため、バ
ランス性が良好となる。
【0190】また、この実施形態では、プランジャ21
3が電磁ソレノイド211のコア273,275に内包
されていると共に、デフキャリヤ225に支持されたコ
ア273,275はデフケース203と接触することが
ない。このため、磁力が漏れることがなく、最短の距離
で磁路を形成することができる。
【0191】また、磁力の漏れがないことによって磁路
を効率良く形成することができるから、電磁ソレノイド
211に供給する電流を大きくする必要がなくなり、バ
ッテリー電力の節減を行うことができる。
【0192】また、電磁ソレノイド211のコア27
3,275によってプランジャ213が支持されるた
め、コア273,275とプランジャ213の間のクリ
アランス調整が容易であり、これらの間の磁力ロスと摺
動抵抗をそれぞれ最小にすることができる。
【0193】また、プランジャ213がコア273,2
75によってセンターリングされるため、プランジャ2
13のセンターリングを簡単な構造とすることができ
る。
【0194】また、コア273とプランジャ213(押
圧部281)との間に配置されたOリング215によっ
て、オイル中に含まれるコンタミネーション(例えば、
磁性金属粉)が電磁コイル271に吸着されることがな
くなり、磁性金属粉の詰まりによるプランジャ213の
移動不良及びドッグクラッチ207の動作不良などが防
止され、正常な機構が長期にわたって保たれる。
【0195】なお、コア273,275はベアリングに
よってデフケース203に支持してもよい。
【0196】[第5実施形態]図8は本発明の第5実施
形態を示している。
【0197】本実施形態のデファレンシャル装置301
は、第4実施形態のデファレンシャル装置201におい
て電磁ソレノイド211の支持構造を変えたものであ
る。
【0198】以下、デファレンシャル装置201と同機
能の部材には同一の符号を与えて引用しながら相違点を
説明する。
【0199】電磁ソレノイド211は、非磁性材料の滑
り軸受け303を介して、デフケース203の右ボス部
229の外周に支承され、センターリングされていると
共に、ブラケット305(回り止め手段)を介してデフ
キャリヤ225側に連結され、回り止めされている。
【0200】電磁ソレノイド211(滑り軸受け30
3)はボス部229上のスナップリング307と、テー
パーローラーベアリング233の左に配置されたワッシ
ャ309とによって軸方向に位置決めされている。
【0201】また、ボス部229(デフケース203の
小径部)に固定された電磁ソレノイド211は、デフケ
ース203の軸方向投影範囲の内側に配置されている。
【0202】ドッグクラッチ207のクラッチリング2
63には、リテーナ311がその腕部313によって連
結されており、電磁ソレノイド211が励磁されると、
磁路に磁力ループ287が発生し、プランジャ213が
リテーナ311を介してクラッチリング263を左に押
圧し、ドッグクラッチ207を噛み合わせて差動機構2
05の差動をロックさせる。
【0203】電磁ソレノイド211の励磁を停止する
と、リターンスプリング209によってクラッチリング
263とリテーナ311とプランジャ213が右方へ押
し戻されて、ドッグクラッチ207の噛み合いと差動ロ
ックが解除される。
【0204】一般に、電磁ソレノイド(電磁駆動手段)
をデフキャリヤに固定して回り止めする構成の場合、デ
フケースに固定されたリングギアと相手側ギアとのバッ
クラッシ調整に伴ってデフケースが移動すると、あるい
は、組み付け誤差によって、デフケース側のクラッチと
デフキャリヤ側の電磁ソレノイドとの距離がそれだけ変
動する。
【0205】従って、電磁ソレノイドのストロークに、
デフケース側クラッチとの距離の変動を吸収するための
余裕が要求されることになり、それだけ電磁ソレノイド
の作動力を大きくする必要が生じるから、電磁ソレノイ
ドが大型で重くなり、コスト高になる上に、デファレン
シャル装置の車載性が低下する。
【0206】また、電磁ソレノイドの大型化に伴って消
費電力が増加するから、バッテリーの負担が大きくな
り、エンジンの燃費が低下する。
【0207】さらに、電磁ソレノイドの大型化に伴って
電磁ソレノイドをデフキャリヤに固定するブラケットに
も相応の強度アップが必要になり、ブラケットの重量
化、コストの上昇などを招く。
【0208】また、電磁ソレノイドの固定と回り止めの
両方をデフキャリヤ側で行う構成は、デフキャリヤ側の
電磁ソレノイドとデフケース側のクラッチとの相対位置
を調整する必要があり、それだけ組み付けが難しい。
【0209】しかし、上記のように構成された第5実施
形態のデファレンシャル装置301では、電磁ソレノイ
ド211がデフケース203(ボス部229)に固定さ
れているから、デフケース203側のリングギア及びこ
れと噛み合う動力伝達系出力ギヤとのバックラッシ調整
を行っても、あるいは、組み付け誤差が生じても、電磁
ソレノイド211はデフケース203と一体に移動し、
ドッグクラッチ207との距離は変動しない。
【0210】従って、電磁ソレノイド211のストロー
クに、距離の変動を吸収するための余裕を設ける必要が
なくなり、電磁ソレノイド211の作動力を大きくする
必要がなくなるから、電磁ソレノイド211の大型化と
重量化、コストの上昇、デファレンシャル装置301の
車載性低下などが防止される。
【0211】さらに、電磁ソレノイド211の消費電力
増加と、バッテリーの負担増加と、エンジンの燃費低下
なども防止される。
【0212】また、デフケース203のリングギアと出
力ギヤとの充分なバックラッシ調整を行うことが可能に
なるから、これらの噛み合いが正常に設定され、ギア音
や振動などが防止され、耐久性が向上する。
【0213】また、ブラケット305は、電磁ソレノイ
ド211をデフキャリヤ225に回り止めするだけでよ
く、電磁ソレノイド211をデフキャリヤ225に固定
する機能及びそれに応じた強度は要求されないから、軽
量化とコストの低減が可能になる。
【0214】また、電磁ソレノイド211をデフケース
203側に固定するデファレンシャル装置301の構成
は、電磁ソレノイドをデフキャリヤに固定する構成と異
なって、デフキャリヤ側の電磁ソレノイドとデフケース
側のクラッチとの相対位置を調整する必要がない上に、
回り止め対策は、組み付けの際にブラケット305をデ
フキャリヤ225に係合させるだけですむから、組み付
けが極めて容易である。
【0215】また、電磁ソレノイド211が滑り軸受け
303を介してデフケース203にセンターリングされ
ているから、例えば、第1実施形態のような環状部材6
7を設けてセンターリングする必要がなくなり、それだ
け部品点数とコストが低減され、構造が簡単になる。
【0216】また、電磁ソレノイド211をボス部22
9(デフケース203の小径部)に固定し、デフケース
203の軸方向投影範囲の中に配置したことによってス
ペースを有効に利用したから、デファレンシャル装置3
01がそれだけコンパクトに構成され、車載性がさらに
向上する。
【0217】[第6実施形態]図9は本発明の第6実施
形態に用いられた電磁駆動手段の電磁ソレノイド351
を示している。
【0218】この電磁ソレノイド351は、コイルハウ
ジング353とボビン355とコイル357などから構
成されている。
【0219】コイルハウジング353は、ハウジング部
材359,361を互いに固定して構成されており、コ
イル357はエナメル線363をボビン355に巻線し
て形成されている。
【0220】ボビン355は、断面がU字形状のボビン
本体365とカバー367からなり、ボビン本体365
は、例えば、鉄系金属のような磁性材料で作られ、カバ
ー367はプラスチック(樹脂材料)で作られている。
【0221】また、ボビン本体365の内側には絶縁コ
ーティング369が施されており、絶縁コーティング3
69上に上記のエナメル線363を巻線した後、ボビン
本体365にカバー367を固定してボビン355が形
成される。
【0222】一方、従来の電磁アクチュエータに用いら
れる電磁ソレノイドの場合、ボビンがプラスチック(樹
脂材料)で作られているから、ボビンを成形加工するた
めの型が必要であり、この成形型が高価である。
【0223】また、プラスチック製のボビンには強度の
限界があり、板厚Tを余り薄くすることができず、一般
に、板厚Tは1mmより厚い。
【0224】しかし、上記のように構成された第6実施
形態では、ボビン355(ボビン本体365)を鉄系金
属で作ったことによって大きな強度が得られるから、そ
の板厚Tを1mmより薄くすることが可能になった。
【0225】従って、従来例との板厚Tの差だけ、磁路
に沿ったコイルハウジング353の断面積を広くするこ
とが可能になり、断面積を広くすれば透過する磁束の本
数が増加して、電磁ソレノイド351(コイル357)
によるプランジャの操作力(磁力)が強化される。
【0226】また、コイルハウジング353の断面積を
一定にする場合は、従来例との板厚Tの差だけ、本体3
65に対するエナメル線363の巻線本数を増やすこと
が可能になり、電磁ソレノイド351(コイル357)
の操作力(磁力)が強化される。
【0227】また、ボビン本体365を鋳造や機械加工
が可能な鉄系金属製にしたから、プラスチック用の高価
な成形型が不要になり、コストが大幅に低減される。
【0228】[第7実施形態]図10は本発明の第7実
施形態に用いられた電磁駆動手段401を示している。
【0229】電磁駆動手段401は、コイルハウジング
403、コイル405(電磁ソレノイド)、プランジャ
407などから構成されている。
【0230】コイルハウジング403は、第1のハウジ
ング部材411と第2のハウジング部材409を互いに
固定して形成されており、コイル405はこれらのハウ
ジング部材409,411の間に収容されている。
【0231】第1のハウジング部材411にはプランジ
ャ407をセンターリングするガイド部413が形成さ
れている。
【0232】また、プランジャ407はコイル405と
直接対向して配置されており、プランジャ407には、
ガイド部413側に、テフロンコーティング415が施
されており、ガイド部413との間で、軸方向に移動操
作されるとき及びセンターリングされるときの摺動抵抗
を軽減させている。
【0233】プランジャ407とコイル405との間に
は、このようにコイルハウジング403が介在しないか
ら、コイル405が励磁されると、第1のハウジング部
材411とそのガイド部413からプランジャ407を
介して第2のハウジング部材409へ戻る磁路に、実線
で示す磁束ループ417が形成され、プランジャ407
が移動して噛み合いクラッチが操作される。
【0234】一方、従来のコイルハウジングには、交差
する斜線で示した分岐部419が形成されており、この
場合、磁束ループはガイド部413を通らずに、破線部
分421を形成し、分岐部419からプランジャ407
に導かれる。
【0235】従来のコイルハウジングは、このような分
岐部419を形成したことによって形状が複雑になって
いるから、加工が難しくコスト高である。
【0236】しかし、上記のように構成された第7実施
形態では、分岐部419のないコイルハウジング403
は、形状が簡単で、加工が容易になり、コストがそれだ
け低減されている。
【0237】また、分岐部419の容積だけ、コイルハ
ウジング403においてコイル405を収容する部分の
容積が広くなるから、コイル405の巻き数をそれだけ
増やすことが可能になり、巻き数を増やせば、コイル4
05の磁力が強化されて噛み合いクラッチの操作力が強
化され、例えば、噛み合いクラッチを構成するクラッチ
部材や、プランジャ407などがオイルの抵抗を受けて
も、操作時のレスポンスを向上させることができる。
【0238】また、コイル405の巻き数(電磁ソレノ
イドの磁力)を一定に保つ場合は、分岐部419を削除
した重量だけ、コイルハウジング403と電磁駆動手段
401と、これを用いた動力断続装置とトランスファ装
置とデファレンシャル装置が軽量でコンパクトになり、
これらの車載性が向上する。
【0239】また、コイルハウジング403は鉄系金属
であるから、分岐部419を削除したことによる軽量化
効果が大きい。
【0240】[第8実施形態]図11と図12は本発明
の第8実施形態に用いられた電磁駆動手段451を示し
ている。
【0241】電磁駆動手段451は、コイルハウジング
453、コイル455(電磁ソレノイド)、プランジャ
457などから構成されている。
【0242】コイルハウジング453は、ハウジング部
材459,461を互いに固定して形成されており、コ
イル455はこれらのハウジング部材459,461の
間に収容されている。
【0243】ハウジング部材461にはプランジャ45
7をセンターリングするガイド部463が形成されてお
り、プランジャ457は、ガイド部463によってコイ
ルハウジング453に形成された袋状部分に収容されて
いる。
【0244】また、プランジャ457とガイド部463
の対向部には、ほぼ円形断面のオイル溝465,467
が軸方向にそれぞれ設けられ、ガイド部463の径方向
壁部には開口部469が設けられている。
【0245】コイル455が励磁されると、ハウジング
部材459,461とプランジャ457からなる磁路に
磁束ループ471が形成され、プランジャ457が移動
して噛み合いクラッチが操作される。
【0246】このように構成された第8実施形態では、
プランジャ457とガイド部463(コイルハウジング
453)にオイル溝465,467を設けたことによ
り、プランジャ457がコイル455とリターンスプリ
ングによって往復移動操作されるとき、コイルハウジン
グ453の上記袋状部分からのオイルの流出入が促進さ
れ、オイルの抵抗がそれだけ軽減される。
【0247】また、オイルが流出入するガイド部463
の開口部469によって、オイルの抵抗がさらに軽減さ
れる。
【0248】オイルの抵抗がこのように大幅に軽減され
たことにより、噛み合いクラッチの操作レスポンスが向
上すると共に、オイルの抵抗と対抗するために電磁ソレ
ノイドの磁力を強化する必要がなくなり、これに伴う動
力断続装置とトランスファ装置とデファレンシャル装置
の大型化、重量化、車載性低下が防止される。
【0249】また、電磁ソレノイドを励磁するバッテリ
ー及びバッテリーを充電するオルタネータの負担増加
と、このオルタネータを駆動するエンジンの燃費低下が
防止される。
【0250】また、上記のようなオイル抵抗の軽減効果
は、オイルの粘度が増大する低温時で、特に著しい。
【0251】また、コイルハウジング453の袋状部分
からオイルの流出入が促進されることによって、オイル
中に分散している鉄粉のような磁性金属粉(コンタミネ
ーション)がオイルと共に外部に排出され、内部に溜ま
らないから、鉄粉などの噛み込みによるプランジャ45
7の移動不良が防止され、噛み合いクラッチと、これを
用いた各装置の動作と性能が正常に保たれ、耐久性が向
上する。
【0252】また、磁路を構成するプランジャ457と
コイルハウジング453に設けられたオイル溝465,
467は、磁束を集中させて極部磁石になり、図12の
ように、磁性金属粉473を吸着し、オイルへの再分散
を防止するから、磁性金属粉の噛み込み防止効果がさら
に向上する。
【0253】また、上記のようにオイルの移動が促進さ
れることによって、オイルによる冷却機能が向上するか
ら、コイル455の温度上昇(電気抵抗の上昇)と励磁
電流の低下(プランジャ457の移動操作力の低下)が
防止され、励磁電流の低下を補うためにコイル455の
磁力を強化する必要がなくなる。
【0254】従って、コイル455の磁力強化に伴う、
各装置の大型化、重量化、車載性の低下、バッテリー及
びオルタネータの負担増加、エンジン燃費の低下などが
防止される。
【0255】また、オイル溝465,467の断面形状
は、円形の他に、例えば、三角形、四角形など任意に選
んでよいが、磁束が集中し易いように、鋭い角度を持っ
た凹部や凸部を形成すれば磁性金属粉の吸着機能がさら
に向上して有利である。
【0256】なお、請求項14のようにオイル溝46
5,467に傾斜を与え、例えば、スパイラル(螺旋)
にしてもよい。
【0257】オイル溝465,467をスパイラルにす
れば、プランジャ457の往復移動に伴ってオイルと磁
性金属粉の排出がさらに促進される。
【0258】また、プランジャ457が、噛み合いクラ
ッチのクラッチ部材の回転に伴って回転する場合は、ス
パイラルのオイル溝465,467が回転することによ
り、ポンプ作用が生じ、オイルと磁性金属粉の排出がさ
らに促進される。
【0259】[第9実施形態]図13と図14によって
本発明の第9実施形態を説明する。
【0260】図13は第9実施形態に用いられた電磁駆
動手段501を示し、図14は磁路中に介在するエアギ
ャップ(隙間)の変化に対する磁力の変化を示すグラフ
503を示す。
【0261】電磁駆動手段501は、コイルハウジング
505、コイルハウジング505に収容されたコイル5
07(電磁ソレノイド)、プランジャ509、テフロン
コーティング511(磁気抵抗材)などから構成されて
いる。
【0262】テフロンコーティング511はプランジャ
509の外周に施されている。プランジャ509はこの
テフロンコーティング511を介し、コイルハウジング
505の内周でセンターリングされており、テフロンコ
ーティング511はセンターリング時と軸方向移動時の
摺動抵抗を軽減させている。
【0263】コイル507が励磁されると、コイルハウ
ジング505、テフロンコーティング511、プランジ
ャ509の間に磁束ループ513が形成され、プランジ
ャ509が移動して噛み合いクラッチが操作される。
【0264】また、テフロンコーティング511はこの
ように磁路中に介在しており、その磁気抵抗によって磁
束ループ513の磁力を適度に低減させている。
【0265】また、図14のグラフ503に示すよう
に、磁路中に同一の隙間Sを設けたとき、磁力が弱い領
域で生じる磁力変化ΔQ1は、磁力が強い領域で生じる
磁力変化ΔQ2より小さい。
【0266】一方、それぞれがリング状であるコイルハ
ウジング505とプランジャ509は上記のようにセン
ターリングしても、互いの隙間を周方向で均等にするこ
とは難しく、このような周方向の隙間のバラツキによっ
て、コイル507の磁力(磁束ループ513)が周方向
で不均等になるから、プランジャ509が、センターリ
ング不良や傾斜などによって、円滑に移動できなくなる
恐れがある。
【0267】しかし、上記のように構成された第9実施
形態では、コイルハウジング505とプランジャ509
との隙間が周方向に変化しても、上記のようにプランジ
ャ509に設けたテフロンコーティング511によって
磁束ループ513の磁力を適度に低減させたことによ
り、隙間のバラツキによる磁力変化(ΔQ1)を軽減さ
せている。
【0268】このように、コイルハウジング505とプ
ランジャ509間の磁束ループ513が周方向で均等に
なるから、プランジャ509は、センターリング不良や
傾斜などが防止されて常時円滑に移動することが可能に
なり、従って、噛み合いクラッチと、これを用いた動力
断続装置とトランスファ装置とデファレンシャル装置の
動作と性能が安定し、信頼性が向上する。
【0269】また、摩擦抵抗の小さい部材(低μ部材)
であるテフロンコーティング511をプランジャ509
上に配置したことにより、プランジャ509が移動操作
されるときコイルハウジング505との摩擦抵抗がそれ
だけ小さくなり、電磁ソレノイド501(コイル50
7)の操作力ロスが低減される。
【0270】[第10実施形態]図15は本発明の第1
0実施形態に用いられた電磁駆動手段551を示してい
る。
【0271】電磁駆動手段551は、コイルハウジング
553、コイル555(電磁ソレノイド)、プランジャ
557、永久磁石559,559(磁力発生手段:磁
石)などから構成されている。
【0272】コイルハウジング553は、ハウジング部
材561,563とガイド部565からなり、ハウジン
グ部材561,563は互いに固定され、ガイド部56
5はハウジング部材563に形成されている。
【0273】各永久磁石559はハウジング部材56
1,563に固定されており、それぞれプランジャ55
7に近接して配置され、オイル中に分散している磁性金
属粉(例えば、鉄粉)などのコンタミネーションを吸着
し、オイル中への再分散を防止している。
【0274】コイル555が励磁されると、コイルハウ
ジング553とプランジャ557の間に磁束ループ56
7が形成され、プランジャ557が移動して噛み合いク
ラッチが操作される。
【0275】このように構成された電磁駆動手段では、
プランジャの移動に伴って、オイルがコイルハウジング
とプランジャの間を流出入し、オイル中の磁性金属粉が
プランジャの周囲に蓄積されることがあり、蓄積された
磁性金属粉を噛み込むことによってプランジャが移動不
良になり、噛み合いクラッチが動作不良を起こす恐れが
ある。
【0276】しかし、上記のように構成された第10実
施形態では、プランジャ557に近接して配置された永
久磁石559,559がオイル中の磁性金属粉を吸着す
ることによって、プランジャ557が磁性金属粉を噛み
込むことによる移動不良と、プランジャ557の移動不
良による噛み合いクラッチの動作不良が防止され、この
噛み合いクラッチを用いた動力断続装置とトランスファ
装置とデファレンシャル装置の性能が安定する。
【0277】また、永久磁石559を用いる第10実施
形態の構成は、磁路を通る磁束を利用しないから、永久
磁石559の配置箇所を任意に選ぶことが可能であり、
こうすることによってプランジャ557の動作を阻害す
る磁性金属粉の蓄積を最も効果的に防止することができ
る。
【0278】[第11実施形態]図16と図17は本発
明の第11実施形態に用いられた電磁駆動手段601を
示している。
【0279】電磁駆動手段601は、コイルハウジング
553、コイル555(電磁ソレノイド)、プランジャ
557、切り欠き603,603(磁力発生手段:極部
磁石)などから構成されており、以下、第10実施形態
との相違点を説明する。
【0280】各切り欠き603はハウジング部材56
1,563上に、磁束ループ567とプランジャ557
とに近接して形成されており、図17に拡大して示すよ
うに、磁束ループ567の磁束の一部605が集中する
ことによって極部磁石が形成され、その磁力により、オ
イル中に分散している磁性金属粉(鉄粉)などのコンタ
ミネーションを吸着し、オイル中への再分散を防止して
いる。
【0281】このように構成された第11実施形態で
は、プランジャ557に近接して設けられた切り欠き6
03,603(極部磁石)がオイル中の磁性金属粉を吸
着することにより、磁性金属粉の噛み込みによるプラン
ジャ557の移動不良と、噛み合いクラッチの動作不良
が防止され、この噛み合いクラッチを用いた動力断続装
置とトランスファ装置とデファレンシャル装置の性能が
安定する。
【0282】また、コイルハウジング553に切り欠き
603を設けて極部磁石を形成する第11実施形態の構
成では、永久磁石が不要であるから、磁石による部品点
数の増加とコストの上昇が防止されると共に、切り欠き
603,603の重量分だけ、各装置が軽量化される。
【0283】[第12実施形態]図18と図19は本発
明の第12実施形態に用いられた噛み合いクラッチのク
ラッチリング651(クラッチ部材)を示している。こ
のクラッチリング651は、第4実施形態で用いられた
ドッグクラッチ207のクラッチリング263に第12
実施形態の特徴を施したものであり、以下、第4実施形
態との相違点を説明する。
【0284】クラッチリング651の外周側面取り部に
は、軸方向に貫通するオイル溝653(オイル流路)が
周方向等間隔に形成されている。また、クラッチリング
651に設けられたリターンスプリング209用の座で
あるリテーナ部655には、その内周側面取り部に、軸
方向に貫通するオイル溝657(オイル流路)が周方向
等間隔に形成されている。
【0285】また、このリテーナ部655には、軸方向
に貫通するオイル流路659が周方向等間隔に形成され
ている。
【0286】このように構成された第12実施形態で
は、ドッグクラッチ207のクラッチリング651に設
けたオイル溝653,657とオイル流路659によっ
てオイルの通過が促進されるから、電磁ソレノイド21
1がプランジャ213を介してクラッチリング651を
移動操作するとき、及び、リターンスプリング209が
クラッチリング651を反対方向に移動させるときに、
クラッチリング651に掛かるオイルの移動抵抗が大幅
に低減され、駆動力を断続操作する際のレスポンスがそ
れだけ向上する。
【0287】また、この操作レスポンスの向上効果は、
オイルの粘度が上昇する低温時に、特に著しい。
【0288】また、オイル溝653,657とオイル流
路659の重量だけ、クラッチリング651と、ドッグ
クラッチ207を用いたデファレンシャル装置が軽量化
され、車載性が向上する。
【0289】また、クラッチリング651は鉄系金属で
あるから、オイル溝653,657とオイル流路659
を設けたことによる上記の軽量化効果は大きい。
【0290】[第13実施形態]図20〜図22によっ
て本発明の第13実施形態を説明する。
【0291】図20は第13実施形態に用いられた電磁
駆動手段701とプレッシャープレート703を示して
いる。
【0292】電磁駆動手段701は、コイルハウジング
705、コイル707(電磁ソレノイド)、プランジャ
709などから構成されている。
【0293】コイルハウジング705は、ハウジング部
材711,713とガイド部715からなり、ハウジン
グ部材711,713は互いに固定されてコイル707
を収容しており、ガイド部715はハウジング部材71
1に形成されている。
【0294】プレッシャープレート703は、噛み合い
クラッチのクラッチ部材に連結されており、クラッチ部
材と共にデフケースと連動して回転する。
【0295】図20のように、各ハウジング部材71
1,713には冷却フィン717,719がそれぞれ放
射状に形成されており、図21,22のように、プレッ
シャープレート703には冷却フィン721が放射状に
プレス加工されている。
【0296】コイル707が励磁されると、コイルハウ
ジング705とプランジャ709との間で磁束ループ7
23が形成され、プランジャ709が移動して噛み合い
クラッチが操作される。
【0297】コイル707は、温度が上昇すると電気抵
抗も上昇し、励磁電流が低下してプランジャ709の移
動操作力が低下する。
【0298】しかし、上記のように構成された第13実
施形態では、コイルハウジング705に冷却フィン71
7,719を設け、クラッチ部材とプランジャ709と
を連結するプレッシャープレート703に冷却フィン7
21を設けたことによって、オイル(あるいは、空気)
との接触面積及びオイル(空気)の冷却機能が増加し、
コイル707の温度上昇を大幅に軽減させている。
【0299】従って、温度上昇による励磁電流の低下を
補うためにコイル707の磁力を強化する必要がなくな
り、これに伴う、デファレンシャル装置の大型化、重量
化、車載性の低下などが防止されると共に、コイル70
7を励磁するバッテリーと、バッテリーを充電するオル
タネータの負担増加が防止され、オルタネータを駆動す
るエンジンの燃費低下などが防止される。
【0300】また、回転部材であるプレッシャープレー
ト703に冷却フィン721を設けたから、その回転に
よって接触する(放熱する)オイル量(空気量)が増加
すると共に、プレッシャープレート703の周辺でオイ
ル(空気)の循環が促進され、電磁駆動手段701(コ
イル707)の冷却効果がさらに向上する。
【0301】[第14実施形態]図23によって本発明
の第14実施形態を説明する。
【0302】図23は第14実施形態に用いられた電磁
駆動手段751とプレッシャープレート753などを示
している。
【0303】電磁駆動手段751は、コイルハウジング
755、コイル757(電磁ソレノイド)、プランジャ
759などから構成されており、一側にはプレッシャー
プレート753(周辺部材)が配置され、他側にはケー
シング761(周辺部材)が配置されている。
【0304】コイル757が励磁されると、コイルハウ
ジング755とプランジャ759との間で磁束ループ7
63が形成され、プランジャ759が移動して噛み合い
クラッチが操作される。
【0305】プレッシャープレート753は、噛み合い
クラッチのクラッチ部材に連結されており、プランジャ
759とリターンスプリングとによって軸方向に往復移
動操作され、噛み合いクラッチの噛み合いが解除された
状態ではコイルハウジング755に接近する。
【0306】また、コイルハウジング755の磁路部分
には、プレッシャープレート753側とケーシング76
1側にそれぞれテーパーを付けて、角度αの斜面765
と角度βの斜面767が形成されており、こうすること
によって、破線で示したように、所要の磁路断面積を超
えた部分769,771をコイルハウジング755から
削除してある。
【0307】上記のように、プレッシャープレート75
3は、噛み合いクラッチの噛み合いが解除された状態で
コイルハウジング755に接近するから、磁束がコイル
ハウジング755からプレッシャープレート753側に
漏洩する恐れがある。
【0308】また、コイルハウジング755とケーシン
グ761との距離が近ければ、同様に、磁束が漏洩する
恐れがある。
【0309】しかし、上記のように構成された第14実
施形態では、プレッシャープレート753側とケーシン
グ761側で、所要の磁路断面積を超えた部分769,
771をコイルハウジング755から取り除いたことに
より、コイルハウジング755に対するプレッシャープ
レート753とケーシング761の隙間がそれぞれ広く
なったから、磁束の漏洩が防止され、あるいは、大幅に
軽減される。
【0310】従って、漏洩による磁束の低下を補うため
にコイル757の磁力を強化する必要がなくなり、磁力
強化に伴う、電磁駆動手段751と、これを用いた動力
断続装置とトランスファ装置とデファレンシャル装置の
大型化、重量化、車載性の低下、バッテリー及びオルタ
ネータの負担増加、エンジン燃費の低下などが防止され
る。
【0311】また、コイルハウジング755の削除分だ
け、電磁駆動手段751と上記各装置が軽量でコンパク
トになり、車載性が向上する。
【0312】また、鉄系金属であるコイルハウジング7
55の余分な部分(肉)を取り除いたことによる上記の
軽量化効果は大きい。
【0313】また、コイルハウジング755は、所要の
磁路断面積を維持しており、充分なスラスト力でプラン
ジャ759を移動操作することができる。
【0314】なお、コイルハウジング755に設けるテ
ーパーは、プレッシャープレート753側とケーシング
761側で角度を同一にしてもよく、あるいは、一点鎖
線773で示したように、所要の箇所まで直線的に肉薄
にしてもよい。
【0315】[第15実施形態]図24と図25によっ
て本発明の第15実施形態を説明する。
【0316】図24は第15実施形態に用いられた電磁
駆動手段の電磁ソレノイド801を示している。
【0317】この電磁ソレノイド801は、コイルハウ
ジング803とコイル805などから構成されている。
【0318】コイルハウジング803には、磁束ループ
807の密度の薄い外周(プランジャと反対側)の両側
に全周にわたって溝809(所要の磁路断面積を超えた
部分)が設けられており、さらに、溝809より深い複
数個の凹部811(所要の磁路断面積を超えた部分)が
周方向等間隔に設けられている。
【0319】このように構成された第15実施形態で
は、プレッシャープレート側とケーシング側で、所要の
磁路断面積を超えた部分である溝809と凹部811を
コイルハウジング803から取り除いたことにより、第
14実施形態と同様な効果が得られる。
【0320】[第16実施形態]図26は本発明の第1
6実施形態で噛み合いクラッチのクラッチリング(クラ
ッチ部材)を押圧するプレッシャープレート851を示
している。
【0321】プレッシャープレート851は、プランジ
ャ(電磁ソレノイド)とリターンスプリングとによって
軸方向に往復移動操作され、噛み合いクラッチを断続さ
せる。
【0322】プレッシャープレート851には、複数個
の開口部853が周方向等間隔に設けられており、上記
の往復移動に当たっては、各開口部853によってオイ
ルの通過が促進されるから、プレッシャープレート85
1に掛かるオイルの移動抵抗が大幅に低減され、駆動力
を断続操作する際のレスポンスがそれだけ向上する。
【0323】また、この操作レスポンスの向上効果は、
オイルの粘度が上昇する低温時で、特に著しい。
【0324】[第17実施形態]図27と図28は本発
明の第17実施形態に用いられた電磁駆動手段901を
示している。
【0325】電磁駆動手段901は、コイルハウジング
903、コイル905(電磁ソレノイド)、プランジャ
907などから構成されている。
【0326】図27に示すように、コイルハウジング9
03はハウジング部材909,911を固定して形成さ
れている。各ハウジング部材909,911には、それ
ぞれ分岐部913,915が形成されており、コイル9
05はハウジング部材909,911と分岐部913,
915の内側に収容されている。
【0327】また、ハウジング部材911にはプランジ
ャ907をセンターリングするガイド部917が形成さ
れ、ハウジング部材909にはプランジャ907の脱落
を防止する凸部919が形成されており、このようにプ
ランジャ907はガイド部917と凸部919によって
形成された袋状の部分に収容されている。
【0328】また、図27,28のように、ハウジング
部材911のガイド部917には、その径方向壁部と軸
方向壁部とを通して形成された開口部921が周方向等
間隔に設けられており、ハウジング部材909の凸部9
19には開口部923が周方向等間隔に設けられてい
る。
【0329】コイル905が励磁されると、ハウジング
部材909,911と分岐部913,915からプラン
ジャ907を通る磁路に磁束ループ925が形成され
る。プランジャ907はこの磁力とリターンスプリング
とによって軸方向に往復移動操作され、噛み合いクラッ
チが断続操作される。
【0330】プランジャ907は、上記のように、袋状
の部分に収容されているから、往復移動操作される際
に、オイルによる移動抵抗が掛かり、磁力とリターンス
プリングとによる操作に対してレスポンスが低下し易
い。
【0331】しかし、上記のように構成された第17実
施形態では、コイルハウジング903の袋状の部分に開
口部921,923を設けたことによって、プランジャ
907に対するオイルの移動抵抗が低減され、操作に対
するレスポンスが大幅に向上する。
【0332】従って、オイルの移動抵抗に対抗するため
にコイル905の磁力を強化する必要がなくなり、これ
に伴う、動力断続装置とトランスファ装置とデファレン
シャル装置の大型化、重量化、車載性の低下などが防止
されると共に、コイル905を励磁するバッテリー及び
オルタネータの負担増加と、エンジンの燃費低下などが
防止される。
【0333】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、クラッチ部材
を移動させるアクチュエータとして電磁駆動手段を用い
るため、アクチュエータを小型とすることができ、しか
も、流体の漏れを考慮する必要がなく、流体の漏れ防止
のためのシール部材が不要となりるため、部品点数が減
じ、構造が簡単となり、組み立ても容易となる。
【0334】また、流体圧で駆動するアクチュエータの
ように摺動部分が不要となるため、摺動抵抗が低減し、
出力トルクへの影響を低減することができる。
【0335】また、電磁駆動手段がトルク伝達部材と同
軸のリング形状となり、その全体から駆動力を作用させ
ることができるため、クラッチ部材を大きな力で駆動す
ることができ、安定した駆動を行うことができると共
に、トルク伝達部材を通したレイアウトが可能となるた
め、バランス性が良好となる。
【0336】請求項2の発明によれば、クラッチ部材を
移動させるアクチュエータとして電磁駆動手段を用いる
ため、アクチュエータを小型とすることができ、しか
も、流体の漏れを考慮する必要がなく、流体の漏れ防止
のためのシール部材が不要となりるため、部品点数が減
じ、構造が簡単となり、組み立ても容易となる。
【0337】また、流体圧で駆動するアクチュエータの
ように摺動部分が不要となるため、摺動抵抗が低減し、
出力トルクへの影響を低減することができる。
【0338】また、電磁駆動手段がトルク伝達部材と同
軸のリング形状となり、その全体から駆動力を作用させ
ることができるため、クラッチ部材を大きな力で駆動す
ることができ、安定した駆動を行うことができると共
に、トルク伝達部材を通したレイアウトが可能となるた
め、バランス性が良好となる。
【0339】請求項3記載の発明によれば、クラッチ部
材を移動させるアクチュエータとして電磁駆動手段を用
いるため、アクチュエータを小型とすることができ、し
かも、流体の漏れを考慮する必要がなく、流体の漏れ防
止のためのシール部材が不要となりるため、部品点数が
減じ、構造が簡単となり、組み立ても容易となる。
【0340】また、流体圧で駆動するアクチュエータの
ように摺動部分が不要となるため、摺動抵抗が低減し、
出力トルクへの影響を低減することができる。
【0341】また、電磁駆動手段が出力軸と同軸のリン
グ形状となり、その全体から駆動力を作用させることが
できるため、クラッチ部材を大きな力で駆動することが
でき、安定した駆動を行うことができると共に、出力軸
を通したレイアウトが可能となるため、バランス性が良
好となる。
【0342】請求項4の発明によれば、請求項3の発明
と同様な効果を得ることができる。
【0343】請求項5の発明によれば、請求項1〜4の
発明と同様な効果を得ることができるのに加えて、プラ
ンジャがクラッチ部材等の構成部品と接触することがな
いため、磁路が漏れることがなく、最短の距離で磁路を
形成することができ、しかも電磁駆動手段に供給する電
流を大きくする必要がなく、電力の節減を行うことがで
きる。
【0344】請求項6の発明によれば、請求項5の発明
と同様な効果を得ることができるのに加えて、簡単な構
造で、プランジャのセンターリングを行うことができ
る。
【0345】請求項7の発明によれば、請求項3または
請求項4の発明と同様な効果を得ることができるのに加
えて、環状部材をセンターリングするための部材が不要
となるため、構造が簡単となり、小型化することができ
る。
【0346】請求項8の発明によれば、請求項1〜7の
発明と同様な効果を有するのに加えて、電磁ソレノイド
のコイルハウジングによってプランジャを支持(センタ
ーリング)するため、コイルハウジングとプランジャの
間のクリアランス調整が容易であり、これらの間の磁力
ロスと摺動抵抗をそれぞれ最小にすることができる。
【0347】請求項9の発明によれば、請求項8の発明
と同様な効果を有するのに加えて、コイルハウジングと
プランジャとの間に配置されたシールによって、オイル
中に含まれるコンタミネーション(例えば、磁性金属
粉)がコイルに吸着されることがなくなり、磁性金属粉
の詰まりによるプランジャの移動不良(噛み合いクラッ
チの動作不良)が防止され、正常な機構が長期にわたっ
て保たれる。
【0348】請求項10の発明によれば、請求項3また
は請求項4の発明と同様な効果を有するのに加えて、相
手側ギアとのバックラッシ調整や組み付け誤差に伴い電
磁駆動手段がデフケースやアウターデフケースと一体に
移動するから、電磁駆動手段の大型化と重量化、コスト
の上昇、デファレンシャル装置の車載性低下、電磁駆動
手段の消費電力増加、バッテリーの負担増加、エンジン
の燃費低下などが防止される。
【0349】また、充分なバックラッシ調整が可能にな
り、ギアの噛み合いが正常に設定され、ギア音や振動な
どが防止されて、耐久性が向上する。
【0350】また、回り止め手段は、電磁駆動手段をケ
ーシングに固定する機能から解放され、軽量で、低コス
トになる。
【0351】また、請求項10の構成は、電磁駆動手段
とデフケースやアウターデフケース側のクラッチとの相
対位置を調整する必要がない上に、回り止め対策は組み
付け時に回り止め手段をケーシングに係合させるだけで
すむから、組み付けが極めて容易である。
【0352】請求項11の発明によれば、請求項10の
発明と同様な効果を有するのに加えて、電磁駆動手段を
デフケース及びアウターデフケースの軸方向投影範囲の
中に配置してスペースを有効に利用したから、デファレ
ンシャル装置がそれだけコンパクトに構成され、車載性
が向上する。
【0353】請求項12の発明によれば、請求項1〜1
1の発明と同様な効果を有するのに加えて、コイルハウ
ジングの形状と加工が簡単になり、低コストになる。
【0354】また、電磁ソレノイド(コイル)の巻き数
を増やすことが可能になり、電磁ソレノイドの磁力と噛
み合いクラッチの操作力が強化され、オイルの抵抗を受
けても操作時のレスポンスが向上する。
【0355】また、コイルの巻き数(電磁ソレノイドの
磁力)を一定に保つ場合は、コイルハウジングと電磁駆
動手段及びこれを用いた動力断続装置とトランスファ装
置とデファレンシャル装置が軽量でコンパクトになり、
車載性が向上する。
【0356】請求項13の発明によれば、請求項1〜1
2の発明と同様な効果を有するのに加えて、プランジャ
に対するオイルの抵抗が軽減され、噛み合いクラッチの
操作レスポンスが向上すると共に、電磁ソレノイドの磁
力を強化する必要がなくなり、これに伴う各装置の大型
化、重量化、車載性低下、バッテリー及びオルタネータ
の負担増加、エンジンの燃費低下などが防止される。
【0357】また、オイル中の磁性金属粉が効果的に外
部へ排出されるから、プランジャの移動不良が防止さ
れ、噛み合いクラッチ及びこれを用いた各装置の動作と
性能が正常に保たれ、耐久性が向上する。
【0358】また、オイルの移動促進によって冷却機能
が向上し、電磁ソレノイドの温度上昇による励磁電流の
低下が防止されるから、電磁ソレノイドの磁力を強化す
る必要がなくなり、これに伴う各装置の大型化、重量
化、車載性低下、バッテリー及びオルタネータの負担増
加、燃費の低下などが防止される。
【0359】請求項14の発明によれば、請求項13発
明と同様な効果を有するのに加え、プランジャの回転に
伴って生じるネジポンプ作用により、オイルの移動が促
進され、磁性金属粉の噛み込み防止機能とその効果及び
オイルによる冷却機能とその効果が向上する。
【0360】請求項15の発明によれば、請求項1〜1
4の発明と同様な効果を有するのに加え、電磁ソレノイ
ドの磁路に設けた磁気抵抗材によって磁力を適度に低減
させたことにより、環状のプランジャとコイルハウジン
グ間の磁束が周方向で均等化されるから、噛み合いクラ
ッチ及びこれを用いた各装置の動作と性能が安定し、信
頼性が向上する。
【0361】また、テフロンコーティングのような低μ
の磁気抵抗材をコイルハウジングとプランジャの間に配
置すれば、プランジャが移動操作されるときの摩擦抵抗
が小さくなり、電磁ソレノイドの操作力ロスが低減され
る。
【0362】請求項16の発明によれば、請求項1〜1
5の発明と同様な効果を有するのに加えて、磁性金属粉
の噛み込みによるプランジャの移動不良が防止され、噛
み合いクラッチ及びこれを用いた各装置の動作と性能が
正常に保たれ、耐久性が向上する。
【0363】請求項17の発明によれば、請求項16の
発明と同様な効果を有するのに加えて、磁石(永久磁
石)を用いる構成では、磁石の配置箇所を任意に選べる
ことによってプランジャの動作を阻害するコンタミネー
ションの蓄積を最も効果的に防止できる。
【0364】また、コイルハウジングなどに切り欠きを
設けて極部磁石にする構成では、永久磁石が不要である
から、部品点数の増加とコストの上昇が防止されると共
に、切り欠きの重量分だけ、各装置が軽量化される。
【0365】請求項18の発明によれば、請求項1〜1
7の発明と同様な効果を有するのに加え、オイル流路に
よってクラッチ部材に掛かるオイルの移動抵抗が大幅に
低減され、操作レスポンスが向上する。
【0366】また、オイル流路の重量だけ、クラッチ部
材と各装置が軽量化され、車載性が向上する。
【0367】請求項19の発明によれば、請求項1〜1
8の発明と同様な効果を有するのに加え、冷却フィンに
よって冷却機能が向上し、電磁ソレノイドの温度上昇が
防止されるから、励磁電流の低下を補うために電磁ソレ
ノイドの磁力を強化する必要がなく、これに伴う各装置
の大型化、重量化、車載性低下、バッテリー及びオルタ
ネータの負担増加、燃費の低下などが防止される。
【0368】また、冷却フィンを回転部材のプレッシャ
ープレートに設ければ、接触するオイル量や空気量が増
加すると共に、オイルや空気の循環が促進されるから、
電磁ソレノイドの冷却効果がさらに向上する。
【0369】請求項20の発明によれば、請求項1〜1
9の発明と同様な効果を有するのに加えて、所要の磁路
断面積を超えた部分をコイルハウジングから削除したこ
の構成では、例えば、プレッシャープレートと対向した
部分を削れば、コイルハウジングとの隙間が広くなり、
磁束の漏洩が防止されるか、あるいは、大幅に軽減され
る。
【0370】従って、磁束の低下を補うために電磁ソレ
ノイドの磁力を強化する必要がなくなり、これに伴う各
装置の大型化、重量化、車載性低下、バッテリー及びオ
ルタネータの負担増加、燃費の低下などが防止される。
【0371】また、鉄系金属であるコイルハウジングの
削除分だけ、各装置が軽量でコンパクトになり、車載性
が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態を適用した車両の動力伝達系を示
す平面図である。
【図2】第1実施形態のデファレンシャル装置の断面図
である。
【図3】クラッチ部材とアウタデフケースとの係合関係
を示す断面図である。
【図4】第2実施形態のデファレンシャル装置の断面図
である。
【図5】第2実施形態の変形々態を示す断面図である。
【図6】第3実施形態のデファレンシャル装置の断面図
である。
【図7】第4実施形態のデファレンシャル装置の断面図
である。
【図8】第5実施形態のデファレンシャル装置の断面図
である。
【図9】第6実施形態を示す断面図である。
【図10】第7実施形態を示す断面図である。
【図11】第8実施形態を示す断面図である。
【図12】図11のA−A断面図である。
【図13】第9実施形態を示す断面図である。
【図14】第9実施形態において、磁路中に介在する隙
間の変化に対する磁力の変化を示すグラフである。
【図15】第10実施形態を示す断面図である。
【図16】第11実施形態を示す断面図である。
【図17】図16の要部拡大図である。
【図18】第12実施形態を示す正面図である。
【図19】図18のB−B断面図である。
【図20】第13実施形態を示す断面図である。
【図21】図20のC矢視図である。
【図22】図20のD断面図である。
【図23】第14実施形態を示す断面図である。
【図24】第15実施形態を示す断面図である。
【図25】図24のE矢視図である。
【図26】第16実施形態を示す正面図である。
【図27】第17実施形態を示す断面図である。
【図28】図27のF矢視図である。
【図29】従来のデファレンシャル装置を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
13 フロントデフ 31 アウタデフケース 41 インナデフケース 41a,43a ドッグクラッチ(噛み合いクラッチ) 43 クラッチ部材 51,53 サイドギヤ 57 差動機溝 61 電磁駆動手段 63 電磁ソレノイド 65 プランジャ 67 環状部材 201 デファレンシャル装置 203 デフケース 207 ドッグクラッチ(噛み合いクラッチ) 211 電磁ソレノイド(電磁駆動手段) 213 プランジャ 215 Oリング(シール) 301 デファレンシャル装置 305 ブラケット(回り止め手段) 351 電磁ソレノイド 353 コイルハウジング 355 ボビン 401 電磁駆動手段 403 コイルハウジング 405 コイル 407 プランジャ 415 テフロンコーティング 419 コイルハウジングの分岐部 451 電磁駆動手段 453 コイルハウジング 455 コイル 457 プランジャ 465,467 オイル溝 501 電磁駆動手段 505 コイルハウジング 507 コイル 509 プランジャ 511 テフロンコーティング(磁気抵抗材) 551 電磁駆動手段 553 コイルハウジング 555 コイル 557 プランジャ 559,559 永久磁石(磁力発生手段:磁石) 601 電磁駆動手段 603,603 切り欠き(磁力発生手段:極部磁石) 651 クラッチリング(クラッチ部材) 653,657 オイル溝(オイル流路) 659 オイル流路 701 電磁駆動手段 703 プレッシャープレート 705 コイルハウジング 707 コイル 717,719 冷却フィン 721 冷却フィン 751 電磁駆動手段 753 プレッシャープレート(周辺部材) 755 コイルハウジング 757 コイル 761 ケーシング(周辺部材) 769,771 コイルハウジングで所要の磁路断面積
を超えた部分 801 電磁駆動手段 803 コイルハウジング 805 コイル 809 溝(コイルハウジングで所要の磁路断面積を超
えた部分) 811 凹部(コイルハウジングで所要の磁路断面積を
超えた部分) 851 プレッシャープレート 853 開口部 901 電磁駆動手段 903 コイルハウジング 905 コイル 907 プランジャ 921,923 コイルハウジングに設けられた開口部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16H 48/02 F16D 27/10 361 (72)発明者 大塚 幸二 栃木県栃木市大宮町2388番地 栃木富士産 業株式会社内 (72)発明者 落合 富明 栃木県栃木市大宮町2388番地 栃木富士産 業株式会社内 Fターム(参考) 3D043 AA06 AA10 AB17 EA02 EA17 EA23 EA42 EB07 EB12 ED01 ED06 3J027 FA36 FB02 HA03 HB07 HB16 HC26 HD01 HE04 HF05 HG07

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力側と出力側の各トルク伝達部材と、 前記両トルク伝達部材の間に設けられ、クラッチ部材の
    軸方向移動によって噛み合いと噛み合いの解除を行う噛
    み合いクラッチと、 前記クラッチ部材を軸方向に移動させる環状のプランジ
    ャと、前記両トルク伝達部材と同軸に設けられ、前記プ
    ランジャを磁力で移動操作する電磁駆動手段とを備えて
    いることを特徴とする動力断続装置。
  2. 【請求項2】 原動機の駆動力によって回転すると共
    に、前後輪の一方に連結された入力側のトルク伝達部材
    と、 前後輪の他方に連結された出力側のトルク伝達部材と、 前記両トルク伝達部材の間に設けられ、クラッチ部材の
    軸方向移動によって噛み合いと噛み合いの解除を行う噛
    み合いクラッチと、 前記クラッチ部材を軸方向に移動させる環状のプランジ
    ャと、前記両トルク伝達部材と同軸に設けられ、前記プ
    ランジャを磁力で移動操作する電磁駆動手段とを備えて
    いることを特徴とするトランスファ装置。
  3. 【請求項3】 エンジンの駆動力が入力して回転するデ
    フケースと、 前記デフケースに収容され、エンジンの駆動力を車輪側
    出力軸に差動分配する差動機構と、 軸方向に移動可能な一側のクラッチ部材と他側のクラッ
    チ部材との間に設けられ、前記一側クラッチ部材の軸方
    向移動によって係合離脱可能に噛み合い、差動制限、あ
    るいは、トルクの断続を行う噛み合いクラッチと、 前記噛み合いクラッチが係合離脱するようにクラッチ部
    材を軸方向に移動させる環状のプランジャを有し、前記
    出力軸と同軸に設けられた電磁駆動手段とを備えている
    ことを特徴とするデファレンシャル装置。
  4. 【請求項4】 エンジンの駆動力が入力して回転するア
    ウタデフケースと、 エンジンの駆動力を左右の出力軸に差動分配する差動機
    構を内部に有し、アウタデフケース内に同軸に回転可能
    に支持されたインナデフケースと、 インナデフケースの軸方向に隣接して配置され、軸方向
    に移動可能で、且つアウタデフケースと一体に回転する
    クラッチ部材と、 インナデフケースとクラッチ部材との対向間に設けら
    れ、クラッチ部材の軸方向の移動によって係合離脱可能
    に噛み合う噛み合いクラッチと、 噛み合いクラッチが係合離脱するようにクラッチ部材を
    軸方向に移動させる環状のプランジャを有し、前記出力
    軸と同軸に設けられた電磁駆動手段とを備えていること
    を特徴とするデファレンシャル装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載された発
    明であって、 前記プランジャの内周に非磁性体からなる環状部材が設
    けられており、前記電磁駆動手段の作動力が環状部材を
    介してクラッチ部材に伝達されることを特徴とする動力
    断続装置またはトランスファ装置またはデファレンシャ
    ル装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載された発明であって、 前記プランジャが環状部材によってセンターリングされ
    ていることを特徴とする動力断続装置またはトランスフ
    ァ装置またはデファレンシャル装置。
  7. 【請求項7】 請求項3または請求項4に記載された発
    明であって、 前記環状部材が前記デフケースまたは前記アウタデフケ
    ースのボス部によってセンターリングされていることを
    特徴とするデファレンシャル装置。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載された発
    明であって、 前記プランジャが、前記電磁駆動手段を構成する電磁ソ
    レノイドのコイルハウジングにより、所定の位置で軸方
    向移動自在に保持されていることを特徴とする動力断続
    装置またはトランスファ装置またはデファレンシャル装
    置。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載された発明であって、 前記コイルハウジングと前記プランジャとの間に、シー
    ルが配置されていることを特徴とする動力断続装置また
    はトランスファ装置またはデファレンシャル装置。
  10. 【請求項10】 請求項3または請求項4に記載された
    発明であって、 前記電磁駆動手段が、前記デフケースまたは前記アウタ
    ーデフケース上に支持されており、 これらのデフケース及びアウターデフケースが、ケーシ
    ングに収容されていると共に、 回り止め手段を設けて、前記電磁駆動手段を前記ケーシ
    ング側に回り止めしたことを特徴とするデファレンシャ
    ル装置。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載された発明であっ
    て、 前記デフケース及び前記アウターデフケースが、それぞ
    れのボス部で前記ケーシングに支承されており、 前記電磁駆動手段が、前記ボス部上に支持されていると
    共に、デフケースまたはアウターデフケースの軸方向投
    影範囲の中に配置されていることを特徴とするデファレ
    ンシャル装置。
  12. 【請求項12】 請求項8または請求項9に記載された
    発明であって、 前記コイルハウジングが前記プランジャの内周面に沿っ
    て突設されるガイド部を備え、 前記電磁ソレノイドによって、前記ガイド部に磁路が形
    成されることを特徴とする動力断続装置またはトランス
    ファ装置またはデファレンシャル装置。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12のいずれかに記載され
    た発明であって、 前記コイルハウジングと前記プランジャの少なくともい
    ずれか一方に、前記プランジャの作動に伴ってオイルの
    流出入を促進するオイル溝を設けたことを特徴とする動
    力断続装置またはトランスファ装置またはデファレンシ
    ャル装置。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載された発明であっ
    て、 前記オイル溝が傾斜して設けられており、前記プランジ
    ャが作動するとこの傾斜によってオイルの流出入が促進
    されることを特徴とする動力断続装置またはトランスフ
    ァ装置またはデファレンシャル装置。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれかに記載され
    た発明であって、 前記コイルハウジングと前記プランジャとが構成する前
    記電磁ソレノイドの磁路において、 前記コイルハウジングと前記プランジャの少なくともい
    ずれか一方に、磁気抵抗材を配置したことを特徴とする
    動力断続装置またはトランスファ装置またはデファレン
    シャル装置。
  16. 【請求項16】 請求項1〜15のいずれかに記載され
    た発明であって、 オイルに含まれる磁性粉を吸着して除去する磁力発生手
    段を、前記プランジャの近傍に設けたことを特徴とする
    動力断続装置またはトランスファ装置またはデファレン
    シャル装置。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載された発明であっ
    て、 前記磁力発生手段が、前記プランジャの近傍に配置され
    た磁石と、前記磁路に形成され磁気を集中させて極部磁
    石になる切り欠きの、少なくともいずれか一方であるこ
    とを特徴とする動力断続装置またはトランスファ装置ま
    たはデファレンシャル装置。
  18. 【請求項18】 請求項1〜17のいずれかに記載され
    た発明であって、 前記噛み合いクラッチの前記クラッチ部材に、オイルの
    通過を促してオイルによる移動抵抗を低減させるオイル
    流路を設けたことを特徴とする動力断続装置またはトラ
    ンスファ装置またはデファレンシャル装置。
  19. 【請求項19】 請求項1〜18のいずれかに記載され
    た発明であって、 前記コイルハウジングと、前記噛み合いクラッチの前記
    クラッチ部材と前記プランジャとを連結するプレッシャ
    ープレートの少なくともいずれか一方に、放熱を促す冷
    却フィンを設けたことを特徴とする動力断続装置または
    トランスファ装置またはデファレンシャル装置。
  20. 【請求項20】 請求項1〜19のいずれかに記載され
    た発明であって、 前記コイルハウジングにおいて、所要の磁路断面積を超
    えた部分が削除されていることを特徴とする動力断続装
    置またはトランスファ装置またはデファレンシャル装
    置。
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