JP2002213572A - デファレンシャル装置 - Google Patents

デファレンシャル装置

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JP2002213572A
JP2002213572A JP2001011980A JP2001011980A JP2002213572A JP 2002213572 A JP2002213572 A JP 2002213572A JP 2001011980 A JP2001011980 A JP 2001011980A JP 2001011980 A JP2001011980 A JP 2001011980A JP 2002213572 A JP2002213572 A JP 2002213572A
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JP
Japan
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differential
differential device
electromagnet
clutch
driving force
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JP2001011980A
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English (en)
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Masaaki Fushiki
正明 伏木
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GKN Driveline Japan Ltd
Original Assignee
Tochigi Fuji Sangyo KK
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  • Arrangement And Mounting Of Devices That Control Transmission Of Motive Force (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 駆動力の断続機能を備えながら、構造簡単、
コンパクトで、組付けが容易であり、信頼性が高い上
に、静止側との間に摺動部を形成しない。 【解決手段】 デフケース3と、エンジンの駆動力を出
力側サイドギア33,35から左右の車輪に配分する差
動機構5と、サイドギア35とその車軸側の間で駆動力
を断続するクラッチ機構11と、クラッチ機構11を操
作する電磁石13とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、駆動力を断続す
るクラッチ機構を備えたデファレンシャル装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】駆動力の断続機能を備えたデファレンシ
ャル装置は、4輪駆動車において2輪駆動時に切り離さ
れる車輪側に配置される。
【0003】このようなデファレンシャル装置には、ク
ラッチ機構をデフケースの外部に配置し、分断した車軸
の間で駆動力を断続するように構成されたものがある。
【0004】ところが、このように車軸を分断する構成
では、車軸の互換性が失われることによって車軸の変更
が必要になり、これに伴って、大きなコストの上昇が発
生する。
【0005】また、分断された車軸をそれぞれ支承する
軸受けが必要になるから、分断個所が大径化し、重量化
する上に、コストがさらに上昇する。
【0006】また、差動機構とクラッチ機構が軸方向に
分散配置されるから、デファレンシャル装置の重量が車
両の幅方向に分散し、車体のバランスが取りにくい。
【0007】また、特開平10−78100号公報に記
載された図2のようなデファレンシャル装置201があ
る。
【0008】このデファレンシャル装置201はクラッ
チ機構をデフケースの内部に設けたものであり、デフケ
ース203、差動機構205、シフトリング207、連
結軸209、噛み合いクラッチ211(クラッチ機
構)、操作プレート213、バネ部215、空気式アク
チュエータ217などから構成されている。
【0009】デフケース203はエンジンの駆動力によ
って回転駆動され、差動機構205はデフケース203
の回転を一対のサイドギア219,221から出力す
る。
【0010】シフトリング207は右のサイドギア22
1と移動自在に連結されており、連結軸209はデフケ
ース203の内部に配置されている。
【0011】噛み合いクラッチ211はシフトリング2
07と連結軸209との間に設けられている。
【0012】操作プレート213はシフトリング207
に連結されており、バネ部215は操作プレート213
に一体形成されている。
【0013】空気式アクチュエータ217は静止側のデ
フキャリヤに連結され、回り止めされている。
【0014】また、サイドギア219は車軸を介して左
の車輪に連結されており、連結軸209は車軸を介して
右の車輪に連結されている。
【0015】バネ部215は操作プレート213を介し
てシフトリング207を右方に付勢し、噛み合いクラッ
チ211を噛み合わせている。また、アクチュエータ2
17は正圧が与えられると、バネ部215の付勢力に抗
してシフトリング207を左方に移動させ、噛み合いク
ラッチ211の噛み合いを解除する。
【0016】エンジンの駆動力は、トランスファに設け
られたセンターデフと2−4切り換え機構とを介してデ
フケース203を回転させる。この2−4切り換え機構
は、コントローラによって噛み合いクラッチ211と同
時に連結され、また、同時に連結が解除される。
【0017】2−4切り換え機構と噛み合いクラッチ2
11がそれぞれ連結されると、車両は4輪駆動状態にな
り、サイドギア219に配分されたエンジンの駆動力は
左車輪側に伝達され、サイドギア221に配分された駆
動力は噛み合いクラッチ211と連結軸209とを介し
て右車輪側に伝達される。
【0018】また、2−4切り換え機構と噛み合いクラ
ッチ211の連結が解除されると、車両が2輪駆動状態
になると共に、車輪側から切り離された右サイドギア2
21が空転することによって、2−4切り換え機構から
デフケース203までの動力伝達系が、エンジンの駆動
力と車輪の連れ回り回転の両方から切り離されて回転が
停止し、振動の軽減によって乗り心地が向上し、動力伝
達系各部の磨耗が軽減されて耐久性が向上し、回転抵抗
の低減分だけエンジンの負担が軽減し、燃費が向上す
る。
【0019】さらに、デファレンシャル装置201は噛
み合いクラッチ211をデフケース203の内部に配置
したことにより、車軸をデフケースの外部で分断する構
成と異なって、車軸の互換性が損なわれることがなく、
車軸の変更と、変更に伴うコスト上昇が防止される。
【0020】また、分断された車軸を支承する軸受けが
不要になり、分断個所の大径化及び重量化とコスト上昇
とが避けられる。
【0021】また、差動機構205と噛み合いクラッチ
211とが軸方向に分散しないから、デファレンシャル
装置201の重量が車両の幅方向中心に集中し、車体の
バランスが取り易くなる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】しかし、デファレンシ
ャル装置201では、噛み合いクラッチ211を操作す
るために空気式アクチュエータ217が用いられている
が、空気式アクチュエータ217のような流体圧アクチ
ュエータは、構造が複雑で大型であり、その上、圧力ラ
インの配置スペースが必要であるから、デファレンシャ
ル装置のように狭いスペースに配置し、車載性を高めた
い機器には不利である。
【0023】また、圧力ラインの引き回し作業は面倒で
あり、組み付けコストが高い。
【0024】また、流体圧アクチュエータを用いたデフ
ァレンシャル装置では、特に、アクチュエータと圧力ラ
インが振動を受けて圧力漏れが発生することもあり、こ
れを防止するための配慮が必要であるから、これに伴っ
てコストが上昇すると共に、圧力漏れによる信頼性低下
が問題になることもある。
【0025】また、流体圧アクチュエータは、回転側に
配置すると圧力ラインの配管が困難であるから静止側に
配置する必要があり、従って、静止側の空気式アクチュ
エータ217によって回転側の噛み合いクラッチ211
を操作するように構成されたデファレンシャル装置20
1の場合は、静止側部材と回転側部材との間(アクチュ
エータ217と操作プレート213との間)に摺動部が
生じ、摩擦抵抗が発生することになる。
【0026】この摩擦抵抗によってエンジンの燃費が低
下すると共に、摺動部の発熱によって耐久性が低下し易
い。
【0027】また、流体圧アクチュエータを用いたデフ
ァレンシャル装置では、流体圧アクチュエータの配置箇
所がクラッチ機構の軸方向に限定されるから、デファレ
ンシャル装置201は、空気式アクチュエータ217が
噛み合いクラッチ211の軸方向に配置されており、軸
方向寸法がそれだけ大きくなっている。
【0028】さらに、周辺部材の配置状況(例えば、デ
フキャリヤの内部に設定されたデファレンシャル装置の
ための配置スペース)によっては、アクチュエータをデ
フケースの径方向に配置したい場合もあるが、アクチュ
エータの配置箇所が軸方向に限定されている構成ではレ
イアウトの自由度が低く、このような要求に対応するこ
とができない。
【0029】そこで、この発明は、駆動力を断続するク
ラッチ機構を備えながら、構造簡単、軽量、コンパクト
で、組付けが容易であり、信頼性が高い上に、静止側部
材との間に摺動部が形成されないデファレンシャル装置
の提供を目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】請求項1のデファレンシ
ャル装置は、原動機の駆動力を受けて回転するデフケー
スと、原動機の駆動力を一対の出力側サイドギアから車
軸を介して左右の車輪に配分する差動機構と、いずれか
一方のサイドギアとその車軸側との間で駆動力を断続す
るクラッチ機構と、このクラッチ機構を操作するアクチ
ュエータとを備え、このアクチュエータが、電磁石であ
ることを特徴としている。
【0031】このデファレンシャル装置は、4輪駆動車
において2輪駆動時に切り離される車輪側に配置されて
おり、クラッチ機構が連結されると、原動機の駆動力は
差動機構の一方のサイドギアからクラッチ機構と連結軸
と車軸とを介して一方の車輪側に伝達され、他方のサイ
ドギアからは車軸を介して他方の車輪側に伝達されて、
車両は4輪駆動状態になる。
【0032】また、クラッチ機構の連結が解除される
と、クラッチ機構によって車輪側から切り離された一方
のサイドギアが空転することによって駆動力が遮断さ
れ、車両は2輪駆動状態になる。
【0033】また、本発明のデファレンシャル装置は、
クラッチ機構を操作するアクチュエータに電磁石を用い
て構成したから、流体圧アクチュエータを用いた従来例
と異なり、構造が簡単でコンパクトであり、その上、圧
力ラインの配置スペースが不要であるから、車載性が高
い。
【0034】また、圧力ラインの引き回し作業がないか
ら、組み付けコストがそれだけ低減される。
【0035】また、圧力漏れに対する配慮が不要になっ
て、さらに低コストになると共に、圧力漏れによる信頼
性低下の問題から解放される。
【0036】また、電磁石は回転側部材(例えば、デフ
ケース)との間に適度な隙間を介して配置されるから、
電磁石を静止側に連結し回り止めしても、従来例と異な
って、回転側部材との間に摺動部が生じ、摩擦抵抗が発
生することはない。
【0037】従って、摩擦抵抗によるエネルギーロス、
エンジンの燃費低下、摺動部の発熱による耐久性の低下
などが生じない。
【0038】請求項2の発明は、請求項1に記載された
デファレンシャル装置であって、車軸側に連結された連
結軸を設け、クラッチ機構を、この連結軸とサイドギア
との間に設けることによってデフケースの内部に配置し
たことを特徴としており、請求項1の構成と同等の作用
・効果を得ることができる。
【0039】また、クラッチ機構をデフケースの内部に
設けたことによって差動機構とクラッチ機構がユニット
化され、クラッチ機構をデフケースの外部に配置した構
成と異なって、機能(差動機構とクラッチ機構)の分散
が避けられるから、デファレンシャル装置が全体にコン
パクトになり、車載性が大きく向上する。
【0040】また、分断した車軸上にクラッチ機構を配
置する構成と異なって、車軸の互換性が維持されるか
ら、車軸の変更と、車軸変更に伴うコストの上昇が避け
られる。
【0041】また、分断された車軸を支承する軸受けが
不要になるから、分断個所の大径化と重量化とが避けら
れる上に、コストの上昇が避けられる。
【0042】また、差動機構とクラッチ機構の分散配置
に伴う重量の軸方向分散が防止され、デファレンシャル
装置の重量が車両の幅方向中心側に集まるから、車体の
バランスが取り易い。
【0043】請求項3の発明は、請求項2に記載された
デファレンシャル装置であって、電磁石が、デフケース
の外周、または、デフケースの軸方向側面に配置されて
いることを特徴としており、請求項2の構成と同等の作
用・効果を得ることができる。
【0044】また、アクチュエータに電磁石を用いたこ
とにより、空気式アクチュエータ217の配置箇所が噛
み合いクラッチ211の軸方向に限定される従来例と異
なって、クラッチ機構に対する電磁石の配置箇所を自由
に選ぶことが可能になる。
【0045】そこで、電磁石をデフケースの外周側(径
方向)に配置すれば、デファレンシャル装置が軸方向に
大型化することが防止され、電磁石をデフケースの軸方
向に配置すれば、デファレンシャル装置の大径化が防止
される。
【0046】このように、周辺部材の配置状況(デファ
レンシャル装置に用意された配置スペース)に応じて、
電磁石の配置箇所を上記のように選ぶことにより、デフ
ァレンシャル装置のレイアウトの自由度が高くなる。
【0047】
【発明の実施の形態】図1によってデファレンシャル装
置1(本発明の一実施形態)の説明をする。
【0048】デファレンシャル装置1は請求項1,2,
3の特徴を備えている。なお、左右の方向は図1での左
右の方向であり、符号を与えていない部材等は図示され
ていない。
【0049】デファレンシャル装置1は4輪駆動車に用
いられており、2輪駆動時に切り離される車輪側に配置
されている。
【0050】デファレンシャル装置1は、デフケース
3、ベベルギア式の差動機構5、連結軸7、シフトリン
グ9、噛み合いクラッチ11(クラッチ機構)、リター
ンスプリング、電磁石13(アクチュエータ)、コント
ローラなどから構成されている。
【0051】デフケース3は、鉄系合金(磁性材料)で
作られたケーシング本体15及び左右のカバー17,1
9と、ステンレス鋼(非磁性材料)のリング21などか
ら構成されている。
【0052】ケーシング本体15と左のカバー17はボ
ルト23で固定されており、ケーシング本体15と右の
カバー19はそれぞれリング21に溶接され、一体にさ
れている。
【0053】デフケース3はデフキャリヤの内部に配置
されており、カバー17,19に形成された各ボス部2
5,27はベアリングを介してデフキャリヤに支承され
ている。このデフキャリヤの内部にはオイル溜りが形成
されている。
【0054】デフケース3にはリングギア(ベベルギ
ア)がボルトで固定されている。このリングギアは動力
伝達系の出力側ベベルギアと噛み合っており、この動力
伝達系はトランスファ側に連結されている。
【0055】また、トランスファには、2輪駆動時にエ
ンジンの駆動力を遮断する2−4切り換え機構が配置さ
れている。
【0056】こうして、デフケース3はトランスファ
(2−4切り換え機構)と動力伝達系とを介して伝達さ
れるエンジンの駆動力によって回転駆動される。
【0057】差動機構5は、複数本のピニオンシャフト
29、これと同数のピニオンギア31、出力側サイドギ
ア33,35から構成されている。
【0058】各ピニオンシャフト29は、デフケース3
(ケーシング本体15)に設けられた貫通孔37に端部
を係合し、スプリングピン39で固定されている。ピニ
オンギア31はそれぞれピニオンシャフト29上に回転
自在に支承されており、サイドギア33,35はそれぞ
れ左右から各ピニオンギア31と噛み合っている。
【0059】デフケース3には、ピニオンギア31の遠
心力と、サイドギア33,35との噛み合いによって生
じた噛み合い反力を受ける球面ワッシャ部41が形成さ
れている。
【0060】左サイドギア33は、カバー17に形成さ
れた支承部43によって支承されており、スプライン連
結された車軸を介して左車輪側に連結されている。
【0061】また、右サイドギア35は連結軸7の外周
によって支承されており、連結軸7はスプライン連結さ
れた車軸を介して右車輪側に連結されている。
【0062】サイドギア33とデフケース3との間には
スラストワッシャ45が配置され、サイドギア33の噛
み合いスラスト力を受けており、連結軸7とデフケース
3との間にはスラストワッシャ47が配置され、サイド
ギア35の噛み合いスラスト力を受けている。
【0063】シフトリング9は鉄系合金(磁性材料)で
作られており、噛み合い部49によってサイドギア35
と軸方向移動自在に連結されている。
【0064】噛み合いクラッチ11は、シフトリング9
と連結軸7との間に形成されており、図1の下半部のよ
うに、シフトリング9が右に移動すると噛み合い、図1
の上半部のように、シフトリング9が左に移動すると噛
み合いが解除される。
【0065】リターンスプリングは、シフトリング9と
サイドギア35との間に配置されており、シフトリング
9を噛み合いクラッチ11の噛み合い解除側(左方)に
付勢している。
【0066】電磁石13のコア51は、デフケース3の
外周に所定の隙間を介して配置されており、支持部材を
介してデフキャリヤに連結され、回り止めされている。
【0067】電磁石13のリード線はグロメットを介し
てデフキャリヤの外部に引き出され、車載のバッテリに
接続されている。
【0068】また、ケーシング本体15、リターンスプ
リング、シフトリング9、噛み合いクラッチ11、連結
軸7、スラストワッシャ47、カバー19によって電磁
石13の磁路が構成されており、シフトリング9はアー
マチャになる。
【0069】リング21はケーシング本体15とカバー
19とを磁気的に分断し、磁路上での磁力の短絡を防止
している。
【0070】コントローラは、電磁石13の励磁、励磁
停止を行う。
【0071】電磁石13が励磁されると、磁路に磁力ル
ープ53が発生し、シフトリング9がリターンスプリン
グを撓ませながら吸引されて右に移動し、噛み合いクラ
ッチ11が噛み合う。
【0072】このとき、コントローラは、上記のよう
に、2−4切り換え機構を連結させる。
【0073】また、電磁石13の励磁を停止すると、リ
ターンスプリングによってシフトリング9が左に戻り、
噛み合いクラッチ11の噛み合いが解除される。
【0074】このとき、コントローラは2−4切り換え
機構の連結を解除する。
【0075】噛み合いクラッチ11が噛み合うと、デフ
ケース3を回転させるエンジンの駆動力は、ピニオンシ
ャフト29とピニオンギア31を介して左右のサイドギ
ア33,35に配分され、左のサイドギア33から左車
輪側に伝達されると共に、サイドギア35から噛み合い
クラッチ11と連結軸7とを介して右車輪側に伝達され
て、車両は4輪駆動状態になる。
【0076】また、悪路走行中などに、左右の車輪間に
駆動抵抗差が生じると各ピニオンギア31の自転によっ
てエンジンの駆動力は左右各側に差動配分される。
【0077】トルクの伝達中、噛み合い反力によって各
ピニオンギア31は球面ワッシャ部41に押圧され、サ
イドギア33は噛み合いスラスト力によりスラストワッ
シャ43を介してデフケース3に押圧され、サイドギア
35は噛み合いスラスト力により連結軸7とスラストワ
ッシャ47とを介してデフケース3に押圧される。
【0078】また、これらの押圧部で摩擦抵抗が発生
し、この摩擦抵抗によってトルク感応型の差動制限機能
が得られるから、大きなトルクが掛かる発進時や加速時
に車体が安定して発進性と加速性が向上し、また、左右
の車輪が空転しない範囲で悪路の走破性が向上する。
【0079】また、噛み合いクラッチ11の噛み合いが
解除されると、連結軸7から右車輪までが切り離されて
フリー回転状態になると共に、サイドギア35が空転す
ることにより、サイドギア33側の左車輪にも駆動力が
伝達されず、駆動力が遮断されて、車両は2輪駆動状態
になる。
【0080】また、この2輪駆動状態では、2−4切り
換え機構からデフケース3までの動力伝達系がエンジン
の駆動力と車輪による連れ回りの両方から遮断されて回
転が停止するから、振動の軽減によって乗り心地が向上
し、動力伝達系各部の磨耗が軽減されて耐久性が向上
し、回転抵抗の低減分だけエンジンの負担が軽減して燃
費が向上する。
【0081】デフケース3には開口55と、ボス部2
5,27の内周に形成された螺旋状のオイル溝57,5
9と、オイル溝57と開口55とを連通するオイル溝6
1が設けられている。
【0082】デファレンシャル装置1の下半部はオイル
溜りのオイルに浸されており、回転に伴ってこのオイル
が開口55、オイル溝57,59からデフケース3に流
出入し、各ギアの噛み合い部、ピニオンシャフト29の
外周とピニオンギア31との摺動部、スラストワッシャ
45,47、球面ワッシャ部41、サイドギア33の支
承部43、連結軸7の外周とサイドギア35との摺動
部、噛み合い部49、噛み合いクラッチ11などを充分
に潤滑・冷却する。
【0083】また、遠心力によってオイル溝61のオイ
ルがオイル溝57から開口55側に抜け、スラストワッ
シャ43の潤滑・冷却効果を向上させている。
【0084】また、電磁石13は、デフケース3(リン
グギア)が回転して跳ね掛けるオイルによって冷却され
るから、性能(磁力)が安定し、噛み合いクラッチ11
の断続機能が安定する。
【0085】こうして、デファレンシャル装置1が構成
されている。
【0086】デファレンシャル装置1は、上記のよう
に、噛み合いクラッチ11を断続操作するアクチュエー
タに電磁石13を用いたから、流体圧アクチュエータを
用いた従来例と異なって、構造が簡単でコンパクトであ
ると共に、圧力ラインの配置スペースが不要であるか
ら、車載性が高い。
【0087】また、圧力ラインの引き回し作業がないか
ら、組み付けが容易になり、組み付けコストが低減され
る。
【0088】また、圧力漏れに対する配慮が不要であ
り、その分のコストが低減されると共に、圧力漏れによ
る信頼性の低下から解放される。
【0089】また、電磁石13が回転側のデフケース3
との間に隙間を介して配置されるから、電磁石13をデ
フキャリヤ(静止側)に回り止めしてもデフケース3と
の間に摺動が生じることはなく、摺動抵抗によるエネル
ギーロス、エンジンの燃費低下、摺動部の発熱、耐久性
の低下などが防止される。
【0090】また、噛み合いクラッチ11をデフケース
3の内部に配置し、差動機構5と噛み合いクラッチ11
とをユニット化したことにより、クラッチ機構をデフケ
ースの外部に配置する構成と異なって、差動機構5と噛
み合いクラッチ11の分散配置が避けられるから、デフ
ァレンシャル装置1が全体にコンパクトになり、車載性
がさらに大きく向上する。
【0091】また、分断した車軸上にクラッチ機構を配
置する構成と異なって、車軸の互換性が維持されるか
ら、車軸の変更と、車軸変更に伴うコストの上昇が避け
られる。
【0092】また、分断された車軸を支承する軸受けが
不要になるから、分断個所の大径化と重量化とが避けら
れる上に、軸受け分のコストが低減される。
【0093】また、差動機構5と噛み合いクラッチ11
の分散配置に伴う重量の分散が防止され、デファレンシ
ャル装置1の重量が車両の幅方向中心側に集まるから、
車体のバランスが取り易い。
【0094】また、アクチュエータに電磁石13を用い
たことにより、空気式アクチュエータ217の配置箇所
が噛み合いクラッチ211の軸方向に限定される従来例
と異なって、噛み合いクラッチ11に対する電磁石13
の配置箇所を自由に選ぶことが可能になり、これに伴っ
て、電磁石13をデフケース3の外周側に配置したこと
により、デファレンシャル装置1が軸方向にコンパクト
になっている。
【0095】また、電磁石13をデフケース3の軸方向
側面に配置することも可能である。
【0096】このように、デフキャリヤ内部での周辺部
材の配置状況(デファレンシャル装置1に用意された配
置スペース)に応じて、電磁石13の配置箇所を任意に
選択することができるから、デファレンシャル装置1は
レイアウトの自由度がそれだけ高い。
【0097】また、上記の実施形態において、噛み合い
クラッチ11の噛み合い歯に、トルクを受けてシフトリ
ング9を噛み合いクラッチ11の噛み合い解除側に付勢
するカム角を与えても良い。
【0098】こうすれば、このカムスラスト力とリター
ンスプリングの付勢力とによって、噛み合いクラッチ1
1の噛み合い解除が促進され、4輪駆動状態から2輪駆
動状態への切り換えが確実に行われると共に、切り換え
のレスポンスが速くなる。
【0099】また、上記実施形態は、電磁石13を励磁
すると噛み合いクラッチ11が噛み合う正作動構成であ
るが、噛み合いクラッチ11をスプリングによって常時
噛み合わせておき、電磁石13を励磁すると噛み合いが
解除される負作動構成にしてもよい。
【0100】なお、本発明のデファレンシャル装置で
は、上記のように、電磁石をデフケースの軸方向に配置
することも可能であり、デファレンシャル装置の大径化
を防止することもできる(請求項3の構成)。
【0101】また、本発明において、差動機構はベベル
ギア式の差動機構に限らない。
【0102】例えば、プラネタリーギア式の差動機構、
デフケースの収容孔に摺動自在に収容されたピニオンギ
アによって一対の出力側サイドギアを連結した差動機
構、ウォームギアを用いた差動機構などでもよい。
【0103】また、ベベルギア式の差動機構の場合は、
サイドギアを中空にして入力軸を貫通させると共に、こ
の入力軸にピニオンシャフトを連結することによって、
デフケースからではなく、入力軸からエンジンの駆動力
を入力させるように構成してもよい。
【0104】また、本発明のデファレンシャル装置は、
フロントデフ(エンジンの駆動力を左右の前輪に分配す
るデファレンシャル装置)とリヤデフ(エンジンの駆動
力を左右の後輪に分配するデファレンシャル装置)のい
ずれにも用いることができる。
【0105】
【発明の効果】請求項1のデファレンシャル装置は、ク
ラッチ機構を断続操作するアクチュエータに電磁石を用
いたことにより、構造が簡単でコンパクトであると共
に、圧力ラインの配置スペースが必要になり、車載性が
高い。
【0106】また、圧力ラインの引き回し作業がないか
ら、組み付けコストが低減される。
【0107】また、圧力漏れに対する配慮が不要にな
り、さらに低コストに構成できると共に、圧力漏れによ
る信頼性低下の問題から解放される。
【0108】また、電磁石を用いたことによって、回転
側部材との間に摺動部が生じることがなくなり、摺動抵
抗によるエネルギーロス、エンジンの燃費低下、摺動部
の発熱による耐久性の低下などが防止される。
【0109】請求項2のデファレンシャル装置は、請求
項1の構成と同等の効果を得ることができる。
【0110】また、クラッチ機構をデフケースの内部に
配置して差動機構とクラッチ機構とをユニット化したこ
とにより、クラッチ機構をデフケースの外部に配置する
構成のような差動機構とクラッチ機構の分散配置が回避
され、デファレンシャル装置が全体にコンパクトにな
り、車載性が大きく向上する。
【0111】また、分断した車軸上にクラッチ機構を配
置する構成と異なって、車軸の互換性が維持され、車軸
の変更と、それに伴うコストの上昇が防止される。
【0112】また、分断された車軸を支承する軸受けが
不要になり、大型化と重量化とコストの上昇とが防止さ
れる。
【0113】また、差動機構とクラッチ機構の分散配置
に伴う重量の分散が防止され、デファレンシャル装置の
重量が車両の幅方向中心側に集中するから、車体のバラ
ンスが取り易い。
【0114】請求項3のデファレンシャル装置は、請求
項2の構成と同等の効果を得ることができる。
【0115】また、アクチュエータに電磁石を用いたこ
とによってクラッチ機構に対する電磁石の配置箇所を自
由に選ぶことが可能になり、電磁石をデフケースの外周
側に配置すれば、デファレンシャル装置の軸方向の大型
化が防止され、電磁石をデフケースの軸方向に配置すれ
ば、デファレンシャル装置の大径化が防止される。
【0116】また、このように周辺部材の配置状況に応
じて電磁石の配置箇所を任意に選択することが可能にな
り、デファレンシャル装置のレイアウトの自由度が高く
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す断面図である。
【図2】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 デファレンシャル装置 3 デフケース 5 ベベルギア式差動機構 7 連結軸 11 噛み合いクラッチ(クラッチ機構) 13 電磁石(噛み合いクラッチ11を操作するアクチ
ュエータ) 33,35 出力側サイドギア

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原動機の駆動力を受けて回転するデフケ
    ースと、原動機の駆動力を一対の出力側サイドギアから
    車軸を介して左右の車輪に配分する差動機構と、いずれ
    か一方のサイドギアとその車軸側との間で駆動力を断続
    するクラッチ機構と、このクラッチ機構を操作するアク
    チュエータとを備え、このアクチュエータが、電磁石で
    あることを特徴とするデファレンシャル装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された発明であって、車
    軸側に連結された連結軸を設け、クラッチ機構を、この
    連結軸とサイドギアとの間に設けることによってデフケ
    ースの内部に配置したことを特徴とするデファレンシャ
    ル装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載された発明であって、電
    磁石が、デフケースの外周、または、デフケースの軸方
    向側面に配置されていることを特徴とするデファレンシ
    ャル装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007092990A (ja) * 2005-09-02 2007-04-12 Gkn ドライブライン トルクテクノロジー株式会社 クラッチ装置およびこのクラッチ装置を用いたデファレンシャル装置
JP2010261582A (ja) * 2009-04-09 2010-11-18 Gkn Driveline Japan Ltd デファレンシャル装置

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JP4721965B2 (ja) * 2005-09-02 2011-07-13 Gknドライブラインジャパン株式会社 クラッチ装置およびこのクラッチ装置を用いたデファレンシャル装置
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