JP2014111789A - 湿気硬化型組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、式;R4−mSi−(OR1)m〔Rは炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表す。R1は炭素数1以上の1価の炭化水素基であるが、(OR1)の少なくとも1個は炭素数2以上のアルコキシ基である。R、(OR1)はそれぞれ複数のときは同じであっても異なっていてもよい。mは1〜4の整数である。〕で表すシラン化合物(B)の部分加水分解縮合物(C)と、オキサゾリジン化合物(D)とからなる湿気硬化型組成物である。
【選択図】なし
Description
しかしながら、ポリウレタン樹脂は、硬化後のゴム引張物性を低モジュラスから高モジュラス(高伸びから低伸び)まで比較的自由に調節できる利点を有している反面、シーリング材や塗膜防水材などに使用するため低モジュラス〜中モジュラス域に設計したとき、ポリウレタン樹脂を含有する湿気硬化型組成物は、硬化後の表面にタック(粘着)が残るため、塵や埃などが付着し易くなり、表面が黒っぽく汚染してしまうという問題が生じる。特にシーリング材などの湿気硬化型組成物を外壁目地や屋上などの屋外に施工した場合、施工直後の完全硬化をしていない段階においては、残存タックが激しいため、例えば風が強く吹くなどして埃が舞ったとき、塵埃付着による汚染が激しく生じてしまう。
さて、水性樹脂塗料分野においては、低汚染性能を発揮する技術として、ポリオキシアルキレン基とアルコキシ基を有するアルコキシシランの変性縮合物である水性塗料用低汚染化剤、及びこれを合成樹脂エマルションに特定量添加した低汚染型水性塗料組成物、ならびに水酸基含有合成樹脂エマルションを含む主剤の硬化剤として、ポリオキシアルキレン基とイソシアネート基含有水分散性ポリイソシアネート化合物と、ポリオキシアルキレン基とアルコキシ基を有するアルコキシシランの変性縮合物と、特定の溶解度パラメータの溶剤を含むものを使用する方法が提案されている(特許文献1及び2参照。)。これらは、水性塗料に対して、アルコキシシラン化合物の相溶性を改良して分散安定性を高め、耐汚染性を向上させる技術であるが、これらは水性エマルションの分野に関するものであり、しかも塗料という硬化した塗膜が硬く元々汚染性が少ないものに関するものである。
しかしながら、非水系の硬化型組成物の分野において、しかも湿気硬化型のシーリング材や塗膜防水材などの硬化物が低モジュラス〜中モジュラス(低硬度〜中硬度)領域の比較的柔らかなものの場合においては、硬化物に対して良好な汚染防止性を付与する効果的な技術がなく、硬化途中の段階においても、そして硬化後長期にわたっても優れた汚染防止性能を有する硬化型組成物が求められている。
そして、本発明者らは先にこれらの課題を解決する手段として、ウレタンプレポリマーと特定のアルコキシシラン化合物とからなる湿気硬化型組成物を提案した。しかし、後にこの湿気硬化型組成物は硬化後、表面に塵埃の付着がなく汚染防止性能に優れているが、その表面に微細な亀裂(ヘアクラック)が発生することが解かり新たな問題点が生じた。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(5)に示されるものである。
R4−mSi−(OR1)m (1)
〔但し、(1)式中、Rは炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表し、Rが複数のときは同じであっても異なっていてもよい。R1は炭素数1以上の1価の炭化水素基であるが、(OR1)の少なくとも1個は炭素数2以上のアルコキシ基である。(OR1)が複数のときは同じであっても異なっていてもよい。mは1〜4の整数である。〕
(2) 前記炭素数2以上のアルコキシ基が、エトキシ基である、前記(1)の湿気硬化型組成物。
(3) 前記シラン化合物が、テトラエトキシシランである、前記(1)の湿気硬化型組成物。
(4) 前記オキサゾリジン化合物(D)が、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物である、前記(1)〜(3)のいずれかの湿気硬化型組成物。
(5) 更に添加剤(E)を配合する、前記(1)〜(4)のいずれかの湿気硬化型組成物。
本発明におけるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)は、イソシアネート基が大気中の水分(湿気)と反応し、尿素結合を形成して架橋、硬化するものであり、活性水素化合物と有機イソシアネートとを活性水素(基)に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られるものであって、本発明の湿気硬化型組成物において硬化成分となるものである。
具体的には、活性水素化合物と有機イソシアネートとを、原料合計のイソシアネート基/活性水素(基)のモル比が1.3〜10/1.0、更には1.5〜3.0/1.0となる範囲で同時或いは逐次に反応させて、好適に製造することができる。モル比が1.3/1.0を下回ると、得られるウレタンプレポリマー(A)の架橋点が少なくなりすぎ、湿気硬化型組成物の硬化後の伸びや引張強度などが低下し、ゴム弾性物性や接着性が乏しいものとなり、モル比が10/1.0を超えると、湿気と反応したとき炭酸ガスの発生量が多くなり発泡の原因となるため好ましくない。
また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基含有量は0.3〜15.0質量%が好ましく、更に0.5〜10質量%が好ましく、特に0.5〜5.0質量%が好ましい。イソシアネート基含有量が0.3質量%未満の場合は、プレポリマー中の架橋点が少ないため、十分な接着性が得られない。イソシアネート基含有量が15.0質量%を超える場合は、プレポリマー中の架橋点が多くなりゴム弾性が悪化する点と、湿気との反応による炭酸ガスの発生量が多くなり硬化物が発泡する点で好ましくない。
製造方法としては、例えば、ガラス製やステンレス製などの反応容器に活性水素化合物と有機イソシアネートとを仕込み、後述する反応触媒や有機溶剤の存在下或いは不存在下に50〜120℃で反応させる方法が挙げられる。この際、イソシアネート基が湿気と反応すると、得られるウレタンプレポリマー(A)が増粘するため、窒素ガス置換、窒素ガス気流下などの湿気を遮断した状態で反応を行うことが好ましい。
高分子のポリオールとしては、ポリオキシアルキレン系ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリエーテル・エステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリルポリオール、炭化水素系ポリオールなどが挙げられ、数平均分子量500以上、好ましくは1,000以上のものである。
なお、本発明において、数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の数値である。
ポリオキシアルキレン系ポリオールとしては、アルキレンオキシドを開環付加重合させたものや、活性水素を2個以上含有する化合物などの開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させたものなどが挙げられる。
開始剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等の低分子多価アルコール類;ソルビトール、シュークロース、グルコース、ラクトース、ソルビタン等の糖類系低分子多価アルコール類;ビスフェノールA、ビスフェノールF等の低分子多価フェノール類;エチレンジアミン、ブチレンジアミン等の低分子ポリアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類;アジピン酸、テレフタル酸等の低分子ポリカルボン酸類;これらの少なくとも1種にアルキレンオキシドを反応させて得られる低分子量のポリオキシアルキレンポリオールなどが挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、これらの混合物などが挙げられる。
すなわち、ポリオキシアルキレン系ポリオールは、具体的には、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)−ランダム或いはブロック共重合ポリオール、ポリ(オキシプロピレン)−ポリ(オキシブチレン)−ランダム或いはブロック共重合ポリオールなどを挙げることができ、また、これらの各種ポリオールとトルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの有機ポリイソシアネートとを、イソシアネート基に対し水酸基過剰で反応させて、分子末端を水酸基としたものも挙げられる。
ポリオキシアルキレン系ポリオールは、良好な作業性などの理由で、数平均分子量が500〜100,000、更に1,000〜30,000、特に1,000〜20,000のものが好ましく、また、1分子当たり平均のアルコール性水酸基の個数は2個以上、更に2〜4個が好ましく、2〜3個が最も好ましい。
更に、ポリオキシアルキレン系ポリオールは、複合金属シアン化錯体などの触媒を使用して得られる、総不飽和度が0.1meq/g以下、更に0.07meq/g以下、特に0.04meq/g以下のものが好ましく、分子量分布〔重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比=Mw/Mn〕が1.6以下、特に1.0〜1.3の狭いものが好ましい。
なお、本発明において、ポリオキシアルキレン系ポリオールとは、分子1モルの水酸基を除いた部分の50質量%以上、更に80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がウレタン、エステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリオレフィンなどで変性されていてもよいことを意味するが、本発明においては、水酸基を除いた分子の95質量%以上がポリオキシアルキレンから成るポリオールが最も好ましい。
ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオールとしては、公知のコハク酸、アジピン酸、テレフタル酸等のジカルボン酸、それらの酸エステル、酸無水物等と、前記のポリオキシアルキレン系ポリオールの合成に開始剤として使用される活性水素を2個以上含有する化合物との脱水縮合反応で得られる化合物が挙げられる。更に、ε−カプロラクトン等の環状エステル(すなわちラクトン)モノマーの開裂重合により得られるラクトン系ポリエステルポリオール等が挙げられる。
ポリエーテル・エステルポリオールとしては、前記ポリオキシアルキレン系ポリオールと前記のジカルボン酸、酸無水物等とから製造される化合物が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、前記のポリオキシアルキレン系ポリオールの製造に用いる低分子多価アルコール類と、ホスゲンとの脱塩酸反応、或いはジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応などから得られる化合物が挙げられる。
ポリ(メタ)アクリルポリオールとしては、水酸基を含有するヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどを他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と共重合したものなどが挙げられる。
炭化水素系ポリオールとしては、ポリブタジエンポリオールや水素添加ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水素添加ポリイソプレンポリオール、塩素化ポリエチレンポリオール、塩素化ポリプロピレンポリオールなどが挙げられる。
ポリオールとしては更に、前記ポリオキシアルキレン系ポリオールの製造原料として挙げた数平均分子量500未満の低分子多価アルコール類が挙げられる。
これらはいずれも単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。
ポリアミンとしては、ポリプロピレングリコールの末端ジアミノ化物などの、数平均分子量500以上でポリオキシアルキレン系ポリオールの末端がアミノ基となったポリオキシアルキレンポリアミン等の高分子ポリアミンが挙げられる。
ポリアミンとしては更に、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン等の数平均分子量500未満の低分子ポリアミンが挙げられる。
これらはいずれも単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのうち、得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の粘度が低く、硬化後の物性が良好なため、これから得られる湿気硬化型組成物の粘度が低く作業性が良好な点と、硬化後のゴム弾性物性や接着性が高い点で、高分子のポリオールが好ましく、更にポリオキシアルキレン系ポリオールが好ましく、特にポリオキシプロピレンポリオールが好ましい。また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の変性用として、ポリオキシアルキレンモノアルコール、ブチルアルコール、オクタデシルモノアルコール等の高分子のモノアルコールや低分子のモノアルコールなども使用できる。
また、これらの有機ポリイソシアネートを変性して得られる、ウレトジオン結合、イソシアヌレート結合、アロファネート結合、ビュレット結合、ウレトンイミン結合、カルボジイミド結合、ウレタン結合、ウレア結合などを1以上含有する変性イソシアネートも使用できる。
これらは単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのうち、得られるウレタンプレポリマー(A)の粘度を低くでき、また得られる湿気硬化型組成物の硬化後の耐候性が良好となる点で、脂肪族系ポリイソシアネートが好ましく、さらに芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートが好ましく、特にイソホロンジイソシアネートが好ましい。
また、更に公知の有機溶媒を用いることもできる。
この(B)及び/又は(C)成分は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と組み合わせることにより、得られる湿気硬化型組成物を湿気に暴露し硬化させたとき、硬化後はもちろん、硬化途中の段階から、その表面に塵埃が付着しない、また少量付着しても雨やシャワー等の流水により簡単に洗い流すことができる、汚染防止性に優れた硬化物表面となる効果を与えるものである。これは、湿気硬化型組成物が湿気により硬化が進行するとともに、前記(B)及び/又は(C)成分が硬化途中の湿気硬化型組成物の表面に移行(ブリード)し、湿気により加水分解を受け、脱アルコールしながら縮合し、親水性の皮膜を形成することによるものと推察される。
なお、この(B)及び/又は(C)成分とは、分子内に少なくとも1個の炭素数2以上のアルコキシ基を有するシラン化合物(B)単独であってもよいし、このシラン化合物(B)の2分子以上が、そのアルコキシ基の一部が水で加水分解し縮合した多量体(部分加水分解縮合物)(C)であってもよいし、また、シラン化合物(B)と、その部分加水分解縮合物(C)との組み合わせであってもよいことを意味する。
R4−mSi−(OR1)m (1)
〔但し、(1)式中、Rは炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表し、Rが複数のときは同じであっても異なっていてもよい。R1は炭素数1以上の1価の炭化水素基であるが、(OR1)の少なくとも1個は炭素数2以上のアルコキシ基である。(OR1)が複数のときは同じであっても異なっていてもよい。mは1〜4の整数である。〕
前記Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、フェニル基などの反応性の官能基を有しない炭素数1〜6の1価の炭化水素基が挙げられる。
R1O基は、mが1のときは、炭素数2以上のアルコキシ基であり、mが2、3又は4のときは、少なくとも1個は炭素数2以上のアルコキシ基である。具体的には、R1として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、フェニル基などの炭素数1〜6の1価の炭化水素基が好適に挙げられ、対応するアルコキシ基(R1O基)として、それぞれメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ヘプトキシ基、ヘキソキシ基、フェノキシ基などが挙げられる。
シラン化合物(B)の部分加水分解縮合物(C)の市販品としては、例えば、コルコート社製の、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物である、エチルシリケート40(平均5量体)、エチルシリケート48(平均約10量体);ジエトキシジメトキシシランの部分加水分解縮合物である、EMS−485(平均約10量体)などが挙げられ、これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用できるが、造膜性に優れ、汚染防止性能と耐候性が優れている点で、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物が好ましい。
なお、前記(B)及び/又は(C)成分において、好ましいものとして、分子内の全てが炭素数2以上のアルコキシ基からなる化合物を選択しても、原料選択により少量のメトキシ基が不純物として存在する場合があるが、メトキシ基の量が、(B)及び/又は(C)成分の10質量%以下、好ましくは5質量%以下ならば、得られる湿気硬化型組成物に対して、硬化後のゴム弾性物性の低下や、汚染防止付与効果の低下などの悪影響を及ぼさない。
オキサゾリジン化合物(D)は、酸素原子と窒素原子を含む飽和5員環の複素環であるオキサゾリジン環を分子内に1個以上、好ましくは2〜6個有する化合物であり、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の潜在性硬化剤として機能するものである。これに加え、オキサゾリジン化合物(D)は、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、前記分子内に少なくとも1個の炭素数2以上のアルコキシ基を有するシラン化合物(B)及び/又はシラン化合物(B)の部分加水分解縮合物(C)とからなる湿気硬化型組成物に配合することにより、湿気硬化型組成物が硬化する際、(B)及び/又は(C)成分がその表面にブリードして硬化皮膜を形成し、汚染防止効果を発揮する反面、硬化物表面に亀裂を発生させる欠点を防止する効果を有するものである。この亀裂発生防止の機構は明白ではないが、硬化物表面において、(B)及び/又は(C)成分が湿気により加水分解を受け、さらに縮合して皮膜を形成する際、この皮膜は硬く脆いものであるが、同様に硬化物表面にブリードしたオキサゾリジン化合物(D)が加水分解を受けて生成した2級アミノ基とアルコール性水酸基の働きにより、(B)及び/又は(C)成分の硬化皮膜が柔軟性を有するようになり、亀裂が発生するのを防止するものと推察される。
なお、前記オキサゾリジン化合物(D)の潜在硬化剤としての機能を説明すると、前記ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基が湿気と反応すると、尿素結合を生成して硬化するが、この際に炭酸ガスも発生し、硬化物の中に炭酸ガスによる気泡が生じて外観の悪化、硬化物の破断、接着性の低下などの不都合を生じるが、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)とオキサゾリジン化合物(D)とを混合したものを湿気に暴露した場合は、湿気とイソシアネート基が反応する前に、オキサゾリジン化合物(D)のオキサゾリジン環が湿気により加水分解を受けて2級アミノ基とアルコール性水酸基を再生し、これらの活性水素(基)がイソシアネート基と反応して炭酸ガスを発生することなく硬化することにより、これらを含む硬化型組成物の炭酸ガスによる発泡を防止できる。
オキサゾリジン化合物(D)としては、具体的に、水酸基含有オキサゾリジン化合物の水酸基と、有機イソシアネート化合物のイソシアネート基や有機カルボン酸化合物のカルボキシル基とを反応させて得られる、ウレタン基(ウレタン結合)含有オキサゾリジン化合物やエステル基含有オキサゾリジン化合物、或いはまた、カーボネート基含有オキサゾリジン化合物などが挙げられ、製造し易く粘度の低い点でウレタン結合含有オキサゾリジン化合物が好ましい。
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の合成に用いられる有機イソシアネート化合物としては、前述のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の合成に用いられる有機イソシアネートと同様のものが挙げられ、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の結晶性が低く溶解性に優れる点で、脂肪族系ポリイソシアネートが好ましく、さらにイソホロンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、特にヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
前記水酸基含有オキサゾリジン化合物としては、アルカノールアミンの2級アミノ基と、ケトン化合物又はアルデヒド化合物のカルボニル基との脱水縮合反応により得られるN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンが挙げられる。
この水酸基含有オキサゾリジン化合物の合成方法としては、アルカノールアミンの2級アミノ基1.0モルに対し、アルデヒド又はケトンのカルボニル基が1.0モル以上、好ましくは1.0〜1.5倍モル、更に好ましくは1.0〜1.2倍モル使用し、トルエン、キシレン等の溶媒中で、加熱、還流し、副生する水を除去しながら脱水結合反応を行う方法が挙げられる。
アルカノールアミンとしてはジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミンなどが挙げられる。ケトン化合物としては、アセトン、ジエチルケトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、イソブチルケトン、メチル−tert−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。アルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、3,5,5−トリメチルヘキシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド;ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、トリメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、イソプロピルベンズアルデヒド、イソブチルベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ジメトキベンズアルデヒド、トリメトキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒドなどが挙げられる。
これらはいずれも単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのうち、水酸基含有オキサゾリジン化合物の製造の容易さと、得られる湿気硬化型組成物が硬化するときの発泡防止性と、表面の亀裂発生を防止する性能に優れている点で、アルカノールアミンとしてはジエタノールアミンが好ましく、ケトン化合物又はアルデヒド化合物のうちアルデヒド化合物が好ましく、さらにイソブチルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、ベンズアルデヒドが好ましい。これらの具体的な例として、2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−(1−メチルブチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジンなどが挙げられる。
前記オキサゾリジン化合物(D)の使用量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)中のイソシアネート基1.0モルに対して、オキサゾリジン化合物(D)が加水分解して再生する2級アミノ基の活性水素が0.1モル以上、さらに0.2〜1.0モルとなるように使用するのが好ましい。0.1モル未満では発泡防止が不十分となり好ましくない。
添加剤(E)としては、耐候性付与剤、充填剤、揺変性付与剤、貯蔵安定性改良剤(脱水剤)、着色剤、可塑剤、意匠性付与剤などが挙げられ、これらの種類や、種類中の化合物は、用途に応じて適宜選択して、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリストール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)]、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノールなどが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤;オクタベンゾン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤が挙げられる。
充填剤は、目的を達成する上で、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、1質量部以上、さらに5〜300質量部、特に10〜200質量部が好ましい。
揺変性付与剤としては、コロイダルシリカ、前記脂肪酸処理炭酸カルシウム等の無機揺変剤、有機ベントナイト、脂肪酸アマイド等の有機揺変剤が挙げられる。
これらのうち、揺変性付与効果が高い点で脂肪酸処理炭酸カルシウムが好ましい。
揺変性付与剤は、目的を達成する上で、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、0.1質量部以上、さらに1〜300質量部、特に10〜200質量部が好ましい。
なお、貯蔵安定性改良剤(脱水剤)は、系中の水分を除去し、貯蔵安定性を向上させるのに必要な量を、着色剤も所望の色調に着色するのに必要な量を使用すればよい。
可塑剤の使用量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対し、1〜100質量部、さらに10〜60質量部が好ましい。
表面の艶を消すとともに凹凸を付与するものとしては、粒状物やバルーンなどが挙げられ、粒状物としては前記充填剤として挙げたものと同様のもので、粒径が50μm以上の大きなものが挙げられる。
バルーンは中空の物質であり、その形状は球状だけでなく、立方状、直方状、金平糖状など各種あり、また湿気硬化型組成物に対する凹凸付与効果を消失させない程度にバルーンを少し破壊したものも挙げられるが、湿気硬化型組成物の作業性の良さから球状が好ましい。具体的に例えば、ガラスバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、セラミックバルーン等の無機系バルーン、フェノール樹脂バルーン、尿素樹脂バルーン、ポリスチレンバルーン、ポリエチレンバルーン、サランバルーン等の有機系バルーン、或いは無機系化合物と有機系化合物を混合したり積層したりした複合化バルーンなどが挙げられる。
また、これらのバルーンをコーティングしたり表面処理したりしたものも使用でき、例えば、無機系バルーンをシランカップリング剤などで表面処理したもの、有機系バルーンを炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどでコーティングしたものなども挙げられる。
これらのうち、意匠性付与効果の大きさの点から、粒状物及び/又はバルーンが好ましく、更に粒状無機系充填剤及び/又は無機系バルーンが好ましく、特に粗粒重質炭酸カルシウム及び/又はセラミックバルーンが好ましい。
粒状物及び/又はバルーンの粒径は、意匠性付与効果の大きさの点から50μm以上、更には100〜1,000μmが好ましい。
前記硬化促進触媒としては、具体的には、金属と有機酸との塩、有機金属と有機酸との塩、金属キレート化合物、3級アミン類などが挙げられ、金属と有機酸との塩としては、オクチル酸錫、ナフテン酸錫、オクチル酸ビスマス、オクチル酸ジルコニウム等の各種有機酸と、錫、ビスマス、ジルコニウム、亜鉛、マンガン等の各種金属との塩が挙げられる。有機金属と有機酸との塩としては、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物などが挙げられる。金属キレート化合物としては、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅などが挙げられる。3級アミン類としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン(DABCO)、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどが挙げられ、さらにこれら3級アミン類と有機カルボン酸の塩類なども挙げられる。
これらのうち、前記効果の高い点で、金属キレート化合物が好ましく、さらにジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)が好ましい。硬化促進触媒の使用量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、0.001〜5質量部、さらに0.01〜2質量部が好ましい。
有機溶剤としては、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基と反応しないものであればどのようなものでもよいが、例えば、n−ヘキサン等の脂肪族系溶剤、トルエンやキシレン等の芳香族系溶剤、ミネラルスピリット、ナフテン類、灯油、工業ガソリン等の石油留分系溶剤、酢酸エチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、ジメチルカーボネート等の炭酸エステル系溶剤などが挙げられる。
有機溶剤は安全性の点で、湿気硬化型組成物中に10質量%未満、更に5質量%未満、より更に1質量%未満となるように使用するのが好ましく、最も好ましいのは0質量%と使用しないことである。
製造した湿気硬化型組成物は、湿気により増粘、硬化するものであるため、内容物の貯蔵安定性を保つため湿気を遮断できる容器に詰め、密封して貯蔵するのが好ましい。前記容器としては湿気を遮断できる容器であれば何でもよいが、例えばドラム缶、金属製や合成樹脂製のペール缶や袋状容器、紙製や合成樹脂製のカートリッジ状容器など各種の容器が挙げられる。そして使用に際し、湿気硬化型組成物を詰めた容器を開封し、手動や電動の押出しガンや、塗布装置を用いて、施工の対象物に充填や塗布をして施工すればよい。
本発明の湿気硬化型組成物は、建築物や土木構築物のシーリング材、接着剤、塗膜防水材などとして広く使用できるが、湿気硬化型組成物が硬化途中においても、そして硬化後長期にわたっても優れた汚染防止性能を有するという特徴を最大限に発揮できる点で、湿気硬化型組成物を硬化後の表面が塵埃の暴露を受けやすく、太陽光や雨水に暴露されやすい場所に施工することを用途とするのが好ましい。
また、本発明の湿気硬化型組成物は、硬化後の物性を低モジュラスで高伸びの柔らかなゴム弾性物性を有するように設計しても、硬化物の表面が優れた汚染防止性能を発揮するため、建築物や土木構築物のシーリング材として使用するのが更に好ましい。
なお、このシーリング材が施工の対象とする、サイディングや金属カーテンウオールなどで形成された建築物の外壁目地において、施工したシーリング材の硬化後、その表面に塗料を上塗りすることなく、シーリング材硬化物表面が直接屋外の周囲環境に暴露される目地を総称して暴露目地というため、本発明の湿気硬化型組成物を、暴露目地用のシーリング材として使用するのが特に好ましい。
なお、シーリング材において、前記硬化後の物性が低モジュラスで高伸びとは、JIS A 1439(1997、改正2002)「建材用シーリング材の試験方法」、4.21引張接着性試験のb)養生後の引張試験により、50%引張応力(M50)が50N/cm2以下、好ましくは30N/cm2以下、破断時の伸び(Eb)が300%以上、好ましくは500%以上のことである。
ここにおいて、湿気硬化型組成物の例として1液湿気硬化型シーリング材を示したが、これらに限定されるものではない。
攪拌機、温度計、窒素導入管及び加温・冷却装置の付いた反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレンジオール(旭硝子社製、エクセノール3021、数平均分子量3,300)を703gと、ポリオキシプロピレントリオール(三井化学ポリウレタン社製、Triol−MN−4000、数平均分子量4,000)を162g仕込み、攪拌しながらイソホロンジイソシアネート(デグサジャパン社製、VESTANAT IPDI、分子量222)を135gと、反応触媒としてジブチル錫ジラウレート(日東化成社製、ネオスタンU−100)を0.5gを加え、加温して70〜80℃で4時間反応し、イソシアネート基含有量が理論値(2.81質量%)以下となった時点で反応を終了し、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1を合成した。
得られたイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1は、滴定による実測イソシアネート基含有量2.69質量%、粘度8,000mPa・s/25℃、常温で透明な粘稠液体であった。
撹拌機、温度計、窒素シール管、エステル管及び加温・冷却装置の付いた反応容器に、窒素気流下にジエタノールアミン(分子量105)を435gとトルエンを183g仕込み、撹拌しながらさらにイソブチルアルデヒド(分子量72.1)を328g仕込み、加温して110〜150℃で3時間、還流脱水反応を続け、副生する水(74.5g)を系外に除いた。反応終了後、さらに減圧下(50〜70hPa)で加熱し、トルエンと未反応のイソブチルアルデヒドを除去し、中間の反応生成物であるN−ヒドロキシエチル−2−イソプロピルオキサゾリジンを得た。
次いで、得られたN−ヒドロキシエチル−2−イソプロピルオキサゾリジン659gに、ヘキサメチレンジイソシアネート(分子量168)を341g加え、80℃で8時間加熱した。滴定による実測イソシアネート基含有量が0.0質量%となった時点を反応終点とし、分子内にウレタン結合によりオキサゾリジン環を2個有する化合物O−1を得た。この得られたウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1は、常温で半透明の液体であった。
攪拌機、加熱、冷却装置及び窒素導入管付き混練容器に、窒素ガスを流しながら、合成例1で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1を100g仕込み、攪拌しながら予めそれぞれ100〜110℃の乾燥機中で乾燥して水分含有量を0.05質量%以下にした重質炭酸カルシウム20gと、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム(白石工業社製、白艶華CCR)100gと、酸化チタン10gと、ジイソノニルフタレート(DINP)40gを順次仕込み、内容物が均一になるまで混合した。次いで、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGANOX1010、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])を1gと、p−トルエンスルホニルモノイソシアネート0.3gと、テトラエトキシシラン(コルコート社製、エチルシリケート28、単量体)を0.3gと、合成例2で得たウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1を12gと、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)(日東化成社製、ネオスタンU−220)を0.03g仕込み、内容物が均一になるまでさらに混合した。次いで、50〜100hPaで減圧脱泡し、容器に充填、密封して、1液湿気硬化型シーリング材S−1を調製した。
得られた1液湿気硬化型シーリング材S−1は、常温で白色のペースト状液体であった。
参考例1において、テトラエトキシシラン(単量体)を2g使用した以外は同様にして、常温で白色ペースト状液体の1液湿気硬化型シーリング材S−2を調製した。
参考例1において、テトラエトキシシラン(単量体)の代わりに、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均5量体)(コルコート社製、エチルシリケート40)を2g使用した以外は同様にして、常温で白色ペースト状液体の1液湿気硬化型シーリング材S−3を調製した。
参考例1において、テトラエトキシシラン(単量体)の代わりに、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均約10量体)(コルコート社製、エチルシリケート48)を、それぞれ0.5gと3g使用した以外は同様にして、常温で白色ペースト状液体の1液湿気硬化型シーリング材S−4及びS−5をそれぞれ調製した。
参考例1において、テトラエトキシシランを1g使用し、さらにテトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均約10量体)(コルコート社製、エチルシリケート48)を1g使用した以外は同様にして、常温で白色ペースト状液体の1液湿気硬化型シーリング材S−6を調製した。
参考例1において、テトラエトキシシラン及びウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1を使用しない以外は同様にして、常温で白色ペースト状液体の1液湿気硬化型シーリング材比較S−1を調製した。
参考例1において、テトラエトキシシランを2g使用し、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1を使用しない以外は同様にして、常温で白色ペースト状液体の1液湿気硬化型シーリング材比較S−2を調製した。
参考例1において、テトラエトキシシランの代わりに、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均5量体)(コルコート社製、エチルシリケート40)を2g使用し、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1を使用しない以外は同様にして、常温で白色ペースト状液体の1液湿気硬化型シーリング材比較S−3を調製した。
参考例1において、テトラエトキシシランの代わりに、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(平均約10量体)を3g使用し、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1を使用しない以外は同様にして、常温で白色ペースト状液体の1液湿気硬化型シーリング材比較S−4を調製した。
参考例1において、テトラエトキシシランを使用しない以外は同様にして、常温で白色ペースト状液体の1液湿気硬化型シーリング材比較S−5を調製した。
参考例1〜2及び実施例3〜6で得た1液湿気硬化型シーリング材S−1〜S−6、及び比較例1〜5で得た1液湿気硬化型シーリング材比較S−1〜比較S−5を用いて、以下の試験方法により試験をした。その結果を配合組成とともに表1及び2に示す。
1.スランプ
JIS A 1439(1997、改正2002)「建築用シーリング材の試験方法」の4.1スランプ試験により、23℃におけるスランプ(縦)を測定した。
2.発泡防止性
ラワン合板を下地とし、その上にラワンの角棒を平行に接着し、幅10mm×深さ10mm×長さ150mmの目地を作製し、この目地に1液湿気硬化型シーリング材を泡の巻き込みがないように充填し、余分のシーリング材をヘラでかきとり表面を平らにしたものを試験体とした。試験体を50℃、80%相対湿度の恒温恒湿器中に2日間置き促進硬化させた後取り出し、カッターでシーリング材硬化物を目地から切り離し、硬化物内部の気泡の有無を目視により観察した。
硬化物内部に発泡による亀裂や気泡が認められないか、または極めて少ないものを○、発泡が多数認められるものを×と評価した。
3.汚染性
(a)硬化途中(室内養生1日後)の汚染性
厚さ5mmのスレート板の表面に、厚さ5mm×幅20mmの短冊状に切り出したスレート板を四角枠状に配置し接着剤を用いて接着し、深さ5mm×幅20mm×長さ150mmの目地を作製し、この目地に1液湿気硬化型シーリング材を充填し、余分のものをヘラでかきとり、表面を平らにしたものを試験体とした。
試験体を必要数作製し、直ちに23℃、50%相対湿度の室内に水平にして置いた。1日経過後、試験体の表面に黒色珪砂(粒径70〜110μm)をふりかけた後、直ちに試験体を裏返し、底を手でたたき、余分の黒色珪砂を落とした。表面に付着して残った黒色珪砂(汚れ)の状態を目視により観察し、硬化途中の汚染性を下記の判定基準により評価した。
なお、このとき試験体の表面を指で軽く触れたところ、シーリング材は指に付着してこず、表面は硬化していたが、内部は硬化していなかった。
判定基準
○:表面に黒色珪砂の付着がほとんど認められず、きれいな状態。
×:表面に黒色珪砂が多量に付着し、黒く汚れた状態。
(b)硬化後(室内養生7日後)の汚染性
前記硬化途中の汚染性試験において、試験体を23℃、50%相対湿度の室内に置いてから、7日経過後に黒色珪砂をふりかけた以外は同様にして、硬化後の汚染性を試験した。
判定基準
○:表面に黒色珪砂の付着がほとんど認められず、きれいな状態。
×:表面に黒色珪砂が多量に付着し、黒く汚れた状態。
(c)屋外暴露(1ヶ月後)の汚染性
前記硬化途中の汚染性試験において作製したのと同様の試験体を必要数作製し、23℃、50%相対湿度の室内に1日置いた後、屋外の交通量の多い交差点付近に、目地の表面が道路に面する向きに、その長さ方向を垂直にして設置し暴露した。1ヶ月経過後、試験体を取り外し、試験体表面の塵埃付着による汚染の状態を目視により観察し、屋外暴露1ヶ月後の汚染性を下記の判定基準により評価した。
判定基準
○:表面に塵埃の付着がほとんど認められず、きれいな状態。
×:表面に塵埃が多量に付着し、黒く汚れた状態。
4.硬化物表面の亀裂の有無
前記硬化途中の汚染性試験において作製したのと同様の試験体を必要数作製し、23℃、50%相対湿度の室内に7日間置いた後の、及び、これとは別に、23℃、50%相対湿度の室内に1日置いた後、屋外の交通量の多い交差点近くに、目地の表面が道路に面する向きに、その長さ方向を垂直にして設置し1ヶ月間暴露した後の、それぞれの硬化シーリング材の表面を目視で観察し、表面に亀裂の発生が認められないものを○、表面に亀裂の発生が認められるものを×と評価した。
Claims (5)
- イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、下記一般式(1)で表す、分子内に少なくとも1個の炭素数2以上のアルコキシ基を有するシラン化合物(B)の部分加水分解縮合物(C)と、オキサゾリジン化合物(D)とからなること、を特徴とする湿気硬化型組成物。
R4−mSi−(OR1)m (1)
〔但し、(1)式中、Rは炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表し、Rが複数のときは同じであっても異なっていてもよい。R1は炭素数1以上の1価の炭化水素基であるが、(OR1)の少なくとも1個は炭素数2以上のアルコキシ基である。(OR1)が複数のときは同じであっても異なっていてもよい。mは1〜4の整数である。〕 - 前記炭素数2以上のアルコキシ基が、エトキシ基である、請求項1に記載の湿気硬化型組成物。
- 前記シラン化合物が、テトラエトキシシランである、請求項1に記載の湿気硬化型組成物。
- 前記オキサゾリジン化合物(D)が、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の湿気硬化型組成物。
- 更に添加剤(E)を配合する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の湿気硬化型組成物。
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