JP2014111399A - 自動車の脚払い構造 - Google Patents
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【解決手段】脚払い部材40は、軽衝突荷重に対し、側部40Sの変形後の前後長L1が、中央部40Cの変形後の前後長L2よりも短く設定されると共に、軽衝突時に折れ起点となる弱部43が車幅方向に延設され、該弱部43は、車幅方向側部40Sよりも中央部40Cの前後方向剛性が高く成されていることを特徴とする。
【選択図】図12
Description
すなわち、車幅方向に延びて車体前部に支持されると共に、第1の荷重(フロントサイドフレームの耐力)以下の前突荷重(軽衝突荷重)から車体を保護するバンパ部材(バンパレインフォースメント、または、バンパレインフォースメントとクラッシュカンとの組合せ)と、該バンパ部材よりも後方で車幅方向に延びると共に、上記第1の荷重よりも低い第2の荷重(支持部材に求められる荷重)まで耐えられる車体側の支持部材(シュラウドサポート、または、車体構成部材としてのシュラウド枠)と、該支持部材の左右端部に支持されるよう、車幅方向に延設され、かつ、上記バンパ部材よりも下方から車両前方に延設されると共に、上記第2の荷重よりも低い第3の荷重(脚払い反力)で変形する脚払い部材(樹脂製のロアスティフナ、アンダカバーなど)と、を備えたものである。
つまり、上述の脚払い部材には適度な高剛性化と低剛性という相反する要求があり、これらの要求を満たすように脚払い部材を構成することは困難であった。
このような問題点を解決するために既に特許文献1に開示された自動車の脚払い構造が発明されている。
すなわち、空力特性や車両旋回性の観点で、車両前端のフロントバンパフェースやバンパレインフォースメント(バンパ部材)を平面視で前方に凸状に湾曲させ、シュラウドサポート(支持部材)は車幅方向に略直線的に配した場合には、脚払い部材の車幅方向側部の後端とバンパレインフォースメント(バンパ部材)との間の車両前後方向の距離が小さく、これら両者間の前後位置の差が小さいので、脚払い部材の前後変形量が大きくなり、変形に必要な荷重が急激に高まって、シュラウドサポート(支持部材)が破損する懸念があった。
上述のバンパ部材は、バンパレインフォースメント、または、バンパレインフォースメントとクラッシュカンとの組合せに設定してもよく、上述の支持部材は、シュラウドサポートまたは車体構成部材としてのシュラウド枠に設定してもよく、上述の脚払い部材は、樹脂製のロアスティフナやアンダカバーまたは発泡樹脂部材あるいは鉄板などに設定してもよい。
また、上述の第1の荷重は、フロントサイドフレームの耐力を意味し、第1の荷重以下の前突荷重は軽衝突荷重を意味し、上述の第2の荷重は、支持部材に求められる荷重を意味し、上述の第3の荷重は、脚払い反力を意味する。
また、上記弱部は、車幅方向側部よりも中央部の前後方向剛性が高く成されているので、前後変形量が小さく、前後方向の潰れ残りストロークが大きい脚払い部材の車幅方向中央部は、前後方向剛性を高めることで、軽量高剛性化を図ることができる。
要するに、脚払い部材の側部(車幅方向側部)を、オフセット軽衝突時にコンパクトに折れるように低剛性化し、脚払い部材の車幅方向中央部を軽量高剛性化したものである。
換言すれば、脚払い部材の側部を低剛性化し、かつ該側部前縁を上述の如く傾斜させることで、車両前面デザイン性と、脚払い性能と、リペア(repair)性能(リペアとは修理、手入れの意)とを確保することができる。
上述のクラッシュカンは、軽衝突時に前後方向に潰れるメインクラッシュカンに設定してもよい。
つまり、支持部材を保護しながら、上記クラッシュカンで前突荷重を吸収するので、軽衝突時にはクラッシュカンを取替える修理のみでよく、リペア性能の向上を図ることができる。
上述の車体側剛性部材は、脚払い部材よりも高剛性のサブクラッシュカンに設定してもよい。
上述の補強部は、弱部の前方において車両前後方向に傾斜して形成される傾斜リブに設定してもよい。
図面は自動車の脚払い構造を示し、図1は当該脚払い構造を示す斜視図、図2は図1から緩衝部材、バンパレインフォースメント、フロントサイドフレームを取外した状態で示す要部の斜視図である。
図1において、エンジンルームの車幅方向両サイドを車両の前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレーム1,1を設けている。このフロントサイドフレーム1は、フロントサイドフレームインナとフロントサイドアウタとを接合固定して、車両の前後方向に延びる閉断面を有する車体強度部材である。
上述のフロントサイドフレーム1の前端には、クロージングプレート2およびメインクラッシュカン側のベースプレート3を介してメインクラッシュカン4を取付けている。
上述のバンパレインフォースメント5におけるバンパレインフロントパネル6の前面には、該バンパレインフロントパネル6に沿って、車幅方向に延びる緩衝部材としてのEA部材9を取付けている。このEA部材9は歩行者の膝荷重を受け止めるものである。図1,図10に示すように、該EA部材9におけるメインクラッシュカン4対応部位よりも若干車幅方向内側には、取付け穴9a,9aを形成し、左右一対の取付け穴9a,9aにてクリップ等の取付け部材10を用いて当該EA部材9をバンパレインフロントパネル6に取付けたものである。
このサブフレーム11は、車幅方向に延びるセンタクロスメンバ12(いわゆるサスクロス本体)と、このセンタクロスメンバ12の左右両側部からフロントサイドフレーム1の下方部において車両の前後方向に延びる閉断面構造のフロントサイドメンバ13,13と、左右のフロントサイドメンバ13,13の前部相互間を車幅方向に連結するフロントクロスメンバ14と、上述のセンタクロスメンバ12の左右両側部から車両の前後方向に延びる閉断面構造のリヤサイドメンバ(図示せず)と、左右のリヤサイドメンバ間を車幅方向に連結するリヤクロスメンバ(図示せず)と、を備えている。
また、図1に示すように、フロントサイドメンバ13の後部には、該フロントサイドメンバ13から上方に立上がるタワー部17(車体取付け部材)を設け、このタワー部17の上端部を図示しないマウント部材にて、フロントサイドフレーム1の下面部に連結している。
このサブクラッシュカン20は、後述する脚払い部材(ロアスティフナ40)よりも高剛性に形成されている。
図3は図2の正面図、図4は図3の右側面図、図5は図3の底面図である。
図6において、25はフロントバンパフェース、26はバンパフェース25の車幅方向中間に位置するアッパガーニッシュ、27はグリル、28はセンタメンバ、29はガーニッシュ、30は導風口、31はアンダカバーであり、車両前端の少なくともフロントバンパフェース25は、空力特性を考慮して、平面視で前方に凸状に湾曲形成されている。
要するに、この実施例の自動車の脚払い構造は、車幅方向に延びて車体前部に支持されると共に、第1の荷重(フロントサイドフレーム1の耐力)以下の前突荷重(つまり軽衝突荷重)から車体を保護するバンパ部材であるバンパレインフォースメント5と、当該バンパレインフォースメント5よりも後方で車幅方向に延びると共に、上記第1の荷重よりも低い第2の荷重(シュラウドサポート21に求められる荷重)まで耐えられる車体側の支持部材としてのシュラウドサポート21と、このシュラウドサポート21の左右端部に支持されるよう、車幅方向に延設され、かつ、上記バンパレインフォースメント5よりも下方から前方に延設されると共に、上記第2の荷重よりも低い第3の荷重(脚払い反力)で変形する脚払い部材としての合成樹脂製のロアスティフナ40とを備えた構成を、前提構造とするものである。
つまり、脚払い部材としてのロアスティフナ40は、シュラウドサポート21よりも車幅方向外側に延びると共に、車体側剛性部材であるサブクラッシュカン20と前後方向に対面する延長端部40Eを備えている。
また、上述のロアスティフナ40は、側部40Sの前側の縁部から前方に前方凸部40F,40Fが一体に延設されると共に、側部40Sの後側の縁部から後方に後方凸部40R,40Rが一体に延設されており、該後方凸部40R,40Rと嵌合するように上述のシュラウドサポート21のシュラウドロア21Lにおける前面側部には凹部21aが形成されている。
また、上述のロアスティフナ40は、図2に示すフラット形状(平滑面形状)の上面部40a,40bと、この上面部40aの左右両側端から下方に延びる左右の側片40d,40dと、上面部40aの前端から下方に延びる前片40e(但し、この前片40eは各部40C,40S,40Eの前端から下方に延びる車幅方向全体の垂下片を意味する)と、上面部40a,40bの後端から下方に延びる後片40f(但し、この後片40fは各部40C,40S,40Eの後端から下方に延びる車幅方向全体の垂下片を意味する)と、を備えている。
また、図5に底面図で示すように、ロアスティフナ40の下面側には車両前後方向に延びると共に、車幅方向に並ぶ複数の前後リブ44を一体形成すると共に、上述のV字溝43と上下方向で一致するロアスティフナ40下面側には中央部40Cから左右の側部40S,40Sの車幅方向端部まで車幅方向に延びる横リブ45を一体形成している。
上述の傾斜リブ46は左側の側部40Sの左端近傍から右側の側部40Sの右端近傍までの車幅方向の範囲内において形成されており、該傾斜リブ46は、隣り合う前後リブ44を連結し、上述のV字溝43の前方において該V字溝43に対し車両前後方向に傾斜して形成されており、かつ、V字溝43に対して前方に凸に湾曲、または逆V字状のアーチ形状に形成されており、複数のアーチ状部が左右に連続して、V字溝43の前方全域に車幅方向にジグザグ形状に延設されたものである。
また、図5に示すように、前方頂部46Aの直後部には、箱形のアンダカバー取付け部47を設けると共に、この箱形のアンダカバー取付け部47のコーナ部2辺を切欠いて脆弱化するように水抜き孔48を形成し、ロアスティフナ40の剛性、生産性、機能性を確保するように構成している。
つまり、合計4つのアンダカバー取付け部47…のうち、車幅方向中央側に位置するアンダカバー取付け部47,47間と対応する位置には、上記追加横リブ49を設けないように構成している。
つまり、ロアスティフナ40の車幅方向中央側は、車両デザインの関係上、クラッシュ時に変形残り代が大きいので、上面側にリブ50を設けて、剛性を高め、軽量高剛性化を図りつつ、通常時(非衝突時)の上下振動を防止すべく構成したものである。
しかも、ロアスティフナ40は、第1の荷重(フロントサイドフレーム1の耐力)以下の前突荷重(つまり軽衝突荷重)に対し、側部40Sの変形後の前後長L1(図12参照)が、中央部40Cの変形後の前後長L2(図12参照)よりも短く(L1<L2)なるよう設定されている。
さらに、図5に示すように、サブクラッシュカン20の前端と、ロアスティフナ40における延長端部40Eの後片40fとの間には隙間Gが設けられており、組付け性と、走行時の両者40E,20の干渉防止との両立を図るように構成している。
通常時、ロアスティフナ40前端は図7〜図11に示すように、バンパレインフォースメント5よりも車両前方に位置しており、車両デザインの関係上、バンパレインフォースメント5はその車幅方向中央が車幅方向両サイドと比較して前方へ湾曲状に突出している。このため、軽衝突時におけるロアスティフナ40の変形後の前後長は、ロアスティフナ中央部に対し、ロアスティフナ側部の方が短くなる。
つまり、軽衝突荷重に対し、側部40Sの変形後の前後長L1が、中央部40Cの変形後の前後長L2よりも短く(L1<L2)なるものである。
なお、図8,図9,図10において、51はアッパガーニッシュ26およびグリル27と、シュラウドサポート21のシュラウドアッパ21Uとを連結するシュラウドアッパパネルである。また、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示す。
また、上記弱部(V字溝43)は、車幅方向側部40Sよりも中央部40Cの前後方向剛性が高く成されているので、フルセット軽衝突時において、前後変形量が小さく、前後方向の潰れ残りストロークが大きい脚払い部材(ロアスティフナ40)の車幅方向中央部40Cは、前後方向剛性を高めることで、軽量高剛性化を図ることができる。
要するに、脚払い部材(ロアスティフナ40)の側部(車幅方向側部)40Sを、オフセット軽衝突時にコンパクトに折れるように低剛性化し、脚払い部材(ロアスティフナ40)の車幅方向中央部40Cを軽量高剛性化したものである。
また、上記車体側の支持部材(シュラウドサポート21参照)は、脚払い部材(ロアスティフナ40参照)を支持する部位21bが車幅方向に略直線的に延設され、上記バンパ部材(バンパレインフォースメント5)と脚払い部材(ロアスティフナ40)とは、その車幅方向側部の前縁が、車幅方向外側後方に傾斜しているものである(図1,図5参照)。
換言すれば、脚払い部材(ロアスティフナ40)の側部40Sを低剛性化し、かつ該側部40S前縁を上述の如く傾斜(後傾)させることで、車両前面デザイン性と、脚払い性能と、リペア(repair)性能(リペアとは修理、手入れの意)とを確保することができる。
さらに、上記バンパ部材(バンパレインフォースメント5参照)は、その左右両端部に、前後方向に延びて衝突荷重を吸収変形するクラッシュカン(メインクラッシュカン4参照)が設けられたものである(図1,図11参照)。
つまり、支持部材(シュラウドサポート21)を保護しながら、上記クラッシュカン(メインクラッシュカン4)で前突荷重を吸収するので、軽衝突時にはクラッシュカン(メインクラッシュカン4)を取替える修理を行えばよく、シュラウドサポート21は破損しないので、リペア性能の向上を図ることができる。
さらにまた、上記脚払い部材(ロアスティフナ40参照)は、上記支持部材(シュラウドサポート21参照)よりも車幅方向外側に延びると共に、車体側剛性部材(ロアスティフナ40よりも剛性が高いサブクラッシュカン20参照)と前後方向に対面する延長端部40Eが設けられたものである(図5参照)。
加えて、上記脚払い部材(ロアスティフナ40)の側部40Sは、その前部に車幅方向に延びる補強部(傾斜リブ46参照、特に図5において側部40Sに対応する位置の傾斜リブ46)が設けられたものである(図5参照)。
この実施例では、上述の補強部は、弱部(V字溝43)の前方において、該弱部と離間して、車両前後方向に傾斜して形成される傾斜リブ46に設定している。
この発明のバンパ部材は、実施例のバンパレインフォースメント5に対応し、
以下同様に、
支持部材は、シュラウドサポート21に対応し、
脚払い部材は、ロアスティフナ40に対応し、
弱部は、V字溝43に対応し、
クラッシュカンは、メインクラッシュカン4に対応し、
車体側剛性部材は、サブクラッシュカン20に対応し、
補強部は、傾斜リブ46に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
また、支持部材はシュラウドサポートに限らず、バンパ部材よりも剛性が低く、かつ、左右フロントサイドフレーム1の前部間に架け渡されたクロスメンバであってもよい。
5…バンパレインフォースメント(バンパ部材)
20…サブクラッシュカン(車体側剛性部材)
21…シュラウドサポート(支持部材)
40…ロアスティフナ(脚払い部材)
40C…中央部
40S…側部
40E…延長端部
43…V字溝(弱部)
46…傾斜リブ(補強部)
Claims (5)
- 車幅方向に延びて車体前部に支持されると共に、第1の荷重以下の前突荷重から車体を保護するバンパ部材と、
該バンパ部材よりも後方で車幅方向に延びると共に、上記第1の荷重よりも低い第2の荷重まで耐えられる車体側の支持部材と、
該支持部材の左右端部に支持されるよう、車幅方向に延設され、かつ上記バンパ部材よりも下方から前方に延設されると共に、上記第2の荷重よりも低い第3の荷重で変形する脚払い部材と、を備えた
自動車の脚払い構造であって、
上記脚払い部材は、上記第1の荷重以下の前突荷重に対し、側部の変形後の前後長が、中央部の変形後の前後長よりも短く設定されると共に、
軽衝突時に折れ起点となる弱部が車幅方向に延設され、
該弱部は、車幅方向側部よりも中央部の前後方向剛性が高く成されていることを特徴とする
自動車の脚払い構造。 - 上記車体側の支持部材は、脚払い部材を支持する部位が車幅方向に略直線的に延設され、上記バンパ部材と脚払い部材とは、その車幅方向側部の前縁が、車幅方向外側後方に傾斜している
請求項1記載の自動車の脚払い構造。 - 上記バンパ部材は、その左右両端部に、前後方向に延びて衝突荷重を吸収変形するクラッシュカンが設けられた
請求項1または2記載の自動車の脚払い構造。 - 上記脚払い部材は、上記支持部材よりも車幅方向外側に延びると共に、車体側剛性部材と前後方向に対面する延長端部が設けられた
請求項1〜3の何れか1項に記載の自動車の脚払い構造。 - 上記脚払い部材の側部は、その前部に車幅方向に延びる補強部が設けられた
請求項1〜4の何れか1項に記載の自動車の脚払い構造。
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