本発明は、画像処理装置、画像形成装置、及び画像処理プログラムに関し、特に、印刷時における使用トナー量を低減させる画像処理に関する。
コピー機やプリンター等の画像形成装置には、原稿の複数頁をまとめて1枚の記録紙に印刷する集約印刷のために、印刷対象とする画像データを縮小する画像処理を行うものがある(下記特許文献1参照)。この集約印刷により、多数頁の原稿を印刷する際に記録紙を節約できる。また、画像形成装置には、予め定められたマスクパターンで画像データをマスク処理する画像処理を行って、トナー使用量を低減して印刷対象の画像を印刷するトナーセーブ印刷を行う画像形成装置がある(下記特許文献2参照)。
特開2002−300369号公報
特開2000−301768号公報
しかしながら、上記集約印刷では、複数頁分の画像データを縮小して1頁相当分の画像データを生成する画像処理が行われ、また、上記トナーセーブ印刷は、画像の印刷に本来必要なトナー量を減らすことで画像品質が低下するため、集約印刷及びトナーセーブ印刷を併せて行うと、例えば文字画像は、文字が小さくなる上に、上記トナー量低減で画像が粗くなって、文字としての可読性が低下する。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、文字画像の可読性を極力低下させずに、集約印刷及びトナーセーブ印刷を併せて行うことを目的とする。
本発明の一局面に係る画像処理装置は、印刷対象とする画像データを取得するデータ取得部と、操作者から、集約率を指定した集約印刷の実行指示と、使用トナー量を低減した印刷であるトナーセーブ印刷の実行指示とを受け付ける指示受付部と、異なるドット間引き率からなる複数の画像変換パターンと、各画像変換パターンに対応する集約率とを、大きな集約率であるほど、ドット間引き率が小さい画像変換パターンを対応付けて記憶する画像変換パターン記憶部と、前記指示受付部に前記集約印刷及び前記トナーセーブ印刷の実行指示が受け付けられているとき、当該集約印刷について指定されている集約率に対応付けられた画像変換パターンを前記画像変換パターン記憶部から読み出し、当該画像変換パターンを用いて、前記データ取得部に取得された画像データに画像処理を行う画像処理部とを備えたものである。
また、本発明の一局面に係る画像形成装置は、上記画像処理装置と、前記画像処理部による前記画像処理後の前記画像データを用いて印刷を行う印刷部とを備える。
また、本発明の一局面に係る画像処理プログラムは、印刷対象とする画像データを取得するデータ取得部と、操作者から、集約率を指定した集約印刷の実行指示と、使用トナー量を低減した印刷であるトナーセーブ印刷の実行指示とを受け付ける指示受付部と、異なるドット間引き率からなる複数の画像変換パターンと、各画像変換パターンに対応する集約率とを、大きな集約率であるほど、ドット間引き率が小さい画像変換パターンを対応付けて記憶する画像変換パターン記憶部と、前記指示受付部に前記集約印刷及び前記トナーセーブ印刷の実行指示が受け付けられているとき、当該集約印刷について指定されている集約率に対応付けられた画像変換パターンを前記画像変換パターン記憶部から読み出し、当該画像変換パターンを用いて、前記データ取得部に取得された画像データに画像処理を行う画像処理部として、コンピューターを機能させるものである。
本発明によれば、文字画像の可読性を低下させることなく、集約印刷及びトナーセーブ印刷を併せて行うことが可能になる。
本発明の一実施形態に係る画像処理装置を備えた画像形成装置の構造を示す正面断面図である。
画像形成装置の主要内部構成を示す機能ブロック図である。
画像変換パターン記憶部に集約率に応じて記憶されているマスクパターンの例を示す図である。
各ガンマ変換パターンの特性を示す図である。
画像形成装置で集約印刷及びトナーセーブ印刷を併せて実行する際における画像処理を示すフローチャートである。
読取対象とされる原稿と、集約印刷及びトナーセーブ印刷を併せて行って得た印刷物の例を示す図である。
以下、本発明の一実施形態に係る画像処理装置、画像形成装置、及び画像処理プログラムについて図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置を備えた画像形成装置の構造を示す正面断面図である。
本発明の一実施形態に係る画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、およびファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機である。画像形成装置1は、装置本体11に、操作部47、画像形成部12、定着部13、給紙部14、原稿給送部6、及び原稿読取部5等を備えて構成されている。
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について操作者から画像形成動作実行指示や原稿読取動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部47は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。
画像形成装置1が原稿読取動作を行う場合、原稿給送部6により給送されてくる原稿、又は原稿載置ガラス161に載置された原稿の画像を原稿読取部5が光学的に読み取り、画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは内蔵HDD又はネットワーク接続されたコンピューター等に保存される。
画像形成装置1が画像形成動作を行う場合は、上記原稿読取動作により生成された画像データ、又はネットワーク接続されたコンピューターから受信した画像データ、又は内蔵HDDに記憶されている画像データ等に基づいて、画像形成部(印刷部)12が、給紙部14から給紙される記録媒体としての記録紙Pにトナー像を形成する。カラー印刷を行う場合、画像形成部12のマゼンタ用の画像形成ユニット12M、シアン用の画像形成ユニット12C、イエロー用の画像形成ユニット12Y、及びブラック用の画像形成ユニット12Bkは、それぞれに、上記画像データを構成するそれぞれの色成分からなる画像に基づいて、帯電、露光、及び現像の工程により感光体ドラム121上にトナー像を形成し、当該トナー像を一次転写ローラー126により中間転写ベルト125上に転写させる。
中間転写ベルト125上に転写される上記各色のトナー画像は、転写タイミングを調整して中間転写ベルト125上で重ね合わされ、カラーのトナー像となる。二次転写ローラー210は、中間転写ベルト125の表面に形成された当該カラーのトナー像を、中間転写ベルト125を挟んで駆動ローラー125aとのニップ部Nにおいて、給紙部14から搬送路190を搬送されてきた記録紙Pに転写させる。この後、定着部13が、記録紙P上のトナー像を、熱圧着により記録紙Pに定着させる。定着処理の完了したカラー画像形成済みの記録紙Pは、排出トレイ151に排出される。
給紙部14は、複数の給紙カセットを備える。制御部100(図2)は、操作者による指示で指定されたサイズの記録紙が収容された給紙カセットのピックアップローラー145を回転駆動させて、各給紙カセットに収容されている記録紙Pを上記ニップ部Nに向けて搬送させる。
なお、画像形成装置1において、両面印刷を行う場合は、画像形成部12より一方の面に画像が形成された記録紙Pを、排出ローラー対159にニップされた状態とした後、当該記録紙Pを排出ローラー対159によりスイッチバックさせて反転搬送路195に送り、搬送ローラー対19により、上記ニップ部N及び定着部13に対して記録紙Pの搬送方向上流域に再度搬送する。これにより、画像形成部12により当該記録紙の他方の面に画像が形成される。
図2は、画像形成装置1の主要内部構成を示す機能ブロック図である。画像形成装置1は、制御ユニット10、操作部47、原稿給送部6、原稿読取部5、画像メモリー32、画像形成部12、定着部13、駆動モーター70、ファクシミリ通信部71、ネットワークインターフェイス部91、及びHDD92等を備える。
原稿読取部(データ取得部)5は、制御ユニット10による制御の下、光照射部及びCCDセンサー等を有する読取機構163(図1)を備える。原稿読取部5は、光照射部により原稿を照射し、その反射光をCCDセンサーで受光することにより、原稿から画像を読み取る。
画像メモリー32は、原稿読取部5による読取で得られた原稿画像のデータを一時的に記憶したり、画像形成部12のプリント対象となるデータを一時的に保存する領域である。
ファクシミリ通信部71は、図略の符号化/復号化部、変復調部及びNCU(Network Control Unit)を備え、公衆電話回線網を用いてのファクシミリの送信を行うものである。
ネットワークインターフェイス部91は、LANボード等の通信モジュールから構成され、当該ネットワークインターフェイス部91に接続されたLAN等を介して、ローカルエリア内又はインターネット上のコンピューター20等と種々のデータの送受信を行う。なお、ネットワークインターフェイス部91は、特許請求の範囲におけるデータ取得部の一例となる。
HDD92は、原稿読取部5によって読み取られた原稿画像等を記憶する大容量の記憶装置である。
駆動モーター70は、画像形成部12の各回転部材及び搬送ローラー対19等に回転駆動力を付与する駆動源である。
制御ユニット10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM、ROM及び専用のハードウェア回路等から構成され、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御ユニット10は、制御部100、指示受付部101、画像変換パターン記憶部102、画像処理部103、及び判別部104を備える。
制御部100は、操作部47、原稿給送部6、原稿読取部5、画像メモリー32、画像形成部12、定着部13、駆動モーター70、ファクシミリ通信部71、ネットワークインターフェイス部91、及びHDD92等と接続され、これら各部の制御を行う。
指示受付部101は、操作者による操作部47の操作により、又はネットワークインターフェイス部91を介してネットワーク上のPC20から、集約印刷の実行指示と、トナーセーブ印刷の実行指示とを受け付ける。集約印刷とは、原稿複数頁分の画像データを縮小して1枚の記録紙に印刷可能なレイアウトに構成して1枚の記録紙に印刷する印刷方式である。指示受付部101は、集約率の指定、すなわち、何頁分の原稿の画像データを1枚に集約するかの指定も、上記集約印刷の実行指示として受け付ける。また、トナーセーブ印刷は、印刷対象となる画像データの印刷に本来必要なトナー使用量よりもトナー使用量を低減して当該画像データを印刷する印刷方式である。
画像変換パターン記憶部102は、異なる間引き率からなる複数の画像変換パターンと、各画像変換パターンに対応する集約率とを、大きな集約率であるほど、ドット間引き率が小さい画像変換パターンを対応付けて記憶したデータテーブルを有する。本実施形態では、画像変換パターンとして、(1)マスク処理に用いるマスクパターン、又は(2)ガンマ変換処理に用いるガンマ変換パターンを記憶している。
画像変換パターン記憶部102に記憶されている画像変換パターンを説明する。図3は、画像変換パターン記憶部102に集約率に応じて記憶されているマスクパターンの例を示す図である。図4は各ガンマ変換パターンの特性を示す図である。
例えば、画像変換パターン記憶部102には、図3に示すように、4画素×4画素のマスクパターンが3種類記憶されている。マスクパターンm1は印字率25%=4画素/16画素、マスクパターンm2は印字率50%=8画素/16画素、マスクパターンm3は印字率75%=12画素/16画素である。なお、図3に示す各マスクパターンにおいて、「1」を付した画素が印字を行う画素、「0」を付した画素が
これらマスクパターンm1〜m3は、それぞれ異なる集約率に対応付けられている。ここでは集約率を、集約印刷時に1頁に纏める頁数により示し、例えば、2頁分の原稿を1頁に集約する場合の集約率を2in1、4分の原稿を1頁に集約する場合の集約率を4in1とする。本実施形態では、集約率が当該2種類である場合を例にして説明する。
そして、マスクパターンm1(印字率25%)は、集約印刷を行わずに(集約率1in1)、トナーセーブ印刷のみを行う場合のマスク処理に用いられる。すなわち、マスクパターンm1は、集約率1in1に対応付けられている。マスクパターンm2(印字率50%)は集約率2in1に対応付けられている。マスクパターンm3(印字率75%)は、集約率4in1に対応付けられている。画像変換パターン記憶部102は、これらマスクパターン及び対応付けられた集約率を上記データテーブルに記憶している。すなわち、画像変換パターン記憶部102には、異なる間引き率からなり、対応付けられた集約率が大きいほど、間引き率が小さい複数のマスクパターンが記憶されている。
また、画像変換パターン記憶部102に、画像変換パターンとして、ガンマ変換パターンが集約率と対応付けて記憶される場合は、図4に示す特性に対応する各関係式がガンマ変換パターンg1〜g3として画像変換パターン記憶部102に記憶されている。ガンマ変換処理は、画像データの低濃度部分を更に濃度を低下させ、高濃度部分は当該低濃度部分よりも濃度の低下量を抑えて濃度低下させる画像変換処理である。
これらガンマ変換パターンg1〜g3は、それぞれ異なる集約率に対応付けられている。ガンマ変換パターンg1(中濃度部のコントラストが強度。図4にg1として特性を示す)は、集約率1in1に対応付けられている。ガンマ変換パターンg2(中濃度部のコントラストが中程度。図4にg2として特性を示す)は集約率2in1に対応付けられている。ガンマ変換パターンg3(中濃度部のコントラストが低度。図4にg3として特性を示す)は、集約率4in1に対応付けられている。画像変換パターン記憶部102は、ガンマ変換パターンg1〜g3及びそれぞれに対応付けられた集約率を上記データテーブルに記憶している。すなわち、画像変換パターン記憶部102には、異なる間引き率からなる複数のガンマ変換パターンが、対応付けられた集約率が大きいほど、間引き率が小さいガンマ変換パターンが記憶されている。
画像処理部103は、画像変換パターン記憶部102に記憶されている画像変換パターンを用いて、印刷対象としての画像データに画像処理を行う。画像処理部103は、指示受付部101に、印刷対象とする画像データに対して集約印刷及びトナーセーブ印刷の両方を実行する指示が受け付けられているとき、当該集約印刷について指定されている集約率に対応付けられた画像変換パターンを画像変換パターン記憶部102から読み出し、当該画像変換パターンを用いて、原稿読取部5又はネットワークインターフェイス部91に取得された印刷対象としての画像データに画像処理を行う。
判別部104は、原稿読取部5又はネットワークインターフェイス部91に取得された印刷対象としての画像データが、文字画像又はイメージ画像のいずれであるかを、画像データの頁単位で判別する。なお、以下には、文字画像からなる頁を文字画像頁、イメージ画像からなる頁をイメージ画像頁と記す。
なお、判別部104は、画像データから文字画像を判別する技術として、例えば、エッジ検出処理の手法を用いる。この場合、判別部104は、印刷対象となる画像データの示す画像を構成する各画素を順次注目画素とし、その注目画素と周辺画素を抽出して、それらの画素に対してエッジ検出フィルタを用いたフィルタ処理を施すことにより、画像の輪郭を構成するエッジ画素を検出するエッジ検出処理を行う。そして、判別部104は、このエッジ検出処理でエッジを検出した場合に、当該注目画素をエッジ画素と判定し、当該エッジ画素に基づいて文字画像を判定する。例えば、判別部104は、注目画素と、注目画素に隣接する8近傍画素との各々の輝度の差分値を算出し、所定の閾値よりも大きな値を有する差分値が、一定個数以上(例えば4個以上)ある場合、その注目画素は、文字画像を構成するエッジ画素であると判定する。判別部104は、当該エッジ画素が、予め定められた閾値以上存在する画像を文字画像として判別する。そして、判別部104は、原稿1頁分の画像において、当該文字画像の分布密度が、規定された密度(例えば、20%)よりも高くなっていると判定した場合に、当該原稿頁の画像データを文字画像頁と判別する。また、判別部104は、当該原稿1頁分の画像データについて、当該文字画像の分布密度が上記規定された密度以下と判定した場合に、当該原稿頁の画像データをイメージ画像頁と判別する。なお、当該イメージ画像には、写真画像、図形画像、グラフィック画像等が含まれる。
また、画像変換パターン記憶部102は、イメージ画像の画像処理用に設定された間引き率の画像変換パターン(マスクパターン又はガンマ変換パターン)を更に記憶している。なお、このイメージ画像用の画像変換パターンの間引き率は、集約印刷の集約率に拘わらず固定の値として記憶されている。画像変換パターン記憶部102は、イメージ画像の画像処理用に設定された間引き率の画像変換パターンとして、上記マスクパターンm1又はガンマ変換パターンg1を記憶している。
また、画像処理部103は、指示受付部101に集約印刷及びトナーセーブ印刷の両方を実行する指示が受け付けられているときに、判別部104により判別された文字画像頁の画像データについて、集約率に対応付けられた画像変換パターンを用いて画像処理を行い、判別部104により判別されたイメージ画像頁に対応する画像データについては、イメージ画像の画像処理用の画像変換パターンを用いて画像処理を行う。
なお、本発明の一実施形態に係る画像処理装置は、上記指示受付部101、画像変換パターン記憶部102、画像処理部103、及び判別部104を備えてなる。但し、判別部104は、以下に示す実施形態において必要となる限りで、本発明の一実施形態に係る画像処理装置の構成要素となる。
制御ユニット10は、HDD92にインストールされている画像処理プログラムに従った動作により、制御部100(集約印刷及びトナーセーブ印刷を併せて実行する際における後述の画像処理に関する機能)、指示受付部101、画像変換パターン記憶部102、画像処理部103、及び判別部104として機能する。但し、当該制御部100、指示受付部101、画像変換パターン記憶部102、画像処理部103、及び判別部104は、制御ユニット10による画像処理プログラムに従った動作によらず、それぞれハード回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
次に、画像形成装置1で集約印刷及びトナーセーブ印刷を併せて実行する際における画像処理を説明する。図5は、画像形成装置1で集約印刷及びトナーセーブ印刷を併せて実行する際における画像処理を示すフローチャートである。図6は読取対象とされる原稿と、集約印刷及びトナーセーブ印刷を併せて行って得た印刷物の例を示す図である。
本実施形態は、画像処理部103が、上記画像処理としてマスク処理を行う実施形態である。また、以下には、原稿読取部5による原稿読取で取得される画像データを印刷対象の画像データとする場合を例にして説明するが、ネットワークインターフェイス部91に上記PC20等から取得された画像データを印刷対象の画像データとして以下に示す画像処理を行ってもよい。
操作者による操作部47の操作によりコピー指示が入力されると(S1でYES)、画像処理部103は、指示受付部101にトナーセーブ印刷の実行指示が受け付けられているかを判断する(S2)。ここで、画像処理部103は、指示受付部101にトナーセーブ印刷の実行指示が受け付けられていないと判断すると(S2でNO)、更に、集約印刷の実行指示が指示受付部101に受け付けられているかを判断する(S12)。
画像処理部103が、集約印刷の実行指示が受け付けられていないと判断した場合(S12でNO)、制御部100により、トナーセーブ印刷及び集約印刷のいずれも行わない設定でコピー動作に伴う原稿読取動作及び画像形成動作が実行される(S19)。
一方、画像処理部103が、集約印刷の実行指示が受け付けられていると判断した場合は(S12でYES)、制御部100により、コピー動作に伴う原稿読取動作及び画像形成動作が実行されると共に、当該原稿読取動作で取得された画像データに対して従来一般の集約印刷に必要な画像処理が実行される(S13)。
また、画像処理部103は、上記S2において、指示受付部101にトナーセーブ印刷の実行指示が受け付けられていると判断した場合(S2でYES)、集約印刷の実行指示が指示受付部101に受け付けられているかを判断する(S3)。ここで、画像処理部103が、集約印刷の実行指示が受け付けられていないと判断すると(S3でNO)、画像処理部103は、集約印刷を行わずにトナーセーブ印刷を行うために、集約率1in1に対応付けられているマスクパターンm1を画像変換パターン記憶部102から読み出し、当該マスクパターンm1を用いて、原稿読取部5による原稿読取で取得される全頁の画像データにマスク処理を行うように設定する(S15)。
上記S15の後、制御部100は、原稿読取部5に原稿載置台61に載置された原稿読取を開始させ、原稿画像の画像データを生成させる(S16)。続いて、画像処理部103は、当該原稿読取部5による読取で取得された画像データに対して、マスクパターンm1を用いてマスク処理を行う(S17)。この後、制御部100は、画像形成部12に当該画像データの画像形成(印刷)を行わせる(S18)。
また、上記S3において、画像処理部103が、指示受付部101に集約印刷の実行指示が受け付けられていると判断した場合は(S3でYES)、画像処理部103は、当該集約印刷の指示で指定されている集約率に応じたマスクパターンを画像変換パターン記憶部102から読み出し、当該マスクパターンを、当該原稿読取部5による読取で取得される画像データのうち、文字画像頁に対するマスク処理に用いるマスクパターンとして設定する(S4)。
例えば、画像処理部103は、集約印刷の指示で指定されている集約率が2in1であるときは、画像変換パターン記憶部102から、当該2in1の集約率に対応付けられているマスクパターンm2を読み出して、文字画像頁に対するマスク処理用として設定する。また、画像処理部103は、上記集約率が4in1であるときは、画像変換パターン記憶部102から、当該4in1の集約率に対応付けられているマスクパターンm3を読み出して、文字画像頁に対するマスク処理用として設定する。なお、画像処理部103は、当該指定された集約率に拘わらず、原稿読取部5による読取で取得される画像データのうちイメージ画像頁に対するマスク処理に用いるマスクパターンとして、画像変換パターン記憶部102から、マスクパターンm1を読み出して設定する。
この後、制御部100は、原稿読取部5に原稿載置台61に載置された原稿読取を開始させ、読み終わった原稿についての画像データを順次生成させる(S5)。なお、本実施形態では、S5において、原稿読取部5が原稿載置台61に載置された全ての原稿読取を行うものとし、原稿読取が終了して画像データが生成された頁から順次に、以降の各処理の対象とされるものとして説明している。
続いて、判別部104は、当該原稿読取で取得された各頁の画像データについて、1頁毎に、当該頁の画像データが文字画像頁であるか、イメージ画像頁であるかを判別する(S6)。
判別部104が文字画像頁であると判別した場合(S6でYES)、上記指定された集約率に対応する縮小率で当該画像データを縮小し、更に、S4で当該集約率に応じて文字画像頁に設定したマスクパターンを用いてマスク処理を行う(S7)。
一方、判別部104がイメージ画像頁であると判別した場合は(S6でNO)、上記指定された集約率に対応する縮小率で当該画像データを縮小し、更に、S4で設定したイメージ画像用のマスクパターンを用いてマスク処理を行う(S14)。
画像処理部103は、指示受付部101に実行指示が受け付けられている集約印刷の集約率が示す1頁に集約する頁分(集約率Nin1の場合にN頁分)の画像データについて上記画像処理が終わったと判断したとき、又は、原稿最終頁の画像データについて上記画像処理が終わったと判断したとき(S8でYES)、当該頁分の画像データを原稿1頁分に相当する画像データに合成する(S9)。制御部100は、画像形成部12に当該合成処理で生成された集約後の1頁分の画像データについて画像形成(印刷)を行わせる(S10)。
なお、S8において、画像処理部103が、集約印刷の集約率が示す1頁に集約する頁分の画像データについて上記画像処理が終わっていないと判断したとき、又は、原稿最終頁の画像データまで上記画像処理が終わっていないと判断したときは(S8でNO)、処理はS6に戻る。
この後、画像処理部103は、上記画像処理が原稿最終頁の画像データまで終了しているかを判断し(S11)、終了していない場合は(S11でNO)、処理はS6に戻り、終了している場合は(S11でYES)、処理を終了する。
上記に示した集約印刷及びトナーセーブ印刷と、これら両印刷を行う際に行われる上記マスクパターンを用いたマスク処理により、図6(A)に例を示す、原稿読取部5による読取対象となる原稿が、文字画像で構成される1頁目の原稿D1、イメージ画像で構成される2頁目の原稿D2,3頁目の原稿D3、文字画像で構成される4頁目の原稿D4の印刷を行う場合を説明する。
集約率2in1の集約印刷及びトナーセーブ印刷を行う場合、図6(B)に示すように、2頁分の文字画像が集約して印刷される1頁目の記録紙P1は、文字画像頁となる原稿D1に対応する部分p11はマスクパターンm2により印字率50%で印刷され、イメージ画像頁となる原稿D2に対応する部分p12はマスクパターンm1により印字率25%で印刷される。また、2頁目の記録紙P1は、イメージ画像頁となる原稿D3に対応する部分p13はマスクパターンm1により25%で印刷され、文字画像頁となる原稿D4に対応する部分p14はマスクパターンm2により印字率50%で印刷される。
一方、集約率4in1の集約印刷及びトナーセーブ印刷を行う場合、図6(C)に示すように、4頁分の文字画像が集約して印刷される1頁目の記録紙P1’は、文字画像頁となる原稿D1に対応する部分p11はマスクパターンm3により印字率75%で印刷され、イメージ画像頁となる原稿D2,原稿D3に対応する部分p12,p13はマスクパターンm1により印字率25%で印刷され、文字画像頁となる原稿D4に対応する部分p14はマスクパターンm3により印字率75%で印刷される。
上記実施形態によれば、画像変換パターン記憶部102は、異なるドット間引き率からなる複数の画像変換パターンと、各画像変換パターンに対応する集約率とを、大きな集約率であるほど、ドット間引き率が小さい画像変換パターンを対応付けて記憶し、画像処理部103は、指示受付部101に集約印刷及びトナーセーブ印刷の実行指示が受け付けられているときは、当該集約印刷について指定されている集約率に対応付けられた画像変換パターンを画像変換パターン記憶部102から読み出し、当該画像変換パターンを用いて、原稿読取部5による原稿読取で取得された画像データに上記画像処理を行うので、当該原稿読取で取得された画像データを集約印刷により縮小した上でトナーセーブ印刷する場合であっても、集約率に応じてトナー量を制限することで、可及的に画像品質を保つことができる。これにより、印刷結果物に文字画像が含まれる場合であっても、文字画像の可読性を極力低下させずに、集約印刷及びトナーセーブ印刷を併せて行うことが可能になる。
また、判別部104が、上記原稿読取で取得された画像データを頁毎に文字画像頁であるかイメージ画像頁であるかを判別し、画像処理部103は、文字画像頁であると判別された場合は集約率に応じた画像変換パターンを用いて上記画像処理を行い、イメージ画像頁であると判別された場合は、イメージ画像固有の画像変換パターンを用いて上記画像処理を行うので、上記図6(C)に例を示したように、トナー量低減処理により輪郭が潰れやすく可読性に影響がある文字画像については、集約率に応じたトナー量制限とすることで可及的に画像品質を保ちつつ、このような問題のないイメージ画像については、文字画像よりもトナー低減量を多くした印刷として、トナー量低減の効果を可及的に担保することが可能になる。
なお、上記実施形態では、トナーセーブ印刷時に行う画像処理として、マスク処理を行う場合を説明したが、これに代えて、画像変換パターン記憶部102に集約率に応じて又はイメージ画像に対応付けて記憶されているガンマ変換パターンを用いてガンマ変換処理を行ってもよい。この場合、上記実施形態において、マスクパターンに換えてガンマ変換パターンを用い、マスク処理に代えてガンマ変換処理を行う。
また、上記実施形態では、画像処理部103は、文字画像及びイメージ画像の別に応じた画像変換パターン(マスクパターン又はガンマ変換パターン)の使い分けを行っているが、これに限定されず、文字画像及びイメージ画像を区別せずに、集約率に応じてのみ画像変換パターンの使い分けを行う場合も、本発明の一実施形態である。
本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。図1乃至図6を用いて上記各実施形態に示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明の構成及び処理はこれに限定されるものではない。
1 画像形成装置
5 原稿読取部
10 制御ユニット
100 制御部
101 指示受付部
102 画像変換パターン記憶部
103 画像処理部
104 判別部
12 画像形成部
91 ネットワークインターフェイス部
m1〜m3 マスクパターン
g1〜g3 ガンマ変換パターン
本発明は、画像処理装置、画像形成装置、及び画像処理プログラムに関し、特に、印刷時における使用トナー量を低減させる画像処理に関する。
コピー機やプリンター等の画像形成装置には、原稿の複数頁をまとめて1枚の記録紙に
印刷する集約印刷のために、印刷対象とする画像データを縮小する画像処理を行うものがある(下記特許文献1参照)。この集約印刷により、多数頁の原稿を印刷する際に記録紙を節約できる。また、画像形成装置には、予め定められたマスクパターンで画像データをマスク処理する画像処理を行って、トナー使用量を低減して印刷対象の画像を印刷するトナーセーブ印刷を行う画像形成装置がある(下記特許文献2参照)。
特開2002−300369号公報
特開2000−301768号公報
しかしながら、上記集約印刷では、複数頁分の画像データを縮小して1頁相当分の画像データを生成する画像処理が行われ、また、上記トナーセーブ印刷は、画像の印刷に本来必要なトナー量を減らすことで画像品質が低下するため、集約印刷及びトナーセーブ印刷を併せて行うと、例えば文字画像は、文字が小さくなる上に、上記トナー量低減で画像が粗くなって、文字としての可読性が低下する。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、文字画像の可読性を極力低下させずに、集約印刷及びトナーセーブ印刷を併せて行うことを目的とする。
本発明の一局面に係る画像処理装置は、印刷対象とする画像データを取得するデータ取得部と、操作者から、集約率を指定した集約印刷の実行指示と、使用トナー量を低減した印刷であるトナーセーブ印刷の実行指示とを受け付ける指示受付部と、異なるドット間引き率からなる複数の画像変換パターンと、各画像変換パターンに対応する集約率とを、大きな集約率であるほど、ドット間引き率が小さい画像変換パターンを対応付けて記憶する画像変換パターン記憶部と、前記指示受付部に前記集約印刷及び前記トナーセーブ印刷の実行指示が受け付けられているとき、当該集約印刷について指定されている集約率に対応付けられた画像変換パターンを前記画像変換パターン記憶部から読み出し、当該画像変換パターンを用いて、前記データ取得部に取得された画像データに画像処理を行う画像処理部とを備えたものである。
また、本発明の一局面に係る画像形成装置は、上記画像処理装置と、前記画像処理部による前記画像処理後の前記画像データを用いて印刷を行う印刷部とを備える。
また、本発明の一局面に係る画像処理プログラムは、印刷対象とする画像データを取得するデータ取得部と、操作者から、集約率を指定した集約印刷の実行指示と、使用トナー量を低減した印刷であるトナーセーブ印刷の実行指示とを受け付ける指示受付部と、異なるドット間引き率からなる複数の画像変換パターンと、各画像変換パターンに対応する集約率とを、大きな集約率であるほど、ドット間引き率が小さい画像変換パターンを対応付けて記憶する画像変換パターン記憶部と、前記指示受付部に前記集約印刷及び前記トナーセーブ印刷の実行指示が受け付けられているとき、当該集約印刷について指定されている集約率に対応付けられた画像変換パターンを前記画像変換パターン記憶部から読み出し、当該画像変換パターンを用いて、前記データ取得部に取得された画像データに画像処理を行う画像処理部として、コンピューターを機能させるものである。
本発明によれば、文字画像の可読性を低下させることなく、集約印刷及びトナーセーブ印刷を併せて行うことが可能になる。
本発明の一実施形態に係る画像処理装置を備えた画像形成装置の構造を示す正面断面図である。
画像形成装置の主要内部構成を示す機能ブロック図である。
画像変換パターン記憶部に集約率に応じて記憶されているマスクパターンの例を示す図である。
各ガンマ変換パターンの特性を示す図である。
画像形成装置で集約印刷及びトナーセーブ印刷を併せて実行する際における画像処理を示すフローチャートである。
読取対象とされる原稿と、集約印刷及びトナーセーブ印刷を併せて行って得た印刷物の例を示す図である。
以下、本発明の一実施形態に係る画像処理装置、画像形成装置、及び画像処理プログラムについて図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置を備えた画像形成装置の構造を示す正面断面図である。
本発明の一実施形態に係る画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、およびファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機である。画像形成装置1は、装置本体11に、操作部47、画像形成部12、定着部13、給紙部14、原稿給送部6、及び原稿読取部5等を備えて構成されている。
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について操作者から画像形成動作実行指示や原稿読取動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部47は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。
画像形成装置1が原稿読取動作を行う場合、原稿給送部6により給送されてくる原稿、又は原稿載置ガラス161に載置された原稿の画像を原稿読取部5が光学的に読み取り、画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは内蔵HDD又はネットワーク接続されたコンピューター等に保存される。
画像形成装置1が画像形成動作を行う場合は、上記原稿読取動作により生成された画像データ、又はネットワーク接続されたコンピューターから受信した画像データ、又は内蔵HDDに記憶されている画像データ等に基づいて、画像形成部(印刷部)12が、給紙部14から給紙される記録媒体としての記録紙Pにトナー像を形成する。カラー印刷を行う場合、画像形成部12のマゼンタ用の画像形成ユニット12M、シアン用の画像形成ユニット12C、イエロー用の画像形成ユニット12Y、及びブラック用の画像形成ユニット12Bkは、それぞれに、上記画像データを構成するそれぞれの色成分からなる画像に基づいて、帯電、露光、及び現像の工程により感光体ドラム121上にトナー像を形成し、当該トナー像を一次転写ローラー126により中間転写ベルト125上に転写させる。
中間転写ベルト125上に転写される上記各色のトナー画像は、転写タイミングを調整して中間転写ベルト125上で重ね合わされ、カラーのトナー像となる。二次転写ローラー210は、中間転写ベルト125の表面に形成された当該カラーのトナー像を、中間転写ベルト125を挟んで駆動ローラー125aとのニップ部Nにおいて、給紙部14から搬送路190を搬送されてきた記録紙Pに転写させる。この後、定着部13が、記録紙P上のトナー像を、熱圧着により記録紙Pに定着させる。定着処理の完了したカラー画像形成済みの記録紙Pは、排出トレイ151に排出される。
給紙部14は、複数の給紙カセットを備える。制御部100(図2)は、操作者による指示で指定されたサイズの記録紙が収容された給紙カセットのピックアップローラー145を回転駆動させて、各給紙カセットに収容されている記録紙Pを上記ニップ部Nに向けて搬送させる。
なお、画像形成装置1において、両面印刷を行う場合は、画像形成部12より一方の面に画像が形成された記録紙Pを、排出ローラー対159にニップされた状態とした後、当該記録紙Pを排出ローラー対159によりスイッチバックさせて反転搬送路195に送り、搬送ローラー対19により、上記ニップ部N及び定着部13に対して記録紙Pの搬送方向上流域に再度搬送する。これにより、画像形成部12により当該記録紙の他方の面に画像が形成される。
図2は、画像形成装置1の主要内部構成を示す機能ブロック図である。画像形成装置1は、制御ユニット10、操作部47、原稿給送部6、原稿読取部5、画像メモリー32、画像形成部12、定着部13、駆動モーター70、ファクシミリ通信部71、ネットワークインターフェイス部91、及びHDD92等を備える。
原稿読取部(データ取得部)5は、制御ユニット10による制御の下、光照射部及びCCDセンサー等を有する読取機構163(図1)を備える。原稿読取部5は、光照射部により原稿を照射し、その反射光をCCDセンサーで受光することにより、原稿から画像を読み取る。
画像メモリー32は、原稿読取部5による読取で得られた原稿画像のデータを一時的に記憶したり、画像形成部12のプリント対象となるデータを一時的に保存する領域である。
ファクシミリ通信部71は、図略の符号化/復号化部、変復調部及びNCU(Network Control Unit)を備え、公衆電話回線網を用いてのファクシミリの送信を行うものである。
ネットワークインターフェイス部91は、LANボード等の通信モジュールから構成され、当該ネットワークインターフェイス部91に接続されたLAN等を介して、ローカルエリア内又はインターネット上のコンピューター20等と種々のデータの送受信を行う。なお、ネットワークインターフェイス部91は、特許請求の範囲におけるデータ取得部の一例となる。
HDD92は、原稿読取部5によって読み取られた原稿画像等を記憶する大容量の記憶装置である。
駆動モーター70は、画像形成部12の各回転部材及び搬送ローラー対19等に回転駆動力を付与する駆動源である。
制御ユニット10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM、ROM及び専用のハードウェア回路等から構成され、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御ユニット10は、制御部100、指示受付部101、画像変換パターン記憶部102、画像処理部103、及び判別部104を備える。
制御部100は、操作部47、原稿給送部6、原稿読取部5、画像メモリー32、画像形成部12、定着部13、駆動モーター70、ファクシミリ通信部71、ネットワークインターフェイス部91、及びHDD92等と接続され、これら各部の制御を行う。
指示受付部101は、操作者による操作部47の操作により、又はネットワークインターフェイス部91を介してネットワーク上のPC20から、集約印刷の実行指示と、トナーセーブ印刷の実行指示とを受け付ける。集約印刷とは、原稿複数頁分の画像データを縮小して1枚の記録紙に印刷可能なレイアウトに構成して1枚の記録紙に印刷する印刷方式である。指示受付部101は、集約率の指定、すなわち、何頁分の原稿の画像データを1枚に集約するかの指定も、上記集約印刷の実行指示として受け付ける。また、トナーセーブ印刷は、印刷対象となる画像データの印刷に本来必要なトナー使用量よりもトナー使用量を低減して当該画像データを印刷する印刷方式である。
画像変換パターン記憶部102は、異なる間引き率からなる複数の画像変換パターンと、各画像変換パターンに対応する集約率とを、大きな集約率であるほど、ドット間引き率が小さい画像変換パターンを対応付けて記憶したデータテーブルを有する。本実施形態では、画像変換パターンとして、(1)マスク処理に用いるマスクパターン、又は(2)ガンマ変換処理に用いるガンマ変換パターンを記憶している。
画像変換パターン記憶部102に記憶されている画像変換パターンを説明する。図3は、画像変換パターン記憶部102に集約率に応じて記憶されているマスクパターンの例を示す図である。図4は各ガンマ変換パターンの特性を示す図である。
例えば、画像変換パターン記憶部102には、図3に示すように、4画素×4画素のマスクパターンが3種類記憶されている。マスクパターンm1は印字率25%=4画素/16画素、マスクパターンm2は印字率50%=8画素/16画素、マスクパターンm3は印字率75%=12画素/16画素である。なお、図3に示す各マスクパターンにおいて、「1」を付した画素が印字を行う画素、「0」を付した画素が印字を行わない画素である。
これらマスクパターンm1〜m3は、それぞれ異なる集約率に対応付けられている。ここでは集約率を、集約印刷時に1頁に纏める頁数により示し、例えば、2頁分の原稿を1頁に集約する場合の集約率を2in1、4分の原稿を1頁に集約する場合の集約率を4in1とする。本実施形態では、集約率が当該2種類である場合を例にして説明する。
そして、マスクパターンm1(印字率25%)は、集約印刷を行わずに(集約率1in1)、トナーセーブ印刷のみを行う場合のマスク処理に用いられる。すなわち、マスクパターンm1は、集約率1in1に対応付けられている。マスクパターンm2(印字率50%)は集約率2in1に対応付けられている。マスクパターンm3(印字率75%)は、集約率4in1に対応付けられている。画像変換パターン記憶部102は、これらマスクパターン及び対応付けられた集約率を上記データテーブルに記憶している。すなわち、画像変換パターン記憶部102には、異なる間引き率からなり、対応付けられた集約率が大きいほど、間引き率が小さい複数のマスクパターンが記憶されている。
また、画像変換パターン記憶部102に、画像変換パターンとして、ガンマ変換パターンが集約率と対応付けて記憶される場合は、図4に示す特性に対応する各関係式がガンマ変換パターンg1〜g3として画像変換パターン記憶部102に記憶されている。ガンマ変換処理は、画像データの低濃度部分を更に濃度を低下させ、高濃度部分は当該低濃度部分よりも濃度の低下量を抑えて濃度低下させる画像変換処理である。
これらガンマ変換パターンg1〜g3は、それぞれ異なる集約率に対応付けられている。ガンマ変換パターンg1(中濃度部のコントラストが強度。図4にg1として特性を示す)は、集約率1in1に対応付けられている。ガンマ変換パターンg2(中濃度部のコントラストが中程度。図4にg2として特性を示す)は集約率2in1に対応付けられている。ガンマ変換パターンg3(中濃度部のコントラストが低度。図4にg3として特性を示す)は、集約率4in1に対応付けられている。画像変換パターン記憶部102は、ガンマ変換パターンg1〜g3及びそれぞれに対応付けられた集約率を上記データテーブルに記憶している。すなわち、画像変換パターン記憶部102には、異なる間引き率からなる複数のガンマ変換パターンが、対応付けられた集約率が大きいほど、間引き率が小さいガンマ変換パターンが記憶されている。
画像処理部103は、画像変換パターン記憶部102に記憶されている画像変換パターンを用いて、印刷対象としての画像データに画像処理を行う。画像処理部103は、指示受付部101に、印刷対象とする画像データに対して集約印刷及びトナーセーブ印刷の両方を実行する指示が受け付けられているとき、当該集約印刷について指定されている集約率に対応付けられた画像変換パターンを画像変換パターン記憶部102から読み出し、当該画像変換パターンを用いて、原稿読取部5又はネットワークインターフェイス部91に取得された印刷対象としての画像データに画像処理を行う。
判別部104は、原稿読取部5又はネットワークインターフェイス部91に取得された印刷対象としての画像データが、文字画像又はイメージ画像のいずれであるかを、画像データの頁単位で判別する。なお、以下には、文字画像からなる頁を文字画像頁、イメージ画像からなる頁をイメージ画像頁と記す。
なお、判別部104は、画像データから文字画像を判別する技術として、例えば、エッジ検出処理の手法を用いる。この場合、判別部104は、印刷対象となる画像データの示す画像を構成する各画素を順次注目画素とし、その注目画素と周辺画素を抽出して、それらの画素に対してエッジ検出フィルタを用いたフィルタ処理を施すことにより、画像の輪郭を構成するエッジ画素を検出するエッジ検出処理を行う。そして、判別部104は、このエッジ検出処理でエッジを検出した場合に、当該注目画素をエッジ画素と判定し、当該エッジ画素に基づいて文字画像を判定する。例えば、判別部104は、注目画素と、注目画素に隣接する8近傍画素との各々の輝度の差分値を算出し、所定の閾値よりも大きな値を有する差分値が、一定個数以上(例えば4個以上)ある場合、その注目画素は、文字画像を構成するエッジ画素であると判定する。判別部104は、当該エッジ画素が、予め定められた閾値以上存在する画像を文字画像として判別する。そして、判別部104は、原稿1頁分の画像において、当該文字画像の分布密度が、規定された密度(例えば、20%)よりも高くなっていると判定した場合に、当該原稿頁の画像データを文字画像頁と判別する。また、判別部104は、当該原稿1頁分の画像データについて、当該文字画像の分布密度が上記規定された密度以下と判定した場合に、当該原稿頁の画像データをイメージ画像頁と判別する。なお、当該イメージ画像には、写真画像、図形画像、グラフィック画像等が含まれる。
また、画像変換パターン記憶部102は、イメージ画像の画像処理用に設定された間引き率の画像変換パターン(マスクパターン又はガンマ変換パターン)を更に記憶している。なお、このイメージ画像用の画像変換パターンの間引き率は、集約印刷の集約率に拘わらず固定の値として記憶されている。画像変換パターン記憶部102は、イメージ画像の画像処理用に設定された間引き率の画像変換パターンとして、上記マスクパターンm1又はガンマ変換パターンg1を記憶している。
また、画像処理部103は、指示受付部101に集約印刷及びトナーセーブ印刷の両方を実行する指示が受け付けられているときに、判別部104により判別された文字画像頁の画像データについて、集約率に対応付けられた画像変換パターンを用いて画像処理を行い、判別部104により判別されたイメージ画像頁に対応する画像データについては、イメージ画像の画像処理用の画像変換パターンを用いて画像処理を行う。
なお、本発明の一実施形態に係る画像処理装置は、上記指示受付部101、画像変換パターン記憶部102、画像処理部103、及び判別部104を備えてなる。但し、判別部104は、以下に示す実施形態において必要となる限りで、本発明の一実施形態に係る画像処理装置の構成要素となる。
制御ユニット10は、HDD92にインストールされている画像処理プログラムに従った動作により、制御部100(集約印刷及びトナーセーブ印刷を併せて実行する際における後述の画像処理に関する機能)、指示受付部101、画像変換パターン記憶部102、画像処理部103、及び判別部104として機能する。但し、当該制御部100、指示受付部101、画像変換パターン記憶部102、画像処理部103、及び判別部104は、制御ユニット10による画像処理プログラムに従った動作によらず、それぞれハード回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
次に、画像形成装置1で集約印刷及びトナーセーブ印刷を併せて実行する際における画像処理を説明する。図5は、画像形成装置1で集約印刷及びトナーセーブ印刷を併せて実行する際における画像処理を示すフローチャートである。図6は読取対象とされる原稿と、集約印刷及びトナーセーブ印刷を併せて行って得た印刷物の例を示す図である。
本実施形態は、画像処理部103が、上記画像処理としてマスク処理を行う実施形態である。また、以下には、原稿読取部5による原稿読取で取得される画像データを印刷対象の画像データとする場合を例にして説明するが、ネットワークインターフェイス部91に上記PC20等から取得された画像データを印刷対象の画像データとして以下に示す画像処理を行ってもよい。
操作者による操作部47の操作によりコピー指示が入力されると(S1でYES)、画像処理部103は、指示受付部101にトナーセーブ印刷の実行指示が受け付けられているかを判断する(S2)。ここで、画像処理部103は、指示受付部101にトナーセーブ印刷の実行指示が受け付けられていないと判断すると(S2でNO)、更に、集約印刷の実行指示が指示受付部101に受け付けられているかを判断する(S12)。
画像処理部103が、集約印刷の実行指示が受け付けられていないと判断した場合(S12でNO)、制御部100により、トナーセーブ印刷及び集約印刷のいずれも行わない設定でコピー動作に伴う原稿読取動作及び画像形成動作が実行される(S19)。
一方、画像処理部103が、集約印刷の実行指示が受け付けられていると判断した場合は(S12でYES)、制御部100により、コピー動作に伴う原稿読取動作及び画像形成動作が実行されると共に、当該原稿読取動作で取得された画像データに対して従来一般の集約印刷に必要な画像処理が実行される(S13)。
また、画像処理部103は、上記S2において、指示受付部101にトナーセーブ印刷の実行指示が受け付けられていると判断した場合(S2でYES)、集約印刷の実行指示が指示受付部101に受け付けられているかを判断する(S3)。ここで、画像処理部103が、集約印刷の実行指示が受け付けられていないと判断すると(S3でNO)、画像処理部103は、集約印刷を行わずにトナーセーブ印刷を行うために、集約率1in1に対応付けられているマスクパターンm1を画像変換パターン記憶部102から読み出し、当該マスクパターンm1を用いて、原稿読取部5による原稿読取で取得される全頁の画像データにマスク処理を行うように設定する(S15)。
上記S15の後、制御部100は、原稿読取部5に原稿載置台61に載置された原稿読取を開始させ、原稿画像の画像データを生成させる(S16)。続いて、画像処理部103は、当該原稿読取部5による読取で取得された画像データに対して、マスクパターンm1を用いてマスク処理を行う(S17)。この後、制御部100は、画像形成部12に当該画像データの画像形成(印刷)を行わせる(S18)。
また、上記S3において、画像処理部103が、指示受付部101に集約印刷の実行指示が受け付けられていると判断した場合は(S3でYES)、画像処理部103は、当該集約印刷の指示で指定されている集約率に応じたマスクパターンを画像変換パターン記憶部102から読み出し、当該マスクパターンを、当該原稿読取部5による読取で取得される画像データのうち、文字画像頁に対するマスク処理に用いるマスクパターンとして設定する(S4)。
例えば、画像処理部103は、集約印刷の指示で指定されている集約率が2in1であるときは、画像変換パターン記憶部102から、当該2in1の集約率に対応付けられているマスクパターンm2を読み出して、文字画像頁に対するマスク処理用として設定する。また、画像処理部103は、上記集約率が4in1であるときは、画像変換パターン記憶部102から、当該4in1の集約率に対応付けられているマスクパターンm3を読み出して、文字画像頁に対するマスク処理用として設定する。なお、画像処理部103は、当該指定された集約率に拘わらず、原稿読取部5による読取で取得される画像データのうちイメージ画像頁に対するマスク処理に用いるマスクパターンとして、画像変換パターン記憶部102から、マスクパターンm1を読み出して設定する。
この後、制御部100は、原稿読取部5に原稿載置台61に載置された原稿読取を開始させ、読み終わった原稿についての画像データを順次生成させる(S5)。なお、本実施形態では、S5において、原稿読取部5が原稿載置台61に載置された全ての原稿読取を行うものとし、原稿読取が終了して画像データが生成された頁から順次に、以降の各処理の対象とされるものとして説明している。
続いて、判別部104は、当該原稿読取で取得された各頁の画像データについて、1頁毎に、当該頁の画像データが文字画像頁であるか、イメージ画像頁であるかを判別する(S6)。
判別部104が文字画像頁であると判別した場合(S6でYES)、上記指定された集約率に対応する縮小率で当該画像データを縮小し、更に、S4で当該集約率に応じて文字画像頁に設定したマスクパターンを用いてマスク処理を行う(S7)。
一方、判別部104がイメージ画像頁であると判別した場合は(S6でNO)、上記指定された集約率に対応する縮小率で当該画像データを縮小し、更に、S4で設定したイメージ画像用のマスクパターンを用いてマスク処理を行う(S14)。
画像処理部103は、指示受付部101に実行指示が受け付けられている集約印刷の集約率が示す1頁に集約する頁分(集約率Nin1の場合にN頁分)の画像データについて上記画像処理が終わったと判断したとき、又は、原稿最終頁の画像データについて上記画像処理が終わったと判断したとき(S8でYES)、当該頁分の画像データを原稿1頁分に相当
する画像データに合成する(S9)。制御部100は、画像形成部12に当該合成処理で生成された集約後の1頁分の画像データについて画像形成(印刷)を行わせる(S10)。
なお、S8において、画像処理部103が、集約印刷の集約率が示す1頁に集約する頁分の画像データについて上記画像処理が終わっていないと判断したとき、又は、原稿最終頁の画像データまで上記画像処理が終わっていないと判断したときは(S8でNO)、処理はS6に戻る。
この後、画像処理部103は、上記画像処理が原稿最終頁の画像データまで終了しているかを判断し(S11)、終了していない場合は(S11でNO)、処理はS6に戻り、終了している場合は(S11でYES)、処理を終了する。
上記に示した集約印刷及びトナーセーブ印刷と、これら両印刷を行う際に行われる上記マスクパターンを用いたマスク処理により、図6(A)に例を示す、原稿読取部5による読取対象となる原稿が、文字画像で構成される1頁目の原稿D1、イメージ画像で構成される2頁目の原稿D2,3頁目の原稿D3、文字画像で構成される4頁目の原稿D4の印刷を行う場合を説明する。
集約率2in1の集約印刷及びトナーセーブ印刷を行う場合、図6(B)に示すように、2頁分の文字画像が集約して印刷される1頁目の記録紙P1は、文字画像頁となる原稿D1に対応する部分p11はマスクパターンm2により印字率50%で印刷され、イメージ画像頁となる原稿D2に対応する部分p12はマスクパターンm1により印字率25%で印刷される。また、2頁目の記録紙P1は、イメージ画像頁となる原稿D3に対応する部分p13はマスクパターンm1により25%で印刷され、文字画像頁となる原稿D4に対応する部分p14はマスクパターンm2により印字率50%で印刷される。
一方、集約率4in1の集約印刷及びトナーセーブ印刷を行う場合、図6(C)に示すように、4頁分の文字画像が集約して印刷される1頁目の記録紙P1’は、文字画像頁となる原稿D1に対応する部分p11はマスクパターンm3により印字率75%で印刷され、イメージ画像頁となる原稿D2,原稿D3に対応する部分p12,p13はマスクパターンm1により印字率25%で印刷され、文字画像頁となる原稿D4に対応する部分p14はマスクパターンm3により印字率75%で印刷される。
上記実施形態によれば、画像変換パターン記憶部102は、異なるドット間引き率からなる複数の画像変換パターンと、各画像変換パターンに対応する集約率とを、大きな集約率であるほど、ドット間引き率が小さい画像変換パターンを対応付けて記憶し、画像処理部103は、指示受付部101に集約印刷及びトナーセーブ印刷の実行指示が受け付けられているときは、当該集約印刷について指定されている集約率に対応付けられた画像変換パターンを画像変換パターン記憶部102から読み出し、当該画像変換パターンを用いて、原稿読取部5による原稿読取で取得された画像データに上記画像処理を行うので、当該原稿読取で取得された画像データを集約印刷により縮小した上でトナーセーブ印刷する場合であっても、集約率に応じてトナー量を制限することで、可及的に画像品質を保つことができる。これにより、印刷結果物に文字画像が含まれる場合であっても、文字画像の可読性を極力低下させずに、集約印刷及びトナーセーブ印刷を併せて行うことが可能になる。
また、判別部104が、上記原稿読取で取得された画像データを頁毎に文字画像頁であるかイメージ画像頁であるかを判別し、画像処理部103は、文字画像頁であると判別された場合は集約率に応じた画像変換パターンを用いて上記画像処理を行い、イメージ画像頁であると判別された場合は、イメージ画像固有の画像変換パターンを用いて上記画像処理を行うので、上記図6(C)に例を示したように、トナー量低減処理により輪郭が潰れやすく可読性に影響がある文字画像については、集約率に応じたトナー量制限とすることで可及的に画像品質を保ちつつ、このような問題のないイメージ画像については、文字画像よりもトナー低減量を多くした印刷として、トナー量低減の効果を可及的に担保することが可能になる。
なお、上記実施形態では、トナーセーブ印刷時に行う画像処理として、マスク処理を行う場合を説明したが、これに代えて、画像変換パターン記憶部102に集約率に応じて又はイメージ画像に対応付けて記憶されているガンマ変換パターンを用いてガンマ変換処理を行ってもよい。この場合、上記実施形態において、マスクパターンに換えてガンマ変換パターンを用い、マスク処理に代えてガンマ変換処理を行う。
また、上記実施形態では、画像処理部103は、文字画像及びイメージ画像の別に応じた画像変換パターン(マスクパターン又はガンマ変換パターン)の使い分けを行っているが、これに限定されず、文字画像及びイメージ画像を区別せずに、集約率に応じてのみ画像変換パターンの使い分けを行う場合も、本発明の一実施形態である。
本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。図1乃至図6を用いて上記各実施形態に示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明の構成及び処理はこれに限定されるものではない。
1 画像形成装置
5 原稿読取部
10 制御ユニット
100 制御部
101 指示受付部
102 画像変換パターン記憶部
103 画像処理部
104 判別部
12 画像形成部
91 ネットワークインターフェイス部
m1〜m3 マスクパターン
g1〜g3 ガンマ変換パターン