JP2014106128A - 地山弾性波速度測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この測定方法では、ブレーカー1を用いてトンネル切羽T1を打撃掘削することにより発生する掘削振動でトンネル坑壁T2を伝播する弾性波及びトンネル坑内T0の空気中を伝播する音波をそれぞれ、ジオフォン2、マイクロホン4及びICレコーダ3で測定し、測定した弾性波及び音波から弾性波の伝播時間を求め、この伝播時間に基いて地山の弾性波速度を算出する。
【選択図】図1
Description
例えば、地山を掘削してトンネルを形成する工事においては、地山の性状を把握するために、地山の各部の弾性波速度を測定することが行われており、この弾性波速度に基いてトンネル切羽近傍の岩盤等級を区分し、岩盤等級毎に適切なトンネル掘削や支保工パターンを選定する。
この種の地山弾性波速度測定方法としては、地山の所定の地点(起振点)で人工的に振動(地震)を起こすことにより弾性波(地震波)を発生させ、この弾性波を起振点から離れた既知の地点で計測し、これを解析することにより、弾性波速度を測定する屈折法弾性波探査や簡便な手法としての簡易弾性波探査などが周知であり、特許文献1その他多くの文献に開示されている。
一般に、屈折法弾性波探査は、トンネル切羽や側壁の起振点から離れた既知の地点に複数の地震計を設置し、起振点で弾性波探査用発破器(専用の起振装置)により小規模の発破を爆破したり重錘により打撃を加えたりして振動を発生させ、これにより岩盤を伝播する弾性波を各地震計により計測し、弾性波の地震計までの到達時間から、岩盤の弾性波速度を求める手法である。また、トンネル掘削用の発破を直接利用した手法もあり、この場合は、トンネル切羽を発破で爆破した際に発生する弾性波を切羽後方の地震計で計測して、岩盤の弾性波速度を求める。
簡易弾性波探査では、地表面の既知の1箇所から3箇所に地震計を設置した上で、起振点をハンマーやカケヤにより打撃を加えて弾性波を発生させ、各地震計に到達する弾性波の到達時間から、岩盤を伝播する弾性波速度を求めることが行われている。
(1)一般の屈折法弾性波探査では、地山に人工的に振動を起こすために、発破や弾性波探査用発破器が必要になる。トンネル掘削用の発破を利用して岩盤の弾性波速度を測定する方法は発破を使用しない軟岩トンネルには適用できない。弾性波探査用発破器は、特殊な機器であることから、測定機材が高価であり、また、その取扱いが難しく専門の技術者(弾性波探査業者)が必要になるため、弾性波の測定に要するコストが増大する。
(2)一般の簡易弾性波探査では、ハンマーやカケヤを用いて人力で地山に打撃を加えて振動を起こすので、探査距離が短くならざるを得ず、地質探査を効率良く行うことができない。また、トンネル坑内の弾性波測定の場合、切刃近傍での測定作業になるため、作業の安全上好ましくない。
また、この方法においては、測定した弾性波及び音波から、掘削機械による任意の打撃掘削時点から同一時間に発生した弾性波と音波をそれぞれの波形の類似性から特定し、前記特定の音波から前記特定の弾性波の発振時刻を計測し、前記特定の弾性波から前記特定の弾性波の到達時刻を計測して、弾性波の伝播時間を求めることが望ましい。
また、この方法では、地山の既知の弾性波測定地点に受振センサ及び測定器を設置して、前記受振センサ及び前記測定器により地山を伝播する弾性波を検知し、弾性波データを生成、記録して、弾性波の到達時刻を計測することが望ましい。
この場合、受振センサにジオフォンを含む可搬型の電気機械式の受振センサを採用することが好ましい。
さらに、この方法では、地山の打撃掘削地点に近接する既知の音波測定地点にマイクロホンを設置し、地山の既知の弾性波測定地点側に前記マイクロホンと通信機材を介して接続する測定器を設置して、前記マイクロホン及び前記測定器により空中を伝播する音波を検出し、音波データを生成、記録して、音波の発振時刻を計測することが好ましい。また、地山の打撃掘削地点から異なる距離離間する既知の複数の音波測定地点にそれぞれマイクロホンを設置し、地山の既知の弾性波測定地点側に前記各マイクロホンと通信機材を介して接続する測定器を設置して、前記各マイクロホン及び前記測定器により空中を伝播する音波を検出し、音波データを生成、記録して、音波の伝播速度を補正して音波の発振時刻を計測するようにしてもよい。
この場合、測定器にICレコーダを含む可搬型の不揮発性の記憶装置を採用することが好ましい。
(1)ブレーカーを含む打撃式の掘削機械を用いて地山を打撃掘削することにより発生する地山の掘削振動で地山を伝播する弾性波及び空気中を伝播する音波をそれぞれ測定するので、発破や弾性波探査用発破器を不要とすることができる。
(2)ブレーカーを含む打撃式の掘削機械を用いて地山を打撃掘削することにより発生する地山の掘削振動で地山を伝播する弾性波及び空気中を伝播する音波をそれぞれ測定し、測定した弾性波及び音波から弾性波の伝播時間を求め、この伝播時間に基いて地山の弾性波速度を算出するので、原位置で、一般の土木工事に使用する汎用機械と、例えばジオフォン、有線マイク、マイクロホン送信機及び受信機などの簡単な測定機材を用いて、弾性波の測定作業を容易かつ低コストに行うことができる。また、汎用機械を用いて弾性波探査を実施するので、土木工事における日常の施工管理に活用することができる。
(3)ブレーカーを含む打撃式の掘削機械を用いて地山を打撃掘削することにより発生する地山の掘削振動で地山を伝播する弾性波及び空気中を伝播する音波をそれぞれ測定するので、特に、トンネル工事においては、硬岩トンネル、軟岩トンネルに関らず適用することができ、また、比較的大きな起振力を得られ、弾性波測定のための測定距離及び測定深度が十分に大きくなり、地質探査を効率良く行うことができる。また、この場合、弾性波の測定作業をトンネル切刃から離れた位置で行えるので、作業を安全に行うことができる。
この地山弾性波速度測定方法では、土木工事用のブレーカーを含む打撃式の掘削機械を用いて地山を打撃掘削することにより発生する地山の掘削振動で地山を伝播する弾性波及び空気中を伝播する掘削音(音波)をそれぞれ測定し、この測定した弾性波及び音波から弾性波の伝播時間を求め、当該伝播時間に基いて地山の弾性波速度を算出しようとするものである。
この場合、受振センサ2にジオフォンを含む可搬型の電気機械式の受振センサを採用することが好ましく、ここでは、一般に市販される携帯用の可動コイル型ジオフォンを使用する。以下、受振センサ2をジオフォン2と称する。また、測定器3にはIC(Integrated Circuit)レコーダを含む可搬型の不揮発性の記憶装置を採用することが好ましく、ここでは、一般に市販される携帯用のICレコーダを使用する。以下、測定器3をICレコーダ3と称する。また、ここで使用するICレコーダ3はマイクロホン4側と共通でマイクロホン4側の測定器を兼用することが好ましく、このICレコーダ3にジオフォン2側の1本の通信ケーブル5及びマイクロホン4側の1本又は2本の通信ケーブル5を接続可能な2チャンネル又は3チャンネルの入力部を有する形式のものを選定する。
ジオフォン2を設置する場合、地震波ガイド(棒鋼、ロックボルト)を用い、地震波ガイドをトンネル坑壁T2の既知の弾性波測定地点に固定し、この地震波ガイドにジオフォン2を取り付ける。そして、このジオフォン2とICレコーダ3を通信ケーブル5を介して接続し、このICレコーダ3をこの既知の弾性波測定地点側に設置する。
また、この場合において、各マイクロホン4を有線とする場合は、図3に示すように、複数の有線マイク41を用い、複数の有線マイク41をジオフォン2と共通のICレコーダ3(2チャンネル)を含め、複数のICレコーダ3(2チャンネル)に通信ケーブル5を介して接続する。このとき、共通する信号をICレコーダ3に入力し、時刻の同期を可能な状態にしておく。
また、各マイクロホン4を無線とする場合は、図4に示すように、複数のワイヤレスマイクロホン送信機42及びワイヤレス受信機43を用い、複数のワイヤレス受信機43をジオフォン2と共通のICレコーダ3(2チャンネル)を含め、複数のICレコーダ3(2チャンネル)に通信ケーブル5を介して接続する。このとき、共通する信号をICレコーダ3に入力し、時刻の同期を可能な状態にしておく。
図5において、上段に示す波動が弾性波で、下段に示す波動が音波である。これらの波動から、振幅の最大及び最小を示す範囲は弾性波及び音波で類似性が認められ、波動の長周期成分が類似性を有することを示している。
図6に図5の一部を拡大して示している。
図6に示すように、ブレーカーの打撃により、パルス状の弾性波を認めることができ、このブレーカーの打撃による音波をノイズとともに認めることができる。このことから、弾性波、音波の各波動に適切な解析範囲(時間窓)を設定することで、任意のブレーカー打撃又はその打撃群により発生する弾性波と音波を同定することが可能である。
この場合、弾性波と音波を、適切な解析範囲(時間窓)によるフィルタリングを実施した上で、次の方法により同定し、弾性波の伝播時間(t)を求める。
(1)弾性波データ及び音波データを各データに相互相関係数(コヒーレンス)を用いる方法により評価する方法(この方法を用いた弾性波速度の算出例(図7)参照)
(2)弾性波の到達遅延時間を設定して、その時の振幅の残差を求め、複数の到達遅延時間を比較して、残差が最小となるものを同一と評価する方法
また、この場合、図3又は図4に示すように、有線マイク41やワイヤレスマイクロホン送信機42をブレーカー1の打撃掘削地点から離して設置した場合は、音波の遅延が発生するので、図3又は図4に記載の式により、音速の補正(t1)を行っておく。
Vp=L/(t−t1)
また、この測定方法では、ブレーカー1を含む打撃式の掘削機械を用いて地山を打撃掘削することにより発生する地山の掘削振動で地山を伝播する弾性波を受振センサ及び測定器で測定し、空気中を伝播する音波をマイクロホン及び測定器で測定し、測定した弾性波及び音波から弾性波の伝播時間を求め、この伝播時間に基いて地山の弾性波速度を算出するので、原位置で、一般の土木工事に使用する汎用機械と、例えばジオフォン2、有線マイク41、ワイヤレスマイクロホン送信機42及び受信機43、ICレコーダ3などの一般的な簡単な測定機材を用いて、弾性波の測定作業を容易かつ低コストに行うことができる。また、汎用機械を用いて弾性波探査を実施するので、土木工事における日常の施工管理に活用することができる。
さらに、この測定方法では、ブレーカー1を含む打撃式の掘削機械を用いて地山を打撃掘削することにより発生する地山の掘削振動で地山を伝播する弾性波及び空気中を伝播する音波をそれぞれ測定するので、特に、トンネル工事においては、硬岩トンネル、軟岩トンネルに関らず適用することができ、また、比較的大きな起振力を得られ、弾性波測定のための測定距離及び測定深度が十分に大きくなり、地質探査を効率良く行うことができる。また、この場合、弾性波の測定作業をトンネル切刃T1から離れた位置で行えるので、作業を安全に行うことができる。
T1 トンネル切羽
T2 トンネル坑壁
1 ブレーカー
2 受振センサ(ジオフォン)
3 測定器(ICレコーダ)
4 マイクロホン
41 有線マイク
42 ワイヤレスマイクロホン送信機
43 ワイヤレス受信機
5 通信ケーブル
Claims (7)
- ブレーカーを含む打撃式の掘削機械を用いて地山を打撃掘削することにより発生する地山の掘削振動で地山を伝播する弾性波及び空気中を伝播する音波をそれぞれ測定し、
前記測定した弾性波及び音波から前記弾性波の伝播時間を求め、当該伝播時間に基いて地山の弾性波速度を算出する、
ことを特徴とする地山弾性波速度測定方法。 - 測定した弾性波及び音波から、掘削機械による任意の打撃掘削時点から同一時間に発生した弾性波と音波をそれぞれの波形の類似性から特定し、前記特定の音波から前記特定の弾性波の発振時刻を計測し、前記特定の弾性波から前記特定の弾性波の到達時刻を計測して、弾性波の伝播時間を求める請求項1に記載の地山弾性波速度測定方法。
- 地山の既知の弾性波測定地点に受振センサ及び測定器を設置して、前記受振センサ及び前記測定器により地山を伝播する弾性波を検知し、弾性波データを生成、記録して、弾性波の到達時刻を計測する請求項1又は2に記載の地山弾性波速度測定方法。
- 受振センサにジオフォンを含む可搬型の電気機械式の受振センサを採用する請求項4に記載の地山弾性波速度測定方法。
- 地山の打撃掘削地点に近接する既知の音波測定地点にマイクロホンを設置し、地山の既知の弾性波測定地点側に前記マイクロホンと通信機材を介して接続する測定器を設置して、前記マイクロホン及び前記測定器により空中を伝播する音波を検出し、音波データを生成、記録して、音波の発振時刻を計測する請求項1乃至4のいずれかに記載の地山弾性波速度測定方法。
- 地山の打撃掘削地点から異なる距離離間する既知の複数の音波測定地点にそれぞれマイクロホンを設置し、地山の既知の弾性波測定地点側に前記各マイクロホンと通信機材を介して接続する測定器を設置して、前記各マイクロホン及び前記測定器により空中を伝播する音波を検出し、音波データを生成、記録して、音波の伝播速度を補正して音波の発振時刻を計測する請求項1乃至4のいずれかに記載の地山弾性波速度測定方法。
- 測定器にICレコーダを含む可搬型の不揮発性の記憶装置を採用する請求項3乃至6のいずれかに記載の地山弾性波速度測定方法。
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