JP5757474B2 - 断層探査装置および断層探査方法 - Google Patents
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石炭鉱山における石炭層内断層には、図19に示すように、巨大な地圧と石炭層内のメタンガスが蓄積されており、石炭層内断層区域を採掘する場合、巨大な地圧と石炭層内ガス圧力が解放されることによりメタンガスと破砕された岩石群が採掘された空間に突然に噴出してくる現象が生じる。この現象をガス突出という。ガス突出により多くの人命が窒息やガス突出に伴うガス爆発により失われる。
第1層よりも密度が小さい第2層を2つの前記第1層で挟んだ地質構造において前記第2層内で振動発振器により発振され前記第2層内を伝搬する振動波形信号がフェルマの原理により分散現象を生じチャンネル波となる装置において、
前記チャンネル波の周波数毎の位相速度および群速度を分散波動方程式から算出し、当該群速度曲線における最小群速度を、第2層内断層探査に用いる探査用チャンネル波の伝搬速度とすることを特徴とする。
前記振動発振器から一定の距離だけ離れた同一の前記第2層内に、前記チャンネル波の進行方向をX軸、水平方向をY軸、深度方向をZ軸として設置した複数の3軸振動センサにより前記チャンネル波を計測し、得られた受波信号を量子化した後にFFT処理を行い、前記FFT処理の結果に基づいて振幅変化の大きな周波数範囲を求め、得られた周波数範囲でバンドパスフィルタ処理を行うことにより前記探査用チャンネル波を示す探査用チャンネル波信号を抽出し、抽出した探査用チャンネル波信号の周波数、位相および振幅の3因子を包含して所定時間毎の重合エンベロープを算出し、算出した重合エンベロープに基づいて、前記探査用チャンネル波の所定時間毎の振動エネルギの変化により、前記チャンネル波が前記第2層内断層を透過して得られた透過チャンネル波、または前記チャンネル波が前記第2層内断層で反射して得られた反射チャンネル波について、前記第2層内の伝搬状態および前記第2層内断層での回析または反射の現象を明らかにすることを特徴とする。
前記3軸振動センサの設置位置データおよび前記探査用チャンネル波信号から極性試験によりX−Y平面、X−Z平面、Y−Z平面について所定時間毎の振動粒子の挙動を明らかにすることを特徴とする。
前記透過チャンネル波または前記反射チャンネル波のX、Y、Z軸成分の振幅時間変化から前記探査用チャンネル波信号の伝搬状態および回析または反射の発生時間を求め、前記振動発振器と前記3軸振動センサの設置位置および前記重合エンベロープの波形信号を相関させて前記伝搬状態および前記発生時間に前記最小群速度を乗じて当該信号の時間軸をX−Y平面にけるX軸上の距離座標に変換して前記第2層内断層の存在状況と位置を坑内平面図に表示することを特徴とする。
前記振動発振器から一定の距離だけ離れた同一の前記第2層内にボーリング孔を形成し、前記3軸振動センサが所定間隔で内蔵されたケーシングパイプを前記ボーリング孔内に設置し、前記ケーシングパイプの外周の開口部に設けられたチューブを膨張させ、膨張したチューブにより前記ケーシングパイプを前記ボーリング孔壁に固定させることを特徴とする。
第1層よりも密度が小さい第2層を2つの前記第1層で挟んだ地質構造において前記第2層内で振動発振器により発振され前記第2層内を伝搬する振動波形信号がフェルマの原理により分散現象を生じチャンネル波となる方法において、
前記チャンネル波の周波数毎の位相速度および群速度を分散波動方程式から算出し、当該群速度曲線における最小群速度を、第2層内断層探査に用いる探査用チャンネル波の伝搬速度とすることを特徴とする。
本実施の形態は、地表からの探査では発見できない小さな石炭層内断層を、石炭鉱山の坑道を利用する坑内弾性波断層探査法によって正確にその存在区域を予測するものである。
図1は、弾性波による断層探査透過法の概要を示す図である。
坑内弾性波断層探査法には、断層探査透過法と断層探査反射法がある。断層探査透過法は、図1に示すように、チャンネル波が石炭層内断層を透過して得られた透過チャンネル波の単位時間毎の振動エネルギの変化により石炭層内断層の位置を標定する方法である。断層探査反射法は、図2に示すように、チャンネル波が石炭層内断層で反射して得られた反射チャンネル波の単位時間毎の振動エネルギの変化により石炭層内断層の位置を標定する方法である。
石炭層内断層探査装置100は、さらに、図4に示すように、3軸振動センサR1〜R12を接続する中継器18と、3軸振動センサR13〜R24を接続する中継器20と、中継器18、20を接続するチャンネル切替装置22と、振動発振器T1、T2を起動する発破器24と、振動発振器T1、T2の発振タイミングを取得するトリガ検出振動センサRTと、石炭層内断層探査装置100を駆動するための電源を供給する電源箱26とを有して構成されている。
図5は、石炭層内断層探査装置100のうち解析装置200の機能ブロック図である。
c=f(ν1、ν2、ρ1、ρ2、h、L) …(1)
両辺の次元は、当然等しくてはならないから無次元化すると、下式(2)となる。
c=Const.ν1.f1(ν1/ν2、ρ1/ρ2、h/L) …(2)
関数f1の中にh/Lが含まれるから、hが関係する限り、波の速度cは、波長Lと層厚hに依存している。すなわち、波の速度cは、波長Lの関数となり、各波長の速度がそれぞれ異なる分散現象を生じる。
図7に、フェルマの原理によるチャンネル波の発生と伝搬の概要を示す。
ここで、u+、u−の二つの波はともに波長はほぼ2π/ξ、周期はほぼ2π/ωの単純な平面波である。ところが、これらを合成したuでは、最後の因子cos(ξx−ωt)がこれに相当するが、もう1つの因子cos(Δξx−Δωt)はまったく違った性質を持つ。波長は2π/Δξ、周期は2π/Δω、Δξ、Δωは微小量と考えたから、上記波長と周期は巨大な量となる。したがって、uは、2Acos(Δξx−Δωt)なる振幅をもった波とみることができる。
u=Δω/Δξ …(6)
これは、短い周期、短い波長の波が一群となって伝搬する速さであるから、群速度となる。これに対し、普通の速度c=ω/ξは位相速度となる。
図8に、うなり振動波形における位相速度cと群速度Uの関係を示す。
ここで、石炭層内を伝搬するチャンネル波の単位時間毎の振動エネルギを表す重合エンベロープ|W|を求める方法について説明する。
ここで、B(ω)は複素フーリエ成分で、C(ω)=2|B(ω)|、φ(ω)=argB(ω)である。ただし、ω>0である。また虚数部f*(t)についても同様のことがいえるので、下式(20)が成り立つ。
したがって、AGC処理部42、デマックス処理部44およびFFT処理部48は、得られた受波信号である透過チャンネル波および反射チャンネル波を量子化した後にFFT処理を行い、FFT処理の結果に基づいて振幅変化の大きな周波数範囲を明らかにする。
さらに、バンドパスフィルタテスト部56、バンドパスフィルタ処理部58および重合エンベロープ処理部62は、受波信号について明らかにした周波数範囲でバンドパスフィルタ処理を行って探査用チャンネル波信号を抽出し、抽出した探査用チャンネル波信号の周波数、位相および振幅の3因子を包含して所定時間毎の重合エンベロープ|W|を算出し、当該探査用チャンネル波の所定時間毎の振動エネルギの変化により透過チャンネル波および反射チャンネル波について石炭層内伝搬状態および断層での回析と反射現象を明らかにすることができる。
次に、チャンネル波信号から石炭層内断層の位置を標定するために透過チャンネル波および反射チャンネル波を判別する装置および方法について説明する。
さらに、本実施の形態では、振動発振器T1、T2から一定の距離だけ離れた同一の石炭層内に設置した複数の3軸振動センサR1〜R24によりチャンネル波を計測し、得られた受波信号を量子化した後にFFT処理を行い、FFT処理の結果に基づいて振幅変化の大きな周波数範囲を求め、得られた周波数範囲でバンドパスフィルタ処理を行うことにより探査用チャンネル波信号を抽出し、抽出した探査用チャンネル波信号の周波数、位相および振幅の3因子を包含して所定時間毎の重合エンベロープ|W|を算出し、算出した重合エンベロープ|W|に基づいて、探査用チャンネル波の所定時間毎の振動エネルギの変化により、透過チャンネル波および反射チャンネル波について、石炭層内の伝搬状態および石炭層内断層での回析および反射の現象を明らかにする。
さらに、本実施の形態では、3軸振動センサR1〜R24の設置位置データおよび探査用チャンネル波信号から極性試験によりX−Y平面、X−Z平面、Y−Z平面について所定時間毎の振動粒子の挙動を明らかにする。
さらに、本実施の形態では、振動発振器T1、T2から一定の距離だけ離れた同一の石炭層内にボーリング孔2を形成し、3軸振動センサR1〜R24が所定間隔で内蔵されたケーシングパイプ14をボーリング孔2内に設置し、ケーシングパイプ14の外周の開口部15に設けられたチューブ16を膨張させ、膨張したチューブ16によりケーシングパイプ14をボーリング孔2の壁に固定させる。
なお、上記実施の形態においては、断層探査透過法および断層探査反射法により石炭層内断層の位置を標定したが、これに限らず、断層探査透過法により石炭層内断層の位置を標定してもよいし、断層探査反射法により石炭層内断層の位置を標定してもよい。
Claims (6)
- 第1層よりも密度が小さい第2層を2つの前記第1層で挟んだ地質構造において前記第2層内で振動発振器により発振され前記第2層内を伝搬する振動波形信号がフェルマの原理により分散現象を生じチャンネル波となる探査において用いる装置について、
前記チャンネル波の周波数毎の位相速度および群速度を分散波動方程式から算出し、算出された前記群速度の群速度曲線における最小群速度を、第2層内断層探査に用いる探査用チャンネル波の伝搬速度とすることを特徴とする断層探査装置。 - 請求項1において、
前記振動発振器から一定の距離だけ離れた同一の前記第2層内に、前記チャンネル波の進行方向をX軸、水平方向をY軸、深度方向をZ軸として設置した複数の3軸振動センサにより前記チャンネル波を計測し、得られた受波信号を量子化した後にFFT処理を行い、前記FFT処理の結果に基づいて振幅変化の大きな周波数範囲を求め、得られた周波数範囲でバンドパスフィルタ処理を行うことにより前記探査用チャンネル波を示す探査用チャンネル波信号を抽出し、抽出した探査用チャンネル波信号の周波数、位相および振幅の3因子を包含して所定時間毎の重合エンベロープを算出し、算出した重合エンベロープに基づいて、前記探査用チャンネル波の所定時間毎の振動エネルギの変化により、前記チャンネル波が前記第2層内断層を透過して得られた透過チャンネル波、または前記チャンネル波が前記第2層内断層で反射して得られた反射チャンネル波について、前記第2層内の伝搬状態および前記第2層内断層での回析または反射の現象を明らかにすることを特徴とする断層探査装置。 - 請求項2において、
前記3軸振動センサの設置位置データおよび前記探査用チャンネル波信号から極性試験によりX−Y平面、X−Z平面、Y−Z平面について所定時間毎の振動粒子の挙動を明らかにすることを特徴とする断層探査装置。 - 請求項3において、
前記透過チャンネル波または前記反射チャンネル波のX、Y、Z軸成分の振幅時間変化から前記探査用チャンネル波信号の伝搬状態および回析または反射の発生時間を求め、前記振動発振器と前記3軸振動センサの設置位置および前記重合エンベロープの波形信号を相関させて前記伝搬状態および前記発生時間に前記最小群速度を乗じて当該信号の時間軸をX−Y平面にけるX軸上の距離座標に変換して前記第2層内断層の存在状況と位置を坑内平面図に表示することを特徴とする断層探査装置。 - 請求項2ないし4のいずれか1項において、
前記振動発振器から一定の距離だけ離れた同一の前記第2層内にボーリング孔を形成し、前記3軸振動センサが所定間隔で内蔵されたケーシングパイプを前記ボーリング孔内に設置し、前記ケーシングパイプの外周の開口部に設けられたチューブを膨張させ、膨張したチューブにより前記ケーシングパイプを前記ボーリング孔壁に固定させることを特徴とする断層探査装置。 - 第1層よりも密度が小さい第2層を2つの前記第1層で挟んだ地質構造において前記第2層内で振動発振器により発振され前記第2層内を伝搬する振動波形信号がフェルマの原理により分散現象を生じチャンネル波となる方法において、
前記チャンネル波の周波数毎の位相速度および群速度を分散波動方程式から算出し、算出された前記群速度の群速度曲線における最小群速度を、第2層内断層探査に用いる探査用チャンネル波の伝搬速度とすることを特徴とする断層探査方法。
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