JP2014104919A - フィラーネックおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フィラーネック10は、燃料通路10Pを形成する樹脂製のパイプ形状のネック本体20と、金属製のリテーナ30と、リテーナ30をネック本体20から抜止めする抜止機構35とを備える。リテーナ30は、シール部32から外周側へ折曲されてネック上部22の外壁を覆う円筒状の外周保護部31を有する。抜止機構35は、リテーナ30に設けられた係合部36と、リテーナ固定部22aに設けられた被係合部38とを有し、係合部36と被係合部38とが挿入方向に対して直角方向へ形成された凹凸により嵌合することによりリテーナ30をネック本体20から抜止するように構成している。
【選択図】図5
Description
リテーナは、抜止機構を介して、つまり係合部と被係合部との嵌合を介して、ネック本体に対して、中心軸の上方への抜止めおよび位置ズレが防止されている。よって、リテーナが位置ズレすることに伴うシール不良を生じ難い。また、リテーナは、外周保護部およびシール部より密閉した充填用間隙を形成できる。充填用間隙に溶融した樹脂が充填されることにより、係合部に嵌合する被係合部を容易に形成することができる。
本形態におけるリテーナをネック本体に一体化する方法では、ネック本体用部材にリテーナを被せて、リテーナを介して外部から熱を加えることにより、充填用間隙に溶融樹脂が入り込み、抜止機構を構成する係合部に係合する被係合部を形成することができる。よって、抜止機構を形成するために、インサート成形などの工程をとる必要がなく、生産コストも削減できる。
以下、本発明の第1実施例にかかるフィラーネックを備えた給油装置について説明する。図1は本実施例にかかるフィラーネック10を含む給油装置を示す斜視図である。給油装置は、自動車の燃料タンク(図示省略)に燃料を供給するための機構であり、フィラーネック10と、フィラーネック10に接続されたチューブTBと、フィラーネック10の先端に装着される燃料キャップFC(開閉部材)とを備えている。この構成により、給油時に燃料キャップFCをフィラーネック10から外して、給油ノズルからフィラーネック10内に燃料を注入すると、燃料は、フィラーネック10、チューブTBで構成される燃料通路を通じて、燃料タンクに供給される。以下、各部の構成について説明する。
ネック上部22は、筒状の部材であり、その内壁に、燃料キャップFCのネジ部FCa(図1)に螺合するために突設したネジ部21aを備えている。ネック連結部24は、ネック上部22の下部に一体に形成された筒状の部材であり、その内壁にノズルガイド部材40を装着するとともに、ノズルガイド部材40を係止するための段部24aおよび係合爪24bを備えている。ネック接続部25は、ネック連結部24の下部に縮径して一体に形成され燃料通路10Pの一部を構成する筒体であり、その外周部に環状突部25aを備えている。ネック接続部25に、チューブTB(図1)を挿入することにより、チューブTBが環状突部25aで抜止された状態にて、ネック接続部25に接続される。
ブリーザ管26は、ネック連結部24の側壁から分岐した管体であり、その内側がブリーザ通路26Pとなっている。ブリーザ通路26Pは、燃料タンクに接続されており、給油時の燃料タンク内の燃料蒸気をフィラーネック10へ戻して、給油をスムーズに行なわせる。
シール部32は、外周保護部31から連結部33を介して燃料通路10Pの中心方向に折曲されることで形成されており、傾斜したシール面32aを有している。シール面32aは、燃料キャップFCのガスケットGSに当たることで、燃料キャップFCで給油口12Paが閉じられている状態にて燃料通路10Pを外部に対してシールする。
図6は図5の上部を拡大した断面図である。係合部36は、シール部32の先端から、燃料通路10Pの中心軸CAから直角方向の外方へ、つまり径方向の外方へ折曲されており、ネック本体20の内周側のリテーナ固定部22aの被係合部38に食い込んでいる。係合部36および被係合部38は、リテーナ30をネック本体20に対して中心軸CAの上方へ抜止めする抜止機構35を構成している。また、係合部36の下面36aは、固定段部22bに当たることで、リテーナ30がネック本体20のネック上部22に、軸方向(タンク側の方向)へ堅固に位置決めされている。なお、係合部36が折曲される直角方向とは、係合部36と被係合部38との係合によりリテーナ30に対して抜止めの作用を果たす方向であればよく、必ずしも厳密な90゜だけでなく、その作用を果たすことが可能な角度の範囲を意味する。
フィラーネック10を製造するには、以下の工程をとることができる。まず、リテーナ30を金属の薄板を用いてプレス成型により予め形成する。また、ノズルガイド部材40を、樹脂材料を用いて射出成形により予め形成する。図7はネック本体20の上部にリテーナ30を一体化する工程を説明する説明図である。ネック本体20を形成するためのネック本体用部材20Aを、2種類の樹脂材料による2色の射出成形を行なうことにより製造する。ネック本体用部材20Aには、リテーナ30の内壁形状と一致しない上端形成部21Aが形成されている。ネック本体用部材20Aを製造するには、最初の樹脂材料として樹脂外層29を形成するための変性ポリエチレンを射出し、その後、樹脂内層28を形成するためのポリアミドを射出する。変性ポリエチレンは、ポリエチレン(PE)に極性官能基、例えばマレイン酸変性された官能基を付加した樹脂材料であり、ポリアミド(PA)と射出成形時の熱により反応接着する。よって、樹脂内層28と樹脂外層29とは、2色成形により反応接着により溶着一体化している。
(3)−1 図5に示すように、ネック本体20の上部に装着されているリテーナ30は、ネック上部22の外周部を覆う外周保護部31を有する。外周保護部31は、燃料通路10Pの中心軸CAと直角な面でありネジ部21aと対向する面HPを越えて燃料タンク側へ延設されている。外周保護部31は、樹脂内層28および樹脂外層29の燃料膨潤により変形を抑制するとともに、ネジ部21aが受ける外力に対しても、ネック上部22の変形を抑制する。
(4)−1 図8は第2実施例にかかるフィラーネック10Bの上部を示す断面図、図9は図8の9−9線に沿った断面図である。本実施例は、リテーナ30Bの形状に特徴を有する。リテーナ30Bのシール部32Bの内側には、係合部36Bが折曲形成されている。係合部36Bには、該係合部36Bの一部を切り欠いた回転規制部36Baが形成されている。回転規制部36Baには、ネック本体20Bの上部の樹脂が入り込んでいる。この構成により、リテーナ30Bは、給油ノズルからの力や燃料キャップからの力を受けても、回転することが防止される。
上記実施例において、図5に示すように、リテーナ30の外周保護部31の燃料タンク側の端部が、燃料通路10Pの中心軸CAと直角の面上でありかつネジ部21aを越える位置まで延設する構成で説明したが、これに限らず、ネック上部に複数のネジ山がある場合に、外周保護部が少なくとも一部のネジ山に達するまで燃料タンク側へ延設されている構成であってもよい。
10B…フィラーネック
10C…フィラーネック
10D…フィラーネック
10P…燃料通路
12P…挿入通路
12Pa…給油口
20…ネック本体
20A…ネック本体用部材
20B…ネック本体
20C…ネック本体
20D…ネック本体
20S…充填用間隙
21A…上端形成部
21a…ネジ部
22…ネック上部
22a…リテーナ固定部
22b…固定段部
24…ネック連結部
24a…段部
24b…係合爪
25…ネック接続部
25a…環状突部
26…ブリーザ管
26P…ブリーザ通路
28…樹脂内層
29…樹脂外層
30…リテーナ
30B…リテーナ
30C…リテーナ
30D…リテーナ
31…外周保護部
31C…外周保護部
31D…外周保護部
32…シール部
32B…シール部
32a…シール面
33…連結部
35…抜止機構
36…係合部
36a…下面
36B…係合部
36C…係合部
36D…係合部
36Ba…回転規制部
38…被係合部
38C…被係合部
38D…被係合部
40…ノズルガイド部材
40Pa…開口
40Pb…開口
42…ガイド本体
42a…係合爪
43…フランジ
43a…係合段部
44…ガイド縮径部
FC…燃料キャップ
FCa…ネジ部
GS…ガスケット
Ht…ヒータ
TB…チューブ
Claims (3)
- 開閉部材で開閉される給油口(12Pa)に給油ノズルを挿入して該給油ノズルから吐出される燃料を燃料タンクへ導く燃料通路(10P)を有するフィラーネックにおいて、
樹脂材料から形成され、上記燃料通路(10P)を形成するパイプ形状のネック本体(20)と、
上記ネック本体(20)の開口側の端部を覆うように該ネック本体(20)に装着される金属製のリテーナ(30)と、
上記リテーナ(30)を上記ネック本体(20)に対して抜止めする抜止機構(35)と、
を備え、
上記リテーナ(30)は、上記給油口(12Pa)に配置され上記開閉部材のガスケット(GS)により押圧されることで該ガスケット(GS)との間をシールするシール部(32)と、上記シール部(32)から外周側へ折曲されて上記ネック本体(20)の外壁を覆う円筒状の外周保護部(31)とを有し、
上記ネック本体(20)は、上記シール部(32)および上記外周保護部(31)により囲まれる領域に樹脂が充填されることにより上記ネック本体(20)の上部に形成されたリテーナ固定部(22a)を有し、
上記抜止機構(35)は、上記リテーナ(30)に設けられた係合部(36)と、上記リテーナ固定部(22a)に設けられた被係合部(38)とを有し、上記係合部(36)と上記被係合部(38)とが上記燃料通路(10P)の中心軸(CA)に対して直角方向へ形成された凹凸により嵌合することにより、上記リテーナ(30)が上記ネック本体(20)から上記中心軸(CA)の方向へ抜止めされるように構成されたこと、
を特徴とするフィラーネック。 - 請求項1に記載のフィラーネックにおいて、
上記抜止機構は、係合部(36B)の一部を周方向に切り欠いた回転規制部(36Ba)を有し、該回転規制部(36Ba)に上記ネック本体(20B)の一部が入り込んでいるフィラーネック。 - 請求項1または請求項2のフィラーネックを製造する方法において、
上記ネック本体(20)を形成するためのネック本体用部材(20A)を作成する第1工程と、
上記リテーナ(30)を作成する第2工程と、
上記ネック本体(20)の上部に上記リテーナ(30)を一体化する第3工程と、
を備え、
上記ネック本体用部材(20A)は、上記ネック本体用部材(20A)の開口側の端部に上記リテーナ(30)を被せたときに、上記開口端と上記リテーナ(30)の内壁との間に、充填用間隙(20S)を形成する上端形成部(21A)を有するように形成され、
上記第3工程は、上記ネック本体用部材(20A)の開口側の端部に上記リテーナ(30)を被せて、上記リテーナ(30)の外側から該リテーナ(30)を介して上記ネック本体用部材(20A)を加熱するとともに、上記リテーナ(30)を上記上端形成部(21A)の側へ押し込むことにより、上記加熱により溶融した樹脂を上記充填用間隙(20S)に充填し、上記充填用間隙(20S)に充填された溶融樹脂が固化することにより、上記被係合部(38)が上記係合部(36)に嵌合するように形成される工程であること、
を特徴とするフィラーネックの製造方法。
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