JP5954138B2 - フィラーネックおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料タンクに燃料を導くための燃料通路を有するフィラーネックおよびその製造方法に関する。
従来、自動車に使用されるフィラーネックとして、樹脂製のパイプを用いた構成が知られている(特許文献1)。フィラーネックは、燃料通路を形成し耐燃料透過性の高い第1樹脂材料から形成されたパイプ本体と、パイプ本体の先端部に装着され給油口を形成する環状の金属製のリテーナと、パイプ本体とリテーナとに介在しパイプ本体の樹脂材料とリテーナの金属材料の両方に接着性の良い第2樹脂材料から形成された接着性樹脂層とを有している。リテーナは、ネジ山を備えており、ネジ山に燃料キャップがネジ込まれることにより、給油口が燃料キャップで塞がれる。リテーナのネジ山は、燃料通路の中心側へ断面でU字形となるように突出している。ネジ山の裏面側の凹所に、接着性樹脂層の一部が入り込むことにより、リテーナをパイプ本体に対して抜止めしている。
フィラーネックの製造において、樹脂射出成形やブロー成形を適用して、リテーナをインサート部材として金型にセットし、第2樹脂材料が凹部に入り込むことにより、接着性樹脂層が成形される。
特許第3759981号
しかし、金属製のリテーナをインサートして射出成形する工程やブロー成形する工程では、製造設備が大型化するとともに、製造作業が面倒であるという課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現可能である。開閉部材で開閉される給油口(12Pa)に給油ノズルを挿入して該給油ノズルから吐出される燃料を燃料タンクへ導く燃料通路(10P)を有するフィラーネックにおいて、樹脂材料から形成され、上記燃料通路(10P)を形成するパイプ形状のネック本体(20)と、上記ネック本体(20)の開口側の端部を覆うように該ネック本体(20)に装着される金属製のリテーナ(30)と、上記リテーナ(30)を上記ネック本体(20)に対して抜止めする抜止機構(35)と、を備え、上記リテーナ(30)は、上記給油口(12Pa)に配置され上記開閉部材のガスケット(GS)により押圧されることで該ガスケット(GS)との間をシールするシール部(32)と、上記シール部(32)から外周側へ折曲されて上記ネック本体(20)の外壁を覆う円筒状の外周保護部(31)とを有し、上記ネック本体(20)は、上記シール部(32)および上記外周保護部(31)により囲まれる領域内であって、上記ネック本体(20)の上部に形成された樹脂製のリテーナ固定部(22a)を有し、上記抜止機構(35)は、上記リテーナ(30)に設けられた係合部(36)と、上記リテーナ固定部(22a)に設けられた被係合部(38)と、を有し、上記係合部(36)と上記被係合部(38)とが上記燃料通路(10P)の中心軸(CA)に対して直角方向へ形成された凹凸により嵌合することにより、上記リテーナ(30)が上記ネック本体(20)から上記中心軸(CA)の方向へ抜止めされるように構成されたこと、を特徴とするフィラーネック。そのほか、本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、開閉部材で開閉される給油口に給油ノズルを挿入して該給油ノズルから吐出される燃料を燃料タンクへ導く燃料通路を有するフィラーネックが提供される。フィラーネックは、樹脂材料から形成され、上記燃料通路を形成するパイプ形状のネック本体と、上記ネック本体の開口側の端部を覆うように該ネック本体に装着される金属製のリテーナと、上記リテーナを上記ネック本体に対して抜止めする抜止機構と、を備え、上記リテーナは、上記給油口に配置され上記開閉部材のガスケットにより押圧されることで該ガスケットとの間をシールするシール部と、上記シール部から外周側へ折曲されて上記ネック本体の外壁を覆う円筒状の外周保護部とを有し、上記ネック本体は、上記シール部および上記外周保護部により囲まれる領域に樹脂が充填されることにより上記ネック本体の上部に形成されたリテーナ固定部を有し、上記抜止機構は、上記リテーナに設けられた係合部と、上記リテーナ固定部に設けられた被係合部とを有し、上記係合部と上記被係合部とが上記燃料通路の中心軸に対して直角方向へ形成された凹凸により嵌合することにより、上記リテーナが上記ネック本体から上記中心軸の方向へ抜止めされるように構成されたことを特徴とするフィラーネックである。
本形態において、ネック本体の開口側の端部を覆うように該ネック本体に金属製のリテーナが装着されている。リテーナは、シール部を有し、該シール部が開閉部材のガスケットにより押圧されることで該ガスケットとの間をシールする。
リテーナは、抜止機構を介して、つまり係合部と被係合部との嵌合を介して、ネック本体に対して、中心軸の上方への抜止めおよび位置ズレが防止されている。よって、リテーナが位置ズレすることに伴うシール不良を生じ難い。また、リテーナは、外周保護部およびシール部より密閉した充填用間隙を形成できる。充填用間隙に溶融した樹脂が充填されることにより、係合部に嵌合する被係合部を容易に形成することができる。
(2) 他の形態において、上記抜止機構が、係合部の一部を周方向に切り欠いた回転規制部を有するフィラーネックであってもよい。
(3) 他の形態は、フィラーネックを製造する方法であり、上記ネック本体を形成するためのネック本体用部材を作成する第1工程と、上記リテーナを作成する第2工程と、上記ネック本体の上部に上記リテーナを一体化する第3工程と、を備え、上記ネック本体用部材は、上記ネック本体用部材の開口側の端部に上記リテーナを被せたときに、上記開口端と上記リテーナの内壁との間に、充填用間隙を形成する上端形成部を有するように形成され、上記第3工程は、上記ネック本体用部材の開口側の端部に上記リテーナを被せて、上記リテーナの外側から該リテーナを介して上記ネック本体用部材を加熱するとともに、上記リテーナを上記上端形成部の側へ押し込むことにより、上記溶融した樹脂を上記充填用間隙に充填されるように導き、上記充填用間隙に充填された溶融樹脂が固化することにより、上記被係合部が上記係合部に嵌合するように形成される工程である。
本形態におけるリテーナをネック本体に一体化する方法では、ネック本体用部材にリテーナを被せて、リテーナを介して外部から熱を加えることにより、充填用間隙に溶融樹脂が入り込み、抜止機構を構成する係合部に係合する被係合部を形成することができる。よって、抜止機構を形成するために、インサート成形などの工程をとる必要がなく、生産コストも削減できる。
第1実施例にかかるフィラーネックを含む給油装置を示す斜視図である。 フィラーネックを分解した斜視図である。 フィラーネックを破断して示す斜視図である。 図3のフィラーネックの各部品を分解して示す斜視図である。 ネック上部の付近を拡大した断面図である。 図5の上部を拡大した断面図である。 ネック本体の上部にリテーナを一体化する工程を説明する説明図である。 第2実施例にかかるフィラーネックの上部を示す断面図である。 図8の9−9線に沿った断面図である。 第3実施例にかかるフィラーネックの上部を示す断面図である。 第4実施例にかかるフィラーネックの上部を示す断面図である。 第5実施例にかかるフィラーネックの上部を示す断面図である。
(1) 給油装置およびフィラーネックの構成
以下、本発明の第1実施例にかかるフィラーネックを備えた給油装置について説明する。図1は本実施例にかかるフィラーネック10を含む給油装置を示す斜視図である。給油装置は、自動車の燃料タンク(図示省略)に燃料を供給するための機構であり、フィラーネック10と、フィラーネック10に接続されたチューブTBと、フィラーネック10の先端に装着される燃料キャップFC(開閉部材)とを備えている。この構成により、給油時に燃料キャップFCをフィラーネック10から外して、給油ノズルからフィラーネック10内に燃料を注入すると、燃料は、フィラーネック10、チューブTBで構成される燃料通路を通じて、燃料タンクに供給される。以下、各部の構成について説明する。
図2はフィラーネック10を分解した斜視図、図3はフィラーネック10を破断して示す斜視図である。フィラーネック10は、その下端にチューブTB(図1参照)を接続することにより、給油ノズル(図示省略)から吐出される燃料を燃料タンクへ送るための機構であり、ネック本体20と、リテーナ30と、ノズルガイド部材40とを備えている。図3に示すように、フィラーネック10の内部スペースは、燃料通路10Pとなっている。燃料通路10Pの一部は、ノズルガイド部材40で区画されており、給油口12Pa側が挿入通路12Pになっている。
図4は図3のフィラーネック10の各部品を分解して示す斜視図である。図4において、ネック本体20は、後述するように、2種類の樹脂材料を積層することで形成されており、ネック上部22と、ネック連結部24と、ネック接続部25と、ブリーザ管26とを備えている。
ネック上部22は、筒状の部材であり、その内壁に、燃料キャップFCのネジ部FCa(図1)に螺合するために突設したネジ部21aを備えている。ネック連結部24は、ネック上部22の下部に一体に形成された筒状の部材であり、その内壁にノズルガイド部材40を装着するとともに、ノズルガイド部材40を係止するための段部24aおよび係合爪24bを備えている。ネック接続部25は、ネック連結部24の下部に縮径して一体に形成され燃料通路10Pの一部を構成する筒体であり、その外周部に環状突部25aを備えている。ネック接続部25に、チューブTB(図1)を挿入することにより、チューブTBが環状突部25aで抜止された状態にて、ネック接続部25に接続される。
ブリーザ管26は、ネック連結部24の側壁から分岐した管体であり、その内側がブリーザ通路26Pとなっている。ブリーザ通路26Pは、燃料タンクに接続されており、給油時の燃料タンク内の燃料蒸気をフィラーネック10へ戻して、給油をスムーズに行なわせる。
ネック本体20は、2種類の樹脂材料を積層することにより構成されており、すなわち、燃料通路10P側の樹脂内層28と、樹脂内層28の外面に積層された樹脂外層29とを備えている。樹脂内層28は、耐燃料透過性に優れた樹脂材料、例えば、ナイロンなどのポリアミド(PA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)などから形成されており、主に燃料の透過を抑えるバリア層として作用する。樹脂外層29は、機械的強度に優れた樹脂材料、例えば、ポリエチレン(PE)などから形成されており、主にネック本体20の機械的強度、耐衝撃性を確保する層として作用する。樹脂外層29として、ポリエチレンを用いた場合には、極性官能基としてマレイン酸変性した樹脂材料を用いることができる。変性ポリエチレンは、PAと化学接着により接合することから、樹脂内層28と接着する。
図5はネック上部22の付近を拡大した断面図である。リテーナ30は、燃料キャップFCのガスケットGSとのシール性を高めるとともに、ネック上部22の機械的強度を高めるための環状の部材であり、ネック上部22に接着されている。リテーナ30は、ステンレスなどの金属材料の薄板をプレス成型することにより形成されており、外周保護部31と、シール部32と、外周保護部31とシール部32とを連結する連結部33と、シール部32の内周の先端部から折曲された係合部36とを備えている。
外周保護部31は、ネック本体20のネック上部22の樹脂外層29の外周面に接着した円筒部材であり、ネック上部22が燃料で膨潤したときに外周面側から押圧することでネック上部22の拡径および変形を規制する。外周保護部31は、燃料通路10Pの中心軸CAと直角の面HPであってネジ部21aの位置より下方まで延設されており、ネジ部21aに加わる力に対して、抵抗力を生じる。
シール部32は、外周保護部31から連結部33を介して燃料通路10Pの中心方向に折曲されることで形成されており、傾斜したシール面32aを有している。シール面32aは、燃料キャップFCのガスケットGSに当たることで、燃料キャップFCで給油口12Paが閉じられている状態にて燃料通路10Pを外部に対してシールする。
図6は図5の上部を拡大した断面図である。係合部36は、シール部32の先端から、燃料通路10Pの中心軸CAから直角方向の外方へ、つまり径方向の外方へ折曲されており、ネック本体20の内周側のリテーナ固定部22aの被係合部38に食い込んでいる。係合部36および被係合部38は、リテーナ30をネック本体20に対して中心軸CAの上方へ抜止めする抜止機構35を構成している。また、係合部36の下面36aは、固定段部22bに当たることで、リテーナ30がネック本体20のネック上部22に、軸方向(タンク側の方向)へ堅固に位置決めされている。なお、係合部36が折曲される直角方向とは、係合部36と被係合部38との係合によりリテーナ30に対して抜止めの作用を果たす方向であればよく、必ずしも厳密な90゜だけでなく、その作用を果たすことが可能な角度の範囲を意味する。
図4において、ノズルガイド部材40は、給油ノズルを燃料通路10Pへ導くための部材であり、ネック本体20内に機械的な係合機構を介して装着されている。ノズルガイド部材40は、ガイド本体42と、ガイド本体42の上部に形成されたフランジ43と、ガイド本体42の下部に形成されたガイド縮径部44とを備え、これらをポリアセタール(POM)などの樹脂材料で射出成形により形成されている。ノズルガイド部材40の内側のスペースは、挿入通路12Pの一部を構成しており、その上部が開口40Paに、その下部が開口40Pbになっている。係合機構は、ガイド本体42に形成された係合爪42aと、フランジ43に形成された係合段部43aとを備え、係合爪42aがネック本体20の内壁に形成された係合爪24bに係合するとともに、係合段部43aが段部24aに嵌合することにより、ノズルガイド部材40がネック連結部24内に装着される。
(2) フィラーネック10の製造方法
フィラーネック10を製造するには、以下の工程をとることができる。まず、リテーナ30を金属の薄板を用いてプレス成型により予め形成する。また、ノズルガイド部材40を、樹脂材料を用いて射出成形により予め形成する。図7はネック本体20の上部にリテーナ30を一体化する工程を説明する説明図である。ネック本体20を形成するためのネック本体用部材20Aを、2種類の樹脂材料による2色の射出成形を行なうことにより製造する。ネック本体用部材20Aには、リテーナ30の内壁形状と一致しない上端形成部21Aが形成されている。ネック本体用部材20Aを製造するには、最初の樹脂材料として樹脂外層29を形成するための変性ポリエチレンを射出し、その後、樹脂内層28を形成するためのポリアミドを射出する。変性ポリエチレンは、ポリエチレン(PE)に極性官能基、例えばマレイン酸変性された官能基を付加した樹脂材料であり、ポリアミド(PA)と射出成形時の熱により反応接着する。よって、樹脂内層28と樹脂外層29とは、2色成形により反応接着により溶着一体化している。
ネック本体用部材20Aの上端形成部21Aに、リテーナ30を被せる。このとき、上端形成部21Aとリテーナ30の内壁との間に、充填用間隙20Sが形成される。次に、リテーナ30の外側にヒータHtをセットする。ヒータHtに通電することにより、リテーナ30を介してネック本体用部材20Aを加熱するとともに、リテーナ30をネック本体用部材20Aの側へ押し込む。これにより、上端形成部21Aの樹脂が溶融して充填用間隙20Sに充填される。その後、ヒータHtへの通電を停止してヒータHtを外すことにより、充填用間隙20Sに充填された溶融樹脂が冷却固化する。これにより、図6に示すように、ネック本体用部材20Aの一部から溶融した樹脂がネック本体20の係合部36に沿って流れて、被係合部38が係合部36に嵌合するように形成される。このとき、ネック本体用部材20Aから溶融した樹脂は、リテーナ30に対して熱接着することにより、ネック本体20のネック上部22がリテーナ30と一体化する。
(3) 本実施例にかかる作用・効果
(3)−1 図5に示すように、ネック本体20の上部に装着されているリテーナ30は、ネック上部22の外周部を覆う外周保護部31を有する。外周保護部31は、燃料通路10Pの中心軸CAと直角な面でありネジ部21aと対向する面HPを越えて燃料タンク側へ延設されている。外周保護部31は、樹脂内層28および樹脂外層29の燃料膨潤により変形を抑制するとともに、ネジ部21aが受ける外力に対しても、ネック上部22の変形を抑制する。
(3)−2 ネック本体20は、樹脂内層28と樹脂外層29とが異なった樹脂材料で形成されており、つまり、樹脂内層28が耐燃料透過性に優れるナイロンで形成され、樹脂外層29が機械的強度に優れるポリエチレンで形成されている。したがって、燃料通路10Pを囲む樹脂内層28により、燃料の外部への放出を低減できるとともに、外部に露出している樹脂外層29により、外部から及ぼされる衝撃に対して大きな変形の抵抗力を示すことができる。
(3)−3 樹脂外層29は、変性ポリエチレンから形成されている。変性ポリエチレンは、ポリエチレン(PE)に極性官能基、例えばマレイン酸変性された官能基を付加した樹脂材料であり、ポリアミド(PA)と射出成形時の熱により反応接着する材料である。よって、樹脂内層28と樹脂外層29とは、2色成形により反応接着によりそれらの界面で溶着一体化している。樹脂内層28と樹脂外層29との界面が接着しているから、この間の耐燃料透過性を増すことができる。また、2色成形の際に、ポリエチレンを射出した後に、温度の高いポリアミドを射出するから、両者の接着性を増すことができる。
(3)−4 リテーナ30のシール部32は、金属から形成されており、燃料キャップFCのガスケットを押圧している。したがって、シール部32は、給油ノズルが当たっても、その表面に傷がつき難く、高いシール性を維持することができる。
(3)−5 ネジ部21aは、樹脂で形成されているので、複雑な形状であっても、金属によるプレス加工などで形成するより、高い寸法精度で形成することができる。しかも、ネジ部21aは、ポリエチレンより燃料膨潤の小さいポリアミドで樹脂内層28の一部として一体形成されているので、その変形が小さく、長期間にわたって燃料キャップFCの開閉操作性に優れている。
(3)−6 図6に示すように、リテーナ30は、抜止機構35を介して、つまり係合部36と被係合部38との嵌合を介して、ネック本体20に対して、中心軸CAの上方への抜止めおよび位置ズレが防止されている。よって、リテーナ30が位置ズレすることに伴うシール不良を生じ難い。
(3)−7 図7に示すように、リテーナ30は、外周保護部31、シール部32、および上端形成部21Aにより、密閉した充填用間隙20Sを形成できる。充填用間隙20Sに溶融した樹脂が充填されることにより、係合部36に嵌合する被係合部38を容易に形成することができる。
(3)−8 リテーナ30をネック本体20に一体化する方法として、ネック本体用部材20Aにリテーナ30を被せて、リテーナ30を介して外部から熱を加えることにより、充填用間隙20Sに溶融樹脂が入り込み、抜止機構35を構成する係合部36に係合する被係合部38を形成することができる。よって、抜止機構35を形成するために、インサート成形などをする必要がなく、生産コストも削減できる。
(4)他の実施例
(4)−1 図8は第2実施例にかかるフィラーネック10Bの上部を示す断面図、図9は図8の9−9線に沿った断面図である。本実施例は、リテーナ30Bの形状に特徴を有する。リテーナ30Bのシール部32Bの内側には、係合部36Bが折曲形成されている。係合部36Bには、該係合部36Bの一部を切り欠いた回転規制部36Baが形成されている。回転規制部36Baには、ネック本体20Bの上部の樹脂が入り込んでいる。この構成により、リテーナ30Bは、給油ノズルからの力や燃料キャップからの力を受けても、回転することが防止される。
(4)−2 図10は第3実施例にかかるフィラーネック10Cの上部を示す断面図である。リテーナ30Cの外周保護部31Cに、係合部36Cが形成されている。係合部36Cは、該係合部36Cの周方向の一部または全周にわたって凹部に形成されている。係合部36Cは、ネック本体20Cの外周部の被係合部38Cに嵌合している。係合部36Cおよび被係合部38Cの構成により、リテーナ30Cは、ネック本体20Cに対して、抜止めおよび回り止めされる。
(4)−3 図11は第4実施例にかかるフィラーネック10Dの上部を示す断面図である。外周保護部31Dに、係合部36Dが形成されている。係合部36Dは、該係合部36Dの周方向の一部に形成された貫通穴で構成されている。係合部36Dに樹脂が入り込んで被係合部38Dが形成される。これにより、リテーナ30Dは、ネック本体20Dに対して、抜止めおよび回り止めされる。
(4)−4 図12は第5実施例にかかるフィラーネック10Eの上部を示す断面図である。本実施例は、ネック本体、ネジ部、ノズルガイド部材の構成に特徴を有する。ネック本体20Eは、高密度ポリエチレン(HDPE)などの単一の樹脂材料から形成されている。ネック上部22Eの上部には、金属製のリテーナ30Eが装着され、またその内周部には、ポリアセタール(POM)から形成されたノズルガイド部材40Eが装着されている。ノズルガイド部材40Eの内周部には、ネジ部41Eaが突設されている。このように、フィラーネック10Eは、樹脂製のネック上部22Eの上部にリテーナ30Eを装着した構成であれば、他の構成として種々の構成をとってもよい。例えば、実施例の変形例として、ネジ部は、リテーナに一体に形成してもよい。
なお、本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、上記実施例では、樹脂内層28をポリアミドなどの耐燃料透過性に優れた樹脂材料を用い、樹脂外層29にポリエチレンを用いたが、これに限らず、各層の樹脂材料を全部、または一部を適宜変更してもよい。
上記実施例において、図5に示すように、リテーナ30の外周保護部31の燃料タンク側の端部が、燃料通路10Pの中心軸CAと直角の面上でありかつネジ部21aを越える位置まで延設する構成で説明したが、これに限らず、ネック上部に複数のネジ山がある場合に、外周保護部が少なくとも一部のネジ山に達するまで燃料タンク側へ延設されている構成であってもよい。
上記実施例において、給油口を開閉する開閉部材として、フィラーネックから着脱可能である燃料キャップの構成について説明したが、これに限らず、フィラーネックから離脱しない構成、例えば、フィラーネックの給油口の開口周縁部に開口可能に軸支されたフラップバルブなどを用いてもよい。
10…フィラーネック
10B…フィラーネック
10C…フィラーネック
10D…フィラーネック
10P…燃料通路
12P…挿入通路
12Pa…給油口
20…ネック本体
20A…ネック本体用部材
20B…ネック本体
20C…ネック本体
20D…ネック本体
20S…充填用間隙
21A…上端形成部
21a…ネジ部
22…ネック上部
22a…リテーナ固定部
22b…固定段部
24…ネック連結部
24a…段部
24b…係合爪
25…ネック接続部
25a…環状突部
26…ブリーザ管
26P…ブリーザ通路
28…樹脂内層
29…樹脂外層
30…リテーナ
30B…リテーナ
30C…リテーナ
30D…リテーナ
31…外周保護部
31C…外周保護部
31D…外周保護部
32…シール部
32B…シール部
32a…シール面
33…連結部
35…抜止機構
36…係合部
36a…下面
36B…係合部
36C…係合部
36D…係合部
36Ba…回転規制部
38…被係合部
38C…被係合部
38D…被係合部
40…ノズルガイド部材
40Pa…開口
40Pb…開口
42…ガイド本体
42a…係合爪
43…フランジ
43a…係合段部
44…ガイド縮径部
FC…燃料キャップ
FCa…ネジ部
GS…ガスケット
Ht…ヒータ
TB…チューブ

Claims (3)

  1. 開閉部材で開閉される給油口(12Pa)に給油ノズルを挿入して該給油ノズルから吐出される燃料を燃料タンクへ導く燃料通路(10P)を有するフィラーネックにおいて、
    樹脂材料から形成され、上記燃料通路(10P)を形成するパイプ形状のネック本体(20)と、
    上記ネック本体(20)の開口側の端部を覆うように該ネック本体(20)に装着される金属製のリテーナ(30)と、
    上記リテーナ(30)を上記ネック本体(20)に対して抜止めする抜止機構(35)と、
    を備え、
    上記リテーナ(30)は、上記給油口(12Pa)に配置され上記開閉部材のガスケット(GS)により押圧されることで該ガスケット(GS)との間をシールするシール部(32)と、上記シール部(32)から外周側へ折曲されて上記ネック本体(20)の外壁を覆う円筒状の外周保護部(31)とを有し、
    上記ネック本体(20)は、上記シール部(32)および上記外周保護部(31)により囲まれる領域内であって、上記ネック本体(20)の上部に形成された樹脂製のリテーナ固定部(22a)を有し、
    上記抜止機構(35)は、上記リテーナ(30)に設けられた係合部(36)と、上記リテーナ固定部(22a)に設けられた被係合部(38)とを有し、上記係合部(36)と上記被係合部(38)とが上記燃料通路(10P)の中心軸(CA)に対して直角方向へ形成された凹凸により嵌合することにより、上記リテーナ(30)が上記ネック本体(20)から上記中心軸(CA)の方向へ抜止めされるように構成されたこと、
    を特徴とするフィラーネック。
  2. 請求項1に記載のフィラーネックにおいて、
    上記抜止機構は、係合部(36B)の一部を周方向に切り欠いた回転規制部(36Ba)を有し、該回転規制部(36Ba)に上記ネック本体(20B)の一部が入り込んでいるフィラーネック。
  3. 請求項1または請求項2のフィラーネックを製造する方法において、
    上記ネック本体(20)を形成するためのネック本体用部材(20A)を作成する第1工程と、
    上記リテーナ(30)を作成する第2工程と、
    上記ネック本体(20)の上部に上記リテーナ(30)を一体化する第3工程と、
    を備え、
    上記ネック本体用部材(20A)は、上記ネック本体用部材(20A)の開口側の端部に上記リテーナ(30)を被せたときに、上記開口端と上記リテーナ(30)の内壁との間に、充填用間隙(20S)を形成する上端形成部(21A)を有するように形成され、
    上記第3工程は、上記ネック本体用部材(20A)の開口側の端部に上記リテーナ(30)を被せて、上記リテーナ(30)の外側から該リテーナ(30)を介して上記ネック本体用部材(20A)を加熱するとともに、上記リテーナ(30)を上記上端形成部(21A)の側へ押し込むことにより、上記加熱により溶融した樹脂を上記充填用間隙(20S)に充填し、上記充填用間隙(20S)に充填された溶融樹脂が固化することにより、上記被係合部(38)が上記係合部(36)に嵌合するように形成される工程であること、
    を特徴とするフィラーネックの製造方法。
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