以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。図1は第1実施形態にかかるフィラーネックを用いた燃料給油装置10を断面視して示す説明図であり、図2は燃料給油装置10の一部を分解して示す断面図である。図1において、燃料給油装置10は、燃料タンク(図示省略)に接続される燃料通路11Pを有するタンク開口形成部材11と、挿入側開閉機構50と、注入口開閉機構60とを備えている。燃料給油装置10は、給油ガンにより、挿入側開閉機構50および注入口開閉機構60を押して開いて、給油ガンから燃料を燃料通路11Pに注入すると、燃料は、燃料通路11Pを通じて燃料タンクに供給される。以下、各部の構成について説明する。
図2に示すように、タンク開口形成部材11は、燃料通路11Pを形成する管体であり、通路形成部材20と、挿入通路形成部材30と、注入口形成部材40とを備えている。図2に示すように、通路形成部材20は、筒状のネック本体21と、ネック接続部22と、ブリーザ管23とを備えている。ネック接続部22は、ネック本体21の下部を縮径して一体に形成され燃料通路11Pの一部を構成する筒体であり、その外周部に環状突部22aを備えている。ネック接続部22に、チューブTB(図1)を挿入することにより、チューブTBが環状突部22aで抜止された状態にて、ネック接続部22に接続される。ブリーザ管23は、ネック本体21の側壁から分岐した管体であり、その内側がブリーザ通路23Pとなっている。ブリーザ通路23Pは、燃料タンクに接続されており、給油時の燃料タンク内の燃料蒸気をネック本体21へ戻して、給油をスムーズに行なわせる。
通路形成部材20は、2種類の樹脂材料を積層することにより構成されており、図2に示すように、燃料通路11P側の樹脂内層27と、樹脂内層27の外面に積層された樹脂外層28とを備えている。樹脂内層27は、耐燃料透過性に優れた樹脂材料、例えば、ナイロンなどのポリアミド(PA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)などから形成されており、主に燃料の透過を抑えるバリア層として作用する。樹脂外層28は、機械的強度に優れた樹脂材料、例えば、ポリエチレン(PE)などから形成されており、主に通路形成部材20の機械的強度、耐衝撃性を確保する層として作用する。樹脂外層28として、ポリエチレンを用いた場合には、極性官能基としてマレイン酸変性した樹脂材料(変性ポリエチレン)を用いることができる。変性ポリエチレンは、PAと化学接着により接合することから、樹脂内層27と接着する。
挿入通路形成部材30は、カバー部材32を備えている。カバー部材32は、通路形成部材20の上部に装着され、円筒状の側壁部32aと、上壁32bとを備えている。側壁部32aは、その上部が傾斜し、その傾斜した上部に上壁32bが一体に形成されている。上壁32bは、給油ガンを挿入するための開口部32dを備えている。開口部32dは、挿入用開口32eと、軸支持部32fとを備えている。挿入用開口32eは、給油ガンを挿入するためのほぼ円形の開口であり、燃料通路11Pの一部を構成している。軸支持部32fは、側壁部32aの内壁に形成され、挿入側開閉機構50の端部を装着支持する。
挿入側開閉機構50は、挿入通路形成部材30に組み込まれ、開閉部材51と、軸受部52と、開閉部材51を閉じ方向に付勢するスプリング53とを備えている。開閉部材51は、給油ガンの先端で押されて軸受部52を中心に回動することで挿入用開口32eを開く。挿入用開口32eの開口周縁部には、シール部材54が配置されている。開閉部材51は、シール部材54を押圧することでシールした状態で挿入用開口32eを閉じている。
注入口形成部材40は、注入口開閉機構60を支持する部材であり、通路形成部材20における樹脂内層27と溶着される樹脂成型品である。注入口形成部材40は、開口部41と、開口部41の外周下面から突設されネック本体21内に収納された円筒状の支持部材42と、フランジ部43と、屈曲部44とを備えている。開口部41とこれに続く支持部材42は、燃料通路11Pに注入口41aを形成し、この注入口41aには、後述の注入口開閉機構60が装着されている。フランジ部43は、ネック本体21における樹脂内層27の上端の溶着端21aに接合し、この接合状態を維持するよう溶着される。溶着の様子については、後述する。フランジ部43は、燃料通路11Pを取り囲むことから、注入口形成部材40は、燃料通路11Pの周りにおいて通路形成部材20の樹脂内層27と溶着されることになる。屈曲部44は、図3における上方側に凸に屈曲形成されて可撓性を有し、通路形成部材20の樹脂内層27と注入口形成部材40のフランジ部43との溶着部位Wdに連続する。この屈曲部44は、注入口41aから差し込まれた給油ガン(図視略)から加わる外力、即ち注入口41aの側から加わる外力に伴う衝撃を吸収する衝撃吸収部位として機能する。なお、屈曲部44の肉厚については、均等な肉厚とできるほか、図示するようにフランジ部43に連続する側を薄肉にしたり、支持部材42に連続する側を薄肉としてもよい。
注入口形成部材40に支持されている注入口開閉機構60は、開閉部材61と、軸受部62と、スプリング63と、ガスケット64と、調圧弁65とを備えている。開閉部材61は、押圧部材61aと、弁室形成部材61bとを備え、調圧弁65を収納する弁室を形成している。軸受部62は、開閉部材61と注入口形成部材40との間に介在して開閉部材61を注入口形成部材40に対して回動自在に支持する。スプリング63は、開閉部材61を閉じ方向に付勢する。ガスケット64は、ゴム材料から環状に形成され、開閉部材61の外周部に装着されており、注入口41aの周縁部との間で挟持されることでシールした状態で注入口41aを閉じている。調圧弁65は、弁室内に収納されており、スプリングにより付勢された正圧弁を備え、燃料タンクの圧力が所定圧を越えたときに開いて燃料タンク側の圧力を逃がす弁である。
次に、上記した各部材の組み付けに関与する構成について説明する。図3は燃料給油装置10の要部を拡大して示す断面図であり、図4は図3の挿入通路形成部材30を通路形成部材から外した状態を示す断面図である。図4に示すように、通路形成部材20を構成するネック本体21の上部には、フランジ部24が形成されている。フランジ部24の上面には、全周に環状の保持凹所24aが形成されている。保持凹所24aには、補強部材25がインサート成形手法などを用いて配設されている。補強部材25は、ステンレス鋼などの金属材料から形成されている環状の部材である。
カバー部材32の側壁部32aの下部には、係合爪32gが形成されている。この係合爪32gがフランジ部24に係合することにより、カバー部材32は通路形成部材20に装着される。カバー部材32の外周部には、フランジ形状の取付部32jが形成されている。取付部32jは、車体側基板BP(図3参照)にボルトなどの締結部材を介して固定されている。
注入口形成部材40のフランジ部43は、その下面において、樹脂内層27の溶着端21aに溶着され、燃料通路11Pの周りの溶着部位Wdとなる。溶着の方法として、レーザー溶着法を用いることにより溶着部位Wdが形成されている。図3において溶着部位Wdと補強部材25とは、燃料通路の中心線CLから直角の同一の面HP上に配置されている。ここで、同一の面HPは、溶着部位Wdと補強部材25とを完全に含む面上に限らず、中心軸の方向へ僅かに異なっていてもよく、つまり同一面の周辺を含む領域をいう。
燃料給油装置10を製造するには、まず、通路形成部材20および挿入通路形成部材30を射出成形により製造する。通路形成部材20は、2種類の樹脂材料による2色の射出成形を行なうことにより製造する。最初の樹脂材料として樹脂外層28を形成するための変性ポリエチレンを射出し、その後、樹脂内層27を形成するためのポリアミドを射出する。変性ポリエチレンは、ポリエチレン(PE)に極性官能基、例えばマレイン酸変性された官能基を付加した樹脂材料であり、ポリアミド(PA)と射出成形時の熱により反応接着する。よって、樹脂内層27と樹脂外層28とは、2色成形により反応接着により溶着一体化している。一方、挿入通路形成部材30はポリエチレンを用いて、注入口形成部材40はポリアミドを用いて、それぞれ射出成形する。
次に、注入口形成部材40を通路形成部材20に一体化するレーザー溶着工程を行なう。通路形成部材20を支持台(図示省略)に固定するとともに、注入口形成部材40を通路形成部材20内に挿入する。このとき、注入口形成部材40のフランジ部43を通路形成部材20における樹脂内層27の溶着端21aに接合させ、注入口形成部材40および通路形成部材20を支持台などに固定する。
続いて、レーザー照射装置をフランジ部43およびネック本体21における樹脂内層27の溶着端21aに向け、通路形成部材20を支持した支持台を回転させつつレーザー光をフランジ部43と樹脂内層27の溶着端21aとの接合箇所に向けて照射する。樹脂内層27は、レーザー光の吸収を高めるためにカーボンブラックを0.1〜2.0重量部含有している。よって、レーザー光は、フランジ部43を透過した後に、溶着端21aにて効率よく吸収されるので、溶着端21aの速やかな高温化とこれに伴う溶融を起こすと共に、フランジ部43の下面についても溶融する。溶融した部分の樹脂材料は、同じ樹脂材料(PA)であるから相溶し、冷却固化することにより溶着する。これにより、注入口形成部材40のフランジ部43と通路形成部材20の溶着端21aとの溶着部位Wdが燃料通路11Pの全周域に形成される。
次いで、挿入通路形成部材30のカバー部材32に挿入側開閉機構50を組み付け、注入口形成部材40に注入口開閉機構60を組み付ける。そして、挿入側開閉機構50を組み付けたカバー部材32を、通路形成部材20に組み付ける。この際、カバー部材32の係合爪32gをフランジ部24に係合する。これにより、図1に示すように燃料給油装置10が得られる。
以上説明した構成を備える第1実施形態の燃料給油装置10は、以下の効果を奏する。図5は第1実施形態の燃料給油装置10で得られる効果を説明するための説明図である。図示するように、通路形成部材20には、注入口形成部材40を介して注入口開閉機構60が装着されている。注入口形成部材40の注入口41aは、開閉部材61により開閉される。注入口形成部材40は、通路形成部材20における樹脂内層27に燃料通路11Pの周周りの全周に亘って溶着部位Wdで溶着され、その間がシールされている。よって、第1実施形態の燃料給油装置10によれば、Oリングなどのシール部材を用いることなく、高いシール性を確保することができる。こうしてシール性を確保した上で、次の利点がある。
第1実施形態の燃料給油装置10は、注入口形成部材40と通路形成部材20、詳しくは注入口形成部材40のフランジ部43と通路形成部材20の樹脂内層27の溶着端21aとの溶着部位Wdに屈曲部44を連続して備え、屈曲部44を上方側に凸に屈曲形成して可撓性を有するものとする。そして、この屈曲部44を注入口41aから差し込まれた給油ガンKgから加わる外力、即ち注入口41aの側から加わる外力に伴う衝撃を吸収する衝撃吸収部位として機能させる。この結果、第1実施形態の燃料給油装置10によれば、溶着部位Wdを乖離させるように作用する外力、例えば溶着部位Wdをねじるように作用する外力が給油ガンKgから支持部材42に加わっても、屈曲部44の屈曲を経た衝撃吸収により、この外力が溶着部位Wdまで及ぶことを抑制できるので、注入口41aの側から加わる外力に対する溶着部位Wdの耐性を高めることができる。
第1実施形態の燃料給油装置10によれば、注入口41aの側から加わる外力に対する溶着部位Wdの耐性を、屈曲形成されて可撓性を有する屈曲部44にて容易に高めることができる。
また、第1実施形態の燃料給油装置10によれば、通路形成部材20に溶着部位Wdと関連付けて補強部材25を配設したことから、通路形成部材20の溶着部位Wdの付近に、その外側方向から外力Fを受けても、補強部材25は、溶着部位Wdや注入口形成部材40の付近への衝撃を緩和し、シール箇所を保護する。第1実施形態の燃料給油装置10によれば、燃料通路11Pにおける注入口41aの側から、および燃料通路11Pの外部から外力が及んでも、溶着部位Wdの外力に対する耐性を高めることができる。
次に、変形例について説明する。図6は第1実施形態の燃料給油装置10の第1変形例の要部を拡大断面視して示す説明図である。図示するように、この変形例の燃料給油装置10は、屈曲部44aを、通路形成部材20の樹脂内層27と注入口形成部材40のフランジ部43との溶着部位Wdに連続する部位に有する点で第1実施形態と共通し、屈曲部44aの形成箇所が相違する。つまり、この屈曲部44aは、燃料通路11Pから拡径する側に凸に屈曲形成されて可撓性を有し、支持部材42の上端側に配設されている。この屈曲部44aにあっても、注入口41aから差し込まれた給油ガンKgから加わる衝撃、即ち注入口41aの側から加わる衝撃を吸収する衝撃吸収部位として機能する。よって、この変形例の燃料給油装置10によっても、第1実施形態と同様、注入口41aの側から加わる外力に対する溶着部位Wdの耐性を高めることができる。
図7は第1実施形態の燃料給油装置10の第2変形例の要部を拡大断面視して示す説明図である。図示するように、この変形例の燃料給油装置10は、屈曲部44bを、通路形成部材20の樹脂内層27と注入口形成部材40のフランジ部43との溶着部位Wdに連続する部位に有する点で第1実施形態と共通し、屈曲部44bの屈曲向きが相違する。つまり、この屈曲部44bは、図7における下方側に凸に屈曲形成されて可撓性を有する。この屈曲部44bにあっても、注入口41aから差し込まれた給油ガンKgから加わる衝撃、即ち注入口41aの側から加わる衝撃を吸収する衝撃吸収部位として機能する。よって、この変形例の燃料給油装置10によっても、第1実施形態と同様、注入口41aの側から加わる外力に対する溶着部位Wdの耐性を高めることができる。
図8は第1実施形態の燃料給油装置10の第3変形例の要部を拡大断面視して示す説明図である。図示するように、この変形例の燃料給油装置10は、上記の屈曲部44bの凹部にゴム等の弾性部材45を装着している点で相違する。この変形例の燃料給油装置10によれば、弾性部材45によっても衝撃吸収を図ることができるので、溶着部位Wdのねじりに対する耐性をより確実に高めることができると共に、屈曲形成された屈曲部44b自体の損傷も抑制できる。なお、弾性部材45は、燃料通路11Pの周りの全域に亘って屈曲部44bに装着できるほか、給油ガンKgから外力が加わると想定できる範囲、例えば、図8に示す断面部を中心とする燃料通路11Pの半周域において弾性部材45を装着するようにしてもよい。この他、第1実施形態の屈曲部44やその変形例の屈曲部44aに弾性部材45を装着してもよい。また、弾性部材45は、第1実施形態とその変形例の屈曲部44や屈曲部44aに嵌め込み装着できるほか、一体成型手法にて屈曲部44や屈曲部44a〜44bに一体成型してもよい。
次に、参考例や他の実施形態について説明する。図9は参考例の燃料給油装置10Aの要部を拡大断面視して示す説明図である。図示するように、この参考例の燃料給油装置10Aは、通路形成部材20の側、詳しくは通路形成部材20を構成する樹脂内層27に、第1実施形態の屈曲部44に相当する凹所27aを有する点に特徴がある。燃料給油装置10Aは、注入口形成部材40のフランジ部43を樹脂内層27の溶着端21aに溶着し、通路形成部材20の樹脂内層27は、溶着部位Wdの下方側に外周側で開口した凹所27aを有する。この凹所27aは、通路形成部材20の樹脂内層27と注入口形成部材40のフランジ部43との溶着部位Wdに連続し、凹所間隔が広狭するよう変形することで、注入口41aから差し込まれた給油ガンKgから加わる衝撃、即ち注入口41aの側から加わる衝撃を吸収する衝撃吸収部位として機能する。通路形成部材20の樹脂外層28は、凹所27aの変形を阻害しないよう、凹所27aに対向して切欠28cを有する。通路形成部材20に凹所27aを有する実施形態の燃料給油装置10Aによっても、第1実施形態と同様、注入口41aの側から加わる外力に対する溶着部位Wdの耐性を高めることができる。
図10は参考例の燃料給油装置10Aの変形例の要部を拡大断面視して示す説明図である。図示するように、この変形例の燃料給油装置10Aは、外周側で開口した凹所27aに代えて、樹脂内層27の上端側に凹所27bを有する。この凹所27bは、通路形成部材20の樹脂内層27と注入口形成部材40のフランジ部43との溶着部位Wdに連続する部位に有する点で第2実施形態と共通し、形成箇所が相違する。つまり、この凹所27bは、樹脂内層27の溶着端21aを区画するよう樹脂内層27の上端側で開口し、通路形成部材20の樹脂内層27と注入口形成部材40のフランジ部43との溶着部位Wdに連続する。そして、この凹所27bにあっても、凹所間隔が広狭するよう変形することで、注入口41aから差し込まれた給油ガンKgから加わる外力、即ち注入口41aの側から加わる外力に伴う衝撃を吸収する衝撃吸収部位として機能する。通路形成部材20の樹脂外層28は、凹所27bの変形および凹所27bで区画された内層上端片部27cの変形を阻害しないよう、内層上端片部27cに対向して切欠28cを有する。通路形成部材20に凹所27bを有するこの変形例の燃料給油装置10Aによっても、第1実施形態と同様、注入口41aの側から加わる外力に対する溶着部位Wdの耐性を高めることができる。
図11は第2実施形態の燃料給油装置10Bの要部を拡大断面視して示す説明図である。図示するように、この第2実施形態の燃料給油装置10Bは、注入口形成部材40の支持部材42に連続したノズルガイド70を有する点と、このノズルガイド70に、上記した第2実施形態における凹所27aに相当する凹所71を有する点に特徴がある。
ノズルガイド70は、通路形成部材20の樹脂内層27より内側に位置し、上端を支持部材42の下端に接触して溶着保持されており、挿入された給油ガンKgを案内する。ノズルガイド70は、注入口形成部材40とは別体であるものの、給油ガンKgから加わった外力を支持部材42に伝達することから、こうした力の伝達の観点からは、注入口形成部材40の一部部位と変わるものではない。そして、燃料給油装置10Bは、注入口形成部材40のフランジ部43を樹脂内層27の溶着端21aに溶着し、ノズルガイド70が支持部材42の側に有する凹所71は、支持部材42の側で開口し、通路形成部材20の樹脂内層27と注入口形成部材40のフランジ部43との溶着部位Wdに連続する。この凹所71にあっても、凹所間隔が広狭するよう変形することで、注入口41aから差し込まれた給油ガンKgから加わる衝撃、即ち注入口41aの側から加わる衝撃を吸収する衝撃吸収部位として機能する。注入口形成部材40の支持部材42に連続したノズルガイド70に凹所71を有する実施形態の燃料給油装置10Bによっても、第1実施形態と同様、注入口41aの側から加わる外力に対する溶着部位Wdの耐性を高めることができる。なお、凹所71は、燃料通路11Pの側で開口していてもよいほか、この凹所71と同様の凹所42rを支持部材42の下端側に形成してもよい。この場合、凹所42rと凹所71は、併存してもよく、こうすれば、注入口41aの側から加わる外力に対する溶着部位Wdの耐性をより確実に高めることができる。また、凹所71を設けることなく、支持部材42に凹所42rを設けるようにしてもよい。この他、ノズルガイド70を2色成形により支持部材42に連続形成してもよい。
図12は第3実施形態の燃料給油装置10Cの要部を拡大断面視して示す説明図である。図示するように、この第3実施形態の燃料給油装置10Cは、注入口形成部材40の支持部材42に連続したノズルガイド70Aに、上記した第1実施形態における屈曲部44に相当する屈曲部72を有する点に特徴がある。ノズルガイド70Aは、上記したように給油ガンKgから加わった外力を支持部材42に伝達するという観点から、注入口形成部材40の一部部位と変わるものではない。そして、燃料給油装置10Cは、注入口形成部材40のフランジ部43を樹脂内層27の溶着端21aに溶着し、ノズルガイド70Aが支持部材42の側に有する二つの屈曲部72は、図における上方側と下方側に凸に屈曲形成されて可撓性を有し、通路形成部材20の樹脂内層27と注入口形成部材40のフランジ部43との溶着部位Wdに連続する。この屈曲部72にあっても、注入口41aから差し込まれた給油ガンKgから加わる外力、即ち注入口41aの側から加わる外力に伴う衝撃を吸収する衝撃吸収部位として機能する。注入口形成部材40の支持部材42に連続したノズルガイド70Aに屈曲部72を有する実施形態の燃料給油装置10Cによっても、第1実施形態と同様、注入口41aの側から加わる外力に対する溶着部位Wdの耐性を高めることができる。なお、屈曲部72の肉厚については、屈曲部44において説明したように、その屈曲経路において均等な肉厚とできるほか、一部経路において薄肉としてもよい。
図13は第4実施形態の燃料給油装置10Dの要部を拡大断面視して示す説明図であり、図14は図13におけるA方向から支持部材42とノズルガイド70Bを矢視して示す説明図である。図示するように、この第4実施形態の燃料給油装置10Dは、注入口形成部材40の支持部材42に連続したノズルガイド70Bに、上記した第2実施形態における凹所71に相当する貫通孔部73hを有する点に特徴がある。ノズルガイド70Bは、上記したように給油ガンKgから加わった外力を支持部材42に伝達するという観点から、注入口形成部材40の一部部位と変わるものではない。貫通孔部73hは、ノズルガイド70Bの図における上端側、即ち支持部材42の側に、等ピッチで複数形成され、図14では、貫通孔部73hの領域をハッチにて示している。
燃料給油装置10Dは、図14(A)と図14(B)に示すいずれかの形態で、貫通孔部73hを取り囲んでいる。図14(A)の形態では、燃料給油装置10Dは、貫通孔部73hを上端側で開放して、開放箇所両側のブリッジ73cにおいて、ノズルガイド70Bを支持部材42に接触させている。燃料給油装置10Dは、図14(B)の形態では、貫通孔部73hの上端側のほぼ中央のブリッジ73cにおいて、ノズルガイド70Bを支持部材42に接触させている。図14に示すいずれの形態であっても、貫通孔部73hは、通路形成部材20の樹脂内層27と注入口形成部材40のフランジ部43との溶着部位Wdに連続し、ブリッジ73cが貫通孔部73hの側に押し込まれるよう貫通孔部73hが変形することで、注入口41aから差し込まれた給油ガンKgから加わる外力、即ち注入口41aの側から加わる外力に伴う衝撃を吸収する衝撃吸収部位として機能する。注入口形成部材40の支持部材42に連続したノズルガイド70Bに貫通孔部73hとブリッジ73cとを有する実施形態の燃料給油装置10Dによっても、第1実施形態と同様、注入口41aの側から加わる外力に対する溶着部位Wdの耐性を高めることができる。なお、貫通孔部73hとブリッジ73cと同様の貫通孔部42hとブリッジ42cとを、図14に示すように、支持部材42の下端側に形成してもよい。この場合、貫通孔部73hとブリッジ73cおよび貫通孔部42hとブリッジ42cは、併存してもよく、こうすれば、注入口41aの側から加わる外力に対する溶着部位Wdの耐性をより確実に高めることができる。また、貫通孔部73hとブリッジ73cを設けることなく、支持部材42に貫通孔部42hとブリッジ42cを設けるようにしてもよい。この他、図14(A)に示す形態の貫通孔部73hと図14(B)に示す形態の貫通孔部73hが併存していてもよい。
図15は第5実施形態の燃料給油装置10Eを断面視して示す説明図である。この燃料給油装置10Eは、図示しない燃料キャップを用いて燃料通路11Pにおける挿入通路11Paを開閉して、給油を図る構成である。この点で相違するものの、燃料給油装置10Eは、先に説明した燃料給油装置10と同様、ネック本体21とネック接続部22とを含み樹脂内層27と樹脂外層28との積層を経て形成される通路形成部材20や、支持部材42とフランジ部43とを含む注入口形成部材40などを有し、ネック接続部22に接続されたチューブTBを介して、燃料を燃料タンク(図視略)に供給する。なお、図に示す各部材は、その付された符号が同じであれば、第1実施例の燃料給油装置10とその機能において同じであるので、詳細な説明は割愛する。
通路形成部材20は、樹脂内層27の開口側の内周壁にネジ部21nを備え、このネジ部21nに燃料キャップがネジ締め固定される。樹脂内層27と樹脂外層28は、両者の上端において、金属製のリテーナ130にて覆われ、リテーナ130にて、燃料キャップの図示しないガスケットとの間のシール性と、機械的強度が確保されている。また、通路形成部材20の樹脂内層27は、ネジ部21nの下方側の内周壁に段差部を備え、この段差部を注入口形成部材40のフランジ部43との溶着を図る溶着端21aとする。
注入口形成部材40は、支持部材42の下端に、ノズルガイド壁48を備える。このノズルガイド壁48は、燃料通路11Pより径の小さい開口48hに支持部材42の下端から傾斜して延び、給油ガンを案内する。注入口形成部材40は、フランジ部43を、ネック本体21における樹脂内層27の段差部である溶着端21aに接合した状態で、この溶着端21aに溶着させている。フランジ部43は、燃料通路11Pを取り囲むことから、この実施形態であっても、注入口形成部材40は、燃料通路11Pの周りにおいて通路形成部材20の樹脂内層27と溶着され、溶着部位Wdにてシールされる。また、注入口形成部材40は、図15に示す左側の半円領域に亘り、支持部材42の上端側に屈曲部46を備える。この屈曲部46の形成領域(半円領域)は、ノズルガイド壁48にて案内される図示しない給油ガンから外力が及ぶ領域として規定されている。屈曲部46は、図15における上方側に凸に屈曲形成されて可撓性を有し、通路形成部材20の樹脂内層27と注入口形成部材40のフランジ部43との溶着部位Wdに連続する。この屈曲部46は、給油ガン(図視略)から加わる外力、即ち注入口41aの側から加わる外力に伴う衝撃を吸収する衝撃吸収部位として機能する。この結果、燃料キャップを用いるこの実施形態の燃料給油装置10Eにあっても、第1実施形態と同様、屈曲部44による衝撃吸収機能により、注入口41aの側から加わる外力に対する溶着部位Wdの耐性を高めることができる。
図16は第6実施形態の燃料給油装置10Fを断面視して示す説明図である。この燃料給油装置10Fは、第5実施形態と同様、図示しない燃料キャップを用いて給油を図る構成であり、金属製のリテーナ130に樹脂外層28が上端で溶着されている点で相違する。
リテーナ130は、樹脂内層27と樹脂外層28の上端を注入口形成部材40のフランジ部43に亘るまで覆うので、開口側内周壁にネジ部130を備え、このネジ部130nに燃料キャップがネジ締め固定される。樹脂外層28は、リテーナ130の組み付け後に、外部からの熱を受けてリテーナ130に熱溶着され、この溶着部位Wdにて、燃料キャップの図示しないガスケットとの間のシール性と、機械的強度が確保されている。リテーナ130は、その下端を、樹脂内層27の段差部21bにおいて注入口形成部材40のフランジ部43を挟持して組み付けられ、注入口形成部材40と一体となる。よって、図示しない給油ガンから注入口形成部材40の支持部材42やノズルガイド壁48に加わった外力は、注入口形成部材40のフランジ部43を経てリテーナ130に伝達することから、こうした力の伝達の観点からは、リテーナ130は、注入口形成部材40の一部部位と変わるものではない。その他の構成については、第5実施形態の燃料給油装置10Eと変わるものではない。そして、この燃料給油装置10Fにあっても、通路形成部材20の樹脂内層27とリテーナ130との溶着部位Wdに連続する注入口形成部材40の屈曲部46による衝撃吸収機能により、注入口41aの側から加わる外力に対する溶着部位Wdの耐性を高めることができる。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、或いは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
上記の実施形態では、溶着部位Wdを取り囲むよう補強部材25を備えることで、溶着部位Wdに外方から及ぶ外力に対する機械的強度を高めるようにしたが、補強部材25を備えないようにしてもよい。例えば、車体側基板BPを含む車体側にて外力を抑制或いは吸収する機構が配設されていれば、補強部材25を備えない燃料給油装置に上記の各実施形態或いはその変形例を適用できる。また、補強部材25に代わる外力対抗機構を有する燃料給油装置や補強部材25を備えない燃料給油装置に上記の各実施形態或いはその変形例を適用できる。
上記の実施形態では、注入口41aの側から加わった衝撃を吸収する屈曲部44や凹所27aを一つ有するものとして説明したが、これらを複数有するようにしてもよい。
上記の実施形態では、通路形成部材20を樹脂内層27と樹脂外層28が積層して構成したが、一層の通路形成部材20としてもよい。また、挿入通路形成部材30におけるカバー部材32の下端側から、屈曲部44を覆うように傾斜して延びる傾斜壁を設けてもよい。