JP2014102010A - 浮揚乾燥装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フィルム状物の乾燥効率を向上させた浮揚乾燥装置を提供する。
【解決手段】 浮揚乾燥装置10は、所定の幅を有するフィルム状物Fの一の主面に対向して配置された第一の面15Aと、前記フィルム状物の他の主面に対向して配置された第二の面15Bとを有し、前記フィルム状物を気体の圧力により前記第一の面および第二の面から浮揚させつつ乾燥する浮揚乾燥装置であって、前記第一の面および前記第二の面はそれぞれ、前記フィルム状物の主面に垂直な方向から傾斜した方向に前記気体を吐出する形状の複数の開口部16A,16Bを有することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、フィルムや、金属箔、織物、紙、テープ、粘着テープなどのフィルム状の物体、あるいはガラス板(液晶用ガラス基板など)や金属板の板状物(シリコン基板やプリント基板なども含む)、更には板厚の厚めの物体(以下、これらをまとめて単にフィルム状物という。)を気体によって浮揚させつつ乾燥する浮揚乾燥装置に関する。
従来の浮揚乾燥装置では、排出口から長尺のフィルム状物(長尺状支持体)の主面に対して垂直な方向に気体(熱風)を排出し、その圧力によってフィルム状物を浮揚させるとともに乾燥を行っている(例えば、特許文献1参照)。
特開2011−196557号公報
浮揚乾燥装置における乾燥効率の向上は、乾燥時間(製造時間)の短縮によるコストの削減だけでなく、省エネルギー化の観点からも重要な課題である。しかし、フィルム状物を浮揚させるためにフィルム状物の主面に対して略垂直に気体を排出する従来の浮揚乾燥装置では、乾燥効率の向上には限界があった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、フィルム状物の乾燥効率を向上させた浮揚乾燥装置を提供することを目的とする。
(1)本発明は、所定の幅を有するフィルム状物の一の主面に対向して配置された第一の面と、前記フィルム状物の他の主面に対向して配置された第二の面とを有し、前記フィルム状物を気体の圧力により前記第一の面および第二の面から浮揚させつつ乾燥する浮揚乾燥装置であって、前記第一の面および前記第二の面はそれぞれ、前記フィルム状物の主面に垂直な方向から傾斜した方向に前記気体を吐出する形状の複数の開口部を有することを特徴とする、浮揚乾燥装置である。
本発明によれば、未乾燥状態のフィルム状物の乾燥効率を向上させることができる。
(2)本発明はまた、前記フィルム状物は所定の方向に搬送され、前記複数の開口部は、前記フィルム状物の搬送方向と逆の方向に向かって前記気体を吐出する形状を有することを特徴とする、上記(1)に記載の浮揚乾燥装置である。
(3)本発明はまた、前記第一の面および前記第二の面はそれぞれ、前記フィルム状物の搬送方向の出口側端部に、前記複数の開口部からの吐出方向とは逆の方向に向かって前記気体を吐出する形状の複数の出口側補助開口部を有することを特徴とする、上記(2)に記載の浮揚乾燥装置である。
(4)本発明はまた、前記第一の面および前記第二の面はそれぞれ、前記フィルム状物の搬送方向の入口側端部に、前記フィルム状物の主面に対して垂直な方向に前記気体を吐出する複数の入口側補助開口部を有することを特徴とする、上記(3)に記載の浮揚乾燥装置である。
本発明の上記(1)〜(4)に記載の浮揚乾燥装置によれば、フィルム状物の乾燥効率を向上させることができる。
本発明の第1実施形態に係る浮揚乾燥装置の構成を説明するための概略正面図である。 浮揚乾燥装置から吐出される気体の流れを示す図であり、(A)が第1の実施形態の浮揚乾燥装置の概略正面図であり、(B)が従来の浮揚乾燥装置の概略正面図である。 本発明の第1実施形態に係る浮揚乾燥装置を示す図であり、(A)が吐出面の上面図であり、(B)が浮揚乾燥装置の正面図であり、(C)が浮揚乾燥装置の側面図である。 第1の実施形態に係る浮揚乾燥装置の吐出孔を示す図であり、(A)が拡大上面図であり、(B)がチャンバの内側から見た斜視図であり、(C)が吐出面の断面図である。 第1の実施形態に係る浮揚乾燥装置の吐出孔の他の形態をチャンバの内側から見た斜視図である。 第1の実施形態に係る浮揚乾燥装置の用途例を示す概略図である。 本発明の第2の実施形態に係る浮揚乾燥装置を示す図であり、(A)が吐出面の上面図であり、(B)が第1吐出孔の上面図および断面図であり、(C)が第2吐出孔の上面図および断面図であり、(D)が第3吐出孔の上面図および断面図である。 (A)が第1の実施形態に係る浮揚乾燥装置から吐出される気体の流れを示す概略正面図であり、(B)が第1の実施形態に係る浮揚乾燥装置のエアの速度分布を示す概略正面図であり、(C)が第2の実施形態に係る浮揚乾燥装置から吐出される気体の流れを示す概略正面図である(D)が第2の実施形態に係る浮揚乾燥装置のエアの速度分布を示す概略正面図である。 第3吐出孔の他の形態を示す図であり(A)が上面図であり、(B)がチャンバの内側から見た斜視図であり、(C)が吐出面の断面図である。 第3吐出孔の他の形態を示す図であり、チャンバの内側から見た斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の第1〜第2実施形態に係る浮揚乾燥装置について詳細に説明する。
[第1実施形態]まず、図1〜図5を用いて第1実施形態に係る浮揚乾燥装置10の構成について説明する。図1は浮揚乾燥装置10の構成を説明するための概略正面図である。図2は、浮揚乾燥装置10から吐出される気体の流れを示す図であり、図3は浮揚乾燥装置10を示す図であり、図4および図5は、浮揚乾燥装置10の吐出孔16を示す図である。なお、各図において、図面の簡略化のため、一部の構成の図示を適宜省略する。
図1に示す浮揚乾燥装置10は、本体となるエアチャンバ12と、このエアチャンバ12にブロア装置11からのエアを供給する供給管13と、を備え、所定の幅を有する一のフィルム状物F(二点鎖線で示す)をエア(熱風)によって浮揚させつつ乾燥する装置である。なお、以下の説明において、「エア」には空気の他、窒素(N)ガス等、乾燥装置で用いられる一般的な他の気体も含むとする。
エアチャンバ12(第1エアチャンバ12A、第2エアチャンバ12B)は、一側面に設けられた供給口(不図示)と、吐出面15(吐出面15A、15B)と、を備えている。エアチャンバ12は、フィルム状物Fの第1主面S1と第2主面S2にそれぞれ対向するように2つ設けられる。
第1エアチャンバ12Aは直方体形状であり、その表面の一部は多数の開口部(以下、吐出孔16Aという)が設けられてエアの吐出面15Aとなる。そして吐出面15Aがフィルム状物Fの第1主面S1と対向する。吐出面15Aの幅は、フィルム状物Fの幅と比較して広くなるように設定されている。第1エアチャンバ12Aの供給口には供給管13Aが接続される。
第2エアチャンバ12Bも直方体形状であり、その表面の一部は多数の開口部(以下、吐出孔16Bという)が設けられてエアの吐出面15Bとなる。そして吐出面15Bがフィルム状物Fの第2主面S2と対向する。吐出面15Bの幅は、フィルム状物Fの幅と比較して広くなるように設定されている。第2エアチャンバ12Bの供給口には供給管13Bが接続される。
浮揚乾燥装置10は、第1エアチャンバ12A、第2エアチャンバ12Bを一対にして、フィルム状物Fを隔てて吐出面15A、15Bが対向する態様で配置される。第1エアチャンバ12A,第2エアチャンバ12B内には、それぞれ供給管13A、13Bを通じて供給口から、ブロア装置11で圧縮されたエアが供給される。エアは吐出孔16A,16Bを介して、フィルム状物Fに吐出される。このエアの圧力によりフィルム状物Fは、浮揚乾燥装置10の第1エアチャンバ12Aの吐出面15A、および第2エアチャンバ12Bの吐出面15Bから浮揚しつつ(吐出面15A,15Bに非接触で)乾燥される。なお、ここでは第1エアチャンバ12Aおよび第2エアチャンバ12Bの構成は、同一の構成であり、以下これらを区別する必要がない場合には、エアチャンバ12、吐出面15、吐出孔16のように総称する。
フィルム状物Fは、駆動源(ここでは不図示)によって、所定の方向(ここでは矢印Tで示す搬送方向)に搬送されており、浮揚乾燥装置10は走行するフィルム状物Fの途中に配置される。すなわち吐出面15は、フィルム状物Fの搬送面ともいえる。フィルム状物Fは、エアチャンバ12における幅方向の中心に全体に満たされるように配置される。なお、フィルム状物Fを走行させる駆動源としては、BELLMATIC株式会社(東京都西多摩郡瑞穂町)が市販するサクションロールなどを採用できる。
浮揚乾燥装置10は、フィルム状物Fの主面(S1,S2)に対して(垂直な方向から)傾斜した方向に、エアが吐出される。より詳細には、各吐出孔16が、実線矢印の如くフィルム状物Fの搬送方向Tに向かって斜方にエアを吐出するような形状を呈している。これにより、乾燥効率を向上できる。
図2を参照して、乾燥効率についてさらに説明する。図2は、浮揚乾燥装置から吐出される気体の流れを示す図であり、図2(A)が第1の実施形態の浮揚乾燥装置の概略正面図であり、図2(B)が従来の浮揚乾燥装置の概略正面図である。ここでは、吐出孔16から吐出されるエア(の向き)を細線矢印で示し、それによるエアの流れの概要を太線矢印で示す。
図2(A)の如く、本実施形態の浮揚乾燥装置10では、エアチャンバ12に供給されたエアは、吐出孔16を介してフィルム状物Fに向かって斜方の指向性を有して噴き付けられる。そして、浮揚乾燥装置10の入口端IN側では、フィルム状物Fのフィルム状物Fの搬送方向Tに向かう斜方にフィルム状物Fを押し上げる方向の流れ(太線矢印)を形成して、フィルム状物Fを押し上げる。吐出孔16から吐出されるエアは吐出面15全体に渡って同方向であるが、吐出方向はフィルム状物Fの搬送方向に平行な方向の成分を含んでおり、入口端INから出口端OUTに向かうにつれて、所定の速度で移動するフィルム状物Fと吐出面15の狭い空間で吐出されたエア(フィルム状物Fの搬送方向Tに平行な成分を持つエア)が重畳し、直線状(平板状)の吐出面15に沿って流れる。
フィルム状物Fの搬送方向Tに沿う(これと略平行な)エアの流れが重なると、フィルム状物Fと平板状の吐出面15との狭い空間を高速に移動し(例えば、フィルム状物Fの搬送速度は10m/分、吐出孔16からのエアの吐出速度は5m/秒〜50m/秒である)、エアの流速が高くなることで減圧状態となり、第1エアチャンバ12Aでは、吐出面15Aにフィルム状物Fが吸引される状態となる。一方、第2エアチャンバ12Bでも同様に、吐出面15Bにフィルム状物Fが吸引される状態となる。つまり同じ構成の2つのエアチャンバ12(12A,12B)を対向配置することで、フィルム状物Fの吐出面15A、15Bへの吸引が抑えられ、エアの流路が確保されて、フィルム状物Fの両主面をエアが高速に移動する。
これに対し図2(B)の如く、吐出面115からフィルム状物Fの主面(S1,S2)に対して垂直方向にエアが吐出される構成の浮揚乾燥装置110では、吐出されたエアがフィルム状物Fに衝突拡散する。このため、エアの吐出速度が図2(A)の場合と同じであったとしても、吐出するエアの重畳や、それによるフィルム状物Fの搬送方向Tに沿うエアの流れが生じない(あるいはわずかに生じる程度である)ため、スムーズなエアの置換が起こりにくい。
再び図2(A)を参照して、本実施形態の浮揚乾燥装置10は、フィルム状物Fの主面S1、S2に沿ってエアが高速に移動し、マクロ的にはエアポケットのような箇所が連続して生じ、減圧される。これにより、例えばフィルム状物F主面を乾燥するような場合には、液体(溶剤)等が速い速度で吸引、排出されて乾燥が進行する。また、エアは物体(フィルム状物Fの主面)に付着し易いため、フィルム状物Fの主面S1,S2に近接した領域16X,16Zは、エアとの摩擦が多くなる。すなわち、フィルム状物Fの主面S1,S2に近接した領域16X,16Zの付近は、減圧により新鮮なエアが置換されることになるため、従来構造(図2(B))と比較して乾燥効率を向上させることができる。また、エアの風量や風圧等を適宜調節することにより、フィルム状物Fの搬送方向Tに沿って(これと略平行に)流れるエアの量を多くできるので、更に乾燥効率を向上させることができる。
また、フィルム状物Fの両主面から乾燥することにより、フィルム状物Fの乾燥のばらつきをなくし、両主面をほぼ均一且つ同時に乾燥することができ、これによっても乾燥効率を向上させることができる。
また、エアの吐出方向を、搬送方向Tに沿う斜方とすることで、エアの吐出によってフィルム状物Fを吐出面15に非接触で駆動搬送することも可能となる。したがって、フィルム状物Fに所定のテンションをかけて移動する搬送駆動源(例えばサクションロール、ニップロール、回転駆動ロール、駆動モータ等)も不要にすることができる。
搬送駆動源を用いないことで、低張力でフィルム状物Fを移動搬送できるので、それによるフィルム状物Fの劣化を防止でき、フィルム状物Fを高品質に搬送することが可能となる。
図3から図5を参照して、浮揚乾燥装置10の詳細な構成について説明する。図3は浮揚乾燥装置10を説明する図であり、図3(A)は浮揚乾燥装置10の吐出面の上面図であり、図3(B)が浮揚乾燥装置10の正面図であり、図3(C)が浮揚乾燥装置10の側面図である。
図3(A)を参照して、2つのエアチャンバ12のそれぞれの吐出面15は、均等な間隔で離間した同一形状の吐出孔16が全面に渡って多数設けられて構成される。
図3(B)(C)に示すように、2つのエアチャンバ12は互いに吐出面15が対向するように配置され、支持部材5で支持固定される。支持部材5は、2つのエアチャンバ12を図の上下方向(フィルム状物Fの主面に垂直な方向)に移動可能に固定しており、これにより、対向する吐出面15間の距離Gを調節可能としている。
エアチャンバ12にはそれぞれ、エアの供給管13が接続する。なお、同図においては例えば第1エアチャンバ12Aでは吐出面15Aと対向する上面側(第2エアチャンバ12Bでは下面側)に供給管13が設けられている場合を例に示している。しかし供給管13は略直方体のエアチャンバ12のいずれかの面に設けられていればよく、図2の構成に限らない。本明細書では例えば、図1、図2に示すような概略図においては、吐出面15からのエアの吐出方向を記載する便宜上、供給管13を側面に記載している。
図4を参照して吐出孔16について説明する。図4(A)は、浮揚乾燥装置10の吐出孔16の拡大上面図であり、図4(B)が吐出孔16をエアチャンバ12の内側から見た斜視図であり、図4(C)が吐出面15の断面図である。
吐出孔16はそれぞれ、エアチャンバ12の内側に突出する突状部17(吐出角度のある孔部)を備えている三角錐の二つの側面をなす形を呈しており、吐出面15に三角形の外孔17aを形成する(図4(A))と共に、エアチャンバ12の内側に三角形の内孔17bを形成する(図4(B))。内孔17bは、エアチャンバ12の入口端IN側に形成されている(図4(C))。突状部17は、プレス加工や射出成型などにより形成される。
これにより、図4(B)(C)に示すように、エアチャンバ12に供給されたエアは、内孔17bから外孔17aを通じて吐出面15からフィルム状物Fに噴き付けられる。具体的に、図面に矢印で示すように、内孔17bを通ったエアは、フィルム状物Fの主面に垂直な方向から搬送方向Tに向かって傾斜した方向の流れを形成して、外孔17aを通じてフィルム状物Fに吐出する。
吐出孔16は、互いに所定の間隔を空けて設けられている。各吐出孔16の大きさは、特に限定されないが、外孔17aの開孔率は、全ての内孔17bの面積の合計を吐出面15の面積で除してから100を乗じた値と定義した場合、0.1%〜5%の範囲であることが好ましい。
なお、本実施形態では、吐出孔16は、三角錐の二つの側面をなす形を呈する突状部17により構成されるが、これに限定されず、図5に示す突状部18、19、20により構成されてもよい。具体的に、図5(A)の如く、突状部18は、球面の一部をなす形を呈しており、吐出面15に半楕円形の外孔18aを形成すると共に、エアチャンバ12の内側に半楕円形の内孔18bを形成する。内孔18bは、エアチャンバ12の入口端IN側に形成されている。
あるいは、図5(B)に示す突状部19を備えるようにしてもよい。具体的に、突状部19は、四角錐の三つの側面をなす形を呈しており、吐出面15に三角形の外孔19aを形成すると共に、エアチャンバ12の内側に台形の内孔19bを形成する。内孔19bは、エアチャンバ12の入口端IN側に形成されている。
あるいは、図5(C)に示す突状部20を備えるようにしてもよい。具体的に、突状部20は、四角錐の三つの側面をなす形を呈しており、吐出面15に台形の外孔20aを形成すると共に、エアチャンバ12の内側に台形の内孔20bを形成する。内孔20bは、エアチャンバ12の入口端IN側に形成されている。
[浮揚乾燥装置の用途例]図6を参照して、浮揚乾燥装置10の用途例について説明する。図6は、浮揚乾燥装置10を適用した乾燥システムに係る概略構成図である。
図6(A)を参照して、乾燥システム30は、駆動源によって所定方向に搬送されるフィルム状物Fをエアによって浮揚しつつ乾燥させるシステムである。この乾燥システム30は、システムの中核をなす乾燥炉31と、この乾燥炉31内に適宜配置された浮揚乾燥装置10と、ブロア装置35と、ヒーター33と、フィルタ32と、バルブ34と、ターンバー38と、サクションロール39とを備えている。
フィルム状物Fは、未乾燥状態でターンバー38によって方向を変換され、矢印T方向に移動して乾燥炉31内に搬送される。ターンバー38は、フィルム状物Fをその搬送面から非接触で浮揚搬送するエアターンバーである。フィルム状物Fは、サクションロール39によって所定のテンションを与えられつつ、浮揚乾燥装置10を通過する。浮揚乾燥装置10は2つエアチャンバ12が、それぞれの吐出面15が互いに対向するように上下に平行に配置されている。フィルム状物Fは、対抗する吐出面15間を通過する。
乾燥炉31からブロア装置35で吸引され回収されたエアは圧縮され、ヒーター33で昇温され、フィルタ32により不純物が濾過され、供給管13を介してエアチャンバ12に供給される。エアチャンバ12の供給管13に通ずる分岐管にはバルブ34がそれぞれ取り付けられており、これらバルブ34を用いて吐出孔からの吐出量(吐出速度)が調節される。例えば、フィルム状物Fが自重などにより吐出面15間の中央位置(吐出面15Aおよび15Bからほぼ均等な距離の位置)を通過しない場合、吐出面15間の中央位置を通過できるよう、バルブ34で調整することも可能である。
また、対向するエアチャンバ12間の距離G(吐出面15(15A,15B)間の距離G)は、可変となっている。距離Gは、フィルム状物Fの厚みにもよるが例えば、フィルム状物Fの厚み+0.5mm〜30mm程度が望ましい。
浮揚乾燥装置10のエアチャンバ12に供給されたエアは、フィルム状物Fに噴き付けられ、これにより、フィルム状物Fを浮揚しつつ乾燥する。本実施形態の浮揚乾燥装置10は、エアの吐出方向が、フィルム状物Fの主面に垂直な方向から傾斜した方向であり、これにより、フィルム状物Fの主面に対して垂直方向に吐出する浮揚乾燥装置と比較して、高い乾燥効率が実現できる。
浮揚乾燥装置10から排出され乾燥済みのフィルム状物Fは、サクションロール39によって所定のテンションを与えられつつ、乾燥炉31から搬送され、次工程へ搬送される。
図6(B)は、搬送方向Tとは逆方向の斜方に吐出する吐出孔16を備えた浮揚乾燥装置10を備えた乾燥システム30の概略構成図である。図1から図6(A)の浮揚乾燥装置10は、搬送方向Tに向かって(出口端OUT側に向かって)斜方に吐出する吐出孔16を設ける場合を例に説明したが、図6(B)のごとく、搬送方向Tとは逆方向に向かって(入口端IN側に向かって)斜方に吐出する吐出孔16としてもよい。すなわち、図4(B)の内孔17(b)をエアチャンバ12の出口端OUT側に形成する。この場合、吐出面15間を通過するエア(図6の矢印で示す)の流速(風速)と、フィルム状物Fの搬送速度に相対的な速度差が大きくなり、その速度差によって図6(A)の場合より乾燥効率が向上する。
[第2実施形態]次に、図7から図10を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の浮揚乾燥装置40の外観構成は図2に示す第1実施形態の浮揚乾燥装置10と同様であり、同一構成の2つのエアチャンバ42の吐出面45がフィルム状物Fを介して対向配置される。第2実施形態では、吐出面45の構成が第1実施形態と異なっており、1つの吐出面45に複数種類の形状の吐出孔46(ここでは第1吐出孔461、第2吐出孔462および第3吐出孔463)が設けられる。
図7は、吐出面45および吐出孔46を説明する図であり、図7(A)が吐出面45の上面図、図7(B)が第1吐出孔461の上面図および吐出面45の断面図、図7(C)が第2吐出孔462の上面図および吐出面45の断面図、図7(D)が第3吐出孔463の上面図および吐出面45の断面図である。なお、図7(B)〜図7(D)においては、上図が上面図、下図が断面図である。
図7(A)を参照して、吐出面45は、エアチャンバ46の中央領域R1と、出口端OUT側で中央領域R1と隣接する出口側領域R2と、入口端IN側で中央領域R1と隣接する入口側領域R3で構成される。
中央領域R1は第1吐出孔461が設けられる領域であり、出口側領域R2は第2吐出孔462が設けられる領域であり、入口側領域R3は第3吐出孔463が設けられる領域である。
第1吐出孔461は、図7(B)に示す第1突状部47から構成される。第1突状部47の形状及び配置は第1実施形態の吐出孔16の突状部17と同様であり、これについての説明は省略する。
第2吐出孔462は、図7(C)に示す第2突状部48から構成される。第2突状部48は、その形状は突状部17(第1突状部47)と同様であるが、内孔48bが出口端OUT側に設けられており、外孔48aを介して吐出されるエアの方向が第1突状部47と逆向きとなる。すなわち、第2吐出孔462は、フィルム状物Fの主面に対して垂直な方向から、搬送方向Tと逆向きに傾斜した方向に、エアを吐出する。
第3吐出孔463は、図7(D)に示す貫通孔70により構成される。貫通孔70は、打ち抜き加工(パンチング加工)や、レーザ加工により形成され、吐出面45(エアチャンバ42)を構成する基材を貫通する。貫通孔70を打ち抜き加工で形成することで、安価に第3吐出孔463を形成することができる。そして、第3吐出孔463は、矢印の如く、フィルム状物Fの主面(S1,S2)に垂直な方向に、エアを吐出する。なお、同図では上面視においてほぼ円形状に貫通孔70を設けた場合を例に示しているが、これに限らず、長円、楕円、多角形など他の形状であってもよい。
つまり、第2実施形態の浮揚乾燥装置40は、入口側領域R3ではフィルム状物Fの主面に垂直にエアが吐出し、中央領域R1ではフィルム状物Fの搬送方向Tに沿う斜方にエアが吐出し、出口側領域R2ではフィルム状物Fの搬送方向Tと逆方向に沿う斜方にエアが吐出する。
図8を参照して、第2実施形態における吐出面45間のエアの圧力について説明する。図8(A)は第1実施形態における、吐出面15間のエアの圧力の様子を示す概略正面図であり、図8(B)は第1実施形態における、一方の吐出面15上のエアの速度分布を示す概略正面図であり、図8(C)は第2実施形態における、吐出面45間のエアの圧力の様子を示す概略正面図であり、図8(D)は第2実施形態における、吐出面45間のエアの速度分布を示す概略正面図である。2つのエアチャンバ12、42の大きさは同等であり、説明の便宜上、エアチャンバ12においても、エアチャンバ42の中央領域R1、出口側領域R2、入口側領域R3にそれぞれ相当する領域に分けて説明する。また同図ではこれらの間に流れるエア全体の圧力分布(エアの量の多少)の概略をハッチングの濃淡で示している。
図8(A)の如く吐出孔16からのエアの吐出方向が、吐出面15の全体に渡って同じ斜方(出口端OUT側に向かう斜方)の場合、入口側領域R3ではエアの量が他の領域に比べて少なくなる(淡いハッチングで示す)。吐出するエアの重畳が多くなる中央領域R1から出口側領域R2にかけては、徐々にエアの量が増える(濃いハッチングで示す)。しかしエアが重畳することにより出口側領域R2付近ではエアの流速が他の領域より高速となり、図8(B)の如く速度分布として入口側領域R3と出口側領域R2の差が大きくなる。これにより、出口側領域R2に向かって減圧状態となる(淡いハッチングで示す)。入口側領域R3ではエアが出口側領域R2に向かって吸い込まれる状態となり、エアの量がさらに少なくなる。このように、エアの吐出方向が、吐出面15の全体に渡って同じ斜方の場合、エアの流量や流速によっては、吐出面15間のエアの量(圧力分布)のばらつきが大きくなる場合がある。
このような場合に、図8(C)の如く、出口側領域R2において、中央領域R1と逆方向にエアを吐出させることで、出口側領域R2でのエアの流速を減速させることができ、図8(D)の如く、速度分布は吐出面45全体に渡って、図8(B)の場合よりフラットに近い状態となる。これにより、減圧状態を抑制することができる。また、入口側領域R1においてエアを垂直に吐出しエアの量を増やすことで、中央領域R1から出口側領域R2に向かってエア不足によってエアが吸引されることを防止できる。これにより、吐出面45間のエアの量(圧力分布)のばらつきを抑えることができる(図8(C)参照)。
なお、第2実施形態において、入口側領域R3には第3吐出孔463を設けず、中央領域R1と同じ第1吐出孔461を設けてもよい。少なくとも出口側領域R2において中央領域R1と逆方向にエアを吐出させることで、吐出面45間のエアの圧力分布のばらつきを抑えることが可能となる。
中央領域R1,出口側領域R2および入口側領域R3の割合、第1吐出孔461(外孔47a)、第2吐出孔462(外孔48a)、第3吐出孔463(外孔49a)の開口率は、フィルム状物Fの搬送速度、エアの吐出速度、搬送するフィルム状物Fに応じて適宜選択される。
なおこの場合において、中央領域R1、出口側領域R2および入口側領域R3のそれぞれに対応してエアを供給する供給管43を設けることで、各領域ごとにエアの吐出量、吐出速度等を調節でき、好ましい。
図9および図10は、他の形態の第3吐出孔463を示す。図9(A)は、第3吐出孔463の上面図であり、図9(B)は、第3吐出孔463をエアチャンバ42の内側から見た斜視図であり、図9(C)は、吐出面45の入口側領域R3の断面図である。また図10は、第3吐出孔463をエアチャンバ42の内側から見た斜視図である。
第3吐出孔463は、第3突状部49から構成されてもよい。第3突状部49は、プレス加工や射出成型などにより、吐出面45に矩形の外孔49aを形成するとともに、エアチャンバ42の内側に半円形の一対の内孔49b,49cを形成し、断面視で半円弧形を呈している。
エアチャンバ12に供給されたエアは、一対の内孔49b,49cから外孔49cを通じてフィルム状物Fに噴き付けられる。具体的に、図面に矢印で示すように、一対の内孔49b,49cを通ったエアは、外孔49aの直下で互いにぶつかって流速が弱まる。流速が弱まったエアは、四方八方に拡散する無方向の流れ、すなわち、フィルム状物Fの主面に対する略直交方向で当該フィルム状物Fを押し上げる方向の流れを形成して、外孔49aを通じてフィルム状物Fを押し上げる。また、第3吐出孔463は、図10(A)の如く、断面視でV字形を呈する突状部51により構成してもよい。突状部51は、吐出面45の外側に矩形の外孔51aを形成すると共に、内側に三角形の一対の内孔51b,51cを形成する。あるいは、第3吐出孔463は、図10(B)の如く、断面視でコ字形を呈する突状部69により構成してもよい。突状部69は、吐出面15の内側に矩形の一対の内孔69a,69bを形成すると共に、外側に矩形の外孔69cを形成する。
なお、第2実施形態においても、第1吐出孔461が搬送方向Tとは逆方向に向かって(入口端IN側に向かって)斜方に吐出する形状(図4(B)の内孔17(b)をエアチャンバ12の出口端OUT側に形成する形状)であってもよい。その場合、第2吐出孔462は、搬送方向Tに向かって(出口端OUT側に向かって)斜方に吐出する形状とし、第3吐出孔463は、フィルム状物Fの主面に垂直に吐出する形状とする。
以上、複数の実施形態について説明したが、本発明は、上記各実施形態および上記用途例に限られるものではなく、その趣旨および技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
すなわち、上記各実施形態において、吐出面は、流体を噴出する複数の開口部が設けられた平面、円柱面、または側面視において円弧形をなす曲面からなるが、楕円柱面、または、断面視で楕円弧形をなす曲面からなるようにしてもよい。
あるいは、上記各実施形態において、互いに異なる所定の幅を有する二つ以上のフィルム状物から選択された一のフィルム状物を、浮揚させつつ乾燥するようにしてもよい。
あるいは、上記各実施形態において、エアチャンバの内部の空間を、複数の領域の各々に対応するように仕切る仕切板(図示省略)を備えるようにしてもよい。例えば、第2実施形態では、中央領域R1、出口側領域R2、入口側領域R3に対応してエアチャンバ42内を仕切る仕切板を設ける。仕切板を設けることで各空間に対し、専用のブロア装置で圧縮されたエアを個別に供給することで、エアの供給を各領域の状況に応じて個別に制御できる。
あるいは、上記の実施形態において、エアの量を調整する複数の電磁弁と制御ユニットを備えるようにしてもよい。制御ユニットは、複数の電磁弁を制御する。電磁弁は、制御ユニットによる制御下において開閉され、各ブロア装置から供給されるエアの量を調節する。
あるいは、上記各実施形態および上記各用途例の構成を、可能な範囲で他の実施形態または他の用途例に適用してもよい。
10,40 浮揚乾燥装置
12、42 エアチャンバ
15,45 吐出面
16、46 吐出孔
F フィルム状物
R1 中央領域
R2 出口側領域
R3 入口側領域

Claims (4)

  1. 所定の幅を有するフィルム状物の一の主面に対向して配置された第一の面と、前記フィルム状物の他の主面に対向して配置された第二の面とを有し、前記フィルム状物を気体の圧力により前記第一の面および第二の面から浮揚させつつ乾燥する浮揚乾燥装置であって、
    前記第一の面および前記第二の面はそれぞれ、前記フィルム状物の主面に垂直な方向から傾斜した方向に前記気体を吐出する形状の複数の開口部を有することを特徴とする、
    浮揚乾燥装置。
  2. 前記フィルム状物は所定の方向に搬送され、前記複数の開口部は、前記フィルム状物の搬送方向と逆の方向に向かって前記気体を吐出する形状を有することを特徴とする、
    請求項1に記載の浮揚乾燥装置。
  3. 前記第一の面および前記第二の面はそれぞれ、前記フィルム状物の搬送方向の出口側端部に、前記複数の開口部からの吐出方向とは逆の方向に向かって前記気体を吐出する形状の複数の出口側補助開口部を有することを特徴とする、
    請求項2に記載の浮揚乾燥装置。
  4. 前記第一の面および前記第二の面はそれぞれ、前記フィルム状物の搬送方向の入口側端部に、前記フィルム状物の主面に対して垂直な方向に前記気体を吐出する複数の入口側補助開口部を有することを特徴とする、
    請求項3に記載の浮揚乾燥装置。
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