JP4129861B2 - 塗工装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、搬送されるシート状基材の表面にダイヘッドにより塗布液を塗工する技術分野に属し、詳しくは基材の走行にバックアップロールを用いたダイコート方式の塗工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、バックアップロールを用いたダイコート方式の塗工装置において、乾燥炉入口からの気流及びガイドロール間での基材のねじれによる基材の振動が塗工部に影響するのを防止する方法として、以下の方法が採られている。
【0003】
(A)片面エア吹出し方式(図1)
バックアップロール1の表面に幅方向のエア吹出し用スリット1aを複数設けておき、ダイヘッド2による塗工中に、ブロワ3から供給したエアをこれらのスリット1aから基材Sの非塗工面に向けて吹き出すことによって、エアの静圧により基材Sをバックアップロール1の表面から浮上させて基材Sの振動を防止する方式。なお、図1において4はバックアップロール1に付けられたエア吹き抜け防止体である。
【0004】
(B)両面エア吹出し方式(図2)
バックアップロール1における塗工部の直後に箱型のエア吹出しケース5を基材Sを挟み込む形で設置しておき、ダイヘッド2による塗工中に、ブロワ3から供給したエアをこれらエア吹出しケース5から基材Sの両面に吹き出して基材Sの振動を防止する方式。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の方式では次のような問題点がある。すなわち、図1に示す片面エア吹出し方式においては、エアの吹出し口が非塗工面側であるため、吹出しエアの直接接触による塗工面の乱れは発生しないが、スリットから吹き出るエアの圧力に局所的なバラツキが生じた場合に、ダイヘッドと基材間の距離が変化するため、基材幅方向及び流れ方向での膜厚が不均一となる。また、図2に示す両面エア吹出し方式では、エアが塗工面に吹き付けられるため、特に低粘度の塗布液の場合に塗工面が乱れて塗工ムラが生じる。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、搬送される基材の振動やエア吹付けに起因する塗工ムラを防止するようにした塗工装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明である塗工装置は、バックアップロールの表面を走行する基材に対してダイヘッドにより塗布液を塗工する塗工装置において、バックアップロールの下流側における基材の非塗布面側に、基材幅以上の幅の吹出し面を有するエア吹出しケースを配置し、エア吹出しケースにおける両側面からエアを供給するようにしたことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明である塗工装置は、請求項1に記載の塗工装置において、エア吹出しケースの吹出し面に多孔質焼結体材料を使用したことを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明である塗工装置は、請求項1又は2に記載の塗工装置において、エア吹出しケース内に吹出し面と平行にパンチングプレートを設置したことを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、具体例を挙げて本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
図3は本発明に係る塗工装置の概略を使用状態で示す側面図、図4は同じく正面図である。
【0012】
これらの図に示される塗工装置は、バックアップロール11の表面を走行する基材Sに対してダイヘッド12により塗布液を塗工するタイプであり、バックアップロール11の下流側における基材Sの非塗布面側にエア吹出しケース13を設置している。ここで使用したエア吹出しケース13は、外観が三角柱状をした箱型で、基材幅以上の幅の吹出し面14を有しており、両側面のエア取入口15にブロワ16からの配管が接続されている。また、エア吹出しケース13の吹出し面14は多孔質焼結体材料を使用して形成されている。
【0013】
この塗工装置では、ダイヘッド12による塗工中に、ブロワ16から供給したエアがエア吹出しケース13の吹出し面14から基材Sの非塗工面に向けて吹き出され、そのエアの静圧により基材Sを浮上させて基材Sの振動を防止するようになっている。
【0014】
この時、エア吹出しケース13はその両側面からエアが供給されるので、吹出し面14からの吹出しエアの流量分布が基材幅方向に凹型となり、基材Sを均一に浮上させることができるため、非塗工面への片面吹出しであっても、基材Sを安定して走行させることができる。すなわち、エア吹出しケース13の中央にエア取入口を設けたとすると、吹出し面両サイドからのエア漏れにより吹出し面中央部でのエア吹出し流量が多くなり、基材幅方向及び流れ方向での基材の浮上にバラツキが生じ、基材がお椀型に浮上して塗工ムラへの影響が大きくなるが、エア吹出しケース13の両側面からエアを供給することでこのような事態を防止できるのである。
【0015】
また、上記の塗工装置では、吹出し面14に多孔質焼結体材料を使用しているので、吹出し面全体からエアが噴き出されることで吹出し面積が大きくなり、吹出し面14と基材Sとの間に安定した空気薄膜が形成される。したがって、吹き出したエアによる基材Sの振動発生が防止され、安定した状態で基材Sが支えられて振動が吸収される。
【0016】
また、上記の塗工装置において、図5に示すように、エア吹出しケース13内に吹出し面14と平行に図6に示す如きパンチングプレート17を設置するのが好ましい。この場合、パンチングプレート17から吹出し面14に均一にエアを吹き出すべく、下記の式(1)により求められるような開口率となるように、パンチングプレート17にはφ1mm〜φ2mm程度の丸孔17aを式(2)で求められるピッチで開けるようにするとよい。
開口率=(エア取入口断面積/2)/エア吹出しケース断面積)…(1)
ピッチ=(90×孔の直径/開口率)1/2 …(2)
【0017】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明による塗工装置は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは当然のことである。
【0018】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明である塗工装置は、バックアップロールの表面を走行する基材に対してダイヘッドにより塗布液を塗工する塗工装置において、バックアップロールの下流側における基材の非塗布面側に、基材幅以上の幅の吹出し面を有するエア吹出しケースを配置し、エア吹出しケースにおける両側面からエアを供給するようにしたことを特徴としているので、エアが基材の塗工面に吹き付けることがないため塗工面を乱すことがなく、しかも吹出しエアの流量分布を基材幅方向に凹型にして基材を均一に浮上させられることから、非塗工面への片面吹出しにおいて基材を安定して走行させることができる。
【0019】
請求項2に記載の発明である塗工装置は、請求項1に記載の塗工装置において、エア吹出しケースの吹出し面に多孔質焼結体材料を使用したことを特徴としているので、上記効果に加えて、吹出し面と基材との間の形成する空気薄膜が安定することから、吹き出したエアによる基材の振動発生を防止し、安定した状態で基材を支えて振動を吸収することが可能となる。
【0020】
請求項3に記載の発明である塗工装置は、請求項1又は2に記載の塗工装置において、エア吹出しケース内に吹出し面と平行にパンチングプレートを設置したことを特徴としているので、上記の効果に加えて、吹出し面内でのエア吹出しがより均一となる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】バックアップロールを用いたダイコート方式の塗工装置において基材の振動が塗工部に影響するのを防止する片面エア吹出し方式の説明図である。
【図2】バックアップロールを用いたダイコート方式の塗工装置において基材の振動が塗工部に影響するのを防止する両面エア吹出し方式の説明図である。
【図3】本発明に係る塗工装置の概略を使用状態で示す側面図である。
【図4】本発明に係る塗工装置の概略を使用状態で示す正面図である。
【図5】図3及び図4に示す塗工装置におけるエア吹出しケース内にパンチングプレートを設置した状態を示す断面図である。
【図6】パンチングプレートの平面図である。
【符号の説明】
S 基材
11 バックアップロール
12 ダイヘッド
13 吹出しケース
14 吹出し面
15 エア取入口
16 ブロワ
17 パンチングプレート
17a 丸孔
Claims (3)
- バックアップロールの表面を走行する基材に対してダイヘッドにより塗布液を塗工する塗工装置において、バックアップロールの下流側における基材の非塗布面側に、基材幅以上の幅の吹出し面を有するエア吹出しケースを配置し、エア吹出しケースにおける両側面からエアを供給するようにしたことを特徴とする塗工装置。
- エア吹出しケースの吹出し面に多孔質焼結体材料を使用したことを特徴とする請求項1に記載の塗工装置。
- エア吹出しケース内に吹出し面と平行にパンチングプレートを設置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の塗工装置。
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