JP2014101555A - 耐海水孔食性と美観に優れたステンレスクラッド鋼 - Google Patents

耐海水孔食性と美観に優れたステンレスクラッド鋼 Download PDF

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Abstract

【課題】耐海水孔食性と美観に優れるステンレスクラッド鋼を提供する
【解決手段】 Cr(質量%)+3.3Mo(質量%)+16N(質量%)で示される孔食指数(Pitting Index)を40.0以上とし、Bを10〜40ppm含有し、かつ、表面のσ相面積率を1.0%以下とするステンレス鋼を合わせ材としたステンレスクラッド鋼であり、JISZ8741「鏡面光沢度−測定方法」に準拠して測定角度60°で測定した圧延方向、圧延垂直方向および圧延45°方向の各々の光沢度が60以上であることを特徴とする耐海水孔食性と美観に優れたステンレスクラッド鋼。
【選択図】なし

Description

本発明は、ステンレスクラッド鋼に関するものであり、特に、海洋構造物や造船、淡水海水設備に代表される各種用途で使用される長期的な視野で見た耐海水孔食性と美観に優れたステンレスクラッド鋼に関するものである。
近年、産業設備と構造物のニ−ズとしては耐久性と長寿命化およびメンテナンスフリ−が指向されており、ステンレス鋼はこれらのニ−ズに適合した材料として注目を集めている。一方で、ステンレス鋼の主原料であるNiやMo、Crに代表される合金元素は、価格の高騰や価格の上下動がある。そこで最近では、無垢のステンレス鋼にかわり、ステンレス鋼の優れた防錆性能を利用でき、かつ価格が安定し安価な経済性の高い鋼材として、ステンレスクラッド鋼が注目されている。
ステンレスクラッド鋼とは、合わせ材にステンレス鋼、母材に普通鋼材と、二種類の性質の異なる金属を張り合わせた鋼材である。クラッド鋼は、異種金属を金属学的に接合させたもので、めっきとは異なり剥離する心配がなく、単一金属および合金では達し得ない新たな特性を持たせることができる。
ステンレスクラッド鋼は、使用環境毎の目的に合った防錆能を確保するため、使用環境毎に合わせ材であるステンレス鋼の種類を選択し、無垢材(以下、全厚ステンレス鋼とも呼ぶ)と同等の防錆性能を確保している。このように、ステンレスクラッド鋼は、ステンレス鋼材の使用量が少なくてすみ、かつ、無垢材と同等の防錆能を確保できるため、経済性と機能性とを両立できる利点を有する。
以上から、ステンレスクラッド鋼は非常に有益な機能性鋼材であると考えられており、近年、そのニ−ズが各種産業分野で益々高まっている。
その一方で、ステンレス鋼の不動態皮膜は塩化物イオンにより破壊されやすく、その腐食形態は孔食腐食(Pitting Corrosion)または隙間腐食(Crevice Corrosion)の形態をとる。したがって、硫酸やふっ酸などに代表される酸中での腐食形態が全面腐食を呈するのに対し、海水中では局部腐食の起点となる耐海水孔食性が重要な指標となる。特に海洋生物(例えばふじつぼなど)の付着に起因した隙間腐食が問題になる。 このため、港湾構造物や淡水海水設備、造船(FPSO:Floating Production,Storage and Offloading system)等に代表される海洋構造物や海水と接する環境でステンレスクラッド鋼を使用する場合には、厳しい海水腐食環境下に耐えうる耐海水孔食性(特に耐隙間腐食性)が要求される。また、氷や流木などの漂流物の衝撃に対する耐摩耗性も要求される。
さらに、ステンレス鋼を構造部材等に使用する場合、要求特性として耐食性(機能性)のみならず、美観(意匠性)も重要となる。特にステンレス鋼は外観の美麗さと表面光沢が特徴であり、赤錆やしみの発生に起因した外観の風合変化が少ないことも重要な特性となる。特に近距離で人目にさらされる海洋構造物(手すりや外壁)の場合、錆びの発生や光沢の変化などは意匠性を大きく損なうものであり、補修やメンテナンスを考えるとLCC(ライフサイクルコスト)を考慮すると外観の変化を極力防ぐことが必要となる。
耐海水孔食性を改善する技術として、特許文献1には、耐海水性に優れたステンレス鋼を合わせ材とし炭素鋼を母材としたステンレスクラッド鋼管を製造する方法において、固溶化熱処理条件と母材炭素鋼との成分を規定する技術が開示されている。
特許文献2には、優れた耐海水孔食性を有する耐海水腐食性オーステナイト系ステンレス鋳鋼及び海水用ポンプを提供する技術が開示されている。具体的には、C:0.08wt% 以下、Si:0.5〜1.5wt%、Mn:0.5〜2wt%、P:0.04wt%以下、S:0.01wt%以下、Ni:8.0〜9.5wt%、Cr:18〜21wt%を含むオーステナイト系ステンレス鋳鋼について、δフェライト相を6vol%以上にするか、あるいは、清浄度を0.1%以下にすることにより達成される技術が開示されている。
特許第4179133号公報 特許第3336820号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、ステンレスクラッド鋼管の用途(例えば、海洋構造物等)毎に求められる耐食性および耐海水孔食性を確保するため、合わせ材として使用するステンレス鋼を用途毎に選択しなければならない。すなわち、ステンレス鋼の成分のみで調整する方法が示されているに過ぎず、ステンレスクラッド鋼の場合、接合界面の健全性(接合性)に対する信頼性向上や母材と合わせ材の性能(耐食性と機械的特性)を同時に維持することを、目的とし種々な熱処理が施されることが多い。これら製造条件によっては、σ相(金属間化合物)が生成し、耐食性の著しい低下を招くことがある。この場合、Cr、Mo、Niなどの合金鋼を多く含有させたにもかかわらず耐食性を損なうことがある。そこでこの技術では高級鋼材や多様な品種すべてに対応することは難しいという問題がある。
特許文献2に開示された技術では、鋼の成分および第二相の析出量を所定範囲に規定しているに過ぎず、鋼板の表面性状や耐摩耗性に関しては十分な技術が開示されていない。また、鋳鋼のため強度などの点でも不利であり、さらにそのままではクラッド鋼の原料とはなりえないという問題がある。
本発明は、かかる事情に鑑み、美観(意匠性)及び耐海水孔食性(特に静止した使用環境において優れた耐隙間腐食性を有する)ステンレスクラッド鋼を提供することを目的とする。
本発明者等は、複数の成分(鋼組成)および複数の履歴で圧延から熱処理まで完了したステンレスクラッド鋼に対して種々な表面仕上げ処理を施し、美観(意匠性)と耐海水孔食性に及ぼす鋼成分及び表面性状の検討を行った。そして、鋼の成分、表面の光沢度、耐海水孔食性に着目して検討を行ったところ、孔食指数PI(Pitting Index:Cr+3.3Mo+16N)が40.0以上であり、かつ、表面のσ相面積率1.0%以下のステンレス鋼を合わせ材とするステンレスクラッド鋼であって、JISZ8741「鏡面光沢度−測定方法」に準拠して測定角度60°で測定した圧延方向、圧延垂直方向および圧延45°方向の各々の光沢度が60以上とすることで、長期的にメンテナンスが難しい海洋環境においても長期的な美観、意匠性に優れ、しかも海水環境において優れた美観(意匠性)と耐海水孔食性が改善することを見出した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1] Cr(質量%)+3.3Mo(質量%)+16N(質量%)で示される孔食指数(Pitting Index)を40.0以上とし、Bを10〜40ppm含有し、かつ、表面のσ相面積率を1.0%以下とするステンレス鋼を合わせ材としたステンレスクラッド鋼であり、JISZ8741「鏡面光沢度−測定方法」に準拠して測定角度60°で測定した圧延方向、圧延垂直方向および圧延45°方向の各々の光沢度が60以上であることを特徴とする耐海水孔食性と美観に優れたステンレスクラッド鋼。
[2] 前記ステンレスクラッド鋼は、スラブを900℃〜1250℃に加熱し、熱間圧延を行った後、冷却速度0.2℃/s〜20℃/sで冷却することにより製造されることを特徴とする前記[1]に記載の耐海水孔食性と美観に優れたステンレスクラッド鋼。
[3] 前記ステンレスクラッド鋼は、スラブを950℃〜1150℃に加熱し、熱間圧延を行った後常温まで冷却し、再加熱して、800〜1000℃で焼きならし処理後、冷却速度1.0℃/s〜20℃/sで冷却することにより製造されることを特徴とする前記[1]に記載の耐海水孔食性と美観に優れたステンレスクラッド鋼。
本発明によれば、耐海水孔食性と美観とに優れたステンレスクラッド鋼が得られるので、海洋構造物や淡水海水装置に代表される耐海水孔食性が要求される用途に用いることができる。
以下、本発明のステンレスクラッド鋼について説明する。
まず、本発明のステンレスクラッド鋼のステンレス鋼(合わせ材)について説明する。
本発明の合わせ材であるステンレス鋼としては、Cr(質量%)+3.3Mo(質量%)+16N(質量%)で示される孔食指数(Pitting Index)は、40.0以上とする。好ましくは42.0以上である。なお、製造性の観点から上限値としては50.0以下とする。
海洋構造物にステンレス鋼を無塗装で使用するためには、海水環境において十分な耐海水孔食性を有する必要がある。孔食指数が40.0未満のステンレス鋼では、干満帯や海水中、特にふじつぼなどが付着したときに生じる隙間部において、耐食性が十分ではない。
そのため、干満帯や海水中で孔食を生じ、さらに孔食が成長する。その結果、耐海水孔食性が劣化する。また、ステンレス鋼表面の変色や光沢の低下により美観や意匠性の低下も生じる。機能性のみを考えた場合は、貫通穴が生じなければ機能性は確保できるが、実際に港湾構造物として静止した状態でクラッド鋼を使用する場合、長期的な視野にたった美観・意匠性の確保も重要な要求特性となっている。港湾構造物の防食方法には塗装などの手法もあるが、ステンレス鋼を選定する大きな理由として、その銀白色の光沢が長期的に保持され高級感が数十年に及ぶ暴露後も保持されることが肝要である。
ステンレス鋼の表面のσ(シグマ)相の面積率は1.0%以下とする。σ相は、Fe、Cr、Moを主成分とする金属間化合物である。Cr、Moを多く含有したステンレス鋼では、一般に600℃〜900℃の温度範囲で析出し、750℃付近で最も析出しやすいことが知られている。実際の製造工程では、スラブ加熱〜熱間圧延〜冷却〜焼きならし熱処理の過程で、上記温度範囲となった時にσ相が析出する。σ相は、母相に比べステンレス鋼の耐食性向上に寄与するMo、Crの含有量が高く、σ相の周囲にMo、Cr欠乏相が形成されるため鋭敏化感受性が高くなるとともに、母相中の有効Mo、Cr量が相対的に低下する。このため、σ相は耐海水孔食性低下の原因となる。σ相は極力低減する(好ましくは析出を完全に抑制する)ことが好ましいが、不可避的に析出することがある。その場合、特に結晶粒界に沿って析出したσ相が連続的につながり、結晶粒の欠落を引き起こすと深刻な耐食性の低下を引き起こすことになる。
従って、σ相面積率を1.0%以下と規定することにより、十分な耐海水孔食性を得ることができる。あわせてBを10〜40ppmの範囲で添加することで、鋭敏化で問題になる粒界でのσ相生成を効果的に抑止することができる。なお、σ相面積率は、鋼材の表面を0.1mm切削しその後、樹脂に埋め込み、表面を鏡面に研磨し、王水でエッチングした後、1000倍で50μm×50μmの視野を5視野SEM観察し、撮影した写真を画像処理することで求める。
次に、JISZ8741「鏡面光沢度−測定方法」に準拠して測定角度60°で測定した圧延方向、圧延垂直方向および圧延45°方向の各々の光沢度が60以上とする。
なお、港湾構造部材の場合は、航空障害(防眩性)の観点から130(2D相当)以下とすることが好ましい。
ステンレスクラッド鋼の表面の性状すなわち表面光沢は、美観・意匠性および付着物の生成に大きな影響を及ぼし耐海水孔食性・耐隙間腐食性に大きな影響を及ぼす。例えば港湾構造物において、構造物の表面の美観が使用期間とともに腐食に伴い低下し美観を損なうことになる。また、表面光沢が低いと、飛沫帯で汚れが付着しやすいとともに、干満帯では海塩粒子やふじつぼなどをはじめとする付着物がステンレスクラッド鋼の表面につきやすくなり、隙間を形成し孔食を発生し表面光沢を低下させることになる。加えて、鋼材の成分および耐食性を左右するσ相に代表される金属間化合物の析出を制御、鋼材表面性状の指標となる光沢度を60以上とすることで、港湾構造物などに代表される、美観・意匠性及び耐海水孔食性を兼ね備えたステンレスクラッド鋼を得ることができ、海洋環境で暴露されても長期的に美観を保つことができる。
なお、本発明のステンレスクラッド鋼の母材としては、炭素鋼や低合金鋼を用いることができる。
次に、本発明のステンレスクラッド鋼の製造方法について説明する。
本発明のステンレスクラッド鋼は、母材の片面または両面に合わせ材としてステンレス鋼が接合(クラッド)されたものである。
合わせ材および母材の製造方法としては、転炉、電気炉、真空溶解炉等の公知の方法で溶製すればよく、連続鋳造法あるいは造塊−分塊法により鋼素材(スラブ)とすることができる。次いで、得られた鋼素材を、通常用いられる条件で、熱間圧延、熱延板焼鈍(例えば箱焼鈍)、酸洗と順次処理して熱延板とすればよい。
合わせ材および母材の接合方法については、特に限定しないが、例えば、圧延法、爆着法、オーバーレイ(肉盛)などが挙げられる。
合わせ材および母材の接合後、熱間圧延し、次いで必要に応じて焼きならし処理を行う。本発明においては、この焼きならしを省略することもできる。通常、焼きならしを行うと、耐海水孔食性低下の原因とされるσ相が析出しやすい。この焼きならしを省略することによりσ相の析出を防ぐことができる。しかしながら、焼きならしを省略すると、母材に対して十分な強度や靭性を得ることができない。
そこで、本発明において、焼きならしを省略する場合は、スラブを900℃〜1250℃に加熱し、熱間圧延を行った後、冷却速度0.2℃/s〜20℃/sで冷却する。このような条件で熱間圧延することにより、十分な強度や靭性を得ることができるため、耐海水孔食性と美観に優れたステンレスクラッド鋼を製造することができる。なお、他の条件としては、トータル圧下比3.0以上、制御圧延開始温度900℃、制御圧延率30%以上、冷却開始温度850℃前後、冷却停止温度600℃前後の条件であることが好ましい。
なお、本発明において、焼きならしを省略せずに行う場合は、スラブを950℃〜1150℃に加熱し、熱間圧延を行った後常温まで冷却後、再加熱して、800〜1000℃で焼きならし処理後、冷却速度1.0℃/s〜20℃/sで冷却する。焼きならしを行う場合、熱間圧延および冷却速度を上記のように制御することにより、焼きならしに起因するσ相の析出を抑制することができる。その結果、美観と耐海水孔食性に優れたステンレスクラッド鋼を製造することができる。
次いで、得られるステンレスクラッド鋼の表面の動摩擦係数を0.05以下となるように、合わせ材の表面性状を調整するのが好ましい。
表面性状の調整方法としては、機械的な処理(研磨、研削)がある。機械的な処理方法としては、通常のベルト研磨、砥石研磨などが挙げられる。これらの既存の各種表面研磨手法を組み合わせて行うことで、表面の粗さを低く抑えることができる。また、表面の介在物除去と不動態皮膜強化の観点から、機械的な処理に加え化学的な処理を行うことが好ましい。化学的な処理方法としては特に限定はしないが、硝酸やふっ硝酸、硫酸、塩酸中における酸洗処理またはこれら酸溶液中または中性塩溶液における電解処理(例えば、ルスナ−法:20%硫酸ナトリウム溶液や硝酸ナトリウム)が好ましい。
以上の工程を経ることにより、本発明の耐海水ステンレスクラッド鋼を得ることができる。なお、本発明の耐海水ステンレスクラッド鋼としては、熱延鋼板、熱延処理後に焼きならし熱処理を施した鋼板のいずれも含まれ、同様の効果が得られる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
合わせ材として、表1に示す成分組成のオーステナイト系ステンレス鋼合わせ材1〜11を溶製し、鋼スラブとした。同様に、母材として、表1に示す成分組成の母材A、Bを溶製し、鋼スラブとした。次いで、これらの得られた鋼スラブを、熱間圧延、熱延板焼鈍、酸洗と順次処理して熱延板とし、ステンレスクラッド鋼の合わせ材および母材とした。
次いで、合わせ材(板厚15mm)と母材(板厚55mm)を、幅1890mm、長さ2060mmのスラブ寸法で組み立て、表2に示す条件で熱間圧延を行い、ステンレスクラッド鋼(合わせ材:板厚3mm、母材:板厚11mm、幅2500mm、長さ8000mm)を製造した。また、製造するステンレスクラッド鋼の一部に対して、表3に示すような条件で焼きならし処理(オフライン処理)を行った。
Figure 2014101555
Figure 2014101555
Figure 2014101555
以上により得られたステンレスクラッド鋼に対して、光沢度およびσ相面積率を測定した。また、孔食電位、CPT(臨界孔食発生温度)、CCT(臨界隙間腐食発生温度)を測定し、耐海水孔食性を評価した。また、強度およびシャルピー衝撃試験を行い、得られるシャルピー衝撃値から靭性を評価した。孔食電位、光沢度、σ相面積率、CPT、CCT、強度およびシャルピー衝撃値の測定方法は下記の通りである。
(1)孔食電位
試験温度を70℃にする以外は、JIS G 0577に準拠して孔食電位を測定した。なお、本発明では電流密度が100μA/cmに到達する電位を孔食電位として表記した。本発明において、600mV以上を合格とした。
(2)JISZ8741「鏡面光沢度−測定方法」に準拠して測定角度60°で測定した圧延方向(L)、圧延垂直方向(C)および圧延45°方向(D)の各々の光沢度を測定した。意匠性という観点から、各々の方向について求めた光沢度は60以上。可能ならば港湾構造部材の場合航空障害(防眩性)の観点から130(2D相当)以下とすることが好ましい。あわせて飛沫帯における1年暴露後の光沢保持率が20%未満であり、かつ光沢度が60以上であることを合格基準とした。
(3)CPT(臨界孔食発生温度:Critical Pitting Temperature Test)
ASTMG48(method E)に準拠し、6%FeCl+1%HCl溶液中、5℃間隔で24時間の浸漬試験を行った。試験片サイズは幅20mm×長さ50mm×板厚2.0mmである。各条件において浸漬試験を3回行い、発生した孔食腐食のうちの最大孔食腐食深さが0.025mmに達した場合は不合格とした。3回とも最大孔食腐食深さが0.025mm未満の場合を合格とし、結果が合格となる最高温度をCPT(℃)とした。なお、CPTの合格値は60℃以上、好ましくは65℃以上である。
(4)CCT(臨界隙間腐食発生温度:Critical Crevice Temperature Test)
上記CPT(臨界孔食発生温度)と同様に、ASTMG48Method D(すき間腐食発生臨界温度(CCT)の測定)記載の方法に準拠して行った。試験溶液は6%FeCl+1%HCl溶液中、5℃間隔で72時間の浸漬試験を行った。試験片サイズは幅20mm×長さ50mm×板厚2.0mmである。この試験方法は、ASTMG48Method D記載のテフロン(登録商標)製ワッシャーを試験片の両面に取り付け、ボルト・ナットで固定して試験溶液に浸漬して実施した。一定温度で72時間浸漬の後、試験片のワッシャー接触部分に、すき間腐食が発生したかどうかを調べた。
なお、試験温度は5℃ピッチで試験温度を上げ下げし、CCTを求めた(なお、CCTは、すき間腐食が発生しない最大の温度ではなくすき間腐食が発生する最低の温度を示す)。各条件において浸漬試験を3回行い、発生した孔食腐食のうちの最大孔食腐食深さが0.025mmに達した場合は不合格とした。3回とも最大孔食腐食深さが0.025mm未満の場合を合格とし、結果が合格となる最高温度をCCT(℃)とした。なお、CCTの合格値は40℃以上、好ましくは45℃以上である。
(5)孔食指数(Pitting Index)
孔食指数はCr(質量%)+3.3Mo(質量%)+16N(質量%)で示される指数で、実績成分から求めた。孔食指数は40.0以上を合格とした。
(6)σ相面積率
1000倍で50μm×50μmの視野を5箇所SEM観察し、各々の写真を画像処理してσ相の面積率を求め、それらの平均値をσ相面積率として算出した。
σ相の面積率は1.0%以下を合格とした。尚、好ましくは低いほど良好であるが、0.5%以下とする。
(7)強度
引張試験JIS G 3601に準拠し、引張試験を行い、強度490MPa以上を合格とした。
(8)シャルピー衝撃値
衝撃試験JIS G 3106に準拠し、シャルピー衝撃試験を行い、シャルピー衝撃値を求めた。シャルピー衝撃値試験で吸収エネルギーが−40℃で50J以上を合格とした。
評価結果を表4に示す。
Figure 2014101555
表4より、発明例であるNo9、13、18、22、25、26はCPT:60℃、CCT:40℃と優れた耐海水孔食性を示しており、さらに光沢度も暴露試験1年後においても、光沢度の劣化が少ないことがわかる。

Claims (3)

  1. Cr(質量%)+3.3Mo(質量%)+16N(質量%)で示される孔食指数(Pitting Index)を40.0以上とし、Bを10〜40ppm含有し、かつ、表面のσ相面積率を1.0%以下とするステンレス鋼を合わせ材としたステンレスクラッド鋼であり、JISZ8741「鏡面光沢度−測定方法」に準拠して測定角度60°で測定した圧延方向、圧延垂直方向および圧延45°方向の各々の光沢度が60以上であることを特徴とする耐海水孔食性と美観に優れたステンレスクラッド鋼。
  2. 前記ステンレスクラッド鋼は、スラブを900℃〜1250℃に加熱し、熱間圧延を行った後、冷却速度0.2℃/s〜20℃/sで冷却することにより製造されることを特徴とする請求項1に記載の耐海水孔食性と美観に優れたステンレスクラッド鋼。
  3. 前記ステンレスクラッド鋼は、スラブを950℃〜1150℃に加熱し、熱間圧延を行った後常温まで冷却し、再加熱して、800〜1000℃で焼きならし処理後、冷却速度1.0℃/s〜20℃/sで冷却することにより製造されることを特徴とする請求項1に記載の耐海水孔食性と美観に優れたステンレスクラッド鋼。
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