JP5928175B2 - 耐海水腐食性および低温靭性に優れたオーステナイト系ステンレスクラッド鋼の製造方法 - Google Patents

耐海水腐食性および低温靭性に優れたオーステナイト系ステンレスクラッド鋼の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、海洋構造物や造船、海水淡水化設備に代表される各種用途で使用される耐海水腐食性および低温靭性に優れたオーステナイト系ステンレスクラッド鋼に関するものである。
近年、産業設備と構造物のニ−ズとしては耐久性と長寿命化およびメンテナンスフリ−が指向されており、ステンレス鋼はこれらのニ−ズに適合した材料として注目を集めている。一方で、ステンレス鋼の主原料であるNiやMo、Crに代表される合金元素は、価格の高騰や価格の上下動があるため、無垢のステンレス鋼に代わり、ステンレス鋼の優れた耐食性をより経済的に利用でき、価格が安定しかつ安価な鋼材としてステンレスクラッド鋼が、最近、注目されている。
ステンレスクラッド鋼とは合せ材にステンレス鋼、母材に普通鋼材と、二種類の性質の異なる金属を接合した複合鋼材である。クラッド鋼は、異種金属を金属学的に接合させたもので、めっきとは異なり剥離する心配がなく単一金属および合金では達し得ない新たな特性を持たせることができる。このように、ステンレスクラッド鋼は、ステンレス鋼材の使用量が少なくてすみ、かつ、無垢材(全厚ステンレス鋼)と同等の耐食性を確保できるため、経済性と機能性が両立できる利点を有する。
以上から、ステンレスクラッド鋼は非常に有益な機能性鋼材であると考えられており、近年そのニ−ズが各種産業分野で益々高まっている。特にステンレスクラッド鋼を海洋構造物や海水と接する環境で使用される海水淡水化設備、造船(FPSO:Floating Production,Storage and Offloading system)等に代表される各種用途で使用する場合には、厳しい海水腐食環境下で使用されるため、耐海水腐食性が要求される。
ステンレス鋼の不動態皮膜は塩化物イオンにより破壊されやすくなり、その腐食形態は孔食腐食(Pitting Corrosion)または隙間腐食(Crevice Corrosion)の形態をとる。そのため、硫酸やふっ酸などに代表される酸中での腐食形態が全面腐食を呈するのに対し、海水中では局部腐食の起点となる耐孔食性が重要な指標となる。
ステンレス鋼の耐孔食性は一般的に孔食指数(PRE)(Cr(質量%)+3.3Mo(質量%)+16N(質量%)で表す)で整理され、孔食指数が高いほど、耐孔食性に優れるとされる。ただしこれは析出物等を固溶させる熱処理を施した無垢のステンレス鋼に関して適用できるものであり、炭素鋼との複合材料であるステンレスクラッド鋼の合せ材の耐孔食性にそのまま適用できるものではない。
ステンレスクラッド鋼は、通常、母材の強度や靭性等の機械的性質を確保する目的で、850〜950℃の温度域に加熱し、空冷するいわゆる焼きならしを行って使用される。ステンレス鋼は、不適切な熱処理や溶接による熱影響部のような熱履歴を受けると、耐食性が著しく低下する場合がある。その原因の一つは、炭化物やσ相などの金属間化合物の析出である。熱履歴にはクラッド鋼の板厚も影響を及ぼし、特に30mm以上のクラッド鋼においては冷却速度が低くなり、より炭化物やσ相などの金属間化合物が析出しやすくなる。
母材の機械的性質を確保し、かつ耐食性が劣化することを防ぐため、これまで例えば、特許文献1では合せ材の成分を特定することにより、クラッド材のオーステナイト系ステンレス鋼を850〜950℃の焼きならし処理を施しても優れた耐食性を保つ技術が開示されている。
また、特許文献2には、固溶化熱処理条件と母材炭素鋼の成分を規定し、耐海水性に優れたステンレス鋼を合せ材とし炭素鋼を母材としたステンレスクラッド鋼管を製造する方法が開示されている。
また、特許文献3には母材炭素鋼の炭素含有量を規定し、接合粗圧下率と制御圧延による圧下率を規定することで母材靭性を確保する方法が開示されている。
特開昭63−125615号公報 特許第4179133号公報 特公平2−41400号公報
しかしながら、特許文献1に開示された方法で得られるステンレスクラッド鋼の耐食性は、塩化第二鉄腐食試験における腐食速度が2g/m・h程度と耐海水腐食性としては十分ではないという問題がある。
一方、特許文献2に開示された方法では、ステンレスクラッド鋼管の用途(例えば、海洋構造物等)毎に求められる耐海水腐食性を確保するため、合せ材として使用するステンレス鋼を用途毎に選択しなければならない。すなわち、ステンレス鋼の成分のみで調整する方法が示されているに過ぎず、ステンレスクラッド鋼の場合、接合界面の健全性(接合性)に対する信頼性向上や母材と合せ材の性能(耐食性と機械的特性)を同時に維持することを高級鋼材や多様な品種すべてに対応することは難しいという問題がある。
また、特許文献3に開示された方法では、合せ材ステンレス鋼の耐食性については検討がなされていないという問題がある。
本発明は、上記した問題点を解決する耐海水腐食性および低温靭性に優れたオーステナイト系ステンレスクラッド鋼を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために、複数の成分(鋼組成)および複数の履歴で圧延から熱処理まで完了したステンレスクラッド鋼における耐孔食性および低温靭性に優れた製造方法の検討を行った。そして、鋼の成分、圧延条件、耐孔食性、低温靭性に着目して検討を行ったところ、質量%でC:0.10〜0.15%、Si:0.25〜0.40%、Mn:0.45〜2.0%、P:0.015%以下、S:0.004%以下、N:0.006%以下、Cr:0.01〜0.1%、Nb:0.005〜0.05%、Al:0.005〜0.05%の成分範囲の炭素鋼を母材とし、オーステナイト系ステンレス鋼を合せ材とするクラッド鋼素材を、730〜950℃の温度域における制御圧延の累積圧下率を30%以上とし、仕上圧延温度を730〜850℃とする熱間圧延を行うことで、全厚30mm以上でかつASTM G48−03 Method Eによる臨界孔食発生温度(CPT)が45℃以上であり、かつJIS Z 2242による−40℃におけるシャルピー衝撃試験での吸収エネルギーが100J以上であることを特徴とする耐海水腐食性および低温靭性に優れたオーステナイト系ステンレスクラッド鋼を製造できた。
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1]成分組成が、質量%で、C:0.10〜0.15%、Si:0.25〜0.40%、Mn:0.45〜2.0%P:0.015%以下、S:0.004%以下、N:0.006%以下、Cr:0.01〜0.1%、Nb:0.005〜0.05%、Al:0.005〜0.05%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる炭素鋼を母材とし、オーステナイト系ステンレス鋼を合せ材とするクラッド鋼素材を、1000〜1250℃に加熱後、熱間圧延を開始して、730〜950℃の温度域における制御圧延の累積圧下率を30%以上とし、圧延仕上温度を730〜850℃とする熱間圧延を行うことを特徴とする全厚30mm以上の耐海水腐食性および低温靭性に優れたオーステナイト系ステンレスクラッド鋼の製造方法。
[2]前記炭素鋼の成分組成が、更に、質量%で、Cu:0.01〜0.3%、Ni:0.01〜0.3%、Ti:0.005〜0.015%の中から選ばれる一種以上を含有することを特徴とする上記[1]記載の全厚30mm以上の耐海水腐食性および低温靭性に優れたオーステナイト系ステンレスクラッド鋼の製造方法。
[3]上記[1]または[2]に記載のクラッド鋼素材を用いて、1000〜1250℃に加熱後、熱間圧延を開始して、730〜950℃の温度域における制御圧延の累積圧下率を30%以上とし、圧延仕上温度を730〜850℃とする熱間圧延を行った後に、冷却速度3〜40℃/s、冷却停止温度を500℃以上とする加速冷却を行うことを特徴とする全厚30mm以上の耐海水腐食性および低温靭性に優れたオーステナイト系ステンレスクラッド鋼の製造方法。
[4]上記[1]乃至[3]の何れかに記載のステンレスクラッド鋼の製造方法において、合せ材のオーステナイト系ステンレス鋼の下記式(1)で定義される孔食指数(PRE)が、40以上であることを特徴とする全厚30mm以上の耐海水腐食性および低温靭性に優れたオーステナイト系ステンレスクラッド鋼の製造方法。
PRE=Cr+3.3Mo+16N・・・・・(1)
なお、各元素記号は各元素の質量%で表示した含有量である。
本発明によれば、耐海水腐食性および低温靭性に優れた全厚が30mm以上の耐海水ステンレスクラッド鋼が得られる。これにより、海洋構造物やFPSOに代表される造船分野、海水淡水化装置に代表される耐海水腐食性が要求される用途で、好適に用いることができる。
本発明のステンレスクラッド鋼の製造方法は、全厚30mm以上でかつASTM G48−03 Method Eによる臨界孔食発生温度(CPT)が45℃以上であり、かつJIS Z 2242による−40℃におけるシャルピー衝撃試験での吸収エネルギーが100J以上となるよう母材の炭素鋼の化学組成および製造条件を規定する。
1.成分組成について
はじめに、本発明の母材の成分組成を規定した理由を説明する。なお、成分%は、全て質量%を意味する。
C:0.10〜0.15%
Cは母材の強度を向上させる有効な成分であり、構造用鋼材としての強度を確保のために0.10%以上の含有を必要とする。しかし、0.15%を超える含有は母材の靭性を劣化させ、溶接性にも悪影響があるため、C量は0.10〜0.15%の範囲とする。好ましくは0.11〜0.13%の範囲である。
Si:0.25〜0.40%
Siは母材の強度確保、脱酸のため必要な成分であり、その効果を得るためには0.25%以上の含有が必要である。一方、0.40%を超えて含有すると母材の靭性を著しく劣化させるため、Si量は0.25〜0.40%の範囲とする。好ましくは0.30〜0.35%の範囲である。
Mn:0.45〜2.0%
Mnは母材の強度及び靭性の確保に有効な成分として0.45%以上の含有が必要であるが、2.0%を超えて含有すると溶接熱影響部の靭性が劣化し、鋼材コストも上昇するため、Mn量は0.45〜2.0%の範囲とする。なお、母材靭性、溶接熱影響部靭性の観点から、好ましくは1.0〜1.6%の範囲である。
P:0.015%以下
Pは鋼中の不可避不純物であり含有量が少ないほど望ましいが、工業的に低減させるためにはコストがかかるのでP量は0.015%以下とする。
S:0.004%以下
Sは鋼中の不可避不純物であり含有量が少ないほど望ましいが、多すぎると靭性を著しく低下させることからS量は0.004%以下とする。
N:0.006%以下
Nは、鋼中のAlと結合し、圧延加工時の結晶粒径を調整し、鋼を強化するが、0.006%を超えて含有すると靭性が劣化するため、N量は0.006%以下とする。好ましくは0.003〜0.005%の範囲である。
Cr:0.01〜0.1%
Crは母材の強度及び靭性を向上させるために有効であり、0.01%以上含有することが好ましい。一方、0.1%を超える含有は溶接熱影響部靭性を低下させるため、Cr量は0.01〜0.1%の範囲とする。なお、好ましくは、0.02〜0.07%の範囲である。
Nb:0.005〜0.05%
Nbは、NbCを生成することでの析出強化、および結晶粒の細粒化による靭性向上効果がある。そのため、本発明のように730〜950℃の温度域で累積圧下率30%以上の制御圧延を施す場合は、強度上昇、靭性向上に寄与する。その効果は0.005%以上の含有で発揮され、0.05%を超えると効果が飽和するだけでなく、鋼片に表面庇が生じやすくなる。従って、Nb量は0.005〜0.05%の範囲とする。なお、好ましくは0.025〜0.050%の範囲である。
Al:0.005〜0.05%
Alは、脱酸剤として有効な元素であるが、0.005%未満ではその効果が得られず、0.05%を超えて含有させると靭性を劣化させるため、Al量は0.005〜0.05%の範囲とする。同様の理由から、好ましくは0.005〜0.015%の範囲である。
以上が本発明の母材の基本成分であるが、更に特性を向上させるため、上記成分に加えて、選択的にCu、Ni及びTiの中から選ばれる一種以上を以下の範囲で含有してもよい。
Cu:0.01〜0.3%
Cuは母材の靭性の改善と強度の上昇に有効であり0.01%以上含有することが好ましい。一方、0.3%を超える含有は母材の靭性や溶接熱影響部の靭性を劣化させるので、Cuを含有する場合は、Cu量は0.01〜0.3%の範囲とすることが好ましい。さらに好適には、0.20〜0.3%の範囲である。
Ni:0.01〜0.3%
Niは母材の強度及び靭性を向上させるために有効であり、0.01%以上含有することが好ましい。一方、0.3%を超える含有はその効果が飽和するので、Niを含有する場合は、Ni量は0.01〜0.3%の範囲とすることが好ましい。さらに好適には、0.20〜0.28%の範囲である。
Ti:0.005〜0.015%
TiはTiNを形成してスラブ加熱時や溶接熱影響部の粒成長を抑制し、結果としてミクロ組織の微細化をもたらして靭性を改善する効果がある。0.005%未満では効果が少ないため0.005%以上含有させる。一方、Tiの含有量が0.015%を超えると逆に溶接熱影響部靭性の劣化を引き起こすので、Tiを含有する場合は、Ti量は0.005〜0.015%の範囲とすることが好ましい。さらに好適には、0.010〜0.015%の範囲である。
なお、本発明のオーステナイト系ステンレスクラッド鋼の合せ材は耐海水腐食性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼を用いるが、合せ材の条件として下記式(1)に規定する孔食指数を満たす必要がある。
孔食指数(PRE):40以下
孔食指数(Pitting Resistance Eqivalennt:PRE)は下記式(1)で定義される。
PRE=Cr+3.3Mo+16N・・・・・(1)
なお、各元素記号は各元素の質量%で表示した含有量である。
耐海水腐食性としては、耐孔食性と耐隙間腐食性が重要である。これらの局部腐食に関しては、上記式(1)で定義される孔食指数で整理され、その数値が高いほど、耐孔食性に優れる。オーステナイト系ステンレス鋼を合せ材とするクラッド鋼において、十分な耐海水腐食性に優れた特性を得るには、孔食指数は40以上であることが好ましい。
2.製造方法について
本発明の耐海水腐食性および低温靭性に優れたオーステナイト系ステンレスクラッド鋼の製造方法を以下に述べる。
本発明のクラッド鋼の母材素材は、炭素鋼で、その成分組成は、前記した成分範囲に調整され、常法等により溶製することができる。該母材素材は、合せ材として耐海水腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼が選定されてクラッド鋼素材となり、熱間圧延されて全厚30mm以上の耐海水腐食性および低温靭性に優れたオーステナイト系ステンレスクラッド鋼となる。
加熱温度:1000〜1250℃
クラッド鋼素材の加熱温度は、1000℃未満では圧延能率が低下し、1250℃超えでは母材のオーステナイト粒が粗大化し母材の靭性が低下するため、1000〜1250℃の範囲とする。母材靭性の観点から好ましい加熱温度の範囲は1000〜1150℃である。
制御圧延:730〜950℃の温度域における累積圧下率30%以上
母材側の条件として、強度および靭性を向上するため、730〜950℃の温度域、即ち、オーステナイト低温域か、もしくは2相域で圧延を仕上げる必要がある。オーステナイト低温域で圧延を行うのは、オーステナイト粒を伸長粒化し、且つ、オーステナイトの粒内に変形帯を導入させることにある。
オーステナイト粒の伸長粒化、変形帯の導入によりフェライトの核生成サイドが増加し、最終的には組織が細かくなり鋼の強度、靭性が向上するからである。2相域(730〜950℃の温度域)で圧延を行なうのも、フェライト粒内に歪を導入することで強度の向上を図り、同時に変形集合組織を導入させ靭性の向上をも達成することを狙ったものである。
累積圧下率を30%以上とするのは、累積圧下率が30%未満であると、オーステナイトの細粒化が不十分で靭性が向上しないからである。
圧延仕上温度:730〜850℃
母材側の圧延条件としては、圧延仕上温度が700〜850℃で必要な強度、低温靭性が得られる。850℃を超える場合にはオーステナイト粒の再結晶のためオーステナイト粒の伸長粒化、変形帯の導入が困難であり、一方700℃未満ではフェライト粒に過度の歪みが導入され、加工硬化が著しいからである。
一方、合せ材側の圧延条件は、圧延仕上温度が730℃未満では耐食性の劣化が生じるため、仕上温度は730℃以上が必要である。
従って、母材、合せ材の両方の特性を確保するため、圧延仕上温度は730〜850℃とする。
冷却速度:3〜40℃/s
圧延後に加速冷却することにより、母材(炭素鋼)ではオーステナイト→フェライト変態が低温で起こり、一部にベイナイト変態も起こり、その結果更に高強度化、高靭性化が達成されることになる。また合せ材においても、上記冷却速度で冷却を実施することが耐食性確保の観点から好ましい。
冷却速度が3℃/s未満では冷却効果が顕著でなく、40℃/sを超える場合は冷却効果は飽和するので、冷却速度は、3〜40℃/sの範囲とするのが好ましい。
クラッド鋼の全厚:30mm以上
海洋構造物や造船用クラッド鋼は30mm以上の厚い材料が用いられるため。本発明では冷却速度が低くなる全厚30mm以上の材料についても耐海水腐食性、及び低温靭性に優れたクラッド鋼を提供する。
以下に、本発明の実施例を詳細に説明する。
表1に示す成分組成からなる炭素鋼を母材とし、表2に示すオ−ステナイト系ステンレス鋼を合せ材としスラブに組み立てた。ついでスラブを表3に示す温度に加熱して熱間圧延を施し、表3に示す各板厚のクラッド鋼を製造した。
以上により得られたステンレスクラッド鋼に対して、合せ材の耐食性を以下に示すASTM G48−03 Method Eにより評価した。
また、引張試験と、JIS Z 2242による−40℃におけるシャルピー衝撃試験を行い、YS(MPa)、TS(MPa)、吸収エネルギー(J)を求めた。
臨界孔食発生温度(Critical Pitting corrosion Temperature:CPT)はASTM G48−03 Method Eに定める「6%FeCl+1%HCl溶液中に5℃間隔で24時間の浸漬試験」により求めた。
浸漬試験は5℃ピッチで昇温し、各温度で各3回行い、1回でも深さ0.025mm以上の孔食が発生した場合は不合格とし、孔食が発生して不合格となった最高試験温度をCPT(℃)とした。なお、CPTの目標温度は45℃以上、好ましくは50℃以上とした。
評価結果を表3に示す。
Figure 0005928175
Figure 0005928175
Figure 0005928175
表3より、発明例であるNo.1〜12、22は、CPTが目標温度の45℃以上、−40℃シャルピー吸収エネルギーが100J以上となっており、優れた耐海水腐食性と低温靭性を示している。
No.13〜21は比較例を示す。No.14〜18の母材は全て比較鋼であり、いずれも−40℃シャルピー吸収エネルギーが目標値を下回った。
No.13、No.19〜21の母材は何れも発明鋼であるが、13、20は仕上げ温度が規定温度より高すぎて−40℃シャルピーが劣り、19、21は仕上げ温度が規定温度より低すぎてCPTが目標温度を下回った。

Claims (4)

  1. 成分組成が、質量%で、C:0.10〜0.15%、Si:0.25〜0.40%、Mn:0.45〜2.0%、P:0.015%以下、S:0.004%以下、N:0.006%以下、Cr:0.01〜0.1%、Nb:0.005〜0.05%、Al:0.005〜0.05%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる炭素鋼を母材とし、オーステナイト系ステンレス鋼を合せ材とするクラッド鋼素材を、1000〜1250℃に加熱後、熱間圧延を開始して、730〜950℃の温度域における制御圧延の累積圧下率を30%以上とし、圧延仕上温度を730〜850℃とする熱間圧延を行うことを特徴とする全厚30mm以上の耐海水腐食性および低温靭性に優れたオーステナイト系ステンレスクラッド鋼の製造方法。
  2. 前記炭素鋼の成分組成が、更に、質量%で、Cu:0.01〜0.3%、Ni:0.01〜0.3%、Ti:0.005〜0.015%の中から選ばれる一種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の全厚30mm以上の耐海水腐食性および低温靭性に優れたオーステナイト系ステンレスクラッド鋼の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載のクラッド鋼素材を用いて、1000〜1250℃に加熱後、熱間圧延を開始して、730〜950℃の温度域における制御圧延の累積圧下率を30%以上とし、圧延仕上温度を730〜850℃とする熱間圧延を行った後に、冷却速度3〜40℃/s、冷却停止温度を500℃以上とする加速冷却を行うことを特徴とする全厚30mm以上の耐海水腐食性および低温靭性に優れたオーステナイト系ステンレスクラッド鋼の製造方法。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載のステンレスクラッド鋼の製造方法において、合せ材のオーステナイト系ステンレス鋼の下記式(1)で定義される孔食指数(PRE)が、40以上であることを特徴とする全厚30mm以上の耐海水腐食性および低温靭性に優れたオーステナイト系ステンレスクラッド鋼の製造方法。
    PRE=Cr+3.3Mo+16N・・・・・(1)
    なお、各元素記号は各元素の質量%で表示した含有量である。
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