JP2014100951A - 車両用空気調和装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複雑な機構を用いることなく膜状部材を移動させることが可能となり、製造コストの低減を図ることのできる車両用空気調和装置を提供する。
【解決手段】モード切換ダンパの切換ダンパユニット260aは、流出空気通風路を流通する空気が通過可能な開口261aが設けられた可撓性の膜状部材261と、膜状部材261を一端側から巻き取り可能な第1巻取軸262と、膜状部材261を他端側から巻き取り可能な第2巻取軸263と、第1巻取軸262および第2巻取軸263の一方から他方に直に動力が伝達されるように設けられ、第1巻取軸262および第2巻取軸263の一方を膜状部材261の巻き取り方向に回転させる力によって他方を膜状部材261の繰り出し方向に回転させる動力伝達機構265と、を有している。
【選択図】図8

Description

本発明は、車室内の温度および湿度を調整するための車両用空気調和装置に関するものである。
従来、この種の車両用空気調和装置としては、ケース内に吸入した空気を、冷却または加熱して温度および湿度を調整し、吹出口としてのベント吹出口、フット吹出口およびデフロスタ吹出口のうち、1つまたは複数の吹出口から車室内に吹出すようにしたものが知られている。
前記車両用空気調和装置では、ケース内に設けられた通風路を、流路切換え用のダンパによって切換えることによって、吹出口を切換えている。前記車両用空気調和装置では、例えば、ベント吹出口と連通するベント開口がケースの上面に設けられ、ベント開口がダンパによって開閉される。ダンパは、ケースに回転自在に支持された支軸と、支軸から支軸の径方向外側に延びる平板と、から構成されており、支軸を中心に回転させることによってベント開口を開閉する。
支軸および平板とからなるダンパによってベント開口を開閉する車両用空気調和装置では、ダンパの回転動作における平板の移動スペースとして上下方向に大きな空間が必要となるため、ケースの上下方向の寸法が大きくなるという問題がある。
そこで、流路切換え用のダンパとして、通風路を流通する空気が通過可能な開口が設けられた可撓性の膜状部材と、膜状部材の一端側を巻き取り可能な巻取駆動軸と、膜状部材の他端側を巻取り可能な巻取従動軸と、を備えた膜状部材巻き取り式のダンパを用い、通風路内において膜状部材の開口の位置を移動させることによって通風路の開閉を行う空気調和装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平08−300935号公報
前記膜状部材巻き取り式のダンパを備えた車両用空気調和装置では、ダンパの巻取従動軸にコイルスプリング等の付勢手段を取り付けることによって、巻取従動軸に対して膜状部材を巻き取る回転方向に付勢力を付与し、巻取駆動軸を電動モータによって駆動させることによって膜状部材を介して巻取従動軸を従動させている。このため、前記膜状部材巻き取り式のダンパは、構造が複雑であり製造コストが高くなる。また、付勢手段の損傷や巻取従動軸から付勢手段が脱落した場合には、巻取駆動軸を回転に巻取従動軸を従動させることができないため、通風路の切換えが困難となる。
本発明の目的とするところは、複雑な機構を用いることなく膜状部材を移動させることが可能となり、製造コストの低減を図ることのできる車両用空気調和装置を提供することにある。
本発明は、前記目的を達成するために、内部に通風路が設けられたケースと、通風路を開閉可能に設けられ、通風路を流通する空気の流量を調整可能な流量調整ダンパと、を備えた車両用空気調和装置であって、流量調整ダンパは、通風路を流通する空気が通過可能な開口部が設けられた可撓性の膜状部材と、膜状部材を一端側から巻き取り可能な第1巻取軸と、膜状部材を他端側から巻き取り可能な第2巻取軸と、膜状部材を巻き掛けて第1巻取軸および第2巻取軸の一方から他方に案内する案内軸と、第1巻取軸および第2巻取軸の一方から他方に直に動力が伝達されるように設けられ、第1巻取軸および第2巻取軸の一方を膜状部材の巻き取り方向に回転させる力によって他方を膜状部材の繰り出し方向に回転させる動力伝達機構と、を有している。
これにより、第1巻取軸および第2巻取軸の一方に対する膜状部材を巻き取る方向の回転力が動力伝達機構を介して他方に膜状部材を繰り出す方向の回転力として作用することから、付勢手段を用いることなく第1巻取軸および第2巻取軸の一方が膜状部材を巻き取る方向に回転すると同時に他方が膜状部材の繰り出す方向に回転する。
本発明によれば、付勢手段を用いることなく第1巻取軸および第2巻取軸の一方を膜状部材を巻き取る方向に回転させると同時に他方を膜状部材の繰り出す方向に回転させることが可能となるので、複雑な機構を用いることなく膜状部材を移動させることが可能となり、製造コストの低減を図ることができる。
本発明の一実施形態を示す車室内の要部斜視図である。 車両用空気調和装置の斜視図である。 空調ユニットの分解斜視図である。 空調ユニットの側面断面図である。 エアミックスダンパユニットの斜視図である。 エアミックスダンパユニットの断面図である。 切換ダンパユニットの斜視図である。 切換ダンパユニットの断面図である。 ベントモードを示す空調ユニットの側面断面図である。 フットモードを示す空調ユニットの側面断面図である。 バイレベルモードを示す空調ユニットの側面断面図である。 デフロスタモードを示す空調ユニットの側面断面図である。 デフフットモードを示す空調ユニットの側面断面図である。
図1乃至図13は、本発明の一実施形態を示すものである。なお、本実施形態における前後方向、左右方向(幅方向)および上下方向を表す記載は、本発明の空気調和装置を備えた車両の前後方向、左右方向(幅方向)および上下方向に対応するものである。
本発明の車両用空気調和装置は、車室内前部のダッシュボード1内に設けられている。車両用空気調和装置は、図1に示すように、ダッシュボード1の幅方向中央部において後方に臨むセンターベント吹出口2と、ダッシュボード1の幅方向両側において後方に臨むサイドベント吹出口3と、ダッシュボード1の下部の幅方向両側において下方に臨むフット吹出口4と、ダッシュボード1の上部の幅方向に渡って上方に臨むデフロスタ吹出口5と、を有している。
車両用空気調和装置は、これらの複数の吹出口2,3,4,5の少なくとも1つから冷却または加熱した空気を車室内に吹出すことによって車室内の空気の温度および湿度の調整や、ガラスの曇りの除去を行うものである。
車両用空気調和装置は、図2に示すように、車室外の空気および車室内の空気の一方または両方を吸入可能な送風ユニット100と、送風ユニット100から送られた空気を冷却または加熱して車室内に供給するための空調ユニット200とを有し、互いに車両の幅方向に並べて配置されている。
送風ユニット100は、外周部に複数の羽根が設けられた円筒状のシロッコファンを有している。送風ユニット100は、車室内の空気を吸入するための内気吸入口101が上部の前後方向の後側に設けられ、車室外の空気を吸入するための外気吸入口102が上部の前後方向の前側に設けられている。
空調ユニット200は、内部に空気が流通可能なケース210と、ケース210内を流通する空気を冷却するための冷却用熱交換器220と、ケース210内を流通する空気を加熱するための加熱用熱交換器230と、ケース210内を流通する空気の加熱用熱交換器230と熱交換する空気の風量を調整するための第1エアミックスダンパ240および第2エアミックスダンパ250と、車室内に空気を吹出す吹出口2,3,4,5を切換えるモード切換ダンパ260と、を有している。
ケース210の幅方向一側面の前後方向の前部には、図4に示すように、送風ユニット100から送風された空気を流入させるための流入開口211が設けられている。ケース210の上面の前後方向の中央部には、センターベント吹出口2およびサイドベント吹出口3に連通するベント開口212が設けられている。また、ケース210の上面の前後方向の前側には、デフロスタ吹出口5に連通するデフロスタ開口213がベント開口212に隣接して設けられている。さらに、ケース210の前後方向の後側には、フット吹出口4に連通するフット開口214が設けられている。ケース210内の空気は、各開口212,213,214から、各開口212,213,214に接続されたダクトを通じて各吹出口2,3,4,5から吹出される。
ケース210内には、流入開口211側が設けられた前後方向の前側に冷却用熱交換器220が配置され、前後方向の後側に加熱用熱交換器230が配置されている。ケース210内には、流入開口211から流入した空気を冷却用熱交換器220に向かって流通させるための流入空気通風路215と、ベント開口212、デフロスタ開口213およびフット開口214から流出する空気を流通させるための流出空気通風路216と、冷却用熱交換器220を通過した空気を加熱用熱交換器230を通過させて流出空気通風路216に連通させるための加熱空気通風路217と、冷却用熱交換器220を通過した空気を加熱用熱交換器230を通過させることなく流出空気通風路に連通させる冷却空気バイパス通風路218と、が設けられている。
冷却用熱交換器220は、例えば、冷凍サイクルの構成要素としての蒸発器が用いられ、蒸発器において冷媒を吸熱させることによって蒸発器を通過する空気を冷却する。
加熱用熱交換器230は、例えば、車両のエンジンを冷却するための冷却水回路に接続された放熱器が用いられ、放熱器において冷却水を放熱させることによって放熱器を通過する空気を加熱する。
第1エアミックスダンパ240は、加熱空気通風路217の加熱用熱交換器230の空気の流通方向上流側の上部側および冷却空気バイパス通風路218を開閉するものである。第1エアミックスダンパ240は、幅方向に延びる矩形状の板状部材であり、短手方向一端の両側に設けられた支軸241を介してケース210に回転自在に支持されている。第1エアミックスダンパ240は、短手方向他端側を下方且つ前後方向の後方(図4において時計回り)に回転させることにより加熱用熱交換器230の上流側の加熱空気通風路217の上部を閉鎖可能である。また、第1エアミックスダンパ240は、短手方向他端側を前後方向の前方且つ上方(図4において反時計回り)に回転させることにより冷却空気バイパス通風路218を閉鎖可能である。さらに、第1エアミックスダンパ240は、短手方向他端側を加熱空気通風路217を閉鎖する位置と冷却空気バイパス通風路218を閉鎖する位置との間に位置させることによって、冷却用熱交換器220を通過した空気の一部を加熱空気通風路217側に流通させ、その他の空気を冷却空気バイパス通風路218側に流通させることが可能である。
第2エアミックスダンパ250は、加熱空気通風路217の加熱用熱交換器230の空気の流通方向上流側の下部側を開閉するものであり、幅方向一対のエアミックスダンパユニット250aから構成されている。各エアミックスダンパユニット250aは、図3に示すように、ケース210の幅方向両側面からそれぞれ着脱自在に取り付けられている。
エアミックスダンパユニット250aは、図6に示すように、加熱空気通風路217を横切る方向に張られた膜状部材251と、膜状部材251の一端側を巻き取り可能な第1巻取軸252と、膜状部材251の他端側を巻き取り可能な第2巻取軸253と、第1巻取軸252と第2巻取軸253との間の膜状部材251を加熱空気通風路217を横切る方向に張ると共に第1巻取軸252側または第2巻取軸253側に膜状部材を案内する案内軸254と、第1巻取軸252および第2巻取軸253の一方の回転力を他方に伝達するための動力伝達機構255と、膜状部材251、第1巻取軸252、第2巻取軸253、案内軸254および動力伝達機構255が支持された枠状部材256と、を有している。
膜状部材251は、例えば、ポリエチレン樹脂等からなる可撓性のフィルム状の部材である。膜状部材251は、外形が矩形状に形成されており、長手方向一端側が第1巻取軸252によって巻き取り可能であり、長手方向他端側が第2巻取軸253によって巻き取り可能である。膜状部材251には、長手方向の所定の位置において長手方向に延びる短手方向に一対の開口251aが設けられている。
第1巻取軸252および第2巻取軸253は、それぞれ幅方向に延びる円柱状の部材からなり、幅方向両側が枠状部材256に互いに隣接して回転自在に支持されている。第1巻取軸252および第2巻取軸253は、それぞれ膜状部材251の長手方向端部を係止し、一方に回転させることによって膜状部材251を巻き取り可能であり、他方に回転させることによって膜状部材251を繰り出し可能である。
案内軸254は、幅方向に延びる円柱状の部材からなり、枠状部材256の第1巻取軸252および第2巻取軸253から離間する位置に設けられている。案内軸254には、第1巻取軸252と第2巻取軸253との間を移動する膜状部材251が巻き掛けられている。したがって、膜状部材251は、加熱空気通風路217の空気の流通方向と直交する方向の一端側から他端側に向かって延びるとともに、案内軸254において折り返されて他端側から一端側に向かって延びるように張られた状態となる。
また、案内軸254には、膜状部材251の張り具合を調整するための張力調整機構を付加可能である。張力調整機構は、案内軸254の断面形状を楕円形状に形成し、案内軸254を枠状部材256に対して案内軸254の軸心を中心に回転可能とする共に任意の位置において回転を規制可能とすることによって構成される。案内軸254に巻き掛けられた膜状部材251は、案内軸254を回転位置を調整することによって、張り具合が調整される。張力調整機構としての案内軸254は、断面形状が楕円形状のものに限られず、回転中心から外面までの距離が部分的に異なる断面形状であればよく、例えば、矩形状の板状部材の長手方向を回転中心としたものを案内軸としてもよい。
動力伝達機構255は、第1巻取軸252および第2巻取軸253のそれぞれの端部に設けられ、互いに同じ歯数を有する歯車255a,255bである。歯車255a,255bは、ケース210の幅方向両側面に面する第1巻取軸252および第2巻取軸253の端部に取り付けられる。第1巻取軸252に取り付けられた歯車255aと第2巻取軸253に取り付けられた歯車255bは、互いに噛合しており、第1巻取軸252および第2巻取軸253の一方を一方向に回転させると、一方の回転力が歯車255a,255bを介して他方に伝達され、第1巻取軸252および第2巻取軸253の他方が他方向に回転する。
枠状部材256は、加熱空気通風路217の加熱用熱交換器230の空気の流通方向上流側の下側を直交する面上を延びる板状部材であり、ケース210に対してケース210の幅方向両側から着脱自在である。枠状部材256には、加熱空気通風路217を流通する空気が通過可能な開口256aが設けられており、開口256aが膜状部材251によって開閉される。すなわち、枠状部材256の開口256aは、開口256a部分に膜状部材251の開口251aを位置させることによって開放され、開口256a部分に膜状部材251の開口251a以外の部分を位置させることによって閉鎖される。枠状部材256の外周部と加熱空気通風路217との間の隙間は、図示しないシール部材によって閉塞される。また、枠状部材256の開口256aの縁部と膜状部材251との間の隙間は、枠状部材256の開口256aの縁部に膜状部材251が密接することによって閉塞される(図6では構造の説明のために隙間を大きく表わしている)。
第1エアミックスダンパ240および第2エアミックスダンパ250は、図示しない電動モータによって駆動可能であり、車室内を設定温度とするために必要な車室内に供給する空気の温度である必要吹出温度に応じて開度が調整される。
モード切換ダンパ260は、流出空気通風路216と、ベント開口212、デフロスタ開口213およびフット開口214と、の間に設けられ、幅方向および前後方向に二つずつ、合計4つの切換ダンパユニット260aから構成されている。各切換ダンパユニット260aは、ケース210の幅方向両側面からそれぞれ着脱自在に取り付けられている。
切換ダンパユニット260aは、前記エアミックスダンパユニット250aと同様に、膜状部材261、第1巻取軸262、第2巻取軸263、案内軸264および動力伝達機構265(歯車265a,265b)を有している。
枠状部材266は、流出空気通風路216と、ベント開口212、デフロスタ開口213およびフット開口214と、の間を水平方向に仕切る板状部材である。枠状部材266には、図8に示すように、空気が流通可能な2つの開口266a,266bが互いに車両の前後方向に並ぶように設けられている。すなわち、枠状部材266の開口266a,266bは、開口266a,266b部分に膜状部材261の開口261aを位置させることによって開放され、開口266a,266b部分に膜状部材261の開口261a以外の部分を位置させることによって閉鎖される。
モード切換ダンパ260は、各切換ダンパユニット260aを図示しない電動モータによって第1巻取軸262および第2巻取軸263を駆動させて膜状部材261の開口261aを移動させることにより、空気が流出する開口212,213,214を切換える。
モード切換ダンパ260には、前後方向に4つの開口261a,261bが配置されている。モード切換ダンパ260の前から一列目の開口261aには、デフロスタ開口213が対応付けられている。また、モード切換ダンパ260の前から二列目および三列目の開口261bには、ベント開口212が対応付けられている。さらに、モード切換ダンパ260の前から四列目の開口261aには、フット開口214が対応付けられている。
以上のように構成された車両用空気調和装置において、温度および湿度が調整された空気を車室内に供給する際には、複数の吹出口2,3,4,5の1つまたは複数の吹出口から車室内に空気を吹出すパターンとして複数の吹出モードを有し、複数の吹出モードから1つの吹出モードが選択可能である。以下に、ベントモード、フットモード、バイレベルモード、デフロスタモード、デフフットモードの各吹出モードについて説明する。
ベントモードは、主に必要吹出し温度が低温の場合に設定される。このため、第1エアミックスダンパ240は、冷却用熱交換器220を通過した空気の全てまたは大部分が冷却空気バイパス通風路218側に流通する位置に設定される。また、第2エアミックスダンパ250の各エアミックスダンパユニット250aは、膜状部材251によって枠状部材256の開口256aの全てまたは大部分を閉鎖した状態に設定される。
ベントモードでは、モード切換ダンパ260によって、ベント開口212を開放するとともに、デフロスタ開口213およびフット開口214を閉鎖する。
これにより、流入空気通風路215を流通して冷却用熱交換器220を通過した空気は、図9に示すように、流出空気通風路216を流通してベント開口212から流出し、センターベント吹出口2およびサイドベント吹出口3から車室内に吹出される。
フットモードは、主に必要吹出し温度が高温の場合に設定される。このため、第1エアミックスダンパ240は、冷却用熱交換器220を通過した空気の全てまたは大部分が加熱空気通風路217側に流通する位置に設定される。また、第2エアミックスダンパ250の各エアミックスダンパユニット250aは、膜状部材251によって枠状部材256の開口256aの全てまたは大部分を開放した状態に設定される。
フットモードでは、モード切換ダンパ260によってベント開口212およびデフロスタ開口213を閉鎖するとともに、フット開口214を開放する。
これにより、流入空気通風路215を流通して冷却用熱交換器220を通過した空気は、図10に示すように、流出空気通風路216を流通してフット開口214から流出し、フット吹出口4から車室内に吹出される。
バイレベルモードは、ベントモードが設定される必要吹出し温度とフットモードが設定される必要吹出し温度との間の必要吹出し温度の場合に設定される。このため、第1エアミックスダンパ240は、冷却用熱交換器220を通過した空気が分岐されて加熱空気通風路217および冷却空気バイパス通風路218のそれぞれに流通する位置に設定される。また、第2エアミックスダンパ250の各エアミックスダンパユニット250aは、膜状部材251によって枠状部材256の開口256aの一部または大部分が開放した状態に設定される。
バイレベルモードでは、モード切換ダンパ260によってベント開口212の前後方向の前側およびフット開口214を開放するとともに、ベント開口212の前後方向の後側およびデフロスタ開口213を閉鎖する。
これにより、流入空気通風路215を流通して冷却用熱交換器220を通過した空気は、図11に示すように、流出空気通風路216を流通してベント開口212およびフット開口214から流出し、センターベント吹出口2、サイドベント吹出口3およびフット吹出口4から車室内に吹出される。
デフロスタモードは、フロントガラスおよびサイドガラスに曇りが生じた場合に設定される。このため、第1エアミックスダンパ240は、冷却用熱交換器220を通過した空気の全てまたは大部分が加熱空気通風路217側に流通する位置に設定される。また、第2エアミックスダンパ250の各エアミックスダンパユニット250aは、膜状部材251によって枠状部材256の開口256aの全てまたは大部分を開放した状態に設定される。
デフロスタモードでは、モード切換ダンパ260によってベント開口212およびフット開口214を閉鎖するとともに、デフロスタ開口213を開放する。
これにより、流入空気通風路215を流通して冷却用熱交換器220を通過した空気は、図12に示すように、流出空気通風路216を流通してデフロスタ開口213から流出し、デフロスタ吹出口5から車室内に吹出される。
デフフットモードは、主に必要吹出し温度が高温であり、フロントガラスおよびサイドガラスに曇りが生じた場合に設定される。このため、第1エアミックスダンパ240は、冷却用熱交換器220を通過した空気の全てまたは大部分が加熱空気通風路217側に流通する位置に設定される。また、第2エアミックスダンパ250の各エアミックスダンパユニット250aは、膜状部材251によって枠状部材256の開口256aが開放した状態に設定される。
デフフットモードでは、モード切換ダンパ260によってベント開口212を閉鎖するとともに、フット開口214およびデフロスタ開口213を開放する。
これにより、流入空気通風路215を流通して冷却用熱交換器220を通過した空気は、図13に示すように、流出空気通風路216を流通してデフロスタ開口213およびフット開口214から流出し、フット吹出口4およびデフロスタ吹出口5から車室内に吹出される。
また、第2エアミックスダンパ250の各エアミックスダンパユニット250aおよびモード切換ダンパ260の各切換ダンパユニット260aにおいて、枠状部材256,266の開口256a,266a,266bの開閉動作では、駆動力が第1巻取軸252,262および第2巻取軸253,263の一方に伝達される。第1巻取軸252,262および第2巻取軸253,263の一方に伝達された駆動力は、動力伝達機構255,265を介して第1巻取軸252,262および第2巻取軸253,263の他方に伝達されるため、一方が膜状部材251,261を巻き取る方向に回転すると、他方が膜状部材251,261を繰り出す方向に回転する。このため、枠状部材256,266の開口256a,266a,266bの開閉動作時において、膜状部材251,261は、常に一定の張力を受けながら一方から他方に送られる。
このように、本実施形態の車両用空気調和装置によれば、第2エアミックスダンパ250のエアミックスダンパユニット250aおよびモード切換ダンパ260の切換ダンパユニット260aは、流出空気通風路216および加熱空気通風路217を流通する空気が通過可能な開口251a,261aが設けられた可撓性の膜状部材251,261と、膜状部材251,261を一端側から巻き取り可能な第1巻取軸252,262と、膜状部材251,261を他端側から巻き取り可能な第2巻取軸253,263と、膜状部材251を巻き掛けて第1巻取軸252,262および第2巻取軸253,263の一方から他方に案内する案内軸254,264と、第1巻取軸252,262および第2巻取軸253,263の一方から他方に直に動力が伝達されるように設けられ、第1巻取軸252,262および第2巻取軸253,263の一方を膜状部材251,261の巻き取り方向に回転させる力によって他方を膜状部材251,261の繰り出し方向に回転させる動力伝達機構255,265と、を有している。
これにより、付勢手段を用いることなく第1巻取軸252,262および第2巻取軸253,263の一方を膜状部材251,261を巻き取る方向に回転させると同時に他方を膜状部材251,261の繰り出す方向に回転させることが可能となるので、複雑な機構を用いることなく膜状部材251,261を移動させることが可能となり、製造コストの低減を図ることができる。
また、エアミックスダンパユニット250aおよび切換ダンパユニット260aの第1巻取軸252,262および第2巻取軸253,263は、互いに隣接する位置に配置され、第1巻取軸252,262および第2巻取軸253,263から流出空気通風路216および加熱空気通風路217を横切る方向に離間した位置には、膜状部材251,261を第1巻取軸252,262および第2巻取軸253,263の一方から他方に案内する案内軸254,264が設けられ、動力伝達機構255,265は、第1巻取軸252,262および第2巻取軸253,263のそれぞれに設けられ、互いに直接噛合う歯車255a,255b,265a,265bである
これにより、動力伝達機構255,265が簡単な構造によって構成することができるので、製造コストの低減を図ることが可能となる。
また、エアミックスダンパユニット250aおよび切換ダンパユニット260aは、膜状部材251,261、第1巻取軸252,262、第2巻取軸253,263、動力伝達機構255,265および案内軸254,264をケース210に着脱自在に設けられた枠状部材256,266に取り付けることによって一体に構成されている。
これにより、ケース210に対してエアミックスダンパユニット250aおよび切換ダンパユニット260aを着脱が可能となるので、組付けが容易となり、製造コストの低減を図ることが可能となる。さらに、エアミックスダンパユニット250aおよび切換ダンパユニット260aを構成する部品の交換等、メンテナンスが容易となる。
また、ケース210には、車室内に供給する空気を流出させるための複数の開口212,213,214が設けられ、ケース210内には、一体に構成された切換ダンパユニット260aを複数連結することによって、複数の開口212,213,214から空気を流出させる開口212,213,214を切換え可能としている。
これにより、開口212,213,214の大きさや数に応じて切換ダンパユニット260aを組み合わせることによって空気を流出させる開口212,213,214を切換えることが可能となるので、様々な種類の車両用空気調和装置に対して適用することが可能となる。
案内軸254,264には、第1巻取軸252,262と第2巻取軸253,263との間の膜状部材251,261の張り具合を調整するための張力調整機構が設けられている。
これにより、エアミックスダンパユニット250aおよび切換ダンパユニット260aの膜状部材251,261が伸びる場合にも、膜状部材251,261の張り具合を調整することができるので、エアミックスダンパユニット250aおよび切換ダンパユニット260aの長期間の使用が可能となる。
張力調整機構は、案内軸254,264を、軸心を中心に回転可能とすると共に任意の位置で回転を規制可能とし、案内軸254,264の断面形状を楕円形状に形成することによって構成される。
これにより、簡単な構造によって張力調整機構を構成することができるので、製造コストの低減を図ることが可能となる。
なお、前記実施形態では、第1巻取軸252,262および第2巻取軸253,263の一方から他方に直に動力が伝達されるように設けられ、第1巻取軸252,262および第2巻取軸253,263の一方を膜状部材251,261の巻き取り方向に回転させる力によって他方を膜状部材251,261の繰り出し方向に回転させる動力伝達機構255,265として、第1巻取軸252,262および第2巻取軸253,263のそれぞれに設けられ、互いに噛合う歯車255a,255b,265a,265bを示したが、これに限られるものではない。
第1巻取軸252,262および第2巻取軸253,263の一方を膜状部材251,261の巻き取り方向に回転させる力によって他方を膜状部材251,261の繰り出し方向に回転させることが可能であればよく、例えば、第1巻取軸252,262に第1歯車を設け、第2巻取軸253,263に第2歯車を設け、第1歯車と第2歯車との間に1つ以上の歯車を介在させることで、第1巻取軸252,262と第2巻取軸253,263と連動させるようにしてもよい。
また、第1巻取軸252,262および第2巻取軸253,263のそれぞれにプーリを設け、互いに無端状のベルトを巻き掛けて連結するようにして第1巻取軸252,262と第2巻取軸253,263と連動させるようにしてもよい。
また、前記実施形態では、複数のエアミックスダンパユニット250aおよび複数の切換ダンパユニット260aを幅方向に配置し、幅方向に配置されたエアミックスダンパユニット250aおよび切換ダンパユニット260aを連動させるようにしたものを示したが、これに限られるものではない。
例えば、ケース210内の幅方向中央部を仕切部材等によって通風路を左右に仕切り、幅方向に配置されたエアミックスダンパユニット250aおよび切換ダンパユニット260aを、それぞれ駆動可能とすることによって、車室内の座席毎に異なる温度および湿度に調整された空気を吹出すことが可能となる。
また、前記実施形態では、モード切換ダンパ260を4つの切換ダンパユニット260aから構成したものを示したが、これに限られるものではない。通風路の大きさや切換ダンパユニット260aの大きさに応じて、任意の個数の切換ダンパユニット260aの組み合わせとすればよい。
2…センターベント吹出口、3…サイドベント吹出口、4…フット吹出口、200…空調ユニット、210…ケース、212…ベント開口、213…デフロスタ開口、214…フット開口、250…第2エアミックスダンパ、250a…エアミックスダンパユニット、251…膜状部材、251a…開口、252…第1巻取軸、253…第2巻取軸、254…案内軸、255…動力伝達機構、255a,255b…歯車、256…枠状部材、260…モード切換ダンパ、260a…切換ダンパユニット、261…膜状部材、261a…開口、262…第1巻取軸、263…第2巻取軸、264…案内軸、265…動力伝達機構、265a,265b…歯車、266…枠状部材。

Claims (6)

  1. 内部に通風路が設けられたケースと、通風路を開閉可能に設けられ、通風路を流通する空気の流量を調整可能な流量調整ダンパと、を備えた車両用空気調和装置であって、
    流量調整ダンパは、
    通風路を流通する空気が通過可能な開口部が設けられた可撓性の膜状部材と、
    膜状部材を一端側から巻き取り可能な第1巻取軸と、
    膜状部材を他端側から巻き取り可能な第2巻取軸と、
    膜状部材を巻き掛けて第1巻取軸および第2巻取軸の一方から他方に案内する案内軸と、
    第1巻取軸および第2巻取軸の一方から他方に直に動力が伝達されるように設けられ、第1巻取軸および第2巻取軸の一方を膜状部材の巻き取り方向に回転させる力によって他方を膜状部材の繰り出し方向に回転させる動力伝達機構と、を有している
    ことを特徴とする車両用空気調和装置。
  2. 流量調整ダンパは、
    第1巻取軸および第2巻取軸が互いに隣接する位置に配置され、
    案内軸が第1巻取軸および第2巻取軸に対して通風路を横切る方向に離間した位置に設けられており、
    動力伝達機構は、
    第1巻取軸および第2巻取軸のそれぞれに設けられ、互いに直接噛合う歯車である
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
  3. 流量調整ダンパは、膜状部材、第1巻取軸、第2巻取軸、動力伝達機構および案内軸を、ケースに着脱自在に設けられた枠状部材に取り付けることによって一体に構成されている
    ことを特徴とする請求項2に記載の車両用空気調和装置。
  4. ケースには、車室内に供給する空気を流出させるための複数の開口が設けられ、
    ケース内には、一体に構成された流量調整ダンパを複数連結することによって、複数の開口から空気を流出させる開口を切換え可能とする
    ことを特徴とする請求項3に記載の車両用空気調和装置。
  5. 案内軸には、第1巻取軸と第2巻取軸との間の膜状部材の張り具合を調整するための張力調整機構が設けられている
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用空気調和装置。
  6. 張力調整機構は、案内軸を、軸心を中心に回転可能とすると共に任意の位置で回転を規制可能とし、案内軸の断面形状を楕円形状に形成することによって構成される
    ことを特徴とする請求項5に記載の車両用空気調和装置。
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