本発明の実施例を図1〜図3に基づいて説明する。尚、以下の説明において、図1の手前側を遊技機設置島の前側、奥側を後側、左右方向を左右側として説明する。
図1に示されるように、遊技機設置島1は、左右方向に向けて細長に形成されており、その前後面には、遊技機の一例であるパチンコ機2及び該パチンコ機2において遊技に使用する遊技媒体としてのパチンコ球の貸出を実施させる球貸処理機(図示略)が、長手方向(左右方向)に向けて複数列設されている。
遊技機設置島1の略中央上部には、パチンコ球が貯留される上部タンク3が設けられており、この上部タンク3内に貯留されたパチンコ球は、遊技機設置島1内の長手方向両端部に向かってそれぞれ下方に傾斜するように配設された左右の供給樋4に流入するようになっている。これら左右の供給樋4には、流下するパチンコ球を各パチンコ機2に供給するための支流樋5が、供給樋4の前後(球の流下方向に向かって左右)の側板に、流下方向に向かって所定間隔おきに複数配設されており、これら支流樋5に供給されたパチンコ球は、各パチンコ機2の背面に設けられた球タンク6に供給されるようになっている。
供給樋4の下流側端部には、例えばメンテナンス時等において供給樋4内のパチンコ球を後述する下部樋10内に流出させる球抜き管7が設けられている。尚、通常時にはこの球抜き管7内をパチンコ球が流下しないようになっている。
遊技機設置島1の内部には、パチンコ機2より排出されたアウト球を一時貯留するアウト球タンク8が、パチンコ機2が載置される繕板13の上面に、各パチンコ機2に対応するように複数設けられている。
また、上部タンク3からは、該上部タンク3内部に貯留されるパチンコ球の貯留量が所定量以上となってオーバーフローしたパチンコ球を、遊技機設置島1の長手方向の略中央位置に配置される揚送装置25を挟んでその左右側、つまり遊技機設置島1の左右両側(長手方向の両端側)の下部にそれぞれ配置される第1のタンクとしての島タンク9L,9Rそれぞれに導くオーバーフロー樋12が左右に向けて延設されているとともに、これら左右のオーバーフロー樋12の下流側端部からは、オーバーフロー管18が垂下されている。
左右の島タンク9L,9R内には、図1〜図3に示されるように、球抜き管7及びオーバーフロー管18から排出されるパチンコ球が流入する下部樋10L,10Rが、それぞれ遊技機設置島1における長手方向中央に向かって下方に傾斜するように配設されている。下部樋10L,10R内を流下するパチンコ球は、前後(球の流下方向に向かって左右)の側板に複数形成された開口11(図2参照)、及びその底板における下流側端部に形成された開口14(図3参照)を介して、島タンク9L,9R内の長手方向に向けてパチンコ球が偏りなくほぼ均等に貯留されるように落下される。
遊技機設置島1の左側端部には、遊技者が獲得したパチンコ球を計数するための計数装置15が配設されており、この計数装置15内に投入されたパチンコ球は、該計数装置15に設けられている球投入口15aから連設された返却路16を介して下部樋10Lに流入し、島タンク9L内に排出されて貯留される。つまり、計数装置15にて計数された計数済み球は、遊技機設置島1の内部における左側の島タンク9Lに返却されるようになっている。
第1のタンクとしての左右の島タンク9L,9R内における下部樋10L,10Rの前後側(球の流下方向に向かって左右側)には、図2,図3に示されるように、各アウト球タンク8から排出されるパチンコ球を回収する側部樋17L,17Rが並設されている。
左右の島タンク9L,9Rと後述する揚送装置25との間には、図1及び図3に示されるように、上面が開口する有底箱状をなすとともに、底面が遊技機設置島1の中央方向に向かって下方に傾斜する第2のタンクとしてのバッファタンク200L,200Rが設けられている。つまり、第1のタンクとしての島タンク9L,9R及び第2のタンクとしてのバッファタンク200L,200Rにより、本発明の下部タンクが構成されている。
側部樋17L,17Rの下流側端部は、バッファタンク200L,200R内まで延設されていて、側部樋17L,17R内に回収されたパチンコ球は、主に島タンク9L,9R内に貯留されることなく、直接バッファタンク200L,200Rに流下するようになっている。尚、バッファタンク200L,200R内に貯留されたパチンコ球により側部樋17L,17Rの下流端開口が塞がれて、パチンコ球が上流側に向けて充満した場合には、側部樋17L,17Rの内側面における島タンク9L,9Rの下流側端部付近に形成された開口17a(図3参照)から島タンク9L,9R内に落下して貯留されるようになっている。
バッファタンク200L,200Rにおける下流側の側板200aの下部には下部流出口23aが形成されており、該下部流出口23aからは、後述する揚送装置にパチンコ球を誘導する中継樋24L,24Rが、揚送装置25に向けて下方に傾斜するようにそれぞれ延設されている。
島タンク9L,9Rとバッファタンク200L,200Rとの間には、第1のタンクとしての島タンク9L,9Rに貯留されているパチンコ球を、第2のタンクとしてのバッファタンク200L,200Rに揚送(移送)する移送装置としてのミニリフト210L,210Rが、前後の側部樋17L,17Lに挟まれるようにして設けられている。ミニリフト210L,210Rの下部には、島タンク9L,9Rの内部と連通する流入口210aが形成されており、ミニリフト210L,210Rを駆動することにより、島タンク9L,9R内のパチンコ球が自然流下によりミニリフト210L,210R内部に流入して揚送され、上部に形成された排出口210bから、バッファタンク200L,200R内に排出されるようになっている。
バッファタンク200L,200R内部には、ミニリフト210L,210Rの前後に配設される側部樋17L,17Rの下流側端部が、島タンク9L,9R側の側板200bにおける所定高さ位置で貫通して配設されている。バッファタンク200L,200Rの内部における前後の側部樋17L,17Lまたは側部樋17R,17Rの間には、上面が開口する箱型のミニタンク201L,201Rがミニリフト210L,210R側に隣接して配設されており、該ミニタンク201L,201R内には、ミニリフト210L,210Rにより揚送されて排出口210bから排出されたパチンコ球が落下するようになっている。
そして、バッファタンク200L,200Rから中継樋24L,24Rを介して自然流下したパチンコ球は、揚送装置25内に流入し、揚送装置25により揚送された後、上部タンク3内に貯留される。
これら遊技機設置島1内に配設される供給樋4、支流樋5、オーバーフロー樋12、オーバーフロー管18、下部樋10L,10R、側部樋17L,17R、ミニリフト210L,210R、バッファタンク200L,200R、中継樋24L,24R、揚送装置25とにより、遊技機設置島1内におけるパチンコ球の循環経路が構成されている。
また、遊技機設置島1内には、揚送装置25及びミニリフト210L,210Rを制御する移送装置制御手段としての制御装置(図示略)が設けられている。また、この制御装置(図示略)には、揚送装置25、ミニリフト210L,210R、計数装置15、が接続されているとともに、前記上部タンク3、島タンク9L,9R、ミニタンク201L,201R内に設けられた後述する各種のセンサが接続されており、各種センサからの検出状況、つまり各タンクにおけるパチンコ球の貯留状況と、揚送装置25の駆動状況や計数装置15からの球の返却状況等に応じて、揚送装置25やミニリフト210L,210Rの駆動制御を実施してパチンコ球を揚送し、遊技機設置島1内を循環させるようになっている。また、制御装置は通信ユニットを介して図示しないホールコンピュータなどの管理装置等に接続されていて、例えば、揚送装置25やミニリフト210L,210R等が停止した場合に、該駆動が停止した旨を前記管理装置等に送信するようになっている。
また、通常時においては、パチンコ機2から排出されて側部樋17L,17Rに回収されるパチンコ球が、島タンク9L,9R内に貯留されているパチンコ球よりも優先して揚送装置25内に流入して揚送されるようになっている。そして、上部タンク3内におけるパチンコ球の貯留量が所定レベル以下となった場合等に、ミニリフト210L,210R等を駆動して、島タンク9L,9R内に貯留されているパチンコ球を上部タンク3内に揚送する。
尚、本実施例における遊技機設置島1は、上部タンク3や島タンク9L,9R内部に貯留されたパチンコ球のみを制御により循環して使用するいわゆる独立式の遊技機設置島であるが、例えば遊技場内に並設される他の遊技機設置島と上部タンク同士を適宜連結樋等により連結して、他の遊技機設置島間でパチンコ球の貯留量の調整を行うことができるようにしてもよい。また、遊技者が獲得したパチンコ球を計数する計数装置が各パチンコ機2に対応して設けられ、各遊技機設置島内においてパチンコ球を循環使用することが可能に構成されたユニット式の遊技機設置島であってもよい。
次に、本発明の移送装置としての揚送装置25の詳細な構造について説明する。図4は、(a)は揚送装置を斜め前側から見た状態を示す斜視図であり、(b)は揚送装置を斜め後ろ側から見た状態を示す斜視図である。図5は、揚送装置の内部構造を示す縦断面図である。図6は、図5のB−B断面図である。図7は、揚送装置の下部構造を示す要部拡大断面図である。図8は、アール状通路カバー及び球導入通路カバーを示す斜視図である。図9は、同じくアール状通路カバー及び球導入通路カバーを示す斜視図である。図10は、(a)はアール状通路カバーを示す平面図であり、(b)は(a)のD矢視図である。図11は、(a)は図10(a)のC−C断面図であり、(b)は(a)のE−E端面図であり、(c)は(a)のF−F端面図である。図12は、異物が挟まった状態を示すアール状通路カバーを示す作用図である。図13は、(a)は揚送装置の下部を示す断面図であり、(b)はアール状通路カバーを取り外す状態を示す断面図である。
尚、以下において、図5〜図7の左側を揚送装置の前面側、右側を揚送装置の後面側、手前側を揚送装置の右側、奥側を揚送装置の左側として説明する。
揚送装置25は、図4及び図5に示されるように、床面上にアンカー固定されるベース板110上に立設される上下方向に延びる柱状の本体100と、本体100の上部(パチンコ球の移送方向の下流側)に設けられた左右方向を向く回転軸101a周りに回動自在に設けられる上部ローラ101と、本体100の下部(パチンコ球の移送方向の下流側)に設けられた左右方向を向く回転軸102a周りに回動自在に設けられる下部ローラ102と、これら上部ローラ101と下部ローラ102とに掛け渡される所定幅を有する無端帯状の搬送ベルト103と、本体100の後面側の一側辺を中心に回動自在に設けられ、搬送ベルト103の上昇路に対向して配置される上下方向に延びる直線状通路115(図5参照)を形成する直線状通路カバー104と、下部ローラ102の下方に配置され、該下部ローラ位置における搬送ベルト103にパチンコ球を押圧するために該下部ローラ102の外周面に沿って略円弧状に形成されたアール状通路部材としてのアール状通路カバー105と、該下部ローラ102の下方におけるアール状通路カバー105の反対側に対向して配置され、アール状通路カバー105にパチンコ球を誘導する球導入部材としての球導入通路カバー106と、から主に構成されている。
これら搬送ベルト103の外面に対向して配置される上部通路カバー118、直線状通路カバー104、アール状通路カバー105、球導入通路カバー106は、上部ローラ101及び下部ローラ102の回転により周回する搬送ベルト103にパチンコ球を押圧して揚送するための通路部材を構成している。
尚、下部ローラ102は、本体下部に設けられる揚送モータ80(図4参照)により駆動する駆動ローラとされ、上部ローラ101は従動ローラとされており、図5中矢印方向(時計回り)に回転するようになっている。また、図5に示されるように、下部ローラ102の上方には、搬送ベルト103の張力を調整可能なテンションローラ108と、その上下に配置される従動ローラ107,109とが回動可能に支持されており、これら従動ローラ107,109及びテンションローラ108の間を蛇行するように搬送ベルト103が掛け渡されている。尚、これら上部ローラ101、下部ローラ102、従動ローラ107,109及びテンションローラ108の詳細な構造は後述することとする。
直線状通路カバー104は、上下方向に延びる板状部材にて構成され、図4に示されるように、本体100の後面における一側辺に、該本体100の後面を開閉可能に枢着されており、他側辺に突設された上・中・下段の係止ピン112a〜112cに、本体100に枢着された上・中・下段の係止部材111a〜111cが係止されることで、閉塞位置にてロックできるようになっている。
直線状通路カバー104の内面には、特に図6に示されるように、上下方向に延設される直線状通路115を形成するための略半球状の凹溝113が複数列(本実施例では7列)並設して形成された縦長の通路板114が、複数のコイルバネ117を介して搬送ベルト103に向けて付勢された状態で配置されており、直線状通路カバー104を閉塞位置に位置したときに、搬送ベルト103の外面に対向配置され、これら複数の凹溝113により、上下方向に延びる複数列の直線状通路115が形成される。
そしてこれら各凹溝113にガイドされる各直線状通路115内のパチンコ球Pは、この通路板114により搬送ベルト103に押圧されることにより、搬送ベルト103の移動により通路内を上方に向けて移動して揚送されるようになっている。つまり、通路板114におけるパチンコ球との対向面(内面)は、本発明における遊技球の移送面を構成している。
また、この通路板114の内面側には、各通路内を移送するパチンコ球を清浄する清浄部材としての清浄布116が敷設されていることで、この清浄布116を介して通路板114によりパチンコ球Pが搬送ベルト103に向けて押圧されることで、搬送ベルト103の移動により、パチンコ球Pが清浄布116に摺接(当接)されながら移送されるため、パチンコ球が揚送とともに清浄されるようになっている。つまり、本実施例における揚送装置25は、パチンコ球Pを清浄しながら揚送する揚送清浄装置である。
この清浄布116は帯状をなし、直線状通路カバー104の通路板114の内面に沿って上下方向(パチンコ球の移送方向の上流側から下流側)に張設される。該張設された清浄布116の上側は、直線状通路カバー104の上端部(下流側折返し部)にて外側下向きに折返された後、直線状通路カバー104の外面上部に設けられた上部クランプ装置300(図5参照)に挿通した状態で保持され、直線状通路カバー104の外面に沿って敷設される。また、清浄布116の下側は、直線状通路カバー104の下端部(上流側折返し部)にて外側上向きに折返された後、直線状通路カバー104の外面下部に設けられた下部クランプ装置400(図5参照)に挿通した状態で保持され、直線状通路カバー104の外面に沿って敷設される。
このように清浄布116は、直線状通路カバー104の上下端部にてそれぞれ外向きに折返され、直線状通路カバー104の外面に沿って引き出された上部を上部クランプ装置300にて、下部を下部クランプ装置400にて保持する必要があるため、少なくとも直線状通路カバー104の上下幅寸法、つまり、直線状通路115において清浄布116がパチンコ球に当接可能に敷設される清浄部の長手幅寸法よりも長尺な帯布にて構成されており、パチンコ球との摺接面が汚れた場合、上部クランプ装置300及び下部クランプ装置400による保持状態を解除し、直線状通路115の清浄部に配置されている清浄布116の使用済み部を上部または下部から引き出して、未使用部を直線状通路115の清浄部に新たに配置することで交換できるようになっている。尚、上部クランプ装置300及び下部クランプ装置400の詳細な構造に関しては後述することとする。
このように直線状通路カバー104により形成される直線状通路115は、図5に示されるように、回転軸101aから回転軸102aにかけて本体100の前面側、つまり搬送ベルト103の上昇側に形成されている。そして直線状通路115を上方に移送されたパチンコ球Pは、本体100の上部に設けられた上部通路カバー118により形成される円弧状の上部通路119により前面側(図5中右側)に折り返された後、該上部通路カバー118に連設された排出カバー120内を流下して、該排出カバー120に形成された排出口38から排出され、上部タンク3内に貯留されるようになっている。
直線状通路115の下方、つまり上流側には、前述したアール状通路カバー105により形成されるアール状通路121が形成されており、本体100の前面側下部に設けられた球流入口122から流入されるパチンコ球を、上方の直線状通路115に向けて誘導するようになっている。
アール状通路121には、このアール状通路カバー105の上流側にある球流入口122に設けられる球導入通路カバー106により形成される球導入通路123を流下するパチンコ球Pが流入されるようになっている。
球導入通路カバー106の上流側端部には、図7に示されるように、前述した中継樋24L,24Rを流下してきたパチンコ球が合流する合流部124が設けられている。合流部124は、左右の中継樋24L,24Rの端部間下方位置に配設された合流板125と、該合流板125の下方に配置されたスノコレール126と、から構成されている。尚、図7中の符号127は、左右の中継樋24L,24Rの端部間に配設される仕切り板であり、対向する樋から流出されるパチンコ球により流下が制限されることが防止されるようになっている。
合流板125には、中継樋24L,24Rの端部から流出されたパチンコ球を落下させるための直径約20mmの大径穴125aが複数箇所に形成されており、この合流板125の上方から落下されてくるパチンコ球が大径穴125aから落下されることにより、例えばパチンコ球の貸し出しに使用されるプリペイドカード等の大きな異物が捕捉され、揚送装置25への進入が防止されるようになっている。
大径穴125aから落下したパチンコ球は、球導入通路123に向けて下方に傾斜するように配設されたスノコレール126(図8参照)を流下して、球導入通路123内に流入するようになっている。そして、このスノコレール126上に落下して流下する際に、大径穴125aを落下してきた異物が、スノコレール126の間隙から、下方に設けられた空間128に落下して除去されるようになっている。
尚、大径穴125aの直径は、合流部124に流入するパチンコ球をその下方のスノコレール126上に大量に落下させることなく、適量ずつ落下させることが可能な大きさに設定されている。このようにスノコレール126上へのパチンコ球の流出量を抑制することで、スノコレール126やその下流側の球導入通路123上に多量のパチンコ球が流入して充満することにより、流入口112付近の下部ローラ102や搬送ベルト103に高い球圧がかり、下部ローラ102を回転駆動させる揚送モータ(図示略)等に過剰な負荷が加わることが防止されている。
このように構成される揚送装置25は、中継樋24L,24Rを流下して合流部124に排出されて合流し、スノコレール126、球導入通路123により誘導されて球流入口122を介して内部に流入したパチンコ球を、搬送ベルト103の移動により、アール状通路121及び直線状通路115、上部通路119内を移送させ、清浄布116により清浄しながら上方へ揚送し、本体100の上部に設けられた排出口38から排出することができるようになっている。
次に、アール状通路カバー105、球導入通路カバー106、スノコレール126の詳細な構造を、図8〜図12に基づいて説明する。
まず、スノコレール126は、図8及び図9に示されるように、パチンコ球の流下通路の側面を形成する8本の側壁レール130と、各側壁レール130間に配設され、パチンコ球の流下通路の底面を構成する7本の底壁レール131と、これら側壁レール130及び底壁レール131を一体化するベース体132と、から構成され、7列の流下通路135が形成されている。また、各底壁レール131の側方には開口133が複数形成されており、これら開口133を介して異物がベース体132の下方に落下するようになっている。
球導入通路カバー106は、ポリカーボネート等の合成樹脂材等により形成され、パチンコ球の流下通路の側面を形成する8枚の側板140と、各側板140間に配設され、パチンコ球の流下通路の底面を構成する7枚の底板141と、から構成され、これら床面上に立設される各側板140が底板141により互いに一体化され、各側板140間に7列の球導入通路123が形成されている。
また、各底板141における上流側には、パチンコ球とともに移動してきた釘等の異物を落下させるためのスリット145が、それぞれ長手方向に向けて延びるように形成されている。尚、スリット145の幅寸法は、ネジ等の頭部を通過させることが可能で、かつ、該スリット145を通過するパチンコ球が落下不能な幅寸法とされており、パチンコ球はその周面下部2点をスリット145の両側縁に当接させた状態で転動するようになっているとともに、傾斜下位側の端部は、パチンコ球の移動方向に向けて漸次先細りとなるように形成されている。
また、スリット145を底板141における各側板140,140間の幅方向中央位置に形成することで、球導入通路123を移動するパチンコ球とともに釘等の異物が該球導入通路123の幅方向の中央位置を移動して、後述するアール状通路カバー105における各ガイド板150,150間の幅方向中央位置に配置される押圧板151に接触し、該押圧板151を損傷させることが防止される。
各側板140における下部ローラ102との対向端面は、下部ローラ102の回転軸102aを中心とする円弧状に切り欠かれており、図7に示されるように、搬送ベルト103の外面に近接して配置できるようになっている。より具体的には、各側板140における下部ローラ102との対向端面は、下部ローラ102の円周の約1/4に相当する曲面にて構成されている。このように球導入通路カバー106は、それぞれ床面上に立設され、通路幅方向に等間隔おきに並設される複数の側板140と、各側板140,140間に配置される底板141と、からなり、下部ローラ102との対向部が湾曲状に凹設される立方体形状に形成されている。
各底板141は、球導入通路123の長手方向に延設される帯板状の板材にて構成され、スノコレール126側端部からアール状通路カバー105側端部に向けて下方に向けて傾斜する平坦な傾斜底面を構成しており、スノコレール126からのパチンコ球を流下によりアール状通路121に誘導するようになっている。
また、通路幅方向の両端の側板140,140の下端からは、球導入通路カバー106をベース板110に固定するための固定片142が外向きに連設されており、該固定片142に形成された取付穴143に固定ネジ(図示略)を挿通してベース板110に螺入することで、ベース板110に固定することができるようになっている。
このように構成された球導入通路カバー106は、左右側の側板140の下端がベース板110上に設置されるようになっており、図7に示されるように、本体100の後面側から、下部ローラ102の下部後面側とベース板110との間の空間に下流側端部(前端部)を差し込み、各側板140における下部ローラ102との対向端面を搬送ベルト103に近接させた状態で配置される。
アール状通路カバー105は、パチンコ球Pの直径L1よりも広い間隔L2,L2’で離間配置され、アール状通路121の側面を形成するとともに、下部ローラ102の回転方向に沿って遊技球を案内するガイド部材としてのガイド板150と、隣り合うガイド板150,150との間にパチンコ球の直径(L1)よりも狭い間隙(S1)を設けて配置され、下部ローラ102に掛け渡された搬送ベルト103に対してパチンコ球を押圧するための押圧面部としての押圧面151aを有する押圧部材としての押圧板151と、から構成されている。ガイド板150は、耐熱性、耐摩耗性に優れるとともに、押圧板151よりも硬度が高いポリカーボネート(例えばロックウェル硬度Mスケール65〜78、Rスケール121〜127)等の合成樹脂材にて板状に構成され、これらガイド板150は、上流側片152、下流側片153、下流側下片154と、中間ガイド片155の一部により互いに一体化されて本体部を構成している。
尚、これら上流側片152、下流側片153、下流側下片154、中間ガイド片155以外の部位は開放されているので、ガイド板150と押圧板151との間の間隙S1に、異物が押圧板151の押圧面151aよりも奥側に押し込まれやすくなっている。
また、本実施例では、ガイド板150及び押圧板151は、上下方向に延在する平板部を全体に有する板材にて構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばガイド板150における下部ローラ102との対向端面近傍や、押圧板151の押圧面151a近傍等の一部のみが平板部にて構成される部材にて構成されていてもよい。
各ガイド板150は、側面視略三角形状に形成され、それぞれベース板110上に縦向きに立設される。下部ローラ102との対向端面は、下部ローラ102の回転軸102aを中心とする円弧状に切り欠かれており、図7に示されるように、搬送ベルト103の外面に近接して配置できるようになっている。より具体的には、各ガイド板150における下部ローラ102との対向端面は、下部ローラ102の円周の約1/4に相当する曲面にて構成されている。このようにアール状通路カバー105は、それぞれ床面上に立設され、通路幅方向に等間隔おきに並設される複数のガイド板150と、各ガイド板150,150間に配置される押圧板151と、からなり、下部ローラ102との対向部が湾曲状に凹設される立方体形状に形成されている。
また、通路幅方向の両端のガイド板150,150の下端からは、アール状通路カバー105をベース板110に取り付けるための取り付け片156が外向きに連設されており、該取り付け片156に形成された取付穴157に取付ネジ158(図13(a)参照)を挿通してベース板110に螺入することで、ベース板110に対して取り外し自在に取り付けできるようになっている。
各ガイド板150の下端面150aにおける上流側(球導入通路カバー106側の下面)には、上流側端部、つまり球導入通路カバー106に向けて上方に傾斜する傾斜面150bが形成されており、後述するように、アール状通路カバー105を取付位置から取り外す際に、上流側端部を下方に傾けることができるようになっている。
また、図10(a)に示されるように、各ガイド板150における上流側は、下流側に比べて厚みが薄い肉薄部159が形成されており、これによりアール状通路121の上流側の幅寸法L2’が下流側の幅寸法L2に比べて広くなっている。具体的には、アール状通路121の下流側の幅寸法L2及び上流側の幅寸法L2’は、パチンコ球Pの直径L1よりも大寸とされている(L1<L2<L2’)。これにより、球導入通路123から流入されたパチンコ球の受け入れ口が広くなるので、接合部における球詰まり等が生じにくく、また、異物が後述する変形許容空間部164から落下されやすくなっている。
上流側片152と下流側片153との対向面及び後述する中間ガイド片155における各ガイド板150間には、各押圧板151を上下方向に抜き差しする(図8参照)ための上下方向を向くガイド溝152a,153a,155aがそれぞれ形成されており、これら押圧板151が挟持されるようになっている。これらガイド溝152a,153a,155aにガイドされた押圧板151は、図11(a)に示されるように、下流側下片154の上端及び中間ガイド片155に形成されたガイド溝155aの下端により下方から受支され、位置決めされるようになっている。
各ガイド板150の下流側端部(上端)の両側面からは、下流側片153の上端に連設される水平方向に延びる水平ガイド片160が通路内に向けて突設されているとともに、これら水平ガイド片160の先端からは、ガイド板150の円弧状端面に沿う円弧状ガイド片161が上流側(下方)に向けて連設されている。また、円弧状ガイド片161の上流側には、円弧状ガイド片161と同曲率の円弧状ガイド片162が各ガイド板150の側面から通路内に向けて突設されており、この円弧状ガイド片162の上流側端部下面からは、前述した中間ガイド片155が下方に向けて垂設されている。これら水平ガイド片160、円弧状ガイド片161、162、中間ガイド片155の対向端面は、互いに押圧板151の肉厚とほぼ同寸法分離間され、これら対向端面間に押圧板151を挿通できるようになっており、該挿通された押圧板151を左右側から挟持してガイドするようになっている。
尚、中間ガイド片155は、上記のように、隣り合うガイド板150,150の対向面間からそれぞれ突設された円弧状ガイド片162,162の上流側端部下面から下方に向けて互いに別個に連設されているが、これらは下部において互いに連結されているため、前述したガイド溝155aは上下方向に延びる有底のガイド溝として形成されているとともに、下部において隣り合うガイド板150,150同士を連結している。
円弧状ガイド片161,162の上面は、押圧板151の端面、つまりアール状通路121の底面よりも若干低い位置に配置され、通過するパチンコ球Pには当接しないようになっており、後述する押圧板151における押圧面151a近傍の側面を、幅方向の左右側から挟持することにより、通路の幅方向の弾性変形が防止されている。
また、円弧状ガイド片161の上流側端部と円弧状ガイド片162の下流側端部との間は所定距離離間されて変形許容空間部163が形成されているとともに、円弧状ガイド片162の上流側端部と上流側片152との間は所定距離離間されて変形許容空間部164が形成されている。つまり、後述する押圧板151の押圧面151aは、これら変形許容空間部163,164の2箇所において容易に弾性変形可能になっている。
各ガイド板150には、後述する押圧板151を保持するための2本の貫通ピン165a,165bが挿通される貫通穴166a,166bが2箇所ずつ形成されており、貫通ピン165a,165bをそれぞれアール状通路121の幅方向のいずれか一方の側方から挿通させることができるようになっている。
このように、ガイド板150と押圧板151は上下方向に延在する平板部を有してなり、これらの平板部に形成した貫通穴166a,166bに貫通ピン165a,165bを挿通させることで、各押圧板151を、複数のガイド板150が一体化されてなる本体部に固定することができるため、ガイド板150に対して押圧板151を簡単に組み付けることができる。
また、上流側片152における球導入通路カバー106との対向面には、球導入通路カバー106の下部空間に差し込まれる差込片167が突設されており、これにより上流側端部が球導入通路カバー106に係止されて浮き上がりが防止されるようになっている。
押圧板151は、図8に示されるように、下部ローラ102との対向端面、つまり、アール状通路121の底面、つまり、パチンコ球が接触(転動または摺動)するとともに、該パチンコ球を搬送ベルト103に向けて押圧する押圧面部を構成する押圧面151aが、下部ローラ102の回転軸102aを中心とする円弧状に切り欠かれてなる側面視略L字形に形成された板状の硬質ウレタン樹脂材にて構成されている。この硬質ウレタン樹脂材は、JIS規格におけるゴム硬度90のものが使用されているが、このゴム硬度は、パチンコ球Pを搬送ベルト103に押圧でき、かつ、後述するように異物による負荷が加わった際に弾性変形しうる程度の硬度であれば、その数値範囲は例えばHS60〜100でもよい。
各押圧板151の下流側端部(上端)には、上方に開口する側面視略U字形の切欠溝168aaが形成されており、これにより押圧面151aにおける下流側端部が外向きに弾性変形しやすくなっているため、アール状通路121における下流側端部、つまり直線状通路115との接合部付近においてパチンコ球に加わる圧力が逃がされるようになっている。
さらに、各押圧板151の上流側端部(下端)には、側方に開口する側面視略U字形の切欠溝168bが形成されており、これにより押圧面151aにおける上流側端部が下向きに弾性変形しやすくなっているため、アール状通路121における上流側端部、つまり流下通路135との接合部付近においてパチンコ球に加わる圧力が逃がされるようになっている。
また、各押圧板151には、各ガイド板150間の定位置に配置された状態において、各ガイド板150に形成された貫通穴166a,166bの軸心と合致して、2本の貫通ピン165a,165bが挿通される貫通穴169a,169bが2箇所ずつ形成されており、貫通ピン165a,165bが挿通されることにより、各ガイド板150間に設けられた定位置(図9参照)から上方への逸脱が規制される。
このように構成されたアール状通路カバー105は、左右側のガイド板150の下端がベース板110上に設置されるようになっており、図7に示されるように、本体100の前面側から、下部ローラ102の下部前面側とベース板110との間の空間に上流側端部(後端部)を差し込み、各ガイド板150における下部ローラ102との対向端面を搬送ベルト103に近接させた状態で配置される。
次に、このように構成されるアール状通路カバー105における作用を、図面に基づいて説明する。
まず、このように構成されるアール状通路カバー105は、図7に示されるように、下部ローラ102の下方前面側に対向して配置されることにより、アール状通路121の上流側端部と下部ローラ102の下方後面側に対向して配置される球導入通路123の下流側端部とが接続され、該球導入通路123から流下するパチンコ球が、下部ローラ102位置における搬送ベルト103の外面と、ガイド板150,150と、押圧板151の押圧面151aとにより囲まれたアール状通路121内に進入するようになる。アール状通路121内に進入したパチンコ球Pは、押圧板151の押圧面151aにより回転する搬送ベルト103に向けて押圧されることで、搬送ベルト103の移動により、図7中矢印方向、つまり、下部ローラ102の最下端部の直下位置から、前面側に向けて該下部ローラ102の外周に沿うように上方に向けて移送されることになる。
このとき、押圧板151が硬質ウレタン樹脂材にて構成されていることで、その押圧板151の端面である押圧面151aによりパチンコ球Pを搬送ベルト103に向けて弾性付勢できるため、押圧板151をガイド板150に対して搬送ベルト103に対して付勢するように設けたり、アール状通路カバー105自体を搬送ベルト103に向けて付勢するように設けなくても、パチンコ球Pに搬送ベルト103方向への付勢力を適宜付与することができるため、パチンコ球を搬送ベルト103に確実に押し当てて移送することができる。
ここで、例えば図12に示されるように、アール状通路121内に、パチンコ球とともに異物であるビスBが進入した場合について説明すると、パチンコ球に押されてアール状通路121内に進入したビスBの一部(例えば頭部)が、ガイド板150と押圧板151との対向面間に形成される間隙S1よりも大きくても、ビスBには、常に搬送ベルト103からの押圧力が働いているため、変形許容空間部164に差し掛かったときに、搬送ベルト103による押圧力によりビスBが押圧板151と左右のうち一方のガイド板150との間に強制的に押し込まれ、これにより押圧板151における押圧面151a及びその近傍部位、つまり押圧面部の少なくとも一部が幅方向に弾性変形することにより、押圧板151と一方のガイド板150との間隙S1が押し広げられて押圧板151とガイド板150との間にビスBが嵌まり込む。
このように、押圧板151と隣り合う左右のガイド板150,150それぞれの間に間隙S1,S1が形成されているとともに、押圧板151が弾性変形自在な硬質ウレタン樹脂材にて構成されていることで、アール状通路121の押圧面部を構成する押圧板151の押圧面151a及びその近傍部位が通路の幅方向に変形可能になっている、つまり隣り合うガイド板150,150間で弾性変形可能に形成されているため、ビスBが変形許容空間部164またはその下流側の変形許容空間部163を通過する際に、押圧板151と一方のガイド板150との間がビスBにより押し広げられてそれらの間に嵌まり込みやすい。すなわち、押圧板151の通路幅方向の両側にそれぞれ間隙S1,S1が形成されていることで、押圧板151がいずれかのガイド板150側に押し広げられることが許容されているため、押圧板151を境にしてビスBが嵌り込む側の間隙S1は通路幅方向に押し広げられ、他方の間隙S1は通路幅方向に狭まることになるため、ガイド板150と押圧板151との対向面間に形成される間隙S1よりも大きい部位を有するビスB等の異物が進入した場合でも、異物がパチンコ球Pとともに移送されることが効果的に防止される。
尚、上流側の変形許容空間部164においては、アール状通路121内に流入したパチンコ球を搬送ベルト103に向けて押圧する最初の部分なので、異物が間隙S1に押し込まれやすく、また、下流側の変形許容空間部163においては、アール状通路121内においてパチンコ球の上方への揚送が開始されるため、パチンコ球を搬送ベルト103に向けて押圧する力が高い部分なので、異物が間隙S1に押し込まれやすくなっている。
また、押圧板151は弾性変形部材にて構成されていることで、ビスBにより強制的に変形された後、その弾性復帰力が働くことで、嵌まり込んだビスBが押圧板151とガイド板150との間に挟まれて抜けにくくなることで、後続のパチンコ球により押されても、該後続のパチンコ球とともに揚送されにくくなる。よって、異物をアール状通路121にて滞留させることができるため、搬送ベルト103の破損や、パチンコ機2へのパチンコ球の補給や遊技島台内におけるパチンコ球の循環に支障をきたすことが防止される。
また、押圧板151がガイド板150と同様にポリカーボネート樹脂材等により構成されている場合に比べて、押圧板151の押圧面151a及びその近傍部位の側面の摩擦係数が高く、間隙S1に向けて押し込まれた異物がより引っ掛かりやすくなる。
次に、上記のように、アール状通路121内で球詰まりが生じた場合や、定期的なメンテナンス作業を行う際における、アール状通路カバー105の取り外し状況を説明する。
まず、上記のように、複数列のうちいずれかのアール状通路121内で球詰まりが生じた場合、まず本体100の直線状通路カバー104を開放し、清浄布116の内面に付着した上下方向に延びる筋状の汚れ(図示略)を確認する。これら筋状の汚れは、各直線状通路115に対応して生じるものであるため、正常に清浄が行われている場合は、7本の通路に対応して7列の筋状の汚れが生じるが、例えば上記のように、アール状通路121において異物が嵌まり込んで球詰まりが生じると、その列の筋状の汚れのみが他に比べて薄くなるため、これにより球詰まりが生じていることを認識することができる。
そしてアール状通路カバー105を取付位置から取り外す場合、図13(a)に示されるように、まず左右の取付ネジ158を取り外す。そして、図13(b)に示されるように、アール状通路カバー105における上流側を若干下方(図13(b)中白矢印方向)に傾けた状態で、ベース板110の上面を手前側(図13(b)中2点鎖線矢印方向、下部ローラ102の軸心方向(回転軸102aの長手方向)に交差する方向)に向けてスライド移動させて引き出せばよい。
このように、下部ローラ102の下方に対向して配置されていても、球導入通路カバー106を取り外すことなく、ベース板110の上面を手前側に向けてスライドさせるように引き出すだけで簡単にベース板110から取り外すことができる。この際、ガイド板150の下端面150aの上流側(球導入通路カバー106側)に傾斜面150bが形成されていることで、アール状通路カバー105を傾けることができるため、パチンコ球Pがアール状通路121内に残存している状態であっても、ガイド板150を搬送ベルト103と干渉させることなく、スムーズに引き出すことができる。
以上説明したように、本発明の実施例としての揚送装置25にあっては、アール状通路121内に進入した釘やボルト等の異物の一部がガイド板150と押圧板151との間の間隙S1よりも大きい場合でも、押圧板151の押圧面部を構成する押圧面151a及びその近傍部位が弾性変形することにより、異物がガイド板150と押圧板151との間の間隙S1に嵌りやすくなるとともに、間隙S1に嵌った異物は押圧板151の弾性復帰力によりガイド板150と押圧板151との間に挟まれて抜けにくくなることで、後続のパチンコ球Pにより押されても、該後続球とともに揚送されにくくなる。よって、異物をアール状通路121にて滞留させることができるため、搬送ベルト103の破損や、パチンコ機2へのパチンコ球Pの補給に支障をきたすことが防止される。
また、本実施例では、押圧板151の押圧面151aは、アール状通路121の長手方向における変形許容空間部163,164でのみ部分的に変形可能に設けることにより、押圧板151の過剰な変形を防止しているが、押圧板151の硬度等に応じて、アール状通路121の全長にわたり変形可能に設けてもよい。
また、特にアール状通路121にパチンコ球を誘導する球導入通路123においては、スノコレール126のように異物が落下可能に構成せず、通路底面を底板141にて構成して、下流側のアール状通路121に異物を送り込むようにすることで、ベース板110に固定される球導入通路カバー106内の球導入通路123にて異物が嵌り込み、取り出せなくなることが防止される。
次に、図14〜図19にもとづいて、上部クランプ装置300の詳細な構造について説明する。図14は、(a)は上部クランプ装置を左斜め上方から見た状態を示す斜視図であり、(b)は上部クランプ装置を左斜め下方から見た状態を示す斜視図である。図15は、上部クランプ装置を示す分解斜視図である。図16は、(a)はスライド部材が挟持位置に位置している状態を示す縦断面図であり、(b)はスライド部材が退避位置に位置している状態を示す縦断面図である。図17は、スライド部材が退避位置に保持されている状態を示す縦断面図である。図18は、(a)は清浄布を引き出している状態を示す縦断面図であり、(b)は清浄布が挟持されている状態を示す縦断面図である。図19は、清浄布を挟持する状況を説明するための要部拡大概略図である。尚、以下の説明において、図16〜図19の紙面左側を上部クランプ装置300の上側、紙面右側を上部クランプ装置300の下側、紙面上側を上部クランプ装置300の前側、紙面下側を上部クランプ装置300の後側として説明する。
図14及び図15に示すように、上部クランプ装置300は、直線状通路カバー104の外面上部に固定される金属製のベース部材301と、ベース部材301に対してスライド移動可能に支持される金属製のスライド部材302と、スライド部材302を清浄布116を挟持する挟持位置に向けて付勢する付勢手段としての左右一対の引張りバネ303,303と、から主に構成されている。
ベース部材301は、直線状通路カバー104の外面に配置される平面視略長方形状をなすベース板301aと、ベース板301aの左右側辺から手前側に屈曲形成される側板301b,301bと、から上面視コ字形に構成され、これら両側板301b,301b間に清浄布116を上部側から下部側に向けて引き出し可能に設けることができるようになっている。これら両側板301b,301b間の幅寸法は、清浄布116の幅寸法よりも若干大寸とされており、清浄布116の左右側辺をガイドする機能を有している。また、ベース板301aの四隅には固定孔304が形成されており、各固定孔304に前面側から固定ネジ305を取り付けて直線状通路カバー104の外面に止着することで、直線状通路カバー104の外面に固定される。
両側板301b,301bの上部間には、円柱状のガイド棒306がベース板301aから離間した位置に架設されており、ベース板301aとガイド棒306との間に清浄布116を挿通できるようになっている。ベース板301aにおけるガイド棒306よりもやや下方位置には、ベース板301aの一部を幅方向に切り欠いて前面側に向けて屈曲形成された傾斜板307が形成されている。傾斜板307は、上部側から下部側に向けて上方に傾斜するように形成され、ベース板301aに対して約45度傾斜している(図16参照)とともに、その下部側面にはゴム板308が幅方向に向けて設けられている。
両側板301b,301bにおける傾斜板307よりも下部側には、スライド部材302をベース部材301の上下方向に向けてスライド移動可能にガイドするための長穴状のガイド溝309a,309bがそれぞれ上下方向に向けて延設されている。ガイド溝309bは側面視略L字形に形成されており、スライド部材302を退避位置にて係止(保持)するための係止段部309cが形成されている。また、側板301b,301bの前端辺におけるガイド溝309aの近傍位置には、引張りバネ303の上端を係止する係止穴310aを有する係止片310,310が内向きに屈曲形成されている。
スライド部材302は、平面視略長方形状をなすスライド板302aと、スライド板302aの左右側辺から手前側に屈曲形成される側板302b,302bと、スライド板302aの下辺から手前側に屈曲形成される下板302cと、スライド板302aの上辺から手前側に屈曲形成される傾斜板302dと、から構成され、ベース部材301のベース板301aの前面側に、該ベース板301aの前面とスライド板302aの後面との間に清浄布116を挿通可能な空間S(図16参照)が形成されるように、上下方向にスライド移動可能に設けられる。
スライド板302aには、前後方向に貫通する3つの丸穴311が左右方向に並設されているとともに、スライド板302aの下部から下板302cにかけて開口312が形成されており、これら丸穴311及び開口312により、スライド板302aの後面側に挿通される清浄布116を、スライド部材302の前面側から視認、かつ指触可能とされ、清浄布116の捩れの確認や、スライド部材302の上部側から下部側への挿通作業を容易に行うことができるようになっているとともに、スライド部材302の軽量化が図られている。
下板302cにおける開口312の左右側には、上端がベース部材301側に係止された引張りバネ303,303の下端を係止可能な係止穴313,313が形成され、スライド部材302がフリーな状態において、傾斜板302dの先端辺に長手方向にわたり形成される刃部314がベース部材301のゴム板308の挟持部308aに向けて常時付勢されるようになっている。
左右の側板302b,302bの外面には、ガイド溝309a内に挿通されるガイドピン315aが取り付けられるネジ穴316aが形成されているとともに、その下方には、ガイド溝309b内に挿通されるガイドピン315bが取り付けられるネジ穴316bが形成されている。
これらガイドピン315a,315bは、図15中拡大図に示すように、ネジ穴316a,316bに螺入されるネジ部317aと、該ネジ部317aよりも大径であり、ガイド溝309a,309b内に摺動自在に挿通される円筒部317bと、該円筒部317bよりも大径であり、側板301bの外面に配置される頭部317cと、から構成されている。そしてガイドピン315a,315bをそれぞれ側板301bの外側からガイド溝309a,309bにそれぞれ挿通してネジ穴316a,316bに止着することで、スライド部材302は、ベース部材301に対して、ベース板301aに沿って上下方向にスライド移動可能に支持される。
傾斜板302dは、上部側に向けて上方に傾斜するように形成され、スライド板302aに対して約45度傾斜している(図16参照)。該傾斜板302dの先端縁部には、三角形状の凹凸部からなる刃部314が幅方向に向けて形成されており、清浄布116に食い込みやすくなっている。
次に、このように構成された上部クランプ装置300の動作状況を、図16〜図19にもとづいて説明する。
図16(a)には、スライド部材302がフリーな状態が示されている。この状態においてスライド部材302は、引張りバネ303により上部側に向けて付勢されることにより、傾斜板302dの刃部314がゴム板308に当接して押圧される挟持位置に位置する。
図16(b)には、スライド部材302を引張りバネ303の付勢力に抗して下部側に引張った状態が示されている。この状態においてスライド部材302は、傾斜板302dの刃部314がゴム板308から下部側に向けて退避して離間する退避位置に位置する。また、この退避位置においてスライド部材302を手離すと、引張りバネ303により上部側に向けて付勢されて挟持位置まで移動される。
図17には、スライド部材302を引張りバネ303の付勢力に抗して下部側に引張って退避位置まで移動させ、ガイドピン315bを係止段部309cに係止させた状態が示されている。この状態においてスライド部材302は、ガイドピン315bが係止段部309cに係止されることで、スライド部材302を手離しても、引張りバネ303により上部側に向けて移動されることがない保持位置に維持される。このようにガイドピン315bを係止段部309cに係止させることにより、引張りバネ303により刃部314とゴム板308との間を広げた状態に維持することができ、これにより後述するように刃部314とゴム板308との間に清浄布116を簡単に抜き差しすることができるため、清浄布116の引き出しや交換作業を容易に行うことができる。
また、引張りバネ303の上端を係止する係止穴310aは、下端を係止する係止穴313よりも前面側に配置されていることで、スライド部材302の下部を上部側だけでなく前部側に向けて付勢する力も働くことで、ガイドピン315bが係止段部309cに係止された状態が維持される。
次に、下部クランプ装置400を、図20にもとづいて簡単に説明する。図20は、(a)は下部クランプ装置が開放状態である状況を示す斜視図であり、(b)は下部クランプ装置が挟持状態である状況を示す斜視図である。
下部クランプ装置400は、直線状通路カバー104の前面下部に固着される幅方向に延びるゴム板401と、直線状通路カバー104の左右側面におけるゴム板401の左右側に一部が前面から突出するように取り付けられる取付片403,404と、取付片404の前部に開閉可能に支持される挟持部材402と、から構成される。
挟持部材402は、横長帯状をなす前板402aと、前板402aの上下辺から直線状通路カバー104の前面に向けて屈曲される挟持片402b,402bと、から縦断面略コ字形に形成され、右側辺が蝶番405を介して取付片404の前部に取り付けられている。前板402aには丸穴406が形成されており、この前板402aとゴム板401との間に挿通される清浄布116を、前板402aの前面側から視認、かつ指触可能とされ、清浄布116の捩れの確認や、清浄布116の挿通作業を容易に行うことができるようになっている。
前板402aの後面左側には、取付片403に形成された係止穴407に係脱可能なロック片408が左右方向にスライド移動可能に支持されている。ロック片408の左端部は、前板402aの左辺から後面に向けて屈曲される左片402cに形成された挿通口409に対して出退可能に設けられており、一端が前板402aに取り付けられたコイルバネ411により常時挿通口409からロック片408の左端部を突出させる方向に付勢されている。
また、ロック片408の前面には、前板402aに形成されたガイド溝410から前側に臨む操作片408aが突設されており、操作片408aを摘んでコイルバネ411の付勢力に抗して右側に移動させることができるようになっているとともに、ガイド溝410に形成された係止段部(図示略)に操作片408aの基部を係止することで、ロック片408の左端部を挿通口409の内側に退避させた退避位置にて保持できるようになっている。また、挟持片402b,402bの先端縁部には、三角形状の凹凸部からなる刃部412,412が幅方向に向けて形成されており、清浄布116に食い込みやすくなっている。
次に、清浄布116を直線状通路カバー104の内面側に張設する手順を説明する。
清浄布116を直線状通路カバー104の内面側に張設するには、まず、球流入口122からのパチンコ球の流入を規制した状態で搬送ベルト103を回転させて直線状通路115内に残留しているパチンコ球を全て揚送して排出した状態で、図4(a)に示すように、直線状通路カバー104を開放する。そして、長尺の清浄布116の一端を、直線状通路カバー104の内面側から上端部に引っ掛けて、該上端部から外向きに引き出し、該引き出した清浄布116の一端を下方に向けて折返し、上部クランプ装置300の上部側から下部側に向けて挿通する。
詳しくは、図16(a)に示すように、挟持位置に位置しているスライド部材302を下部側の退避位置に向けて引張り保持位置に位置させる(図17参照)。そして、ベース部材301の上部側に臨ませた清浄布116の一端を、ガイド棒306とベース板301a及び傾斜板307との間に上部側から差し込んで前面側に引き出し、さらに刃部314とゴム板308との間に図17中白矢印方向に挿入し、ベース板301aの前面とスライド板302aの後面との間に形成された空間S内に挿通した後、下部側から引き出す(図18(a)参照)。
尚、清浄布116を最初に敷設する際においては、後述するように清浄布116に張力を付与するために、上部クランプ装置300の下部側から清浄布116を引張らなくてはならないため、所定寸法の清浄布116を余剰部Zとして予め下方に延出させておくことが好ましい。
このように、ベース部材301の上部側から挿通した清浄布116を、刃部314とゴム板308との間に挿通して下部側から引き出す作業を、スライド部材302を引張りバネ303の付勢力に抗して下部側に引張ったままでなく、ガイドピン315bを係止段部309cに係止させてスライド部材302を退避位置に保持し、刃部314とゴム板308との間を広げた状態で行うことができることため、作業性が向上する。
次いで、上部クランプ装置300の下部側から清浄布116の一端を下方に引き出した状態で、スライド部材302の下部を後面側に向けて押し込み、係止段部309cとガイドピン315bとの係止状態を解除させる。これにより、スライド部材302が、引張りバネ303の付勢力により保持位置から挟持位置までスライド移動し、刃部314がゴム板308に向けて押圧されることにより、清浄布116がゴム板308と刃部314との間に挟持される。また、刃部314は、挟持位置において清浄布116をゴム板308との間で挟持した状態においても常時引張りバネ303の付勢力により付勢されるので、挟持力が弱まることがない。
清浄布116の一端を上部クランプ装置300により仮挟持した状態で、直線状通路カバー104の内面側に敷設された清浄布116の下部を直線状通路カバー104の下端部にて外向きに折返す。ここで、図20(a)に示すように、下部クランプ装置400の挟持部材402を開放し、ロック片408を係止段部(図示略)に係止した状態(退避位置に保持した状態)で、ゴム板401の前面下部側から上部側に向けて清浄布116を敷設する。そして、ロック片408の係止段部(図示略)との係止状態を解除し、挟持部材402を閉鎖位置まで回転させて、左端部を取付片403に向けて押し込む。これによりロック片408の先端が係止穴407内に挿通して係止されると、ゴム板401と刃部412との間で清浄布116が強固に挟持され、下方に向けて引き出し不能となる。
このように、直線状通路カバー104の上端部にて外向きに折返され、直線状通路カバー104の外面に沿って下方に引き出された清浄布116の上部を上部クランプ装置300にて挟持するとともに、直線状通路カバー104の下端部にて外向きに折返されて上方に引き出された清浄布116の下部を下部クランプ装置400にて挟持した状態において、直線状通路カバー104の内面側、つまり清浄部に敷設された清浄布116に張力を付与するには、直線状通路カバー104を閉塞した後(開放したままでもよい)、上部クランプ装置300の下部側から下方に延出させた余剰部Zを下方に向けて引張り、張力を付与する。
尚、本実施例では、清浄布116の一端を上部クランプ装置300にて挟持した後、清浄部の下部から引き出した清浄布116の下部を下部クランプ装置400にて挟持していた、つまり新規な清浄布116を清浄部の下部側から引き出すようにしていたが、清浄布116の一端を下部クランプ装置400にて挟持した後、清浄部の上部から引き出した清浄布116の上部を上部クランプ装置300にて挟持する、つまり新規な清浄布116を清浄部の上部側から引き出すようにしてもよい。
ここで、清浄布116に張力を付与する際における上部クランプ装置300の作用について、図18及び図19にもとづいて説明する。
図18(b)には、上部クランプ装置300の上部側から下部側に向けて挿通された清浄布116の所定箇所が刃部314とゴム板308との間に挟持されている状態が示されている。尚、この状態において、前述したように清浄布116の下部は下部クランプ装置400にて挟持されている。また、直線状通路カバー104の内面においてパチンコ球に当接して清浄する清浄面116aは前面側を向いている。ここで、ベース部材301の下部側から下方に延出されている清浄布116の余剰部Zを下方に向けて引張ると、スライド部材302が清浄布116により下方に向けて押し戻され、引張りバネ303の付勢力に抗して退避位置に向けて移動する(図18(a)参照)。
具体的に説明すると、図18に示すように、傾斜板307の先端部307aは、ガイド棒306の後面及びスライド板302aの後面よりも前面側(図中上側)に配置されている、つまりベース板301aから離れた位置に配置されていることにより、ガイド棒306とベース板301aとの間に上部側から挿通された清浄布116は、傾斜板307の先端部307aに乗り上がった後、スライド板302aの後面に挿通されるため、清浄布116における傾斜板307の配置位置は側面視で前面側に向けて略「へ」の字形に屈曲する。
つまり、特に図19(a)に示すように、スライド部材302は、清浄布116の余剰部Zを下方に引張ることにより、先端部307aと屈曲部302eとの間に斜め前後方向に向けて張設された清浄布116の清浄面116aにより、引張りバネ303の付勢力に抗して下部側(退避位置)に向けて押し出され、ゴム板308から刃部314が離間して挟持状態が解除されるため、清浄布116の余剰部Zを下方に引張るだけで清浄布116に張力を付与することができる。
また、傾斜板302dがスライド板302aに対して傾斜していることで、図19(a)に示すようにスライド部材302が退避位置に位置している状態において、傾斜板302dと清浄面116aとの対向面同士が離間され、刃部314が清浄布116から強制的に引き離されるため、刃部314が清浄布116に食い込んで該清浄布116を下方に引き出す際に抵抗がかかることが回避される。
このように傾斜板302dは、少なくとも退避位置において、先端部307aと屈曲部302eとの間に斜め前後方向に向けて張設された清浄布116の清浄面116aから刃部314が離れるようにスライド板302aに対して傾斜してればよく、スライド板302aに対する傾斜角度は任意である。
次に、上記のように余剰部Zを下方に引張って張力を付与した状態で、余剰部Zを手放すと、清浄布116の清浄面116aにより退避位置側に向けて押し出されていたスライド部材302がフリーとなり、引張りバネ303の付勢力により挟持位置に向けて付勢されてスライド移動する(図18(b)参照)。
このとき、特にスライド部材302が挟持位置に向けて瞬時に移動することにより、清浄布116の清浄面116aに傾斜板302dが当接する(図19(b)参照)。さらに、清浄布116の清浄面116aが傾斜板302dにより挟持位置側に向けて押し出され、刃部314が先端部307aの後面側位置にて該先端部307aよりも上部側に移動する、つまり傾斜板307の後面側に入り込むことで、清浄布116は先端部307aを支点として上部側に折返されるとともに、折返された清浄布116の清浄面116aが刃部314に接触することにより摩擦抵抗が増大し(図19(c)参照)、先端部307aにて折返された清浄布116が該先端部307aよりも上部側に向けて引き込まれる。そして刃部314がゴム板308に当接する挟持位置において、清浄布116がゴム板308と刃部314との間に挟持される(図19(d)参照)。
このように、図19(a)の状態から余剰部Zを手放すことで、下方に向けて引張られていた清浄布116が復帰力にて上部側に向けて引き戻されると同時に、スライド部材302が瞬時に挟持位置までスライド移動して清浄布116をゴム板308との間で挟持するため、清浄布116の張力がほぼ維持された状態で、弛む前に挟持位置にて挟持される。
特に図19に示すように、清浄布116を挟持するゴム板308において刃部314が当接する挟持部308aは、先端部307aよりも上部側に配置されていることで、上部側に向けて復帰しようとする清浄布116を先端部307aを支点として上部側に引き込み、刃部314が先端部307aよりも上部側に入り込んで挟持するため、刃部314が挟持位置に到達するまでの間に清浄布116が弛んで、張力が大きく減衰することが防止される。
また、挟持部308aが設けられるゴム板308は、スライド部材302の移動方向に対して、上部側に向けて後面側に傾斜する傾斜板307の内面側に設けられているため、刃部314が挟持部308aに当接した後、変形自在なゴム板308に押し込まれることで、先端部307aを支点として折返した清浄布116を上部側に向けて引き込む作用が働くため、挟持した状態で清浄布116に張力が付与されることになる。
また、刃部314は、挟持部308aに対して直交するように、スライド部材302の移動方向に対して上部側に向けて前面側に傾斜する傾斜板302dの先端に形成されているため、挟持部308aに対して刃部314における各凸部の頂辺が線接触するため、清浄布116に対する摩擦抵抗が増大する。
また、さらに張力を高めたい場合は、図19(d)の状態から、さらに余剰部Zを掴んで下方に向けて引張ればよい。すると、前述したように先端部307aにて上部側に折返された清浄布116の清浄面116aにより刃部314が下部側に向けて押し出され、図19(c)、(b)、(a)の順にスライド部材302が引張りバネ303の付勢力に抗して退避位置に向けて押し戻され、挟持状態が解除されるため、余剰部Zを下方に向けて引張ってさらに張力を付与することができる。そして適当な張力を付与している状態で余剰部Zを手放すと、再度スライド部材302が挟持位置に向けて付勢されて清浄布116を挟持する。
また、図19(c)に示すように、先端部307aにて上部側に折返された清浄布116の清浄面116aにより刃部314が下部側に向けて押し出されて挟持部308aから離れた直後においては、傾斜板302dにおける清浄面116aとの対向面は該清浄面116aに対して当接しているものの、刃部314における各凸部の頂辺は清浄面116aから直ちに離れる。すなわち、刃部314における挟持面(傾斜板302dの先端面)が挟持部308aに対して平行に設けられていることで、清浄布116が下部側に引き出されるのに伴い、先端部307aを支点とした清浄面116aの傾きが逆向きに変化して刃部314における挟持面の傾きと異なってくる。よって、退避位置まで移動する前において刃部314の挟持面は清浄面116aから離れるので、清浄布116を引き出しやすくなる。
このように、余剰部Zを下方に向けて引張った後に手放すという作業を繰り返し行うことで、清浄布116の張力を一度に高めるのではなく徐々に高めていくことができるので、例えばスライド部材302を引張りバネ303の付勢力に抗して下部側に引張りながら余剰部Zを引張らなくても済むため、使用により清浄布116の張力が低下しても、簡単な操作でこまめに張力を高めることが可能となる。
特に本実施例では、清浄布116を敷設して揚送装置25を駆動すると、搬送ベルト103により揚送されるパチンコ球Pにより、下部が下部クランプ装置400にて保持された清浄布116が上方に向けて引張られる。よって、清浄布116が伸張するなどして使用により張力が徐々に弱まると考えられるため、遊技店の営業終了後など、張力を頻繁に付与する必要があるが、上記のように清浄布116を下方に引張るだけでよいため、誰でも簡単に張力を付与することができる。
また、清浄部に敷設された清浄布116の清浄面116aに汚れが生じた場合には、使用済みの清浄面116aを直線状通路カバー104の上部から引き出して、新規な清浄面116aを清浄部まで引き出してやればよい。
この場合、直線状通路カバー104を開放せずに閉塞したまま、下部クランプ装置300の挟持部材402を開放して挟持状態を解除し、この状態で上部クランプ装置400の下部側から下方に延出している余剰部Zを下方に向けて手繰る。そして、清浄面116aは前面側に向けて配設されているため、直線状通路カバー104の上端部を視認しながら余剰部Zを下方に手繰り、直線状通路カバー104の上端部において汚れのない新規の清浄面116aが引き出されてきたら余剰部Zを手放す。そして下部クランプ装置400の挟持部材402を閉塞して挟持状態とした後、上部クランプ装置300の下部側から下方に延出している余剰部Zを下方に向けて引張り、張力が付与された状態で余剰部Zを手放せば、清浄布116の上部が上部クランプ装置400により挟持され、新規な清浄面116aが清浄部に張設される。
以上説明してきたように、本発明の実施例としての上部クランプ装置300は、直線状通路カバー104の外面から離れた位置に設けられる固定部としての傾斜板307の先端部307aと、先端部307aと直線状通路カバー104の上端部との間で、該先端部307aに対して前後方向にずれた位置に配設される第1挟持部としての傾斜板307に固着されたゴム板308の挟持部308aと、挟持部308aとの間で清浄布116を挟持する挟持位置と、該挟持位置から下方に退避した退避位置と、の間で直線状通路カバー104の外面に沿ってスライド移動可能に配設された第2挟持部としての傾斜板302dの刃部314と、挟持部308aを上方に付勢する付勢手段としての引張りバネ303と、を備え、直線状通路カバー104の上端部から折返された清浄布116を、先端部307aにて上方に折返し可能に掛け渡し、挟持部308aと刃部314との間を挿通して刃部314よりも下方に引き出し可能に構成され、引張りバネ303により刃部314が退避位置から挟持位置に向けて付勢されることで、清浄布116が挟持部308aとの間で挟持されるとともに該清浄布116に対して張力が付与され、清浄布116を下方に引き出すことにより、刃部314が該清浄布116に押圧されて引張りバネ303の付勢力に抗して挟持位置から退避位置まで移動され、該清浄布116の挟持が解除されるように構成されている。
このように清浄部の上部から下部側に向けて引き出された清浄布116は、先端部307aにて上部側に折返されて第1挟持部である挟持部308aと第2挟持部である刃部314との間を挿通し、略Z字状に蛇行して下部側に引き出される。この状態で清浄布116を下部側に向けて引き出すと、先端部307aにて上部側に折返された清浄布116が該先端部307aを支点として下部側に引き出され、清浄面116aにより刃部314が引張りバネ303の付勢力に抗して下部側に戻されるため、清浄布116を引き出すだけで挟持状態が簡単に解除される。また、余剰部Zを手放すと、引張りバネ303により挟持位置に向けて付勢される刃部314が、清浄布116を上部側に押し出しながら挟持部308aに押圧されて挟持するため、清浄布116を引き出すだけの簡単な作業を繰り返すだけで張力を徐々に高めていくことができる。
また、上部クランプ装置300にあっては、ガイド棒306、傾斜板307及び先端部307a、傾斜板302d、スライド板302aにおける清浄布116との摺接面は金属板の表面にて構成され、少なくとも刃部314やゴム板308の滑り止め部よりも摩擦抵抗が小さい滑り部にて構成されているため、清浄布116に張力を付与するために余剰部Zを下方に向けて引張りやすいとともに、清浄布116と接触して該清浄布116を損傷させることがない。
また、ベース部材301やスライド部材302は、金属板を折り曲げ加工することにより、前後幅が肉薄の平板状に形成されているため、直線状通路カバー104の外面から手前側に大きく突出することがないので、揚送装置25を遊技機設置島1内の狭いスペースに設置する際に邪魔になることがない。
図21は、本発明の変形例としての上部クランプ装置300’の構成を示す概略図が示されている。
本実施例では、清浄布116は、ゴム板308が設けられる傾斜板307の先端部307aにて上部側に折返されるようになっていたが、図21の変形例としての上部クランプ装置300’のように、挟持部308aを有するゴム板308と固定部を構成する先端部307aとは別部材にて構成されていてもよい。
また、上部クランプ装置300は、先端部307aよりもベース板301a側(後面側)にゴム板308及び刃部314が配置され、清浄布116をベース板301a側に向けて折返していたが、先端部307aをゴム板308及び刃部314よりもベース板301a側に配置する、つまり図21に示すように、先端部307aに対するゴム板308及び刃部314の前後方向の配置位置を反対にしてもよい。
また、挟持部308aを有するゴム板308は、スライド部材302の移動方向に対して傾斜して設けられていたが、スライド移動方向に対して直交する向きで配置されていてもよい。
また、刃部314はスライド板302aに対して傾斜する傾斜板302dの先端に形成されていたが、スライド板302aの上端縁部に形成されていてもよい。
このように構成される変形例としての上部クランプ装置300’にあっても、上部クランプ装置300と同様の作用・効果を奏する。
また、上部クランプ装置300,300’にあっては、第1挟持部はゴム板308にて構成され、第2挟持部は刃部314にて構成されていたが、清浄布116との摩擦抵抗を増大させることができれば、これらゴムや刃部に限定されるものではない。
また、本実施例及び変形例では、上部クランプ装置300は、直線状通路カバー104の上端部にて折返された清浄布116の上部のみを保持するためだけに設けられ、下部は別個の下部クランプ装置400にて保持していたが、直線状通路カバー104の下端部にて折返された清浄布116の下部も上部クランプ装置300にて保持するようにしてもよい。尚この場合、上部クランプ装置300を上下反転した向きで使用することになる。
すなわち、下部クランプ装置は、直線状通路カバー104の外面から離れた位置に設けられる固定部としての傾斜板307の先端部307aと、先端部307aと直線状通路カバー104の下端部との間で、該先端部307aに対して前後方向にずれた位置に配設される第1挟持部としての傾斜板307に固着されたゴム板308の挟持部308aと、該挟持部308aとの間で清浄布116を挟持する挟持位置と該挟持位置から上方に退避した退避位置との間で直線状通路カバー104の外面に沿ってスライド移動可能に配設された第2挟持部としての傾斜板302dの刃部314と、挟持部308aを下方に付勢する付勢手段としての引張りバネ303と、を備え、直線状通路カバー104の下端部から折返された清浄布116を、先端部307aにて下方に折返し可能に掛け渡し、挟持部308aと刃部314との間を挿通して刃部314よりも上方に引き出し可能に構成され、引張りバネ303により刃部314が退避位置から挟持位置に向けて付勢されることで、清浄布116が挟持部308aとの間で挟持されるとともに該清浄布116に対して張力が付与され、清浄布116を上方に引き出すことにより、刃部314が該清浄布116に押圧されて引張りバネ303の付勢力に抗して挟持位置から退避位置まで移動され、該清浄布116の挟持が解除されるように構成される。
また、本実施例及び変形例では、直線状通路115を移送するパチンコ球に接するように該パチンコ球の移送方向に張設された清浄布116は、直線状通路115を被覆する直線状通路カバー104の上端部及び下端部から外側に引き出され、該直線状通路カバー104の外面に沿って折返されていたが、必ずしも直線状通路カバー104の上端部及び下端部から外側に引き出されなくても、例えば直線状通路カバー104における上端部と下端部との間に形成した上下一対のスリット等からそれぞれ外側に引き出し可能に設けてもよい。
また、本実施例及び変形例では、上部クランプ装置300及び下部クランプ装置400は直線状通路カバー104の外面上下位置に配設されていたが、本体100における直線状通路カバー104よりも上方及び下方位置に配設してもよく、直線状通路カバー104に配設されるものに限定されない。
また、本実施例及び変形例では、ゴム板308を有する傾斜板307、先端部307aはベース部材301に設けられ、刃部314はスライド部材302に設けられていたが、これらを本体100に直接配設してもよい。
また、本実施例及び変形例では、ゴム板308を有する傾斜板307はベース部材301に固設されていたが、少なくとも先端部307aのみがベース部材301に固設され、かつ、傾斜板307及びゴム板308が先端部307aよりも上部側に配置されていれば、例えば刃部314により押圧されたときに傾斜板307及びゴム板308が上部側及び下部側に向けて移動するようにしてもよい。
また、本実施例では、本発明の移送装置の一例として、上下(垂直)方向に延びる本体100の下部から上部に向けて遊技球を揚送する揚送装置25が適用されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、本体100の移送面に流入する遊技球を移送手段により移送して本体100から排出する移送装置であれば、必ずしも上下(垂直)方向に延びる本体の上部から下部に向けて遊技球を揚送するものではなく、例えば、斜め上下方向や、水平(横)方向に延設された本体100の一端側から流入する遊技球を移送手段により水平(横)方向に移送して該本体100の他端側から排出する移送装置にも適用可能である。
また、本実施例及び変形例では、本体100の上下に設けられた上部ローラ101と下部ローラ102とに掛け渡され、上部ローラ101及び下部ローラ102の回転により周回する搬送ベルト103と、下部ローラ102を駆動させる揚送モータ80と、を備え、揚送モータ80を駆動して下部ローラ102を回転させることにより回転駆動する移送手段の一例としての搬送ベルト103にパチンコ球を押し当てて揚送(移送)する揚送装置25が適用されていたが、例えば直線状通路115の下部に設けた駆動スプロケット(図示略)等を回転駆動することによりパチンコ球を揚送する揚送装置としてもよく、この場合、例えばパイプ管等により形成した直線状通路115の側面に開口を形成し、該開口を介して直線状通路115に沿って張設した清浄布116にパチンコ球を当接させて清浄するようにすればよい。
次に、搬送ベルト103が掛け渡される上部ローラ101、下部ローラ102、従動ローラ107,109、テンションローラ108の軸受構造について、図22〜図28にもとづいて説明する。図22は、揚送装置の上内部を後下側から見た状態示す斜視図である。図23は、揚送装置の上内部を示す左側面図である。図24は、(a)は上部ローラが最上位置に配置された状態を示す後面図であり、(b)は中間位置に配置された状態を示す後面図であり、(c)は最下位位置に配置された状態を示す後面図である。図25は、揚送装置の下部を後左側から見た状態を示す斜視図である。図26は、揚送装置の下部を示す左側面図である。図27は、(a)は図26のH−H断面図であり、(b)は図26のJ−J断面図である。図28は、揚送装置の下部を示す後面図である。
搬送ベルト103は、例えば劣化や異物等による損傷により交換することがあるため、本体100からの取り外しや、ローラに対する当接位置や張力の調整が可能とされている。以下、各ローラの詳細な構造について説明する。
図22及び図23に示すように、上部ローラ101は、左右方向を向く回転軸101a周りに回動自在に本体100の上端部に配設されている(図5参照)。詳しくは、上部ローラ101の左右側に突出する回転軸101aの左右端部は、本体100の内に配設されている筒体100a内に上下方向に移動可能に支持された可動軸支部材500に軸支されている。可動軸支部材500の下部には、後述するカム503に当接するガイドローラ502が、前後方向を向く回動軸501周りに回動自在に設けられている。また、可動軸支部材500の後面には、筒体100aの前面板に形成された上下方向を向くU字溝に挿通される固定ボルト507が取り付けられている。
筒体100a内における可動軸支部材500の下方位置には固定板504が固設されており、該固定板504の後面側には、可動軸支部材500を昇降させるためのカム503が、前後方向を向く偏心軸505周りに偏心回動自在に取り付けられている。
カム503の周面上部には、上方に配置されるガイドローラ502の周面下部が当接可能に配置されており、上部ローラ101及び可動軸支部材500がカム503を介して固定板504にて下方から受支されるようになっている。カム503は、ガイドローラ502の肉厚よりも肉薄の円盤状の金属材からなり、図24中拡大図に示すように、偏心軸505から周面までの長さ(半径)が異なっている。また、カム503の周面には、ガイドローラ502の周面の一部が嵌合される円弧状の凹部503a〜503dが複数箇所に形成されている。
凹部503a〜503dのうち、偏心軸505からの距離は凹部503aが最も短く、次いで凹部503b、503c、503dの順に偏心軸505からの距離が短くなっている。つまり、凹部503a,503d、凹部503b,503b、凹部503c,503cは、凹部503a及び凹部503dの中心位置と偏心軸505とを結ぶ上下方向を向く仮想線を挟んで左右線対称位置に形成されている。また、凹部503aは最も深さが大きく、他の凹部503b、503c、503dはほぼ同じ深さに形成されている。
カム503の後面には、該カム503の後面側に突出された偏心軸505に対して相対回転不能に装着された長寸の六角ナット506が固着されている。六角ナット506の後端部は、筒体100aの後面板に形成された挿通口に臨むように配置されており、スパナ等の工具により右方向または左方向に回転操作することで、六角ナット506とともにカム503を回転できるようになっている。尚、六角ナット506の後端面に六角溝等を形成して六角レンチ等により回転操作できるようにしてもよい。
搬送ベルト103を張設した使用状態においては、凹部503dを上部に位置させて該凹部503d内にガイドローラ502の周面下部が嵌合されるとともに、可動軸支部材500は固定ボルト507により筒体100aに対して昇降不能に固定される。尚、カム503の回動を規制することで昇降を規制するようにしてもよい。この状態において、上部ローラ101は最上位置に配置されるので、搬送ベルト103に所定の張力が付与される(図24(a)参照)。
搬送ベルト103を上部ローラ101から取り外すには、固定ボルト507による固定状態を解除して、図24(a)の使用状態において六角ナット506を工具にて右または左に回転させる。これによりカム503の凹部503dが上部位置から退避して、凹部503c、503b、503aの順に上部に配置され(図24(b)参照)、凹部503aが上部に配置されたときに、上部ローラ101は最下位置に配置される。この状態において搬送ベルト103に張力は付与されないので、上部ローラ101から搬送ベルト103を簡単に取り外すことができる。また、搬送ベルト103を張設するには、上記操作と逆の操作を行ってカム503を回転させて上部ローラ101を上昇させればよい。
このように、カム503の周面には、偏心軸505からの距離が異なる複数の凹部503a〜503dが形成され、凹部503aから凹部503dに向けて偏心軸505から周縁までの距離が漸次変位していることから、搬送ベルト103に付与される張力を段階的に強めるまたは弱めることができる。よって、例えば上部ローラ101を最上位置から最下位位置まで下降させるために固定ボルト507による固定状態を解除した際に、張力により急激に上部ローラ101が下降することがないので、部品の損傷や作業者の安全を確保できる。また、上部ローラ101を最下位置から最上位位置まで一度に上昇させなくて済むため、強い力を必要としないばかりか、回転操作途中で反動により逆回転すること等が防止されるため、上部ローラ101を段階的に、かつ安全に上昇させることができる。
尚、本実施例では、凹部503a〜503dは周面に6つ形成されていたが、数量は任意に変更可能である。また、凹部503b,503cは左右に線対称に配置され、右回転または左回転でも3段階で昇降できる、つまり半周面に3つの凹部がそれぞれ形成されていたが、凹部503aと凹部503dとを隣接して配置し、凹部503aから凹部503dに向けて複数の凹部を形成し、1回転で段階的に昇降できるようにしてもよい。
次に、従動ローラ107,109及びテンションローラ108の構造について、図25〜図27にもとづいて説明する。
図25に示すように、本体100の下部後面側には、搬送ベルト103の下降路の下部が掛け渡される従動ローラ107,109及びテンションローラ108が設けられている。テンションローラ108の回転軸108aは、本体100の下部に設けられた支持板550の左右側部に設けられる左右一対の張力調整軸支部材551(図27参照)に軸支されている。テンションローラ108の上方に配置される従動ローラ107の回転軸107a及び下方に配置される従動ローラ109の回転軸109aの左右端は、前面側に向けて開放する平面視コ字形の開閉板552の左右側板553a,553bに回転可能に軸支されている。
左右側板553a,553bの前端からは、フランジ片554a,554bが外向きに屈曲形成されており、右側のフランジ片554bは、支持板550から後向きに屈曲形成された側板550bの内面に蝶番569(図27参照)を介して開閉自在に支持されており、図26及び図27に示す配置位置と、図25に示す開放位置と、の間で開閉可能とされている。配置位置においては、支持板550の左側前面に前後方向を向く軸周りに揺動可能に設けられた係止部材555の後端から内向きに形成された係止爪555aにより、フランジ片554aの後面上部が係止されて配置位置に仮止めできるようになっている。
また、フランジ片554aの上下方向の中央位置には、支持板550の左側部に軸周りに回動可能、かつ、前後方向に移動不能に設けられた調整ネジ556の後端部が挿通可能な挿通穴557が形成されているとともに、該挿通穴557の前面側には、調整ネジ556が螺入されるナット558が固着されている。尚、調整ネジ556の前端には操作ノブ556aが設けられており、操作ノブ556aを回動させることで、左右方向を向く従動ローラ107,109の軸心の傾きを微調整できるようになっている。
詳しくは、操作ノブ556aを回動させると、開閉板552の左側が蝶番569(図27参照)を中心として前後方向に揺動するため、これに伴い従動ローラ107,109の回転軸107a,109aも右端側を中心として左端側が前後方向に揺動する。つまり、搬送ベルト103の搬送面に対して平行に配置される従動ローラ107,109の軸心の一端側を前後に傾斜させることで、搬送ベルト103の搬送面に対して従動ローラ107,109の軸心を傾斜させることができ、これにより従動ローラ107,109の周面上における搬送ベルト103の左右幅方向の配置位置を微調整できるようになっている。
さらに、支持板550の左側部における調整ネジ556の上方及び下方位置には、押さえネジ559,560が軸周りに回動可能、かつ、前後方向に移動不能に設けられている。押さえネジ559,560の後端は支持板550から後向きに突出しており、調整ネジ556により位置決めされたフランジ片554aの前面上部及び前面下部にそれぞれ当接することで、フランジ片554aの上下部が、中央のナット558を中心として前後に揺動することを防止できるようになっている。また、これら押さえネジ559,560の前端には操作ノブ559a,560aが設けられており、操作ノブ559a,560aを回動させることで、フランジ片554aの前面との当接位置を調整できるようになっている。
テンションローラ108の回転軸108aを軸支する左右一対の張力調整軸支部材551,551は、特に図27に示すように、支持板550の後面における調整ネジ556の右側に固着された筒体561と、支持板550及び筒体561内に軸周りに回動自在、かつ、前後方向に移動不能に設けられた前後方向を向く軸部材562と、軸部材562の前端面に形成された操作溝563と、から主に構成されている。軸部材562の後端部外周には雄ネジ部562aが形成されており、テンションローラ108の回転軸108aに形成された前後方向を向くネジ穴108b内に螺入されている。
よって、操作溝563に六角ナット等の工具を嵌合して軸部材562を回動させることで、回転軸108aが軸部材562に対して前後方向に移動するため、これにより搬送ベルト103の張力を調整できるようになっている。具体的には、後面側に移動させることで張力を高めることができ、前面側に移動させることで張力を弱めることができる。
このように支持板550の後面側に前後移動可能に配置されるテンションローラ108は、搬送ベルト103の内側に配置されるとともに、従動ローラ107,109は、該テンションローラ108の上方及び下方における搬送ベルト103の外側に配置される。つまり、搬送ベルト103におけるテンションローラ108の上下位置が、従動ローラ107,109により搬送ベルト103の外側から本体100側に向けて押し込まれるため、搬送ベルト103の下降路の下部は、図26に示すように、上方から下方に向けて側面視略S字状に蛇行するように掛け渡される。
搬送ベルト103を取り外す場合、開閉板552を開放すれば、従動ローラ107,109が搬送ベルト103から離間して張力が弱まるとともに、搬送ベルト103の下部が外方に向けて露呈されるため(図25参照)、搬送ベルト103を外側に取り外すことが可能となる。
次に、下部ローラ102の軸支構造について、図25及び図28にもとづいて説明する。下部ローラ102の回転軸102aは、本体100の下部左右側に配置される軸支板600a,600bに両端が回動自在に軸支されている。回転軸102aの右側端部は、軸支板600bを貫通して該軸支板600bの外側に配置されるギヤボックス81内まで延出され、該ギヤボックス81内においてその上部に配置される揚送モータ80の出力軸に連結されている(図示略)。
回転軸102aの左端部を軸支する軸支部材601は、中央に形成された貫通穴603内に回転軸102aの外周に装着されるベアリング602が装着されており、該ベアリング602の内輪(図示略)に、回転軸102aが2本の固定ネジ604,604にて相対回転不能に固定されている。軸支部材601は、ベース板110上に固設された軸支板600aとその内側に立設された補助板606との間に挟持された状態で、軸支板600の外側から挿通される4本のボルト605にて該軸支板600aに固定されている。
尚、軸支板600aの上部は側板550aにネジ止めされ、軸支板600bの上部は側板550bの上部にネジ止めされている。また、軸支板600aにおけるベアリング602との対向位置には、該ベアリング602を外側に臨ませるための開口607が形成され、該開口607は蓋板608により閉塞できるようになっている。
回転軸102aから軸支部材601を取り外すには、まず蓋板608を取り外して開口607を開放し、軸支板600aの外側から固定ネジ604を取り外しておく。そして、軸支板600aを側板550a及びベース板110から取り外し、図28に示すように軸支板600aを左方に向けてスライドさせることで、軸支部材601が回転軸102aから取り外される。これにより下部ローラ102の左側部が外向きに開放されるため、搬送ベルト103の下部を左側方に取り出すことが可能となる。
ここで、搬送ベルト103を本体100から取り外す方法の概略を説明する。まず、図22に示す六角ナット506を工具にて回転操作してカム503を回転させて、図24(c)に示すように、上部ローラ101を最下位位置まで下降させる。次いで、図25に示す係止部材555を手前に引き出して係止爪555aをフランジ片554aから退避させて開閉板552を開放する。さらに、図28に示すように、軸支板600aを側板550a及びベース板110から取り外し、軸支板600aを左方に向けてスライドさせて軸支部材601を回転軸102aから抜き出す。これにより本体100の前後面に縦向きに掛け渡された搬送ベルト103の上部及び下部を、左側に引き出して取り外すことができる。
また、搬送ベルト103を各ローラに掛け渡すには、まず搬送ベルト103の上部及び下部を左側方から上部ローラ101及び下部ローラ102に掛け渡し、下降路の下部をテンションローラ108の後面側に配置した状態で、開閉板552を閉塞し、係止部材555を押し込んで係止爪555aによりフランジ片554aを仮係止して開放を規制する。この状態で、操作ノブ556aを回転操作して調整ネジ556をナット558に螺入して軸心の傾きを大まかに調整した後、調整後に今度は操作ノブ559a,560aを回転操作して押さえネジ559,560をフランジ片554aの前面に当接させる。
そして、図22に示す六角ナット506を工具にて回転操作してカム503を回転させて、図24(a)に示すように、上部ローラ101を最上位位置まで上昇させた後、操作溝563に六角レンチ等の工具を嵌合して、搬送ベルト103の張力の微調整を行うとともに、必要であれば操作ノブ556aを回転操作して、従動ローラ107,109の軸心の傾きの微調整を行う。これにより搬送ベルト103は本体100の上下方向に向けて張設される。
次に、上部ローラ101の周面に沿って形成される上部通路カバー118の内部構造を図29にもとづいて説明する。図29は、(a)は通常時における上部通路における球の搬送状態を示す断面図であり、(b)は球詰まり時における上部通路における球の搬送状態を示す断面図である。
図29に示すように、直線状通路115を上方に移送されたパチンコ球Pは、本体100の上部に設けられた上部通路カバー118の内部に設けられたガイド板700と、上部通路カバー118の側板内面と、上部ローラ101の周面と、により形成される円弧状の上部通路119により前面側(図29中右側)に折返された後、該上部通路カバー118に連設された排出カバー120内を流下して、該排出カバー120に形成された排出口38(図4参照)から排出され、上部タンク3内に貯留されるようになっている。
ガイド板700は、直線状通路115の上端近傍位置から上部ローラ101の周面上部にかけて該周面に沿って円弧状に形成される円弧状部700aと、該円弧状部700aから排出口38に向けて延設される平板部700bと、から構成されている。円弧状部700aの端部は、左右方向を向く軸部材701により上部通路カバー118の左右側板に回転自在に軸支されており、該軸部材701を中心として平板部700bの端部側が上下方向に揺動するようになっている。尚、平板部700bの端部には、弾性変形可能な合成樹脂材からなる球均し片702が取り付けられている。
ガイド板700の円弧状部700aの外側には、揚送モータ80に接続され、図29(b)に示すように球詰まりが生じたときに揚送モータ80の駆動を停止させるためのリミットスイッチ703が配設されている。リミットスイッチ703は、先端が円弧状部700aの外面に当接可能に設けられた揺動片703bと、該揺動片703bにより押圧可能に設けられたスイッチ部703aと、からなり、上部通路カバー118の上板と平板部700bとの間に配置された弾性部材704を押し潰すように、揚送球によりガイド板700が上方に押し上げられたときに、揺動片703bによりスイッチ部703aが押圧されて球詰まりが発生したことを示すon信号が出力されるようになっている。
通常時においては、ガイド板700は弾性部材704にて上部ローラ101側に付勢されているため、直線状通路115を上方に移送されたパチンコ球Pは、ガイド板700により上部ローラ101に沿って移動するように案内されるが、例えば排出口38から排出されるパチンコ球が貯留される上部タンク3内が満杯になるなどして排出口38からパチンコ球が排出されずに、排出カバー120内において球詰まりが発生した場合、搬送ベルト103により直線状通路115内を揚送される後続球Pによりガイド板700が、弾性部材704の弾性復帰力に抗して上方に向けて押し上げられ、スイッチ部703aが押圧されて球詰まりが発生したことを示すon信号が出力され、揚送モータ80の駆動が停止される。
これにより、上部通路119内で球詰まりが生じているのに関わらず搬送ベルト103の駆動が停止せずに空回りを続け、パチンコ球との摺接により搬送ベルト103の表面が損傷したり、揚送モータ80に負荷がかかって故障の要因となることが防止される。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例の揚送装置25は、本体100の上下に設けられた上部ローラ101と下部ローラ102とに掛け渡され、上部ローラ101及び下部ローラ102の回転により周回する搬送ベルト103と、下部ローラ102を駆動させる揚送モータ80と、を備え、揚送モータ80を駆動して下部ローラ102を回転させて搬送ベルト103を回転させることにより遊技球を揚送する揚送装置25が適用されていたが、例えば直線状通路115の下部に設けた駆動スプロケット等を回転駆動することにより、遊技球を揚送する揚送装置等を適用してもよい。