JP2014099539A - 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置 Download PDF

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Abstract

【課題】発光効率が高く、発光寿命が長く、さらに室温以上の高温条件下においても耐熱性が高く、発光寿命の長い有機エレクトロルミネッセンス素子、さらには当該有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示装置及び照明装置を提供する。
【解決手段】陽極と陰極との間に、発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該発光層は、3座以上の多座配位子を少なくとも一つ有する6配位の4価白金錯体を含有し、該多座配位子の少なくとも一つが、白金原子に配位結合したカルベン配位子であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子、当該有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示装置及び照明装置に関する。より詳しくは、発光効率が高く、発光寿命が長く、熱安定性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子、当該有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示装置及び照明装置に関する。
従来、発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(以下、「ELD」という。)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子や有機エレクトロルミネッセンス素子が挙げられる。
無機エレクトロルミネッセンス素子は、平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光する化合物を含有する発光層を陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・リン光)を利用して発光する素子である。有機EL素子は数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、さらに、自己発光型であるために視野角が広く、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
しかしながら、今後の実用化に向けた有機エレクトロルミネッセンス素子においては、さらに低消費電力で効率よく高輝度に発光する有機エレクトロルミネッセンス素子の開発が望まれている。
近年、発光効率を高める技術の一つとして、リン光発光性化合物の検討が盛んに行われている。このリン光発光性化合物は、冷陰極管とほぼ同等の発光効率が得られる可能性があることから、照明用途としても注目されている。
このようなリン光発光性化合物を用いた方式は、極めてポテンシャルの高い方式であるが、リン光発光性化合物を利用する有機エレクトロルミネッセンス素子においては、発光中心の位置をコントロールする方法、とりわけ発光層の内部でキャリアの再結合を行い、いかに発光を安定に行わせることができるか、リン光発光性化合物自身の発光性をいかに向上させることができるかが、有機EL素子の発光効率や素子寿命の観点から、極めて重要な技術的課題となっている。
有機エレクトロルミネッセンス素子に使用される青色リン光発光用の化合物(ドーパント)としては、例えば、フェニルピラゾール系構造、イミダゾフェナンスリジン系構造、フェニルイミダゾール系構造を配位子として有するイリジウム錯体が知られているが、それらのイリジウム錯体では、依然として、発光効率(輝度)、短波長発光特性(青色適合性)、高い耐久性を同時に満足させるには、いまだ課題を抱えているのが現状である。
フェニルイミダゾール系配位子を有するイリジウム錯体は、発光波長が比較的短い材料であることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、従来知られている技術では、さらなる素子の長寿命化や、発光色の経時における変色耐性等の問題が完全に解決しているとは言い難い。
さらに、イリジウム錯体の配位子同士を結合させて、4座以上の多座配位子を形成して、化合物自身の熱安定性の向上を狙ったイリジウム錯体が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2に開示されている各技術においては、素子寿命の向上に関しては、一定の効果が見られるが、発光色の経時での安定性に関しては、問題が完全に解決しているとは言い難い。
近年、中心金属をイリジウムの代わりに白金を用いたシクロメタル化型の白金錯体が注目されている(例えば、非特許文献1及び特許文献3参照。)。中でも、4価の白金原子を中心金属とする白金錯体は、耐熱性の向上による錯体自体の安定性と有機EL素子の高い発光効率を実現することが最近開示された(例えば、特許文献4、及び特許文献5参照。)。
特許文献4における4価の白金錯体は、三つの2座配位子を有しており、中心金属に対する配位様式がオクタヘドラル型である。そのため、配位様式が平面型である2価の白金錯体と比較して、同一分子間のスタッキングによる消光などを抑制でき、発光効率の改善がなされたと報告されている。
しかし、特許文献4に開示されている2座のカルベン配位子が配位した白金錯体は室温での保存性は改善されているものの、室温より高温の条件下での保存性については、十分と言えるものではなかった。これは、三重項励起状態において、6配位4価白金錯体の2座配位子は、中心金属と配位原子との間の結合距離が伸張して、発光性が低減するためと考えられた。
国際公開第2006/046980号 国際公開第2005/113563号 特開2007−84635号公報 特開2009−114086号公報 特開2007−99961号公報
Rashidi et al.,Dalton Trans.,4号、619−622頁(2004年)
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、発光効率が高く、発光寿命が長く、さらに室温より高温の条件下においても耐熱性が高く、発光寿命の長い有機エレクトロルミネッセンス素子、さらには当該有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示装置及び照明装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、発光層が発光材料として3座以上の多座配位子を有する6配位の4価白金錯体を含有し、該多座配位子の少なくとも一つが、白金原子に配位結合したカルベン配位子である白金錯体を含有することによって、発光効率が高く、発光寿命が長く、さらに室温より高温の条件下においても耐熱性が高く、発光寿命の長い有機エレクトロルミネッセンス素子が得られることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.陽極と陰極との間に、発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該発光層は、3座以上の多座配位子を少なくとも一つ有する6配位の4価白金錯体を含有し、該多座配位子の少なくとも一つが、白金原子に配位結合するカルベン配位子であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
2.前記6配位の4価白金錯体が、3座のカルベン配位子を有する下記一般式(I)で表される白金錯体であることを特徴とする第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 2014099539
(一般式(I)中、Ptは、配位数が6かつ4価の白金原子を表す。環A、環B及び環Cは芳香族環を表し、置換基を有していてもよく、それらの置換基が互いに結合して環を形成してもよい。V、W及びZは炭素原子、カルベン炭素原子、窒素原子、酸素原子又はリン原子であり、少なくとも一つは、カルベン炭素原子である。L及びLはPtに配位する補助配位子を表す。p及びqは1又は2を表し、p+q=3である。)
3.前記一般式(I)において、V及びZの両方が、カルベン炭素原子であるか、又はWのみが、カルベン炭素原子であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
4.前記6配位の4価白金錯体が、二つの3座配位子を有する下記一般式(II)で表される白金錯体であることを特徴とする第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 2014099539
(一般式(II)中、Ptは、配位数が6かつ4価の白金原子を表す。環A、環A、環B、環B、環C及び環Cは芳香族環を表し、該芳香族環は置換基を有していてもよく、それらの置換基が互いに結合して環を形成してもよい。V、W及びZは、炭素原子、カルベン炭素原子、窒素原子、酸素原子又はリン原子であり、少なくとも一つは、カルベン炭素原子である。V、W及びZは、炭素原子、カルベン炭素原子、窒素原子、酸素原子又はリン原子を表す。)
5.前記一般式(II)において、V、W、Z、V、W、及びZは、炭素原子、カルベン炭素原子、窒素原子、酸素原子又はリン原子を表し、V及びZの両方が、カルベン炭素原子のとき、V、W及びZが、炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子であり、Wのみが、カルベン炭素原子のとき、V、W及びZの少なくとも一つが、カルベン炭素原子であることを特徴とする第1項又は第4項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
6.第1項から第5項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
7.第1項から第5項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
本発明の上記手段により、発光効率が高く、発光寿命が長く、さらに室温より高温の条件下においても耐熱性が高く、発光寿命の長い有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。また当該有機エレクトロルミネッセンス素子を具備した表示装置及び照明装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確になってはいないが、以下のように推察している。
3座以上の配位子の場合、中心金属と配位子は3本以上の結合手を有しているためにリジッドであり、中心金属と配位子原子間の結合距離の伸張は抑制され構造変化も小さい。励起状態と基底状態の構造変化が小さいと、無輻射失活を抑制でき、熱的失活も抑制できる。したがって、本発明に係る白金錯体を用いることで、高温条件下においても耐熱性が高く、高効率でかつ保存性に優れた有機EL素子を提供することができるものと考えられる。
なお、本発明において、「カルベン配位子」とは、配位部位としてカルベン炭素原子を有する配位子をいう。また、本発明において、二つ以上の配位部位を有する多座配位子においては、少なくとも一つの配位部位がカルベン炭素原子である配位子をいう。
有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図 図1の表示装置の表示部の模式図 図1の表示装置の画素の回路の模式図 パッシブマトリクス方式フルカラー表示装置の模式図 照明装置の一例を示す模式図 照明装置の一例を示す断面図
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう。)は、陽極と陰極との間に、発光層を有する有機EL素子において、該発光層は、3座以上の多座配位子を少なくとも一つ有する6配位の4価白金錯体を含有し、該多座配位子の少なくとも一つが、白金原子に配位結合するカルベン配位子であることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項7までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記6配位の4価白金錯体が、3座のカルベン配位子を有する前記一般式(I)で表される白金錯体であることが、発光効率(輝度)、短波長発光特性(青色適合性)、及び耐久性と耐熱性に優れるので好ましい。
さらに、本発明においては、前記一般式(I)において、V及びZの両方がカルベン炭素原子であるか、又はWのみが、カルベン炭素原子であることが、発光効率(輝度)、短波長発光特性(青色適合性)、及び耐久性と耐熱性に優れるので好ましい。
前記6配位の4価白金錯体が、二つの3座配位子を有する前記一般式(II)で表される白金錯体であることが、高温条件下においても高効率で、かつ保存性に優れるので好ましい。前記一般式(II)における二つの3座配位子は同一であっても互いに異なっていてもよい。
また、前記一般式(II)において、V、W、Z、V、W、及びZは、炭素原子、カルベン炭素原子、窒素原子、酸素原子又はリン原子を表し、V及びZの両方が、カルベン炭素原子のとき、V、W及びZが、炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子であり、Wのみが、カルベン炭素原子のとき、V、W及びZの少なくとも一つが、カルベン炭素原子であると中心金属への配位力が強く、錯体自身の安定性が高くなるので好ましい。
本発明の有機EL素子は、表示装置及び照明装置に好適に具備され得る。これにより、高輝度で、耐久性に優れかつ耐熱性にも優れた表示装置及び照明装置を得ることができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明を行う。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪有機エレクトロルミネッセンス素子≫
本発明の有機EL素子は、陽極と陰極との間に、発光層を有する有機EL素子において、該発光層は、3座以上の多座配位子を少なくとも一つ有する6配位の4価白金錯体を含有し、該多座配位子の少なくとも一つが、白金原子に配位結合するカルベン配位子であることを特徴としている。
≪6配位の4価白金錯体≫
以下、本発明に係る3座以上の多座配位子を少なくとも一つ有する6配位の4価白金錯体について説明する。本発明に係る6配位の4価白金錯体は、発光層にリン光性化合物(発光ドーパント、又はリン光性ドーパントともいう。)として含有される。
本発明に係る6配位の4価白金錯体は、3座のカルベン配位子を有する下記一般式(I)で表される白金錯体であることが好ましい。
Figure 2014099539
一般式(I)中、Ptは、配位数が6かつ4価の白金原子を表す。環A、環B及び環Cは芳香族環を表し、該芳香族環は置換基を有していてもよく、それらの置換基が互いに結合して環を形成してもよい。V、W及びZは炭素原子、カルベン炭素原子、窒素原子、酸素原子又はリン原子であり、少なくとも一つは、カルベン炭素原子である。L及びLはPtに配位する補助配位子を表す。p及びqは1又は2を表し、p+q=3である。
前記一般式(I)における環A、環B及び環Cとしては、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、キノリン環、ベンゾキノリン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、カルボリン環、及びジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つがさらに窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。これらの中でもベンゼン環、ピリジン環、キノリン環、及びベンゾキノリン環が好ましい。
環A、環B及び環Cに置換する置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、(t)ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、アリール基(芳香族炭化水素環基ともいい、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、フェナントリル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、芳香族複素環基(例えば、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(カルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。これらの中でもメチル基、イソプロピル基、(t)ブチル基、及びシクロヘキシル基が好ましい。
上記の置換基は、さらに置換基を有してもよい、また、上記の芳香族環に、さらに芳香族炭化水素基、芳香族複素環基等が置換して、縮環構造を形成することも可能である。
前記一般式(I)において、V及びZの両方がカルベン炭素原子であるか、又はWのみがカルベン炭素原子であることが好ましい。
さらに、本発明においては、前記6配位の4価白金錯体が、二つの3座配位子を有する下記一般式(II)で表される白金錯体であることが、高温条件下においても高効率で、かつ保存性に優れるので好ましい。
Figure 2014099539
一般式(II)中、Ptは、配位数が6かつ4価の白金原子を表す。環A、環A、環B、環B、環C及び環Cは芳香族環を表し、該芳香族環は置換基を有していてもよく、それらの置換基が互いに結合して環を形成してもよい。V、W及びZは、炭素原子、カルベン炭素原子、窒素原子、酸素原子又はリン原子であり、少なくとも一つは、カルベン炭素原子である。V、W及びZは、炭素原子、カルベン炭素原子、窒素原子、酸素原子又はリン原子を表す。
前記一般式(II)における環A、環A、環B、環B、環C及び環Cとしては、前記一般式(I)にける環A、環B及び環Cと同義の芳香族環が挙げられる。また、環A、環A、環B、環B、環C及び環Cに置換する置換基としては、前記一般式(I)にける環A、環B及び環Cに置換する置換基と同義の置換基が挙げられる。
上記の置換基は、さらに置換基を有してもよい、また、上記の芳香族環に、さらに芳香族炭化水素基、芳香族複素環基等が置換して、縮環構造を形成することも可能である。
また、前記一般式(II)において、V、W、Z、V、W、及びZは、炭素原子、カルベン炭素原子、窒素原子、酸素原子又はリン原子を表し、V及びZの両方が、カルベン炭素原子のとき、V、W及びZが、炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子であり、Wのみが、カルベン炭素原子のとき、V、W及びZの少なくとも一つが、カルベン炭素原子であることが好ましい。
《補助配位子の説明》
前記一般式(I)においてL、Lで表される補助配位子としては、従来公知のものが使用できる。補助配位子を選択することによって、発光波長を最適化することや発光効率を向上させることが可能である。あるいは、補助配位子の立体的な効果によって錯体同士の相互作用を抑えることが可能であり、それによって有機EL素子としたときの発光効率を向上させることができる。
補助配位子は、一つであっても複数であっても良く、複数である場合、それらが互いに同じでも異なっていても良いが、中心金属の白金原子との間の価数と配位数を満足させる、すなわち全体が6配位4価の白金錯体が形成されなければならない。
複数の空き配位座がある場合には、キレート効果による錯体自身の安定化を得るためにも複座の配位子である方がより好ましい。
従来、金属錯体に用いられる公知の配位子としては、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」Springer−Verlag社 H.Yersin著 1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」 裳華房社 山本明夫著 1982年発行 等に記載の配位子(例えば、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、ビピリジル、フェナントロリンなど)、ジケトン配位子など)が挙げられる。さらに、置換又は無置換のフェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾール、ピラザボール、ピコリン酸、カルベン等も好ましい配位子として併用することが可能である。
以下、本発明に係る6配位の4価白金錯体を構成することができる補助配位子について説明する。
(マイナス1価のアニオン性単座配位子)
マイナス1価のアニオン性単座配位子は、白金原子と共有結合を形成している単座の配位子を表す。該配位子の配位原子として好ましくは、炭素原子、水素原子、酸素原子、フッ素原子、塩素原子である。
(マイナス1価のアニオン性2座配位子)
マイナス1価のアニオン性2座配位子は、白金原子と共有結合及び配位結合を形成している2座の配位子を表す。該配位子の配位原子として好ましくは、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子である。
(マイナス2価のアニオン性2座配位子)
マイナス2価のアニオン性2座配位子は、白金原子と共有結合を形成している2座の配位子を表す。該配位子の配位原子としては、炭素原子及び窒素原子の組み合わせが好ましく、フェニルピリジン配位子、フェニルイミダゾール配位子、ベンゾキノリン配位子が好ましい。
本発明に係る6配位の4価白金錯体は、中性錯体(非イオン性)であることが好ましい。中性の金属錯体は、錯体間におけるイオン性の相互作用がないので昇華されやすく、金属錯体の昇華精製、及び有機EL素子作製の真空蒸着の際に有利であるからである。本発明に係る6配位の4価白金錯体の具体例を以下に例示する。
(例示化合物)
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これらの6配位の4価白金錯体は公知の方法により合成することができる。
≪有機EL素子の構成≫
次に、本発明の有機EL素子の構成について詳細に説明する。本発明において、有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。本実施形態では、陽極と陰極との間の層が有機層に相当する。
(i)陽極/発光層/陰極
(ii)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(v)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層(陰極バッファー層)/陰極
(vi)陽極/正孔注入層(陽極バッファー層)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層(陰極バッファー層)/陰極
(vii)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
本発明の有機EL素子においては、発光層の構成としては、例えば、青色発光層、緑色発光層及び赤色発光層の三層構成として、白色発光層とすることができる。この際、青色発光層の発光極大波長としては、430〜480nmの範囲にあるものが好ましく、緑色発光層の発光極大波長としては、510〜550nmの範囲にあることが好ましく、赤色発光層の発光極大波長としては、600〜640nmの範囲にある単色発光層であることが好ましく、これらを用いて、表示装置として構成することができる。また、本発明の照明装置においては、これらの少なくとも三層の発光層を積層して白色発光層とした構成とすることが好ましい。さらに、複数から構成される発光層間には非発光性の中間層を有していてもよい。
以下、有機EL素子を構成する各構成層の詳細について説明する。
《発光層》
本発明に係る発光層は、ホスト化合物とドーパントを含有し、電極又は電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層の膜厚の総和は、特に制限はないが、膜の均質性や発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、かつ駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2nm〜5μmの範囲に調整することが好ましく、さらに好ましくは2〜200nmの範囲に調整され、特に好ましくは5〜20nmの範囲である。
発光層の形成には、本発明に係る金属錯体であるドーパントやホスト化合物を、例えば、真空蒸着法や、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等のウェットプロセス法など、公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。本発明においては、特に、ウェットプロセス法を用いて形成することが好ましい。
〔ホスト化合物〕
本発明の有機EL素子を構成する発光層に用いられるホスト化合物としては、公知のホスト化合物が用いられる。
ここで、本発明においてホスト化合物とは、発光層に含有される化合物のうちで室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.01未満の化合物と定義される。
さらに公知のホスト化合物を複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、リン光性化合物を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。ドーパントとしてのリン光性化合物の種類、ドープ量を調整することで白色発光が可能であり、照明、バックライトへの応用もできる。
これらの公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
本発明の有機EL素子に好ましく用いられるホスト化合物を以下に例示する。
(例示化合物)
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また、発光層は、ホスト化合物としてさらに蛍光極大波長を有するホスト化合物を含有していてもよい。この場合、他のホスト化合物とリン光性化合物から蛍光性化合物へのエネルギー移動で、有機EL素子としての電界発光は蛍光極大波長を有する他のホスト化合物からの発光も得られる。蛍光極大波長を有するホスト化合物として好ましいのは、溶液状態で蛍光量子収率が高いものである。ここで、蛍光量子収率は10%以上、特に30%以上が好ましい。具体的な蛍光極大波長を有するホスト化合物としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素等が挙げられる。蛍光量子収率は、前記第4版実験化学講座7の分光IIの362頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定することができる。
〔ドーパント〕
ドーパントとは、ホスト化合物とともに用いられる発光材料である。ドーパントには、リン光発光性ドーパント(リン光ドーパント又はリン光性化合物ともいう。)と蛍光発光性ドーパント(蛍光ドーパント又は蛍光性化合物ともいう。)とがあり、本発明に係る3座以上の多座配位子を少なくとも一つ有する6配位の4価白金錯体はリン光発光性ドーパント(リン光性化合物)である。
(リン光性化合物)
発光層に使用される材料(以下、発光材料という)としては、上記のホスト化合物を含有すると同時に、本発明に係る3座以上の多座配位子を少なくとも一つ有する6配位の4価白金錯体をリン光性化合物として含有する。これにより、より発光効率の高い有機EL素子とすることができる。
本発明に係るリン光性化合物は、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物である。リン光量子収率は好ましくは0.1以上である。上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に用いられるリン光性化合物は、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率が達成されればよい。
リン光性化合物の発光は原理としては二種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光性化合物に移動させることでリン光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つはリン光性化合物がキャリアトラップとなり、リン光性化合物上でキャリアの再結合が起こりリン光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、リン光性化合物の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
本発明に係る多座配位子を少なくとも一つ有する6配位の4価白金錯体とともに、さらに他の公知のリン光性化合物を含有してもよく、好ましくは元素の周期表で8族〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
以下に、本発明の有機EL素子の発光層に併用することができる公知のリン光性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
(例示化合物)
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本発明においては、リン光性化合物のリン光発光極大波長としては特に制限されるものではなく、原理的には中心金属、配位子、配位子の置換基等を選択することで得られる発光波長を変化させることができるが、リン光性化合物のリン光発光波長が380〜480nmにリン光発光の極大波長を有することが好ましい。このような青色リン光発光の有機EL素子や、白色リン光発光の有機EL素子で、より一層発光効率を高めることができる。
本発明の有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタオプティクス社製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
発光層は上記化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。この発光層はこれらのリン光性化合物やホスト化合物が一種又は二種以上からなる一層構造であってもよいし、あるいは同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層又は複数層設けることができる。
電子輸送層は陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有するもので、本発明の有機EL素子において、発光層の陰極側に隣接する電子輸送層の構成材料としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
本発明の有機EL素子の電子輸送層の構成材料(以下、電子輸送材料という。)として用いられる公知の電子輸送材料としては、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリー、若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、ジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
また、それらの中でも、本発明の有機EL素子の電子輸送材料としては、窒素原子を含む芳香族複素環を骨格として有する化合物が好ましい。窒素原子を含む芳香族複素環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンゾキノリン環、シンシノリン環、キノキサリン環、カルバゾール環、インドール環、イソインドール環、カルボリン環、ジアザカルボリン環、カルボリン環、アザジベンゾフラン環、ジアザジベンゾフラン環、ベンゾピラゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環、チアゾロチアゾール環、フェナントロリン環、ポルフィリン環、フタロシアニン環などが挙げられ、好ましくはピリジン環を骨格として有する化合物であり、より好ましくはピリジン誘導体又はアザカルバゾール誘導体である。
電子輸送材料が窒素原子を含む芳香族複素環を有する化合物であると、発光層と電子輸送層(EML−ETL)の界面において、本発明に係る白金錯体のカルベン配位子と電子輸送材料との相互作用が強くなり、電子注入性が向上するので好ましい。
以下、本発明に係る窒素原子を含む芳香族複素環を骨格として有する化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
(例示化合物)
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電子輸送層は電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいい、例えば、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、及びLB法(ラングミュア・ブロジェット(Langmuir Blodgett法)等を挙げることができる。))等により、薄膜化することにより形成することが好ましい。
電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5〜5000nm程度、好ましくは5〜200nmである。この電子輸送層は上記材料の一種又は二種以上からなる一層構造であってもよい。
また、金属錯体やハロゲン化金属など金属化合物等のn型ドーパントをドープして用いてもよい。
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、及びアニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチリルベンゼン;及びN−フェニルカルバゾール、さらには米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、及び特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが三つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、又はLB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の一種又は二種以上からなる一層構造であってもよい。
次に、本発明の有機EL素子の構成層として用いられる、注入層、阻止層等について説明する。
《注入層:電子注入層、正孔注入層》
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記のごとく陽極と発光層又は正孔輸送層の間、及び陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
正孔注入層(陽極バッファー層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
電子注入層(陰極バッファー層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
阻止層は、上記のごとく、有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層であり、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
正孔阻止層及び電子阻止層の膜厚は、1〜15nmが好ましく、3〜10nmがより好ましい。
本発明の有機EL素子の正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられている。
本発明の有機EL素子においては、発光層の陰極側に隣接して正孔阻止層を設ける場合、正孔阻止層には正孔阻止材料として前述した本発明に係る「窒素原子を含む芳香族複素環を有する化合物」を含有する。これにより、より一層発光効率の高い有機EL素子とすることができる。さらにより一層長寿命化させることができる。
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層であり、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、ITO(Indium Tin Oxide(酸化インジウムスズ))、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
《陰極》
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が、透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
《基体》
本発明の有機EL素子は、基体上に形成されているのが好ましい。
本発明の有機EL素子に用いることのできる基体(以下、基板、基材、支持体等ともいう)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また、透明のものであれば特に制限はないが、好ましく用いられる基板としては、例えば、ガラス、石英、及び光透過性樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい基体は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、及びセルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。樹脂フィルムの表面には、バリアー膜として、無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよい。バリアー膜としては、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m・24h)以下のバリアー性フィルムであることが好ましく、さらにはJIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3cm/(m・24h・atm)以下、水蒸気透過度が1×10−5g/(m・24h)以下の高バリアー性フィルムであることが好ましい。
バリアー膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。さらに、バリアー膜の脆弱性を改良するため、これら無機層と有機材料からなる有機層との積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリアー膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、又はコーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが、均質なバリアー膜を形成することができる観点から特に好ましい。
本発明の有機EL素子の発光の室温における外部取り出し効率は1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。
ここに、外部取り出し量子効率(%)=(有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数)×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
《有機EL素子の作製方法》
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
まず適当な基体上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔阻止層の有機化合物薄膜(有機層)を形成させる。
また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+(プラス)、陰極を−(マイナス)の極性として電圧2〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
この有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、前記のごとく例えば、真空蒸着法、又は湿式法(ウェットプロセスともいい、例えば、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、又はLB法(ラングミュア・ブロジェット(Langmuir Blodgett法)等を挙げることができる。))等により、薄膜化することにより形成することが好ましい。均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10−6〜10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚0.1nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、通常は10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
《表示装置》
本発明の表示装置は発光層形成時のみシャドーマスクを設け、他層は共通であるのでシャドーマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、又は印刷法等で膜を形成できる。発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、印刷法である。蒸着法を用いる場合においては、シャドーマスクを用いたパターニングが好ましい。
本発明の表示装置は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレイにおいて、青、赤、緑発光の三種の有機EL素子を用いることにより、フルカラーの表示が可能となる。又は、一色の発光色、例えば、白色発光をカラーフィルターを用いてBGRにし、フルカラー化することも可能である。さらに有機ELの発光色を色変換フィルターを用いて他色に変換しフルカラー化することも可能であるが、その場合、有機EL発光のλmaxは480nm以下であることが好ましい。
表示デバイス、ディスプレイとしてはテレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリックス(パッシブマトリックス)方式でもアクティブマトリックス方式でもどちらでもよい。
また、本発明の有機EL素子に共振器構造を持たせた有機EL素子として用いてもよい。このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより、上記用途に使用してもよい。
有機EL素子から構成される表示装置の一例を図面に基づいて以下に説明する。
図1は、有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
ディスプレイ1は、複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B等からなる。
制御部Bは、表示部Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線ごとの画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
図2は、表示部Aの模式図である。
表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。図2においては、画素3の発光した光が、白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
配線部の走査線5及び複数のデータ線6は、各々導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示せず)。
画素3は、走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を、適宜、同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
次に、画素の発光プロセスを説明する。
図3は、画素の回路の模式図である。
画素は、有機EL素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサー13等を備えている。複数の画素に有機EL素子10として、赤色、緑色、青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
図3において、制御部Bからデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサー13と駆動トランジスタ12のゲートに伝達される。
画像データ信号の伝達により、コンデンサー13が画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが電源ライン7に接続され、ソースが有機EL素子10の電極に接続されており、ゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ライン7から有機EL素子10に電流が供給される。
制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサー13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子10の発光が継続する。順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ12が駆動して有機EL素子10が発光する。
すなわち、有機EL素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12を設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリックス方式と呼んでいる。
ここで、有機EL素子10の発光は、複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。
また、コンデンサー13の電位の保持は、次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。
本発明においては、上述したアクティブマトリックス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリックス方式の発光駆動でもよい。
図4は、パッシブマトリックス方式による表示装置の模式図である。図4において、複数の走査線5と複数の画像データ線6が画素3を挟んで対向して格子状に設けられている。
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。パッシブマトリックス方式では画素3にアクティブ素子がなく、製造コストの低減が計れる。
また、複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光又は蛍光を発光する材料(ドーパント)を、複数組み合わせたもの、蛍光又はリン光を発光する発光材料と、該発光材料からの光を励起光として発光する色素材料とを組み合わせたもののいずれでもよいが、白色有機EL素子においては、ドーパントを複数組み合わせる方式が好ましい。
複数の発光色を得るための有機EL素子の層構成としては、複数のドーパントを、一つの発光層中に複数存在させる方法、複数の発光層を有し、各発光層中に発光波長の異なるドーパントをそれぞれ存在させる方法、異なる波長に発光する微小画素をマトリックス状に形成する方法等が挙げられる。
本発明の有機EL素子においては、必要に応じ製膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもいいし、電極と発光層をパターニングしてもいいし、素子全層をパターニングしてもいい。
発光層に用いる発光材料としては特に制限はなく、例えば、液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に係る白金錯体、また公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すればよい。
《照明装置》
本発明の照明装置は家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の露光光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれらに限定するものではない。
本発明の有機EL素子を具備した本発明の照明装置の一態様について説明する。
本発明の有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚さ300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを陰極上に重ねて透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて、封止し、図5及び図6に示すような照明装置を形成することができる。
図5は、照明装置の模式図を示している。
図5に示すとおり、有機EL素子101はガラスカバー102で覆われている。
ガラスカバー102での封止作業は、好ましくは、有機EL素子101を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行われる。
図6は、照明装置の断面図を示している。
図6に示すとおり、照明装置は、主に陰極105、有機EL層106及び透明電極付きガラス基板107で構成され、これら部材がガラスカバー102で覆われている。
ガラスカバー102内には窒素ガス108が充填され、捕水剤109が設けられている。
このように、本発明の有機EL素子は、前記表示デバイス、ディスプレイに加えて、各種発光光源、照明装置として、家庭用照明、車内照明、また露光光源のような一種のランプとして、また液晶表示装置のバックライト等、表示装置にも有用に用いられる。
その他、時計等のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体等の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等、さらには表示装置を必要とする一般の家庭用電気器具等広い範囲の用途が挙げられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(実施例1)
また、以下に説明する実施例で用いられる例示化合物以外の化合物の構造式を以下に示す。
Figure 2014099539
《有機EL素子1−1の作製》
100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上に、陽極としてITO(Indium Tin Oxide(酸化インジウムスズ))を100nm製膜した基板(AvanStrate株式会社製、NA−45)にパターニングを行った。その後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥して、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS(HT−1)、Bayer株式会社製、Baytron P Al4083)を純水で70%に希釈した溶液を用い、スピンコート法により薄膜を形成した後、200℃にて1時間乾燥し、膜厚30nmの第1正孔輸送層を設けた。
この基盤を窒素雰囲気下に移し、前記第1正孔輸送層上に50mgのHT−4を10mlのトルエンに溶解した溶液を用いて1500rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した。80℃に基盤を加熱しながら110秒間紫外光を照射し、光重合・架橋を行い、さらに60℃で1時間真空乾燥し、薄膜約20nmの第2正孔輸送層とした。
この基板を、真空蒸着装置に取付け、真空槽を4×10−4Paまで減圧した。次いで、第2正孔輸送層上に、ホスト化合物としてのHOST−3(CBP)及びドーパントとしてのDc−01をHOST−3:Dc−01=100:5の割合で、30nm蒸着し、発光層を設けた。
次いで、この発光層上に、電子輸送材料としてのET−73を30nm蒸着して電子輸送層を設けた。
次いで、電子注入層としてフッ化リチウムを1.0nm、陰極としてアルミニウムを110nmそれぞれ蒸着し、有機EL素子1−1を作製した。
《有機EL素子1−2〜1−5の作製》
有機EL素子1−1の作製において、発光層のドーパントを表1に示す化合物に変更した。それ以外は同様にして、有機EL素子1−2〜1−5を各々作製した。
《有機EL素子の評価》
作製した有機EL素子は25℃において、以下の方法で、(1)発光効率と(2)耐久性(半減寿命)の初期性能を測定した。その後、80℃中で、5時間保存し、保存後の(1)発光効率と(2)耐久性(半減寿命)を測定した。
(1)発光効率(外部取り出し量子効率(EQE))の評価
各有機EL素子について、室温23℃、乾燥窒素ガス雰囲気下で、2.5mA/cm定電流条件下による点灯を行い、点灯開始直後の発光輝度(L)[cd/m]を測定することにより外部取り出し量子効率を算出した。ここで、発光輝度の測定は、分光放射輝度計「CS−1000」(コニカミノルタオプティクス社製)を用いた。この外部取り出し量子効率を発光効率の指標とした。
(2)耐久性(半減寿命)の評価
各有機EL素子を、50℃の一定環境条件下で、初期輝度が1000cd/mを与える電流で定電流駆動させ、初期輝度の1/2(500cd/m)に到達するまでの時間(50℃保存時の半減寿命)を求め、これを耐久性の尺度とした。
(3)経時安定性の評価
80℃、5時間保存後の発光効率及び半減寿命は、下式に従って求め、これを高温条件下における経時安定性の尺度とした。
(発光効率の経時安定性)
経時安定性:発光効率(%)=(80℃、5時間保存後の発光効率/保存前の発光効率)×100
(半減寿命の経時安定性)
経時安定性:半減寿命(%)=(80℃、5時間保存後の半減寿命/保存前の半減寿命)×100
評価結果を表1に示した。なお、発光効率及び半減寿命は、有機EL素子1−1の初期性能を100と設定する相対値で表した。
Figure 2014099539
表1から明らかなとおり、本発明に係る白金錯体をドーパントとして使用した有機EL素子は、比較例の有機EL素子に比べ、初期性能の発光効率、半減寿命のいずれにおいても優れている。
同様に、本発明に係る白金錯体をドーパントとして使用した有機EL素子は、比較の有機EL素子に比べ、80℃、5時間保存後の発光効率、半減寿命のいずれにおいても優れている。
さらに、本発明に係るドーパントを使用した有機EL素子は、80℃、5時間保存後の値が初期性能の値と比較しても発光効率、半減寿命ともに減少割合が小さい。したがって耐熱性が高く、高温条件下においても優れた経時安定性を有していることが明らかである。
(実施例2)
また、以下に説明する実施例で用いられる、例示化合物及び前記以外の化合物の構造式を以下に示す。
Figure 2014099539
《有機EL素子2−1の作製》
100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上に、陽極としてITOを100nm製膜した基板(AvanStrate株式会社製、NA−45)にパターニングを行った。その後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥して、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートにHT−2を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにHT−3(α−NPD)を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにHOST−94を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにDc−02を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにET−74を200mg入れ、真空蒸着装置に取り付けた。
次いで真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、HT−2の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で、透明支持基盤に蒸着し10nmの正孔注入層を設けた。
さらにHT−3の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で、正孔注入層上に蒸着し30nmの正孔輸送層を設けた。
さらにHOST−94とDc−02の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.1nm/秒、蒸着速度0.01nm/秒で、正孔輸送層上に共蒸着し40nmの発光層を設けた。
さらにET−74の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で、発光層上に蒸着し40nmの電子輸送層を設けた。
引き続き、電子注入層としてフッ化リチウムを0.5nm、陰極としてアルミニウムを110nmそれぞれ蒸着し、有機EL素子2−1を作製した。
《有機EL素子2−2〜2−5の作製》
有機EL素子2−1の作製において、発光層のドーパントを表2に示す化合物に変更した。それ以外は同様にして、有機EL素子2−2〜2−5を各々作製した。
作製した有機EL素子について、発光効率(外部取り出し量子効率(EQE))及び発光寿命を測定した。また、60℃中で保存し、10時間後の発光効率の経時安定性を測定した。
(1)発光効率(外部取り出し量子効率)の評価
発光効率は、実施例1と同様にして評価した。
発光効率は、有機EL素子2−1の外部取り出し量子効率の測定値を100としたときの相対値で表した。数値が大きいほど、発光効率に優れていることを表す。
(2)耐久性(発光寿命)の評価
耐久性の評価は、実施例1と同様にして行った。
なお、本発明の有機EL素子の初期性能の発光効率及び発光寿命(半減寿命)は、それぞれ比較例の有機EL素子2−1の測定値を100と設定する相対値で表した。
(3)経時安定性の評価
60℃、10時間保存後の半減寿命は、下式に従って求め、これを高温条件下における経時安定性の尺度とした。
経時安定性(%)=(60℃、10時間保存後の半減寿命/保存前の半減寿命)×100
Figure 2014099539
表2から明らかなとおり、本発明に係る白金錯体をドーパントとして使用した有機EL素子は、比較の有機EL素子に比べ、発光効率(外部取り出し量子効率)、半減寿命(発光寿命)のいずれも優れている。
同様に、本発明に係る白金錯体をドーパントとして使用した有機EL素子は、比較の有機EL素子に比べ、60℃、10時間保存後においても半減寿命の低下が小さく、経時安定性が優れていることが明らかである。
《照明装置の作製》
(実施例3)
《白色発光有機EL素子3−1の作製》
有機EL素子1−1の作製で用いたITO透明電極を設けた透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer(株)製、Baytron P Al4083)(HT−1)を純水で70%に希釈した溶液を用い、スピンコート法により薄膜を形成した後、200℃にて1時間乾燥し、膜厚30nmの第1正孔輸送層を設けた。
この第1正孔輸送層上に、正孔輸送材料として、ポリ〔N,N′−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン〕(American Dye Source(株)製、ADS−254)(HT−2)のクロロベンゼン溶液を用い、スピンコート法により薄膜を形成した。150℃で1時間加熱乾燥し、膜厚40nmの第2正孔輸送層を設けた。
次に、ホスト化合物としてHOST−56(100mg)、ドーパントとしてIr−18(3mg)及びIr−19(3mg)をトルエン10mlに溶解した溶液を用い、2000rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した。60℃で1時間真空乾燥し第1発光層を形成した。
さらにこの第一発光層上に、ホスト化合物としてHOST−94(100mg)とドーパントとしてD−62(16mg)を6mlのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解した溶液を用い、2000rpm、30秒の条件でスピンコート法により薄膜を形成し、60℃で1時間真空乾燥し第2発光層を形成した。
この基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、第2発光層上に、ET−35を蒸着して膜厚30nmの電子輸送層を形成し、続いてフッ化リチウムを蒸着して膜厚0.5nmの陰極バッファー層を形成し、さらにアルミニウムを蒸着して膜厚110nmの陰極を形成することで、有機EL素子3−1を作製した。
作製した有機EL素子3−1に通電したところほぼ白色の光が得られ、照明装置として使用できることがわかった。なお、例示の他の化合物に置き換えても同様に白色の発光が得られることがわかった。
(実施例4)
《フルカラー表示装置の作製》
(青色発光素子の作製)
実施例1の有機EL素子1−5を青色発光素子として用いた。
(緑色発光素子の作製)
Ir−1を緑色発光ドーパントとして用いた以外は有機EL素子1−1と同様にして緑色発光素子を作製した。
(赤色発光素子の作製)
Ir−9を赤色発光ドーパントとして用いた以外は有機EL素子1−1と同様にして赤色発光素子を作製した。
上記で作製した、各々赤色、緑色、青色発光有機EL素子を同一基板上に並置し、図1に記載のような形態を有するアクティブマトリクス方式フルカラー表示装置を作製し、図2には、作製した前記表示装置の表示部Aの模式図のみを示した。すなわち、同一基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、並置した複数の画素3(発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素等)とを有し、配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示せず)。前記複数画素3は、それぞれの発光色に対応した有機EL素子、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタと駆動トランジスタそれぞれが設けられたアクティブマトリクス方式で駆動されており、走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。このように各赤、緑、青の画素を適宜、並置することによって、フルカラー表示装置を作製した。
該フルカラー表示装置を駆動することにより、輝度が高く、高耐久性を有し、かつ、鮮明なフルカラー動画表示が得られることがわかった。
1 ディスプレイ
3 画素
5 走査線
6 データ線
7 電源ライン
10 有機EL素子
11 スイッチングトランジスタ
12 駆動トランジスタ
13 コンデンサー
A 表示部
B 制御部
102 ガラスカバー
105 陰極
106 有機EL層
107 透明電極付きガラス基板

Claims (7)

  1. 陽極と陰極との間に、発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該発光層は、3座以上の多座配位子を少なくとも一つ有する6配位の4価白金錯体を含有し、該多座配位子の少なくとも一つが、白金原子に配位結合するカルベン配位子であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記6配位の4価白金錯体が、3座のカルベン配位子を有する下記一般式(I)で表される白金錯体であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2014099539
    (一般式(I)中、Ptは、配位数が6かつ4価の白金原子を表す。環A、環B及び環Cは芳香族環を表し、置換基を有していてもよく、それらの置換基が互いに結合して環を形成してもよい。V、W及びZは炭素原子、カルベン炭素原子、窒素原子、酸素原子又はリン原子であり、少なくとも一つは、カルベン炭素原子である。L及びLはPtに配位する補助配位子を表す。p及びqは1又は2を表し、p+q=3である。)
  3. 前記一般式(I)において、V及びZの両方が、カルベン炭素原子であるか、又はWのみが、カルベン炭素原子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記6配位の4価白金錯体が、二つの3座配位子を有する下記一般式(II)で表される白金錯体であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2014099539
    (一般式(II)中、Ptは、配位数が6かつ4価の白金原子を表す。環A、環A、環B、環B、環C及び環Cは芳香族環を表し、該芳香族環は置換基を有していてもよく、それらの置換基が互いに結合して環を形成してもよい。V、W及びZは、炭素原子、カルベン炭素原子、窒素原子、酸素原子又はリン原子であり、少なくとも一つは、カルベン炭素原子である。V、W及びZは、炭素原子、カルベン炭素原子、窒素原子、酸素原子又はリン原子を表す。)
  5. 前記一般式(II)において、V、W、Z、V、W、及びZは、炭素原子、カルベン炭素原子、窒素原子、酸素原子又はリン原子を表し、V及びZの両方が、カルベン炭素原子のとき、V、W及びZが、炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子であり、Wのみが、カルベン炭素原子のとき、V、W及びZの少なくとも一つが、カルベン炭素原子であることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
  7. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
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