JP2014098178A - 導電膜およびその前駆体膜ならびに導電膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電性が高く、基材との密着性に優れた導電膜およびその導電膜を形成することができる前駆体膜ならびにその導電膜の製造方法を提供する。
【解決手段】基材16上に形成される金属銅を含有する導電膜の前駆体膜10であって、酸化銅粒子11および硬化性化合物を12有し、表面から全体厚みの1/3に相当する深さ位置までの上層領域13に存在する酸化銅粒子の含有割合が、表面から全体厚みの2/3に相当する深さ位置よりも深い下層領域15に存在する酸化銅粒子の含有割合よりも多く、表面から全体厚みの1/3に相当する深さ位置までの上層領域に存在する硬化性化合物の含有割合が、表面から全体厚みの2/3に相当する深さ位置よりも深い下層領域に存在する硬化性化合物の含有割合よりも少ない、前駆体膜。
【選択図】図1
【解決手段】基材16上に形成される金属銅を含有する導電膜の前駆体膜10であって、酸化銅粒子11および硬化性化合物を12有し、表面から全体厚みの1/3に相当する深さ位置までの上層領域13に存在する酸化銅粒子の含有割合が、表面から全体厚みの2/3に相当する深さ位置よりも深い下層領域15に存在する酸化銅粒子の含有割合よりも多く、表面から全体厚みの1/3に相当する深さ位置までの上層領域に存在する硬化性化合物の含有割合が、表面から全体厚みの2/3に相当する深さ位置よりも深い下層領域に存在する硬化性化合物の含有割合よりも少ない、前駆体膜。
【選択図】図1
Description
本発明は、導電膜およびその前駆体膜に関する。具体的には、基材上に形成される、金属銅を含有する導電膜およびその前駆体である酸化銅粒子を含有する前駆体膜に関する。
基材上に導電膜を形成する方法として、金属粒子または金属酸化物粒子の分散体を印刷法により基材に塗布し、これを還元させることによって導電膜や回路基板における配線等の電気的導通部位を形成する技術が知られている。
上記方法は、従来の高熱・真空プロセス(スパッタ)やめっき処理による配線作製法に比べて、簡便・省エネ・省資源であることから次世代エレクトロニクス開発において大きな期待を集めている。
上記方法は、従来の高熱・真空プロセス(スパッタ)やめっき処理による配線作製法に比べて、簡便・省エネ・省資源であることから次世代エレクトロニクス開発において大きな期待を集めている。
例えば、特許文献1には、「還元剤に対して触媒活性を有する金属と、銅酸化物とを共に含有してなる銅系粒子含有層を、一つの溶液中に銅酸化物をイオン化又は錯体化する薬剤と、銅イオン又は銅錯体を還元して金属銅とする還元剤とを含む処理液を用いて処理してなることを特徴とする銅導体膜。」が記載されており([請求項1])、また、「基板上に、コア部が銅であり、シェル部が銅酸化物であるコア/シェル構造を有する粒子を含む塗布液を用いて任意の配線パターンを描画する工程と、描画した塗布液による配線パターンに対して、該配線パターンの表層部から基板側にかけて銅酸化物成分の分布が漸減するように酸化処理を施す工程と、酸化処理を施した配線パターンに対し、銅酸化物をイオン化又は錯体化する薬剤と、銅イオン又は銅錯体を還元して金属銅とする還元剤とを含む処理液を用いて処理する工程と、処理液を洗浄する工程を含むことを特徴とする銅導体配線の製造方法。」が記載されている([請求項30])。
しかしながら、特許文献1に記載された銅導体膜は、対イオンや有機物である錯体配位子が残存するため導電性が低くなり、また、銅導電膜と基材との間で相性の悪い界面が形成されることから基板との密着性に劣るという問題点があることが分かった。
そこで、本発明は、導電性が高く、基材との密着性に優れた導電膜およびその導電膜を形成することができる前駆体膜ならびにその導電膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、酸化銅粒子および硬化性化合物が所定の組成傾斜を有する前駆体膜を用いることにより、還元後に得られる導電膜の導電性が高く、また、基材との密着性が良好となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
(1) 金属銅を含有する導電膜の形成に用いられる前駆体膜であって、
酸化銅粒子および硬化性化合物を有し、
第1主面から全体厚みの1/3に相当する深さ位置までの上層領域に存在する酸化銅粒子の含有割合が、第1主面から全体厚みの2/3に相当する深さ位置から第2主面までの下層領域に存在する酸化銅粒子の含有割合よりも多く、
上層領域に存在する硬化性化合物の含有割合が、下層領域に存在する硬化性化合物の含有割合よりも少ない、前駆体膜。
(2) 第1主面から第2主面に向かって、酸化銅粒子の含有割合が漸減し、かつ、硬化性化合物の含有割合が漸増する(1)に記載の前駆体膜。
(3) 第1主面から全体厚みの1/3に相当する深さ位置より深く、かつ、第1主面から全体厚みの2/3に相当する深さ位置までの中層領域に、熱伝導性フィラーを含有する(1)または(2)に記載の前駆体膜。
酸化銅粒子および硬化性化合物を有し、
第1主面から全体厚みの1/3に相当する深さ位置までの上層領域に存在する酸化銅粒子の含有割合が、第1主面から全体厚みの2/3に相当する深さ位置から第2主面までの下層領域に存在する酸化銅粒子の含有割合よりも多く、
上層領域に存在する硬化性化合物の含有割合が、下層領域に存在する硬化性化合物の含有割合よりも少ない、前駆体膜。
(2) 第1主面から第2主面に向かって、酸化銅粒子の含有割合が漸減し、かつ、硬化性化合物の含有割合が漸増する(1)に記載の前駆体膜。
(3) 第1主面から全体厚みの1/3に相当する深さ位置より深く、かつ、第1主面から全体厚みの2/3に相当する深さ位置までの中層領域に、熱伝導性フィラーを含有する(1)または(2)に記載の前駆体膜。
(4) 金属銅を含有する導電膜であって、
金属銅および樹脂を有し、
第1主面から全体厚みの1/3に相当する深さ位置までの上層領域に存在する金属銅の含有割合が、第1主面から全体厚みの2/3に相当する深さ位置から第2主面までの下層領域に存在する金属銅の含有割合よりも多く、
上層領域に存在する樹脂の含有割合が、下層領域に存在する樹脂の含有割合よりも少ない、導電膜。
(5) 第1主面から第2主面に向かって、金属の含有割合が漸減し、かつ、樹脂の含有割合が漸増する(4)に記載の導電膜。
(6) 上層領域のボイド率が25%以下である(4)または(5)に記載の導電膜。
金属銅および樹脂を有し、
第1主面から全体厚みの1/3に相当する深さ位置までの上層領域に存在する金属銅の含有割合が、第1主面から全体厚みの2/3に相当する深さ位置から第2主面までの下層領域に存在する金属銅の含有割合よりも多く、
上層領域に存在する樹脂の含有割合が、下層領域に存在する樹脂の含有割合よりも少ない、導電膜。
(5) 第1主面から第2主面に向かって、金属の含有割合が漸減し、かつ、樹脂の含有割合が漸増する(4)に記載の導電膜。
(6) 上層領域のボイド率が25%以下である(4)または(5)に記載の導電膜。
(7) (4)〜(6)のいずれかに記載の導電膜を製造する製造方法であって、(1)〜(3)のいずれかに記載の前駆体膜に対して、加熱処理および/または光照射処理を施し、酸化銅粒子を還元して金属銅を含有する導電膜を形成する還元工程を有する導電膜の製造方法。
本発明によれば、導電性が高く、基材との密着性に優れた導電膜およびその導電膜を形成することができる前駆体膜ならびにその導電膜の製造方法を提供することができる。
以下に、本発明の前駆体膜、導電膜および導電膜の製造方法の好適態様について詳述する。
まず、本発明の従来技術と比較した特徴点について詳述する。
上述したように、本発明の一つの特徴点は、酸化銅粒子および硬化性化合物が所定の組成傾斜を有する前駆体膜を用いる点が挙げられる。本発明者は、本発明の効果が得られる理由を以下のように推測する。なお、この推測によって本発明の範囲が限定的に解釈されるものではない。
加熱または光照射により酸化銅の還元を行う場合、加熱による熱または光照射した光が光熱変換されて生じた熱が内部に伝達することにより酸化銅の還元が進行していると推測される。
そして、本発明においては、導電膜を形成するための前駆体膜中の酸化銅粒子の含有割合を第1主面(表面)付近の上層領域で高め、かつ、硬化性化合物の含有割合を第1主面付近の上層領域で低くすることにより、熱伝導の効率が向上し、結果として導電膜の導電性が向上したと考えられる。また、酸化銅粒子の含有割合を第1主面付近の上層領域で高め、硬化性化合物の含有割合を第1主面付近の上層領域で低くすることに伴い、上層領域に残存する溶媒の量が減り、加熱または光照射時の昇温で気化する溶媒が減ったため、導電膜中でのボイドの形成が抑制され、結果として導電膜の導電性が向上したものと考えられる。
一方、前駆体膜中の酸化銅粒子の含有割合を第2主面(裏面)付近の下層領域で低くし、硬化性化合物の含有割合を第2主面付近の下層領域で高めることにより、基材に対する密着性が向上したと考えられる。
まず、本発明の従来技術と比較した特徴点について詳述する。
上述したように、本発明の一つの特徴点は、酸化銅粒子および硬化性化合物が所定の組成傾斜を有する前駆体膜を用いる点が挙げられる。本発明者は、本発明の効果が得られる理由を以下のように推測する。なお、この推測によって本発明の範囲が限定的に解釈されるものではない。
加熱または光照射により酸化銅の還元を行う場合、加熱による熱または光照射した光が光熱変換されて生じた熱が内部に伝達することにより酸化銅の還元が進行していると推測される。
そして、本発明においては、導電膜を形成するための前駆体膜中の酸化銅粒子の含有割合を第1主面(表面)付近の上層領域で高め、かつ、硬化性化合物の含有割合を第1主面付近の上層領域で低くすることにより、熱伝導の効率が向上し、結果として導電膜の導電性が向上したと考えられる。また、酸化銅粒子の含有割合を第1主面付近の上層領域で高め、硬化性化合物の含有割合を第1主面付近の上層領域で低くすることに伴い、上層領域に残存する溶媒の量が減り、加熱または光照射時の昇温で気化する溶媒が減ったため、導電膜中でのボイドの形成が抑制され、結果として導電膜の導電性が向上したものと考えられる。
一方、前駆体膜中の酸化銅粒子の含有割合を第2主面(裏面)付近の下層領域で低くし、硬化性化合物の含有割合を第2主面付近の下層領域で高めることにより、基材に対する密着性が向上したと考えられる。
以下では、まず、導電膜を形成するための前駆体膜およびその製造方法(主に塗布方法)について説明し、その後、導電膜およびその製造方法(主に還元工程)について詳述する。
〔前駆体膜〕
本発明の前駆体膜は、金属銅を含有する導電膜を形成するための前駆体膜であって、酸化銅粒子および硬化性化合物を有するものである。
本発明の前駆体膜は、金属銅を含有する導電膜を形成するための前駆体膜であって、酸化銅粒子および硬化性化合物を有するものである。
<組成傾斜>
最初に、本発明の前駆体膜における酸化物粒子および硬化性化合物の組成傾斜について、図1を用いて説明する。
図1に示すように、本発明の前駆体膜10は、酸化物粒子11および硬化性化合物12を含有し、第1主面Aから全体厚みの1/3に相当する深さ位置までの上層領域13に存在する酸化物粒子11の含有割合が、第1主面Aから全体厚みの2/3に相当する深さ位置から第2主面Bまでの下層領域15に存在する酸化銅粒子11の含有割合よりも多い。
また、本発明の前駆体膜10は、上層領域13に存在する硬化性化合物12の含有割合が、下層領域15に存在する硬化性化合物12の含有割合よりも少ない。
ここで、図1中、符号14は、第1主面Aから全体厚みの1/3に相当する深さ位置より深く、かつ、第1主面Aから全体厚みの2/3に相当する深さ位置までの中層領域を示し、符号16は、本発明の前駆体膜10が形成される任意の基材を示し、矢印は、本発明の前駆体膜10の深さ(厚さ)方向を示す。
このような組成傾斜を有することにより、上述した通り、導電性が高く、基材との密着性に優れた導電膜を形成することができる。
最初に、本発明の前駆体膜における酸化物粒子および硬化性化合物の組成傾斜について、図1を用いて説明する。
図1に示すように、本発明の前駆体膜10は、酸化物粒子11および硬化性化合物12を含有し、第1主面Aから全体厚みの1/3に相当する深さ位置までの上層領域13に存在する酸化物粒子11の含有割合が、第1主面Aから全体厚みの2/3に相当する深さ位置から第2主面Bまでの下層領域15に存在する酸化銅粒子11の含有割合よりも多い。
また、本発明の前駆体膜10は、上層領域13に存在する硬化性化合物12の含有割合が、下層領域15に存在する硬化性化合物12の含有割合よりも少ない。
ここで、図1中、符号14は、第1主面Aから全体厚みの1/3に相当する深さ位置より深く、かつ、第1主面Aから全体厚みの2/3に相当する深さ位置までの中層領域を示し、符号16は、本発明の前駆体膜10が形成される任意の基材を示し、矢印は、本発明の前駆体膜10の深さ(厚さ)方向を示す。
このような組成傾斜を有することにより、上述した通り、導電性が高く、基材との密着性に優れた導電膜を形成することができる。
上層領域13における酸化銅粒子および硬化性化合物の総質量に対する酸化銅粒子の質量割合(以下、「酸化銅粒子の含有率」という。)は、導電膜の導電性がより高くなる理由から、50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましく、実質的に100質量%(99.8〜100質量%)であることが更に好ましい。また、下層領域15における酸化銅粒子の含有率は、導電膜の基材との密着性がより良好となる理由から、50%未満であることが好ましく、30%未満であることがより好ましく、実質的に0%(0〜0.2%)であることが更に好ましい。
一方、上層領域13における酸化銅粒子および硬化性化合物の総質量に対する硬化性化合物の質量割合(以下、「硬化性化合物の含有率」という。)は、導電膜の導電性がより高くなる理由から、50%未満であることが好ましく、30%未満であることがより好ましく、実質的に0%(0〜0.2%)であることが更に好ましい。また、下層領域15における硬化性化合物の含有率は、導電膜の基材との密着性がより良好となる理由から、50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましく、実質的に100質量%(99.8〜100質量%)であることが更に好ましい。
ここで、各領域における酸化銅粒子および硬化性化合物の含有率は、例えば、X線光電子分光(XPS)の深さ方向プロファイル、すなわち、前駆体膜の第1主面(および第2主面)と直行する断面の各領域においてXPSを用いた元素分析を行い、Cu(酸化銅由来)とC(硬化性化合物由来)との組成比から求めることができる。
一方、上層領域13における酸化銅粒子および硬化性化合物の総質量に対する硬化性化合物の質量割合(以下、「硬化性化合物の含有率」という。)は、導電膜の導電性がより高くなる理由から、50%未満であることが好ましく、30%未満であることがより好ましく、実質的に0%(0〜0.2%)であることが更に好ましい。また、下層領域15における硬化性化合物の含有率は、導電膜の基材との密着性がより良好となる理由から、50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましく、実質的に100質量%(99.8〜100質量%)であることが更に好ましい。
ここで、各領域における酸化銅粒子および硬化性化合物の含有率は、例えば、X線光電子分光(XPS)の深さ方向プロファイル、すなわち、前駆体膜の第1主面(および第2主面)と直行する断面の各領域においてXPSを用いた元素分析を行い、Cu(酸化銅由来)とC(硬化性化合物由来)との組成比から求めることができる。
本発明においては、導電膜の導電性がより高く、基材との密着性がより良好となる理由から、第1主面Aから第2主面Bに向かって、酸化銅粒子の含有割合が漸減し、かつ、硬化性化合物の含有割合が漸増しているのが好ましい。
また、本発明においては、導電膜の導電性がより高くなる理由から、中層領域14に熱伝導性フィラーを含有するのが好ましい。
これは、上述した通り、加熱による熱または光照射した光が光熱変換されて生じた熱が内部に伝達することにより酸化銅の還元が進行するとの推測に基づくものであり、この熱伝導性が良好になったためと考えられる。
中層領域14に熱伝導性フィラーを含有する場合、熱伝導性フィラー、酸化銅粒子および硬化性化合物の総質量に対する金属等の質量割合は、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
これは、上述した通り、加熱による熱または光照射した光が光熱変換されて生じた熱が内部に伝達することにより酸化銅の還元が進行するとの推測に基づくものであり、この熱伝導性が良好になったためと考えられる。
中層領域14に熱伝導性フィラーを含有する場合、熱伝導性フィラー、酸化銅粒子および硬化性化合物の総質量に対する金属等の質量割合は、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
<酸化銅粒子>
本発明の前駆体膜に含有する酸化銅粒子を構成する「酸化銅」とは、酸化されていない銅を実質的に含まない化合物であり、具体的には、X線回折による結晶解析において、酸化銅由来のピークが検出され、かつ金属由来のピークが検出されない化合物のことを指す。銅を実質的に含まないとは、限定的ではないが、銅の含有量が酸化銅粒子に対して1質量%以下であることをいう。
本発明の前駆体膜に含有する酸化銅粒子を構成する「酸化銅」とは、酸化されていない銅を実質的に含まない化合物であり、具体的には、X線回折による結晶解析において、酸化銅由来のピークが検出され、かつ金属由来のピークが検出されない化合物のことを指す。銅を実質的に含まないとは、限定的ではないが、銅の含有量が酸化銅粒子に対して1質量%以下であることをいう。
酸化銅としては、酸化銅(I)または酸化銅(II)が好ましく、安価に入手可能であること、低抵抗であることから酸化銅(II)であることが更に好ましい。
酸化銅粒子の平均粒子径は特に制限されないが、200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。下限も特に制限されないが、10nm以上が好ましい。
平均粒子径が10nm以上であれば、粒子表面の活性が高くなりすぎず、取扱い性に優れるため好ましい。また、200nm以下であれば、酸化銅粒子を含有する溶液をインクジェット用インクとして用い、印刷法により配線等のパターン形成を行うことが容易となると共に、金属銅への還元が十分となり、得られる導電膜の導電性がより良好であるため好ましい。
なお、平均粒子径は、平均一次粒径のことを指す。平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察または走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、少なくとも50個以上の酸化銅粒子の粒子径(直径)を測定し、それらを算術平均して求める。なお、観察図中、酸化銅粒子の形状が真円状でない場合、長径を直径として測定する。
酸化銅粒子としては、例えば、関東化学社製のCuOナノ粒子、シグマアルドリッチ社製のCuOナノ粒子等を好ましく使用することができる。
平均粒子径が10nm以上であれば、粒子表面の活性が高くなりすぎず、取扱い性に優れるため好ましい。また、200nm以下であれば、酸化銅粒子を含有する溶液をインクジェット用インクとして用い、印刷法により配線等のパターン形成を行うことが容易となると共に、金属銅への還元が十分となり、得られる導電膜の導電性がより良好であるため好ましい。
なお、平均粒子径は、平均一次粒径のことを指す。平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察または走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、少なくとも50個以上の酸化銅粒子の粒子径(直径)を測定し、それらを算術平均して求める。なお、観察図中、酸化銅粒子の形状が真円状でない場合、長径を直径として測定する。
酸化銅粒子としては、例えば、関東化学社製のCuOナノ粒子、シグマアルドリッチ社製のCuOナノ粒子等を好ましく使用することができる。
後述するインク組成物(金属インク)中における酸化銅粒子の含有量は、該インク組成物を含むインクがインクジェット法に使用可能な範囲であれば特に制限されるものではないが、インクジェット適性の点から、5〜70質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることが更に好ましく、20〜40質量%であることが特に好ましい。
<硬化性化合物>
本発明の前駆体膜に含有する硬化性化合物は、活性エネルギー線や加熱により硬化可能な化合物であり、硬化により樹脂を形成するものである。
ここで、本発明でいう「活性エネルギー線」とは、その照射により開始種を発生させうるエネルギーを付与することができるものであれば、特に制限はなく、広くα線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含するものである。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点からは、紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。
硬化性化合物としては、活性エネルギー線や加熱の照射により硬化すれば特に制限されず、ラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物、熱硬化性高分子(例えば、フェノールポリマー、ウレタンポリマー、ウレタンオリゴマーなど)のいずれを用いることができる。
これらのうち、安定性及び化合物バリエーションの観点から、ラジカル重合性化合物が好ましく、不飽和二重結合を有する化合物がより好ましい。
また、酸化銅粒子との配位相互作用により傾斜膜内の凝集力が向上することにより、強固な膜が形成され、また、導電膜の基材との密着性がより良好となる理由から、熱硬化性高分子が好ましく、ウレタンポリマー又はウレタンオリゴマーがより好ましい。
本発明の前駆体膜に含有する硬化性化合物は、活性エネルギー線や加熱により硬化可能な化合物であり、硬化により樹脂を形成するものである。
ここで、本発明でいう「活性エネルギー線」とは、その照射により開始種を発生させうるエネルギーを付与することができるものであれば、特に制限はなく、広くα線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含するものである。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点からは、紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。
硬化性化合物としては、活性エネルギー線や加熱の照射により硬化すれば特に制限されず、ラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物、熱硬化性高分子(例えば、フェノールポリマー、ウレタンポリマー、ウレタンオリゴマーなど)のいずれを用いることができる。
これらのうち、安定性及び化合物バリエーションの観点から、ラジカル重合性化合物が好ましく、不飽和二重結合を有する化合物がより好ましい。
また、酸化銅粒子との配位相互作用により傾斜膜内の凝集力が向上することにより、強固な膜が形成され、また、導電膜の基材との密着性がより良好となる理由から、熱硬化性高分子が好ましく、ウレタンポリマー又はウレタンオリゴマーがより好ましい。
不飽和二重結合を有する化合物としては、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また、目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。好ましくは2種以上併用して用いることが、反応性、物性などの性能を制御する上で好ましい。
本発明においては、不飽和二重結合を有する化合物としてはN−ビニルラクタム類を用いることが好ましい。その理由は、N−ビニルラクタム類は、硬化により基材との密着性がより良好な樹脂を形成することに加えて、金属との配位相互作用により膜内の凝集力が向上し、膜の強度を形成できるからである。
N−ビニルラクタム類の好ましい例として、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
N−ビニルラクタム類の好ましい例として、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
式(I)中、nは1〜5の整数を表し、硬化した後の柔軟性、基材との密着性、及び、原材料の入手性の観点から、nは2〜4の整数であることが好ましく、nが2又は4の整数であることがより好ましく、nが4であるすなわちN−ビニルカプロラクタムであることが特に好ましい。N−ビニルカプロラクタムは安全性に優れ、汎用的で比較的安価に入手でき、特に良好な硬化性、及び硬化膜の基材へのより高い密着性が得られるので好ましい。
また、上記N−ビニルラクタム類はラクタム環上にアルキル基、アリール基等の置換基を有していてもよく、飽和又は、不飽和環構造を連結していてもよい。
後述するインク組成物(樹脂インク)中におけるN−ビニルラクタム類の含有量は、インクの全質量に対して、10質量%以上含有することが好ましい。N−ビニルラクタム類をインク全体の10質量%以上含有することで、硬化性、硬化膜柔軟性、硬化膜の基材密着性に優れるインクが提供できるので好ましい。インク中におけるN−ビニルラクタム類のより好ましい含有量としては、30質量%以上80質量%以下の範囲内である。N−ビニルラクタム類は比較的融点が高い化合物である。80質量%以下の含有率にて、0度以下の低温下でも良好な溶解性を示し、インク組成物の取り扱い可能温度範囲が広くなり好ましい。より好ましくは、30質量%以上70質量%以下の範囲内であり、特に好ましくは、40質量%以上60質量%以下の範囲内である。
上記N−ビニルラクタム類はインク中に1種のみ含有されていてもよく、複数種含有されていてもよい。
上記N−ビニルラクタム類はインク中に1種のみ含有されていてもよく、複数種含有されていてもよい。
また、他の不飽和二重結合を有する化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
具体的には、
2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エポキシアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の単官能アクリレート類、
ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート等の多官能アクリレート類、
N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、等のアクリルアミド類、
メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリレート類、
その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体、ジビニルベンゼン、アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマー、及びポリマーを用いることができる。
2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エポキシアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の単官能アクリレート類、
ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート等の多官能アクリレート類、
N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、等のアクリルアミド類、
メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリレート類、
その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体、ジビニルベンゼン、アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマー、及びポリマーを用いることができる。
本発明では、密着性の観点から、不飽和二重結合を有する化合物として、上記N−ビニルラクタム類と、N−ビニルラクタム類以外の化合物を併用することも好ましい。この場合、後述するインク組成物(樹脂インク)中におけるN−ビニルラクタム類とそれ以外の不飽和二重結合を有する化合物との比率(質量比)は、30:70〜70:30が好ましく、40:60〜60:40がより好ましく、55:45〜45:55が更に好ましい。
また、ラジカル重合性化合物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特開平9−134011号等の各公報に記載されている光重合性組成物に用いられる光硬化型の重合性化合物材料が知られており、これらも本発明の前駆体膜に含有する硬化性化合物に適用することができる。
更に、ラジカル重合性化合物として、ビニルエーテル化合物を用いることも好ましい。好適に用いられるビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヒドロキシエチルモノビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度の観点から、ジビニルエーテル化合物、トリビニルエーテル化合物が好ましく、特に、ジビニルエーテル化合物が好ましい。ビニルエーテル化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度の観点から、ジビニルエーテル化合物、トリビニルエーテル化合物が好ましく、特に、ジビニルエーテル化合物が好ましい。ビニルエーテル化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
基材との密着性、膜の強度向上の観点からは、上記の化合物のうち、多官能アクリレートモノマー又は多官能アクリレートオリゴマーを用いることも好ましい。
なお、本発明において、「単官能化合物」とは重合性基を1つ有する化合物であり、「多官能化合物」とは重合性基を2個以上有する化合物である。
なお、本発明において、「単官能化合物」とは重合性基を1つ有する化合物であり、「多官能化合物」とは重合性基を2個以上有する化合物である。
一方、ウレタンポリマー又はウレタンオリゴマーとしては、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマー又はオリゴマーを使用することが更に好ましい。
ここで、本発明におけるウレタンオリゴマーで表されるオリゴマーとは、限定的ではないが、例えば、分子量1,000〜5,000の重合体のことをいう。また、ウレタンポリマーで表されるポリマーとは、例えば、分子量5,000以上の重合体のことをいい、好ましくは分子量5,000〜10,000の化合物のことをいう。
ここで、本発明におけるウレタンオリゴマーで表されるオリゴマーとは、限定的ではないが、例えば、分子量1,000〜5,000の重合体のことをいう。また、ウレタンポリマーで表されるポリマーとは、例えば、分子量5,000以上の重合体のことをいい、好ましくは分子量5,000〜10,000の化合物のことをいう。
上記一般式で表される繰り返し単位において、R1〜R3はそれぞれ独立して、アルキレン基、アリーレン基又はビアリーレン基を表し、R4〜R6はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
上記アルキレン基としては、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましい。
上記アリーレン基としては、フェニレン基又はナフチレン基が好ましい。
上記ビアリーレン基としては、ビフェニレン基又はビナフチレン基が好ましい。
上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
上記アリール基としては、フェニル基又はナフチル基が好ましい。
上記へテロアリール基としては、ピリジル基が好ましい。
上記アリーレン基としては、フェニレン基又はナフチレン基が好ましい。
上記ビアリーレン基としては、ビフェニレン基又はビナフチレン基が好ましい。
上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
上記アリール基としては、フェニル基又はナフチル基が好ましい。
上記へテロアリール基としては、ピリジル基が好ましい。
上記一般式(1)で表されるウレタンポリマー又はオリゴマーとしては、UN−1225(根上工業製)、CN962、CN965(Sartomer製)等を好ましく使用することができる。
後述するインク組成物(樹脂インク)中におけるウレタンポリマー又はオリゴマーの含有量は、インクの全質量に対して、3質量%以上含有することが好ましい。インク中におけるウレタンポリマー又はオリゴマーのより好ましい含有量としては、5質量%以上80質量%以下であり、更に好ましくは、8質量%以上70質量%以下の範囲内であり、特に好ましくは、10質量%以上60質量%以下の範囲内である。
<ラジカル重合開始剤>
本発明の前駆体膜は、上述した硬化性化合物としてラジカル重合性化合物を用いる場合は、ラジカル重合開始剤が含まれることが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。ラジカル重合開始剤については、特開2008−134585号公報の段落[0141]〜[0159]にも記載されており、本発明においても同様に好適に用いることができる。
「最新UV硬化技術」{(株)技術情報協会}(1991年)、p.159、及び、「紫外線硬化システム」加藤清視著(平成元年、総合技術センター発行)、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の「イルガキュア651」、「イルガキュア184」、「イルガキュア819」、「イルガキュア907」、「イルガキュア1870」(CGI−403/Irg184=7/3混合開始剤)、「イルガキュア500」、「イルガキュア369」、「イルガキュア1173」、「イルガキュア2959」、「イルガキュア4265」、「イルガキュア4263」、「イルガキュア127」、“OXE01”等;日本化薬(株)製の「カヤキュアーDETX−S」、「カヤキュアーBP−100」、「カヤキュアーBDMK」、「カヤキュアーCTX」、「カヤキュアーBMS」、「カヤキュアー2−EAQ」、「カヤキュアーABQ」、「カヤキュアーCPTX」、「カヤキュアーEPD」、「カヤキュアーITX」、「カヤキュアーQTX」、「カヤキュアーBTC」、「カヤキュアーMCA」など;サートマー社製の“Esacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KTO46,KT37,KIP150,TZT)”、BASF製の「Lucirin TPO」等、及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
本発明の前駆体膜は、上述した硬化性化合物としてラジカル重合性化合物を用いる場合は、ラジカル重合開始剤が含まれることが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。ラジカル重合開始剤については、特開2008−134585号公報の段落[0141]〜[0159]にも記載されており、本発明においても同様に好適に用いることができる。
「最新UV硬化技術」{(株)技術情報協会}(1991年)、p.159、及び、「紫外線硬化システム」加藤清視著(平成元年、総合技術センター発行)、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の「イルガキュア651」、「イルガキュア184」、「イルガキュア819」、「イルガキュア907」、「イルガキュア1870」(CGI−403/Irg184=7/3混合開始剤)、「イルガキュア500」、「イルガキュア369」、「イルガキュア1173」、「イルガキュア2959」、「イルガキュア4265」、「イルガキュア4263」、「イルガキュア127」、“OXE01”等;日本化薬(株)製の「カヤキュアーDETX−S」、「カヤキュアーBP−100」、「カヤキュアーBDMK」、「カヤキュアーCTX」、「カヤキュアーBMS」、「カヤキュアー2−EAQ」、「カヤキュアーABQ」、「カヤキュアーCPTX」、「カヤキュアーEPD」、「カヤキュアーITX」、「カヤキュアーQTX」、「カヤキュアーBTC」、「カヤキュアーMCA」など;サートマー社製の“Esacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KTO46,KT37,KIP150,TZT)”、BASF製の「Lucirin TPO」等、及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、硬化性化合物100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトン及びチオキサントンなどを挙げることができる。更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製の「カヤキュアー(DMBI,EPA)」などが挙げられる。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製の「カヤキュアー(DMBI,EPA)」などが挙げられる。
本発明に用いうるカチオン重合性化合物としては、光酸発生剤から発生する酸により重合反応を開始し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、光カチオン重合性モノマーとして知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。カチオン重合性モノマーとしては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
また、カチオン重合性化合物としては、例えば、カチオン重合系の光硬化性樹脂に適用される重合性化合物が知られており、最近では400nm以上の可視光波長域に増感された光カチオン重合系の光硬化性樹脂に適用される重合性化合物として、例えば、特開平6−43633号、特開平8−324137号の各公報等に公開されている。これらも本発明のインク組成物に適用することができる。
本発明において、上記のカチオン重合性化合物と併用するカチオン重合開始剤(光酸発生剤)としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。
本発明に好適なカチオン重合開始剤の例を以下に挙げる。
即ち、第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C6F5)4 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、CF3SO3 -塩を挙げることができる。第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げる
ことができる。第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができる。第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
上記カチオン重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に好適なカチオン重合開始剤の例を以下に挙げる。
即ち、第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C6F5)4 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、CF3SO3 -塩を挙げることができる。第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げる
ことができる。第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができる。第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
上記カチオン重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<熱伝導性フィラー>
本発明の前駆体膜は、上述した通り、中層領域に熱伝導性フィラーを含有しているのが好ましい。なお、中層領域以外(特に、下層領域)においても、本発明の効果を阻害しない限り、熱伝導性フィラーを含有していてもよい。
本発明の前駆体膜は、上述した通り、中層領域に熱伝導性フィラーを含有しているのが好ましい。なお、中層領域以外(特に、下層領域)においても、本発明の効果を阻害しない限り、熱伝導性フィラーを含有していてもよい。
熱伝導性フィラーとしては、具体的には、例えば、アルミナ、シリカ、窒化アルミ、窒化硼素、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化マグネシウム、銅粉、銀粉、亜鉛粉、ニッケル粉、アルミ粉、金粉、鉄粉、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、低価格で汎用性が高く、導電膜の導電性がより高くなる理由から、銅粉および/またはカーボンブラックを用いるのが好ましい。
これらのうち、低価格で汎用性が高く、導電膜の導電性がより高くなる理由から、銅粉および/またはカーボンブラックを用いるのが好ましい。
熱伝導性フィラーは、熱伝導性フィラーを含有する溶液をインクジェット用インクとして用い、印刷法により配線等のパターン形成を行うことが容易となる理由から、平均粒子径が5nm〜1000nmであることが好ましく、5nm〜500nmであることがより好ましく、5nm〜200nmであることが更に好ましい。
後述するインク組成物(金属インク)中における熱伝導性フィラーの含有量は、該インク組成物を含むインクがインクジェット法に使用可能な範囲であれば特に制限されるものではないが、インクジェット適性の点から、1〜70質量%であることが好ましく、3〜50質量%であることが更に好ましく、5〜40質量%であることが特に好ましい。
<溶媒>
本発明の前駆体膜は、後述する製造方法に示すように、上述した酸化銅粒子および硬化性化合物ならびに任意のラジカル重合剤および熱伝導性フィラーとともに、溶媒を混合したインク組成物として調製するのが好ましい。
ここで、インク組成物は、前駆体膜における上述した組成傾斜を容易に形成する観点から、酸化銅粒子と任意の熱伝導性フィラーと溶媒とを混合するインク組成物(以下、「金属インク」とも略す。)と、硬化性化合物と任意のラジカル重合剤と溶媒とを混合するインク組成物(以下、「樹脂インク」とも略す。)とを別々に調製するのが好ましい。
本発明の前駆体膜は、後述する製造方法に示すように、上述した酸化銅粒子および硬化性化合物ならびに任意のラジカル重合剤および熱伝導性フィラーとともに、溶媒を混合したインク組成物として調製するのが好ましい。
ここで、インク組成物は、前駆体膜における上述した組成傾斜を容易に形成する観点から、酸化銅粒子と任意の熱伝導性フィラーと溶媒とを混合するインク組成物(以下、「金属インク」とも略す。)と、硬化性化合物と任意のラジカル重合剤と溶媒とを混合するインク組成物(以下、「樹脂インク」とも略す。)とを別々に調製するのが好ましい。
溶媒としては、水、有機溶媒から適宜選択して用いることができ、沸点が50℃以上の液体であることが好ましく、沸点が60℃〜300℃の範囲の有機溶媒であることがより好ましい。
溶媒は、インク組成物中の固形分濃度が1〜50質量%となる割合で用いることが好ましい。更には、5〜40質量%が好ましい。この範囲において、得られるインクは作業性良好な粘度の範囲となる。
溶媒は、インク組成物中の固形分濃度が1〜50質量%となる割合で用いることが好ましい。更には、5〜40質量%が好ましい。この範囲において、得られるインクは作業性良好な粘度の範囲となる。
溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エステル類、ニトリル類、アミド類、エーテル類、エーテルエステル類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。具体的には、具体的には、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、クレゾール等)、ケトン(例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エステル(例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、乳酸エチル等)、脂肪族炭化水素(例えばヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例えばメチレンクロライド、メチルクロロホルム等)、芳香族炭化水素(例えばトルエン、キシレン等)、アミド(例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン等)、エーテル(例えばジオキサン、テトラハイドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等)、エーテルアルコール(例えば1−メトキシ−2−プロパノール、エチルセルソルブ、メチルカルビノール等)、フルオロアルコール類(例えば、特開平8−143709号公報 段落番号[0020]、同11−60807号公報 段落番号[0037]等に記載の化合物)が挙げられる。
これらの溶媒は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。好ましい溶媒としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、イソプロパノール、ブタノールが挙げられる。
これらの溶媒は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。好ましい溶媒としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、イソプロパノール、ブタノールが挙げられる。
<添加剤>
本発明に用いるインク組成物には、上述した酸化銅粒子および硬化性化合物ならびに任意のラジカル重合剤および熱伝導性フィラー以外に、錯化剤、分散剤、表面張力調整剤、防汚剤、耐水性付与剤、耐薬品性付与剤等の他の添加剤を含むことができる。
金属インクには、錯化剤及び分散剤を用いることが好ましい。錯化剤としては、酢酸及びクエン酸等のカルボン酸類や、アセチルアセトン等のジケトン類、トリエタノールアミン等のアミン類等が挙げられる。また、分散剤としては、ステアリルアミン、ラウリルアミン等のアミン類等が挙げられる。
本発明に用いるインク組成物には、上述した酸化銅粒子および硬化性化合物ならびに任意のラジカル重合剤および熱伝導性フィラー以外に、錯化剤、分散剤、表面張力調整剤、防汚剤、耐水性付与剤、耐薬品性付与剤等の他の添加剤を含むことができる。
金属インクには、錯化剤及び分散剤を用いることが好ましい。錯化剤としては、酢酸及びクエン酸等のカルボン酸類や、アセチルアセトン等のジケトン類、トリエタノールアミン等のアミン類等が挙げられる。また、分散剤としては、ステアリルアミン、ラウリルアミン等のアミン類等が挙げられる。
〔前駆体膜の製造方法〕
前駆体膜の製造方法は特に限定されず、例えば、基材上に上述した金属インクおよび樹脂インクを塗布して、必要に応じて加熱処理を行い、前駆体膜を形成する方法が好適に挙げられる。
前駆体膜の製造方法は特に限定されず、例えば、基材上に上述した金属インクおよび樹脂インクを塗布して、必要に応じて加熱処理を行い、前駆体膜を形成する方法が好適に挙げられる。
<基材>
使用される基材の種類は特に制限されず、前駆体膜を支持するものであればその種類は特に制限されない。基材を構成する材料としては、例えば、樹脂、紙、ガラス、シリコン系半導体、化合物半導体、金属酸化物、金属窒化物、木材、またはこれらの複合物が挙げられる。
より具体的には、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート)、ポリアセタール樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、セルロース誘導体等の樹脂基材;非塗工印刷用紙、微塗工印刷用紙、塗工印刷用紙(アート紙、コート紙)、特殊印刷用紙、コピー用紙(PPC用紙)、未晒包装紙(重袋用両更クラフト紙、両更クラフト紙)、晒包装紙(晒クラフト紙、純白ロール紙)、コートボール、チップボール、段ボール等の紙基材;ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、シリカガラス、石英ガラス等のガラス基材;アモルファスシリコン、ポリシリコン等のシリコン系半導体基材;CdS、CdTe、GaAs等の化合物半導体基材;銅板、鉄板、アルミ板等の金属基材;アルミナ、サファイア、ジルコニア、チタニア、酸化イットリウム、酸化インジウム、ITO(インジウム錫酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、ネサ(酸化錫)、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、フッ素ドープ酸化錫、酸化亜鉛、AZO(アルミドープ酸化亜鉛)、ガリウムドープ酸化亜鉛、窒化アルミニウム基材、炭化ケイ素等のその他無機基材;紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、紙−ポリエステル樹脂等の紙−樹脂複合物、ガラス布−エポキシ樹脂、ガラス布−ポリイミド系樹脂、ガラス布−フッ素樹脂等のガラス−樹脂複合物等の複合基材等が挙げられる。
使用される基材の種類は特に制限されず、前駆体膜を支持するものであればその種類は特に制限されない。基材を構成する材料としては、例えば、樹脂、紙、ガラス、シリコン系半導体、化合物半導体、金属酸化物、金属窒化物、木材、またはこれらの複合物が挙げられる。
より具体的には、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート)、ポリアセタール樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、セルロース誘導体等の樹脂基材;非塗工印刷用紙、微塗工印刷用紙、塗工印刷用紙(アート紙、コート紙)、特殊印刷用紙、コピー用紙(PPC用紙)、未晒包装紙(重袋用両更クラフト紙、両更クラフト紙)、晒包装紙(晒クラフト紙、純白ロール紙)、コートボール、チップボール、段ボール等の紙基材;ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、シリカガラス、石英ガラス等のガラス基材;アモルファスシリコン、ポリシリコン等のシリコン系半導体基材;CdS、CdTe、GaAs等の化合物半導体基材;銅板、鉄板、アルミ板等の金属基材;アルミナ、サファイア、ジルコニア、チタニア、酸化イットリウム、酸化インジウム、ITO(インジウム錫酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、ネサ(酸化錫)、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、フッ素ドープ酸化錫、酸化亜鉛、AZO(アルミドープ酸化亜鉛)、ガリウムドープ酸化亜鉛、窒化アルミニウム基材、炭化ケイ素等のその他無機基材;紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、紙−ポリエステル樹脂等の紙−樹脂複合物、ガラス布−エポキシ樹脂、ガラス布−ポリイミド系樹脂、ガラス布−フッ素樹脂等のガラス−樹脂複合物等の複合基材等が挙げられる。
<塗布>
基材上に金属インクおよび樹脂インクを塗布する方法は特に制限されず、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法などが挙げられる。
より具体的には、金属インクと樹脂インクとをそれぞれ独立したコーティング用組成物として基材上に塗布する方法(以後、「第1の方法」とも称する)と、金属インクと樹脂インクとを混合してなる混合組成物を基材上に塗布する方法(以後、「第2の方法」とも称する)が好適に挙げられる。
以下に、インクジェット法を用いた第1の方法および第2の方法について詳述する。
基材上に金属インクおよび樹脂インクを塗布する方法は特に制限されず、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法などが挙げられる。
より具体的には、金属インクと樹脂インクとをそれぞれ独立したコーティング用組成物として基材上に塗布する方法(以後、「第1の方法」とも称する)と、金属インクと樹脂インクとを混合してなる混合組成物を基材上に塗布する方法(以後、「第2の方法」とも称する)が好適に挙げられる。
以下に、インクジェット法を用いた第1の方法および第2の方法について詳述する。
(第1の方法)
第1の方法は、金属インクと樹脂インクとの両者の塗布量の比率を調節しながら、同時に塗布して基材上で混合させる方法である。つまり、基材上に塗布される金属インクの量と樹脂インクの量との比率を決定する制御工程と、決定された比率に従って、金属インクおよび/または樹脂インクを基材上に塗布して1つの層を形成する形成工程と、形成工程を繰り返して基材上に上記層を複数層積層して上述した前駆体膜を得る積層工程とを備え、制御工程において、複数層の厚み方向において基材に近い層から遠い層に向かって、金属インクの比率が大きくなり、かつ、樹脂インクの比率が小さくなるように比率を決定する方法である。このような方法を実施することにより、上述した組成傾斜を有する前駆体膜を形成することができる。
第1の方法は、金属インクと樹脂インクとの両者の塗布量の比率を調節しながら、同時に塗布して基材上で混合させる方法である。つまり、基材上に塗布される金属インクの量と樹脂インクの量との比率を決定する制御工程と、決定された比率に従って、金属インクおよび/または樹脂インクを基材上に塗布して1つの層を形成する形成工程と、形成工程を繰り返して基材上に上記層を複数層積層して上述した前駆体膜を得る積層工程とを備え、制御工程において、複数層の厚み方向において基材に近い層から遠い層に向かって、金属インクの比率が大きくなり、かつ、樹脂インクの比率が小さくなるように比率を決定する方法である。このような方法を実施することにより、上述した組成傾斜を有する前駆体膜を形成することができる。
上記第1の方法をインクジェット法により実施した態様を、図2を用いて説明する。
まず、ステージ22上に基材16を載置する。ステージ22は、通常、基材16よりも広い幅寸法を有しており、図示しない移動機構により水平方向に自在に移動可能に構成されている。移動機構としては、ラックアンドピニオン機構、ボールネジ機構などが挙げられる。また、図示しないステージ制御部により移動機構を制御して、ステージ22を所望の位置に移動させることができる。
次に、基材16に向かって樹脂インクを吐出するインクジェットヘッド24から樹脂インクを1層または数層分積層して第1層(下層領域)15を形成する。この樹脂インクの積層は、図2(A)に示すように、移動機構によりステージ22を移動させながら(図では左方向に移動)、インクジェットヘッド24から樹脂インクを吐出する。なお、図2(A)においては、金属インクを吐出させず、樹脂インクの吐出量が100%となる好適態様を示しているが、例えば、金属インクの吐出量を10%程度とし、樹脂インクの吐出量を90%程度とする態様であってもよい。
吐出終了後、必要に応じて、第1層15を加熱する工程を実施してもよい。加熱処理を施すことにより、溶媒を除去することができる。例えば、樹脂インクの吐出終了後、25〜250℃(より好ましくは、80〜230℃)の環境温度に一定時間保持することが好ましい。
まず、ステージ22上に基材16を載置する。ステージ22は、通常、基材16よりも広い幅寸法を有しており、図示しない移動機構により水平方向に自在に移動可能に構成されている。移動機構としては、ラックアンドピニオン機構、ボールネジ機構などが挙げられる。また、図示しないステージ制御部により移動機構を制御して、ステージ22を所望の位置に移動させることができる。
次に、基材16に向かって樹脂インクを吐出するインクジェットヘッド24から樹脂インクを1層または数層分積層して第1層(下層領域)15を形成する。この樹脂インクの積層は、図2(A)に示すように、移動機構によりステージ22を移動させながら(図では左方向に移動)、インクジェットヘッド24から樹脂インクを吐出する。なお、図2(A)においては、金属インクを吐出させず、樹脂インクの吐出量が100%となる好適態様を示しているが、例えば、金属インクの吐出量を10%程度とし、樹脂インクの吐出量を90%程度とする態様であってもよい。
吐出終了後、必要に応じて、第1層15を加熱する工程を実施してもよい。加熱処理を施すことにより、溶媒を除去することができる。例えば、樹脂インクの吐出終了後、25〜250℃(より好ましくは、80〜230℃)の環境温度に一定時間保持することが好ましい。
次に、第1層15上に、樹脂インクと金属インクとの混合層である第2層(中層領域)14を形成する。この第2層14の形成は、図2(B)に示すように、ステージ22を移動させながら、インクジェットヘッド24から樹脂インクを吐出し、同時にインクジェットヘッド26から金属インクを吐出して行う。このとき、樹脂インクの吐出量と金属インクの吐出量を、所望の比率に調整する。なお、図2(B)においては、金属インクの吐出量が50%、樹脂インクの吐出量が50%となる好適態様を示しているが、例えば、金属インクの吐出量を75%程度とし、樹脂インクの吐出量を25%程度とする態様であってもよい。
なお、各ノズルからの吐出量の調整は、描画のドットピッチ密度によって調整してもよい。例えば、インクジェットヘッド24とインクジェットヘッド26の各ノズルの吐出量を一定としたまま、インクジェットヘッド24の数とインクジェットヘッド26の数とを50:50となるように制御することにより、吐出量の比率の調整を行うことも可能である。
なお、各ノズルからの吐出量の調整は、描画のドットピッチ密度によって調整してもよい。例えば、インクジェットヘッド24とインクジェットヘッド26の各ノズルの吐出量を一定としたまま、インクジェットヘッド24の数とインクジェットヘッド26の数とを50:50となるように制御することにより、吐出量の比率の調整を行うことも可能である。
金属インクおよび樹脂インクの吐出後、図2(C)に示すように、それぞれの吐出量で吐出された金属インクおよび樹脂インクが拡散混合することにより、混合層である第2層14が積層される。
吐出終了後、必要に応じて、第2層14を加熱する工程を実施してもよい。加熱処理を施すことにより、溶媒を除去できると共に、酸化銅粒子同士を融着させることができる。例えば、吐出終了後、25〜250℃(より好ましくは、80〜230℃)の環境温度に一定時間保持することが好ましい。
吐出終了後、必要に応じて、第2層14を加熱する工程を実施してもよい。加熱処理を施すことにより、溶媒を除去できると共に、酸化銅粒子同士を融着させることができる。例えば、吐出終了後、25〜250℃(より好ましくは、80〜230℃)の環境温度に一定時間保持することが好ましい。
次に、第2層14上に、金属インクを吐出するインクジェットヘッド26から金属インクを1層または数層分積層して第3層(上層領域)13を形成する。この金属インクの積層は、図2(C)に示すように、移動機構によりステージ22を移動させながら(図では左方向に移動)、インクジェットヘッド26から金属インクを吐出する。なお、図2(C)においては、樹脂インクを吐出させず、金属インクの吐出量が100%となる好適態様を示しているが、例えば、樹脂インクの吐出量を10%程度とし、金属インクの吐出量を90%程度とする態様であってもよい。
吐出終了後、必要に応じて、第3層13を加熱する工程を実施してもよい。加熱処理を施すことにより、溶媒を除去できると共に、酸化銅粒子同士を融着させることができる。例えば、金属インクの吐出終了後、25〜250℃(より好ましくは、80〜230℃)の環境温度に一定時間保持することが好ましい。
吐出終了後、必要に応じて、第3層13を加熱する工程を実施してもよい。加熱処理を施すことにより、溶媒を除去できると共に、酸化銅粒子同士を融着させることができる。例えば、金属インクの吐出終了後、25〜250℃(より好ましくは、80〜230℃)の環境温度に一定時間保持することが好ましい。
(第2の方法)
第2の方法は、予め金属インクと樹脂インクとを混合させた混合組成物で両者の比率が異なるものを複数種類調製したものを用意して、その比率の異なる混合組成物を順次塗布する方法である。つまり、金属インクと樹脂インクとの混合比率の異なる複数の混合組成物を用意する調製工程と、樹脂インクの比率の高い混合組成物から順に選択して、選択された混合組成物を絶縁基板上に塗布して1つの層を形成する形成工程と、形成工程を繰り返して絶縁基板上に上記層を複数層積層して上述した配線層を得る積層工程とを備える方法である。このような方法を実施することにより、上述した組成傾斜を有する前駆体膜を形成することができる。
第2の方法は、予め金属インクと樹脂インクとを混合させた混合組成物で両者の比率が異なるものを複数種類調製したものを用意して、その比率の異なる混合組成物を順次塗布する方法である。つまり、金属インクと樹脂インクとの混合比率の異なる複数の混合組成物を用意する調製工程と、樹脂インクの比率の高い混合組成物から順に選択して、選択された混合組成物を絶縁基板上に塗布して1つの層を形成する形成工程と、形成工程を繰り返して絶縁基板上に上記層を複数層積層して上述した配線層を得る積層工程とを備える方法である。このような方法を実施することにより、上述した組成傾斜を有する前駆体膜を形成することができる。
上記第2の方法をインクジェット法により実施した場合を、図3を用いて説明する。
まず、ステージ22上に基材16を載置する。
次に、絶縁基板12に向かって樹脂インクを吐出するインクジェットヘッド24から樹脂インクを1層または数層分積層して第1層15を形成する。樹脂インクの積層は、第1の方法と同様に、移動機構によりステージ22を移動させながら(図では左方向に移動)、インクジェットヘッド24から樹脂インクを吐出する。
吐出終了後、必要に応じて、第1層15を加熱する工程を実施してもよい。加熱処理を施すことにより、溶媒を除去することができる。例えば、樹脂インクの吐出終了後、25〜250℃(より好ましくは、80〜230℃)の環境温度に一定時間保持することが好ましい。
まず、ステージ22上に基材16を載置する。
次に、絶縁基板12に向かって樹脂インクを吐出するインクジェットヘッド24から樹脂インクを1層または数層分積層して第1層15を形成する。樹脂インクの積層は、第1の方法と同様に、移動機構によりステージ22を移動させながら(図では左方向に移動)、インクジェットヘッド24から樹脂インクを吐出する。
吐出終了後、必要に応じて、第1層15を加熱する工程を実施してもよい。加熱処理を施すことにより、溶媒を除去することができる。例えば、樹脂インクの吐出終了後、25〜250℃(より好ましくは、80〜230℃)の環境温度に一定時間保持することが好ましい。
次に、インクジェットヘッド25から、混合組成物(例えば、樹脂インクと金属インクとの混合比率が50:50の混合組成物)を第1層15上に吐出して、混合層である第2層14を形成する。混合組成物の積層は、第1の方法と同様に、移動機構によりステージ22を移動させながら(図では左方向に移動)、インクジェットヘッド25から混合組成物を吐出する。
吐出終了後、必要に応じて、第2層14を加熱する工程を実施してもよい。加熱処理を施すことにより、溶媒を除去できると共に、酸化銅粒子同士を融着させることができる。例えば、吐出終了後、25〜250℃(より好ましくは、80〜230℃)の環境温度に一定時間保持することが好ましい。
吐出終了後、必要に応じて、第2層14を加熱する工程を実施してもよい。加熱処理を施すことにより、溶媒を除去できると共に、酸化銅粒子同士を融着させることができる。例えば、吐出終了後、25〜250℃(より好ましくは、80〜230℃)の環境温度に一定時間保持することが好ましい。
次に、インクジェットヘッド26から、金属インクを第2層14上に吐出して、第3層13を形成する。金属インクの積層は、第1の方法と同様に、移動機構によりステージ22を移動させながら(図では左方向に移動)、インクジェットヘッド26から金属インクを吐出する。
吐出終了後、必要に応じて、第3層13を加熱する工程を実施してもよい。加熱処理を施すことにより、溶媒を除去できると共に、酸化銅粒子同士を融着させることができる。例えば、吐出終了後、25〜250℃(より好ましくは、80〜230℃)の環境温度に一定時間保持することが好ましい。
吐出終了後、必要に応じて、第3層13を加熱する工程を実施してもよい。加熱処理を施すことにより、溶媒を除去できると共に、酸化銅粒子同士を融着させることができる。例えば、吐出終了後、25〜250℃(より好ましくは、80〜230℃)の環境温度に一定時間保持することが好ましい。
上記第1の方法および第2の方法に関してはインクジェット法を使用した態様について詳述したが、インクジェット法の代わりに他の方法(例えば、スクリーン印刷法、ディスペンサー法など)を使用して、同様の手順で配線層を作製してもよい。
〔導電膜およびその製造方法〕
本発明の導電膜は、金属銅を含有する導電膜であり、上述した本発明の前駆体膜に対して後述する還元処理(工程)を施すことにより、製造することができる。
そのため、本発明の導電膜は、上述した酸化銅粒子が還元された金属銅および上述した硬化性化合物が硬化した樹脂を有し、第1主面から全体厚みの1/3に相当する深さ位置までの上層領域に存在する金属銅の含有割合が、第1主面から全体厚みの2/3に相当する深さ位置から第2主面までの下層領域に存在する金属銅の含有割合よりも多く、上層領域に存在する樹脂の含有割合が、下層領域に存在する樹脂の含有割合よりも少ない、導電膜となる。
このような構成(組成傾斜)を有する本発明の導電膜は、上述した通り、導電性が高く、基材との密着性も良好となる。
本発明の導電膜は、金属銅を含有する導電膜であり、上述した本発明の前駆体膜に対して後述する還元処理(工程)を施すことにより、製造することができる。
そのため、本発明の導電膜は、上述した酸化銅粒子が還元された金属銅および上述した硬化性化合物が硬化した樹脂を有し、第1主面から全体厚みの1/3に相当する深さ位置までの上層領域に存在する金属銅の含有割合が、第1主面から全体厚みの2/3に相当する深さ位置から第2主面までの下層領域に存在する金属銅の含有割合よりも多く、上層領域に存在する樹脂の含有割合が、下層領域に存在する樹脂の含有割合よりも少ない、導電膜となる。
このような構成(組成傾斜)を有する本発明の導電膜は、上述した通り、導電性が高く、基材との密着性も良好となる。
ここで、本発明の前駆体膜における組成傾斜と同様、上層領域における金属銅および樹脂の総質量に対する金属銅の質量割合(以下、「金属銅の含有率」という。)は、導電性がより高くなる理由から、50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましく、実質的に100質量%(99.8〜100質量%)であることが更に好ましい。また、下層領域における金属銅の含有率は、基材との密着性がより良好となる理由から、50%未満であることが好ましく、30%未満であることがより好ましく、実質的に0%(0〜0.2%)であることが更に好ましい。
一方、上層領域における金属銅および樹脂の総質量に対する樹脂の質量割合(以下、「樹脂の含有率」という。)は、導電性がより高くなる理由から、50%未満であることが好ましく、30%未満であることがより好ましく、実質的に0%(0〜0.2%)であることが更に好ましい。また、下層領域における樹脂の含有率は、基材との密着性がより良好となる理由から、50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましく、実質的に100質量%(99.8〜100質量%)であることが更に好ましい。
ここで、各領域における金属銅および樹脂の含有率は、例えば、XPSの深さ方向プロファイルにより求めることができる。
一方、上層領域における金属銅および樹脂の総質量に対する樹脂の質量割合(以下、「樹脂の含有率」という。)は、導電性がより高くなる理由から、50%未満であることが好ましく、30%未満であることがより好ましく、実質的に0%(0〜0.2%)であることが更に好ましい。また、下層領域における樹脂の含有率は、基材との密着性がより良好となる理由から、50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましく、実質的に100質量%(99.8〜100質量%)であることが更に好ましい。
ここで、各領域における金属銅および樹脂の含有率は、例えば、XPSの深さ方向プロファイルにより求めることができる。
本発明においては、導電性がより高く、基材との密着性がより良好となる理由から、第1主面Aから第2主面Bに向かって、金属銅の含有割合が漸減し、かつ、樹脂の含有割合が漸増しているのが好ましい。
また、本発明においては、導電性がより高くなる理由から、上層領域のボイド率(空隙率)が25%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましい。
ここで、ボイド率は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影した断面観察写真をデジタル処理にて白・黒二値化し、白と黒のドット数比から算出することができる。
ここで、ボイド率は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影した断面観察写真をデジタル処理にて白・黒二値化し、白と黒のドット数比から算出することができる。
導電膜の膜厚は特に制限されず、使用される用途に応じて適宜最適な層厚が調整される。なかでも、プリント配線基板用途の点からは、0.01〜1000μmが好ましく、0.1〜100μmがより好ましい。
ここで、膜厚は、導電膜の任意の点における厚みを3箇所以上測定し、その値を算術平均して得られる値(平均値)である。
ここで、膜厚は、導電膜の任意の点における厚みを3箇所以上測定し、その値を算術平均して得られる値(平均値)である。
また、導電膜の体積抵抗値は、導電特性の点から、1×10-3Ωcm未満が好ましく、1×10-4Ωcm未満がより好ましく、0.5×10-5Ωcm未満がさらに好ましい。
ここで、体積抵抗値は、導電層の表面抵抗値を四探針法にて測定後、得られた表面抵抗値に層厚を乗算することで算出することができる。
ここで、体積抵抗値は、導電層の表面抵抗値を四探針法にて測定後、得られた表面抵抗値に層厚を乗算することで算出することができる。
導電膜は、基材の全面、または、パターン状に設けられてもよい。パターン状の導電層は、プリント配線基板などの導体配線(配線)として有用である。
パターン状の導電層を得る方法としては、上記前駆体膜をパターン状に基材上に配置させ、後述する還元処理を行う方法や、基材全面に設けられた導電膜をパターン状にエッチングする方法などが挙げられる。
エッチングの方法は特に制限されず、公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法などを採用できる。
パターン状の導電層を得る方法としては、上記前駆体膜をパターン状に基材上に配置させ、後述する還元処理を行う方法や、基材全面に設けられた導電膜をパターン状にエッチングする方法などが挙げられる。
エッチングの方法は特に制限されず、公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法などを採用できる。
パターン状の導電膜を多層配線基板として構成する場合、パターン状の導電膜の表面に、さらに絶縁層(絶縁樹脂層、層間絶縁膜、ソルダーレジスト)を積層して、その表面にさらなる配線(金属パターン)を形成してもよい。
絶縁層の材料は特に制限されないが、例えば、エポキシ樹脂、アラミド樹脂、結晶性ポリオレフィン樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂、フッ素含有樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、全フッ素化ポリイミド、全フッ素化アモルファス樹脂など)、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶樹脂など挙げられる。
これらの中でも、密着性、寸法安定性、耐熱性、電気絶縁性等の観点から、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、または液晶樹脂を含有するものであることが好ましく、より好ましくはエポキシ樹脂である。具体的には、味の素ファインテクノ(株)製、ABF GX−13などが挙げられる。
これらの中でも、密着性、寸法安定性、耐熱性、電気絶縁性等の観点から、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、または液晶樹脂を含有するものであることが好ましく、より好ましくはエポキシ樹脂である。具体的には、味の素ファインテクノ(株)製、ABF GX−13などが挙げられる。
また、配線保護のために用いられる絶縁層の材料の一種であるソルダーレジストについては、例えば、特開平10−204150号公報や、特開2003−222993号公報等に詳細に記載され、ここに記載の材料を所望により本発明にも適用することができる。ソルダーレジストは市販品を用いてもよく、具体的には、例えば、太陽インキ製造(株)製PFR800、PSR4000(商品名)、日立化成工業(株)製 SR7200G、などが挙げられる。
導電膜は、種々の用途に使用することができる。例えば、プリント配線基板、TFT、FPC、RFIDなどが挙げられる。
<還元処理(還元工程)>
上記還元処理(還元工程)は、本発明の前駆体膜に対して、加熱処理および/または光照射処理を施し、酸化銅粒子を還元して金属銅とする処理工程である。
具体的には、加熱処理および/または光照射処理を施すことにより、酸化銅粒子中の酸化銅が還元され、さらに焼結されて金属銅が得られる。より具体的には、上加熱処理および/または光照射処理を施すことにより、酸化銅粒子が還元されて得られる塗膜中の金属銅粒子同士が互いに融着してグレインを形成し、さらにグレイン同士が接着・融着して薄膜を形成する。
なお、この還元処理により、前駆体膜を構成する硬化性化合物も硬化され、三次元架橋された樹脂となる。
上記還元処理(還元工程)は、本発明の前駆体膜に対して、加熱処理および/または光照射処理を施し、酸化銅粒子を還元して金属銅とする処理工程である。
具体的には、加熱処理および/または光照射処理を施すことにより、酸化銅粒子中の酸化銅が還元され、さらに焼結されて金属銅が得られる。より具体的には、上加熱処理および/または光照射処理を施すことにより、酸化銅粒子が還元されて得られる塗膜中の金属銅粒子同士が互いに融着してグレインを形成し、さらにグレイン同士が接着・融着して薄膜を形成する。
なお、この還元処理により、前駆体膜を構成する硬化性化合物も硬化され、三次元架橋された樹脂となる。
加熱処理の条件は、使用される硬化性化合物の種類によって適宜最適な条件が選択される。なかでも、短時間で、導電性により優れる導電膜を形成することができる点で、加熱温度は100〜300℃が好ましく、150〜250℃がより好ましく、また、加熱時間は5〜120分が好ましく、10〜60分がより好ましい。
なお、加熱手段は特に制限されず、オーブン、ホットプレート等公知の加熱手段を用いることができる。
本発明では、比較的低温の加熱処理により導電膜の形成が可能であり、従って、プロセスコストが安いという利点を有する。
なお、加熱手段は特に制限されず、オーブン、ホットプレート等公知の加熱手段を用いることができる。
本発明では、比較的低温の加熱処理により導電膜の形成が可能であり、従って、プロセスコストが安いという利点を有する。
光照射処理は、上述した加熱処理とは異なり、室温にて塗膜が付与された部分に対して光を短時間照射することで酸化銅の還元および焼結が可能となり、長時間の加熱による基材の劣化が起こらず、導電膜の基材との密着性がより良好となる。なお、光照射した際には、酸化銅粒子が光を吸収して、熱に変換し、形成された金属銅同士の融着が進行する。
光照射処理で使用される光源は特に制限されず、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
具体的な態様としては、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光、赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
具体的な態様としては、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光、赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
光照射は、フラッシュランプによる光照射が好ましく、フラッシュランプによるパルス光照射であることがより好ましい。高エネルギーのパルス光の照射は、塗膜を付与した部分の表面を、極めて短い時間で集中して加熱することができるため、基材への熱の影響を極めて小さくすることができる。
パルス光の照射エネルギーとしては、1〜100J/cm2が好ましく、1〜30J/cm2がより好ましく、パルス幅としては1μ秒〜100m秒が好ましく、10μ秒〜10m秒がより好ましい。パルス光の照射時間は、1〜100m秒が好ましく、1〜50m秒がより好ましく、1〜20m秒が更に好ましい。
パルス光の照射エネルギーとしては、1〜100J/cm2が好ましく、1〜30J/cm2がより好ましく、パルス幅としては1μ秒〜100m秒が好ましく、10μ秒〜10m秒がより好ましい。パルス光の照射時間は、1〜100m秒が好ましく、1〜50m秒がより好ましく、1〜20m秒が更に好ましい。
上記加熱処理および光照射処理は、単独で実施してもよく、両者を同時に実施してもよい。また、一方の処理を施した後、さらに他方の処理を施してもよい。
上記加熱処理および光照射処理を実施する雰囲気は特に制限されず、大気雰囲気下、不活性雰囲気下、または還元性雰囲気下などが挙げられる。なお、不活性雰囲気とは、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、窒素等の不活性ガスで満たされた雰囲気であり、また、還元性雰囲気とは、水素、一酸化炭素等の還元性ガスが存在する雰囲気を指す。
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
<樹脂インクA1の調製>
以下の各成分を以下の質量で2Lの容器へ投入し、シルバーソン高速撹拌機にて液温40℃以下を保ち、20分撹拌した。その後、2μmのフィルターにて濾過し、樹脂インクA1を調製した。
(樹脂インクA1の組成)
・N−ビニルカプロラクタム(SIGMA−ALDRICHI製) 50g
・ジプロピレングリコールジアクリレート(Akcros社製) 40g
・IRGACURE 184(チバスペシャリティーケミカル社製) 4g
・Lucirin TPO(BASF製) 6g
<樹脂インクA1の調製>
以下の各成分を以下の質量で2Lの容器へ投入し、シルバーソン高速撹拌機にて液温40℃以下を保ち、20分撹拌した。その後、2μmのフィルターにて濾過し、樹脂インクA1を調製した。
(樹脂インクA1の組成)
・N−ビニルカプロラクタム(SIGMA−ALDRICHI製) 50g
・ジプロピレングリコールジアクリレート(Akcros社製) 40g
・IRGACURE 184(チバスペシャリティーケミカル社製) 4g
・Lucirin TPO(BASF製) 6g
<金属インクB1の調製>
60gのジルコニアビーズとともに、以下の各成分を以下の質量で200mlのポリ容器に投入及び密封し、ペイントシェイカー分散機(東洋精機社製)にて30分間分散させ、その後、2μmのフィルターにて濾過し、金属インクB1を調製した。
(金属インクB1の組成)
・CuOナノ粒子(平均粒子径50nm、関東化学社製) 10g
・ポリビニルピロリドン(Mw:60000、東京化成社製) 0.6g
・イオン交換水(和光純薬社製) 10g
60gのジルコニアビーズとともに、以下の各成分を以下の質量で200mlのポリ容器に投入及び密封し、ペイントシェイカー分散機(東洋精機社製)にて30分間分散させ、その後、2μmのフィルターにて濾過し、金属インクB1を調製した。
(金属インクB1の組成)
・CuOナノ粒子(平均粒子径50nm、関東化学社製) 10g
・ポリビニルピロリドン(Mw:60000、東京化成社製) 0.6g
・イオン交換水(和光純薬社製) 10g
<導電パターンの形成>
透明PET基材(膜厚150μm、富士フイルム社製)上に、下記インクジェット描画法Xにより、厚さ10μmの組成傾斜膜からなる導電パターン(線幅100μm)を形成し、以下に示す方法により、導電パターンの基材との密着性、導電性、パターン形成およびボイド率を評価し、組成傾斜を確認した。これらの結果を下記第1表に示す。
透明PET基材(膜厚150μm、富士フイルム社製)上に、下記インクジェット描画法Xにより、厚さ10μmの組成傾斜膜からなる導電パターン(線幅100μm)を形成し、以下に示す方法により、導電パターンの基材との密着性、導電性、パターン形成およびボイド率を評価し、組成傾斜を確認した。これらの結果を下記第1表に示す。
(インクジェット描画法X)
図4に示すようなインクタンク1およびインクタンク2に、調製した金属インクB1および樹脂インクA1をそれぞれ充填した。インクジェットヘッド1およびインクジェットヘッド2に供給されるインクは、それぞれ金属インクB1および樹脂インクA1である。
はじめに、インクジェットヘッド2からの吐出されるインク滴の液適量を10pL、液滴径が30μmとなるように制御し、窒素ガス雰囲気中でインクジェットヘッド2から樹脂インクA1を吐出させた。ここで、インクジェットヘッド1からは金属インクB1を吐出させないで(即ち、インクジェットヘッド2から吐出するインクの吐出量とインクジェットヘッド1から吐出するインクの吐出量の比(質量%)が100:0)としてインク層1を形成し、80℃30秒間乾燥し、半硬化させた。具体的には、全硬化に与えるエネルギーよりも少ないエネルギー(メタルハライドランプ使用で、積算露光量1000mJ/cm2)で硬化を行った。
続いて、インクジェットヘッド2から吐出するインクの吐出量と、インクジェットヘッド1から吐出するインクの吐出量の比(質量%)を75:25(インク層2)、50:50(インク層3)、25:75(インク層4)、0:100(インク層5)と変化させて積層と半硬化を繰り返し、組成傾斜膜からなる前駆体膜を形成した。
次いで、形成した前駆体膜を全硬化(キセノンフラッシュランプ使用で、積算露光量5000mJ/cm2)させ、酸化銅粒子を還元させ、焼結させることにより、組成傾斜膜からなる導電パターン(導電膜)を形成した。
ここで、インク層2形成時のインクジェットヘッド1から吐出させる金属インクB1のインク滴の液適量は5pL、液滴径を20μmとし、インクジェットヘッド2から吐出させる樹脂インクA1のインク滴の液適量は10pL、液滴径を30μmとした。インク層3形成時には、金属インクB1のインク滴の液適量は10pL、液滴径を30μmとし、樹脂インクA1のインク滴の液適量は10pL、液滴径を30μmとした。インク層4形成時には、金属インクB1のインク滴の液適量は10pL、液滴径を30μmとし、樹脂インクA1のインク滴の液適量は5pL、液滴径を20μmとした。インク層5形成時には、金属インクB1のインク滴の液適量は10pL、液滴径を30μmとした。また、全硬化後のインク層1〜5の膜厚はそれぞれ2μmとなるようにした。
図4に示すようなインクタンク1およびインクタンク2に、調製した金属インクB1および樹脂インクA1をそれぞれ充填した。インクジェットヘッド1およびインクジェットヘッド2に供給されるインクは、それぞれ金属インクB1および樹脂インクA1である。
はじめに、インクジェットヘッド2からの吐出されるインク滴の液適量を10pL、液滴径が30μmとなるように制御し、窒素ガス雰囲気中でインクジェットヘッド2から樹脂インクA1を吐出させた。ここで、インクジェットヘッド1からは金属インクB1を吐出させないで(即ち、インクジェットヘッド2から吐出するインクの吐出量とインクジェットヘッド1から吐出するインクの吐出量の比(質量%)が100:0)としてインク層1を形成し、80℃30秒間乾燥し、半硬化させた。具体的には、全硬化に与えるエネルギーよりも少ないエネルギー(メタルハライドランプ使用で、積算露光量1000mJ/cm2)で硬化を行った。
続いて、インクジェットヘッド2から吐出するインクの吐出量と、インクジェットヘッド1から吐出するインクの吐出量の比(質量%)を75:25(インク層2)、50:50(インク層3)、25:75(インク層4)、0:100(インク層5)と変化させて積層と半硬化を繰り返し、組成傾斜膜からなる前駆体膜を形成した。
次いで、形成した前駆体膜を全硬化(キセノンフラッシュランプ使用で、積算露光量5000mJ/cm2)させ、酸化銅粒子を還元させ、焼結させることにより、組成傾斜膜からなる導電パターン(導電膜)を形成した。
ここで、インク層2形成時のインクジェットヘッド1から吐出させる金属インクB1のインク滴の液適量は5pL、液滴径を20μmとし、インクジェットヘッド2から吐出させる樹脂インクA1のインク滴の液適量は10pL、液滴径を30μmとした。インク層3形成時には、金属インクB1のインク滴の液適量は10pL、液滴径を30μmとし、樹脂インクA1のインク滴の液適量は10pL、液滴径を30μmとした。インク層4形成時には、金属インクB1のインク滴の液適量は10pL、液滴径を30μmとし、樹脂インクA1のインク滴の液適量は5pL、液滴径を20μmとした。インク層5形成時には、金属インクB1のインク滴の液適量は10pL、液滴径を30μmとした。また、全硬化後のインク層1〜5の膜厚はそれぞれ2μmとなるようにした。
<導電パターンの評価>
(密着性)
形成した導電膜に対し、クロスハッチテスト(EN ISO2409)を実施した。評価基準については、ISO2409に準拠し、結果は0〜5点の点数評価で示した。
(密着性)
形成した導電膜に対し、クロスハッチテスト(EN ISO2409)を実施した。評価基準については、ISO2409に準拠し、結果は0〜5点の点数評価で示した。
(導電性)
形成した導電膜を、Loresta MP MCP−T350(三菱化学社製)にて体積抵抗率を測定し、結果は下記基準にて評価した。
5:体積抵抗率:5×10−6Ω・m以下
4:体積抵抗率:5×10−6Ω・mより大きく1×10−5Ω・m以下
3:体積抵抗率:1×10−5Ω・mより大きく1×10−4Ω・m以下
2:体積抵抗率:1×10−4Ω・mより大きく1×10−2Ω・m以下
1:体積抵抗率:1×10−2Ω・mより大きい
形成した導電膜を、Loresta MP MCP−T350(三菱化学社製)にて体積抵抗率を測定し、結果は下記基準にて評価した。
5:体積抵抗率:5×10−6Ω・m以下
4:体積抵抗率:5×10−6Ω・mより大きく1×10−5Ω・m以下
3:体積抵抗率:1×10−5Ω・mより大きく1×10−4Ω・m以下
2:体積抵抗率:1×10−4Ω・mより大きく1×10−2Ω・m以下
1:体積抵抗率:1×10−2Ω・mより大きい
(パターン形状)
形成した導電膜(導電パターン)における直線性を目視評価して、下記評価基準の限度見本により評価を実施した。
4:線の両幅が直線であり、100μm±5μm以内の線幅を再現
3:線の両幅にジグザグが残る、線幅は100μm±10μm以内の線幅を再現
2:線の両幅にジグザグが顕著、線幅は100μm±20μm以内の線幅を再現
1:線の両幅にジグザグが顕著、かつ線幅は不均一で、部分的にバルジが発生
形成した導電膜(導電パターン)における直線性を目視評価して、下記評価基準の限度見本により評価を実施した。
4:線の両幅が直線であり、100μm±5μm以内の線幅を再現
3:線の両幅にジグザグが残る、線幅は100μm±10μm以内の線幅を再現
2:線の両幅にジグザグが顕著、線幅は100μm±20μm以内の線幅を再現
1:線の両幅にジグザグが顕著、かつ線幅は不均一で、部分的にバルジが発生
(ボイド率)
形成した導電膜を集束イオンビーム(FIB、SMI3050R(エスアイアイ・ナノテクノロジー製)により断面加工し、走査型電子顕微鏡(SEM:日立ハイテクノロジーズ製 S−5500)を用いて断面観察写真を撮影した。ここで、断面観察写真で観察した断面とは、基材に対して垂直方向の断面のことを指す。得られた断面観察写真を画像ソフト(Adobe Systems,Inc.製“Adobe Photoshop”)にて閾値を調整して銅が存在する白の領域と、空隙が存在する黒の領域とに二値化し、断面全体の面積に対する黒の領域(空隙)の面積の割合を下記式より算出し、これをボイド率とした。
ボイド率(%)=(黒の領域の面積/断面全体の面積)×100
形成した導電膜を集束イオンビーム(FIB、SMI3050R(エスアイアイ・ナノテクノロジー製)により断面加工し、走査型電子顕微鏡(SEM:日立ハイテクノロジーズ製 S−5500)を用いて断面観察写真を撮影した。ここで、断面観察写真で観察した断面とは、基材に対して垂直方向の断面のことを指す。得られた断面観察写真を画像ソフト(Adobe Systems,Inc.製“Adobe Photoshop”)にて閾値を調整して銅が存在する白の領域と、空隙が存在する黒の領域とに二値化し、断面全体の面積に対する黒の領域(空隙)の面積の割合を下記式より算出し、これをボイド率とした。
ボイド率(%)=(黒の領域の面積/断面全体の面積)×100
(組成傾斜)
形成した導電膜の断面における上層領域および下層領域の各領域について、X線光電子分光装置(島津製作所社製)を用いて元素分析を行い、Cu(酸化銅由来)とC(硬化性化合物由来)との組成比を算出した。その結果を下記第1表に示す。
また、形成した導電膜の断面の全域について、同様の元素分析を行ったところ、第1主面から第2主面に向かって、Cu(酸化銅由来)の含有割合が漸減し、C(硬化性化合物由来)の含有割合が漸増していることが確認できた。
なお、同様の試験を全硬化前の前駆体膜についても行ったところ、導電膜におけるCuとCとの組成比と同様の結果であった。
形成した導電膜の断面における上層領域および下層領域の各領域について、X線光電子分光装置(島津製作所社製)を用いて元素分析を行い、Cu(酸化銅由来)とC(硬化性化合物由来)との組成比を算出した。その結果を下記第1表に示す。
また、形成した導電膜の断面の全域について、同様の元素分析を行ったところ、第1主面から第2主面に向かって、Cu(酸化銅由来)の含有割合が漸減し、C(硬化性化合物由来)の含有割合が漸増していることが確認できた。
なお、同様の試験を全硬化前の前駆体膜についても行ったところ、導電膜におけるCuとCとの組成比と同様の結果であった。
〔実施例2〕
実施例1で用いた樹脂インクA1と金属インクB1とを混合したインクG1(混合比(質量%)A1:B1=75:25)、G2(混合比(質量%)A1:B1=50:50)、G3(混合比(質量%)A1:B1=25:75)を作製し、A1及びB1を含めた5種のインクをそれぞれ計5個のプリントヘッドを用い、透明PET基材(膜厚150μm、富士フイルム社製)上にA1(最下層)、G1、G2、G3、B1(最上層)の順にて、下記のインクジェット描画法Yにより膜厚が10μmの組成傾斜膜(線幅100μm)からなる導電パターンを形成した。形成した導電パターンについて、実施例1と同様の方法により、基材との密着性、導電性、パターン形成およびボイド率を評価し、組成傾斜を確認した。これらの結果を下記第1表に示す。
また、形成した導電膜の断面の全域について、X線光電子分光装置(島津製作所社製)を用いて元素分析を行ったところ、インクジェット描画法Yによっても、第1主面から第2主面に向かって、Cu(酸化銅由来)の含有割合が漸減し、C(硬化性化合物由来)の含有割合が漸増していることが確認できた。
実施例1で用いた樹脂インクA1と金属インクB1とを混合したインクG1(混合比(質量%)A1:B1=75:25)、G2(混合比(質量%)A1:B1=50:50)、G3(混合比(質量%)A1:B1=25:75)を作製し、A1及びB1を含めた5種のインクをそれぞれ計5個のプリントヘッドを用い、透明PET基材(膜厚150μm、富士フイルム社製)上にA1(最下層)、G1、G2、G3、B1(最上層)の順にて、下記のインクジェット描画法Yにより膜厚が10μmの組成傾斜膜(線幅100μm)からなる導電パターンを形成した。形成した導電パターンについて、実施例1と同様の方法により、基材との密着性、導電性、パターン形成およびボイド率を評価し、組成傾斜を確認した。これらの結果を下記第1表に示す。
また、形成した導電膜の断面の全域について、X線光電子分光装置(島津製作所社製)を用いて元素分析を行ったところ、インクジェット描画法Yによっても、第1主面から第2主面に向かって、Cu(酸化銅由来)の含有割合が漸減し、C(硬化性化合物由来)の含有割合が漸増していることが確認できた。
(インクジェット描画法Y)
図5に示すようなインクタンク60−1〜60−5にインクA1、G1、G2、G3、B1をそれぞれ充填した。インクジェットヘッド50−1〜50−5に供給されるインクは、それぞれインクA1、G1、G2、G3、B1である。
はじめにインクジェットヘッド50−1よりインクA1を、インクジェットヘッドから吐出されるインク滴の液滴量を10pL、液滴径が30μmとなるように制御しながら、窒素ガス雰囲気中で吐出させた。
このように形成したインクA1層を、半硬化させた。具体的には、全硬化に与えるエネルギーよりも少ないエネルギー(メタルハライドランプ使用で、積算露光量1000mJ/cm2)で硬化を行った。
次に、インクジェットヘッド50−2から同様にインクG1を吐出し、インクG1層を積層、半硬化させた。これを、インクG2、G3、B1についても繰り返し、積層と半硬化を繰り返し、組成傾斜膜からなる前駆体膜を形成した。
次いで、形成した前駆体膜を全硬化(キセノンフラッシュランプ使用で、積算露光量5000mJ/cm2)させ、酸化銅粒子を還元させ、焼結させることにより、組成傾斜膜からなる導電パターン(導電膜)を形成した。
なお、全硬化後のインク層A1、G1、G2、G3、B1の膜厚はそれぞれ2μmとなるようにした。
図5に示すようなインクタンク60−1〜60−5にインクA1、G1、G2、G3、B1をそれぞれ充填した。インクジェットヘッド50−1〜50−5に供給されるインクは、それぞれインクA1、G1、G2、G3、B1である。
はじめにインクジェットヘッド50−1よりインクA1を、インクジェットヘッドから吐出されるインク滴の液滴量を10pL、液滴径が30μmとなるように制御しながら、窒素ガス雰囲気中で吐出させた。
このように形成したインクA1層を、半硬化させた。具体的には、全硬化に与えるエネルギーよりも少ないエネルギー(メタルハライドランプ使用で、積算露光量1000mJ/cm2)で硬化を行った。
次に、インクジェットヘッド50−2から同様にインクG1を吐出し、インクG1層を積層、半硬化させた。これを、インクG2、G3、B1についても繰り返し、積層と半硬化を繰り返し、組成傾斜膜からなる前駆体膜を形成した。
次いで、形成した前駆体膜を全硬化(キセノンフラッシュランプ使用で、積算露光量5000mJ/cm2)させ、酸化銅粒子を還元させ、焼結させることにより、組成傾斜膜からなる導電パターン(導電膜)を形成した。
なお、全硬化後のインク層A1、G1、G2、G3、B1の膜厚はそれぞれ2μmとなるようにした。
〔実施例3〜11〕
金属インクB1および樹脂インクA1が含有する金属及び硬化性化合物を下記第1表に記載のものに置き換え、その他は実施例1と同様の方法で、膜厚が10μmの組成傾斜膜(線幅100μm)からなる導電パターンを形成した。形成した各導電パターンについて、実施例1と同様の方法により、基材との密着性、導電性、パターン形成およびボイド率を評価し、組成傾斜を確認した。これらの結果を下記第1表に示す。なお、下記第1表中、樹脂インク構成材料におけるモノマー材料等の質量%とは、開始剤等を含めた樹脂インクの総質量に対するモノマー材料等の質量%を示す。
金属インクB1および樹脂インクA1が含有する金属及び硬化性化合物を下記第1表に記載のものに置き換え、その他は実施例1と同様の方法で、膜厚が10μmの組成傾斜膜(線幅100μm)からなる導電パターンを形成した。形成した各導電パターンについて、実施例1と同様の方法により、基材との密着性、導電性、パターン形成およびボイド率を評価し、組成傾斜を確認した。これらの結果を下記第1表に示す。なお、下記第1表中、樹脂インク構成材料におけるモノマー材料等の質量%とは、開始剤等を含めた樹脂インクの総質量に対するモノマー材料等の質量%を示す。
〔実施例12〕
下記組成の樹脂インクA9を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚が10μmの組成傾斜膜(線幅100μm)からなる導電パターンを形成した。形成した導電パターンについて、実施例1と同様の方法により、基材との密着性、導電性、パターン形成およびボイド率を評価し、組成傾斜を確認した。これらの結果を下記第1表に示す。
(樹脂インクA9の組成)
・N−ビニルカプロラクタム(SIGMA−ALDRICHI製) 50g
・ジプロピレングリコールジアクリレート(Akcros社製) 35g
・IRGACURE 184(チバスペシャリティーケミカル社製) 4g
・Lucirin TPO(BASF製) 6g
・カーボンブラック(三菱化学社製) 5g
下記組成の樹脂インクA9を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚が10μmの組成傾斜膜(線幅100μm)からなる導電パターンを形成した。形成した導電パターンについて、実施例1と同様の方法により、基材との密着性、導電性、パターン形成およびボイド率を評価し、組成傾斜を確認した。これらの結果を下記第1表に示す。
(樹脂インクA9の組成)
・N−ビニルカプロラクタム(SIGMA−ALDRICHI製) 50g
・ジプロピレングリコールジアクリレート(Akcros社製) 35g
・IRGACURE 184(チバスペシャリティーケミカル社製) 4g
・Lucirin TPO(BASF製) 6g
・カーボンブラック(三菱化学社製) 5g
〔実施例13〕
下記組成の樹脂インクA10を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚が10μmの組成傾斜膜(線幅100μm)からなる導電パターンを形成した。形成した導電パターンについて、実施例1と同様の方法により、基材との密着性、導電性、パターン形成およびボイド率を評価し、組成傾斜を確認した。これらの結果を下記第1表に示す。
(樹脂インクA10の組成)
・ウレタンオリゴマーUN−1225(根上工業社製) 50g
・シクロヘキサノン(和光純薬社製) 450g
下記組成の樹脂インクA10を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚が10μmの組成傾斜膜(線幅100μm)からなる導電パターンを形成した。形成した導電パターンについて、実施例1と同様の方法により、基材との密着性、導電性、パターン形成およびボイド率を評価し、組成傾斜を確認した。これらの結果を下記第1表に示す。
(樹脂インクA10の組成)
・ウレタンオリゴマーUN−1225(根上工業社製) 50g
・シクロヘキサノン(和光純薬社製) 450g
〔実施例14〕
前駆体膜に対して、赤外線ランプ(アルバック社製)を用い、不活性ガス(アルゴンガス)雰囲気下、150℃で30分間加熱することにより、酸化銅粒子を還元させた以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚が10μmの組成傾斜膜(線幅100μm)からなる導電パターンを形成した。形成した導電パターンについて、実施例1と同様の方法により、基材との密着性、導電性、パターン形成およびボイド率を評価し、組成傾斜を確認した。これらの結果を下記第1表に示す。
前駆体膜に対して、赤外線ランプ(アルバック社製)を用い、不活性ガス(アルゴンガス)雰囲気下、150℃で30分間加熱することにより、酸化銅粒子を還元させた以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚が10μmの組成傾斜膜(線幅100μm)からなる導電パターンを形成した。形成した導電パターンについて、実施例1と同様の方法により、基材との密着性、導電性、パターン形成およびボイド率を評価し、組成傾斜を確認した。これらの結果を下記第1表に示す。
〔実施例15〕
前駆体膜に対して、マイクロ波プラズマ(Micro Labo-PS、ニッシン社製)を用い、還元ガス(3%水素含有ヘリウムガス)雰囲気下、150℃で10分間加熱することにより、酸化銅粒子を還元させた以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚が10μmの組成傾斜膜(線幅100μm)からなる導電パターンを形成した。形成した導電パターンについて、実施例1と同様の方法により、基材との密着性、導電性、パターン形成およびボイド率を評価し、組成傾斜を確認した。これらの結果を下記第1表に示す。
前駆体膜に対して、マイクロ波プラズマ(Micro Labo-PS、ニッシン社製)を用い、還元ガス(3%水素含有ヘリウムガス)雰囲気下、150℃で10分間加熱することにより、酸化銅粒子を還元させた以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚が10μmの組成傾斜膜(線幅100μm)からなる導電パターンを形成した。形成した導電パターンについて、実施例1と同様の方法により、基材との密着性、導電性、パターン形成およびボイド率を評価し、組成傾斜を確認した。これらの結果を下記第1表に示す。
<比較例1>
実施例1で用いた金属インクB1のみを用いて、透明PET基材(膜厚150μm、富士フイルム社製)上に、1層のみから構成される膜厚が10μmの導電パターン(線幅100μm)をインクジェット描画により形成した。形成した導電パターンについて、実施例1と同様の方法により、基材との密着性、導電性、パターン形状およびボイド率を評価した。これらの結果を下記第1表に示す。なお、比較例1は、樹脂インクを用いておらず、組成傾斜がないことが明らかであるため、X線光電子分光装置を用いた組成傾斜の確認は行わなかった。
実施例1で用いた金属インクB1のみを用いて、透明PET基材(膜厚150μm、富士フイルム社製)上に、1層のみから構成される膜厚が10μmの導電パターン(線幅100μm)をインクジェット描画により形成した。形成した導電パターンについて、実施例1と同様の方法により、基材との密着性、導電性、パターン形状およびボイド率を評価した。これらの結果を下記第1表に示す。なお、比較例1は、樹脂インクを用いておらず、組成傾斜がないことが明らかであるため、X線光電子分光装置を用いた組成傾斜の確認は行わなかった。
<比較例2>
実施例1で用いた金属インクB1および樹脂インクA1をあらかじめ混合し(混合比(質量比)=1:1)、良く撹拌して得られた混合インクE1を用いて、透明PET基材(膜厚150μm、富士フイルム社製)上に、1層のみから構成される膜厚が10μmの導電パターン(線幅100μm)をインクジェット描画により形成した。形成した導電パターンについて、実施例1と同様の方法により、基材との密着性、導電性、パターン形状およびボイド率を評価した。これらの結果を下記第1表に示す。なお、比較例2は、混合インクを用いており、組成傾斜がないことが明らかであるため、X線光電子分光装置を用いた組成傾斜の確認は行わなかった。
実施例1で用いた金属インクB1および樹脂インクA1をあらかじめ混合し(混合比(質量比)=1:1)、良く撹拌して得られた混合インクE1を用いて、透明PET基材(膜厚150μm、富士フイルム社製)上に、1層のみから構成される膜厚が10μmの導電パターン(線幅100μm)をインクジェット描画により形成した。形成した導電パターンについて、実施例1と同様の方法により、基材との密着性、導電性、パターン形状およびボイド率を評価した。これらの結果を下記第1表に示す。なお、比較例2は、混合インクを用いており、組成傾斜がないことが明らかであるため、X線光電子分光装置を用いた組成傾斜の確認は行わなかった。
第1表に示す結果から、実施例1〜15で作製した導電膜は、所定の組成傾斜を有し、基材との密着性、導電性およびパターン形状が良好であった。また、ボイド率も低いことが分かった。
また、実施例1と実施例2との対比から、インクジェット法X(描画混合法)及びインクジェット法Y(インク混合法)により作製した傾斜機能構造を有する導電パターンがいずれも実用上も有効であることが示された。同様に、実施例1と実施例14および15との対比から、光硬化(照射)及び加熱処理により酸化銅粒子を還元して作製した導電パターンがいずれも実用上有効であることが示された。
また、実施例1と実施例3〜8および11との対比から、樹脂インクを構成する硬化性化合物(モノマー)の種類による性能の差は殆ど見られないが、N−ビニルラクタムを含有する樹脂インクを用いると、密着性が良好となることが分かった。これは、上述したように、硬化性化合物の基材との密着性が良好なことに加え、銅粒子との配位相互作用により傾斜膜内の凝集力が向上し強固な膜が形成されていると考えられる。
また、実施例1と実施例12との対比から、熱伝導性フィラーを配合することにより、導電性がより良好となることが分かった。
また、実施例1と実施例2との対比から、インクジェット法X(描画混合法)及びインクジェット法Y(インク混合法)により作製した傾斜機能構造を有する導電パターンがいずれも実用上も有効であることが示された。同様に、実施例1と実施例14および15との対比から、光硬化(照射)及び加熱処理により酸化銅粒子を還元して作製した導電パターンがいずれも実用上有効であることが示された。
また、実施例1と実施例3〜8および11との対比から、樹脂インクを構成する硬化性化合物(モノマー)の種類による性能の差は殆ど見られないが、N−ビニルラクタムを含有する樹脂インクを用いると、密着性が良好となることが分かった。これは、上述したように、硬化性化合物の基材との密着性が良好なことに加え、銅粒子との配位相互作用により傾斜膜内の凝集力が向上し強固な膜が形成されていると考えられる。
また、実施例1と実施例12との対比から、熱伝導性フィラーを配合することにより、導電性がより良好となることが分かった。
一方、比較例1のように、金属インクのみを用いて導電パターンを形成した場合、導電膜は、導電性は良好であるが、基材との密着性およびパターン形状が劣ることが分かった。
また、比較例2のように、金属インクおよび樹脂インクを混合し、組成傾斜のない単一層の導電パターンを形成した場合、比較例1よりも密着性は改善されるが十分ではなく、また、導電性が低くなり、パターン形状も劣ることが分かった。
また、比較例2のように、金属インクおよび樹脂インクを混合し、組成傾斜のない単一層の導電パターンを形成した場合、比較例1よりも密着性は改善されるが十分ではなく、また、導電性が低くなり、パターン形状も劣ることが分かった。
A 第1主面
B 第2主面
10 前駆体膜
11 酸化物粒子
12 硬化性化合物
13 上層領域(第1層)
14 中層領域(第2層)
15 下層領域(第3層)
16 基材
22 ステージ
24,25,26 インクジェットヘッド
100,101 組成傾斜膜作製装置
B 第2主面
10 前駆体膜
11 酸化物粒子
12 硬化性化合物
13 上層領域(第1層)
14 中層領域(第2層)
15 下層領域(第3層)
16 基材
22 ステージ
24,25,26 インクジェットヘッド
100,101 組成傾斜膜作製装置
Claims (7)
- 金属銅を含有する導電膜の形成に用いられる前駆体膜であって、
酸化銅粒子および硬化性化合物を有し、
第1主面から全体厚みの1/3に相当する深さ位置までの上層領域に存在する前記酸化銅粒子の含有割合が、前記第1主面から全体厚みの2/3に相当する深さ位置から第2主面までの下層領域に存在する前記酸化銅粒子の含有割合よりも多く、
前記上層領域に存在する前記硬化性化合物の含有割合が、前記下層領域に存在する前記硬化性化合物の含有割合よりも少ない、前駆体膜。 - 前記第1主面から前記第2主面に向かって、前記酸化銅粒子の含有割合が漸減し、かつ、前記硬化性化合物の含有割合が漸増する請求項1に記載の前駆体膜。
- 前記第1主面から全体厚みの1/3に相当する深さ位置より深く、かつ、前記第1主面から全体厚みの2/3に相当する深さ位置までの中層領域に、熱伝導性フィラーを含有する請求項1または2に記載の前駆体膜。
- 金属銅を含有する導電膜であって、
金属銅および樹脂を有し、
第1主面から全体厚みの1/3に相当する深さ位置までの上層領域に存在する前記金属銅の含有割合が、前記第1主面から全体厚みの2/3に相当する深さ位置から第2主面までの下層領域に存在する前記金属銅の含有割合よりも多く、
前記上層領域に存在する前記樹脂の含有割合が、前記下層領域に存在する前記樹脂の含有割合よりも少ない、導電膜。 - 前記第1主面から前記第2主面に向かって、前記金属の含有割合が漸減し、かつ、前記樹脂の含有割合が漸増する請求項4に記載の導電膜。
- 前記上層領域のボイド率が25%以下である請求項4または5に記載の導電膜。
- 請求項4〜6のいずれかに記載の導電膜を製造する製造方法であって、
請求項1〜3のいずれかに記載の前駆体膜に対して、加熱処理および/または光照射処理を施し、前記酸化銅粒子を還元して金属銅を含有する導電膜を形成する還元工程を有する導電膜の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012249610A JP2014098178A (ja) | 2012-11-13 | 2012-11-13 | 導電膜およびその前駆体膜ならびに導電膜の製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2014098178A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016033941A (ja) * | 2014-07-31 | 2016-03-10 | 古河電気工業株式会社 | 接続構造体およびその製造方法 |
JP2018518399A (ja) * | 2015-03-26 | 2018-07-12 | セントル ナショナル デ ラ ルシェルシュ サイエンティフィーク | 金属ポリマー複合材料 |
JP2019527463A (ja) * | 2016-03-26 | 2019-09-26 | ナノ−ディメンション テクノロジーズ,リミテッド | 3dインクジェット印刷を用いた、シールドされたトラックおよび/または構成要素を有するpcbおよびfpcの製造 |
JP2020508846A (ja) * | 2017-01-31 | 2020-03-26 | サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ サイアンティフィク | 金属層を有する材料及びこの材料を調製するための工程 |
-
2012
- 2012-11-13 JP JP2012249610A patent/JP2014098178A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US10808138B2 (en) | 2015-03-26 | 2020-10-20 | Centre National De La Recherche Scientifique | Metal-polymer composite material |
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