JP2008066568A - 電磁波シールド及び電磁波シールドの製造方法 - Google Patents

電磁波シールド及び電磁波シールドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた電磁波のシールド効果を有するとともに、透光性、電気特性に優れ、かつ簡便に製造することができる透光性の電磁波シールドの製造方法とそれにより得られる電磁波シールドを提供する。
【解決手段】インクジェット記録方式により、導電性微粒子を含有するインクを用いて、支持体上に導電性メッシュ層を形成する電磁波シールドの製造方法において、二種以上のインクを用い、第一のインクAを該支持体上に吐出した後、該インクAの一部に第二のインクBが重なるように吐出し、支持体上で該インクAとインクBとを接触して該導電性メッシュ層を形成することを特徴とする電磁波シールドの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)、CRT(ブラウン管)等の電子機器の表示部から照射される電磁波を効果的に遮蔽し得る透光性電磁波シールドとその製造方法に関するものである。
近年、電気機器から放射される電磁波が人体に与える影響について種々の報告がなされており、それに伴って、CRT等の表示画面から放射される電磁波を遮蔽する技術について関心が高まっている。従来、表示画面から放射される電磁波を遮蔽するには、透明フィルム等の透明基材表面に銅箔等の金属からなるパターンを形成した電磁波シールド部材が用いられている。この電磁波シールド部材には、電磁波のシールド(遮蔽)効果が高い事のほかに、透光性(透視性)や視認性に優れ、視野角が広いことが要求されており、とりわけ次世代の画像表示装置として注目されているPDP用の電磁波シールド部材には、PDPの表示画面から放射される電磁波がCRT等よりも強いことからより一層優れた電磁波シールド特性が求められている。
電磁波のシールド効果の規格としては、スウェーデンのMPRII規格が世界でも最も厳しい規格として知られており、実質上の標準となりつつある。この規格を満たすには、周波数が1〜1000MHzの極めて広い領域において電磁波を十分にカットすることが求められている。
電磁波シールド効果、透光性、視認性、視野角等の各特性を十分に満たす電磁波シールド部材の製造方法として、特開平10−163673号公報や特開平5−16281号公報に、無電解メッキによって透明基材の表面に銅箔層を形成し、フォトリソ法にてレジストパターンを形成した後、エッチングによって銅箔層をパターン化する方法が開示されている。このようにエッチングプロセスによってパターンを形成すれば、非常に微細なパターンを高い精度で形成することができる。しかしながら、メッキにより形成された銅薄層の大部分をエッチングによって除去することになるため、銅材料の無駄が多く、廃液処理に費用がかかるなど、電磁波シールド部材の製造コストが高くなるという問題がある。
特に、PDPは主として大型画面への展開が図られているため、電磁波シールド部材も大型化が求められているが、この場合、フォトリソ法におけるレジストパターン形成用の露光装置や、エッチング処理の装置等を大型化する必要があり、設備投資の面でもコストがかかるのが現状である。
一方、特公平2−48159号公報には、金属粉末と樹脂とを含む導電性ペーストからなる電磁波シールドパターンを、パターン印刷によって透明基材上に形成した電磁波シールド部材が開示されているが、一般に十分な電磁波シールド効果と透光性とを両立することができず、実用化に至っていないのが現状である。例えば、良好な透光性を得るには、パターンの線幅を極めて小さくしてその間隔を大きくする必要があるものの、前記の印刷法では印刷寸法や印刷位置に±20μm程度のばらつきが生じる。また、線幅50μm以下のパターンを印刷すると、パターン線幅のばらつきや断線が生じてしまい、電磁波シールド効果や視認性が低下してしまう。
また、シート基材上にアルミニウム粉末、銀粉末などの導電性粉末を含む導電性ペーストを印刷して導電回路を作成する方法があるが、印刷機を用いて印刷するため、製版が必要であり、大量生産という観点では適性を備えてはいるが、オンデマンドで少量、多品種の注文に応じることが困難である上、導電性ペースト中の導電性粉末同士の接触により導電性が付与されるため、導電性粒子間の接触不足により導電性が不十分となる場合があるという問題があった。
上記課題に対し、フォトリソや印刷法に代わる導電性パターンの形成方法として、機能性材料を含む液体をインクジェット法により基材に直接パターニングする方法が検討されており、例えば、導電性微粒子を分散させた液体(以下、単にインクともいう)をインクジェット記録方式により基板にメッシュ状に形成する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)が、インクジェットヘッドより吐出されたインク液滴が基板上で重なり濡れ拡がる結果、メッシュパターンの線幅が拡大したり、あるいはインク液滴が重ならずメッシュパターンが断線したりする等、電磁波シールド効果、透過率、画面の視認性が低下する問題がある。
これに対し、インク吐出を2段階に分け、所定の配置ピッチでパターンを形成する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)が、インク液滴の拡がり抑制は十分ではなく、また分散媒除去のための乾燥や、基板の表面処理が必要であり、製造コストが高い。
以上のようなインクジェット方式を用いた導電性パターンの形成方法においては、ラインをつなげるため、重ね打ちが必要となる。しかしながら、インクの単なる重ね打ちでは、液滴が重なることで、液滴径が大きくなり、結果、メッシュの線幅の拡大やにじみ等が発生する。これは、基板の透明性低下や画像の鮮鋭性低下を引き起こす。上記課題を改良する方法として、第一パターンの作成で液滴を間隔をあけて出射し、第二パターンの作成で、第一パターンの間に出射し、パターンを一体化させる方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この方法では、第一パターンを作成後、乾燥する必要があり、生産性が低い。また、第一パターンの液滴形状が均一になりにくい。これを補うため、インクを速乾性、あるいは高粘度化し液滴形状を安定化する方法もあるが、インクの保存安定性、インクの出射性が著しく低下する。
また、支持体上にインク受容層を塗布等により設置し、インクを吸収、不溶化する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)が、固液反応であるためインクの不溶化反応が遅く、結果メッシュの細線化が不十分である。また、支持体へのインク受容層設置といった工程が増えることになり、生産性が低下するという問題を抱えており、優れた電磁波シールド効果を有するとともに、透光性、視認性、視野角に優れ、かつ製造コストの低い透光性の電磁波シールドの製造方法の開発が望まれている。
特開2003−318593号公報 特開2005−175468号公報 特許第3578162号公報 特開2005−19535号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、優れた電磁波のシールド効果を有するとともに、透光性、電気特性に優れ、かつ簡便に製造することができる透光性の電磁波シールドの製造方法とそれにより得られる電磁波シールドを提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.インクジェット記録方式により、導電性微粒子を含有するインクを用いて、支持体上に導電性メッシュ層を形成する電磁波シールドの製造方法において、二種以上のインクを用い、第一のインクAを該支持体上に吐出した後、該インクAの一部に第二のインクBが重なるように吐出し、支持体上で該インクAとインクBとを接触して該導電性メッシュ層を形成することを特徴とする電磁波シールドの製造方法。
2.前記第一のインクAが増粘剤を含有し、前記第二のインクBが該増粘剤をゲル化する添加剤を含有することを特徴とする前記1に記載の電磁波シールドの製造方法。
3.前記第一のインクAがカチオン性界面活性剤または多価金属塩を含有し、前記第二のインクBがアニオン性界面活性剤を含有することを特徴とする前記1に記載の電磁波シールドの製造方法。
4.前記第一のインクAがアルカリ可溶性樹脂を含有し、前記第二のインクBが、インク液のpHが3以上、5以下、または金属塩を含有することを特徴とする前記1に記載の電磁波シールドの製造方法。
5.前記第一のインクAがエポキシ基含有化合物を含有し、前記第二のインクBがアミン化合物を含有することを特徴とする前記1に記載の電磁波シールドの製造方法。
6.前記第一のインクAが紫外線硬化性組成物または熱硬化性組成物を含有し、前記第二のインクBが光重合開始剤を含有することを特徴とする前記1に記載の電磁波シールドの製造方法。
7.前記導電性微粒子が、銀ナノ粒子であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の電磁波シールドの製造方法。
8.前記導電性メッシュ層にメッキ処理を施すことを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の電磁波シールドの製造方法。
9.前記1〜8のいずれか1項に記載の電磁波シールドの製造方法により製造されたことを特徴とする電磁波シールド。
本発明により、優れた電磁波のシールド効果を有するとともに、透光性、電気特性に優れ、かつ簡便に製造することができる透光性の電磁波シールドの製造方法とそれにより得られる電磁波シールドを提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、インクジェット記録方式により、導電性微粒子を含有するインクを用いて、支持体上に導電性メッシュ層を形成する電磁波シールドの製造方法において、二種以上のインクを用い、第一のインクAを該支持体上に吐出した後、該インクAの一部に第二のインクBが重なるように吐出し、支持体上で該インクAとインクBとを接触して該導電性メッシュ層を形成することを特徴とする電磁波シールドの製造方法により、優れた電磁波のシールド効果を有するとともに、透光性、電気特性に優れ、かつ簡便に製造することができる透光性の電磁波シールドの製造方法を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
本発明の電磁波シールドの製造方法は、支持体の表面処理や、インク受容層を設けることなく、メッシュラインを細線化することができる。すなわち、複数種のインクを用い、それらの相互作用(硬化反応、凝集作用等)により、出射後のインク液滴を迅速に固定化することで、メッシュラインの細線化、エッジ形状の鮮鋭化、導電性微粒子の架橋密度の向上、生産性向上を達成することができ、更に、これによって、シールド基材の透明度向上、シールド効果の向上、画像の鮮鋭性向上を同時に得ることができた。
以下、本発明の詳細について説明する。
《インクジェット記録方式》
本発明の電磁波シールドの製造方法においては、二種以上のインクを用いて、インクジェット記録装置を用いたインクジェット記録方式を適用して、支持体上に導電性メッシュラインを形成することを特徴とする。更には、線幅が20μm以下の細線パターンを高精度に形成できる観点から、インクジェット記録装置による二種以上のインクの吐出方法が、圧力印加手段と電界印加手段とを用いた方法であることが好ましい。
以下、本発明に好ましく適用できる圧力印加手段と電界印加手段とを用いたインクジェット記録方法について説明する。
一般に、電磁波遮断機能等で要求されている微細な線幅のパターンを高精細に描画するには、インクジェット記録装置から射出するインク液滴を、より微細化する必要がある。しかしながら、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)や電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)のみの出力手段を用いて、極微小インク液滴を吐出した場合、ノズルから吐出したインク液滴に付与される運動エネルギーは、インク液滴の半径の3乗に比例して小さくなるため、微小液滴は空気抵抗に耐えるほどの十分な運動エネルギーを確保できず、空気対流などによる擾乱を受け、正確な着弾が困難となる。さらに、インク液滴が微細になるほど、表面張力の効果が増すために、液滴の蒸気圧が高くなり蒸発量が激しくなる。このため微細液滴は、飛翔中の著しい質量の消失を招き、着弾時に液滴の形態を保つことすら難しいという問題があった。このように着弾位置の高精度化は、インク液滴の微細化と相反する課題であり、これら2つを同時に実現することに対し、障害を抱えていた。
本発明においては、上記課題を解決する方法として、圧力印加手段と電界印加手段とを用いた射出方法を適用することが好ましい。
この射出方法は、0.1〜100μmの内径の吐出口を有するノズルを用い、導電性インクに任意波形の電圧を印加して、この導電性インクを帯電させることにより、そのインク液滴を吐出口から、樹脂層を有するインク受容基材に吐出する方法である。
すなわち、この射出方法は、ノズルの吐出口の内径が0.1〜100μmであり、電界強度分布が狭くなっているため、ノズル内に供給された導電性インクに任意波形の電圧を印加することにより電界を集中させることができる。その結果、形成されるインク液滴を微小で、かつ形状の安定化したものとすることができる。従って、従来よりも微細な、例えば、1pl(ピコリットル)未満の複数のインク液滴からなるインク液滴パターンを樹脂層表面に形成することができる。また、電界強度分布が狭くなっているため、ノズル内の導電性インクに印加する総印加電圧を低減することができる。また、インク液滴は、ノズルから吐出された直後、電界と電荷の間に働く静電力により加速されるが、ノズルから離れると電界は急激に低下するので、その後は、空気抵抗により減速する。しかしながら、微小液滴でかつ電界が集中したインク液滴は、樹脂層に近づくにつれ、鏡像力により加速される。この空気抵抗による減速と鏡像力による加速とのバランスをとることにより、微小液滴を安定に飛翔させ、着弾精度を向上させることが可能となる。
本発明の電磁波シールドの製造方法においては、インクジェットヘッドからの2種以上のインクを支持体に付与する順序としては、インクの表面張力の高いもの(第一のインク)から先に吐出した後、表面張力の低いインク(第二のインク)を付与することにより、先に吐出した第一インクの液滴に一部が重なるように吐出し、両インクが支持体上で混合される。インク1液滴のドット径を基準として1とした場合、第一インクの吐出間隔は0.2〜2.0となるように吐出され、第二インクはドットの重なりが0.1〜0.6となるように吐出される。ドット重なりが、0.1以下では両インクの混合度が低く、発明の効果が低下する。また、ドット重なりが0.6以上では、メッシュライン巾の拡大や生産性の低下を引き起こす。
インクの吐出パターンは、第一のインクを所定の間隔をあけ連続的にラインを作成した後、同ライン上に第二のインクを吐出するパターンと、両インクを交互に吐出しライン作成するパターンに大別できるが、第一のインクの液滴が乾燥し、第二のインクとの混合性が低下、あるいは第一のインクの液滴が拡大しない程度の時間内であれば、インクの吐出パターンは、先に挙げたいずれのパターンでもよく、またその中間的なパターンでもよい。
インクの粘度については、粘度の高いインク、低いインクのいずれが先でもよいが、粘度が高いインクを第一のインクとして先に吐出するほうが、メッシュラインが細線化される点好ましい。
本発明に係るインクジェット記録方式では、2種以上のインクが支持体上で接触、混合されることで良好なメッシュラインが形成される。本発明に係る2種以上のインクが支持体上で混合されると、両インクの会合により、インク成分のゲル化、分散破壊による凝集、あるいは化学反応による増粘、ポリマー化を引き起こし、インク液滴を支持体上に固定化する方法が好ましい。本発明で規定する方法により、メッシュラインの細線化、エッジ形状の鮮鋭化、導電性微粒子の架橋密度の向上、生産性向上を達成でき、さらに、シールド基材の透明度、電磁波シールド効果、画像の鮮鋭性が向上する。
また、上述のインクジェット記録方式でメッシュパターンを形成した後、電磁波シールド効果、ディスプレイの視認性の向上の目的で、メッキ処理を施すことが好ましく、そのため、インクにメッキ用触媒を含むことが好ましい。メッキ処理は、湿式メッキ処理が好ましく、湿式メッキ処理は無電解メッキでも電解メッキでもよく、要求される電磁波シールドの導電性に応じて、適宜選択される。また、両者を併用してもよい。
《インク構成》
本発明の電磁波シールドの製造方法においては、二種以上のインクを用い、第一のインクAを支持体上に吐出した後、該インクAの一部に第二のインクBが重なるように吐出し、支持体上で該インクAとインクBとを接触して該導電性メッシュ層を形成することを特徴とする。
本発明に係る各インクの表面張力は、20mN/m以上、70mN/m以下の範囲に入ることが好ましい。インクジェット記録方式にてインク滴滴を吐出する際、表面張力が20mN/m未満であると、インクのノズル面に対する濡れ性が増大するため、飛行曲がりが生じ易くなり、70mN/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため、吐出量、吐出タイミングの制御が困難になるためである。
また、本発明に係る二種以上のインクの表面張力の差は、3mN/m以上、15mN/m以下が好ましく、5mN/m以上、12mN/m以下がさらに好ましい。表面張力の差が3mN/m未満であると、第一のインクAの液滴に対し、第二のインクBの液滴の濡れ拡がりが小さく、両インクの混合が速やかに進行しない。また、15mN/mを超えると、第二のインクBのみが濡れ拡がり、両インクの混合は進行するが、メッシュラインの形状が凸凹となり、画面の視認性が低下する。
本発明に係る各インクのインクの粘度は、1mPa・s以上、50mPa・s以下であることが好ましい。インクジェット法にて吐出する際、粘度が1mPa・s未満の場合には、ノズル周辺部がインクの流出により汚染されやすく、また、粘度が50mPa・sを超える場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり、円滑な液滴の吐出が困難となるためである。
本発明に係るインクは、導電性微粒子を少なくとも含有するが、この導電性微粒子は、第一のインクA、第二のインクBの双方に含有させることが好ましい。また、本発明に係る第一のインクA、第二のインクBには、その他に、界面活性剤、分散剤、増粘剤、凝集剤、反応性モノマー、紫外線硬化性組成物、黒色顔料、メッキ用触媒を適宜含有することができる。
本発明においては、更には、下記に示す1〜5の構成からなる2種のインクを用いた方法により、導電性メッシュ層を形成することが好ましい。
(1:増粘剤を含有するインクAと増粘剤のゲル化剤を含有するインクB用いた方法)
本発明の電磁波シールドの製造方法においては、第一のインクAが増粘剤を含有し、第二のインクBが該増粘剤をゲル化する添加剤を含有する構成とすることが好ましい。
1項に記載の方法では、第一のインクに、インク液の粘度を高めるための増粘剤を添加し、第二のインクに、該増粘剤と化学的あるいは物理的に作用し、二つのインク液滴が会合した際に増粘作用や凝集作用を呈するゲル化する添加剤を加える方法である。
本発明において、増粘剤として適用可能な化合物としては、インク液の粘度増加作用を呈するものであれば特に制限はないが、水溶性及び油溶性樹脂、多糖類、あるいは分散剤等が好ましい。
多糖類としては、例えば、デキストリン、ゼラチン、セルロース、アルギン酸、ペクチン、キサンタンガム、グアーガム等が挙げられる。
また、樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、メラミン、ポリエステル、ポリアミン、ポリエチレンイミン、ポリエイレングリコール、ポリアニリン、ブロックドイソシアネート、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリエーテル等が挙げられる。
また、分散剤としては、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、ポリリン酸、ポリビニルセルロースなどが挙げられ、例えば、ソルスパース13940、ソルスパース24000SC、ソルスパース28000、ソルスパース32000(以上、アビシア社製品)、フローレンDOPA−15B、フローレンDOPA−17(以上、共栄社化学社製品)、アジスパーPB814、アジスパーPB711(以上、味の素ファインテクノ社製品)などが挙げられる。
ゲル化する化合物としては、上記増粘剤に対しゲル化あるいは凝集作用を備えた化合物であり、特に好ましくは、導電性微粒子の分散状態を破壊し、凝集させることによりゲル化させる凝集剤を用いることが好ましい。
本発明に適用可能な凝集剤としては、金属塩、アンモニウム塩の他に、正または負に帯電した高分子が挙げられる。凝集剤は、先にあげた分散剤や増粘剤と混合されることで凝集を引き起こすものであるが、互いに異なる符合に帯電した凝集剤は、互いに凝集剤として作用することができる。
金属塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属やアルミニウム、亜鉛、鉄等の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等が挙げられ、特に多価金属塩が好ましい。また、正に帯電した高分子としては、例えば、アミン又はアンモニウム塩のオリゴマー、ポリマー等が挙げられる。負に帯電した高分子としては、カルボキシル基、スルホン基等を有するオリゴマー、ポリマーが挙げられ、例えば先に挙げたポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホン酸、これらの共重合物、及びアルギン酸、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
(2:カチオン性界面活性剤または多価金属塩を含有するインクAとアニオン性界面活性剤を含有するインクBを用いた方法)
本発明の電磁波シールドの製造方法においては、第一のインクAがカチオン性界面活性剤または多価金属塩を含有し、第二のインクBがアニオン性界面活性剤を含有する構成とすることが好ましい。
2項に記載の構成では、第一のインクAでは、導電性微粒子とカチオン性界面活性剤または多価金属塩とを共存させて、安定した分散状態を維持し、この第一のインクAに、アニオン性界面活性剤を含有する第二のインクBを会合させることにより、界面活性剤の電荷の相殺による凝集、あるいは多価金属塩による分散状態の破壊による凝集を起こさせ、インク液滴の広がりを防止する方法である。
第一のインクAに適用可能なカチオン性界面活性剤としてはアルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等が挙げられ、例えば、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられる。
また、第一のインクAに適用可能な多価金属塩としては、水溶性多価金属塩であることが好ましく、例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、ストロンチウム、バリウム、ニッケル、銅、スカンジウム、ガリウム、インジウム、チタン、ジルコニウム、スズ、鉛などの金属塩、硫酸塩、硝酸塩、ギ酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩、クロロ酢酸塩、p−トルエンスルホン酸塩といった塩として添加される。また、水溶性の多価金属イオンの塩として、ポリ塩化アルミニウムのような水溶性無機ポリマーを使用してもよい。水溶性は少なくとも0.1質量%を示すものが好ましく、より好ましくは1質量%を示すものである。中でも、アルミニウム、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛からなる水溶性塩はその金属イオンが無色なため好ましい。特に好ましいのは、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛である。
また、第二のインクBに適用可能なアニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホン酸アンモニウム塩、アルキルスルホン酸カリウム塩、アルキルスルホン酸ナトリウム塩等のアルキルスルホン酸塩類;アルキルカルボン酸アンモニウム塩、アルキルカルボン酸ナトリウム塩等のアルキルカルボン酸塩類;アルキルベンゼンスルホン酸類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジアリルスルホン酸塩類、アルキル燐酸エステル類等が挙げられる。
(3:アルカリ可溶性樹脂を含有するインクAとpHが3以上、5以下、または金属塩を含有するインクBを用いた方法)
本発明の電磁波シールドの製造方法においては、第一のインクAがアルカリ可溶性樹脂を含有し、第二のインクBが、インク液のpHが3以上、5以下、または金属塩を含有する構成とすることが好ましい。
3項に記載の方法では、第一のインクAにアルカリ可溶性樹脂を可溶化した状態で存在させ、pHが3以上、5以下、または金属塩を含有する第二のインクBを付与することにより、アルカリ可溶性樹脂を凝集させることにより、インク液滴の広がりを防止する方法である。
第一のインクAに適用可能なアルカリ可溶性樹脂としては、親水性化合物と疎水性化合物との共重合体であるアルカリ可溶性共重合樹脂を使用することができる。アルカリ可溶性共重合樹脂のモノマー化合物である親水性化合物としては、例えば、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、エーテル基、マレイン酸基、無水マレイン酸基などを含む化合物に、スルホン基、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エーテル基、ピロリドン基などの親水基が置換した化合物が用いられる。疎水性化合物としては、例えば、スチレン、アクリル酸エステル、イソブチレンなどが用いられる。アルカリ可溶性共重合樹脂の具体例としては、例えば、スチレン−アクリル酸樹脂、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−マレイン酸ハーフエステル樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、そのほか、水溶性アルキド、水溶性ポリエステル、水溶性ポリアミドなどが挙げられる。
本発明で使用されるアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、3000以上、20000以下であることが好ましい。インクに添加するアルカリ可溶性樹脂の分子量が20000を越える場合には、ヘッドにおける目詰まりの発生頻度が急激に増加し、また、射出時のサテライト発生や吐出液滴量のばらつき等の射出不安定性が増大する。本発明でいう重量平均分子量は、例えば、GPC(ゲル・パーミテーション・クロマトグラフィー)法を用いて測定することができる。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の添加量は、インクの全質量に対して0.1質量%以上、10質量%以下であり、1質量%以上、5%質量%以下であることが特に好ましい。
また、第二のインクBに適用可能な金属塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属やアルミニウム、亜鉛、鉄等の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等が挙げられ、特に、上記2項に記載の第二のインクBで用いる多価金属塩と同様のものが好ましい。
(4:エポキシ基含有化合物を含有するインクAと、アミン化合物を含有するインクBを用いた方法)
本発明の電磁波シールドの製造方法においては、第一のインクAがエポキシ基含有化合物を含有し、第二のインクBがアミン化合物を含有する構成とすることが好ましい。
4項に記載の方法では、第一のインクAにカチオン重合性化合物としてエポキシ基含有化合物を含有させ、エポキシ基含有化合物の重合開始剤であるアミン化合物を含有するインクBと会合させた後、紫外線等の活性エネルギーを照射して、エポキシ基含有化合物を架橋反応によりポリマー化させ、ゲル化、増粘、固化させることで、インク液滴の広がりを防止する方法である。この方法は、後述する5項に記載の紫外線硬化性組成物と光重合開始剤との組み合わせの1種である。
第一のインクAに適用するエポキシ基含有化合物は、反応性の官能基であるエポキシ基官能基を分子構造中に少なくとも二個以上有するものであり、これらの官能基が関与した架橋反応を生じ、樹脂化(すなわち高分子量化)するものである。
エポキシ基含有化合物としては、エポキシ基を有し、エポキシ基と反応可能な官能基を更に有する化合物と、エポキシ基を有するが、エポキシ基と反応可能な官能基を有しない化合物とが挙げられる。ここで、エポキシ基と反応可能な官能基とは、エポキシ基と反応し、その架橋反応を生じさせるものを意味し、例えば、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基などが挙げられる。本発明にあっては、更にエポキシ基と反応可能な官能基を有するエポキシ基含有化合物を用いると、後記するような反応液へのエポキシ硬化剤の添加を省略することが出来る。一方のインクで、エポキシ基と反応可能な官能基を有するエポキシ基含有化合物を用いながら、更に他方のインクにエポキシ硬化剤を添加すると、支持体へ吐出された液滴の固定化速度を更に向上させることが出来る。いずれの利点を得るかは、適宜選択することが出来る。
水溶性エポキシ化合物は、一分子中に、後記するエポキシ硬化剤と反応性のエポキシ基を、好ましくは二個以上含んでなるものであって、典型的には水溶性ジエポキサイドである。水溶性エポキシ化合物の好ましい例としては、ポリエチレングリコールグリシジルエーテルがあげられる。市販のものとしてはエポライト400E(ポリエチレングリコール#400グリシジルエーテル、共栄社化学製)、エポライト200E(ポリエチレングリコール#200グリシジルエーテル、共栄社化学製)、エポライト80MF(グリセリンジグリシジルエーテル、共栄社化学製)、エピオールG−100(グリセリンジクリシジルエーテル、日本油脂株式会社製)、デナコール(ナガセケムテックス株式会社製)があげられる。
本発明に係るインクAにおけるエポキシ基含有化合物の含有量は、インク組成物の1〜10重量%程度が好ましく、より好ましくは1〜5重量%の範囲である。
本発明においては、エポキシ基含有化合物の硬化剤として、インクBにはアミン化合物を含有させる。このアミン化合物は、インクAに含まれるエポキシ基含有化合物とともに、架橋反応により、エポキシ基含有化合物の樹脂化(高分子量化)を促進させる。
本発明において好ましく用いられるアミン化合物は典型的には水溶性である。このようなアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、脂肪族アミン変成物、水溶性ポリアミン等が挙げられ、市販品としては、アルマテックスH700(三井東圧化学株式会社製)、エポキ−H(三井東圧化学株式会社製)が挙げられる。
(5:紫外線硬化型組成物または熱硬化性組成物を含有するインクAと、光重合開始剤を含有するインクBを用いた方法)
本発明の電磁波シールドの製造方法においては、第一のインクAが紫外線硬化性組成物または熱硬化性組成物を含有し、第二のインクBが光重合開始剤を含有する構成とすることが好ましい。
5項に記載の方法によれば、第一のインクAに紫外線硬化性組成物または熱硬化性組成物を含有させ、光重合開始剤を含有するインクBと会合させた後、紫外線等の活性エネルギーあるいは熱エネルギーを照射して、紫外線硬化性組成物または熱硬化性組成物を架橋反応によりポリマー化させ、ゲル化、増粘、固化させることで、インク液滴の広がりを防止する方法である。
第一のインクAに適用可能な紫外線硬化性組成物としては、大別してラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物とが挙げられ、ラジカル重合性化合物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、同10−863号等の各公報に記載の化合物を挙げることができ、カチオン重合性化合物としては、各種公知のカチオン重合性の化合物が使用できる。例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号等の各公報に例示されている前記4項に係るエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物等が挙げられ、5項においては、特に紫外線硬化性組成物としてラジカル重合性化合物を用いることが好ましい。
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を有するものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するため、任意の比率で2種以上を併用してもよい。
紫外線硬化性樹脂としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基などラジカル反応性のエチレン性不飽和結合を含有するアクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂などがあげられ、カルボキシル基、スルフォキシル基などアルカリ可溶性の酸性官能基をポリマーに導入したもの、または、水酸基、(ポリ)エチレングリコール基、塩など親水性官能基をポリマーに導入したものが好ましい。
紫外線硬化性モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基などラジカル反応性のエチレン性不飽和結合を含有するモノマーが挙げられ、カルボキシル基、スルフォキシル基などアルカリ可溶性の酸性官能基、または水酸基、複素環、(ポリ)エチレングリコール鎖、塩など親水性官能基を有するものが好ましい。具体例としては、(メタ)アクリル酸、p−スチレンスルフォン酸、マレイン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、N−アクリロイルフォリン、ビニルカプロラクタム、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、(メタ)アクリル酸ナトリウム、p−スチレンスルフォン酸ナトリウム、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートクロライドなどが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、インクAに適用可能な熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱硬化性ポリアミドイミドなどを挙げることが出来る。
不飽和ポリエステル樹脂としては、例えば、オルソフタル酸系樹脂、イソフタル酸系樹脂、テレフタル酸系樹脂、ビスフェノール系樹脂、プロピレングリコール−マレイン酸系樹脂、ジシクロペンタジエンないしその誘導体を不飽和ポリエステル組成に導入して低分子量化した、或いは被膜形成性のワックスコンパウンドを添加した低スチレン揮発性樹脂、熱可塑性樹脂(ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、ポリスチレン、飽和ポリエステルなど)を添加した低収縮性樹脂、不飽和ポリエステルを直接Br2でブロム化する、或いはヘット酸、ジブロムネオペンチルグリコールを共重合するなどした反応性タイプ、塩素化パラフィン、テトラブロムビスフェノール等のハロゲン化物と三酸化アンチモン、燐化合物の組み合わせや水酸化アルミニウムなどを添加剤として用いる添加タイプの難燃性樹脂、ポリウレタンやシリコーンとハイブリッド化、またはIPN化した強靭性(高強度、高弾性率、高伸び率)の強靭性樹脂等がある。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ノボラックフェノール型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型を含むグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系、グリシジルエステル系、環式脂肪系、複素環式エポキシ系を含む特殊エポキシ樹脂等を挙げることが出来る。
ビニルエステル樹脂としては、例えば、普通エポキシ樹脂とメタクリル酸等の不飽和一塩基酸とを開環付加反応して得られるオリゴマーをスチレン等のモノマーに溶解した物である。また、分子末端や側鎖にビニル基を持ちビニルモノマーを含有する等の特殊タイプもある。グリシジルエーテル系エポキシ樹脂のビニルエステル樹脂としては、例えば、ビスフェノール系、ノボラック系、臭素化ビスフェノール系等があり、特殊ビニルエステル樹脂としてはビニルエステルウレタン系、イソシアヌル酸ビニル系、側鎖ビニルエステル系等がある。
フェノール樹脂は、フェノール類とフォルムアルデヒド類を原料として重縮合して得られ、レゾール型とノボラック型がある。
熱硬化性ポリイミド樹脂としては、例えば、マレイン酸系ポリイミド、例えばポリマレイミドアミン、ポリアミノビスマレイミド、ビスマレイミド・O,O′−ジアリルビスフェノール−A樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂等、またナジック酸変性ポリイミド、及びアセチレン末端ポリイミド等がある。
また、上述した紫外線硬化性組成物の一部も、熱硬化性樹脂として用いることができる。
インクBに適用する光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のアミノアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;又はキサントン類;(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィネイト等のフォスフィンオキサイド類;各種パーオキサイド類などが挙げられ、これらを単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
5項に記載の方法では、インクAとインクBを会合させた後、紫外線を照射させることにより、紫外線硬化性組成物を硬化させる。
本発明で適用可能な紫外線照射光源としては、例えば、数100Paから1MPaまでの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプや紫外域の発光波長を持つキセノンランプ、冷陰極管、熱陰極管、LED等従来公知の物が用いられる。
紫外線の照射条件としては、記録媒体上にインクA及びインクBが着弾した後、0.001〜1.0秒の間に紫外線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.5秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早いことが特に重要となる。
紫外線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、両インクが着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へ紫外線を照射する方法が開示されている。本発明のインクジェット記録方法においては、これらの何れの照射方法も用いることができる。
また、紫外線の照射を2段階に分け、まずインク着弾後0.001〜2.0秒の間に前述の方法で紫外線を照射し、更に紫外線を照射する方法も好ましい態様の1つである。
《各インクのその他の構成要素》
(導電性微粒子)
本発明の電磁波シールドの製造方法においては、導電性微粒子を含有するインクを用いて、支持体上に導電性メッシュ層を形成することを特徴とする。
本発明に係る導電性微粒子は、化学還元法による方法で調製されたものであれば特に限定されず、例えば、分散剤を用いて溶液中に分散させた金属塩(金属イオン)を、何らかの方法により還元させることにより得ることができる。例えば、銀ナノ粒子は、硝酸銀溶液中に還元剤を加えて、銀イオンを還元して製造することができる。還元剤の還元力の強さやその他の反応条件を調整することによって、金属ナノ粒子の粒子径を制御することができる。
本発明に係る導電性微粒子の平均粒子径は、1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜70nmである。平均粒子径が1nm未満であっても、良好な導電性インクは得られるが、一般的にそのような微粒子の製造は製造条件として極めて厳しく、経済性の観点からも実用的でない。また、200nmを超えると、導電性微粒子の分散安定性が経過時間と共に変化しやすい。
上記金属塩としては、適当な溶媒中に溶解でき、何らかの手段で還元できるものであれば、特に限定されず、例えば、硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、酸化銀、酢酸銀、亜硝酸銀、塩素酸銀、硫化銀等の銀塩;塩化金酸、塩化金カリウム、塩化金ナトリウム等の金塩;塩化白金酸、塩化白金、酸化白金、塩化白金酸カリウム等の白金塩;硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、酸化パラジウム、硫酸パラジウム等のパラジウム塩、その他の白金属塩等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記金属塩を還元させる方法としては、特に限定されず、還元剤を用いて還元させてもよく、あるいは紫外線等の光、電子線、熱エネルギーを用いて還元させてもよい。上記還元剤としては、適当な溶媒に溶解し、上記塩類を還元させることができるものであれば特に限定されず、例えば、ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、フェニドン、ヒドラジン等のアミン化合物;水酸化ホウ素ナトリウム、ヨウ化水素、水素ガス等の水素化合物;一酸化炭素、亜硫酸等の酸化物;硫酸第一鉄、塩化鉄、フマル酸鉄、乳酸鉄、シュウ酸鉄、硫化鉄、酢酸錫、塩化錫、二リン酸錫、シュウ酸錫、酸化錫、硫酸錫等の低原子価金属塩;ホルムアルデヒド、ハイドロキノン、ピロガロール、タンニン、タンニン酸、サリチル酸、D−グルコース等の糖等の有機化合物等を挙げることができる。また、これらの化合物を使用する際には、光や熱を加えて還元反応を促進させてもよい。
上記金属塩、分散剤及び還元剤を用いて導電性微粒子を含む溶液を製造する方法としては、例えば、上記金属塩を純水等に溶かして金属塩溶液を調製し、その金属塩溶液を徐々に分散剤と還元剤とが溶解した水溶液中に滴下する方法等を挙げることができる。
上記のようにして得られた導電性微粒子を含む溶液中には、導電性微粒子の他に、還元剤の残留物や分散剤が存在しており、液全体の電解質濃度が高くなっている。このような状態の液は、電導度が高いので、導電性微粒子の凝析が起こり、沈殿しやすい。上記導電性微粒子を含む溶液を洗浄して余分な電解質を取り除くことにより、電導度が10mS/cm以下の導電性微粒子液を得ることができる。
上記洗浄の方法としては、例えば、デカンテーション法、遠心分離、限外濾過装置やイオン交換装置等により脱塩する方法等を挙げることができる。なかでも、脱塩する方法が好ましい。また、脱塩等により電導度を10mS/cm以下とした液は、適宜濃縮してもよい。
また、複数の導電性微粒子からなる混合液を作製する方法としては特に限定されず、例えば、銀とその他の金属とからなる混合液を作製する場合には、上記の方法にて、銀微粒子液とその他の金属の微粒子液とを別々に作製し、その後混合してもよく、銀イオン溶液とその他の金属イオン溶液とを混合し、その後に還元してもよい。
(溶媒)
本発明に係るインクにおいては、溶媒として、水、水性溶媒、非水性溶媒のいずれも使用することができる。
水性溶媒の例としては、好ましくは低沸点有機溶剤であり、その好ましい例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノールなどがあげられる。特に一価アルコールが好ましい。低沸点有機溶剤は、インクの乾燥時間を短くする効果がある。
また、本発明の好ましい態様によれば、水性溶媒はさらに高沸点有機溶媒からなる湿潤剤を含んでなることが好ましい。高沸点有機溶媒剤の好ましい例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類、尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
(界面活性剤)
本発明に係るインクは、上記1〜5項に記載のインクA、インクBの組み合わせで適用する他に、導電性微粒子の調整、分散安定性の向上、インクジェット法による吐出性の向上、支持体上での付着性向上といった目的で、界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の各種界面活性剤が挙げられる。また、先に挙げた有機溶媒も界面活性剤の機能を有し、メタノール、エタノール、iso−プロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルなどを用いることができる。これらの界面活性剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウムヨウ化物のようなアルキルトリメチルアンモニウム塩類が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホン酸アンモニウム塩、アルキルスルホン酸カリウム塩、アルキルスルホン酸ナトリウム塩等のアルキルスルホン酸塩類;アルキルカルボン酸アンモニウム塩、アルキルカルボン酸ナトリウム塩等のアルキルカルボン酸塩類;アルキルベンゼンスルホン酸類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジアリルスルホン酸塩類、アルキル燐酸エステル類等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミノスルホン酸(即ち、アルキルベタイン)類が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルエチレンオキサイド付加物、アルキルエステル類、アルキル基・親水性基含有オリゴマー、アルキル基・親油基含有オリゴマー、アルキル基含有オリゴマー、アルキル基・親油基含有ウレタン、アルキルアミンオキサイド、アルキル基含有シリコーンのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
(分散剤)
本発明に係るインクでは、界面活性剤と同様に、導電性微粒子の調整、分散安定性の向上、インクジェット法による吐出性の向上、支持体上での付着性向上といった目的で、各種分散剤を用いることができる。
分散剤としては、金属に対する親和性基を持つ高分子、界面活性剤、及びこれらの混合物が好ましい。
金属に対する親和性基としては、3級アミノ基、4級アンモニウム基、塩基性窒素原子を持つ複素環基、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、チオール基などが挙げられる。金属に対する親和性基を持つ高分子としては、例えば、(I)金属親和性基を主鎖及び/または複数の側鎖に有し、有機液状媒体及び/またはバインダーに親和性を有する部分を主鎖及び/または複数の側鎖に含む高分子、(II)金属親和性基から形成される金属に親和性を有する部分を主鎖中に複数含む高分子、(III)金属親和性基を主鎖の片末端若しくは両末端に含む高分子などが挙げられる。
このような金属に対する親和性基を持つ高分子の具体例としては、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、ポリリン酸、ポリビニルセルロースなどが挙げられる。これらの中でも、少量でも分散安定性を高めることができる点で、ポリエチレンイミンが好ましい。このような金属に対する親和性基を持つ高分子は、金属粒子への吸着点を分子内に多点有するため、金属微粒子の分散性に優れていると考えられる。
分散剤の例としては、ソルスパース13940、ソルスパース24000SC、ソルスパース28000、ソルスパース32000(以上、アビシア社製品)、フローレンDOPA−15B、フローレンDOPA−17(以上、共栄社化学社製品)、アジスパーPB814、アジスパーPB711(以上、味の素ファインテクノ社製品)などが挙げられる。例えば、ソルスパース24000SCは金属微粒子に対して吸着性の高い元素である窒素を吸着部位として主鎖中に多数有し、側鎖は芳香族類、ケトン類、エステル類などの非水溶媒に対して高い溶解性を有するいわゆる櫛型構造の分散剤であり、金属微粒子表面に窒素部位で吸着した状態で非水溶媒中に安定分散することが可能である。
(黒色顔料)
本発明に係るインクは、さらに黒色顔料を用いることができる。黒色顔料は、導電性微粒子を含むインクを印刷して形成される層を黒色化して外光からの反射を防ぎ、表示画面のコントラストを向上させるのに寄与する。
黒色顔料としては、例えば、アセチレンブラック等の、従来公知の種々のカーボンブラックが挙げられる。また、黒色顔料のインク中の含有量は、インク全量に対して0.5〜50重量%の範囲で設定される。黒色顔料の配合量が上記範囲を下回ると黒色化の効果が不十分になり、コントラストの向上を図ることができなくなるおそれがある。逆に、黒色顔料の配合量が上記範囲を超えると、電磁波シールドパターンの導電性が劣り、電磁波シールド効果が低下するおそれがある。
(支持体)
本発明に係る支持体とは、印刷される基体を示すが、可視光透過性を有する透明な基体が好ましく、さらには可とう性を有する透明プラスチックフィルムが好ましい。また、図4に記載のような金属塩を含有するインクの吸収能を備えた受容層、あるいは、図6に示すような還元剤含有層を有することが好ましい。
本発明に適用可能な支持体材料としては、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム等の樹脂フィルム、ガラス−エポキシ基板、シリコン基板、セラミックス基板、ガラス基板等が挙げられるが、取り扱い性の観点からシート状の樹脂フィルムを用いることが好ましい。また、最終的な高い透過性、具体的には、可視部における平均透過率が80%以上であるパターンを形成する観点からは、透明樹脂フィルムあるいはガラス基板が好ましい。
本発明で用いられる樹脂フィルムの材質としては、特に限定はないが、例えば、ポリエステル系フィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート系フィルム、セルロースエステル系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム,ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム(アートン(JSR社製)、ゼオネックス、ゼオネア(以上、日本ゼオン社製))、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリアクリレート系フィルム、ポリアリレート系フィルム等を挙げることができる。これらの素材を主成分とする異なる材質のフィルムを積層したフィルムであってもよい。本発明においては、透明性、耐熱性、取り扱いやすさ及び経済性の観点から、上記プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、セルロースエステルフィルムであることが好ましいが、透明性、等方性、接着性等の観点から、支持体としてはセルロースエステルフィルムを用いることが特に好ましい。
ディスプレイ用の電磁波遮蔽材では透明性が要求されるため、支持体の透明性は高いことが望ましい。この場合におけるプラスチックフィルム又はプラスチック板の全可視光透過率は好ましくは70〜100%であり、より好ましくは80〜100%であり、さらに好ましくは90〜100%である。本発明において、可視光域の平均透過率とは、400〜700nmまでの可視光領域の透過率を、少なくとも5nm毎に測定して求めた可視光域の各透過率を積算し、その平均値として求めたものと定義する。
測定においては、測定アパチャーを、前述のメッシュパターンより十分大きくとっておく必要があり、少なくともメッシュの格子面積よ100倍以上大きな面積で測定して求める。
本発明においては、可視光域による平均透過率が85%以上であることが好ましく、より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。
また、本発明においては、支持体とその上に設ける金属パターンとの密着性を高める観点から、支持体表面に、予め表面をコロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、プライマー処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理を施すことが好ましい。
《メッキ処理》
本発明においては、特には、メッキ触媒として作用する金属微粒子を含有する導電性パターンは、形成後に加熱、焼成処理により良好な導電性を呈するが、特に好ましくは、導電性パターンが含有している金属微粒子をメッキ触媒として作用させてメッキ処理を施すことが、より優れた導電性が得られる観点から好ましい。
本発明においては、従来公知のメッキ法を適用できるが、その中でも、低抵抗の導電性パターンを、煩雑な工程なしに簡便、低コストでメッキ処理することができる観点から、無電解メッキ法を適用することが好ましい。
無電解メッキ法によるメッキ処理は、上述の方法に従ってメッキ触媒として作用する金属微粒子を含有する導電性パターンに、メッキ剤を接触させる方法である。これにより、メッキ触媒である金属微粒子とメッキ剤とが接触し、導電性パターン部に無電解メッキが施されて、より優れた導電性を得ることができる。
本発明に係るメッキ処理で使用できるメッキ剤としては、例えば、メッキ材料として析出させる金属イオンが均一溶解された溶液が用いられ、金属塩とともに還元剤が含有される。ここで、通常は溶液が用いられるが、無電解メッキを生じさせるものであればこれに限らず、ガス状や粉体のメッキ剤を適用することも可能である。
具体的に、この金属塩としては、Au、Ag、Cu、Ni、Co、Feから選択される少なくとも1種の金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩などが適用可能である。また還元剤としては、ヒドラジン、ヒドラジン塩、ボロハライド塩、次亜燐酸塩、次亜硫酸塩、アルコール、アルデヒド、カルボン酸、カルボン酸塩などが適用可能である。なお、これらの還元剤に含有されるボロン、燐、窒素などの元素が、析出する電極に含有されていても構わない。或いはこれらの金属塩の混合物を用いて合金が形成されていても構わない。
メッキ剤は、上記金属塩と還元剤とが混合されたものを適用するようにしてもよいし、或いは金属塩と還元剤とを別個に適用するようにしてもよい。ここで、導電性パターンをより鮮明に形成するためには、金属塩と還元剤とが混合されたものを適用することが好ましい。また、金属塩と還元剤とを別個に適用する場合には、導電性パターン部にまず金属塩を配した後、還元剤を配することで、より安定した電極パターンを形成することができる。
メッキ剤には、必要があれば、pH調整のための緩衝剤、界面活性剤などの添加物を含有させることができる。また、溶液に用いる溶媒としては、水以外にアルコール、ケトン、エステルなどの有機溶剤を添加するようにしてもかまわない。
メッキ剤の組成は、析出させる金属の金属塩、還元剤、および必要に応じて添加物、有機溶媒を添加した組成で構成されるが、析出速度に応じて濃度や組成を調整することができる。また、メッキ剤の温度を調節して析出速度を調整することもできる。この温度調整の方法としては、メッキ剤の温度を調整する方法、また例えばメッキ剤中に浸漬する場合、浸漬前に基板を加熱、冷却して温度調節する方法などが挙げられる。さらに、メッキ剤に浸漬する時間で析出する金属薄膜の膜厚を調整することもできる。
《酸化処理》
本発明においては、金属塩の還元を行った後、酸化処理を行うことが好ましい。酸化処理により、不要な金属成分をイオン化して溶解除去することが可能となり、フィルムの透過率をより高めることが可能となる。
《乾燥処理》
本発明では、上記インクを用いインクジェット法により導電性メッシュ層を印字した後、分散媒等の除去を行うため、必要に応じて乾燥処理をすることができる。乾燥処理は、例えば基板を加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる処理の他、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W以上、5000W以下の範囲のものが用いられるが、本実施形態では、100W以上、1000W以下の範囲で十分である。
《熱、光処理》
吐出工程後の導電性メッシュ層は、微粒子間の電気的接触をよくするために、分散媒等を完全に除去する必要がある。また、導電性微粒子の表面に分散性を向上させるために有機物などのコーティング材がコーティングされている場合には、このコーティング材も除去する必要がある。そのため、吐出工程後の基板には熱処理及び/又は光処理が施される。
熱処理及び/又は光処理は、通常大気中で行われるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。熱処理及び/又は光処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング材の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。例えば、有機物からなるコーティング材を除去するためには、150℃以上で焼成することが好ましい。また、プラスチックなどの基板を使用する場合には、室温以上130℃以下で行うことが好ましい。
熱処理及び/又は光処理は、通常のホットプレート、電気炉などによる処理の他、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W以上、5000W以下の範囲のものが用いられるが、本実施形態では、100W以上、1000W以下の範囲で十分である。以上の工程により、印字後のメッシュ層は、微粒子間の電気的接触が確保され、電磁波シールドメッシュ層に変換される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《導電性微粒子の調製》
(銅微粒子P−1の調製)
クエン酸ナトリウム二水和物70gと硫酸第一鉄七水和物40gをイオン交換水(以下、水と略記)100mlに溶解し、これに室温下、攪拌しながら、硝酸銅三水和物14gを水30mlに溶解した水溶液を滴下させて、銅微粒子液を調製した。次いで、クエン酸ナトリウム水溶液を添加しながら、限外ろ過により脱塩を行い、さらに濃縮を行って、銅微粒子P−1を含む分散液を調製した。この希薄溶液を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、銅微粒子P−1の平均粒子径は40nmであった。
(金微粒子P−2の調製)
上記銅微粒子P−1の調製において、クエン酸ナトリウムを35g、硫酸第一鉄を30g、水を300mlに変更し、更に、硝酸銅水溶液に代えて塩化金酸四水和物12gを水15mlに溶解した水溶液を用いた以外は同様にして、金微粒子P−2を含む分散液を調製した。得られた金微粒子P−2の平均粒子径は、50nmであった。
(銀微粒子P−3の調製)
上記銅微粒子P−1の調製において、クエン酸ナトリウムを7g、硫酸第一鉄を50g、水を160mlに変更し、更に、硝酸銅水溶液に代えて硝酸銀15gを水10mlに溶解した水溶液を用いた以外は同様にして、銀微粒子P−3を含む分散液を調製した。得られた銀微粒子P−3の平均粒子径は、30nmであった。
(銅微粒子P−4の調製)
上記調製した銅微粒子P−1の分散液に、エポミンSP−003(株式会社日本触媒製)を銅微粒子P−1全質量あたり1.5%添加し、限外ろ過による濃縮を行った。この操作を5回繰り返して、銅微粒子P−4を含む分散液を調製した。得られた銅微粒子P−4の平均粒子径は、50nmであり、この操作による銅微粒子P−4の分散状態の劣化は無かった。
(金微粒子P−5の調製)
上記調製した金微粒子P−2の分散液に、サンスパールPS2(三洋化成工業株式会社製)を金微粒子P−2全質量に対し1%添加し、上記銅微粒子P−4の分散液の調製と同様の操作を行って、金微粒子P−5を含む分散液を調製した。得られた金微粒子P−5の平均粒子径は、60nmであった。
(銀微粒子P−6の調製)
上記調製した銀微粒子P−3の分散液に、エポミンSP−003を銀微粒子P−3全質量に対し1%添加し、上記銅微粒子P−4の分散液の調製と同様の操作を行って、銀微粒子P−6を含む分散液を調製した。得られた銀微粒子P−6の平均粒子径は、30nmであった。
(金微粒子P−7の調製)
上記調製した金微粒子P−2の分散液に、エポミンSP−003を金微粒子P−2全質量に対し1%添加し、上記銅微粒子P−4の分散液の調製と同様の操作を行って、金微粒子P−7を含む分散液を調製した。得られた金微粒子P−7の平均粒子径は、60nmであった。
(銀微粒子P−8の調製)
上記調製した銀微粒子P−3の分散液に、サンスパールPS2を銀微粒子P−3全質量に対し1%添加し、上記銅微粒子P−4の分散液の調製と同様の操作を行って、銀微粒子液P−8を含む分散液を調製した。得られた銀微粒子P−8の平均粒子径は、35nmであった。
《インクの調製》
下記の方法に従って、前述の金属微粒子と各種添加剤を混合、分散して、各インクを調製した。なお、各金属微粒子の添加量は、固形分換算値として表示した。
〔単一インクの調製〕
(インク1:比較例)
銅微粒子P−1 20質量%
ポリビニルアルコール 4質量%
エチレングリコール 13質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 1.5質量%
イソプロピルアルコール 1.5質量%
水 60質量%
上記調製したインク1の25℃における表面張力を、協和界面科学製の自動表面張力計CBVP−Zによって測定した結果、45mN/mであった。
(インク2:比較例)
金微粒子P−2 15質量%
ポリビニルアルコール 4質量%
グリセリン 3質量%
エチレングリコール 15質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 0.5質量%
イソプロピルアルコール 1.5質量%
水 61質量%
調製したインク2の表面張力は、上記方法で測定した結果、41mN/mであった。
(インク3:比較例) ST=33
銀微粒子P−3 25質量%
ポリビニルアルコール 2質量%
アルギン酸ナトリウム 0.1質量%
エチレングリコール 10質量%
イソプロピルアルコール 2.7質量%
ラウリル硫酸ナトリウム 0.2質量%
水 60質量%
〔インクセットの調製〕
下記の方法に従って、第一のインクA及び第二のインクBから構成される各インクセットを調製した。
(インクセット1の調製)
下記の方法に従って、導電性微粒子として銅微粒子を含有し、増粘剤を含むインクA1と、凝集剤として金属塩を含むインクB1を調製した。インクA1の表面張力は、41mN/m、インクB1の表面張力は36mN/mであった。
〈インクA1〉
銅微粒子P−1 20質量%
ポリビニルアルコール 5質量%
アルギン酸ナトリウム 0.1質量%
エチレングリコール 11質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 1.3質量%
イソプロピルアルコール 2.6質量%
水 60質量%
〈インクB1〉
銅微粒子P−1 20質量%
ポリビニルアルコール 5質量%
エチレングリコール 10質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 1質量%
イソプロピルアルコール 5質量%
サーフィノール465(日信化学工業株式会社) 0.8質量%
塩化カルシウム 0.2質量%
水 58質量%
(インクセット2の調製)
下記の方法に従って、導電性微粒子として金微粒子を含有し、増粘剤を含むインクA2と、凝集剤として金属塩を含むインクB2を調製した。インクA2の表面張力は、43mN/m、インクB2の表面張力は32mN/mであった。
〈インクA2〉
金微粒子P−2 20質量%
アルギン酸ナトリウム 0.1質量%
ポリビニルアルコール 4質量%
グリセリン 5質量%
エチレングリコール 11質量%
イソプロピルアルコール 2.5質量%
サーフィノール465 0.4質量%
水 57質量%
〈インクB2〉
金微粒子P−2 20質量%
ポリビニルアルコール 4質量%
グリセリン 3.3質量%
エチレングリコール 12質量%
イソプロピルアルコール 5.3質量%
サーフィノール465 1.2質量%
塩化カルシウム 0.2質量%
水 54質量%
(インクセット3の調製)
下記の方法に従って、導電性微粒子として銀微粒子を含有し、増粘剤を含むインクA3と、凝集剤として金属塩を含むインクB3を調製した。インクA3の表面張力は、42mN/m、インクB3の表面張力は31mN/mであった。
〈インクA3〉
銀微粒子P−3 25質量%
アルギン酸ナトリウム 0.2質量%
ポリビニルアルコール 4質量%
グリセリン 5質量%
エチレングリコール 11質量%
イソプロピルアルコール 2.5質量%
サーフィノール465 0.3質量%
水 52質量%
〈インクB3〉
銀微粒子P−3 25質量%
ポリビニルアルコール 4質量%
グリセリン 2.5質量%
エチレングリコール 12質量%
イソプロピルアルコール 5質量%
サーフィノール465 1.3質量%
塩化カルシウム 0.2質量%
水 50質量%
(インクセット4の調製)
下記の方法に従って、導電性微粒子として銅微粒子を含有し、カチオン性界面活性剤を含むインクA4と、アニオン性界面活性剤を含むインクB4を調製した。インクA4の表面張力は、40mN/m、インクB4の表面張力は35mN/mであった。
〈インクA4〉
銅微粒子P−4 25質量%
ポリビニルアルコール 5質量%
エチレングリコール 10質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 2.5質量%
イソプロピルアルコール 3.2質量%
エポミンSP−003 0.3質量%
水 54質量%
〈インクB4〉
銅微粒子P−1 25質量%
ポリビニルアルコール 5質量%
エチレングリコール 10質量%
イソプロピルアルコール 2.8質量%
ラウリル硫酸ナトリウム 0.2質量%
水 57質量%
(インクセット5の調製)
下記の方法に従って、導電性微粒子として銀微粒子を含有し、カチオン性界面活性剤を含むインクA5と、アニオン性界面活性剤を含むインクB5を調製した。インクA5の表面張力は、40mN/m、インクB5の表面張力は35mN/mであった。
〈インクA5〉
銀微粒子P−6 25質量%
ポリビニルアルコール 4質量%
エチレングリコール 13質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 1.8質量%
イソプロピルアルコール 3質量%
エポミンSP−003 0.2質量%
水 53質量%
〈インクB5〉
銀微粒子P−3 25質量%
ポリビニルアルコール 4質量%
エチレングリコール 13質量%
イソプロピルアルコール 2.8質量%
ラウリル硫酸ナトリウム 0.2質量%
水 55質量%
(インクセット6の調製)
下記の方法に従って、導電性微粒子として金微粒子を含有し、アルカリ可溶性樹脂を含むインクA6と、酸性としたインクB6を調製した。インクA6の表面張力は、36mN/m、インクB6の表面張力は30mN/mであった。
〈インクA6〉
金微粒子P−5 25質量%
ポリビニルアルコール 3質量%
グリセリン 4質量%
エチレングリコール 13質量%
イソプロピルアルコール 3.3質量%
サンスパールPS2 1.5質量%
サーフィノール465 0.2質量%
水 50質量%
更に、モノエタノールアミンを用いて、pHを8.5に調整した。
〈インクB6〉
金微粒子P−7 25質量%
ポリビニルアルコール 3質量%
グリセリン 2.3質量%
エチレングリコール 11質量%
イソプロピルアルコール 3質量%
エポミンSP−003 1.3質量%
サーフィノール465 0.4質量%
水 54質量%
更に、酢酸を用いて、pHを5.5に調整した。
(インクセット7の調製)
下記の方法に従って、導電性微粒子として銀微粒子を含有し、アルカリ可溶性樹脂を含むインクA7と、金属塩を含有するインクB7を調製した。インクA7の表面張力は、38mN/m、インクB7の表面張力は32mN/mであった。
〈インクA7〉
銀微粒子P−8 25質量%
ポリビニルアルコール 4質量%
エチレングリコール 11質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 1.5質量%
イソプロピルアルコール 3質量%
サンスパールPS2 1.5質量%
水 54質量%
〈インクB7〉
銀微粒子P−3 25質量%
ポリビニルアルコール 3質量%
エチレングリコール 11質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 1.2質量%
イソプロピルアルコール 3.2質量%
ラウリル硫酸ナトリウム 0.2質量%
塩化カルシウム 0.4質量%
水 56質量%
(インクセット8の調製)
下記の方法に従って、導電性微粒子として銀微粒子を含有し、エポキシ基含有化合物を含むインクA8と、アミン化合物を含有するインクB8を調製した。インクA8の表面張力は、39mN/m、インクB8の表面張力は33mN/mであった。
〈インクA8〉
銀微粒子P−3 25質量%
エチレングリコール 12質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 1.5質量%
イソプロピルアルコール 2.4質量%
エポライト400E(水溶性エポキシ化合物:共栄社化学製) 4質量%
サーフィノール465 0.1質量%
水 55質量%
〈インクB8〉
銀微粒子P−6 25質量%
エチレングリコール 12質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 2.3質量%
イソプロピルアルコール 3質量%
エポミン 1.5質量%
サーフィノール465 0.2質量%
水 56質量%
(インクセット9の調製)
下記の方法に従って、導電性微粒子として金微粒子を含有し、エポキシ基含有化合物を含むインクA9と、アミン化合物を含有するインクB9を調製した。インクA9の表面張力は、38mN/m、インクB9の表面張力は33mN/mであった。
〈インクA9〉
金微粒子P−2 25質量%
エチレングリコール 13質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 1.5質量%
イソプロピルアルコール 2.4質量%
エポライト400E(水溶性エポキシ化合物:共栄社化学製) 3質量%
サーフィノール465 0.1質量%
水 55質量%
〈インクB9〉
金微粒子P−7 25質量%
エチレングリコール 13質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 2.0質量%
イソプロピルアルコール 3.5質量%
エチレンジアミン 0.3質量%
サーフィノール465 0.2質量%
水 56質量%
(インクセット10の調製)
下記の方法に従って、導電性微粒子として銀微粒子を含有し、紫外線硬化性組成物を含むインクA10と、光重合開始剤を含有するインクB10を調製した。インクA10の表面張力は36mN/m、インクB10の表面張力は30mN/mであった。
〈インクA10〉
銀微粒子P−3 25質量%
ポリビニルアルコール 3質量%
ユニディツク SI−929(大日本インキ化学工業製) 0.5質量%
グリセリン 2質量%
エチレングリコール 12質量%
イソプロピルアルコール 2.3質量%
サーフィノール465 0.2質量%
水 55質量%
〈インクB10〉
銀微粒子P−3 25質量%
ポリビニルアルコール 2質量%
ダロキュア(メルク社製) 0.01質量%
グリセリン 2質量%
エチレングリコール 12.2質量%
イソプロピルアルコール 2.5質量%
サーフィノール465 0.29質量%
水 56質量%
(インクセット11の調製)
前記インクセット7の調製において、インクA7及びインクB7に、それぞれアセチレンブラックを10質量%添加し、水を10質量%分除いた以外は同様にして調製したインクA11、インクB11から構成されるインクセット11を調製した。
(インクセット12の調製)
前記インクセット8の調製において、インクA8及びインクB8に、それぞれアセチレンブラックを10質量%添加し、水を10質量%分除いた以外は同様にして調製したインクA12、インクB12から構成されるインクセット12を調製した。
《電磁波シールドの作製》
〔電磁波シールド1の作製:比較例〕
透明基板としてガラス基板(厚さ3mm)上に、上記調製したしたインク1を、インクジェット記録ヘッドとして、圧力印加手段と電界印加手段とを有し、ノズル口径25μm、駆動周波数12kHz、ノズル数128、ノズル密度180dpiのピエゾ型ヘッドを搭載したインクジェットプリント装置に装填し、メッシュパターン状に印刷した。これを室温で30分間乾燥後、250℃で30分熱処理を行い、電磁波シールド1を作製した。
〔電磁波シールド2、3の作製:比較例〕
上記電磁波シールド1の作製において、インク1に代えて、それぞれインク2、インク3を用いた以外は同様にして、電磁波シールド2、3を作製した。
〔電磁波シールド4の作製:本発明〕
透明基板としてガラス基板(厚さ3mm)上に、上記調製したしたインクセット1を、インクジェット記録ヘッドとして、圧力印加手段と電界印加手段とを有し、ノズル口径25μm、駆動周波数12kHz、ノズル数128、ノズル密度180dpiのピエゾ型ヘッドを搭載したインクジェットプリント装置に装填し、インクドット径を基準として、インクA1を0.8の間隔をあけて印刷した。次いで、インクB1を二つのドット重なりが0.1となるように未印刷部に吐出した。
これを室温で30分間乾燥後、250℃で30分熱処理を行い、電磁波シールド4を作製した。
〔電磁波シールド5〜11の作製:本発明〕
上記電磁波シールド4の作製において、インクセット1に代えて、インクセット2〜7、11を用いた以外は同様にして、電磁波シールド5〜11を作製した。
〔電磁波シールド12〜14の作製〕
上記電磁波シールド4の作製において、インクセット1に代えて、インクセット8、9、12を用い、ガラス基板を50℃に加熱して印刷した以外は同様にして、電磁波シールド12〜14を作製した。
〔電磁波シールド15の作製〕
上記電磁波シールド4の作製において、インクセット1に代えて、インクセット10を用い、ガラス基板上でインクが吐出される部分に紫外線を照射しながら印刷した以外は同様にして、電磁波シールド15を作製した。
〔電磁波シールド16の作製〕
上記作製した電磁波シールド10を用いて、メッキ処理として、無電解めっき用銅メッキ液〔奥野製薬工業(株)製の商品名「OPC750化学銅A」〕中に、40℃の雰囲気下で30分間浸漬し、銀微粒子からなるメッシュパターンの表面に銅被膜を形成して、電磁波シールド16を作製した。
〔電磁波シールド17の作製〕
上記作製した電磁波シールド11を用いて、メッキ処理として、無電解めっき用銅メッキ液〔奥野製薬工業(株)製の商品名「OPC750化学銅A」〕中に、40℃の雰囲気下で30分間浸漬し、銀微粒子からなるメッシュパターンの表面に銅被膜を形成して、電磁波シールド17を作製した。
《電磁波シールドの評価》
(細線形成適性:線幅及びバラツキの評価)
形成した各メッシュパターンを顕微鏡で観察し、各線の巾を10点について測定し、平均値及び標準偏差を求め、下記の基準に従ってランク付を行った。
〈線幅の評価〉
◎:線幅の平均値が、20μm未満
○:線幅の平均値が、20μm以上、25μm未満
△:線幅の平均値が、25μm以上、30μm未満
×:線幅の平均値が、30μm以上、40μm未満
××:線幅の平均値が、40μm以上
〈線幅の標準偏差〉
◎:線幅の標準偏差が、0.5μm未満
○:線幅の標準偏差が、0.5μm以上、1.0μm未満
△:線幅の標準偏差が、1.0μm以上、2.0μm未満
×:線幅の標準偏差が、2.0μm以上、5.0μm未満
××:線幅の標準偏差が、5.0μm以上
(透過性の評価)
各電磁波シールドを、分光顕微鏡(MCPD2000 大塚電子製)を用いて、波長400〜700nmの領域で、10nm毎に光透過率(%)を測定し、その平均値から平均透過率を求め、下記の基準に従って透過性を評価した。なお、平均透過率が大きいほど透光性が優れていることを示す。
◎:平均透過率が90%以上で、透光性が極めて良好
○:平均透過率が80%以上、90%未満で、透光性が良好
△:平均透過率が70%以上、80%未満で、透光性が実用上許容される範囲にある
×:平均透過率が50%以上、70%未満で、透光性が不十分
××:平均透過率が50%未満であり、透光性が極めて不十分
(表面抵抗性の評価)
各電磁波シールドを、三菱化学(株)製の表面抵抗測定器ロレスタを使用し、4端針法にて表面抵抗値(Ω/□)を測定し、下記の基準に従って、表面抵抗性を評価した。
◎:表面抵抗値(Ω/□)が、0.3未満
○:表面抵抗値(Ω/□)が、0.3以上、0.5未満
△:表面抵抗値(Ω/□)が、0.5以上、0.7未満
×:表面抵抗値(Ω/□)が、0.7以上、1.0未満
××:表面抵抗値(Ω/□)が、1.0以上
(電磁波シールド性の評価)
各電磁波シールドから一辺が200mmの正方形サンプルを切り出し、側面周囲に銅テープでアースを形成して、試験片とした。(株)アドバンテスト製の電磁波シールド効果測定装置TR17301型と、ヒューレットパッカード社製のネットワークアナライザ8753Aとを用い、上記試験片について周波数0.1MHz〜1000MHzにおける電磁波の強度を測定し、次式により計算した値を電磁波減衰率とした。
電磁波減衰率(dB)=20×log10(X0/X)
式中、X0は電磁波シールドを用いないときの電磁波強度を表し、Xは電磁波シールドを用いたときの電磁波強度を表す。
なお、評価は1000MHzでの電磁波減衰率を用いて、下記の基準に従って電磁波シールド性を評価した。電磁波シールド性は、減衰率(dB)が大きいほど優れている。
◎:電磁波減衰率が60dB以上
○:電磁波減衰率が50dB以上、60dB未満
△:電磁波減衰率が40dB以上、50dB未満
×:電磁波減衰率が20dB以上、40dB未満
××:電磁波減衰率が20dB未満
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2008066568
表1に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなるインクA及びインクBを用いて、導電性メッシュ層を形成した本発明の電磁波シールドは、比較例に対し、極めて細い導電性メッシュ線をバラツキ無く形成でき、透過性、表面抵抗性及び電磁波シールド効果に優れていることが分かる。

Claims (9)

  1. インクジェット記録方式により、導電性微粒子を含有するインクを用いて、支持体上に導電性メッシュ層を形成する電磁波シールドの製造方法において、二種以上のインクを用い、第一のインクAを該支持体上に吐出した後、該インクAの一部に第二のインクBが重なるように吐出し、支持体上で該インクAとインクBとを接触して該導電性メッシュ層を形成することを特徴とする電磁波シールドの製造方法。
  2. 前記第一のインクAが増粘剤を含有し、前記第二のインクBが該増粘剤をゲル化する添加剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールドの製造方法。
  3. 前記第一のインクAがカチオン性界面活性剤または多価金属塩を含有し、前記第二のインクBがアニオン性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールドの製造方法。
  4. 前記第一のインクAがアルカリ可溶性樹脂を含有し、前記第二のインクBが、インク液のpHが3以上、5以下、または金属塩を含有することを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールドの製造方法。
  5. 前記第一のインクAがエポキシ基含有化合物を含有し、前記第二のインクBがアミン化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールドの製造方法。
  6. 前記第一のインクAが紫外線硬化性組成物または熱硬化性組成物を含有し、前記第二のインクBが光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールドの製造方法。
  7. 前記導電性微粒子が、銀ナノ粒子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電磁波シールドの製造方法。
  8. 前記導電性メッシュ層にメッキ処理を施すことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電磁波シールドの製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の電磁波シールドの製造方法により製造されたことを特徴とする電磁波シールド。
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