JP2014098064A - 被覆用フィルム、被覆用粘着フィルム、フィルム基材、粘着ラベル及び積層フィルム - Google Patents

被覆用フィルム、被覆用粘着フィルム、フィルム基材、粘着ラベル及び積層フィルム Download PDF

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憲賢 品田
Takashi Gonda
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Abstract

【課題】無色透明性、耐溶剤性、耐熱性及び難燃性に優れた被覆用フィルム及びフィルム基材を提供する。
【解決手段】本発明の被覆用フィルム及びフィルム基材は、ポリフェニルサルフォンとポリエーテルエーテルケトンとを含有し、ポリフェニルサルフォンの含有質量Xとポリエーテルエーテルケトンの含有質量Yとの比率(X/Y)が5/95〜60/40である。
【選択図】なし

Description

本発明は、被覆用フィルム、該被覆用フィルムを用いた被覆用粘着フィルム、フィルム基材、該フィルム基材を用いた粘着ラベル、及び積層フィルムに関する。
OA機器、パーソナルコンピュータ、電子機器、家電機器、リチウムイオン二次電池、小型電子部品などにおいては、樹脂製の筐体に、シール、デカールなどの呼び名で呼ばれている樹脂製のフィルム基材を用いたラベルが貼付されることがある。
ラベル用のフィルム基材として、上記機器や部品の筐体を構成する樹脂と同じ樹脂を主成分としたフィルムを用いることが提案されている(特許文献1〜3参照)。例えば、記筐体やフィルム基材を構成する樹脂としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、汎用ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリカーボネート(PC)、PC/ABSアロイ、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、ポリプロピレン(PP)、アクリル樹脂、ポリアミド(PA)、ポリ乳酸、これらのアロイなどが知られている。
上記のラベルには、機器の取り扱い方法、注意事項、危険情報など、重要な情報が印刷される場合が多く、印刷文字の読み取り易さを長期に亘って維持する必要がある。そこで、印刷されたラベルの表面を保護するために、透明な被覆用フィルム(オーバーレイ用フィルム)で被覆することが提案されている(たとえば特許文献4参照)。
特許第3642371号公報 特表2003−521719号公報 特開平8−067857号公報 特開平8−340182号公報
近年、上記機器や部品の発火防止性が重要になっており、難燃性を有することが求められている。そのため、ラベルのフィルム基材や被覆用フィルムに対しても難燃性が求められているが、上記の樹脂は難燃性を有するものではない。上記樹脂の難燃性を向上させる方法として、難燃剤を添加することが考えられるが、難燃剤を添加すると、透明性が損なわれることがあった。透明性が損なわれると、ラベルに貼着した際にラベルの文字情報の視認性が低下するため、被覆用フィルムとしては適さないものとなる。
難燃剤を含有しなくても難燃性を有する樹脂として、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが知られている。ところが、これら樹脂は、黄色あるいは白濁を呈し、また、透明性が不充分であるため、ラベルの見栄えを損なってしまい、被覆用フィルムとしては適さないものであった。
ラベルの製造においては、印刷加工、プライマー処理、粘着加工、ラミネート加工等がおこなわれるため、ラベル用のフィルム基材及び被覆用フィルムは共に前記加工に対する適性を備える必要がある。特に、インキ、プライマー及び粘着剤に含まれる溶剤に対する耐性(耐溶剤性)、加熱に対する耐性(耐熱性)に優れることが要求されている。
本発明は、無色透明性、耐溶剤性、耐熱性及び難燃性に優れた被覆用フィルム及び被覆用粘着フィルムを提供することを目的とする。また、本発明は、耐溶剤性、耐熱性及び難燃性に優れたフィルム基材、粘着ラベル及び積層フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1] ポリフェニルサルフォンとポリエーテルエーテルケトンとを含有し、ポリフェニルサルフォンの含有質量Xとポリエーテルエーテルケトンの含有質量Yとの比率(X/Y)が5/95〜60/40である、被覆用フィルム。
[2] [1]に記載の被覆用フィルムと、該被覆用フィルムの少なくとも片面に形成された粘着剤層とを有する、被覆用粘着フィルム。
[3] フィルム基材と、該フィルム基材の片面に粘着剤層を介して設けられた[1]に記載の被覆用フィルムとを有する、積層フィルム。
[4] ポリフェニルサルフォンとポリエーテルエーテルケトンとを含有し、ポリフェニルサルフォンの含有質量Xとポリエーテルエーテルケトンの含有質量Yとの比率(X/Y)が5/95〜60/40である、フィルム基材。
[5] [4]に記載のフィルム基材と、該フィルム基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とを有する、粘着ラベル。
[6] [4]に記載のフィルム基材と、該フィルム基材の片面に粘着剤層を介して設けられた被覆用フィルムとを有する、積層フィルム。
本発明の被覆用フィルム及び被覆用粘着フィルムは、無色透明性、耐溶剤性、耐熱性及び難燃性に優れたものである。
本発明のフィルム基材、粘着ラベル及び積層フィルムは、耐溶剤性、耐熱性及び難燃性に優れたものである。
本発明の被覆用フィルム及びフィルム基材を製造する際に使用される製造装置の一例を示す模式図である。 本発明の積層フィルムの一実施形態を示す断面図である。
(被覆用フィルム)
本発明の被覆用フィルムは、ポリフェニルサルフォンとポリエーテルエーテルケトンとを含有するフィルムである。
ポリフェニルサルフォン(PPSU)としては、下記構造式(1)で表される化学構造を有するポリマーである。
ポリフェニルサルフォンのガラス転移点は、通常、180℃以上であり、耐熱性がより高くなる点では、220℃以上であることが好ましい。一方、加工性の点では、ガラス転移点が250℃以下であることが好ましい。
本明細書におけるガラス転移点は、JIS K7121に従い、加熱速度10℃/分で、示差走査熱量測定により求めた値である。
ポリフェニルサルフォンにおける下記構造式(1)のmは、機械的特性の観点から、10以上が好ましく、20以上がより好ましい。
ポリフェニルサルフォンは、構造式(1)の化学構造のみからなるホモポリマーであってもよいし、構造式(1)以外の化学構造を有していてもよい。ただし、ポリフェニルサルフォン中、構造式(1)の化学構造の割合は、フィルム強度や耐溶剤性により優れることから、ポリフェニルサルフォン100モル%に対し、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましい。
ポリフェニルサルフォンが、構造式(1)以外の他の化学構造を有して共重合体となっている場合には、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体のいずれであってもよい。また、構造式(1)の化学構造の末端のみに他の化学構造を有する変性体であってもよい。
構造式(1)以外の他の構造としては、例えば、下記構造式(3−1)〜(3−9)の構造が挙げられる。
ポリフェニルサルフォンの具体例としては、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製の商品名:レーデルRシリーズ、BASF社製の商品名:ウルトラゾーンPシリーズが挙げられる。
Figure 2014098064
Figure 2014098064
ポリエーテルエーテルケトンとしては、下記構造式(2)で表される化学構造を有するポリマーである。
ポリエーテルエーテルケトンの融点は、通常、320〜360℃であり、好ましくは、335〜345℃である。本明細書における融点は、JIS K7121に従い、加熱速度10℃/分で、示差走査熱量測定により求めた値である。
ポリエーテルエーテルケトンにおける下記構造式(2)のnは、機械的特性の観点から、10以上が好ましく、20以上がより好ましい。
ポリエーテルエーテルケトンは、構造式(2)の化学構造のみからなるホモポリマーであってもよいし、構造式(2)以外の化学構造を有していてもよい。ただし、ポリエーテルエーテルケトン中、構造式(2)の化学構造の割合は、フィルムの透明性やポリフェニルサルフォンとの相溶性により優れることから、ポリエーテルエーテルケトン100モル%に対し、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がよりに好ましく、80モル%がさらに好ましい。
構造式(2)以外の他の構造としては、例えば、下記構造式(4−1)〜(4−14)の構造が挙げられる。
ポリエーテルエーテルケトンが、構造式(2)以外の他の化学構造を有して共重合体となっている場合には、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体のいずれであってもよい。また、構造式(2)の化学構造の末端のみに他の化学構造を有する変性体であってもよい。
ポリエーテルエーテルケトンの具体例としては、ビクトレック社製の商品名:ビクトレックス ピークシリーズ、ダイセル・エボニック社製の商品名:ベスタキープシリーズ、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製の商品名:キータスパイアシリーズ、ガルーダケミカル社製の商品名GATONEシリーズが挙げられる。
Figure 2014098064
Figure 2014098064
該被覆用フィルムにおけるポリフェニルサルフォンの含有質量Xとポリエーテルエーテルケトンの含有質量Yとの比率(X/Y)は5/95〜60/40であり、15/75〜50/50であることが好ましく、20/80〜40/60であることがより好ましい。ポリフェニルサルフォンの質量比率が前記範囲よりも少なくなると、該被覆用フィルムが白濁して透明性が低下する傾向にあり、前記範囲よりも多くなると、該被覆用フィルムの耐溶剤性及び耐熱性が低下することがある。
本発明の被覆用フィルムには、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリフェニルサルフォン及びポリエーテルエーテルケトン以外の他の樹脂が含まれてもよい。
他の樹脂としては、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)等のポリアリールエーテルケトン、ポリサルホン(PSU)あるいはポリエーテルサルホン(PES)等のポリアリールエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンスルフィドスルホンあるいはポリフェニレンスルフィドケトン等のポリアリールサルファイド、液晶ポリマー(LCP)等が挙げられる。液晶ポリマーはI型、II型、III型のいずれであってもよい。
被覆用フィルムにおける他の樹脂の含有量は、被覆用フィルム全体質量を100質量%とした際に、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。他の樹脂の含有量が前記下限値以上であれば、他の樹脂を含有させる効果を充分に発揮させることができ、前記上限値以下であれば、本発明の効果を充分に発揮させることができる。
本発明の被覆用フィルムには、必要に応じて、無機フィラー、有機フィラー、カップリング処理したフィラー、有機顔料、無機顔料、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤が含まれてもよい。
本発明の被覆用フィルムの厚さは、5〜100μmが好ましく、10〜80μmがより好ましい。被覆用フィルムの厚さが前記下限値以上であれば、より高い難燃性が得られる上に、引き裂き強度が向上し、取り扱っている最中に皺や傷が付きにくくなる。一方、被覆用フィルムの厚さが前記上限値以下であれば、充分に高い透明性を確保できる。
被覆用フィルムの厚さ精度は、目標厚さ±10%の範囲内であることが好ましい。厚さ精度がこの範囲から外れると、被覆用フィルムに粘着剤層を形成した場合、粘着剤層の厚さの均一性が低下することがある。
上記被覆用フィルムの製造方法としては、例えば、ポリフェニルサルフォンとポリエーテルエーテルケトンとを溶融混練して成形用材料を調製し、この成形用材料を成形することにより帯状の被覆用フィルムを得る方法が挙げられる。
成形用材料の調製方法としては、(1)ポリフェニルサルフォンとポリエーテルエーテルケトンとを攪拌混合したのちに溶融混練する方法、(2)ポリフェニルサルフォン及びポリエーテルエーテルケトンの一方を溶融させ、そこにポリフェニルサルフォン及びポリエーテルエーテルケトンの他方を添加する方法が挙げられる。これらのうちでも、分散性や作業性に優れることから、(1)の方法が好ましい。
(1)の方法において、ポリフェニルサルフォンとポリエーテルエーテルケトンとを攪拌混合する際に使用する混合機としては、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー、V型混合機、ナウターミキサー、リボンブレンダー、万能攪拌ミキサー等を使用することできる。
攪拌混合するポリフェニルサルフォン及びポリエーテルエーテルケトンの形状は、粉体状、顆粒状、塊状、粉状、ペレット状等のいずれであってもよい。
また、攪拌混合するポリフェニルサルフォン及びポリエーテルエーテルケトンの一方は、ポリフェニルサルフォン及びポリエーテルエーテルケトンの他方をマトリックスとしたマスターバッチにしてもよい。
また、溶融混練する際に使用する溶融混練機としては、ミキシングロール、加圧ニーダー、単軸押出成形機、多軸押出成形機(二軸押出成形機、三軸押出成形機、四軸押出成形機)を使用することができる。単軸押出成形機及び多軸押出成形機を用いた場合には、ストランド状、シート状、棒状にされるため、粉砕機あるいは裁断機で粉状、顆粒状、ペレット状等に加工することが好ましい。
溶融混練機の温度は、ポリエーテルエーテルケトンの融点以上熱分解温度以下にすることが好ましく、340〜450℃にすることがより好ましい。
成形用材料から帯状の被覆用フィルムを得る方法としては、例えば、溶融押出成形法、溶融キャスティング成形法、カレンダー成形法、キャスティング成形法等を適用することができる。これらのうちでも、ハンドリング性や設備の簡略化および生産性の観点から、溶融押出成形法が好ましい。溶融押出成形法では、Tダイ法、インフレーション法を適用することができる。
ここで、溶融押出成形法は、図1に示すような、押出成形機110を備える製造装置100によって成形用材料Pを溶融混練し、押出成形して、帯状の被覆用フィルムを得る方法である。
具体的に、図1の製造装置は、材料投入部111及び溶融混練部112を有する押出成形機110と、溶融混練部112の先端に取り付けられたダイ120と、ダイ120から吐出した被覆用フィルムFを冷却しながら引き取る引取機130と、被覆用フィルムFの幅方向の両端をトリミングするスリット刃140と、被覆用フィルムFに張力を付与するテンションロール150と、被覆用フィルムFを巻き取る巻取機160とを備える。
上記製造装置100におけるダイ120としては、Tダイや丸ダイ等を使用することができる。
引取機130は、冷却ロールとしての金属ロール131と、金属ロール131に接触して被覆用フィルムFを挟持する第1圧着ロール132a及び第2圧着ロール132bとを備える。
第1圧着ロール132a及び第2圧着ロール132bは、その周面にゴム層が形成されている。第1圧着ロール132a及び第2圧着ロール132bの周面にゴム層が形成されていると、被覆用フィルムFの密着性を向上させることができる。
ゴム層を形成するゴム材料としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ノルボルネンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。これらのゴム材料の中では、耐熱性に優れることから、シリコーンゴムまたはフッ素ゴムが好ましい。ゴム層には、シリカやアルミナ等の無機化合物が含まれてもよい。
また、第1圧着ロール132a及び第2圧着ロール132bとしては、表面が金属から形成された金属弾性ロールを使用することもできる。金属弾性ロールを使用すると、表面の平滑性に優れる被覆用フィルムFを得ることができる。金属弾性ロールの具体例としては、エアーロール(ディムコ社製商品名)やUFロール(日立造船社製商品名)が挙げられる。
スリット刃140は、第2圧着ロール132bと巻取機160との間に、昇降可能に設けられている。スリット刃140によって、被覆用フィルムFの幅方向の両端部をトリミングすると、簡便に所定の幅にすることができ、製造工程の簡略化によるコスト削減等を図ることができる。
テンションロール150は、スリット刃140と巻取機160との間に回転可能に設けられている。テンションロール150によって被覆用フィルムFに張力を付与すると、巻取機160による被覆用フィルムFの巻取りが円滑になる。
巻取機160は、被覆用フィルムFを巻き取る巻取管161と、巻取管161を回転させる駆動部(図示せず)とを備える。
上記製造装置100を用いた被覆用フィルムFの製造方法では、まず、成形用材料Pを材料投入部111から溶融混練部112に供給し、溶融混練部112にて成形用材料Pを溶融混練すると共にダイ120に移送する。次いで、溶融させた成形用材料をダイ120から吐出させて被覆用フィルムFを成形し、その被覆用フィルムFを第1圧着ロール132a及び第2圧着ロール132bを用いて金属ロール131に密着させて冷却する。次いで、冷却させた被覆用フィルムFをテンションロール150によって押圧して張力を付与しつつ、被覆用フィルムFの幅方向の両端部をスリット刃140によってトリミングする。次いで、トリミングした被覆用フィルムFを、回転する巻取管161に巻き取る。
上記製造方法では、材料投入部111に投入する成形用材料Pの含水率を、乾燥によって5,000ppm以下にしておくことが好ましく、2,000ppm以下にしておくことがより好ましい。成形用材料Pの含水率が前記上限値以下であれば、成形時の発泡を抑制できる。
また、この方法では、押出成形機110の材料投入部111に成形用材料Pを投入する際に、成形用材料Pと共に不活性ガスを供給して酸化劣化あるいは酸化架橋を防ぐことが好ましい。不活性ガスとしては、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、窒素ガス、二酸化炭素ガス等を使用することができる。
また、この方法では、溶融混練部112及びダイ120の温度を、ポリエーテルエーテルケトンの融点以上熱分解温度以下にすることが好ましく、340〜450℃にすることがより好ましい。
金属ロール131の温度は、200℃以下にすることが好ましく、180℃以下にすることがより好ましく、150℃以下にすることがさらに好ましい。金属ロール131の温度が前記上限値以下であれば、被覆用フィルムFが金属ロール131に融着して破断することを防止できる。
上記方法により得た被覆用フィルムFは、必要に応じて、熱処理あるいは二軸延伸処理を施しても構わない。熱処理あるいは二軸延伸処理を施すと、被覆用フィルムの結晶化度を増大させることができる。
上記製造装置100を用いた方法によれば、得られる被覆用フィルムFの耐熱性を低下させることなく、透明性を向上させることができる。
本発明の被覆用フィルムは、JIS Z8722に準じ、幾何条件cにて、以下の条件[測定・・・反射、正反射処理・・・SC1、測定径・・・25.4mm、UV・・・100%full、光源・・・D65、視野・・・2°]で測定される色相のb*が5.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましい。該b*が小さい程、黄色度が小さいことを示し、特に被覆用フィルムとして用いる場合にはラベル視認性の点で好適である
本発明の被覆用フィルムは、JIS K7361−1に準じて測定される全光線透過率が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。また、JIS K7136に準じて測定されるヘイズが55%以下であることが好ましく、45%以下であることがより好ましい。全光線透過率およびヘイズが上記範囲内であると、充分な透明性を有し、特に被覆用フィルムとして用いる場合には、フィルム基材の視認性の点で好適である。
また、本発明の被覆用フィルムは、その表面に、本発明の効果を失わない範囲で、微細な凹凸が形成されても構わない。
微細な凹凸を形成する方法としては、(イ)上記製造装置100を用い、さらに、金属ロール131として、微細な凹凸を有する金属ロールを用いて、被覆用フィルムFの冷却と凹凸の形成を同時に行う方法、(ロ)被覆用フィルムを作製した後に、微細な凹凸を有する金属ロールに密着させて、凹凸を形成する方法が挙げられる。これらのうちでも、装置の簡略化の観点からすると、(イ) の方法が好ましい。
以上説明した本発明の被覆用フィルムは、ポリフェニルサルフォンとポリエーテルエーテルケトンとを特定割合で含有しており、無色透明性、耐溶剤性、耐熱性及び難燃性に優れている。
(フィルム基材)
本発明のフィルム基材は、本発明の被覆用フィルムと同様に、ポリフェニルサルフォンとポリエーテルエーテルケトンとを含有し、ポリフェニルサルフォンの含有質量Xとポリエーテルエーテルケトンの含有質量Yとの比率(X/Y)が5/95〜60/40のフィルムである。
ただし、本発明のフィルム基材の少なくとも片面には、通常、任意色のベタ印刷や文字情報等の印刷が施される。その印刷は、フィルム基材の片面のみに施されてもよいし、両面に施されてもよい。
また、フィルム基材の少なくとも片面には、蒸着等により、アルミニウム等の金属からなる金属層が形成されてもよい。
本発明のフィルム基材は、ポリフェニルサルフォンとポリエーテルエーテルケトンとを特定割合で含有しており、耐溶剤性、耐熱性及び難燃性に優れている。このようなフィルム基材は、OA機器、パーソナルコンピュータ、電子機器、家電機器、リチウムイオン二次電池、小型電子部品などを構成する樹脂製の筐体に貼付されるラベル(シール、デカールなどの呼び名で呼ばれているラベル)を構成するフィルム基材として好適である。
(被覆用粘着フィルム)
本発明の被覆用粘着フィルムは、上記被覆用フィルムと、該被覆用フィルムに形成された粘着剤層とを有するものである。
粘着剤層は、被覆用フィルムの片面のみに形成されていてもよく、両面に形成されていてもよいが、片面のみに形成されていることが好ましい。
粘着剤層を構成する粘着剤の粘着成分としては、特に限定されず、当該被覆用粘着フィルムが貼付される樹脂製のフィルム基材や筐体への接着性等を考慮して、公知の粘着剤のなかから適宜選択すればよい。具体的には、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン、合成ゴム、天然ゴムなどが使用され、これらの中でも、接着性が良好であり、透明性に優れる点で、アクリル樹脂、シリコーンが好ましい。
粘着剤層には難燃剤を含有させることができる。難燃剤としては、燃焼時に発生する有毒ガスや煙などの点で、臭素、塩素等を含まない難燃剤が好ましい。
難燃剤として、例えば、リン酸エステル系難燃剤、無機リン系化合物などのリン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、メラミン化合物等を使用することができる。これらは1種以上を単独使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。無機リン系化合物としては、たとえば赤リン系難燃剤等が挙げられる。
粘着剤層に配合する難燃剤としては、上記の中でも、粘着剤の透明性や塗工性を低下させずに難燃性を付与できることから、リン系難燃剤およびシリコーン系難燃剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、該難燃剤を主成分として含有することが好ましい。ここで、「主成分」とは、該難燃剤の配合量が、当該粘着剤層に配合される難燃剤全体の50質量%以上であることを意味する。
粘着剤層中の難燃剤の含有量は、粘着成分100質量部に対して、15〜50質量部であることが好ましい。難燃剤の含有量が15質量部以上であれば、充分に高い難燃性を発揮でき、50質量部以下であれば、充分な粘着性および透明性を確保できる。
粘着剤層の厚さは5〜30μmであることが好ましい。粘着剤層の厚さが5μm以上であれば、充分な粘着性を確保でき、30μm以下であれば、容易に粘着剤層を形成できる。
被覆用粘着フィルムの製造方法としては、たとえば、被覆用フィルムの表面に直接粘着剤を塗工する方法(直接塗工法)、剥離紙の剥離面に粘着剤を塗工して粘着剤層を形成した後に、その粘着剤層と被覆用フィルムとを貼り合せる方法(転写法)が挙げられる。
これらのなかでも、転写法が好ましい。被覆用フィルムは薄いため、直接塗工法では塗工時に破れてしまうおそれがあるが、転写法では破れにくい。
本発明の被覆用粘着フィルムは、上記被覆用フィルムを用いているため、黄色味が小さく、透明性が高く、かつ難燃性に優れるため、例えば、樹脂製のフィルム基材、特に表面に文字情報等の印刷が施されたフィルム基材の保護用として好適に使用できる。
また、被覆用フィルムは耐溶剤性及び耐熱性に優れるため、該被覆用粘着フィルムは、溶剤を含む粘着剤の塗工や加熱等によって粘着加工されているにもかかわらず、被覆用フィルムの劣化や溶解が防止されている。
(粘着ラベル)
本発明の粘着ラベルは、フィルム基材と、該フィルム基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とを有するものである。
本発明の粘着ラベルを構成するフィルム基材は、上述した本発明のフィルム基材であり、粘着剤層は、被覆用粘着フィルムを構成する粘着剤層と同様のものである。したがって、本発明の粘着ラベルも、耐溶剤性、耐熱性及び難燃性に優れる。
(積層フィルム)
本発明の積層フィルムの一実施形態を図2に示す。
本実施形態の積層フィルム10は、第1の粘着フィルム11と第2の粘着フィルム12とを有するものである。
第1の粘着フィルム11は、フィルム基材11aと、フィルム基材11aの片面に形成された第1の粘着剤層11bとを有するものである。第1の粘着剤層11bは、積層フィルム10を被着体に貼り付けるための粘着剤層として使用される。
第2の粘着フィルム12は、被覆用フィルム12aと、被覆用フィルム12aの片面に形成された第2の粘着剤層12bとを有するものである。第2の粘着剤層12bは、被覆用フィルム12aをフィルム基材11aに貼り付けるための粘着剤層として使用される。
本実施形態の積層フィルム10は、フィルム基材11aが上記本発明のフィルム基材であり、被覆用フィルム12aが上記本発明の被覆用フィルムである。
上記の積層フィルム10は、本発明の被覆用フィルム及び本発明のフィルム基材を用いているため、耐溶剤性、耐熱性及び難燃性に優れる。このような積層フィルム10は、OA機器、パーソナルコンピュータ、電子機器、家電機器、リチウムイオン二次電池、小型電子部品などを構成する樹脂製の筐体に貼付されるラベルとして好適に利用できる。
なお、本発明の積層フィルムは、上記実施形態に限定されない。
例えば、本発明の積層フィルムは、上記実施形態の積層フィルム10におけるフィルム基材11aが本発明のフィルム基材でなくてもよいし、被覆用フィルム12aが本発明の被覆用フィルムでなくてもよい。ただし、フィルム基材11aが本発明のフィルム基材でなく、且つ、被覆用フィルム12aが本発明の被覆用フィルムでない形態は本発明の積層フィルムに含まれない。フィルム基材11aまたは被覆用フィルム12aが本発明のものではない場合、その材質としては特に制限はない。例えば、ポリフェニルサルフォンとポリエーテルエーテルケトンとを含有するが、ポリフェニルサルフォンの含有質量Xとポリエーテルエーテルケトンの含有質量Yとの比率(X/Y)が上記の範囲にないものが挙げられる。また、被覆用フィルムまたはフィルム基材に含まれてもよい他の樹脂と同様のものが挙げられる。
また、上記の第1の粘着剤層11bは本発明において任意の構成であり、省略されても構わない。第1の粘着剤層11bが省略される場合には、積層フィルムを被着体に貼り付ける直前に粘着剤や接着剤を塗工すればよい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用したポリフェニルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトンは、以下の通りである。
[ポリフェニルサルフォン]
ポリフェニルサルフォンA:ウルトラゾーン P3010NATURAL(商品名)、BASF社製、ガラス転移温度220℃
ポリフェニルサルフォンB:レーデルR5000NT(商品名)、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製、ガラス転移温度220℃
[ポリエーテルエーテルケトン]
ポリエーテルエーテルケトンA:キータスパイア KT−820NT(商品名)、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製、融点340℃
ポリエーテルエーテルケトンB:ビクトレックス ピーク381G(商品名)、ビクトレックス社製、融点343℃
(実施例1)
まず、ポリフェニルサルフォンAを10質量%と、ポリエーテルエーテルケトンAを90質量%とを樹脂容器に投入し、その樹脂容器に蓋を取り付けタンブラーミキサーに装着した。そして、そのタンブラーミキサーを23℃、1時間の条件で回転させ、ポリフェニルサルフォンとポリエーテルエーテルケトンとを攪拌混合して、攪拌混合物を得た。
この攪拌混合物を真空ポンプ付きの高速二軸溶融押出機(池貝社製:PCM30、L/D=35)に供給し、減圧下で溶融混練し、高速二軸溶融押出機の先端部のダイスから棒形に吐出させてストランドを形成させた。溶融混練条件は、シリンダー温度:350〜390℃、アダプター温度:390℃、ダイス温度:390℃とした。
次いで、形成したストランドを水冷した後、ペレタイザによりカットして、長さ2〜3mm、直径1〜2mmのペレット形の成形用材料を得た。その後、得られた成形用材料を160℃に加熱した排気口付きの熱風オーブン中に24時間静置し、乾燥させて、含水率を241ppmとした。なお、含水率は、微量水分測定装置(三菱化学社製 商品名CA−100型)を用い、カールフィッシャー滴定法により測定した。
乾燥させた成形用材料を、窒素ガス520L/分と共に、幅400mmのTダイを備えた単軸溶融押出成形機(アイ・ケー・ジー社製)に供給し、溶融混練し、さらに、溶融混練した成形用材料を前記Tダイから連続的に吐出させて、帯状の被覆用フィルムを得た。
単軸溶融押出成形機としては、スクリュー:フルフライトスクリュー、スクリュー径40mm、L/D=25、圧縮比:2.0のものを用いた。溶融混練条件は、シリンダー温度:360〜400℃、Tダイの温度:400℃、単軸溶融押出成形機とTダイとを連結する連結管の温度:400℃とした。溶融混練中に、Tダイ入口の樹脂温度を測定したところ、396℃であった。被覆用フィルムの厚さは15μmとした。
得られた被覆用フィルムは、引取機のシリコーンゴム製の圧着ロールと150℃の金属ロールとに挟持させ、前記金属ロールに約半周掛け回し、金属ロールと別の圧着ロールとに狭持させた後、巻取機に向けて連続的に移送させた。
移送中に被覆用フィルムの幅方向の両側部をスリット刃で裁断し、巻取機の巻取管(直径約8cm)に連続的に巻取ることにより、長さ500m、幅210mmの被覆用フィルムを得た。
なお、スリット刃は、圧着ロールと巻取機との間に昇降可能に配置し、スリット刃と巻取機との間には、被覆用フィルムに圧接して張力を高めるテンションロールを回転可能に配置した。
(実施例2)
ポリフェニルサルフォンAを10質量%、ポリエーテルエーテルケトンAを90質量%配合する代わりに、ポリフェニルサルフォンBを20質量%、ポリエーテルエーテルケトンAを80質量%配合した以外は実施例1と同様にして、含水率264ppmの成形用材料を得た。また、その成形用材料を実施例1と同様に、Tダイから連続的に吐出させて、厚さ25μmの帯状の被覆用フィルムを得た。また、実施例1と同様に、粘着フィルム及び積層フィルムを得た。
(実施例3)
ポリフェニルサルフォンAを10質量%、ポリエーテルエーテルケトンAを90質量%配合する代わりに、ポリフェニルサルフォンBを30質量%、ポリエーテルエーテルケトンAを70質量%配合した以外は実施例1と同様にして、含水率309ppmの成形用材料を得た。また、その成形用材料を実施例1と同様に、Tダイから連続的に吐出させて、厚さ50μmの帯状の被覆用フィルムを得た。また、実施例1と同様に、粘着フィルム及び積層フィルムを得た。
(実施例4)
ポリフェニルサルフォンAを10質量%、ポリエーテルエーテルケトンAを90質量%配合する代わりに、ポリフェニルサルフォンBを40質量%、ポリエーテルエーテルケトンBを60質量%配合した以外は実施例1と同様にして、含水率294ppmの成形用材料を得た。また、その成形用材料を実施例1と同様に、Tダイから連続的に吐出させて、厚さ25μmの帯状の被覆用フィルムを得た。また、実施例1と同様に、粘着フィルム及び積層フィルムを得た。
(実施例5)
ポリフェニルサルフォンAを10質量%、ポリエーテルエーテルケトンAを90質量%配合する代わりに、ポリフェニルサルフォンAを50質量%、ポリエーテルエーテルケトンAを50質量%配合した以外は実施例1と同様にして、含水率316ppmの成形用材料を得た。また、その成形用材料を実施例1と同様に、Tダイから連続的に吐出させて、厚さ75μmの帯状の被覆用フィルムを得た。また、実施例1と同様に、粘着フィルム及び積層フィルムを得た。
(比較例1)
ポリエーテルエーテルケトンAのみを実施例1と同様に、Tダイから連続的に吐出させて、厚さ25μmの帯状の被覆用フィルムを得た。また、実施例1と同様に、粘着フィルム及び積層フィルムを得た。
(比較例2)
ポリフェニルサルフォンAを10質量%、ポリエーテルエーテルケトンAを90質量%配合する代わりに、ポリフェニルサルフォンBを75質量%、ポリエーテルエーテルケトンBを25質量%配合した以外は実施例1と同様にして、含水率327ppmの成形用材料を得た。また、その成形用材料を実施例1と同様に、Tダイから連続的に吐出させて、厚さ25μmの帯状の被覆用フィルムを得た。また、実施例1と同様に、粘着フィルム及び積層フィルムを得た。
(比較例3)
市販のポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、カプトン100H、25μm厚)を被覆用フィルムとした。この被覆用フィルムを用いて、実施例1と同様に、粘着フィルム及び積層フィルムを得た。
(比較例4)
市販のポリフェニレンサルファイドフィルム(東レ社製、トレリナ3030、25μm厚)を被覆用フィルムとした。この被覆用フィルムを用いて、実施例1と同様に、粘着フィルム及び積層フィルムを得た。
<被覆用フィルムの評価>
得られた被覆用フィルムの厚み、色相、透明性、難燃性、耐溶剤性、外観及び耐熱性について以下のように評価した。評価結果を表1,2に示す。
[厚さ]
被覆用フィルムの厚さは、デジタルゲージを使用し、測定した。具体的には、フィルム長手方向において100mm間隔で600mm測定し、フィルム幅方向において25mm間隔で測定し、それらの平均値を求め、その平均値をフィルムの厚さとした。
[色相]
ミノルタ社製スペクトロフォトメーターCM−3700dを用い、JIS Z8722の幾何条件cに準じて以下の条件で測定した。測定:反射、正反射処理:SC1、測定径:25.4mm、UV:100%full、光源:D65、視野:2°。測定結果において、b*が小さい程、黄色度が小さいことを示す。
[透明性]
ヘイズメーター(ガードナー社製ヘイズガードプラス)を用い、JIS K7361−1に準じて全光線透過率を測定し、JIS K7136に準じてヘイズを測定した。
[難燃性]
UL94規格による薄材料垂直難燃試験(VTM試験)行った。VTM試験では、「VTM−0」が最も難燃性が良好で、次いで「VTM−1」、「VTM−2」の順で難燃性は低くなる。
[耐溶剤性]
得られた被覆用フィルムを幅15mm、長さ120mmに裁断して試験片を作成した。その試験片の長手方向の一方の端部に50gの分銅をクリップ(3.3g)により取り付け、分銅を取り付けた試験片を、200mLのメスシリンダに入れた160mLの溶剤中に室温で1分間浸漬させた。溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、トルエン、イソプロプルアルコール(IPA)を用いた。浸漬後のフィルムの状態を目視により観察し、以下の基準で評価した。
○:変化が見られない。
×:破断または溶解した。
[外観]
黄色味および透明性をそれぞれ目視により以下の基準で評価した。
黄色味
○:黄色味が感じられない。
×:黄色味が感じられる。
透明性
○:透明性が良好である。
×:透明性が不良である。
[耐熱性]
被覆用フィルムの耐熱性は貯蔵弾性率を利用して評価した。貯蔵弾性率は、測定機として粘弾性スペクトロメーター(レオメトリック社製RSAII)を用い、動的粘弾性測定法により測定した。
具体的には、まず、被覆用フィルムを縦34mm、横7mmに裁断して試験片を作成した。その際、押出成形の流れ方向が長手方向になるようにした。その試験片を測定機のチャックに取り付け、測定モード:引張モード、振動周波数:3Hz、昇温速度3℃/分、測定温度範囲:−60〜380℃、ひずみ:0.1%、チャック間距離:21.5mmの条件で貯蔵弾性率を測定した。そして、貯蔵弾性率が1×10Pa以上から1×10Pa未満になるときの温度を求めた。その温度が高い程、耐熱性に優れる。
<被覆用粘着フィルムの評価>
得られた被覆用フィルムから以下の方法により被覆用粘着フィルムを作製し、その粘着フィルムの難燃性について以下のように評価した。評価結果を表1,2に示す。
シリコーン塗工剥離紙の剥離面に、アクリル系粘着剤(綜研化学社製、SKダイン)100質量部にリン酸エステル系難燃剤30質量部(大八化学工業社製CR−733S:20質量部、大八化学工業社製CR−741:10質量部)を添加した粘着剤を、厚さ25μmでグラビアコーターにより塗工して、剥離紙付きの粘着剤層を形成した。
その剥離紙付きの粘着剤層の露出面に、前記被覆用フィルムを重ね合わせて貼り付けた後、剥離紙を粘着剤層から剥離して、被覆用粘着フィルムを得た。
得られた被覆用粘着フィルムの難燃性を、被覆用フィルムと同様に、UL94規格による薄材料垂直難燃試験(VTM試験)により評価した。
<積層フィルムの評価>
実施例2の被覆用フィルムを用いた被覆用粘着フィルムの粘着剤層と反対面に、バーコーターを用いて白色インク(溶剤組成:メチルエチルケトンとトルエン)を塗布厚30μmで塗工して白色フィルムを得た。次いで、白色インク塗工面にスクリーン印刷で黒色文字を印刷して、粘着ラベルを得た。そして、各例の被覆用粘着フィルムの粘着剤層と、上記粘着ラベルの印刷面とを貼り合わせて、積層フィルムを得た。
各積層フィルムについて、被覆用粘着フィルムを通してフィルム基材を見た際の黄色味の程度及び透明性を目視により評価した。
黄色味については、黄色味が感じられないものを「○」、黄色味が感じられるものを「×」とした。
透明性については、印刷を容易に視認できるものを「○」、印刷を視認しにくいものを「×」とした。
Figure 2014098064
Figure 2014098064
実施例1〜5で得た被覆用フィルムは、黄色度が小さく、透明性、耐溶剤性、耐熱性及び難燃性に優れていた。また、被覆用粘着フィルムは難燃性が高く、積層フィルムは黄色度が小さく、透明性が高かった。
比較例1で得た被覆用フィルムは黄色度が大きく、そのため、積層フィルムも黄色度が大きかった。
比較例2で得た被覆用フィルムは耐溶剤性及び耐熱性が不充分であった。
比較例3の被覆用フィルムは、黄色度が大きく、そのため、積層フィルムも黄色度が大きかった。
比較例4の被覆用フィルムは、透明性及び耐熱性が不充分であった。また、被覆用粘着フィルム及び積層フィルムの透明性も不充分であった。
10 積層フィルム
11 第1の粘着フィルム
11a フィルム基材
11b 第1の粘着剤層
12 第2の粘着フィルム
12a 被覆用フィルム
12b 第2の粘着剤層

Claims (6)

  1. ポリフェニルサルフォンとポリエーテルエーテルケトンとを含有し、ポリフェニルサルフォンの含有質量Xとポリエーテルエーテルケトンの含有質量Yとの比率(X/Y)が5/95〜60/40である、被覆用フィルム。
  2. 請求項1に記載の被覆用フィルムと、該被覆用フィルムの少なくとも片面に形成された粘着剤層とを有する、被覆用粘着フィルム。
  3. フィルム基材と、該フィルム基材の片面に粘着剤層を介して設けられた請求項1に記載の被覆用フィルムとを有する、積層フィルム。
  4. ポリフェニルサルフォンとポリエーテルエーテルケトンとを含有し、ポリフェニルサルフォンの含有質量Xとポリエーテルエーテルケトンの含有質量Yとの比率(X/Y)が5/95〜60/40である、フィルム基材。
  5. 請求項4に記載のフィルム基材と、該フィルム基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とを有する、粘着ラベル。
  6. 請求項4に記載のフィルム基材と、該フィルム基材の片面に粘着剤層を介して設けられた被覆用フィルムとを有する、積層フィルム。
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