JP2014097023A - 向上した溶解性を有する粉砕茶の製造方法、および当該製造方法により製造された粉砕茶 - Google Patents
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Abstract
【課題】 緑茶本来の風味を有し、冷水に対しても優れた溶解性を有する粉砕茶の提供を課題とする。
【解決手段】 茶葉を粉砕する工程と、前記粉砕工程により粉砕した茶葉の表面上に、前記粉砕工程に用いた茶葉とは別の茶葉より抽出した茶葉抽出液のコーティング層を形成させる工程とを含む粉砕茶の製造方法に関する。
【選択図】図1
【解決手段】 茶葉を粉砕する工程と、前記粉砕工程により粉砕した茶葉の表面上に、前記粉砕工程に用いた茶葉とは別の茶葉より抽出した茶葉抽出液のコーティング層を形成させる工程とを含む粉砕茶の製造方法に関する。
【選択図】図1
Description
本発明は、向上した溶解性を有する粉砕茶の製造方法、および当該製造方法により製造された粉砕茶に関する。
自動給茶器用に利用される茶葉として、茶葉成分の抽出液を凍結乾燥などの手段を用いて粉末状としたインスタントティー(即席茶)や、茶葉のまま微粉砕加工した粉砕茶(粉末茶)が広く製品化されている。
インスタントティーは、茶葉より抽出した抽出液を粉末状とするために、デキストリン等の澱粉とともに造粒されて製造される。結着剤として使用されるデキストリン等の澱粉の添加により、茶葉抽出液の造粒により得られた粉末は、お湯に限らず、冷水に対しても溶解性を示す。よって、インスタントティーは、あたたかいお茶に限らず、冷茶としての提供が可能である。しかしながら、インスタントティーに含まれるデキストリン等の添加物は、多少ながらお茶の風味を損なってしまうという問題点を有していた。また、デキストリン等を添加することにより、インスタントティーの製品の原材料表示欄には、必ず澱粉(主にデキストリン)等の表示を記載する必要がある。これは、一部の消費者の購買意欲を減少させてしまうという商業上の問題となっていた。
一方で、粉砕茶は、緑茶を粉砕器等により20μm程度に粉砕することにより製造される。このように粉砕茶は、デキストリン等の添加物を含まないため、緑茶本来の風味を楽しむことができる。また、原材料も茶葉100%由来であるため、商業上も好ましい。しかしながら、粉砕茶は、細かい粒子同士の集合体であるため、特に冷水に投入した際に水の液面上部に固まったまま浮いてしまったり、容器の底に固着してしまったりと、好ましい溶解性を得ることができない場合があった。さらに、このような場合、撹拌しても水中でダマを形成し、混ざりにくいという問題点も有していた。このように、粉砕茶はお湯には溶解するが、冷水では溶解しにくい。よって、従来、粉砕茶は、自動給茶器において温かいお茶でしか提供できないという問題点を有していた。
上記のような粉砕茶の問題点を解決するために、インスタントティーと同様にデキストリン等の澱粉とともに噴霧乾燥させる方法も検討されてきた(特許文献1)。しかしながら、デキストリン等の添加による解決法は、上述するように、茶葉本来の風味を損ない、また原材料表示の問題を惹起してしまっていた。
上記問題点に鑑み、本発明は、茶葉本来の風味を有し、冷水に対しても優れた溶解性を有する粉砕茶の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、茶葉より抽出した茶葉抽出液で粉砕茶の表面をコーティングすることで、冷水に対しても優れた溶解性を有する粉砕茶の製造方法を見出した。
すなわち、本発明は、向上した溶解性を有する粉砕茶の製造方法であって、前記製造方法は、
茶葉を粉砕する工程と、
前記粉砕工程により粉砕した茶葉の表面上に、前記粉砕工程に用いた茶葉とは別の茶葉より抽出した茶葉抽出液のコーティング層を形成させる工程と
を含むことを特徴とする。
すなわち、本発明は、向上した溶解性を有する粉砕茶の製造方法であって、前記製造方法は、
茶葉を粉砕する工程と、
前記粉砕工程により粉砕した茶葉の表面上に、前記粉砕工程に用いた茶葉とは別の茶葉より抽出した茶葉抽出液のコーティング層を形成させる工程と
を含むことを特徴とする。
また、本発明の製造方法は、一実施の形態において、
茶葉より抽出液を抽出して茶葉抽出液を調製する工程と、
前記抽出液の調製工程に用いた茶葉とは別の茶葉を粉砕する工程と、
前記粉砕工程により粉砕した茶葉の表面上に前記茶葉抽出液のコーティング層を形成させる工程と
を含むことを特徴とする。
茶葉より抽出液を抽出して茶葉抽出液を調製する工程と、
前記抽出液の調製工程に用いた茶葉とは別の茶葉を粉砕する工程と、
前記粉砕工程により粉砕した茶葉の表面上に前記茶葉抽出液のコーティング層を形成させる工程と
を含むことを特徴とする。
また、本発明の粉砕茶の製造方法は、一実施の形態において、製造された粉砕茶が、茶葉由来の成分のみを含むことを特徴とする。
また、本発明の粉砕茶の製造方法は、一実施の形態において、前記コーティング層形成工程において使用される前記茶葉抽出液が、濃縮した茶葉抽出液であることを特徴とする。
また、本発明の粉砕茶の製造方法は、一実施の形態において、前記粉砕工程により粉砕した茶葉が、20μm〜80μmの大きさを有することを特徴とする。
また、本発明の粉砕茶の製造方法は、一実施の形態において、前記コーティング層形成工程が、前記粉砕した茶葉と前記茶葉抽出液とを用いて造粒することにより行われることを特徴とする。
また、本発明の粉砕茶の製造方法は、一実施の形態において、前記コーティング層形成工程において、前記茶葉抽出液に含まれる茶葉エキスが、前記粉砕した茶葉に対して0.5〜10%(w/w)の割合となるように前記茶葉抽出液を添加することを特徴とする。
また、本発明の粉砕茶の製造方法は、一実施の形態において、前記コーティング層形成工程において使用される前記茶葉抽出液が、濃縮した茶葉抽出液であることを特徴とする。
また、本発明の粉砕茶の製造方法は、一実施の形態において、前記粉砕工程により粉砕した茶葉が、20μm〜80μmの大きさを有することを特徴とする。
また、本発明の粉砕茶の製造方法は、一実施の形態において、前記コーティング層形成工程が、前記粉砕した茶葉と前記茶葉抽出液とを用いて造粒することにより行われることを特徴とする。
また、本発明の粉砕茶の製造方法は、一実施の形態において、前記コーティング層形成工程において、前記茶葉抽出液に含まれる茶葉エキスが、前記粉砕した茶葉に対して0.5〜10%(w/w)の割合となるように前記茶葉抽出液を添加することを特徴とする。
以上述べた本発明の一又は複数の特徴を、任意に組み合わせたものも、本発明の粉砕茶の製造方法であることはいうまでもない。
また、本発明の別の態様は、前記製造方法により得られうる、向上した溶解性を有する粉砕茶を提供する。
また、本発明の別の態様は、前記製造方法により得られた、向上した溶解性を有する粉砕茶を提供する。
また、本発明の別の態様は、前記製造方法により得られた、向上した溶解性を有する粉砕茶を提供する。
このように、本発明の製造方法により製造された粉砕茶は、その表面上に茶葉抽出液由来のコーティング層を有する。このコーティング層は、粉砕茶の粒子同士がダマの形成を防ぐことができる。よって、粉砕茶であっても、冷水に対しても容易に溶解させることができる。さらにこのコーティング層自体は、冷水であっても粉砕茶の中心部分と比べて素早く溶解することができ、自動給茶器のように優れた溶解性を要求される用途にも対応することができる。
さらに、本発明の製造方法により製造される粉砕茶は、原料が茶葉のみに由来するため、茶葉本来の風味を楽しむことができ、また、デキストリン等の澱粉が含まれている商品よりも商業上の差別化を図ることができる。
本発明の製造方法により製造される粉砕茶は、粉砕した茶葉であって、その表面上に茶葉抽出液のコーティング層を有するものをいう。なお、本発明の製造方法により製造される粉砕茶は、コーティング層を有することにより向上した溶解性を有する。また、本明細書において「溶解性」とは、水等の溶媒中に粉砕茶の粒子である溶質が溶け込む状態のみならず、溶媒中に溶質が分散(拡散)した状態も含む。
また、本発明の粉砕茶は、自動給茶器用や、一杯分の分量が包装されたティーバック、スティック等、様々な用途に対応した包装物等として提供することができる。
また、本発明の粉砕茶は、自動給茶器用や、一杯分の分量が包装されたティーバック、スティック等、様々な用途に対応した包装物等として提供することができる。
なお、本明細書において「粉砕茶(粉末茶)」とは、茶葉を粉砕して粉末状にしたものであり、茶葉抽出液の造粒により製造される粉末状のインスタントティー(即席粉末茶)とは明確に区別されることを当業者は容易に理解する。なお、一般的に、粉砕茶(粉末茶)は、インスタントティーと比べて製造過程が簡素化されており、製品のコストダウンに優位性を有する。また、一般的に、インスタントティーは、原材料表示として、「茶・デキストリン・ビタミンC」等の表示が必要となる。従って、粉砕茶(粉末茶)は、インスタントティーと比べ、製造コストや製品販売時の原材料表示等において有利な点を有する。
また、本発明に使用される茶葉は、特に限定されず、煎茶、玉露、抹茶、玄米茶、またはこれらの混合物など幅広く使用することができる。また、本発明に使用される茶葉は、好ましくは緑茶である。また、茶葉の摘採の時期も制限されず、例えば、一番茶、二番茶、三番茶、秋冬番茶、およびこれらの混合物等のいずれも使用することができる。また、本発明の茶葉抽出液の抽出に使用される茶葉や、粉砕茶の原料となる茶葉は、荒茶でもよく、加工茶(仕上げ茶・仕上げ加工茶)でもよい。
茶葉より茶葉抽出液を抽出する工程は、当業者に周知の方法により抽出することができる。例えば、茶葉抽出液の抽出には、撹拌タンク・ニーダー等の茶葉抽出液の抽出が可能な装置を用いて行うことができる。抽出工程は、例えば、茶葉を温水(30〜90℃)に5〜60分間浸すことで茶葉抽出液を抽出することができる。また、抽出に用いた茶葉と茶葉抽出液とは、網、濾布、シフター、濾布式遠心分離機等用いて分離(清澄化)させることができる。これにより、茶葉より抽出される茶葉エキスが溶解した茶葉抽出液を得ることができる。
また、清澄化した茶葉抽出液は、濃縮して使用することが好ましい。濃縮工程は、真空濃縮機、膜濃縮機等の茶葉抽出液を濃縮できる装置を使用することで行うことができる。上記の方法により、温水で抽出した茶葉抽出液に含まれる茶葉エキスの濃度は、通常、1〜2%(w/w)の範囲内である。これを濃縮することにより茶葉抽出液中の茶葉エキスの濃度を高めることができる。濃縮後の茶葉抽出液中に含まれる茶葉エキスの濃度は、10〜30%(w/w)とすることが好ましく、20〜30%(w/w)とすることがより好ましい。なお、本明細書において、「茶葉抽出液の濃縮度」という場合、当該濃度は、茶葉抽出液に含まれる茶葉エキスの濃度と等しいことを意味する。
また、茶葉抽出液に含まれる茶葉エキスの濃度の測定は、Brix計での測定値を定数換算または乾燥減量法で測定することにより求めることができる。
また、茶葉抽出液に含まれる茶葉エキスの濃度の測定は、Brix計での測定値を定数換算または乾燥減量法で測定することにより求めることができる。
粉砕茶の表面に形成される茶葉抽出液のコーティング層は、粉砕茶を水に溶解させた際に中心部の粉砕した茶葉部分よりも素早く水へ溶解し、水全体へ拡散する。この特性は、特に、本発明の粉砕茶を冷水に溶解させた場合に好ましい。とりわけ、濃縮した茶葉抽出液を用いることで、素早く冷水全体にお茶の風味をいきわたらせることが可能となる。
茶葉の粉砕は、当業者に周知の方法により行うことができ、例えば、茶葉を石臼、ボールミル、ジェットミル等を用いて粉砕することができる。このとき、粉砕後の茶葉は、20μm〜80μmとすることが好ましく、30μm〜50μmの大きさを有するとすることがより好ましい。粉砕後の茶葉の大きさを、従来の20μm前後よりも大きい80μmまでの大きさを有する茶葉を含むようにすることで、水への溶解時のダマの形成を防止することができる。また、粉砕後の茶葉の大きさを20μm〜80μmとすることで、飲用時における喉越し等に違和感のないお茶を提供することができる。
本発明の粉砕茶は、その表面上に茶葉抽出液からなるコーティング層を有するように製造される。粉砕茶の表面に茶葉抽出液をコーティングさせる方法は、特に制限されないが、例えば、流動層造粒機等の造粒装置を用いて行うことができる。茶葉抽出液を粉砕茶の表面にコーティングする際、茶葉抽出液に含まれる茶葉エキスが、粉砕茶に対して0.5〜10%(w/w)の割合となることが好ましく、2〜5%(w/w)の割合となることがより好ましい。
従って、例えば、粉砕した茶葉100gに対して茶葉エキス3g分(固形分換算)をコーティングする場合には、造粒工程において25%(w/w)濃度の茶葉エキスを含む茶葉抽出液(すなわち、濃縮度25%の茶葉抽出液)を12g使用すればよい。これにより、造粒後の粉砕茶に対して3%(w/w)の茶葉エキスを、粉砕茶表面にコーティングすることができる。
なお、コーティング層に含まれる茶葉エキスの割合が0.5%より下回ると、粉砕された茶葉全体にコーティング層が施されないため、造粒後の粒子同士の流動性が著しく損なわれダマ形成防止効果が得られにくくなる。一方で、コーティング層に含まれる茶葉エキスの割合が10%を超えると、造粒後の粒子全体が硬化してしまうため溶解性が著しく悪くなり望ましくない。
従って、例えば、粉砕した茶葉100gに対して茶葉エキス3g分(固形分換算)をコーティングする場合には、造粒工程において25%(w/w)濃度の茶葉エキスを含む茶葉抽出液(すなわち、濃縮度25%の茶葉抽出液)を12g使用すればよい。これにより、造粒後の粉砕茶に対して3%(w/w)の茶葉エキスを、粉砕茶表面にコーティングすることができる。
なお、コーティング層に含まれる茶葉エキスの割合が0.5%より下回ると、粉砕された茶葉全体にコーティング層が施されないため、造粒後の粒子同士の流動性が著しく損なわれダマ形成防止効果が得られにくくなる。一方で、コーティング層に含まれる茶葉エキスの割合が10%を超えると、造粒後の粒子全体が硬化してしまうため溶解性が著しく悪くなり望ましくない。
なお、粉砕茶の表面をコーティングする茶葉抽出液に使用される茶葉は、粉砕茶と同種(茶葉の種類、摘採時期、荒茶/加工茶等の条件が同じもの)のものを用いてもよく、また、異種(茶葉の種類、摘採時期、荒茶/加工茶等の条件が異なるもの)のものを用いてもよい。
このように、茶葉抽出液と粉砕した茶葉とから製造される本発明の粉砕茶は、茶葉の成分のみから構成されるため、食品としての原材料表示には、「緑茶」の表記や、「緑茶エキス」の併記が可能なる。これは、デキストリン等の添加物を含む商品に対して、商業的に非常に有利な点となる。
このように、茶葉抽出液と粉砕した茶葉とから製造される本発明の粉砕茶は、茶葉の成分のみから構成されるため、食品としての原材料表示には、「緑茶」の表記や、「緑茶エキス」の併記が可能なる。これは、デキストリン等の添加物を含む商品に対して、商業的に非常に有利な点となる。
また、本発明は、一実施の態様として、茶葉を粉砕する工程と、粉砕工程により粉砕した茶葉の表面上に、粉砕工程に用いた茶葉とは別の茶葉より抽出した茶葉抽出液のコーティング層を形成させる工程と、を含むことを特徴とする粉砕茶の製造方法より得られうる、向上した溶解性を有する粉砕茶を提供する。
ここで、上記の製造方法により「得られうる」粉砕茶とは、上記製造方法により「得られた」粉砕茶に限らず、上記製造方法以外の製造方法により得られた粉砕茶であって、本発明の粉砕茶と同じ構造を有する粉砕茶も含む。
ここで、上記の製造方法により「得られうる」粉砕茶とは、上記製造方法により「得られた」粉砕茶に限らず、上記製造方法以外の製造方法により得られた粉砕茶であって、本発明の粉砕茶と同じ構造を有する粉砕茶も含む。
なお、本明細書において用いられる用語は、特定の実施態様を説明するために用いられるのであり、発明を限定する意図ではない。
また、本明細書において用いられる「含む」との用語は、文脈上明らかに異なる理解をすべき場合を除き、記述された事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを意図するものであり、それ以外の事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを排除しない。
異なる定義が無い限り、ここに用いられるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む。)は、本発明が属する技術の当業者によって広く理解されるのと同じ意味を有する。ここに用いられる用語は、異なる定義が明示されていない限り、本明細書及び関連技術分野における意味と整合的な意味を有するものとして解釈されるべきであり、理想化され、又は、過度に形式的な意味において解釈されるべきではない。
本発明の実施態様は模式図を参照しつつ説明される場合があるが、模式図である場合、説明を明確にするために、誇張されて表現されている場合がある。
本発明の実施態様は模式図を参照しつつ説明される場合があるが、模式図である場合、説明を明確にするために、誇張されて表現されている場合がある。
以下において、本発明を、実施例を参照してより詳細に説明する。しかしながら、本発明はいろいろな態様により具現化することができ、ここに記載される実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。
(実施例1.粉砕茶の製造)
(1−1.茶葉抽出液の調製工程)
茶葉抽出液を調製するための原料として、緑茶葉(仕上げ加工茶・二番茶)を使用した。茶葉抽出液の抽出には、撹拌タンクを用い、緑茶葉より抽出液を抽出した。まず、撹拌タンクへ緑茶葉と温水(70℃)とを入れ、緑茶葉を20分間温水に浸すことで茶葉抽出液を抽出した。次に、緑茶葉と茶葉抽出液とを分離(清澄化)するため、シフターと濾布式遠心分離機を用いて、茶葉抽出液より緑茶葉を取り除いた。清澄化した茶葉抽出液は、真空濃縮機を用いて濃縮度が25%となるように濃縮し、茶葉抽出液を調製した。
(1−1.茶葉抽出液の調製工程)
茶葉抽出液を調製するための原料として、緑茶葉(仕上げ加工茶・二番茶)を使用した。茶葉抽出液の抽出には、撹拌タンクを用い、緑茶葉より抽出液を抽出した。まず、撹拌タンクへ緑茶葉と温水(70℃)とを入れ、緑茶葉を20分間温水に浸すことで茶葉抽出液を抽出した。次に、緑茶葉と茶葉抽出液とを分離(清澄化)するため、シフターと濾布式遠心分離機を用いて、茶葉抽出液より緑茶葉を取り除いた。清澄化した茶葉抽出液は、真空濃縮機を用いて濃縮度が25%となるように濃縮し、茶葉抽出液を調製した。
(1−2.茶葉の粉砕工程)
緑茶(仕上げ加工茶・一番茶)を原料とし、ボールミルを用いて、摩擦を加え、圧縮することにより、緑茶葉を粉砕したものを製造した。なお、粉砕した緑茶葉は、大きさが、20μm〜60μmとなるように粉砕した。
緑茶(仕上げ加工茶・一番茶)を原料とし、ボールミルを用いて、摩擦を加え、圧縮することにより、緑茶葉を粉砕したものを製造した。なお、粉砕した緑茶葉は、大きさが、20μm〜60μmとなるように粉砕した。
(1−3.粉砕した茶葉の造粒工程)
上記1−1.で製造した濃縮度が25%の茶葉抽出液と、上記1−2.で製造した粉砕した茶葉(20〜60μm)とを用いて、粉砕茶を製造した。具体的には、茶葉抽出液と粉砕した茶葉とを用いて造粒工程を行った。造粒工程には流動層造粒機(FLO200型、フロイント産業株式会社製)を用いた。なお、造粒工程においては、粉砕した茶葉100gに対して茶葉抽出液(濃縮度25%)を15%(w/w)となる割合で添加することにより、造粒後の粉砕茶の表面に約3.75%(w/w)の茶葉エキスを含むコーティング層を形成させた。
上記1−1.で製造した濃縮度が25%の茶葉抽出液と、上記1−2.で製造した粉砕した茶葉(20〜60μm)とを用いて、粉砕茶を製造した。具体的には、茶葉抽出液と粉砕した茶葉とを用いて造粒工程を行った。造粒工程には流動層造粒機(FLO200型、フロイント産業株式会社製)を用いた。なお、造粒工程においては、粉砕した茶葉100gに対して茶葉抽出液(濃縮度25%)を15%(w/w)となる割合で添加することにより、造粒後の粉砕茶の表面に約3.75%(w/w)の茶葉エキスを含むコーティング層を形成させた。
(実施例2.水への溶解性の評価)
実施例1で製造した茶葉抽出液のコーティング層を有する粉砕茶が、冷水に対しても溶解するか否かを評価するために、下記試験を行った。
まず、実施例1で製造した粉砕茶0.2gを計量し、容器に入れた。次に、冷水(約10℃)を100ccビーカーで測り取り、粉砕茶が入った容器へ注ぐことにより、粉砕茶の溶解性を評価した。溶解性の評価は、容器の底への固着、液面上への浮遊、ならびに、撹拌棒を用いた際の容器内壁への固着および撹拌棒への固着を観察した。なお、比較対象として、茶葉抽出液で表面がコーティングされていない従来の茶葉粉砕品(一番茶、20μm)を用いて、同様に溶解性を評価した。
その結果、従来の茶葉粉砕品においては、容器の底に粉砕した茶葉が固着していた。さらに、従来の茶葉粉砕品においては、粉砕した茶葉が溶解せずに、液面の上部にダマとなって浮遊していた。そこで、撹拌棒を用いて粉砕した茶葉の溶解を試みたが、容器の内壁に固着、または撹拌棒に固着し、容易に溶解させることは困難であった。さらに、固着しなかった茶葉であっても、部分的に水溶液中で凝集し、1mm程度のダマが形成され、溶解しにくい状態であった。
一方、実施例1で製造した粉砕茶においては、容器の底や内壁への固着は見られなかった。また、液面上部でのダマの形成もみられなかった。さらに、撹拌棒を使用しても、容器の内壁や撹拌棒への固着は見られなかった。また、水溶液中でのダマの形成も観察されず、容易に溶解していた。
実施例1で製造した茶葉抽出液のコーティング層を有する粉砕茶が、冷水に対しても溶解するか否かを評価するために、下記試験を行った。
まず、実施例1で製造した粉砕茶0.2gを計量し、容器に入れた。次に、冷水(約10℃)を100ccビーカーで測り取り、粉砕茶が入った容器へ注ぐことにより、粉砕茶の溶解性を評価した。溶解性の評価は、容器の底への固着、液面上への浮遊、ならびに、撹拌棒を用いた際の容器内壁への固着および撹拌棒への固着を観察した。なお、比較対象として、茶葉抽出液で表面がコーティングされていない従来の茶葉粉砕品(一番茶、20μm)を用いて、同様に溶解性を評価した。
その結果、従来の茶葉粉砕品においては、容器の底に粉砕した茶葉が固着していた。さらに、従来の茶葉粉砕品においては、粉砕した茶葉が溶解せずに、液面の上部にダマとなって浮遊していた。そこで、撹拌棒を用いて粉砕した茶葉の溶解を試みたが、容器の内壁に固着、または撹拌棒に固着し、容易に溶解させることは困難であった。さらに、固着しなかった茶葉であっても、部分的に水溶液中で凝集し、1mm程度のダマが形成され、溶解しにくい状態であった。
一方、実施例1で製造した粉砕茶においては、容器の底や内壁への固着は見られなかった。また、液面上部でのダマの形成もみられなかった。さらに、撹拌棒を使用しても、容器の内壁や撹拌棒への固着は見られなかった。また、水溶液中でのダマの形成も観察されず、容易に溶解していた。
(実施例3.種々の茶葉より製造した粉砕茶の水への溶解性評価および官能試験)
一番茶、一番茶・二番茶混合、二番茶、および秋冬番茶の緑茶(仕上げ加工茶)を原料として、実施例1に記載の製造方法に準じて、粉砕茶を製造した。なお、コーティング層を形成するための茶葉抽出液には、一番茶には一番茶の茶葉抽出液、二番茶には二番茶の茶葉抽出液となるように、同じ種類の茶葉より抽出した茶葉抽出液を用いた。また、茶葉抽出液の添加は、粉砕した茶葉に対して茶葉エキスが3%(w/w)となるように添加した。なお、一番茶についてのみ、茶葉抽出液を添加しない区を作成した。
また、製造した粉砕茶は、10℃の水または80℃のお湯へ溶解させ、溶解性の評価と風味の官能試験を行った。
一番茶、一番茶・二番茶混合、二番茶、および秋冬番茶の緑茶(仕上げ加工茶)を原料として、実施例1に記載の製造方法に準じて、粉砕茶を製造した。なお、コーティング層を形成するための茶葉抽出液には、一番茶には一番茶の茶葉抽出液、二番茶には二番茶の茶葉抽出液となるように、同じ種類の茶葉より抽出した茶葉抽出液を用いた。また、茶葉抽出液の添加は、粉砕した茶葉に対して茶葉エキスが3%(w/w)となるように添加した。なお、一番茶についてのみ、茶葉抽出液を添加しない区を作成した。
また、製造した粉砕茶は、10℃の水または80℃のお湯へ溶解させ、溶解性の評価と風味の官能試験を行った。
その結果を表1および表2に示す。
なお、溶解性の評価は、4段階の評価(◎:撹拌せずに溶解した ○:軽く撹拌することで溶解した △:溶解にしばらく撹拌が必要であった ×:撹拌しても溶解困難であった)により行った。
なお、溶解性の評価は、4段階の評価(◎:撹拌せずに溶解した ○:軽く撹拌することで溶解した △:溶解にしばらく撹拌が必要であった ×:撹拌しても溶解困難であった)により行った。
表1は、冷水(10℃)に対して各粉砕茶を溶解させた結果を示す。表1から明らかな通り、茶葉抽出液のコーティング層を有する粉砕茶は、冷水(10℃)に対しても、軽く撹拌する程度で容易に溶解した。特に秋冬番茶は、お湯へ溶解させた場合(表2)と変わらず、撹拌せずに良好に溶解した。一方、コーティング層を有しない一番茶は、溶解させるためにしばらくの撹拌を必要とした。
表2は、お湯(80℃)に対して各粉砕茶を溶解させた結果を示す。表2から明らかな通り、各粉砕茶は、いずれも非常に良好な溶解性を示した。また、一番茶については、コーティング層を有することにより、溶解性が向上したことに留まらず、お茶の味にまろやかさとふくらみをもたせることができた。
Claims (8)
- 向上した溶解性を有する粉砕茶の製造方法であって、
茶葉を粉砕する工程と、
前記粉砕工程により粉砕した茶葉の表面上に、前記粉砕工程に用いた茶葉とは別の茶葉より抽出した茶葉抽出液のコーティング層を形成させる工程と
を含むことを特徴とする粉砕茶の製造方法。 - 請求項1に記載の製造方法であって、製造された粉砕茶が、茶葉由来の成分のみを含むことを特徴とする製造方法。
- 請求項1または2に記載の製造方法であって、前記コーティング層形成工程において使用される前記茶葉抽出液が、濃縮した茶葉抽出液であることを特徴とする製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法であって、前記粉砕工程により粉砕した茶葉が、20μm〜80μmの大きさを有することを特徴とする製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法であって、前記コーティング層形成工程が、前記粉砕した茶葉と前記茶葉抽出液とを用いて造粒することにより行われることを特徴とする製造方法。
- 前記請求項5に記載の製造方法であって、前記コーティング層形成工程において、前記茶葉抽出液に含まれる茶葉エキスが、前記粉砕した茶葉に対して0.5〜10%(w/w)の割合となるように前記茶葉抽出液を添加することを特徴とする製造方法。
- 請求項1〜6に記載の製造方法により得られうる、向上した溶解性を有する粉砕茶。
- 請求項1〜6に記載の製造方法により得られた、向上した溶解性を有する粉砕茶。
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