JP2014094913A - 歯科用アルジネート印象材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A1)β−D−マンヌロン酸およびα−L−グルロン酸を単位構造として含み、かつ、α−L−グルロン酸に対するβ−D−マンヌロン酸のモル比率であるM/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩と、(B)非還元糖とを含むことを特徴とする歯科用アルジネート印象材。
【選択図】なし
Description
(1)歯列中において1本の歯が抜けることで形成された凹凸部(いわゆるブリッジ冠)などのように、印象採取の対象となる歯牙の凹凸形状が複雑な場合
(2)上顎側(あるいは下顎側)の全ての歯牙の印象を採取するなどのように、印象採取の対象となる歯牙の表面積が大きい場合
本発明の歯科用アルジネート印象材は、(A1)β−D−マンヌロン酸およびα−L−グルロン酸を単位構造として含み、かつ、α−L−グルロン酸に対するβ−D−マンヌロン酸のモル比率であるM/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩と、(B)非還元糖とを含むことを特徴とする。
アルギン酸塩としては、M/G比率が0.4〜0.7の範囲内のアルギン酸塩が少なくとも用いられる。また、本実施形態のアルジネート印象材には、M/G比率が0.4〜0.7の範囲内のアルギン酸塩以外に、M/G比率が0.7を超えるアルギン酸塩が若干含まれていてもよい。アルギン酸塩のM/G比率の上限は一般に、2.5程度であり、この上限のものまで含有させることができる。但し、この場合でも、アルギン酸塩としては、M/G比率が0.4〜0.7の範囲内のアルギン酸塩を主成分として用いることが必要である。具体的には、M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩と、M/G比率が0.7を超えるアルギン酸塩との合計量に対して、M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩の含有量の割合が90質量%を超えることが好ましく、93質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩と、M/G比率が0.7を超えるアルギン酸塩との合計量に対して、M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩の含有量の割合を90質量%を超えるものとすることにより、硬化物を歯牙から引き離す際の変形を抑制するために好適なゲル強度、すなわち、口腔内から硬化物を撤去するタイミング(硬化物の硬化初期段階)において、弾性歪を概ね13%〜17%程度の範囲内に調整し、永久歪を概ね2%〜5%程度の範囲内に調整することが極めて容易となる。この調整をより容易にする観点から、M/G比率が0.7を超えるアルギン酸塩は、M/G比率が1.0〜1.8のものを用いるのが特に好ましい。
ゲル化反応剤としては硫酸カルシウムを用いる。ゲル化反応剤は、水の存在下で、ゲル化反応剤とアルギン酸塩とが反応してゲル化することで硬化物を形成する機能を有する。硫酸カルシウムとしては、従来の歯科用アルジネート印象材に用いられる公知のものであれば何ら制限無く利用できる。硫酸カルシウムとしては、たとえば、硫酸カルシウム2水塩、硫酸カルシウム半水塩、無水硫酸カルシウム等を用いることが好ましい。これらの硫酸カルシウムは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。硫酸カルシウムの配合量としては特に限定されないが、ペーストタイプおよび粉末タイプのいずれにおいても混練物中において、アルギン酸塩100質量部に対して10質量部〜2000質量部の範囲内が好ましく、100質量部〜1000質量部の範囲内がより好ましい。
水は、ペーストタイプの場合は、基材ペーストを構成する必須成分として用いられ、粉末タイプの場合は、粉末から混練物を形成する際に用いられる。また、粉末タイプのアルジネート印象材が、粉末と水溶液とから構成される場合は、当該水溶液の主成分として水が用いられる。水としては、水道水、イオン交換水、蒸留水等が利用できる。水の使用量は、混練物を作製した際に、当該混練物中において、アルギン酸塩100質量部に対して、100質量部〜4000質量部の範囲内で用いることが好ましく、500質量部〜2000質量部の範囲内で用いることがより好ましい。
非還元糖としては、還元性を示さない公知の糖類であれば特に制限無く利用できる。ここで、「還元性」とは、アルカリ性水溶液中で、銀や銅等の重金属イオンに対して還元作用を示す性質を意味する。還元性を有する糖類は、重金属イオンに対する還元作用を利用したトレンス試薬、ベネジクト試薬、あるいは、フェーリング試薬によって検出される。これに対して、本実施形態のアルジネート印象材に用いられる非還元糖は、これら試薬で検出できない糖類を意味する。
本実施形態のアルジネート印象材がペーストタイプである場合、硬化材ペーストの主成分として難水溶性有機溶媒が用いられる。難水溶性有機溶媒は、ゲル化反応剤を含む硬化材ペーストのペースト化に用いられる。すなわち、この難水溶性有機溶媒は、ゲル化反応剤と混合することで、ペーストを形成する機能を有する。ゲル化反応剤は、一般的に水と反応すると硬化する性質を有するため、ゲル化反応剤をペースト状態で長期に渡って安定的に保存するためには、ペースト化に用いる溶媒としては、含水し難い難水溶性の溶媒、すなわち、難水溶性有機溶媒を用いる。ここで、「難水溶性有機溶媒」とは、温度20℃の水100gに対する溶解度が5g以下の液体を意味する。なお、難水溶性有機溶媒の溶解度は、3g以下が好ましい。難水溶性有機溶媒としては、上記溶解度を示す液体であれば公知の液体が利用できる。このような液体としては、たとえば、炭化水素化合物、脂肪族アルコール、環式アルコール、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸塩エステル、疎水性重合体等が挙げられる。以下、これら各種の難水溶性有機溶媒の好適な例を示す。
本実施形態のアルジネート印象材には、以上に説明した各成分以外にも、必要に応じて充填剤やゲル化調整剤などの各種の添加剤を配合することができる。
本実施形態のアルジネート印象材の製造方法としては特に限定されず、本実施形態のアルジネート印象材が市場に提供される形態に応じて公知の製造方法が適宜選択できる。たとえば、本実施形態のアルジネート印象材が、粉末タイプの場合、粉末を構成する各成分を任意の順番で混合・攪拌することで、均一かつムラの無い粉末を得ることができる。また、粉末タイプの本実施形態のアルジネート印象材が、粉末に加えて水溶液も有する場合、水中に、水溶液を構成する水以外の各成分を任意の順番で分散・溶解させることができる。
本実施形態のアルジネート印象材の使用に際しては、一般的に、少なくとも本実施形態のアルジネート印象材を少なくとも用いて混練物を作製した後、この混練物を専用のトレーに盛りつける。そして、トレーに盛りつけられた混練物を歯牙等の目的物に圧接することで印象を採取する。その後、印象が採取された混練物が硬化して硬化物となった後、この硬化物を基に石膏模型を作製する等の後工程がさらに実施される。ここで、トレーとしては公知のトレーが制限なく利用できるが、一般的には金属製トレーまたはレジン製トレーが利用される。金属製トレーの材質としては、ステンレス、錫合金、アルミニウム、メッキ処理あるいは樹脂コーティングされた黄銅等が挙げられる。なお、本実施形態のアルジネート印象材を用いた場合、混練物は、いずれの金属製トレーにもよく保持される。また、レジン製トレーの材質としてはポリメタクリル酸エステル等が挙げられる。
後述する実施例および比較例のアルジネート印象材の作製に用いた各種原料の略称は以下の通りである。
A1:アルギン酸カリウム
M/G比率=0.5(M1:39.5%、M2:14.0%、M3:46.5%)
1質量%水溶液粘度=350mPa・s
A2:アルギン酸カリウム
M/G比率=0.5(M1:34.9%、M2:16.3%、M3:48.8%)
1質量%水溶液粘度=150mPa・s
A3:アルギン酸ナトリウム
M/G比率=0.5(M1:37.2%、M2:16.3%、M3:46.5%)
1質量%水溶液粘度=60mPa・s
A4:アルギン酸カリウム
M/G比率=0.4(M1:28.6%、M2:14.3%、M3:57.1%)
1質量%水溶液粘度=150mPa・s
A5:アルギン酸カリウム
M/G比率=0.7(M1:45.3%、M2:18.6%、M3:36.1%)
1質量%水溶液粘度=150mPa・s
A6:アルギン酸カリウム
M/G比率=1.6(M1:37.3%、M2:42.9%、M3:19.8%)
1質量%水溶液粘度=350mPa・s
A7:アルギン酸カリウム
M/G比率=1.6(M1:35.2%、M2:44.0%、M3:20.8%)
1質量%水溶液粘度=150mPa・s
A8:アルギン酸カリウム
M/G比率=1.2(M1:44.8%、M2:32.2%、M3:23.0%)
1質量%水溶液粘度=150mPa・s
A9:アルギン酸カリウム
M/G比率=0.9(M1:43.3%、M2:25.7%、M3:31.0%)
1質量%水溶液粘度=150mPa・s
A10:アルギン酸カリウム
M/G比率=0.5(M1:35.6%、M2:15.6%、M3:48.8%)
1質量%水溶液粘度=30mPa・s
A11:アルギン酸カリウム
M/G比率=0.5(M1:42.9%、M2:11.9%、M3:45.2%)
1質量%水溶液粘度=600mPa・s
Cdexα:α−シクロデキストリン
Cdexβ:β−シクロデキストリン
流動P:流動パラフィン
Dec13:デカグリセリルトリオレート
MgO:酸化マグネシウム
FTiK:フッ化チタンカリウム
ZnO:酸化亜鉛
P3Na:リン酸三ナトリウム
後述する比較例で用いた市販のペーストタイプ或いは粉末タイプのアルジネート印象材の略称は以下の通りである。
・製品A:トクヤマAP−1(トクヤマデンタル社製、ペーストタイプアルジネート印象材)
・製品B:粉末タイプアルジネート印象材の他社品
・製品C:粉末タイプアルジネート印象材の他社品
後述する実施例および比較例のサンプルについての「アルギン酸塩のM/G比率の測定方法」、「硬化時間の測定方法」、「硬化物の弾性歪の評価方法」、「硬化物の永久歪の評価方法」、「表面滑沢性の評価方法および評価基準」、「適合歪の評価方法および評価基準」、および「印象材ペースト圧接感の評価方法および評価基準」は、以下の通りである。
試料となるアルギン酸塩5gを量りとり、500mlの0.3M HCl水溶液を加え、100℃、2時間攪拌を行った。その後、溶液に存在する不溶分を遠心処理(3000rpm 30分)によって分離し、上澄み液(以下、「第一上澄液」と称す)と沈殿物(以下、「第一沈殿物」と称す)をそれぞれ回収した。第一上澄み液は、0.1M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHが7.0となるように中和し、液分を揮発させ、固形分を回収した。そして、この固形分に対して、フェノール硫酸法を用いて、糖量X1(mg)を定量した。
・式(1) M1(%)=100×X1/(X1+X2+X3)
・式(2) M2(%)=100×X2/(X1+X2+X3)
・式(3) M3(%)=100×X3/(X1+X2+X3)
・式(4) M/G比率=(M2+M1×0.5)/(M3+M1×0.5)
ペーストタイプのアルジネート印象材の硬化時間の測定は、以下の手順で実施した。23℃、湿度50%の恒温室内で、まず、予め調整した硬化材ペースト及び基材ペーストを、アルジネート印象材自動錬和器APミキサーII(トクヤマデンタル社製)を用いて混練し、アクリル板(縦71mm×横71mm)の上面に平円筒(外径50mm、内径45mm、高さ8mm)を接着した部材の円筒部内に混練物を盛付けた後、円筒部の開口部からはみ出た混練物を擦切った。この際、ストップウオッチをスタートした。続いて、円筒部内の混練物にアクリル棒(直径6mm×100mm)を挿入し、引上げる操作を繰り返し、アクリル棒に混練物が付着しなくなるまでの時間を測定した。なお、同試験を3回行い、その平均値を硬化時間とした。
硬化物の弾性歪を評価するため、以下の手順で混練物を作製した。まず、ペーストタイプのアルジネート印象材から硬化物を作製する場合、予め調整した硬化材ペースト及び基材ペーストを、アルジネート印象材自動錬和器APミキサーII(トクヤマデンタル社製)を用いて混練することで混練物を得た。また、粉末タイプのアルジネート印象材から硬化物を作製する場合、予め、粉末成分を均一な粉末になるまで混ぜ合わせたものと、液体成分とを所定量量り取った後、これらを混練容器(ラバーカップ)に入れた。続いて、混練容器中に投入した粉末成分と液体成分とを混練ヘラを用いて均一なペーストとなるまで約30秒間混練することにより混練物を得た。
そして、同一のアルジネート印象材について同様の評価を3回実施して得られた各々の弾性歪の平均値を硬化物の弾性歪とした。
・式(5) 弾性歪(εe)=(A−B)/20×100(%)
硬化物の弾性歪を評価する場合と同様の手順で円柱状の硬化物サンプルを準備した。次に、この円柱状の硬化物サンプル(高さ20mm)を、この硬化物サンプルの中心軸方向から荷重が加わるように、23℃、湿度50%の恒温室内で圧縮試験機(株式会社日本メック社製、印象材永久ひずみ試験機 A−003)にセットした。この際、硬化物サンプルの一端(上部側)とダイヤルゲージの測定子との間にはアクリル板(縦4.5mm、横4.5mm、厚み3mm)を配置した。そして、第一のストップウオッチの時間の計測開始から4分経過後に以下の手順で圧縮試験を実施した。まず、ダイヤルゲージの測定子をアクリル板に接触させ、接触から10秒後のダイヤルゲージの値C(mm)を読み取った。そして、値Cを読み取ってから5秒後に、硬化物サンプルに荷重を加えることで、硬化物サンプルを1秒以内に、硬化物サンプルの高さを16mm±0.1mmとなるように変形(20%歪変形)させた。この変形状態を5秒±0.5秒間保持した後、硬化物サンプルに対してアクリル板の自重に起因する荷重のみを25秒間加えた。その後、ダイヤルゲージの測定子をアクリル板に接触させ、接触から10秒後に再度ダイヤルゲージの値D(mm)を読み取った。
そして、同一のアルジネート印象材について同様の評価を3回実施して得られた各々の永久歪の平均値を硬化物の永久歪とした。
・式(6) 永久歪(εq)=(C−D)/20×100(%)
表面潤沢性の評価は以下の手順で実施した。まず、サンプルがペーストタイプのアルジネート印象材である場合には、予め調整した基材ペーストおよび硬化剤ペーストを、アルジネート印象材自動錬和器APミキサーII(トクヤマデンタル社製)を用いて混錬した。また、サンプルが粉末タイプのアルジネート印象材である場合には、予め、粉末成分を均一な粉末になるまで混ぜ合わせたものを、使用直前に、液成分と混合し、手練和により、均一なペースト状になるまで混錬した。
A:硬化物の表面が濡れているかのような光沢を有し、非常に滑らかである。
B:硬化物の表面に、光沢は見られないが、非常に滑らかである。
C:硬化物の表面に、光沢が見られず、表面がザラザラしている。
D:硬化物の表面が乾燥により干からびており、所々にひび割れが見られる。
適合歪の評価に際しては、図4に示す一対の金型を使用した。ここで、図4に示すように、適合歪の評価に用いた一対の金型は、第一の金型10および第二の金型20からなる。第一の金型10は2つの凹部12R、12Lを有し、第二の金型20は、2つの凸部22R、22Lを有する。また、第一の金型10および第二の金型20は、図4に示すように凹部12Rと凸部22R、および、凹部12Lと凸部22L、が一致するように第一の金型10と第二の金型20とを嵌合させた場合、両者は実質的に隙間無く嵌合できる寸法精度を有する。なお、凸部22R、22Lの形状および寸法は、ブリッジ冠の作製を想定したものであり、凸部22R、22Lの高さHは10mm、頂部の幅Wは8mmである。
レーザー顕微鏡VK−8700)を用いて測定した。なお、隙間長さの測定は、図5に示すように、(1)凹部12Lの底面と、この底面に対向する凸部32Lの頂面との間において、その両端近傍の2点(図5中の符号A,Bで示す位置)、(2)凸部32Rと凸部32Lとの間の領域において、第一の金型10の表面と、この表面に対向する石膏模型30の表面との間において、その両端近傍の2点(図5中の符号C,Dで示す位置)、および、(3)凹部12Rの底面と、この底面に対向する凸部32Rの頂面との間において、その両端近傍の2点(図5中の符号E,Fで示す位置)、について各々測定した。そして、A点〜F点で測定した6つの隙間長さの平均値を「適合歪」として求めた。なお、図5において、石膏模型30の代わりに第二の金型20を用いた場合に、上述した場合と同様にして求めた「適合歪」は、5.0μmである。
印象材ペーストの圧接感を評価するため、以下の手順で混練物を作製した。まず、予め調整した硬化材ペースト及び基材ペーストを、アルジネート印象材自動錬和器APミキサーII(トクヤマデンタル社製)を用いて混練することで混練物を得た。
(φ−1)=t/10(sec/mm)
(実施例1)
ゲル化反応剤として、400gの無水石膏、及び200gの二水石膏、硬化助剤として、88gのMgO、75gのFTiK、及び50gのZnO、硬化遅延剤として、13gのP3Na、充填剤として、87.5gの珪藻土、溶剤として、288gの流動P、及び50gのDec13を量りとり、小型混練器(アイコー産業社製アイコーミキサー)を用いて1時間混練し、硬化剤ペーストを調整した。また、アルギン酸塩として、100gのA1、非還元糖として、875gのトレハロース、水として、2079gの蒸留水、充填剤として、385.5gの珪藻土を量りとり、小型混練器を用いて1時間攪拌し、基材ペーストを調整した。得られた硬化材ペースト及び基材ペーストを、アルジネート印象材自動練和器(トクヤマデンタル社製「APミキサーII」)によって混練(混練比:基材/硬化材=2.75)し、得られた混練物を用いて、硬化時間、ならびに、硬化物の弾性歪、永久歪、表面滑沢性及び適合歪の評価を行った。
アルジネート印象材の組成を、表1、表2および表3に示す内容に変更した以外は、実施例1と同様にして硬化材ペーストおよび基材ペーストを調整し、得られた混練物を用いて、硬化時間、ならびに、硬化物の弾性歪、永久歪、表面滑沢性及び適合歪の評価を行った。
アルジネート印象材の組成を、表4および表5に示す内容に変更した以外は、実施例1と同様にして硬化材ペーストおよび基材ペーストを調整し、得られた混練物を用いて、硬化時間、ならびに、硬化物の弾性歪、永久歪、表面滑沢性及び適合歪の評価を行った。
実施例1〜実施例18および比較例1〜比較例11のアルジネート印象材の組成を、表1〜表5に示す。また、実施例1〜実施例18および比較例1〜比較例11のサンプルの硬化時間、ならびに、硬化物の弾性歪および永久歪の評価結果を表6に示す。また、表面滑沢性および適合歪の評価結果を表7に示す。
(実施例19)
アルギン酸塩として、100gのA1、ゲル化反応剤として、400gの無水石膏、及び200gの二水石膏、硬化助剤として、88gのMgO、75gのFTiK、及び50gのZnO、硬化遅延剤として、13gのP3Na、充填剤として、473gの珪藻土を量りとり、均一な粉末になるまで混ぜ合わせ、粉材を調整した。次に、水として、2079gの蒸留水、非還元糖として、875gのトレハロースを量りとり、均一な液体となるまで攪拌し、液材を調整した。得られた粉材および液材を混練容器(ラバーカップ)にとり、均一なペースト状となるまで混練(混練比:液材/粉材=2.11)した。その後、得られた混練物を用いて、硬化時間、ならびに、硬化物の弾性歪、永久歪、表面滑沢性及び適合歪の評価を行った。
アルジネート印象材の組成を、表8に示す内容に変更した以外は、実施例18と同様にして粉材および液材を調整し、得られた混練物を用いて、硬化時間、ならびに、硬化物の弾性歪、永久歪、表面滑沢性及び適合歪の評価を行った。
アルジネート印象材の組成を、表9に示す内容に変更した以外は、実施例18と同様にして粉材および液材を調整し、得られた混練物を用いて、硬化時間、ならびに、硬化物の弾性歪、永久歪、表面滑沢性及び適合歪の評価を行った。
実施例19〜実施例22および比較例12〜比較例17のアルジネート印象材の組成を、表8〜表9に示す。また、実施例19〜実施例22および比較例12〜比較例17のサンプルの硬化時間、硬化物の弾性歪、永久歪の評価結果を表10に示す。また、表面滑沢性および適合歪の評価結果を表11に示す。
12R、12L 凹部
20 第二の金型
22R、22L 凸部
30 石膏模型
32R、32L 凸部
Claims (4)
- (A1)β−D−マンヌロン酸およびα−L−グルロン酸を単位構造として含み、かつ、前記α−L−グルロン酸に対する前記β−D−マンヌロン酸のモル比率であるM/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩と、(B)非還元糖とを含むことを特徴とする歯科用アルジネート印象材。
- 請求項1に記載の歯科用アルジネート印象材において、
(A1)M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩に加えて、さらに(A2)M/G比率が0.7を超えるアルギン酸塩を含み、
かつ、(A1)M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩と(A2)M/G比率が0.7を超えるアルギン酸塩との合計量に対する(A1)M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩の含有量の割合が90質量%を超えることを特徴とする歯科用アルジネート印象材。 - 請求項1または2に記載の歯科用アルジネート印象材において、
(A1)M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩を1質量%含む水溶液の粘度が50mPa・s〜500mPa・sの範囲内であることを特徴とする歯科用アルジネート印象材。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載の歯科用アルジネート印象材において、
(A1)M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩と(B)非還元糖と(C)水とを主成分として含むペースト状の基材と、
(D)ゲル化反応剤と、(E)難水溶性有機溶媒とを主成分として含むペースト状の硬化材と、を備えることを特徴とする歯科用アルジネート印象材。
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