JP2014094913A - 歯科用アルジネート印象材 - Google Patents

歯科用アルジネート印象材 Download PDF

Info

Publication number
JP2014094913A
JP2014094913A JP2012246589A JP2012246589A JP2014094913A JP 2014094913 A JP2014094913 A JP 2014094913A JP 2012246589 A JP2012246589 A JP 2012246589A JP 2012246589 A JP2012246589 A JP 2012246589A JP 2014094913 A JP2014094913 A JP 2014094913A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alginate
ratio
impression material
paste
cured product
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012246589A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6062719B2 (ja
Inventor
Koji Matsushige
浩司 松重
Tomoyasu Nagasawa
永沢友康
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokuyama Dental Corp
Original Assignee
Tokuyama Dental Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokuyama Dental Corp filed Critical Tokuyama Dental Corp
Priority to JP2012246589A priority Critical patent/JP6062719B2/ja
Publication of JP2014094913A publication Critical patent/JP2014094913A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6062719B2 publication Critical patent/JP6062719B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】アルジネート印象材が硬化した硬化物を歯牙から引き離す際に、硬化物に大きな力が加わっても硬化物の変形を抑制できること。
【解決手段】(A1)β−D−マンヌロン酸およびα−L−グルロン酸を単位構造として含み、かつ、α−L−グルロン酸に対するβ−D−マンヌロン酸のモル比率であるM/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩と、(B)非還元糖とを含むことを特徴とする歯科用アルジネート印象材。
【選択図】なし

Description

本発明は、歯科用アルジネート印象材に関するものである。
歯牙等を修復するために、鋳造歯冠修復処理または欠損補綴処理等を必要とする際には、まず、支台歯等の型を取る。次に、その採得された型を用いて、石膏製等の模型を作製する。そして、その模型を元に補綴物を作製し、作製された補綴物を支台歯等に装着する。この支台歯等の型を印象と称し、印象を採得するための硬化材料を印象材と呼んでいる。この印象材として、アルジネート印象材、寒天印象材、シリコーンゴム印象材、ポリサルファイドゴム印象材、あるいは、ポリエーテルゴム印象材等が用いられる。その中でも、アルジネート印象材は、安価かつ取扱いが容易であるため、最も広く用いられる。
アルジネート印象材を用いて印象を採得する作業は、以下の手順で行う。まず、歯列を模した印象用トレーに、アルジネート印象材を構成する各成分を混練したものを盛り付ける。次に、口腔内の歯牙を包み込むように、アルジネート印象材を盛り付けたトレーを歯牙に押し付ける。そして、アルジネート印象材が硬化した後に、アルジネート印象材とトレーとを一体として歯牙から外して、口腔外に撤去する。
アルジネート印象材は、使用に際して、アルギン酸塩、硫酸カルシウム等のゲル化反応剤や、水等の主成分を混練して使用される。そして、使用前の状態では、アルジネート印象材は、保存性を確保するために、水を除いた固形分を粉末状とした粉末タイプ、あるいは、アルギン酸塩と水とを主成分とするペースト(基材ペースト)と、ゲル化反応剤を主成分とするペースト(硬化材ペースト)とを組み合わせて用いるペーストタイプ、がある。そして、使用に際して、粉末タイプでは、粉末と水とを混練し、ペーストタイプでは、2種類のペーストを混練する。
アルジネート印象材に用いられるアルギン酸は、β−D−マンヌロン酸およびα−L−グルロン酸の2種類のウロン酸から構成される多糖類である。そして、アルギン酸は、商業的には、海藻(褐藻類)からの抽出によって製造されている。ここで、α−L−グルロン酸(G)に対するβ−D−マンヌロン酸(M)のモル比率(M/G比率)はアルギン酸の原料となる海藻により様々である。原料となる海藻に含まれるアルギン酸塩のM/G比率は、たとえば、Lessonia nigrescensでは約1.3、Lessonia flavicansでは約0.5、Macrocystis pyriferaでは約1.8、Ecklonia maximaでは約1.7、Laminaria japonicaでは約2.2、Laminaria hyperborean(茎部分)では約0.6、Laminaria hyperborean(葉部分)では約1.2、Laminaria digitateでは約1.2、Durvillea antarcticaでは約2.2、Durvillea potatorumでは約2.3、Ascophyllum nodosumでは約1.9である。なお、これらの値は海藻の種類以外に採取時期や採取部位によっても変動する。一方、現在、市販されているアルジネート印象材(たとえば、トクヤマデンタル社製のトクヤマAP−1〔製品A〕、製品B、製品Cなど)に用いられるアルギン酸では、M/G比率は、一般的に1.2〜1.6前後であり、上記に例示した海藻に含まれるアルギン酸塩のM/G比率と比べると極めて狭い範囲である。
しかしながら、上述したM/G比率とは異なるアルギン酸を用いたアルジネート印象材も提案されている。このアルジネート印象材は、アルギン酸塩、ゲル化反応剤、ゲル化調節剤及び充填剤を主成分として含み、充填剤の少くとも一部が桿状の形状のものを含む珪藻土である。そして、使用されるアルギン酸塩は、M/G比率が1.3〜1.6のアルギン酸塩と、M/G比率が0.4〜0.7のアルギン酸塩の混合物からなる(特許文献1)。この技術では、印象材ペーストのゲル化時間および自重による流れ性が実用上好ましい範囲にあり、かつ、適度の弾性歪みを有するアルジネート印象材を提供することができる。
一方、硬化したアルジネート印象材(硬化物)は多量の水を含むため、印象採取後に硬化物を外気中に放置すると、硬化物から水分が蒸発して、硬化物の形状が徐々に変形してしまう。そして、このような変形は印象精度の低下を招くことになる。このような問題を解決するために、本願出願人により、アルギン酸塩と非還元糖と水とを含む歯科用アルジネート印象材が提案されている(特許文献2)。この技術では、印象採取後に硬化物をより長時間放置しても、保湿性に優れ、かつ、印象精度の低下を少なくすることができる。そして、このような効果は、水分子との親和性の高い非還元糖を用いたことによるものと推定されている。
特開平10−316521号公報 特開2012−106937号公報
しかしながら、特許文献2に記載のアルジネート印象材を用いても、下記(1)または(2)に示す場合では、硬化物を歯牙から引き離す際に、硬化物に大きな力が加わることで、硬化物が変形し、正確な印象が採取できないことがある。
(1)歯列中において1本の歯が抜けることで形成された凹凸部(いわゆるブリッジ冠)などのように、印象採取の対象となる歯牙の凹凸形状が複雑な場合
(2)上顎側(あるいは下顎側)の全ての歯牙の印象を採取するなどのように、印象採取の対象となる歯牙の表面積が大きい場合
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、アルジネート印象材が硬化した硬化物を歯牙から引き離す際に、硬化物に大きな力が加わっても硬化物の変形を抑制できるアルジネート印象材を提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、
本発明の歯科用アルジネート印象材は、(A1)β−D−マンヌロン酸およびα−L−グルロン酸を単位構造として含み、かつ、α−L−グルロン酸に対するβ−D−マンヌロン酸のモル比率であるM/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩と、(B)非還元糖とを含むことを特徴とする。
本発明の歯科用アルジネート印象材の一実施形態は、(A1)M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩に加えて、さらに(A2)M/G比率が0.7を超えるアルギン酸塩を含み、かつ、(A1)M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩と(A2)M/G比率が0.7を超えるアルギン酸塩との合計量に対する(A1)M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩の含有量の割合が90質量%を超えることが好ましい。
本発明の歯科用アルジネート印象材の他の実施形態は、(A1)M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩を1質量%含む水溶液の粘度が50mPa・s〜500mPa・sの範囲内であることが好ましい。
本発明の歯科用アルジネート印象材の他の実施形態は、(A1)M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩と(B)非還元糖と(C)水とを主成分として含むペースト状の基材と、(D)ゲル化反応剤と、(E)難水溶性有機溶媒とを主成分として含むペースト状の硬化材と、を備えることが好ましい。
以上に説明したように本発明によれば、アルジネート印象材が硬化した硬化物を歯牙から引き離す際に、硬化物に大きな力が加わっても硬化物の変形を抑制できるアルジネート印象材を提供することができる。
β−D−マンヌロン酸(M)が連続的に結合して構成されるMMブロックの分子構造を示す図である。 α−L−グルロン酸(G)が連続的に結合して構成されるGGブロックの分子構造を示す図である。 アルギン酸分子中のGGブロック鎖同士が、カルシウムイオンを抱き込むように会合した会合部(Egg Box Junction)の一例を説明する模式図である。 適合歪の評価に用いた一対の金型について示す模式図である。 適合歪の評価方法を説明する模式図である。
本実施形態の歯科用アルジネート印象材(以下、「アルジネート印象材」と略す場合がある)は、β−D−マンヌロン酸およびα−L−グルロン酸を単位構造として含み、かつ、α−L−グルロン酸に対するβ−D−マンヌロン酸のモル比率であるM/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩と、非還元糖とを含むことを特徴とする。
本実施形態の歯科用アルジネート印象材では、特許文献2に示すアルジネート印象材と同様に、非還元糖も含まれる。このため、特許文献2に記載の技術と同様に、印象採取後に硬化物をより長時間放置しても、保湿性に優れ、かつ、印象精度の低下を少なくすることが容易である。
これに加えて、本実施形態の歯科用アルジネート印象材ではM/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩を用いている。このため、特許文献2記載の技術とは異なり、アルジネート印象材が硬化した硬化物を歯牙から引き離す際に、硬化物に大きな力が加わっても硬化物の変形を抑制することもできる。
なお、硬化物を歯牙から引き離す際の変形を抑制するためには、口腔内から硬化物を撤去するタイミング(硬化物の硬化初期段階)において、硬化物のゲル強度を向上させることが必要である。ここで、硬化物を歯牙から引き離す際の変形を抑制するために好適なゲル強度は、口腔内から硬化物を撤去するタイミング(硬化物の硬化初期段階)において、弾性歪が概ね13%〜17%程度の範囲内であり、永久歪が概ね2%〜5%程度の範囲内である。そして、弾性歪および永久歪は、硬化物を歯牙から引き離す際の変形を抑制する観点からは、上記範囲内においてできる限り値が小さい方が好適である。なお、硬化初期段階における硬化物のゲル強度の測定方法・条件の詳細については後述する。
したがって、本発明者は、特許文献2記載の技術の更なる改良を行うために、硬化物の硬化初期段階におけるゲル強度を向上させる方法について種々の検討を行った。ここで、単純に硬化物のゲル強度を向上させる方法としては、(1)アルギン酸塩またはその誘導体の配合量を増量する方法、(2)酸化マグネシウムなどの硬化助剤を用いる方法、あるいは、(3)アルギン酸塩のM/G比率を変更する方法が考えられる。
しかしながら、上記(1)に示す方法は、近年、歯科治療の現場において取扱性が粉末タイプのアルジネート印象材よりも優れていることから普及が進みつつあるペーストタイプのアルジネート印象材での適用が難しい。この理由は、ペースト状基材とペースト状硬化材とを組み合わせて用いるペーストタイプのアルジネート印象材では、アルギン酸塩を含むペースト状基材の粘度範囲が、取扱い性等の実用上の観点から制限されているためである。すなわち、増粘作用のあるアルギン酸塩またはその誘導体の配合量を増量すると、ペースト状基材の粘度が著しく増粘し、実用に耐えなくなる可能性が高くなるためである。
また、上記(2)に示す方法では、硬化物のゲル強度を容易に向上させることが可能であるが、その一方で、硬化速度も大きくなる。このため、印象採取に必要な作業時間の確保が難しくなる。また、作業時間を確保するために、リン酸三ナトリウムなどの硬化遅延材をさらに配合すると、口腔内から硬化物を撤去する際のゲル強度が不足する。このため、作業時間の確保と口腔内から硬化物を撤去する際のゲル強度とをバランス良く両立させることができない。
また、上記(3)に示す方法では、アルギン酸塩を構成するβ−D−マンヌロン酸およびα−L−グルロン酸の比率が変わるため、これに応じてアルギン酸のゲル化能力およびゲル強度も変えることができる。ここで、M/G比率の低いアルギン酸塩を用いると、硬化物の弾性歪が小さくなり硬化物の剛直性は向上するものの、その一方で永久歪は大きくなる。
なお、参考までに述べれば、M/G比率が低い場合、β−D−マンヌロン酸(M)が連続的に結合して構成される平坦な形状のMMブロック(図1参照)の割合よりも、α−L−グルロン酸(G)が連続的に結合して構成される籠状のGGブロック(図2参照)の割合が相対的に大きくなる。このため、アルギン酸分子が、硬化材に含まれるカルシウムイオンの存在下でゲル化した場合、図3に例示するように、アルギン酸分子中のGGブロック鎖同士が、カルシウムイオンを抱き込むように会合した会合部(Egg Box Junction)を形成し易くなる。このため、M/G比率の低いアルギン酸塩を用いた硬化物では、上述したように硬化物の剛直性が高くなるものと考えられる。なお、図3中、紐状の線として示されるアルギン酸分子において、符号GはGGブロック鎖を意味し、その他の部分はMMブロック鎖を意味する。また、黒丸印はカルシウムイオンを意味する。
したがって、単純にM/G比率の低いアルギン酸塩を用いただけでは、硬化物の永久歪が大きくなるため、硬化物を歯牙から引き離す際に加わる力によって、硬化物に変形が生じやすい。
しかしながら、本実施形態のアルジネート印象材では、さらに非還元糖を用いているため、M/G比率の低いアルギン酸塩を用いた場合でも永久歪の増大を抑制することができる。この理由は、アルギン酸塩がゲル化して硬化物を形成する際に、非還元糖がアルギン酸塩分子の骨格の隙間に入り込むことで、これら分子の凝集が抑制され、結果的に硬化物の弾性が維持されるためと推定される。
ここで、M/G比率を、0.7以下とすることにより、硬化物を歯牙から引き離す際に、大きな力が硬化物に加わっても硬化物の変形を抑制できる。なお、M/G比率は0.6以下であること好ましい。一方、M/G比率が小さすぎる場合には、硬化物が脆くなり過ぎてしまう可能性がある上に、現在、商業ベースで製造されるアルギン酸(あるいはその塩)の入手も事実上極めて困難である。このため、M/G比率の下限値は0.4以上であることが必要であり、0.45以上であることが好ましい。
本実施形態のアルジネート印象材は、使用前の状態においては、通常、ペーストタイプ、および、粉末タイプのいずれかの態様であることが好ましく、混練装置との併用により混練作業の省力化・自動化の極めて容易なペーストタイプの態様であることが特に好ましい。
ここで、本実施形態のアルジネート印象材がペーストタイプの場合、本実施形態のアルジネート印象材は、ゲル化反応剤と、難水溶性有機溶媒とを主成分として含むペースト状の硬化材(硬化材ペースト)、および、アルギン酸塩と、水と、非還元糖とを主成分として含むペースト状の基材(基材ペースト)、から構成されることが好ましい。この場合、基材ペースト中において、アルギン酸塩1質量部に対して、非還元糖が1質量部〜20質量部の範囲内で配合されることが好ましい。そして、アルジネート印象材の使用に際しては、硬化材ペーストと、基材ペーストとを混練して使用する。混練は手作業により実施することもできるが、通常は、混練作業の省力化・自動化の観点から専用の混練装置を用いて実施することが好ましい。
また、基材ペーストに対する硬化材ペーストの混合比率A(基材ペーストの使用量/硬化剤ペーストの使用量[質量部/質量部])は印象採取に適した比率であれば特に制限されるものではないが、通常は、1〜4の範囲内であることが好ましい。また、これら2種類のペーストは、保存性を確保するため、通常は、アルミパックなど包装袋や収納容器等の公知の収納部材を利用して密封保存される。なお、本実施形態のアルジネート印象材を、歯科医師や歯科技工士などの製品利用者に提供する場合、一般的には、基材ペーストを含む収納部材および硬化材ペーストを含む収納部材をセットで提供する態様、あるいは、基材ペーストを含む収納部材および硬化材ペーストを含む収納部材を各々個別に提供する態様、のいずれでもよい。また、硬化材ペーストや基材ペーストには、必要に応じてその他の添加剤を添加することもできる。これらの添加剤については後述する。
なお、混合比率Aについては、混合比率情報表示媒体に表示することができる。この混合比率情報表示媒体としては、i)段ボール箱等からなる製品パッケージ、ii)紙媒体および/または電子データとして提供される製品の使用説明書、iii)基材ペーストおよび/または硬化剤ペーストを密封状態で保管する収納部材(容器、包装袋等)、iv)紙媒体および/または電子データとして提供される製品カタログ、v)製品とは別に電子メールや郵便物等により製品利用者に送付される通信文が利用できる。また、混合比率Aは、上記i)〜v)に示す以外の態様により製品利用者が認知しうる態様で、製品利用者に提供されてもよい。ここで、基材ペーストを含む収納部材および硬化剤ペーストを含む収納部材を製品利用者に提供する場合、これら収納部材に対して、必要に応じて製品パッケージや紙媒体の使用説明書が付加される。そして、ペーストタイプの本実施形態のアルジネート印象材を購入した製品利用者は、印象採取に際して、混合比率Aまたはこれに近い比率で基材ペーストと硬化材ペーストとを混合することにより混練物を作製し、この混練物を口腔内で硬化させて印象を採取する(硬化体を得る)ことができる。
また、本実施形態のアルジネート印象材が粉末タイプの場合、本実施形態のアルジネート印象材は、アルギン酸塩とゲル化反応剤とを少なくとも含む粉末を備えることが好ましい。この場合、この粉末中に非還元糖も含まれていることが特に好ましい。但し、アルギン酸塩とゲル化反応剤とを少なくとも含む粉末とは別に、非還元糖を含む材料を準備し、使用に際して、この粉末と非還元糖を含む材料を混練してもよい。この場合、本実施形態のアルジネート印象材は、アルギン酸塩とゲル化反応剤とを少なくとも含む粉末と、非還元糖を含む材料とを備える。ここで、非還元糖を含む材料の形態は、固体および液体のいずれでもよいが、液体(水溶液)であることが特に好ましい。
粉末のみに非還元糖が含まれる場合、粉末タイプの本実施形態のアルジネート印象材は、少なくとも粉末成分から構成される。この場合、粉末中において、アルギン酸塩1質量部に対して、非還元糖が1質量部〜20質量部の範囲内で配合されることが好ましい。そして、粉末タイプのアルジネート印象材の使用に際しては、粉末と、水とを混練して使用する。ここで、水は、本実施形態のアルジネート印象材を構成する成分、すなわち、製品パッケージに含まれるものであってもよいが、通常は、製品パッケージには含まれない。水が製品パッケージに含まれない場合、本実施形態のアルジネート印象材(すなわち、粉末成分)の利用に際して、水は、本実施形態のアルジネート印象材の利用者が、適宜調達すればよい。なお、水の代わりに後述する各種の添加剤(たとえば非還元糖など)を溶解した水溶液を用いる場合、粉末タイプの本実施形態のアルジネート印象材は、通常、粉末成分と水溶液とから構成される。
また、非還元糖が、水に溶解された水溶液の態様として利用される場合、あるいは、粉末および水溶液の双方に含まれる場合、粉末タイプの本実施形態のアルジネート印象材は、少なくとも粉末成分と水溶液とから構成される。そして、アルジネート印象材の使用に際しては、粉末と、水溶液とを混練して使用する。この場合、粉末成分中のアルギン酸塩の含有割合および水溶液中の非還元糖の含有割合を考慮して、粉末成分と水溶液との混合比率は、これらの両成分の混練物中において、アルギン酸塩1質量部に対して、非還元糖が1質量部〜20質量部の範囲内となるように選択されることが好ましい。なお、粉末および水溶液には、必要に応じて後述する添加剤を添加することもできる。
ここで、粉末に対する水(あるいは水溶液)の混合比率B(粉材の使用量/液材の使用量[質量部/質量部])は印象採取に適した比率であれば特に制限されるものではない。また、混合比率Bは、混合比率情報表示媒体に表示することができる。この混合比率情報表示媒体としては、i)段ボール箱等からなる製品パッケージ、ii)紙媒体および/または電子データとして提供される製品の使用説明書、iii)粉末を密封状態で保管する収納部材(容器、包装袋等)、iv)水溶液を密封状態で保管する収納部材(容器、包装袋等)、v)紙媒体および/または電子データとして提供される製品カタログ、vi)製品とは別に電子メールや郵便物等により製品利用者に送付される通信文が利用できる。また、混合比率Bは、上記i)〜vi)に示す以外の態様により製品利用者が認知しうる態様で、製品利用者に提供されてもよい。ここで、粉末を含む収納部材および水溶液を含む収納部材を製品利用者に提供する場合、これら収納部材に対して、必要に応じて製品パッケージや紙媒体の使用説明書が付加される。そして、粉末タイプの本実施形態のアルジネート印象材を購入した製品利用者は、印象採取に際して、混合比率Bまたはこれに近い比率で粉末と水(あるいは水溶液)とを混合することにより混練物を作製し、この混練物を口腔内で硬化させて印象を採取する(硬化体を得る)ことができる。
次に、本実施形態のアルジネート印象材を構成する各成分、および、アルジネート印象材の使用に際して、付加的に用いられるその他の成分について説明する。
−アルギン酸塩−
アルギン酸塩としては、M/G比率が0.4〜0.7の範囲内のアルギン酸塩が少なくとも用いられる。また、本実施形態のアルジネート印象材には、M/G比率が0.4〜0.7の範囲内のアルギン酸塩以外に、M/G比率が0.7を超えるアルギン酸塩が若干含まれていてもよい。アルギン酸塩のM/G比率の上限は一般に、2.5程度であり、この上限のものまで含有させることができる。但し、この場合でも、アルギン酸塩としては、M/G比率が0.4〜0.7の範囲内のアルギン酸塩を主成分として用いることが必要である。具体的には、M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩と、M/G比率が0.7を超えるアルギン酸塩との合計量に対して、M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩の含有量の割合が90質量%を超えることが好ましく、93質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩と、M/G比率が0.7を超えるアルギン酸塩との合計量に対して、M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩の含有量の割合を90質量%を超えるものとすることにより、硬化物を歯牙から引き離す際の変形を抑制するために好適なゲル強度、すなわち、口腔内から硬化物を撤去するタイミング(硬化物の硬化初期段階)において、弾性歪を概ね13%〜17%程度の範囲内に調整し、永久歪を概ね2%〜5%程度の範囲内に調整することが極めて容易となる。この調整をより容易にする観点から、M/G比率が0.7を超えるアルギン酸塩は、M/G比率が1.0〜1.8のものを用いるのが特に好ましい。
なお、以下の説明において、単に「アルギン酸塩」と表記した場合は、M/G比率が0.4〜0.7の範囲内のアルギン酸塩のみ、あるいは、M/G比率が0.4〜0.7の範囲内のアルギン酸塩とM/G比率が0.7を超えるアルギン酸塩との混合物のいずれかを意味するものとする。
粉末タイプ、ペーストタイプのいずれにおいても、混練物の全量に対するアルギン酸塩の含有量は特に限定されない。しかしながら、ペーストタイプの本実施形態のアルジネート印象材では、混練物中におけるアルギン酸塩の含有量は1質量%以上10質量%以下の範囲内であることが好ましく、2質量%以上5質量%以下の範囲内であることがより好ましい。混練物中におけるアルギン酸塩の含有量を1質量%以上とすることにより、硬化物のゲル強度を確保することが容易となる。また、混練物中におけるアルギン酸塩の含有量を10質量%以下とすることにより、基材ペーストと硬化材ペーストとを練和する際の練和性を確保することが容易となる。これに加えて、基材ペースト中に十分な量の非還元糖を添加することも容易となる。
また、粉末タイプの本実施形態のアルジネート印象材では、混練物中におけるアルギン酸塩の含有量は1質量%以上10質量%以下の範囲内であることが好ましく2質量%以上5質量%以下の範囲内であることがより好ましい。混練物中におけるアルギン酸塩の含有量を1質量%以上とすることにより、硬化物のゲル強度を確保することが容易となる。また、混練物中におけるアルギン酸塩の含有量を10質量%以下とすることにより、粉末成分と水(または水溶液)とを練和する際の練和性を確保することが容易となる。
アルギン酸塩としては、たとえば、i)アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム等のアルギン酸アルカリ金属塩、ii)アルギン酸アンモニウム、アルギン酸トリエタノールアミン等のアルギン酸アンモニウム塩等が挙げられる。これらのアルギン酸塩の中でも、入手容易性、取扱い容易性、硬化物の物性等の観点から、アルギン酸アルカリ金属塩を用いることが好ましい。また、アルギン酸塩は、2種類以上を混合して用いることもできる。
アルギン酸塩は、通常、混練物中において2重量%〜10重量%の範囲内で含まれていることが好ましい。したがって、ペーストタイプや粉末タイプの本実施形態のアルジネート印象材では、アルギン酸塩の含有量が、混練物中において上記範囲内となるように、基材ペーストや、粉末に含まれるアルギン酸塩の量を調整する。
また、アルギン酸塩の分子量は特に限定されないが、一般的には、アルギン酸塩を1重量%含む水溶液の粘度が50mPa・s〜500mPa・sの範囲内となる分子量が好ましく、100mPa・s〜400mPa・sの範囲内となる分子量がより好ましい。粘度を50mPa・s以上とすることにより、硬化物のゲル強度を確保することが容易となる。また、ペーストタイプの本実施形態のアルジネート印象材では、粘度を500mPa・s以下とすることにより、基材ペーストの著しい増粘を防いで、印象採得時の取り扱い性を容易とすることができる。
なお、アルギン酸塩と水とを含む混合組成物においては、通常、経時的な粘度低下が生じる傾向にある。このような粘度の経時的低下は、アルギン酸塩と水とを主成分として含む基材ペーストの使用可能な期間(製品寿命)を短くしてしまう。しかしながら、本実施形態のアルジネート印象材が、ペーストタイプである場合、基材ペーストには、アルギン酸塩および水に加えて、非還元糖も主成分として含まれる。そして、基材ペースト中において、アルギン酸塩および水に加えて、非還元糖が配合される場合には、基材ペーストの経時的な粘度低下を抑制し、基材ペーストの製品寿命を大幅に延長することが可能である。
このような基材ペーストの経時的な粘度抑制効果が得られる理由としては、本発明者らは以下のように推測している。すなわち、アルギン酸塩と水とを含む系中においては、通常、アルギン酸塩は負電荷を帯びているため、アルギン酸塩の凝集は生じないと考えられる。しかしながら、アルギン酸塩を構成するアルカリ金属等のカウンターイオンが、加水分解によって水素イオンに置換した場合、アルギン酸分子鎖間で水素結合が形成される。このため、アルギン酸同士が凝集してアルギン酸塩と水とを含む水溶液の経時的な粘度低下が生じると考えられる。一方、水分子に対する親和性の高い非還元糖は、その周囲に水分子を強く引き付けることで、水分子と共に分子集合体を形成する。このため、系中に、アルギン酸塩および水に加えて、非還元糖がさらに存在する場合、この分子集合体が、加水分解により生じたアルギン酸の分子鎖間に入り込み、アルギン酸同士の凝集を抑制するものと考えられる。なお、基材ペーストの製品寿命の大幅な改善という観点で、このような経時的な粘度低下を抑制する効果は、基材ペースト中において、アルギン酸塩1質量部に対して、非還元糖が1質量部〜20質量部の範囲内で配合されていれば、安定的に得ることがより容易となる。
−ゲル化反応剤−
ゲル化反応剤としては硫酸カルシウムを用いる。ゲル化反応剤は、水の存在下で、ゲル化反応剤とアルギン酸塩とが反応してゲル化することで硬化物を形成する機能を有する。硫酸カルシウムとしては、従来の歯科用アルジネート印象材に用いられる公知のものであれば何ら制限無く利用できる。硫酸カルシウムとしては、たとえば、硫酸カルシウム2水塩、硫酸カルシウム半水塩、無水硫酸カルシウム等を用いることが好ましい。これらの硫酸カルシウムは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。硫酸カルシウムの配合量としては特に限定されないが、ペーストタイプおよび粉末タイプのいずれにおいても混練物中において、アルギン酸塩100質量部に対して10質量部〜2000質量部の範囲内が好ましく、100質量部〜1000質量部の範囲内がより好ましい。
−水−
水は、ペーストタイプの場合は、基材ペーストを構成する必須成分として用いられ、粉末タイプの場合は、粉末から混練物を形成する際に用いられる。また、粉末タイプのアルジネート印象材が、粉末と水溶液とから構成される場合は、当該水溶液の主成分として水が用いられる。水としては、水道水、イオン交換水、蒸留水等が利用できる。水の使用量は、混練物を作製した際に、当該混練物中において、アルギン酸塩100質量部に対して、100質量部〜4000質量部の範囲内で用いることが好ましく、500質量部〜2000質量部の範囲内で用いることがより好ましい。
−非還元糖−
非還元糖としては、還元性を示さない公知の糖類であれば特に制限無く利用できる。ここで、「還元性」とは、アルカリ性水溶液中で、銀や銅等の重金属イオンに対して還元作用を示す性質を意味する。還元性を有する糖類は、重金属イオンに対する還元作用を利用したトレンス試薬、ベネジクト試薬、あるいは、フェーリング試薬によって検出される。これに対して、本実施形態のアルジネート印象材に用いられる非還元糖は、これら試薬で検出できない糖類を意味する。
上述した特性を示す非還元糖としては、トレハロースやスクロース等の二糖類、ラフィノース、メレジトース、スタキオース、シクロデキストリン類などのオリゴ糖類など、公知の非還元糖が利用できる。しかし、非還元糖の分子量が大き過ぎる場合には、アルギン酸塩と非還元糖とが水素結合を形成して凝集してしまう可能性がある。したがって、この観点からは、非還元糖としてはグリコシド結合によって結合した2個〜10個の単糖分子から構成される糖を用いることが好ましく、二糖類を用いることがより好ましい。さらに、印象精度および保湿性の観点からは二糖類の中でも、トレハロースが特に好ましい。
非還元糖の配合量は特に限定されるものではないが、アルギン酸塩1質量部に対して、1質量部〜20質量部の範囲内であることが好ましく、2質量部〜15質量部の範囲内であることがより好ましく、4質量部〜12質量部の範囲内であることがさらに好ましい。アルギン酸塩1質量部に対する非還元糖の配合量を1質量部以上とすることにより、印象採取後に硬化物をより長時間放置しても、十分な保湿性が得られ、かつ、印象精度の低下を抑制することがより容易となる。また、アルギン酸塩1質量部に対する非還元糖の配合量を20質量部以下とすることにより、印象採取に際して、非還元糖が、アルギン酸塩のゲル化反応を阻害するのを抑制することがより容易となる。
−難水溶性有機溶媒−
本実施形態のアルジネート印象材がペーストタイプである場合、硬化材ペーストの主成分として難水溶性有機溶媒が用いられる。難水溶性有機溶媒は、ゲル化反応剤を含む硬化材ペーストのペースト化に用いられる。すなわち、この難水溶性有機溶媒は、ゲル化反応剤と混合することで、ペーストを形成する機能を有する。ゲル化反応剤は、一般的に水と反応すると硬化する性質を有するため、ゲル化反応剤をペースト状態で長期に渡って安定的に保存するためには、ペースト化に用いる溶媒としては、含水し難い難水溶性の溶媒、すなわち、難水溶性有機溶媒を用いる。ここで、「難水溶性有機溶媒」とは、温度20℃の水100gに対する溶解度が5g以下の液体を意味する。なお、難水溶性有機溶媒の溶解度は、3g以下が好ましい。難水溶性有機溶媒としては、上記溶解度を示す液体であれば公知の液体が利用できる。このような液体としては、たとえば、炭化水素化合物、脂肪族アルコール、環式アルコール、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸塩エステル、疎水性重合体等が挙げられる。以下、これら各種の難水溶性有機溶媒の好適な例を示す。
まず、炭化水素化合物としては、鎖式化合物または環式化合物のいずれも使用できる。炭化水素化合物としては、たとえば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ケロシン、2,7−ジメチルオクタン、1−オクテン糖の脂肪族鎖状炭化水素化合物、シクロヘプタン、シクロノナン等の脂環式炭化水素化合物、液状飽和炭化水素の混合物である流動パラフィン等が挙げられる。
脂肪族アルコールとしては、たとえば、1−ヘキサノール、1−オクタノール等の飽和脂肪族アルコール、シトロネロール、オレイルアルコール等の不飽和脂肪族アルコールが挙げられる。環式アルコールとしては、たとえば、ベンジルアルコール、メタ−クレゾール等が挙げられる。
脂肪酸としては、たとえば、ヘキサン酸、オクタン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸を挙げることができる。また、脂肪酸エステルとしては、オクタン酸エチル、フタル酸ブチル、オレイン酸グリセリド、オリーブ油、ごま油等の植物油、肝油、鯨油等の動物脂等が挙げられる。疎水性重合体としては、ポリシロキサン(いわゆるシリコーンオイル)等が挙げられ、具体的には、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、ポリフェニルハイドロジェンシロキサン等を挙げることができる。
そして、製造コスト、生体に対する為害性、歯牙の印象を採取する際の味覚への影響等を考慮した場合、以上に列挙した難水溶性有機溶媒の中でも、炭化水素化合物または疎水性重合体を用いることがより好ましく、流動パラフィンまたはシリコーンオイルを用いることが特に好ましい。また、難水溶性有機溶媒は、2種類以上を混合して用いてもよい。
難水溶性有機溶媒の配合量は特に制限されるものではないが、一般的に、ゲル化反応剤100質量部に対して、10質量部〜200質量部の範囲内が好ましく、20質量部〜100質量部の範囲内がより好ましい。
−添加剤−
本実施形態のアルジネート印象材には、以上に説明した各成分以外にも、必要に応じて充填剤やゲル化調整剤などの各種の添加剤を配合することができる。
なお、本実施形態のアルジネート印象材が、ペーストタイプである場合、これら添加剤は、基材ペーストおよび硬化材ペーストのいずれか一方、または、双方に適宜添加することができる。しかしながら、充填剤は、基材ペーストおよび硬化材ペーストの双方に添加することが好ましく、ゲル化調整剤は硬化材ペーストに添加されることが好ましい。
ゲル化調整剤を用いる場合には、アルギン酸塩とゲル化剤との反応速度を調節(遅延)させることができる。このため、ペーストタイプでは基材ペーストと硬化材ペーストとを構成する各成分を混合・練和してから口腔内での印象採取までに要する作業時間、あるいは、粉末タイプ等では粉末成分と水(あるいは水溶液)とを混合・練和してから口腔内での印象採取までに要する作業時間に略対応させて、硬化時間を調整することが容易となる。
ゲル化調整剤としては、公知のゲル化調整剤を制限無く利用できる。ゲル化調整剤としては、一般的には、i)リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等のアルカリ金属を含むリン酸塩、ii)蓚酸ナトリウム、蓚酸カリウム等のアルカリ金属を含む蓚酸塩、iii)炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属を含む炭酸塩を挙げることができる。ゲル化調整剤は2種類以上を混合して用いることもできる。
ゲル化調整剤の配合量は、他の配合成分や要求される硬化時間等に応じて適宜選択できるが、アルギン酸塩100質量部に対して1質量部〜30質量部の範囲内が好ましく、3質量部〜15質量部の範囲内がより好ましい。ゲル化調整剤の配合量を上記範囲内とすることにより、作業時間に略対応させて硬化時間を調整することが容易となることに加えて、硬化物を十分に硬化させることができる。
また、硬化物の物性を調整するために、充填剤を用いることが好ましい。充填剤としては、珪藻土、タルク等の粘度鉱物を用いることが好ましく、シリカ、アルミナ等の金属または半金属の酸化物も用いることができる。充填剤の配合量は特に制限されるものではないが、アルギン酸塩100質量部に対して50質量部〜2000質量部の範囲内が好ましく、100質量部〜1000質量部の範囲内がより好ましい。
また、硬化物の強度の調節や、印象採取時や石膏模型製造時の石膏模型の表面荒れを防ぐ観点からは、フッ化チタンカリウム、ケイフッ化カリウム等の無機フッ素化合物や、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物、アミノ酸/ホルムアルデヒド縮合体等のアミノ酸化合物を配合することが好ましい。また、硬化物を作製するために各成分を混合・練和した後、粘度の変化速度の制御を容易とするために、不飽和カルボン酸重合体を本実施形態のアルジネート印象材に配合してもよい。さらに、本実施形態のアルジネート印象材には、香料、着色料、pH調整剤、抗菌剤、防腐剤等から選択されるいずれか1種または複数種の添加剤を必要に応じて配合することができる。
−製造方法−
本実施形態のアルジネート印象材の製造方法としては特に限定されず、本実施形態のアルジネート印象材が市場に提供される形態に応じて公知の製造方法が適宜選択できる。たとえば、本実施形態のアルジネート印象材が、粉末タイプの場合、粉末を構成する各成分を任意の順番で混合・攪拌することで、均一かつムラの無い粉末を得ることができる。また、粉末タイプの本実施形態のアルジネート印象材が、粉末に加えて水溶液も有する場合、水中に、水溶液を構成する水以外の各成分を任意の順番で分散・溶解させることができる。
また、本実施形態のアルジネート印象材が、ペーストタイプの場合、ペースト製造に利用できる公知の攪拌混合機を用いて、基材ペーストおよび硬化材ペーストを製造することができる。ここで、攪拌混合機としては、たとえば、ボールミルのような回転容器型混合混練機、リボンミキサー、コニーダー、インターナルミキサー、スクリューニーダー、ヘンシェルミキサー、万能ミキサー、レーディゲミキサー、バタフライミキサー、等の水平軸または垂直軸を有する固定容器型の混合混練機を利用することができる。また、基材ペーストの製造に際して、非還元糖などのような水に対して相対的に溶解性の高い成分を溶解させる最初の工程を実施した後、続いて、アルギン酸塩などのような水に対して相対的に溶解性の低い成分を順次または一括して溶解させる後工程を実施する場合、最初の工程の実施に際して、溶解対象となる成分や、この成分が溶解した溶液に強いせん断力が加わらない攪拌装置を利用することもできる。このような攪拌装置としては、各種攪拌翼を備えた可搬型攪拌機、同堅型攪拌機、同側面攪拌機、管路攪拌機等を用いることができる。さらに、基材ペーストや硬化材ペーストの製造に際しては、上述した各種の混合混練機を2種類以上組み合わせて利用することもできる。
−アルジネート印象材の使用態様−
本実施形態のアルジネート印象材の使用に際しては、一般的に、少なくとも本実施形態のアルジネート印象材を少なくとも用いて混練物を作製した後、この混練物を専用のトレーに盛りつける。そして、トレーに盛りつけられた混練物を歯牙等の目的物に圧接することで印象を採取する。その後、印象が採取された混練物が硬化して硬化物となった後、この硬化物を基に石膏模型を作製する等の後工程がさらに実施される。ここで、トレーとしては公知のトレーが制限なく利用できるが、一般的には金属製トレーまたはレジン製トレーが利用される。金属製トレーの材質としては、ステンレス、錫合金、アルミニウム、メッキ処理あるいは樹脂コーティングされた黄銅等が挙げられる。なお、本実施形態のアルジネート印象材を用いた場合、混練物は、いずれの金属製トレーにもよく保持される。また、レジン製トレーの材質としてはポリメタクリル酸エステル等が挙げられる。
以下に本発明を、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
[原料の略称]
後述する実施例および比較例のアルジネート印象材の作製に用いた各種原料の略称は以下の通りである。
1.アルギン酸塩
A1:アルギン酸カリウム
M/G比率=0.5(M1:39.5%、M2:14.0%、M3:46.5%)
1質量%水溶液粘度=350mPa・s
A2:アルギン酸カリウム
M/G比率=0.5(M1:34.9%、M2:16.3%、M3:48.8%)
1質量%水溶液粘度=150mPa・s
A3:アルギン酸ナトリウム
M/G比率=0.5(M1:37.2%、M2:16.3%、M3:46.5%)
1質量%水溶液粘度=60mPa・s
A4:アルギン酸カリウム
M/G比率=0.4(M1:28.6%、M2:14.3%、M3:57.1%)
1質量%水溶液粘度=150mPa・s
A5:アルギン酸カリウム
M/G比率=0.7(M1:45.3%、M2:18.6%、M3:36.1%)
1質量%水溶液粘度=150mPa・s
A6:アルギン酸カリウム
M/G比率=1.6(M1:37.3%、M2:42.9%、M3:19.8%)
1質量%水溶液粘度=350mPa・s
A7:アルギン酸カリウム
M/G比率=1.6(M1:35.2%、M2:44.0%、M3:20.8%)
1質量%水溶液粘度=150mPa・s
A8:アルギン酸カリウム
M/G比率=1.2(M1:44.8%、M2:32.2%、M3:23.0%)
1質量%水溶液粘度=150mPa・s
A9:アルギン酸カリウム
M/G比率=0.9(M1:43.3%、M2:25.7%、M3:31.0%)
1質量%水溶液粘度=150mPa・s
A10:アルギン酸カリウム
M/G比率=0.5(M1:35.6%、M2:15.6%、M3:48.8%)
1質量%水溶液粘度=30mPa・s
A11:アルギン酸カリウム
M/G比率=0.5(M1:42.9%、M2:11.9%、M3:45.2%)
1質量%水溶液粘度=600mPa・s
なお、上述のアルギン酸塩の特性値M1、M2、M3の各パーセンテージは、各々、アルギン酸分子中に占めるMGランダムブロック、MMブロック、GGブロックの割合を意味する。ここで、MMブロックは、図1に例示したように2つ以上のβ−D−マンヌロン酸(M)が連続的に結合して構成されるブロックであり、GGブロックは、図2に例示したように2つ以上のα−L−グルロン酸が連続的に結合して構成されるブロックである。また、MGランダムブロックは、β−D−マンヌロン酸(M)とα−L−グルロン酸とが交互に結合して構成されるブロックである。
2.非還元糖
Cdexα:α−シクロデキストリン
Cdexβ:β−シクロデキストリン
3.その他
流動P:流動パラフィン
Dec13:デカグリセリルトリオレート
MgO:酸化マグネシウム
FTiK:フッ化チタンカリウム
ZnO:酸化亜鉛
P3Na:リン酸三ナトリウム
<<市販のアルジネート印象材の略称>>
後述する比較例で用いた市販のペーストタイプ或いは粉末タイプのアルジネート印象材の略称は以下の通りである。
・製品A:トクヤマAP−1(トクヤマデンタル社製、ペーストタイプアルジネート印象材)
・製品B:粉末タイプアルジネート印象材の他社品
・製品C:粉末タイプアルジネート印象材の他社品
なお、製品Aは出願人により現在製造販売されているアルジネート印象材である。この製品Aについては、使用しているアルギン酸塩のM/G比率は1.6であり、アルジネート印象材100質量部に対するアルギン酸塩の配合量は5.1質量部である。また、非還元糖は一切配合していない。
また、製品B、製品Cについては、アルギン酸塩のM/G比率と、アルジネート印象材100質量部に対するアルギン酸塩の配合量と、非還元糖の配合の有無を分析した。その結果、製品Bについては、アルギン酸塩のM/G比率が1.2であり、アルジネート印象材100質量部に対するアルギン酸塩の配合量は13.1質量部であり、さらに非還元糖は配合されていないことを確認した。また、製品Cについては、アルギン酸塩のM/G比率が1.4であり、アルジネート印象材100質量部に対するアルギン酸塩の配合量は10.4質量部であり、さらに非還元糖は配合されていないことを確認した。
[評価方法]
後述する実施例および比較例のサンプルについての「アルギン酸塩のM/G比率の測定方法」、「硬化時間の測定方法」、「硬化物の弾性歪の評価方法」、「硬化物の永久歪の評価方法」、「表面滑沢性の評価方法および評価基準」、「適合歪の評価方法および評価基準」、および「印象材ペースト圧接感の評価方法および評価基準」は、以下の通りである。
(1)アルギン酸塩のM/G比率の測定方法
試料となるアルギン酸塩5gを量りとり、500mlの0.3M HCl水溶液を加え、100℃、2時間攪拌を行った。その後、溶液に存在する不溶分を遠心処理(3000rpm 30分)によって分離し、上澄み液(以下、「第一上澄液」と称す)と沈殿物(以下、「第一沈殿物」と称す)をそれぞれ回収した。第一上澄み液は、0.1M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHが7.0となるように中和し、液分を揮発させ、固形分を回収した。そして、この固形分に対して、フェノール硫酸法を用いて、糖量X1(mg)を定量した。
また、第一沈殿物は、300mlの水に再度分散させ、0.1M水酸化ナトリウム水溶液を加えて、一度pHを7.0に中和した後、0.025M HCl水溶液を加えて、液のpHを2.8〜3.0になるように調整し、1時間攪拌を行った。その後、遠心処理(3000rpm 30分)により、沈殿物(以下、「第二沈殿物」と称す)と上澄み液(以下、「第二上澄み液」と称す)を分離して、それぞれ回収した。
第二上澄み液は、0.1M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHが7.0となるように中和し、液分を揮発させ、固形分を回収した。そして、この固形分に対して、フェノール硫酸法を用いて、糖量X2(mg)を定量した。
第二沈殿物は、水100mlに再分散させ、0.1M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHが7.0となるように中和した後、液分を揮発させ、固形分を回収した。そして、この固形分に対して、フェノール硫酸法を用いて、糖量X3(mg)を定量した。
ここで、糖量X1,X2,X3の値および下式(1)〜(3)に基づいて、M1(MGランダムブロックの存在割合)、M2(MMブロックの存在割合)およびM3(GGブロックの存在割合)を求めた。
・式(1) M1(%)=100×X1/(X1+X2+X3)
・式(2) M2(%)=100×X2/(X1+X2+X3)
・式(3) M3(%)=100×X3/(X1+X2+X3)
そして、M1〜M3の値および下式(4)に基づいて、アルギン酸塩のM/G比率を算出した。
・式(4) M/G比率=(M2+M1×0.5)/(M3+M1×0.5)
(2)硬化時間の測定方法
ペーストタイプのアルジネート印象材の硬化時間の測定は、以下の手順で実施した。23℃、湿度50%の恒温室内で、まず、予め調整した硬化材ペースト及び基材ペーストを、アルジネート印象材自動錬和器APミキサーII(トクヤマデンタル社製)を用いて混練し、アクリル板(縦71mm×横71mm)の上面に平円筒(外径50mm、内径45mm、高さ8mm)を接着した部材の円筒部内に混練物を盛付けた後、円筒部の開口部からはみ出た混練物を擦切った。この際、ストップウオッチをスタートした。続いて、円筒部内の混練物にアクリル棒(直径6mm×100mm)を挿入し、引上げる操作を繰り返し、アクリル棒に混練物が付着しなくなるまでの時間を測定した。なお、同試験を3回行い、その平均値を硬化時間とした。
また、粉末タイプのアルジネート印象材を硬化時間の測定は、以下の手順で実施した。23℃、湿度50%の恒温室内で、まず、予め、粉末成分を均一な粉末になるまで混ぜ合わせたものと、液成分とを所定量量り取り、混練容器(ラバーカップ)に入れ、混練ヘラを用いて混練開始すると同時にストップウオッチにより時間の計測を開始した。混練開始から30秒後に、アクリル板(縦71mm×横71mm)の片面に平円筒(外径50mm、内径45mm、高さ8mm)を接着した部材の円筒部内に混練物を盛付けた後、円筒部内の混練物にアクリル棒(直径6mm×100mm)を挿入し、引上げる操作を繰り返し、アクリル棒に混練物が付着しなくなるまでの時間を測定した。なお、同試験を3回行い、その平均値を硬化時間とした。
なお、印象採取作業に適した硬化時間は、一般的に、ペーストタイプのアルジネート印象材では、約80秒±20秒であり、粉末タイプのアルジネート印象材では約90秒±20秒である。このため、後述する各実施例および比較例で用いたペーストタイプのアルジネート印象材については、硬化時間が80秒前後となるように組成を調整し、粉末タイプのアルジネート印象材については、硬化時間が90秒前後となるように組成を調整した。
(3)硬化物の弾性歪の評価方法
硬化物の弾性歪を評価するため、以下の手順で混練物を作製した。まず、ペーストタイプのアルジネート印象材から硬化物を作製する場合、予め調整した硬化材ペースト及び基材ペーストを、アルジネート印象材自動錬和器APミキサーII(トクヤマデンタル社製)を用いて混練することで混練物を得た。また、粉末タイプのアルジネート印象材から硬化物を作製する場合、予め、粉末成分を均一な粉末になるまで混ぜ合わせたものと、液体成分とを所定量量り取った後、これらを混練容器(ラバーカップ)に入れた。続いて、混練容器中に投入した粉末成分と液体成分とを混練ヘラを用いて均一なペーストとなるまで約30秒間混練することにより混練物を得た。
次に、アクリル板(縦45mm×横45mm)の上面にプラスチックリングA(内径31mm、外径38mm、高さ16mm)を配置した後、プラスチックリングA内に混練物を充填した。この際、第一のストップウオッチにより時間の計測を開始した。そして、直ちに、混練物が充填されたプラスチックリングAの中へプラスチックリングB(内径13mm、外径25mm、高さ20mm)をさらに挿入することにより、プラスチックリングB内部に混練物を充填した。次に、プラスチックリングBの上面を別のアクリル板で圧接した後、プラスチックリングBとその両端に配置された2枚のアクリル板とを小型の万力で挟んで固定した。そして時間の計測を開始してから30秒後に、万力によって両端がアクリル板により圧接固定され、かつ、内部に混練物が充填されたプラスチックリングBを35℃に保たれた水槽に入れ、水槽に入れてから3分後(時間の計測開始から3分30秒後)に取り出した。これによりプラスチックリングB内において硬化した円柱状の混練物(硬化物サンプル)を得た。
なお、混練物を35℃の水中で3分間保持して硬化させる上記の温度・時間条件は、印象採取に際して、混練物を口腔内に配置してから、口腔内にて硬化した混練物(硬化物)を撤去するまでの平均的な温度・時間条件を模したものである。
次に、この円柱状の硬化物サンプルを、この硬化物サンプルの中心軸方向から荷重が加わるように、23℃、湿度50%の恒温室内で圧縮試験機(株式会社日本メック社製、印象材弾性比較試験機 A−002)にセットし、第一のストップウオッチの時間の計測開始から4分経過後に以下の手順で圧縮試験を実施した。まず、硬化物サンプルに対して100gf/cmの荷重を加えると同時に、第二のストップウオッチにより時間の計測を開始し、第二のストップウォッチの計測時間が30秒を経過した後のダイヤルゲージの値A(mm)を読み取った。第二のストップウォッチの計測時間が60秒〜70秒までの間に、硬化物サンプルに対して印加する荷重を100gf/cmから1000gf/cmへと増大させ、第二のストップウォッチの計測時間が70秒〜100秒の間では、硬化物サンプルに対して印加する荷重を1000gf/cmに保持し続けた。そして、2つ目のストップウォッチの計測時間が100秒時点でのダイヤルゲージの値B(mm)を読み取った。
次に、測定された値A、Bおよび下式(5)に基づいて、弾性歪(εe)を求めた。
そして、同一のアルジネート印象材について同様の評価を3回実施して得られた各々の弾性歪の平均値を硬化物の弾性歪とした。
・式(5) 弾性歪(εe)=(A−B)/20×100(%)
なお、印象採取時の変形抑制に加えて印象採取時の作業性も確保する観点からは、弾性歪は13%〜17%の範囲内が好適と判断され、13%〜15%の範囲内がより好適と判断され、13〜14.5%の範囲内がさらに好適なものと判断される。
(4)硬化物の永久歪の評価方法
硬化物の弾性歪を評価する場合と同様の手順で円柱状の硬化物サンプルを準備した。次に、この円柱状の硬化物サンプル(高さ20mm)を、この硬化物サンプルの中心軸方向から荷重が加わるように、23℃、湿度50%の恒温室内で圧縮試験機(株式会社日本メック社製、印象材永久ひずみ試験機 A−003)にセットした。この際、硬化物サンプルの一端(上部側)とダイヤルゲージの測定子との間にはアクリル板(縦4.5mm、横4.5mm、厚み3mm)を配置した。そして、第一のストップウオッチの時間の計測開始から4分経過後に以下の手順で圧縮試験を実施した。まず、ダイヤルゲージの測定子をアクリル板に接触させ、接触から10秒後のダイヤルゲージの値C(mm)を読み取った。そして、値Cを読み取ってから5秒後に、硬化物サンプルに荷重を加えることで、硬化物サンプルを1秒以内に、硬化物サンプルの高さを16mm±0.1mmとなるように変形(20%歪変形)させた。この変形状態を5秒±0.5秒間保持した後、硬化物サンプルに対してアクリル板の自重に起因する荷重のみを25秒間加えた。その後、ダイヤルゲージの測定子をアクリル板に接触させ、接触から10秒後に再度ダイヤルゲージの値D(mm)を読み取った。
次に、測定された値C、Dおよび下式(6)に基づいて、永久歪(εe)を求めた。
そして、同一のアルジネート印象材について同様の評価を3回実施して得られた各々の永久歪の平均値を硬化物の永久歪とした。
・式(6) 永久歪(εq)=(C−D)/20×100(%)
なお、印象採取時の変形抑制に加えて印象採取時の作業性も確保する観点からは、永久歪は2%〜5%の範囲内が好適と判断され、2%〜4%の範囲内がより好適と判断され、2〜3.5%の範囲内がさらに好適なものと判断される。
(5)表面滑沢性の評価方法および評価基準
表面潤沢性の評価は以下の手順で実施した。まず、サンプルがペーストタイプのアルジネート印象材である場合には、予め調整した基材ペーストおよび硬化剤ペーストを、アルジネート印象材自動錬和器APミキサーII(トクヤマデンタル社製)を用いて混錬した。また、サンプルが粉末タイプのアルジネート印象材である場合には、予め、粉末成分を均一な粉末になるまで混ぜ合わせたものを、使用直前に、液成分と混合し、手練和により、均一なペースト状になるまで混錬した。
次に、円柱状モールド(外径:60mm、内径:52mm、高さ:10mm)に混錬物を流し込み、円柱状モールドの開口部からはみ出た混錬物をヘラで除去して、開口部の開口面と一致するように表面をならした。この状態で3分放置後、混練物を硬化させて得られた硬化物の表面を目視観察し、表面滑沢性を評価した。また、硬化物を保湿箱(底に水を張った密封容器)に移し、所定の時間放置後の硬化物の表面滑沢性を評価した。なお、後述する表中に示す表面滑沢性は下記評価基準に従って評価した。また、後述する表中の「表面滑沢性」の欄に示す「直後」は、硬化直後の硬化物(保湿箱での保管時間0分の硬化物)を目視観察した結果を示し、「1時間後」は硬化物を保湿箱に1時間放置した後に硬化物を目視観察した結果を示すものである。
−表面滑沢性評価基準−
A:硬化物の表面が濡れているかのような光沢を有し、非常に滑らかである。
B:硬化物の表面に、光沢は見られないが、非常に滑らかである。
C:硬化物の表面に、光沢が見られず、表面がザラザラしている。
D:硬化物の表面が乾燥により干からびており、所々にひび割れが見られる。
(6)適合歪の評価方法および評価基準
適合歪の評価に際しては、図4に示す一対の金型を使用した。ここで、図4に示すように、適合歪の評価に用いた一対の金型は、第一の金型10および第二の金型20からなる。第一の金型10は2つの凹部12R、12Lを有し、第二の金型20は、2つの凸部22R、22Lを有する。また、第一の金型10および第二の金型20は、図4に示すように凹部12Rと凸部22R、および、凹部12Lと凸部22L、が一致するように第一の金型10と第二の金型20とを嵌合させた場合、両者は実質的に隙間無く嵌合できる寸法精度を有する。なお、凸部22R、22Lの形状および寸法は、ブリッジ冠の作製を想定したものであり、凸部22R、22Lの高さHは10mm、頂部の幅Wは8mmである。
次に、サンプルがペーストタイプのアルジネート印象材である場合には、予め調整した基材ペーストおよび硬化剤ペーストを、アルジネート印象材自動錬和器APミキサーII(トクヤマデンタル社製)を用いて混錬した。また、サンプルが粉末タイプのアルジネート印象材である場合には、予め、粉末成分を均一な粉末状になるまで混ぜ合わせたものを、使用直前に、液成分と混合し、手練和により、均一なペースト状になるまで混錬した。
その後、第二の金型20を完全に収納できるサイズの樹脂製トレーに、混練物を流し込んだ後、表面をならした。そして、混練物の表面をならし終えた時点で、ストップウオッチのボタンを押して、時間の計測を開始した。続いて、20秒経過した時点で、第二の金型20を、凸部22R、22Lが設けられた面が下側を向くようにして、樹脂製トレー内に配置された混練物に圧接させた。この状態で、3分間放置して混練物を硬化させ、その後、第二の金型20を除去することで印象を採得した。
次に、印象を採得した後の硬化物を、底に水を張った密封容器からなる保湿箱内に所定の時間放置した。そして、保湿箱から取り出した硬化物の印象採得部に印象模型作製用の超硬石膏(GC社製ニューフジロック)を流し込んだ後、1時間放置し、石膏を硬化させた。あるいは、印象を採得した後の硬化物をそのまま用いて超硬石膏を流し込んだ後、1時間放置し、石膏を硬化させた。これにより、保湿箱内での放置時間を変えた複数種類の第二の金型20の石膏模型を得た。
その後、図5に示すように、石膏模型30の凸部32R、32Lが設けられた側の面と、第一の金型10の凹部12R、12Lが設けられた側の面とを勘合させた状態で、石膏模型30と第一の金型10との間に形成される隙間長さを顕微鏡(KEYENCE社製
レーザー顕微鏡VK−8700)を用いて測定した。なお、隙間長さの測定は、図5に示すように、(1)凹部12Lの底面と、この底面に対向する凸部32Lの頂面との間において、その両端近傍の2点(図5中の符号A,Bで示す位置)、(2)凸部32Rと凸部32Lとの間の領域において、第一の金型10の表面と、この表面に対向する石膏模型30の表面との間において、その両端近傍の2点(図5中の符号C,Dで示す位置)、および、(3)凹部12Rの底面と、この底面に対向する凸部32Rの頂面との間において、その両端近傍の2点(図5中の符号E,Fで示す位置)、について各々測定した。そして、A点〜F点で測定した6つの隙間長さの平均値を「適合歪」として求めた。なお、図5において、石膏模型30の代わりに第二の金型20を用いた場合に、上述した場合と同様にして求めた「適合歪」は、5.0μmである。
また、後述する表中の「適合歪」の欄に示す「直後」は、硬化直後の硬化物(保湿箱での保管時間0分の硬化物)を用いて石膏模型30を作製した場合の結果を示す。また、後述する表中の「適合歪」の欄に示す「1時間後」、「1日後」は、得られた硬化物を保湿箱に、各々、1時間、1日保管した後の硬化物を用いて石膏模型30を作製した場合の結果を示すものである。
(7)印象材ペーストの圧接感の評価方法および評価基準
印象材ペーストの圧接感を評価するため、以下の手順で混練物を作製した。まず、予め調整した硬化材ペースト及び基材ペーストを、アルジネート印象材自動錬和器APミキサーII(トクヤマデンタル社製)を用いて混練することで混練物を得た。
次に、23℃、湿度50%の恒温室内で、アクリル板(縦45mm×横45mm)の上面に、円柱状モールド(外径26mm、内径20mm、高さ40mm)を配置した後、円柱状モールド内に混練物を充填し、ヘラを用いて、モールドの上部にはみ出したペーストを擦り切り、平坦部を露出させ、第一のストップウォッチにより時間の計測を開始した。そして、直ちに、混練物が充填された円柱状モールドを、圧接感評価器具(株式会社日本メック社製、ビガー針試験機 A−002)にセットし、ビガー針がペーストに触れる寸前のところで固定した。時間の計測を開始してから30秒後にビガー針のストッパーを解除して、針が10mm沈んだ時点で第2のストップウォッチにより時間の計測を開始し、針が20mm沈むまでの時間(t:流動性)を計測した。t値から以下の式によって圧接感(φ−1)を算出した。
(φ−1)=t/10(sec/mm)
なお、圧接感は印象材を用いて印象採得を行う際のペーストの取り扱い性を表す。精密な印象を容易に採得する為の圧接感の最適値は一般的に、0.1〜1.0の範囲にあることが好ましく、0.2〜0.8の範囲にあることがより好ましい。
<<ペーストタイプのアルジネート印象材の評価>>
(実施例1)
ゲル化反応剤として、400gの無水石膏、及び200gの二水石膏、硬化助剤として、88gのMgO、75gのFTiK、及び50gのZnO、硬化遅延剤として、13gのP3Na、充填剤として、87.5gの珪藻土、溶剤として、288gの流動P、及び50gのDec13を量りとり、小型混練器(アイコー産業社製アイコーミキサー)を用いて1時間混練し、硬化剤ペーストを調整した。また、アルギン酸塩として、100gのA1、非還元糖として、875gのトレハロース、水として、2079gの蒸留水、充填剤として、385.5gの珪藻土を量りとり、小型混練器を用いて1時間攪拌し、基材ペーストを調整した。得られた硬化材ペースト及び基材ペーストを、アルジネート印象材自動練和器(トクヤマデンタル社製「APミキサーII」)によって混練(混練比:基材/硬化材=2.75)し、得られた混練物を用いて、硬化時間、ならびに、硬化物の弾性歪、永久歪、表面滑沢性及び適合歪の評価を行った。
(実施例2〜実施例18)
アルジネート印象材の組成を、表1、表2および表3に示す内容に変更した以外は、実施例1と同様にして硬化材ペーストおよび基材ペーストを調整し、得られた混練物を用いて、硬化時間、ならびに、硬化物の弾性歪、永久歪、表面滑沢性及び適合歪の評価を行った。
(比較例1〜比較例11)
アルジネート印象材の組成を、表4および表5に示す内容に変更した以外は、実施例1と同様にして硬化材ペーストおよび基材ペーストを調整し、得られた混練物を用いて、硬化時間、ならびに、硬化物の弾性歪、永久歪、表面滑沢性及び適合歪の評価を行った。
(評価結果)
実施例1〜実施例18および比較例1〜比較例11のアルジネート印象材の組成を、表1〜表5に示す。また、実施例1〜実施例18および比較例1〜比較例11のサンプルの硬化時間、ならびに、硬化物の弾性歪および永久歪の評価結果を表6に示す。また、表面滑沢性および適合歪の評価結果を表7に示す。
Figure 2014094913
Figure 2014094913
Figure 2014094913
Figure 2014094913
Figure 2014094913
Figure 2014094913
Figure 2014094913
実施例1〜実施例18では、M/G比率が0.4〜0.7のアルギン酸塩と非還元糖とを含むアルジネート印象材を用いているが、いずれの場合も、硬化物の弾性歪、永久歪、表面滑沢性及び適合歪は良好な結果を示した。
これに対して、比較例1〜比較例5では、M/G比率が0.4〜0.7のアルギン酸塩の代わりに、M/G比率が0.7を超えるアルギン酸塩を用い、これに非還元糖を組み合わせたアルジネート印象材を用いている。しかし、実施例1〜実施例12と比べて、いずれの場合も硬化物の強度が大幅に低下し、硬化物の弾性歪、永久歪が大幅に増加した。
また、比較例6〜比較例7では、M/G比率が0.4〜0.7のアルギン酸塩を用いているが、非還元糖を配合していないアルジネート印象材を用いた。しかし、実施例1〜実施例12と比べて、いずれの場合も硬化物がより剛直となり、硬化物の弾性歪はさらに小さくなったもの、永久歪が大幅に増加した。また、非還元糖を配合していない為、初期印象精度が低下すると共に硬化物の保水性も低下し、結果として表面滑沢性が失われ、適合歪が大幅に低下した。
比較例8〜比較例11は、アルギン酸塩のM/G比率および非還元糖の配合の有無という点で、市販のアルジネート印象材あるいはこれと略同等のアルジネート印象材を用いた例である。これらの例で用いたアルジネート印象材は、M/G比率が0.7よりも大きいアルギン酸塩を使用しており、かつ、非還元糖が配合されていない点に特徴がある。実施例1〜実施例12と比べて、いずれの場合も非還元糖を配合していないため、アルジネート印象材中に占めるアルギン酸塩の配合割合を増加させることができる。このため、いずれの場合も、硬化物の弾性歪および永久歪に関しては良好な結果が得られているが、その一方で、非還元糖を用いていないため、初期印象精度が低下すると共に硬化物の保水性も低下し、結果として表面滑沢性が失われ、適合歪が大幅に低下した。
<<粉末タイプのアルジネート印象材の評価>>
(実施例19)
アルギン酸塩として、100gのA1、ゲル化反応剤として、400gの無水石膏、及び200gの二水石膏、硬化助剤として、88gのMgO、75gのFTiK、及び50gのZnO、硬化遅延剤として、13gのP3Na、充填剤として、473gの珪藻土を量りとり、均一な粉末になるまで混ぜ合わせ、粉材を調整した。次に、水として、2079gの蒸留水、非還元糖として、875gのトレハロースを量りとり、均一な液体となるまで攪拌し、液材を調整した。得られた粉材および液材を混練容器(ラバーカップ)にとり、均一なペースト状となるまで混練(混練比:液材/粉材=2.11)した。その後、得られた混練物を用いて、硬化時間、ならびに、硬化物の弾性歪、永久歪、表面滑沢性及び適合歪の評価を行った。
(実施例20〜実施例22)
アルジネート印象材の組成を、表8に示す内容に変更した以外は、実施例18と同様にして粉材および液材を調整し、得られた混練物を用いて、硬化時間、ならびに、硬化物の弾性歪、永久歪、表面滑沢性及び適合歪の評価を行った。
(比較例12〜比較例17)
アルジネート印象材の組成を、表9に示す内容に変更した以外は、実施例18と同様にして粉材および液材を調整し、得られた混練物を用いて、硬化時間、ならびに、硬化物の弾性歪、永久歪、表面滑沢性及び適合歪の評価を行った。
(評価結果)
実施例19〜実施例22および比較例12〜比較例17のアルジネート印象材の組成を、表8〜表9に示す。また、実施例19〜実施例22および比較例12〜比較例17のサンプルの硬化時間、硬化物の弾性歪、永久歪の評価結果を表10に示す。また、表面滑沢性および適合歪の評価結果を表11に示す。
Figure 2014094913
Figure 2014094913
Figure 2014094913
Figure 2014094913
実施例19〜実施例22では、M/G比率が0.4〜0.7のアルギン酸塩と非還元糖とを含むアルジネート印象材を用いているが、いずれの場合も、硬化物の弾性歪、永久歪、表面滑沢性及び適合歪は良好な結果を示した。
これに対して、比較例12〜比較例13では、M/G比率が0.4〜0.7のアルギン酸塩の代わりに、M/G比率が0.7を超えるアルギン酸塩を用い、これに非還元糖を組み合わせたアルジネート印象材を用いている。しかし、実施例13〜実施例16と比べて、いずれの場合も硬化物の強度が大幅に低下し、硬化物の弾性歪、永久歪が大幅に増加した。
比較例14では、M/G比率が0.4〜0.7のアルギン酸塩を用いているが、非還元糖を配合していないアルジネート印象材を用いた。しかし、実施例13〜実施例16と比べて、いずれの場合も硬化物がより剛直となり、硬化物の弾性歪はさらに小さくなったもの、永久歪が大幅に増加した。また、非還元糖を配合していない為、初期印象精度が低下すると共に硬化物の保水性も低下し、結果として表面滑沢性が失われ、適合歪が大幅に低下した。
比較例15〜比較例17は、アルギン酸塩のM/G比率および非還元糖の配合の有無という点で、市販のアルジネート印象材あるいはこれと略同等のアルジネート印象材を用いた例である。これらの例で用いたアルジネート印象材は、M/G比率が0.7よりも大きいアルギン酸塩を使用しており、かつ、非還元糖が配合されていない点に特徴がある。実施例13〜実施例16と比べて、いずれの場合も非還元糖を配合していないため、アルジネート印象材中に占めるアルギン酸塩の配合割合を増加させることができる。このため、いずれの場合も、硬化物の弾性歪および永久歪に関しては良好な結果が得られているが、その一方で、非還元糖を用いていないため、初期印象精度が低下すると共に硬化物の保水性も低下し、結果として表面滑沢性が失われ、適合歪が大幅に低下した。
10 第一の金型
12R、12L 凹部
20 第二の金型
22R、22L 凸部
30 石膏模型
32R、32L 凸部

Claims (4)

  1. (A1)β−D−マンヌロン酸およびα−L−グルロン酸を単位構造として含み、かつ、前記α−L−グルロン酸に対する前記β−D−マンヌロン酸のモル比率であるM/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩と、(B)非還元糖とを含むことを特徴とする歯科用アルジネート印象材。
  2. 請求項1に記載の歯科用アルジネート印象材において、
    (A1)M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩に加えて、さらに(A2)M/G比率が0.7を超えるアルギン酸塩を含み、
    かつ、(A1)M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩と(A2)M/G比率が0.7を超えるアルギン酸塩との合計量に対する(A1)M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩の含有量の割合が90質量%を超えることを特徴とする歯科用アルジネート印象材。
  3. 請求項1または2に記載の歯科用アルジネート印象材において、
    (A1)M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩を1質量%含む水溶液の粘度が50mPa・s〜500mPa・sの範囲内であることを特徴とする歯科用アルジネート印象材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の歯科用アルジネート印象材において、
    (A1)M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩と(B)非還元糖と(C)水とを主成分として含むペースト状の基材と、
    (D)ゲル化反応剤と、(E)難水溶性有機溶媒とを主成分として含むペースト状の硬化材と、を備えることを特徴とする歯科用アルジネート印象材。
JP2012246589A 2012-11-08 2012-11-08 歯科用アルジネート印象材 Active JP6062719B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012246589A JP6062719B2 (ja) 2012-11-08 2012-11-08 歯科用アルジネート印象材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012246589A JP6062719B2 (ja) 2012-11-08 2012-11-08 歯科用アルジネート印象材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014094913A true JP2014094913A (ja) 2014-05-22
JP6062719B2 JP6062719B2 (ja) 2017-01-18

Family

ID=50938309

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012246589A Active JP6062719B2 (ja) 2012-11-08 2012-11-08 歯科用アルジネート印象材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6062719B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63239207A (ja) * 1986-10-24 1988-10-05 Daikin Ind Ltd 印象材組成物
JP2011225507A (ja) * 2010-04-22 2011-11-10 Tokuyama Dental Corp アルギン酸類含有水性組成物
JP2012106937A (ja) * 2010-11-15 2012-06-07 Tokuyama Dental Corp 歯科用アルジネート印象材およびこれに用いる基材ペースト

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63239207A (ja) * 1986-10-24 1988-10-05 Daikin Ind Ltd 印象材組成物
JP2011225507A (ja) * 2010-04-22 2011-11-10 Tokuyama Dental Corp アルギン酸類含有水性組成物
JP2012106937A (ja) * 2010-11-15 2012-06-07 Tokuyama Dental Corp 歯科用アルジネート印象材およびこれに用いる基材ペースト

Also Published As

Publication number Publication date
JP6062719B2 (ja) 2017-01-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5876832B2 (ja) 歯科用アルジネート印象材およびこれに用いる硬化剤ペースト
JP4823547B2 (ja) ペースト状歯科用アルギン酸塩印象材組成物
WO2011132699A1 (ja) アルギン酸類含有水性組成物、歯科用アルジネート印象材および歯科用アルジネート印象材用の基材
JP4727028B2 (ja) 歯科用アルギン酸塩印象材組成物
JP6270220B2 (ja) 硬化剤ペーストの製造方法
JP5721401B2 (ja) 歯科用アルジネート印象材およびこれに用いる基材ペースト
JP6062719B2 (ja) 歯科用アルジネート印象材
JP6113025B2 (ja) アルジネート硬化性組成物の調製方法
JP6063940B2 (ja) 硬化材ペースト及びアルジネート硬化性組成物調製用キット
JP5253528B2 (ja) 歯科用アルギン酸塩印象材
JP2008063261A (ja) 歯科用アルギン酸塩印象材組成物
JP6112919B2 (ja) アルジネート印象採得用前処理材
JP6099425B2 (ja) 歯科用アルジネート印象材
JP2003171219A (ja) 印象材
JP4306831B2 (ja) 歯科用アルギン酸塩印象材
JP2013095665A (ja) 歯科用アルジネート印象材組成物
JP4592295B2 (ja) 歯科用アルギン酸塩印象材組成物
JP5832107B2 (ja) アルジネート印象材硬化体用保存液
JP5937825B2 (ja) アルカリ金属塩を含む歯科口腔内用寒天印象材組成物
JP5921202B2 (ja) アルカリ処理工程を有する歯科用寒天印象材組成物
JPH04124112A (ja) 歯科用印象材
JPH10316521A (ja) アルジネート印象材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150914

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160712

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160906

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161101

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161124

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161213

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161215

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6062719

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250