JP2014094047A - 消臭剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 酸化亜鉛とN−アシルサルコシン類を有機溶媒中または無溶媒中で重量比1:5〜1:100の条件で反応させて得られる反応物からなる消臭剤。
【選択図】 なし
Description
さらに、消臭剤の形態として簡便さからスプレー状、特にエアゾール状が望まれており、そのために、消臭剤自身が有機溶剤に対する高い溶解度が要求されている。
悪臭物質は可能な限り同時に除去することが望ましく、一方で安全性の高い消臭剤の開発が要望されている。安全性の高い従来の消臭剤の1つに亜鉛化合物がある。亜鉛化合物の中でも酸化亜鉛は化粧品原料に用いられており、皮膚に接触しても無害であって安全性に問題のない化学物質である。
亜鉛化合物を有効成分とする油性消臭剤としては、たとえば、次の特許文献1,2に開示されているものが挙げられる。
特許文献1には、アルコールアミン化合物の少なくとも1種と有機亜鉛化合物の少なくとも1種と水とを含有してなる腐食抑制作用をもつ反応型脱臭剤が開示されている。しかし、有機亜鉛化合物としてN−アシル基を有するサルコシン化合物は記載されていない。また、脱臭剤の組成として水を含有しており、有機溶媒中、炭化水素溶媒やアルコール類、エーテル類に消臭剤成分が可溶である記述はない。
特許文献2には、2−エチルヘキサン酸亜鉛を有効成分とし油性媒体に可溶である消臭剤が開示されている。しかし、硫化水素、アンモニア消臭は効果が認められるものの低級脂肪酸やアルデヒド類の消臭に関しては消臭効果が低い。
そこで、本発明の目的は有機溶媒に均一に溶解し、多種類の悪臭物質に除去効果があり、低価格で人体に安全な消臭剤を提供することにある。さらに、本発明の別の目的は酸化亜鉛とN−アシルサルコシンから得られる反応物がパラフィン系飽和炭化水素類、アルコール類、エーテル類に均一に溶解するためエアゾール用に適した消臭剤を提供することにある。
また、本発明の消臭剤は、N−アシルサルコシン類と2−アミノ−3−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリスヒドロキシアミノメタンから選ばれる1種とモル比1:1で反応させて得られる反応物を酸化亜鉛と有機溶媒中または無溶媒中で重量比100:1〜5:1の条件で反応させて得られる反応物からなるものである。
また、本発明の消臭剤は、前記N−アシルサルコシン類はラウロイルサルコシン、ミリストイルサルコシン、パルミトイルサルコシン、オレオイルサルコシンの何れかであるものである。
また、本発明の消臭剤は、前記反応物をアルコール系溶媒、グリコール系溶媒、グリコールモノエーテル系溶媒の何れかに溶解させてエアゾール用にしたものである。
本消臭剤は主としてアンモニア、アミン類などの窒素化合物、硫化水素、メチルメルカプタン等の硫黄系化合物および難水溶性のイソ吉草酸、カプロン酸などの有機酸に対して特異的に消臭効果が高い。
他方のN−アシルサルコシンとしてはラウロイルサルコシン、ミリストイルサルコシン、パルミトイルサルコシン、オレオイルサルコシンなどのN−アシルサルコシンが挙げられる。N−アシルサルコシンは化粧品原料、医薬品原料等に使用されており、安価でかつ人体に無害である。
酸化亜鉛とN−アシルサルコシンの併用割合は酸化亜鉛(重量)に対して100倍を上限とすることができる。N−アシルサルコシンの併用割合が100倍より高くなると、特に硫化水素の捕捉効率が低下し、N−アシルサルコシンの使用量が相対的に増加するので経済的ではない。
N−アシルサルコシンの併用割合が5倍未満であると反応物が粘稠で焦茶色となりハンドリングに難点がある。上記併用割合は重量比で1:5〜1:100の範囲にあることが好ましい。この範囲内では除去対象悪臭ガスがバランスよく捕捉される。
酸化亜鉛とN−アシルサルコシンの併用割合は一般に除去対象悪臭ガスの種類やその濃度に応じて適宜調整される。具体的に述べると、除去対象物質中にアンモニア、低級脂肪酸の割合が高い場合はN−アシルサルコシンの割合が高いほど除去対象ガス全体の除去効率が高く、上記割合は1:10〜1:100の範囲にあることが好ましい。また、硫化水素濃度が高い場合は上記酸化亜鉛の割合を高くすることが好ましく、N−アシルサルコシンの併用割合は1:5〜1:50の範囲で充分な除去効果を発揮する。
このような現象が起こらないよう、すなわち、低級アルコールに任意溶解させるために、N−アシルサルコシン類と2−アミノ−3−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリスヒドロキシアミノメタンから選ばれる1種とモル比1:1で反応させて得られる反応物を、酸化亜鉛と有機溶媒中または無溶媒中で100〜150℃、1〜5時間、重量比100:1〜5:1の条件で反応させることにより、低級アルコールに任意溶解が可能な反応物が得られる。
N−アシルサルコシン類と2−アミノ−3−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリスヒドロキシアミノメタンから選ばれる1種とモル比1:1で反応させる条件として、両者を無溶剤下あるいは炭化水素溶媒中、室温から100℃の範囲で反応させることで、透明溶液の反応物が得られる。
N−アシルサルコシン類と2−アミノ−3−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリスヒドロキシアミノメタンから選ばれる1種とモル比1:1で反応させて得られる反応物と酸化亜鉛の重量比が100:1を超える場合は、メチルアルコール、エタノールに任意溶解するもののアミノアルコール使用量およびN−アシルサルコシン類使用量が増加するため経済的ではない。一方5:1未満の条件では、得られた反応物が粘稠となりハンドリングが難しい。
無溶媒中において調製する場合は、酸化亜鉛とN−アシルサルコシン類の重量比が1:20〜1:100の条件が好ましい。
また、溶剤中あるいは無溶剤中で調製する場合、反応温度100〜150℃の範囲で1〜5時間反応させることが好ましい。
噴霧状消臭剤の使用形態は、トリガー方式により自圧による溶液を噴霧化するものである。消臭剤を粉状、粒状等の固形状の形態で使用する場合は、溶液を多孔質アルミナ、シリカ等に含浸させて乾燥させることにより調製される。ゲル状消臭剤は寒天、ゼラチン、カラギーナン、トラガントガム等のゲル基材を用いて公知の方法で調製することができる。
エアゾール状消臭剤はアルコール系溶媒、グリコール系溶媒、グリコールモノエーテル系溶媒に溶解させた薬液と噴射剤とから構成される。噴射剤としてはプロパン、n−ブタン、ジメチルエーテル等の液化石油ガスが挙げられる。
アンモニア、アミン類の消臭効果については、単にアンモニアの溶媒への吸収によるものではなく、アンモニアやアミン類のN原子がN−アシルサルコシンのカルボキシル基と反応するものと推定される。
硫化水素については、酸化亜鉛とN−アシルサルコシンのカルボキシル基と反応しN−アシルサルコシン亜鉛化合物が一部生成すると推定され、硫化水素と反応し難溶性の硫化亜鉛が生成し硫化水素の再放出が抑制できる。
一方、N−アシルサルコシンを2−アミノ−3−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリスヒドロキシアミノメタン等から選ばれるN化合物をモル比1:1で反応させた後、酸化亜鉛と反応させると透明溶液となる。そのため、N−アシルサルコシンのN−アシル基(−N−CO基)と酸化亜鉛が反応し錯体化している可能性が高い。
さらに、水難溶性の低級脂肪酸については、過剰のN−アシル基のN(窒素原子)と反応すると思われる。
本発明においては、除去対象ガスが消臭剤成分との反応により除去されるため、一旦除去されたガスの再放出の可能性は殆どないと考えられる。
さらに、本発明の消臭剤は香粧品すなわちシャンプー、リンス、トリートメント等に配合することができる。
また、パーマ施術における悪臭を除去する目的で使用することもできる。
酸化亜鉛1gとN−オレオイルサルコシン10gおよびイソパラフィン系溶剤(IPソルベント2028 出光製)20mlを還流冷却器を備えた100cc丸底フラスコに入れ、油浴120℃で攪拌下、3時間加熱反応行い濃茶色粘稠溶液を得た。
<溶解性試験>
上記のようにしてで得られた濃茶色粘稠溶液を、エタノール(EtOH)、IPソルベント、水(イオン水)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPGMME)の各種溶媒に、それぞれ0.2wt%および5wt%となるように溶解させ、目視により溶解状態を観察し、表中の注に示す基準で評価し、その結果を表1に示した。
上記のようにして得られた濃茶色粘稠溶液を、IPソルベントに、それぞれ0.2wt%および5wt%となるよう溶解させ消臭剤溶液を調製した。
除去対象ガス注入口、圧力調整口、検知管測定口および予備口を備えた容量3リッターのガラス製セパラブルフラスコを2個用意し、それぞれのガス注入口から注射器を用いてアンモニアおよび硫化水素の2種のガスを個別に注入して、10秒間攪拌した。その後、各ガスの初濃度をガステック検知管で測定した。次いで、調整した消臭剤溶液3mlを注入した後、各経過時間後の濃度をガステック検知管により測定し、消臭率を求め、その結果を表2および表3に示した。
上記消臭剤溶液を2%wtとなるように99.5%エタノールに溶解させ、消臭剤含有エタノール溶液を調製した。その後、96ccエアゾール容器にエタノール溶液7.5cc添加した後、脱臭プロパン42.5ccを封入した。
次いで、3リッターの臭い袋に硫化水素ガスあるいはアンモニアを封入し、エアーで満タンにした後、ガステック検知管で100ccのガスを吸引し、初濃度を測定した。その後、エアゾールから再度におい袋を満タンにした後、1分後、ガステック検知管で臭い袋中の悪臭ガス濃度を測定した。その結果を表4に示す。
実施例1において、N−オレオイルサルコシン8g、IPソルベント100mlおよび300cc丸底フラスコに替えた以外は実施例1と同様に反応させ茶色溶液を得た。
得られた茶色溶液の原液につき、3リッターフラスコを用い、実施例1と同様にして消臭試験を行い、その結果を表5に示した。
実施例2において、酸化亜鉛2g、N−オレオイルサルコシン20gおよびIPソルベント200mlに替えた以外は実施例2と同様に反応させ濃茶色溶液を得た。
得られた濃茶色溶液の原液を用い、対象ガスを酢酸、イソ吉草酸、メチルメルカプタンとした場合のそれぞれの消臭試験を実施例1と同様にして行い、その結果を表7に示した。
実施例1において酸化亜鉛1g、N−オレオイルサルコシン50gを用い、溶媒のIPソルベントを用いないで、実施例1と同様に反応させこげ茶色粘稠溶液を得た。
得られた上記粘稠溶液のDPGMME(ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)10%溶液を調製した。次いで、エアゾール用に99.5%エタノール中に2wt%となるようにDPGMME(ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)10%溶液を添加した。
実施例1と同様にエアゾールを調製し消臭試験を行ったところ、アンモニアについては初濃度50ppmで1分後70%の消臭率であった。
実施例2においてN−オレオイルサルコシンをN−ラウロイルサルコシン10.3g、IPソルベントを200mlとした以外は実施例2と同様にして反応させ茶色溶液を得た。
実施例2においてN−オレオイルサルコシンをN−パルミトイルサルコシン22.0gとした以外は実施例2と同様にして反応させ茶色溶液を得た。
実施例2においてN−オレオイルサルコシンをヤシ油脂肪酸サルコシン20.1g、IPソルベント200mlとした以外は実施例2と同様にして反応させ茶色溶液を得た。
反応溶液を得た。
N−オレオイルサルコシン10.1gと2−アミノ−3−メチル−1−プロパノール2.6gを50cc丸底フラスコに入れ、攪拌下反応させた。その結果、発熱を伴い透明溶液が得られた。次いで、酸化亜鉛0.5gを添加し、120℃で3時間反応させて茶色透明粘稠液を得た。
この粘稠溶液5gと99.5%エタノール95mlを混合し、溶解性を観察したところ、溶解し、淡黄色透明溶液が得られた。
<消臭試験>
実施例1と同様にエアゾール法式による消臭試験を行い、その結果を表9に示した。
IPソルベントのみの消臭性能を評価した。
Claims (4)
- 酸化亜鉛とN−アシルサルコシン類を有機溶媒中または無溶媒中で重量比1:5〜1:100の条件で反応させて得られる反応物からなる消臭剤。
- N−アシルサルコシン類と2−アミノ−3−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリスヒドロキシアミノメタンから選ばれる1種とモル比1:1で反応させて得られる反応物を酸化亜鉛と有機溶媒中または無溶媒中で重量比100:1〜5:1の条件で反応させて得られる反応物からなる消臭剤。
- 前記N−アシルサルコシン類はラウロイルサルコシン、ミリストイルサルコシン、パルミトイルサルコシン、オレオイルサルコシンの何れかであることを特徴とする請求項1および2の何れかに記載の消臭剤。
- 請求項1乃至3の何れかに記載の反応物をアルコール系溶媒、グリコール系溶媒、グリコールモノエーテル系溶媒の何れかに溶解させてエアゾール用にしたことを特徴とする消臭剤。
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