JP6371682B2 - 油溶性金属化合物および油溶性消臭剤 - Google Patents

油溶性金属化合物および油溶性消臭剤 Download PDF

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Description

本発明は、油溶性金属化合物及び該油溶性金属化合物を含有する消臭剤に関し、詳しくは、金属として亜鉛を含有し油溶性を有する油溶性金属化合物、及び、該油溶性金属化合物を用いた消臭剤に関するものである。
ヒドラジド化合物に消臭効果があること、特にアルデヒド類の消臭に効果的であることは知られている。
特許文献1には、ヒドラジド化合物と金属化合物とを有効成分とする水溶性の消臭剤が記載されており、該消臭剤の水溶液を噴霧器で対象物にスプレーして使用している。
具体的には、特許文献1には、ヒドラジド化合物と、金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩又は水酸化物とを有効成分とする水溶性のアルデヒド消臭剤組成物が開示されている。
しかしながら、金属の酸化物については開示されていないことに加え、得られたものは油溶性ではなく水溶性であり、使用方法や用途が制限されているものであった。
特許文献2には、ヒドラジド化合物の金属錯体に消臭効果があることが記載されており、該「ヒドラジド化合物の金属錯体」を水に溶解させ、該水溶液を無機多孔質物質に担持させて用いられることが記載されている。
具体的には、特許文献2には、金属塩化物とヒドラジド化合物を溶媒(例えば、アルコール/水溶液)に溶解、撹拌することにより、金属とヒドラジド化合物との錯体を得て、それを消臭剤として使用できることが記載されている。
しかしながら、金属塩は塩化物であり、また水系溶媒での合成例が記載されているにすぎず、しかも得られたものは油溶性ではなく水溶性であり、使用方法や用途が制限されているものであった。
特許文献3には、ヒドラジド化合物を用いた油溶性金属錯体が開示されており、油溶性を持たないか又は油溶性に乏しいヒドラジド化合物を油溶化する技術が開示されている。
具体的には、特許文献3には、ヒドラジド化合物と、リン酸エステルの金属塩、チオリン酸エステルの金属塩、ジチオリン酸エステルの金属塩、ホスホン酸エステルの金属塩、ジチオホスホン酸の金属塩、カルバミン酸の金属塩、チオカルバミン酸の金属塩、ジチオカルバミン酸の金属塩又はナフテン酸の金属塩とを混合してなる油溶性金属錯体が開示されている。
しかしながら、金属の酸化物については開示されていないことに加え、得られたものは消臭剤ではなく潤滑油添加剤である。
一方、特許文献4には、イソパラフィン系溶剤に溶解し得るような油溶性消臭剤について記載されており、該油溶性消臭剤として、油溶性金属塩が開示されている。
具体的には、特許文献4には、酸化亜鉛とN−アシルサルコシン類とを反応させて得られる油溶性消臭剤が開示されている。
しかしながら、特許文献4に記載の消臭剤は、硫化水素、アンモニア等には消臭効果が高いものの、アルデヒド類の消臭効果には物足りなさがあった。
近年、消臭剤の用途は拡大しつつあり、あらゆる系統の臭い原因物質を吸収し得る(効果がある)消臭剤が求められているが、上記した通り、従来技術は、消臭剤が油溶性ではなく水溶性であるため、用途や使用方法が限定されていたり、特定の臭い原因物質には効果が薄かったりしていた。
消臭剤の用途は拡大しつつあり、また消臭剤への要求は、ますます高くなってきている中、かかる公知技術では不十分であり、更なる改善の余地があった。
特開2001−149456号公報 特開2007−054328号公報 特開2005−139162号公報 特開2014−094047号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、一般に油溶性を持たないか又は油溶性が低いヒドラジド化合物を油溶化する技術を開発し、油溶性の新規のヒドラジド化合物を提供することにある。
また、極性の低い有機溶媒にも可溶であり、硫黄化合物、窒素化合物、有機酸等に対して高い消臭効果を維持すると共に、アルデヒド類に起因する悪臭に対しても消臭効果に優れる油溶性消臭剤を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物とを反応させて得られる油溶性金属化合物に、ヒドラジド化合物を混合して反応させることで、ヒドラジド化合物に油溶性を付与し、極性の低い有機溶媒に可溶にできることを見出した。
そして、得られた油溶性のヒドラジド化合物に優れた消臭効果があり、特にアルデヒド類に対しても消臭効果が高いことを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物とを、有機溶媒中又は無溶媒で、質量比1:5〜1:100で反応させて得られる油溶性金属化合物(B)に、ヒドラジド化合物(A)を反応させて得られるものであることを特徴とする油溶性金属ヒドラジド化合物を提供するものである。
また、本発明は、上記の油溶性金属ヒドラジド化合物を含有するものであることを特徴とする消臭剤を提供するものである。
また、本発明は、上記の消臭剤を含有することを特徴とするアルデヒド臭消臭剤を提供するものである。
また、本発明は、酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物とを、有機溶媒中又は無溶媒で、質量比1:5〜1:100で反応させて油溶性金属化合物(B)を製造し、該油溶性金属化合物(B)に、溶媒中でヒドラジド化合物(A)を20℃以上150℃以下で反応させる工程を有することを特徴とする油溶性金属ヒドラジド化合物の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、前記問題点と上記課題を解決し、新規な油溶性金属ヒドラジド化合物を提供することができる。
ヒドラジド化合物は、消臭剤を初め多くの分野に使用される化合物群であるが、一般に極性が高く、油溶性を持たないか又は少なくとも油溶性が低く(中には、極性溶媒である水に溶解するものもある)、イソパラフィン系溶媒、パラフィン系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒等の極性の低い溶媒に溶解するものは殆どなかった。
本発明によれば、ヒドラジド化合物の官能基(物性を決める化学構造)の性質を殆ど損なうことなく、すなわちヒドラジド化合物の物性をある程度保持したまま油溶性にできるので、ヒドラジド化合物の利用分野や用途を格段に広げることができる。
従来、一般には、ヒドラジド化合物の物性を保持したまま油溶性にすることは難しかった。
本発明によれば、「酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物とを反応させて得られる油溶性金属化合物(B)」に、要すれば溶媒を加え、そこにヒドラジド化合物を加えることで、「イソパラフィン系溶媒等の極めて極性の低い溶媒」にも溶解可能な新規な油溶性金属ヒドラジド化合物を得ることができた。
また、本発明によれば、上記したような極性の低い溶媒に溶解し、かつ優れた消臭効果を奏する油溶性の消臭剤を提供することができる。
ヒドラジド化合物には、アルデヒド類に対して消臭効果があることが知られているが、本発明によれば、消臭効果に優れた油溶性の消臭剤を提供するのみならず、特にアルデヒド類に対しての消臭効果に極めて優れた油溶性の消臭剤を提供することができる。
アルデヒド類には、例えば、ノネナール、オクタナール、ヘキサナール等の悪臭を放ち、かつ水難溶性アルデヒド類が多いが、これら油溶性アルデヒド類に起因する臭いの消臭に、本発明の消臭剤は特に効果を発揮できる。
本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物は、「酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物とを反応させて得られる油溶性金属化合物(B)」に、ヒドラジド化合物(A)を反応させて得られるものであるが、中間体とも言えるかかる油溶性金属化合物(B)には、硫黄化合物、窒素化合物、有機酸等に対して高い消臭効果がある。
本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物を消臭剤に使用すれば、上記油溶性金属化合物(B)の消臭効果を維持しつつ、そこにアルデヒド類に対しての消臭効果を更に付加できる。
従って、本発明によれば、硫化水素、アルキルメルカプタン等の硫黄化合物;アンモニア、アミン類等の窒素化合物;低級脂肪酸、カルボン酸等の有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、イソ吉草酸、酪酸等);等に対して高い消臭効果を維持すると共に、同時に、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類に起因する悪臭に対しても消臭効果に極めて優れる油溶性の消臭剤を提供することができる。
また、本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物を希釈剤に溶解させれば、消臭効果に優れたエアゾール消臭剤やアルデヒド臭消臭剤を提供できる。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
<油溶性金属ヒドラジド化合物>
本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物は、「酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物とを、有機溶媒中又は無溶媒で、質量比1:5〜1:100で反応させて得られる油溶性金属化合物(B)」に、ヒドラジド化合物(A)を反応させて得られるものである。
本発明において、「反応」とは、それによって物性が変化するものを全て含み、共有結合のみならず配位結合を含み、配位・配向等の更に弱い相互作用をも含むものである。
本発明における油溶性金属化合物(B)と、本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物は、一定の化学構造(溶媒中での配位・配向をも含む広い意味での化学構造)を持つものであり、更に本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物は、新規の一定の化学構造を持つものではあるが、該化学構造は明らかでないか又は単純な化学式では明確に表現できないので、本発明おいては、それらの製造方法によって、それら「物」を規定したものである。
本発明において、「油溶性」とは、イソパラフィン系溶媒であるIPソルベント又はジプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、「DPGMME」と略記することがある)に、20℃で5質量%以上溶解する性質のことを言う。
<<ヒドラジド化合物(A)>>
本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物を得るのに用いられ、油溶性化の対象となる「ヒドラジド化合物(A)」としては、特に限定はなく、カルボン酸ヒドラジド、スルホン酸ヒドラジド等の有機酸ヒドラジドが挙げられる。中でも、カルボン酸ヒドラジドが、油溶性化、消臭効果、安全性、コスト等の点から好ましい。
「ヒドラジド化合物(A)」中の1個のヒドラジド基を構成する2個の窒素原子に結合する3個の基(原子)としては、特に限定はないが、水素原子;炭素数1〜20個(特に好ましくは、1〜18個)の分岐を有していてもよいアルキル基若しくはアルケニル基;フェニル基等のアリール基;等が挙げられる。
中でも、3個中1個は水素原子が好ましく、3個中2個は水素原子がより好ましく、3個全てが水素原子であることが特に好ましい。
また、「ヒドラジド化合物(A)」中のヒドラジド基の数も特に限定はなく、分子中に1個のヒドラジド基を有するモノヒドラジド化合物、分子中に2個のヒドラジド基を有するジヒドラジド化合物、分子中に3個以上のヒドラジド基を有するポリヒドラジド化合物の何れも好ましい。
「ヒドラジド化合物(A)」がモノヒドラジド化合物の場合には、特に限定はないが、カルボニル(−C(=O)−)の炭素も含む炭素数2〜22個(より好ましくは、炭素数4〜20個、特に好ましくは、炭素数6〜18個)のモノカルボン酸に、ヒドラジンが反応してなる構造を有するモノカルボン酸ヒドラジドが、消臭効果、安全性、コスト等の点から好ましい。
炭素数の下限が上記以上であると、最終的な油溶性金属ヒドラジド化合物を油溶性にし易く、一方、炭素数の上限が上記以下であると、消臭効果に優れ、合成が容易である。
モノヒドラジド化合物としては、具体的には、例えば、オレイン酸ヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、ナフトエ酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、アセトヒドラジド、安息香酸ヒドラジド等を例示できる。
「ヒドラジド化合物(A)」がジヒドラジド化合物の場合には、特に限定はないが、2個のカルボニルの炭素も含む炭素数2〜24個(より好ましくは、炭素数2〜18個、特に好ましくは、炭素数2〜10個、更に好ましくは、炭素数3〜6個)のジカルボン酸に、ヒドラジンが2個反応してなる構造を有するジカルボン酸ヒドラジドが、消臭効果、製造上等の点から好ましい。
炭素数の下限が上記以上であると、最終的な油溶性金属ヒドラジド化合物を油溶性にし易く、一方、炭素数の上限が上記以下であると、消臭効果に優れ、合成が容易である。
ジヒドラジド化合物としては、具体的には、例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン−2酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド等が挙げられる。
「ヒドラジド化合物(A)」がポリヒドラジド化合物の場合には、該ポリヒドラジド化合物としては、ポリ(メタ)アクリル酸ヒドラジドが好ましい。
上記の中でも、カルボン酸ヒドラジド化合物が好ましく、その中でもカルボン酸ジヒドラジド化合物が特に好ましい。
具体的には、例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等が前記理由から特に好ましく、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド等が更に好ましい。
前記ヒドラジド化合物(A)は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
1種の油溶性金属化合物(B)に、2種以上のヒドラジド化合物(A)を同時に反応させて油溶性金属ヒドラジド化合物を得てもよいし、2種以上のヒドラジド化合物(A)を別々に反応させて2種以上の油溶性金属ヒドラジド化合物を得てからそれらを混合してもよい。
<<油溶性金属化合物(B)とヒドラジド化合物(A)との反応・混合(1)>>
油溶性金属化合物(B)とヒドラジド化合物(A)との配合比率は、ヒドラジド化合物(A)が反応して油溶性になれば特に限定はないが、油溶性金属化合物(B)100質量部に対して、ヒドラジド化合物(A)0.5〜20質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましく、1.5〜10質量部が特に好ましい。上記油溶性金属化合物(B)の質量部には、油溶性金属化合物(B)を有機溶媒中で合成したときの該有機溶媒の量は含まれない。
油溶性金属化合物(B)に対するヒドラジド化合物(A)の量が少な過ぎると、油溶性金属化合物(B)が多すぎて無駄となる、アルデヒド類に対する消臭効果が十分でなくなる等の場合があり、一方、ヒドラジド化合物(A)の量が多過ぎると、油溶性にすべきヒドラジド化合物(A)が全て油溶性にならず反応液が透明(均一)にならない等の場合がある。
本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物は、油溶性金属化合物(B)に、ヒドラジド化合物(A)を反応させて得られるが、その際、該ヒドラジド化合物のみを、該油溶性金属化合物(B)に混合させて反応させてもよいが、該ヒドラジド化合物を溶媒に希釈又は溶媒に混合して使用することも好ましい。
希釈又は混合用として使用できる溶媒は、ヒドラジド化合物と化学反応を生じない溶媒であれば特に限定はないが、イソパラフィン系溶媒、ノルマルパラフィン系溶媒、アルコール系溶媒、グリコール系溶媒、グリコールモノエーテル系溶媒等が好ましく、より好ましくは沸点が70℃以上の、特に好ましくは沸点が90℃以上のイソパラフィン系溶媒若しくはノルマルパラフィン系溶媒等の非極性の炭化水素系溶媒が望ましい。
油溶性金属化合物(B)とヒドラジド化合物(A)との反応に用いられる溶媒の量は、特に限定はないが、油溶性金属化合物(B)100質量部に対して、5〜300質量部が好ましく、10〜200質量部がより好ましく、20〜100質量部が特に好ましい。この溶媒量には、油溶性金属化合物(B)を有機溶媒中で合成したときには、その際の有機溶媒の量も含まれる。
ヒドラジド化合物(A)は、非極性溶媒に溶解しないことが多いので、上記非極性溶媒を用いる場合は、反応初期は、ヒドラジド化合物(A)は、「油溶性金属化合物(B)と該非極性溶媒との混合溶液」や「上記した希釈又は混合溶媒」に溶解していない場合があるが、反応後期には、ヒドラジド化合物(A)は、油溶性金属化合物(B)と反応して油溶性になり、非極性溶媒にも溶解するようになる。従って、これをもって、反応が起こっていることが証明され、新規な油溶性金属ヒドラジド化合物が生成していることが確認できた。
油溶性金属化合物(B)が、酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物とを有機溶媒中で反応させて得られたものである場合には、該有機溶媒については後述するが、ヒドラジド化合物(A)を反応させる際には、溶媒を新たに追加しないこともできるし、上記した溶媒を新たに追加することもできる。
油溶性金属化合物(B)を調製する際の該有機溶媒が上記したような非極性溶媒であると、上記した現象(反応初期は、ヒドラジド化合物(A)は溶解していないが、反応後期には油溶性金属化合物(B)と反応して油溶性になり溶解するようになる現象)が同様に起こる。また、同様にこれをもっても、(A)と(B)の反応が証明され、新規な油溶性金属ヒドラジド化合物が生成していることが確認できた。
油溶性金属化合物(B)とヒドラジド化合物(A)との反応温度は、特に限定はないが、20℃以上150℃以下が好ましく、50℃以上120℃以下がより好ましく、70℃以上100℃以下が特に好ましい。
油溶性金属化合物(B)とヒドラジド化合物(A)との反応時間又は混合時間は、特に限定はないが、10分〜12時間が好ましく、20分〜5時間がより好ましく、30分〜2時間が特に好ましい。
<油溶性金属化合物(B)>
本発明における油溶性金属化合物(B)は、酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物とを、有機溶媒中又は無溶媒で、質量比1:5〜1:100で反応させて得られるものである。
<<酸化亜鉛>>
酸化亜鉛は白色の粉末で、20℃で水にも非極性溶媒等の有機溶媒にも不溶である。
しかし、N−アシルサルコシン化合物と、[酸化亜鉛]/[N−アシルサルコシン化合物]=1/5〜1/100(質量比)で反応させて得られる油溶性金属化合物(B)は、パラフィン系溶媒;後記するIPソルベント等のイソパラフィン系溶媒;エタノール等のアルコール系溶媒;、DPGMME等のグリコールモノアルキルエーテル系溶媒に対して、20℃で溶解するようになる。
<<溶解性>>
油溶性金属化合物(B)の濃度が0.2質量%及び5質量%のときの20℃における溶解性は以下の通りである。
なお、酸化亜鉛のみでは、以下の何れの溶媒にも不溶解である。
0.2質量%濃度 5質量%濃度
水 不溶解 不溶解
エタノール 撹拌5分で透明にならないが溶解 撹拌5分で若干濁りあるが溶解
DPGMME 撹拌5分未満で完全溶解 撹拌5分未満で完全溶解
トルエン 撹拌5分未満で完全溶解 撹拌5分未満で完全溶解
IPソルベント 撹拌5分未満で完全溶解 撹拌5分未満で完全溶解
このことは、酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物とを、有機溶媒中又は無溶媒で、質量比1:5〜1:100で反応させると、上記溶解性を示す油溶性金属化合物(B)ができていることを示している。
<<N−アシルサルコシン化合物>>
本発明で用いられるN−アシルサルコシン化合物は、そのアシル基については特に限定はないが、カルボニルの炭素数を含めて、8個以上24個以下の炭素数を有するアシル基が好ましく、10個以上22個以下がより好ましく、12個以上20個以下が特に好ましく、12個以上18個以下が更に好ましい。
N−アシルサルコシン化合物のアシル基の炭素数が少な過ぎると、酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物を反応させても得られた金属化合物が油溶性にならない場合があり、一方、N−アシルサルコシン化合物のアシル基の炭素数が多過ぎると、反応性が低くなる場合がある。
本発明で用いられるN−アシルサルコシン化合物のアシル基は、炭素間二重結合を有していてもよいし、直鎖でも分岐を有していてもよい。
「中鎖脂肪酸又は長鎖脂肪酸を構成するアシル基」を有するN−アシルサルコシン化合物が好適に使用できる。また、「飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成するアシル基」を有するN−アシルサルコシン化合物が好適に使用できる。
具体的には、例えば、N−カプリロイルサルコシン、N−ラウロイルサルコシン、N−ミリストイルサルコシン、N−パルミトイルサルコシン、N−ステアロイルサルコシン、N−オレオイルサルコシン、N−リノロイルサルコシン、N−アラキゾイルサルコシン、N−ベヘノイルサルコシン、N−リグノセロイルサルコシン等が挙げられる。
中でも、ラウロイルサルコシン、ミリストイルサルコシン、パルミトイルサルコシン、オレオイルサルコシンが、上記炭素数の箇所で述べた理由から特に好ましい。
<<酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物との配合・反応>>
酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物の配合割合は、酸化亜鉛1質量部に対して、N−アシルサルコシン化合物5〜100質量部が必須であるが、5〜40質量部が好ましく、5〜20質量部が特に好ましい。
酸化亜鉛に対するN−アシルサルコシン化合物の配合量の下限が上記以上であると、酸化亜鉛が未反応の不溶物として溶媒中に残存しない。
一方、N−アシルサルコシン化合物の配合量の上限が上記以下であると、酸化亜鉛の量が十分なため、得られた油溶性金属化合物(B)に、ヒドラジド化合物(A)が反応する余地がある。
酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物を有機溶媒中又は無溶媒中で反応させて得られる油溶性金属化合物(B)を調製する方法は、無溶媒中でもよいが有機溶媒中で反応させることが操作上の点等から好ましい。
該有機溶媒としては、酸化亜鉛ともN−アシルサルコシン化合物とも化学反応を生じない有機溶媒であれば特に限定はないが、イソパラフィン系溶媒、ノルマルパラフィン系溶媒、アルコール系溶媒、グリコール系溶媒、エーテル系溶媒、グリコールモノエーテル系溶媒等が好ましい。
該有機溶媒として、より好ましくは沸点が70℃以上の、特に好ましくは沸点が90℃以上のイソパラフィン系溶媒若しくはノルマルパラフィン系溶媒等の炭化水素系溶媒;沸点が100℃以上のアルコール系溶媒、エーテル系溶媒若しくはグリコールモノエーテル系溶媒;等が好ましい。
有機溶媒中で油溶性金属化合物(B)を調製する場合の反応温度は特に限定はないが、使用した有機溶媒の沸点以下で反応させることが好ましく、反応温度50℃以上150℃以下がより好ましく、80℃以上130℃以下が特に好ましく、90℃以上120℃以下が更に好ましい。
無溶媒中で油溶性金属化合物(B)を調製する場合の反応温度は特に限定はないが、90℃以上150℃以下で反応させることが好ましく、反応温度100℃以上140℃以下がより好ましく、110℃以上130℃以下が特に好ましい。
反応時間は特に限定はないが、有機溶媒中でも無溶媒でも、1〜5時間反応させることが好ましく、2〜4時間反応させることが特に好ましい。
<油溶性金属化合物(B)とヒドラジド化合物(A)との反応・混合(2)>
本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物は、酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物とを、有機溶媒中又は無溶媒で、質量比1:5〜1:100で反応させて油溶性金属化合物(B)を製造し、該油溶性金属化合物(B)に、溶媒中でヒドラジド化合物(A)を20℃以上150℃以下で反応させる工程を有する製造方法で製造することが好ましい。
本発明における、ヒドラジド化合物(A)と油溶性金属化合物(B)との反応については、前記したが、更にその態様については以下に挙げる。
(1)(A)成分を溶媒で希釈しないで、溶媒で希釈しない(B)成分と混合する。
(2)(A)成分を溶媒で希釈しないで、溶媒で希釈した(B)成分と混合する。
(3)(A)成分を溶媒で希釈して、溶媒で希釈しない(B)成分と混合する。
(4)(A)成分を溶媒で希釈して、溶媒で希釈した(B)成分と混合する。
このうち、特に好ましく用いられる方法は、上記(1)及び(2)である。
なお、反応初期は溶解していないことがあるので、ここで「希釈」とは溶媒に溶解させることを意味せず、溶媒と混合状態にすることを意味する。
<消臭剤>
本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物には、有機金属反応を起こしたり、消臭に関し阻害したりしない範囲で、適宜、添加剤を添加することができる。
該添加剤としては、限定はないが、具体的には、例えば、アニスシード、コリアンダー等の精油;アスコルビン酸ナトリウム、BHT(ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン)、オイゲノール、イソオイゲノール、チモール等の酸化防止剤;塩化ベンザルコニウム、オクタノール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム等の防カビ剤・殺菌剤;香料;タンニン;サポニン;桂皮酸エステル、サルチル酸エステル等の紫外線吸収剤;等が挙げられる。
本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物を消臭剤として使用する場合、前記油溶性金属ヒドラジド化合物を、更に希釈剤で希釈して使用することが、エアゾール消臭剤等の種々の使用態様に適応させるために好ましい。
このような希釈剤としては、特に限定はないが、例えば、イソパラフィン系炭化水素、ノルマルパラフィン系炭化水素、テルペン系炭化水素等の炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤;エチレングリコール、プロピレングリコール、3−プロパンジオール、1、3−ブタンジオール、1、4−ブタンジオール等のグリコール系溶剤;ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル系溶剤;等が挙げられる。
すなわち、本発明の消臭剤は、前記油溶性金属ヒドラジド化合物、並びに、イソパラフィン系溶剤、ノルマルパラフィン系溶剤、アルコール系溶剤、グリコール系溶剤及びグリコールモノエーテル系溶媒からなる群より選ばれた1種又は2種以上の希釈剤を含有するものであることが好ましい。
上記希釈剤に対する油溶性金属ヒドラジド化合物の濃度は、0.01〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%の範囲である。
消臭剤における上記油溶性金属ヒドラジド化合物の濃度が低過ぎる場合には、消臭効果が弱くなる場合があり、一方、上記油溶性金属ヒドラジド化合物の濃度が高過ぎる場合には、消臭効果が高くなるものの経済的ではない。
本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物を消臭剤として用いる場合は、除去対象ガスが消臭剤成分である該油溶性金属ヒドラジド化合物との反応により除去されるため、一旦除去されたガスの再放出の可能性が殆どないという特長がある。
本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物を消臭剤として用いる場合の消臭剤の形態としては特に限定はないが、エアゾール消臭剤、粒状消臭剤、ゲル状消臭剤等が挙げられる。
粒状消臭剤の形態をとるときは、本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物やそれを含有する消臭剤を、シリカ、活性炭等の担持体に担持させて使用することが好ましい。
また、本発明の消臭剤は、本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物がアルデヒド類に対する消臭効果が高いので、アルデヒド臭消臭剤として好適に使用できる。
本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物に代えて、アルデヒド類に対する消臭効果が高くはない油溶性金属化合物(B)とアルデヒド類に対する消臭効果が高いヒドラジド化合物(A)とを使用時に混合して併用するような複雑な消臭剤としての使用形態は現実的ではない。従って、本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物は、有効成分としては単独で消臭剤の形態をとれるので、アルデヒド類を含む多くの種類の悪臭ガスに単独有効成分で消臭効果がある点で優れている。
<作用・原理>
本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物が優れた消臭効果を示す作用・効果は明らかではないが、以下のことが考えられる。ただし本発明は、以下の作用効果の範囲に限定されるわけではない。
本発明における油溶性金属化合物(B)は、N−アシルサルコシンのN−アシル基(N−C(=O)−)と酸化亜鉛とが反応して生成される。次いで、亜鉛原子に、ヒドラジド化合物(A)が反応し、ヒドラジド化合物の油溶化が計られたと推察される。
また、N−アシルサルコシン同志のアミド化が進行し、そこに酸化亜鉛が反応し、次いで亜鉛分子にヒドラジド化合物(A)が作用し、油溶性金属ヒドラジド化合物が形成されるとも考えられる。
何れの場合も、亜鉛原子にヒドラジド化合物(A)が反応した結果、油溶性金属ヒドラジド化合物が生成したと考えられる。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により限定的に解釈されるべきではない。
実施例1
酸化亜鉛1g、N−オレオイルサルコシン10g、及び、IPソルベント2028(イソパラフィン系溶媒、初留213℃、出光興産(株)製)89gを、還流冷却器を備えた200mLの丸底フラスコに入れ、油浴を用いて110℃で攪拌下、3時間加熱して反応を行い、黄色透明溶液である「油溶性金属化合物(B)溶液」を得た。
次いで、撹拌子の入った100mLの丸底フラスコに、上記で得られた黄色透明溶液である「油溶性金属化合物(B)溶液」20gを入れ、そこにヒドラジド化合物(A)としてコハク酸ジヒドラジド0.2gを加え、撹拌下に100℃で30分間反応させ、黄色透明溶液である「油溶性金属ヒドラジド化合物(1s)」を得た。
コハク酸ジヒドラジドは、IPソルベント2028に不溶のため、コハク酸ジヒドラジドを加えた直後は、液は透明ではないが、100℃で30分間反応させた後には透明溶液となった。反応が起こっていることが確認できた。
実施例2
実施例1において、コハク酸ジヒドラジド0.2gを加えたことに代えて、アジピン酸ジヒドラジド0.2gを加えた以外は、実施例1と同様にして、黄色透明溶液である「油溶性金属ヒドラジド化合物(2s)」を得た。
アジピン酸ジヒドラジドは、IPソルベント2028に不溶のため、アジピン酸ジヒドラジドを加えた直後は、液は透明ではないが、100℃で30分間反応させた後には透明溶液となった。
実施例3
実施例1において、コハク酸ジヒドラジド0.2gを加えたことに代えて、セバシン酸ジヒドラジド0.2gを加えた以外は、実施例1と同様にして、黄色透明溶液である「油溶性金属ヒドラジド化合物(3s)」を得た。
セバシン酸ジヒドラジドは、IPソルベント2028に不溶のため、セバシン酸ジヒドラジドを加えた直後は、液は透明ではないが、100℃で30分間反応させた後には透明溶液となった。
測定例1
コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド及びセバシン酸ジヒドラジドの、イオン交換水及びイソパラフィン系溶媒(出光興産(株)製、IP−2028)(以下、「IPソルベント」と略記することがある)に対する溶解性を測定した。結果を表1に、実施例1、2、3の結果と共に示す。
実施例1、2、3では、それぞれ、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドの、「酸化亜鉛1g、N−オレオイルサルコシン10g、及び、イソパラフィン系溶媒89gを、100℃3時間加熱して反応を行った後の黄色透明溶液である油溶性金属化合物(B)溶液」(以下、「 」内を「ZnO−オレオイルサルコシン−IPソルベント」と略記することがある)に対する溶解性も見ており、上記した通り何れも透明溶液となった。
溶解実験は、ヒドラジド化合物を溶媒に入れてから、100℃で30分撹拌して混合し、室温(20℃)にもどし、溶解性を以下の判定基準で評価した。
実施例1、2、3では、黄色透明溶液である「ZnO−オレオイルサルコシン−IPソルベント」(油溶性金属化合物(B)溶液)を、イオン交換水、IPソルベントと並列に扱い、すなわち1種の溶媒とみなした。
各種溶媒中への各種ヒドラジド化合物の濃度は、何れも実施例1、2、3と同一の質量濃度とした。
なお、イオン交換水やIPソルベントでも、100℃で30分撹拌し室温にもどしてから溶解性を判定したが、それは実施例1、2、3の条件に合わせたものである。
<判定基準>
○:目視で透明溶液となった。
×:目視で透明溶液にならず、濁り又は沈殿物を生成した。
Figure 0006371682
ヒドラジド化合物は何れも、100℃で30分撹拌し室温にもどして溶解性を判定したところ、IPソルベントに溶解しなかった。
一方、ヒドラジド化合物は何れも、100℃で30分撹拌し室温にもどして溶解性を判定したところ、ZnO−オレオイルサルコシン−IPソルベント(油溶性金属化合物(B)溶液)に溶解した(実施例1、2、3)。それにより、反応が起こっていることが確認できた。
評価例1
<消臭試験>
実施例1で得られた黄色透明溶液である「油溶性金属ヒドラジド化合物(1s)」を消臭剤の「原液」とし、及び、消臭剤としての標準的使用条件の一つに合わせ、該原液をIPソルベントに2質量%となるように溶解させ、「2質量%IPソルベント溶液」を調製した。
除去対象ガス注入口、圧力調整口、検知管測定口及び予備口を備えた容量3Lのガラス製セパラブルフラスコを用意し、それぞれのガス注入口から注射器を用いて、アセトアルデヒドガスを所定の初期濃度になるように個別に注入して、10秒間攪拌した。その後、アセトアルデヒドガスの初期濃度をガステック検知管から測定した。
次いで、消臭剤3mLを注入した後、表2に示した経過時間後のアセトアルデヒドガスの濃度(質量ppm)を検知管により測定し、下記式から消臭率(%)を測定した。
[消臭率(%)]=100×[経過時間後の濃度(質量ppm)]/[初濃度(質量ppm)]
結果を以下の表2に示す。
Figure 0006371682
実施例1で得られた「油溶性金属ヒドラジド化合物(1s)」(原液)も、該原液をIPソルベントに2質量%となるように溶解させた「2質量%IPソルベント溶液」も、何れもアセトアルデヒドガスに対して優れた消臭効果を示した。
実施例4
<無溶媒下での酸化亜鉛とN−オレオイルサルコシンとの反応>
酸化亜鉛2.5gとN−オレオイルサルコシン50gとを、還流冷却器を備えた100mLの丸底フラスコに入れ、油浴を用いて無溶媒で、120℃で攪拌下3時間加熱反応を行い、「油溶性金属化合物(B)溶液」である、こげ茶色の粘稠透明溶液を得た。この全量をIPソルベント50gに溶解した。
上記で得られたIPソルベントで希釈した「油溶性金属化合物(B)溶液」全量を200mLの丸底フラスコに入れ、次いでアジピン酸ジヒドラジド5gを加え、100℃で1時間加熱撹拌して茶色透明溶液である「油溶性金属ヒドラジド化合物(4n)」を得た。
評価例2
<消臭試験>
実施例4で得られた茶色透明溶液である「油溶性金属ヒドラジド化合物(4n)」を用い、評価例1と同様に、容量3Lのガラス製セパラブルフラスコを3個用意し、それぞれのガス注入口から、悪臭ガスとして、アセトアルデヒド、硫化水素、アンモニアの3種のガスを別個に注入して、評価例1と同様に消臭試験を行った。結果を表3に示す。
Figure 0006371682
実施例4で得られた「油溶性金属ヒドラジド化合物(4n)」は、アセトアルデヒド、硫化水素及びアンモニアのそれぞれのガスに対して、優れた消臭効果を奏した。
特に、酸化亜鉛とN−オレオイルサルコシンとの加熱反応物である「油溶性金属化合物(B)溶液」は、アセトアルデヒドガスに対しては、消臭効果が高くなかったが(表3には記載がないが、別途評価し、30分後で、消臭率20%程度であった)、実施例4で得られた「油溶性金属ヒドラジド化合物(4n)」は、消臭し難いアセトアルデヒドのガスに対しても優れた消臭効果を奏した。
実施例5
実施例4と同様に、無溶媒下で酸化亜鉛−N−オレオイルサルコシン反応物を調製し、次いで、IPソルベント50gに溶解した後、アジピン酸ジヒドラジド5gに代えて、コハク酸ジヒドラジド2gとセバシン酸ジヒドラジド1gを加え、100℃で1時間加熱撹拌して茶色透明溶液である「油溶性金属ヒドラジド化合物(5n)」を得た。
実施例6
実施例4において、酸化亜鉛量を2.5gから1gに、ヒドラジド化合物をフタル酸ジヒドラジド5gに代えた以外は実施例4と同様に調製し、茶色透明溶液である「油溶性金属ヒドラジド化合物(6n)」を得た。
実施例7
実施例1において、N−オレオイルサルコシン10gに代えて、N−ラウロイルサルコシン10gを用いた以外は実施例1と同様にして、黄色透明の「油溶性金属化合物(B)溶液」を得た。
そのうち50gを200mLの丸底フラスコに入れ、次いで、アジピン酸ジヒドラジド1gを加え、100℃で1時間加熱撹拌して、茶色透明溶液である「油溶性金属ヒドラジド化合物(7s)」を得た。
実施例8
実施例7において、N−ラウロイルサルコシン10gをN−パルミトイルサルコシン10gに代え、ヒドラジド化合物をコハク酸ジヒドラジド1gに代えた以外は、実施例7と同様にして、茶色透明溶液である「油溶性金属ヒドラジド化合物(8s)」を得た。
実施例9
実施例7において、N−ラウロイルサルコシン10gをN−ミリストイルサルコシン10gに代えた以外は実施例7と同様にして、茶色透明溶液である「油溶性金属ヒドラジド化合物(9s)」を得た。
実施例10
実施例1において、IPソルベント89gに代えて、流動パラフィン89gを用いた以外は同様にして、黄色透明溶液である「油溶性金属化合物(B)溶液」を得た。
得られた溶液を、200mLの丸底フラスコに入れ、次いで、上記黄色透明溶液50g、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPGMME)50g、及び、コハク酸ジヒドラジド0.5gを加え、撹拌下100℃で30分間反応させ、黄色透明溶液である「油溶性金属ヒドラジド化合物(10s)」を得た。
比較例1
200mLの丸底フラスコに、酸化亜鉛1.0g、コハク酸ジヒドラジド1.5gを入れ、次いで、溶媒としてイオン交換水100gを加えて、還流下100℃で1時間加熱撹拌を行った。
その結果、系は白色のままであり透明とならなかった。
上記で得られた液をろ過した後、数回イオン水で洗浄後、再度ろ過後、室温で風乾した。次いで、100℃で一昼夜乾燥させ白色固体0.9gを得た。
これを、文献JAPAN ANALYST vol21 (1972)「原子吸光法による金属錯体のCu、Ni、Znの定量」を参考に、原子吸光法により測定した結果、白色固体中のZn量は79質量%であった。これは酸化亜鉛中の亜鉛含量(理論値)である80.2質量%に近い。
すなわち、比較例1では、酸化亜鉛とヒドラジド化合物とは反応していないことが判明した。
また、酸化亜鉛もヒドラジド化合物も、IPソルベントや流動パラフィンには溶解しないため、溶媒を上記イオン交換水からIPソルベント等に代えても、酸化亜鉛とヒドラジド化合物が反応しないことには変わりはない。
比較例2
200mLの丸底フラスコに、オレオイルサルコシン1.6g、及び、セバシン酸ジヒドラジド1.0gを入れ、次いで、溶媒としてIPソルベント100gを加えて、100℃1時間、加熱撹拌を行った。
その結果、系は白色のままであり透明とならなかった。従って、オレオイルサルコシンとヒドラジド化合物は反応しないことが分かった。
Figure 0006371682
実施例1から実施例10で得られた、「油溶性金属化合物(B)」及び「油溶性金属ヒドラジド化合物」の配合表を表5に示し、実施例5から実施例10で得られた「油溶性金属ヒドラジド化合物」原液と、5質量%IPソルベント溶液とを、消臭剤として評価例2の30分後の評価と同様に評価した結果を表6に示した。
Figure 0006371682
Figure 0006371682
表6の結果から、本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物、及び、それを用いた消臭剤は、アンモニア、硫化水素のみならず、アセトアルデヒドに対しても、消臭効果が極めて高いことが分かった。
本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物は新規な化合物であるため、種々の分野に利用される可能性があり、本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物を用いた消臭剤は、油溶性であり、また消臭効果に優れているため、業務用、家庭用等の消臭剤として、種々の消臭剤用途に種々の形態で広く利用されるものである。

Claims (6)

  1. 酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物とを、有機溶媒中又は無溶媒で、質量比1:5〜1:100で反応させて得られる油溶性金属化合物(B)に、ヒドラジド化合物(A)を反応させて得られるものであることを特徴とする油溶性金属ヒドラジド化合物。
  2. 上記ヒドラジド化合物(A)がカルボン酸ヒドラジド化合物である請求項1に記載の油溶性金属ヒドラジド化合物。
  3. 上記N−アシルサルコシン化合物が、そのアシル基の炭素数が10個以上22個以下のものである請求項1又は請求項2に記載の油溶性金属ヒドラジド化合物。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の油溶性金属ヒドラジド化合物を含有するものであることを特徴とする消臭剤。
  5. 請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の油溶性金属ヒドラジド化合物、並びに、イソパラフィン系溶剤、ノルマルパラフィン系溶剤、アルコール系溶剤、グリコール系溶剤及びグリコールモノエーテル系溶媒からなる群より選ばれた1種又は2種以上の希釈剤を含有する請求項4に記載の消臭剤。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の消臭剤を含有することを特徴とするアルデヒド臭消臭剤。
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