JP6371682B2 - 油溶性金属化合物および油溶性消臭剤 - Google Patents
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Description
特許文献1には、ヒドラジド化合物と金属化合物とを有効成分とする水溶性の消臭剤が記載されており、該消臭剤の水溶液を噴霧器で対象物にスプレーして使用している。
具体的には、特許文献1には、ヒドラジド化合物と、金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩又は水酸化物とを有効成分とする水溶性のアルデヒド消臭剤組成物が開示されている。
しかしながら、金属の酸化物については開示されていないことに加え、得られたものは油溶性ではなく水溶性であり、使用方法や用途が制限されているものであった。
具体的には、特許文献2には、金属塩化物とヒドラジド化合物を溶媒(例えば、アルコール/水溶液)に溶解、撹拌することにより、金属とヒドラジド化合物との錯体を得て、それを消臭剤として使用できることが記載されている。
しかしながら、金属塩は塩化物であり、また水系溶媒での合成例が記載されているにすぎず、しかも得られたものは油溶性ではなく水溶性であり、使用方法や用途が制限されているものであった。
具体的には、特許文献3には、ヒドラジド化合物と、リン酸エステルの金属塩、チオリン酸エステルの金属塩、ジチオリン酸エステルの金属塩、ホスホン酸エステルの金属塩、ジチオホスホン酸の金属塩、カルバミン酸の金属塩、チオカルバミン酸の金属塩、ジチオカルバミン酸の金属塩又はナフテン酸の金属塩とを混合してなる油溶性金属錯体が開示されている。
しかしながら、金属の酸化物については開示されていないことに加え、得られたものは消臭剤ではなく潤滑油添加剤である。
具体的には、特許文献4には、酸化亜鉛とN−アシルサルコシン類とを反応させて得られる油溶性消臭剤が開示されている。
しかしながら、特許文献4に記載の消臭剤は、硫化水素、アンモニア等には消臭効果が高いものの、アルデヒド類の消臭効果には物足りなさがあった。
消臭剤の用途は拡大しつつあり、また消臭剤への要求は、ますます高くなってきている中、かかる公知技術では不十分であり、更なる改善の余地があった。
また、極性の低い有機溶媒にも可溶であり、硫黄化合物、窒素化合物、有機酸等に対して高い消臭効果を維持すると共に、アルデヒド類に起因する悪臭に対しても消臭効果に優れる油溶性消臭剤を提供することにある。
そして、得られた油溶性のヒドラジド化合物に優れた消臭効果があり、特にアルデヒド類に対しても消臭効果が高いことを見出して、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、ヒドラジド化合物の官能基(物性を決める化学構造)の性質を殆ど損なうことなく、すなわちヒドラジド化合物の物性をある程度保持したまま油溶性にできるので、ヒドラジド化合物の利用分野や用途を格段に広げることができる。
本発明によれば、「酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物とを反応させて得られる油溶性金属化合物(B)」に、要すれば溶媒を加え、そこにヒドラジド化合物を加えることで、「イソパラフィン系溶媒等の極めて極性の低い溶媒」にも溶解可能な新規な油溶性金属ヒドラジド化合物を得ることができた。
ヒドラジド化合物には、アルデヒド類に対して消臭効果があることが知られているが、本発明によれば、消臭効果に優れた油溶性の消臭剤を提供するのみならず、特にアルデヒド類に対しての消臭効果に極めて優れた油溶性の消臭剤を提供することができる。
本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物を消臭剤に使用すれば、上記油溶性金属化合物(B)の消臭効果を維持しつつ、そこにアルデヒド類に対しての消臭効果を更に付加できる。
本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物は、「酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物とを、有機溶媒中又は無溶媒で、質量比1:5〜1:100で反応させて得られる油溶性金属化合物(B)」に、ヒドラジド化合物(A)を反応させて得られるものである。
本発明における油溶性金属化合物(B)と、本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物は、一定の化学構造(溶媒中での配位・配向をも含む広い意味での化学構造)を持つものであり、更に本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物は、新規の一定の化学構造を持つものではあるが、該化学構造は明らかでないか又は単純な化学式では明確に表現できないので、本発明おいては、それらの製造方法によって、それら「物」を規定したものである。
本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物を得るのに用いられ、油溶性化の対象となる「ヒドラジド化合物(A)」としては、特に限定はなく、カルボン酸ヒドラジド、スルホン酸ヒドラジド等の有機酸ヒドラジドが挙げられる。中でも、カルボン酸ヒドラジドが、油溶性化、消臭効果、安全性、コスト等の点から好ましい。
中でも、3個中1個は水素原子が好ましく、3個中2個は水素原子がより好ましく、3個全てが水素原子であることが特に好ましい。
炭素数の下限が上記以上であると、最終的な油溶性金属ヒドラジド化合物を油溶性にし易く、一方、炭素数の上限が上記以下であると、消臭効果に優れ、合成が容易である。
炭素数の下限が上記以上であると、最終的な油溶性金属ヒドラジド化合物を油溶性にし易く、一方、炭素数の上限が上記以下であると、消臭効果に優れ、合成が容易である。
具体的には、例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等が前記理由から特に好ましく、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド等が更に好ましい。
1種の油溶性金属化合物(B)に、2種以上のヒドラジド化合物(A)を同時に反応させて油溶性金属ヒドラジド化合物を得てもよいし、2種以上のヒドラジド化合物(A)を別々に反応させて2種以上の油溶性金属ヒドラジド化合物を得てからそれらを混合してもよい。
油溶性金属化合物(B)とヒドラジド化合物(A)との配合比率は、ヒドラジド化合物(A)が反応して油溶性になれば特に限定はないが、油溶性金属化合物(B)100質量部に対して、ヒドラジド化合物(A)0.5〜20質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましく、1.5〜10質量部が特に好ましい。上記油溶性金属化合物(B)の質量部には、油溶性金属化合物(B)を有機溶媒中で合成したときの該有機溶媒の量は含まれない。
希釈又は混合用として使用できる溶媒は、ヒドラジド化合物と化学反応を生じない溶媒であれば特に限定はないが、イソパラフィン系溶媒、ノルマルパラフィン系溶媒、アルコール系溶媒、グリコール系溶媒、グリコールモノエーテル系溶媒等が好ましく、より好ましくは沸点が70℃以上の、特に好ましくは沸点が90℃以上のイソパラフィン系溶媒若しくはノルマルパラフィン系溶媒等の非極性の炭化水素系溶媒が望ましい。
油溶性金属化合物(B)を調製する際の該有機溶媒が上記したような非極性溶媒であると、上記した現象(反応初期は、ヒドラジド化合物(A)は溶解していないが、反応後期には油溶性金属化合物(B)と反応して油溶性になり溶解するようになる現象)が同様に起こる。また、同様にこれをもっても、(A)と(B)の反応が証明され、新規な油溶性金属ヒドラジド化合物が生成していることが確認できた。
本発明における油溶性金属化合物(B)は、酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物とを、有機溶媒中又は無溶媒で、質量比1:5〜1:100で反応させて得られるものである。
酸化亜鉛は白色の粉末で、20℃で水にも非極性溶媒等の有機溶媒にも不溶である。
しかし、N−アシルサルコシン化合物と、[酸化亜鉛]/[N−アシルサルコシン化合物]=1/5〜1/100(質量比)で反応させて得られる油溶性金属化合物(B)は、パラフィン系溶媒;後記するIPソルベント等のイソパラフィン系溶媒;エタノール等のアルコール系溶媒;、DPGMME等のグリコールモノアルキルエーテル系溶媒に対して、20℃で溶解するようになる。
油溶性金属化合物(B)の濃度が0.2質量%及び5質量%のときの20℃における溶解性は以下の通りである。
なお、酸化亜鉛のみでは、以下の何れの溶媒にも不溶解である。
水 不溶解 不溶解
エタノール 撹拌5分で透明にならないが溶解 撹拌5分で若干濁りあるが溶解
DPGMME 撹拌5分未満で完全溶解 撹拌5分未満で完全溶解
トルエン 撹拌5分未満で完全溶解 撹拌5分未満で完全溶解
IPソルベント 撹拌5分未満で完全溶解 撹拌5分未満で完全溶解
本発明で用いられるN−アシルサルコシン化合物は、そのアシル基については特に限定はないが、カルボニルの炭素数を含めて、8個以上24個以下の炭素数を有するアシル基が好ましく、10個以上22個以下がより好ましく、12個以上20個以下が特に好ましく、12個以上18個以下が更に好ましい。
N−アシルサルコシン化合物のアシル基の炭素数が少な過ぎると、酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物を反応させても得られた金属化合物が油溶性にならない場合があり、一方、N−アシルサルコシン化合物のアシル基の炭素数が多過ぎると、反応性が低くなる場合がある。
「中鎖脂肪酸又は長鎖脂肪酸を構成するアシル基」を有するN−アシルサルコシン化合物が好適に使用できる。また、「飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成するアシル基」を有するN−アシルサルコシン化合物が好適に使用できる。
中でも、ラウロイルサルコシン、ミリストイルサルコシン、パルミトイルサルコシン、オレオイルサルコシンが、上記炭素数の箇所で述べた理由から特に好ましい。
酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物の配合割合は、酸化亜鉛1質量部に対して、N−アシルサルコシン化合物5〜100質量部が必須であるが、5〜40質量部が好ましく、5〜20質量部が特に好ましい。
酸化亜鉛に対するN−アシルサルコシン化合物の配合量の下限が上記以上であると、酸化亜鉛が未反応の不溶物として溶媒中に残存しない。
一方、N−アシルサルコシン化合物の配合量の上限が上記以下であると、酸化亜鉛の量が十分なため、得られた油溶性金属化合物(B)に、ヒドラジド化合物(A)が反応する余地がある。
該有機溶媒としては、酸化亜鉛ともN−アシルサルコシン化合物とも化学反応を生じない有機溶媒であれば特に限定はないが、イソパラフィン系溶媒、ノルマルパラフィン系溶媒、アルコール系溶媒、グリコール系溶媒、エーテル系溶媒、グリコールモノエーテル系溶媒等が好ましい。
該有機溶媒として、より好ましくは沸点が70℃以上の、特に好ましくは沸点が90℃以上のイソパラフィン系溶媒若しくはノルマルパラフィン系溶媒等の炭化水素系溶媒;沸点が100℃以上のアルコール系溶媒、エーテル系溶媒若しくはグリコールモノエーテル系溶媒;等が好ましい。
本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物は、酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物とを、有機溶媒中又は無溶媒で、質量比1:5〜1:100で反応させて油溶性金属化合物(B)を製造し、該油溶性金属化合物(B)に、溶媒中でヒドラジド化合物(A)を20℃以上150℃以下で反応させる工程を有する製造方法で製造することが好ましい。
(1)(A)成分を溶媒で希釈しないで、溶媒で希釈しない(B)成分と混合する。
(2)(A)成分を溶媒で希釈しないで、溶媒で希釈した(B)成分と混合する。
(3)(A)成分を溶媒で希釈して、溶媒で希釈しない(B)成分と混合する。
(4)(A)成分を溶媒で希釈して、溶媒で希釈した(B)成分と混合する。
このうち、特に好ましく用いられる方法は、上記(1)及び(2)である。
なお、反応初期は溶解していないことがあるので、ここで「希釈」とは溶媒に溶解させることを意味せず、溶媒と混合状態にすることを意味する。
本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物には、有機金属反応を起こしたり、消臭に関し阻害したりしない範囲で、適宜、添加剤を添加することができる。
該添加剤としては、限定はないが、具体的には、例えば、アニスシード、コリアンダー等の精油;アスコルビン酸ナトリウム、BHT(ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン)、オイゲノール、イソオイゲノール、チモール等の酸化防止剤;塩化ベンザルコニウム、オクタノール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム等の防カビ剤・殺菌剤;香料;タンニン;サポニン;桂皮酸エステル、サルチル酸エステル等の紫外線吸収剤;等が挙げられる。
このような希釈剤としては、特に限定はないが、例えば、イソパラフィン系炭化水素、ノルマルパラフィン系炭化水素、テルペン系炭化水素等の炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤;エチレングリコール、プロピレングリコール、3−プロパンジオール、1、3−ブタンジオール、1、4−ブタンジオール等のグリコール系溶剤;ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル系溶剤;等が挙げられる。
消臭剤における上記油溶性金属ヒドラジド化合物の濃度が低過ぎる場合には、消臭効果が弱くなる場合があり、一方、上記油溶性金属ヒドラジド化合物の濃度が高過ぎる場合には、消臭効果が高くなるものの経済的ではない。
粒状消臭剤の形態をとるときは、本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物やそれを含有する消臭剤を、シリカ、活性炭等の担持体に担持させて使用することが好ましい。
本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物に代えて、アルデヒド類に対する消臭効果が高くはない油溶性金属化合物(B)とアルデヒド類に対する消臭効果が高いヒドラジド化合物(A)とを使用時に混合して併用するような複雑な消臭剤としての使用形態は現実的ではない。従って、本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物は、有効成分としては単独で消臭剤の形態をとれるので、アルデヒド類を含む多くの種類の悪臭ガスに単独有効成分で消臭効果がある点で優れている。
本発明の油溶性金属ヒドラジド化合物が優れた消臭効果を示す作用・効果は明らかではないが、以下のことが考えられる。ただし本発明は、以下の作用効果の範囲に限定されるわけではない。
また、N−アシルサルコシン同志のアミド化が進行し、そこに酸化亜鉛が反応し、次いで亜鉛分子にヒドラジド化合物(A)が作用し、油溶性金属ヒドラジド化合物が形成されるとも考えられる。
何れの場合も、亜鉛原子にヒドラジド化合物(A)が反応した結果、油溶性金属ヒドラジド化合物が生成したと考えられる。
酸化亜鉛1g、N−オレオイルサルコシン10g、及び、IPソルベント2028(イソパラフィン系溶媒、初留213℃、出光興産(株)製)89gを、還流冷却器を備えた200mLの丸底フラスコに入れ、油浴を用いて110℃で攪拌下、3時間加熱して反応を行い、黄色透明溶液である「油溶性金属化合物(B)溶液」を得た。
コハク酸ジヒドラジドは、IPソルベント2028に不溶のため、コハク酸ジヒドラジドを加えた直後は、液は透明ではないが、100℃で30分間反応させた後には透明溶液となった。反応が起こっていることが確認できた。
実施例1において、コハク酸ジヒドラジド0.2gを加えたことに代えて、アジピン酸ジヒドラジド0.2gを加えた以外は、実施例1と同様にして、黄色透明溶液である「油溶性金属ヒドラジド化合物(2s)」を得た。
アジピン酸ジヒドラジドは、IPソルベント2028に不溶のため、アジピン酸ジヒドラジドを加えた直後は、液は透明ではないが、100℃で30分間反応させた後には透明溶液となった。
実施例1において、コハク酸ジヒドラジド0.2gを加えたことに代えて、セバシン酸ジヒドラジド0.2gを加えた以外は、実施例1と同様にして、黄色透明溶液である「油溶性金属ヒドラジド化合物(3s)」を得た。
セバシン酸ジヒドラジドは、IPソルベント2028に不溶のため、セバシン酸ジヒドラジドを加えた直後は、液は透明ではないが、100℃で30分間反応させた後には透明溶液となった。
コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド及びセバシン酸ジヒドラジドの、イオン交換水及びイソパラフィン系溶媒(出光興産(株)製、IP−2028)(以下、「IPソルベント」と略記することがある)に対する溶解性を測定した。結果を表1に、実施例1、2、3の結果と共に示す。
実施例1、2、3では、黄色透明溶液である「ZnO−オレオイルサルコシン−IPソルベント」(油溶性金属化合物(B)溶液)を、イオン交換水、IPソルベントと並列に扱い、すなわち1種の溶媒とみなした。
各種溶媒中への各種ヒドラジド化合物の濃度は、何れも実施例1、2、3と同一の質量濃度とした。
なお、イオン交換水やIPソルベントでも、100℃で30分撹拌し室温にもどしてから溶解性を判定したが、それは実施例1、2、3の条件に合わせたものである。
○:目視で透明溶液となった。
×:目視で透明溶液にならず、濁り又は沈殿物を生成した。
一方、ヒドラジド化合物は何れも、100℃で30分撹拌し室温にもどして溶解性を判定したところ、ZnO−オレオイルサルコシン−IPソルベント(油溶性金属化合物(B)溶液)に溶解した(実施例1、2、3)。それにより、反応が起こっていることが確認できた。
<消臭試験>
実施例1で得られた黄色透明溶液である「油溶性金属ヒドラジド化合物(1s)」を消臭剤の「原液」とし、及び、消臭剤としての標準的使用条件の一つに合わせ、該原液をIPソルベントに2質量%となるように溶解させ、「2質量%IPソルベント溶液」を調製した。
次いで、消臭剤3mLを注入した後、表2に示した経過時間後のアセトアルデヒドガスの濃度(質量ppm)を検知管により測定し、下記式から消臭率(%)を測定した。
[消臭率(%)]=100×[経過時間後の濃度(質量ppm)]/[初濃度(質量ppm)]
結果を以下の表2に示す。
<無溶媒下での酸化亜鉛とN−オレオイルサルコシンとの反応>
酸化亜鉛2.5gとN−オレオイルサルコシン50gとを、還流冷却器を備えた100mLの丸底フラスコに入れ、油浴を用いて無溶媒で、120℃で攪拌下3時間加熱反応を行い、「油溶性金属化合物(B)溶液」である、こげ茶色の粘稠透明溶液を得た。この全量をIPソルベント50gに溶解した。
<消臭試験>
実施例4で得られた茶色透明溶液である「油溶性金属ヒドラジド化合物(4n)」を用い、評価例1と同様に、容量3Lのガラス製セパラブルフラスコを3個用意し、それぞれのガス注入口から、悪臭ガスとして、アセトアルデヒド、硫化水素、アンモニアの3種のガスを別個に注入して、評価例1と同様に消臭試験を行った。結果を表3に示す。
特に、酸化亜鉛とN−オレオイルサルコシンとの加熱反応物である「油溶性金属化合物(B)溶液」は、アセトアルデヒドガスに対しては、消臭効果が高くなかったが(表3には記載がないが、別途評価し、30分後で、消臭率20%程度であった)、実施例4で得られた「油溶性金属ヒドラジド化合物(4n)」は、消臭し難いアセトアルデヒドのガスに対しても優れた消臭効果を奏した。
実施例4と同様に、無溶媒下で酸化亜鉛−N−オレオイルサルコシン反応物を調製し、次いで、IPソルベント50gに溶解した後、アジピン酸ジヒドラジド5gに代えて、コハク酸ジヒドラジド2gとセバシン酸ジヒドラジド1gを加え、100℃で1時間加熱撹拌して茶色透明溶液である「油溶性金属ヒドラジド化合物(5n)」を得た。
実施例4において、酸化亜鉛量を2.5gから1gに、ヒドラジド化合物をフタル酸ジヒドラジド5gに代えた以外は実施例4と同様に調製し、茶色透明溶液である「油溶性金属ヒドラジド化合物(6n)」を得た。
実施例1において、N−オレオイルサルコシン10gに代えて、N−ラウロイルサルコシン10gを用いた以外は実施例1と同様にして、黄色透明の「油溶性金属化合物(B)溶液」を得た。
そのうち50gを200mLの丸底フラスコに入れ、次いで、アジピン酸ジヒドラジド1gを加え、100℃で1時間加熱撹拌して、茶色透明溶液である「油溶性金属ヒドラジド化合物(7s)」を得た。
実施例7において、N−ラウロイルサルコシン10gをN−パルミトイルサルコシン10gに代え、ヒドラジド化合物をコハク酸ジヒドラジド1gに代えた以外は、実施例7と同様にして、茶色透明溶液である「油溶性金属ヒドラジド化合物(8s)」を得た。
実施例7において、N−ラウロイルサルコシン10gをN−ミリストイルサルコシン10gに代えた以外は実施例7と同様にして、茶色透明溶液である「油溶性金属ヒドラジド化合物(9s)」を得た。
実施例1において、IPソルベント89gに代えて、流動パラフィン89gを用いた以外は同様にして、黄色透明溶液である「油溶性金属化合物(B)溶液」を得た。
200mLの丸底フラスコに、酸化亜鉛1.0g、コハク酸ジヒドラジド1.5gを入れ、次いで、溶媒としてイオン交換水100gを加えて、還流下100℃で1時間加熱撹拌を行った。
その結果、系は白色のままであり透明とならなかった。
これを、文献JAPAN ANALYST vol21 (1972)「原子吸光法による金属錯体のCu、Ni、Znの定量」を参考に、原子吸光法により測定した結果、白色固体中のZn量は79質量%であった。これは酸化亜鉛中の亜鉛含量(理論値)である80.2質量%に近い。
すなわち、比較例1では、酸化亜鉛とヒドラジド化合物とは反応していないことが判明した。
200mLの丸底フラスコに、オレオイルサルコシン1.6g、及び、セバシン酸ジヒドラジド1.0gを入れ、次いで、溶媒としてIPソルベント100gを加えて、100℃1時間、加熱撹拌を行った。
Claims (6)
- 酸化亜鉛とN−アシルサルコシン化合物とを、有機溶媒中又は無溶媒で、質量比1:5〜1:100で反応させて得られる油溶性金属化合物(B)に、ヒドラジド化合物(A)を反応させて得られるものであることを特徴とする油溶性金属ヒドラジド化合物。
- 上記ヒドラジド化合物(A)がカルボン酸ヒドラジド化合物である請求項1に記載の油溶性金属ヒドラジド化合物。
- 上記N−アシルサルコシン化合物が、そのアシル基の炭素数が10個以上22個以下のものである請求項1又は請求項2に記載の油溶性金属ヒドラジド化合物。
- 請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の油溶性金属ヒドラジド化合物を含有するものであることを特徴とする消臭剤。
- 請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の油溶性金属ヒドラジド化合物、並びに、イソパラフィン系溶剤、ノルマルパラフィン系溶剤、アルコール系溶剤、グリコール系溶剤及びグリコールモノエーテル系溶媒からなる群より選ばれた1種又は2種以上の希釈剤を含有する請求項4に記載の消臭剤。
- 請求項4又は請求項5に記載の消臭剤を含有することを特徴とするアルデヒド臭消臭剤。
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