JP2014092698A - 有機感光体および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 有機感光体は、電子写真法による画像形成用のものであって、電荷発生層が、2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンおよび未付加のチタニルフタロシアニンよりなる電荷発生物質を含有するものであり、当該電荷発生層が、反射スペクトルの波長700nmにおける反射率(R700)と波長780nmにおける反射率(R780)との比(R700/R780)が0.8〜1.3であり、前記電荷発生層よりも表面側に位置する層に、370nm以上500nm以下の波長範囲に極大吸収λmax を有する光遮断性物質が含有されていることを特徴とする。
【選択図】 図4
Description
電荷発生層が、2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンおよび未付加のチタニルフタロシアニンよりなる電荷発生物質を含有するものであり、
当該電荷発生層が、反射スペクトルの波長700nmにおける反射率(R700)と波長780nmにおける反射率(R780)との比(R700/R780)が0.8〜1.3であり、
前記電荷発生層よりも表面側に位置する層に、370nm以上500nm以下の波長範囲に極大吸収λmax を有する光遮断性物質が含有されていることを特徴とする。
前記有機感光体が、請求項1または請求項2に記載の有機感光体であることを特徴とする。
本発明の感光体は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層および電荷輸送層が積層されてなる電子写真法による画像形成用の有機感光体であって、電荷発生層が、2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンおよび未付加のチタニルフタロシアニンよりなる電荷発生物質を含有するものであり、当該電荷発生層が、反射スペクトルの波長700nmにおける反射率(R700)と波長780nmにおける反射率(R780)との比(R700/R780)が0.8〜1.3であり、電荷発生層よりも表面側に位置する層、この例の感光体においては電荷輸送層に、370nm以上500nm以下の波長範囲に極大吸収λmax を有する光遮断性物質(以下、「特定の光遮断性物質」ともいう。)が含有されていることを特徴とするものである。
本発明の感光体を構成する導電性支持体は、シート状または円筒状のものであり、導電性支持体としては、画像形成装置を小型のものとする観点で円筒状のものを用いることが好ましい。
円筒状の導電性支持体は、回転することによりエンドレスに画像を形成することができるものであり、真直度0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にあるものを用いることが好ましい。この真直度および振れの範囲を超えるものを用いた場合には、良好な画像形成を行うことが困難になる。
導電性支持体の十点平均粗さ(RzJIS)が上記の範囲にあることによって、露光光源としてレーザー光源を用いた場合にも、画像におけるモアレの発生を防止することができる。なお、導電性支持体が上記のように粗面化されたものであっても、厚膜の中間層を形成することにより、絶縁破壊などのリークを防止することができる。
導電性支持体は、例えば円筒状のものを作製する場合には円筒管よりなる素管の表面に、上記の十点平均粗さ(RzJIS)を有するようバイト切削加工を行うことにより、作製することができる。
具体的には、素管の表面をバイト切削加工によって整形する際のダイヤモンド焼結バイトなどの切削バイトの素管に対する当接角度や用いる切削バイトの種類や切削バイトの刃先の研磨条件などを変更することにより、導電性支持体を特定の十点平均粗さ(RzJIS)を有するよう調整することができる。
なお、導電性支持体のバイト切削加工は、導電性支持体の外径などの寸法精度を所望のレベルにする、導電性支持体の表面の酸化膜を除きフレッシュにする、導電性支持体の表面を所望の形状にするなどの目的で行われる。
中間層は、導電性支持体と有機感光層との間にバリアー機能と接着機能とを付与するものである。種々の故障防止などの観点から、このような中間層を設けることが好ましい。
本発明の感光体を構成する電荷発生層は、電荷発生物質(CGM)が含有されたものであり、必要に応じて分散媒としてバインダー樹脂や、その他の添加物が含有されたものとすることもできる。
本発明において、2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンとは、未付加のチタニルフタロシアニンに2,3−ブタンジオールを付加させた化合物をいう。
また、2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンおよび未付加のチタニルフタロシアニンを含む顔料とは、少なくとも未付加のチタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンとが1つの顔料粒子中に混合状態あるいは混晶状態で含有された顔料を意味する。
9.5°型の2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンは、IRスペクトルにおいて970cm-1付近のTi=O吸収がなく、630cm-1付近にO−Ti−Oの吸収が現れること、熱分析(TG)において390〜410℃に約11%の質量減少があること(熱分解によるブチレンオキシドの脱離のためと考えられる)、およびマススペクトルの結果から、未付加のチタニルフタロシアニンと原料ブタンジオール化合物とが、1/1で脱水縮合した構造を有するものと推測される。
8.3°型の2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンは、IRスペクトルにおいて970cm-1付近にTi=Oの吸収が現われると共に630cm-1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れること、熱分析において390〜410℃における質量減少が11%未満であること、およびマススペクトルの結果から、ブタンジオール/チタニルフタロシアニン=1/1付加体とチタニルフタロシアニンとが、ある割合で混晶を形成しているものと推測される。原料ブタンジオール化合物の付加比は、熱分析における390〜410℃における質量減少から、40〜70モル%と推測される。
原料である未付加のチタニルフタロシアニンは、フタロニトリルおよび四塩化チタンから得る合成法、ジイミノイソインドリンおよびアルコキシチタンから得る合成法、フタロニトリル、尿素およびアルコキシチタンから得る合成法など通常知られているいずれの合成法を用いて合成することもできるが、特に、塩素含有量の少ない高純度なチタニルフタロシアニンが得られることから、ジイミノイソインドリンおよびアルコキシチタンから得る合成法を用いることが好ましい。
また、未付加のチタニルフタロシアニンとしては、上記の合成法によって得られた粗チタニルフタロシアニンをアシッドペースト処理などの方法によって無定形化したものを用いることが好ましい。
未付加のチタニルフタロシアニンと原料ブタンジオール化合物との付加反応には、通常原料の5〜30質量倍の溶媒が使用される。
溶媒としては、特に限定されず、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、クロロナフタレン、キノリンなどの芳香族溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジグライムなどのエーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒;その他ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒などを挙げることができる。
BET比表面積が上記の範囲にある特定のチタニルフタロシアニン混合顔料を用い、さらに当該特定のチタニルフタロシアニン混合顔料の分散性を維持するよう後述する電荷発生層形成用塗布液の調製時に低いシェアで当該特定のチタニルフタロシアニン混合顔料を分散させることによって、良好な感度および繰り返し電位安定性が得られる感光体を作製することができる。
BET比表面積は、流動式比表面積自動測定装置「マイクロメトリックス・フローソープ型」(島津製作所社製)を用いて測定されるものである。
本発明に係る電荷発生層の反射スペクトルは、アルミニウム製の支持体上に接触するように積層された状態において測定されるものである。具体的には、電荷発生層のみを乾燥膜厚0.3μmとなるようアルミニウム製の支持体上に接触する状態に積層させた試料について、光学式膜厚測定装置「Solid Lambda Thickness」(スペクトラコープ社製)を用いて、支持体の反射率を100%としたときの相対反射率として実測データを得、この実測データにおける干渉縞による凹凸除去するために、当該実測データにおける685〜715nmの波長範囲並びに765〜795nmの波長範囲をそれぞれ二次の多項式によって近似することにより、得られるものである。
そして、当該反射スペクトルにおいて、当該反射スペクトルの波長700nmにおける反射率(R700)と波長780nmにおける反射率(R780)とから、その比(R700/R780)が算出される。
特定のチタニルフタロシアニン混合顔料の分散においては、シェアを大きくするに従って二次凝集の分散や結晶の破砕が進み、電荷発生層に係る反射スペクトルの波長780nmにおける反射率(R780)が増大し、従って特定の反射率比が減少する。
本発明の感光体を構成する電荷発生層は、電荷発生物質を溶媒中に添加、分散して電荷発生層形成用塗布液を調製し、この電荷発生層形成用塗布液を中間層の表面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより形成することができる。電荷発生層がバインダー樹脂を含有するものとして構成される場合においては、電荷発生層形成用塗布液を溶媒中に当該バインダー樹脂が溶解されたものとして構成すればよい。
メディア分散法は、容器内にメディアとしてビーズが充填され、さらに回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクが高速回転されることにより、凝集粒子を砕いて粉砕・分散する方法である。
感光体を構成する電荷輸送層は、バインダー樹脂中に電荷輸送物質(CTM)が含有されており、さらに、この例の感光体においては、この電荷輸送層に370nm以上500nm以下の波長範囲に極大吸収λmax を有する特定の光遮断性物質が含有されている。
特定の光遮断性物質は、電荷輸送性を有さないものである。
吸収スペクトルは、特定の光遮断性物質の溶液あるいは分散液を1cm平方のセルに入れ、リファレンス液としてTHFのみからなる液体を用い、紫外可視分光光度計「V−530(日本分光(株)製)」にて走査速度1000nm/minで測定される。この測定において得られる分光吸収スペクトル分布において波長のピークが振りきれる場合は、THFで任意に希釈して再度測定する。そして、特定の光遮断性物質の極大吸収λmax は、得られた分光吸収スペクトル分布のチャートから、求められる。
これは、以下の理由によると推察される。すなわち、電荷発生物質として特定のチタニルフタロシアニン混合顔料を用いると、当該特定のチタニルフタロシアニン混合顔料は、光疲労し易く、特に波長450nm付近の光に対して顕著に光疲労し易い特性を有するために、光メモリによる濃度ムラが発生してしまう。然るに、特定のチタニルフタロシアニン混合顔料が含有された電荷発生層よりも表面側に位置する層である電荷輸送層に特定の光遮断性物質が含有されているために、当該特定の光遮断性物質が波長450nm付近の光を吸収し、これにより、電荷発生層に波長450nm付近の光が照射されることを抑制することができるので、感光体全体として白色光に対するメモリ耐性に優れて光メモリによる濃度ムラの発生を抑制させることができる。
特定の光遮断性物質の電荷輸送物質に対する含有割合が上記の範囲にあることにより、波長450nm付近の光を吸収して電荷発生層に当該波長450nm付近の光が照射されることを抑制する効果を確実に得ることができる。特定の光遮断性物質の含有割合が過少である場合は、波長450nm付近の光を吸収しきれずに、電荷発生層に波長450nm付近の光が照射されることを十分に抑制することができないおそれがある。一方、特定の光遮断性物質の含有割合が過多である場合は、感光体としての所期の感度が得られないおそれがある。
電荷輸送物質の混合割合が過少である場合は、十分な電荷輸送性が得られず、電荷発生層において発生した電荷を感光体の表面まで十分に輸送できないおそれがある。一方、電荷輸送物質の混合割合が過多である場合は、機械的強度の減少や繰り返し使用に伴う残留電位の増加が顕著となりやすい。
電荷輸送層の形成において用いられる溶媒としては、電荷発生層の形成に用いられる溶媒と同じものを挙げることができる。
また、電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としても、電荷発生層形成用塗布液の塗布方法として挙げた方法と同じ方法を挙げることができる。
感光体を保護層が形成されたものとして構成する場合において、当該保護層はバインダー樹脂中に無機粒子が含有されたものとすることができ、当該バインダー樹脂中には、必要に応じて酸化防止剤や滑剤などのその他の成分が含有されていてもよい。
無機粒子の数平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡によって10,000倍に拡大し、ランダムに300個の粒子を一次粒子として選択して画像解析によりフェレ径を測定し、これの数平均径を算出することにより得られた値とされる。
保護層の形成において用いられる溶媒としては、中間層の形成に用いられる溶媒と同じものを挙げることができる。
保護層形成用塗布液の塗布方法としては、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、特開昭58−189061号公報に開示される円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。これらの中でも、感光層を極力溶解させないこと、および、均一な塗布状態が得られることから、スプレーコーティング法または円形スライドホッパー法を用いることが好ましい。
図3は、本発明の有機感光体が搭載された画像形成装置の構成の一例を示す説明用断面図である。
この画像形成装置は、タンデム型のカラー画像形成装置と称せられるもので、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンまたは黒のトナー像を形成する画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkと、これらの画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkにおいて形成された各色のトナー像を画像支持体P上に転写する中間転写ユニット7と、画像支持体Pに対してトナー像を定着させる定着手段24とを備える画像形成装置本体Aを有し、当該画像形成装置本体Aの上部に、原稿を光学的に走査して画像情報をデジタルデータ(原稿画像データ)として読み取るための原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
画像形成ユニット10M、10C、10Bkは、各々、イエロートナーに代えて、マゼンタトナー、シアントナー、黒トナーによってトナー像を形成するものであり、基本的には画像形成ユニット10Yと同様の構成を有するものである。
さらに、カラートナー像の形成に同期して、給紙カセット20内に収容された普通紙や透明シートなどの画像支持体Pが、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22Dおよびレジストローラ23を経て、二次転写ローラ5bに搬送され、当該画像支持体P上に、二次転写ローラ5bによって中間転写体70上に転写されたカラートナー像が一括して転写される。
画像支持体P上に転写されたカラートナー像は、定着手段24において例えば加熱および加圧により定着されて可視画像が形成され、その後、可視画像が形成された画像支持体Pが、排紙ローラ25によって機外に排出されて排紙トレイ26上に載置される。
一方、二次転写ローラ5bにより画像支持体P上にカラートナー像を転写し、画像支持体Pが曲率分離された後の中間転写体70は、クリーニング手段6bにより当該中間転写体70上に残留したトナーを除去した後に、次のトナー像の中間転写に供される。
本発明の画像形成装置に用いられるトナーは、粉砕トナーであっても重合トナーであってもよいが、本発明の画像形成装置においては、高い画質の画像が得られる観点から、重合法で作製された重合トナーを用いることが好ましい。
例えば、特定の光遮断性物質が電荷輸送層に含有されている構成に限定されず、電荷発生層よりも表面側に位置する層であれば、保護層またはそれ以外の層に含有されている構成を有していてもよい。本発明においては、光遮断性物質が電荷輸送層に含有されている構成を有することが非常に好ましい。
特定の光遮断性物質が保護層に含有されている場合において、特定の光遮断性物質の含有割合は、当該保護層を形成するバインダー樹脂に対して質量比(特定の光遮断性物質/保護層を形成するバインダー樹脂)で1/20〜1/200,000であることが好ましく、より好ましくは1/40〜1/20,000である。
(1)無定形チタニルフタロシアニンの合成
1,3−ジイミノイソインドリン29.2gをオルトジクロロベンゼン(ODB)200mlに分散させ、チタニウムテトラ−n−ブトキシド20.4gを加えて窒素雰囲気下において150〜160℃で5時間加熱した。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホルムによる洗浄、2%塩酸水溶液による洗浄、水洗、メタノールによる洗浄を順に行い、乾燥することにより、26.2g(収率91%)の粗チタニルフタロシアニンを得た。
次いで、この粗チタニルフタロシアニンを濃硫酸250ml中に添加し、5℃以下で1時間撹拌して溶解させ、これを20℃の水5Lに注ぎ、析出した結晶を濾過し、充分に水洗することによりウェットペースト品225gを得、これを冷凍庫にて凍結させ、解凍した後、濾過、乾燥することにより、無定形チタニルフタロシアニン〔1〕24.8g(収率86%)を得た。
無定形チタニルフタロシアニン〔1〕10.0gおよび(2R,3R)−2,3−ブタンジオール0.94g(無定形チタニルフタロシアニンに対する当量比=0.6)を、オルトジクロロベンゼン(ODB)200ml中に混合し、反応温度60〜70℃で6.0時間加熱撹拌した。一夜放置後、当該反応液にメタノールを加えて生じた結晶を濾過し、濾過後の結晶をメタノールにより洗浄することにより、電荷発生物質〔CG−1〕10.3gを得た。
この電荷発生物質〔CG−1〕のX線回折スペクトルを測定したところ、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークが見られた。また、マススペクトルを測定したところ、576および648にピークが見られ、また、IRスペクトルを測定したところ、970cm-1付近にTi=Oの吸収が現われると共に630cm-1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れた。また、熱分析(TG)を行ったところ、390〜410℃に約7%の質量減少があった。以上のことから、当該電荷発生物質〔CG−1〕が、チタニルフタロシアニンおよび(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの1:1付加体と、未付加のチタニルフタロシアニンの混晶と推定した。
この電荷発生物質〔CG−1〕のBET比表面積を測定したところ、31.2m2 /gであった。
電荷発生物質の合成例1の電荷発生物質の合成工程において、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりに(2S,3S)−2,3−ブタンジオールを用いたことの他は同様にして、(2S,3S)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニおよび未付加のチタニルフタロシアニンの混晶からなる電荷発生物質〔CG−2〕10.5gを得た。
電荷発生物質〔CG−2〕のX線回折スペクトルにおいては、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークが見られ、IRスペクトルにおいては970cm-1付近にTi=Oの吸収が現われると共に630cm-1付近にO−Ti−Oの吸収が現れた。
また、電荷発生物質〔CG−2〕のBET比表面積は30.5m2 /gであった。
電荷発生物質の合成例1の電荷発生物質の合成工程において、反応温度を90〜100℃に変更したことの他は同様にして、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンおよび未付加のチタニルフタロシアニンの混晶からなる電荷発生物質〔CG−3〕10.6gを得た。
電荷発生物質〔CG−3〕のX線回折スペクトルにおいては、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークが見られ、IRスペクトルにおいては970cm-1付近にTi=Oの吸収が現われると共に630cm-1付近にO−Ti−Oの吸収が現れた。
また、電荷発生物質〔CG−3〕のBET比表面積は20.5m2 /gであった。
電荷発生物質の合成例1の電荷発生物質の合成工程において、反応温度を130〜140℃に変更したことの他は同様にして、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンおよび未付加のチタニルフタロシアニンの混晶からなる電荷発生物質〔CG−4〕10.6gを得た。
電荷発生物質〔CG−4〕のX線回折スペクトルにおいては、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークが見られ、IRスペクトルにおいては970cm-1付近にTi=Oの吸収が現われると共に630cm-1付近にO−Ti−Oの吸収が現れた。
また、電荷発生物質〔CG−4〕のBET比表面積は13.5m2 /gであった。
電荷発生物質の合成例1の電荷発生物質の合成工程において、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールとして、光学異性を示さないラセミ体の2,3−ブタンジオールを用いたことの他は同様にして、(ラセミ体)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンおよび未付加のチタニルフタロシアニンの混晶からなる電荷発生物質〔CG−5〕11.5gを得た。
電荷発生物質〔CG−5〕のIRスペクトルにおいては970cm-1付近にTi=Oの吸収が現われると共に630cm-1付近にO−Ti−Oの吸収が現れた。
また、電荷発生物質〔CG−5〕のBET比表面積は28.6m2 /gであった。
電荷発生物質の合成例1の電荷発生物質の合成工程において、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの使用量を2.35g(無定形チタニルフタロシアニンに対する当量比=1.5)に変更すると共に、反応温度を130〜140℃に変更したことの他は同様にして、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンからなる電荷発生物質〔CG−6〕11.0gを得た。
電荷発生物質〔CG−6〕のX線回折スペクトルにおいては、9.5°、16.4°、19.1°、24.7°、26.5°に明確なピークが見られ、IRスペクトルにおいては970cm-1付近のTi=Oの吸収がなく、630cm-1付近にO−Ti−Oの吸収が現れた。
また、電荷発生物質〔CG−6〕のBET比表面積は10.2m2 /gであった。
(1)導電性支持体の作製
ドラム状のアルミニウム支持体の表面を切削加工し、十点平均粗さ(RzJIS)=0.81μmの導電性支持体〔1〕を作製した。
・ポリアミド樹脂「CM8000」(東レ社製) 10質量部
・酸化チタン(数平均一次粒径35nm、一次表面処理;シリカ・アルミナ処理、
二次表面処理;メチルハイドロジェンポリシロキサン処理) 30質量部
・メタノール 100質量部
からなる組成物を、循環式湿式分散機を用いて分散することにより、中間層塗布液を調製した。
この中間層塗布液〔1〕を、上記の導電性支持体〔1〕を洗浄した後の外周面に浸漬塗布法によって塗布し、120℃で30分間乾燥することにより、導電性支持体〔1〕上に乾燥膜厚5μmの中間層〔1〕を形成した。
・電荷発生物質〔CG−2〕 24質量部
・ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1」(積水化学社製) 12質量部
・3−メチル−2−ブタノン/シクロヘキサノン=4/1(V/V) 400質量部
からなる電荷発生層用組成物〔1〕を混合し、循環式超音波ホモジナイザー「RUS−600TCVP」(株式会社日本精機製作所製、19.5kHz,600W)にて循環流量40L/Hで1.5時間にわたって分散することにより、電荷発生層塗布液〔1〕を調製した。
この電荷発生層塗布液〔1〕を浸漬塗布法によって中間層〔1〕上に塗布して、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層〔1〕を形成した。
次いで、下記成分を混合し、溶解させることにより、電荷輸送層塗布液を調製した。
この電荷輸送層塗布液を浸漬塗布法によって電荷発生層〔1〕上に塗布し、120℃で70分間乾燥することにより、乾燥膜厚25μmの電荷輸送層〔1〕を形成し、これにより、感光体〔1〕を作製した。
・下記式(CTM)で表わされる電荷輸送物質 225質量部
・ポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学社製) 300質量部
・酸化防止剤「Irganox1010」(日本チバガイギー社製) 6質量部
・テトラヒドロフラン/トルエン混合液(体積比;3/1) 2000質量部
・レベリング剤:シリコーンオイル「KF−54」(信越化学工業(株)製) 1質量部
・光遮断性物質〔1〕「SOT YELLOW−3」(保土ケ谷化学工業社製)
2.25質量部
感光体の作製例1の電荷発生層の形成工程において調製した電荷発生層塗布液〔1〕を、導電性支持体〔1〕を洗浄した後の外周面に浸漬塗布法によって塗布、乾燥することにより、導電性支持体〔1〕上に乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層〔1〕が形成された試料〔1〕を作製した。
この試料〔1〕について、光学式膜厚測定装置「Solid Lambda Thickness」(スペクトラコープ社製)を用いて、導電性支持体〔1〕の反射率を100%としたときの相対反射率として実測データを得、この実測データにおける干渉縞による凹凸除去するために、当該実測データにおける685〜715nmの範囲並びに765〜795nmの範囲をそれぞれ二次の多項式によって近似することにより、反射スペクトルを得た。当該反射スペクトルを図4(a)に示す。
そして、当該反射スペクトルにおいて、当該反射スペクトルの波長700nmにおける反射率(R700)と波長780nmにおける反射率(R780)とから、反射率比(R700/R780)を算出した。結果を表1に示す。
感光体の作製例1において、(3)電荷発生層の形成工程において、表1に従って電荷発生物質〔CG−1〕〜〔CG−6〕のいずれかを用いると共に、(4)電荷輸送層の形成工程において、電荷輸送層塗布液に表1に従って光遮断性物質〔1〕〜〔3〕のいずれかを表1に示す添加量で加えたことの他は同様にして、感光体〔2〕〜〔7〕を作製した。
ただし、
光遮断性物質〔1〕は、「SOT YELLOW−3」(保土ケ谷化学工業社製)、
光遮断性物質〔2〕は、「Kayacrl Yellow 7GL−ED 67」(日本化薬社製)、
光遮断性物質〔3〕は、「Sumiplast Yellow HLR」(住化ケムテックス社製)、
また、表1において、光遮断性物質の添加量は、質量比(光遮断性物質/電荷輸送物質)として記載した。
感光体の作製例1の電荷発生層の形成工程において、電荷発生層塗布液〔1〕の代わりに、
・電荷発生物質:未付加のチタニルフタロシアニン顔料〔CG−X〕(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するもの)
20質量部
・バインダー樹脂:ポリビニルブチラール樹脂「#6000−C」(電気化学工業社製)
10質量部
・溶媒:酢酸t−ブチル 700質量部
・溶媒:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300質量部
からなる原料を分散機としてサンドミルを用いて、10時間の分散を行うことにより調製した電荷発生層塗布液〔8〕を用いたことの他は同様にして、感光体〔8〕を作製した。
市販のフルカラー複合機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製;600dpi、発振波長が780nmの半導体レーザーを露光光源として使用)に、上記の感光体〔1〕〜〔8〕のいずれかに下記の白色光照射実験を施して搭載(各色に係る画像形成ユニットに搭載する感光体は同一種類の感光体とする。)したものによって、常温常湿環境(温度25℃、湿度50%RH)において、内部搭載パターン(No.53 Dot1)を用いて、濃度指示値を75に設定して黒色単色のハーフトーン画像を出力し、このハーフトーン画像を目視で観察し、下記の評価基準に従って評価を行った。結果を表1に示す。
白色光照射実験は、感光体全体を、遮光可能な窓が2箇所設けられた黒紙で覆い、光照射開始時は2箇所の窓を開けた状態において電気スタンドからの300ルクスの白色光を照射し、光照射開始後3分間後に前記2箇所のうち1箇所(これを「3分間光照射した窓」という。)を遮光状態にし、さらに3分間後に前記2箇所のうちもう1箇所(これを「6分間光照射した窓」という。)を遮光状態にした後、白色光の照射を停止した。白色光の照射の停止後、直ちに上記のフルカラー複合機に搭載して上述のハーフトーン画像を形成した。
−評価基準−
A:ハーフトーン画像上の3分間光照射した窓に対応する領域および6分間光照射した窓に対応する領域のいずれにも光メモリによる濃度ムラが観察されない(合格)。
B:ハーフトーン画像上の6分間光照射した窓に対応する領域においては光メモリによる濃度ムラが観察されるが、3分間光照射した窓に対応する領域においては光メモリによる濃度ムラが観察されない(合格)。
C:ハーフトーン画像上の3分間光照射した窓に対応する領域において光メモリによる濃度ムラが観察される(不合格)。
図3の構成を有する市販のフルカラー複合機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製;600dpi、発振波長が780nmの半導体レーザーを露光光源として使用)に、上記の感光体〔1〕〜〔8〕のいずれかを搭載(各色に係る画像形成ユニットに搭載する感光体は同一種類の感光体とする。)したものによって、高温高湿環境(温度30℃、湿度80%RH)において、イエロー、マゼンタ、シアン、黒色の各色の印字率がそれぞれ2.5%であるA4画像をA4の中性紙に50万枚の出力する耐刷試験を行った後、直ぐにフルカラー複合機の主電源を停止し、停止12時間後に電源を入れ、出力が可能となったら直ちにA3中性紙の全面にマクベス濃度計による相対反射濃度が0.4となるハーフトーン画像と、A3中性紙の全面に6dot格子画像をそれぞれ出力した。これらの画像の状態を目視で観察し、以下の評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。
−評価基準−
A:ハーフトーン画像および格子画像のいずれにも帯状の濃度変化が見られない(合格)。
C:格子画像には濃度変化は見られないが、ハーフトーン画像に感光体の長軸方向に伸びる薄い帯状の濃度変化が認められ、実用上問題あり(不合格)。
D:ハーフトーン画像に帯状の濃度変化が認められ、また、格子画像にも濃度変化あるいは線幅の変化が認められ、実用上極めて問題あり(不合格)。
フルカラー複合機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)について、現像手段を外し、その位置に、表面電位計を設置し、感光体表面の電位を測定することができるように改造した改造機を用い、感光体の表面電位を−700Vになるように帯電し、露光して、表面電位が−350Vまで減衰するのに必要な光量を測定することにより、上記の感光体〔1〕〜〔8〕の感度(E1/2 :μJ/cm2 )を求めた。結果を表1に示す。
本発明においては、感度が0.078(E1/2 :μJ/cm2 )以下である場合を合格と判断した。
1a 導電性支持体
1b 中間層
1c 電荷発生層
1d 電荷輸送層
1e 保護層
1α 有機感光層
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
5Y、5M、5C、5Bk 一次転写ローラ
5b 二次転写ローラ
6Y、6M、6C、6Bk クリーニング手段
6b クリーニング手段
7 中間転写ユニット
8 筐体
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット
20 給紙カセット
21 給紙手段
22A、22B、22C、22D 中間ローラ
23 レジストローラ
24 定着手段
25 排紙ローラ
26 排紙トレイ
70 中間転写体
71〜74 支持ローラ
82L、82R 支持レール
A 画像形成装置本体
P 画像支持体
SC 原稿画像読み取り装置
Claims (3)
- 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層および電荷輸送層が積層されてなる電子写真法による画像形成用の有機感光体であって、
電荷発生層が、2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンおよび未付加のチタニルフタロシアニンよりなる電荷発生物質を含有するものであり、
当該電荷発生層が、反射スペクトルの波長700nmにおける反射率(R700)と波長780nmにおける反射率(R780)との比(R700/R780)が0.8〜1.3であり、
前記電荷発生層よりも表面側に位置する層に、370nm以上500nm以下の波長範囲に極大吸収λmax を有する光遮断性物質が含有されていることを特徴とする有機感光体。 - 前記光遮断性物質が含有される層が、電荷輸送層であることを特徴とする請求項1に記載の有機感光体。
- 有機感光体、当該有機感光体に静電潜像を形成する手段、当該静電潜像をトナーによって現像してトナー像を形成する手段、形成されたトナー像を画像支持体に転写する手段、転写されたトナー像を画像支持体上に定着する手段を有し、
前記有機感光体が、請求項1または請求項2に記載の有機感光体であることを特徴とする画像形成装置。
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