JP2014092199A - 転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】浸炭鋼と同等の異物混入潤滑環境下における疲労寿命を持ちつつ、白色剥離に対する耐性にも優れる、特に鉱山建機や建設機械用として好適な転がり軸受を安価に提供する。
【解決手段】外輪の外径が180mm以上で、軌道面を有する内輪と、前記内輪の軌道面に対向する軌道面を有する外輪と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体とを備え、かつ、前記内輪及び前記外輪の少なくとも一方が、炭素含有量0.7質量%以上である鋼からなり、高周波焼入れにより軌道面に特定の硬化層を形成した転がり軸受。
【選択図】図1

Description

本発明は、鉱山建機や建設機械のように、異物が混入しやすい環境で使用される機械や装置に組み込まれ、外輪外径が180mmを越えるような大型で、低速で回転され、高荷重が付加される転がり軸受に関する。
鉱山建機や建設機械に組み込まれる転がり軸受には、コストを抑えたままでの更なる長寿命化、小型化が望まれており、現在では安価で、清浄度が高く、寿命の長い軸受鋼で軸受を作製している。
しかし、軸受の転がり軸受は潤滑環境に大きく依存し、潤滑油に異物が混入すると寿命が短くなる傾向にある。鉱山建機や建設機械に組み込まれる転がり軸受では、ギアの摩耗粉等の固体異物が混入しやすく、固体異物による剥離が起こって比較的短時間で寿命に至ることが多い。
また、鉱山建機や建設機械に組み込まれる転がり軸受は、他の転がり軸受に比べて低速回転で高荷重、高振動が付加される厳しい環境下で使用される。そのため、転がり面に十分な潤滑膜が形成されにくく、軌道面と転動体とが接触しやくなっており、定格疲れ寿命に達する前に軌道面直下に白色を呈する組織(以下「白色組織」)が生成して、白色組織を起点とするフレーキング(以下「白色剥離」)を生じやすい。
潤滑油に異物が混入した場合の転がり疲れ寿命の低下は、潤滑油中の異物が転がり接触部に噛み込んで生じる圧痕ふちの応力集中によって起こる。その対策として、浸炭や焼入れ温度の調節によって軌道面の硬度を高めたり、残留オーステナイト(γR)量を制御することが行われている(特許文献1、2参照)。
また、白色組織は、軌道面と転動体とが接触することにより、転がり面に新生面(鋼の組織が露出した面)が生じ、この新生面がトライボケミカル反応の触媒となり、潤滑油に含まれる添加剤や水分が分解して水素イオンが発生し、発生した水素イオンが新生面に吸着して水素原子となって最大せん断応力位置の近傍に集積して生成する。そして、この白色組織を起点として亀裂が発生・発展が起こり、転がり面に白色剥離が生じる。その対策として、軸受材料にチタンを含む鋼を用い、鋼中のチタン炭化物あるいは炭窒化物で水素をトラップしたり、軸受材料にクロムを11〜17質量%含む鋼を用いて表面に不動態膜を形成して水素侵入を防ぐことが行われている(特許文献3、4参照)。
特開平6−117438号公報 特開平6−129436号公報 特開平11−201168号公報 特開2000−337389号公報
しかしながら、浸炭処理や焼入れ処理では、処理時間を短縮するために、処理温度を高めるとともに、熱処理の組織を調整するために2次焼が施されるのが一般的である。そのため、処理工程が増してコストアップになり、全体の処理時間も長くなる。
また、チタンやクロムを多量に含む鋼は、材料のコストアップの問題もある。
そこで本発明は、浸炭鋼と同等の異物混入潤滑環境下における疲労寿命を持ちつつ、白色剥離に対する耐性にも優れる、特に鉱山建機や建設機械用として好適な転がり軸受を安価に提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、外輪の外径が180mm以上で、軌道面を有する内輪と、前記内輪の軌道面に対向する軌道面を有する外輪と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体とを備え、かつ、
(A)前記内輪及び前記外輪の少なくとも一方が、炭素含有量0.7質量%以上である鋼からなり、軌道面が高周波焼入れを含む熱処理されて、少なくとも前記軌道面が硬化されており、
(B)前記軌道面において、Hv550以上である有効硬化層の深さをY(mm)、前記転動体の直径をDw(mm)とするときに下記(1)式を満足し、
0.07Dw<Y<0.07Dw+5 ・・・(1)
(C)前記軌道面の表面の硬さがHv650以上で、表面γR量が12〜40体積%で、平均γR量が15体積%以下で、心部硬さがHv500以下であり、
(D)前記軌道面の表面残留応力が−200MPa以下である、
ことを特徴とする転がり軸受を提供する。
本発明の転がり軸受は、低速回転で、高荷重及び高振動が負荷され、磨耗粉のような固体の異物が混入するような環境で使用されても、長寿命である。また、二次焼も不要であり、チタンやクロムを多量に含む鋼材を用いないことから、安価である。
本発明の転がり軸受の一例である円筒ころ軸受を示す断面図である。 高周波焼入れ装置を示す概略図である。 /Dwと、清浄潤滑寿命比との関係を調べた結果を示すグラフである。 表面γR量と、異物混入潤滑寿命比との関係を調べた結果を示すグラフである。 表面残留応力と、白色剥離潤滑寿命との関係を調べた結果を示すグラフである。 有効硬化層深さと、耐割れ性比との関係を調べた結果を示すグラフである。 心部硬さと、耐割れ性比との関係を調べた結果を示すグラフである。 平均残留オーステナイト(γR)量と、寸法変化率との関係を調べた結果を示すグラフである。 炭素含有量と、表面γR量との関係を調べた結果を示すグラフである。
以下、本発明に関して図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の転がり軸受の一例である円筒ころ軸受を示す断面図である。図示される円筒ころ軸受1は、軌道面11aを外周側に有する内輪11と、内輪11の軌道面11aに対向する軌道面12aを内周側に有する外輪12と、内輪11の軌道面11aと外輪12の軌道面12aとの間に転動自在に配置された複数の円筒ころ13とを備えている。
本発明では、外輪12の直径が180mm以上である。そして、内輪11と外輪12との間には、円筒ころ13を保持する保持器14が備えられている。両軌道面11a,12aと円筒ころ13の転動面13aとの間の潤滑は、グリース、潤滑油等の潤滑剤(図示せず)により行われている。尚、保持器14は備えていなくてもよい。また、円筒ころ軸受1は、シール、シールド等の密封装置(図示せず)を備えていてもよい。
また、この円筒ころ軸受1の内輪11及び外輪12の一方、好ましくは両方を炭素含有量が0.7質量%以上、好ましくは0.8〜1.2質量%の鋼材で形成し、更にその軌道面を高周波焼入れして硬化する。炭素含有量は表面γR量に大きく影響し、0.7質量%未満では、本発明で規定する表面γR量を12〜40体積%に調整するのが困難になる。但し、炭素含有量が2質量%を超えると、素材の製造過程においてオーステナイト単相とすることができず、初晶セメンタイトが残存し、寿命に悪影響を及ぼすことが懸念されることから、炭素含有量の上限は2質量%とすることが好ましい。尚、炭素含有量が0.7質量%以上の鋼として、高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)等を使用することができる。
本発明では、軌道面を、高周波焼入れを含む熱処理を行い硬質化する。白色剥離によるクラックの発生状況を調べたところ、クラックは起点から軌道面の表面と平行な方向に伝搬しており、これが表面に達することで剥離していることが判明した。従って、最初に発生する軌道面と平行なクラックを閉じる向き、即ち深さ方向の圧縮の残留応力を付与できれば、寿命の延長を図ることが可能になる。高周波焼入れすることにより、処理面の表面から中心に向かって温度勾配を持たせることができ、深さ方向に圧縮の残留応力を付与することができる。
高周波焼入れには、例えば図2の示す高周波熱処理装置を用いることができる。図示される装置では、内輪11及び外輪12(図では内輪のみ図示)の円周上に、軸受断面の外周部全てを加熱する1つの環状コイル30と、軌道面のみを加熱する1つの平面コイル31とを配置している。つまり、1つのワークである内輪11または外輪12に対して、役割の異なる環状コイル30と平面コイル31とを配置している。ここで、環状コイル30の巻き数は、ワークである内輪11及び外輪12に依存する。これら環状コイル30及び平面コイル31は、1対でなくてもよく、ワークサイズに応じて数を増加することができる。
そして、内輪11または外輪12を複数のローラ32上に置き、ローラ32を回転させて内輪11(外輪12)をローラ32上で回転させつつ、軌道面11a,12aのみを高周波加熱し、その後、冷却する焼きならし処理(前処理)を行う。軌道面11a,12aのみの高周波加熱に際しては、平面コイル31を主体に加熱する。
次いで、内輪11(外輪12)をローラ32上で回転させつつ、軸受断面の外周部全てについて高周波焼入れを施す。この処理に際しては、環状コイル30および平面コイル31を同時に用いてワークである内輪11(外輪12)の軸受断面の外周部全てについて高周波焼入れを行う。
尚、高周波焼入れ条件は、表面γR量を12〜40体積%にするとともに、「0.07Dw<Y<0.07Dw+5」を満足し、軌道面の表面の硬さがHv650以上で、内輪11の平均γR量が15体積%以下で、心部硬さがHv500以下であり、軌道面の表面残留応力が−200MPa以下となるように調整する。具体的には、周波数5〜100kHz、加熱時間5〜600秒、ワーク回転速度60min−1とすることができる。また、焼戻しは、180℃にて2時間保持した後、放冷することが行われる。
表面γR量が12体積%未満では、表面起点による破壊が生じ易く、異物が混入した潤滑油による潤滑環境において寿命が低下しやすい。また、表面γR量が40体積%を超えると、軟化による寿命低下を起こしやすく、焼き割れを発生する場合もある。
が0.07Dw未満であると、硬化層が浅すぎて心部側に負荷される応力が材料の強度を上回り、内部起点破壊が生じる。また、Yが(0.07Dw+5)mm以上になると、耐割れ性が低下する。
また、軌道面の表面硬さがHv650未満では硬度不足となる。
また、内輪11の平均γR量が15体積%を越えると、熱処理による寸法変化が大きくなる。
また、心部硬さがHv500を越えると焼き割れが発生しやすく、軌道面の表面残留応力が−200MPaを越えると、白色剥離を起こし易い潤滑環境において、寿命が短くなる。
尚、上記の高周波焼入れについては、特開2012−162799号公報を参照することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。例えば、転がり軸受の例として円筒ころ軸受を挙げて説明したが、これに限定されず、例えば、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、自動調心玉軸受、自動調心ころ軸受、円錐ころ軸受、針状ころ軸受などのラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受、スラストころ軸受などのスラスト形の転がり軸受にも本発明を適用することができる。
以下に、上記(A)〜(E)についての臨界的意義を説明するための試験例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
(寿命試験)
本発明は外輪の外径が180mm以上の大型軸受に関するが、このような大型軸受の平均的な肉厚を再現するために、円筒ころ軸受(呼び番号:NU2210E)を用意し、内輪の内径を30mm、外径を60mm、肉厚(径方向の厚み)を15mmに変更した。また、円筒ころの直径(Dw)は11mmである。
また、内輪は高炭素クロム軸受鋼のSUJ2製であり、粗加工した後、図2に示した高周波焼入れ装置を用いて高周波焼入れを行い、その後焼戻しを行い、仕上げ加工した。高周波焼入れの条件は、周波数5〜100kHz、加熱時間5〜600秒、ワーク回転速度60min−1である。また、焼戻しは、180℃に2時間保持した後、放冷した。
高周波焼入れ条件を上記の範囲で変えて、有効硬化層の深さ(Y)の異なる内輪を作製した。尚、有効硬化層の深さは、ピッカース硬度計を用い、Hv550以上となる領域の表面からの深さを求めた。
また、内輪を転動体進行方向に垂直な面で切断し、X線回折装置(φ0.5のコリメータ)を用いて軌道面に垂直な方向の残留応力を測定した。また、電解研磨により表面の加工影響層を取り除いた後、同X線回折装置を用いて表面残留オーステナイト(γR)量を測定した。
また、SUJ2製の円筒ころ及び外輪に、上記のように高周波焼入れを施した内輪を組み込んで試験軸受とした。比較のために、ずぶ焼入れした内輪を用いた試験軸受を用意した。そして、下記に示す異物混入のない潤滑油を用いた潤滑環境(清浄潤滑環境)、異物が混入した潤滑油を用いた潤滑環境(異物混入潤滑環境)及び白色剥離発生潤滑環境にて寿命試験を行った。
・清浄潤滑環境
ラジアル荷重:33.4kN(P/C=0.4)
回転速度:1000min−1
潤滑油:VG68
・異物混入潤滑環境
ラジアル荷重:25kN(P/C=0.3)
回転速度:1000min−1
潤滑油:VG68
異物:異物の代替として、内輪の軌道面の幅方向中央にロックウェル圧痕8点形成
・白色剥離発生潤滑環境
ラジアル荷重:33.4kN(P/C=0.4)
回転速度:1000min−1
潤滑油:トラクションオイル(110℃)
また、円筒ころ軸受として呼び番号「NU2326M(円筒ころの直径:38mm)」を用意し、内輪に上記と同様にして高周波焼入れ、焼戻しを施して試験軸受を作製した。そして、下記の清浄潤滑環境、異物混入潤滑環境及び白色剥離発生潤滑環境にて寿命試験を行った。
・清浄潤滑環境
ラジアル荷重:336kN(P/C=0.4)
回転速度:1000min−1
潤滑油:VG68
・異物混入潤滑環境
ラジアル荷重:252kN(P/C=0.3)
回転速度:1000min−1
潤滑油:VG68
異物:異物の代替として、内輪の軌道面の幅方向中央にロックウェル圧痕8点形成
・白色剥離発生潤滑環境
ラジアル荷重:336kN(P/C=0.4)
回転速度:1000min−1
潤滑油:トラクションオイル(110℃)
寿命試験は、試験軸受に剥離が生じるまでの時間を測定した。その際、1種の試験軸受につき7個の回転試験を行ってワイブルプロットを作成し、ワイブル分布の結果からL10寿命を求め、これを寿命とした。結果は、NU2210ETを基にした試験軸受については比較例(ずぶ焼入れ)の寿命を1として評価した。例えば、計算寿命が10時間、高周波焼入れした実施例の試験軸受の寿命が40時間、ずぶ焼入れした比較例の試験軸受の寿命が20時間の場合、実施例の寿命比を2.0とした。
また、NU23236Mを基にした試験軸受については、例えば、計算寿命が20時間、測定した寿命が80時間であった場合、同一名番でずぶ焼入れした軸受では寿命が40時間と推定されるため、寿命比は2.0となる。
結果を表1〜表3、並びに図3〜図5に示す。
Figure 2014092199
Figure 2014092199
Figure 2014092199
表1及び図3は、Y/Dwと、清浄潤滑寿命比との関係を示しているが、Y/Dwの増加に伴って寿命が延びているのがわかる。また、ずぶ焼入れ品(比較例1)の2倍を超える寿命比に到達するには、Yが0.07Dwよりも大きくする必要がある。Yが0.07Dw以下では、心部のせん断応力に耐えられずに早期破断し、ずぶ焼入れ品(比較例1)よりも短寿命になる。
表2及び図4は、表面γR量と、異物混入寿命比との関係を示しているが、表面γR量の増加に伴い、寿命が延びているのがわかる。また、ずぶ焼入れ品(比較例3)の2倍を超える寿命比に到達するには、表面γR量が12体積%以上必要である。但し、表面γR量が40体積%を越えると寿命が低下する傾向が認められた。これは、マルテンサイトに比べて軟質の残留オーステナイトが多量に存在することに起因しており、良好な品質を確保するには表面γR量を40体積%以下にする必要がある。
表3及び図5は、白色剥離が発生する潤滑環境下での寿命と、表面残留応力との関係を示しているが、表面残留応力の増加に伴って白色剥離潤滑寿命が上昇している。ずぶ焼入れ品(比較例5)の約3倍の寿命を得るには、表面残留応力を−200MPa以下にする必要がある。
(耐割れ性)
と、耐割れ性との関係を調べた。即ち、中央にR溝を形成した丸棒状の試験片を用い、表4に示すように、硬化方法を変えてYを測定した。また、疲労割れ試験を行い、10サイクルを疲労強度としてYに対する疲労強度を測定した。結果を表4及び図6に示すが、Yの増加に伴って耐割れ性は減少しており、ずぶ焼入れ品(比較例6)の2倍を超える寿命を得るにはYを(0.07Dw+5)mm未満にある必要がある。
Figure 2014092199
また、Yが(0.07Dw+5)mm未満を満足する実施例11に従い、Yを6.3mmにした試験軸受を作製し、心部硬度と耐割れ性との関係を調べた。結果を表5及び図7に示すが、ずぶ焼入れ品(比較例8)の2倍を超える寿命を得るには心部硬度をHv500以下にする必要がある。
Figure 2014092199
(寸法変化率)
内輪全体の平均残留γR量と、寸法変化率との関係を調べた。即ち、表6に示すように、SUJ2製の内輪に浸炭窒化処理(比較例9)または高周波焼入れ(実施例14、15)を施し、内輪全体としての平均γR量と、硬化のための加熱前後での内輪の直径変化率とを測定した。比較例9の寸法変化率を1とする相対値にて結果を表6及び図8に示すが、比較例9よりも寸法変化率を小さく抑えるためには、平均γR量を15体積%以下にする必要がある。
Figure 2014092199
(炭素含有量)
炭素含有量と表面γRとの関係を調べた。即ち、表7に示すように、炭素含有量の異なる4種の鋼材を用い、表面の最大γR量を測定した。炭化物が全て固溶するまで加熱して冷却したときに得られる最大γR量はMs点によって変化するが、焼入れ性を確保するために加えられる合金成分が一般的な範囲であれば、Ms点は固溶炭素量によっておおよそ決まる。そのため、鋼材の炭素含有量により得られる表面γR量の上限が決まる。結果を表7及び図9に示すが、上記したように表面γR量が12体積%以上であれば、異物混入潤滑寿命が2倍以上に向上するため、炭素含有量が0.7質量%のときに、表面γR量が12体積%以上を満足することがわかる。
Figure 2014092199
以上の結果から、内輪を炭素含有量が0.7質量%の鋼材を用い、その軌道面を高周波焼入れを含む熱処理により硬化処理し、更に、軌道面において、「0.07Dw<Y<0.07Dw+5」で、表面の硬さをHv650以上、表面残留オーステナイト量を12〜40体積%、平均残留オーステナイト量を15体積%以下、心部硬さをHv500以下、表面残留応力を−200MPa以下にすることにより、白色剥離を抑えて長寿命になることがわかる。
1 円筒ころ軸受
11 内輪
11a 軌道面
12 外輪
12a 軌道面
13 円筒ころ
13a 転動面
14 保持器

Claims (1)

  1. 外輪の外径が180mm以上で、軌道面を有する内輪と、前記内輪の軌道面に対向する軌道面を有する外輪と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体とを備え、かつ、
    (A)前記内輪及び前記外輪の少なくとも一方が、炭素含有量0.7質量%以上である鋼からなり、軌道面が高周波焼入れを含む熱処理されて、少なくとも前記軌道面が硬化されており、
    (B)前記軌道面において、Hv550以上である有効硬化層の深さをY(mm)、前記転動体の直径をDw(mm)とするときに下記(1)式を満足し、
    0.07Dw<Y<0.07Dw+5 ・・・(1)
    (C)前記軌道面の表面の硬さがHv650以上で、表面残留オーステナイト量が12〜40体積%で、平均残留オーステナイト量が15体積%以下で、心部硬さがHv500以下であり、
    (D)前記軌道面の表面残留応力が−200MPa以下である、
    ことを特徴とする転がり軸受。
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