JP2014092009A - 引き戸の取付構造、引き戸及び収納装置 - Google Patents

引き戸の取付構造、引き戸及び収納装置 Download PDF

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Abstract

【課題】製造コストを低減するとともに、前後方向に負荷が作用しても、引き戸の下端に取り付けるローラユニット周辺の変形を抑制できる引き戸の取付構造を提供する。
【解決手段】引き戸2の下端側にローラユニット4を設け、ローラユニット4を下レールに係り合わせて引き戸2を取り付けるようにしたものであって、引き戸2の下端を前板81、底板84及び後板85が連続する上方を開口された略コ字状に折り曲げて形成し、ローラユニット4を構成してローラ4aを支持するホルダ7を挿入して取り付けるための開口84aを底板84に形成して、開口84aと連続する幅方向に延びる第1の切欠き84bを底板84に設けており、ホルダ7の幅方向側面に第1の切欠き84bに対応する第1突出部77を設け、開口84a内にホルダ7を挿入して取り付けることで、第1の切欠き84b内に第1突出部77が嵌め込まれるように構成した。
【選択図】図10

Description

本発明は、引き戸の下端にレールとの摩擦を軽減するための滑動部材を設けた引き戸の取付構造、引き戸及び収納装置に関するものである。
従来、収納装置として、収納空間を閉止する複数の引き戸を備え、これらの引き戸を引き違い可能に前後方向に配置したものが多く知られている。さらに、このように複数の引き戸を備えるものの中でも、下記特許文献1記載のもののように、複数の引き戸の開閉を同時に行うために、引き戸の裏面側にリンクバーを備え、リンクバーを介して引き戸の連動動作が可能とされたものもある。
また、こうした引き戸においては、上端側及び下端側にそれぞれ滑動部材としてのスライダ及びローラを配し、これらスライダ及びローラを収納装置等の筐体の上レール及び下レールに係り合わせて、当該筐体にスライド可能に取り付けるようにしているのが通例である。さらに、このような滑動部材は、滑動手段としてユニット化し、これを引き戸の上端及び下端の複数箇所に取り付けられることが多い。例えば、下記特許文献2記載のものにおいては、引き戸の下端において、裏面側に板材を溶接することによって下方向に開放されたコ字状の空間を形成し、この空間内に滑動手段としてのユニットを収容するようにしている。しかしながら、こうした手段を採用した場合には、構成が複雑となる上に、大きな板材の溶接が必要となるためコストが増大することになる。
これを解消するためには、より簡単な構成として図17及び図18に示す構成としたものが用いられている。すなわち、図17に示すように、引き戸502の下端を前板581より底板584、後板585へと90°ずつ折り曲げて、上方が開放された略コ字状に形成し、底板584の一部に開口584aを設け、この開口584aの内部に収容するように下滑動手段としてのローラユニット504を取り付ける。ローラユニット504は裏面方向の後面571と、側面572,572、上面573及び前面574の5つの面より構成されるホルダ507と、その内部で回動自在に保持されるローラ504aとから構成される。ホルダ507の後面の下部の両隅には上下方向への位置決め用の突出部579,579が形成されるとともに、その上部には弾性片575を設け、この弾性片に爪部575aを形成する。
引き戸502の後面585には、上記突出部579,579に対応する切欠き585a,585aが形成されており、図18に示すように、ローラユニット504を開口584a内に挿入した際に、突出部579,579が切欠き585a,585aに嵌まり込むことにより係合して位置規制がなされる。これと同時に、後面585の上縁585bに設けられた切欠き585cに、爪部575aが引っ掛かるようにして係合することで簡単に取外しができないように位置規制がなされるようになっている。
特開2009−84925号公報 特開2004−270183号公報
しかしながら、上記のように構成した場合、振動や押圧力の付与によって引き戸502に対し前後方向への負荷が作用した場合、ローラユニット507の前後に大きな曲げモーメントが作用して、開口584aの周辺に変形が生じることがある。具体的には、開口584aの後縁を形成する後面585の一部に湾曲が生じたり、上縁585aが後ろ方向に倒れるように変形して、略コ字状を形成する上側の開口が開いてしまうことがある。このように変形が生じた場合、引き戸502に対するローラユニット504の固定状態が不安定となって、引き戸502を開閉動作させる際の抵抗が増大したり、ローラユニット507が外れたりする恐れもある。
上記のような問題は、上記特許文献1記載のもののように、複数の引き戸が連動動作するものにおいてはより顕著にあらわれる。具体的には、引き戸の動作に伴って引き戸の裏面側でリンクバーが相互に力の伝達を行うために、左右方向以外の前後方向の力も作用しやすくなる。さらには、引き戸が連結されていることから、見かけ上、引き戸の質量が大きくなり、振動等の影響bによる生じる荷重も大きくなることで、ローラユニット507の周囲に掛かる負担も大きくなる。
こうした問題を解消するために、開口584aの周囲に板金からなる補強材を溶接することがある。また、図17及び図18に示すように、ローラユニット504とは異なる位置に引き戸502の前板581裏面に小型の板材586を負荷軽減材として溶接し、その先端586aを開口584bを介して下方に突出させて、ローラ504aとともにレールと係り合わせて、前後方向への荷重の一部を分担して、負荷を軽減させることもある。
しかしながら、このような補強材や負荷軽減材を用いる構成は、いかに小型部品とはいえ溶接を用いることが必要となり、コストの増加に繋がってしまう。
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としており、具体的には、溶接を用いない引き戸本体の折曲げ構成を採用しつつ、補強材や負荷軽減部材を用いた複雑な形状とすることなくコストダウンを可能とするとともに、引き戸に前後方向への負荷が作用した場合にも開口部周辺に変形を生じることなく、下滑動手段と引き戸との取付位置関係の安定を保つことができる引き戸の取付構造、並びに、これを用いた引き戸及び収納装置を提供することを目的とする。
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
すなわち、本発明に係る引き戸の取付構造は、引き戸の下端側に下滑動手段を設け、当該下滑動手段を下レールに係り合わせて引き戸を取り付けるようにしたものであって、前記引き戸の下端を前板、底板及び後板が連続する上方を開口された略コ字状に折り曲げて形成し、前記下滑動手段を構成して滑動部材を支持するホルダを挿入して取り付けるための開口を前記底板に形成して、前記開口と連続する幅方向に延びる第1の切欠きを前記底板に設けており、前記ホルダの幅方向側面に前記第1の切欠きに対応する第1突出部を設け、前記開口内に前記ホルダを挿入して取り付けることで、前記第1の切欠き内に前記第1突出部が嵌め込まれるように構成したことを特徴とする。
このようにすると、外力や振動等によって引き戸の下端を中心とした前後方向へのモーメントが生じ、ホルダに対して引き戸を前方方向に相対移動させる向きの荷重が作用した場合でも、第1の切欠きの後側縁部において底板の面内方向で荷重を受けることができるため、開口の周囲に変形を生じることがなく、引き戸に対する下滑動手段の取付位置関係を安定に保つことが可能になる。そのため、補強材や負荷軽減部材を用いる複雑な形状を避けて製造コストの低減を図りつつ、下滑動手段の外れや摩擦抵抗の増大等の動作不良を抑制することが可能になる。
また、上記の効果をより一層高めつつ、上方からの荷重も効果的に負担することを可能とするためには、前記底板に設けた開口と連続する第2の切欠きを前記後板の下側に設けるとともに、前記ホルダの後面に前記第2の切欠きに対応する第2突出部を設け、前記開口内に前記ホルダを挿入して取り付けることで、前記第2の切欠き内に前記第2突出部が嵌め込まれるように構成することが好適である。
また、引き戸に対してホルダを取り付ける際の位置決めをより安定して行うことができるとともに、上方からの荷重の負担箇所を増やして、より強度の向上を図るためには、前記ホルダの底部近傍に鍔部を形成しており、前記開口内に前記ホルダを挿入して取り付ける際に当該鍔部が底板下面に当接又は近接して上下方向に位置規制し得るように構成することが好適である。
また、引き戸に対するホルダの取り付けを簡単に行うことを可能にするとともに、引き戸との一体化を図って持ち運びを容易にするためには、前記ホルダの後面に前後方向に進退可能な弾性片を設け、当該弾性片に爪部を形成しており、前記開口内に前記ホルダを挿入して取り付ける際に、前記爪部が後板の上縁と係り合うことで上下方向に位置規制し得るように構成することが好適である。
また、下滑動手段をより適切なものとして簡単に構成するためには、前記下滑動手段が、滑動部材としてのローラとこれを保持するホルダを含むものであり、前記ホルダが前記ローラを挟持しつつ回動自在に支持するホルダ本体と、蓋部材とから構成されるようにすることが好適である。
また、低コストで簡単に製造することができるとともに、樹脂の弾性を利用して、引き戸との係合や支持構造を好適に実現するためには、前記ホルダの構成部材を、それぞれ樹脂成形により構成することが好適である。
本発明は、以上のような取付構造であるから、上記の上滑動手段を採用した引き戸を既存のレールに適用しても、動作安定性を確保するとともに振動等による外力に対する強度を確保することができる。
また、上記の取付構造によって引き戸を収納空間を開閉する位置に取り付けた収納装置においては、開閉動作の安定性及び耐久性を向上させることが可能となる。さらに、引き戸を複数備えるとともに、これらの引き戸を、互いに重合する開成状態とその重合がほぼ解消される閉止状態との間で連動させる連動機構を備えている収納装置とすれば、より好適である。
以上説明した本発明によれば、簡単な構成として製造コストの低減が可能となるとともに、前後方向に負荷が作用しても変形を生じることなく、下滑動手段と引き戸との取付位置関係の安定を保つことができる引き戸の取付構造、これを用いた引き戸及び収納装置を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る収納装置の正面図。 同収納装置の上レール周辺を示す部分拡大縦断面図。 同収納装置の下レール周辺を示す部分拡大縦断面図。 同実施形態に係る引き戸とスライドユニットとを分解した状態を示す斜視図。 図4の状態より引き戸にスライダ受けを取り付けた状態を示す斜視図。 同実施形態に係る引き戸に取り付けたスライドユニットの機能を説明するための図。 同実施形態に係るスライダ受けの形状を説明するための図。 同実施形態に係るスライダ本体の形状を説明するための図。 同実施形態に係るスライダ受けによるスライダ本体の弾性支持機能を説明するための説明図。 同実施形態に係る引き戸とローラユニットとを分離した状態を示す斜視図。 図10の状態より引き戸にローラユニットを取り付けた状態を示す斜視図。 同実施形態に係る引き戸の下端の形状を説明するための図。 同実施形態に係るローラユニットを分解した状態を示す斜視図。 同実施形態に係るホルダ本体の形状を説明するための図。 図14に続き同実施形態に係るホルダ本体の形状を説明するための図。 同実施形態に係るホルダ蓋の形状を説明するための図。 従来技術に係る引き戸と下滑動手段とを分解した状態を示す斜視図。 図17の状態より引き戸に下滑動手段を取り付けた状態を示す斜視図。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る引き戸2の取付構造を適用した収納装置1を示すものである。この収納装置1は、頂板11A、底板11B、左右の側板11C及び背板(図示せず)を備えた板金製の筐体11に、3枚の引き戸2〜2を設けたものである。引き戸2〜2は、前後方向にずらして配置されており、左右に引き違い可能とされており、移動させることで、筐体11内部の収納空間を開放可能としている。
ここで、本実施形態において、前・後・左・右といった方向を示す語を用いて説明を行う場合には、収納装置1を正面より見た際を基準として行うこととする。また、左右方向を幅方向と称することもある。
引き戸2〜2は、筐体11の前面で左右方向に滑らかに動作が可能となるよう、図2及び図3に示すような取付構造を用いて筐体11の内部で支持されている。
すなわち、引き戸2の上部を支持するために、図2に示すように、筐体11の頂板11Aの内部に下向き凹状のレール取付部12を設け、その内部に上レール部材14をねじによって取り付けている。上レール部材14は樹脂製のもので、下面に3本の平行な上レール14aを形成されている。頂板11Aは前面を下方に折り曲げて、下縁が上レール部材14と略面一となるレール隠し11A1が形成されており、上レール部材14は正面より見て隠れるようにしている。
引き戸2〜2は、筐体11に設置した際に上端が上レール部材14より下方にあり、上レール部材14との間で隙間が形成される。そして、上端に設けられている後述する上滑動手段としてのスライドユニット3より上方に延びる滑動部としての突出片65が、上記上レール14aの内部に挿入されることで係り合うようになっている。
また、引き戸2の下部を支持するために、図3に示すように、筐体11の底板11Bの内部に上向き凹状のレール取付部13を設け、その内部に下レール部材15を取り付けている。下レール部材15も樹脂製のもので、上面に3本の平行な下レール15aを形成されている。底板11Bは前面を上方に折り曲げて、上縁が下レール部材15と略面一となるレール隠し11B1が形成されており、下レール部材15は正面より見て隠れるようにしている。
引き戸2〜2は、筐体11に設置した際に下端が下レール部材15より上方にあり、上レール部材15との間で隙間が形成される。そして、下端に設けられている後述する下滑動手段としてのローラユニット4〜4を構成する下滑動部材としてのローラ4aが、その一部において下レール部材15の上面15bに当接するとともに、他の一部において下レール15aの内部に挿入されることで係り合うようになっている。
さらに、図1に戻って、正面より見て左側の引き戸2には左上方に把手21が設けられるとともに、右側の引き戸には右上方に把手21が設けられており、これらを操作することで、3枚の引き戸2〜2が連動して移動して開閉動作が可能となっている。そのため、向かって右側の引き戸2の裏面には回動支持部25が設けられるとともに、中央の引き戸2の裏面には縦方向に延在するレール部材23Aが設けられ、左側の引き戸2の裏面にも縦方向に延在するレール部材23Bが設けられている。さらに、一端を上記回動支持部25によって回動自在に支持されるとともに、他端においてローラ26を介して上記レール部材23Bにより回動及び移動自在に支持され、長手方向略中心においてもローラ26を介して上記レール部材23Aにより回動及び移動自在に支持されたリンクバー24が設けられている。このようなリンクバー24、ローラ26、レール部材23A,23Bは、引き戸2〜2を連動させる連動機構を構成している。すなわち、リンクバー24によって、全ての引き戸2〜2が連結されることで、左右いずれの引き戸2を移動させても、全ての引き戸2〜2が互いに重合する開成状態とその重合がほぼ解消される閉止状態との間で連動しつつ、協働して開閉動作するようになっている。
加えて、左側の把手21の下方には錠前22が設けられるとともに、この錠前22と連動して動作する施解錠機構27を引き戸2の裏面側に備えている。施解錠機構27は、錠前の操作と連動してリンクバー24の動作を規制することで施錠状態とするとともに、この規制を解くことで解錠状態とすることが可能となっている。
図4に示すように、引き戸2に対して、上滑動手段としてのスライドユニット3が取り付けられるようになっている。スライドユニット3は、スライダ受け5と、上滑動部材としてのスライダ本体6とから構成されている。
スライドユニット3を取り付ける引き戸2は、板金を折り曲げて構成したものであり、その上端は、前板81より上板82及び後板83を90°ずつ折り曲げて、下側を開口した略コ字状に形成している。上板82には、スライドユニット3の突出片65に対応する矩形状の開口82aが形成されている。また、後板83に開口82aを中心として、一対の矩形状の開口83a,83aを形成し、それらの間において下縁83cに矩形状の切欠き83bを形成している。
スライドユニット3を構成するスライダ受け5は、図4及び図7に示す形状に樹脂一体成形によって形成している。なお、図7(a)はスライダ受け5を後面側から見た際を基準として表した正面図であり、図7(b),(c)はそれぞれ図7(a)において記載A−A断面とB−B断面における矢視図を示している。
スライダ受け5は、上面53と、起立壁としての後面51及び左右の側面52,52との4面からなる直方体形状としており、内部を後述するスライダ本体6を保持するための空間としている。上面53には、引き戸2の上板82における開口82aと対応する開口53aを、前方を開放された矩形状として形成している。
また、後面51には、引き戸2の後板83における一対の開口83a,83aと対応する位置に、弾性片54,54をそれぞれ形成し、各弾性片54,54には後方に向けて突出する爪部54a,54aをそれぞれ設けている。弾性片54は、周囲をU字状に開口されることで、上部を基端として下方に向けて延在する片持ち状となっている。そのため、上部を起点にして先端を前後方向に弾性変位可能であり、これに伴って爪部54aを内部方向に引き込むことが可能となっている。
さらに、弾性片54,54間の位置において、後面51には後方に向かって突出する直方体状の突出部51aが形成されており、引き戸2の後板83における切欠き83bと対応するようになっている。
そして、突出部51aの下方においては、スライダ受け側第1係合部としての横長矩形状の第1開口55が形成されている。また、その第1開口55の下方には、スライダ受け側第2係合部としての第2開口56がT字型の形状で設けられている。第1開口55の下側縁部、すなわち第1開口55と第2開口56との境界を構成する部位は、板バネとして形成されたバネ部55aとなっており、上下方向に弾性を有するようにされている。すなわち、こうすることで、スライダ受け側第1係合部としての第1開口55を弾性変形可能に構成している。
バネ部55aは、左右の端部をそれぞれ後面11によって支持され、樹脂による弾性を利用した両持ちバネとなっており、上下方向に薄く形成されるとともに、後面51よりも後方に飛び出すように形成することで、前後方向の寸法を後面51の厚みよりも大きくなるようにしている。こうすることで、専ら上下方向にのみ弾性を付与して、左右及び前後方向、さらには捻れ方向に対しては剛性を有するようにしている。
また、第2開口56はT字状に形成されているため、上部の段差壁56a,56aを備えており、大きくバネ部55aが下方に変位した際には、この段差壁56aが当接することで、過大な変位を抑制するようにしている。
さらには、後面51の下方の左右両端部には、上下方向に延在するとともに前後方向に開放された溝部51bが形成されている。
スライダ本体6は、図4及び図8に示す形状に樹脂一体成形によって形成している。なお、図8(a)はスライダ本体6を後面側から見た際を基準として表した正面図であり、図8(b),(c)はそれぞれ図8(a)において記載したC−C断面とD−D断面における矢視図を示している。
スライダ本体6は、起立壁としての後面61及び左右の側面62,62に加えて、上面63と、底面64との5面からなる直方体形状としており、内部にも適宜補強のためのリブが形成されている。また、上面63には上方に向かって延在する滑動部としての板状の突出片65を形成している。
さらには、後面61の幅方向中央には上下方向に延在する弾性片66が設けられている。弾性片66の周囲は、内部にまで連通する略U字状の開口とされており、上部の基端によって後面61と接続された片持ち状になっている。そして弾性片66の基端側には、第1開口55又は第2開口56と係合するための突出部としての爪部66aが、後方に向けて突出するように設けられている。また、弾性片66下方の先端には後方に突出した平板状の操作部66bが設けられている。操作部66bを前方に押し込むことで、爪部66aを後面61よりも内側に引き込むことが可能となっている。こうした操作を容易にするため、後面61の下部の一部領域は段差部61bとして、前方に変位して形成されており、操作部66bを押し込む可能な変位量が増大させるようにしている。
また、後面61の左右両隅部には、上記溝部51b,51bに対応する位置に、上下方向に延在するとともに後方に突出した凸状ガイド部61a,61aが形成されている。
上記のように構成したスライダ受け5及びスライダ本体6は、引き戸2に対して、以下のように取り付ける。
まず、図4のように各部材が分離した状態より、図5に示すように、引き戸2に対して、スライダ受け5を取り付ける。引き戸2の前板81と後板83の間にスライダ受け5を挿入して、引き戸2の上板82の下面とスライダ受けの上面53とが近接又は当接する位置にする。この際、弾性片54の爪部54aは、上方がテーパ状に形成されていることから、後板83の内面に倣って内側に押し込まれ、挿入に当たって障害となることはない。適切な位置まで挿入がなされると、爪部54aは開口83aより飛び出して引っ掛かるようにして係合し、上下方向の位置決めがなされる。また、同時に、引き戸2の切欠き83bに突出部51aが嵌め込まれることで、左右方向への位置決めもなされる。さらには、引き戸2の前板81と後板83の間隔は、スライダ受け5の前後方向の厚みと略等しくしていることから、スライダ受け5は前後方向にしっかりと位置決めがなされる。
このように引き戸2に対してスライダ受け5を取り付けた状態では、後板83の下縁83cより下方に、スライダ受け5の下側略半分が露出しており、スライダ受け側第1係合部としての第1開口55及びスライダ受け側第2係合部としての第2開口55も露出した状態となっている。
この状態より、図6(a)に示すようにスライダ受け5の内部に、スライダ本体6を挿入して取り付ける。この図6(a)の状態では、スライダ受け5の内部にスライダ本体6のうち直方体状を形成する部位の約半分が挿入されるのみで、突出片65もスライダ本体6の内部に没して引き戸2の上板82よりも上方に突出しない、いわゆる待機位置となっている。スライダ本体6は、スライダ受け5の後面51の内側と、引き戸2の前板81とによって前後方向に位置規制され、スライダ受け5の左右の側面52,52の内側によって左右方向に位置規制されるように、寸法を調整している。
スライダ受け5の内部へのスライダ本体6の挿入に当たっては、弾性片66の爪部66aの上方がテーパ状に形成されていることから、後面51の内側に倣って内部に押し込まれ、挿入に当たって障害となることはない。所定の位置まで挿入がなされると、爪部54aは第2開口56より飛び出して引っ掛かるようにして係合し、上下方向の位置決めがなされる。この状態より、操作部66bを押し込み、爪部54aを内部に引き込むと、係合が解除され、スライダ本体6をスライダ受け5より取り外すことも可能である。
上記のようにスライダ本体6にスライダ受け5を待機位置として取り付けた状態では、スライドユニット3と引き戸2とは、特別な操作を行わない限り分離が困難な程度に一体化がなされる。そのため、この状態で引き戸2を運搬しても、スライドユニット3が外れて落下するなどの心配が不要となり、非常に取り扱いが容易になる。
さらに、このスライドユニット3は、スライダ本体6をスライダ受け5に対して下方より押し込むことで、図6(b)に示すように、突出片65が引き戸2の上板82より上方に突出した突出位置とすることが可能となっている。
スライダ本体6を押し上げる際には、弾性片66の爪部66aがバネ部55aに当接しつつ、これに倣って内部に押し込まれるため、軽い力で待機位置から突出位置への変化が可能となっている。突出位置においては、爪部66aは第2開口56に代わって、第1開口55より飛び出して引っ掛かるようにして係合する。この際には、スライダ受け5の内部にスライダ本体6のうち直方体状を形成する部位のほとんどが、挿入された状態となる。但し、スライダ受け5の後面51の下方より操作部66bが露出するようにしており、操作部66bを押し込んで、爪部66aと第1開口55との係合を解除することが可能となっている。
また、上記の突出位置とした状態では、スライダ受け5に形成した溝部51b,51bに、スライダ本体6に形成した凸状ガイド部61a,61aが嵌め込まれ、上下方向への移動を可能としつつ左右方向への位置を規制可能として、上下以外の方向によりしっかりと保持することが可能となっている。
さらに、上述したように、第1開口55の下側縁部はバネ部55aとして形成しているため、図9(a)及び(b)に示すように爪部66aと第1開口55の係合状態を保ったまま、スライダ受け5に対してスライダ本体6の弾性変位が可能となっている。図9(a)に示す無負荷状態において、スライダ受け5の上板53からの突出片65の突出量をL0としたとき、図9(b)に示すように突出片65は、上方からの荷重によって、バネ部55aの中央が下方に湾曲するように弾性変形して突出量をL1にまで小さくすることができる。これ以上の変形は、上述したように、バネ部55aが第2開口56の上端56aと当接することで防止するようになっている。突出量の変化L0−L1は、約2mm程度となるように設定しており、この範囲で引き戸2の面内方向の傾きによる摩擦抵抗の増大を軽減するとともに、振動等による上下方向への移動に伴う衝撃の吸収を行うことが可能となっている。
上記のような構成を生かして、引き戸2に取り付けたスライドユニット3を待機位置とした状態で、筐体11まで運搬して、上レール14aとの位置合わせを行った後に、スライダ本体6を押し上げるのみのワンアクションで、出片65を上レール14a内に突出させて係り合わせ、取り付けを行うことが可能となっている。また、取り付け時に、けんどん方式のように、引き戸2を持ち上げて位置調整する必要が無いため、少ない労力で簡単に取り付け作業を行うことができる。このように引き戸2の取り付けを行うことで、引き戸2により筐体11の内部の収納空間を開閉することが可能となる。また、弾性片66の操作部66bを押し込むことで、簡単に係合を解除して突出片65を待機位置にまで没して、筐体より引き戸2を取り外すことも可能となっている。
また、引き戸2を筐体11に取り付けた状態において、開閉動作に際して引き戸2が面内において傾いて、スライダ本体6における突出片65の上端が上レール14a内の上面14bに当接しても、上述したようにバネ部55aの作用によって突出片65が下方に沈み込むことで、当接箇所に生じる接触圧力を軽減して摩擦の増大を抑制することができる。そのため、過度に摩擦抵抗を増大させることがなく、引き戸2の開閉を円滑に行うことが可能となっている。また、突出片65の変形や破損の防止にもなるとともに、周囲の引き戸2における取り付け箇所の変形も抑制して、スライダユニット3全体の外れ防止にも役立つことになる。
また、引き戸2が傾いた際にも、突出片65の沈み込み量がL0−L1に限られていることで、突出片65と上レール14aとが係り合う状態を維持することができ、引き戸2の外れ防止にも寄与している。
また、引き戸2を筐体11に取り付けた状態で運搬した場合や、設置後に地震が発生した場合には、振動によって引き戸2に対して上下方向の変位が生じ、突出片65の上端が上レール14a内の上面14bに当接することも考えられる。こうした場合には、バネ部55aによる弾性によって衝撃を吸収して、突出片65を含む各部の損傷や変形を抑制することも可能となる。
上記のような、引き戸2の面内での傾きや、振動による上下方向への変位は、引き戸2の重量がある場合には、より顕著に表れる傾向にある。さらには、引き戸2の把手21を重心位置よりも上方または下方に大きく離間させて配置した場合や、リンクバー24によって複数の引き戸2を連結した場合には、回転モーメントが生じやすく、より傾きが生じやすくなる傾向にある。しかしながら、本実施形態の取り付け構造は、こうした傾きや上下の変位に対して強い構造となっているため、動作安定性を備えるとともに、耐久性も備えるものとなっている。
本実施形態に係る引き戸2の取付構造においては、図10に示すように、引き戸2の下方に対しては、下滑動手段としてのローラユニット4を取り付けられるようになっている。ローラユニット4は、ローラ4aとこれを回動自在に支持するホルダ7とから構成されており、このホルダ7もホルダ本体7aと、蓋部材としてのホルダ蓋7b(図13参照)の、2つの構成部材より構成されている。
スライドユニット4を取り付ける引き戸2の下端は、図10及び図12に示すように、板金の折り曲げにより構成しており、前板81より底板84及び後板85を90°ずつ折り曲げて、上側を開口した略コ字状に形成している。なお、図12(a)は引き戸2の下端近傍を後方より見た場合を基準として表した正面図を示し、図12(b)は下方より見た底面図を示す。さらに、図12(c)は図12(a)において記載したE−E断面の矢視図を示している。
底板84には、ローラユニット4を下方より挿入するための略矩形状の開口84aが形成されている。また、底板84における、開口84aの左右の前板81近傍の位置には、幅方向に延びる矩形状の第1の切欠き84b,84bをそれぞれ設けている。そのため、引き戸2を下方より見た場合には、開口84aと2つの第1の切欠き84b,84bとが繋がり逆T字状の形状となっている。また、開口84aと連続するように、後板83の下方にも略矩形状の第2の切欠き85aが形成されており、上下方向に段差が形成されている。
下滑動手段としてのローラユニット4は、図13に示すように、ホルダ本体7を構成するホルダ本体7aと、ホルダ蓋7bとによって、滑動部材としてのローラ4aを挟み込むようにして一体化したものである。
ローラ4aは下レール部材15の上面15b(図3参照)に当接するための小径部4a1と、下レール15a内に挿入される大径部4a2とを同軸上に備え、これらの軸心に軸孔4a3を備えている。
ホルダ本体7aは、図13〜図15に示す形状に樹脂一体成形によって形成している。なお、図14(a)はホルダ本体7aを後方より見た場合を基準として表した正面図を示し、図14(b)は逆方向より見た背面図を示す。さらに、図15(a)はホルダ本体7aの側面図を示し、図15(b)は図14(a)において記載したF−F断面の矢視図を示している。
ホルダ本体7aは、後面71と、左右の側面72,72と、上面73の4面からなる直方体形状としており、内部を上記ローラ4aを保持するための空間としている。
後面71の略中心より内側に向かっては、内部に丸穴7a2を形成された円筒状の軸部7a1が延在する。この軸部7a1は、ローラ4aの軸孔4a3よりも僅かに小径に形成されており、この外周にローラ4aの軸孔4a3を嵌め込むことで、ローラ4a3を回転自在に支持することが可能となっている。また、上面73と、各側面72,72との間で形成される角部は厚みを大きく形成されており、この角部の厚み内に前方に向けて開口する丸穴7a3,7a3をそれぞれ形成している。これらの丸穴7a3,7a3と、上記の丸穴7a2とは、ホルダ蓋7bを取り付けるために利用することができる。さらに、上面73と連続して矩形状に張り出した張り出し部73aが形成されている。
また、後面71の上縁より少し下がった部分であり、左右に離間した位置に一対の弾性片75,75を形成し、各弾性片75,75には後方に向けて突出する爪部75a,75aをそれぞれ設けている。弾性片75は、周囲をU字状に開口されることで、上部を基端として下方に向けて延在する片持ち状となっている。そのため、上部を起点にして先端を前後方向に弾性変位可能であり、これに伴って爪部75aを内部方向に引き込むことが可能となっている。
各側面72,72の下縁、すなわちホルダ7として構成した際の底部近傍には、外側方向に張り出した鍔部76,76が形成されており、ホルダ7を引き戸2に取り付けるための位置決めに用いることができる。また、鍔部76,76の前方には、これと連続して上方に向けて持ち上がったブロック状の第1突出部77,77が形成されている。第1突出部77,77は、側面72、72の前方側端面にまで回り込むとともに、前方に向けても張り出した形状となっており、厚みを大きくして強度を高く形成されている。第1突出部77は、引き戸2に形成された第1の切欠き84bに対応する形状となっており、緊密に嵌め込むことが可能となっている。
また、後面71の下縁中心には、幅方向に延びる直方体状の第2突出部78が形成されている。第2突出部78は、引き戸2に形成された第2の切欠き85aに対応する形状となっている。
ホルダ本体7aとともに、ホルダ7を構成するホルダ蓋7bは、図13及び図16に示す形状に樹脂一体成形によって形成している。なお、図16(a)はホルダ蓋7bを前方より見た場合を基準として表した正面図を示し、図16(b)は逆方向より見た背面図を示し、図16(c)は側面図を示している。
ホルダ蓋7bは、ホルダ7を構成する際に前面74として機能するものであり、その前面74における幅方向中心の下方には、円柱状の軸部7b1が後方に向けて突出するように形成されている。また、前面74の上部両隅近傍にも円柱状の軸部7b2,7b2が後方に向けて突出するようにそれぞれ形成されている。軸部7b2,7b2は、軸部7b1よりも小径で、かつ長さも小さいものとされている。
また、前面74の幅方向中心の上部には、縦方向に延びるリブ7b3が形成されている。さらには、リブ7b3の上方には、上記張り出し部73aに対応する、幅方向に延びる矩形状の切欠き7b4が形成されている。また、前面74の下方の両隅には、第1突出部77,77に対応する、矩形状の切欠き7b5,7b5がそれぞれ形成されている。
このように各部品4a,7a,7bを形成しておき、次のようにしてローラユニット4として組立を行う。図13に示すように、ローラ4aを挟んで、両側よりホルダ本体7aとホルダ蓋7bの取り付けを行う。
具体的には、ホルダ本体7aの軸部7a1の外周に、ローラ4aの軸孔4a3を嵌め合わせるようにして、ホルダ本体7aの内部にローラ4aを収容する。そして、軸部7a1の中心の丸穴7a2の内部に軸部7b1を嵌め込むようにして、ホルダ蓋7bをホルダ本体7aに取り付ける。これと同時に、2つの軸部7b2,7b2を丸穴7a3,7a3の内部に嵌め込むことで位置合わせを行う。これらの丸穴7a2,7a3に対しては、軸部7b1,7b2はそれぞれ緊密に嵌め込まれるようにしているために、前後方向に圧力を掛けつつ嵌め込むことで、ホルダ本体7aとホルダ蓋7bとは容易に分解が生じない程度の一体化をなすことができる。なお、一体化を行うために、接着等の別の手段を用いることも可能である。
また、上記の嵌め込みとともに、切欠き7b5は第1突出部77に、切欠き7b4は張り出し部73aと対応して嵌め込まれ、より位置決め精度を増すとともに、簡単に分解が生じないよう強度維持に寄与するようになっている。
このようにローラユニット4を組み立てた後には、図10に示すようにホルダ本体7aとホルダ蓋7bによって構成されるホルダ7が、下方を開放された内部空間内にローラ4aを回動自在に保持した状態となる。この状態においては、ローラ4aの大径部4a2とともに小径部4a1の一部も、ホルダ7の下方より表れた状態となる。
このローラユニット4の引き戸2への取り付けは、図10の状態を経て、図11の状態となるように行われる。以下、具体的な取り付け手順を、図10を参照しつつ図11を用いて説明する。
取り付けは、引き戸2の開口84aに対して下方からローラユニット4を挿入することによって行う。挿入を行った後には、引き戸2を構成する前板81,底板84,後板85によって形成される上向きに開放された略コ字状の空間内でホルダ7を位置規制することで、ローラユニット4を固定することが可能となっている。
開口84aはローラユニット4のホルダ7と略同一の形状となっており、内部で適切にホルダ7の位置及び方向を規制することが可能となっている。組立においては、弾性片75の爪部75aは、上方がテーパ状に形成されていることから、開口84aより後板85の内面に倣って内側に押し込まれ、挿入に当たって障害となることはない。適切な位置まで挿入がなされると、爪部75aは後板85の上縁85bより飛び出して引っ掛かるようにして係合し、上下方向の位置決めがなされる。
また、第2の切欠き85aの内部には第2突出部78が収まり、幅方向への位置規制を行うとともに、第2突出部78の上面が第2の切欠き85aの上縁となる端面と当接する。このようにすることで、引き戸2に生じる下方向への主な荷重を後板85の面内方向で受けることが可能となっている。
上下方向への位置決めは、鍔部76と底板84とが当接又は近接することでも行うことができるようにしている。但し、底板84に対して鍔部76が当接するよりも先に、第2突出部78の上面が第2の切欠き85aの上縁となる端面と当接するようにしている。そのため、鍔部76は、下方向への大きな荷重が作用して引き戸2に変形が生じた場合に底板84と接触することで、下方向への荷重を受ける補助的な役割を担っている。
ローラユニット4に引き戸2を取り付けることで、鍔部76の前方に形成された第1突出部77も底板84に形成された第1の切欠き84b内に緊密に差し込まれることになる。この際、第1突出部77の後面77aは、第1の切欠き84bの後側端面である当接面84cに対して当接することになる。
そのため、ローラユニット4に対して引き戸2の下端が後方に移動する方向に荷重が作用する場合には、その荷重として第1突出部77と当接面84cとの間で押圧力が作用することになる。すなわち、引き戸2においては当接面84cを介して底板84の面内方向に荷重を負担することになる。よく知られているように、板材は、面外方向への荷重に対しては変形を生じやすいが、面内方向への荷重に対しては変形を生じ難い性質を有する。そのため、上記のように、荷重を受ける方向が面内方向となるようにすることで、ローラユニット4を取り付ける引き戸2の開口84aの周囲に変形を生じることがなく、ローラユニット4との相対位置関係を安定に保つことができるようになっている。
上記のようにローラユニット4を取り付けた引き戸3は、図3に示すようにローラ4aの大径部4a2を下レール15a内に挿入するようにして係り合わせることで取り付けることができる。また、ローラ4aの小径部4a2は、下レール部材15の上面15bに当接することで、重量を支持するようになっている。取り付けに際し、上述したように、引き戸の上端のスライドユニット3を待機位置として位置決めした上で、突出位置とすることにより上レール14a(図2参照)との係り合いも行うことで、簡単に取付を行うことができる。
このように構成することで、引き戸2を前後方向にガイドしつつ、円滑に左右方向に移動させ、筐体11の内部の収納空間を開閉することが可能となっている。左右方向への移動等により、引き戸2に対して前後方向への荷重が生じた場合には、下端のローラユニット4を中心に大きな曲げモーメントが作用し、取り付けた開口84aの周囲にはより大きな荷重が生じることになる。図11を用いて具体的に説明すると、引き戸2の前板81に上部を前後方向に向けて荷重を作用させた場合、ローラユニット4はローラ4aの大径部4a2が下レール15a内で支持されていることから、ローラユニット4を中心として大きな曲げモーメントが生じ、前後にローラユニット4を挟む前板81と後板82との間には、両者を離間させるように屈曲させる向きの大きな荷重が作用することになる。
しかしながら、本実施形態においては、上記の強大な荷重を当接面84cを介して底板84の面内方向に受けることができるため、引き戸2においてはローラユニット4の取り付け部位の周辺に変形を生じることがない。
また、上記のような引き戸2に生じる前後方向への荷重は、リンクバー24を介して複数の引き戸2〜2を連動可能としていることによって生じやすくなる傾向あるが、上記の構造とすることで、耐久性を向上することが可能となる。すなわち、ローラユニット4の取り付け部位の周辺に変形をきたすことなく、ローラユニット4が不意に外れたり、ガタが生じることにより摩擦抵抗が増大する不具合を抑制することができ、使い勝手を一層向上させることができる。
以上のように、本実施形態の引き戸の取付構造は、引き戸2の下端側にローラユニット4を設け、ローラユニット4を下レール15aに係り合わせて引き戸2を取り付けるようにしたものであって、引き戸2の下端を前板81、底板84及び後板85が連続する上方を開口された略コ字状に折り曲げて形成し、ローラユニット4を構成してローラ4aを支持するホルダ7を挿入して取り付けるための開口84aを底板84に形成して、開口84aと連続する幅方向に延びる第1の切欠き84bを底板84における前板81の近傍に設けており、ホルダ7の幅方向側面に第1の切欠き84bに対応する第1突出部77を設け、開口84a内にホルダ7を挿入して取り付けることで、第1の切欠き84b内に第1突出部77が嵌め込まれるように構成したものである。
このように構成しているため、引き戸2の下端を中心とした前後方向へのモーメントが生じることで、ホルダ7に対して引き戸2を前方向に相対移動させる向きの荷重が作用した場合でも、第1の切欠き84bの後端縁部となる当接面84cにおいて底板84の面内方向で荷重を受けることができるため、開口84aの周囲に変形を生じることがなく、引き戸2に対するローラユニット4の取付位置関係を安定に保つことが可能になる。そのため、補強材や負荷軽減部材を用いる複雑な形状を避けて製造コストの低減を図りつつ、ローラユニット4の外れや摩擦抵抗の増大等による動作不良を抑制することが可能となっている。
また、底板84に設けた開口84aと連続する第2の切欠き85aを後板85の下側に設けるとともに、ホルダ7の後面71に第2の切欠き85aに対応する第2突出部78を設け、開口84a内にホルダ7を挿入して取り付けることで、第2の切欠き85a内に第2突出部78が嵌め込まれるように構成しているため、ホルダ7に対して作用する鉛直下方向への荷重を、第2の切欠き85aの上側縁部において後板85の面内方向で受けることができ、開口84aの周囲に変形を生じることがなく、引き戸2に対するローラユニット4の取付位置関係を安定に保つという上記の効果をより高めることができる。
また、ホルダ7の底部近傍に鍔部76を形成しており、開口84a内にホルダ7を挿入して取り付ける際に鍔部76が底板84下面に当接又は近接して上下方向に位置規制し得るように構成しているため、引き戸2に対してホルダ7を取り付ける際の位置決めをより安定して行うことができるとともに、上方からの荷重の一部を鍔部76でも負担するようにすることで、強度の向上を図ることも可能となっている。
また、ホルダ7の後面71に前後方向に進退可能な弾性片75を設け、弾性片75に爪部75aを形成しており、開口84a内にホルダ7を挿入して取り付ける際に、爪部75aが後板85の上縁85bと係り合うことで上下方向に位置規制し得るように構成しているため、引き戸2の開口84aに対してホルダ7を挿入するのみで、爪部75aが後板85の上縁85bと係り合って位置規制することができるため、簡単に取り付けが可能になるとともに、爪部75aを押し込まない限り取外しが不能になるため、引き戸2と一体にした状態で持ち運びが可能となっている。
また、ローラユニット4が、滑動部材としてのローラ4aとこれを保持するホルダ7を含むものであり、ホルダ7がローラ4aを挟持しつつ回動自在に支持するホルダ本体7aと、ホルダ蓋7bとから構成されるようにしているため、ローラユニット4をより好適な形態として、簡単に構成することができる。
また、ホルダ7の構成部材としてホルダ本体7aと、ホルダ蓋7bとが、それぞれ樹脂成形により構成されているため、低コストで簡単に製造することができるとともに、樹脂の弾性を利用して、引き戸との係合や支持構造を好適に実現することが可能となっている。
そして、本実施形態の引き戸2は、以上のような下滑動手段たるローラユニット4を備えることによって、動作安定性および振動等による外力に対しても強度を確保することができるほか、既存のレールにも有効に適用が可能となる。
また、本実施形態の収納装置1は、以上の取付構造を通じて引き戸2を取り付ける構造とすることによって、引き戸2の開閉動作の安定性及び耐久性を向上させることが可能となる。
さらに、引き戸2〜2を複数備えるとともに、これらの引き戸2〜2を、互いに重合する開成状態とその重合がほぼ解消される閉止状態との間で連動させる連動機構を備えているため、より上記の効果を生かして好適に用いることが可能となっている。
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では、上滑動手段をスライドユニット3として構成し、上滑動部材をスライダ本体6としていたが、上滑動手段をローラユニットとし、上滑動部材をローラとして構成してもよい。また、下滑動手段をローラユニット4として構成し、下滑動部材をローラ4aとしていたが、下滑動手段をスライドユニットとし、下滑動部材をスライダとして構成しても良い。
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1…収納装置
2…引き戸
4…ローラユニット(下滑動手段)
4a…ローラ
7…ホルダ
7a…ホルダ本体
7b…ホルダ蓋
11…筐体
15a…下レール
75…弾性片
75a…爪部
76…鍔部
77…第1突出部
78…第2突出部
81…前板
84…底板
84a…開口
84b…第1の切欠き
84c…当接面
85…後板
85a…第2の切欠き
85b…上縁

Claims (9)

  1. 引き戸の下端側に下滑動手段を設け、当該下滑動手段を下レールに係り合わせて引き戸を取り付けるようにしたものであって、
    前記引き戸の下端を前板、底板及び後板が連続する上方を開口された略コ字状に折り曲げて形成し、前記下滑動手段を構成して滑動部材を支持するホルダを挿入して取り付けるための開口を前記底板に形成して、前記開口と連続する幅方向に延びる第1の切欠きを前記底板に設けており、
    前記ホルダの幅方向側面に前記第1の切欠きに対応する第1突出部を設け、前記開口内に前記ホルダを挿入して取り付けることで、前記第1の切欠き内に前記第1突出部が嵌め込まれるように構成したことを特徴とする引き戸の取付構造。
  2. 前記底板に設けた開口と連続する第2の切欠きを前記後板の下側に設けるとともに、前記ホルダの後面に前記第2の切欠きに対応する第2突出部を設け、前記開口内に前記ホルダを挿入して取り付けることで、前記第2の切欠き内に前記第2突出部が嵌め込まれるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の引き戸の取付構造。
  3. 前記ホルダの底部近傍に鍔部を形成しており、前記開口内に前記ホルダを挿入して取り付ける際に当該鍔部が底板下面に当接又は近接して上下方向に位置規制し得るように構成していることを特徴とする請求項1又は2記載の引き戸の取付構造。
  4. 前記ホルダの後面に前後方向に進退可能な弾性片を設け、当該弾性片に爪部を形成しており、前記開口内に前記ホルダを挿入して取り付ける際に、前記爪部が後板の上縁と係り合うことで上下方向に位置規制し得るように構成していることを特徴とする請求項3記載の引き戸の取付構造。
  5. 前記下滑動手段が、滑動部材としてのローラとこれを保持するホルダを含むものであり、前記ホルダが前記ローラを挟持しつつ回動自在に支持するホルダ本体と、蓋部材とから構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の引き戸の取り付け構造。
  6. 前記ホルダの構成部材が、それぞれ樹脂成形により構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の引き戸の取付構造。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の取付構造に係る下滑動手段を備えたことを特徴とする引き戸。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の取付構造によって、収納空間を開閉する位置に引き戸を取り付けたことを特徴とする収納装置。
  9. 引き戸を複数備えるとともに、これらの引き戸を、互いに重合する開成状態とその重合がほぼ解消される閉止状態との間で連動させる連動機構を備えていることを特徴とする請求項8記載の収納装置。
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