JP2014092005A - 有孔梁の補強構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、地震時における貫通孔の周辺部に対するせん断力の集中を低減することを目的とする。
【解決手段】有孔梁の補強構造10は、せん断補強筋20によって囲まれたコンクリートコア部12Cをコンクリート側面12Sから貫通する貫通孔22が形成された鉄筋コンクリート製の梁12と、貫通孔22と通じる開孔32が形成されると共に、両側のコンクリート側面12Sに梁12の梁材軸方向に沿って重ねられた一対の補強板30と、梁12を梁成方向に貫通すると共に、一対の補強板30を互いに連結する複数のPC鋼棒40A,40Bと、を備えている。複数のPC鋼棒40A,40Bには緊張力が付与されており、これらのPC鋼棒40A,40Bによって、一対の補強板30がコンクリート側面12Sに摩擦接合されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、有孔梁の補強構造に関する。
鉄筋コンクリート部材の両側に配置された一対のリング状の補強鋼板によって、当該鉄筋コンクリート部材の側面に形成された円形の貫通孔(開口部)の周辺部を補強するせん断補強方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示された技術では、鉄筋コンクリート部材を貫通すると共に緊張力が付与されたPC鋼棒によって一対の補強鋼板を連結することにより、各補強鋼板が貫通孔の周辺部に固定されている。これにより、地震時にせん断力が集中する貫通孔の周辺部の耐力が高められている。
特開昭55−042965号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、前述したように貫通孔の周辺部の耐力が高められるものの、当該周辺部に対するせん断力の集中を低減する点が考慮されておらず、この点について改善の余地がある。
本発明は、上記の事実を考慮し、地震時における貫通孔の周辺部に対するせん断力の集中を低減することを目的とする。
請求項1に記載の有孔梁の補強構造は、せん断補強筋によって囲まれたコンクリートコア部をコンクリート側面から貫通する貫通孔が形成された鉄筋コンクリート製の梁と、前記貫通孔と通じる開孔が形成され、前記コンクリート側面に前記梁の梁材軸方向に沿って重ねられた補強板と、前記補強板における前記貫通孔の前記梁材軸方向両側から前記コンクリートコア部へそれぞれ延出し、該補強板を前記コンクリート側面に固定する複数のせん断力伝達部材と、を備えている。
請求項1に係る有孔梁の補強構造によれば、梁のコンクリート側面には、当該梁の梁材軸方向に沿って補強板が重ねられている。この補強板には、梁のコンクリート側面に形成された貫通孔に通じる開孔が形成されている。また、補強板は、貫通孔の梁材軸方向両側からコンクリートコア部へ延出する複数のせん断力伝達部材によってコンクリート側面に固定されている。
ここで、地震時には、梁の梁材軸方向の一端側から他端側へせん断力が伝達される。このせん断力は、主としてコンクリートコア部を介して梁材軸方向の一端側から他端側へ伝達される。このとき、コンクリートコア部を貫通する貫通孔の周辺部にせん断力が集中するため、ひび割れや剥落等によってコンクリート側面が損傷し易くなる。
これに対して本発明では、コンクリートコア部の梁材軸方向の一端側から他端側へせん断力が伝達されるときに、貫通孔に対して梁材軸方向一方側に配置されたせん断力伝達部材を介してコンクリートコア部から補強板へせん断力が伝達される。そして、補強板に伝達されたせん断力は、補強板における開孔の上側及び下側を通り、貫通孔の梁材軸方向他方側に配置されたせん断力伝達部材を介してコンクリートコア部へ再び伝達される。
このように貫通孔の梁材軸方向両側に配置された複数のせん断力伝達部材を介してコンクリートコア部と補強板との間でせん断力を伝達することにより、コンクリートコア部を流れるせん断力が貫通孔の周辺部を迂回してコンクリートコア部の梁材軸方向の一端側から他端側へ伝達される。これにより、貫通孔の周辺部に対するせん断力の集中が低減される。したがって、貫通孔の周辺部のひび割れや剥落等によるコンクリート側面の損傷が抑制される。
また、本発明では、補強板が梁材軸方向に沿ってコンクリート側面に重ねられている。つまり、補強板は、コンクリートコア部のせん断力の伝達方向に沿ってコンクリート側面に重ねられている。これにより、例えば、貫通孔の周辺部に沿ってリング状の補強板を配置した構成と比較して、コンクリートコア部を流れるせん断力が補強板に伝達され易くなる。つまり、コンクリートコア部を流れるせん断力が、貫通孔の周辺部を迂回し易くなる。したがって、貫通孔の周辺部に対するせん断力の集中がさらに低減される。
請求項2に記載の有孔梁の補強構造は、請求項1に記載の有孔梁の補強構造において、前記梁の両側には、該梁を挟んで互いに対向する一対の前記補強板が配置され、複数の前記せん断力伝達部材が、前記梁を貫通すると共に、緊張力が付与された状態で一対の前記補強板を連結する緊張線材である。
請求項2に係る有孔梁の補強構造によれば、梁を挟んで互いに対向する一対の補強板が、当該梁を貫通する複数の緊張線材によって連結されている。これらの緊張線材に緊張力を付与することにより、一対の補強板が梁の両側のコンクリート側面にそれぞれ圧着されている。つまり、一対の補強板が、梁の両側のコンクリート側面にそれぞれ摩擦接合されている。
これにより、コンクリート側面と補強板との間に発生する摩擦力によって梁と補強板との間でせん断力が伝達されるため、当該せん断力の伝達効率が向上する。したがって、貫通孔の周辺部に対するせん断力の集中がさらに低減される。
また、一対の補強板を梁の両側のコンクリート側面にそれぞれ圧着することにより、当該コンクリート側面に圧縮力が導入される。これにより、地震時にコンクリート側面が面外方向の外側へ膨出することが抑制される。また、コンクリート側面からコンクリートコア部に圧縮応力が作用するため、コンクリートコア部の見かけ上の圧縮強度が増加する。したがって、貫通孔の周辺部のひび割れや剥落、及びコンクリートコア部の損傷がさらに抑制される。
請求項3に記載の有孔梁の補強構造は、請求項1又は請求項2に記載の有孔梁の補強構造において、前記補強板における前記貫通孔の前記梁材軸方向両側には、一対の前記せん断力伝達部材が上下方向に並んで配置されている。
請求項3に係る有孔梁の補強構造によれば、補強板における貫通孔の梁材軸方向両側には、一対のせん断力伝達部材が上下方向に並んで配置されている。これにより、補強板を介して一対のせん断力伝達部材の間で上下方向にせん断力が伝達される。つまり、一対のせん断力伝達部材及び補強板がせん断補強筋と同様の機能を発揮する。したがって、貫通孔の周辺部に対するせん断力の集中がさらに抑制される。
また、貫通孔の周辺部に新たなせん断補強筋を配筋する必要がないため、施工性が向上する。
請求項4に記載の有孔梁の補強構造は、請求項1に記載の有孔梁の補強構造において、前記せん断力伝達部材が、一端部が前記補強板に形成された取付孔を貫通すると共に、該一端部にナットが取り付けられるネジ部が設けられたボルト部材とされ、前記取付孔と前記ボルト部材との隙間には、該隙間を埋める隙間埋め部が設けられている。
請求項4に係る有孔梁の補強構造によれば、ボルト部材の一端部が補強板に形成された取付孔を貫通している。このボルト部材の一端部に設けられたネジ部にナットを締め込むことにより、補強板がコンクリート側面に固定されている。
また、ボルト部材と取付孔との隙間には、隙間埋め部が設けられている。この隙間埋め部によってボルト部材と取付孔との隙間を埋めることにより、ボルト部材に対する補強板の相対変位(ガタツキ)が抑制されるため、ボルト部材と補強板との間のせん断力の伝達効率が向上する。したがって、ボルト部材と取付孔との隙間に隙間埋め部を設けない構成と比較して、貫通孔の周辺部に対するせん断力の集中が低減される。
請求項5に記載の有孔梁の補強構造は、請求項4に記載の有孔梁の補強構造において、前記隙間埋め部が、前記隙間に充填された取付孔用充填材である。
請求項5に係る有孔梁の補強構造によれば、ボルト部材と取付孔との隙間に取付孔用充填材を充填することにより、ボルト部材と取付孔との隙間が埋められる。これにより、ボルト部材と補強板とが一体化されるため、ボルト部材と補強板との間のせん断力の伝達効率がさらに向上する。
請求項6に記載の有孔梁の補強構造は、請求項4に記載の有孔梁の補強構造において、前記隙間埋め部が、前記ナットの外周縁部に形成され、前記取付孔に挿入される挿入部である。
請求項6に係る有孔梁の補強構造によれば、ボルト部材のネジ部に取り付けられたナットを締め込むことにより、補強板がコンクリート側面に固定されると共に、ナットの外周縁部に形成された挿入部がボルト部材と取付孔との隙間に挿入され、当該隙間が埋められる。これにより、ボルト部材と補強板とが一体化されるため、ボルト部材と補強板との間のせん断力の伝達効率がさらに向上する。また、ボルト部材のネジ部にナットを締め込むことにより、ボルト部材と取付孔との隙間を埋めることができるため、施工性が向上する。
以上説明したように、本発明に係る有孔梁の補強構造によれば、地震時における貫通孔の周辺部に対するせん断力の集中を低減することができる。
(A)は本発明の第1実施形態に係る有孔梁の補強構造が適用された梁を示す側面図であり、(B)は図1(A)の1B−1B線断面図である。 (A)は図1(A)に示される補強板の取付方法を説明する図1(B)に相当する断面図であり、(B)は図2(A)の一部拡大断面図である。 比較例に係る梁の地震時におけるせん断力の伝達状態を示す図1(A)に相当する側面図である。 図1に示される梁の地震時におけるせん断力の伝達状態を説明する図1(A)の4−4線断面図である。 (A)は比較例に係る補強板が適用された梁を示す側面図であり、(B)は図5(A)の5B−5B線断面図である。 (A)は本発明の第2実施形態に係る有孔梁の補強構造が適用された梁を示す図1(A)に相当する側面図であり、(B)は図6(A)の6B−6B線断面図である。 図6(B)の一部拡大断面図である。 本発明の第3実施形態に係る有孔梁の補強構造が適用された梁を示す図1(B)に相当する断面図である。 (A)及び(B)は、本発明の第3実施形態におけるナットの変形例を示す図8の一部拡大断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る有孔梁の補強構造について説明する。なお、各図において示される矢印Xは梁の材軸方向(梁材軸方向)を示し、矢印Yは梁の幅方向(梁幅方向)を示し、矢印Zは梁の梁成方向(上下方向)を示している。
先ず、第1実施形態に係る有孔梁の補強構造について説明する。
(梁の構成)
図1(A)及び図1(B)には、第1実施形態に係る有孔梁の補強構造10が適用された鉄筋コンクリート製の梁12が示されている。梁12は、上下方向(矢印Z方向)を長辺とした断面矩形(断面長方形)に形成されており、その上部が鉄筋コンクリート製のスラブ14と一体化されている。このスラブ14は、梁12の上部における両側のコンクリート側面12Sから水平方向両側へそれぞれ張り出している。
梁12には、複数の梁主筋としての複数の上端梁主筋16及び複数の下端梁主筋18が梁材軸方向(矢印X方向)に沿って埋設されている。複数の上端梁主筋16は、梁12の上部に梁幅方向(矢印Y方向)に間隔を空けて埋設されている。一方、複数の下端梁主筋18は、梁12の下部に梁幅方向に間隔を空けて埋設されている。
なお、本実施形態では、上端梁主筋16は上段に4本、下段に2本の二段配筋とされており、下端梁主筋18は上段に2本、下段に4本の二段配筋とされているが、上端梁主筋16及び下端梁主筋18の数や配置は適宜変更可能である。
また、複数の上端梁主筋16及び下端梁主筋18は、複数のせん断補強筋20によって結束されている。複数のせん断補強筋20は、複数の上端梁主筋16及び下端梁主筋18を囲む矩形の枠状に形成されており、梁材軸方向に間隔を空けて梁12に埋設されている。これらのせん断補強筋20によって、複数の上端梁主筋16と複数の下端梁主筋18との間でせん断力が伝達されるように構成されている。
また、複数のせん断補強筋20によって梁12の内部コンクリートを囲むことにより、梁12の内部にコンクリートコア部12Cが形成されている。コンクリートコア部12Cは梁12の梁材軸方向に沿って形成されると共に、その外周部に前述した複数の上端梁主筋16及び下端梁主筋18が配筋(埋設)されている。そして、地震時に梁12に発生するせん断力は、主としてコンクリートコア部12Cを介して梁12の梁材軸方向の一端側から他端側へ伝達される。
ここで、梁12のコンクリート側面12Sには、梁12のコンクリートコア部12Cを梁幅方向に貫通する円形の貫通孔22が形成されている。この貫通孔22は、例えば、配管、配線等の設備材に用いられるものであり、本実施形態では、梁12の梁成方向の略中央部に形成されている。
(補強板の構成)
梁12の梁幅方向の両側には、貫通孔22の周辺部を挟んで互いに対向する一対の補強板30が配置されている。一対の補強板30は略矩形(略長方形)の鋼板で形成されており、梁材軸方向に沿ってすなわち長手方向(長辺)を梁材軸方向として梁12のコンクリート側面12Sに後述するモルタル26を介して重ねられている。この補強板30の中央部には、当該補強板30を板厚方向に貫通する開孔32が形成されている。開孔32は、梁12の貫通孔22よりも直径が僅かに大きい円形の孔とされている。この開孔32が貫通孔22と略同軸上に位置するように、一対の補強板30がコンクリート側面12Sと対向して配置されている。
また、各補強板30とコンクリート側面12Sの隙間Dには無収縮モルタル等のモルタル26が充填されている。このセメント系充填材としてのモルタル26によって、各補強板30とコンクリート側面12Sとの隙間Dが埋められており、各補強板30がコンクリート側面12Sに密着している。
一対の補強板30は、梁12を貫通する複数の緊張線材(せん断力伝達部材)としての複数(本実施形態では、4本)のPC鋼棒40A,40Bを介して互いに連結されている。具体的には、一対の補強板30は、開孔32(貫通孔22)を挟んで梁材軸方向両側にそれぞれ配置された上下一対のPC鋼棒40A,40Bを介して互いに連結されている。
上下一対のPC鋼棒40Aは、貫通孔22及び開孔32の梁材軸方向一方側(図1(A)において右側)に配置されており、上下方向(梁成方向)に間隔を空けて並んで配置されている。一方、上下一対のPC鋼棒40Bは、貫通孔22及び開孔32の梁材軸方向他方側(図1(A)において左側)に配置されており、上下方向(梁成方向)に間隔を空けて並んで配置されている。各PC鋼棒40A,40BはPC鋼材で形成され、コンクリート側面12Sに形成された取付孔24にそれぞれ貫通されている。つまり、各PC鋼棒40A,40Bは、コンクリートコア部12Cを梁成方向に貫通している。これにより、各PC鋼棒40A,40Bとコンクリートコア部12Cとの間でせん断力が相互に伝達可能になっている。
各PC鋼棒40A,40Bの両端部は、一対の補強板30に形成された取付孔34に貫通されている。また、各PC鋼棒40A,40Bの両端部には、ネジ部42が設けられている。このネジ部42に略矩形の座金46を介してナット44を取り付けて締め込むことにより、一対の補強板30が複数のPC鋼棒40A,40Bを介して互いに連結されると共に、コンクリート側面12Sに固定されている。この状態では、PC鋼棒40A,40Bが、一方の補強板30における貫通孔22の梁材軸方向両側からコンクリートコア部12Cへそれぞれ延出し、当該コンクリートコア部12Cを梁成方向に貫通して他方の補強板30に達している。
また、各PC鋼棒40A,40Bには、その両端部のネジ部42にナット44を締め込むことにより緊張力が付与されている。これにより、一対の補強板30がモルタル26を介して両側のコンクリート側面12Sにそれぞれ圧着されている。つまり、一対の補強板30が、両側のコンクリート側面12Sに摩擦接合されている。これにより、各補強板30とコンクリート側面12Sとの圧着面に発生する摩擦力によって、各補強板30と梁12との間でせん断力が相互に伝達可能になっている。
図2(A)及び図2(B)に示されるように、一対の補強板30の裏面(コンクリート側面12Sとの対向面)には、取付孔24,34へのモルタル26の浸入を抑制する複数のスペーサ36(図2(B)参照)が溶接や接着剤等により取り付けられている。各スペーサ36は筒状に形成されると共に、取付孔34と略同軸上に配置されており、その内部にPC鋼棒40A,40Bが貫通されている。
なお、緊張線材としては、PC鋼棒40A,40B以外に、例えば、高強度鉄筋やPCより線の両端部に転造や切削によりネジ部を形成したものを用いても良い。
次に、梁12に対する貫通孔22の形成方法の一例について説明すると共に、補強板30の取付方法の一例について説明する。
先ず、施工済みの梁12に対して貫通孔22を形成する場合は、例えば、貫通孔22を形成する部位の上端梁主筋16、下端梁主筋18、及びせん断補強筋20の位置を検査し、これらの位置を梁12の外面にマーキングする。そして、上端梁主筋16、下端梁主筋18、及びせん断補強筋20を避けるようにコンクリート側面12Sから梁12をコア抜きし、貫通孔22を形成する。なお、本実施形態では、貫通孔22の両側に位置する2本のせん断補強筋20がコア抜き時に切断されている。
次に、図2(A)に示されるように、コンクリート側面12Sにおける貫通孔22の梁材軸方向両側に上下一対の取付孔24をそれぞれ形成し、各取付孔24にPC鋼棒40A,40Bを挿入する。次に、梁12の梁幅方向両側に一対の補強板30を配置し、各々のスペーサ36及び取付孔34に各PC鋼棒40A,40Bのネジ部42を挿入する。次に、各PC鋼棒40A,40Bのネジ部42に座金46を介してナット44を取り付け、仮締めする。これにより、スペーサ36によって各補強板30とコンクリート側面12Sとの間に、モルタル26を充填するための隙間Dが確保される。
次に、各補強板30の外周縁部に沿って図示しないシール部材を配置し、補強板30とコンクリート側面12Sとの隙間Dを密封する。この状態で、シール部材に形成された図示しない充填孔から隙間Dにモルタル26を充填する。このとき、スペーサ36によって、取付孔24,34へのモルタル26の浸入が抑制される。これにより、各PC鋼棒40A,40Bにモルタル26が付着しないため、各PC鋼棒40A,40Bに後述する緊張力を付与し易くなる。そして、モルタル26が養生(硬化)した後、シール部材を撤去する。これにより、各補強板30がコンクリート側面12Sに密着した状態で当該コンクリート側面12Sに固定される。
次に、各PC鋼棒40A,40Bの両端部のネジ部42にナット44を締め込み、各PC鋼棒40A,40Bに緊張力を付与する。これにより、PC鋼棒40A,40Bを介して一対の補強板30が互いに連結されると共に、各補強板30がモルタル26を介してコンクリート側面12Sに圧着され、当該コンクリート側面12Sに摩擦接合される。また、コンクリート側面12Sに圧縮力が導入され、コンクリートコア部12Cの見かけ上の圧縮強度が増加する。
次に、第1実施形態に係る有孔梁の補強構造の作用について説明する。
先ず、本実形態に係る有孔梁の補強構造10の作用を明確にするために、比較例に係る梁100について説明する。図3には、比較例に係る梁100が示されている。この梁100は、本実施形態における梁12と同様に貫通孔22が形成されているが、一対の補強板30が取り付けられていない点で本実施形態における梁12と相違する。
図3に示されるように、地震時に、図示しない柱から梁12の梁材軸方向の一端側(図3において右端側)にせん断力Qが伝達されると、コンクリートに対する上端梁主筋16、下端梁主筋18の付着力、及び各せん断補強筋20が負担する引張力によって、コンクリートコア部12Cに斜め方向に延びる複数の圧縮束Cが梁材軸方向に隣接して形成される。これらの圧縮束Cによって、せん断力Qがコンクリートコア部12Cの梁材軸方向の一端側(右端側)から他端側(左端側)へ連続的に伝達される。
一方、梁100における貫通孔22の周辺部では、せん断補強筋20を配筋することができず、他の部位と比較して相対的にせん断補強筋20の配筋量が少なくなる。そのため、梁100における貫通孔22の周辺部では、せん断補強筋20の引張力を充分に得ることができず、当該周辺部にコンクリートの圧縮力Cが集中し易くなる。この結果、梁100における貫通孔22の周辺部のせん断強度が低下し、コンクリート側面12Sにひび割れや剥落等が発生し易くなる。
これに対して本実施形態では、梁12の梁幅方向両側に一対の補強板30が配置されている。一対の補強板30は、梁12を挟んで互いに対向すると共に、コンクリート側面12Sにおける貫通孔22の周辺部に重ねられている。また、一対の補強板30は、梁12を梁幅方向に貫通すると共に緊張力が付与された複数のPC鋼棒40A,40Bを介して互いに連結されると共に、両側のコンクリート側面12Sにそれぞれ摩擦接合されている。
これにより、例えば、図4に示されるように、コンクリートコア部12Cに梁材軸方向の一端側から他端側へ向けてせん断力Qが伝達されると、貫通孔22の梁材軸方向一方側に配置された上下一対のPC鋼棒40Aを介してコンクリートコア部12Cから一対の補強板30へせん断力Qが伝達される(矢印a)。この際、コンクリート側面12Sと補強板30との圧着面に発生する摩擦力によっても、コンクリートコア部12Cから補強板30へせん断力Qが伝達される。
補強板30に伝達されたせん断力Qは、当該補強板30における開孔32の上側及び下側を通り(矢印b)、貫通孔22の梁材軸方向他方側に配置された上下一対のPC鋼棒40Bを介してコンクリートコア部12Cへ再び伝達される(矢印c)。この際、コンクリート側面12Sと補強板30との圧着面に発生する摩擦力によっても、補強板30からコンクリートコア部12Cへせん断力Qが伝達される。なお、破線の矢印dは、コンクリートコア部12Cにおける貫通孔22の上側及び下側を流れるせん断力Qを示している。
このように貫通孔22の梁材軸方向両側に配置された複数のPC鋼棒40Aを介してコンクリートコア部12Cと一対の補強板30との間でせん断力を伝達することにより、コンクリートコア部12Cを流れるせん断力が貫通孔22の周辺部を迂回してコンクリートコア部12Cの梁材軸方向の一端側から他端側へ伝達される。これにより、貫通孔22の周辺部に対するせん断力の集中が低減される。したがって、貫通孔22の周辺部のひび割れや剥落等によるコンクリート側面の損傷が抑制される。
ここで、一対の補強板30の比較例について説明する。図5(A)及び図5(B)には、比較例に係る一対の補強板110が示されている。一対の補強板110は、リング状に形成され、その中央部に開孔112が形成されている。これら一対の補強板110は、せん断力が集中する貫通孔22の周辺部に沿って配置されており、4本のPC鋼棒114によって互いに連結されている。
しかしながら、一対の補強板110は、せん断力が集中する貫通孔22の周辺部のみをその応力度に応じて補強するものである。したがって、貫通孔22の周辺部に対するせん断力の集中を十分に低減することができず、地震の規模(せん断力の大きさ)によっては貫通孔22の周辺部にひび割れや剥落等が発生する可能性がある。
これに対して本実施形態では、一対の補強板30が長方形に形成されると共に、コンクリート側面12Sに梁材軸方向に沿って重ねられている。つまり、一対の補強板30は、コンクリートコア部12Cのせん断力Qの伝達方向に沿ってコンクリート側面12Sに重ねられている。これにより、前述した比較例に係る補強板110よりも貫通孔22から梁材軸方向一方側へ離れた位置において、コンクリートコア部12Cから一対の補強板30にせん断力Qが伝達可能になる。したがって、コンクリートコア部12Cを流れるせん断力Qが貫通孔22の周辺部を迂回し易くなるため、貫通孔22の周辺部に対するせん断力の集中がさらに低減される。
このように本実施形態に係る有孔梁の補強構造10によれば、地震時における貫通孔22の周辺部に対するせん断力の集中を低減することができる。この結果、貫通孔22の周辺部のせん断耐力を無開口の梁12と同等以上に補強することができる。
また、本実施形態では、緊張力が付与された複数のPC鋼棒40A,40Bによって、各補強板30がコンクリート側面12Sに摩擦接合されている。これにより、各補強板30とコンクリート側面12Sとの圧着面に発生する摩擦力によって、補強板30とコンクリートコア部12Cとの間でせん断力Qが伝達されるため、当該せん断力Qの伝達効率が向上する。したがって、貫通孔22の周辺部に対するせん断力Qの集中がさらに低減される。
さらに、各補強板30をコンクリート側面12Sに圧着することにより、当該コンクリート側面12Sに圧縮力が導入される。これにより、地震時にコンクリート側面12Sが面外方向の外側へ膨出することが抑制される。また、コンクリート側面12Sからコンクリートコア部12Cに圧縮応力が作用するため、コンクリートコア部12Cの見かけ上の圧縮強度が増加する。したがって、貫通孔22の周辺部のひび割れや剥落、及びコンクリートコア部の損傷がさらに抑制される。
しかも、補強板30とコンクリート側面12Sとの隙間Dにモルタル26を充填し、当該隙間Dを塞いだことにより、補強板30とコンクリート側面12Sとの圧着面積が増加する。したがって、隙間Dにモルタル26を充填しない構成と比較して、補強板30とコンクリート側面12Sとの間のせん断力Qの伝達効率が向上する。
さらに、モルタル26は、指定建築材料であるため、新築構造物に対しても適用可能である。したがって、本実施形態に係る有孔梁の補強構造10は、既存構造物における梁12に限らず、新築構造物における梁12に対しても適用することができる。特に、本実施形態に係る有孔梁の補強構造10は、躯体工事完了後の設計変更等によって設備用等の貫通孔22が形成された梁12の補強構造として有効である。
また、補強板における貫通孔22の梁材軸方向一方側には、上下一対のPC鋼棒40Aが上下方向に並んで配置されており、補強板における貫通孔22の梁材軸方向他方側には、上下一対のPC鋼棒40Bが上下方向に並んで配置されている。これにより、補強板30を介して上下一対のPC鋼棒40Aの間でせん断力Qが伝達されると共に、補強板30を介して上下一対のPC鋼棒40Bの間でせん断力Qが伝達される。つまり、上下一対のPC鋼棒40A,40B及び補強板30がせん断補強筋と同様に機能する。したがって、コンクリートコア部12Cと補強板30との間のせん断力Qの伝達効率が向上するため、貫通孔22の周辺部に対するせん断力Qの集中がさらに抑制される。
さらに、一対の補強板30は、梁12のコンクリート側面12Sに取り付けられている。したがって、梁12における貫通孔22の周辺部に新たなせん断補強筋等を埋設する補強方法と比較して、梁12を傷めずに貫通孔22の周辺部を補強することができる。また、梁12のコンクリート側面12Sに補強板30を取り付けることにより、施工性の向上、施工コストの削減、工期の短縮化を図ることができる。
次に、第2実施形態に係る有孔梁の補強構造について説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図6(A)及び図6(B)に示されるように、第2実施形態に係る有孔梁の補強構造60では、一対の補強板62が梁12を貫通する複数のボルト部材(せん断力伝達部材)としての複数のスタッドボルト64A,64Bを介して互いに連結されている。
具体的には、補強板62における貫通孔22及び開孔32の梁材軸方向一方側に複数のスタッドボルト64Aが配置されると共に、補強板62における貫通孔22及び開孔32の梁材軸方向他方側に複数のスタッドボルト64Bが配置されている。複数のスタッドボルト64Aは、上下方向(梁成方向)及び梁材軸方向に間隔を空けて配置されている。これと同様に、複数のスタッドボルト64Bは、上下方向(梁成方向)及び梁材軸方向に間隔を空けて配置されている。
各スタッドボルト64A,64Bは、梁12及び一対の補強板62に形成された取付孔24,34にそれぞれ貫通されている。また、各スタッドボルト64A,64Bの両端部にはネジ部66が設けられており、このネジ部66にナット68を取り付けて締め込むことにより、一対の補強板62が互いに連結されると共に、各補強板62がモルタル26を介してコンクリート側面12Sに固定されている。この状態では、複数のスタッドボルト64A,64Bが、一方の補強板62における貫通孔22の梁材軸方向両側からコンクリートコア部12Cへそれぞれ延出し、当該コンクリートコア部12Cを梁成方向に貫通して他方の補強板62に達している。
なお、第2実施形態は、スタッドボルト64A,64Bに緊張力が付与られておらず、各補強板62がコンクリート側面12Sに摩擦接合されていない。そのため、上記第1実施形態のPC鋼棒40A,40Bよりもスタッドボルト64A,64Bの本数が多くなっている。
ここで、図7に示されるように、補強板62の取付孔34とスタッドボルト64Aとの隙間Eには、隙間埋め部(取付孔用充填材)としてのモルタル26Aが充填されている。このモルタル26Aによって隙間Eが埋められると共に、その付着力によってスタッドボルト64Aと補強板62とが一体化されている。スタッドボルト64Bと取付孔34との隙間についても同様である。なお、スタッドボルト64Aと梁12の取付孔24との隙間には、当該隙間にモルタル26が浸入しないように図示しないシール材が設けられている。
次に、第2実施形態に係る有孔梁の補強構造の作用について説明する。なお、第1実施形態と同様の作用については適宜省略する。
梁12のコンクリートコア部12Cに梁材軸方向の一端側から他端側へ向けてせん断力が伝達されると、貫通孔22の梁材軸方向一方側に配置されたスタッドボルト64Aを介してコンクリートコア部12Cから一対の補強板62へせん断力が伝達されると共に、貫通孔22の梁材軸方向他方側に配置されたスタッドボルト64Bを介して一対の補強板62からコンクリートコア部12Cへせん断力が伝達される。これにより、コンクリートコア部12Cを流れるせん断力が貫通孔22の周辺部を迂回してコンクリートコア部12Cの梁材軸方向の一端側から他端側へ伝達される。したがって、貫通孔22の周辺部に対するせん断力の集中が低減されるため、貫通孔22の周辺部のひび割れや剥落等によるコンクリート側面の損傷が抑制される。
また、各スタッドボルト64A,64Bと補強板62の取付孔34との隙間Eにはモルタル26Aが充填されている。このモルタル26Aによって隙間Eを埋めることにより、各スタッドボルト64A,64Bに対する補強板62の相対変位(ガタツキ)が抑制される。さらに、モルタル26Aの付着力によって各スタッドボルト64A,64Bと補強板62とが一体化される。これにより、各スタッドボルト64A,64Bと補強板62との間のせん断力の伝達効率が向上する。したがって、隙間Eにモルタル26Aを充填しない構成と比較して、貫通孔22の周辺部に対するせん断力の集中が低減される。
さらに、本実施形態では、上記第1実施形態と異なり、スタッドボルト64Aに緊張力を付与しておらず、主としてスタッドボルト64A,64Bのせん断抵抗によってコンクリートコア部12Cと一対の補強板62との間でせん断力を伝達する。したがって、設計が容易化すると共に、スタッドボルト64Aに緊張力を付与しない分、施工性が向上する。
次に、第3実施形態に係る有孔梁の補強構造について説明する。なお、上記第1,第2実施形態と同様の構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図8に示されるように、第3実施形態に係る有孔梁の補強構造70では、一対の補強板62が複数のボルト部材(せん断力伝達部材)としての複数のアンカーボルト72を介してコンクリート側面12Sに固定されている。なお、複数のアンカーボルト72の配置は、図6(A)に示されるスタッドボルト64A,64Bと同様であり、補強板62における貫通孔22及び開孔32の梁材軸方向両側に上下方向(梁成方向)及び梁材軸方向に間隔を空けて配置されている。
各アンカーボルト72は埋め込み型アンカーとされており、その一端部がコンクリート側面12Sからコンクリートコア部12Cへ延びる底付きの取付孔74に挿入されている。この取付孔74には接着剤やモルタル、グラウト等の固定用充填材76が充填されており、この固定用充填材76によってアンカーボルト72が梁12に固定されている。
一方、アンカーボルト72の他端部は補強板62の取付孔34に貫通されている。このアンカーボルト72の他端部には、ネジ部78が設けられている。このネジ部78にナット80を取り付けて締め込むことにより、補強板62がコンクリート側面12Sに固定されている。この状態では、複数のアンカーボルト72が、補強板62における貫通孔22(図6(A)参照)の梁材軸方向両側からコンクリートコア部12Cへそれぞれ延出している。なお、本実施形態では、各補強板62とコンクリート側面12Sとの間にモルタル26が充填されておらず、補強板62がコンクリート側面12Sに直接的に重ねられている。
次に、第3実施形態に係る有孔梁の補強構造の作用について説明する。なお、上記第1,第2実施形態と同様の作用については適宜省略する。
梁12のコンクリートコア部12Cに梁材軸方向の一端側から他端側へ向けてせん断力が伝達されると、貫通孔22の梁材軸方向一方側に配置されたアンカーボルト72を介してコンクリートコア部12Cから補強板62へせん断力が伝達されると共に、貫通孔22の梁材軸方向他方側に配置されたアンカーボルト72を介して一対の補強板62からコンクリートコア部12Cへせん断力が伝達される。これにより、コンクリートコア部12Cを流れるせん断力が貫通孔22の周辺部を迂回してコンクリートコア部12Cの梁材軸方向の一端側から他端側へ伝達される。したがって、貫通孔22の周辺部に対するせん断力の集中が低減されるため、貫通孔22の周辺部のひび割れや剥落等によるコンクリート側面の損傷が抑制される。
また、アンカーボルト72を用いたことにより、一対の補強板62を両側のコンクリート側面12Sに別々に固定することができる。したがって、施工性が向上する。
なお、本実施形態では、両側のコンクリート側面12Sに補強板62を固定した例を示したが、これに限らない。補強板62は、両側のコンクリート側面12Sの少なくも一方に固定することができる。
また、図9(A)に示されるように、ナット82の外周縁部に隙間埋め部(挿入部)としての段部82Aを設け、当該段部82Aを補強板62の取付孔34に挿入することにより、アンカーボルト72と取付孔34との隙間Eを埋めても良い。
具体的には、ナット82における補強板62側の外周縁部には、ナット82の本体部82Bよりも直径が小さい円柱形の段部82Aが設けられている。この段部82Aの直径は、取付孔34の直径よりも僅かに小さくされている。なお、ナット82の本体部82Bの直径は、取付孔34の直径よりも大きい。
したがって、アンカーボルト72のネジ部78にナット82を締め込むと、補強板62がコンクリート側面12Sに固定されると共に、ナット82の段部82Aがアンカーボルト72と取付孔34との隙間Eに挿入される。これにより、アンカーボルト72と取付孔34との隙間が埋められるため、アンカーボルト72に対する補強板62の相対変位(ガタツキ)が抑制される。したがって、アンカーボルト72と補強板62との間のせん断力の伝達効率が向上する。
しかも、アンカーボルト72のネジ部78にナット82を締め込むことにより、アンカーボルト72と取付孔34との隙間Eを埋めることができるため、施工性が向上する。
また、図9(B)に示されるように、ナット84の外周縁部には、挿入部として、補強板62へ向うに従って直径が小さくなる円錐台状のテーパ部84Aを設けても良い。このテーパ部84Aを補強板62の取付孔34に挿入すると共に、当該テーパ部84Aを取付孔34の周縁部に当接させることにより、アンカーボルト72に対する補強板62の相対変位(ガタツキ)をより確実に抑制することができる。したがって、アンカーボルト72と補強板62との間のせん断力の伝達効率がさらに向上する。なお、ナット82,84は、上記第2実施形態にも適用可能である。
さらに、アンカーボルト72と取付孔34との隙間Eには、上記第2実施形態で説明した隙間埋め部(取付孔用充填材)としてのモルタル26A(図7参照)を充填し、当該隙間Eを埋めても良い。
次に、上記第1〜第3実施形態に係る有孔梁の補強構造の変形例について説明する。なお、以下では、上記第1実施形態を例に各種の変形例について説明するが、これらの変形例は上記第2,第3実施形態にも適宜適用可能である。
上記実施形態では、一対の補強板30を長方形に形成した例を示したが、これに限らない。一対の補強板30は、梁材軸方向に長手(長尺)の部材であれば良く、例えば、長軸を梁材軸方向とした楕円形に形成しても良い。
また、上記実施形態では、上下一対のPC鋼棒40Aを上下方向に並べて配置したが、これに限らない。複数のPC鋼棒40Aの配置や本数は適宜変更可能であり、例えば、複数のPC鋼棒40Aを千鳥状やマトリクス状に配置しても良い。PC鋼棒40Bの配置や本数についても同様である。
また、上記実施形態では、PC鋼棒40A,40Bの両端部にネジ部42を設けた例を示したが、PC鋼棒40A,40Bの一端部に補強板30に係止される係止部(頭部)を設け、他端部にのみネジ部42を設けても良い。
また、上記実施形態では、補強板30と梁12との隙間に密着用充填材としてのモルタル26を充填した例を示したが、これに限らない。密着用充填材としては、例えば、モルタル、グラウト等を含むセメント系充填材を充填しても良いし、樹脂系の樹脂系充填材を充填しても良い。また、密着用充填材には、接着剤を用いることも可能である。取付孔用充填材の種類(材質)についても同様である。なお、これらの密着用充填材及び取付孔用充填材は、必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。
さらに、上記実施形態では、梁12のコンクリート側面12Sに円形の貫通孔22を形成した例を示したが、これに限らない。コンクリート側面12Sに形成する貫通孔22の大きさ、形状はその用途に応じて適宜変更可能であり、例えば、コンクリート側面12Sに楕円形や矩形の貫通孔を形成しても良い。この場合、補強板30に形成する開孔の大きさ、形状は、貫通孔に応じて適宜変更すれば良い。また、上記実施形態では、梁12の梁成方向の略中央部に貫通孔22を形成した例を示したが、貫通孔22の配置は適宜変更可能である。
さらにまた、上記実施形態では、スラブ14が一体された梁12に対して一対の補強板30を取り付けた例を示したが、スラブ14が一体されていない梁12に対して一対の補強板30を取り付けても良い。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10 有孔梁の補強構造
12 梁
12C コンクリートコア部
12S コンクリート側面
20 せん断補強筋
22 貫通孔
26A モルタル(隙間埋め部、取付孔用充填材)
30 補強板
32 開孔
34 取付孔
40A PC鋼棒(せん断力伝達部材、緊張線材)
40B PC鋼棒(せん断力伝達部材、緊張線材)
60 有孔梁の補強構造
62 補強板
64A スタッドボルト(せん断力伝達部材、ボルト部材)
64B スタッドボルト(せん断力伝達部材、ボルト部材)
66 ネジ部
68 ナット
70 有孔梁の補強構造
72 アンカーボルト(せん断力伝達部材、ボルト部材)
78 ネジ部
80 ナット
82 ナット
82A 段部(隙間埋め部、挿入部)
84 ナット
84A テーパ部(隙間埋め部、挿入部)

Claims (6)

  1. せん断補強筋によって囲まれたコンクリートコア部をコンクリート側面から貫通する貫通孔が形成された鉄筋コンクリート製の梁と、
    前記貫通孔と通じる開孔が形成され、前記コンクリート側面に前記梁の梁材軸方向に沿って重ねられた補強板と、
    前記補強板における前記貫通孔の前記梁材軸方向両側から前記コンクリートコア部へそれぞれ延出し、該補強板を前記コンクリート側面に固定する複数のせん断力伝達部材と、
    を備えた有孔梁の補強構造。
  2. 前記梁の両側には、該梁を挟んで互いに対向する一対の前記補強板が配置され、
    複数の前記せん断力伝達部材が、前記梁を貫通すると共に、緊張力が付与された状態で一対の前記補強板を連結する緊張線材である、
    請求項1に記載の有孔梁の補強構造。
  3. 前記補強板における前記貫通孔の前記梁材軸方向両側には、一対の前記せん断力伝達部材が上下方向に並んで配置されている、
    請求項1又は請求項2に記載の有孔梁の補強構造。
  4. 前記せん断力伝達部材が、一端部が前記補強板に形成された取付孔を貫通すると共に、該一端部にナットが取り付けられるネジ部が設けられたボルト部材とされ、
    前記取付孔と前記ボルト部材との隙間には、該隙間を埋める隙間埋め部が設けられている、
    請求項1に記載の有孔梁の補強構造。
  5. 前記隙間埋め部が、前記隙間に充填された取付孔用充填材である、
    請求項4に記載の有孔梁の補強構造。
  6. 前記隙間埋め部が、前記ナットの外周縁部に形成され、前記取付孔に挿入される挿入部である、
    請求項4に記載の有孔梁の補強構造。
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