JP2014091725A - (メタ)アクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、レジスト原料、高機能性ポリマー原料として有用な(メタ)アクリル酸エステルの製造方法に関する。
一般に、第3級アルコールのエステル化物(=第3級アルコールエステル)を合成する方法としては下記方法が知られている。
1)二置換オレフィンに(メタ)アクリル酸を付加させて第3級アルコールエステルを得る方法
2)第3級アルコールと(メタ)アクリル酸ハライド又はジ(メタ)アクリル酸無水物を反応させて第3級アルコールエステルを得る方法
3)ケトンに有機リチウム試薬及び(メタ)アクリル酸ハライドを反応させて第3級アルコールエステルを得る方法
1)二置換オレフィンに(メタ)アクリル酸を付加させて第3級アルコールエステルを得る方法
2)第3級アルコールと(メタ)アクリル酸ハライド又はジ(メタ)アクリル酸無水物を反応させて第3級アルコールエステルを得る方法
3)ケトンに有機リチウム試薬及び(メタ)アクリル酸ハライドを反応させて第3級アルコールエステルを得る方法
しかし、第一番目の方法は、原料となる二置換オレフィンの入手や取り扱いが困難な場合があり、工業的には採用し難い方法である。
第二番目の方法は第3級アルコールの入手が容易なことから多用されている。第3級アルコールと(メタ)アクリル酸ハライドを反応させて第3級アルコールエステルを得る方法としては、特許文献1にはトリエチルアミン等のアミン類の存在下、対応する第3級アルコールに(メタ)アクリル酸ハライドを反応させる方法が記載されている。しかしながら、ヒドロキシル基が結合している炭素原子に嵩高い脂環式炭化水素基等を含有する第3級アルコールを出発原料とする場合、第3級アルコールエステルの重合物が多く生成したり、多量の塩が析出したりするために第3級アルコールの濃度を上げられない等の問題があり、効率よく第3級アルコールエステルを合成することは困難であった。また、出発原料として用いる第3級アルコールは、水溶性が高い場合はそれ自体の単離が困難であり、水溶性や揮発性が低い場合は、目的物である(メタ)アクリル酸エステルとの分離が困難となるため、それも収率低下の一因であった。
特許文献2には、有機金属化合物(例えば、有機リチウム試薬、グリニア試薬等)と(メタ)アクリル酸ハライドを第3級アルコールに反応させることにより第3級アルコールエステルを得る発明が記載されている。しかしながら、収率の点で満足できるものではなかった。特許文献3には、前記有機金属化合物と第3級アミン存在下、第3級アルコールと(メタ)アクリル酸ハライドを反応させて(メタ)アクリル酸エステルを得る方法が開示されている。しかし、未だ収率の点で満足できるものではなかった。
一方、第3級アルコールとジ(メタ)アクリル酸無水物を反応させて第3級アルコールエステルを得る方法としては、4−(ジメチルアミノ)ピリジンなどの触媒の存在下で第3級アルコールとジ(メタ)アクリル酸無水物を反応させる方法が知られている(非特許文献1〜4)。また、触媒を用いない事例として、溶媒量の無水酢酸を用いてアセチル化する方法が公開されているが(非特許文献5)、本方法を(メタ)アクリル酸エステルの合成に適用するためには、多量のジ(メタ)アクリル酸無水物を用いる必要があり、生成物の単離・精製が困難であり、経済的な観点からも実施が困難であった。
第三番目の方法として、非特許文献6には、ケトン(R−CO−R’:R、R’は鎖状炭化水素基)を有機リチウム試薬(R”Li:R”は鎖状炭化水素基、又は芳香族炭化水素基)と反応させ、さらに(メタ)アクリル酸ハライドを作用させることにより、第3級アルコールエステルを得る方法が記載されている。しかし、嵩高い脂環式炭化水素基を有するケトンを使用する場合には、第3級アルコールエステルを満足できる収率で得られないことが問題であった。
第5版 実験化学講座16 有機化合物の合成IV−カルボン酸・アミノ酸・ペプチド− 42頁、丸善株式会社、平成17年3月31日発行
ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー、第76巻14号、5825頁(2011年)
アンゲバンテ へミー インターナショナル エディション、47巻52号、10110頁(2008年)
ジャーナル オブ アメリカンケミカルソサイエティー、第121巻21号、5087頁(1999年)
ジャーナル オブ アグリカルチュアル アンド フード ケミストリー、第48巻6号、2547頁(2000年)
ジャーナル オブ アメリカンケミカルソサイエティー、第95巻、1586頁(1973年)
従って、本発明の目的は、ケトンを出発原料として、優れた収率で(メタ)アクリル酸エステルを製造することができる(メタ)アクリル酸エステルの製造方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、有機金属化合物(例えば、有機リチウム試薬、グリニア試薬等)と、(メタ)アクリル酸ハライド又はジ(メタ)アクリル酸無水物を第3級アルコールに反応させて第3級アルコールエステルを製造する場合、第3級アルコールは、まず有機金属化合物と反応して第3級アルコールの金属塩を形成し、得られた第3級アルコールの金属塩が(メタ)アクリル酸ハライド又はジ(メタ)アクリル酸無水物と反応することにより第3級アルコールエステルが得られるが、嵩高い基を有する第3級アルコールを出発原料とした場合は、その立体障害により有機金属化合物との反応の進行が抑制され、第3級アルコールエステルの収率が低下することがわかった。
また、一般的に第3級アルコールエステルは酸感応性を有するため、(メタ)アクリル酸ハライドを用いてエステルを合成する場合には、副生するハロゲン酸又はその塩により、生成した第3級アルコールエステルが分解して、収率が低下することがわかった。
そして、出発原料として第3級アルコールに代えてケトンを使用すると、嵩高い基を有するケトンであっても前記有機金属化合物と速やかに反応して第3級アルコールの有機金属化合物付加物を形成すること、第3級アルコールは水溶性が高い場合はそれ自体の単離が困難であり、水溶性が低い又は揮発し難い場合は目的物との分離が困難であるが、そのような第3級アルコールを使用しないため、生成物中に残存する第3級アルコールの単離に伴う収率低下を防止することができること、(メタ)アクリル酸ハライドに代えてジ(メタ)アクリル酸無水物を使用すると、副生する(メタ)アクリル酸又はその塩は(メタ)アクリル酸ハライドを使用する場合に副生するハロゲン酸又はその塩よりも酸性度が低いため、生成物の分解を抑制し、収率を向上する効果があること、及び前記第3級アルコールの有機金属化合物付加物にジ(メタ)アクリル酸無水物を反応させると、触媒の非存在下でもジ(メタ)アクリル酸無水物が前記第3級アルコールの有機金属化合物付加物に速やかに反応して、対応する(メタ)アクリル酸エステルを製造することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、下記式(1)及び/又は(2)
R1MgX1 (1)
R1Li (2)
(式中、R1はアルキル基又はハロアルキル基を示し、X1はハロゲン原子を示す)
で表される有機金属化合物と下記式(3)
(式中、R2はアルキル基を示し、環Zは置換基を有していてもよい炭素数3〜8の炭化水素環を示す)
で表されるケトンとの付加反応生成物にジ(メタ)アクリル酸無水物を反応させて、下記式(4)
(式中、R1、R2、環Zは前記に同じ。R3は水素原子又はメチル基を示す)
で表される(メタ)アクリル酸エステルを得る(メタ)アクリル酸エステルの製造方法を提供する。
R1MgX1 (1)
R1Li (2)
(式中、R1はアルキル基又はハロアルキル基を示し、X1はハロゲン原子を示す)
で表される有機金属化合物と下記式(3)
で表されるケトンとの付加反応生成物にジ(メタ)アクリル酸無水物を反応させて、下記式(4)
で表される(メタ)アクリル酸エステルを得る(メタ)アクリル酸エステルの製造方法を提供する。
前記式(3)で表されるケトンとしてはシクロプロピルメチルケトン、シクロプロピルエチルケトン、シクロブチルメチルケトン、シクロブチルエチルケトン、及びアセトフェノンから選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。
前記有機金属化合物としてはメチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムクロリド、及びブチルマグネシウムクロリドから選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。
本発明の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法においては、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、ピリジン、酢酸ナトリウム、カルボン酸塩(ただし反応系中で形成される(メタ)アクリル酸マグネシウム及び/又は(メタ)アクリル酸リチウムは除く)、Cu化合物、及びAu化合物から選択される触媒の非存在下で反応を行うことが好ましい。
本発明に係る(メタ)アクリル酸エステルの製造方法によれば、入手が容易なケトンを出発原料とし、優れた収率で対応する(メタ)アクリル酸エステルを製造することができる。そのため、本発明に係る(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は工業化に適している。本発明により得られる(メタ)アクリル酸エステルは、レジスト原料、高機能性ポリマー原料として有用である。尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
[有機金属化合物]
本発明では、前記式(1)及び/又は(2)で表される有機金属化合物を用いる。式中、R1はアルキル基又はハロアルキル基を示し、X1はハロゲン原子を示す。
本発明では、前記式(1)及び/又は(2)で表される有機金属化合物を用いる。式中、R1はアルキル基又はハロアルキル基を示し、X1はハロゲン原子を示す。
R1におけるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル基等のC1-6アルキル基等(好ましくは、C1-4アルキル基)を挙げることができる。
R1におけるハロアルキル基としては、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル基等の前記アルキル基を構成する水素原子の1個又は2個以上がフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子で置き換えられた基等を挙げることができる。
X1におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
式(1)で表される有機金属化合物の代表的な例として、メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリド等の有機マグネシウム化合物(グリニア試薬)を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、式(2)で表される有機金属化合物の代表的な例として、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等の有機リチウム化合物を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明における有機金属化合物としては、なかでも、取り扱いが容易であり、安全にスケールアップすることができ工業化に適している点で、上記式(1)で表される有機金属化合物(特に、メチルマグネシウムクロリド)を使用することが好ましい。
[ケトン]
本発明におけるケトンは、前記式(3)で表される。式(3)中、R2はアルキル基を示し、環Zは置換基を有していてもよい炭素数3〜8の炭化水素環を示す。
本発明におけるケトンは、前記式(3)で表される。式(3)中、R2はアルキル基を示し、環Zは置換基を有していてもよい炭素数3〜8の炭化水素環を示す。
R2におけるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基等を挙げることができる。本発明においては、なかでも、炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4、特に好ましくは炭素数1〜3、最も好ましくは炭素数1〜2)のアルキル基が好ましい。
環Zにおける炭素数3〜8の炭化水素環としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル等のシクロアルカン環;シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン等のシクロアルケン環;フェニル等の芳香族環を挙げることができる。本発明においては、なかでも、炭素数3〜8(特に好ましくは、炭素数3〜6)のシクロアルカン環が好ましい。
環Zは置換基を有していてもよい。該置換基としては、反応を損なわないものであれば特に限定されることがなく、例えば、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル基等)、炭素数3〜8のシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基等)、炭素数2〜6のアルケニル基(例えば、エチニル、ブチニル基等)、炭素数3〜8のシクロアルケニル基(前記シクロアルキル基に1個以上の不飽和結合を有するもの、例えば、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル基等)、炭素数6〜12のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル基等)、炭素数4〜9の複素環基(例えば、フラニル、インドリル基等)、ヒドロキシル基、及びニトロ基等から選択される少なくとも1種の基を挙げることができる。
本発明におけるケトンの代表的な例としては、シクロプロピルメチルケトン、シクロプロピルエチルケトン、シクロブチルメチルケトン、シクロブチルエチルケトン、アセトフェノン等を挙げることができる。
[ジ(メタ)アクリル酸無水物]
本発明におけるジ(メタ)アクリル酸無水物としては、ジアクリル酸無水物、ジメタクリル酸無水物、及びこれらの混合物を挙げることができる。本発明においては、なかでも、入手が容易な点でジメタクリル酸無水物が好ましい。
本発明におけるジ(メタ)アクリル酸無水物としては、ジアクリル酸無水物、ジメタクリル酸無水物、及びこれらの混合物を挙げることができる。本発明においては、なかでも、入手が容易な点でジメタクリル酸無水物が好ましい。
[第3級アミン]
本発明においては、副生する(メタ)アクリル酸を塩として捕捉するために第3級アミンを使用してもよい。第3級アミンを使用することにより(メタ)アクリル酸エステルの分解をより一層低く抑制することができ、収率を更に向上することができる。前記第3級アミンとしては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂環式アミン、複素環アミン等を挙げることができる。また、ヒドロキシル基やニトロ基等が含まれていてもよい。さらに、モノアミンの他、ジアミン等のポリアミンであってもよい。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明においては、副生する(メタ)アクリル酸を塩として捕捉するために第3級アミンを使用してもよい。第3級アミンを使用することにより(メタ)アクリル酸エステルの分解をより一層低く抑制することができ、収率を更に向上することができる。前記第3級アミンとしては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂環式アミン、複素環アミン等を挙げることができる。また、ヒドロキシル基やニトロ基等が含まれていてもよい。さらに、モノアミンの他、ジアミン等のポリアミンであってもよい。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明における第3級アミンの具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチル−ジエチルアミン、N−エチル−ジメチルアミン、N−エチル−ジアミルアミン等の脂肪族アミン;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の芳香族アミン;N,N−ジメチル−シクロヘキシルアミン、N,N−ジエチル−シクロヘキシルアミン等の脂環式アミン;N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)、N−メチルピリジン、N−メチルピロリジン等の複素環アミン;テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン等のジアミン等を挙げることができる。
本発明における第3級アミンとしては、特に、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族アミン、N−メチルモルホリン等の複素環アミンが好ましく、特にトリメチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族アミンが、(メタ)アクリル酸エステルの収率をより向上させることができる点で好ましい。
[(メタ)アクリル酸エステルの製造方法]
本発明に係る(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は、下記式(1)及び/又は(2)
R1MgX1 (1)
R1Li (2)
(式中、R1はアルキル基又はハロアルキル基を示し、X1はハロゲン原子を示す)
で表される有機金属化合物と下記式(3)
(式中、R2はアルキル基を示し、環Zは置換基を有していてもよい炭素数3〜8の炭化水素環を示す)
で表されるケトンとの付加反応生成物にジ(メタ)アクリル酸無水物を反応させて、下記式(4)
(式中、R1、R2、環Zは前記に同じ。R3は水素原子又はメチル基を示す)
で表される(メタ)アクリル酸エステルを得ることを特徴とする。
本発明に係る(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は、下記式(1)及び/又は(2)
R1MgX1 (1)
R1Li (2)
(式中、R1はアルキル基又はハロアルキル基を示し、X1はハロゲン原子を示す)
で表される有機金属化合物と下記式(3)
で表されるケトンとの付加反応生成物にジ(メタ)アクリル酸無水物を反応させて、下記式(4)
で表される(メタ)アクリル酸エステルを得ることを特徴とする。
本発明において、前記上記式(1)及び/又は(2)で表される有機金属化合物と上記式(3)で表されるケトンとの付加反応生成物は、上記式(1)で表される有機金属化合物を使用した場合は下記式(5-1)、上記式(2)で表される有機金属化合物を使用した場合は下記式(5-2)で表される第3級アルコールの有機金属化合物付加物である。
すなわち、発明に係る(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は下記工程を含むことが好ましい。
第1工程:上記式(1)及び/又は(2)で表される有機金属化合物と、上記式(3)で表されるケトンを反応させて、上記式(1)で表される有機金属化合物を使用した場合は上記式(5-1)、上記式(2)で表される有機金属化合物を使用した場合は上記式(5-2)で表される第3級アルコールの有機金属化合物付加物を形成する工程
第2工程:上記式(5-1)及び/又は上記式(5-2)で表される第3級アルコールの有機金属化合物付加物にジ(メタ)アクリル酸無水物を反応させ、上記式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステルを形成する工程
第1工程:上記式(1)及び/又は(2)で表される有機金属化合物と、上記式(3)で表されるケトンを反応させて、上記式(1)で表される有機金属化合物を使用した場合は上記式(5-1)、上記式(2)で表される有機金属化合物を使用した場合は上記式(5-2)で表される第3級アルコールの有機金属化合物付加物を形成する工程
第2工程:上記式(5-1)及び/又は上記式(5-2)で表される第3級アルコールの有機金属化合物付加物にジ(メタ)アクリル酸無水物を反応させ、上記式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステルを形成する工程
本発明では第1工程において、前記有機金属化合物との反応性に優れるケトンを出発原料として使用するため、立体障害が大きい基を有しているケトンであっても速やかに反応させることができ、前記第3級アルコールの有機金属化合物付加物を形成することができる。そして、第1工程終了後、クエンチすることなく(すなわち、水や酸を添加することなく)第2工程に移行するため、第3級アルコールは形成されない。従って、本発明においては、水溶性が高い場合はそれ自体の単離が困難であり、水溶性が低い又は揮発し難い場合は目的物との分離が困難である第3級アルコールを抽出、濃縮操作等により取り除く工程を省くことができ、抽出、濃縮操作等に伴う(メタ)アクリル酸エステルの損失を防ぐことができる。
また、本発明では第2工程において、第1工程で得られた第3級アルコールの有機金属化合物付加物にジ(メタ)アクリル酸無水物を反応させるが、第3級アルコールの有機金属化合物付加物は反応性が十分に高いため触媒[例えば、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、ピリジン、酢酸ナトリウム、カルボン酸塩(ただし、式(1)で表される有機金属化合物を使用した際に反応系中で形成される(メタ)アクリル酸マグネシウム及び、式(2)で表される有機金属化合物を使用した際に反応液中で形成される(メタ)アクリル酸リチウムは除く)、Cu化合物、及びAu化合物等]を用いる必要がない。
そして、第3級アルコールの有機金属化合物付加物はジ(メタ)アクリル酸無水物と速やかに反応して、高収率に上記式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステルが得られる。さらに、一般的に第3級アルコールエステルは酸感応性を有するため、(メタ)アクリル酸ハライドを用いてエステルを合成する場合には、副生するハロゲン酸又はその塩により生成した第3級アルコールエステルが分解する傾向があるが、本発明では、(メタ)アクリル酸ハライドに代えてジ(メタ)アクリル酸無水物を用い、副生する(メタ)アクリル酸又はその塩は、対応するハロゲン酸又はその塩よりも酸性度が低いため、生成物の分解を抑制する効果がある。
(第1工程)
前記式(1)及び/又は(2)で表される有機金属化合物の使用量(2種以上を組み合わせて使用する場合はその総量)としては、式(3)で表されるケトン1モルに対して、例えば0.5〜2.0モル、好ましくは0.8〜1.8モル、特に好ましくは1.1〜1.4モルである。式(1)及び/又は(2)で表される有機金属化合物の使用量が上記範囲を下回ると、収率が低下する傾向がある。一方、式(1)及び/又は(2)で表される有機金属化合物の使用量が上記範囲を上回ると、経済性が悪化する傾向がある。
前記式(1)及び/又は(2)で表される有機金属化合物の使用量(2種以上を組み合わせて使用する場合はその総量)としては、式(3)で表されるケトン1モルに対して、例えば0.5〜2.0モル、好ましくは0.8〜1.8モル、特に好ましくは1.1〜1.4モルである。式(1)及び/又は(2)で表される有機金属化合物の使用量が上記範囲を下回ると、収率が低下する傾向がある。一方、式(1)及び/又は(2)で表される有機金属化合物の使用量が上記範囲を上回ると、経済性が悪化する傾向がある。
反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。溶媒を用いる場合には、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル等の飽和又は不飽和炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)等のエーテル系溶媒;スルホラン等のスルホラン類;シリコーンオイル等の高沸点溶媒等を使用することができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。本発明においては、なかでも、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)等のエーテル系溶媒や、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒を使用することが好ましい。
溶媒の使用量(2種以上を組み合わせて使用する場合はその総量)としては、反応成分を溶解又は分散可能であり、かつ経済性等を損なわない程度であれば特に制限されない。例えば、式(3)で表されるケトン1重量部に対して、0.1〜100重量部程度、好ましくは1〜20重量部の範囲である。
反応は、式(1)及び/又は(2)で表される有機金属化合物に式(3)で表されるケトンを滴下して行ってもよく、式(3)で表されるケトンに式(1)及び/又は(2)で表される有機金属化合物を滴下して行ってもよい。滴下時および反応熟成時温度は、例えば−80℃以上、反応系の沸点以下、好ましくは−20〜80℃、特に好ましくは−5〜50℃である。滴下時と反応熟成時の温度は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
反応の雰囲気は、反応を阻害しない範囲内で適宜選択することができ、空気雰囲気下、酸素雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下等の何れであってもよい。また、反応は、常圧下又は減圧下(例えば0.0001〜0.1MPa程度、好ましくは0.001〜0.1MPa程度)で行うことができ、操作上の理由により加圧下で行ってもよい。
(第2工程)
ジ(メタ)アクリル酸無水物の使用量(2種を組み合わせて使用する場合はその総量)としては、式(3)で表されるケトン1モルに対して、例えば0.5〜20モル程度、好ましくは0.8〜8モル、特に好ましくは1〜3モルである。ジ(メタ)アクリル酸無水物の使用量が上記範囲を下回ると、反応速度が低下する傾向がある。一方、ジ(メタ)アクリル酸無水物の使用量が上記範囲を上回っても反応成績の向上は認められず、経済性が悪化する傾向がある。
ジ(メタ)アクリル酸無水物の使用量(2種を組み合わせて使用する場合はその総量)としては、式(3)で表されるケトン1モルに対して、例えば0.5〜20モル程度、好ましくは0.8〜8モル、特に好ましくは1〜3モルである。ジ(メタ)アクリル酸無水物の使用量が上記範囲を下回ると、反応速度が低下する傾向がある。一方、ジ(メタ)アクリル酸無水物の使用量が上記範囲を上回っても反応成績の向上は認められず、経済性が悪化する傾向がある。
副生する(メタ)アクリル酸の捕捉剤として第3級アミンを使用する場合、その使用量(2種以上を組み合わせて使用する場合はその総量)としては、式(3)で表されるケトン1モルに対して、例えば0.5〜20モル程度、好ましくは0.8〜8モル、特に好ましくは1〜3モルである。また、ジ(メタ)アクリル酸無水物に対する使用量は、ジ(メタ)アクリル酸無水物1モルに対して、例えば0.5〜10モル程度、好ましくは0.8〜5モル、特に好ましくは0.8〜3モルである。第3級アミンを上記範囲で使用することにより(メタ)アクリル酸エステルの分解を低く抑制することができ、収率を向上することができる。
反応及び分離・精製の際には、系内に重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤を添加することにより、原料であるジ(メタ)アクリル酸無水物や、目的物である式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステルがそれぞれ単独で重合して、若しくは共重合して、オリゴマーを副生することを防止することができ、不純物としてのオリゴマー含有量が極めて低い(メタ)アクリル酸エステルを得ることができる。前記オリゴマー含有量が極めて低い(メタ)アクリル酸エステルは、レジスト用ポリマーの原料として用いると、均一且つ均質なレジスト膜を形成することができ、優れた感度及び解像度で微細パターンを形成することができるため、近年の基板回路の微細化に対応する上で重要である。
前記重合禁止剤としては、例えば、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、p−メトキシフェノール、フェノチアジン等を挙げることができる。また、反応系に分子状酸素を含む成分(例えば、空気、窒素等で希釈した空気)を共存させることによっても、重合反応を抑制することができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
重合禁止剤の使用量(2種以上を組み合わせて使用する場合はその総量)は、式(3)で表されるケトン100重量部に対して、例えば0.0001〜5重量部程度、好ましくは0.005〜4重量部である。
反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。溶媒を用いる場合には、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル等の飽和又は不飽和炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)等のエーテル系溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;スルホラン等のスルホラン類;ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;シリコーンオイル等の高沸点溶媒等を使用することができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。また、第3級アミンが溶媒を兼ねてもよい。本発明においては、なかでも、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)等のエーテル系溶媒や、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒を使用することが好ましい。
溶媒の使用量(2種以上を組み合わせて使用する場合はその総量)は、反応成分を溶解又は分散可能であり、かつ経済性等を損なわない程度であれば特に制限されない。例えば、ジ(メタ)アクリル酸無水物1重量部に対して、0.5〜100重量部程度、好ましくは1〜20重量部の範囲である。
第2工程の溶媒は、第1工程の溶媒と共通の溶媒を使用してもよく、異なる溶媒を使用してもよい。第1工程の溶媒と共通の溶媒を使用する場合、第1工程終了後、溶媒をそのまま使用してもよく、第1工程終了後、濃縮、希釈によって溶媒の濃度を調整してから使用してもよい。
反応温度は、例えば−50〜150℃程度であり、好ましくは−10〜80℃、特に好ましくは10〜50℃、最も好ましくは10℃以上40℃未満である。
反応の雰囲気は反応を阻害しない範囲で適宜選択でき、空気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下等の何れであってもよい。また、反応は、常圧下又は減圧下(例えば0.0001〜0.1MPa程度、好ましくは0.001〜0.1MPa程度)で行うことが多く、操作上の理由により加圧下で反応してもよい。
反応は、例えば、第1工程で得られた付加反応生成物に、必要に応じて第3級アミンを添加し、次いで、ジ(メタ)アクリル酸無水物(又はこれを含む溶液)を反応系内に逐次添加する方法等により行うことができる。前記重合禁止剤を添加する場合は、ジ(メタ)アクリル酸無水物を添加する前の適宜な時期に反応系内に添加することが好ましい。また、反応は、回分式、半回分式、連続式等の慣用の方法により行うことができる。
目的物である式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステルは、反応後そのまま、又は分離・精製して使用することができる。分離・精製は、周知慣用の方法、例えば、抽出、洗浄(例えば、酸、アルカリ又は水による洗浄)、蒸留、精留、分子蒸留、吸着等によって行うことができる。分離・精製は、連続的に行ってもよく、非連続的(回分式)に行ってもよい。分離・精製操作時の圧力は減圧又は常圧の何れであってもよい。
本発明においては、なかでも、反応後、水と有機溶媒を使用して抽出(分液)する精製工程を設けることが好ましい。前記有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタンなどの脂環式炭化水素系溶媒;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒等を挙げることができる。本発明では、特にシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒を使用することが、高純度の式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステルを優れた回収率で得ることができる点で好ましい。
本発明に係る(メタ)アクリル酸エステルの製造方法によれば、優れた収率(例えば50%以上、好ましくは60%以上)で、高純度(例えば、純度75%以上、好ましくは純度80%以上、特に好ましくは純度90%以上)の(メタ)アクリル酸エステルを得ることができる。
こうして得られた(メタ)アクリル酸エステルは、機能性高分子のモノマーや精密化学品の中間原料等、特に、レジスト用ポリマーの原料単量体として好適に使用することができる。本発明の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法によって得られた(メタ)アクリル酸エステルをレジスト用ポリマーの原料単量体として使用すると、均一且つ均質で、所望の微細パターンを精度よく形成することができるレジスト膜が得られる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。尚、反応成績はガスクロマトグラフィーにより分析した。
実施例1
(第1工程)
容量50mLの4つ口フラスコに還流冷却管と滴下漏斗、温度計を装着した。ここへメチルマグネシウムクロリドのTHF溶液(1.75M)44.7g(メチルマグネシウムクロリドとして0.08mol)を加え、窒素雰囲気下、反応系を撹拌した。
ここへ、シクロプロピルメチルケトン5g(0.06mol)を、反応器内温度を15〜20℃に保持しつつ、約30分かけて滴下した。滴下終了後、反応器内温度を20〜25℃に保持しつつ5時間撹拌した。
(第1工程)
容量50mLの4つ口フラスコに還流冷却管と滴下漏斗、温度計を装着した。ここへメチルマグネシウムクロリドのTHF溶液(1.75M)44.7g(メチルマグネシウムクロリドとして0.08mol)を加え、窒素雰囲気下、反応系を撹拌した。
ここへ、シクロプロピルメチルケトン5g(0.06mol)を、反応器内温度を15〜20℃に保持しつつ、約30分かけて滴下した。滴下終了後、反応器内温度を20〜25℃に保持しつつ5時間撹拌した。
(第2工程)
得られた反応液から22.3g(ケトン0.03mol分に相当)を分取し、p−メトキシフェノール0.0025g、フェノチアジン0.075gを添加した。窒素雰囲気下、撹拌し、反応器内温度を25〜30℃に保持しつつ、ジメタクリル酸無水物5.9g(0.039mol)を20分かけて滴下した。さらに、5時間撹拌を継続し、反応を終了した。反応中は、目的物であるメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルの収率を経時的に観測した。
反応終了後、反応系を酸処理して分析したところ、目的物であるメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルが79%検出された。主たる副生物は、原料由来の化合物である1−メチル−1−シクロプロピルエタノール(5%)であった。
得られた反応液から22.3g(ケトン0.03mol分に相当)を分取し、p−メトキシフェノール0.0025g、フェノチアジン0.075gを添加した。窒素雰囲気下、撹拌し、反応器内温度を25〜30℃に保持しつつ、ジメタクリル酸無水物5.9g(0.039mol)を20分かけて滴下した。さらに、5時間撹拌を継続し、反応を終了した。反応中は、目的物であるメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルの収率を経時的に観測した。
反応終了後、反応系を酸処理して分析したところ、目的物であるメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルが79%検出された。主たる副生物は、原料由来の化合物である1−メチル−1−シクロプロピルエタノール(5%)であった。
実施例2
第2工程において、トリエチルアミン3.6g(0.036mol)を添加した以外は、実施例1と同様に反応をおこなった。その結果、目的物であるメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルが84%検出された。主たる副生物は、原料由来の化合物である1−メチル−1−シクロプロピルエタノール(2%)であった。
第2工程において、トリエチルアミン3.6g(0.036mol)を添加した以外は、実施例1と同様に反応をおこなった。その結果、目的物であるメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルが84%検出された。主たる副生物は、原料由来の化合物である1−メチル−1−シクロプロピルエタノール(2%)であった。
実施例3
第2工程において、ジメタクリル酸無水物の滴下時および反応時の温度を25〜30℃から20〜25℃に変更した以外は、実施例1と同様に反応をおこなった。その結果、目的物であるメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルが87%検出された。主たる副生物は、原料由来の化合物である1−メチル−1−シクロプロピルエタノール(4%)であった。
第2工程において、ジメタクリル酸無水物の滴下時および反応時の温度を25〜30℃から20〜25℃に変更した以外は、実施例1と同様に反応をおこなった。その結果、目的物であるメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルが87%検出された。主たる副生物は、原料由来の化合物である1−メチル−1−シクロプロピルエタノール(4%)であった。
また、5時間撹拌後、反応を終了せず更に同温度下において撹拌を継続して目的物メタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルの収率の経時変化を観測したところ、滴下終了後4時間から7時間での目的物メタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルの単位反応液あたりの減少速度は、−2.05×10-5mol/g/hであった。下記比較例1での減少速度と比較すると、目的物の分解は0.45倍に抑制されていた。
実施例4
第2工程において、ジメタクリル酸無水物の滴下時および反応時の温度を25〜30℃から38〜40℃に変更し、滴下時間を20分間から1時間に変更した以外は実施例1と同様に反応をおこなった。その結果、目的物であるメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルが53%検出された。主たる副生物は、原料由来の化合物である1−メチル−1−シクロプロピルエタノール(9%)であった。
第2工程において、ジメタクリル酸無水物の滴下時および反応時の温度を25〜30℃から38〜40℃に変更し、滴下時間を20分間から1時間に変更した以外は実施例1と同様に反応をおこなった。その結果、目的物であるメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルが53%検出された。主たる副生物は、原料由来の化合物である1−メチル−1−シクロプロピルエタノール(9%)であった。
比較例1
容量5Lの4つ口フラスコに還流冷却管と滴下漏斗、温度計を装着した。ここへメチルマグネシウムクロリドのTHF溶液(1.75M)1340g(メチルマグネシウムクロリドとして2.3mol)を加え、窒素雰囲気下、反応系を撹拌した。
ここへ、シクロプロピルメチルケトン150g(1.8mol)を、反応器内温度を15〜25℃に保持しつつ滴下した。滴下終了後、反応器内温度を15〜25℃に保持しつつ4時間撹拌した。
容量5Lの4つ口フラスコに還流冷却管と滴下漏斗、温度計を装着した。ここへメチルマグネシウムクロリドのTHF溶液(1.75M)1340g(メチルマグネシウムクロリドとして2.3mol)を加え、窒素雰囲気下、反応系を撹拌した。
ここへ、シクロプロピルメチルケトン150g(1.8mol)を、反応器内温度を15〜25℃に保持しつつ滴下した。滴下終了後、反応器内温度を15〜25℃に保持しつつ4時間撹拌した。
得られた反応液にp−メトキシフェノール0.15g、フェノチアジン0.55gを添加した。ここへ、トリエチルアミン282g(2.8mol)を添加し、窒素雰囲気下、撹拌し、反応器内温度を15〜20℃に保持しつつ、メタクリル酸クロリド242g(2.3mol)を滴下した。さらに、4時間撹拌を継続し、反応を終了した。
反応終了後、反応系を酸処理して分析したところ、目的物であるメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルが64%検出された。主たる副生物は、原料由来の化合物である1−メチル−1−シクロプロピルエタノール(9%)であった。
反応中は、目的物であるメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルの収率を経時的に観測した。その結果、滴下終了後1時間から4時間での目的物メタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルの単位反応液あたりの減少速度は−4.5×10-5mol/g/hであった。
反応終了後、反応系を酸処理して分析したところ、目的物であるメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルが64%検出された。主たる副生物は、原料由来の化合物である1−メチル−1−シクロプロピルエタノール(9%)であった。
反応中は、目的物であるメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルの収率を経時的に観測した。その結果、滴下終了後1時間から4時間での目的物メタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルの単位反応液あたりの減少速度は−4.5×10-5mol/g/hであった。
実施例5
(第1工程)
容量5Lの4つ口フラスコに還流冷却管と滴下漏斗、温度計を装着した。ここへメチルマグネシウムクロリドのTHF溶液(1.8M)1290g(メチルマグネシウムクロリドとして2.3mol)を加え、窒素雰囲気下、反応系を撹拌した。
ここへ、シクロプロピルメチルケトン150g(1.8mol)を、反応器内温度を15〜25℃に保持しつつ滴下した。滴下終了後、反応器内温度を15〜25℃に保持しつつ4時間撹拌した。
(第1工程)
容量5Lの4つ口フラスコに還流冷却管と滴下漏斗、温度計を装着した。ここへメチルマグネシウムクロリドのTHF溶液(1.8M)1290g(メチルマグネシウムクロリドとして2.3mol)を加え、窒素雰囲気下、反応系を撹拌した。
ここへ、シクロプロピルメチルケトン150g(1.8mol)を、反応器内温度を15〜25℃に保持しつつ滴下した。滴下終了後、反応器内温度を15〜25℃に保持しつつ4時間撹拌した。
(第2工程)
このようにして得られた反応液へ、p−メトキシフェノール0.15g、フェノチアジン0.45gを添加した。ここへ、窒素雰囲気下、反応器内温度を15〜20℃に保持、撹拌しつつ、ジメタクリル酸無水物357g(2.3mol)を滴下した。さらに、4時間撹拌を継続し、反応を終了した。
このようにして得られた反応液へ、p−メトキシフェノール0.15g、フェノチアジン0.45gを添加した。ここへ、窒素雰囲気下、反応器内温度を15〜20℃に保持、撹拌しつつ、ジメタクリル酸無水物357g(2.3mol)を滴下した。さらに、4時間撹拌を継続し、反応を終了した。
(精製工程)
反応終了後、反応器内にシクロヘキサン750g、水495gを加え、ここへ10%塩酸1071gを、反応器温度が40℃以下になるように滴下し、分液して有機層を得た。得られた有機層を、750gの水で2回洗浄した。
次いで、有機層に10%水酸化ナトリウム水溶液535gを加え、分液して有機層を得た。得られた有機層を、再度750gの水で2回洗浄した。
このようにして得られた有機層を、減圧下、50℃以下の温度で濃縮して濃縮粗液を得た。この時点におけるメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチル回収率(シクロプロピルメチルケトン基準)は85%であった。
得られた濃縮粗液を減圧蒸留に付して目的とするメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルを留出成分として得た。純度95%以上の留分中のメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチル収率(シクロプロピルメチルケトン基準)は62%であった。また、留出分全体でのメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチル収率(シクロプロピルメチルケトン基準)は81%であった。
反応終了後、反応器内にシクロヘキサン750g、水495gを加え、ここへ10%塩酸1071gを、反応器温度が40℃以下になるように滴下し、分液して有機層を得た。得られた有機層を、750gの水で2回洗浄した。
次いで、有機層に10%水酸化ナトリウム水溶液535gを加え、分液して有機層を得た。得られた有機層を、再度750gの水で2回洗浄した。
このようにして得られた有機層を、減圧下、50℃以下の温度で濃縮して濃縮粗液を得た。この時点におけるメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチル回収率(シクロプロピルメチルケトン基準)は85%であった。
得られた濃縮粗液を減圧蒸留に付して目的とするメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルを留出成分として得た。純度95%以上の留分中のメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチル収率(シクロプロピルメチルケトン基準)は62%であった。また、留出分全体でのメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチル収率(シクロプロピルメチルケトン基準)は81%であった。
比較例2
ジメタクリル酸無水物に代えてメタクリル酸クロリドを用い、トリエチルアミンを共存させた以外は、実施例5とほぼ同等の条件で合成をおこなった。手順を以下に記す。
(第1工程)
容量5Lの4つ口フラスコに還流冷却管と滴下漏斗、温度計を装着した。ここへメチルマグネシウムクロリドのTHF溶液(1.75M)1340g(メチルマグネシウムクロリドとして2.3mol)を加え、窒素雰囲気下、反応系を撹拌した。
ここへ、シクロプロピルメチルケトン150g(1.8mol)を、反応器内温度を15〜25℃に保持しつつ滴下した。滴下終了後、反応器内温度を15〜25℃に保持しつつ4時間撹拌した。
ジメタクリル酸無水物に代えてメタクリル酸クロリドを用い、トリエチルアミンを共存させた以外は、実施例5とほぼ同等の条件で合成をおこなった。手順を以下に記す。
(第1工程)
容量5Lの4つ口フラスコに還流冷却管と滴下漏斗、温度計を装着した。ここへメチルマグネシウムクロリドのTHF溶液(1.75M)1340g(メチルマグネシウムクロリドとして2.3mol)を加え、窒素雰囲気下、反応系を撹拌した。
ここへ、シクロプロピルメチルケトン150g(1.8mol)を、反応器内温度を15〜25℃に保持しつつ滴下した。滴下終了後、反応器内温度を15〜25℃に保持しつつ4時間撹拌した。
(第2工程)
このようにして得られた反応液へ、p−メトキシフェノール0.15g、フェノチアジン0.55gを添加した。ここへ、トリエチルアミン282g(2.8mol)を添加し、窒素雰囲気下、撹拌し、反応器内温度を15〜20℃に保持しつつ、メタクリル酸クロリド242g(2.3mol)を滴下した。さらに、4時間撹拌を継続し、反応を終了した。
このようにして得られた反応液へ、p−メトキシフェノール0.15g、フェノチアジン0.55gを添加した。ここへ、トリエチルアミン282g(2.8mol)を添加し、窒素雰囲気下、撹拌し、反応器内温度を15〜20℃に保持しつつ、メタクリル酸クロリド242g(2.3mol)を滴下した。さらに、4時間撹拌を継続し、反応を終了した。
(精製工程)
反応終了後、反応器内にシクロヘキサン584g、水495gを加え、ここへ10%塩酸1025gを、反応器温度が40℃以下になるように滴下し、分液して有機層を得た。得られた有機層を、750gの水で2回洗浄した。
次いで、有機層に10%水酸化ナトリウム水溶液251gを加え、分液して有機層を得た。得られた有機層を、再度750gの水で2回洗浄した。
このようにして得られた有機層を、減圧下、50℃以下の温度で濃縮して濃縮粗液を得た。この時点におけるメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチル回収率(シクロプロピルメチルケトン基準)は58%であった。
得られた濃縮粗液を減圧蒸留に付すことにより、目的とするメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルを留出成分として得た。純度95%以上の留分中のメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチル収率(シクロプロピルメチルケトン基準)は42%であった。また、留出分全体でのメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチル収率(シクロプロピルメチルケトン基準)は58%であった。
反応終了後、反応器内にシクロヘキサン584g、水495gを加え、ここへ10%塩酸1025gを、反応器温度が40℃以下になるように滴下し、分液して有機層を得た。得られた有機層を、750gの水で2回洗浄した。
次いで、有機層に10%水酸化ナトリウム水溶液251gを加え、分液して有機層を得た。得られた有機層を、再度750gの水で2回洗浄した。
このようにして得られた有機層を、減圧下、50℃以下の温度で濃縮して濃縮粗液を得た。この時点におけるメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチル回収率(シクロプロピルメチルケトン基準)は58%であった。
得られた濃縮粗液を減圧蒸留に付すことにより、目的とするメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチルを留出成分として得た。純度95%以上の留分中のメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチル収率(シクロプロピルメチルケトン基準)は42%であった。また、留出分全体でのメタクリル酸−1−シクロプロピル−1−メチルエチル収率(シクロプロピルメチルケトン基準)は58%であった。
Claims (4)
- 式(3)で表されるケトンがシクロプロピルメチルケトン、シクロプロピルエチルケトン、シクロブチルメチルケトン、シクロブチルエチルケトン、及びアセトフェノンから選択される少なくとも1種の化合物である請求項1に記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
- 有機金属化合物がメチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムクロリド、及びブチルマグネシウムクロリドから選択される少なくとも1種の化合物である請求項1又は2に記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
- N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、ピリジン、酢酸ナトリウム、カルボン酸塩(ただし反応系中で形成される(メタ)アクリル酸マグネシウム及び/又は(メタ)アクリル酸リチウムは除く)、Cu化合物、及びAu化合物から選択される触媒の非存在下で反応を行う請求項1〜3の何れか1項に記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
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