JP2011213661A - 1−アルキリデンインダン類の製造方法 - Google Patents

1−アルキリデンインダン類の製造方法 Download PDF

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彬 椎橋
Tsutomu Takashima
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Abstract

【課題】高純度の1−アルキリデンインダン類を容易に製造する方法を提供。
【解決手段】インデンと、カルボニル化合物を反応させて、式(3)の1−ヒドロキシアルキルインデン類を得る第一の工程と、これを水素化して、1−ヒドロキシアルキルインダン類を得る第二の工程と、水酸基を脱離させて、式(1)の1−アルキリデンインダン類を得る第三の工程とを備える、1−アルキリデンインダン類の製造方法。
Figure 2011213661

Figure 2011213661

[式中、R及びRは水素原子又はメチル基を示す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、1−アルキリデンインダン類の製造方法に関する。
1−メチレンインダン等の1−アルキリデンインダン類は、機能性樹脂の原料、医農薬中間体として有用な化学物質である。従来、1−メチレンインダンの製造方法としてはいくつか知られているが、工業的には1−インダノンを原料とする方法が一般的である。1−インダノンを原料とする方法としては、例えば、特許文献1には、1−インダノンにメチルマグネシウムハライド(グリニャール(Grignard)試薬)を作用させてアルコール体を得、当該アルコール体を脱水反応させて1−メチレンインダンを得る方法が開示されている。また、特許文献2には、アルカリを溶媒に溶解しアルカリ溶液を得る工程、上記アルカリ溶液に、アルキルトリフェニルホスホニウムハライドを添加し、該アルキルトリフェニルホスホニウムハライドをアルカリ処理する工程、次いで、1−インダノン類を加え、該1−インダノン類のカルボニル基をC=C不飽和基に変換する工程を含む、1−メチレンインダン骨格を有する不飽和化合物の製造方法が開示されている。
また、1−インダノン以外の化合物を原料とする方法として、特許文献3には、インデン等の芳香族アルケンをヒドロホルミル化反応と脱水反応に供することにより、芳香族エキソメチレンを得る方法が開示されている。さらに、特許文献4には、(2,3−ジヒドロ−1H−インデニル)トリフェニルホスホニウムクロライドとアルカリを反応させてウィッティヒ試薬を生成した後、該ウィッティヒ試薬とカルボニル化合物を反応させて1−アルキリデンインダン類を製造する方法が開示されている。
特開2003−295441号公報 特開2008−280289号公報 特開2009−242251号公報 特開2008−285440号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、副生成物として1−メチルインデンが生成する場合があり、1−メチルインデンと1−メチレンインダンとの混合物から1−メチレンインダンを取り出す必要が生じ、高純度の1−メチレンインダンを得ることが困難である場合がある。
また、特許文献2及び4に記載の方法では、ウィッティヒ試薬から生じる化学量論量のトリフェニルホスフィンオキサイドが副生するため、多量のトリフェニルホスフィンオキサイドを含む反応混合物から1−アルキリデンインダン類を取り出す必要が生じ、高純度の1−アルキリデンインダン類を得るために煩雑な作業が必要となる場合がある。
さらに、特許文献3に記載の方法では、ヒドロホルミル化反応において、カルボニルクロロビス(トリフェニルホスフィン)ロジウムという高価な遷移金属錯体を用いる必要がある。また、一酸化炭素ガスを使用するための特殊な換気設備を必要とする等、反応が煩雑となる場合がある。
そこで本発明は、高純度の1−アルキリデンインダン類を容易に得ることが可能な、1−アルキリデンインダン類の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、酸又は塩基の存在下、インデンと、下記式(2):
Figure 2011213661

[式中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。]
で表されるカルボニル化合物又はその等価体とを反応させて、下記式(3):
Figure 2011213661

[式中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。]
で表される1−ヒドロキシアルキルインデン類を得る第一の工程と、
上記1−ヒドロキシアルキルインデン類を水素化して、下記式(4):
Figure 2011213661

[式中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。]
で表される1−ヒドロキシアルキルインダン類を得る第二の工程と、
上記1−ヒドロキシアルキルインダン類の水酸基を脱離させて、下記式(1):
Figure 2011213661

[式中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。]
で表される1−アルキリデンインダン類を得る第三の工程と、を備える、1−アルキリデンインダン類の製造方法を提供する。
本発明に係る製造方法によれば、第一、第二及び第三の工程を備えることで、高純度の1−アルキリデンインダン類を容易に製造することができる。
本発明に係る1−アルキリデンインダン類の製造方法において、上記第三の工程は、上記1−ヒドロキシアルキルインダン類、トリフェニルホスフィン、並びに、四塩化炭素、四臭化炭素及びヨウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種のハロゲン化剤を反応させて、下記式(5):
Figure 2011213661

[式中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示し、Xは、クロロ基、ブロモ基又はヨード基を示す。]
で表されるハロゲン化アルキルインダン類を得る工程と、
上記ハロゲン化アルキルインダン類と塩基とを反応させて、上記1−アルキリデンインダン類を得る工程と、を含むことが好ましい。
また、本発明に係る1−アルキリデンインダン類の製造方法において、上記第三の工程は、上記1−ヒドロキシアルキルインダン類と、塩基と、アルキルスルホン酸無水物、アリールスルホン酸無水物、アルキルスルホン酸ハライド、アリールスルホン酸ハライド、アルキルハライド、ジアルキル硫酸及び有機スルホン酸アルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種とを反応させて、下記式(6):
Figure 2011213661

[式中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示し、Xは、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基又はアルキルオキシ基を示す。]
で表される脱離基含有アルキルインダン類を得る工程と、
上記脱離基含有アルキルインダン類と塩基とを反応させて、上記1−アルキリデンインダン類を得る工程と、を含むものとすることもできる。
本発明によれば、高純度の1−アルキリデンインダン類を容易に製造することができる。
本発明の1−アルキリデンインダン類の製造方法の好適な実施形態について、以下に説明する。
本実施形態に係る製造方法は、下記式(1)で表される1−アルキリデンインダン類の製造方法であって、後述する第一の工程と、第二の工程と、第三の工程とを含む。
Figure 2011213661
及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。下記の式中でも同様である。
本実施形態に係る製造方法によれば、第一の工程と、第二の工程と、第三の工程とによって、高純度の1−アルキリデンインダン類を容易に得ることができる。また、本実施形態に係る製造方法によれば、第一の工程に供するカルボニル化合物を変更するだけで、同様の製造工程によって、R及びRが水素原子であるもの、R及びRはメチル基であるもの、並びに、Rが水素原子でありRがメチル基であるものを、いずれも高純度で容易に得ることができる。
本実施形態に係る製造方法は、例えば、下記スキーム1で表すことができる。
Figure 2011213661
スキーム1中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示し、Xは脱離基を示す。
(第一の工程)
第一の工程では、酸又は塩基の存在下、インデンと、下記式(2)で表されるカルボニル化合物又はその等価体とを反応させて、下記式(3)で表される1−ヒドロキシアルキルインデン類を得る。
Figure 2011213661
Figure 2011213661
式(2)で表されるカルボニル化合物は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド又はアセトンである。
式(2)で表されるカルボニル化合物の等価体としては、式(2)で表されるカルボニル化合物の多量体等が挙げられる。多量体としては、鎖状又は環状の多量体が挙げられ、例えば、下記式(8)で表すことができる。
Figure 2011213661
式中、nは2以上の整数を示す。nは3以上の整数であることが好ましく、また500以下の整数であることが好ましい。
また、等価体としてより具体的には、パラホルムアルデヒド、メタホルムアルデヒド、パラアルデヒド、メタアルデヒド等が挙げられる。
第一の工程における酸としては、ブレンステッド酸、ルイス酸が挙げられる。ブレンテッド酸としては、例えば、ホウ酸、炭酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、塩酸、過塩素酸、ケイ酸、リン酸、亜リン酸、リンモリブデン酸水和物及びカルボキシル基を有する酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸が使用できる。カルボキシル基を有する酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ラク酸、カプリル酸、ラウリン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、リノール酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、グリコール酸、クエン酸、乳酸、α−ヒドロキシイソラク酸、グリオキシル酸、アセト酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、フェニル酢酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、フェニルアラニン、ニコチン酸、ピコリン酸、ピペリジンカルボン酸等が挙げられるが、それらに限定されるものではない。これらのブレンステッド酸のうち硫酸、リンモリブデン酸などが好ましい。
ルイス酸としては、例えば、三塩化ホウ素、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体等のハロゲン化ホウ素化合物;四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン等のハロゲン化チタン化合物;四塩化スズ、四臭化スズ、四ヨウ化スズ等のハロゲン化スズ化合物;三塩化アルミニウム、アルキルジクロロアルミニウム、ジアルキルクロロアルミニウム等のハロゲン化アルミニウム化合物;五塩化アンチモン、五フッ化アンチモン等のハロゲン化アンチモン化合物;五塩化タングステン等のハロゲン化タングステン化合物;五塩化モリブデン等のハロゲン化モリブデン化合物;五塩化タンタル等のハロゲン化タンタル化合物;テトラアルコキシチタン等の金属アルコキシド、塩化ニオブ等のハロゲン化ニオブ化合物、臭化インジウム等のハロゲン化インジウム化合物などが挙げられるが、それらに限定されるものではない。これらのルイス酸のうち、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム、エチルジクロロアルミニウム、塩化ニオブ、臭化インジウムなどが好ましい。
酸の使用量は、インデン1モルに対して、0.05〜20モルであることが好ましく、0.5〜2モルであることがより好ましい。
第一の工程における塩基としては、例えば、リチウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド等のアルカリ金属アルコキシド;マグネシウムジアルコキシド、カルシウムジアルコキシド等のアルカリ土類金属アルコキシド;リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド等のアルカリ金属アミド;アルキルリチウム化合物;アルキルマグネシウムハライド化合物;炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;が挙げられる。アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属アルコキシドとしては、炭素数1〜6のアルコキシドが好ましい。
第一の工程における塩基としては、反応速度が速い、副反応が少ないという観点から、アルキルマグネシウムハライド化合物が好ましい。アルキルマグネシウムハライド化合物としては、エチルマグネシウムブロミド又はエチルマグネシウムクロリドがより好ましい。
塩基の使用量は、インデン1モルに対して、0.05〜20モルであることが好ましく、1〜2モルであることがより好ましい。
第一の工程において、酸と塩基とでは、反応が選択性良く進行する観点から、塩基を用いることが好ましい。
第一の工程における、インデンと式(2)で表されるカルボニル化合物(又はその等価体)との反応は、例えば、酸又は塩基の存在下、溶媒中で、反応温度−78〜160℃で行うことができる。また、好ましくは、インデン、塩基及び溶媒を含有する反応溶液に、式(2)で表されるカルボニル化合物(又はその等価体)を添加して反応させることにより行うことができる。
第一の工程における溶媒としては、n−へキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジエトキシメタン等のエーテル系溶媒;等が挙げられる。これらのうち、エーテル系溶媒と芳香族炭化水素系溶媒とを組み合わせて用いることが好ましく、テトラヒドロフラン又はジエチルエーテルとトルエンとの混合溶媒がより好ましい。
溶媒の使用量は、インデン1モルに対して、0.1L以上であることが好ましく、0.1〜10Lであることがより好ましく、0.2〜2Lであることがさらに好ましい。
第一の工程における反応温度は、用いる酸又は塩基の種類等によって適宜変更し得る。反応温度は、塩基としてアルキルリチウムを用いた場合、−78〜40℃であることが好ましく、塩基としてアルキルマグネシウムハライド化合物を用いた場合は、0〜100℃であることが好ましい。また、他の酸又は塩基を用いた場合には、0〜100℃であることが好ましい。
このような反応条件を選択することにより、十分に速い反応速度を維持しつつ、副反応を抑制することができる。
第一の工程においては、インデンと式(2)で表されるカルボニル化合物(又はその等価体)との反応終了後、反応溶液を酸性水溶液、塩基性水溶液等で洗浄し、回収した有機層を必要に応じて硫酸マグネシウム又は硫酸ナトリウムで脱水し、回収した有機層を濃縮(必要に応じて減圧濃縮)することが好ましい。
そして、第一の工程においては、例えば、上記濃縮後、活性炭処理、蒸留又はカラムクロマトグラフィー等の精製操作を経て、高純度の式(3)で表される1−ヒドロキシアルキルインデン類を、収率良く得ることができる。
(第二の工程)
第二の工程では、式(3)で表される1−ヒドロキシアルキルインデン類を水素化して、下記式(4)で表される1−ヒドロキシアルキルインダン類を得る。
Figure 2011213661
上記水素化は、例えば、金属触媒存在下、溶媒中、水素雰囲気下において、1−ヒドロキシアルキルインデン類を反応させることにより行うことができる。また、好ましくは、1−ヒドロキシアルキルインデン類、金属触媒及び溶媒を含有する反応溶液が導入された反応容器中に水素を充填することにより、行うことができる。
水素化における水素圧力は、0.05〜10MPaであることが好ましく、0.1〜3MPaであることがより好ましく、0.1〜2MPaであることがさらに好ましい。
水素化における反応温度は、0〜150℃であることが好ましく、15〜100℃であることがより好ましい。反応温度が上記範囲より高いと、芳香族の還元や水酸基の脱離等の副反応が併発する場合があり、上記範囲より低いと、反応速度が低下する場合がある。
第二の工程における金属触媒としては、接触水素化反応に一般に使用されるものを用いることができ、例えば、PtO、PtO、ラネーNi、活性炭に担持されたPt、活性炭に担持されたPd、BaSOに担持されたPd、Alに担持されたPd、Alに担持されたPt、活性炭に担持されたRu、等を用いることができる。これらのうち、活性炭に担持されたPd、ラネーNi、PtOが好ましく、PtOが特に好ましい。
金属触媒の使用量は、1−ヒドロキシアルキルインデン類1モルに対して、0.0001〜0.5モルであることが好ましく、0.001〜0.02モルであることがより好ましい。
第二の工程における溶媒としては、炭素数1〜4のアルコール化合物、テトラヒドロフラン(THF)等を用いることができる。溶媒としては、メタノール又はTHFが好ましく、1−ヒドロキシアルキルインデン類の溶解性に優れる観点からは、THFが好ましい。
溶媒の使用量は、1−ヒドロキシアルキルインデン類1モルに対して、0.05〜5Lであることが好ましく、反応速度及び溶解性の観点から0.05〜0.7Lであることがさらに好ましい。
このような反応条件を選択することにより、十分に速い反応速度を維持しつつ、副反応を抑制することができる。
第二の工程においては、1−ヒドロキシアルキルインデン類の水素化反応終了後、セライトを敷き詰めたガラスフィルターを用いるろ過操作により金属触媒を除去し、必要に応じてセライトを上記と同様の溶媒で洗浄し、ろ液を濃縮(必要に応じて減圧濃縮)することが好ましい。
そして、第二の工程においては、例えば、上記濃縮後、活性炭処理、蒸留又はカラムクロマトグラフィー等の精製操作を経て、高純度の式(4)で表される1−ヒドロキシアルキルインダン類を、収率良く得ることができる。
(第三の工程)
第三の工程では、式(4)で表される1−ヒドロキシアルキルインダン類の水酸基を脱離させて、式(1)で表される1−アルキリデンインダン類を得る。このような第三の工程は、副反応が少なく、反応終了後に1−アルキリデンインダン類を容易に精製することができる。そのため、第三の工程を含む本実施形態に係る製造方法によれば、高純度の1−アルキリデンインダン類を容易に製造することができる。
第三の工程は、式(4)で表される1−ヒドロキシアルキルインダン類の水酸基を脱離基に変換する変換工程と、当該脱離基を脱離させて式(1)で表される1−アルキリデンインダン類を得る脱離工程と、を含むものであることが好ましい。このような第三の工程によれば、副反応を一層抑制することができ、且つ副生する化合物が1−アルキリデンインダン類と容易に分離できるものであることから、反応終了後の1−アルキリデンインダン類の精製が一層容易となる。
変換工程としては、例えば、下記工程a及び下記工程bが挙げられる。これらの工程によれば、容易且つ確実に、式(4)で表される1−ヒドロキシアルキルインダン類の水酸基を脱離基に変換することができる。
ここで、脱離基とは、水酸基と比較して脱離能が高い官能基をいい、例えば、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルキルオキシ基が挙げられる。アルキルスルホニルオキシ基としては、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等が挙げられる。アリールスルホニルオキシ基としては、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等が挙げられる。アルキルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピロキシ基、ブトキシ等が挙げられる。これらのうち脱離基としては、調製の容易さと脱離能の高さの観点から、ブロモ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基が好ましい。
(変換工程)
(工程a)
すなわち第三の工程は、式(4)で表される1−ヒドロキシアルキルインダン類、トリフェニルホスフィン、並びに、四塩化炭素、四臭化炭素及びヨウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種のハロゲン化剤を反応させて、下記式(5)で表されるハロゲン化アルキルインダン類を得る工程aを含んでいてもよい。
Figure 2011213661
式中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示し、Xは、クロロ基、ブロモ基又はヨード基を示す。
工程aによれば、式(4)で表される1−ヒドロキシアルキルインダン類の水酸基を、高効率で、クロロ基、ブロモ基又はヨード基に変換することができる。
工程aは、例えば、1−ヒドロキシアルキルインデン類、トリフェニルホスフィン及び溶媒を含有する反応溶液に、ハロゲン化剤を添加して反応させることにより行うことができる。
トリフェニルホスフィンの使用量は、1−ヒドロキシアルキルインダン類1モルに対して、1〜10モルであることが好ましい。また、生成物の精製が容易となる観点からは、1〜2モルであることが好ましい。
ハロゲン化剤の使用量は、1−ヒドロキシアルキルインダン類1モルに対して、1〜10モルであることが好ましい。また、生成物の精製が容易となる観点からは、1〜2モルであることが好ましい。
工程aにおける溶媒としては、n−へキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジエトキシメタン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;が挙げられる。これらのうち、反応速度が速くなり、且つ収率が良好となる観点から、ジクロロメタンが好ましい。
溶媒の使用量は、1−ヒドロキシアルキルインダン類1モルに対して、0.05〜10Lであることが好ましく、0.5〜4Lであることがより好ましい。
工程aにおける反応温度は、−78〜100℃であることが好ましく、−20〜60℃であることがより好ましく、0〜40℃であることがさらに好ましい。工程aにおける反応時間は、10分〜24時間とすることができ、1時間〜12時間が好ましく、2時間〜5時間がより好ましい。
このような反応条件を選択することにより、十分に速い反応速度を維持しつつ、副反応を抑制することができる。
工程aにおいては、反応後の反応溶液を濃縮した後、n−ヘプタン、n−ヘキサン等の炭化水素系溶媒を加え、生じた固体をセライトを敷き詰めたガラスフィルターを用いたろ過により除去し、ろ液を濃縮することが好ましい。
そして、工程aにおいては、例えば、上記濃縮後、活性炭処理、蒸留又はカラムクロマトグラフィー等の精製操作を経て、高純度の式(5)で表されるハロゲン化アルキルインダン類を、収率良く得ることができる。
(工程b)
第三の工程はまた、式(4)で表される1−ヒドロキシアルキルインダン類と、塩基と、スルホニル化剤又はアルキル化剤とを反応させて、下記式(6)で表される脱離基含有アルキルインダン類を得る工程bを含んでいてもよい。
Figure 2011213661
式中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示し、Xは、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基又はアルキルオキシ基を示す。ここで、アルキルスルホニルオキシ基としては、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等が挙げられる。また、アリールスルホニルオキシ基としては、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等が挙げられる。また、アルキルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピロキシ基、ブトキシ等が挙げられる。
スルホニル化剤によれば、式(4)で表される1−ヒドロキシアルキルインダン類の水酸基を、アルキルスルホニルオキシ基又はアリールスルホニルオキシ基に変換することができる。すなわち、スルホニル化剤によれば、脱離基含有アルキルインダン類として、式(6)におけるXがアルキルスルホニルオキシ基又はアリールスルホニルオキシ基である1−スルホニルオキシアルキルインダン類が得られる。
スルホニル化剤としては、アルキルスルホン酸無水物、アリールスルホン酸無水物、アルキルスルホン酸ハライド、アリールスルホン酸ハライドが挙げられる。これらのスルホニル化剤によれば、式(4)で表される1−ヒドロキシアルキルインダン類の水酸基を、高効率でアルキルスルホニルオキシ基又はアリールスルホニルオキシ基に変換することができる。
アルキルスルホン酸無水物としては、メタンスルホン酸無水物、エタンスルホン酸無水物、プロパンスルホン酸無水物、ブタンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物等が挙げられる。また、アリールスルホン酸無水物としては、ベンゼンスルホン酸無水物、p−トルエンスルホン酸無水物等が挙げられる。
アルキルスルホン酸ハライドとしては、メタンスルホン酸クロライド、メタンスルホン酸ブロマイド、メタンスルホン酸アイオダイド、トリフルオロメタンスルホン酸クロライド、トリフルオロメタンスルホン酸ブロマイド、トリフルオロメタンスルホン酸アイオダイド、エタンスルホン酸クロライド、エタンスルホン酸ブロマイド、エタンスルホン酸アイオダイド、プロパンスルホン酸クロライド、プロパンスルホン酸ブロマイド、プロパンスルホン酸アイオダイド、ブタンスルホン酸クロライド、ブタンスルホン酸ブロマイド、ブタンスルホン酸アイオダイド等が挙げられる。また、アリールスルホン酸ハライドとしては、ベンゼンスルホン酸クロライド、ベンゼンスルホン酸ブロマイド、ベンゼンスルホン酸アイオダイド、p−トルエンスルホン酸クロライド、p−トルエンスルホン酸ブロマイド、p−トルエンスルホン酸アイオダイド等が挙げられる。
アルキル化剤によれば、式(4)で表される1−ヒドロキシアルキルインダン類の水酸基を、アルキルオキシ基に変換することができる。すなわち、アルキル化剤によれば、脱離基含有アルキルインダン類として、式(6)におけるXがアルキルオキシ基である1−アルキルオキシアルキルインダン類が得られる。
アルキル化剤としては、アルキルハライド、ジアルキル硫酸、有機スルホン酸アルキルエステルが挙げられる。これらのアルキル化剤によれば、式(4)で表される1−ヒドロキシアルキルインダン類の水酸基を、高効率でアルキルオキシ基に変換することができる。
アルキル化剤としては、水酸基を炭素数1〜6のアルキルオキシ基に変換し得るものが好ましく、炭素数1〜3に変換し得るものがより好ましい。すなわち、アルキル化剤としては、ハロゲン化低級アルキル、低級ジアルキル硫酸、有機スルホン酸低級アルキルエステルが好ましい。なお、ここで「低級」とは、アルキル基の炭素数が1〜3であることを示す。
低級ジアルキル硫酸としては、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジノルマルプロピル硫酸、ジイソプロピル硫酸等が挙げられる。
有機スルホン酸低級アルキルエステルとしては、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸ノルマルプロピル、メタンスルホン酸イソプロピル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ノルマルプロピル、パラトルエンスルホン酸イソプロピル、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸エチル、トリフルオロメタンスルホン酸ノルマルプロピル、トリフルオロメタンスルホン酸イソプロピル等が挙げられる。
ハロゲン化低級アルキルとしては、臭化メチル、ヨウ化メチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、臭化ノルマルプロピル、ヨウ化ノルマルプロピル、臭化イソプロピル、ヨウ化イソプロピル等が挙げられる。
工程bは、例えば、1−ヒドロキシアルキルインダン類、塩基及び溶媒を含有する反応溶液に、スルホニル化剤又はアルキル化剤を添加して反応させることにより行うことができる。
工程bにおける塩基としては、例えば、リチウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド等のアルカリ金属アルコキシド;マグネシウムジアルコキシド、カルシウムジアルコキシド等のアルカリ土類金属アルコキシド;リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド等のアルカリ金属アミド;アルキルリチウム化合物;アルキルマグネシウムハライド化合物;炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;トリエチルアミン等の3級アミン;ピリジン、ピコリン等の芳香族塩基;等が挙げられる。アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属アルコキシドとしては、炭素数1〜6のアルコキシドが好ましい。工程bにおける塩基としては、取り扱いの容易さの観点から、3級アミン又は芳香族塩基が好ましい。
塩基の使用量は、1−ヒドロキシアルキルインダン類1モルに対して、1〜10モルであることが好ましく、1〜3モルであることがより好ましい。
工程bにおける溶媒としては、n−へキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジエトキシメタン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;が挙げられる。これらのうち、反応速度が速くなり、且つ収率が良好となる観点から、ジクロロメタンが好ましい。
溶媒の使用量は、1−ヒドロキシアルキルインダン類1モルに対して、0.05〜10Lであることが好ましく、0.05〜4Lであることがより好ましい。
スルホニル化剤の使用量は、1−ヒドロキシアルキルインダン類1モルに対して、1〜10モルであることが好ましい。また、生成物の精製が一層容易となる観点からは、1〜3モルであることが好ましい。
工程bにおける反応温度は、−78〜100℃であることが好ましく、−20〜60℃であることがより好ましく、0〜40℃であることがさらに好ましい。工程bにおける反応時間は、10分〜24時間とすることができ、1時間〜12時間が好ましく、2時間〜5時間がより好ましい。
このような反応条件を選択することにより、十分に速い反応速度を維持しつつ、副反応を抑制することができる。
工程bにおいては、反応溶液を酸性水溶液、塩基性水溶液等で洗浄し、回収した有機層を必要に応じて硫酸マグネシウム又は硫酸ナトリウムで脱水し、回収した有機層を濃縮(必要に応じて減圧濃縮)することが好ましい。
そして、工程bにおいては、例えば、上記濃縮後、活性炭処理、蒸留又はカラムクロマトグラフィー等の精製操作を経て、高純度の式(6)で表される脱離基含有アルキルインダン類を、収率良く得ることができる。
(脱離工程)
以下、場合により、式(5)で表されるハロゲン化アルキルインダン類及び式(6)で表される脱離基含有アルキルインダン類を、「脱離基を有するアルキルインダン類」と総称する。
脱離工程では、脱離基を有するアルキルインダン類と塩基とを反応させて、式(1)で表される1−アルキリデンインダン類を得る。脱離工程は、例えば、脱離基を有するアルキルインダン類及び溶媒を含有する反応溶液に、塩基を添加して反応させることにより行うことができる。
脱離工程における塩基としては、例えば、リチウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド等のアルカリ金属アルコキシド;マグネシウムジアルコキシド、カルシウムジアルコキシド等のアルカリ土類金属アルコキシド;リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド等のアルカリ金属アミド;アルキルリチウム化合物;アルキルマグネシウムハライド化合物;炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;トリエチルアミン等の3級アミン;ピリジン、ピコリン等の芳香族塩基;等が挙げられる。アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属アルコキシドとしては、炭素数1〜6のアルコキシドが好ましい。脱離工程における塩基としては、取り扱いの容易さ及び副反応の抑制の観点から、アルカリ金属水酸化物が好ましい。
塩基の使用量は、脱離基を有するアルキルインダン類1モルに対して、0.1〜50モルとすることができ、1〜20モルとすることが好ましく、2〜10モルとすることがより好ましい。
脱離工程における溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジエトキシメタン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶媒;等が挙げられる。これらのうち、塩基の溶解性に優れ、反応の後処理が容易であるという観点から、メタノール、エタノールが好ましい。
溶媒の使用量は、脱離基を有するアルキルインダン類1モルに対して、0.1〜10Lであることが好ましく、0.2〜5Lであることがより好ましく、0.5〜2Lであることがさらに好ましい。
脱離工程における反応温度は、0〜100℃であることが好ましく、0〜70℃であることがより好ましい。脱離工程における反応時間は、10分〜24時間とすることができ、30分〜5時間が好ましく、1時間〜3時間がより好ましい。
このような反応条件を選択することにより、十分に速い反応速度を維持しつつ、副反応を抑制することができる。
脱離工程においては、反応終了後、反応溶液にヘプタン、n−ヘキサン等の炭化水素系溶媒を加えた後、酸性水溶液、塩基性水溶液等で洗浄し、回収した有機層を必要に応じて硫酸マグネシウム又は硫酸ナトリウムで脱水し、回収した有機層を濃縮(必要に応じて減圧濃縮)することが好ましい。
そして、脱離工程においては、例えば、上記濃縮後、活性炭処理、蒸留又はカラムクロマトグラフィー等の精製操作を経ることにより、式(1)で表される1−アルキリデンインダン類を、高純度で、収率良く得ることができる。
脱離基を有するアルキルインダン類として式(5)で表されるハロゲン化アルキルインダン類を用いた場合、脱離工程において副生する化合物としては、塩基と塩酸との塩、塩基と臭化水素との塩、塩基とヨウ化水素との塩が挙げられる。また、脱離基を有するアルキルインダン類として式(6)で表される脱離基含有アルキルインダン類を用いた場合、脱離工程において副生する化合物としては、塩基とアルキルスルホン酸との塩、塩基とアリールスルホン酸との塩、塩基とアルコール化合物との塩等が挙げられる。これらの化合物は、上記の精製操作等により、式(1)で表される1−アルキリデンインダン類と容易に分離することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<工程1:1−ヒドロキシメチルインデンの製造>
反応滴下口、反応温度指示計、還流管及びガス導入管を備えた500ml三つ口フラスコをAr(アルゴン)雰囲気下とし、当該三つ口フラスコに、3M−EtMgBr/エーテル溶液(113.3ml、0.34mol)を加え、攪拌下、室温で、インデン(純度98質量%、39.5g、0.34mol)/脱水トルエン(170ml)溶液を添加した。その後、100℃まで昇温し、14時間攪拌した後、40℃まで冷却した。
次いで、パラホルムアルデヒド(13.3g、0.442mol)を少量ずつ添加した。その際、激しい発熱が見られた。再び室温まで冷却した後に、脱水THF(50ml)を添加し、70℃で2.5時間攪拌した後、室温まで冷却した。
反応液を氷冷した飽和塩化アンモニウム水溶液(300ml)に注入し、さらにイソプロピルエーテル(170ml)を加えて攪拌した後、セライトを敷き詰めたガラスフィルターにその混合溶液を注ぎ、減圧濾過することで、不溶物を除去した。そのろ液を分液漏斗を用いた分液操作によって水層と有機層に分離した後、さらに水層にイソプロピルエーテル(170ml)を加えて分液操作を行い、水層と有機層に分離した。得られた有機層を合わせ、2回水洗した後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、セライトを敷き詰めたガラスフィルターに脱水した有機層を注ぎ込み、減圧ろ過することで固形物を除去した。ろ液を、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下で濃縮した。
得られた濃縮残渣(45.6g)を、シリカゲルカラム(シリカゲル(球状):675g、展開液:ヘプタン/酢酸エチル=4/1→3/1→2/1)により精製することで、淡黄色の液体状の反応生成物Aを31.6g得た。
得られた反応生成物Aについて、NMR分析によって構造解析を行った。
NMR測定は、VNMRS−500(Varian製)を用いて行った。
H−NMR測定[499.75MHz、CDCl、内部0標準TMS]の結果、得られたケミカルシフトと、当該ケミカルシフトの分裂パターン、カップリング定数及びプロトン数と、当該ケミカルシフトから帰属されるプロトンの位置は、下記表1に示すとおりであった。なお、表中、分裂パターンとして、dはダブレット、mはマルチプレット、ddはダブルダブレット、brsはブロードシングレットを表す。また、表中、Arは芳香族環を示す。
Figure 2011213661
また、13C−NMR測定[125.67MHz、CDCl、内部0標準TMS]の結果、得られたケミカルシフトは以下に示すとおりであった。
144.80、144.30、136.16、132.81、127.11、124.99、123.23、121.29、63.62、53.28
NMRスペクトルの解析結果から、反応生成物Aが、1−ヒドロキシメチルインデンであることが確認された。また、インデンに対する1−ヒドロキシメチルインデンの対理論収率は63.6%であった。
得られた1−ヒドロキシメチルインデンは、下記式(3−1)で表される化合物である。
Figure 2011213661
<工程2:1−ヒドロキシメチルインダンの製造>
300mlオートクレーブ反応容器に、1−ヒドロキシメチルインデン(31g、0.212mol)、THF(106ml)及びPtO(481mg、2.12mmol)を加え、Ar(アルゴン)置換した後、H(水素)を0.8MPaまで充填した。H圧が0.2〜0.8MPaになるように補充しながら、室温で12時間攪拌した。オートクレーブ反応容器をAr置換した後、セライトを敷き詰めたガラスフィルターに反応溶液を注ぎ込み、反応溶液中の固体残渣を除去した。セライトを含むガラスフィルターをTHFで洗浄した後、ろ液をロータリーエバポレーターによって減圧濃縮し、得られた濃縮残渣(34.0g)を2回蒸留精製(b.p.:106〜108℃/3mmHg)することで、無色液体の反応生成物Bを19.0g得た。
得られた反応生成物Bについて、NMR分析によって構造解析を行った。
NMR測定は、VNMRS−500(Varian製)を用いて行った。
H−NMR測定[499.75MHz、CDCl、内部0標準TMS]の結果、得られたケミカルシフトと、当該ケミカルシフトの分裂パターン、カップリング定数及びプロトン数と、当該ケミカルシフトから帰属されるプロトンの位置は、下記表2に示すとおりであった。
Figure 2011213661
また、13C−NMR測定[125.67MHz、CDCl、内部0標準TMS]の結果、得られたケミカルシフトは以下に示すとおりであった。
144.7、143.7、126.9、126.2、124.7、124.0、65.9、47.5、31.3、28.4
NMRスペクトルの解析結果から、反応生成物Bが、1−ヒドロキシメチルインダンであることが確認された。また、1−ヒドロキシメチルインデンに対する1−ヒドロキシメチルインダンの対理論収率は60.5%であった。
得られた1−ヒドロキシメチルインダンは、下記式(4−1)で表される化合物である。
Figure 2011213661
<工程3(変換工程):1−ブロモメチルインダンの製造>
反応滴下口、反応温度指示計、還流管及びガス導入管を備えた1000ml三つ口フラスコ反応容器に、Ar気流下、1−ヒドロキシメチルインダン(19.0g、0.128mol)、脱水ジクロロメタン(500ml)及びトリフェニルホスフィン(38.3g、0.326mol)を仕込み、5℃まで冷却した。次に、四臭化炭素(48.4g、0.326mol)を25分間で添加した後に室温まで昇温し、2.5時間攪拌した。
その後、ロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮することでジクロロエタンを除去し、得られた残渣(102g)にヘプタン/ジクロロメタン=5/1(250ml)を加えて約20分間攪拌し、セライトを敷き詰めたガラスフィルターに混合溶液を注ぎ込むことで、混合溶液中の固体残渣を除去した。得られたろ液を、ロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮した後に、シリカゲルカラム(シリカゲル(球状):1.5kg、展開液:ヘプタン/ジクロロメタン=5/1)にて精製し、淡黄色液体の反応生成物Cを27.1g得た。
得られた反応生成物Cについて、NMR分析によって構造解析を行った。
NMR測定は、VNMRS−500(Varian製)を用いて行った。
H−NMR測定[499.75MHz、CDCl、内部0標準TMS]の結果、得られたケミカルシフトと、当該ケミカルシフトの分裂パターン、カップリング定数及びプロトン数と、当該ケミカルシフトから帰属されるプロトンの位置は、下記表3に示すとおりであった。
Figure 2011213661
また、13C−NMR測定[125.67MHz、CDCl、内部0標準TMS]の結果、得られたケミカルシフトは以下に示すとおりであった。
144.3、143.7、127.4、126.3、124.9、123.9、47.3、37.4、31.2、30.8
NMRスペクトルの解析結果から、反応生成物Cが、1−ブロモメチルインダンであることが確認された。また、1−ヒドロキシメチルインダンに対する1−ブロモメチルインダンの対理論収率は100%であった。
得られた1−ブロモメチルインダンは、下記式(5−1)で表される化合物である。
Figure 2011213661
<工程4(脱離工程):1−メチレンインダンの製造>
反応滴下口、反応温度指示計、還流管を備えた500ml反応容器に、1−ブロモメチルインダン(30.8g、0.146mol)、メタノール(204ml)、水(8.76ml)を加え、氷水で冷却しながら水酸化カリウム(49.2g、0.876mol)を30分間で添加した。反応溶液を70℃まで昇温し1時間攪拌した後に、室温まで放冷し、氷水(1166ml)へ反応液を注入し、さらにヘキサン(600ml)を加えて30分間攪拌した。
分液漏斗を用いて混合溶液の有機層と水層を分離し、水層をヘキサン(600ml)で再度抽出し、得られた有機層を合わせ、水洗し、無水硫酸マグネシウムで脱水した。セライトを敷き詰めたガラスフィルターに脱水後の混合溶液を注ぎ込むことで固体を除去し、そのろ液にp−メトキシフェノール(0.1g)を添加した後に、ロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮した。得られた残渣(15.6g)をシリカゲルカラム(シリカゲル(球状):156g、展開液:ヘキサン)により精製し、無色液体の反応生成物Dを13.5g得た。
得られた反応生成物Dについて、NMR分析によって構造解析を行った。
NMR測定は、VNMRS−500(Varian製)を用いて行った。
H−NMR測定[499.75MHz、CDCl、内部0標準TMS]の結果、得られたケミカルシフトと、当該ケミカルシフトの分裂パターン及びプロトン数と、当該ケミカルシフトから帰属されるプロトンの位置は、下記表4に示すとおりであった。
Figure 2011213661
また、13C−NMR測定[125.67MHz、CDCl、内部0標準TMS]の結果、得られたケミカルシフトと当該ケミカルシフトから帰属される炭素の位置は、以下に示すとおりであった。
151.0(CH=C)、147.2(Ar)、141.5(Ar)、128.7(Ar)、126.8(Ar)、125.8(Ar)、121.0(Ar)、102.8(CH=C)、31.6(C−CH−CH)、30.5(C−CH−CH
さらに、得られた反応生成物Dについて、ガスクロマトグラフ−質量スペクトル(GC−MS)測定を行った。測定は、GC−MS GC7890、MS5975C(Agilent Technologies社製)を用いて行った。測定結果は、以下に示すとおりであった。
GC−MS:M/Z=130
NMRスペクトルの解析結果及びGC−MS測定の結果から、反応生成物Dが、1−メチレンインダンであることが確認された。また、1−ブロモメチルインダンに対する1−メチレンインダンの対理論収率は71.0%であった。
1−メチレンインダンは、下記式(1−1)で表される化合物である。
Figure 2011213661
上記工程1〜4の全工程に関し、原料であるインデンに対する1−メチレンインダンの対理論収率は27.3%であり、特許文献3に記載の方法と同等の収率で1−メチレンインダンが得られた。
また、得られた1−メチレンインダンの純度を、ガスクロマトグラフィー(GC6850(Agilent Technologies社製))を用いて測定したところ、99.7質量%と極めて高純度の1−メチレンインダンが得られたことが確認された。
本発明によれば、高純度の1−アルキリデンインダン類を容易に製造することができるため、機能性樹脂の原料や医農薬中間体の供給方法として有用である。

Claims (3)

  1. 酸又は塩基の存在下、インデンと、下記式(2):
    Figure 2011213661

    [式中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。]
    で表されるカルボニル化合物又はその等価体とを反応させて、下記式(3):
    Figure 2011213661

    [式中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。]
    で表される1−ヒドロキシアルキルインデン類を得る第一の工程と、
    前記1−ヒドロキシアルキルインデン類を水素化して、下記式(4):
    Figure 2011213661

    [式中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。]
    で表される1−ヒドロキシアルキルインダン類を得る第二の工程と、
    前記1−ヒドロキシアルキルインダン類の水酸基を脱離させて、下記式(1):
    Figure 2011213661

    [式中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。]
    で表される1−アルキリデンインダン類を得る第三の工程と、
    を備える、1−アルキリデンインダン類の製造方法。
  2. 前記第三の工程は、
    前記1−ヒドロキシアルキルインダン類と、トリフェニルホスフィンと、四塩化炭素、四臭化炭素及びヨウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種のハロゲン化剤とを反応させて、下記式(5):
    Figure 2011213661

    [式中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示し、Xは、クロロ基、ブロモ基又はヨード基を示す。]
    で表されるハロゲン化アルキルインダン類を得る工程と、
    前記ハロゲン化アルキルインダン類と塩基とを反応させて、前記1−アルキリデンインダン類を得る工程とを含む、請求項1に記載の1−アルキリデンインダン類の製造方法。
  3. 前記第三の工程は、
    前記1−ヒドロキシアルキルインダン類と、塩基と、アルキルスルホン酸無水物、アリールスルホン酸無水物、アルキルスルホン酸ハライド、アリールスルホン酸ハライド、アルキルハライド、ジアルキル硫酸及び有機スルホン酸アルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種とを反応させて、下記式(6):
    Figure 2011213661

    [式中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示し、Xは、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基又はアルキルオキシ基を示す。]
    で表される脱離基含有アルキルインダン類を得る工程と、
    前記脱離基含有アルキルインダン類と塩基とを反応させて、前記1−アルキリデンインダン類を得る工程とを含む、請求項1に記載の1−アルキリデンインダン類の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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