JP2014091157A - 非晶質合金箔帯の製造装置および非晶質合金箔帯の製造方法 - Google Patents

非晶質合金箔帯の製造装置および非晶質合金箔帯の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】厚い非晶質合金箔帯を工業的な規模で製造することができる非晶質合金箔帯の製造装置および非晶質合金箔帯の製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係る非晶質合金箔帯の製造装置は、内部に流水経路が形成された冷却ロールと、前記流水経路に冷却液を流通させる冷却液供給手段と、前記冷却ロールを回転させる駆動手段と、前記冷却ロールの外周面に対して溶湯を供給する溶湯供給手段と、を備え、前記流水経路は、前記冷却ロールの回転軸からそれぞれ等距離にある複数の円周面に沿って配設されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、非晶質(アモルファス)合金箔帯の製造装置および非晶質合金箔帯の製造方法に関し、特に、水冷式の冷却ロールを備えた非晶質合金箔帯の製造装置および非晶質合金箔帯の製造方法に関する。
従来、トランスやモータの鉄心に電力損失が少ない鉄基非晶質合金を用いることが検討され、トランスについては実用化が進んでいる。しかしながら、積鉄心トランスへの適用は未だ報告されておらず、積鉄心を採用しているメーカーでも非晶質材料の採用には二の足を踏んでいる。また、モータについては実用化がほとんど進展しておらず、従来の薄い(30μm以下)の箔帯を、工夫を凝らして応用する例が散見される程度である。
厚い箔帯が工業的に低コストで製造されれば、積鉄心やモータへの適用も可能になる。箔帯の厚肉化により、巻鉄心型トランスにおいては鉄心加工工程の作業能率が向上するとともに、占積率が高まる。これにより、電力損失が低減する。この結果、鉄心のサイズが小さくなり、巻線量が減るので、トランスの体積が小さくなり、重量が減少する。また、箔帯の厚肉化は、電力損失の低減のみならず、強度を高めることができ、高速回転するモータにおいて働く強い遠心力に堪えるこれまでにない製品を実現できる。
非晶質合金の最も一般的な製造方法は、熱伝導率が高い金属または合金製のロールを回転させながら、合金の溶湯をロールの外周面に接触させることにより、合金溶湯を急速に冷却して箔帯状に凝固させるいわゆるロール液体急冷法である。ロール液体急冷法は、溶湯が持つ熱を冷却ロールに移動させることによって溶湯を急冷し、溶湯が結晶化する前に凝固させて、非晶質合金箔帯を製造する方法である。ロール液体急冷法においては、非晶質合金箔帯の製造に伴って冷却ロールの温度が上昇し、溶湯から冷却ロールに注入される熱量と冷却ロールから排出される熱量とがつり合ったところで平衡状態に達する。そして、この平衡状態における冷却ロールの平均温度が、溶湯を非晶質のまま凝固させられるような低い温度であれば、非晶質合金箔帯を継続的に製造し続けることができるが、それよりも高いと、有限の時間内でしか製造することができない。平衡状態における冷却ロールの平均温度は、冷却ロールの排熱性能に依存する。
また、溶湯を非晶質のまま凝固させるために必要な冷却ロールの平均温度は、製造しようとする非晶質合金箔帯の厚さに依存する。箔帯の厚さが厚いほど、全体を急冷することが困難になるため、必要とされる冷却ロールの平均温度は低くなる。従って、製造可能な非晶質合金箔帯の厚さは、冷却ロールの排熱性能に依存し、厚い非晶質合金箔帯を製造するためには、冷却ロールの排熱性能を高くする必要がある。そして、水冷ロールは非水冷ロールと比較して排熱性能が高いため、非晶質合金箔帯を連続的に製造する用途に適している。しかしながら、水冷ロールを使用しても、ロール液体急冷法で製造できる非晶質合金箔帯の板厚には厳しい制限があり、工業規模で連続的に製造できる板厚は30μm以下に限られていた。
特開昭60−108144号公報 特公昭60−051933号公報
本発明の目的は、厚い非晶質合金箔帯を工業的な規模で製造することができる非晶質合金箔帯の製造装置および非晶質合金箔帯の製造方法を提供することである。
本発明の一態様によれば、内部に流水経路が形成された冷却ロールと、前記流水経路に冷却液を流通させる冷却液供給手段と、前記冷却ロールを回転させる駆動手段と、前記冷却ロールの外周面に対して溶湯を供給する溶湯供給手段と、を備え、前記流水経路は、前記冷却ロールの回転軸からそれぞれ等距離にある複数の円周面に沿って配設されている非晶質合金箔帯の製造装置が提供される。
本発明の一態様によれば、冷却ロールの内部であって前記冷却ロールの回転軸からそれぞれ等距離にある複数の円周面に沿って配設された流水経路に冷却液を流通させ、前記冷却ロールを回転させながら、前記冷却ロールの外周面に対して溶湯を供給する工程を備えた非晶質合金箔帯の製造方法が提供される。
本発明によれば、厚い非晶質合金箔帯を工業的な規模で製造することができる非晶質合金箔帯の製造装置および非晶質合金箔帯の製造方法を実現することができる。
第1の実施形態に係る非晶質合金箔帯の製造装置を例示する斜視図である。 (a)及び(b)は、第1の実施形態における冷却ロールを例示する断面図である。 (a)及び(b)は、第1の実施形態の変形例における冷却ロールを例示する断面図である。 (a)は、第2の実施形態における非晶質合金箔帯の製造装置を例示する模式的側面図であり、(b)は(a)に示すA−A’線による模式的断面図であり、(c)は(a)に示すB−B’線による模式的断面図である。 第3の実施形態に係る非晶質合金箔帯の製造装置を例示する側面図である。 (a)は、第4の実施形態に係る非晶質合金箔帯の製造装置の冷却ロールを例示する側面図であり、(b)はこの冷却ロール及びその近傍を例示する模式的断面図であり、(c)はこの冷却ロールを例示する側面図である。 第4の実施形態の変形例における冷却ロールを例示する側面図である。 第5の実施形態に係る非晶質合金箔帯の製造装置を例示する側面図である。 図8において合金溶湯が水冷ロールと接触する部分を例示する断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
先ず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る非晶質合金箔帯の製造装置を例示する斜視図であり、
図2(a)及び(b)は、本実施形態における冷却ロールを例示する断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る非晶質合金箔帯の製造装置1においては、冷却ロール11と、冷却ロール11内に冷却水を流通させる冷却水供給手段12と、冷却ロール11を回転させる駆動手段13と、冷却ロール11の外周面11aに対して溶湯を供給する溶湯供給手段14とが設けられている。溶湯供給手段14においては、溶湯Aを保持する坩堝15と、坩堝15の底面に取り付けられ、坩堝15内の溶湯を下方に向けて吐出するノズル16とが設けられている。ノズル16は、冷却ロール11の上方に、冷却ロール11の外周面11aから僅かな隙間を隔てて配置されている。製造装置1は、非晶質合金箔帯Sを製造するための装置である。ここで、「非晶質合金」とは、体積率で50%以上が非晶質であり、残部が非晶質を母相としてナノサイズの微結晶が分散析出した複相の合金を含む。
図2(a)及び(b)に示すように、冷却ロール11の内部には流水経路21a及び21bが形成されている。流水経路21a及び21bは、冷却ロール11の回転軸Cからそれぞれ等距離にある複数の円周面に沿って配設されている。具体的には、回転軸Cから距離Raにある仮想的な円周面22aに沿って、流水経路21aが形成されており、回転軸Cから距離Rbにある仮想的な円周面22bに沿って、流水経路21bが形成されている。距離Rbは距離Raよりも小さい。従って、流水経路21aは相対的に外側に配置され、流水経路21bは相対的に内側に配置される。本実施形態においては、例えば、流水経路21a及び21bは1本の水路を構成している。また、回転軸Cから見て、各流水経路21a及び各流水経路21bは相互に同じ方向に位置している。すなわち、冷却ロール11の幅方向に関して、流水経路21aの配列周期及び位相は、流水経路21bの配列周期及び位相と同じである。
このような冷却ロール11は、例えば、以下の方法によって作製することができる。先ず、円柱形の芯部材26を用意する。芯部材26の内部は中空であってもよい。芯部材26の外周面26aには、芯部材26の周方向に相互に平行に延びる複数本の溝26bが形成されている。次に、リング状の内周部材27を用意する。内周部材27の内径は芯材26の外径よりもわずかに小さく、内周部材27の外周面27aには周方向に延びる複数本の溝27bが相互に平行に形成されている。そして、内周部材27を芯部材26に焼き嵌めする。次に、リング状の外周部材28を用意する。外周部材28の内径は内周部材27の外径よりもわずかに小さく、外周部材28の外周面28aには溝は形成されておらず、平滑である。そして、外周部材28を内周部材27に焼き嵌めする。これにより、冷却ロール11が作製される。
このようにして作製された冷却ロール11においては、芯部材26の溝26bにより内側の流水経路21bが構成され、内周部材27の溝27bにより外側の流水経路21aが構成される。また、芯部材26の外周面26aは上述の仮想的な円周面22bに相当し、内周部材27の外周面27aは円周面22aに相当し、外周部材28の外周面28aは冷却ロール11の外周面11aを構成する。なお、芯部材26及び内周部材27は、熱伝導率が高い純銅により形成することが望ましい。また、外周部材28は、硬度が高く熱伝導率が高い銅合金、例えば、ベリリウム銅又はジルコニウム・クロム銅により形成することが望ましい。但し、各部材の材料はこれには限定されない。また、芯部材26及び内周部材27の材料は相互に異なっていてもよい。
更に、本実施形態においては、冷却ロール11の肉厚、すなわち、芯部材26の外周面を構成する部材の厚さ、内周部材27の厚さ及び外周部材28の厚さの合計値を、例えば25mm以上とする。例えば、厚さが30μm以下の比較的薄い非晶質合金箔帯Sを製造する場合は、外周部材28の厚さを10mm程度とし、厚さが50μm程度のやや厚い非晶質合金箔帯Sを製造する場合は、外周部材28の厚さを20〜30mmとする。更にまた、溝26b及び27bの内面には、微細な溝を形成してもよい。これにより、冷却ロール11と溝26b及び27b内を流れる冷却水との接触面積が増加すると共に、冷却水の流れが乱流となるため、冷却ロール11から冷却水への伝熱性能が向上する。
次に、上述の如く構成された非晶質合金箔帯の製造装置の動作、すなわち、本実施形態に係る非晶質合金箔帯の製造方法について説明する。
先ず、坩堝15内に、非晶質合金箔帯Sの材料となる溶湯Aを注入する。溶湯Aは、例えば、錫(Sn)を含む鉄基合金とする。溶湯A中における錫の濃度は、例えば、0.01〜1質量%とし、例えば、0.1〜0.5質量%とする。なお、錫の替わりに、溶湯A中に硫黄(S)を添加してもよい。この場合、硫黄の濃度は、例えば、0.003〜1質量%とする。溶湯Aには錫及び硫黄を両方加えてもよい。また、冷却水供給手段12が冷却ロール11内の流水経路21a及び21bに冷却水Wを流通させながら、駆動手段13が冷却ロール11を回転させる。この状態で、ノズル16から、冷却ロール11の外周面11aに対して、坩堝15内に保持された溶湯Aを吐出する。
このとき、溶湯Aは、冷却ロール11の外周面11aとノズル16との間でパドルを形成するが、回転する冷却ロール11によって、パドルから冷却ロール11の回転方向に引き出されると共に、冷却ロール11によって急冷され、非晶質のまま凝固する。これにより、ストリップ状の非晶質合金箔帯Sが製造される。非晶質合金箔帯Sは、冷却ロール11の外周面11aと共に所定の位置まで移動した後、冷却ロール11から遠ざかる方向に引き出され、巻き取られる。一方、溶湯Aから冷却ロール11に伝達された熱は、流水経路21a及び21b内を流通する冷却水Wに伝達され、冷却水Wと共に冷却ロール11の外部に排出される。
次に、本実施形態の効果について説明する。
一般に、水冷式の冷却ロールにおいては、流水経路の総延長が長いほど、冷却ロールから冷却水に伝達される熱量が多くなり、冷却ロールを効率よく冷却することができる。しかしながら、流水経路間の間隔を小さくし過ぎると、冷却ロールの熱容量が減少し、熱溜め効果が低下してしまう。従って、冷却ロールに一定の熱容量を持たせようとすると、流水経路間の間隔を一定値以上に確保する必要があり、このため、流水経路の総延長にも限界が生じる。
そこで、本実施形態においては、冷却ロール11内に流水経路21a及び21bを2段構成で配置している。これにより、流水経路間の間隔を確保しつつ、流水経路の総延長を長くすることができる。従って、冷却ロール11の熱容量を担保しつつ、冷却ロールの排熱性能を高めることができる。この結果、従来よりも厚い非晶質合金箔帯を製造することができる。例えば、厚さが45μmの非晶質合金箔帯を製造することができる。また、それよりも厚い非晶質合金箔帯を製造する場合でも、より長い時間連続して製造し続けることができ、工業的規模での製造が容易となる。
また、本実施形態においては、冷却ロール11内において流水経路を多段構成で配置しているため、冷却ロール11の肉厚を厚くしても、冷却ロール11を効率よく冷却することができる。冷却ロール11の肉厚を厚くすることにより、冷却ロール11自体の熱容量が大きくなり、溶湯Aから一定量の熱量が注入されたときの冷却ロール11の温度上昇が小さくなる。これにより、長時間安定して非晶質合金箔帯Sの製造を続けることができる。
更に、本実施形態においては、外周部材28を硬度及び熱伝導性が高い銅合金によって形成しているため、非晶質合金箔帯Sの冷却効率が高いと共に、冷却ロール11の損傷を抑えることができる。また、内周部材27及び芯部材26を軟質で熱伝導性が高い純銅によって形成しているため、外周側の流水経路21aによって排熱されなかった熱が、速やかに冷却ロール11の内側に伝達され、内周側の流水経路21bによって排熱される。また、内周部材27及び芯部材26の材料に軟らかい純銅を用いることにより、焼き嵌め後の芯部材26と内周部材27との界面、及び内周部材27と外周部材28との界面の密着性が良好となり、これらの界面における熱抵抗を低減することができる。
更にまた、本実施形態においては、溶湯Aを錫(Sn)を含む鉄基合金としている。溶湯Aを錫を含有させることにより、非晶質合金箔帯Sの表面に錫が偏析し、非晶質合金箔帯Sが銅又は銅合金からなる冷却ロール11の外周面11aに融着し、冷却ロール11の外周層を剥ぐように痛めることを抑制できる。この結果、冷却ロール11の外周面11aが荒れることを抑制し、冷却ロール11の交換及び表面研磨等の補修作業の頻度を低減することができる。なお、溶湯A中、すなわち、非晶質合金箔帯S中における錫の濃度は0.01〜1質量%とすることが好ましく、0.1〜0.5質量%とすることがより好ましい。錫の濃度を0.01質量%以上とすることにより、上述の冷却ロール11の寿命を延ばす効果を確実に得ることができる。一方、錫の濃度を1質量%以下とすることにより、非晶質合金箔帯Sが脆くなることを防止できる。また、溶湯Aを硫黄(S)を含む鉄基合金とする場合も同様な効果が得られる。この場合は、溶湯A中の硫黄濃度を0.003質量%以上とすることにより、上述の効果を確実に得ることができ、1質量%以下とすることにより、非晶質合金箔帯Sが脆くなることを防止できる。
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。
図3(a)及び(b)は、本変形例における冷却ロールを例示する断面図である。
図3(a)及び(b)に示すように、本変形例は、前述の第1の実施形態と比較して、冷却ロール31において、流水経路21a〜21cが3段構成で配置されている点が異なっている。また、冷却ロール31の幅方向に関して、流水経路21a、21b及び21cの配列周期は相互に同じであるが、2段目の流水経路21bの位相は、1段目の流水経路21aの位相及び3段目の流水経路21cの位相に対して半周期分ずれている。
本変形例においては、冷却ロール31内に流水経路21a〜21cを3段構成で配置しているため、冷却ロール31の排熱性能をより高めることができる。また、各段の流水経路を相互にずらして配置することにより、冷却ロール31の外周面から伝達された熱を流水経路によってより確実に捕捉し、冷却水に伝達することができる。これにより、より厚い非晶質合金箔帯を工業的規模で製造することができる。本変形例における上記以外の構成、製造方法及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
なお、前述の第1の実施形態においては、流水経路を2段構成とする例を示し、本変形例においては、流水経路を3段構成とする例を示したが、流水経路の段数は2段及び3段には限定されず、4段以上としてもよい。流水経路の段数を多くするほど冷却ロールの排熱性能は向上するが、その反面、冷却ロールの作製コストが増加する。このため、流水経路の段数は、製造しようとする非晶質合金箔帯の厚さ、量、その他の製造条件と、冷却ロールのコストとを勘案して決定すればよい。
次に、第2の実施形態について説明する。
図4(a)は、本実施形態における非晶質合金箔帯の製造装置を例示する模式的側面図であり、(b)は(a)に示すA−A’線による模式的断面図であり、(c)は(a)に示すB−B’線による模式的断面図である。
図4(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る非晶質合金箔帯の製造装置2においては、冷却水供給手段12、冷却ロール41及び駆動手段13が、この順に配列されている。冷却ロール41には、冷却ロール41の幅方向に延びる複数本の貫通孔47が形成されている。貫通孔47は多段に、すなわち、冷却ロールの回転軸Cからそれぞれ等距離にある複数の円周面に沿って配設されている。また、製造装置2においては、その内部に冷却水供給手段12から冷却水Wが供給される複数本のパイプ42aが設けられており、パイプ42は貫通孔47に接続されている。各パイプ42aには、流量調節弁45が取り付けられている。
また、冷却ロール41内における相互に同じ段であって、周方向において隣り合う位置に配置されている2本の貫通孔47は、U字形に加工されたパイプ42bによって相互に接続されている。これにより、パイプ42a、貫通孔47によって構成された直線状の往路部分、U字形に加工されたパイプ42bからなる折り返し部分、貫通孔47によって構成された直線状の復路部分、他のパイプ42aが直列に接続されて、1本の流水経路が構成されている。そして、上述の如く、各流水経路の往路部分及び復路部分は、冷却ロール41内における相互に同じ段であって、周方向において隣り合う位置に配置されている。
パイプ42a及び42bは、冷却ロール41の側面にろう付けされている。パイプ42a及び42bの内径は貫通孔47の内径とほぼ等しい。パイプは展延性の高い金属からなり、貫通孔と接する面はロールの側面に接合しやすいようにラッパ状に開いている。すなわちパイプの接合端部は平面化加工されている。パイプ42は、例えば柔軟な銅合金からなる。また、貫通孔47の内面には、微細な溝が形成されていてもよい。これにより、冷却ロール41から冷却水Wへの伝熱性能が向上する。
図4(c)に示すように、複数本のパイプ42aは1本の二重管43に共通接続されている。二重管43においては、外管43a内に内管43bが設けられており、各パイプ42aの往路側の端部は外管43aと内管43bとの間に連通されており、各パイプ42aの復路側の端部は内管43b内に連通されている。二重管43は冷却ロール41に対して固定されている。
二重管43は、二重管44に接続されている。すなわち、二重管43における外管43aと内管43bとの間の水路は、二重管44における外管44aと内管44bとの間の水路に連通されており、二重管43における内管43b内の水路は、二重管44における内管44b内の水路に連通されている。二重管44は冷却水供給手段12に対して固定されており、冷却水供給手段12に接続されている。二重管43と二重管44とは、水密性を保持したまま、相互に回転自在とされている。二重管43及び二重管44により、ロータリージョイント46が構成されている。このように、各パイプ42aの端部が共通接続されていることにより、貫通孔47及びパイプ42bによって構成された冷却ロール41の各段の流水経路、すなわち、複数の円周面のそれぞれに沿って配設された複数群の流水経路は、相互に並列に接続されている。
次に、上述の如く構成された非晶質合金箔帯の製造装置の動作、すなわち、本実施形態に係る非晶質合金箔帯の製造方法について説明する。
図4(a)〜(c)に示すように、冷却水供給手段12が冷却水Wを加圧して、二重管44の内管44b内に供給する。これにより、冷却水Wが、二重管43の内管43b内を通過して、各パイプ42aを介して貫通孔47内に供給される。このとき、各段の流水経路、すなわち、複数の円周面のそれぞれに沿って配設された複数群の流水経路に対して、同じ圧力で冷却液Wが供給される。各流水経路内に供給された冷却水Wは、各流水経路の往路部分及び復路部分を流通する際に、冷却ロール41から熱を受け取って加熱され、その後、パイプ42aを介して二重管43の外管43aと内管43bとの間に集合し、二重管44の外管44aと内管44bとの間を通過して、排出される。これにより、冷却ロール41が冷却される。
本実施形態においても、前述の第1の実施形態と同様に、冷却ロール41内に多段に配設された流水経路によって、冷却ロール41を効率的に冷却することができる。本実施形態における上記以外の構成、製造方法及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
次に、第3の実施形態について説明する。
図5は、本実施形態に係る非晶質合金箔帯の製造装置を例示する側面図である。
図5に示すように、本実施形態に係る非晶質合金箔帯の製造装置3においては、冷却ロール51内の各段に、相互に分離された複数本の貫通孔57が形成されている。各貫通孔57には、それぞれ2本のパイプ52が接続されている。各パイプ52には、流量調節弁55が取り付けられている。各段に配置された貫通孔57は、相互に分離されたまま、それぞれパイプ52によってロータリージョイント53に集められ、ロータリージョイント53を介して冷却水供給支持手段59に接続されている。1本の貫通孔57及びその両側に接続された2本のパイプ52により、1本の流水経路が構成されている。ロータリージョイント53には、冷却水Wを排出する排水口53aも設けられている。
冷却水供給支持手段59は、各段に配置されたパイプ52に対して、相互に独立して冷却水を供給する。すなわち、冷却ロール51の回転軸からそれぞれ等距離にある複数の円周面に沿って配設された複数群の流水経路は、相互に独立しており、冷却水供給支持手段59は、これらの複数群の流水経路に対して相互に独立に冷却水Wを流通させる。また、冷却水供給支持手段59は、冷却ロール51から見て駆動手段13の反対側に配置されており、冷却ロール51を回転可能に支持する機能も持っている。
一般に、水冷式の冷却ロールにおいて、肉厚が厚いと、冷却ロール自体の熱容量が大きく、溶湯から一定量の熱が流入したときの温度上昇が少ない。このため、非晶質合金箔帯の製造工程の初期段階において、冷却ロールの温度を低く維持することができ、有利である。しかしながら、肉厚が厚いと熱抵抗が大きく、排熱性能が低いため、非晶質合金箔帯を長時間製造すると、次第に温度が上昇してしまう。これに対して、肉厚が薄いと、冷却ロール自体の熱容量は小さいため、溶湯から一定量の熱が流入すると温度が大きく上昇してしまうものの、排熱性能は高いため、長時間の製造に有利である。このため、冷却ロールの最適な肉厚は、非晶質合金箔帯の製造条件、例えば、製造しようとする箔帯の厚さ及び幅、連続して製造したい箔帯の量、要求される冷却速度等によって異なる。
本実施形態によれば、冷却ロール51内に配置された各段の流水経路が相互に独立しており、冷却液供給手段62が各段の流水経路に対して相互に独立して冷却水を流通させることにより、冷却ロール51内の温度分布を制御することができる。これにより、冷却ロール51の実効的な肉厚を変化させることができる。例えば、冷却ロール51の外層部に配置された流水経路に冷却水を流通させれば、冷却ロール51の実効的な肉厚は相対的に薄くなり、冷却ロール51の外層部に配置された流水経路に冷却水を流通させずに内層部に配置された流水経路に冷却水を流通させれば、冷却ロール51の実効的な肉厚は相対的に厚くなる。また、例えば、非晶質合金箔帯Sの製造の初期段階においては最外層の流水経路には冷却水を流さず、非晶質合金箔帯Sが製造されたことを確認してから、最外層の流水経路に冷却水を流してもよい。これにより、厚い箔帯Sの製造が容易になる。このようにして、本実施形態によれば、実効的な肉厚を制御できるため、製造条件に応じて最適な肉厚を選択することができる。本実施形態における上記以外の構成、製造方法及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
次に、第4の実施形態について説明する。
図6(a)は、本実施形態に係る非晶質合金箔帯の製造装置の冷却ロールを例示する側面図であり、(b)はこの冷却ロール及びその近傍を例示する模式的断面図であり、(c)はこの冷却ロールを例示する側面図である。
なお、図6(a)は外側から2段目の流水経路を示し、(c)は外側から1段目の流水経路を示す。
図6(a)〜(c)に示すように、本実施形態に係る非晶質合金箔帯の製造装置4においては、駆動手段13(図5参照)と冷却水供給支持手段59(図5参照)との間に、冷却ロール61が回転可能に支持されている。冷却ロール61内には、冷却ロール61の幅方向に延びる複数本の貫通孔67が3段に分かれて形成されている。各段において隣り合う1対の貫通孔67は、冷却ロール61の外部に配置されたU字形のパイプ64によって相互に接続されている。これにより、各段に配置された全ての貫通孔67は、複数本のパイプ64によって直列に接続されて、1本の流水経路を構成している。すなわち、冷却ロール61には、3段の流水経路21a〜21cが相互に独立して形成されている。
貫通孔67及びパイプ64によって構成された各流水経路は、冷却ロール61の回転軸Cを中心軸とした円周面上に配置されており、各円周面上を冷却ロール61の幅方向に蛇行しながら円周方向に周回し、その両端部は給水側ロータリージョイント63a及び排水側ロータリージョイント63bに接続されている。すなわち、最外周の流水経路21aは2本のパイプ62aによってロータリージョイント63a及び63bに接続されており、2段目の流水経路21bは2本のパイプ62bによってロータリージョイント63a及び63bに接続されており、3段目の流水経路21cは2本のパイプ62cによってロータリージョイント63a及び63bに接続されている。パイプ62a、62b、62c、64は、例えば銅によって形成されている。また、給水側ロータリージョイント63aに接続されたパイプ62a〜62cには流量調節弁65が取り付けられている。なお、図6(a)及び(c)には、2段目及び1段目の流水経路のみを示しているが、3段目の流水経路の構成も同様である。また、4段目以降の流水経路を設ける場合においても、その構成は1段目及び2段目の流水経路と同様である。
本実施形態によれば、前述の第3の実施形態と比較して、ロータリージョイント63a及び63bにまとめられるパイプの本数が少なく、冷却ロールの外部に配置されるパイプの総延長が短いため、製造装置の構成が簡略であり、製造装置のコストが低い。一方、前述の第3の実施形態によれば、パイプ52に供給する冷却水の水圧を低くすることができる。一例では、本実施形態においては、冷却水の圧力は20気圧程度必要であるが、第3の実施形態においては、冷却水の圧力を10気圧程度とすることができる。本実施形態における上記以外の構成、製造方法及び効果は、前述の第3の実施形態と同様である。
なお、本実施形態においては、流水経路が3段である例を示したが、これには限定されず、流水経路は2段又は4段以上であってもよい。また、パイプの材料は銅には限定されず、例えば、冷却ロール61の材料と同じ材料であってもよい。これにより、パイプと冷却ロールとの接合性が向上する。更にまた、各貫通孔67の内面には、微細な溝が形成されていてもよい。これにより、冷却ロール61と冷却水との接触面積が増加し、伝熱性が向上する。
次に、本実施形態の変形例について説明する。
図7は、本変形例における冷却ロールを例示する側面図である。
なお、図7においては、便宜上、貫通孔67(図6(a)参照)及びパイプ64(図6(a)参照)は図示を省略し、流水経路21a〜21cを破線で示している。
図7に示すように、本変形例における冷却ロール61aにおいては、各段の流水経路が3つに分かれている。これにより、前述の第4の実施形態と比較して、ロータリージョイントに集合するパイプの本数が増えるものの、冷却水の温度上昇を抑えることができ、冷却ロールをより効果的に冷却することができる。また、冷却水を流通させる際のパイプの抵抗が減少するため、冷却水の水圧を下げることができる。本変形例における上記以外の構成及び効果は、前述の第4の実施形態と同様である。
なお、本変形例においては、外側のパイプほど遠心力により水圧が高くなるので、貫通孔及びパイプの内径を大きくして冷却液の流量の減少を抑えることも可能である。また、給水経路を各段毎に独立させ給水圧力を変える方法もとりうる。
次に、第5の実施形態について説明する。
図8は、本実施形態に係る非晶質合金箔帯の製造装置を例示する側面図であり、
図9は、図8において合金溶湯が水冷ロールと接触する部分を例示する断面図である。
図8に示すように、本実施形態に係る非晶質合金箔帯の製造装置5においては、1つの駆動手段73の両側に、2つの冷却ロール71a及び71bが設けられており、その外側には、2つの冷却水供給手段72a及び72bが設けられている。冷却ロール71a及び71bの構成は、前述の第1の実施形態における冷却ロール11の構成と同様である。なお、冷却ロール71a及び71bの構成は、前述の第1の実施形態の変形例における冷却ロール31、第2の実施形態における冷却ロール41、第3の実施形態における冷却ロール51、第4の実施形態における冷却ロール61、又は、第4の実施形態の変形例における冷却ロール61aの構成と同様であってもよい。
冷却水供給手段72aには、給水管74a及び排水管75aが接続されている。冷却水供給手段72aには、給水管74aを介して室温又はそれより低温の冷却水が供給され、この冷却水を冷却ロール71aに供給する。また、冷却水供給手段72aは、冷却ロール71aによって加熱された冷却水を排水管75aを介して外部に排出する。同様に、冷却水供給手段72bには、給水管74b及び排水管75bが接続されている。冷却水供給手段72bは、給水管74bを介して室温又はそれより低温の冷却水が供給され、この冷却水を冷却ロール71bに供給し、冷却ロール71bから排出された加熱された冷却水を排水管75bを介して外部に排出する。駆動手段73は、冷却ロール71a及び71bの双方を回転させる。
また、製造装置5においては、坩堝15を移動させる移動手段17が設けられている。移動手段17においては、冷却ロール71a及び71bの上方に配設されたレール77が設けられている。坩堝15は、レール77に案内されて、冷却ロール71aの外周面に対して溶湯Aを吐出可能となる位置と、冷却ロール71bの外周面に対して溶湯Aを吐出可能となる位置との間で移動可能とされている。
図9に示すように、ノズル16は多重スリットノズルである。すなわち、ノズル16の吐出口の形状は、冷却ロール71a及び71bの周方向に沿って複数本、例えば2本のスリット81が配列された形状となっている。各スリット81が延びる方向は、冷却ロールの軸方向と同一である。また、スリット81間の距離は、例えば10mm以下であり、例えば6mm以下である。なお、ノズル16として、吐出口に3本以上のスリットが形成された多重スリットノズルを使用してもよく、1本のスリットのみが形成されたシングルスリットノズルを使用してもよい。
次に、上述の如く構成された非晶質合金箔帯の製造装置の動作、すなわち、本実施形態に係る非晶質合金箔帯の製造方法について説明する。
図8及び図9に示すように、冷却水供給手段72aが、給水管74aを介して供給された室温又はそれ以下の温度の冷却水を冷却ロール71aに対して供給する。同様に、冷却水供給手段72bが、給水管74bを介して供給された室温又はそれ以下の温度の冷却水を冷却ロール71bに対して供給する。これにより、冷却ロール71a及び71bの流通経路に冷却水を流通させる。一方、駆動手段73が冷却ロール71a及び71bを回転させる。
この状態で、移動手段17が坩堝15を冷却ロール71aの直上域に位置させる。そして、坩堝15内の溶湯Aをノズル16のスリット81を介して冷却ロール71aの外周面に対して吐出させる。ノズル16にはスリット81が2本形成されているため、パドルPは2ヶ所に形成され、溶湯Aは、冷却ロール71aの回転に伴って、これらの2ヶ所のパドルPから引き出される。このとき、本実施形態においては、スリット81の間隔が例えば10mm以下、例えば6mm以下となっているため、上流側のパドルPから引き出された高粘度の溶湯Aが、ガラス転移点に達する前に下流側のパドルPに到達し、下流側のパドルPから引き出された高粘度の溶湯Aとそれらの界面付近で混じり合い、一体化する。この結果、溶湯Aの厚さが増加する。このようにして、溶湯Aが冷却ロール71aによって急冷されて、非晶質合金箔帯Sが製造される。このとき、溶湯Aから冷却ロール71aに伝達された熱は、冷却ロール71a内を流れる冷却水に伝達され、冷却水と共に冷却ロール71a内から排出される。この加熱された冷却水は、冷却水供給手段72aに戻り、排水管75aを介して外部に排出される。
そして、冷却ロール71aの温度が非晶質合金箔帯Sを製造できない温度付近まで上昇したら、溶湯Aの吐出を停止させる。そして、移動手段17がレール77に沿って坩堝15を移動させ、冷却ロール71bの直上域に位置させる。
次に、坩堝15内の溶湯Aをノズル16を介して冷却ロール71bの外周面に対して吐出させる。これにより、冷却ロール71bによって非晶質合金箔帯Sが製造される。冷却ロール71bによる非晶質合金箔帯Sの製造方法は、冷却ロール71aによる製造方法と同様である。冷却ロール71bによって非晶質合金箔帯Sを製造している間、冷却水供給手段72aが冷却ロール71a内に冷却水を流通させ続けると共に、駆動手段73が冷却ロール71aを回転させ続けることにより、冷却ロール71aを冷却する。
このようにして、冷却ロール71bにより非晶質合金箔帯Sを製造し、冷却ロール71bの温度が非晶質合金箔帯Sを製造できない温度付近まで上昇したら、溶湯Aの吐出を停止させ、移動手段17が坩堝15を冷却ロール71aの直上域まで移動させる。この時点までには、冷却ロール71aが冷却水によって冷却されて、その温度は十分に低くなっている。そして、ノズル16によって坩堝15内の溶湯Aを冷却ロール71aの外周面に対して吐出させ、冷却ロール71aによる非晶質合金箔帯Sの製造を開始する。
以後、上述の動作を繰り返す、すなわち、溶湯供給手段14は、冷却ロール71aの外周面及び冷却ロール71bの外周面に対して溶湯Aを交互に供給する。そして、冷却ロール71a及び71bのうち、一方の冷却ロールによって非晶質合金箔帯Sを製造しているときは、他方の冷却ロールに対して溶湯を供給しない。但し、他方の冷却ロールに対して冷却水は流通させて、この冷却ロールを冷却する。これにより、一方の冷却ロールの温度が高くなり、非晶質合金箔帯Sの製造を継続することができなくなるまでに、他方の冷却ロールは十分に冷却され、非晶質合金箔帯Sを製造する準備が整う。このようにして、冷却ロール71a及び冷却ロール71bを交互に用いて非晶質合金箔帯Sを製造し続けることにより、より厚い非晶質合金箔帯を連続的に製造することができる。例えば、本実施形態によれば、厚さが70μm以上の非晶質合金箔帯Sを製造することができる。なお、この場合、最外周のリング部材、例えば、図2に示す外周部材28の厚さは、30〜50mmとすることが好ましい。
本実施形態によれば、2つの冷却ロール71a及び71bに対して溶湯Aを交互に供給し、溶湯Aを供給していない方の冷却ロールも冷却し続けることにより、単一の冷却ロールを使用する場合と比較して、より厚い非晶質合金箔帯Sを工業的規模で製造することができる。
また、本実施形態によれば、冷却ロール71a及び71bとして、流水経路が多段に配設された冷却ロールを使用することにより、冷却ロールの排熱性能が高くなるため、1つの冷却ロールによって非晶質合金箔帯を製造し続けられる時間が長くなる。これにより、冷却ロールの切替頻度が低下し、坩堝の移動に伴う時間及び材料の損失が低減されると共に、使用していない冷却ロールの冷却時間を長く確保できる。また、使用していない冷却ロールの冷却性能も向上する。この結果、流水経路が1段構成の冷却ロールを使用する場合と比較して、より多量の入熱に対応できるようになり、より厚い非晶質合金箔帯を製造することが可能となる。また、非晶質合金箔帯の生産性が向上する。本実施形態における上記以外の構成、製造方法及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
なお、本実施形態においては、冷却ロール毎に駆動手段を設けてもよく、2つの冷却ロールが1つの冷却水供給手段を共有してもよい。
以上、実施形態及びその変形例を参照して本発明を説明したが、本発明はこれらの実施形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、前述の実施形態及び変形例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。例えば、前述の各実施形態においては、冷却ロールが銅又は銅合金によって形成されている例を示したが、本発明はこれに限定されず、伝熱性が良好な金属又は合金であれば、どのような材料によって形成されていてもよい。また、前述の各実施形態においては、冷却液として水を用いる例を示したが、これには限定されない。更に、前述の各実施形態においては、ろう付けによってパイプを冷却ロールに接合する例を示したが、接合方法はこれには限定されず、周知の方法によって接合すればよい。例えば、通電法又は爆着によって接合してもよい。
1、2、3、4、5:製造装置、11:冷却ロール、11a:外周面、12:冷却水供給手段、13:駆動手段、14:溶湯供給手段、15:坩堝、16:ノズル、17:移動手段、21a、21b、21c:流水経路、22a、22b:円周面、26:芯部材、26a:外周面、26b:溝、27:内周部材、27a:外周面、27b:溝、28:外周部材、28a:外周面、31:冷却ロール、41:冷却ロール、42a、42b:パイプ、43:二重管、43a:外管、43b:内管、44:二重管、44a:外管、44b:内管、45:流量調節弁、46:ロータリージョイント、47:貫通孔、51:冷却ロール、52:パイプ、53:ロータリージョイント、55:流量調節弁、57:貫通孔、59:冷却水供給支持手段、61:冷却ロール、61a:冷却ロール、62a、62b、62c:パイプ、63a:給水側ロータリージョイント、63b:排水側ロータリージョイント、64:パイプ、65:流量調節弁、67:貫通孔、71a、71b:冷却ロール、72a、72b:冷却水供給手段、73:駆動手段、74a、74b:給水管、75a、75b:配水管、77:レール、81:スリット、A:溶湯、C:回転軸、P:パドル、S:非晶質合金箔帯

Claims (10)

  1. 内部に流水経路が形成された冷却ロールと、
    前記流水経路に冷却液を流通させる冷却液供給手段と、
    前記冷却ロールを回転させる駆動手段と、
    前記冷却ロールの外周面に対して溶湯を供給する溶湯供給手段と、
    を備え、
    前記流水経路は、前記冷却ロールの回転軸からそれぞれ等距離にある複数の円周面に沿って配設されている非晶質合金箔帯の製造装置。
  2. 前記複数の円周面のそれぞれに沿って配設された複数群の流水経路は、相互に並列に接続されている請求項1記載の非晶質合金箔帯の製造装置。
  3. 前記複数の円周面のそれぞれに沿って配設された複数群の流水経路は相互に独立しており、
    前記冷却液供給手段は、前記複数群の流水経路に対して相互に独立に前記冷却液を流通させる請求項1記載の非晶質合金箔帯の製造装置。
  4. 他の冷却ロールをさらに備え、
    前記溶湯供給手段は、前記冷却ロールの外周面及び前記他の冷却ロールの外周面に対して交互に前記溶湯を供給する請求項1〜3のいずれか1つに記載の非晶質合金箔帯の製造装置。
  5. 前記溶湯供給手段は、前記冷却ロールの周方向に沿って複数本のスリットが配列されたノズルを有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の非晶質合金箔帯の製造装置。
  6. 冷却ロールの内部であって前記冷却ロールの回転軸からそれぞれ等距離にある複数の円周面に沿って配設された流水経路に冷却液を流通させ、前記冷却ロールを回転させながら、前記冷却ロールの外周面に対して溶湯を供給する工程を備えた非晶質合金箔帯の製造方法。
  7. 前記複数の円周面のそれぞれに沿って配設された複数群の流水経路に対して、同じ圧力で前記冷却液を供給する請求項6記載の非晶質合金箔帯の製造方法。
  8. 前記複数の円周面のそれぞれに沿って配設された複数群の流水経路に対して、前記冷却液を相互に独立して供給する請求項6記載の非晶質合金箔帯の製造方法。
  9. 他の冷却ロールを回転させながら、前記他の冷却ロールの外周面に対して溶湯を供給する工程をさらに備え、
    前記冷却ロールの外周面に対して溶湯を供給する工程と、前記他の冷却ロールの外周面に対して溶湯を供給する工程とを交互に実施し、
    前記冷却ロールの外周面に対して溶湯を供給する工程においては、前記他の冷却ロールの外周面に対しては溶湯を供給せず、
    前記他の冷却ロールの外周面に対して溶湯を供給する工程においては、前記冷却ロールの外周面に対しては溶湯を供給しない請求項6〜8のいずれか1つに記載の非晶質合金箔帯の製造方法。
  10. 前記溶湯を、錫又は硫黄を含む鉄基合金とする請求項6〜9のいずれか1つに記載の非晶質合金箔帯の製造方法。
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