JP2017225261A - 振動発電ユニット - Google Patents

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【課題】発電出力が高い振動発電ユニットを提供する。【解決手段】実施形態に係る振動発電ユニットは、コアと、コイルと、磁石と、を備える。前記コアは、積層された複数枚の非晶質合金箔を有する。前記複数枚の非晶質合金箔は長手方向の第1部分において結束されている。前記コアの長手方向の端部のうち、前記第1部分を除く第2部分に位置する端部は自由端である。前記コイルは、絶縁被覆された導線が前記第2部分の周囲に巻回されている。前記磁石は、前記自由端に対向している。前記複数枚の非晶質合金箔は、前記第2部分において相互にずれることができる。外力が前記コアに伝達されることにより、前記コアがたわみ振動する。前記コアは、前記外力に起因する基本振動と共に高調波振動をする。【選択図】図1

Description

本発明は、環境中の振動を利用して電力を得る振動発電ユニットに関する。
近年、エネルギーハーベスティングと呼ばれる小規模発電技術が注目されている。これは、今まで有効利用されていなかった微小エネルギーを利用して発電する技術である。その中で、人の歩行、走行、車の振動、橋の振動などにより生じる力や振動エネルギーを電気エネルギーに変換できれば、電子機器の電源として利用することができ、電源ケーブルが不要となったり、電池が不要となるなどのメリットがある。また、機器を使用していない時間帯は、コンデンサー(キャパシター)や2次電池に蓄電すれば、後で必要に応じて電力を取り出せる。
反復する力や振動を利用する発電法として、代表的なものは、(1)圧電素子、(2)エレクトレット素子、(3)磁歪を利用する電磁誘導法、がある。しかし、いずれも実用上の欠点があり、本格的な実用化に至っていない。また、(4)磁石をコイルに通す電磁誘導法もあるが、微小な環境エネルギーを利用するまでには至っていない。
(1)圧電素子は、圧力により発生する電圧は大きいものの、セラミックなので電流が極めて小さい。そのため蓄電するほどの電荷が生じない。(2)エレクトレット素子は、誘電体の表面に発生する電荷を利用して振動エネルギーを電力に変換する。これも電荷密度に制約があり、本願出願時点では100μW/cm程度の発電出力である。
(3)電磁誘導法において、コアに高磁歪合金を用いる方法は、合金が結晶磁気異方性を有しているので磁歪振動させるために大きな力が必要となる。そのため、素子の構成が複雑で大型になる。また、高磁歪合金は極めて高価であるため、実用化のハードルが高い。
磁歪を利用する電磁誘導法の例として、非特許文献1に、Fe基厚肉非晶質箔を用いる方法が提案されている。非特許文献1は、非晶質合金の高磁歪性および高透磁率性と、厚肉化による高弾性(バネ性)に注目して、振動発電に適していることを示唆している。
非特許文献1に記載の方法は、逆磁歪効果を利用している。外部磁界なしで外力による磁束変化が電圧を誘起する。非特許文献1は磁石で磁界を付与することを示唆しているが、これは2次的効果である。また、非特許文献1は発電量を開示していない。
また、非特許文献1に記載の方法は、誘起電圧を電池並みの1V(ボルト)に高めることを主目的としているため、コイル巻線数が極めて多く、コアの非晶質箔の積層枚数が多い。また、コアを自由振動できるようにコイルとの間に大きな空間を設けている。このように、コイルの質量負荷がコアにかからないようにしているため、誘起電圧に制限がある。また、コイル巻き数が多く電気抵抗が大きくなる。さらに、素子が大型になる欠点がある。
Fe基非晶質箔を用いる振動発電を検討した例として、非特許文献2がある。板厚が20μmの薄い非晶質箔に、箔の横方向にアニールで磁気異方性を付与し、長手方向に縦振動させて発電を試みている。この方法も磁歪の逆効果を利用している。発電出力は、素子当たり18μWで実用レベルには達していない。
発明推進協会 公技番号2014−500868 IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS、 VOL.50,NOVEMBER 2014 8002104
上記、従来技術にあげた方法は、環境エネルギーを利用する場合、いずれも発電出力、コストなどの面で実用レベルに達しない。もっとも実用化に近いと思われるエレクトレット方式でも、発電出力は本願出願時点で100μW/cm程度である。本発明の目的は、発電出力が高い振動発電ユニットを提供することである。
実施形態に係る振動発電ユニットは、コアと、コイルと、磁石と、を備える。前記コアは、積層された複数枚の非晶質合金箔を有する。前記複数枚の非晶質合金箔は長手方向の第1部分において結束されている。前記コアの長手方向の端部のうち、前記第1部分を除く第2部分に位置する端部は自由端である。前記コイルは、絶縁被覆された導線が前記第2部分の周囲に巻回されている。前記磁石は、前記自由端に対向している。前記複数枚の非晶質合金箔は、前記第2部分において相互にずれることができる。外力が前記コアに伝達されることにより、前記コアがたわみ振動する。前記コアは、前記外力に起因する基本振動と共に高調波振動をする。
未利用の人力(歩行、走行など)、車の走行、風力、など低周波振動数の反復する力を非晶質合金箔からなるコアに伝達し、このコアに基本振動の整数倍の高調波振動を発生させることにより高出力の振動発電が可能になる。とくに、コアを板厚が大きい非晶質合金箔を用いて形成すると、大きな発電出力を実現できる。
第1の実施形態に係る振動発電ユニットを示す断面図である。 (a)〜(c)は、第1の実施形態のコアを示す側面図である。 (a)〜(d)は、第1の実施形態の第1の変形例におけるコアを示す上面図である。 第1の実施形態の第2の変形例に係る振動発電ユニットを示す断面図である。 第2の実施形態のコアを示す側面図である。 第3の実施形態に係る振動発電ユニットを示す断面図である。 第4の実施形態に係る振動発電ユニットを示す上面図である。 (a)は、第5の実施形態に係る振動発電ユニットを示す側面図であり、(b)は1つの発電素子を示す上面図である。 (a)は、第6の実施形態に係る振動発電ユニットを示す側面図であり、(b)は1つの発電素子を示す上面図である。 第7の実施形態に係る振動発電ユニットを示す断面図である。 第8の実施形態に係る振動発電ユニットを示す断面図である。 第8の実施形態に係る振動発電ユニットを示す断面図である。 比較例1の試験方法を示す図である。
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る振動発電ユニットを示す断面図である。
図2(a)〜(c)は、本実施形態のコアを示す側面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る振動発電ユニット201においては、略直方体形状の筐体103が設けられている。筐体103の天井板には1ヶ所の小さな開口部が形成されている。筐体103上には例えば複数の支持バネ65が設けられている。支持バネ65上には、1枚の踏み台101が設けられている。これにより、踏み台101は筐体103に対して上下方向に振動可能に取り付けられている。踏み台101の下面には支柱102が取り付けられている。支柱102は筐体103の天井板の開口部内を通過して、筐体103内に進入している。支柱102の下端には外力伝達面64が設けられている。支柱102及び外力伝達面64により、外力伝達機構41が構成されている。
筐体103内においては、ガイド63が設けられており、筐体103に対して固定されている。また、筐体103内には可動支持具51が設けられており、ガイド63に沿って一定の範囲内で上下動可能とされている。可動支持具51の上面は外力伝達面64に対向しているが、外力伝達面64に結合されてはいない。また、可動支持具51の下面と筐体103の床板との間にはバネ61が設けられている。可動支持具51は支柱102及びバネ61から力が印加されることにより、ガイド63に沿って上下に移動する。
筐体103内には、コア11が設けられている。コア11の形状は短冊状である。コア11の長手方向の一方の端部は結束部12となっており、可動支持具51に固定されている。コア11の長手方向の他方の端部は自由端13となっている。コア11における可動支持具51に固定されている部分は上下にたわみ、可動支持具51に対して振動する。コア11の詳細な構成については後述する。
コア11の自由端13側の部分を囲むように、コイル21が設けられている。コイル21は1本の被覆導線がコア11の周囲に巻回されて構成されている。コア11が振動するときは、コイル21も共に振動する。このため、コア11の振動はコイル21の質量の影響を受ける。筐体103内には、コンデンサを含む蓄電回路71が設けられており、コイル21の被覆導線の両端部は蓄電回路71に接続されている。
コア11の自由端13側には、コア11から離隔して、磁石Mが設けられている。磁石Mは例えば永久磁石である。磁石MのS極又はN極の磁極面は、コア11に対向している。磁石Mは筐体103に固定されている。コア11と磁石Mとの最短距離をLとする。
図2(a)〜(c)に示すように、コア11においては、複数枚の非晶質合金箔15が積層されている。複数枚の非晶質合金箔15は、コア11の結束部12においては結束され、相互に結合されている。一方、コア11における結束部12を除く部分においては、相互に接してはいるものの結合されてはいない。なお、図を簡略化するために、図2(a)〜(c)では、3枚の非晶質合金箔15しか示されていないが、非晶質合金箔15の枚数はこれには限定されない。非晶質合金箔15の厚さは例えば35μm以上である。非晶質合金箔15の組成については後述する。
コア11の自由端13は、コア11のたわみ変形により非晶質合金箔15が相互にずれる(すべる)ことを損なわない程度に伸縮性のある薄い材料でまとめる。ここで、「ずれ」とは、図2(a)に示すように、コア11がたわみ変形したときに、コア11を形成する各層の非晶質合金箔15が自由に伸縮できることを意味する。これにより、コア11を構成する非晶質合金箔15における結束部12以外の部分は、コア11のたわみ変形の際、長さ方向に互いにずれることができる。
次に、本実施形態に係る振動発電ユニットの動作について説明する。
図1及び図2(a)〜(c)に示すように、踏み台101に外力Fが印加されると、バネ65の伸縮により踏み台101が振動する。この振動が外力伝達機構41を介して可動支持具51に伝わる。可動支持具51は、外力伝達面64に結合されてはいないため、一旦外力伝達機構41から外力Fを受けた後は、踏み台101の振動が停止しても、バネ61の作用により振動し続ける。この振動のエネルギーは、外力Fによって与えられたものである。
可動支持具51の振動により、コア11の結束部12が振動する。結束部12の振動によりコア11の結束されていない部分はコイル21を背負って振動する。このとき、コア11における結束部12を除く部分の振動モードは、結束部12とは異なり、高調波が発生する。コイル21の質量負荷とコア11の非晶質合金箔特有のバネ性(強い弾力)により、たわみ(しなり)振動する。具体的には、コア11には、外部振動数(基本波)以外に、2倍、3倍、4倍などの低次の高調波振動が同時に発生する。コア11の振動に伴い、コイル21も振動する。但し、コイル21は必ずしも高調波振動するわけではない。
コア11は、磁石Mから発生する磁界の中で振動するため、上述の高調波を含むたわみ振動により、コイル21には大きな電圧が誘起される。この高調波振動は、非晶質合金箔に特有の現象であり、特に板厚が大きな非晶質合金箔で顕著に現れる。これにより、コイル21に誘導電流が発生し、この電流が蓄電回路71に蓄積される。このとき、必要に応じて、電圧を昇圧し、電流を蓄電回路71に蓄積する。そして、必要時に蓄電回路71から電力を取り出して使用する。
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、外力Fにより踏み台101に発生した振動を、外力伝達機構41を介して可動支持具51に伝達し、可動支持具51を振動させる。そして、可動支持具51の振動が、コア11における結束部12を除く部分を高調波振動させる。磁石Mによる磁界中でコア11が高調波振動することにより、コイル21には大きな誘導電流が発生し、これを蓄電回路71に蓄積することができる。
コア11を非晶質合金箔15によって構成することにより、コア11の強い弾性により、コア11を強力に振動させることができる。また、複数枚の非晶質合金箔15を重ね、その長手方向の一部分のみを結束し、残りの部分は相互に結合しないようにまとめることにより、振動時に非晶質合金箔15を相互にずらすことができる。これにより、コア11を厚くして必要な機械的強度を確保しつつ、柔軟性を持たせて大きな振幅を得ることができる。
コイル21の巻き方は、コア11に直接巻くいわゆる直巻きでもよいが、コア11の自由なたわみ変形を損なわないように、わずかでも空間を設ける方が良い。コア11とコイル21の間に伸縮性のある物質を介在させることが好ましい。空隙を大きく取りすぎるとコア11にかかるコイル21の質量負荷が不足して、たわみ振動が発生しにくくなる。また、振動が安定しなくなる。更に、コア11とコイル21の空隙を大きくすると、コイル21の巻線の総延長が長くなり電気抵抗が増大する。その結果、発電出力が低下する。また、抵抗の増加を抑えるため、コイル21の導線の太さは、あまり細くない方が良い。細い導線を使い巻き数を増やすことは、発電出力をかえって低下させる場合がある。
巻線の断面形状は通常、丸いものが使われるが、巻線密度を上げるため、いわゆる平角線を用いることもできる。誘起電圧を高めるために巻線数を多くすることは重要であるが、抵抗増加をできるだけ抑えることが好ましい。さらに、コア11のたわみ(しなり)振動を最適化するために、コイル21の質量は大きなファクターになる。発電量を高めるために、上記のファクターを考慮して設計することが好ましい。ここで、たわみ振動の最適化とは、コア11に基本波の整数倍の高調波振動を強く発現させることをいう。
本実施形態においては、コイル21の質量負荷を利用して、コア11にたわみ変形振動させ、高調波の電圧を誘起させて発電している。したがって、コイル導線の選定は重要である。コイル21に用いる巻線の種類は、銅(Cu)線が電気比抵抗、加工性の点で優れている。しかし、比重(密度)が大きいので巻き数によってはコイル21が重くなり過ぎ、コア11のたわみ振動に好ましくない場合がある。そのようなときは、アルミニウム(Al)線を使用できる。
磁石Mは、市販の吊り下げフックに用いられる程度の磁力(表面磁極密度)があればよい。重要なのは、磁石が発する総磁束量である。単に磁石Mの残留磁束密度Brだけでなく、磁極面の面積Sも必要である。一般的には、Br・S積が大きい方が良い。
(第1の実施形態の第1の変形例)
次に、第1の実施形態の第1の変形例について説明する。
図3(a)〜(d)は、本変形例におけるコアを示す上面図である。
図3(a)〜(d)に示すように、本変形例においては、コア11の自由端13の形状を加工し、端縁の少なくとも一部を、コア11から磁石M(図1参照)に向かう方向に直交する方向に対して、傾斜させている。
具体的には、図3(a)に示す例では、コア11aの自由端13側の角をカットしている。図3(b)に示す例では、コア11bの自由端13を丸くしている。図3(c)に示す例では、コア11cの自由端13に台形状の凹部を形成している。図3(d)に示す例では、コア11dの自由端13に半円状の凹部を形成している。
これにより、コア11の反磁界係数が減少し、コア11を通過する磁束量が増大するため、誘起電圧が増加する。なお、自由端13の形状は、図3(a)〜(d)に示す形状には限定されないが、自由端13全体が平面である場合と比較して、コア11の反磁界係数が低下するような形状であることが好ましい。本変形例における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
(第1の実施形態の第2の変形例)
次に、第1の実施形態の第2の変形例について説明する。
図4は、本変形例に係る振動発電ユニットを示す断面図である。
図4に示すように、本変形例に係る振動発電ユニット202においては、磁石Mにおけるコア11側の磁極面に、非晶質合金箔17が1枚から数枚程度、貼付されている。これにより、非晶質合金箔17を貼付しない場合と比較して、誘起電圧が10〜20%程度増加する。貼付する非晶質合金箔17の合計の厚さは、100μm以下とすることが好ましい。合計の厚さが100μmを超えると、かえって誘起電圧が低下する場合がある。本変形例における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
図5は、本実施形態のコアを示す側面図である。
図5に示すように、本実施形態に係る振動発電ユニットにおいては、コア11eにおいて、非晶質合金箔15とスペーサ16が交互に積層されている。スペーサ16は弾力のある材料によって形成されており、例えば、非磁性のテープによって形成されている。コア11eにおける結束部12を除く部分において、非晶質合金箔15とスペーサ16は相互にずれるように束ねられている。
非晶質合金箔15間にスペーサ16を挿入することにより、弾力(バネ性)が弱い薄い非晶質合金箔15の機械振動を補強することができる。このように、スペーサ16で強度を補うことにより、従来の薄い非晶質合金箔も振動発電ユニットに用いることができる。ただし、発電性能は、厚肉箔に及ばない。スペーサの挿入は非晶質合金箔15の板厚が大きい場合にも有効であり、誘起電圧を向上させる。ただし、コア11eの体積が大きくなる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
図6は、本実施形態に係る振動発電ユニットを示す断面図である。
本実施形態は、外力Fをコア11に直接伝える方式の例である。
図6に示すように、本実施形態に係る振動発電ユニット203は、前述の第1の実施形態に係る振動発電ユニット201(図1参照)と比較して、ガイド63、可動支持具51及びバネ61が設けられておらず、その替わりに、固定支持具14及び支点108が設けられている点が異なっている。
固定支持具14は筐体103に固定されており、筐体103に対して相対的に振動しない。コア11の結束部12は固定支持具14に固定されている。支点108はコア11における結束部12とコイル21によって囲まれた部分との間に位置する部分の一部を支えている。支点108は、支点108の位置107にコア11を留め置くために設置する。すなわち、支点108の位置107では、コア11は筐体103に対して相対運動をしない。ただし、反動で外力Fと反対方向にはねることはある。支柱102の先端部105は、コア11における支点108によって支持された位置107とコイル21によって囲まれた部分の間の位置106に当接する。
図6に示すように、外力Fは、人の足、車のタイヤなどを通して踏み台101に、さらに支柱102によってコア11に伝えられる。外力Fが加わるとコア11の支点108よりも自由端13側の部分は下方に振れる。テコの原理で支柱102の振幅より大きい振幅でコア11の自由端13は振動する。そのとき、コア11はたわみ、高調波振動が発生する。
本実施形態によれば、コア11において高調波振動が発生しやすいため、より高い誘起電圧を発生させることができる。また、第1の実施形態と比べて、ガイド63、可動支持具51及びバネ61の替わりに、固定支持具14及び支点108を設けているため、構成が簡単である。このため、振動発生ユニットのコストを低減することができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
本実施形態においては、支点108に接触する部分の曲げ変形(曲率半径r)により、コア11の支点位置は繰返し変形するため、疲労破壊を起こしやすい。これを防ぐため、アール(r)を大きくすると効果がある。
さらに疲労破壊を遅らせる手段として、支点108の位置をずらす方法がある。一定時間(期間)をおいて支点108の位置を磁石M側又は固定支持具14側に移動させる。移動手段はギヤなど(図示せず)の既存の技術で実現できる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
図7は、本実施形態に係る振動発電ユニットを示す上面図である。
なお、図7においては、図を見やすくするために、コア11及び磁石M以外の構成要素は図示を省略している。
図7に示すように、本実施形態に係る振動発電ユニット204においては、複数本のコア11が設けられており、コア11の長手方向及び幅方向に沿って平面マトリクス状に配列されている。各コア11においては、長手方向の中央部が結束部12とされ、両端が自由端13とされている。これにより、1本のコア11により2つの発電素子を実現することができる。また、2本のコア11の間に、1つの磁石Mを配置している。これにより、磁石Mの両面を利用できるので、2つの発電素子において、1つの磁石Mを共有することができる。この結果、原理的には、n本(nは自然数)のコア11及びn個の磁石Mにより、2n個の発電素子を構成することができる。複数個の発電素子は、マトリクス状に配列されて、発電素子のアレイを構成している。
本実施形態に係る振動発電ユニット204は、例えば床発電などの表面積が大きい振動発電ユニットに適している。本実施形態によれば、発電素子の数を増やし、広い面積をカバーして、発電出力を増加させることができる。また、コア11及び磁石Mを有効利用することにより、振動発電ユニット204の作製能率を向上させ、全体としてコストを低減することができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。
図8(a)は、本実施形態に係る振動発電ユニットを示す側面図であり、(b)は1つの発電素子を示す上面図である。
なお、図8(a)及び(b)は、コア11及びその周辺の構成要素のみを示し、他の構成要素は省略している。後述する図9(a)及び(b)も同様である。
図8(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る振動発電ユニット205においては、前述の第4の実施形態に係る振動発電ユニット204(図7参照)においてマトリクス状に配列された発電素子からなるアレイを、上下方向に複数段積層させている。これにより、複数の発電素子が3次元的に配列されている。
振動発電ユニット205において、コア11に例えば楕円状の穴(支柱貫通孔)110が形成されている。また、支柱102には、つば109が取り付けられている。各支柱102に取り付けられたつば109の枚数は、上下方向に配列されたコア11の段数と同じである。支柱102は穴110を挿通するが、つば109は穴110を挿通できず、コア11の係合するようになっている。これにより、支柱102に外力Fが印加されると、つば109がコア11に当接し、コア11に外力Fを伝達する。このようにして、外力Fを全てのコア11に伝達することができる。また、楕円状の穴110により、支柱102がコアの曲げ変形(たわみ変形)を妨げることがない。なお、支柱貫通孔の形状は矩形であってもよい。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第4の実施形態と同様である。
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。
図9(a)は、本実施形態に係る振動発電ユニットを示す側面図であり、(b)は1つの発電素子を示す上面図である。
図9(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る振動発電ユニット206は、前述の第5の実施形態に係る振動発電ユニット205(図8(a)及び(b)参照)と比較して、コア11の結束部12を支える可動支持具51が設けられておらず、その替わりに、振幅設定機構60、及び、バネ61、62が設けられている。
振幅設定機構60は筐体103(図1参照)に固定されている。振幅設定機構60の磁石M側の側面には凹部が形成されている。凹部の上面にはバネ61が取り付けられており、下面にはバネ62が取り付けられている。そして、コア11の結束部12は、振幅設定機構60の凹部内において、バネ61とバネ62に挟まれており、バネ61とバネ62に結合されている。これにより、結束部12は、上下方向に沿って一定の範囲内で振動可能である。
また、振動発電ユニット206においては、板バネ81、82が設けられている。コア11の幅方向両端部の上方には一対の板バネ81が配置され、コア11の幅方向両端部の下方には一対の板バネ82が配置されている。コア11の長手方向において、板バネ81、82は、コイル21とつば109との間に配置されている。
振動発電ユニット206においては、支柱102に外力Fが印加されると、外力Fはつば109を介して、コア11におけるバネ61、62に挟まれた結束部12と、板バネ81、82に挟まれた部分との間の部分に伝達される。これにより、バネ61及び62の作用により、コア11全体が上下に振動すると共に、結束部12に対して自由端13側が振動する。そして、この振動の際に、コア11が板バネ81及び82に触れ、一時的に自由振動が制限される。これにより、コア11のたわみ変形量が大きくなり、発電出力が向上する。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第5の実施形態と同様である。
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態について説明する。
図10は、本実施形態に係る振動発電ユニットを示す断面図である。
図10に示すように、本実施形態に係る振動発電ユニット207は、コア11を水平方向に振動させる例である。振動発電ユニット207においては、筐体103の底部に固定支持具14が固定されており、固定支持具14から上方に突き出すように、コア11が設けられている。コア11の下部は結束部12となっており、固定支持具14に固定されている。
コア11の上端は自由端13となっている。コア11の自由端13付近には錘93が取り付けられている。コイル21は、コア11の上部であって錘93よりも下方の部分の周囲に設けられている。コイル21は蓄電回路71(図1参照)に接続されている。コア11上には磁石Mが設けられている。磁石Mは筐体103の天井板に固定されており、コア11の自由端13に対向している。また、振動発電ユニット207には、外力Fを筐体103の内部に導入する外力伝達機構41(図1参照)は設けられていない。振動発電ユニット207においては、外部の振動が筐体103及び固定支持具14を介してコア11の結束部12に伝わるため、筐体103及び固定支持具14が外力伝達機構として機能する。
本実施形態においては、筐体103に外力が印加されると、この外力が筐体103及び固定支持具14を介してコア11の結束部12に伝わり、この結果、コア11の自由端13が結束部12に対して水平方向に振動する。コア11における非晶質合金箔15(図2(b)参照)の積層枚数とコイル21の質量のバランスを調節することにより、コア11の振動を持続させ、振幅を制御することができる。また、錘93の位置及び質量を調節することによっても、コア11の振動の振幅を制御することができる。コア11の自由端13側の部分が重いと、コア11が不安定となり小さい横揺れでも振動を続ける。
本実施形態に係る振動発電ユニット207によれば、環境中の水平振動を利用して発電することができる。従って、横振動が大きな産業機械、車の走行、ジョギング走行、木々のゆれ、アルペンスキー、スノーボードなどの多くの横振動源に対して利用できる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
なお、振動発電ユニット207は、上下を逆にして用いることもできる。すなわち、コア11を筐体103の天井板からぶら下げて、コア11の直下に磁石Mを配置してもよい。これにより、コア11は振り子運動する。コア11の振り子運動を持続させるためには、コイル21の質量、錘93の位置及び質量などで調節すればよい。これにより、コア11のたわみ量を大きくし、振動を長く持続できる。コア11の先端部付近に錘93を取り付けることにより、誘起電圧が10〜20%向上した。
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態について説明する。
本実施形態に係る振動発電ユニットは、手の握力をエネルギー源とする握力発電機である。
図11及び図12は、本実施形態に係る振動発電ユニットを示す断面図である。
図11及び図12は、相互に直交する断面を示す。
図11及び図12に示すように、本実施形態に係る振動発電ユニット208においては、円筒形の筐体103aが設けられており、その上に、握力付加部111が設けられている。握力付加部111の形状は、筐体103aの外面に沿って湾曲した板状である。握力付加部111は、前述の第1の実施形態における踏み台101(図1参照)に相当する。筐体103aと握力付加部111との間には、支持バネ65が設けられている。筐体103aには開口部が形成されており、この開口部を挿通するように、外力伝達機構41が設けられている。外力伝達機構41の一端は握力付加部111に結合されている。
筐体103a内には、コア11が設けられている。コア11の長手方向中央部が結束部12となっており、長手方向両端部が自由端13となっている。結束部12の上面には、外力伝達機構41の他端が当接する。コア11の自由端13付近には、錘93が取り付けられている。また、コア11における錘93よりも結束部12側の周囲には、コイル21が設けられている。コイル21は蓄電回路71(図1参照)に接続されている。
筐体103aの底面上には、支持台66が固定されている。支持台66上には、バネ61が設けられている。バネ61の一端は支持台66に接続されており、バネ61の他端は結束部12の下面に接続されている。筐体103aの長手方向両端部には、それぞれ、磁石Mが固定されている。磁石Mの磁極面は、コア11の自由端13に対向している。
次に、本実施形態に係る振動発電ユニット208の動作について説明する。
外力Fとして握力が握力付加部111に加わると、外力Fが外力伝達機構41を介してコア11の結束部12に伝達され、コア11の中心部(結束部12)がバネ61の作用により振動を始め、コア11の全体が振動する。しかしながら、結束部12は拘束されているため、たわみ振動するのは、結束部12以外の自由端13側の部分である。コア11の長手方向両側が基本波および、その整数倍の高調波振動(たわみ振動)することにより、大きな電圧が誘起される。
本実施形態の握力発電機は、握力だけでなく、ほとんどあらゆる振動に対応できる。コア11の長手方向を上下方向にすれば、前述の第7の実施形態と同様に、横振動により、コア11における結束部12の上下に配置された部分が振動し、発電する。斜めでも同様である。上下の素子の発電量の合計は、平均化されるので実用上好ましい。これに対して、第7の実施形態では、コア11の自由端13が天地のどちらを向いているかにより、発電出力に違いが生じる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
なお、前述の各実施形態及びその変形例(以下、総称して「実施形態」という)においては、外部の運動エネルギーは主として支柱102を介してコア11の一部に伝えられたが、これに限らない。コイル21もコア11の動きに連動しているので、コイル21を介してコア11に運動(振動)エネルギーを伝達してもよい。
前述の各実施形態において、コア11に用いる材料は非晶質合金とする。仮に、コア11の材料として結晶磁気異方性のある材料を用いると、微小な応力では磁束がほとんど変化しない。したがって、誘起電圧が小さく振動発電素子として実用レベルに達しない。コア11の材料に結晶材を用いると、結晶磁気異方性があるため、磁束の方向を変えるために極めて大きな応力が必要となる。
これに対して、非晶質材は原子配列がランダムであり、原理的に磁気異方性を有しない。このため、小さい外力によって透磁率が大きく変化する。いわゆる、透磁率の応力感受性が極めて大きい。すなわち、コアを通過する磁束の時間変化率が大きい。誘起電圧は磁束の時間変化率に比例するため、誘起電圧も大きい。また、磁界の方向によって磁束の方向が容易に変化する。これが、コア11の材料を非晶質合金とする理由である。
前述の実施形態において、コア11を構成する非晶質合金箔15は、板厚が厚い方が好ましい。その理由は、(1)厚い箔はコイルを背負って振動するために必要なバネ性(弾力)を有するためと、(2)厚い箔は振動の基本波だけでなく2倍波、3倍波、4倍波などの比較的次数の低い高調波振動の振幅が大きいためである。
厚い非晶質合金箔が、基本波および2倍波、3倍波、4倍波など、基本波の整数倍の周波数で振動し、その周波数で高い電圧を誘起することは、FFT(高速フーリエ変換計測器)で観測した。周波数のスペクトラムは、次数の低い整数倍で特に高い電圧を示した。
これに対して、薄い非晶質合金箔(板厚が30μm未満)をコアに用いると、コイルの質量を背負って振動させることが困難である。その振動スペクトラムは、基本波の整数倍で顕著なピークを示さず周波数増加とともに連続的に減衰している。すなわち、誘起電圧に寄与する周波数が広い周波数に広がっている。各ピークの電圧も厚い非晶質合金箔(板厚が35μm以上)にくらべて10分の1以下であった。
また、薄い非晶質合金箔を補強材で挟んで補強して振動を強制しても、発電性能の顕著な向上は見られなかった。基本波の整数倍の低次の振動が相対的に大きくなったが、周波数ごとの誘起電圧は向上していない。このように、薄い非晶質合金箔を用いた振動発電ユニットは、発電性能が不十分であるため、非晶質合金箔15の板厚は35μm以上とすることが好ましい。
非晶質合金箔の応力感受性を高めるために、熱処理(アニール)すると効果がある。特に、小さい外力に対する発電出力を向上させる。鋳造まま(as cast)の状態に比べて残留歪みが解放され、透磁率が向上するからである。ただし、アニールは脆化を招くので、耐久性に問題を生じる場合がある。耐久性が特に要求される場合は、熱処理の温度を低めにしたり、時間を短めにしたりすることが好ましい。熱処理に際して、非晶質合金箔に磁界を印加してもよい。コアの長手方向あるいは幅方向に磁界を加えて熱処理すると、磁束変化量ΔΦを増加させる効果がある。アニール中に回転磁界を印加することも効果がある。具体的には、磁界を印加しながら非晶質合金箔を磁界に対して回転させる。
コア11を構成する非晶質合金箔15は、飽和磁束密度Bsが高い方が好ましい。この観点からは、非晶質合金箔15の材料として、鉄(Fe)を主成分とする鉄基合金を用いることが好ましい。一方、非晶質合金箔15は、飽和磁束密度Bsに加えて透磁率も高いことが好ましい。この観点からは、非晶質合金箔15の材料は鉄基合金には限定されず、例えば、コバルト(Co)を主成分とするコバルト基合金を用いてもよい。一般に、非晶質合金では飽和磁束密度Bsを高めると透磁率は低下する傾向がある。どちらを優先して合金設計するかは、外力、振動源の特性を勘案して決定する。振動源のエネルギーが小さい場合は、透磁率を優先する。透磁率の高い合金は応力感受性が高いからである。
以下、非晶質合金箔15の材料として鉄基合金を用いる場合について、好ましい組成を説明する。
<鉄(Fe):70〜83原子%>
飽和磁束密度Bsと非晶質形成能、すなわち、非晶質化し易さの兼ね合いから、Feの濃度範囲は70〜83原子%とすることが好ましい。
<コバルト(Co):25原子%以下、より好ましくは、10〜20原子%>
飽和磁束密度Bsをより高めるためには、コバルト(Co)の添加が有効である。飽和磁束密度Bsが最も高い組成は、Fe基合金においてコバルトが10〜25原子%の範囲にある組成である。従って、コバルト濃度は10原子%以上、25原子%以下が好適である。ただし、コバルトは高価なので、コストの観点から、コバルト濃度を20原子%以下とすることがより好ましい。
<錫(Sn):0.01〜1質量%>
飽和磁束密度Bsを高めるためには、Fe及びCoの合計含有量を高めることが有効である。しかし、Fe及びCoの合計含有量を83原子%以上とすると、非晶質合金箔15を超急冷法で作製する場合、非晶質化が困難になる。特に板厚が大きくなると、より困難になる。その場合は、錫(Sn)の添加が効果的である。Snを添加することにより、Fe及びCoの合計含有量が83原子%を超えても、非晶質合金が形成されやすくなる。特に厚い板厚の非晶質形成に効果的である。Snの効果は、0.01質量%以上で現れる。一方、Snを多量に添加すると、非晶質合金箔が脆くなるので、Sn濃度は1質量%以下とすることが好ましい。なお、Snの含有量は質量%で表記しているが、実際に合金を溶解する際には、ベースの合金を溶解した後、追加的にSnを投入するため、質量%による表記が実際的である。
<ビスマス(Bi)、シリコン(Si)、炭素(C)の合計含有量:17〜30原子%>
Bi、Si、C等の半金属元素は、非晶質合金箔15を非晶質とするために添加する。非晶質化の効果を得るためには、Bi、Si、Cの合計含有量は17原子%以上とすることが好ましい。ただし、半金属元素の濃度を増やし過ぎると、磁性を担うFe等の金属元素の割合が減るので、30原子%以下とすることが好ましい。
<クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)の合計含有量:5原子%以下>
非晶質合金箔15には、クロム(Cr)を数原子%程度添加してもよい。これにより、耐食性及び耐候性が向上し、応力下における遅れ破壊の発生を遅らせることができる。同様に、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)又はニオブ(Nb)を添加すると、耐食性及び耐候性が向上する。ただし、これらの元素は非晶質合金箔15の飽和磁束密度Bsを下げるため、添加量は、合計で5原子%以下とすることが好ましい。
<ニッケル(Ni):10原子%以下>
非晶質合金箔15には、ニッケル(Ni)を添加してもよい。これにより、非晶質合金箔15の透磁率を向上させることができる。また、耐食性も向上する。ただし、Niの添加は、キュリー温度を下げ常温の飽和磁束密度を下げる。これらの理由から、Ni添加量は10原子%以下とすることが好ましい。
次に、非晶質合金箔15の材料としてコバルト基合金を用いる場合について、好ましい組成を説明する。
コバルト基非晶質合金は磁歪がほぼゼロであり、磁束密度は小さいが、透磁率の応力感受性が極めて高いので、非晶質合金箔15の材料として使用することができる。磁歪が極めて小さいCo基非晶質合金の具体例として、Co75FeSi12がある。
また、コア11はコイル21を背負って振動するので、コア11を構成する非晶質合金箔15は、弾性(バネ性)が強い厚い箔である方が、発電出力が高くなり、有利である。しかし、コイル21の質量、コア11を構成する非晶質合金箔15の枚数、積層方法、補強材などを工夫すれば、35μm以下の薄い箔でも使用できる。
前述の各実施形態は、本発明を具現化した例であり、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、前述の各実施形態において、いくつかの構成要素又は工程を追加、削除又は変更したものも本発明に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
(実施例1)
実施例1においては、前述の第1の実施形態に係る振動発電ユニット201(図1参照)を実際に作製し、誘起電圧及びその周波数を測定した。
コア11は、6枚の非晶質合金箔15を積層して形成した。各非晶質合金箔15の寸法は、板厚を50μmとし、幅を25mmとし、長さを80mmとした。非晶質合金箔15は、合金溶湯を急冷して作製し、熱処理は施していない(as cast)材とした。コイル21は、直径が0.4mmのエナメル線を180ターン巻いて作製した。コイルの重量は15g、抵抗は1.8Ωであった。磁石Mは、磁極面中心軸上の磁界が、2cm離れた(L=2cm)場所で、約10mT(ミリテスラ)のものを使った。コア11の自由端13から約2cmの位置に磁石Mの中心を配置した。コア11は、その長手方向に延びる中心軸の延長線が、磁石Mの中心軸とほぼ一致するように設置した。この状態で、踏み台101に周波数が約5Hzの外力Fを加えて、コア11及びコイル21を振動させた。そして、コイル21に誘起する電圧をデジタルテスターで測定した。
その結果、動作中の最大誘起電圧Vmは、69.7mV(RMS(Root Mean Square:二乗平均平方根)、以下同じ)であった。コイルの抵抗値から、出力Pmは2.7mW(RMS、以下同じ)と算出された。この場合、オームの法則から算出される電流Imは、37.8mA(RMS、以下同じ)である。デジタルマルチメータで計測したところ、ほぼ同等の電流値が得られた。
同じテスターで電圧の周波数fを測定した。表示される周波数は一定ではないが、最大値はfm=24Hzであった。すなわち、外力Fの振動数に対して約5倍であった。これは、コア11が外力Fの振動数よりも高い周波数で機械振動していることを示す。
(実施例2)
実施例2においては、コア11を8枚の非晶質合金箔15により形成し、実施例1と同様な測定を行った。上記以外の条件は、実施例1と同じとした。その結果、動作中の最大誘起電圧Vmは、80.0mVであり、発電出力Pmは3.5mWであった。
(実施例3)
実施例3においては、コア11を10枚の非晶質合金箔15により形成し、実施例1と同様な測定を行った。上記以外の条件は、実施例1と同じとした。その結果、動作中の最大誘起電圧Vmは、92.9mVであり、発電出力Pmは4.8mWであった。
上述の実施例1〜3においては、コア11を形成する非晶質合金箔15の積層枚数を増やすと、誘起電圧が増大した。このため、誘起電圧を増大させるためには、非晶質合金箔15の積層枚数を増やすことが好ましいことがわかる。但し、非晶質合金箔15の積層枚数を過剰に増やすと、外力がコア11に伝わりにくくなり、電圧の増加が見込めなくなるため、過剰に増やすのは好ましくない。非晶質合金箔15の板厚に応じた適正な枚数がある。
(実施例4)
実施例4においては、図3(a)に示すように、コア11aの自由端13側の角をカットした。上記以外の条件は、実施例1と同じとした。その結果、誘起電圧は実施例1の約1.5倍となった。
(実施例5)
実施例5においては、前述の第2の実施形態(図5参照)に示すように、非晶質合金箔15の間にスペーサを挟む効果について、検証した。
板厚が28μmの非晶質合金箔を11枚積層させて、コアを作製した。コアの合計の厚さは約308μmであり、これは、実施例1のコア、すなわち、板厚が50μmの非晶質合金箔15を6枚積層させたコアの厚さ(約300μm)と同程度である。このコアを、コアサンプルNo.1とした。一方、板厚が28μmの非晶質合金箔を11枚と、非磁性のテープ10枚を交互に積層させて、コアを作製した。このコアをコアサンプルNo.2とした。そして、実施例1と同様な条件により、誘起電圧を測定した。
コアサンプルNo.1は、バネが弱く、180ターンのコイルを背負っての振動が困難であった。そのため、安定した誘起電圧が得られなかった。コアサンプルNo.2は、実施例1と同様に、外力を受けて安定して振動することができた。外力の振動数を5Hzとしたときの誘起電圧は、Vm=47.5mVであった。
(比較例1)
図13は、比較例1の試験方法を示す図である。
図13に示すように、一端を固定支持具14に固定されたコア11の周囲にコイル21を配置した状態で、自由端13を磁石Mの磁極面に対面させた。コア11は、上述の実施例1で使用したコア11と同様に、非晶質合金箔15を6枚積層させたものを用いた。そして、コア11、コイル21を静止させたまま、コア11の自由端13の前方で磁石Mを上下に振動させた。磁石Mの振動数は3〜5Hzとし、振幅は3〜5cmとした。上記以外の条件は、実施例1と同様とした。
本比較例において、デジタルテスターが示した誘起電圧Vmは、振幅が3cmのとき、6〜9mV、振幅が5cmでは、9〜13mVであった。また、周波数fは、磁石を振った振動数以上の数値は出なかった。一方、上述の如く、コアを振動させた実施例1では、最大誘起電圧Vmは69.7mVであり、周波数fは24Hzであった。
このように、磁石Mを振動させた場合は、コア11を振動させた場合と比較して、誘起電圧は極めて低かった。本比較例の発電出力(W)は、コアを振動させた場合の10%程度であった。以上のことから、実施例1の高い発電出力は、コア11の機械振動(たわみ振動)による透磁率変化が発電に大きく寄与していると推定される。また、ファラデーの電磁誘導の式から逆算される磁束変化ΔBの大きさから、外力の振動数より高い周波数が重畳していることが推測される。
(比較例2)
比較例2においては、前述の実施例1において、磁石Mを除いてコア11を振動させた。この場合、誘起電圧は極めて小さく、0.1mV程度であった。このことから、実施例1に係る振動発電ユニットは、単に磁歪で誘起される磁束変化を利用しているのではないと考えられる。非特許文献1では、磁石なしで、磁歪による磁束密度変化ΔBを0.5Tと見積もっているが、本実施例においては、磁石なしでは大きな磁束変化は観測されなかった。
(比較例3)
比較例3においては、コア11を結晶質の78パーマロイで形成して、同様な測定を行った。パーマロイの寸法は、板厚を0.5mm、幅を25mmとし、長さを80mmとした。上記以外の条件は、実施例1と同様とした。この場合は、検出可能な電圧は誘起されなかった。このため、実施例1等において誘起電圧が発生する現象は、非晶質合金箔に特有のものであると考えられる。
11、11a、11b、11c、11d、11e:コア、12:結束部、13:自由端、14:固定支持具、15:非晶質合金箔、16:スペーサ、17:非晶質合金箔、21:コイル、51:可動支持具、60:振幅設定機構、61、62:バネ、63:ガイド、64:外力伝達面、65:支持バネ、66:支持台、71:蓄電回路、81、82:板バネ、93:錘、101:踏み台、102:支柱、103、103a:筐体、105:先端部、106、107:位置、108:支点、110:穴、111:握力付加部、201、202、203、204、205、206、207、208:振動発電ユニット、F:外力、L:最短距離、M:磁石

Claims (13)

  1. 複数枚の非晶質合金箔を有し、前記複数枚の非晶質合金箔は積層され、長手方向の第1部分において結束され、前記第1部分を除く第2部分に位置する端部が自由端であるコアと、
    絶縁被覆された導線が前記第2部分の周囲に巻回されたコイルと、
    前記自由端に対向した磁石と、
    を備え、
    前記複数枚の非晶質合金箔は、前記第2部分において相互にずれることができ、
    外力が前記コアに伝達されることにより、前記コアがたわみ振動し、
    前記コアは、前記外力に起因する基本振動と共に高調波振動する振動発電ユニット。
  2. 各前記非晶質合金箔の厚さは35μm以上である請求項1記載の振動発電ユニット。
  3. 前記非晶質合金箔は熱処理されている請求項1または2に記載の振動発電ユニット。
  4. 前記コアは、前記非晶質合金箔の間に配置されたスペーサをさらに有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の振動発電ユニット。
  5. 前記自由端は、前記自由端の全体が平面である場合と比較して、前記コアの反磁界係数が低くなるような形状である請求項1〜4のいずれか1つに記載の振動発電ユニット。
  6. 前記第2部分に取り付けられた錘をさらに備えた請求項1〜5のいずれか1つに記載の振動発電ユニット。
  7. 前記磁石における前記コアに対向した面に被着され、合計の厚さが100μm以下である1枚又は積層された複数枚の非晶質合金箔をさらに備えた請求項1〜6のいずれか1つに記載の振動発電ユニット。
  8. 前記第1部分に前記外力が印加される請求項1〜7のいずれか1つに記載の振動発電ユニット。
  9. 前記第2部分に前記外力が印加される請求項1〜7のいずれか1つに記載の振動発電ユニット。
  10. 前記コア、前記コイル及び前記磁石は、それぞれ複数設けられており、複数の前記コア、複数の前記コイル、及び、複数の前記磁石は、それぞれ2次元的又は3次元的に配列されている請求項1〜9のいずれか1つに記載の振動発電ユニット。
  11. 前記外力が人の握力を含む請求項1〜10のいずれか1つに記載の振動発電ユニット。
  12. Cr、Mo、W、Ta及びNbからなる群より選択された1種以上の金属をMとし、xを70〜83原子%とし、yを0〜20原子%とし、zを0〜10原子%とし、uを17〜30原子%とし、rを0〜5原子%とし、x+y+z+u+r=100とし、aを0.01〜1質量%とするとき、前記非晶質合金箔の組成は下記化学式を満たす請求項1〜11のいずれか1つに記載の振動発電ユニット。
    {FeCoNi(SiBC)100−aSn
  13. 前記非晶質合金箔はコバルト基合金からなる請求項1〜11のいずれか1つに記載の振動発電ユニット。
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