JP7112382B2 - 発電用磁歪素子および磁歪発電デバイス - Google Patents

発電用磁歪素子および磁歪発電デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP7112382B2
JP7112382B2 JP2019234429A JP2019234429A JP7112382B2 JP 7112382 B2 JP7112382 B2 JP 7112382B2 JP 2019234429 A JP2019234429 A JP 2019234429A JP 2019234429 A JP2019234429 A JP 2019234429A JP 7112382 B2 JP7112382 B2 JP 7112382B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetostrictive
magnetic
power generation
magnetostrictive element
steel sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019234429A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021103921A (ja
Inventor
広明 坂本
昌男 田邊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd filed Critical Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Priority to JP2019234429A priority Critical patent/JP7112382B2/ja
Priority to PCT/JP2020/048501 priority patent/WO2021132482A2/ja
Priority to EP20908324.5A priority patent/EP4083240A4/en
Priority to CN202080090108.8A priority patent/CN114930557A/zh
Priority to US17/788,746 priority patent/US20230046395A1/en
Publication of JP2021103921A publication Critical patent/JP2021103921A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7112382B2 publication Critical patent/JP7112382B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Heat Treatment Of Articles (AREA)
  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Description

本発明は、発電用磁歪素子および磁歪発電デバイスに関する。
近年発展しているモノのインターネット(Internet of Things、以下「IoT」と略す)の利用においては、モノとインターネットとの接続のために、センサ、電源、および無線通信装置等が一体となった無線センサモジュールを使用する。このような無線センサモジュールの電源として、電池交換や充電作業等の人手による定期的なメンテナンスの必要なしに、設置場所の環境で発生しているエネルギーから電力を発生させることが可能な発電装置の開発が望まれている。
このような発電装置の一例が、磁歪の逆効果である逆磁歪を使用した磁歪式振動発電装置である。逆磁歪とは、磁歪材料に振動などによって歪みが加えられたときに、磁歪材料の磁化が変化する現象である。磁歪式振動発電は、振動により磁歪材料に歪みを加えて、逆磁歪効果により発生する磁化の変化を、電磁誘導の法則により、磁歪素子の周囲に巻かれたコイルに起電力を発生させるものである。
従来、磁歪材料の発電性能を高めるためには、その磁歪量を増加させる方法が試みられてきた。これは、磁歪量が大きいほど、磁歪材料に引っ張り歪みと圧縮歪みを交互に負荷した場合、逆磁歪を利用した磁束密度の変化(ΔB)が大きくなり、発電出力も大きくなるからである。このような観点から、磁歪量の大きな材料として、FeGa合金、FeCo合金、FeAl合金等が開発され、これらの磁歪材料を用いた発電デバイスも開発されている(特許文献1~6)。
例えば、特許文献1に記載の発電デバイスにおいては、発電性能を向上させて品質のバラツキを低減するために、磁歪材料と軟磁性材料とを貼り合わせ、磁歪材料の磁化によって軟磁性材料の磁化を変化させる。こうすることで、磁歪材料の磁化の変化による電圧に加えて、軟磁性材料の磁化の変化による電圧も検出用コイルに誘起させる。使用する磁歪材料としては、FeCo、FeAl、Ni、NiFe、NiCo等が記載されており、軟磁性材としては、Fe、FeNi、FeSi、電磁ステンレスが記載されている。
特許文献2に記載の発電デバイスにおいては、起電力の向上、製造コストの低減、量産性の向上のために、磁歪材料と磁性材料とを合わせた平行梁構造を作製し、磁性材料をバイアス磁場によって磁気飽和させた状態で使用する構造を有するアクチュエータが開示されている。当該アクチュエータにおいては、バックヨークをコの字状とし、中立面を磁歪材料の外に設け、振動によるバイアス磁場の変化を磁歪材料の磁化の変化に重畳させて起電力を向上させる。磁歪材料としてFeGa、FeCo、FeAl、FeSiB、アモルファス材料等が記載されており、磁性材料としては、SPCC、炭素鋼(SS400、SC、SK、SK2)、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)等が記載されている。
特許文献3は、発電効率の向上、一様な応力負荷のために、磁歪材料と補強材としての非磁性材料とを貼り合わせ、磁歪材料と補強材の断面積比を補強材/磁歪材料>0.8になるように規定した発電素子が開示されている。磁歪材料としてはFeGa、FeCo、FeNi等が記載されており、補強材としてはフィラー含有樹脂、Al、Mg、Zn、Cu等が記載されている。
特許文献4の発電デバイスにおいては、発電出力を向上させるために、コイルの巻数を多くすることのできる構造が採用されている。具体的には、磁歪板と非磁性構造体とを面接合した構造を作製し、磁歪板からコイルが巻かれたUの字状ヨークに磁界を還流させる。磁歪板としては、FeGaおよびFeCoが記載されており、非磁性構造体としてはステンレス(SUS304、等)が記載されている。
特許文献5の発電デバイスにおいては、発電効率の向上および一様な応力負荷のために、磁歪材料と非磁性材料(補強材)とを貼り合わせた構造体を作製し、当該構造体を2本の平行梁として用いている。磁歪材料としては、FeGa、FeCo、FeCo系アモルファス、Fe系アモルファス、Ni系アモルファス、メタ磁性形状記憶合金、強磁性形状記憶合金等が記載されており、非磁性材料としては、酸化シリコン、アルミナ、ポリイミド、ポリカーボネード、繊維強化プラスチック、非磁性金属(Al、Cu)等が記載されている。
特許文献6の発電デバイスにおいては、発電出力の向上のために、磁歪材料と磁性材料とを離した平行梁とした構造を使用する。当該構造によって、磁性材料を磁気飽和させない状態で使用し、磁歪材料の磁束の変化によって磁性材料の磁束を変化させ、磁歪材料による誘起電圧に、磁性材料による誘起電圧を足し合せた電圧を取り出せる設計としている。磁歪材料としては、FeGa、FeCo、FeNi、FeDyTeが記載されており、磁性材料としては、フェライト系ステンレス鋼、FeSi、NiFe、CoFe、SmCo、NdFeB、CoCr、CoPtが記載されている。
国際公開第2018/230154号 特開2018-148791号公報 国際公開第2014/021197号 国際公開第2013/038682号 国際公開第2013/186876号 特開2015-70741号公報
特許文献1~6の記載から明らかなように、磁歪発電素子および磁歪発電デバイスにおいては、種々の磁歪材料が他の材料と共に使用されている。磁歪材料としては、最も磁歪量の大きな材料として知られるFeGa合金が特許文献2~6に記載されているが、FeGa合金は単結晶引き上げ方法(CZ法)で製造されるため、非常に高価である。特許文献1~6に記載されているFeCo合金は圧延法で製造されるが、Coを含有しているため、やはり高価である。また、特許文献1および2に記載されているFeAl合金は、FeGa合金やFeCo合金と比べて安価ではあるものの、やはり高価ある。さらに靭性が低く、通常の圧延法で板形状に製造することが容易ではないといった問題も有している。
このように従来使用されている磁歪材料であるFeGa合金、FeCo合金、FeAl合金は、その<100>方向の磁歪量であるλ100が80ppm以上と大きいため、発電用磁歪素子に用いる磁歪材料として数々の特許文献に記載されている。しかし、これら磁歪材料には、製造コストが高いことや、成形に限界があるといった問題が存在する。
また、特許文献1および特許文献6には、軟磁性材料としてFeSi合金(電磁鋼板)が記載されているが、いずれも磁歪材料と貼り合わせる相手材としての使用であって、磁歪材料としての使用ではない。このようなFeSi合金の使用は、従来の磁気回路における一般的なFeSi合金の使用方法である。
上記課題に鑑み、本発明の第一は、下記の発電用磁歪素子である。
[1] {110}[100]GOSS集合組織を有する方向性電磁鋼板から形成される磁歪部を含む、発電用磁歪素子。
[2] 前記方向性電磁鋼板に積層された弾性材料から形成される応力制御部をさらに含む、[1]に記載の発電用磁歪素子。
[3] 前記弾性材料が非磁性材料である、[2]に記載の発電用磁歪素子。
本発明の第二は、下記の磁歪発電デバイスである。
[4] {110}[100]GOSS集合組織を有する方向性電磁鋼板から形成される磁歪部を含む発電用磁歪素子を備える、磁歪発電デバイス。
[5] 前記方向性電磁鋼板の[100]方向にバイアス磁場が印加されるように構成されている、[4]に記載の磁歪発電デバイス。
本発明によれば、発電用磁歪素子の磁歪材料として使用されているFeGa合金、FeCo合金、FeAl合金と比べて低コストでありながらも、従来技術と同等またはそれらを超える磁歪発電量を達成することのできる、発電用磁歪素子および磁歪発電デバイスが提供される。
磁歪素子に曲げ歪みを加えて、磁束密度変化ΔBを測定するためのユニットの模式図である。 磁歪素子の一軸方向に引っ張り歪みおよび圧縮歪みを加えて、磁束密度変化ΔBを測定するためのユニットの模式図である。 実施例において使用した、磁歪素子の評価用の磁歪振動デバイスの構造を示す模式図である。 実施例9で実施したスイッチ的に単発で振動させた場合の電圧減衰波形である。 参考例3で製造したFeCo合金の結晶方位を観察した結果である。
上述したように、従来技術において発電用の磁歪材料として記載されているのは、主に、飽和磁歪が約200ppmレベルのFeGa合金、あるいは、飽和磁歪が80ppmレベルのFeCo合金やFeAl合金といった、飽和磁歪の大きな材料である。これは飽和磁歪が大きい程、磁歪材料に歪みを与えた場合に発生する磁気弾性エネルギーも大きく、このエネルギーを下げるために磁歪材料内の磁化の向きが変化し易くなるためである。そして、磁化の向きが変化し易い程、検出用コイルに誘起される電圧は大きくなる。言い換えれば、飽和磁歪が8ppmレベルの電磁鋼板(即ち、FeSi合金)を発電用磁歪材料として用いることは、従来想定されていなかった。
また、電磁鋼板は、従来、トランスやモーターの磁気回路を構成するためのヨーク材として用いられる材料である。このような用途においては、エネルギー損失となる鉄損を下げるために、電磁鋼板の磁歪を下げる取り組みが行われていた。従って、当該分野においては、電磁鋼板を磁歪材料として発電用磁歪素子に用いる発想すらなかった。
このような状況において本発明者らは、飽和磁歪の小さな電磁鋼板であっても、発電用磁歪素子における磁歪材料として使用することで、FeCo合金等と同等またはそれらを超える発電量を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
以下に、例示的な実施形態を挙げて本発明の説明を行うが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
1.発電用磁歪素子
本発明は、電磁鋼板から形成される磁歪部を含む、発電用磁歪素子に関する。
本発明において「発電用磁歪素子」(以下、しばしば、「磁歪素子」と略す場合もある)とは、磁歪特性、即ち、磁場の印加による形状変化(即ち、歪み)、を示す磁性材料によって形成された磁歪部を有し、磁歪部の逆磁歪に基づく発電が可能な素子を意味する。
本発明の発電用磁歪素子における磁歪部は、電磁鋼板から形成される。本発明において「電磁鋼板」とは、鉄(Fe)にケイ素(Si)を添加して鉄の磁気特性を向上させた、「ケイ素鋼板」と呼ばれることもある機能材料である。本発明における電磁鋼板は、ケイ素の含有量が0.5%以上4%以下の電磁鋼板である。ケイ素の含有量が0.5%以上4%以下の電磁鋼板はケイ素添加による電気抵抗の増加によって、交流振動における磁化変化を妨げる渦電流の発生を抑制できるため、磁歪部に用いるのに適している。
さらに電磁鋼板には、方向性電磁鋼板と無方向性電磁鋼板とがあり、本発明においては、方向性電磁鋼板と無方向性電磁鋼板のどちらも磁歪部に使用可能である。方向性電磁鋼板とは、鋼板の圧延方向に金属結晶の結晶方位を揃えたものである。具体的には、その圧延方向に<100>方向を揃え、圧延面を(110)方位とした{110}[100]GOSS集合組織を有する電磁鋼板である。一方、無方向性電磁鋼板とは、金属結晶の結晶方位が一定の方向に揃えられていない、比較的ランダムな結晶方位を有するものである。方向性電磁鋼板も、無方向性電磁鋼板も、飽和磁歪がFeGa合金やFeCo合金よりも低い材料であるが、従来の磁歪材料と同等またはそれらを超える発電が可能である。その理由は明確ではないが、次のように推定される。
上述したように、方向性電磁鋼板は、その圧延方向に<100>方向を揃え、圧延面を(110)方位とした{110}[100]GOSS集合組織を有する。本発明者らは、方向性電磁鋼板の[100]方向にバイアス磁場を印加した状態で、圧縮歪みを負荷した場合、方向性電磁鋼板の磁束密度が大きく変化することを新たに見出した。これは、方向性電磁鋼板の[100]方向に所定の磁場を印加すると、[100]方向に平行な180°磁区と90°磁区との割合が、両者が上手く相互作用する割合となり、方向性電磁鋼板に歪みを負荷した際に、180°磁区から90°磁区への変換、あるいは、90°磁区から180°磁区への変換が生じやすくなるためと考えられる。具体的には、180°磁区の磁化の方向に平行(すなわち、[100]方向)に圧縮歪みを負荷すると、180°磁区が減少して90°磁区が増加し、[100]方向に引っ張り歪みを負荷すると、90°磁区が減少して180°磁区が増加する。また、180°磁区の磁化の方向に垂直(すなわち、[110]方向)に圧縮歪みを負荷すると、90°磁区が減少して180°磁区が増加し、[110]方向に引っ張り歪みを負荷すると180°磁区が減少して90°磁区が増加する。これらの磁区の変化によって、方向性電磁鋼板の磁化が変化し、磁歪素子の磁歪部として機能する。磁歪発電デバイスにおいては、上記磁化の変化によって、磁歪素子に巻かれた検出用コイルに電圧が誘起される。
また、無方向性電磁鋼板には方向性電磁鋼板のような結晶配向は存在しないが、バイアス磁場を印加した状態で歪みを負荷した場合に磁束密度が大きく変化することを見出した。無方向性電磁鋼板では、結晶方位が比較的ランダムであるために、方向性電磁鋼板に比べて磁区が小さい。そのために、歪みを負荷した場合、多数ある磁区の中でより動きやすい磁区から動くことが可能になるため、磁歪素子の磁歪部として使用した際に、大きな磁束密度の変化が得られると考えられる。
本発明においては、方向性電磁鋼板の方が無方向性電磁鋼板よりも大きな磁化の変化を誘起しやすいことから、方向性電磁鋼板の方が磁歪部として好ましい。
方向性電磁鋼板の具体例としては、例えば、日本製鉄のオリエントコア、オリエントコアハイビー(例えば、27ZH100)、オリエントコアハイビー・レーザー、オリエントコアハイビー・パーマネント、等が挙げられる。
無方向性電磁鋼板の具体例としては、例えば、日本製鉄のハイライトコア(例えば、35H210)、ホームコア、等が挙げられる。
発電用磁歪素子のサイズは、それを備える磁歪発電デバイスの寸法によっても異なるため、本発明の発電用磁歪素子における磁歪部の寸法にも特に限定はない。磁歪部の寸法は、大きければ大きいほど、発電デバイスにおいてコイルの巻き数を多くして、より大きな電圧を得ることができるため好ましい。また、磁歪部を形成する電磁鋼板の厚みにも特に限定はないが、通常、0.2mm以上0.5mm以下である。磁歪部の厚みが0.2mm以上であれば、磁束の変化を大きくできるため、発生電圧も大きくできるため有利であり、0.5mm以下であれば、振動に適した剛性の設計が容易となるため有利である。
さらに本発明の発電用磁歪素子は、弾性材料から形成される応力制御部を有してもよい。本発明の磁歪素子における「応力制御部」とは、磁歪素子に曲げ歪み、等を加えた際に磁歪部全体に対して圧縮、または、引っ張りのどちらか一方の応力負荷を達成するために、応力を制御するための部分である。応力制御部を形成する材料は、上記目的を達成し得る弾性材料である限り特に限定はなく、非磁性材料および磁性材料のいずれも使用可能である。
応力制御部を形成する弾性材料を非磁性材料とすると、磁歪素子部の磁歪部のみに磁場が優先的に流れるため磁歪部のバイアス磁場の調整が容易であるため好ましい。さらに、磁歪部が方向性電磁鋼板で形成され、応力制御部が非磁性材料で形成された磁歪素子に曲げ歪みを負荷した場合に、他の組み合わせと比べてより大きな磁束密度の変化が生じることを、本発明者らは見い出した。これは、弾性材料に磁性材料を用いた場合には弾性材料と電磁鋼板の間に磁気的相互作用が生じ、90°磁区と180°磁区の変換が妨げられる場合が生じるが、弾性材料が非磁性材料の場合には、このような磁気的相互作用が生じないために、電磁鋼板の90°磁区と180°磁区の変換が生じ易くなるからであると考えられる。
応力制御部を形成する非磁性材料である弾性材料としては、繊維強化プラスチック(例:ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP))、オーステナイト系ステンレス鋼(例:SUS304、SUS316、など)、銅合金(例:黄銅、りん青銅)、アルミ合金(例:ジュラルミン)、チタン合金(例:Ti-6Al-4V)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、ヤング率が比較的高く、曲げ歪みを負荷した場合の中立面を磁歪部の外に位置させることが容易である点で、繊維強化プラスチック、オーステナイト系ステンレス鋼が好ましい。
応力制御部を弾性材料である磁性材料で形成すると、コスト低減に効果がある。磁歪素子の磁歪部が方向性電磁鋼板または無方向性電磁鋼板であり、応力制御部を形成する弾性材料が、磁性材料である鋼板の場合、バイアス磁場を印加したときに、磁歪部と応力制御部の両方にバイアス磁場が流れる。しかし、磁歪部を形成する方向性電磁鋼板または無方向性電磁鋼板はそもそも高透磁率材料であるため、磁歪部により多くのバイアス磁場が流れるため、発電に十分な磁区変化が生じると考えられる。しかし、応力制御部が非磁性材料の場合と比較すると、磁性材料で形成された応力制御部に流れる磁束分だけ磁歪部に印加される磁力が少なくなる。この磁力の減少を補うためには、磁歪発電デバイスの備える磁石の強度を高めれば良い。
応力制御部を形成する、磁性材料である弾性材料としては、一般構造用圧延鋼材(例:SS400)、一般構造用炭素鋼(例:S45C)、高張力鋼(例:HT80)、フェライト系ステンレス鋼(例:SUS430)、マルテンサイト系ステンレス鋼(例:SUS410)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
応力制御部を有する磁歪素子において、応力制御部は磁歪部と積層体を形成している。このような積層体は、応力制御部と磁歪部とを貼り合わせることによって形成することができる。貼り合わせる方法特に限定はないが、通常、接着剤や接着シートを間に介した貼り合わせ、ろう材接合、液相拡散接合等が挙げられる。
応力制御部の寸法に特に限定はないが、磁歪部全体に対して圧縮、または、引っ張りのどちらか一方の応力負荷を達成するという観点から、磁歪部と同じまたは磁歪部より大きいことが望ましい。応力制御部を形成する弾性材料の厚みにも特に限定はないが、通常、0.1mm以上2.0mm以下であり、好ましくは0.2mm以上1.0mm以下、より好ましくは0.2mm以上0.5mm以下である。応力制御部の厚みが0.1mm以上であれば、磁歪部全体に対して圧縮、または、引っ張りのどちらか一方の応力負荷を達成する上で有利であり、2.0mm以下であれば、磁歪素子の振動を妨げることが抑制できる。
磁歪素子の性能を評価するための指標として、磁歪素子に外部応力を負荷した際に生じる素子の磁束密度変化ΔBを用いることができる。ΔB(単位:mTまたはT)とは、以下の方法で求めることができる。
断面積Sの磁歪素子を巻き数Nのコイルに挿入して、外部応力を負荷する。このとき、時間Δtの間に磁束密度ΔBの変化が生じた場合、コイルにはV=-N(S・ΔB/Δt)の電圧が発生する。したがって、ΔBはコイルに発生した電圧信号の時間積分値として求めることができる。磁歪振動発電素子の性能指標は、Δtの間に発生する総電圧として評価することができる。すなわち、電圧の時間積分値である磁束密度の変化ΔBとして評価することができる。ΔBの測定は、コイルに発生する電圧をフラックスメータに繋ぐことによって行うことができる。
尚、ΔB(単位:mTまたはT)の詳細な測定方法および測定装置については、下記実施例において説明する。
2.磁歪発電デバイス
本発明は、電磁鋼板から形成される磁歪部を含む発電用磁歪素子を備える、磁歪発電デバイスに関する。
本発明の磁歪発電デバイスは、磁歪素子に含まれる磁歪部を形成する材料が電磁鋼板である限り、その構造に特に限定はない。よって、従来の磁歪材料(FeGa合金、FeCo合金、FeAl合金等)を磁歪部に用いた、逆磁歪効果を用いた発電装置と同様の構造とすることができる。
本発明の磁歪発電デバイスの備える発電用磁歪素子は、上述した本発明の発電用磁歪素子であることが好ましい。よって、磁歪部を形成する電磁鋼板の種類や寸法、応力制御部を形成する弾性材料の種類や寸法等については、上述した通りである。
本発明の磁歪発電デバイスの一例として、図3に示した装置が挙げられる。
当該装置において、磁歪素子は、磁歪部と応力制御部とを有する。磁歪素子の周りにはコイルが巻かれており、磁石と、支持部(フレーム)と、支持部(フレーム)に取り付けられた錘とを含む。このような装置においては、磁石の磁力線は、磁歪素子を通過して、磁歪部に対してバイアス磁場を印加する。そして錘の振動によってフレームが振動し、磁歪素子に引張力および圧縮力を加える。このとき、磁歪部に対して歪みを加える方向と、磁歪部に対してバイアス磁場を印加する方向とが平行関係にあり、逆磁歪効果によって磁歪素子の磁化を変化させ、コイルに誘導電流(または誘導電圧)を発生させることができる。
また、磁歪部に一軸歪みを加える発電デバイスも挙げられる。このような装置においては、磁歪素子の周りにはコイルが巻かれており、磁石と、支持部(フレーム)と、磁歪素子を両側から挟み込み治具とを含む。そして磁歪素子を両側から挟み込み治具によって磁歪素子を圧縮または引っ張ることで、図2に示した測定ユニットのように、磁歪素子に一軸歪みを加え、逆磁歪効果によって磁歪素子の磁化を変化させ、コイルに誘導電流(または誘導電圧)を発生させることができる。このような装置で使用する磁歪素子は、磁歪部のみからなるもの(即ち、応力制御部を含まないもの)であることが好ましい。磁歪部および応力制御部を含む磁歪素子も使用可能であるが、一軸歪を加える際に応力制御部も歪ませる必要があるため余分な力が必要になる。
磁歪部が方向性電磁鋼板から形成される場合には、方向性電磁鋼板の[100]方向にバイアス磁場が印加されるようにデバイスを構成することで、より大きな電圧が得られるため好ましい。
磁歪発電デバイスにおいて、バイアス磁場発生には永久磁石を用いることが好ましい。永久磁石は小型化可能であり、バイアス磁界の制御が容易である。また、永久磁石としては、より大きなバイアス磁場を発生させることができる理由から、NdFeB磁石が好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(評価方法)
実施例においては、磁束密度変化ΔBの値および発生電圧の量をもって、磁歪素子を評価した。
1.磁歪素子の磁束密度変化ΔBの測定
磁束密度変化ΔBの測定には、図1示した、曲げ歪みを磁歪素子に加える測定ユニット100、または図2に示した、一軸歪みを加える測定ユニット200を使用した。それぞれのユニットを用いた測定方法について説明する。
1-1.図1の測定ユニットを用いた測定
図1に、磁歪素子に曲げ歪みを加え、磁束密度変化ΔBを測定するためのユニット100の模式図を示した。図1には、例として、磁歪部111および応力制御部112を有する磁歪素子110の左側端部を固定支持台150に固定し、その右側端部を下方向に押し込んで曲げ歪みを加えるユニットを示した。
ユニット100においては、磁歪素子110の右側端部に下方への圧力170を加える(即ち、押し込む)。このとき、磁歪部111(磁歪材料)は圧縮歪みを加えた状態となり、押し込んだ時の磁歪部111の移動距離171が長くなるほど、圧縮歪みは大きくなる。押し込みはマイクロメーターのシリンダヘッドを用いて行い、押し込みの深さは、シリンダヘッドのストロークで調整した。
さらに図1の測定ユニットでは、ヘルムホルツ型のコイルをバイアス磁場用コイル120とし、そこに電流を流して、磁歪素子110に磁場を印加した。磁場の大きさは直流電源140の大きさによって調整し、磁場の大きさは予めガウスメータで校正した。このとき、磁歪素子110に印加される磁場を0~500e程度まで変化させて、磁束密度変化が最大になる磁場で評価した。磁歪素子110の磁束変化は、検出用コイル130(巻き数:3500ターン)によって誘起電圧として検出し、その誘起電圧をフラックスメーター160で磁束の変化として計測した。さらに、下記式Iに基づき、磁束の変化を検出用コイルの巻き数と磁歪材料の断面積で割って、磁束密度変化ΔBを求めた。
Figure 0007112382000001
(式中、Vは発生電圧、Nはコイルの巻き数、Sは磁歪部の断面積である。)
尚、この測定方法で得られる磁束密度変化ΔBは電圧変化の時間積分であるため、歪を加える速さには依存しない。
1-2.図2の測定ユニットを用いた測定
図2に、磁歪素子に一軸方向に引っ張り歪みおよび圧縮歪みを加え、磁束密度変化ΔBを測定するためのユニット200の模式図を示した。図2には、例として、磁歪部211を有する磁歪素子210を示した。磁歪素子210の両端部を非磁性材料で形成した治具(図示しない)で挟んで固定し、磁歪素子210に対して引っ張り歪み270および圧縮歪み280を加えた。歪みは、磁歪素子110に貼り付けた歪ゲージ(図示しない)を用いて測定した。尚、圧縮歪み280を加える場合には、座屈を抑制するために、両側から挟み込む治具以外の部位をアクリル樹脂の板で挟み込んだ。
図2の測定ユニット200では、ヘルムホルツ型のコイルをバイアス磁場用コイル220とし、そこに電流を流して、磁歪素子210に磁場を印加した。磁場の大きさは直流電源240の大きさによって調整し、磁場の大きさは予めガウスメータで校正した。このとき、磁歪素子210に印加される磁場を0~500e程度まで変化させて、磁束密度変化が最大になる磁場で評価した。磁歪素子210の磁束変化は、検出用コイル230(巻き数:3500ターン)で誘起電圧として検出し、その誘起電圧をフラックスメーター260で磁束の変化として計測した。さらに、上記式Iに基づき、磁束の変化を検出用コイルの巻き数と磁歪材料の断面積で割って、磁束密度変化ΔBを求めた。
2.発生電圧の測定
発生電圧の測定には、図1示した、曲げ歪みを磁歪素子に加える測定ユニット、または図3に示した、磁歪振動デバイスを使用した。それぞれの測定方法について説明する。
2-1.磁歪素子に動的振動を与えたときの発生電圧の測定
図1に示した測定ユニット100を載せていたアルミ製架台を加振装置の上に載せて、磁歪素子110に動的な歪みを加えた。具体的には、磁歪素子110の固定されている端部と、その反対側の端部にタングステンの錘(図示せず)を固定した。加振機を所定の加速度、所定の周波数で正弦波振動させた。このとき、検出用コイル130に誘起される交流電圧をデジタルオシロスコープで取り込み、電圧波形のピーク電圧を用いて、磁歪振動発電デバイスとしての性能を評価した。
2-2.デバイスによる発生電圧の測定
図3に示した評価用の磁歪振動デバイス300を使用した。非磁性材料からなるU字型構造(支持部350)の一部に、磁歪部311(磁歪材料)を接着剤を用いて貼り付けて、磁歪素子部310とした。このとき、磁歪部311(磁歪材料)を貼り付ける非磁性材料の部分の厚みを、支持部となる他の部位よりも薄くして、磁歪素子が振動し易くなるようにした。さらに磁歪部311を非磁性材料から剥がれ難くするために、非磁性材料で磁歪部311の両端を補強した。尚、磁歪部311と貼り付けられた、非磁性材料からなる支持部350の部分が、応力制御部312となる。
磁歪素子部310の部分に検出用コイル330(巻き数は4500ターン)を設置した。さらに磁歪素子部310の両端に磁石340を貼り付けて、バイアス磁場を印加した。このとき、2つの磁石の極性を反対にして貼り付けることで、磁歪素子の中で互いに磁場が打ち消し合わないようにした。また、バイアス磁場の大きさは、磁石の強さを変えることで調整した。
タングステンの錘を錘320として使用し、これをU字型構造(支持部350)の端部に固定した。検出用コイル330に誘起される交流電圧を、デジタルオシロスコープで取り込み、電圧波形のピーク電圧を用いて、磁歪振動発電デバイスとしての性能を評価した。
(実施例1)
方向性電磁鋼板と非磁性材料とを含む磁歪素子
磁歪部を構成する磁歪材料として、日本製鉄(株)製の方向性電磁鋼板27ZH100、被膜付き、を使用した。当該電磁鋼板の厚みは0.27mm、結晶方位は{110}[100]GOSS集合組織である。方向性電磁鋼板の長手方向を[100]方向とし、長さ40mm、幅6.1mmにシャーリング切断した。切断時の歪みを除去するために800℃、2時間、真空中で焼鈍し、磁歪部用の方向性電磁鋼板を得た。
応力制御部を構成する非磁性材料として、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、厚み0.5mmを用いた。カーボン繊維の方向を長手方向として、長さ40mm、幅6.5mmに切断し、応力制御部用の非磁性材料を得た。
上述した方向性電磁鋼板とCFRPとをエポキシ系の接着剤を用いて室温で貼り合わせて、磁歪素子を得た。得られた磁歪素子を図1に示した測定ユニットに組み込み、磁歪素子に曲げ歪みを加えた場合の磁束密度変化ΔBを測定した。具体的には、磁歪素子の磁歪部を下側として、左側端部を固定し、右側端部を下に押し込んだ時に磁歪部に圧縮歪みが加わるようにした。尚、印加したバイアス磁場は2800A/m(350e)とした。
磁歪素子の右側端部を下に押し込む前、即ち、曲げ歪みが無い状態を基準として、磁歪素子を押し込んだ深さΔh(mm)およびこのときの磁束密度変化ΔBを測定した。結果を表1に示した。
Figure 0007112382000002
表1の結果から明らかなように、磁歪部として方向性電磁鋼板、応力制御部として非磁性材料を積層した本発明の磁歪素子は、押し込み深さΔhが大きくなるにつれて、磁束密度変化ΔBが大きくなり、発電用磁歪素子として優れた性能を示した。
(実施例2)
方向性電磁鋼板と非磁性材料とを含む磁歪素子
磁歪部を構成する磁歪材料として、日本製鉄(株)製の方向性電磁鋼板27ZH100、被膜付き、を使用した。当該電磁鋼板の厚みは0.27mm、結晶方位は{110}[100]GOSS集合組織である。方向性電磁鋼板の長手方向を[100]方向とし、長さ40mm、幅5.8mmにシャーリング切断した。切断時の歪みを除去するために800℃、2時間、真空中で焼鈍し、磁歪部用の方向性電磁鋼板を得た。
応力制御部を構成する非磁性材料として、SUS304、厚み0.5mmの冷延板を用いた。長さ40mm、幅6.5mmに切断した後、真空中、1050℃で1分間保持し、ガス急冷よる溶体化処理を行って、切断歪みによる影響を取り除き、応力制御部用の非磁性材料を得た。
上述した方向性電磁鋼板とSUS304とをエポキシ系の接着剤を用いて室温で貼り合わせて、磁歪素子を得た。得られた磁歪素子を図1に示した測定ユニットに組み込み、磁歪素子に曲げ歪みを加えた場合の磁束密度変化ΔBを測定した。具体的には、磁歪素子の磁歪部を下側として、左側端部を固定し、右側端部を下に押し込んだ時に磁歪部に圧縮歪みが加わるようにした。尚、印加したバイアス磁場は2800A/m(350e)とした。
磁歪素子の右側端部を下に押し込む前、即ち、曲げ歪みが無い状態を基準として、磁歪素子を押し込んだ深さΔh(mm)およびこのときの磁束密度変化ΔBを測定した。結果を表2に示した。
Figure 0007112382000003
表2の結果から明らかなように、磁歪部として方向性電磁鋼板、応力制御部として非磁性材料を貼り合わせた本発明の磁歪素子は、押し込み深さΔhが大きくなるにつれて、磁束密度変化ΔBが大きくなり、発電用磁歪素子として優れた性能を示した。
(実施例3)
方向性電磁鋼板と磁性材料とを含む磁歪素子
磁歪部を構成する磁歪材料として、日本製鉄(株)製の方向性電磁鋼板27ZH100、被膜付き、を使用した。当該電磁鋼板の厚みは0.27mm、結晶方位は{110}[100]GOSS集合組織である。方向性電磁鋼板の長手方向を[100]方向とし、長さ40mm、幅6.1mmにシャーリング切断した。切断時の歪みを除去するために800℃、2時間、真空中で焼鈍し、磁歪部用の方向性電磁鋼板を得た。
応力制御部を構成する磁性材料としては、普通鋼であるSS400、厚み0.5mmを用いた。長さ40mm、幅6.5mmに切断した後、真空中で800℃で30分間保持後、炉冷して、切断歪みによる影響を取り除いた。
上述した方向性電磁鋼板とSS400とをエポキシ系の接着剤を用いて室温で貼り合わせて、磁歪素子を得た。得られた磁歪素子を図1に示した測定ユニットに組み込み、磁歪素子に曲げ歪みを加えた場合の磁束密度変化ΔBを測定した。具体的には、磁歪素子の磁歪部を下側として、左側端部を固定し、右側端部を下に押し込んだ時に磁歪部に圧縮歪みが加わるようにした。尚、印加したバイアス磁場は4000A/m(500e)とした。
磁歪素子の右側端部を下に押し込む前、即ち、曲げ歪みが無い状態を基準として、磁歪素子を押し込んだ深さΔh(mm)およびこのときの磁束密度変化ΔBを測定した。結果を表3に示した。
Figure 0007112382000004
表3の結果から明らかなように、磁歪部として方向性電磁鋼板、応力制御部として非磁性材料を貼り合わせた本発明の磁歪素子は、押し込み深さΔhが大きくなるにつれて磁束密度変化ΔBが大きくなり、発電用磁歪素子として優れた性能を示した。
(参考例1)
無方向性電磁鋼板と非磁性材料とを含む磁歪素子
磁歪部を構成する磁歪材料として、日本製鉄(株)製の無方向性電磁鋼板35H210、被膜付き、を使用した。当該電磁鋼板の厚みは0.35mmとした。無方向性電磁鋼板の圧延方向を長手方向とし、長さ40mm、幅5.8mmにシャーリング切断し、切断時の歪みを除去するために740℃、2時間、真空中で焼鈍し、磁歪部用の無方向性電磁鋼板を得た。
応力制御部を構成する非磁性材料として、CFRP、厚み0.5mmを用いた。カーボン繊維の方向を長手方向として、長さ40mm、幅6.5mmに切断し、応力制御部用の非磁性材料を得た。
上述した無方向性電磁鋼板とCFRPをエポキシ系の接着剤を用いて室温で貼り合わせて、磁歪素子を得た。得られた磁歪素子を図1に示した測定ユニットに組み込み、磁歪素子に曲げ歪を加えた場合の磁束密度変化ΔBを測定した。具体的には、磁歪素子の磁歪部を下側として、左側端部を固定し、右側端部を下に押し込んだ時に磁歪部に圧縮歪みが加わるようにした。尚、印加したバイアス磁場は3200A/m(400e)とした。
磁歪素子の右側端部を下に押し込む前、即ち、曲げ歪みが無い状態を基準として、磁歪素子を押し込んだ深さΔh(mm)およびこのときの磁束密度変化ΔBを測定した。結果を表4に示した。
Figure 0007112382000005
表4の結果から明らかなように、磁歪部として無方向性電磁鋼板、応力制御部として非磁性材料を貼り合わせた本発明の磁歪素子は、押し込み深さΔhが大きくなるにつれて磁束密度変化ΔBが大きくなった。方向性電磁鋼板を磁歪部とした磁歪素子(実施例1~3)には及ばないものの、発電用磁歪素子として優れた性能を示した。
(参考例2)
無方向性電磁鋼板と磁性材料とを含む磁歪素子
磁歪部を構成する磁歪材料として、日本製鉄(株)製の無方向性電磁鋼板35H210、被膜付き、を使用した。当該電磁鋼板の厚みは0.35mmとした。無方向性電磁鋼板の圧延方向を長手方向として、長さ40mm、幅5.8mmにシャーリング切断し、切断時の歪みを除去するために740℃、2時間、真空中で焼鈍し、磁歪部用の無方向性電磁鋼板を得た。
応力制御部を構成する磁性材料として、SS400、厚み0.6mmを用いた。長さ40mm、幅6.5mmに切断した後、真空中で800℃、30分間保持し、その後炉冷して、切断歪みによる影響を取り除き、応力制御部用の磁性材料を得た。
上述した無方向性電磁鋼板とSS400をエポキシ系の接着剤を用いて室温で貼り合わせて、磁歪素子を得た。得られた磁歪素子を図1に示した測定ユニットに組み込み、磁歪素子に曲げ歪みを加えた場合の磁束密度変化ΔBを測定した。具体的には、磁歪素子の磁歪部を下側として、左側端部を固定し、右側端部を下に押し込んだ時に磁歪部に圧縮歪みが加わるようにした。尚、印加したバイアス磁場は4400A/m(550e)とした。
磁歪素子の右側端部を下に押し込む前、即ち、曲げ歪みが無い状態を基準として、磁歪素子を押し込んだ深さΔh(mm)およびこのときの磁束密度変化ΔBを測定した。結果を表5に示した。
Figure 0007112382000006
表5の結果から明らかなように、磁歪部として無方向性電磁鋼板、応力制御部として磁性材料を貼り合わせた本発明の磁歪素子は、押し込み深さΔhが大きくなるにつれて磁束密度変化ΔBが大きくなった。方向性電磁鋼板を磁歪部とした磁歪素子には及ばないものの、発電用磁歪素子として優れた性能を示した。
(実施例6)
方向性電磁鋼板のみからなる磁歪素子
磁歪部を構成する磁歪材料として、日本製鉄(株)製の方向性電磁鋼板27ZH100、被膜付き、を使用した。当該電磁鋼板の厚みは0.27mm、結晶方位は{110}[100]GOSS集合組織である方向性電磁鋼板の長手方向を[100]方向とし、長さ20mm、幅6.0mmにシャーリング切断した。切断時の歪みを除去するために800℃、2時間、真空中で焼鈍し、磁歪部のみから磁歪素子を得た。
図2に示した測定ユニットを用いて、得られた磁歪素子に圧縮歪みを与えた。具体的には、磁歪素子の座屈を抑制するために、磁歪素子の両側から挟み込み治具以外の部位を厚み0.5mmのアクリル樹脂の板で挟み込んだ。圧縮歪みが410ppm(0.041%)(Δh=0.5mm相当)と830ppm(0.083%)(Δh=1.0mm相当)のときの磁束密度変化ΔBを測定した。尚、印加したバイアス磁場は2800A/m(350e)とした。
圧縮歪みが無い状態の磁歪素子を基準として、磁歪素子を圧縮した場合の圧縮歪みと磁束密度変化ΔBとを測定した。測定結果を表6に示した。
Figure 0007112382000007
表6の結果から明らかなように、方向性電磁鋼板を磁歪部とした磁歪素子に圧縮歪みを加えた場合、圧縮歪みが大きくなるにつれて磁束密度変化ΔBが大きくなり、発電用磁歪素子として優れた性能を示した。
(実施例7)
磁歪素子に動的振動を与えたときに発生する電圧の測定
実施例1~3、参考例1と2で作製した磁歪素子について、図1に示した測定ユニットを用いて発生電圧を測定した。
磁歪素子を組み込んだ測定ユニットを、それが載っていたアルミ製架台と共に加振装置の上に載せて、磁歪素子に動的な歪みを与えた。このとき、磁歪素子の固定された端部とは反対側の端部に設置されていたマイクロメーターのシリンダヘッドを外して、そこにタングステンの錘を固定した。
測定ユニットに加振する前の錘の位置から、加振後の錘の最下点の位置までの距離Δhをレーザー距離計で測定した。加振機は、10Hz、加速度1Gで振動させた。さらに検出用コイルに誘起される交流電圧をデジタルオシロスコープで取り込み、波形のピーク電圧を測定した。測定結果を表7に示した。
尚、本実施例においては、磁歪素子の材料によらず、Δhが1mm~2mmの範囲内となるように、錘の重量を調整した。
Figure 0007112382000008
表7の結果から明らかなように、本発明の磁歪素子は、外部振動に対して曲げモードで振動し、50mV以上の発電性能を示した。
(実施例8)
磁歪発電デバイスによる発生電圧の測定
実施例1および参考例1で作製した磁歪部について、図3に示した磁歪発電デバイスを用いて発生電圧を測定した。
図3の磁歪振動デバイス300に磁歪素子を組み込み、そのU字形状の支持部350の下側の部位を、実施例7で使用した加振機の上に固定した。図3のU字形状の支持部350には、厚み2mmのCFRPを用いた。磁歪素子を貼り付ける、応力制御部に相当する部位のCFRPの厚みを0.5mmとした。
磁歪素子部310には、実施例1および参考例1で作製した磁歪部を用いた。ただし、幅は実施例1および参考例1とそれぞれ同じであるが、長さを30mmとした。
磁歪部311を、支持部350の応力制御部312に相当する0.5mm厚の部位に接着剤で貼り付け、磁歪素子部310とした。磁歪素子部310の両端部をL字状のCFRPで接着補強した。次に、磁歪素子部310のとなりに、7gのタングステンの錘320を固定した。
バイアス磁場を印加するために、NdFeB磁石340を磁歪部の2か所に固定した。加振機を0.5Gで加振させ、共振周波数におけるピーク電圧をオシロスコープで測定した。共振周波数は150~250Hzの範囲であった。結果を表8に示した。
Figure 0007112382000009
表8の結果から明らかなように、本発明の磁歪素子を用いたデバイスは、外部振動に対して500mV以上の発電性能を示した。また、磁歪部として方向性電磁鋼板を用いた実施例1の磁歪素子の方が、磁歪部として無方向性電磁鋼板を用いた参考例1の磁歪素子よりも高いピーク電圧を達成した。
(実施例9)
スイッチ形式の電源を用いた発電
実施例1で作製した磁歪素子を用いて、LED電球の点燈試験を実施した。
図1の測定ユニットの検出用コイルから銅線をLED電球に直接接続した。使用したLED電球は、30個の白色LED電球を外径60mm、内径50mmの基板にリング状に直列配置されたものであり、定格電力は2.4Wであった。バイアス磁場を2800A/m(350e)印加した状態で、磁歪素子の自由端を指で約2mm押し下げた後、指を外して磁歪素子が弾性力で瞬間的に戻る動作をさせた。尚、錘は付けていない。
上記動作によってLED電球が点燈することを目視で確認した。
さらに検出用コイルからの銅線をオシロスコ-プに直接接続して、電圧の減衰波形を測定した。測定した波形を図4に示した。
図4の減衰波形から求めた最大電圧と最小電圧の差(P-P電圧)は21.8Vであった。
この結果から、実施例1の磁歪素子をスイッチ形式の電源に用いることが可能なことが確認できた。
(参考例3)
FeCo合金を磁歪材料として用いた、従来の磁歪素子
純度99.9%の電解鉄および純度99.9%の粒状コバルトを用いて、組成がFe-69.5mol%Coのボタンインゴットをアーク溶解炉を用いて作製した。作製したボタンインゴットの重量は200gだった。
次にボタンインゴットを切断し、高さが12mm、幅が10mm、長さが約60mmのサイズの圧延用サンプルを得た。
切り出した圧延用のサンプルを1100℃で1時間保定後、800℃で3時間保定し、その後、水冷した。次に、サンプルを高さが0.52mmになるまで冷間圧延した。冷延材の圧延方向を長手方向として、長さ40mm、幅6.0mm、厚み0.52mmに切断し、評価用試験材とした。
試験材を真空中で800℃、3時間の熱処理に付し、冷延組織を再結晶組織に変えた。
図5に、再結晶した試験材の結晶方位をEBSDを用いて観察した結果を示した。圧延方向(RD)、圧延面に垂直方向(ND)、幅方向(TD)において、<100>方位が優先配向していることがわかる。
上記試験材に歪ゲージを貼りつけて、飽和磁歪を測定した結果、飽和磁歪は96ppmであった。
上記で作製したFeCo合金を磁歪材料として用いて、磁歪素子を作製した。
応力制御部を構成する弾性材料として、非磁性材料であるCFRP、厚み0.5mmを用いた。カーボン繊維の方向を長手方向として、長さ40mm、幅6.5mmに切断し、応力制御部を得た。
次に、FeCo合金とCFRPとをエポキシ系の接着剤を用いて室温で貼り合わせて磁歪素子を得た。得られた磁歪素子を図1に示した測定ユニットに組み込み、磁歪素子に曲げ歪みを加えた場合の磁束密度変化ΔBを実施例1と同様に測定した。具体的には、磁歪素子の磁歪部を下側として、左側端部を固定し、右側端部を下に押し込んだ時に磁歪部に圧縮歪みが加わるようにした。尚、印加したバイアス磁場は3200A/m(400e)とした。
磁歪素子の右側端部を下に押し込む前、即ち、曲げ歪みが無い状態を基準として、磁歪素子を押し込んだ深さΔh(mm)およびこのときの磁束密度変化ΔBを測定した。結果を表9に示した。
Figure 0007112382000010
表9の結果から明らかなように、磁歪部としてFeCo合金、応力制御部として非磁性材料を積層した参考例3の磁歪素子は、押し込み深さΔhが大きくなるにつれて磁束密度変化ΔBが大きくなった。しかし、FeCo合金は飽和磁歪が96ppmと電磁鋼板の飽和磁歪よりも約10倍大きいにもかかわらず、ΔBの大きさは、実施例1の電磁鋼板には及ばなかった。
本発明によって、発電用磁歪素子の磁歪材料として使用されているFeGa合金、FeCo合金、FeAl合金と比べて低コストな電磁鋼板を用いて、従来技術と同等またはそれらを超える磁歪発電量を達成することのできる、発電用磁歪素子および磁歪発電デバイスが提供される。本発明の発電用磁歪素子は、従来の磁歪素子よりも低コストでありながら、従来と同等またはそれらを超える発電量の達成を可能にすることから、IoT等における無線センサモジュールのみならず、様々な機器の電源として有用である。
100、200 磁束密度変化ΔB測定用ユニット
110、210 磁歪素子
111、211 磁歪部
112 応力制御部
120、220 バイアス磁場用コイル
130、230 検出用コイル
140、240 直流電源
150 固定支持台
160、260 フラックスメーター
170 圧力
171 移動距離
270 引っ張り歪み
280 圧縮歪み
300 磁歪振動デバイス
310 磁歪素子部
311 磁歪部
312 応力制御部(非磁性材料)
320 錘
330 検出用コイル
340 磁石
350 支持部(非磁性材料)

Claims (5)

  1. {110}[100]GOSS集合組織を有する方向性電磁鋼板から形成される磁歪部を含む、発電用磁歪素子。
  2. 前記方向性電磁鋼板に積層された弾性材料から形成される応力制御部をさらに含む、請求項1に記載の発電用磁歪素子。
  3. 前記弾性材料が非磁性材料である、請求項2に記載の発電用磁歪素子。
  4. {110}[100]GOSS集合組織を有する方向性電磁鋼板から形成される磁歪部を含む発電用磁歪素子を備える、磁歪発電デバイス。
  5. 前記方向性電磁鋼板の[100]方向にバイアス磁場が印加されるように構成されている、請求項4に記載の磁歪発電デバイス。
JP2019234429A 2019-12-25 2019-12-25 発電用磁歪素子および磁歪発電デバイス Active JP7112382B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019234429A JP7112382B2 (ja) 2019-12-25 2019-12-25 発電用磁歪素子および磁歪発電デバイス
PCT/JP2020/048501 WO2021132482A2 (ja) 2019-12-25 2020-12-24 発電用磁歪素子および磁歪発電デバイス
EP20908324.5A EP4083240A4 (en) 2019-12-25 2020-12-24 MAGNETOSTRICTIVE ENERGY GENERATOR AND MAGNETOSTRICTIVE ENERGY GENERATION DEVICE
CN202080090108.8A CN114930557A (zh) 2019-12-25 2020-12-24 发电用磁致伸缩元件及磁致伸缩发电设备
US17/788,746 US20230046395A1 (en) 2019-12-25 2020-12-24 Power-generating magnetostrictive element and magnetostrictive power generation device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019234429A JP7112382B2 (ja) 2019-12-25 2019-12-25 発電用磁歪素子および磁歪発電デバイス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021103921A JP2021103921A (ja) 2021-07-15
JP7112382B2 true JP7112382B2 (ja) 2022-08-03

Family

ID=76755361

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019234429A Active JP7112382B2 (ja) 2019-12-25 2019-12-25 発電用磁歪素子および磁歪発電デバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7112382B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023228821A1 (ja) * 2022-05-23 2023-11-30 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 発電用磁歪素子および磁歪発電デバイス

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013038682A1 (ja) 2011-09-16 2013-03-21 国立大学法人金沢大学 発電素子、及び発電装置
WO2017183325A1 (ja) 2016-04-19 2017-10-26 株式会社サンライフ 発電素子、発電素子の製造方法及びアクチュエータ

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013038682A1 (ja) 2011-09-16 2013-03-21 国立大学法人金沢大学 発電素子、及び発電装置
WO2017183325A1 (ja) 2016-04-19 2017-10-26 株式会社サンライフ 発電素子、発電素子の製造方法及びアクチュエータ

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
長内史也、外3名,「(100)[001]珪素鋼単結晶板を利用した振動発電」,第43回日本磁気学会学術講演概要集(2019),日本,公益社団法人日本磁気学会,2019年09月11日,p.170

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021103921A (ja) 2021-07-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10944340B2 (en) Power generation element, method for manufacturing power generation element, and actuator
Yang et al. A multi-impact frequency up-converted magnetostrictive transducer for harvesting energy from finger tapping
Ueno et al. Performance of energy harvester using iron–gallium alloy in free vibration
TW521286B (en) Bulk amorphous metal magnetic component
WO2021132482A2 (ja) 発電用磁歪素子および磁歪発電デバイス
JP7112382B2 (ja) 発電用磁歪素子および磁歪発電デバイス
Hug et al. Effect of internal stresses on the magnetic properties of non-oriented Fe–3wt.% Si and (Fe, Co)–2wt.% V alloys
JP2021103940A (ja) 磁歪発電デバイス
Somkun et al. Effect of magnetostriction anisotropy in nonoriented electrical steels on deformation of induction motor stator cores
CN110875694A (zh) 磁致伸缩元件及使用其的磁致伸缩式振动发电装置
Suorsa et al. Magnetic field-induced stress in the Ni–Mn–Ga magnetic shape memory alloy
JP2015070741A (ja) 磁歪素子利用の振動発電装置
JP7490360B2 (ja) 発電用磁歪素子および磁歪発電デバイス
Ferenc et al. Magnetostrictive iron-based bulk metallic glasses for force sensors
Takahashi et al. Investigation of power generation mechanism and anisotropy of Fe–Ga magnetostrictive alloy single crystal based on magnetic domain observations
JP2021103922A (ja) 発電用磁歪素子および磁歪発電デバイス
JP2013177664A (ja) 磁歪振動発電用合金
JP2019029502A (ja) 振動発電用磁歪材料
WO2022124185A1 (ja) 発電用磁歪素子および磁歪発電デバイス
JP2022174003A (ja) 発電用磁歪材料および磁歪式振動発電デバイス
Suzuki et al. Characterization and performance of large-sized Fe–Ga alloy single crystals grown using the Czochralski method
JP2021136826A (ja) 発電素子、及び発電素子を用いた装置
CN116569279A (zh) 发电用磁致伸缩元件和磁致伸缩发电设备
WO2023228821A1 (ja) 発電用磁歪素子および磁歪発電デバイス
JP2022090601A (ja) 発電用磁歪素子および磁歪発電デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211213

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20211213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220308

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220428

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220712

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220722

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7112382

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150