JP2022174003A - 発電用磁歪材料および磁歪式振動発電デバイス - Google Patents

発電用磁歪材料および磁歪式振動発電デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】磁歪発電に用いるための、発電出力が高く、且つ安定的な量産が可能な、発電用磁歪材料を提供する。【解決手段】Siを含有する方向性電磁鋼板よりなる母材の表層に、Al濃度が0.1質量%以上の高Al領域と、前記方向性電磁鋼板の平均Si濃度よりもSi濃度が高い高Si領域と、があり、高Al領域が、母材の境界面から深さ0.1mmまでの範囲にあり、表層におけるSi濃度の最大値を示す位置が、Al濃度の最大値を示す位置よりも板厚中心部側にある、発電用磁歪材料を採用する。【選択図】なし

Description

本発明は、発電用磁歪材料および磁歪式振動発電デバイスに関する。
近年発展しているモノのインターネット(Internet of Things、以下「IoT」と略す)の利用においては、モノとインターネットとの接続のために、センサ、電源、および無線通信装置等が一体となった無線センサモジュールを使用する。このような無線センサモジュールの電源として、電池交換や充電作業等の人手による定期的なメンテナンスの必要なしに、設置場所の環境で発生しているエネルギーから電力を発生させることが可能な発電デバイスの開発が望まれている。
このような発電デバイスの一例が、磁歪の逆効果である逆磁歪を使用した磁歪式振動発電デバイスである。逆磁歪とは、磁歪材料に振動などの応力が加えられたときに、磁歪材料の磁化が変化する現象である。磁歪式振動発電は、振動により磁歪材料に応力を加えて、逆磁歪効果により発生する磁化の変化を、電磁誘導の法則により、磁歪材料の周囲に巻かれたコイルに起電力を発生させるものである。
従来、磁歪材料の発電性能を高めるためには、その磁歪量を増加させる方法が試みられてきた。これは、磁歪量が大きいほど、磁歪材料に引っ張り応力と圧縮応力を交互に負荷した場合、逆磁歪を利用した磁束密度の変化(ΔB)が大きくなり、発電出力も大きくなるからである。磁歪材料の磁歪量を増加させる方法の1つが、磁歪材料の結晶構造を制御する方法である。従来開発されたFe-Co合金およびFe-Ga合金の基本的な格子構造はbcc構造であり、<001>方位の磁歪量が最大となる。そのため、圧延、再結晶法などでGOSS方位{110}<001>の集合組織を揃える方法や、単結晶から<001>方位に切り出す方法が実施されている。
例えば、特許文献1には、磁歪材料のFe-Ga合金について、Al、Be、B等から選択した一種以上の付加元素を含む、Fe-Ga合金シ-トの形成方法が記載されている。当該形成方法においては、パック圧延法で、磁歪量の大きな{110}<001>方位(GOSS方位)の集合組織を製造するとされている。
特許文献2には、Fe-Ga合金に炭化物(NbC)を微細分散させて結晶組織を微細化し、圧延加工性を改善した磁歪材料が記載されている。
特許文献3には、磁歪材料のFe-Co合金について、Coの原子%が56~80%であり、磁歪量が60ppm以上である、Fe-Co合金の塊状バルク、薄板、薄帯合金が記載されている。
特許文献4には、67~87質量%のCoと、1質量%以下のNb、Mo、V、TiおよびCrから選ばれる1種以上と、を溶解および凝固させ、熱間圧延、冷間圧延、および熱処理を含むFe-Co合金の製造方法が記載されている。
特許文献5には、磁歪材料のFe-Ga合金、Fe-Co合金、またはFe-Al合金について、磁歪材料の表面に、凹部または残留応力部を形成させることによる板状の磁歪材料が記載されている。
特許文献6には、磁歪材料のFe-Si合金について、表面からGaまたはGa-Snを浸透させる磁歪材料が記載されている。この特許文献6には、Fe-Si合金にGaまたはGa-Snを浸透させる方法として、GaのFe-Si合金への浸透性を高める観点より、GaめっきしたFe-Si基合金を熱処理する際の熱処理温度として、300℃以上1400℃以下の熱処理温度のうち、900℃以上が好ましいことが記載されている。
特許文献7には、渦電流損失を低減する目的で、厚み方向でアルミニウムの濃度勾配を有する無方向性電磁鋼板が記載されている。
非特許文献1には、磁歪が大きい磁性材料として、Fe-Al合金が記載されている。
米国特許出願公開第2008/0115864号明細書 米国特許出願公開第2015/0028724号明細書 特開2013-177664号公報 国際公開第2015/083821号 特開2020-107715号公報 特開2020-041192号公報 国際公開第2009/072394号
"磁歪合金「アルフェル」の動特性について",日本金属学会誌,第13巻,第1号(1949),p1-4
上記特許文献1や特許文献2に記載のFe-Ga合金は、脆性であるため、加工性が低い。また、通常の熱延や冷延では製造困難であるため、量産性に劣る。更に、Ga元素はCo元素に比べて高価格であるため、原料コストが高く、材料価格も高価になるといった問題もある。
一方、特許文献3や特許文献4に記載のFe-Co合金は、通常の熱延、冷延による加工が可能であることから、Fe-Ga合金に比べて量産性に優れており、材料価格もFe-Ga合金に比べて安価である。しかし、磁歪量は少なく、発電用素子として使用した際には、発電出力が低いといった問題がある。
特許文献5は、磁歪材料のFe-Ga合金、Fe-Co合金、またはFe-Al合金の表面に凹部あるいは残留応力を形成させて磁区構造を制御することによって発電量を向上させたものであるが、<001>方位に集合組織を制御しなければ、磁歪量が少ないため、発電出力が低いといった問題がある。
その点、特許文献6に記載されたGaまたはGa-SnをFe-Si合金に浸透させた磁歪材料は、母材に方向性電磁鋼板を用いているため、集合組織の制御は不要であるが、Ga元素が高価であるため、原料コストが高く、材料価格も高価になるといった問題がある。
特許文献7は、高周波数での駆動における渦電流損を下げる目的で、無方向性電磁鋼板の表面にAlを濃化させることによって、表層の電気抵抗を増加させている。電磁鋼板はFeにSiを含有させて電気抵抗を板厚全体で大きくして渦電流損失を下げているが、高周波領域では表皮効果で表層に渦電流が多く流れるために、Siと同様に電気抵抗を高める効果があるAlを表層に濃化させている。そもそも電磁鋼板においては、鉄損を下げることが重要である。鉄損はヒステリシス損失と渦電流損失の和であるが、磁歪が大きくなるとヒステリシス損失が増大するため、電磁鋼板では磁歪を大きくする思想は存在しない。ましてヒステリシス損失の低減が重要になる商用周波数領域で使用される電力トランス用途の方向性電磁鋼板に、磁歪を大きくする目的でAlを含有させる思想は無い。
非特許文献1に記載されたFe-Al合金は、Al量を増加させるに従い、磁歪量が大きくなることが記載されているが、Fe-Al合金は常温加工ができない問題が記載されている。
このように、従来の磁歪材料の合金設計では、発電出力を大きくするためには磁歪量を向上させる必要があるが、Fe-Ga合金のような磁歪量の高い合金は、脆いため加工性が低く、量産が困難であり、高価格である。また、量産性や価格を優先すると、磁歪量が低くなり、発電出力の向上が難しいという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、磁歪発電に用いるための、発電出力が高い発電用磁歪材料および当該発電用磁歪材料を用いた磁歪式振動発電デバイスを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
[1] Siを含有する方向性電磁鋼板よりなる母材の表層に、
Al濃度が0.1質量%以上の高Al領域と、前記方向性電磁鋼板の平均Si濃度よりもSi濃度が高い高Si領域と、があり、
前記高Al領域が、前記母材の境界面から深さ0.100mmまでの範囲にあり、
前記表層におけるSi濃度の最大値を示す位置が、Al濃度の最大値を示す位置よりも板厚中心部側にある、発電用磁歪材料。
[2] 前記Si濃度の最大値を示す位置におけるAl濃度が1.0質量%以上、12質量%以下であることを特徴とする[1]に記載の発電用磁歪材料。
[3] 前記高Al領域のうち、前記母材の境界面側の位置における前記Al濃度が、6.0質量%以上であることを特徴とする[2]に記載の発電用磁歪材料。
[4] 前記高Si領域内におけるSi濃度の最大値が、3.6質量%以上、6.0質量%以下の範囲であることを特徴とする[2]に記載の発電用磁歪材料。
[5] 前記高Si領域内におけるSi濃度の最大値が、3.6質量%以上、6.0質量%以下の範囲であることを特徴とする[3]に記載の発電用磁歪材料。
[6] 前記高Al領域のうち、前記母材の境界面側の位置における前記Al濃度が、6.0質量%以上であることを特徴とする[1]に記載の発電用磁歪材料。
[7] 前記高Si領域内におけるSi濃度の最大値が、3.6質量%以上、6.0質量%以下の範囲であることを特徴とする[6]に記載の発電用磁歪材料。
[8] 前記高Si領域内におけるSi濃度の最大値が、3.6質量%以上、6.0質量%以下の範囲であることを特徴とする[1]に記載の発電用磁歪材料。
[9] 前記表層における前記Si濃度の最大値を示す位置が、前記高Al領域の境界面側の位置から深さ0.07mmの位置よりも浅い位置にあることを特徴とする[1]に記載の発電用磁歪材料。
[10] 準静的測定時の磁束密度の変化ΔBに対する、振動周波数150Hzの動的測定時の磁束密度の変化ΔBの比率が95%以上であることを特徴とする[1]に記載の発電用磁歪材料。
[11] 準静的測定時の磁束密度の変化ΔBに対する、振動周波数250Hzの動的測定時の磁束密度の変化ΔBの比率が90%以上であることを特徴とする[1]に記載の発電用磁歪材料。
[12] 前記高Al領域、前記高Si領域及び前記母材がいずれも、{110}<001>方位の集合組織を有する、[1]乃至[11]の何れか一項に記載の発電用磁歪材料。
[13] [1]乃至[11]の何れか一項に記載の発電用磁歪材料を含む磁歪部と、
前記磁歪部を振動可能な状態で支持する支持部と、
前記磁歪部にバイアス磁界を印加するバイアス磁石と、
前記磁歪部に離間して配置された誘導コイルと、を備えた磁歪式振動発電デバイス。
[14] 前記発電用磁歪材料における高Al領域、高Si領域及び母材がいずれも、{110}<001>方位の集合組織を有する、[13]に記載の磁歪式振動発電デバイス。
本発明によれば、磁歪発電に用いるための、発電出力が高い発電用磁歪材料および当該発電用磁歪材料を用いた磁歪式振動発電デバイスを提供できる。
本発明の実施形態である発電用磁歪材料の一例を示す断面模式図。 本発明の実施形態である発電用磁歪材料の一例を示す断面模式図。 本発明の実施形態である発電用磁歪材料の表層の濃度プロファイルを示す図。 本発明の実施形態である磁歪式振動発電デバイスの一例を示す模式図。 発明例1に対するEBSD測定の結果を示す図。 磁束密度変化ΔBを測定するための測定ユニットを示す模式図。
磁歪式振動発電デバイスにおいては、磁歪材料の磁歪量が大きいほど、磁歪材料に引張応力と圧縮応力を交互に負荷した場合に、逆磁歪を利用した磁束密度の変化(ΔB)が大きくなり、発電出力も大きくなる。そのため、従来、磁歪材料の発電性能を高めるために、その磁歪量を増加させる方法が試みられてきた。具体的には、結晶方位を所定の方向に揃えることで、ΔBを大きくすること目的とした技術が検討されてきた。
磁歪材料として主に、飽和磁歪が約200ppmレベルのFeGa合金、飽和磁歪が80ppmレベルのFeCo合金またはFeAl合金などの飽和磁歪が大きな材料が知られている。飽和磁歪が大きいほど、磁歪材料に歪を与えた場合により大きな磁気弾性エネルギーが生じ、このエネルギーを下げるために磁歪材料内の磁化の向きが変化し易くなる。
しかし、例えばFeGa合金は、結晶方位を揃えるために、単結晶の成長法に代表されるチョクラルスキー法やブリッジマン法により製造されており、製造コストが高い問題がある。また、Gaは、原料自体が高価である。従って、FeGa合金を磁歪式振動発電デバイスとして用いると、磁歪式振動発電デバイスの価格が高価になってしまう。
特許文献6には、FeSi系の方向性電磁鋼板の表面にGaをめっきした後、高温で長時間の熱処理によってGaを内部へなるべく均一に拡散させた材料が記載されている。特許文献6は、方向性電磁鋼板の集合組織を活用しつつ、電磁鋼板全体を、飽和磁歪が大きいFeGa合金に近づけることを狙ったものである。従来からFeAl合金も飽和磁歪が高いことが知られているため、Gaの場合と同様に、方向性電磁鋼板を素材とし、方向性電磁鋼板の表面からAlを拡散させることで飽和磁歪を高めることが考えられるが、AlはGaと同様な考え方では発電性能を上げることができず、却って発電性能が低下してしまうこととが判明した。
ところで、方向性電磁鋼板には、GOSS集合組織{110}<001>が形成されており、価格面では、上述したFeGa合金の製造方法に比べて製造コストで優れる。しかしながら、方向性電磁鋼板の磁歪定数は25ppm程度であり、Fe-Ga合金などの約10分の1であり、Fe-Ga合金に比べて、方向性電磁鋼板の逆磁歪効果は小さい。そのため、磁歪定数が小さい方向性電磁鋼板では、FeGa合金の発電性能レベルに達していない。そこで、方向性電磁鋼板を素材とし、低コストで実施可能な改良を加えることで、FeGa合金を超える性能レベルを実現することが期待されている。
本発明者は、方向性電磁鋼板の表面にAl層を所定の厚みで形成させた後、所定の温度、所定の時間の熱処理を施すことによって、方向性電磁鋼板の表層のみに所定の分布でAlを濃化させるとともに、Si濃度分布を制御することによって、発電性能が向上することを見出した。すなわち、圧延方向に[001]方向を揃え、圧延面を(110)方位とした{110}<001>GOSS集合組織を有する方向性電磁鋼板の<001>方向に磁場を印加した状態で圧縮歪みまたは引張歪みを負荷した場合に、磁束密度が大きく変化することを新たに見出した。
なお、拡散する元素種としてAlを選択した理由は、Fe固溶体の磁歪定数を高くする元素であるためであり、一般にCo、Cr、Mo、V、Geなどでも効果を発現させることができるが、発明者は安価である元素としてAlを選択するに至った。また、Alは、入手が容易であり、方向性電磁鋼板への拡散も容易であることから、拡散元素種として良好である。方向性電磁鋼板にAl層を形成する方法としては、例えば、めっき法、スパッタリング法、または、Al箔の積層化などを例示できる。
電磁鋼板の表面からAlを拡散させることで発電性能を向上させるためには、所定のAl濃度分布と、所定のSi濃度分布を方向性電磁鋼板の表層に形成させることが必要である。本発明者らは、飽和磁歪の小さな電磁鋼板を、磁歪式振動発電デバイスにおける磁歪材料の素材として使用し、さらに、方向性電磁鋼板の表層のみに所定の分布でAlを濃化させるとともに、所定のSi濃度分布を制御することで、発電性能が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
以下、本発明の実施形態である発電用磁歪材料および磁歪式振動発電デバイスについて、図面を参照しつつ説明する。
本実施形態の発電用磁歪材料は、Siを含有する方向性電磁鋼板よりなる母材の表層に、Al濃度が0.1質量%以上の高Al領域と、方向性電磁鋼板の平均Si濃度よりもSi濃度が高い高Si領域と、があり、高Al領域が、母材の境界面から深さ0.100mmまでの範囲にあり、表層におけるSi濃度の最大値を示す位置が、Al濃度の最大値を示す位置よりも板厚中心部側にある。
また、本実施形態の発電用磁歪材料では、高Al領域、高Si領域及び母材がいずれも、{110}<001>方位の集合組織を有することが好ましい。
また、本実施形態の発電用磁歪材料では、Si濃度の最大値を示す位置におけるAl濃度が1.0質量%以上、12質量%以下であることが好ましい。
また、本実施形態の発電用磁歪材料では、高Al領域のうち、母材の境界面側の位置におけるAl濃度が、6.0質量%以上であることが好ましい。
また、本実施形態の発電用磁歪材料では、高Si領域内におけるSi濃度の最大値が、3.6質量%以上、6.0質量%以下の範囲であることが好ましい。
また、本実施形態の発電用磁歪材料では、表層におけるSi濃度の最大値を示す位置が、高Al領域の境界面側の位置から深さ0.07mmの位置よりも浅い位置にあることが好ましい。
また、本実施形態の発電用磁歪材料では、高Al領域に含まれるAlが、母材の表層において固溶していることが好ましい。
ここで、発電用磁歪材料の表層におけるAl濃度及びSi濃度は、発電用磁歪材料の表層の断面を露出させ、表層の断面を深さ方向に沿って所定の測定深さ位置毎に元素分析を行うことにより求める。より具体的には、所定の測定深さ位置毎に元素分析を行い、検出された元素の合計を100質量%とした場合の、測定深さ位置毎のAlの含有率(質量%)及びSiの含有率(質量%)を求める。そして、表層断面の深さ方向の濃度プロファイルを得る。この濃度プロファイルにおける所定の深さ位置におけるAl含有率(質量%)及びSi含有率(質量%)を、Al濃度及びSi濃度とする。
また、方向性電磁鋼板の平均Si濃度とは、発電用磁歪材料の母材のうち、高Al領域及び高Si領域の除いた部分における、Si含有率(質量%)である。このSi含有率は、素材である方向性電磁鋼板の鋼中のSi含有率(質量%)に一致するため、本実施形態では方向性電磁鋼板の平均Si濃度と規定する。
図1及び図2に、本実施形態の発電用磁歪材料の例を断面模式図で示す。図1及び図2にはそれぞれ、Al濃度、Si濃度及びFe濃度の深さ方向の濃度プロファイルを付記している。図1及び図2において、上側の断面模式図は、発電用磁歪材料の表層の拡大断面模式図であって、表層の厚み方向を図の横方向としている。また、下側の濃度プロファイルの横軸と、上側の断面模式図の厚み方向は、相互に対応している。なお、図1及び図2に示すAl、Si及びFeの濃度プロファイルは例示であって、本発明の発電用磁歪材料の表層におけるAl濃度及びSi濃度の分布は、図1、図2に示した濃度プロファイルに限定されるものではない。
図1に示す発電用磁歪材料は、方向性電磁鋼板よりなる母材1と、母材1上に積層されたFe-Al合金層5とを有する。母材1とFe-Al合金層5との界面が、母材1の境界面1aである。母材1には、境界面1a側に表層2がある。表層2には、高Al領域3と、高Si領域4と、がある。高Al領域3は、母材1の境界面1aから深さ0.100mmまでの範囲にある。高Si領域4は、高Al領域3よりも深い位置にある。表層2におけるSi濃度の最大値を示す位置MSiは、高Al領域3においてAl濃度の最大値を示す位置MAlよりも板厚中心部側にある。
図1に示すFe-Al合金層5について説明する。本実施形態の発電用磁歪材料は、素材となる方向性電磁鋼板の上にAl層を積層した後に、熱処理によって、Al層のAlを方向性電磁鋼板の内部に拡散させることにより製造されるが、その際に、Al層には方向性電磁鋼板に含まれるFeが拡散する。このようにして、Al層にFeが拡散されたものが、Fe-Al合金層5である。Fe-Al合金層5は、本実施形態の発電用磁歪材料において、発電には寄与しない層であるので、そのまま残存させておいてもよいし、除去してもよい。また、Fe-Al層5が残存しないように、方向性電磁鋼板の表面に付着させるAl量を調整し、熱処理によってAl層のAlの全部を方向性電磁鋼板に拡散させてもよい。
図2に示す発電用磁歪材料は、図1に示したFe-Al合金層5を有しない発電用磁歪材料である。すなわち、図2に示す発電用磁歪材料は、方向性電磁鋼板よりなる母材1を有する。母材1には、境界面1aの板厚方向中心部側に表層2がある。表層2には、高Al領域3と、高Si領域4と、がある。高Al領域3は、母材1の境界面1aから深さ0.100mmまでの範囲にある。高Si領域4は、高Al領域3よりも深い位置にある。
表層2におけるSi濃度の最大値を示す位置MSiは、高Al領域3においてAl濃度の最大値を示す位置MAlよりも板厚中心部側にある。また、図2の場合の境界面1aは、母材1の表面に一致する。
図1及び図2に示したように、高Al領域3は、高Si領域4よりも、母材1の境界面1a寄りに位置している。なお、図1及び図2に示したように、高Al領域3及び高Si領域4は、それぞれの領域の一部同士が重なっていてもよい。すなわち、高Al領域3の母材1の板厚中心部側の領域と、高Si領域4の母材1の境界面1a側の領域とが重なっていてもよい。
高Al領域3では、FeとAlとが存在することにより、高磁歪層の効果が発現するものと考えられる。また、高Si領域4では、Feと、方向性電磁鋼板よりも高濃度のSiとが存在することにより、磁気伝達層としての機能が発現するものと考えられる。
また、高Al領域3、高Si領域4及び母材がいずれも、{110}<001>方位の集合組織を有することが好ましい。これにより、結晶方位的に磁歪が最大となるλ100方向に圧縮歪と引っ張り歪を加えることが可能となるため、逆磁歪効果を最大に発現させることができる。
更に、高Al領域3含まれるAlは、母材の表層2において固溶していることが好ましく、Alが固溶せずに存在することは、できるだけ抑制するとよい。Alはこれにより、逆磁歪効果をより高めることができる。
図3には、本実施形態の発電用磁歪材料におけるAl濃度、Si濃度及びFe濃度の深さ方向の濃度プロファイルを示す。図3に示す濃度プロファイルは、図1に付記した濃度プロファイルと同じものである。図3に示す濃度プロファイルの測定には、電子線マイクロアナライザー(Electron Probe Micro Analyzer:EPMA)を用いる。電子線のスポット径を0.05μmとすることで、濃度プロファイルを求めることができる。先に説明したように、発電用磁歪材料の表層の断面を露出させ、表層の断面を深さ方向に沿って所定の測定深さ位置毎に元素分析を行う。検出された元素の合計を100質量%とした場合の、測定深さ位置毎のAlの含有率(質量%)及びSiの含有率(質量%)を求める。そして、図3に示すような、表層断面の深さ方向の濃度プロファイルを得る。この濃度プロファイルにおける所定の深さ位置におけるAl含有率(質量%)及びSi含有率(質量%)を、Al濃度及びSi濃度とする。なお、EPMAの測定時のエッジ効果などによってAl濃度及びSi濃度が極端に大きくなる場合があるが、エッジ効果などの外乱が認められる場合には、その周辺の濃度で内挿することとする。なお、図3に示すAl、Si及びFeの濃度プロファイルは例示であって、本発明の発電用磁歪材料の表層におけるAl濃度及びSi濃度の分布は、図3に示した濃度プロファイルに限定されるものではない。
図1に示すように、母材1上にFe-Al合金層5が積層されている場合の母材1の境界面1aの位置は、次のようにして決定する。まず、表層の断面を露出させる。この断面は、母材である方向性電磁鋼板において、圧延方向に対する垂直面が現れるように切断した際の断面とする。なお、方向性電磁鋼板の圧延方向は、方向性電磁鋼板の磁化容易軸方向にほぼ平行な方向である。この断面では、断面に対して<001>方位が垂直に立っているような結晶構造が現れる。そして、後方電子散乱回折(Electron BackScatter Diffraction:EBSD)を用いて結晶構造を解析する。素材である方向性電磁鋼板の結晶組織がそのまま残存している板中心部の結晶構造と同一の結晶構造であって、<001>方向からのずれが10°以内となる領域を同一の母材1とみなし、それらの条件から外れた部分をFe-Al合金層5とみなし、母材1とFe-Al合金層5との境界を境界面1aとする。言い換えれば、境界面1aは、{110}<001>GOSS集合組織から構成される結晶体の表面である。
高Al領域3の含まれるAlが母材の表層2において固溶していることの確認は、先に説明したように、発電用磁歪材料の表層の断面を露出させ、前述の後方電子散乱解析を用いて結晶構造を解析する際に、表層2において、同一の結晶方位を持つ領域を特定する。ついで、特定した領域に対して電子線マイクロアナライザーを用いて、Al濃度を測定することにより、母材と同一の結晶方位を持つ領域にAlが含まれていることを固溶しているとする。
このようにして母材1の境界面1a位置を特定し、境界面1aにおけるAl濃度を、高Al領域3のうち母材1の境界面1a側の位置におけるAl濃度とする。本実施形態の場合、高Al領域3のうち母材1の境界面1a側の位置におけるAl濃度が、表層における最大のAl濃度となり、母材1の境界面1aがAl濃度の最大値を示す位置MAlとなる。
また、高Si領域4のSiピーク位置MSiは、EPMAで測定したSiの濃度プロファイルにおいて、Si濃度が最大値となる位置をSiピーク位置MSiとする。高Si領域4のSiピーク位置MSiのAl濃度は、Siピーク位置MSiと同位置でのAl濃度とする。
これらの高Al領域3及び高Si領域4は、方向性電磁鋼板の表面にAlを配置した状態で、熱処理を行うことにより、Alを方向性電磁鋼板の表層に拡散させることによって形成される。
本実施形態の発電用磁歪材料は、Siを含有する方向性電磁鋼板の表層に、高Al領域と高Si領域を有するものであり、方向性電磁鋼板を素材とする。従って、母材1のうち表層2を除いた部分は、方向性電磁鋼板のままとなっている。方向性電磁鋼板は、鉄(Fe)にケイ素(Si)を含有させて鉄の磁気特性を向上させた、「ケイ素鋼板」と呼ばれることもある機能材料である。本実施形態における方向性電磁鋼板は、ケイ素(Si)の含有量(平均Si濃度)が0.5%以上4%以下であることが好ましい。また、方向性電磁鋼板には、不純物元素またはインヒビターとして、微量のAlが含有される場合があるが、その上限は0.1%未満、0.050%以下、0.030%以下または0.010%以下である。
一般に、電磁鋼板には、方向性電磁鋼板と無方向性電磁鋼板とがある。方向性電磁鋼板とは、鋼板の圧延方向に金属結晶の結晶方位を揃えたものである。具体的には、その圧延方向に<001>方向を揃え、圧延面を(110)方位とした{110}<001>GOSS集合組織を有する電磁鋼板である。一方、無方向性電磁鋼板とは、金属結晶の結晶方位が一定の方向に揃えられていない、比較的ランダムな結晶方位を有するものである。本実施形態においては、最も磁歪定数の高い結晶方位を活用するために、方向性珪素鋼板を素材とする。
本実施形態の方向性電磁鋼板は、その圧延方向に<001>方向を揃え、圧延面を(110)方位とした{110}<001>GOSS集合組織を有する。これは、方向性電磁鋼板の[100]方向に所定の磁場を印加すると、[100]方向に平行な180°磁区と90°磁区との割合が、両者が上手く相互作用する割合となり、方向性電磁鋼板に歪みを負荷した際に、180°磁区から90°磁区への変換、あるいは、90°磁区から180°磁区への変換が生じやすくなるためと考えられる。具体的には、180°磁区の磁化の方向に平行(すなわち、[100]方向)に圧縮歪みを負荷すると、180°磁区が減少して90°磁区が増加し、[100]方向に引っ張り歪みを負荷すると、90°磁区が減少して180°磁区が増加する。また、180°磁区の磁化の方向に垂直(すなわち、[110]方向)に圧縮歪みを負荷すると、90°磁区が減少して180°磁区が増加し、[110]方向に引っ張り歪みを負荷すると180°磁区が減少して90°磁区が増加する。これらの磁区の変化によって、方向性電磁鋼板の磁化が変化し、発電用磁歪材料として機能する。磁歪式振動発電デバイスにおいては、上記磁化の変化によって、磁歪材料に巻かれた検出用コイルに電圧が誘起される。
方向性電磁鋼板の具体例としては、例えば、日本製鉄株式会社製のオリエントコア、オリエントコアハイビー(例えば、27ZH100)、オリエントコアハイビー・レーザー、オリエントコアハイビー・パーマネント、等が挙げられる。
次に、高Al領域3及び高Si領域4について説明する。
高Al領域3は、方向性電磁鋼板に予め含有されているAl含有量よりも、Al濃度が高い領域であり、少なくとも0.1質量%以上のAlが含まれている領域である。高Al領域3のAl濃度は必ずしも一定ではない。すなわち、図3に示すように、高Al領域3におけるAl濃度は、母材1の境界面1a側で高く、母材1の板厚中心部に近づくにつれて低くなる。従って、本実施形態では、母材1の境界面1aがAl濃度の最大値を示す位置MAlとなる。また、母材1の境界面1aの位置は、発電用磁歪材料の素材である方向性電磁鋼板の表面であった位置に一致している。
高Al領域3の位置は、母材1の境界面1aの位置から板厚内部に向かって0.100mmの深さまでの範囲に存在させることが好ましい。その理由は、0.100mmよりも深い内部まで0.1質量%以上の量に相当するAlを拡散させると、高Si領域4の形成が難しくなるからである。
高Al領域3のうち、母材1の境界面1a側の位置におけるAl濃度は、6.0質量%以上であることが好ましい。高Al領域3のうち母材1の境界面1a側の位置におけるAl濃度が6.0質量%未満であるときには、発電性能が低下する。高Al領域3の最表層側に6.0質量%以上のAlが存在することによって、当該位置から内側領域に存在する高磁歪層の効果がより効果的に発現すると考えられる。
一方、高Al領域3のうち、母材1の境界面1a側の位置におけるAl濃度は、45%質量%以下が好ましい。45質量%よりAl濃度を高めても発電性能向上の効果が大きくないばかりか、多量のAlを拡散させる必要があり、Alを拡散させるための工程が煩雑になるので好ましくない。
高Al領域3は、発電用磁歪材料の板厚中心側において、高Si領域4との間で領域同士が重複する場合がある。そして、この重複する領域に、Si濃度が最大値を示す位置MSi(以下、「Si濃度のピーク位置MSi」と言う場合がある)が含まれる場合がある。Si濃度のピーク位置MSiにおけるAl濃度は、1.0質量%以上、12質量%以下であることが好ましい。
Si濃度のピーク位置MSiにおけるAl濃度が1.0質量%以上であれば、高Al領域3の境界面1a側の位置におけるAl濃度を6.0質量%以上にすることができ、高磁歪層として十分に効果が生じさせることが可能になる。さらに、Si濃度のピーク位置MSiにおけるAl濃度が12質量%以下であれば、高Al領域3の境界面1a側の位置におけるAl濃度が45質量%以下になり、高Al領域3における磁歪定数が高くなり、発電性能が向上する。よって、Si濃度のピーク位置MSiにおけるAl濃度は、1.0質量%以上、12質量%以下とすることが好ましい。
次に、高Si領域4は、素材である方向性電磁鋼板の平均Si濃度よりもSi濃度が高い領域である。高Si領域4では、領域内におけるSi濃度が一定ではなく、先に述べたように、Si濃度が最大値を示すSi濃度のピーク位置MSiを含んでいる。Si濃度のプロファイルは、図3に示すように、母材1の板厚中心部側ではほぼ一定であるが、母材1の境界面1a側に向かうにつれて、Si濃度が上昇し、Si濃度が最大値を示すSi濃度のピーク位置MSiに至る。ピーク位置MSiの境界面1a側に向かうにつれて、Si濃度し減少し、母材1の境界面1aではSi濃度が方向性電磁鋼板の平均Si濃度よりも低くなる。
Si濃度の最大値は、3.6質量%以上、6.0質量%以下が好ましく、3.6質量%以上、4.8質量%以下であってもよい。Si濃度の最大値が3.6質量%以上、6.0質量%以下の範囲であれば、発電性能を向上させることができる。Si濃度の最大値が3.6質量%以上、6.0質量%以下の場合、高Si領域4が磁気伝達層としての効果をより効果的に発現するものと考えられる。
Si濃度のピーク位置MSiは、高Al領域3の境界面1a側の位置から深さ0.07mmの位置よりも浅い位置にあることが好ましい。磁気伝達層として効果を発現する高Si領域4のSi濃度のピーク位置MSiが高Al領域3の境界面1a側の位置から0.07mmよりも近い位置にあることで、素材である方向性電磁鋼板よりも発電性能を向上させることができる。
また、図3に示すように、Al濃度は、Si濃度プロファイルのSiピーク位置MSiから境界面1aに向かって増大するが、この間のAl濃度の傾きは、50質量%/mm以上であることが好ましい。さらには、Al濃度の傾きは、100質量%/mm以上であることがより好ましい。
また、図3に示すように、Al濃度のプロファイルは、方向性電磁鋼板上にAl層を配置してから熱処理を施した場合に生じる通常の拡散における濃度プロファイルとなる。一方、Siについては、熱処理前の深さ方向に沿ってほぼ一定な分布状態から、熱処理によってSi濃度のピ-クを持つ不均一分布となり、通常の拡散とは逆方向の拡散が生じる。
その結果、境界面1a側ではSi濃度が減少し、比較的深い位置でSi濃度のピークが生じるようになる。Siがこのような分布を示すことで、本実施形態の発電用磁歪材料には、Siが濃化して磁気伝達層として機能する高Si領域4と、Alが濃化して高磁歪層として機能する高Al領域3とが形成されるようになる。
以上説明したように、表層2に、Al濃度が0.1質量%以上の高Al領域3と、方向性電磁鋼板の平均Si濃度よりもSi濃度が高い高Si領域4とがあり、高Al領域3が、母材1の境界面1aから深さ0.100mmまでの範囲にあり、表層2におけるSi濃度の最大値を示す位置MSiが、Al濃度の最大値を示す位置MAlよりも板厚中心部側にあることで、方向性電磁鋼板の結晶組織と、Siが濃化した磁気伝達層(高Si領域4)と、Alが濃化した高磁歪層(高Al領域3)との相互作用により発電性能を向上する効果が得られることが分かった。方向性電磁鋼板の結晶組織により発現される磁歪は低いものの、飽和磁束密度は高い。母材1の板厚中心部側の飽和磁束密度が高いために、磁気伝達層(高Si領域4)を通して高磁歪層(高Al領域3)からの磁化変化を受けて母材1の磁化変化が生じる場合、より大きな磁束密度の変化が生じ、発電量の向上に寄与することになる。
本実施形態の発電用磁歪材料における高Al領域3および高Si領域4の機能は明確ではないが、以下のように推測される。高Al領域3は境界面1aに位置しているため、曲げ歪みを負荷された場合に変形が大きくなる。そのため、発電用磁歪材料の[100]方向に所定の磁場(バイアス磁場)を印加しておくことによって、発電用磁歪材料に歪を負荷した際に、磁歪が大きくなっていると推定している高Al領域3(高磁歪層)において、先に180°磁区から90°磁区への変換、あるいは、90°磁区から180°磁区への変換が生じる。引き続き、磁気相互作用によって、表層2より内側の方向性電磁鋼板の母相において磁区の変換が生じる。更に、高Al領域3(高磁歪層)と方向性電磁鋼板の母相との間に形成させた高Si領域4(磁気伝達層)が、この磁気的相互作用をより生じ易くさせる作用効果がある、と推定される。
発電用磁歪材料の性能を評価するための指標として、発電用磁歪材料に外部応力を負荷した際に生じる磁束密度変化ΔBを用いることができる。ΔB(単位:mTまたはT)は、以下の方法で求めることができる。
断面積Sの発電用磁歪材料を巻き数Nのコイルに挿入して、外部応力を負荷する。このとき、時間Δtの間に磁束密度ΔBの変化が生じた場合、コイルにはV=-N(S・ΔB/Δt)の電圧Vが発生する。したがって、ΔBはコイルに発生した電圧信号の時間積分値として求めることができる。発電用磁歪材料の性能指標は、Δtの間に発生する総電圧として評価することができる。すなわち、電圧の時間積分値である磁束密度の変化ΔBとして評価することができる。ΔBの測定は、コイルに発生する電圧をフラックスメーターに繋ぐことによって行うことができる。
また、ΔBの測定には、準静的測定と動的測定の2つがある。準静的測定は、発電用磁歪材料に外部応力を負荷しない(曲げ歪みがない)状態を基準として、外部応力を一度だけ与えた(曲げ歪みを与えた)場合の磁束密度の変化量を測定したものである。準静的測定における外部応力の負荷は、例えば、板状の発電用磁歪材料の一端を固定し、他端を板厚方向に向けて所定の変位量まで押し込むことで発電用磁歪材料を弾性変形させる。
一方、動的測定は、発電用磁歪材料に外部応力を負荷しない(曲げ歪みがない)状態を基準として、外部応力を連続して与えた(連続して曲げ歪みを与えた)場合の磁束密度の変化量を測定したものである。動的測定における外部応力の負荷は、例えば、板状の発電用磁歪材料の一端を固定し、他端側を板厚方向を振幅方向として連続振動させる。振動周波数および振幅長さは適宜設定してよいが、振動周波数を例えば500Hz以下、300Hz以下、または100Hz以下の範囲としてもよい。振幅長さは発電用磁歪材料サイズに応じて適宜設定するとよい。
ΔB(単位:mTまたはT)の詳細な測定方法および測定装置については、下記実施例において説明する。
本実施形態の発電用磁歪材料は、従来の磁歪材料に比べて磁束密度の変化ΔBが高くなるので、本実施形態の発電用磁歪材料を発電デバイスに適用した場合に、発電デバイスの発電量を大きくすることができる。なお、本実施形態発電用磁歪材料におけるΔBの向上効果は、準静的測定、動的測定のいずれの場合であっても、得ることができる。
更に、本実施形態の発電用磁歪材料は、準静的測定時のΔBに対する動的測定時のΔBの比率を高めることができる。特に、準静的測定時のΔBに対する、振動周波数150Hzでの動的測定時のΔBの比率を95%以上にすることができる。また、準静的測定時のΔBに対する、振動周波数250Hzでの動的測定時のΔBの比率を90%以上にすることができる。これは、比較的高い振動周波数で本実施形態の発電用磁歪材料を連続振動させた場合でも、高い発電量が得られることを意味する。この原因は、以下のように推測される。
一般に、金属材料からなる磁歪材料を連続して振動させると、磁束密度の変化が生じるが、その一方で、磁歪材料の内部において渦電流が発生し、渦電流損によって磁束密度の変化が小さくなる。一方、本実施形態の発電用磁歪材料は、方向性電磁鋼板を素材とするものであり、100Hz以上の振動周波数で振動させた場合に、一般的な磁歪材料と同様に渦電流損が発生しうる。しかしながら、本実施形態の発電用磁歪材料では、表層2におけるSi濃度の最大値を示す位置MSiが、Al濃度の最大値を示す位置MAlよりも板厚中心部側にあるため、位置MSiと位置MAlとの間の領域では、電気抵抗を増加させる元素であるAlとSiとが共存し、さらにSiが存在することにより磁気伝達層としての効果を高める。このような領域が存在することで、渦電流が流れにくくなり、渦電流損が低減し、磁気伝達層としての効果も加えられて、ΔBの低下が抑制されるものと推測される。
特に、本実施形態の発電用磁歪材料のうち、Si濃度の最大値を示す位置MSiにおけるAl濃度が1.0質量%以上、12質量%以下であるとともに、位置MSiが、高Al領域の境界面側の位置から深さ0.07mmの位置よりも浅い位置にある発電用磁歪材料において、渦電流損がより低減して、ΔBの低下が抑制されるようになるので好ましい。特に、比較的高い振動周波数で振動させた場合に、ΔBの低下が抑制されるようになるので好ましい。
次に、本実施形態の発電用磁歪材料の製造方法について説明する。本実施形態の発電用磁歪材料は、方向性電磁鋼板の表面にAl層を配置し、熱処理によってAl層中のAlを方向性電磁鋼板の内部に拡散させることにより製造される。
素材として用いる方向性電磁鋼板の詳細は、先に述べた通りである。
方向性電磁鋼板上に配置するAl層は、溶融めっき法、電気めっき法、スパッタリング法、蒸着法等によって方向性電磁鋼板の表面に形成してもよい。Al層の厚みは、例えば、0.1~3000μmの範囲がよい。Al層を薄くすることで長時間の熱処理でも脆化しにくくできるため、好ましくは300μm以下がよい。さらに、好ましくは30μm以下がよい。なお、Al層が厚い場合でも熱処理条件を短時間化させることにより、Al層が薄い場合と同様に表面のみを拡散させることができるため、本発明の効果を得ることが可能である。Al層に含まれる不純物として、Si、Fe、Cu、Mn、Mg、Znなどの含有は、Si:0.15質量%以下、Fe:1.7質量%以下、Cu:0.05質量%以下、Mn:0.05質量%以下、Mg:0.05質量%以下、Zn:0.05質量%以下の範囲で許容される。
また、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるAl箔を、方向性電磁鋼板の表面に積層することで、Al層を形成してもよい。Al箔としては、例えば、Si:0.15質量%以下、Fe:1.2~1.7質量%、Mn:0.05質量%以下、Mg:0.05質量%以下、Zn:0.05質量%以下を含有し、残部がAl及び不純物からなるアルミニウム合金のAl箔であってもよく、純AlからなるAl箔でもよい。Al箔の厚みは、例えば、1~100μmの範囲がよい。Al箔が薄い場合には表面張力によってAlの濃度のむらが生じやすくなる場合があるため、好ましくは10μm以上が好ましい。なお、Al箔が薄い場合でも、重りや万力で圧力を20kPa程度加圧しながら加熱すれば、濃度むらなく安定的に製造することが可能である。
Al層のAlを方向性電磁鋼板に拡散させるための熱処理は、表層に高Al領域及び高Si領域が形成される条件とする。例えば、昇温速度10~100℃/分、均熱温度700~1000℃、均熱時間0~35分とする1段目熱処理と、均熱温度600~1000℃、均熱時間0~200分、好ましくは0~100分とする2段目熱処理とを行う。1段目熱処理と2段目熱処理の均熱温度は異なる温度とする。また、1段目熱処理と2段目熱処理との間において温度調整のために、10~100℃/分の範囲で温度を昇温または降温する。更に、2段目熱処理の終了後は、0.5~100℃/分の範囲、好ましくは10~100℃/分の範囲の降温速度で20℃以下になるまで降温する。2段階の熱処理を施す理由としては、AlとSiの拡散係数の違いを利用して、所定のAlとSiの濃度プロファイルを作りこむためである。1段目熱処理及び2段目熱処理の均熱時間のいずれか一方または両方を、0分超としてもよい。
熱処理の雰囲気は、非酸化性雰囲気とすることが好ましく、例えばアルゴン雰囲気でもよい。
また、例えば、Al層を溶融めっき法により形成した際に、めっき浴からの熱によって、方向性電磁鋼板が加熱されたことにより、熱処理がなされたとして、独立した熱処理工程を省略することも可能である。
本実施形態の発電用磁歪材料は、比較的入手が容易な方向性電磁鋼板を素材とし、この方向性電磁鋼板にAl層を積層して熱処理することで製造できるので、生産性に優れ、また、量産性にも優れたものとなる。
次に、本実施形態の磁歪式振動発電デバイスを説明する。「磁歪式振動発電デバイス」とは、磁歪特性、即ち、磁場の印加による形状変化(即ち、歪み)、を示す本実施形態の発電用磁歪材料によって形成された磁歪部を有し、磁歪部の逆磁歪に基づく発電が可能なデバイスを意味する。磁歪部は発電用磁歪材料のみで構成される場合もあれば、発電用磁歪材料と基材とから構成される場合もある。
図4に、本実施形態に係る磁歪式振動発電デバイス300の一例を示す。図4に示す磁磁歪式振動発電デバイス300は、本実施形態に係る発電用磁歪材料を含む磁歪部310と、磁歪部310を振動可能な状態で支持する支持部350と、磁歪部310にバイアス磁界を印加するバイアス磁石340と、磁歪部310に離間して配置された誘導コイル330と、を備えている。
支持部350は、弾性材料からなるU字型の部材である。支持部350の一端側の取り付け部312に、本実施形態に係る発電用磁歪材料311が接着剤等により接合されている。支持部350の取り付け部312と発電用磁歪材料311とにより磁歪部310が構成されている。
取り付け部312は、応力制御部として機能する。すなわち、取り付け部312は、発電用磁歪材料311に曲げ歪み、等を加えた際に発電用磁歪材料311全体に対して圧縮、または、引っ張りのどちらか一方の応力負荷を達成するために、応力を制御するための部分である。応力制御部を形成する材料は、上記目的を達成し得る弾性材料である限り特に限定はなく、非磁性材料および磁性材料のいずれも使用可能である。特に、弾性材料を非磁性材料とすると、磁歪部310の発電用磁歪材料311のみに磁場が優先的に流れるため、磁歪部310のバイアス磁場の調整が容易であるため好ましい。
支持部350においては、取り付け部312の厚みを、取り付け部312以外の部位の厚みよりも薄くすることで、磁歪部310を振動させ易くさせることが好ましい。また、振動により発電用磁歪材料311が支持部350から脱落しないように、図4に示すように、爪部312aにより発電用磁歪材料311の両端を拘束してもよい。
磁歪部310の近くには、誘導コイル330が設置されている。さらに磁歪部310の両端にはバイアス磁石340が取り付けられており、発電用磁歪材料311にバイアス磁場を印加できるようになっている。バイアス磁石340は、バイアス磁場を発生させるために永久磁石を用いることが好ましい。永久磁石は小型化可能であり、バイアス磁界の制御が容易である。また、永久磁石としては、より大きなバイアス磁場を発生させることができる理由から、NdFeB磁石(ネオジム磁石)が好ましい。
発電用磁歪材料311は、Alを含有させた方向性電磁鋼板から形成されるものであるため、方向性電磁鋼板の[100]方向にバイアス磁場が印加されるように、デバイスを構成することで、より大きな電圧が得られるようになる。
また、支持部350の一端には、振動を増幅させるための錘320が載せられている。
図4に示す本実施形態の磁歪式振動発電デバイス300において、磁歪部310は、発電用磁歪材料311と応力制御部としての取り付け部312とを有する。磁歪部310の周りには誘導コイル330が巻かれており、バイアス磁石340と、支持部310と、支持部310に取り付けられた錘320とを含む。このような磁歪式振動発電デバイス300においては、バイアス磁石340の磁力線は、磁歪部310を通過して、発電用磁歪材料311に対してバイアス磁場を印加する。そして錘320の振動によって取り付け部312を含む支持部350が振動し、発電用磁歪材料311に引張力および圧縮力を加える。このとき、発電用磁歪材料311に対して歪みを加える方向と、発電用磁歪材料311に対してバイアス磁場を印加する方向とが平行関係にあり、逆磁歪効果によって発電用磁歪材料311の磁化を変化させ、コイルに誘導電流(または誘導電圧)を発生させることができる。
なお、発電用磁歪材料311のサイズは、それを備える磁歪式振動発電デバイス300の寸法によっても異なるため、特に限定はない。発電用磁歪材料311を含む磁歪部310の寸法は、大きければ大きいほど、磁歪式振動発電デバイス300において誘導コイル330の巻き数を多くして、より大きな電圧を得ることができるため好ましい。
また、磁歪部310を構成する発電用磁歪材料311の厚みにも特に限定はないが、通常、0.2mm以上2mm以下である。機械的な共振周波数を低下させるためにさらに好ましくは、0.5mm以下である。発電用磁歪材料311の厚みが0.2mm以上であれば、磁束の変化を大きくできるため、発生電圧も大きくできるため有利であり、0.5mm以下であれば、振動に適した剛性の設計が容易となるため有利である。
応力制御部としての取り付け部312の材質について、非磁性の弾性材料としては、繊維強化プラスチック(例:ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP))、オーステナイト系ステンレス鋼(例:SUS304、SUS316、など)、銅合金(例:黄銅、りん青銅)、アルミ合金(例:ジュラルミン)、チタン合金(例:Ti-6Al-4V)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、ヤング率が比較的高く、曲げ歪みを負荷した場合の中立面を磁歪部310の外に位置させることが容易である点で、繊維強化プラスチック、オーステナイト系ステンレス鋼が好ましい。
また、発電用磁歪材料311が方向性電磁鋼板を素材とするものであり、取り付け部312の材質が磁性材料である鋼板とする場合、バイアス磁場を印加したときに、発電用磁歪材料310と取り付け部312の両方にバイアス磁場が流れる。しかし、発電用磁歪材料311の素材である方向性電磁鋼板はそもそも高透磁率材料であるため、発電用磁歪材料310により多くのバイアス磁場が流れるため、発電に十分な磁区変化が生じると考えられる。しかし、取り付け部312が非磁性材料の場合と比較すると、磁性材料で形成された取り付け部312に流れる磁束分だけ発電用磁歪材料311に印加される磁力が少なくなる。この磁力の減少を補うためには、より強い磁界を発生可能なバイアス磁石340を用いるとよい。
磁性材料である弾性材料としては、一般構造用圧延鋼材(例:SS400)、一般構造用炭素鋼(例:S45C)、高張力鋼(例:HT80)、フェライト系ステンレス鋼(例:SUS430)、マルテンサイト系ステンレス鋼(例:SUS410)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
磁歪部310は、発電用磁歪材料311と支持部350の取り付け部312との積層体である。このような積層体は、取り付け部312と発電用磁歪材料311とを貼り合わせることによって形成することができる。貼り合わせる方法特に限定はないが、通常、接着剤や接着シートを間に介した貼り合わせ、ろう材接合、液相拡散接合等が挙げられる。
取り付け部312の寸法に特に限定はないが、発電用磁歪材料311全体に対して圧縮、または、引っ張りのどちらか一方の応力負荷を達成するという観点から、発電用磁歪材料311と同じまたは発電用磁歪材料311より大きいことが望ましい。取り付け部312を形成する弾性材料の厚みにも特に限定はないが、通常、0.1mm以上2.0mm以下であり、好ましくは0.2mm以上1.0mm以下、より好ましくは0.2mm以上0.5mm以下である。取り付け部312の厚みが0.1mm以上であれば、発電用磁歪材料311全体に対して圧縮、または、引っ張りのどちらか一方の応力負荷を達成する上で有利であり、2.0mm以下であれば、磁歪部310の振動を妨げることが抑制できる。
本実施形態の磁歪式振動発電デバイス300は、磁歪部310に含まれる発電用磁歪材料311を形成する材料が、本実施形態に係る発電用磁歪材料である限り、その構造に特に限定はない。よって、従来の磁歪材料(FeGa合金、FeCo合金、FeAl合金等)を磁歪部に用いた、逆磁歪効果を用いた発電装置と同様の構造とすることができる。
なお、図4を参照しつつ本実施形態の磁歪式振動発電デバイス300を説明したが、本発明に係る磁歪式振動発電デバイスは図4に示すものに限定されない。
以上説明したように、本実施形態によれば、磁歪発電に用いるための、発電出力が高く、且つ安定的な量産が可能な、発電用磁歪材料および当該発電用磁歪材料を用いた磁歪式振動発電デバイスを提供できる。
また、本発明の磁歪式振動発電デバイスは、振動の発生頻度が間欠的もしくは単発的である環境、または、振動が連続して発生しうる環境のいずれにおいても、優れた発電性能を発揮できる。先の発電用磁歪材料の説明において述べたように、本発明の発電用磁歪材料は、準静的測定、動的測定のどちらでもΔBの向上効果が得られる。ここで、準静的測定は、先に述べたように、発電用磁歪材料に外部応力を負荷しない状態を基準とし、外部応力を一度だけ与えた場合の磁束密度の変化量を測定するものであり、これは、振動の発生頻度が間欠的もしくは単発的な環境に近い測定条件である。一方、動的測定は、振動が連続して発生する環境に近い測定条件である。本発明の発電用磁歪材料は、いずれの測定でもΔBの向上効果が得られるから、本発明の磁歪式振動発電デバイスは、上記のいずれの環境においても、優れた発電性能が得られる。
また、本発明の磁歪式振動発電デバイスは、準静的測定時のΔBに対する振動周波数150Hzでの動的測定時のΔBの比率が95%以上、または、振動周波数250Hzでの動的測定時のΔBの比が90%以上である発電用磁歪材料を備えるため、発電可能な振動周波数の範囲が広く、様々な使用環境においても高い発電性能を発揮できる。
更に、本発明の磁歪式振動発電デバイスは、その構造やサイズ等によって固有振動周波数が異なる場合があるところ、本発明の発電用磁歪材料は発電可能な振動周波数の範囲が広いため、様々なタイプの磁歪式振動発電デバイスに適用できる。
本発明の磁歪式振動発電デバイスは、先に述べたように、振動の発生頻度が間欠的もしくは単発的である環境、または、振動が連続して発生する環境で使用できる。前者の環境に適用可能な例としては、例えば通路の床面やドア等に設置される人感センサ用の電源等を例示できる。また、後者の環境に適用可能な例としては、作動時に振動を伴う工作機器等の監視装置用の電源、輸送用コンテナの監視装置または位置情報通信装置の電源等を例示できる。
更に、本発明の磁歪式振動発電デバイスは、発電可能な振動周波数が、低周波数から、例えば100Hz以上、好ましくは150Hz以上、より好ましくは250Hz以上の比較的高い振動周波数での適用が可能となるため、様々な振動周波数が重畳された振動が発生しうるスイッチ用途や設備の診断装置用の電源として利用できる。なお、本実施形態の磁歪式振動発電デバイスは、用途に応じた発電量が得られればよく、振動周波数の上限は特に限定しない。
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明の実施可能性および効果を確認するために実施した条件例であり、本発明はこの条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用が可能である。
(実施例1)
発電用磁歪材料の素材として、日本製鉄株式会社製の方向性電磁鋼板(35ZH115、被膜付き)を使用した。この方向性電磁鋼板の厚みは0.35mmであり、組織は、結晶方位{110}<001>GOSS集合組織であった。また、Si含有量(平均Si濃度)は3.2%であり、Al含有量は0.1%未満であった。
皮膜を除去した当該電磁鋼板を、長さ40mm、幅6.1mmにシャーリング切断した。切断の際は、発電用磁歪材料の長手方向が方向性電磁鋼板の圧延方向に一致するようにした。切断時の残留応力または残留歪みを除去するため、800℃、2時間、真空中で焼鈍した。焼鈍した方向性電磁鋼板の表面にマグネトロンスパッタリング装置を用いてAl層を、表1に示す厚みに形成し、表1に示す熱処理を施して、発電用磁歪材料を得た。
発電用磁歪材料の母材の境界面の位置(Al拡散前の方向性電磁鋼板の表面位置)を測定するため、後方電子散乱回折(Electron BackScatter Diffraction:EBSD)を用いた。発電用磁歪材料の表層の断面をクロスセクションポリッシャー法により露出させた。断面は、母材である方向性電磁鋼板において、圧延方向に対する垂直面が現れるように切断した際の断面とした。なお、方向性電磁鋼板の圧延方向は、方向性電磁鋼板の磁化容易軸方向にほぼ平行な方向である。後方電子散乱回折の電子線のスポット径は0.5μmとし、ステップ幅は0.10μmとした。断面に対してEBSD測定を行い、<001>方向からのずれが10°以内となる領域を母材とみなし、それらの条件から外れたところを方向性電磁鋼板上に残存したAl層(Fe-Al合金層)として、母材とAl層(Fe-Al合金層)との界面を境界面の位置とした。図5に、発明例1の表層断面におけるEBSDの測定結果を示す。図5に示すように、母材の領域と、Fe-Al合金層の領域との間で、EBSDパターンが大きく異なり、結晶構造が異なっていることがわかる。このため、EBSDによって母材の境界面の位置を容易に特定可能である。
発電用磁歪材料の板厚方向のAl濃度およびSi濃度の濃度プロファイルの測定には電子線マイクロアナライザー(Electron Probe Micro Analyzer:EPMA)を用いた。発電用磁歪材料の測定面として、上述したEBSDで測定した断面と同一視野を測定した。電子線のスポット径は0.05μmとした。発明例1~15の濃度プロファイルは、図3に例示される濃度プロファイルに類似するプロファイルになった。高Si領域のSiピーク位置MSiは、EPMAで測定したSiの濃度プロファイルにおいて、最大値となる位置をSiピーク位置MSiとした。高Si領域のSiピーク位置MSiのAl濃度は、Siピーク位置MSiと同位置でのAl濃度とした。母材の境界面の位置でのEPMAで測定されたAlの濃度を、高Al領域における境界面側の位置におけるAl濃度とした。このAl濃度がAl濃度の最大値となった。また、高Al領域の厚さは、母材の境界面の位置から、Al濃度が0.1質量%以上となる領域の幅とした。
高Al領域に含まれるAlが母材の表層2において固溶していることの確認は、先に説明したように、発電用磁歪材料の表層の断面を露出させ、前述の後方電子散乱解析を用いて結晶構造を解析する際に、表層において、同一の結晶方位を持つ領域を特定した。ついで、特定した領域に対して電子線マイクロアナライザーを用いて、Al濃度を測定することにより、母材と同一の結晶方位を持つ領域にAlが含まれていることを固溶しているとした。
磁束密度変化ΔBの測定は下記の方法で実施した。
応力制御部を構成する非磁性材料として、厚さ0.5mmのオーステナイト系ステンレス鋼板(SUS304)を用いた。これを長さ40mm、6.5mmの大きさに切断して、応力制御部用非磁性材料とした。
図6に示すように、上述した発電用磁歪材料111と、応力制御部であるSUS304鋼板112とをエポキシ系の接着剤を用いて室温で貼り合わせて、磁歪部110を得た。
得られた磁歪部110を、図6に示した測定ユニット100に組み込み、磁歪部110に曲げ歪みを加えた場合の磁束密度変化ΔBを測定した。ΔBの測定は、準静的測定であった。
具体的には、磁歪部110の発電用磁歪材料111を下側として、その左側端部を固定ブロック150により固定し、右側端部を下に押し込んだ時に発電用磁歪材料111に圧縮応力が加わるようにした。さらに、図6の場合とは逆に、磁歪部110の発電用磁歪材料111を上側として、左側端部を固定ブロック150で固定し、右側端部を下に押し込んだ時に発電用磁歪材料111に引張応力が加わるようにした。それぞれの測定のときには発電用磁歪材料111の右側端部を下に押し込む前、即ち、曲げ歪みが無い状態を基準として、発電用磁歪材料111を押し込んだ深さΔh(mm)を加え、このときの磁束密度変化ΔBを測定した。なお、磁束密度変化ΔBの変化は圧縮応力を加えたときの磁束密度変化ΔBと引張応力を加えたときの磁束密度変化ΔBの和とした。Δhは0.3mmとした。また、圧縮応力および引張応力を加えたときの発電用磁歪材料111の変形量は0.6mm(=0.3mm×2)であった。測定された磁束密度変化ΔBを表1に示した。発電出力は磁束密度変化ΔBに比例するようになる。なお、印加したバイアス磁場の大きさはヘルムホルツコイルによって可変であるため、表1~表5に示した磁束密度変化ΔBはそれぞれの最適値となる磁場を加えた。
より詳細には、測定ユニット100において、磁歪部110の右側端部に下方への圧力170を加えた(即ち、押し込んだ)。このとき、発電用磁歪材料111には圧縮歪みを加えた状態となり、押し込んだ時の発電用磁歪材料111の移動距離171が長くなるほど、圧縮歪みは大きくなった。押し込みはマイクロメーターのシリンダヘッドを用いて行い、押し込みの深さは、シリンダヘッドのストロークで調整した。
さらに図6の測定ユニット100では、ヘルムホルツ型のコイルをバイアス磁場用コイル120とし、そこに電流を流して、磁歪部110に磁場を印加した。磁場の大きさは直流電源140の大きさによって調整し、磁場の大きさは予めガウスメータで校正した。このとき、磁歪部110に印加される磁場を0~500e程度まで変化させて、磁束密度変化が最大になる磁場で評価した。磁歪部110の磁束変化は、検出用コイル130(巻き数:3500ターン)によって誘起電圧として検出し、その誘起電圧をフラックスメーター160で磁束の変化として計測した。さらに、下記式1に基づき、磁束の変化を検出用コイルの巻き数と磁歪材料の断面積で割って、磁束密度変化ΔBを求めた。
Figure 2022174003000001
(式中、Vは発生電圧、Nはコイルの巻き数、Sは磁歪部の断面積である。)
尚、この測定方法で得られる磁束密度変化ΔBは電圧変化の時間積分であるため、歪を加える速さには依存しなかった。
結果を表1に示す。表1において、「高Al領域の深さ(mm)」は、母材の境界面からの深さである。「GOSS方位」は、高Al領域及び高Si領域に対してEBSD測定を行った結果、高Al領域及び高Si領域における結晶方位が素材の方向性電磁鋼板のGOSS方位と同じであった場合を「○」、異なる場合を「×」としている。「高Si領域におけるSi濃度(質量%)」は、高Si領域における最大のSi濃度(質量%)である。「Si濃度の最大値を示す位置(mm)」は、母材の境界面からの深さ位置である。また、母材の境界面の位置でのEPMAで測定されたAlの濃度を、高Al領域における境界面側の位置におけるAl濃度とした。このAl濃度がAl濃度の最大値となった。また、表1の発明例1~15の濃度プロファイルは、図3に例示される濃度プロファイルに類似するプロファイルになった。これにより、発明例1~15は、表層におけるSi濃度の最大値を示す位置が、Al濃度の最大値を示す位置よりも板厚中心部側にあることがわかった。また、発明例1~15については、高Al領域に含まれるAlが、母材の表層において固溶していることが確認された。
Figure 2022174003000002
表1において、比較例1は、方向性電磁鋼板そのままであり、比較例2は方向性電磁鋼板の表面にAl層を形成したが、熱処理を行わなかった例である。比較例1及び比較例2のそれぞれのΔBの結果から明らかなように、方向性電磁鋼板にAlを拡散させなかった場合は、発生電圧の向上の効果は得られなかった。
発明例1~15は、方向性電磁鋼板の表面にAl層を形成してから熱処理を行った例である。表1から明らかなように、発明例1~15は、磁束密度変化ΔBが0.145超となり、比較例1、2に比べて磁束密度変化ΔBが向上することが分かった。よって、発電デバイスに利用した場合に、発電出力が大きくなると期待できる。
比較例3は、1段目熱処理の保持時間が長いため、高Al領域が、母材の境界面から深さ0.12mmの範囲に広がり、発明例1~15に比べて磁束密度変化ΔBが低下した。
比較例4は、1段目熱処理の保持時間が長いため、高Al領域が、母材の境界面から深さ0.15mmの範囲に広がり、発明例1~15に比べて磁束密度変化ΔBが低下した。
比較例5は、1段目熱処理の到達温度およびその保持時間が長かったため、方向性電磁鋼板に過剰のAlが拡散した。このため、GOSS方位が乱れ、発明例1~15に比べて磁束密度変化ΔBが大幅に低下した。
(発電性能の評価1)
次に、発明例1~15及び比較例1~5の発電用磁歪材料を組み込んだ測定ユニット100を用いて、発電性能を確認した。
発明例1~15及び比較例1~5の発電用磁歪材料を組み込んだ測定ユニット100を、アルミ製架台の上に載せ、更に、測定ユニット100を載せたまま、アルミ製架台を加振装置の上に載せた。そして、加振装置によって、磁歪部110に動的な歪みを与えた。すなわち、発電性能の測定は、動的測定により行った。
また、磁歪部110の固定ブロック150の反対側の端部には、タングステン製の錘を固定した。また、磁歪部110において、タングステン製の錘を貼り付けた面とは反対側の面には、バイアス磁石としてネオジム磁石を貼り付けた。
測定ユニット100に加振する前の錘の位置から、加振後の錘の最下点の位置までの距離Δhをレーザー距離計で測定した。Δhが0.5~1.0mmの範囲内となるように、錘の重量を調整した。加振装置は、30Hz、加速度1Gで振動させた。さらに検出用コイル130に誘起される交流電圧をデジタルオシロスコープで取り込み、波形のピーク電圧を測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 2022174003000003
表2の結果から明らかなように、発明例1~15は、外部振動に対して曲げモードで振動し、33mV以上の発電性能を示した。
(発電性能の評価2)
先に作成した磁歪部を、図4に示した磁歪発電デバイス300に組み込んで発生電圧を測定した。磁歪部としては、発明例1の発電用磁歪材料をSUS304鋼板に貼り合わせたものを用いた。
図4の磁歪振動デバイス300の支持部350に磁歪部を組み込み、U字形状の支持部350の下側の部位を、加振装置の上に固定した。図4のU字形状の支持部350には、厚み2mmのCFRPを用いた。磁歪部を取り付ける、応力制御部に相当する部位のCFRPの厚みを0.5mmとした。錘320は7gのタングステン製の錘とした。磁歪部はCRRP製の爪部で固定した。バイアス磁石340はネオジム磁石とした。
そして、図4の磁歪振動デバイス300を用いて、発電性能を確認した。発電性能の測定は、動的測定による。すなわち、発電性能の確認は、磁歪振動デバイス300に対して、加振装置を0.5Gで加振させ、共振周波数におけるピーク電圧をオシロスコープで測定した。共振周波数は150~250Hzの範囲であった。結果を表3に示した。
Figure 2022174003000004
表3の結果から明らかなように、本発明例1の発電用磁歪材料を用いた磁歪振動デバイス300は、外部振動に対して方向性電磁鋼板そのものよりも大きい発電性能を示した。
また、本発明例2~15は、本発明例1と同様にΔBが高いため、本発明例1と同様に、比較例1に対して大きな発電性能を示すことが期待できる。
(実施例2:振動周波数を変化させた場合の発電性能)
実施例1と同様にして、図6に示すように、発明例1~15および比較例1~5の発電用磁歪材料111と、応力制御部であるSUS304鋼板112とをエポキシ系の接着剤を用いて室温で貼り合わせて、磁歪部110を得た。この磁歪部110を、図6に示した測定ユニット100に組み込み、磁歪部110に曲げ歪みを加えた場合の磁束密度変化ΔBを測定した。
本実施例におけるΔBの測定は、準静的測定および動的測定の両方を行った。
準静的測定は、実施例1の場合と同様にして、曲げ歪みが無い状態を基準として、発電用磁歪材料111を押し込んだ深さΔh(mm)を加え、このときの磁束密度変化ΔBを測定した。なお、磁束密度変化ΔBの変化は圧縮応力を加えたときの磁束密度変化ΔBと引張応力を加えたときの磁束密度変化ΔBの和とした。Δhは0.3mmとした。Δhは、磁歪部110を固定する固定ブロック150の端部の位置から28mm離れた位置で測定した。また、圧縮応力および引張応力を加えたときの発電用磁歪材料111の変形量は0.6mm(=0.3mm×2)であった。測定された磁束密度変化ΔBを表4に示した。
動的測定は、発明例1~15及び比較例1~5の発電用磁歪材料を組み込んだ測定ユニット100を、アルミ製架台の上に載せ、更に、測定ユニット100を載せたまま、アルミ製架台を加振装置の上に載せた。そして、加振装置によって、磁歪部110に動的な歪みを与えた。また、磁歪部110の固定ブロック150の反対側の端部には、タングステン製の錘を固定した。また、磁歪部110において、タングステン製の錘を貼り付けた面とは反対側の面には、バイアス磁石としてネオジム磁石を貼り付けた。
測定ユニット100に加振する前の錘の位置から、加振後の錘の最下点の位置までの距離Δhをレーザー距離計で測定した。Δhが静的測定と同様に0.3mmになるように、錘の重量を調整した。加振装置の振動条件は、振動周波数を、50Hz、90Hz、150Hz、200Hz、250Hzとした。そして、振動を加えながら、磁束密度変化ΔBを測定した。磁束密度変化ΔBの変化は、発電用磁歪材料に圧縮応力を加わった際の磁束密度変化ΔBと引張応力が加わった際の磁束密度変化ΔBの和とした。測定された磁束密度変化ΔBを表4に示した。また、表5には、準静的測定時の磁束密度の変化ΔBに対する、動的測定時の磁束密度の変化ΔBの比率を示した。
表4及び表5に示すように、発明例1~15の発電用磁歪材料は、準静的測定時のΔBに対する、振動周波数150Hzでの動的測定時のΔBの比率が95%以上となり、高い振動周波数においても優れたΔBを示した。また、発明例1~15の発電用磁歪材料は、振動周波数250Hzでの動的測定時のΔBの比率が90%以上となり、十分なΔBを示した。
特に、発明例1~5は、Si濃度の最大値を示す位置MSiにおけるAl濃度が1.0~12質量%であるとともに、位置MSiが、高Al領域の境界面側の位置から深さ0.07mmの位置よりも浅い位置にある発電用磁歪材料であり、これらは、振動周波数150Hzでの動的測定時のΔBの比率が98%以上、振動周波数250Hzでの動的測定時のΔBの比率が92%以上となり、より優れた特性を示した。また、発明例15は、振動周波数250Hzでの動的測定時のΔBの比率が94.2%であるが、0Hz(静的測定時)でのΔBがやや低めであった。
Figure 2022174003000005
Figure 2022174003000006

Claims (14)

  1. Siを含有する方向性電磁鋼板よりなる母材の表層に、
    Al濃度が0.1質量%以上の高Al領域と、前記方向性電磁鋼板の平均Si濃度よりもSi濃度が高い高Si領域と、があり、
    前記高Al領域が、前記母材の境界面から深さ0.100mmまでの範囲にあり、
    前記表層におけるSi濃度の最大値を示す位置が、Al濃度の最大値を示す位置よりも板厚中心部側にある、発電用磁歪材料。
  2. 前記Si濃度の最大値を示す位置におけるAl濃度が1.0質量%以上、12質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の発電用磁歪材料。
  3. 前記高Al領域のうち、前記母材の境界面側の位置における前記Al濃度が、6.0質量%以上であることを特徴とする請求項2に記載の発電用磁歪材料。
  4. 前記高Si領域内におけるSi濃度の最大値が、3.6質量%以上、6.0質量%以下の範囲であることを特徴とする請求項2に記載の発電用磁歪材料。
  5. 前記高Si領域内におけるSi濃度の最大値が、3.6質量%以上、6.0質量%以下の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の発電用磁歪材料。
  6. 前記高Al領域のうち、前記母材の境界面側の位置における前記Al濃度が、6.0質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の発電用磁歪材料。
  7. 前記高Si領域内におけるSi濃度の最大値が、3.6質量%以上、6.0質量%以下の範囲であることを特徴とする請求項6に記載の発電用磁歪材料。
  8. 前記高Si領域内におけるSi濃度の最大値が、3.6質量%以上、6.0質量%以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の発電用磁歪材料。
  9. 前記表層における前記Si濃度の最大値を示す位置が、前記高Al領域の境界面側の位置から深さ0.07mmの位置よりも浅い位置にあることを特徴とする請求項1に記載の発電用磁歪材料。
  10. 準静的測定時の磁束密度の変化ΔBに対する、振動周波数150Hzの動的測定時の磁束密度の変化ΔBの比率が95%以上であることを特徴とする請求項1に記載の発電用磁歪材料。
  11. 準静的測定時の磁束密度の変化ΔBに対する、振動周波数250Hzの動的測定時の磁束密度の変化ΔBの比率が90%以上であることを特徴とする請求項1に記載の発電用磁歪材料。
  12. 前記高Al領域、前記高Si領域及び前記母材がいずれも、{110}<001>方位の集合組織を有する、請求項1乃至請求項11の何れか一項に記載の発電用磁歪材料。
  13. 請求項1乃至請求項11の何れか一項に記載の発電用磁歪材料を含む磁歪部と、
    前記磁歪部を振動可能な状態で支持する支持部と、
    前記磁歪部にバイアス磁界を印加するバイアス磁石と、
    前記磁歪部に離間して配置された誘導コイルと、を備えた磁歪式振動発電デバイス。
  14. 前記発電用磁歪材料における高Al領域、高Si領域及び母材がいずれも、{110}<001>方位の集合組織を有する、請求項13に記載の磁歪式振動発電デバイス。
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