JP2014091072A - 排ガス浄化用触媒及びその製造方法 - Google Patents

排ガス浄化用触媒及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】Au及びCoを含有する新規の排ガス浄化用触媒及びその製造方法を提供する。
【解決手段】触媒担体にAuとCo34からなりかつ0nm超100nm以下の平均粒径を有するAu−Co34ナノ粒子を複数担持してなることを特徴とする排ガス浄化用触媒が提供される。Au塩、Co塩、溶媒、及び無機還元剤を含む混合溶液を提供する工程、前記混合溶液をAuとCoを還元するのに十分な温度において加熱することにより、AuとCoからなる二元金属粒子を生成する加熱工程、並びに生成した二元金属粒子を含む溶液中に触媒担体を導入して乾燥した後、酸化性雰囲気中で熱処理する酸化工程を含むことを特徴とする排ガス浄化用触媒の製造方法がさらに提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、排ガス浄化用触媒及びその製造方法、より詳しくはAuとCoを含有するナノ粒子を含む排ガス浄化用触媒及びその製造方法に関する。
ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の自動車の内燃機関から排出される排ガス中には、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)及び窒素酸化物(NOx)等の有害成分が含まれている。このため、一般的には、車両にこれらの有害成分を分解除去するための排ガス浄化装置が設けられており、当該排ガス浄化装置内に配備された排ガス浄化用触媒によってこれらの有害成分が無害化されている。従来、このような排ガス浄化用触媒としては、排ガス中のCO及びHCの酸化とNOxの還元とを同時に行う三元触媒が用いられており、具体的には、アルミナ(Al23)等の多孔質酸化物担体に、貴金属、特には白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)等の白金族元素を担持させたものが広く知られている。
しかしながら、これらの白金族元素は、産出される地域が少なく、その産出が南アフリカやロシア等の特定の地域に偏っていることから、非常に高価な希少金属である。また、これらの白金族元素は、自動車の排ガス規制の強化とともに使用量が増加しており、それゆえ資源の枯渇が懸念されている。このため、白金族元素の使用量を減らすとともに、将来的には、当該白金族元素の役割を他の金属等で代替することが必要とされている。そこで、白金族元素の使用量を減らすための又はそれに代わる触媒成分について多くの研究が行われている。
特許文献1では、Ru、Rh、Pd、Ag、Ir、Pt及びAuから選ばれる少なくとも一種以上の貴金属Aと、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びZnから選ばれる少なくとも一種以上の遷移金属化合物Bとを同一多孔質担体上に担持してなり、一部又は全ての前記貴金属Aと前記遷移金属化合物Bとが複合物を形成していることを特徴とする排ガス浄化用触媒が記載されている。また、特許文献1では、遷移金属化合物Bが単純酸化物、複合酸化物及び合金の状態であり、一部が金属状態(0価)であってもよい旨が記載され、さらに貴金属Aと遷移金属化合物Bの複合物として、例えば、PtとCoの組み合わせが具体的に開示されている。さらにまた、特許文献1では、上記の排ガス浄化用触媒によれば、遷移金属化合物Bが触媒活性を発現するため、高価な貴金属A量を減らしても高い触媒活性を維持することができると記載されている。
特許文献2では、貴金属と、一部又は全てが前記貴金属と複合物を形成する遷移金属化合物と、前記複合物と接触し、電気陰性度が1.5以下である第三成分元素と、前記貴金属、前記遷移金属化合物及び前記第三成分元素を担持し、かつ、一部又は全てが前記第三成分元素と複合酸化物を形成する多孔質担体とを有することを特徴とする排ガス浄化用触媒が記載されている。また、特許文献2では、遷移金属化合物は一部が金属状態(0価)であってもよく、一部又は全部が単純酸化物、複合酸化物及び合金の状態であってもよい旨が記載され、さらに貴金属と遷移金属化合物の複合物として、例えば、PtとCoの組み合わせが具体的に開示されている。さらにまた、特許文献2では、上記の排ガス浄化用触媒によれば、遷移金属化合物が触媒活性を発現するため、触媒活性が向上し、貴金属の使用量を減らすことができると記載されている。
特許文献3では、金及び還元性遷移金属酸化物から形成される微細なクラスターを含有する活性錯体と、セリウム及びチタンの酸化物からなる多孔性支持体とを含む一酸化炭素及び炭化水素の酸化、亜酸化窒素の還元並びにオゾンの分解を同時に行う金触媒が記載されている。また、特許文献3では、上記の還元性遷移金属酸化物としてCo23が具体的に開示されている。さらに、特許文献3では、上記の金触媒によれば、低温及び高温において亜酸化窒素の還元と一酸化炭素及び炭化水素の酸化とを同時に行うことができる旨記載されている。
上で挙げた先行技術文献において触媒成分として提案されているAu(金)は、例えば、約10nm以下の平均粒径を有する粒子の形態においてチタニア(TiO2)等の特定の担体上に担持することで、COの酸化反応に対して活性を示すことが知られている(例えば、非特許文献1等を参照)。しかしながら、Auの融点は約1000℃であって金属元素の中では比較的低く、また0価のメタル状態が安定な元素であることから担体との相互作用も小さい。したがって、Auは300℃以上の比較的低い温度下においても、担体上で粒成長しやすいという問題がある。そして、このようにして粒成長したAu粒子は、もはや排ガスとの高い接触面積を維持することができなくなり、結果として排ガス浄化用触媒の排ガス浄化活性、特にはCO及びHCの酸化活性が大きく低下してしまう。
一方で、上で挙げた先行技術文献において触媒成分又は助触媒成分として提案されているCo(コバルト)は、酸化物の形態、特には四酸化三コバルト(Co34)の形態において、比較的低い温度域からCOの酸化反応に対して活性を示すことが知られている。例えば、非特許文献2では、Co34をナノロッド状にすることで、−77℃の低温下においてCOを完全に酸化できることが記載されている。しかしながら、このCo34は、還元雰囲気下にさらされるとCo(メタル)やCoO等に還元され、その結果として酸化活性が大きく低下してしまうという問題がある。
特開2005−185959号公報 特開2006−043634号公報 特表2001−524030号公報
M.Haruta and M.Date,「Advances in the catalysis of Au nanoparticles」,Applied Catalysis A: General 222(2001)427−437 X.Xie,Y.Li,Z.−Q.Liu,M.Haruta and W.Shen,「Low−temperature oxidation of CO catalysed by Co3O4 nanorods」,Nature,2009,458,746−749
そこで、本発明は、Au及びCoを含有する新規の排ガス浄化用触媒であって、排ガスの浄化活性、特にはCO等の酸化活性が改善された排ガス浄化用触媒及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は下記にある。
(1)触媒担体にAuとCo34からなりかつ0nm超100nm以下の平均粒径を有するAu−Co34ナノ粒子を複数担持してなることを特徴とする、排ガス浄化用触媒。
(2)前記Au−Co34ナノ粒子の平均粒径が0nm超20nm以下であることを特徴とする、上記(1)に記載の排ガス浄化用触媒。
(3)前記Au−Co34ナノ粒子の平均粒径が0nm超10nm以下であることを特徴とする、上記(2)に記載の排ガス浄化用触媒。
(4)前記Au−Co34ナノ粒子中のCo/Au比(原子比)が0超9.9以下であることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の排ガス浄化用触媒。
(5)前記Au−Co34ナノ粒子中のCo/Au比(原子比)が1.0以上9.5以下であることを特徴とする、上記(4)に記載の排ガス浄化用触媒。
(6)前記Au−Co34ナノ粒子中のCo/Au比(原子比)が2.0以上9.5以下であることを特徴とする、上記(5)に記載の排ガス浄化用触媒。
(7)前記Au−Co34ナノ粒子中のCo/Au比(原子比)が3.0以上9.0以下であることを特徴とする、上記(6)に記載の排ガス浄化用触媒。
(8)前記排ガス浄化用触媒をエネルギー分散型X線分析装置付走査透過型電子顕微鏡(STEM−EDX)を用いて電子線のスポット径が1nm以下の条件下で分析したときに、無作為に選択した10個以上の金属粒子に関する測定点のうち70%以上の測定点においてAuとCoの両方の元素が検出されることを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の排ガス浄化用触媒。
(9)Au塩、Co塩、溶媒、及び無機還元剤を含む混合溶液を提供する工程、
前記混合溶液をAuとCoを還元するのに十分な温度において加熱することにより、AuとCoからなる二元金属粒子を生成する加熱工程、並びに
生成した二元金属粒子を含む溶液中に触媒担体を導入して乾燥した後、酸化性雰囲気中で熱処理する酸化工程
を含むことを特徴とする、上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
(10)前記加熱工程が90℃以上250℃以下の温度で実施されることを特徴とする、上記(9)に記載の方法。
(11)前記加熱工程が100℃超200℃以下の温度で実施されることを特徴とする、上記(10)に記載の方法。
(12)前記溶媒が、テトラエチレングリコール、エチレングリコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、グリセリン、プロピレングリコール、イソアミルアルコール、n−アミルアルコール、アリルアルコール、2−エトキシアルコール、1,2−ヘキサデカンジオール、ジメチルホルムアミド、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする、上記(9)〜(11)のいずれか1つに記載の方法。
(13)前記無機還元剤が、水素化ホウ素ナトリウム、アンモニアボラン、ヒドラジン、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする、上記(9)〜(12)のいずれか1つに記載の方法。
(14)前記無機還元剤が水素化ホウ素ナトリウムであることを特徴とする、上記(13)に記載の方法。
(15)前記混合溶液が保護剤をさらに含むことを特徴とする、上記(9)〜(14)のいずれか1つに記載の方法。
(16)前記酸化工程の後に還元工程及び酸化工程をさらに含むことを特徴とする、上記(9)〜(15)のいずれか1つに記載の方法。
本発明によれば、AuとCo34がナノレベルで共存したAu−Co34ナノ粒子を含む排ガス浄化用触媒を得ることができる。また、このような排ガス浄化用触媒によれば、AuだけでなくCo34も高い酸化活性を有するため、これら両方の触媒成分によって非常に高い排ガス浄化活性、特にはCO及びHCの酸化活性、例えば300℃以下、特には200℃又は100℃以下の低温領域におけるCO酸化活性を顕著に改善することが可能である。さらに、本発明の排ガス浄化用触媒によれば、AuとCo34をナノレベルで共存させることで、Au単独の金属粒子を含む排ガス浄化用触媒や、従来公知のいわゆる共含浸法等によってこれらの成分を触媒担体に担持した排ガス浄化用触媒等と比較して、Auの粒成長を顕著に抑制してAu粒子をナノレベルの非常に微細な粒子サイズに保持することが可能である。その結果として、本発明の排ガス浄化用触媒では、例えば、還元雰囲気にさらされてCo34がCoO等の比較的酸化活性の低い種に還元された場合においても、このような微細なAu粒子によって安定して高い排ガス浄化活性、特には低温領域におけるCO及びHCの酸化活性を維持することが可能である。
本発明の排ガス浄化用触媒を模式的に示した図である。 本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法を模式的に示した図である。 (a)は実施例3の排ガス浄化用触媒の走査透過型電子顕微鏡(STEM)による写真を示し、(b)及び(c)はその拡大写真を示す。 (a)は実施例4の排ガス浄化用触媒のSTEMによる写真を示し、(b)及び(c)はその拡大写真を示す。 (a)は比較例4の排ガス浄化用触媒のSTEMによる写真を示し、(b)はその拡大写真を示す。 実施例3の排ガス浄化用触媒のエネルギー分散型X線分析装置付走査透過型電子顕微鏡(STEM−EDX)による分析結果を示す。 実施例4の排ガス浄化用触媒のSTEM−EDXによる分析結果を示す。 実施例4並びに比較例2及び4の各排ガス浄化用触媒に関するX線回折パターンを示す図である。 実施例1〜4及び比較例1〜4の各排ガス浄化用触媒に関するCO浄化率(%)を示すグラフである。 還元前処理後の実施例1〜4及び比較例1〜4の各排ガス浄化用触媒に関するCO浄化率(%)を示すグラフである。 還元前処理後の実施例4及び比較例2の各排ガス浄化用触媒に関するX線回折パターンを示す図である。
本発明の排ガス浄化用触媒は、触媒担体にAuとCo34からなりかつ0nm超100nm以下の平均粒径を有するAu−Co34ナノ粒子を複数担持してなることを特徴としている。
先に記載したとおり、Au等の金属元素は、担体との相互作用が小さいことから、比較的低い温度下においても当該担体上で粒成長しやすく、結果として排ガスの浄化、特にはCO及びHC等の酸化浄化に対して十分な触媒活性を達成することができないという問題がある。
そこで、本発明者らは、それ自体が排ガスの浄化、特にはCO等の酸化浄化に対して活性を有する四酸化三コバルト(Co34)に着目して検討を行い、それをAuとナノレベルで共存させることにより、Au単独の金属粒子や、従来公知のいわゆる共含浸法等によってこれらの成分を触媒担体に担持したものと比較して、当該Auを微細な粒子サイズに保持することができ、すなわち当該Auの粒成長を顕著に抑制することができることを見出した。
また、本発明者らは、AuとCo34がナノレベルで共存した0nm超100nm以下の平均粒径を有するAu−Co34ナノ粒子を触媒担体に担持することで、排ガスの浄化活性、特にはCO及びHCの酸化活性、例えば300℃以下、特には200℃又は100℃以下の低温領域におけるCO酸化活性が顕著に改善された排ガス浄化用触媒が得られることをさらに見出した。
Au−Co34ナノ粒子の平均粒径が100nmよりも大きくなると、AuとCo34がナノレベルで共存した粒子を形成できなくなり、結果として、Co34によるAuの粒成長抑制効果を十分に得ることができない場合がある。また、AuとCo34からなる粒子がこのような大きな平均粒径を有する場合には、当該粒子の表面積が小さくなってAu及び/又はCo34の活性点数が少なくなり、最終的に得られる排ガス浄化用触媒について十分な排ガス浄化活性、特には酸化活性を達成できない場合がある。したがって、本発明の排ガス浄化用触媒においては、Au−Co34ナノ粒子は、0nm超100nm以下の平均粒径を有し、好ましくは0nm超90nm以下、0nm超80nm以下、0nm超70nm以下、0nm超60nm以下、0nm超50nm以下、0nm超40nm以下、0nm超30nm以下、0nm超20nm以下、0nm超15nm以下、0nm超10nm以下、又は0nm超5nm以下の平均粒径を有する。このような平均粒径を有するAu−Co34ナノ粒子を触媒成分として使用することで、AuとCo34をナノレベルで確実に共存させてCo34によるAuの粒成長抑制効果を十分に発揮させ、結果としてCO及びHCの酸化活性、特には低温領域におけるCO酸化活性が顕著に改善された排ガス浄化用触媒を得ることができる。
なお、本発明において「平均粒径」とは、特に断りのない限り、透過型電子顕微鏡(TEM)及び走査型電子顕微鏡(SEM)等の電子顕微鏡を用いて、無作為に選択した100個以上の粒子の定方向径(Feret径)を測定した場合のそれらの測定値の算術平均値を言うものである。
何ら特定の理論に束縛されることを意図するものではないが、本発明の排ガス浄化用触媒においては、Au−Co34ナノ粒子中のCo34が触媒担体と結びつくことでAuの粒成長が抑制されると考えられる。具体的には、Au自体は上記のように触媒担体との相互作用が弱いことから、比較的低い温度下においても当該触媒担体上でAu粒子同士が互いに凝集して比較的容易にAuの粒成長が生じてしまう。これに対し、図1を参照して説明すると、本発明の排ガス浄化用触媒10では、Au−Co34ナノ粒子11は、Au12の周辺部にCo3413が分散したような構造を有すると考えられる。この場合には、Co3413と触媒担体14との間の相互作用に基づくいわゆるアンカー効果によってAu−Co34ナノ粒子11を触媒担体14上にしっかりと固定することができると考えられる。その結果として、比較的高い温度下においてもAu12の凝集又は粒成長が抑制され、すなわちAu12をナノレベルの非常に微細な粒子サイズに保持することができるものと考えられる。
本発明によれば、Au−Co34ナノ粒子中のCo/Au比(原子比)は、0超9.9以下であることが好ましい。
Au−Co34ナノ粒子中のCo/Au比(原子比)が0すなわちAu−Co34ナノ粒子中にCo34を全く含まない場合には、当然ながらCo34によるAuの粒成長抑制効果を得ることができない。したがって、この場合には、排ガス浄化用触媒において十分な酸化活性を達成することができない。一方で、Au−Co34ナノ粒子中のCo/Au比(原子比)が9.9よりも大きい場合には、Au−Co34ナノ粒子中のCo34の活性点数は増えるものの、Auの活性点数が極めて少なくなる。加えて、この場合には、Au−Co34ナノ粒子中に比較的多い量で存在するCo34によってAuの活性点が覆われることがあるため、最終的に得られる排ガス浄化用触媒について十分な酸化活性を達成できない場合がある。したがって、Au−Co34ナノ粒子中に含まれるAuとCo34の割合には、Co34によるAuの粒成長抑制効果、並びにAu及びCo34の活性点数等を考慮した最適値が存在するものと考えられる。
本発明によれば、Au−Co34ナノ粒子中のCo/Au比(原子比)を好ましくは0超、特には0.5以上、1.0以上、1.5以上、2.0以上、2.5以上又は3.0以上とし、かつ好ましくは9.9以下、特には9.5以下又は9.0以下とし、例えば、0超9.9以下、1.0以上9.5以下、2.0以上9.5以下、又は3.0以上9.0以下とすることで、Au及びCo34の活性点数を維持しつつ、Co34によるAuの粒成長抑制効果を十分に発揮させ、結果としてCO及びHCの酸化活性、特には低温領域におけるCO酸化活性が顕著に改善された排ガス浄化用触媒を得ることが可能である。
なお、本発明において「Au−Co34ナノ粒子中のCo/Au比(原子比)」とは、Au−Co34ナノ粒子を合成する際に導入されるAu塩及びCo塩中に含まれるAu原子数に対するCo原子数の割合を言うものである。
本発明によれば、Au−Co34ナノ粒子が担持される触媒担体としては、特に限定されないが、排ガス浄化用触媒の技術分野において一般に触媒担体として用いられる任意の金属酸化物を使用することができる。このような触媒担体としては、例えば、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO2)、セリア(CeO2)、シリカ(SiO2)、チタニア(TiO2)又はそれらの組み合わせ等が挙げられる。
本発明では、上記のAuとCo34からなるAu−Co34ナノ粒子を触媒担体に複数担持してなる排ガス浄化用触媒の製造方法がさらに提供される。
複数の金属元素又は金属化合物を触媒担体に担持してなる排ガス浄化用触媒を製造する方法としては、例えば、各金属元素をそれらの塩を含む混合溶液を用いて触媒担体に単に含浸担持し、次いで乾燥及び焼成等を行ういわゆる共含浸法が一般に公知である。しかしながら、このような従来の共含浸法では、AuとCo34の特定の組み合わせにおいてそれらをナノレベルで共存させた粒子を形成することはできない。また、このような方法によって得られた排ガス浄化用触媒では、AuとCo34がそれぞれAu粒子及びCo34粒子として別々に触媒担体上に存在し、それゆえCo34によるAuの粒成長抑制効果等を得ることもできないと考えられる。実際、本発明者らによる実験では、共含浸法によってAuとCo34を触媒担体に担持した場合に、比較的大きな粒径を有するAu粒子が形成することが確認された。したがって、従来の共含浸法によってAuとCo34が触媒担体に担持された排ガス浄化用触媒では、十分な排ガス浄化活性、特には十分なCO及びHCの酸化活性を達成することはできない。
一方、特表2001−524030号公報では、いわゆる共沈法によって金と酸化コバルトを含む粒子を触媒担体に担持させる方法が開示されている。しかしながら、このような方法によっても、共含浸法の場合と同様に、AuとCo34をナノレベルで共存させたAu−Co34ナノ粒子を形成することはできない。
また、複数の金属元素及び/又は金属化合物を含有する粒子を製造する方法の1つとして、当該粒子を構成する各金属元素の塩を含む混合溶液にアルコール等の還元剤を添加し、必要に応じて加熱等を行いながら、混合溶液中に含まれる各金属元素のイオンを同時に還元し、次いで焼成等する方法が知られている。しかしながら、たとえこのような従来公知の方法をAuとCo34の特定の組み合わせに対して適用したとしても、AuとCo34がナノレベルで共存したAu−Co34ナノ粒子を製造することはできない。また、たとえこのような方法によってAuとCo34を含む粒子を製造したとしても、これらの成分がナノレベルで共存していなければ、AuとCo34を組み合わせたことによる特有の効果、すなわちCo34によってAuの粒成長を抑制してAu粒子をナノレベルの非常に微細な粒子サイズに保持するという特有の効果を得ることもできない。
本発明者らは、Au塩とCo塩を含む混合溶液に、還元剤として従来のアルコール等の有機還元剤ではなく、水素化ホウ素ナトリウム等の無機還元剤を添加し、そしてAuとCoを還元するのに十分な温度において加熱することにより、AuとCoがナノレベルで共存した二元金属粒子を生成できることを見出した。さらに、本発明者らは、生成したAuとCoからなる二元金属粒子を含む溶液中に触媒担体を導入して乾燥した後、酸化性雰囲気中で熱処理することにより、AuとCo34がナノレベルで共存したAu−Co34ナノ粒子、特にはAuとCo34からなりかつ0nm超100nm以下の平均粒径を有するAu−Co34ナノ粒子を得ることができることをさらに見出した。
図2は、本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法を模式的に示した図である。図2を参照すると、例えば、まず、Au塩とCo塩が1つ又は複数の溶媒中に溶解され、Au3+イオン15とCo2+イオン16、さらには後で説明するポリビニルピロリドン(PVP)等の任意選択の保護剤17を含む混合溶液が調製される。そして、Au3+イオン15及びCo2+イオン16と任意選択の保護剤17によって錯体(図示せず)が形成される。次いで、還元剤として水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)等の無機還元剤が添加され、AuとCoを還元するのに十分な温度において加熱される。このようにすることで、混合溶液中に溶解しているAu3+イオン15とCo2+イオン16の両イオンを同時に還元することができ、結果として、AuとCoがナノレベルで共存したAu−Co二元金属粒子18を得ることができる。
次に、上記のようにして合成したAu−Co二元金属粒子18を含む溶液に金属酸化物等からなる触媒担体14を導入して乾燥した後、酸化性雰囲気中、例えば空気中で熱処理が行われる。このように無機還元剤を用いてAuとCoを一旦メタルの状態に還元してAu−Co二元金属粒子18を形成した後、それを酸化性雰囲気中で熱処理することにより安定なAuは酸化されずにCoのみが酸化される。そして、その際、CoはCo3413として粒子表面、すなわちAu12の周辺部に析出し、最終的にAu−Co34ナノ粒子11が形成されると考えられる。ここで、形成されたAu−Co34ナノ粒子11は、表面に析出したCo3413がアンカーとなって触媒担体14上にしっかりと固定され、その結果として、Au12がナノレベルの非常に微細な粒子サイズに保持された本発明の排ガス浄化用触媒10が得られる。
本発明の方法によれば、Au塩及びCo塩としては、特に限定されないが、例えば、塩化物、酢酸塩、硝酸塩等を使用することができる。
また、上記のAu塩とCo塩を含む混合溶液において用いられる溶媒としては、これらの金属塩を溶解させることができ、かつ本発明の方法の加熱工程における加熱温度よりも高い沸点を有する任意の溶媒を使用することができる。好ましくは、このような溶媒としては、テトラエチレングリコール、エチレングリコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、グリセリン、プロピレングリコール、イソアミルアルコール、n−アミルアルコール、アリルアルコール、2−エトキシアルコール、1,2−ヘキサデカンジオール、ジメチルホルムアミド、又はそれらの組み合わせを使用することができる。なお、これらの溶媒は、後で説明する保護剤と同様の効果を有する場合がある。例えば、本発明の方法における溶媒としてテトラエチレングリコール等を使用した場合には、単にAu塩及びCo塩を溶解させるだけでなく、本発明の方法の加熱工程において生成される二元金属粒子を安定化させることもできると考えられる。
本発明の方法では、Au塩とCo塩は、最終的に得られるAu−Co34ナノ粒子中の所望のCo/Au比(原子比)に対応した量において上記の溶媒中に適宜添加すればよい。特に限定されないが、一般的には、Au塩とCo塩は、最終的に得られるAu−Co34ナノ粒子中のCo/Au比(原子比)が0超9.9以下、好ましくは1.0以上9.5以下、より好ましくは2.0以上9.5以下、最も好ましくは3.0以上9.0以下となるような量において上記の溶媒中に添加することができる。
本発明の方法によれば、上記のAu塩とCo塩を含む混合溶液に添加される無機還元剤としては、特に限定されないが、例えば、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、アンモニアボラン(NH3BH3)等のホウ素系還元剤、ヒドラジン(N24)、又はそれらの組み合わせを使用することができ、好ましくは水素化ホウ素ナトリウムを使用することができる。このような無機還元剤は、混合溶液中に溶解しているAuイオンとCoイオンを還元してAuとCoがナノレベルで共存した二元金属粒子を形成するのに十分な量において添加すればよい。
何ら特定の理論に束縛されることを意図するものではないが、本発明の方法において、例えば、還元剤としてホウ素系還元剤やヒドラジンのような無機還元剤ではなく、アルコール等の比較的弱い有機還元剤を使用した場合には、Coイオンに比べて還元されやすいAuイオンが優先的に還元されて粒成長すると考えられる。その結果として、AuとCoの相が分離し、Au粒子とCo粒子がそれぞれ生成してしまうものと考えられる。これに対し、ホウ素系還元剤やヒドラジンのような無機還元剤はその還元力がアルコール等の有機還元剤に比べて非常に強いことが知られている。したがって、本発明の方法によれば、還元剤としてこれらの無機還元剤を使用することで、アルコール等の有機還元剤を使用した場合のようにCoイオンに対してAuイオンが優先的に還元されるということなく、混合溶液中に溶解しているCoイオンとAuイオンの両イオンを同時に還元することができると考えられる。その結果として、本発明の方法によれば、加熱工程においてAuとCoがナノレベルで共存した二元金属粒子、特にはAuとCoが原子レベルで混合した二元金属粒子を得ることができると考えられる。
さらに、本発明の方法では、当該方法の加熱工程において生成する二元金属粒子の表面に配位又は吸着して二元金属粒子同士の凝集や粒成長を抑制しかつ安定化させる目的で、Au塩及びCo塩を含む混合溶液に保護剤を任意選択で添加してもよい。このような保護剤としては、特に限定されないが、配位性の物質でありかつAu元素及びCo元素のいずれにも配位能を有する物質であることが好ましい。本発明の方法で用いることのできる保護剤としては、例えば、親水性高分子等の高分子化合物や両親媒性分子が挙げられる。
親水性高分子としては、ポリビニルアルコール(PVA)等の水酸基含有化合物、ポリビニルピロリドン(以下、PVPと略す)等の環状アミド含有化合物、環状イミド含有化合物、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(アクリル酸ナトリウム)、ポリ(アクリル酸カリウム)、ポリアクリル酸部分水和物架橋体、アクリル酸・イタコン酸アミド共重合体等のカルボキシル基含有化合物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物等のカルボン酸エステル化合物、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド部分加水分解物、ポリアクリルアミド部分加水分解物のアミド基含有化合物、アクリロニトリル共重合体等のニトリル基含有化合物、ポリビニルピリジン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン、ポリアミン、N−(3−アミノプロピル)ジエタノールアミン、ポリアミノ酸、ポリリン酸、ヘテロポリ酸等の水溶性若しくは親水性の高分子及びこれらの共重合体、又はシクロデキストリン、アミノペクチン、メチルセルロース、ゼラチンなどの天然物等が挙げられる。これらの中でも、PVPを用いることが好ましい。
両親媒性分子としては、溶質分子が親水性基と親油基とを有すればよく、ステアリン酸ナトリウム等の高級脂肪酸アルカリ塩、ドデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ドデシルスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸塩、エチルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩等の陰イオン界面活性剤、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミドの高級アミンハロゲン酸塩、ヨウ化メチルピリジニウム等のハロゲン化アルキルピリジニウム、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム等のテトラアンモニウム塩等の陽イオン活性剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウレート等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン活性剤、アミノ酸等の両性表面活性剤等が挙げられる。上記の保護剤を本発明の方法においてAu塩、Co塩、溶媒、及び無機還元剤を含む混合溶液に添加することで、得られる二元金属粒子の大きさをより確実にナノメートルサイズに制御することが可能である。
本発明の方法では、Au塩、Co塩、無機還元剤、及び任意選択の保護剤の混合順序は、特には限定されず、これらは任意の順序で混合することができる。例えば、Au塩とCo塩を含む溶液に任意選択の保護剤を加えた後、無機還元剤を加えてもよいし、あるいはまた、任意選択の保護剤に無機還元剤を加えた後、この混合溶液にAu塩とCo塩を含む溶液を加えてもよい。
本発明の方法によれば、Au塩、Co塩、溶媒、無機還元剤、及び任意選択の保護剤を含む混合溶液が、加熱工程においてAuとCoを還元するのに十分な温度、特には90℃以上250℃以下、好ましくは100℃超250℃以下、より好ましくは100℃超200℃以下の温度において加熱される。なお、このような加熱工程は、使用される無機還元剤の種類や加熱温度に応じて適切な時間にわたり実施すればよく、特に限定されないが、一般的には、上記の温度において15分〜5時間、特には30分〜3時間実施することができる。しかしながら、先に記載したとおり、AuイオンはCoイオンに比べて非常に還元されやすい元素であるため、無機還元剤との混合前にAu塩を含む溶液を予め加熱することは好ましくない。したがって、AuイオンがCoイオンに対して優先的に還元されて粒成長することを防ぐために、例えば、Au塩及びCo塩を含む溶液を室温等の低温下において無機還元剤と混合した後、当該混合溶液を加熱することが好ましい。
なお、本発明の方法において無機還元剤として水素化ホウ素ナトリウムやアンモニアボラン等のホウ素系還元剤を使用した場合、本発明の方法の加熱工程において生成されたAuとCoからなる二元金属粒子を含む溶液中には当該ホウ素系還元剤が残留している。このホウ素系還元剤は、その後の酸化工程における乾燥及び酸化性雰囲気での熱処理によっては十分に分解除去することができない。したがって、ホウ素系還元剤を用いてAuイオンとCoイオンを同時還元した後、これを多量のアセトン等を用いて精製処理することが好ましい。これにより残留するホウ素系還元剤をアセトン相に抽出することができるので、得られた二元金属粒子を容易に精製することが可能である。
一方で、本発明の方法において無機還元剤としてヒドラジン等を使用した場合には、ヒドラジンは、その後の酸化工程における乾燥及び酸化性雰囲気での熱処理によって容易に分解除去することができる。したがって、本発明の方法において、無機還元剤としてヒドラジン等を使用した場合には、水素化ホウ素ナトリウムやアンモニアボランなどのホウ素系還元剤を使用した場合と比較して、酸化工程の前に無機還元剤を取り除くための精製処理等の追加の工程を必要としないため、工程がより簡単である。
本発明の方法によれば、上記の加熱工程において生成されたAuとCoからなる二元金属粒子は、次の酸化工程において酸化性雰囲気中で熱処理され、Au−Co34ナノ粒子として触媒担体上に担持される。ここで、当該酸化工程において導入される触媒担体としては、特に限定されないが、排ガス浄化用触媒の技術分野において一般に触媒担体として用いられる任意の金属酸化物を使用することができる。このような触媒担体としては、先に述べたとおり、例えば、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO2)、セリア(CeO2)、シリカ(SiO2)、チタニア(TiO2)又はそれらの組み合わせ等が挙げられる。
なお、酸化工程においては、先の加熱工程で合成したAuとCoからなる二元金属粒子を含む溶液を、例えば、所定量の溶液に分散させた金属酸化物(触媒担体)の粉末に、Au及び/又はCoの量(金属換算担持量)が当該触媒担体に対して一般的に0.01〜10wt%の範囲になるような量において添加する。次いで、これを所定の温度及び時間、特には金属塩の塩部分や、任意選択の保護剤等、さらには場合により無機還元剤を分解除去しかつ二元金属粒子中のCoをCo34に酸化するのに十分な温度及び時間において乾燥及び熱処理することにより、Au−Co34ナノ粒子を触媒担体に複数担持してなる排ガス浄化用触媒を得ることができる。一般的には、上記の乾燥は、減圧下又は常圧下において約80℃〜約250℃の温度で約1時間〜約24時間にわたって実施することができ、一方で、上記の熱処理は、酸化性雰囲気中、例えば空気中において約300℃〜約800℃の温度で約30分間〜約10時間にわたって実施することができる。
本発明の方法によれば、AuとCoからなるAu−Co34ナノ粒子であって、0nm超100nm以下、特には0nm超20nm以下、0nm超10nm以下又は0nm超5nm以下の平均粒径を有するAu−Co34ナノ粒子が担持された排ガス浄化用触媒を得ることができる。しかも、当該Au−Co34ナノ粒子は、AuとCo34がナノレベルで共存しており、例えば、排ガス浄化用触媒をエネルギー分散型X線分析装置付走査透過型電子顕微鏡(STEM−EDX)を用いて電子線のスポット径が1nm以下の条件下で分析したときに、無作為に選択した10個以上の金属粒子に関する測定点のうち過半数の測定点においてAuとCoの両方の元素が検出され、好ましくは無作為に選択した10個以上の金属粒子に関する測定点のうち70%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上の測定点においてAuとCoの両方の元素が検出されるようなものである。したがって、本発明の方法によって得られた排ガス浄化用触媒によれば、Co34によるAuの粒成長抑制効果を十分に発揮させ、結果として顕著に改善された排ガス浄化性能、特には顕著に改善されたCO及びHC酸化能を達成することが可能である。
また、本発明の方法においては、上記酸化工程の後に任意選択で追加の還元工程及び酸化工程をさらに実施してもよい。先の酸化工程において金属塩の塩部分や、任意選択の保護剤等が十分に分解除去されたAu−Co34ナノ粒子を追加の還元工程において一旦完全にメタルの状態に還元した後、さらなる酸化工程において熱処理することでより均一なAu−Co34ナノ粒子を形成することが可能である。なお、このような還元処理は、当業者に公知の任意の方法によって行うことができる。例えば、本発明の方法によって得られた排ガス浄化用触媒の粉末を還元性雰囲気中、特には水素含有雰囲気中300〜800℃の温度で5分〜1時間にわたり実施することができる。一方で、追加の酸化工程は、先の酸化工程と同様の条件において実施することができるか又はそれよりも低い温度及び短い時間において実施することが可能である。また、このような追加の還元工程及び酸化工程は、本発明の方法によって得られた排ガス浄化用触媒の粉末を所定のバインダ等を加えてコージェライト製ハニカム基材等の触媒基材上に塗布した後に実施するようにしてもよい。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例では、Au−Co34ナノ粒子を触媒成分として含む排ガス浄化用触媒を調製し、その特性及びCO酸化活性について調べた。
[実施例1]
[Au−Co二元金属粒子(Co/Au比(原子比)=0.33)の合成]
まず、300mLのビーカーに溶媒としてのテトラエチレングリコールを120mL入れ、そこに保護剤としてのポリビニルピロリドン(PVP K−25、平均分子量35000)7.5g(67.5mmol)と酢酸コバルト(II)四水和物(Co(CH3COO)2・4H2O)0.42g(1.69mmol)を加えて、溶液の温度を80℃に加熱し、超音波をかけながらこれらを溶解させた。次いで、この溶液を室温まで冷却した後、当該溶液にテトラエチレングリコール40mLに溶解させた30wt%塩化金酸(HAuCl4)水溶液3.28g(5.06mmol)を加えた。次いで、得られた溶液を当該溶液中の酸素を追い出してAuとCoが還元されやすい条件にするために窒素で10分間バブリングした後、当該溶液にテトラエチレングリコール40mLに溶解させた無機還元剤としての水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)1.02g(27mmol)を加えて室温で30分間攪拌した。次いで、得られた混合溶液をオイルバスを用いて160℃に加熱し、この温度で1時間保持して攪拌し、AuとCoを還元した後、室温まで冷却した。
次に、得られた溶液を3Lのビーカーに移し、アセトンで10倍に希釈した。次いで、この希釈溶液を遠心分離機(3000rpm)で10分間処理することにより生成物を沈殿させた。次いで、上澄み液を廃棄して、残留する水素化ホウ素ナトリウムを除去した。最後に、得られた黒色沈殿物に80mLのエタノールを加えて当該黒色沈殿物をエタノール中に再分散させ、Co/Au比(原子比)が0.33のAu−Co二元金属粒子を含む分散液を得た。
[Au−Co34/SiO2(Co/Au比(原子比)=0.33)の調製]
次に、上で得られたAu−Co二元金属粒子(Co/Au比(原子比)=0.33)を含む分散液にAuとCoの合計担持量(金属換算担持量)が触媒担体に対して5wt%となるようにシリカ(ナノテックSiO2)21.9gを加えた後、約100℃に加熱することにより分散媒を除去した。次いで、120℃で8時間乾燥した後、これを乳鉢で粉砕し、得られた粉末を空気中500℃で2時間焼成した。次いで、得られた粉末を196MPaの圧力で圧粉成型した後、ふるいにかけて1.0〜1.7mmのペレット状の触媒を得た。本実施例では、さらに、得られた触媒2gを流通型反応炉に入れ、1vol%H2/N2バランスからなる還元性ガスの流通下において600℃で15分間にわたり還元処理を行った後、10%O2/N2バランスからなる酸化性ガスの流通下において600℃で30分間にわたり酸化処理することで、Au−Co34/SiO2(Co/Au比(原子比)=0.33)からなる排ガス浄化用触媒を得た。
[実施例2]
[Au−Co34/SiO2(Co/Au比(原子比)=1.0)の調製]
酢酸コバルト(II)四水和物の量を0.84g(3.38mmol)に変更し、さらに30wt%塩化金酸水溶液の量を2.19g(3.38mmol)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、Co/Au比(原子比)が1.0のAu−Co二元金属粒子を含む分散液を得た。次いで、シリカの量を17.3gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、Au−Co/SiO2(Co/Au比(原子比)=1.0)からなる排ガス浄化用触媒を得た。
[実施例3]
[Au−Co34/SiO2(Co/Au比(原子比)=3.0)の調製]
酢酸コバルト(II)四水和物の量を1.27g(5.10mmol)に変更し、さらに30wt%塩化金酸水溶液の量を1.07g(1.65mmol)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、Co/Au比(原子比)が3.0のAu−Co二元金属粒子を含む分散液を得た。次いで、シリカの量を12.5gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、Au−Co/SiO2(Co/Au比(原子比)=3.0)からなる排ガス浄化用触媒を得た。
[実施例4]
[Au−Co34/SiO2(Co/Au比(原子比)=9.0)の調製]
酢酸コバルト(II)四水和物の量を1.51g(6.08mmol)に変更し、さらに30wt%塩化金酸水溶液の量を0.44g(0.68mmol)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、Co/Au比(原子比)が9.0のAu−Co二元金属粒子を含む分散液を得た。次いで、シリカの量を9.85gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、Au−Co/SiO2(Co/Au比(原子比)=9.0)からなる排ガス浄化用触媒を得た。
[比較例1]
[Au/SiO2(Co/Au比(原子比)=0)の調製]
30wt%塩化金酸水溶液の量を4.37g(6.75mmol)に変更し、酢酸コバルト(II)四水和物等を加えなかったこと以外は実施例1と同様にして、Au金属粒子を含む分散液を得た。次いで、シリカの量を26.6gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、Au/SiO2(Co/Au比(原子比)=0)からなる排ガス浄化用触媒を得た。
[比較例2]
[Co34/SiO2の調製]
酢酸コバルト(II)四水和物の量を1.68g(6.75mmol)に変更し、30wt%塩化金酸水溶液等を加えなかったこと以外は実施例1と同様にして、Co金属粒子を含む分散液を得た。次いで、シリカの量を7.96gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、触媒成分としてAuを含まないCo34/SiO2からなる排ガス浄化用触媒を得た。
[比較例3]
[Au/SiO2とCo/SiO2の物理混合触媒(Co/Au比(原子比)=1.0)の調製]
本比較例では、Au/SiO2とCo34/SiO2を単に物理混合することによってAu/SiO2とCo34/SiO2からなる排ガス浄化用触媒を調製した。具体的には、まず、比較例1と同様にしてAu金属粒子を含む分散液を得た。次いで、この分散液にシリカ17.5gを加えて当該シリカにAuを担持し、Auの担持量がシリカに対して7.6wt%のAu/SiO2(Co/Au比(原子比)=0)からなる触媒を得た。次に、比較例2と同様にしてCo金属粒子を含む分散液を得た。次いで、この分散液にシリカ17.3gを加え、その後は比較例2と同様にして当該シリカにCo34を担持し、Coの担持量(金属換算担持量)がシリカに対して2.4wt%のCo34/SiO2からなる触媒を得た。次いで、両触媒を17gずつ秤量し、これらを乳鉢で混合した後、実施例1等と同様にして、Au/SiO2とCo34/SiO2からなる排ガス浄化用触媒(Co/Au比(原子比)=1.0)を得た。
[比較例4]
[Au,Co34/SiO2(Co/Au比(原子比)=3.0)の調製]
本比較例では、単に従来の共含浸法によってAuとCo34をシリカに担持したAu,Co34/SiO2を調製した。具体的には、まず、300mLのビーカーに蒸留水50mLを入れ、これに塩化金酸(HAuCl4)水溶液1.41gと酢酸コバルト(II)四水和物(Co(CH3COO)2・4H2O)1.35gを加えて室温で攪拌した。これらを完全に溶解させた後、シリカ(ナノテックSiO2)15gを加えて加熱し分散媒を除去した。次いで、120℃で1時間乾燥した後、これを乳鉢で粉砕して均一な粉状にし、得られた粉末を空気中500℃で2時間焼成した。次いで、得られた粉末を196MPaの圧力で圧粉成型した後、ふるいにかけて1.0〜1.7mmのペレット状の触媒を得た。さらに、得られた触媒2gを流通型反応炉に入れ、1vol%H2/N2バランスからなる還元性ガスの流通下において600℃で15分間にわたり還元処理した後、10%O2/N2バランスからなる酸化性ガスの流通下において600℃で30分間にわたり酸化処理することで、Au,Co34/SiO2(Co/Au比(原子比)=3.0)からなる排ガス浄化用触媒を得た。
[触媒の分析]
実施例3及び4並びに比較例4において得られた各排ガス浄化用触媒について、走査透過型電子顕微鏡(STEM)(日本電子製JEM−1000、加速電圧:200kV)によってそれらの測定を行った。なお、各測定試料をエタノールで希釈し、モリブデングリッドに滴下後、乾燥させたものについて測定を行った。これらの結果を図3〜5に示す。
図3〜5は、(a)が実施例3及び4並びに比較例4の各排ガス浄化用触媒の走査透過型電子顕微鏡(STEM)による写真を示し、図3及び4の(b)及び(c)並びに図5の(b)はそれらの拡大写真を示している。
図3及び4を参照すると、実施例3のAu−Co34/SiO2(Co/Au比(原子比)=3.0)及び実施例4のAu−Co34/SiO2(Co/Au比(原子比)=9.0)では、平均粒径が明らかに10nm以下の非常に微細なナノ粒子がシリカ担体上に存在していることを確認することができる。また、図3及び4中の多くのナノ粒子においてその粒径が5nm以下であった。これとは対照的に、図5を参照すると、いわゆる共含浸法によって調製した比較例4のAu,Co34/SiO2(Co/Au比(原子比)=3.0)では、数十nmの比較的大きな粒径を有する粒子の存在が確認された。
図6及び7は、実施例3及び4の各排ガス浄化用触媒のエネルギー分散型X線分析装置付走査透過型電子顕微鏡(STEM−EDX)(日本電子製JEM−1000)による分析結果を示している。具体的には、図6(a)及び(b)は、実施例3の排ガス浄化用触媒のSTEM−EDXによる写真を示し、図6(c)は、図6(a)及び(b)中のナノ粒子に関する測定点1〜12(電子線のスポット径が1nm以下の条件下で分析したもの)及び領域13におけるAuとCoの組成比(原子%)を示している。同様に、図7(a)及び(b)は、実施例4の排ガス浄化用触媒のSTEM−EDXによる写真を示し、図7(c)は、図7(a)及び(b)中のナノ粒子に関する測定点1〜11(電子線のスポット径が1nm以下の条件下で分析したもの)及び領域12におけるAuとCoの組成比(原子%)を示している。なお、図6及び7(c)中の点線は、実施例3及び4の各排ガス浄化用触媒をICP(誘導結合プラズマ)発光分析によって分析した場合の測定値を示している。
図6(c)を参照すると、ナノ粒子に関する測定点1〜12のうち測定点1を除く11個の測定点においてAuとCoの両方の元素が検出されていることがわかる。また、測定点1〜12におけるナノ粒子中のAuとCoの組成比及びその平均値は、ICP分析値(Co/Au=69.8/30.2)及びAuとCoの仕込み比(Co/Au=3.0)と比較してAuの含有量が高くなる傾向が観測された。一方、図7(c)では、ナノ粒子に関する測定点1〜11のうち全ての測定点においてAuとCoの両方の元素が検出されたものの、測定点1〜11におけるナノ粒子中のAuとCoの組成比及びその平均値については、図6(c)と同様に、ICP分析値(Co/Au=89.1/10.9)及びAuとCoの仕込み比(Co/Au=9.0)と比較してAuの含有量が高くなる傾向が観測された。
この結果は、本発明におけるAu−Co34ナノ粒子では、AuとCo34が均一な固溶体を形成しているのではなく、主としてAuで構成される粒子の周辺部にCo34が存在していることを示唆するものであると考えられる。実際、点ではなく一定の領域においてAuとCoの組成比(原子%)を測定した場合には、その測定値は、図6(c)及び図7(c)の両方においてICP分析値とよく一致していた(図6(c)の領域13及び図7(c)の領域12のデータを参照)。
一方で、いわゆる共含浸法によって調製した比較例4のAu,Co34/SiO2(Co/Au比(原子比)=3.0)についても、同様にSTEM−EDXによる組成分析を行ったところ、図5で検出されたような数十nmの比較的大きな粒径を有する粒子は主として又は完全にAuで構成されており、それゆえ比較例4の排ガス浄化用触媒ではAuとCo34が互いに分離して存在していることが確認された。
[X線回折による触媒の分析]
実施例4並びに比較例2及び4の各排ガス浄化用触媒について、X線回折(XRD)(リガク製RINT2000)によってそれらの測定を行った。なお、具体的な測定条件は以下のとおりである。
測定方法: FT法(Fixed Time法)
X線源: CuKα
サンプリング間隔: 0.02deg.
スキャン速度: 2.4deg./min
発散スリット(DS):2/3deg.
散乱スリット(SS):2/3deg.
受光スリット(RS):0.5mm
管電圧: 50kV
管電流: 300mA
図8は、実施例4並びに比較例2及び4の各排ガス浄化用触媒に関するX線回折パターンを示す図である。なお、図8には、Au、Co、CoO及びCo34の各回折ピークに関する文献値を参考として示している。図8を参照すると、実施例4のAu−Co34/SiO2(Co/Au比(原子比)=9.0)では、AuとともにCo34に帰属される回折ピークが観察された。また、触媒成分としてAuを含まない比較例2のCo34/SiO2では、Co34に帰属されるブロードな回折ピークが観察された。一方、共含浸法によって調製した比較例4のAu,Co34/SiO2(Co/Au比(原子比)=3.0)では、AuとともにCo34に帰属される鋭い回折ピークが観察された。したがって、いずれの排ガス浄化用触媒においても、CoはCo34の形態で触媒担体上に担持されていることが確認された。また、X線回折の測定結果からも、本発明による実施例4の排ガス浄化用触媒では、共含浸法による比較例4の排ガス浄化用触媒に比べて、非常に微細なAu及びCo34が触媒担体上に担持されていることがわかった。
[触媒の活性評価]
次に、実施例1〜4及び比較例1〜4の各排ガス浄化用触媒に関し、CO−O2反応においてそれらのCO酸化活性を評価した。具体的には、上で調製した各排ガス浄化用触媒のペレット2.0gを流通式反応器にセットし、次いで、評価用モデルガス(CO:1vol%、O2:10vol%、N2バランス)を1L/分の流量で触媒床に流しながら、当該触媒床の温度を50℃から20℃/分の速度で昇温し、300℃までのCO浄化率をFT−IR分析計を用いて測定した。その結果を図9に示す。
図9は、実施例1〜4及び比較例1〜4の各排ガス浄化用触媒に関するCO浄化率(%)を示すグラフである。図9は、横軸に触媒床の温度(℃)を示し、縦軸にCO浄化率(%)を示している。図9の結果から明らかなように、Au−Co34ナノ粒子を担持した実施例1〜4の排ガス浄化用触媒では、Auのみを担持した比較例1の排ガス浄化用触媒と比較して、すべての温度において非常に高いCO酸化活性を達成することができた。中でも、Co34の割合が比較的高い実施例2〜4において特に高いCO酸化活性を達成することができた。また、Au/SiO2とCo/SiO2の物理混合触媒(Co/Au比(原子比)=1.0)である比較例3と比較しても、実施例1〜4の排ガス浄化用触媒では、特に150℃又は100℃以下の低温領域においてCO酸化活性の差異が顕著であった。これらの結果は、比較例1及び3の排ガス浄化用触媒では、Co34が存在しないか又はAuとCo34がナノレベルで共存していないためにAuが粗大な粒子として触媒担体上に担持されているのに対し、実施例1〜4の排ガス浄化用触媒では、Co34によるAuの粒成長抑制効果のためにAu粒子がナノレベルの非常に微細な粒子サイズに保持されていることに起因するものと考えられる。
一方で、触媒成分としてAuを含まない比較例2のCo34/SiO2及び共含浸法による比較例4のAu,Co34/SiO2(Co/Au比(原子比)=3.0)では、実施例2〜4と同様の高いCO酸化活性が得られた。この結果は、比較例2及び4の排ガス浄化用触媒では、それ自体が高いCO酸化活性を有するCo34が多く含まれていることに起因するものと考えられる。
次に、実施例1〜4及び比較例1〜4の各排ガス浄化用触媒に関し、予め還元前処理を施した場合のCO酸化活性について調べた。なお、還元前処理は、1%H2/N2バランスからなる還元性ガスを600℃に加熱した各排ガス浄化用触媒のペレットに1L/分の流量で10分間流通させることにより実施した。次いで、図9に関して説明したのと同様にして各排ガス浄化用触媒のCO酸化活性を評価した。その結果を図10に示す。
図10は、還元前処理後の実施例1〜4及び比較例1〜4の各排ガス浄化用触媒に関するCO浄化率(%)を示すグラフである。図10の結果から明らかなように、図9において高いCO酸化活性を示した比較例2及び4の排ガス浄化用触媒では、還元雰囲気にさらすことでそれらのCO酸化活性が大きく低下した。一方で、図9において低いCO酸化活性を示した比較例1及び3の排ガス浄化用触媒では、還元雰囲気にさらすことでそれらのCO酸化活性が大きく向上した。これは、還元雰囲気にさらすことでAuの酸化活性が向上したことに起因するものと考えられる。また、本発明による実施例1〜4の排ガス浄化用触媒では、還元雰囲気にさらした後も、十分に高いCO酸化活性を維持することができ、とりわけCo34の割合が比較的高い実施例3及び4の排ガス浄化用触媒において特に高いCO酸化活性を達成することができた。
[還元前処理後のX線回折による触媒の分析]
次に、上記の還元前処理を行った実施例4及び比較例2の各排ガス浄化用触媒について、X線回折(XRD)によってそれらの測定を行った。その結果を図11に示す。なお、具体的な測定条件は図8に関連して先に記載したとおりである。
図11は、還元前処理後の実施例4及び比較例2の各排ガス浄化用触媒に関するX線回折パターンを示す図である。なお、図11には、Au、Co、CoO及びCo34の各回折ピークに関する文献値を参考として示している。図11を参照すると、実施例4のAu−Co34/SiO2(Co/Au比(原子比)=9.0)及びCo34のみを担持した比較例2のCo34/SiO2のいずれにおいても、図8で検出されたCo34の回折ピークが消失していた。一方で、比較例2のCo34/SiO2では、CoOに帰属されるブロードな回折ピークが検出された。これらの結果は、還元雰囲気にさらすことで触媒担体上のCo34がCoO等に還元されていることを示唆するものである。そして、図10及び11の結果を考慮すると、比較例2及び4の排ガス浄化用触媒では、還元雰囲気にさらされることでこれらの触媒において主たる活性種であるCo34がCoO等に還元されて活性が大きく低下したと考えられる。これとは対照的に、本発明による実施例1〜4の排ガス浄化用触媒では、AuとCo34をナノレベルで共存させることでAu粒子がナノレベルの非常に微細な粒子サイズに保持されることから、還元雰囲気にさらされてCo34がCoO等の比較的酸化活性の低い種に還元された場合においても、このような微細なAu粒子によって十分に高い活性を維持することができたと考えられる。また、実施例1及び2の排ガス浄化用触媒に比べて、実施例3及び4の排ガス浄化用触媒においてさらに高いCO酸化活性が得られたのは、Co34の割合を多くすることで、Auの粒成長が特に顕著に抑制されたことによるものと考えられる。
10 排ガス浄化用触媒
11 Au−Co34ナノ粒子
12 Au
13 Co34
14 触媒担体

Claims (16)

  1. 触媒担体にAuとCo34からなりかつ0nm超100nm以下の平均粒径を有するAu−Co34ナノ粒子を複数担持してなることを特徴とする、排ガス浄化用触媒。
  2. 前記Au−Co34ナノ粒子の平均粒径が0nm超20nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
  3. 前記Au−Co34ナノ粒子の平均粒径が0nm超10nm以下であることを特徴とする、請求項2に記載の排ガス浄化用触媒。
  4. 前記Au−Co34ナノ粒子中のCo/Au比(原子比)が0超9.9以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  5. 前記Au−Co34ナノ粒子中のCo/Au比(原子比)が1.0以上9.5以下であることを特徴とする、請求項4に記載の排ガス浄化用触媒。
  6. 前記Au−Co34ナノ粒子中のCo/Au比(原子比)が2.0以上9.5以下であることを特徴とする、請求項5に記載の排ガス浄化用触媒。
  7. 前記Au−Co34ナノ粒子中のCo/Au比(原子比)が3.0以上9.0以下であることを特徴とする、請求項6に記載の排ガス浄化用触媒。
  8. 前記排ガス浄化用触媒をエネルギー分散型X線分析装置付走査透過型電子顕微鏡(STEM−EDX)を用いて電子線のスポット径が1nm以下の条件下で分析したときに、無作為に選択した10個以上の金属粒子に関する測定点のうち70%以上の測定点においてAuとCoの両方の元素が検出されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  9. Au塩、Co塩、溶媒、及び無機還元剤を含む混合溶液を提供する工程、
    前記混合溶液をAuとCoを還元するのに十分な温度において加熱することにより、AuとCoからなる二元金属粒子を生成する加熱工程、並びに
    生成した二元金属粒子を含む溶液中に触媒担体を導入して乾燥した後、酸化性雰囲気中で熱処理する酸化工程
    を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
  10. 前記加熱工程が90℃以上250℃以下の温度で実施されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. 前記加熱工程が100℃超200℃以下の温度で実施されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  12. 前記溶媒が、テトラエチレングリコール、エチレングリコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、グリセリン、プロピレングリコール、イソアミルアルコール、n−アミルアルコール、アリルアルコール、2−エトキシアルコール、1,2−ヘキサデカンジオール、ジメチルホルムアミド、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記無機還元剤が、水素化ホウ素ナトリウム、アンモニアボラン、ヒドラジン、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記無機還元剤が水素化ホウ素ナトリウムであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
  15. 前記混合溶液が保護剤をさらに含むことを特徴とする、請求項9〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記酸化工程の後に還元工程及び酸化工程をさらに含むことを特徴とする、請求項9〜15のいずれか1項に記載の方法。
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