JP2016083635A - 排ガス浄化用触媒の製造方法 - Google Patents

排ガス浄化用触媒の製造方法 Download PDF

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信介 樺嶋
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Abstract

【課題】ロジウムとニッケルを触媒成分として含み、より高いNOx浄化性能を有する排ガス浄化用触媒を製造することができる方法を提供する。【解決手段】ロジウムイオン及びニッケル錯イオンを含有する混合溶液に還元剤を添加して、ロジウムとニッケルの固溶体からなる二元金属粒子を生成する還元工程、並びに生成した二元金属粒子を触媒担体に担持する担持工程を含む排ガス浄化用触媒の製造方法が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、排ガス浄化用触媒の製造方法、より詳しくはロジウムとニッケルの固溶体からなる二元金属粒子を含む排ガス浄化用触媒の製造方法に関する。
従来、自動車の排ガス浄化用触媒としては、排ガス中の一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)の酸化と窒素酸化物(NOx)の還元とを同時に行う三元触媒が用いられている。このような触媒としては、アルミナ(Al23)等の多孔質酸化物担体に、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)等の白金族元素を担持させたものが広く知られている。中でも、ロジウムはNOxの還元活性が高く、三元触媒等の排ガス浄化用触媒において必須の成分となっている。
一方で、例えば、排ガス浄化用触媒の活性や選択性などを向上させることを目的として、白金族元素等の触媒金属に第2、第3の他の金属成分を添加することが数多く検討されている。
ここで、触媒金属に他の金属成分を添加した排ガス浄化用触媒を調製する方法としては、例えば、各金属元素をそれらの塩を含む混合溶液を用いて触媒担体に含浸担持するいわゆる共含浸法が一般に公知である。さらに、触媒金属に他の金属成分を添加した排ガス浄化用触媒を調製する別の方法として、複数の金属元素を含む金属粒子を合成した後に、当該金属粒子を従来の含浸法によって触媒担体に担持する方法も知られている。そして、このような複数の金属元素を含む金属粒子を合成する方法の1つとして、当該金属粒子を構成する各金属元素の塩を含む混合溶液にアルコール等の還元剤を添加し、必要に応じて加熱等を行いながら、混合溶液中に含まれる各金属元素のイオンを同時に還元する方法が知られている。
特許文献1では、アルキン化合物またはアルケン化合物を含む凝集保護剤と、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Os、Ag又はAuから選択される1種または2種以上の金属化合物(ただし、金属化合物が一種類の場合はPdを除く。)と、還元剤を反応させる金属ナノ粒子の製造方法が記載され、また、二元金属ナノ粒子としてPd−Rhナノ粒子の製造が具体的に開示されている。
特開2007−100117号公報
第2、第3の他の金属成分として使用し得る材料の1つにニッケル(Ni)がある。ニッケルは、ロジウムよりも高いNOの解離吸着能を有することが知られている。
しかしながら、ニッケル自体は、一般的にNOx還元能をほとんど示さないか又は全く示さない。このため、単に従来公知の共含浸法によってロジウムとニッケルが触媒担体上に担持された排ガス浄化用触媒を調製したとしても、ロジウム単独の金属粒子を含む触媒と比較して、より高いNOx浄化性能を達成することはできない。というのも、従来公知の共含浸法によって調製された排ガス浄化用触媒では、ロジウムとニッケルがそれぞれロジウム粒子及びニッケル粒子として別々に触媒担体上に存在するため、ニッケルによって解離吸着されたNOをロジウムによって適切に還元浄化することができないと考えられるからである。
そこで、本発明は、ロジウムとニッケルを触媒成分として含む排ガス浄化用触媒であって、より高いNOx浄化性能を有する排ガス浄化用触媒を製造することができる新規の方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は下記のとおりである。
(1)ロジウムイオン及びニッケル錯イオンを含有する混合溶液に還元剤を添加して、ロジウムとニッケルの固溶体からなる二元金属粒子を生成する還元工程、並びに
生成した二元金属粒子を触媒担体に担持する担持工程
を含むことを特徴とする、排ガス浄化用触媒の製造方法。
(2)前記混合溶液は、前記二元金属粒子中のニッケル含有量が該二元金属粒子中に含まれるロジウムとニッケルの合計モル数に対して0mol%超10mol%以下となるような量において、ロジウムイオンとニッケル錯イオンを含むことを特徴とする、上記(1)に記載の方法。
(3)前記混合溶液は、前記二元金属粒子中のニッケル含有量が該二元金属粒子中に含まれるロジウムとニッケルの合計モル数に対して2.5mol%以上7.5mol%以下となるような量において、ロジウムイオンとニッケル錯イオンを含むことを特徴とする、上記(2)に記載の方法。
(4)前記ニッケル錯イオンが、ヘキサアンミンニッケル(II)イオンであることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の方法。
(5)前記還元剤が水素化ホウ素ナトリウムであることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の方法。
(6)前記還元工程が100℃以上250℃以下の加熱下で実施されることを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の方法。
(7)前記混合溶液が保護剤をさらに含有することを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の方法。
(8)前記二元金属粒子の平均一次粒子径が0nm超10nm以下であることを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の方法。
本発明の方法によれば、従来の方法、例えば、共含浸法や、ロジウムイオンとニッケルイオンを含有する混合溶液に還元剤を添加する方法を利用して調製された触媒と比較して、NOx浄化性能、特には低温下でのNOx浄化性能が顕著に改善された排ガス浄化用触媒を得ることができる。
(a)は、還元剤を用いた従来の方法による排ガス浄化用触媒の製造を示し、(b)は、本発明の方法による排ガス浄化用触媒の製造を示している。 (a)は、従来の方法によって得られたRh−Ni二元金属粒子を示し、(b)は、本発明の方法によって得られたRh−Ni二元金属粒子を示している。 本発明の方法による排ガス浄化用触媒におけるNOx浄化反応のメカニズムを示す概念図である。 実施例1の排ガス浄化用触媒(Ni含有量5mol%)のSTEM−EDXによる分析結果を示す。 比較例2の排ガス浄化用触媒(Ni含有量5mol%)のSTEM−EDXによる分析結果を示す。 実施例1並びに比較例1及び2の排ガス浄化用触媒の触媒温度の関数としてのNOx浄化率を示すグラフである。 本発明の方法による排ガス浄化用触媒におけるNOx50%浄化温度を示すグラフである。
<排ガス浄化用触媒の製造方法>
本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法は、ロジウムイオン及びニッケル錯イオンを含有する混合溶液に還元剤を添加して、ロジウムとニッケルの固溶体からなる二元金属粒子を生成する還元工程、並びに
生成した二元金属粒子を触媒担体に担持する担持工程
を含むことを特徴としている。
先に述べたとおり、ニッケルは、ロジウムよりも高いNOの解離吸着能を有することが知られている。しかしながら、ニッケル自体は、一般的にNOx還元能をほとんど示さないか又は全く示さないため、ニッケル単独の金属粒子を含む触媒によって排ガス中のNOxを還元浄化することは一般に困難である。そこで、より高いNOx浄化性能を達成するために、高いNOx還元能を有するロジウムに当該ロジウムよりも高いNOの解離吸着能を有するニッケルを第2の金属成分として添加することが考えられ得る。しかしながら、例えば、従来公知の共含浸法等によってロジウムにニッケルを添加した排ガス浄化用触媒を調製したとしても、これらの金属同士が互いに近接して存在していなければ、十分なNOx浄化性能を達成することはできないと考えられる。なぜならば、ロジウムとニッケルが互いに近接して存在していなければ、ニッケルによって解離吸着されたNOをロジウムによって適切に還元浄化することができないからである。
これに関連して、複数の金属元素が互いに近接して存在している金属粒子、より具体的には複数の金属元素が互いに固溶している金属粒子を合成する方法の1つとして、当該金属粒子を構成する各金属元素の塩を含む混合溶液に還元剤を添加し、必要に応じて加熱等を行いながら、混合溶液中に含まれる各金属元素のイオンを同時に還元する方法が知られている。仮にこのような方法に従ってロジウムイオン及びニッケルイオンを含有する混合溶液に還元剤を添加することにより、ロジウムとニッケルの固溶体からなる二元金属粒子を合成した場合には、当該二元金属粒子はロジウムとニッケルが互いに均一に固溶した形態を有するものと考えられる。しかしながら、この場合には、固溶体の内部に存在するニッケルが排ガス中のNOの解離吸着に十分に寄与することができない可能性がある。その結果として、ロジウムとニッケルを組み合わせたことによる効果を十分に発揮できない虞がある。
本発明者は、ロジウムイオンと、ニッケルイオンに1種又は複数種の配位子が配位したニッケル錯イオンとを含有する混合溶液に還元剤を添加し、必要に応じて加熱等を行うことにより合成したロジウムとニッケルの固溶体からなる二元金属粒子を触媒担体に担持することで、従来の方法、例えば、共含浸法や、単にロジウムイオンとニッケルイオンを含有する混合溶液に還元剤を添加する方法を利用して調製された触媒と比較して、NOx浄化性能、特には低温下でのNOx浄化性能が顕著に改善された排ガス浄化用触媒を得ることができることを見出した。
本発明において「ロジウムとニッケルの固溶体」という表現は、ロジウムとニッケルの両元素が互いに溶け合い、全体として均一な固溶体を形成している状態(完全固溶状態)、及びロジウムとニッケルの両元素が完全には固溶していないが、少なくとも部分的に固溶している状態(不完全固溶状態)を包含するものである。
[還元工程]
図1は、従来及び本発明の方法による排ガス浄化用触媒の製造を模式的に示した図である。より詳しくは、図1(a)が、還元剤を用いた従来の方法による排ガス浄化用触媒の製造を示し、図1(b)が、本発明の方法による排ガス浄化用触媒の製造を示している。
図1(a)を参照すると、従来の方法では、まず、ロジウムイオン源とニッケルイオン源が1つ又は複数の溶媒中に溶解され、Rh3+イオン11とNi2+イオン12、さらには後で説明するポリビニルピロリドン(PVP)等の任意選択の保護剤13を含有する混合溶液が調製される。そして、Rh3+イオン11及びNi2+イオン12と任意選択の保護剤13とによって錯体14が形成される。
次いで、この混合溶液に還元剤が添加され、必要に応じて加熱等を行いながら、当該混合溶液中に含まれるRh3+イオン11とNi2+イオン12が同時に還元される。結果として、ロジウム15とニッケル16が互いに均一に固溶してなるRh−Ni二元金属粒子10が得られる。次に、上記のようにして合成したRh−Ni二元金属粒子10を含む溶液に金属酸化物等からなる触媒担体17を導入し、その後、乾燥及び焼成等することにより、Rh−Ni二元金属粒子10を触媒担体17に担持してなる排ガス浄化用触媒20が調製される。
一方で、図1(b)を参照すると、本発明の方法では、従来の方法とは異なり、Ni2+イオン12ではなくNi錯イオン18、例えば、Ni2+イオンに6個のアンミン配位子(NH3)が配位したヘキサアンミンニッケル(II)イオン([Ni(NH362+)が用いられ、当該Ni錯イオン18とRh3+イオン11、さらには任意選択の保護剤13を含有する混合溶液が調製される。そして、従来の方法の場合と同様に、Rh3+イオン11及びNi錯イオン18と任意選択の保護剤13とによって錯体14が形成される。
次いで、この混合溶液に還元剤が添加され、必要に応じて加熱等を行いながら、当該混合溶液中に含まれるRh3+イオン11とNi錯イオン18が還元される。ここで、Ni錯イオン18では、Ni2+イオンに配位子が配位することで酸化還元電位が卑の方向にシフトしそして安定化しているため、当該Ni錯イオン18は、Ni2+イオンの酸化還元電位よりも低い酸化還元電位を有する。したがって、本発明の方法では、従来の方法と比較して、ロジウムとニッケルの酸化還元電位の差が大きく、それゆえ還元工程の際にロジウムが比較的速く還元され、ニッケルが比較的遅く還元されることになる。
その結果として、本発明の方法によれば、図1(a)に示す従来の方法と比較して、比較的速く還元されるロジウム15が内部により多く存在し、比較的遅く還元されるニッケル16が表面により多く存在する固溶体からなるRh−Ni二元金属粒子10を合成することができると考えられる。そして、最後に、図1(a)の場合と同様に、合成したRh−Ni二元金属粒子10を含む溶液に金属酸化物等からなる触媒担体17を導入し、その後、乾燥及び焼成等することにより、Rh−Ni二元金属粒子10を触媒担体17に担持してなる排ガス浄化用触媒20を得ることができる。
何ら特定の理論に束縛されることを意図するものではないが、上記のとおり、本発明の方法によって製造された排ガス浄化用触媒では、従来の方法によって製造された触媒と比較して、触媒成分であるRh−Ni二元金属粒子10の表面にNiが多く存在すると考えられる。このため、本発明の方法によって製造された排ガス浄化用触媒によれば、従来の方法によって製造された触媒と比較して、当該Rh−Ni二元金属粒子10の表面に存在するNiによって排ガス中の多くのNOを解離吸着させることができると考えられる。しかも、本発明の方法によって製造された排ガス浄化用触媒では、Rh−Ni二元金属粒子10中のNiとRhが固溶体を形成しているため、Niによって解離吸着されたNOを当該Niに近接して存在しているRhによって確実に還元浄化することが可能となる。その結果として、本発明の方法によって製造された排ガス浄化用触媒によれば、従来の方法によって製造された触媒と比較して、顕著に改善されたNOx浄化性能を達成することができると考えられる。
理解を容易にするため、図2及び3を参照して以下により詳しく説明する。ここで、図2(a)は、従来の方法によって得られたRh−Ni二元金属粒子を示し、図2(b)は、本発明の方法によって得られたRh−Ni二元金属粒子を示している。
還元剤を用いた従来の方法では、還元工程の際にロジウムとニッケルが同時に還元されるため、図2(a)に示すように、ロジウムとニッケルが比較的均一に固溶したRh−Ni二元金属粒子10が形成される。これに対し、本発明の方法では、Ni錯イオンを使用することで還元工程の際にニッケルがより還元されにくくなる。より具体的に説明すると、Ni2+イオンの酸化還元電位は、以下に示すように−0.257Vであるのに対し、Ni2+イオンに6個のアンミン配位子(NH3)が配位したヘキサアンミンニッケル(II)イオン([Ni(NH362+)の酸化還元電位は−0.476Vとなる。
Ni2+ + 2e- ⇔ Ni E0=−0.257V
[Ni(NH362+ + 2e- ⇔ Ni + 6NH30=−0.476V
ここで、Rh3+イオンの酸化還元電位は、E0=+0.76Vであることから、本発明の方法では、従来の方法と比較して、ロジウムとニッケルの酸化還元電位の差が大きくなり、それゆえ還元工程の際にロジウムが比較的速く還元され、ニッケルが比較的遅く還元されることになる。その結果として、本発明の方法では、図2(b)に示すように、比較的速く還元されるロジウムが内部により多く存在し、比較的遅く還元されるニッケル16が表面により多く存在する固溶体からなるRh−Ni二元金属粒子10を合成することが可能となる。
図3は、本発明の方法による排ガス浄化用触媒におけるNOx浄化反応のメカニズムを示す概念図である。
図3を参照すると、本発明の方法による排ガス浄化用触媒では、Rh−Ni二元金属粒子10は、ロジウム15とニッケル16が互いに固溶しすなわちロジウム15とニッケル16が互いに近接して存在するとともに、より多くのニッケル16が表面に存在していることがわかる。この場合には、まず、排ガス中のNOは、Rh−Ni二元金属粒子10の表面に多く存在しかつより高いNO解離吸着能を有するニッケル16によって窒素(N)と酸素(O)に解離吸着される。次いで、解離吸着された酸素は、ニッケル16に近接して存在するロジウム15の作用によって排ガス中の炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等と反応して二酸化炭素(CO2)に浄化される。一方で、解離吸着した窒素は、同様にロジウム15の作用によって他の解離吸着した窒素と反応してN2になる。したがって、本発明の方法による排ガス浄化用触媒によれば、高いNOx還元能を有するロジウムと当該ロジウムよりも高いNOの解離吸着能を有するニッケルとを組み合わせた効果を十分に発揮することができるので、従来の方法によって調製された触媒と比較して、顕著に改善されたNOx浄化性能を達成することが可能となる。
[ロジウムイオン源]
ロジウムイオン源としては、特に限定されないが、例えば、ロジウムの塩化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩等を挙げることができる。本発明の方法では、還元工程において、所定量のロジウムイオン源が1つ又は複数の溶媒中に溶解され、ロジウムイオンを含有する溶液が調製される。
[ニッケル錯イオン]
本発明の方法によれば、ニッケル錯イオンとしては、ニッケルイオンに1種又は複数種の任意の配位子が配位した錯イオンを使用することが可能である。ニッケルイオンに配位子を配位させることで、Ni2+イオンの酸化還元電位よりも低い酸化還元電位を有するニッケル錯イオンが得られる。このような配位子としては、特に限定されないが、例えば、アンミン配位子(NH3)、ヒドロキソ配位子(OH-)などが挙げられる。また、ニッケル錯イオンの具体例としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサアンミンニッケル(II)イオン([Ni(NH362+)、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)などが挙げられる。
上記のニッケル錯イオンは、当業者に公知の任意の方法によって形成することができる。例えば、ヘキサアンミンニッケル(II)イオン([Ni(NH362+)の場合について具体的に説明すると、当該ヘキサアンミンニッケル(II)イオンは、市販のヘキサアンミンニッケル(II)塩化物を1つ又は複数の溶媒に溶解させることによって形成することが可能である。あるいはまた、ヘキサアンミンニッケル(II)イオンは、ニッケルの塩、例えばニッケルの硝酸塩、酢酸塩等を1つ又は複数の溶媒中に溶解してニッケルイオンを得、次いでこれにアンモニア水を添加することによって形成することも可能である。
[溶媒及び混合溶液]
ロジウムイオン及びニッケル錯イオンを含有する混合溶液において用いられる溶媒としては、任意の溶媒を使用することができ、特に限定されないが、例えば、水などの水性溶媒やアルコールなどの有機溶媒等を使用することができる。なお、本発明の方法における還元工程が、後で説明するように加熱下で実施される場合には、その加熱温度よりも高い沸点を有する溶媒を使用することが好ましい。このような溶媒としては、特に限定されないが、例えば、テトラエチレングリコール、エチレングリコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、グリセリン、プロピレングリコール、イソアミルアルコール、n−アミルアルコール、アリルアルコール、2−エトキシアルコール、1,2−ヘキサデカンジオール、ジメチルホルムアミド、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。
本発明の方法によれば、上記の混合溶液は、ロジウムとニッケルの固溶体からなる二元金属粒子中の所望のニッケル含有量に対応した量において上記の溶媒中にロジウムイオン及びニッケル錯イオンを含有する。好ましくは、当該混合溶液は、二元金属粒子中のニッケル含有量が当該二元金属粒子中に含まれるロジウムとニッケルの合計モル数に対して0mol%超12.5mol%未満となるような量においてロジウムイオン及びニッケル錯イオンを含有する。
二元金属粒子中のニッケル含有量が0mol%すなわち二元金属粒子中にニッケルを全く含まない場合には、当然ながら、ニッケルの添加による上記の効果、例えば、ニッケルによるNO解離吸着の促進効果を得ることはできない。一方で、ニッケル含有量が12mol%以上である場合には、ロジウムとニッケルが固溶体を形成することができなくなるか、又は二元金属粒子の表面上に非常により多くのニッケルが析出してしまう虞がある。このような場合には、ロジウムとニッケルがナノレベルで近接して存在していないためにロジウムとニッケルを組み合わせたことによる本発明の効果を十分に得ることができないか、あるいは二元金属粒子の表面上により多く析出したニッケルによってロジウムの活性点が覆われるために排ガス浄化用触媒のNO浄化性能を大きく低下させてしまう虞がある。したがって、二元金属粒子中に含まれるニッケル含有量には、ニッケルの添加によるNOの解離吸着能の向上、ロジウムの活性点数、及びロジウムとニッケルの固溶体の形成等を考慮した最適値が存在するものと考えられる。
本発明の方法によれば、好ましくは、上記の混合溶液は、二元金属粒子中のニッケル含有量が当該二元金属粒子中に含まれるロジウムとニッケルの合計モル数に対して0mol%超、特には0.5mol以上、1mol%以上、2mol%以上又は2.5mol%以上であり、かつ12.5mol%未満、特には10mol%以下、9mol%以下、8mol%以下又は7.5mol%以下であり、例えば0mol%超12.5mol%未満、0mol%以上10mol%以下、又は2.5mol%以上7.5mol%以下となるような量においてロジウムイオン及びニッケル錯イオンを含有することができる。ニッケル含有量をこれらの範囲内に制御することで、ロジウムとニッケルを確実に固溶させるとともに、二元金属粒子表面のロジウムの活性点数を十分に確保することが可能となる。その結果として、ロジウムとニッケルを組み合わせたことによる本発明の効果を十分に発揮させることが可能となる。
本発明において「ニッケル含有量」とは、特に断りのない限り、ロジウムとニッケルの固溶体からなる二元金属粒子を合成する際に導入されるロジウムイオン及びニッケル錯イオン中に含まれるロジウムとニッケルの合計モル数に対するニッケルのモル数の割合を言うものである。
[還元剤]
本発明の方法によれば、ロジウムイオン及びニッケル錯イオンを含有する混合溶液に添加される還元剤としては、特に限定されないが、例えば、エタノールやプロパノール等のアルコール、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)やアンモニアボラン(NH3BH3)等のホウ素系還元剤、ヒドラジン(N24)、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。好ましくは、還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウムを挙げることができる。なお、還元剤は、混合溶液中に溶解しているロジウムイオンとニッケル錯イオンを還元してロジウムとニッケルの固溶体からなる二元金属粒子を形成するのに十分な量において添加すればよい。
本発明の方法において還元剤として水素化ホウ素ナトリウムやアンモニアボラン等のホウ素系還元剤を使用する場合には、本発明の方法の還元工程において生成された二元金属粒子を含む溶液中には当該ホウ素系還元剤が残留している。このホウ素系還元剤は、その後の担持工程における熱処理によっては必ずしも十分に分解除去することができない。したがって、ホウ素系還元剤を用いてロジウムイオンとニッケル錯イオンを還元した後、これを多量のアセトン等を用いて精製処理することが好ましい。これにより残留するホウ素系還元剤をアセトン相に抽出することができるので、得られた二元金属粒子を容易に精製することが可能である。なお、このような精製処理において使用される溶媒としては、アセトン以外にも、二元金属粒子に対する溶解度が小さい任意の貧溶媒を使用することが可能である。
[保護剤]
本発明の方法では、還元工程において生成する二元金属粒子の表面に配位又は吸着して二元金属粒子同士の凝集や粒成長を抑制しかつ安定化させる目的で、ロジウムイオン及びニッケル錯イオンを含有する混合溶液に保護剤を任意選択で添加してもよい。このような保護剤としては、特に限定されないが、例えば、親水性高分子等の高分子化合物や両親媒性分子が挙げられる。
親水性高分子としては、ポリビニルアルコール(PVA)等の水酸基含有化合物、ポリビニルピロリドン(以下、PVPと略す)等の環状アミド含有化合物、環状イミド含有化合物、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(アクリル酸ナトリウム)、ポリ(アクリル酸カリウム)、ポリアクリル酸部分水和物架橋体、アクリル酸・イタコン酸アミド共重合体等のカルボキシル基含有化合物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物等のカルボン酸エステル化合物、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド部分加水分解物、ポリアクリルアミド部分加水分解物のアミド基含有化合物、アクリロニトリル共重合体等のニトリル基含有化合物、ポリビニルピリジン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン、ポリアミン、N−(3−アミノプロピル)ジエタノールアミン、ポリアミノ酸、ポリリン酸、ヘテロポリ酸等の水溶性若しくは親水性の高分子及びこれらの共重合体、又はシクロデキストリン、アミノペクチン、メチルセルロース、ゼラチンなどの天然物等が挙げられる。これらの中でも、PVPを用いることが好ましい。
両親媒性分子としては、溶質分子が親水性基と親油基とを有すればよく、ステアリン酸ナトリウム等の高級脂肪酸アルカリ塩、ドデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ドデシルスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸塩、エチルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩等の陰イオン界面活性剤、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミドの高級アミンハロゲン酸塩、ヨウ化メチルピリジニウム等のハロゲン化アルキルピリジニウム、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム等のテトラアンモニウム塩等の陽イオン活性剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウレート等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン活性剤、アミノ酸等の両性表面活性剤等が挙げられる。上記の保護剤を本発明の方法においてロジウムイオン、ニッケル錯イオン、溶媒、及び還元剤を含有する混合溶液に添加することで、得られる二元金属粒子の大きさをより確実にナノメートルサイズに制御することが可能となる。
本発明の方法によれば、上記の還元工程は、使用される還元剤の種類やその還元力等を考慮して、室温下又は加熱下において実施することが可能である。特に限定されないが、例えば、還元工程は、70℃以上250℃以下、好ましくは100℃以上250℃以下、より好ましくは100℃以上200℃以下の加熱下で実施することができる。このような加熱操作は、使用される還元剤の種類やその還元力及び加熱温度等に応じて適切な時間にわたって実施すればよく、特に限定されないが、一般的には、上記の温度において15分〜5時間、特には30分〜3時間実施することができる。
[二元金属粒子の平均一次粒子径]
本発明の方法によれば、二元金属粒子の平均一次粒子径は0nm超20nm以下であることが好ましい。
二元金属粒子の平均一次粒子径が20nmよりも大きくなると、ロジウムとニッケルがナノレベルで互いに近接して存在した固溶体を形成できなくなり、結果として、ロジウムとニッケルを組み合わせたことによる効果を十分に得ることができない場合がある。また、二元金属粒子がこのような大きな平均一次粒子径を有する場合には、当該二元金属粒子の表面積が小さくなってロジウムの活性点数が少なくなり、最終的に得られる排ガス浄化用触媒について十分なNOx浄化性能を達成することができない場合がある。したがって、本発明の方法による排ガス浄化用触媒においては、二元金属粒子の平均一次粒子径は、0nm超20nm以下、特には0nm超15nm以下、0nm超10nm以下、0nm超9nm以下、0nm超8nm以下、0nm超7nm以下、0nm超6nm以下、又は0nm超5nm以下であることが好ましい。
本発明において「平均一次粒子径」とは、特に断りのない限り、透過型電子顕微鏡(TEM)及び走査型電子顕微鏡(SEM)等の電子顕微鏡を用いて、無作為に選択した100個以上の粒子の定方向径(Feret径)を測定した場合のそれらの測定値の算術平均値を言うものである。
[担持工程]
本発明の方法によれば、上記の還元工程において生成されたロジウムとニッケルの固溶体からなる二元金属粒子が、次の担持工程において従来公知の方法によって触媒担体に担持される。当該担持工程において導入される触媒担体としては、特に限定されないが、排ガス浄化用触媒の技術分野において一般に触媒担体として用いられる任意の金属酸化物を使用することができる。このような触媒担体としては、例えば、アルミナ(Al23)、シリカ(SiO2)、シリカ−アルミナ(SiO2−Al23)、セリア(CeO2)、ジルコニア(ZrO2)、セリア−ジルコニア(CeO2−ZrO2)、チタニア(TiO2)、及びそれらの組み合わせ等を挙げることができる。酸素吸放出能(OSC能)の観点から、例えば、触媒担体は、セリア(CeO2)又はセリア−ジルコニア(CeO2−ZrO2)等を含むことが好ましい。
例えば、担持工程においては、まず、先の還元工程で合成したロジウムとニッケルの固溶体からなる二元金属粒子を含む溶液を、所定量の溶液に分散させた金属酸化物(触媒担体)の粉末に、ロジウム及び/又はニッケルの量(金属換算担持量)が当該触媒担体に対して一般的に0.01〜10wt%の範囲になるような量において添加する。次いで、これを所定の温度及び時間、特には不純物や任意選択の保護剤等を分解除去しかつ二元金属粒子を触媒担体上に担持するのに十分な温度及び時間において乾燥及び焼成することにより、当該二元金属粒子を触媒担体に担持することができる。一般的には、上記の乾燥は、減圧下又は常圧下において約80℃〜約250℃の温度で約1時間〜約24時間にわたって実施することができる。一方で、上記の焼成は、酸化性雰囲気中、例えば空気中において約300℃〜約800℃の温度で約30分間〜約10時間にわたって実施することができる。
なお、上記の担持工程では、ロジウムとニッケルの固溶体からなる二元金属粒子に加えて、他の触媒成分を触媒担体にさらに担持してもよい。例えば、ロジウム(Rh)以外の白金(Pt)及びパラジウム(Pd)等の貴金属を触媒担体にさらに担持することができる。これらの触媒成分を触媒担体にさらに担持することで、NOx浄化活性だけでなく、COやHCの酸化活性についても顕著に改善することが可能である。
最後に、上記のようにして得られた本発明の排ガス浄化用触媒は、必要に応じて、例えば、高圧下でプレスしてペレット状に成形するか、又は所定のバインダ等を加えてスラリー化し、これをコージェライト製ハニカム基材等の触媒基材上に塗布することにより使用することができる。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例では、Rh−Ni二元金属粒子を触媒成分として含む排ガス浄化用触媒を調製し、その特性及びNOx浄化性能について調べた。
[実施例1]
[Rh−Ni二元金属粒子(Ni含有量5mol%)の合成]
まず、500mLのセパラブルフラスコに保護剤としてのポリビニルピロリドン(PVP K−25、平均分子量35000)を2.2g(20mmolモノマー換算)入れ、それにテトラエチレングリコール120mLを加えて、ヒーターを用いて約80℃に加熱しながら攪拌し、ポリビニルピロリドンを完全に溶解した。次いで、このセパラブルフラスコ内に酢酸ニッケル四水和物(Ni(CH3COO)2・4H2O)0.013g(0.05mmol)を導入し、酢酸ニッケル四水和物の溶解後にヒーターを切った。
次に、この混合溶液の温度が40℃以下になった後、Ni2+イオンに配位してニッケル錯イオンを形成するのに十分な量のアンモニア水(0.5mmol)を当該混合溶液に加えて攪拌した(溶液1)。次いで、4.665wt%の塩化ロジウム(RhCl3)溶液2.144g(0.97mmol)を50mLのビーカーに入れ、これをテトラエチレングリコール40mLで溶解した(溶液2)。溶液2を溶液1に導入し、室温で10分間以上攪拌した。次いで、得られた混合溶液をオイルバスにセットし、混合溶液中の酸素を追い出してロジウムとニッケルが還元されやすい条件にするために攪拌しながら窒素でバブリングした。次に、還流管をセットして水を流通させ、フラスコ内に還元剤としての水素化ホウ素ナトリウム0.116g(3.07mmol)を徐々に加えた。
次に、オイルバスの温度を150℃まで昇温し、その温度で1時間保持した後、フラスコをオイルバスから取り出して自然冷却させた。次いで、2Lのビーカーにアセトン1000mLを入れ、これに上で得られた溶液を投入した。次いで、この混合溶液を遠心分離機(3000rpm)で5分間処理することにより生成物を沈殿させた。次いで、無色透明になった上澄み液を廃棄して、残留する水素化ホウ素ナトリウムを除去した。最後に、得られた沈殿物に200mLのエタノールを加え、超音波洗浄器を用いて15分間分散させることにより、Ni含有量が5mol%のRh−Ni二元金属粒子を含む溶液を得た。
[Rh−Ni担持触媒(Ni含有量5mol%)の調製]
まず、上で得られたRh−Ni二元金属粒子を含む溶液を300mLのビーカーに入れ、水を加えて約100mLに希釈した後、マグネチックスターラーで攪拌した。一方で、別のビーカーに触媒担体として所定量のアルミナ−セリア−ジルコニア固溶体(Al23−CeO2−ZrO2)粉末を入れ、水を約50mL加えて分散させた。次いで、これを水で希釈した上記のRh−Ni二元金属粒子を含む溶液に加え、約150℃で加熱攪拌することにより分散媒を除去した。次いで、120℃の炉中で12時間乾燥した後、これを乳鉢で粉砕した。最後に、得られた粉末を空気中500℃で3時間焼成して、Rh−Ni担持触媒(Ni含有量5mol%、Rh担持量0.5wt%)からなる排ガス浄化用触媒を得た。
[比較例1]
[共含浸法によるRh,Ni担持触媒(Ni含有量5mol%)の調製]
本比較例では、単に従来の共含浸法によってRhとNiをアルミナ−セリア−ジルコニア固溶体(Al23−CeO2−ZrO2)に担持したRh,Ni担持触媒を調製した。具体的には、まず、500mLのビーカーに酢酸ニッケル四水和物(Ni(CH3COO)2・4H2O)0.013g(0.05mmol)と4.665wt%の塩化ロジウム(RhCl3)溶液2.144g(0.97mmol)を投入し、水を約300mL加えて攪拌した。次いで、これに所定量のアルミナ−セリア−ジルコニア固溶体(Al23−CeO2−ZrO2)を導入した。次いで、120℃で12時間乾燥した後、これを乳鉢で粉砕した。最後に、得られた粉末を空気中500℃で3時間焼成して、Rh,Ni担持触媒(Ni含有量5mol%、Rh担持量0.5wt%)からなる排ガス浄化用触媒を得た。
[比較例2]
[還元剤を用いた従来の方法(ニッケル錯イオンなし)によるRh−Ni担持触媒(Ni含有量5mol%)の調製]
本比較例では、還元剤を用いた従来の方法(ニッケル錯イオンなし)によって合成されたRhとNiの固溶体からなるRh−Ni二元金属粒子をアルミナ−セリア−ジルコニア固溶体(Al23−CeO2−ZrO2)に担持したRh−Ni担持触媒を調製した。具体的には、まず、500mLのセパラブルフラスコに保護剤としてのポリビニルピロリドン(PVP K−25、平均分子量35000)を2.2g(20mmolモノマー換算)入れ、それにテトラエチレングリコール120mLを加えて、ヒーターを用いて約80℃に加熱しながら攪拌し、ポリビニルピロリドンを完全に溶解した。次いで、このセパラブルフラスコ内に酢酸ニッケル四水和物(Ni(CH3COO)2・4H2O)0.013g(0.05mmol)を導入し、酢酸ニッケル四水和物の溶解後にヒーターを切った(溶液1)。
次に、この混合溶液の温度が40℃以下になった後、4.665wt%の塩化ロジウム(RhCl3)溶液2.144g(0.97mmol)を50mLのビーカーに入れ、これをテトラエチレングリコール40mLで溶解した(溶液2)。溶液2を溶液1に導入し、室温で10分間以上攪拌した。次いで、得られた混合溶液をオイルバスにセットし、混合溶液中の酸素を追い出してロジウムとニッケルが還元されやすい条件にするために攪拌しながら窒素でバブリングした。次に、還流管をセットして水を流通させ、フラスコ内に還元剤としての水素化ホウ素ナトリウム0.116g(3.07mmol)を徐々に加えた。
次に、オイルバスの温度を150℃まで昇温し、その温度で1時間保持した後、フラスコをオイルバスから取り出して自然冷却させた。次いで、2Lのビーカーにアセトン1000mLを入れ、これに上で得られた溶液を投入した。次いで、この混合溶液を遠心分離機(3000rpm)で5分間処理することにより生成物を沈殿させた。次いで、無色透明になった上澄み液を廃棄して、残留する水素化ホウ素ナトリウムを除去した。次いで、得られた沈殿物に200mLのエタノールを加え、超音波洗浄器を用いて15分間分散させることにより、Ni含有量が5mol%のRh−Ni二元金属粒子を含む溶液を得た。最後に、得られたRh−Ni二元金属粒子を、実施例1の場合と同様にして触媒担体としてのアルミナ−セリア−ジルコニア固溶体(Al23−CeO2−ZrO2)に担持し、Rh−Ni担持触媒(Ni含有量5mol%、Rh担持量0.5wt%)からなる排ガス浄化用触媒を得た。
[STEM−EDXによる触媒の分析]
実施例1及び比較例2の排ガス浄化用触媒について、エネルギー分散型X線分析装置付走査透過型電子顕微鏡(STEM−EDX)(日立製HD−2000、加速電圧:200kV)によってそれらの測定を行った。なお、各測定試料をエタノールで希釈し、モリブデングリッドに滴下後、乾燥させたものについて測定を行った。その結果を図4及び5に示す。
図4及び5は、それぞれ実施例1及び比較例2の排ガス浄化用触媒のSTEM−EDXによる分析結果を示している。より詳しくは、図4及び5は、(a)が実施例1及び比較例2の排ガス浄化用触媒のSTEM−EDXによる写真を示し、(b)が(a)中の測定点1〜4(電子線のスポット径が1nm以下の条件下で分析したもの)におけるRhとNiの組成比(mol%)を示している。
図4及び5を参照すると、実施例1及び比較例2の両方の排ガス浄化用触媒において約10nm以下、特には約5nm以下の粒径を有する一次粒子が多く形成されていることを確認することができる。次に、EDXによる組成分析について説明すると、図4(b)及び図5(b)の結果から明らかなように、図4(a)及び図5(a)中の測定点1〜4のうち全ての測定点においてRhとNiの両方の元素が検出され、すなわち同一粒子内にRhとNiの両方の元素が共存していることを確認した。これらの結果は、本発明の方法による触媒と還元剤を用いた従来の方法(ニッケル錯イオンなし)による触媒の両方において、ロジウムとニッケルがナノレベルで互いに固溶していることを裏付けるものである。また、両触媒について、EDXによる組成分析において大きな差異は見られず、各測定点のNi含有量は仕込みのNi含有量とよく一致していた。
[触媒の活性評価]
実施例1並びに比較例1及び2の排ガス浄化用触媒についてそれらのNOx浄化性能を評価した。各排ガス浄化用触媒の粉末を98MPaの圧力でプレスしてペレット状に高圧成型したものを評価サンプルとして使用した。次に、これらのペレット触媒3.0gについて、下表1に示す評価用モデルガスを20L/分の流量で触媒床に流しながら、当該触媒床の温度を昇温し、その際のNOx浄化率(%)を測定した。結果を図6に示す。
図6は、実施例1並びに比較例1及び2の排ガス浄化用触媒の触媒温度の関数としてのNOx浄化率を示すグラフである。図6を参照すると、還元剤を用いた従来の方法(ニッケル錯イオンなし)によって調製した比較例2の排ガス浄化用触媒は、共含浸法によって調製した比較例1の排ガス浄化用触媒と比較して、各温度でわずかに高いNOx浄化率を示したものの、ほぼ同様の温度特性を示し、それゆえこれらの触媒の間でNOx浄化性能について大きな差異は観測されなかった。一方で、これとは対照的に、本発明の方法によって調製した実施例1の排ガス浄化用触媒では、比較例1及び2の排ガス浄化用触媒と比較して、低温領域、例えば約270℃以下、特には約220〜約270℃の低温領域において顕著により高いNOx浄化活性を達成することができた。
[実施例2]
本実施例では、実施例1の排ガス浄化用触媒について、Rhの担持量を一定にしてNi含有量を変化させた排ガス浄化用触媒を調製し、そのNOx浄化性能について調べた。なお、各排ガス浄化用触媒のNOx浄化性能は、先に記載したのと同様の手法によって実施し、より具体的には各ペレット触媒について表1に示す評価用モデルガスを20L/分の流量で触媒床に流しながら、当該触媒床の温度を昇温し、NOxの浄化率が50%になる温度(NOx50%浄化温度:T50)を調べた。その結果を図7に示す。
図7は、本発明の方法による排ガス浄化用触媒におけるNOx50%浄化温度を示すグラフである。なお、図7では、比較として、共含浸法によって調製した排ガス浄化用触媒に関するNOx50%浄化温度についても併せて示している。図7を参照すると、共含浸法によって調製した排ガス浄化用触媒では、ニッケル含有量を変化させても、その活性に大きな変化はなく、ほぼ一定のNOx浄化性能を示した。共含浸法によって調製された排ガス浄化用触媒では、ロジウムとニッケルがそれぞれロジウム粒子及びニッケル粒子として別々に触媒担体上に存在していると考えられる。このため、ニッケルの添加がロジウムの活性に有効には作用せず、それゆえ触媒の活性がロジウムの担持量にのみ依存していると考えられる。
これとは対照的に、本発明の方法による排ガス浄化用触媒では、ニッケルの添加とともに触媒のNOx浄化性能が大きく向上し、ニッケル含有量が約12.5mol%未満、特には約10mol%以下の範囲において、ロジウム単独の金属粒子を含む触媒と比較して、より高いNOx浄化性能を達成することができた。
図6及び7の結果は、ニッケル自体はNOx浄化活性を示さないものの、当該ニッケルがロジウムの活性点数を確保し得る範囲において当該ロジウムと近接して表面に多く存在することが触媒活性の向上にとって極めて重要であることを示唆するものである。
10 Rh−Ni二元金属粒子
11 Rh3+イオン
12 Ni2+イオン
13 保護剤
14 錯体
15 ロジウム
16 ニッケル
17 触媒担体
18 Ni錯イオン
20 排ガス浄化用触媒

Claims (8)

  1. ロジウムイオン及びニッケル錯イオンを含有する混合溶液に還元剤を添加して、ロジウムとニッケルの固溶体からなる二元金属粒子を生成する還元工程、並びに
    生成した二元金属粒子を触媒担体に担持する担持工程
    を含むことを特徴とする、排ガス浄化用触媒の製造方法。
  2. 前記混合溶液は、前記二元金属粒子中のニッケル含有量が該二元金属粒子中に含まれるロジウムとニッケルの合計モル数に対して0mol%超10mol%以下となるような量において、ロジウムイオンとニッケル錯イオンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記混合溶液は、前記二元金属粒子中のニッケル含有量が該二元金属粒子中に含まれるロジウムとニッケルの合計モル数に対して2.5mol%以上7.5mol%以下となるような量において、ロジウムイオンとニッケル錯イオンを含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 前記ニッケル錯イオンが、ヘキサアンミンニッケル(II)イオンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記還元剤が水素化ホウ素ナトリウムであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記還元工程が100℃以上250℃以下の加熱下で実施されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記混合溶液が保護剤をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記二元金属粒子の平均一次粒子径が0nm超10nm以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
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