JP2014088472A - 樹脂組成物およびこれを成形して得られる成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、難燃性、透明性、耐光性、色相、耐熱性、熱安定性、成形性、機械的強度等に優れたポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品に関する。
近年、バイオマス資源から得られる原料を用いたポリカーボネート樹脂として、植物由来モノマーであるイソソルビドを使用し、炭酸ジフェニルとのエステル交換によりポリカーボネート樹脂が得られることが記載されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献2には、イソソルビドとビスフェノールAを共重合したポリカーボネート樹脂が記載されている。また、特許文献3には、イソソルビドと脂肪族ジオールとを共重合することによりポリカーボネート樹脂の剛直性が改善されることが記載されている。
一方、特許文献4にはイソソルビドを単独重合したポリカーボネート樹脂に熱分解温度340℃以下のリン系難燃剤を添加することが記載されている。
ところで、植物由来モノマーとしてのイソソルビドを用いて得られるポリカーボネート樹脂は、従来の石油原料由来の芳香族ポリカーボネートに比べ、耐熱性、透明性、機械的強度の点などの種々の物性が不十分であり、また、溶融成形時に離型性が悪く、黄変し、透明部材や光学部材として用いることが困難であるという問題がある。特許文献2や特許文献3に記載されているような、従来の共重合ポリカーボネート樹脂についても難燃性が不十分であった。
また、特許文献4に記載されている特定のりん化合物を含有するポリカーボネート樹脂組成物は、その難燃性は改善されたものの、工業的には満足のいくものではなかった。りん化合物として有機リン化合物を用いると、難燃性は大きく改善される。しかし有機りん化合物は、それを合成する際に有毒な化合物を使用することがあり、また有機りん系の化合物を配合した樹脂を燃焼・焼却する際に、条件によっては有害ガスが発生する場合があり、そのどちらも環境面で好ましくない。しかも、有機りん化合物は高価である場合が多く、経済面でもまた好ましくはないという問題があった。
一方、りん化合物として無機縮合りん酸塩を用いることにより前述の問題は回避できるが、難燃性が満足できるものではないという問題があった。
しかも、りんは高価であり枯渇の可能性が問題視されている資源の一つであって、工業的にはその使用はできるだけ少ない方が好ましい。
本発明の目的は、イソソルビドのようなジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含む樹脂組成物であって、ハロゲンやりんを含むことなく、難燃性、透明性、耐光性、色相、耐熱性、熱安定性、成形性、機械的強度などに優れたポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品を提供することにある。
しかも、りんは高価であり枯渇の可能性が問題視されている資源の一つであって、工業的にはその使用はできるだけ少ない方が好ましい。
本発明の目的は、イソソルビドのようなジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含む樹脂組成物であって、ハロゲンやりんを含むことなく、難燃性、透明性、耐光性、色相、耐熱性、熱安定性、成形性、機械的強度などに優れたポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の構造を有するジヒドロキシ化合物に由来するポリカーボネート樹脂と、特定の化合物とを含有するポリカーボネート樹脂組成物が、上記の課題を全て解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の構造を有するジヒドロキシ化合物に由来するポリカーボネート樹脂と、特定の難燃剤とを含有し、特定範囲のアイゾット衝撃強度を有し、特定の厚みの成形体としたときのUL94垂直燃焼試験の判定がV−0である樹脂組成物が、上記の課題を全て解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の構造を有するジヒドロキシ化合物に由来するポリカーボネート樹脂と、特定の難燃剤とを含有し、特定範囲のアイゾット衝撃強度を有し、特定の厚みの成形体としたときのUL94垂直燃焼試験の判定がV−0である樹脂組成物が、上記の課題を全て解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記の樹脂組成物に関する。
(1)構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)と脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)とを含む共重合ポリカーボネート樹脂(A)と官能基を有する多窒素化合物(B)を含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
(1)構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)と脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)とを含む共重合ポリカーボネート樹脂(A)と官能基を有する多窒素化合物(B)を含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
(但し、前記式(1)で表される部位が−CH2−O−Hの一部である場合を除く。)
(2)官能基を有する多窒素化合物が、熱重量分析において、5%重量減する温度が200℃以上であり、440℃での重量減少率が30%以上であることを特徴とする(1)に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(3)ポリカーボネート樹脂組成物(A)100重量部に対して、官能基を有する多窒素化合物(B)を1重量部以上であり、かつ100重量部以下含有することを特徴とする(1)または(2)に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(4)官能基を有する多窒素化合物がグアニジン構造を有する化合物、ジアジン構造を有する化合物およびトリアジン構造を有する化合物の何れから選ばれる1つ以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(5)官能基を有する多窒素化合物がメラミン、メラミンシアヌレートおよび硫酸メラミンからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(6)構造の一部に上記式(1)で表される部位を有する構造単位(a)として、下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むものであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(2)官能基を有する多窒素化合物が、熱重量分析において、5%重量減する温度が200℃以上であり、440℃での重量減少率が30%以上であることを特徴とする(1)に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(3)ポリカーボネート樹脂組成物(A)100重量部に対して、官能基を有する多窒素化合物(B)を1重量部以上であり、かつ100重量部以下含有することを特徴とする(1)または(2)に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(4)官能基を有する多窒素化合物がグアニジン構造を有する化合物、ジアジン構造を有する化合物およびトリアジン構造を有する化合物の何れから選ばれる1つ以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(5)官能基を有する多窒素化合物がメラミン、メラミンシアヌレートおよび硫酸メラミンからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(6)構造の一部に上記式(1)で表される部位を有する構造単位(a)として、下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むものであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(7)前記脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)として、シクロヘキサンジメタノール類に由来する構造単位を含むものであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(8)前記共重合ポリカーボネート樹脂(A)における脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化
合物に由来する構造単位(b)が50mol%以上であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(9)(1)〜(8)のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるポリカーボネート樹脂成形品。
(8)前記共重合ポリカーボネート樹脂(A)における脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化
合物に由来する構造単位(b)が50mol%以上であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(9)(1)〜(8)のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるポリカーボネート樹脂成形品。
本発明によれば、難燃性、耐衝撃性、耐熱性の全てを兼ね備えた樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されるものではない。尚、本明細書において、「〜」とはその前後の数値または物理量を含む表現として用いるものとする。また、本明細書において「置換基」という表現を用いる場合、当該置換基の種類は特に限定されるものではなく、特に明記しない限りは分子量200までのものを意味するものとする。
1.ポリカーボネート樹脂組成物
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)と脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)とを含む共重合ポリカーボネート樹脂(A)と官能基を有する多窒素化合物(B)を含むことを特徴とする。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)と脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)とを含む共重合ポリカーボネート樹脂(A)と官能基を有する多窒素化合物(B)を含むことを特徴とする。
(但し、前記式(1)で表される部位が−CH2−O−Hの一部である場合を除く。)
2.共重合ポリカーボネート樹脂(A)
本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)は、構造の一部に下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(α)」と称することがある。)及び脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(β)」と称することがある。)と、炭酸ジエステルとを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得られる。すなわち、本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)は、下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)と脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)とを含むものである。尚、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いられる共重合ポリカーボネート樹脂(A)においては、下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)と、脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)とのいずれとも解される構造単位が含まれうる。このような構造単位を含有する場合、構造単位(a)に分類されうる構造単位と、構造単位(b)に分類されうる構造単位との両方を有し、かつ少なくとも2種類の異なる構造単位を有することの条件を満たした上で、構造単位(a)とも構造単位(b)とも解されうる構造単位を任意に構造単位(a)または構造単位(b)と位置づければよい。
2.共重合ポリカーボネート樹脂(A)
本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)は、構造の一部に下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(α)」と称することがある。)及び脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(β)」と称することがある。)と、炭酸ジエステルとを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得られる。すなわち、本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)は、下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)と脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)とを含むものである。尚、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いられる共重合ポリカーボネート樹脂(A)においては、下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)と、脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)とのいずれとも解される構造単位が含まれうる。このような構造単位を含有する場合、構造単位(a)に分類されうる構造単位と、構造単位(b)に分類されうる構造単位との両方を有し、かつ少なくとも2種類の異なる構造単位を有することの条件を満たした上で、構造単位(a)とも構造単位(b)とも解されうる構造単位を任意に構造単位(a)または構造単位(b)と位置づければよい。
(但し、前記式(1)で表される部位が−CH2−O−Hの一部である場合を除く。)
<共重合ポリカーボネート樹脂(A)の原料>
(ジヒドロキシ化合物)
本発明は共重合ポリカーボネート樹脂(A)の原料として、ジヒドロキシ化合物(α)とジヒドロキシ化合物(β)とを必須で用いるものであるが、以下に記載するもの以外のジヒドロキシ化合物を原料として用いることを妨げるものではない。
<共重合ポリカーボネート樹脂(A)の原料>
(ジヒドロキシ化合物)
本発明は共重合ポリカーボネート樹脂(A)の原料として、ジヒドロキシ化合物(α)とジヒドロキシ化合物(β)とを必須で用いるものであるが、以下に記載するもの以外のジヒドロキシ化合物を原料として用いることを妨げるものではない。
構造の一部に前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物(ジヒドロキシ化合物(α))としては、具体的には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等、側鎖に芳香族基を有し、主鎖に芳香族基に結合したエーテル基を有するジヒドロキシ化合物、下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコール、下記式(3)で表されるスピログリコール、下記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物、などの環状エーテル構造を有する化合物が挙げられる。
これらの中でも、入手のし易さ、ハンドリング、重合時の反応性、得られる共重合ポリカーボネート樹脂(A)の色相の観点からは、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが好ましい。特に、耐熱性、耐光性、耐候性の観点からは、下記式(2)に代表される糖アルコール、下記式(3)で表されるスピログリコール、下記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物などの環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物が好ましい。また、環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物のなかでも、下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される糖アルコール、下記式(3)で表されるスピログリコールなどの、複数の環からなる環状エーテル構造が好ましく、2つの環からなる環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物がより好ましい。最も好ましいのは下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコールである。これらは得られる共重合ポリカーボネート樹脂(A)の要求性能に応じて、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのジヒドロキシ化合物(α)のうち、芳香環構造を有しないジヒドロキシ化合物を用いることが共重合ポリカーボネート樹脂(A)の耐光性の観点から好ましく、中でも植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、耐光性、光学特性、成形性、耐熱性、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。
これらのジヒドロキシ化合物(α)のうち、芳香環構造を有しないジヒドロキシ化合物を用いることが共重合ポリカーボネート樹脂(A)の耐光性の観点から好ましく、中でも植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、耐光性、光学特性、成形性、耐熱性、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。
脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物(ジヒドロキシ化合物(β))としては、直鎖脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物、直鎖分岐脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物、脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物等が挙げられ、これらの中でも脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物が好ましい。
直鎖脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられる。直鎖分岐脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物としては、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール等が挙げられる。
直鎖脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられる。直鎖分岐脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物としては、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール等が挙げられる。
脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物は環状構造の炭化水素骨格と2つのヒドロキシ基を有する化合物であり、ヒドロキシ基は、環状構造に直接結合していてもよいし、置換基を介して環状構造に結合していてもよく、また、環状構造は単環であっても多環であってもよい。脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物としては、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオールなどのシクロヘキサンジオール類、4−シクロヘキセン−1,2−ジオールなどのシクロへキセンジオール類、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなど
のシクロへキサンジメタノール類、4−シクロヘキセン−1,2−ジオールなどのシクロヘキセンジメタノール類、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノールなどのノルボルナンジメタノール類、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、1,3−アダマンタンジオール、2,2−アダマンタンジオール等が挙げられ、これらのうち、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのシクロヘキサンジメタノール類が好ましく、シクロヘキサンジメタノール類の中でも1,4−シクロヘキサンジメタノールが特に好ましい。
のシクロへキサンジメタノール類、4−シクロヘキセン−1,2−ジオールなどのシクロヘキセンジメタノール類、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノールなどのノルボルナンジメタノール類、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、1,3−アダマンタンジオール、2,2−アダマンタンジオール等が挙げられ、これらのうち、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのシクロヘキサンジメタノール類が好ましく、シクロヘキサンジメタノール類の中でも1,4−シクロヘキサンジメタノールが特に好ましい。
構造の一部に前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物(ジヒドロキシ化合物(α))に由来する構造単位(a)と、脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物(ジヒドロキシ化合物(β))に由来する構造単位(b)との両方を含むジヒドロキシ化合物を用いることにより、共重合ポリカーボネート樹脂(A)の柔軟性の改善、耐熱性の向上、成形性の改善などの効果を得ることも可能である。共重合ポリカーボネート樹脂(A)における脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物(ジヒドロキシ化合物(β))に由来する構造単位(b)の割合が少な過ぎるとポリカーボネート樹脂組成物の透明性が悪くなる傾向にあるが、ジヒドロキシ化合物(β)に由来する構造単位が多くなるとポリカーボネート樹脂組成物の耐光性や色相などの観点から好ましい。共重合ポリカーボネート樹脂(A)における脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物(ジヒドロキシ化合物(β))に由来する構造単位(b)の割合は、30モル%以上であることが好ましく、35モル%以上であることがより好ましく、50モル%以上であることが更に好ましく、52モル%以上であることが特に好ましい。一方、ジヒドロキシ化合物(β)二由来する構造単位(b)の割合は、85モル%以下であることが好ましく、80モル%以下であることがより好ましい。また、共重合ポリカーボネート樹脂(A)におけるジヒドロキシ化合物(α)に由来する構造単位の割合は、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上であり、一方、好ましくは80モル%以下、より好ましくは65モル%以下、更に好ましくは50モル%以下、特に好ましくは48モル%以下である。
また、本発明の共重合ポリカーボネート樹脂(A)はジヒドロキシ化合物(α)に由来する構造単位及びジヒドロキシ化合物(β)に由来する構造単位以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことができる。ジヒドロキシ化合物(α)に由来する構造単位及びジヒドロキシ化合物(β)に由来する構造単位以外の構造単位を含む場合には、共重合ポリカーボネート樹脂(A)における割合で40モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましく、20モル%以下であることが更に好ましく、10モル%以下であることが特に好ましい。
ジヒドロキシ化合物(α)及びジヒドロキシ化合物(β)以外に共重合ポリカーボネート樹脂(A)の原料として使用可能なジヒドロキシ化合物としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に制限されないが、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4
,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン等の芳香族ビスフェノール類が挙げられる。ただし、ポリカーボネート樹脂組成物を耐光性の良いものとする観点からは、共重合ポリカーボネート樹脂(A)は、分子構造内に芳香環構造を有しないことが好ましい。
,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン等の芳香族ビスフェノール類が挙げられる。ただし、ポリカーボネート樹脂組成物を耐光性の良いものとする観点からは、共重合ポリカーボネート樹脂(A)は、分子構造内に芳香環構造を有しないことが好ましい。
本発明で用いるジヒドロキシ化合物は、還元剤、抗酸化剤、脱酸素剤、光安定剤、制酸剤、pH安定剤、熱安定剤などの安定剤を含んでいてもよく、特に酸性下では本発明で用いるジヒドロキシ化合物が変質しやすいことから、塩基性安定剤を含むことが好ましい。塩基性安定剤としては、長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)における1族または2族の金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硼酸塩、脂肪酸塩や、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシドなどの塩基性アンモニウム化合物、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリンなどのアミン系化合物が挙げられる。その中でも、その効果と後述する蒸留除去のしやすさから、ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩、亜リン酸塩が好ましく、中でもリン酸水素2ナトリウム、亜リン酸水素2ナトリウムが好ましい。
これら塩基性安定剤の本発明で用いるジヒドロキシ化合物中の含有量に特に制限はないが、少なすぎると本発明で用いるジヒドロキシ化合物の変質を防止する効果が得られない可能性があり、多すぎると本発明で用いるジヒドロキシ化合物の変性を招く場合があるので、通常、本発明で用いるジヒドロキシ化合物に対して、0.0001重量%〜1重量%、好ましくは0.001重量%〜0.1重量%である。
また、これら塩基性安定剤を含有した本発明で用いるジヒドロキシ化合物を共重合ポリカーボネート樹脂(A)の製造原料として用いると、塩基性安定剤自体が重合触媒となり、重合速度や品質の制御が困難になるだけでなく、初期色相の悪化を招き、結果的に成形品の耐光性を悪化させるため、ポリカーボネート樹脂の製造原料として使用する前に塩基性安定剤をイオン交換樹脂や蒸留等で除去することが好ましい。
本発明で用いるジヒドロキシ化合物がイソソルビド等、環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物である場合には、酸素によって徐々に酸化されやすいので、保管や、製造時には、酸素による分解を防ぐため、水分が混入しないようにし、また、脱酸素剤等を用いたり、窒素雰囲気下で取り扱うことが肝要である。イソソルビドが酸化されると、蟻酸などの分解物が発生する場合がある。例えば、これら分解物を含むイソソルビドを共重合ポリカーボネート樹脂(A)の製造原料として使用すると、得られる共重合ポリカーボネート樹脂(A)の着色を招く可能性があり、又、物性を著しく劣化させることがある。
上記酸化分解物を含まない本発明で用いるジヒドロキシ化合物を得るために、また、前述の塩基性安定剤を除去するためには、蒸留精製を行うことが好ましい。この場合の蒸留
とは単蒸留であっても、連続蒸留であってもよく、特に限定されない。蒸留の条件としてはアルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気において、減圧下で蒸留を実施することが好ましく、熱による変性を抑制するためには、250℃以下、好ましくは200℃以下、特には180℃以下の条件で行うことが好ましい。
とは単蒸留であっても、連続蒸留であってもよく、特に限定されない。蒸留の条件としてはアルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気において、減圧下で蒸留を実施することが好ましく、熱による変性を抑制するためには、250℃以下、好ましくは200℃以下、特には180℃以下の条件で行うことが好ましい。
このような蒸留精製で、本発明で用いるジヒドロキシ化合物中の蟻酸含有量を20重量ppm以下、好ましくは10重量ppm以下、特に好ましくは5重量ppm以下にすることにより、前記本発明で用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物を共重合ポリカーボネート樹脂(A)の製造原料として使用した際に、重合反応性を損なうことなく色相や熱安定性に優れた共重合ポリカーボネート樹脂(A)の製造が可能となる。蟻酸含有量の測定はイオンクロマトグラフィーで行う。
(炭酸ジエステル)
本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)は、上述した本発明で用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得ることができる。用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記式(4)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)は、上述した本発明で用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得ることができる。用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記式(4)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記式(5)において、A1及びA2は、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数18の脂肪族炭化水素基、または、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基である。置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基であることが好ましく、無置換の芳香族炭化水素基であることがより好ましい。
前記式(5)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネートなどの置換ジアリールカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジ−t−ブチルカーボネートなどのジアルキルカーボネートが例示されるが、好ましくは置換ジフェニルカーボネートであり、特に好ましくはジフェニルカーボネートである。なお、炭酸ジエステルは、塩化物イオンなどの不純物を含む場合があり、重合反応を阻害したり、得られるポリカーボネート樹脂の色相を悪化させたりする場合があるため、必要に応じて、蒸留などにより精製したものを使用することが好ましい。
前記式(5)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネートなどの置換ジアリールカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジ−t−ブチルカーボネートなどのジアルキルカーボネートが例示されるが、好ましくは置換ジフェニルカーボネートであり、特に好ましくはジフェニルカーボネートである。なお、炭酸ジエステルは、塩化物イオンなどの不純物を含む場合があり、重合反応を阻害したり、得られるポリカーボネート樹脂の色相を悪化させたりする場合があるため、必要に応じて、蒸留などにより精製したものを使用することが好ましい。
<エステル交換反応触媒>
本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)は、上述のように本発明で用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と前記式(5)で表される炭酸ジエステルをエステル交換反応させて共重合ポリカーボネート樹脂(A)を製造する。より詳細には、エステル交換させ、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得られる。この場合、通常、エステル交換反応触媒存在下でエステル交換反応により重縮合を行う。
本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)は、上述のように本発明で用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と前記式(5)で表される炭酸ジエステルをエステル交換反応させて共重合ポリカーボネート樹脂(A)を製造する。より詳細には、エステル交換させ、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得られる。この場合、通常、エステル交換反応触媒存在下でエステル交換反応により重縮合を行う。
本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)の製造時に使用し得るエステル交換反応触媒(以下、単に触媒、重合触媒と言うことがある)は、特に透明性や色相に影響を与え得る。用いられる触媒としては、製造された共重合ポリカーボネート樹脂(A)の耐光性、透明性、色相、耐熱性、熱安定性、及び機械的強度のうち、とりわけて耐光性を満足させ得るものであれば、限定されないが、長周期型周期表における1族または2族(以下、単に「1族」、「2族」と表記する。)の金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性
リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物が挙げられる。好ましくは1族金属化合物及び/又は2族金属化合物が使用される。
リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物が挙げられる。好ましくは1族金属化合物及び/又は2族金属化合物が使用される。
1族金属化合物及び/又は2族金属化合物と共に、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用することも可能であるが、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物のみを使用することが特に好ましい。
また、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の形態としては通常、水酸化物、又は炭酸塩、カルボン酸塩、フェノール塩といった塩の形態で用いられるが、入手のし易さ、取扱いの容易さから、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、色相と重合活性の観点からは酢酸塩が好ましい。
また、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の形態としては通常、水酸化物、又は炭酸塩、カルボン酸塩、フェノール塩といった塩の形態で用いられるが、入手のし易さ、取扱いの容易さから、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、色相と重合活性の観点からは酢酸塩が好ましい。
1族金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素ニリチウム、リン酸水素二セシウム、フェニルリン酸ニナトリウム、フェニルリン酸二カリウム、フェニルリン酸二リチウム、フェニルリン酸二セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの二ナトリウム塩、ビスフェノールAの二カリウム塩、ビスフェノールAの二リチウム塩、ビスフェノールAの二セシウム塩などが挙げられ、中でもリチウム化合物が好ましい。
2族金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウムなどが挙げられ、中でもマグネシウム化合物、カルシウム化合物、バリウム化合物が好ましく、重合活性と得られるポリカーボネート樹脂の色相の観点から、マグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物が更に好ましく、最も好ましくはカルシウム化合物である。
塩基性ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素などのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩などが挙げられる。
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩などが挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、
テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、
テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリンなどが挙げられる。
上記の中でも、リチウム化合物及び長周期型周期表第2族の金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を触媒として用いるのが、ポリカーボネート樹脂の透明性、色相、耐光性などの種々の物性を優れたものとするために好ましい。
また、本発明のポリカーボネート樹脂の透明性、色相、耐光性を特に優れたものとするために、触媒が、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であるのが好ましい。
また、本発明のポリカーボネート樹脂の透明性、色相、耐光性を特に優れたものとするために、触媒が、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であるのが好ましい。
上記重合触媒の使用量は、好ましくは、重合に使用した全ジヒドロキシ化合物1mol当たり0.1μmol〜300μmol、更に好ましくは0.5μmol〜100μmolであり、中でもリチウム及び長周期型周期表における2族からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含む化合物を用いる場合、特にはマグネシウム化合物及び/またはカルシウム化合物を用いる場合は、金属量として、前記全ジヒドロキシ化合物1mol当たり、好ましくは、0.1μmol以上、更に好ましくは0.5μmol以上、特に好ましくは0.7μmol以上とする。また上限としては、好ましくは20μmol、更に好ましくは10μmol、特に好ましくは3μmol、最も好ましくは1.5μmol、中でも1.0μmolが好適である。
触媒量が少なすぎると、重合速度が遅くなるため結果的に所望の分子量の共重合ポリカーボネート樹脂(A)を得ようとすると、重合温度を高くせざるを得なくなり、得られた共重合ポリカーボネート樹脂(A)の色相や耐光性が悪化したり、未反応の原料が重合途中で揮発して本発明で用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と前記式(5)で表される炭酸ジエステルのモル比率が崩れ、所望の分子量に到達しない可能性がある。一方、重合触媒の使用量が多すぎると、得られる共重合ポリカーボネート樹脂(A)の色相の悪化を招き、共重合ポリカーボネート樹脂(A)の耐光性が悪化する可能性がある。
更に、前記式(5)で表される炭酸ジエステルとして、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネートなどの置換ジフェニルカーボネートを用い、本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)を製造する場合は、フェノール、置換フェノールが副生し、共重合ポリカーボネート樹脂(A)中に残存することは避けられないが、フェノール、置換フェノールも芳香環を有することから紫外線を吸収し、耐光性の悪化要因になる場合があるだけでなく、成形時の臭気の原因となる場合がある。共重合ポリカーボネート樹脂(A)中には、通常のバッチ反応後は1000重量ppm以上の副生フェノールなどの芳香環を有する、芳香族モノヒドロキシ化合物が含まれているが、耐光性や臭気低減の観点からは、脱揮性能に優れた横型反応器や真空ベント付の押出機を用いて、好ましくは700重量
ppm以下、更に好ましくは500重量ppm以下、特には300重量ppm以下にすることが好ましい。ただし、工業的に完全に除去することは困難であり、芳香族モノヒドロキシ化合物の含有量の下限は通常1重量ppmである。尚、これら芳香族モノヒドロキシ化合物は、用いる原料により、当然置換基を有していてもよく、例えば、炭素数が5以下であるアルキル基などを有していてもよい。
ppm以下、更に好ましくは500重量ppm以下、特には300重量ppm以下にすることが好ましい。ただし、工業的に完全に除去することは困難であり、芳香族モノヒドロキシ化合物の含有量の下限は通常1重量ppmである。尚、これら芳香族モノヒドロキシ化合物は、用いる原料により、当然置換基を有していてもよく、例えば、炭素数が5以下であるアルキル基などを有していてもよい。
また、1族金属、中でもナトリウム、カリウム、セシウムは、特にはリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムは、使用する触媒からのみではなく、原料や反応装置から混入する場合があるが、これらの金属が共重合ポリカーボネート樹脂(A)中に多く含まれると色相に悪影響を及ぼす可能性があるため、共重合ポリカーボネート樹脂(A)中のこれらの化合物の合計量は、少ない方が好ましく、金属量として、通常1重量ppm以下、好ましくは0.8重量ppm以下、より好ましくは0.7重量ppm以下である。
共重合ポリカーボネート樹脂(A)中の金属量は、従来公知の種々の方法により測定可能であるが、湿式灰化などの方法で共重合ポリカーボネート樹脂(A)中の金属を回収した後、原子発光、原子吸光、Inductively Coupled Plasma(ICP)などの方法を使用して測定することが出来る。
<共重合ポリカーボネート樹脂(A)の製造方法>
本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)は、本発明で用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と前記式(5)の炭酸ジエステルとをエステル交換反応により重縮合させることによって得られるが、原料であるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルは、エステル交換反応前に均一に混合することが好ましい。
混合の温度は通常80℃以上、好ましくは90℃以上であり、その上限は通常250℃以下、好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下である。中でも95℃以上120℃以下が好適である。混合の温度が低すぎると溶解速度が遅かったり、溶解度が不足する可能性があり、しばしば固化などの不具合を招きうる。混合の温度が高すぎるとジヒドロキシ化合物の熱劣化を招く場合があり、結果的に得られる共重合ポリカーボネート樹脂(A)の色相が悪化し、耐光性に悪影響を及ぼす可能性がある。
本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)は、本発明で用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と前記式(5)の炭酸ジエステルとをエステル交換反応により重縮合させることによって得られるが、原料であるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルは、エステル交換反応前に均一に混合することが好ましい。
混合の温度は通常80℃以上、好ましくは90℃以上であり、その上限は通常250℃以下、好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下である。中でも95℃以上120℃以下が好適である。混合の温度が低すぎると溶解速度が遅かったり、溶解度が不足する可能性があり、しばしば固化などの不具合を招きうる。混合の温度が高すぎるとジヒドロキシ化合物の熱劣化を招く場合があり、結果的に得られる共重合ポリカーボネート樹脂(A)の色相が悪化し、耐光性に悪影響を及ぼす可能性がある。
本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)の原料である本発明で用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と前記式(5)で表される炭酸ジエステルとを混合する操作は、酸素濃度10体積%以下、更には0.0001体積%〜10体積%、中でも0.0001体積%〜5体積%、特には0.0001体積%〜1体積%の雰囲気下で行うことが、色相悪化防止の観点から好ましい。
本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)を得るためには、前記式(5)で表される炭酸ジエステルは、反応に用いる本発明で用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物に対して、0.90〜1.20のモル比率で用いることが好ましく、さらに好ましくは、0.95〜1.10のモル比率である。
このモル比率が小さくなると、製造されたポリカーボネート樹脂の末端水酸基が増加して、ポリマーの熱安定性が悪化し、成形時に着色を招いたり、エステル交換反応の速度が低下したり、所望する高分子量体が得られない可能性がある。
このモル比率が小さくなると、製造されたポリカーボネート樹脂の末端水酸基が増加して、ポリマーの熱安定性が悪化し、成形時に着色を招いたり、エステル交換反応の速度が低下したり、所望する高分子量体が得られない可能性がある。
また、このモル比率が大きくなると、エステル交換反応の速度が低下したり、所望とする分子量の共重合ポリカーボネート樹脂(A)の製造が困難となる場合がある。エステル交換反応速度の低下は、重合反応時の熱履歴を増大させ、結果的に得られたポリカーボネート樹脂の色相や耐光性を悪化させる可能性がある。
更には、本発明で用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物に対して、前記式(5)で表される炭酸ジエステルのモル比率が増大すると、得られる共重合ポリカーボ
ネート樹脂(A)中の残存炭酸ジエステル量が増加し、これらが紫外線を吸収してポリカーボネート樹脂の耐光性を悪化させる場合がある。本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)に残存する炭酸ジエステルの濃度は、好ましくは200重量ppm以下、更に好ましくは100重量ppm以下、特に好ましくは60重量ppm以下、中でも30重量ppm以下が好適である。現実的に共重合ポリカーボネート樹脂(A)は未反応の炭酸ジエステルを含むことがあり、濃度の下限値は通常1重量ppmである。
更には、本発明で用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物に対して、前記式(5)で表される炭酸ジエステルのモル比率が増大すると、得られる共重合ポリカーボ
ネート樹脂(A)中の残存炭酸ジエステル量が増加し、これらが紫外線を吸収してポリカーボネート樹脂の耐光性を悪化させる場合がある。本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)に残存する炭酸ジエステルの濃度は、好ましくは200重量ppm以下、更に好ましくは100重量ppm以下、特に好ましくは60重量ppm以下、中でも30重量ppm以下が好適である。現実的に共重合ポリカーボネート樹脂(A)は未反応の炭酸ジエステルを含むことがあり、濃度の下限値は通常1重量ppmである。
本発明において、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを重縮合させる方法は、上述の触媒存在下、通常、複数の反応器を用いて多段階で実施される。反応の形式は、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよい。
重合初期においては、相対的に低温、低真空でプレポリマーを得、重合後期においては相対的に高温、高真空で所定の値まで分子量を上昇させることが好ましいが、各分子量段階でのジャケット温度と内温、反応系内の圧力を適切に選択することが色相や耐光性の観点から重要である。例えば、重合反応が所定の値に到達する前に温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが留出し、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比を狂わせ、重合速度の低下を招いたり、所定の分子量や末端基を持つポリマーが得られなかったりして結果的に本願発明の目的を達成することができない可能性がある。
重合初期においては、相対的に低温、低真空でプレポリマーを得、重合後期においては相対的に高温、高真空で所定の値まで分子量を上昇させることが好ましいが、各分子量段階でのジャケット温度と内温、反応系内の圧力を適切に選択することが色相や耐光性の観点から重要である。例えば、重合反応が所定の値に到達する前に温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが留出し、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比を狂わせ、重合速度の低下を招いたり、所定の分子量や末端基を持つポリマーが得られなかったりして結果的に本願発明の目的を達成することができない可能性がある。
更には、留出するモノマーの量を抑制するために、重合反応器に還流冷却器を用いることは有効であり、特に未反応モノマー成分が多い重合初期の反応器でその効果は大きい。還流冷却器に導入される冷媒の温度は使用するモノマーに応じて適宜選択することができるが、通常、還流冷却器に導入される冷媒の温度は該還流冷却器の入口において45℃〜180℃であり、好ましくは、80℃〜150℃、特に好ましくは100℃〜130℃である。還流冷却器に導入される冷媒の温度が高すぎると還流量が減り、その効果が低下し、低すぎると、本来留去すべきモノヒドロキシ化合物の留去効率が低下する傾向にある。冷媒としては、温水、蒸気、熱媒オイルなどが用いられ、蒸気、熱媒オイルが好ましい。
重合速度を適切に維持し、モノマーの留出を抑制しながら、最終的に得られる共重合ポリカーボネート樹脂(A)の色相や熱安定性、耐光性等を損なわないようにするためには、前述の触媒の種類と量の選定が重要である。
本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)は、触媒を用いて、複数の反応器を用いて多段階で重合させて製造することが好ましいが、重合を複数の反応器で実施する理由は、重合反応初期においては、反応液中に含まれるモノマーが多いために、必要な重合速度を維持しつつ、モノマーの揮散を抑制してやることが重要であり、重合反応後期においては、平衡を重合側にシフトさせるために、副生するモノヒドロキシ化合物を十分留去させることが重要になるためである。このように、異なった重合反応条件を設定するには、直列に配置された複数の重合反応器を用いることが、生産効率の観点から好ましい。
本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)は、触媒を用いて、複数の反応器を用いて多段階で重合させて製造することが好ましいが、重合を複数の反応器で実施する理由は、重合反応初期においては、反応液中に含まれるモノマーが多いために、必要な重合速度を維持しつつ、モノマーの揮散を抑制してやることが重要であり、重合反応後期においては、平衡を重合側にシフトさせるために、副生するモノヒドロキシ化合物を十分留去させることが重要になるためである。このように、異なった重合反応条件を設定するには、直列に配置された複数の重合反応器を用いることが、生産効率の観点から好ましい。
本発明の方法で使用される反応器は、上述の通り、少なくとも2つ以上であればよいが、生産効率などの観点からは、3つ以上、好ましくは3〜5つ、特に好ましくは、4つである。本発明において、反応器が2つ以上であれば、その反応器中で、更に条件の異なる反応段階を複数持たせる、連続的に温度・圧力を変えていくなどしてもよい。
本発明において、重合触媒は原料調製槽、原料貯槽に添加することもできるし、重合槽に直接添加することもできるが、供給の安定性、重合の制御の観点からは、重合槽に供給される前の原料ラインの途中に触媒供給ラインを設置し、好ましくは水溶液で供給する。
本発明において、重合触媒は原料調製槽、原料貯槽に添加することもできるし、重合槽に直接添加することもできるが、供給の安定性、重合の制御の観点からは、重合槽に供給される前の原料ラインの途中に触媒供給ラインを設置し、好ましくは水溶液で供給する。
重合反応の温度は、低すぎると生産性の低下や製品への熱履歴の増大を招き、高すぎるとモノマーの揮散を招くだけでなく、共重合ポリカーボネート樹脂(A)の分解や着色を助長する可能性がある。
具体的には、第1段目の反応は、重合反応器の内温の最高温度として、140〜270℃、好ましくは180〜240℃、更に好ましくは200〜230℃、圧力は絶対圧力として、110〜10,000Pa、好ましくは70〜5,000Pa、更に好ましくは30〜1000Pa、反応時間は0.1〜10時間、好ましくは0.5〜3時間、発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ留去しながら実施される。第2段目以降は、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げ、引き続き発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ除きながら、最終的には反応系の圧力(絶対圧力)を200Pa以下にして、内温の最高温度210℃〜270℃、好ましくは220℃〜250℃で、通常0.1時間〜10時間、好ましくは、1時間〜6時間、特に好ましくは0.5時間〜3時間行う。
具体的には、第1段目の反応は、重合反応器の内温の最高温度として、140〜270℃、好ましくは180〜240℃、更に好ましくは200〜230℃、圧力は絶対圧力として、110〜10,000Pa、好ましくは70〜5,000Pa、更に好ましくは30〜1000Pa、反応時間は0.1〜10時間、好ましくは0.5〜3時間、発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ留去しながら実施される。第2段目以降は、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げ、引き続き発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ除きながら、最終的には反応系の圧力(絶対圧力)を200Pa以下にして、内温の最高温度210℃〜270℃、好ましくは220℃〜250℃で、通常0.1時間〜10時間、好ましくは、1時間〜6時間、特に好ましくは0.5時間〜3時間行う。
特に共重合ポリカーボネート樹脂(A)の着色や熱劣化を抑制し、色相や耐光性の良好な共重合ポリカーボネート樹脂(A)を得るには、全反応段階における内温の最高温度が250℃未満、特に225℃〜245℃であることが好ましい。 また、重合反応後半の
重合速度の低下を抑止し、熱履歴による劣化を最小限に抑えるためには、重合の最終段階でプラグフロー性と界面更新性に優れた横型反応器を使用することが好ましい。
重合速度の低下を抑止し、熱履歴による劣化を最小限に抑えるためには、重合の最終段階でプラグフロー性と界面更新性に優れた横型反応器を使用することが好ましい。
所定の分子量の共重合ポリカーボネート樹脂(A)を得るために、重合温度を高く、重合時間を長くし過ぎると、透明性や色相が悪くなる傾向にある。
副生したモノヒドロキシ化合物は、資源有効活用の観点から、必要に応じ精製を行っ
た後、炭酸ジエステルやビスフェノールAなどの原料として再利用することが好ましい。
本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)は、上述の通り重縮合後、通常、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化される。ペレット化の方法は限定されるものではないが、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させてペレット化させる方法、最終重合反応器から溶融状態で一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法、又は、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させて一旦ペレット化させた後に、再度一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法などが挙げられる。
副生したモノヒドロキシ化合物は、資源有効活用の観点から、必要に応じ精製を行っ
た後、炭酸ジエステルやビスフェノールAなどの原料として再利用することが好ましい。
本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)は、上述の通り重縮合後、通常、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化される。ペレット化の方法は限定されるものではないが、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させてペレット化させる方法、最終重合反応器から溶融状態で一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法、又は、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させて一旦ペレット化させた後に、再度一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法などが挙げられる。
その際、押出機中で、残存モノマーの減圧脱揮や、通常知られている、熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤、難燃剤等を添加、混練することも出来る。押出機中の、溶融混練温度は、共重合ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度や分子量に依存するが、通常150℃〜300℃、好ましくは200℃〜270℃、更に好ましくは230℃〜260℃である。溶融混練温度が150℃より低いと、共重合ポリカーボネート樹脂(A)の溶融粘度が高く、押出機への負荷が大きくなり、生産性が低下する。300℃より高いと、共重合ポリカーボネート樹脂(A)の熱劣化が激しくなり、分子量の低下による機械的強度の低下や着色、ガスの発生を招く。
本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)を製造する際には、異物の混入を防止するため、フィルターを設置することが望ましい。フィルターの設置位置は押出機の下流側が好ましく、フィルターの異物除去の大きさ(目開き)は、99%除去の濾過精度として100μm以下が好ましい。特に、フィルム用途等で微少な異物の混入を嫌う場合は、40μm以下、さらには10μm以下が好ましい。
本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)の押出は、押出後の異物混入を防止するために、好ましくはJISB 9920(2002年)に定義されるクラス7、更に好ましくはクラス6より清浄度の高いクリーンルーム中で実施することが望ましい。
また、押出された共重合ポリカーボネート樹脂(A)を冷却しチップ化する際は、空冷、水冷などの冷却方法を使用するのが好ましい。空冷の際に使用する空気は、ヘパフィル
ター等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐのが望ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、さらにフィルターにて、水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは、99%除去の濾過精度として10μm〜0.45μmであることが好ましい。
また、押出された共重合ポリカーボネート樹脂(A)を冷却しチップ化する際は、空冷、水冷などの冷却方法を使用するのが好ましい。空冷の際に使用する空気は、ヘパフィル
ター等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐのが望ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、さらにフィルターにて、水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは、99%除去の濾過精度として10μm〜0.45μmであることが好ましい。
<共重合ポリカーボネート樹脂(A)の物性>
このようにして得られた本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)の分子量は、還元粘度で表すことができ、還元粘度は、通常0.30dL/g以上であり、0.35dL/g以上が好ましく、通常1.20dL/g以下であり、1.00dL/g以下が好ましく、0.80dL/g以下がより好ましい。
このようにして得られた本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)の分子量は、還元粘度で表すことができ、還元粘度は、通常0.30dL/g以上であり、0.35dL/g以上が好ましく、通常1.20dL/g以下であり、1.00dL/g以下が好ましく、0.80dL/g以下がより好ましい。
共重合ポリカーボネート樹脂(A)の還元粘度が低すぎると成形品の機械的強度が小さい可能性があり、大きすぎると、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。尚、還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート濃度を0.6g/dLに精密に調製し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定する。
更に本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)中の下記式(6)で表される末端基の濃度の下限量は、通常20μeq/g、好ましくは40μeq/g、特に好ましくは50μeq/gであり、上限は通常160μeq/g、好ましくは140μeq/g、特に好ましくは100μeq/gである。下記式(6)で表される末端基の濃度が、高すぎると重合直後や成形時の色相が良くても、紫外線曝露後の色相の悪化を招く可能性があり、逆に低すぎると熱安定性が低下する恐れがある。
下記式(6)で表される末端基の濃度を制御するには、原料である本発明で用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と前記式(5)で表される炭酸ジエステルのモル比率を制御する他、エステル交換反応時の触媒の種類や量、重合圧力や重合温度を制御する方法などが挙げられる。
また、本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)中の芳香環に結合した水素原子のモル数を(X)、芳香環以外に結合したHのモル数を(Y)とした場合、芳香環に結合した水素原子のモル数の全水素原子のモル数に対する比率は、X/(X+Y)で表されるが、耐光性には上述のように、紫外線吸収能を有する芳香族環が影響を及ぼす可能性があるため、X/(X+Y)は0.1以下であることが好ましく、更に好ましくは0.05以下、特に好ましくは0.02以下、好適には0.01以下である。X/(X+Y)は、1H−NMRで定量することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法などの通常知られている方法で成形物にすることができる。
また、本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)は、種々の成形を行う前に、必要に応じて、熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤、難燃剤などの添加剤を、タンブラー、スーパーミキサー、フ
ローター、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、押出機などで混合することもできる。
また、本発明で用いる共重合ポリカーボネート樹脂(A)は、種々の成形を行う前に、必要に応じて、熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤、難燃剤などの添加剤を、タンブラー、スーパーミキサー、フ
ローター、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、押出機などで混合することもできる。
上記共重合ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度は75℃以上、105℃以下であることが好ましく、80℃以上、105℃以下であることがより好ましく、85℃以上、105℃以下であることがさらに好ましい。ガラス転移温度がかかる範囲内の共重合ポリカーボネート樹脂(A)を用いることで、優れた耐熱性を有する成形品を提供することができる。
<官能基を有する多窒素化合物(B)>
本発明では、官能基を有する多窒素化合物(B)を用いることを特徴としている。官能基の具体例としては、メチル基、シアノ基、フェニル基、トルイル基、スルホニル基、アセチル基、アミノ基、アミド基が挙げられる。これらの中でも、難燃性の点から、スルホニル基、アミノ基が好ましく、アミノ基が特に好ましい。
本発明では、官能基を有する多窒素化合物(B)を用いることを特徴としている。官能基の具体例としては、メチル基、シアノ基、フェニル基、トルイル基、スルホニル基、アセチル基、アミノ基、アミド基が挙げられる。これらの中でも、難燃性の点から、スルホニル基、アミノ基が好ましく、アミノ基が特に好ましい。
多窒素化合物としては、樹脂加工条件での熱安定性の点から、グアニジン構造を有する化合物、ジアジン構造を有する化合物、トリアジン構造を有する化合物が好ましい。
グアニジン構造を有する化合物の具体例としては、シアノグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン、スルファグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、1,2,3−トリフェニルグアニジンなどが挙げられる。
グアニジン構造を有する化合物の具体例としては、シアノグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン、スルファグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、1,2,3−トリフェニルグアニジンなどが挙げられる。
ジアジン構造を有する化合物の具体例としては、ピラジン化合物、ピリミジン化合物、ピリダジン化合物が挙げられる。
ピラジン化合物としては2−アミノピラジン、2−アセチルピラジン、2,3−ジアミノピラジン、2,5−ジアミノピラジン、2,6−ジアミノピラジン、ピラジンアミド、2,3,5,6−テトラメチルピラジン、2,3−ジシアノ−5,6−ジアミノピラジン、2−アミノ−5−フェニルピラジンなどが挙げられる。
ピラジン化合物としては2−アミノピラジン、2−アセチルピラジン、2,3−ジアミノピラジン、2,5−ジアミノピラジン、2,6−ジアミノピラジン、ピラジンアミド、2,3,5,6−テトラメチルピラジン、2,3−ジシアノ−5,6−ジアミノピラジン、2−アミノ−5−フェニルピラジンなどが挙げられる。
ピリミジン化合物としては2−アミノピリミジン、4−アミノピリミジン、2−アミノ−4−メチルピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジアミノピリミジン、4,5−ジアミノピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメチルピリミジン、4-アミノ−
2,6−ジアミノピリミジン、2,4,6−トリアミノピリミジン、2−アミノ−4−メトキシ−6−メチルピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメトキシピリミジン、2,2‘−ビピリミジンなどが挙げられる。
2,6−ジアミノピリミジン、2,4,6−トリアミノピリミジン、2−アミノ−4−メトキシ−6−メチルピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメトキシピリミジン、2,2‘−ビピリミジンなどが挙げられる。
ピリダジン化合物としてはピリダジン、3−アミノピリダジンなどが挙げられる。
トリアジン構造を有する化合物の具体例としては、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミンシアヌレート、アセトグアナミンシアヌレート、ベンゾグアナミンシアヌレート、硫酸メラミン、硫酸アセトグアナミン、ほう酸メラミン、ほう酸アセトグアナミンが挙げられる。
トリアジン構造を有する化合物の具体例としては、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミンシアヌレート、アセトグアナミンシアヌレート、ベンゾグアナミンシアヌレート、硫酸メラミン、硫酸アセトグアナミン、ほう酸メラミン、ほう酸アセトグアナミンが挙げられる。
これらの化合物の内、工業的入手の容易さの点でシアノグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン、スルファグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、2−アミノ−4,6−ジメトキシピリミジン、2,4,6−トリアミノピリミジン、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、シアヌル酸、メラミンシアヌレート、硫酸メラミンが好ましく、シアノグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミンシアヌレート、硫酸メラミンがより好ましく、メラミン、アセトグアナミン、メラミンシアヌレート、硫酸メラミンが特に好ましく、メラミン、メラミンシアヌレート、硫酸メラミンが最も好ましい。
樹脂を加工条件での熱安定性の点から、官能基を有する多窒素化合物(B)が、空気雰囲気の下、室温から10℃/分の速度で昇温し、試料の重量減少を熱重量分析計(TG)にて測定した結果において、5%減量する温度が200℃以上であることが好ましく、220℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることが特に好ましい。
また官能基を有する多窒素化合物(B)は、それ自身が分解する際に架橋・縮合・炭化反応により難燃性化合物(p)を形成し、ポリカーボネート樹脂(A)の難燃化が発現すると考えられる。従って、一定の温度範囲における分解率もまた重要であり、440℃における重量減少率が30%以上であることが好ましい。
また官能基を有する多窒素化合物(B)は、それ自身が分解する際に架橋・縮合・炭化反応により難燃性化合物(p)を形成し、ポリカーボネート樹脂(A)の難燃化が発現すると考えられる。従って、一定の温度範囲における分解率もまた重要であり、440℃における重量減少率が30%以上であることが好ましい。
含有量としては、樹脂の難燃化の効率の点から、ポリカーボネート樹脂組成物(A)100重量部に対して、含窒素化合物(D)を1重量部以上であり、かつ100重量部以下含有することが好ましい。下限値としては、5重量部以上が好ましく、10重量部以上が特に好ましい。上限値としては、60重量部以下が好ましく、40重量部以下が特に好ましい。
なお、前記官能基を有する多窒素化合物(B)は単一の化合物、あるいは、複数の化合
物の混合物のどちらでも構わない。
なお、前記官能基を有する多窒素化合物(B)は単一の化合物、あるいは、複数の化合
物の混合物のどちらでも構わない。
<多価アルコール(C)>
本発明では、上述の樹脂組成物に対して、さらに多価アルコール(C)を用いることが好ましい。さらに、多価アルコール(C)としては1分子中に−O−H基を3つ以上有する化合物を用いることが好ましい。なかでも、官能基としての−O−H基の効率の点から、下限としては−O−H基は、4以上が好ましい。多価アルコールは、その縮合物または重合物であっても効果があることから、−O−H基の上限は特に制限されるものではないが、縮合度が高くなると一般的には分解温度が高くなるので、多価アルコールの分解温度の点から−O−H基の上限としては通常20以下が好ましく、12以下がより好ましく、8以下が更にこのましく、6以下が特に好ましい。
本発明では、上述の樹脂組成物に対して、さらに多価アルコール(C)を用いることが好ましい。さらに、多価アルコール(C)としては1分子中に−O−H基を3つ以上有する化合物を用いることが好ましい。なかでも、官能基としての−O−H基の効率の点から、下限としては−O−H基は、4以上が好ましい。多価アルコールは、その縮合物または重合物であっても効果があることから、−O−H基の上限は特に制限されるものではないが、縮合度が高くなると一般的には分解温度が高くなるので、多価アルコールの分解温度の点から−O−H基の上限としては通常20以下が好ましく、12以下がより好ましく、8以下が更にこのましく、6以下が特に好ましい。
化合物は、第3級炭素または第4級炭素を有する化合物が好ましく、第4級炭素構造が特に好ましい。第3級炭素または第4級炭素構造を有する化合物としては、具体的には、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、テトラペンタエリスリトール、アダマンタントリオール、没食子酸、レスベラトロールなどが挙げられ、工業的に入手が容易である点から、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、没食子酸が好ましく、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールが特に好ましい。
樹脂を加工する際の熱安定性の点から、多価アルコール(C)が、空気雰囲気の下、室温から10℃/分の速度で昇温し、試料の重量減少を熱重量分析計(TG)にて測定した結果において、5%減量する温度が200℃以上であることが好ましく、220℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることが特に好ましい。
本発明によると、官能基を有する多窒素化合物(B)を配合することによりポリカーボネート樹脂(A)の難燃化が達成されるが、これに多価アルコール(C)を更に配合することにより、難燃性がより向上する。多価アルコール(C)は、それ自身が分解する際に官能基を有する多窒素化合物(B)またはその分解物である難燃性化合物(p)と反応することにより、難燃性化合物(q)の形成を促進し、更には、多価アルコール(C)の分解物が架橋・縮合・炭化によって難燃性化合物(r)となって、ポリカーボネート樹脂(A)の難燃性を向上させると考えられる。
本発明によると、官能基を有する多窒素化合物(B)を配合することによりポリカーボネート樹脂(A)の難燃化が達成されるが、これに多価アルコール(C)を更に配合することにより、難燃性がより向上する。多価アルコール(C)は、それ自身が分解する際に官能基を有する多窒素化合物(B)またはその分解物である難燃性化合物(p)と反応することにより、難燃性化合物(q)の形成を促進し、更には、多価アルコール(C)の分解物が架橋・縮合・炭化によって難燃性化合物(r)となって、ポリカーボネート樹脂(A)の難燃性を向上させると考えられる。
従って多価アルコール(C)は、分解が進行する上限温度もまた重要であり、多価アルコール(C)が、空気雰囲気の下、室温から10℃/分の速度で昇温し、試料の重量減少を熱重量分析計(TG)にて測定した結果において、80%減量する温度が440℃以下で
あることが好ましく、400℃以下がより好ましく、380℃以下が特に好ましい。
含有量としては難燃性の改善効率の点で、ポリカーボネート樹脂組成物(A)100重量部に対して、多価アルコール(C)を0.1重量部以上含有することが好ましく、0.5重量部以上がより好ましく、1重量部以上が更に好ましく、2重量部以上が特に好ましい。上限量としては難燃性の面で特に制限されるものではないが、含有量が多すぎると樹脂物性が損なわれると考えられており、上限値としては100重量部以下含有することが好ましく、60重量部以下がより好ましく、40重量部以下が特に好ましい。
なお、前記多価アルコール(C)は単一の化合物、あるいは、複数の化合物の混合物のどちらでも構わない。
あることが好ましく、400℃以下がより好ましく、380℃以下が特に好ましい。
含有量としては難燃性の改善効率の点で、ポリカーボネート樹脂組成物(A)100重量部に対して、多価アルコール(C)を0.1重量部以上含有することが好ましく、0.5重量部以上がより好ましく、1重量部以上が更に好ましく、2重量部以上が特に好ましい。上限量としては難燃性の面で特に制限されるものではないが、含有量が多すぎると樹脂物性が損なわれると考えられており、上限値としては100重量部以下含有することが好ましく、60重量部以下がより好ましく、40重量部以下が特に好ましい。
なお、前記多価アルコール(C)は単一の化合物、あるいは、複数の化合物の混合物のどちらでも構わない。
<樹脂組成物のガラス転移温度>
前記ポリカーボネート樹脂(A)と、前記官能基を有する多窒素化合物(B)に加えて、さらに前記芳香族ポリカーボネート樹脂(D)を含有する場合の本発明の樹脂組成物(以下、「本樹脂組成物」ともいう)は、ガラス転移温度が単一となる特徴を有する樹脂組成物である。
本樹脂組成物のガラス転移温度が単一であるとは、本樹脂組成物について歪み0.1%、周波数10Hz、昇温速度3℃/分にて動的粘弾性の温度分散測定(JIS K7198A法(1991年)の動的粘弾性測定)により測定される損失正接(tanδ)の主分散のピークが1つ存在する、言い換えれば損失正接(tanδ)の極大値が1つ存在するという意味である。本樹脂組成物のガラス転移温度が単一であることにより、本樹脂組成物を用いて作製された成形体において、優れた透明性を実現できる。
前記ポリカーボネート樹脂(A)と、前記官能基を有する多窒素化合物(B)に加えて、さらに前記芳香族ポリカーボネート樹脂(D)を含有する場合の本発明の樹脂組成物(以下、「本樹脂組成物」ともいう)は、ガラス転移温度が単一となる特徴を有する樹脂組成物である。
本樹脂組成物のガラス転移温度が単一であるとは、本樹脂組成物について歪み0.1%、周波数10Hz、昇温速度3℃/分にて動的粘弾性の温度分散測定(JIS K7198A法(1991年)の動的粘弾性測定)により測定される損失正接(tanδ)の主分散のピークが1つ存在する、言い換えれば損失正接(tanδ)の極大値が1つ存在するという意味である。本樹脂組成物のガラス転移温度が単一であることにより、本樹脂組成物を用いて作製された成形体において、優れた透明性を実現できる。
本樹脂組成物のガラス転移温度が単一であることは、本樹脂組成物について上記動的粘弾性測定において測定される損失弾性率(E”)の主分散のピークが1つ存在する、言い換えれば損失弾性率(E”)の極大値が1つ存在するものであるということもできる。
また、上記動的粘弾性測定のほか、示差走査熱量測定などによってもガラス転移温度が単一であることを確認することができる。具体的には、JIS K7121(1987年)に準じて、加熱速度10℃/分で示差走査熱量計(DSC)を用いてガラス転移温度を測定した際に、ガラス転移温度を示す変曲点が1つだけ現れるものであるということもできる。
また、上記動的粘弾性測定のほか、示差走査熱量測定などによってもガラス転移温度が単一であることを確認することができる。具体的には、JIS K7121(1987年)に準じて、加熱速度10℃/分で示差走査熱量計(DSC)を用いてガラス転移温度を測定した際に、ガラス転移温度を示す変曲点が1つだけ現れるものであるということもできる。
一般的にポリマーブレンド組成物のガラス転移温度が単一であるということは、混合する樹脂が分子レベルで相溶した状態にあることを意味し、相溶している系と認めることができる。
本樹脂組成物のガラス転移温度は、上記の動的粘弾性の温度分散測定により測定される損失正接(tanδ)の主分散のピーク値を示す温度で表されるものである。すなわちこれが単一であるということから、前記ポリカーボネート樹脂(A)と前記芳香族ポリカーボネート樹脂(D)とは相溶性に優れているということができる。さらに、該ガラス転移温度は前記ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度以上、前記芳香族ポリカーボネート樹脂(D)のガラス転移温度以下の範囲に現われる。よって、本樹脂組成物は、耐熱性、耐衝撃性に優れているだけでなく、透明性にも優れた樹脂組成物である。
本樹脂組成物のガラス転移温度は、上記の動的粘弾性の温度分散測定により測定される損失正接(tanδ)の主分散のピーク値を示す温度で表されるものである。すなわちこれが単一であるということから、前記ポリカーボネート樹脂(A)と前記芳香族ポリカーボネート樹脂(D)とは相溶性に優れているということができる。さらに、該ガラス転移温度は前記ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度以上、前記芳香族ポリカーボネート樹脂(D)のガラス転移温度以下の範囲に現われる。よって、本樹脂組成物は、耐熱性、耐衝撃性に優れているだけでなく、透明性にも優れた樹脂組成物である。
前記ポリカーボネート樹脂(A)と前記官能基を有する多窒素化合物(B)と前記芳香族ポリカーボネート樹脂(D)の混合物中に占める前記芳香族ポリカーボネート樹脂(D)の割合は5質量%以上、50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上、40質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上、35質量%以下であることがさらに好ましい。前記芳香族ポリカーボネート樹脂(D)の割合を5質量%以上、50質量%以下とすることによって、耐候性を損なうことなく、耐熱性、耐衝撃性、流動性にも優れるため、屋外利用が主となる用途に対しても優れた樹脂組成物を提供することができる。
<その他の添加剤>
[熱安定剤]
本発明の樹脂組成物には、成形時における分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤を配合することができる。かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル) ペンタエリスリトー
ルジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)
オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル) ペンタエリスリトールジホスファイト
、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。 これらの熱安定剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
前記熱安定剤の配合量は、本発明の樹脂組成物100質量%に対して、0.0001質量%以上、1質量%以下の割合で配合することが好ましく、0.0005質量%以上、0.5質量%以下の割合で配合することがより好ましく、0.001質量%以上、0.2質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲で熱安定剤を配合することにより、添加剤のブリード等を生じることなく樹脂の分子量低下や変色を防止することができる。
[熱安定剤]
本発明の樹脂組成物には、成形時における分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤を配合することができる。かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル) ペンタエリスリトー
ルジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)
オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル) ペンタエリスリトールジホスファイト
、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。 これらの熱安定剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
前記熱安定剤の配合量は、本発明の樹脂組成物100質量%に対して、0.0001質量%以上、1質量%以下の割合で配合することが好ましく、0.0005質量%以上、0.5質量%以下の割合で配合することがより好ましく、0.001質量%以上、0.2質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲で熱安定剤を配合することにより、添加剤のブリード等を生じることなく樹脂の分子量低下や変色を防止することができる。
[酸化防止剤]
また、本発明の樹脂組成物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配合することができる。かかる酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート) 、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオ
プロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル
フェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の1種又は2種以上が挙げられる。前記酸化防止剤の配合量は、本発明の樹脂組成物100質量%に対して、0.0001質量%以上、1質量%以下の割合で配合することが好ましく、0.0005質量%以上、0.5質量%以下の割合で配合することがより好ましく、0.001質量%以上、0.2質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲で酸化防止剤を配合することにより、酸化防止剤のブリード、樹脂組成物からなる各種成形品の機械特性低下を生じることなく、樹脂の酸化劣化を防止することができる。
また、本発明の樹脂組成物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配合することができる。かかる酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート) 、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオ
プロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル
フェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の1種又は2種以上が挙げられる。前記酸化防止剤の配合量は、本発明の樹脂組成物100質量%に対して、0.0001質量%以上、1質量%以下の割合で配合することが好ましく、0.0005質量%以上、0.5質量%以下の割合で配合することがより好ましく、0.001質量%以上、0.2質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲で酸化防止剤を配合することにより、酸化防止剤のブリード、樹脂組成物からなる各種成形品の機械特性低下を生じることなく、樹脂の酸化劣化を防止することができる。
[滑剤]
また、本発明の樹脂組成物に対して表面滑性の付与を目的として、滑剤を配合することができる。前記滑剤としては、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基および/ また
はカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物に対して表面滑性の付与を目的として、滑剤を配合することができる。前記滑剤としては、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基および/ また
はカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
前記高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルが好ましい。かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸モノグリセリド、ベヘニン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ− ト、ソ
ルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。中でも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニルが好ましく用いられる。高級脂肪酸としては、炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸が好ましい。かかる脂肪酸としては、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。これらの滑剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。前記滑剤の配合量は、本発明の樹脂組成物100質量%に対して、0.0001質量%以上、1質量%以下の割合で配合することが好ましく、0.0005質量%以上、0.5質量%以下の割合で配合することがより好ましく、0.001質量%以上、0.2質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲で滑剤を配合することにより、滑剤のブリード、樹脂組成物からなる各種成形品の機械特性低下を生じることなく、樹脂組成物に表面滑性を付与することができる。
ルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。中でも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニルが好ましく用いられる。高級脂肪酸としては、炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸が好ましい。かかる脂肪酸としては、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。これらの滑剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。前記滑剤の配合量は、本発明の樹脂組成物100質量%に対して、0.0001質量%以上、1質量%以下の割合で配合することが好ましく、0.0005質量%以上、0.5質量%以下の割合で配合することがより好ましく、0.001質量%以上、0.2質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲で滑剤を配合することにより、滑剤のブリード、樹脂組成物からなる各種成形品の機械特性低下を生じることなく、樹脂組成物に表面滑性を付与することができる。
[紫外線吸収剤、光安定剤]
また、本発明の樹脂組成物の耐候性をさらに向上する目的で、紫外線吸収剤、光安定剤を配合することができる。かかる紫外線吸収剤、光安定剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2−(3−t
ert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)等が挙げられる。紫外線吸収剤の融点としては、特に120〜250℃の範囲にあるものが好ましい。融点が120℃ 以上の紫外線吸収剤を使用すると、成形品表面のガスによる曇りが減少し改善
される。具体的には、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2−(2 '−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル) −5−ク
ロロベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−3'−(3",4",5",6"−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5'−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレン
ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−
2−イル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が使用され、これらのうちでも、特に、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチ
レンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル) −6−(2H−ベンゾトリアゾ
ール−2−イル)フェノールが好ましい。これらの紫外線吸収剤、光安定剤は、1種を単
独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。 前記紫外線吸収剤、光安定剤の配合量
は、本発明の樹脂組成物100質量%に対して、0.0001質量%以上、1質量%以下の割合で配合することが好ましく、0.0005質量%以上、0.5質量%以下の割合で配合することがより好ましく、0.001質量%以上、0.2質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲で紫外線吸収剤、光安定剤を配合することにより、紫外線吸収剤、光安定剤のブリード、樹脂組成物からなる各種成形品の機械特性低下を生じることなく、樹脂組成物の耐候性を向上することができる。
また、本発明の樹脂組成物の耐候性をさらに向上する目的で、紫外線吸収剤、光安定剤を配合することができる。かかる紫外線吸収剤、光安定剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2−(3−t
ert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)等が挙げられる。紫外線吸収剤の融点としては、特に120〜250℃の範囲にあるものが好ましい。融点が120℃ 以上の紫外線吸収剤を使用すると、成形品表面のガスによる曇りが減少し改善
される。具体的には、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2−(2 '−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル) −5−ク
ロロベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−3'−(3",4",5",6"−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5'−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレン
ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−
2−イル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が使用され、これらのうちでも、特に、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチ
レンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル) −6−(2H−ベンゾトリアゾ
ール−2−イル)フェノールが好ましい。これらの紫外線吸収剤、光安定剤は、1種を単
独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。 前記紫外線吸収剤、光安定剤の配合量
は、本発明の樹脂組成物100質量%に対して、0.0001質量%以上、1質量%以下の割合で配合することが好ましく、0.0005質量%以上、0.5質量%以下の割合で配合することがより好ましく、0.001質量%以上、0.2質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲で紫外線吸収剤、光安定剤を配合することにより、紫外線吸収剤、光安定剤のブリード、樹脂組成物からなる各種成形品の機械特性低下を生じることなく、樹脂組成物の耐候性を向上することができる。
[エポキシ系化合物]
さらに、本発明の樹脂組成物の耐加水分解性をさらに向上するため、エポキシ系化合物を配合することができる。エポキシ系化合物の具体例としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポ
キシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシ−6'−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、2,3−エポ
キシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4−(3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシル) ブチル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチルー3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6'−メチルシロヘキシルカルボキシレート、ビスフェ
ノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAグリシジルエーテル、フタル酸のジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ビス−エポキシジシクロペンタジエニルエーテル、ビス−エポキシエチレングリコール、ビス−エポキシシクロヘキシルアジペート、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエチレンエポキシド、オクチルエポキシタレート、エポキシ化ポリブタジエン、3,4−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3,5−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3−メチル−5−t−ブチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、オクタデシル−2,2−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N−ブチル−2,2−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、シクロヘキシル−2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N−ブチル−2−イソプロピル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、オクタデシル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2−エチルヘキシル−3',4'−
エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,6−ジメチル−2,3−エポキシシクロヘキシル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,5−エポキシ無水
テトラヒドロフタル酸、3−t−ブチル−4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、ジエチル−4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート、ジ−N−ブチル−3−tブチル−4,5−エポキシ-シス−1,2−シクロヘキシルジカルボ
キシレートなどが挙げられる。ビスフェノールAジグリシジルエーテルが相溶性などの点から好ましい。前記エポキシ系化合物の配合量としては、本発明の樹脂組成物100質量%に対して、0.0001質量%以上、5質量%以下の割合で配合することが好ましく、0.001質量%以上、1質量%以下の割合で配合することがより好ましく、0.005
質量%以上、0.5質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲でエポキシ系化合物を配合することにより、エポキシ系化合物のブリード、樹脂組成物からなる各種成形品の機械特性低下を生じることなく、樹脂組成物の耐加水分解性を向上することができる。
さらに、本発明の樹脂組成物の耐加水分解性をさらに向上するため、エポキシ系化合物を配合することができる。エポキシ系化合物の具体例としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポ
キシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシ−6'−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、2,3−エポ
キシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4−(3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシル) ブチル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチルー3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6'−メチルシロヘキシルカルボキシレート、ビスフェ
ノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAグリシジルエーテル、フタル酸のジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ビス−エポキシジシクロペンタジエニルエーテル、ビス−エポキシエチレングリコール、ビス−エポキシシクロヘキシルアジペート、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエチレンエポキシド、オクチルエポキシタレート、エポキシ化ポリブタジエン、3,4−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3,5−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3−メチル−5−t−ブチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、オクタデシル−2,2−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N−ブチル−2,2−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、シクロヘキシル−2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N−ブチル−2−イソプロピル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、オクタデシル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2−エチルヘキシル−3',4'−
エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,6−ジメチル−2,3−エポキシシクロヘキシル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,5−エポキシ無水
テトラヒドロフタル酸、3−t−ブチル−4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、ジエチル−4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート、ジ−N−ブチル−3−tブチル−4,5−エポキシ-シス−1,2−シクロヘキシルジカルボ
キシレートなどが挙げられる。ビスフェノールAジグリシジルエーテルが相溶性などの点から好ましい。前記エポキシ系化合物の配合量としては、本発明の樹脂組成物100質量%に対して、0.0001質量%以上、5質量%以下の割合で配合することが好ましく、0.001質量%以上、1質量%以下の割合で配合することがより好ましく、0.005
質量%以上、0.5質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲でエポキシ系化合物を配合することにより、エポキシ系化合物のブリード、樹脂組成物からなる各種成形品の機械特性低下を生じることなく、樹脂組成物の耐加水分解性を向上することができる。
本発明の樹脂組成物には、その難燃性、耐衝撃性、耐熱性などの特徴を損なわない範囲で、前記以外にも、その他の樹脂や可塑剤、顔料、染料、充填剤等の添加剤をさらに配合することもできる。
<樹脂組成物の用途>
本発明の樹脂組成物は、フィルム、プレート、または、射出成形品等に成形することができる。具体的には、前記ポリカーボネート樹脂(A)、前記官能基を有する多窒素化合物(B)及び、必要に応じて前記芳香族ポリカーボネート樹脂(D)やその他の樹脂、添加剤等の原料を直接混合し、押出機或いは射出成型機に投入して成形するか、または、前記原料を二軸押出機を用いて溶融混合し、ストランド形状に押出してペレットを作成した後、このペレットを押出機或いは射出成型機に投入して成形する方法を挙げることができる。いずれの方法においても、前記ポリカーボネート樹脂(A)の加水分解による分子量の低下を考慮する必要があり、均一に混合させるためには後者を選択するのが好ましい。そこで、以下後者の製造方法について説明する。
本発明の樹脂組成物は、フィルム、プレート、または、射出成形品等に成形することができる。具体的には、前記ポリカーボネート樹脂(A)、前記官能基を有する多窒素化合物(B)及び、必要に応じて前記芳香族ポリカーボネート樹脂(D)やその他の樹脂、添加剤等の原料を直接混合し、押出機或いは射出成型機に投入して成形するか、または、前記原料を二軸押出機を用いて溶融混合し、ストランド形状に押出してペレットを作成した後、このペレットを押出機或いは射出成型機に投入して成形する方法を挙げることができる。いずれの方法においても、前記ポリカーボネート樹脂(A)の加水分解による分子量の低下を考慮する必要があり、均一に混合させるためには後者を選択するのが好ましい。そこで、以下後者の製造方法について説明する。
前記ポリカーボネート樹脂(A)、前記官能基を有する多窒素化合物(B)及び、必要に応じて前記芳香族ポリカーボネート樹脂(D)やその他の樹脂、添加剤を十分に乾燥して水分を除去した後、二軸押出機を用いて溶融混合し、ストランド形状に押出してペレットを作成する。この際、各原料の組成比や配合割合によって粘度が変化すること等を考慮して、溶融押出温度を適宜選択することが好ましい。具体的には、成形温度は220℃以上、260℃以下が好ましく、230℃以上、250℃以下がより好ましく、230℃以上、240℃以下がさらに好ましい。
前記方法にて作製したペレットは、十分に乾燥させて水分を除去した後、以下の方法でフィルム、プレート、または、射出成形品の成形を行うことができる。
フィルム及びプレートの成形方法としては、ロール延伸、テンター延伸法、チューブラー法、インフレーション法のほか、フィルムやプレートの成形方法として一般的なTダイキャスト法、プレス法などを採用することができる。
フィルム及びプレートの成形方法としては、ロール延伸、テンター延伸法、チューブラー法、インフレーション法のほか、フィルムやプレートの成形方法として一般的なTダイキャスト法、プレス法などを採用することができる。
また、射出成形体の成形方法は、特に限定されるものではなく、例えば熱可塑性樹脂用の一般射出成形法、ガスアシスト成形法及び射出圧縮成形法等の射出成形法を採用することができる。その他目的に合わせて、前記の方法以外でインモールド成形法、ガスプレス成形法、2色成形法、サンドイッチ成形法等を採用することもできる。
本発明の樹脂組成物から得られたフィルム、プレート、または、射出成形品は、難燃性、耐衝撃性、耐熱性に優れるため、本発明の樹脂組成物の用途は特に制限されるものではないが、例えば、建材、内装部品、樹脂被覆金属板用フィルム、成形(真空・圧空成形、熱プレス成形など)用フィルム、着色プレート、シュリンクチューブや、自動車内装材、家電製品筐体、各種部品、OA機器部品等の射出成形品等に使用できる。
本発明の樹脂組成物から得られたフィルム、プレート、または、射出成形品は、難燃性、耐衝撃性、耐熱性に優れるため、本発明の樹脂組成物の用途は特に制限されるものではないが、例えば、建材、内装部品、樹脂被覆金属板用フィルム、成形(真空・圧空成形、熱プレス成形など)用フィルム、着色プレート、シュリンクチューブや、自動車内装材、家電製品筐体、各種部品、OA機器部品等の射出成形品等に使用できる。
以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
[熱重量測定(TG)]
エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製示差熱熱重量測定装置TG/DTA−320を用いて熱重量測定(TG)を行った。アルミナ製容器に樹脂組成物を約2mg入れ、空気200mL/minの気流下で、室温から600℃まで10℃/minの割合で昇温
し、重量変化を測定した。
各実施例及び比較例において、以下の材料を用いた。
[熱重量測定(TG)]
エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製示差熱熱重量測定装置TG/DTA−320を用いて熱重量測定(TG)を行った。アルミナ製容器に樹脂組成物を約2mg入れ、空気200mL/minの気流下で、室温から600℃まで10℃/minの割合で昇温
し、重量変化を測定した。
各実施例及び比較例において、以下の材料を用いた。
[ポリカーボネート樹脂(A)]
<(A)−1>
イソソルビドに由来する構造単位/1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位=50/50(モル%)の比率で溶融重合法により共重合されてなる、ポリカーボネート樹脂(ガラス転移温度=101℃、還元粘度=0.57dl/g)
<(A)−2>
イソソルビドに由来する構造単位/1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位=70/30(モル%)の比率で溶融重合法により共重合されてなる、ポリカーボネート樹脂(ガラス転移温度=120℃、還元粘度=0.56dl/g)
<(A)−1>
イソソルビドに由来する構造単位/1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位=50/50(モル%)の比率で溶融重合法により共重合されてなる、ポリカーボネート樹脂(ガラス転移温度=101℃、還元粘度=0.57dl/g)
<(A)−2>
イソソルビドに由来する構造単位/1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位=70/30(モル%)の比率で溶融重合法により共重合されてなる、ポリカーボネート樹脂(ガラス転移温度=120℃、還元粘度=0.56dl/g)
[官能基を有する多窒素化合物(B)]
<(B)−1>
和光純薬工業社製、メラミン。熱重量測定(TG)の結果、5%減量する温度は277℃であり、440℃での重量減少率は100%であった。
<(B)−2>
BASF社製、MELAPUR MC25(メラミンシアヌレート)。熱重量測定(TG)の結果、5%減量する温度は353℃であり、440℃での重量減少率は100%であった。
<(B)−1>
和光純薬工業社製、メラミン。熱重量測定(TG)の結果、5%減量する温度は277℃であり、440℃での重量減少率は100%であった。
<(B)−2>
BASF社製、MELAPUR MC25(メラミンシアヌレート)。熱重量測定(TG)の結果、5%減量する温度は353℃であり、440℃での重量減少率は100%であった。
<(B)−3>
三和ケミカル社製、アピノン−901(硫酸メラミン)。熱重量測定(TG)の結果、5%減量する温度は334℃であり、440℃での重量減少率は40%であった。
[りんを含有する含窒素化合物(E)]
<(E)−1>
ブーデンハイム社製、TERRAJU C30(ポリりん酸アンモニウム)。熱重量測定(TG)の結果、5%減量する温度は320℃であり、440℃での重量減少率は26%であった。
三和ケミカル社製、アピノン−901(硫酸メラミン)。熱重量測定(TG)の結果、5%減量する温度は334℃であり、440℃での重量減少率は40%であった。
[りんを含有する含窒素化合物(E)]
<(E)−1>
ブーデンハイム社製、TERRAJU C30(ポリりん酸アンモニウム)。熱重量測定(TG)の結果、5%減量する温度は320℃であり、440℃での重量減少率は26%であった。
<(E)−2>
三和ケミカル社製、MPP−A(ポリりん酸アンモニウム)。熱重量測定(TG)の結果、5%減量する温度は343℃であり、440℃での重量減少率は23%であった。
[試験片の作成]
表−1に記載の構成材料を、株式会社東洋精機製ラボプラストミルを用いて、200℃、80回転/分で4分間混練し、各樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を粉砕後、熱プレスにより200℃で、125mm×13mm×3mmの板状に成型し、試験片とした。
三和ケミカル社製、MPP−A(ポリりん酸アンモニウム)。熱重量測定(TG)の結果、5%減量する温度は343℃であり、440℃での重量減少率は23%であった。
[試験片の作成]
表−1に記載の構成材料を、株式会社東洋精機製ラボプラストミルを用いて、200℃、80回転/分で4分間混練し、各樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を粉砕後、熱プレスにより200℃で、125mm×13mm×3mmの板状に成型し、試験片とした。
[燃焼試験]
得られた成型体について、 UL−94に規定される20mm垂直燃焼試験の条件に準拠した難燃性試験を実施した。
具体的には試験片(成型体)を垂直に立て、その下端部にメタンガスのバーナーで10秒間接炎することにより実施した。その際、バーナーはASTM D5025に適合したものを用い、バーナーへメタンガスを105ml/分で供給し、バーナーから高さ20mm±1mmの青い炎になるように調節した。接炎を開始してから炎が消える(ドリップをともなって炎が消えるのも含む)もしくは試験片が燃え尽きて燃焼が終了するまでの時間を燃焼継続時間とした。
それらの結果より次に示した判断基準により難燃性を判断し表−1に示した。
得られた成型体について、 UL−94に規定される20mm垂直燃焼試験の条件に準拠した難燃性試験を実施した。
具体的には試験片(成型体)を垂直に立て、その下端部にメタンガスのバーナーで10秒間接炎することにより実施した。その際、バーナーはASTM D5025に適合したものを用い、バーナーへメタンガスを105ml/分で供給し、バーナーから高さ20mm±1mmの青い炎になるように調節した。接炎を開始してから炎が消える(ドリップをともなって炎が消えるのも含む)もしくは試験片が燃え尽きて燃焼が終了するまでの時間を燃焼継続時間とした。
それらの結果より次に示した判断基準により難燃性を判断し表−1に示した。
[燃焼試験結果の判断基準]
◎:燃焼継続時間が20秒以下のもの。
○:燃焼継続時間が40秒以下のもの。
△:燃焼継続時間が120秒以下のもの。
×:燃焼継続時間が120秒を超えるもの。
※○または◎の結果のものが本願の効果を有するものである。
表−1に示した結果からあきらかなように、本発明の樹脂組成物は難燃性に優れていることが分かる。
◎:燃焼継続時間が20秒以下のもの。
○:燃焼継続時間が40秒以下のもの。
△:燃焼継続時間が120秒以下のもの。
×:燃焼継続時間が120秒を超えるもの。
※○または◎の結果のものが本願の効果を有するものである。
表−1に示した結果からあきらかなように、本発明の樹脂組成物は難燃性に優れていることが分かる。
Claims (9)
- 官能基を有する多窒素化合物が、熱重量分析において、5%重量減する温度が200℃以上であり、440℃での重量減少率が30%以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- ポリカーボネート樹脂組成物(A)100重量部に対して、官能基を有する多窒素化合物(B)を1重量部以上であり、かつ100重量部以下含有することを特徴とする請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 官能基を有する多窒素化合物がグアニジン構造を有する化合物、ジアジン構造を有する化合物およびトリアジン構造を有する化合物の何れから選ばれる1つ以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 官能基を有する多窒素化合物がメラミン、メラミンシアヌレートおよび硫酸メラミンからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)として、シクロヘキサンジメタノール類に由来する構造単位を含むものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記共重合ポリカーボネート樹脂(A)における脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)が50mol%以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるポリカーボネート樹脂成形品。
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-
2012
- 2012-10-29 JP JP2012237956A patent/JP2014088472A/ja active Pending
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