JP2013209584A - ポリカーボネート樹脂組成物及びポリカーボネート樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
ネート樹脂、酸化チタン及びブルーイング剤を含み、かつ酸化チタンを特定量含むポリカーボネート樹脂組成物が白色度、白色維持性等に優れることを有することを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明の要旨は下記[1]〜[7]に存する。
[1] 構造の一部に下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂(A)、酸化チタン(B)、及びブルーイング剤(C)を含むポリカーボネート樹脂組成物であって、前記ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、酸化チタン(B)を0.3〜8重量部含むポリカーボネート樹脂組成物。
[2] 前記ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、前記ブルーイング剤(C)を0.1×10−5〜10.0×10−4重量部含む、[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3] 前記ブルーイング剤(C)がアンスラキノン系染料である、[1]又は[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4] 前記ポリカーボネート樹脂(A)が前記式(1)で表される部位を有する構造単位として環状エーテル構造を有する構造単位を含む、[1]乃至[3]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[5] 前記ポリカーボネート樹脂(A)が前記式(1)で表される構造単位として下記式(2)で表される構造単位を含む、[1]乃至[4]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[7] 射出成形法により成形されたものである、[6]に記載のポリカーボネート樹脂成形品。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、構造の一部に下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂(A)、酸化チタン(B)、及びブルーイング剤(C)を含むポリカーボネート樹脂組成物であって、前記ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、酸化チタン(B)を0.3〜8重量部含むものである。また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、白色度、白色維持性等に特に優れるという特長を有する。
本発明において、「白色度」とは、より鮮明な白色を示す度合いを意味するものであり、その評価基準としてL*値を採用する。L*値の測定方法は後掲の実施例において詳述するが、L*値の値が大きいほど白色度に優れたものと評価する。
本発明において、「白色維持性」とは、紫外線照射後での白色を維持する度合いを意味するものであり、その評価基準としてΔL*値を採用する。ΔL*値の測定方法は後掲の実施例において詳述するが、ΔL*値の値が大きいほど白色維持性に優れたものと評価され、特にΔL*値の値が正の数であると良好である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、構造の一部に前記式(1)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂(A)を含む。ポリカーボネート樹脂(A)は従来の芳香族ポリカーボネートと比較して耐光性に優れるという特長を有するため、ポリカーボネート樹脂組成物とした場合に白色維持性に優れたものとすることができる。
(ジヒドロキシ化合物)
構造の一部に前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物(ジヒドロキシ化合物(α))としては、具体的には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のオキシアルキレングリコール類、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキ
シエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等、側鎖に芳香族基を有し、主鎖に芳香族基に結合したエーテル基を有する化合物や、下記式(2)、(3)及び(4)で表される分子内に環状エーテル構造を有する化合物が挙げられる。
ソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのジヒドロキシ化合物(α)のうち、芳香環構造を有しないジヒドロキシ化合物を用いることがポリカーボネート樹脂(A)の耐光性の観点から好ましく、中でも植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、耐光性、光学特性、成形性、耐熱性、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。
脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物(ジヒドロキシ化合物(β))は、直鎖脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物、直鎖分岐脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物、脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物等が挙げられる。これらの中でも脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物が好ましい。
ロヘキサンジメタノールが特に好ましい。
シド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等の塩基性アンモニウム化合物、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等のアミン系化合物が挙げられる。これらの中でも、その効果と後述する蒸留除去のしやすさから、ナトリウム又はカリウムのリン酸塩、亜リン酸塩が好ましく、その中でもリン酸水素二ナトリウム、亜リン酸水素二ナトリウムが好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)は、上述した本発明に用いるジヒドロキシ
化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得ることができる。用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記式(5)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記式(5)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジアリール、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等の置換ジアルキルが例示されるが、好ましくは置換ジアリールであり、置換ジアリールの中でもジフェニルカーボネートが好ましい。なお、炭酸ジエステルは、塩化物イオン等の不純物を含む場合があり、重合反応を阻害したり、得られるポリカーボネート樹脂の色相を悪化させたりする場合があるため、必要に応じて、蒸留等により精製したものを使用することが好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)は、通常、上述のように本発明に用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と前記式(5)で表される炭酸ジエステルとをエステル交換反応させてポリカーボネート樹脂(A)を製造する。より詳細には、エステル交換させ、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得られる。この場合、通常、エステル交換反応触媒存在下でエステル交換反応により重縮合を行う。
用いられる触媒としては、顕著な物性低下を招くものでなければ特に制限されないが、通常使用可能なものとして、長周期型周期表における1族又は2族(以下、単に「1族」、「2族」と表記する。)の金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物等が挙げられる。これらの中でも1族金属化合物及び/又は2族金属化合物が好ましく用いられる。
水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二リチウム、リン酸水素二セシウム、フェニルリン酸二ナトリウム、フェニルリン酸二カリウム、フェニルリン酸二リチウム、フェニルリン酸二セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの二ナトリウム塩、二カリウム塩、二リチウム塩、二セシウム塩等が挙げられ、中でもリチウム化合物が好ましい。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)中の金属量は、従来公知の種々の方法により測定可能であるが、湿式灰化等の方法でポリカーボネート樹脂(A)中の金属を回収した後、原子発光、原子吸光、Inductively Coupled Plasma(ICP)等の方法を使用して測定することが出来る。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)は、本発明に用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と前記式(5)の炭酸ジエステルとをエステル交換反応により重縮合させることによって得られるが、原料であるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルは、エステル交換反応前に均一に混合することが好ましい。
混合の温度は通常80℃以上、好ましくは90℃以上であり、その上限は通常250℃以下、好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下である。中でも95℃以上120℃以下が好適である。混合の温度が低すぎると溶解速度が遅かったり、溶解度が不足する可能性があり、しばしば固化等の不具合を招く。混合の温度が高すぎるとジヒドロキシ化合物の熱劣化を招く場合があり、結果的に得られるポリカーボネート樹脂(A)の色相が悪化し、耐光性に悪影響を及ぼす可能性がある。
重合初期においては、相対的に低温、低真空でプレポリマーを得、重合後期においては相対的に高温、高真空で所定の値まで分子量を上昇させることが好ましいが、各分子量段階でのジャケット温度と内温、反応系内の圧力を適切に選択することが色相や耐光性の観点から重要である。例えば、重合反応が所定の値に到達する前に温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが留出し、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのmol比を狂わせ、重合速度の低下を招くことがある。
還流冷却器に導入される冷媒の温度は使用するモノマーに応じて適宜選択することができるが、通常、還流冷却器に導入される冷媒の温度は該還流冷却器の入口において45℃〜180℃であり、好ましくは、80℃〜150℃、特に好ましくは100℃〜130℃である。還流冷却器に導入される冷媒の温度が高すぎると還流量が減り、その効果が低下し、低すぎると、本来留去すべきモノヒドロキシ化合物の留去効率が低下する傾向にある。冷媒としては、温水、蒸気、熱媒オイル等が用いられ、蒸気、熱媒オイルが好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)は、触媒を用いて、複数の反応器を用いて多段階で重合させて製造することが好ましいが、重合を複数の反応器で実施する理由は、重合反応初期においては、反応液中に含まれるモノマーが多いために、必要な重合速度を維持しつつ、モノマーの揮散を抑制してやることが重要であり、重合反応後期においては、平衡を重合側にシフトさせるために、副生するモノヒドロキシ化合物を十分留去させることが重要になるためである。このように、異なった重合反応条件を設定するには、直列に配置された複数の重合反応器を用いることが、生産効率の観点から好ましい。
本発明において、重合触媒は原料調製槽、原料貯槽に添加することもできるし、重合槽に直接添加することもできるが、供給の安定性、重合の制御の観点からは、重合槽に供給される前の原料ラインの途中に触媒供給ラインを設置し、好ましくは水溶液で供給する。
具体的には、第1段目の反応は、重合反応器の内温の最高温度として、140〜270℃、好ましくは180〜240℃、更に好ましくは200〜230℃、圧力は絶対圧力として、110kPa〜10kPa、好ましくは70kPa〜5kPa、更に好ましくは30kPa〜1kPa、反応時間は0.1〜10時間、好ましくは0.5〜3時間、発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ留去しながら実施される。第2段目以降は、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げ、引き続き発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ除きながら、最終的には反応系の圧力(絶対圧力)を200Pa以下にして、内温の最高温度210℃〜270℃、好ましくは220℃〜250℃で、通常0.1時間〜10時間、好ましくは、1時間〜6時間、特に好ましくは0.5時間〜3時間行う。
下を抑止し、熱履歴による劣化を最小限に抑えるためには、重合の最終段階でプラグフロー性と界面更新性に優れた横型反応器を使用することが好ましい。
副生したモノヒドロキシ化合物は、資源有効活用の観点から、必要に応じ精製を行っ
た後、炭酸ジフェニルやビスフェノールA等の原料として再利用することが好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)は、上述の通り重縮合後、通常、冷却固化
させ、回転式カッター等でペレット化される。ペレット化の方法は限定されるものではないが、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させてペレット化させる方法、最終重合反応器から溶融状態で一軸又は二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法、又は、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させて一旦ペレット化させた後に、再度一軸又は二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法等が挙げられる。
が150℃より低いと、ポリカーボネート樹脂(A)の溶融粘度が高く、押出機への負荷が大きくなり、生産性が低下する。300℃より高いと、ポリカーボネート樹脂(A)の熱劣化が激しくなり、分子量の低下による機械的強度の低下や着色、ガスの発生を招きうる。
また、押出されたポリカーボネート樹脂(A)を冷却しチップ化する際は、空冷、水冷等の冷却方法を使用するのが好ましい。空冷の際に使用する空気は、ヘパフィルター等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐのが望ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、さらにフィルターにて、水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは、99%除去の濾過精度として10μm〜0.45μmであることが好ましい。
このようにして得られた本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)の分子量は、還元粘度で表すことができ、還元粘度は、通常0.30dL/g以上であり、0.35dL/g以上が好ましく、通常1.20dL/g以下であり、1.00dL/g以下が好ましく、0.80dL/g以下がより好ましい。
あることが好ましく、90℃以上であることが好ましく、110℃以上であることが更に好ましい。なお、ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度Tgは、前記構造単位(a)に加えて構造単位(b)を適宜選択して導入することなどにより制御することができる。
前記式(6)で表される末端基の濃度を制御するには、原料である本発明に用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と前記式(6)で表される炭酸ジエステルのmol比率を制御する他、エステル交換反応時の触媒の種類や量、重合圧力や重合温度を制御する方法等が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、前記ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、酸化チタン(B)を0.3〜8重量部含む。酸化チタンは一般的に反射率が高
く、優れた白色度を得ることのできる顔料として知られている。本発明においても酸化チタン(B)はポリカーボネート樹脂組成物の白色度を得るために使用されるものであるが、本発明は、酸化チタン(B)を上記特定量とし、かつ後で説明するブルーイング剤(C)と共に用いたときに、白色度のみならず白色維持性も特に優れたものが得られるという知見に基づくものである。
通常、酸化チタンで市販されているものでは、耐候性や分散性、ハンドリング性向上等の観点から、シリカ、アルミナ、ジルコニア等の無機表面処理剤により、表面処理が施されている場合が多い。しかしシリカは吸水性が高く、水分の影響を受けやすいので、無機表面処理剤としては、アルミナやジルコニアが好ましい。酸化チタン(B)の無機表面処理剤の量は、適宜選択して決定すればよい。ただし、例えば、酸化チタン等において表面処理剤の含有量が酸化チタンに対して多すぎると、酸化チタン表面に無機処理層が形成され、その吸着水により、これを含むポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるポリカーボネート樹脂成形品において、外観不良や、燃焼時のドリッピングが増加する場合がある。逆に少なすぎても分散性が不十分となる等、改良効果が不十分となることがある。これらの観点からこの表面処理剤の量は、酸化チタン(B)に対して0.1〜5重量%であることが好ましい。
また、酸化チタン(B)の結晶形態も特に制限はなく、ルチル型、アナターゼ型等、い
ずれも使用することができる。特に、ルチル型の酸化チタンは、酸化チタン自体の白色度、光線反射性及び耐光性の点で優れているために好ましい。
酸化チタン(B)は市販品として入手することができる。市販品の例としては、デュポン社製タイピュア(登録商標)シリーズ、デュポン社製タイセレクト(登録商標)シリーズ、石原産業社製タイペーク(登録商標)等が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物においては、ブルーイング剤は、ポリカーボネート樹脂(A)や酸化チタン(B)による黄色味を打ち消し、より鮮明な白色度、及び白色維持性を得るために配合する。本発明のポリカーボネート樹脂組成物において、ブルーイング剤(C)の含有量は、ポリカーボネート樹脂を100重量部に対し、0.1×10−5〜10.0×10−4重量部の割合で配合されることが好ましい。配合割合が少な過ぎると黄色味の打ち消し効果が少なく、多すぎると白色度が低下する傾向にある。これらの効果を更に良好に得る観点から、ブルーイング剤(C)の含有量は、より好ましくは0.3×10−5重量部以上であり、更に好ましくは0.5×10−5重量部以上であり、一方、より好ましくは5.0×10−4重量部以下であり、更に好ましくは2.0×10−4重量部以下である。
本発明において、ポリカーボネート樹脂(A)に配合する上記のブルーイング剤(C)の配合時期、配合方法は特に限定されない。配合時期としては、例えば、重合反応前に原料とともに添加しそのまま重合を行う方法;重合反応終了時に配管や押出機で配合、混合する方法;ポリカーボネート樹脂と他の配合剤との混練途中等のポリカーボネート樹脂が溶融した状態のときに押出機等を用い、配合、混合する方法;ペレット又は粉末等の固体状態のポリカーボネート樹脂とブレンド・混練する方法等が挙げられるが、重合反応終了後に押出機を使って配合、混合する方法が、ブルーイング剤(C)の分散性を良好にし、鮮明な白色度を得やすいため好ましい。特に重縮合反応終了後に溶融状態のまま押出機に導入し、ブルーイング剤を配合すると熱履歴や酸素混入の影響を最小限に抑えられるため好ましい。配合方法としては、例えば、ポリカーボネート樹脂(A)にブルーイング剤(C)を直接混合又は混練する方法;少量のポリカーボネート樹脂又は他の樹脂等とブルーイング剤(C)を用いて作成した高濃度のマスターバッチとして混合する方法等が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は更に酸化防止剤を含有することが好ましい。酸化防止剤を用いる場合、その配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、好ましくは0.0001重量部以上であり、より好ましくは、0.001重量部以上であり、
更に好ましくは0.01重量部以上であり、一方、好ましくは1重量部以下であり、より好ましくは0.5重量部以下であり、更に好ましくは0.3重量部以下である。酸化防止剤の含有量が上記下限値以上であると成形時の着色抑制効果が良好となる傾向があるために好ましい。一方、酸化防止剤の含有量が上記上限値以下であると射出成形時における金型への付着物が少なくなったり、押出成形によりフィルムを成形する際にロールへの付着物が少なくなったりすることにより、製品の表面外観がより良好となる傾向にあるために好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これらの化合物の中でも、炭素数5以上のアルキル基によって1つ以上置換された芳香族モノヒドロキシ化合物が好ましく、具体的には、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が好ましく、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが更に好ましい。
ファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが更に好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、離型剤を含むことが好ましい。離型剤を用いる場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、好ましくは0.001重量部以上であり、より好ましくは0.01重量部以上であり、更に好ましくは0.1重量部以上であり、一方、好ましくは2重量部以下であり、より好ましくは1重量部以下であり、更に好ましくは0.5重量部以下である。離型剤の含有量が上記下限値以上であると、成形時、成形品が金型から離型しやすくなり、成形品が取得しやすいという利点があるために好ましい。一方、離型剤の含有量が上記上限値以下であると、成形時に金型付着物が減少しやくなる傾向にあり、大量に成形を実施した場合には金型の整備の労力を軽減することができ、また、成形品は外観が良好となる傾向にあるため好ましい。
ステアリン酸エステルとしては、置換又は無置換の炭素数1〜炭素数20の一価又は多価アルコールとステアリン酸との部分エステル又は全エステルが好ましい。かかる一価又は多価アルコールとステアリン酸との部分エステル又は全エステルとしては、エチレングリコールジステアレート、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、ブチルステアレート、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等がより好ましい。なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリルステアレートが更に好ましく、エチレングリコールジステアレート、ステアリン酸モノグリセリドが特に好ましい。
に、重合法に関わらず、ポリカーボネート樹脂と他の配合剤との混練途中等のポリカーボネート樹脂が溶融した状態;押出機等を用い、ペレット又は粉末等の固体状態のポリカーボネート樹脂とブレンド・混練する際等が挙げられる。添加方法としては、ポリカーボネート樹脂に離型剤を直接混合又は混練する方法;少量のポリカーボネート樹脂又は他の樹脂等と離型剤を用いて作成した高濃度のマスターバッチとして添加することもできる。
以下に本発明のポリカーボネート樹脂組成物に配合可能な成分を挙げる。これらの成分は本発明の効果を著しく阻害しない範囲で用いることができ、以下の説明において単に「ポリカーボネート樹脂」という場合はポリカーボネート樹脂(A)と意味するものとし、また、特に断らない限りは各成分の「重量部」はポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対する配合量を意味するものとする。ただし、以下に挙げる各成分においては、前述のポリカーボネート樹脂(A)、酸化チタン(B)、ブルーイング剤(C)、酸化防止剤及び離型剤に該当するものは含まないものとする。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には本発明の目的を損なわない範囲で、スチルベンベンゾオキサゾール誘導体、蛍光増白剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、酸性化合物、紫外線吸収助剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤等を適宜配合することが可能である。ただし、以下にあげる成分は使用可能なものの代表例であり、本発明において、以下に挙げるもの以外の成分を配合することを妨げるものではない。
い。中でも30重量%以上、更には40重量%以上、特に50重量%以上であることが好ましい。4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベンの含有量が低すぎると、得られるポリカーボネート樹脂組成物や樹脂成形体における光反射性、耐光性、色相等の改良が不十分となる場合がある。
充填剤の配合量は、0重量部以上100重量部以下である。充填剤の配合量は、好ましくは50重量部以下、より好ましくは40重量部以下、更に好ましくは35重量部以下である。充填剤を配合することによりポリカーボネート樹脂組成物の補強効果が得られるが、100重量部より多く配合すると外観が悪くなる傾向にある。
ガラスフレークとしては、鱗片状のガラスフレークが挙げられる。ポリカーボネート樹脂を配合後のガラスフレークの最大径は、一般的には1000μm以下、好ましくは1μm〜500μmであり、且つアスペクト比(最大径と厚み途の比)が5以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは30以上である。
炭素繊維としては、特に限定されず、例えば、アクリル繊維、石油又は炭素系特殊ピッ
チ、セルロース繊維、リグニン等を原料として焼成によって製造されたものであって、耐炎質、炭素質、黒鉛質等の種々のものが挙げられる。炭素繊維のアスペクト比(繊維長/繊維径)の平均は、好ましくは10以上であり、より好ましくは50以上である。アスペクト比の平均が過度に小さいと、ポリカーボネート樹脂組成物の導電性、強度、剛性が低下する傾向がある。炭素繊維の径は3μm〜15μmであり、上記のアスペクト比に調整するために、チョップドストランド、ロービングストランド、ミルドファイバー等のいずれの形状も使用できる。炭素繊維は、1種又は2種以上混合して用いることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には更に酸性化合物を含有していてもよい。酸性化合物を使用する場合には、酸性化合物の配合量は、酸性化合物を通常、0.00001重量部以上0.1重量部以下、好ましくは、0.0001重量部以上0.01重量部以下、さらに好ましくは0.0002重量部以上0.001重量部以下である。酸性化合物の配合量が0.00001重量部以上であると、射出成形する際に、ポリカーボネート樹脂組成物の射出成形機内の滞留時間が長くなった場合における着色抑制の点で好ましいが、酸性化合物の配合量が0.1重量部より多いと、ポリカーボネート樹脂組成物の耐加水分解性が低下する場合がある。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には本発明の目的を損なわない範囲で、紫外線吸収剤(ただし、本発明においてはブルーイング剤(C)は「紫外線吸収剤」とはみなさないこととする。)を配合することができる。紫外線吸収剤の配合量は、紫外線吸収剤の種類に応じて適宜選択することが可能であるが、本発明においてはポリカーボネート樹脂組成物全体に対して、紫外線吸収剤0重量部〜5重量部である。
紫外線吸収能を有する有機化合物の分子量は特に限定されないが、通常200以上、好ましくは250以上である。また。通常600以下、好ましくは450以下、より好ましくは400以下である。分子量が過度に小さいと、長期間使用での耐紫外線性能の低下を引き起こす可能性がある。分子量が過度に大きいと、長期間使用での樹脂組成物の透明性低下を引き起こす可能性がある。
マロン酸エステル系化合物としては、2−(1−アリールアルキリデン)マロン酸エステル類、テトラエチル−2,2‘−(1,4−フェニレン−ジメチリデン)−ビスマロネート等が挙げられる。
シュウ酸アニリド系化合物としては、2−エチル−2’−エトキシ−オキサルアニリド(Clariant社製、SanduvorVSU)等が挙げられる。
3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エ
チレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアミノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6)−テトラメチル−4−ピペリジル−1、6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物等が挙げられる。なかでもビス(2,2,6,
6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートが好ましい。
本実施の形態において、ポリカーボネート樹脂組成物に配合する蛍光増白剤、充填剤、酸性化合物、紫外線吸収助剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤等の成分の添加時期、添加方法は特に限定されない。添加時期としては、例えば、エステル交換法でポリカーボネート樹脂を製造した場合は重合反応終了時;さらに、重合法に関わらず、ポリカーボネート樹脂、他の配合剤との混練途中等のポリカーボネート樹脂又はポリカーボネート樹脂組成物が溶融した状態や、押出機等を用い、ペレット又は粉末等の固体状態のポリカーボネート樹脂組成物とブレンド・混練する際等が挙げられる。添加方法としては、ポリカーボネート樹脂に各種成分を直接混合又は混練する方法、少量のポリカーボネート樹脂組成物又は他の樹脂等と各種成分を用いて作成した高濃度のマスターバッチとして添加する方法等が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形することによりポリカーボネート樹脂成形品が得られる。ポリカーボネート樹脂成形品を得る方法としては、ポリカーボネート樹脂(A)、酸化チタン(B)、ブルーイング剤(C)及び必要に応じてその他の樹脂や添加剤等の原料を直接混合し、押出機或いは射出成形機に投入して成形する方法、前記原料を二軸押出機を用いて溶融混合し、ストランド形状に押出してペレットを作製した後、このペレットを押出機或いは射出成形機に投入して成形する方法等が挙げられる。ポリカーボネート樹脂成形品の成形方法は特に限定されず、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法等の成形方法を用いることができるが、成形品の形状の自由度の観点から射出成形法が好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなるポリカーボネート樹脂成形品は、鮮明な白色度を有し、白色維持性に特に優れたものである。このため、CPUの筐体、携帯電話の筐体等の各種電気・電子機器の筐体;自動車内装部材、自動車外装部材等の各種自動車部材;各種雑貨用品等、耐衝撃性をある程度有しながら、その意匠性が重視されるために鮮明な白色が求められるような各種用途等において特に有用である。ただし、本発明を適用可能な用途は上記の例示に何ら制限されず、本発明の要旨を越えない範囲であればいずれの用途にも適用することができる。
以下の実施例・比較例において用いた原料は以下の通りである。なお、以下の記載の中で用いた化合物の略号は次の通りである。
・ISB:イソソルビド
・CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール
・DPC:ジフェニルカーボネート
(a−1):ISB/CHDMのmol比7:3のポリカーボネート樹脂(ジヒドロキシ化合物としてISB、CHDM、炭酸ジエステルとしてDPCを用いて得られたものである(ガラス転移温度Tg:130℃)。)
(a−2):ISB/CHDMのmol比5:5のポリカーボネート樹脂(ジヒドロキシ化合物としてISB、CHDM、炭酸ジエステルとしてDPCを用いて得られたものである(ガラス転移温度Tg:112℃)。)
(a−3):ポリカーボネート樹脂(ジヒドロキシ化合物としてISB、炭酸ジエステルとしてDPCを用いて得られたものである(ガラス転移温度Tg:158℃)。)
(b−1):デュポン社製 タイピュア(登録商標)R−103(塩素法により得られた酸化チタンである。)
(b−2):デュポン社製 タイピュア(登録商標)R−101(塩素法により得られた酸化チタンである。)
[ブルーイング剤(C)]
(c−1):住化ケムテックス社製Sumiplast(登録商標)Blue SR
(c−2):住化ケムテックス社製Sumiplast(登録商標)Violet B
(c−3):住化ケムテックス社製Sumiplast(登録商標)Blue S
(c−4):住化ケムテックス社製Sumiplast(登録商標)Blue G
[酸化防止剤]
(d−1):ADEKA社製アデカスタブ21128(ホスファイト系酸化防止剤)
(d−2):BASF・ジャパン社製イルガノックス(登録商標)1010(フェノール系酸化防止剤)
(e−1):理研ビタミン社製リケマール(登録商標)S−100A(ステアリン酸モノグリセリド)
〔ポリカーボネート樹脂組成物の物性・特性の測定・評価〕
ポリカーボネート樹脂組成物の白色度及び白色維持度は下記に記載する方法により測定・評価した。
白色度の評価基準としてJIS K7105(1981年)に準拠したL*値を採用し、L*値の値が大きいものほど白色度に優れるものと評価した。まず、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、窒素雰囲気下、100℃で10時間乾燥した。次に、乾燥したポリカーボネート樹脂組成物のペレットを射出成形機(日本製鋼所社製J75EII型)に供給し、樹脂温度220℃、成形サイクル23秒間の条件で、射出成形片(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)を成形する操作を繰り返し、10ショット目〜20ショット目で得られた射出成形片を用いた。た射出成形片の厚み方向でのL*値をカラーテスタ(コニカミノルタ社製CM−3700d)を用いて測定し、平均値を算出した。
白色維持性の評価基準としてΔL*値を採用した。ΔL*値は以下の紫外線照射試験前後でのL*値の差であり、以下の式で表され、この値が小さいほど白色維持性に優れるものと評価し、特にΔL*値が正の数であると良好であると評価した。
[ΔL*値]=[ΔL*値(紫外線照射試験後)]−[ΔL*値(紫外線照射試験前)]
紫外線照射試験については、スガ試験機社製メタリングウェザーメーターM6Tを用い、63℃、相対湿度50%の条件下、光源として水平式メタリングランプを、インナーフィルターとして石英を、またランプの周囲にアウターフィルターとして#500のフィルターを取り付け、波長300nm〜400nmの放射照度1.5kw/m2になるように設定し、上記1)で得られた10ショット目〜20ショット目の平板(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)の正方形の面に対して、100時間照射処理を行った。紫外線照射後のL*値(紫外線照射試験後)を上記1)のL*値(紫外線照射試験後)と同様に測定し、ΔL*値を求めた。
表−1に示す配合組成となるように、ポリカーボネート樹脂として(a−1)、酸化チタンとして(b−1)、ブルーイング剤として(c−1)、更に酸化防止剤として(d−1)及び(d−2)、並びに離型剤として(e−1)を2つのベント口を有する日本製鋼所社製2軸押出機(LABOTEX30HSS−32)を用いて、出口の樹脂温が250℃になるようにストランド状に押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。この際、ベント口は真空ポンプに連結し、ベント口での圧力が500Paになるように制御した。このようにして得られたポリカーボネート樹脂のペレットを用い、先の1)及び2)に示した方法により、白色度及び白色維持性を評価した。これらの評価結果を表−1に示す。
実施例1に対して、表−1に示すように配合組成を変更した以外は実施例1と同様にポリカーボネート樹脂組成物を製造した。また、実施例1と同様にして白色度及び白色維持性を評価した。結果を表−1に示す。
表−1に示すように実施例1、比較例1及び比較例2は同一の原料を用いた例であり、比較例1は酸化チタンの配合量を少なくし、比較例2は酸化チタンの配合量を多くしたものである。白色度を示すL*値は実施例1が比較例1及び比較例2のいずれよりも高かった。更には白色維持性を示すΔL*値より比較例1及び比較例2が紫外線照射後に白色度が低下したことを示しているが、実施例1では白色維持性が低下しなかった。
Claims (7)
- 前記ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、前記ブルーイング剤(C)を0.1×10−5〜10.0×10−4重量部含む、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ブルーイング剤(C)がアンスラキノン系染料である、請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート樹脂(A)が前記式(1)で表される部位を有する構造単位として環状エーテル構造を有する構造単位を含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるポリカーボネート樹脂成形品。
- 射出成形法により成形されたものである、請求項6に記載のポリカーボネート樹脂成形品。
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