JP2014086258A - 非水電解液二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】内部短絡の発生が抑制され、より高い電池性能を発揮し得る非水電解液二次電池を提供すること。
【解決手段】本発明により提供される非水電解液二次電池は、正極10と負極20を含む捲回電極体と非水電解液とを備える。ここで、負極の捲回軸方向の一の端部には露出している負極集電体26が配置されており、他の一の端部には負極活物質層24の一部である領域Aとして、正極活物質層に対向しない非対向部ANFからなる領域、あるいは非対向部ANFとそれに近接する対向部の一部AFとから構成される領域、が設けられている。上記領域Aは少なくとも黒鉛材料と増粘剤とを備える。また、上記領域AにおけるX線回折法に基づくピーク回折強度の比I(110)/I(002)は、上記領域Aに含まれない対向部(領域B)よりも大きく、且つ領域AにおけるI(110)/I(002)の値が0.01以上0.5以下である。
【選択図】図4
【解決手段】本発明により提供される非水電解液二次電池は、正極10と負極20を含む捲回電極体と非水電解液とを備える。ここで、負極の捲回軸方向の一の端部には露出している負極集電体26が配置されており、他の一の端部には負極活物質層24の一部である領域Aとして、正極活物質層に対向しない非対向部ANFからなる領域、あるいは非対向部ANFとそれに近接する対向部の一部AFとから構成される領域、が設けられている。上記領域Aは少なくとも黒鉛材料と増粘剤とを備える。また、上記領域AにおけるX線回折法に基づくピーク回折強度の比I(110)/I(002)は、上記領域Aに含まれない対向部(領域B)よりも大きく、且つ領域AにおけるI(110)/I(002)の値が0.01以上0.5以下である。
【選択図】図4
Description
本発明は、非水電解液二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池その他の非水電解液二次電池は、既存の電池に比べ、小型、軽量かつ高エネルギー密度であって、出力密度にも優れる。このため、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源、車両搭載用電池(例えば車両駆動用電源)等として好ましく用いられている。
この種の非水電解液二次電池では、電荷担体(リチウムイオン二次電池ではリチウムイオン)が、電解液を介して、正負の活物質間を行き来することによって充放電が行われる。ところが、例えば温度の高い状態や充電深度(SOC:State of Charge)の高い状態等が続いた場合、電解液中に正極活物質の構成元素(典型的には遷移金属元素)が溶出することがある。そして、該溶出した遷移金属元素は、電荷担体と反応して負極の端部(例えば、正極活物質層と対向しない部位)に析出し、不可逆的に固定される場合がある。かかる場合、当該析出部位に微小な短絡が発生したり、或いは充放電サイクルの繰り返しによって充放電に寄与し得る電荷担体の量が減少して電池容量が低下したりすることがあり得る。これに係る技術として、例えば特許文献1が挙げられる。
上記反応は負極端部において起こり易いため、本発明者らはかかる部位における電荷担体の吸蔵能を低く抑えることで、不可逆的に吸蔵される電荷担体の量を低減しようと考えた。しかしながら、電荷担体の吸蔵能を抑えることは他の電池性能(例えば、入出力特性)の悪化につながる虞がある。本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、主に負極端部における微短絡の発生を抑制し、より高い電池性能を発揮し得る(例えば、高いサイクル特性と優れた入出力特性とを両立し得る)非水電解液二次電池の提供を目的とする。
そこで、本発明者らがさらに鋭意検討を重ねた結果、上記課題を解決し得る手段を見出し、本発明を完成させた。本発明により提供される非水電解液二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)は、正極と負極とを備えた捲回電極体と、非水電解液と、が所定の電池ケースに収容された構成である。上記正極は、長尺状の正極集電体と、該集電体の長手方向に沿って所定の幅で形成された正極活物質層とを備える。上記負極は、長尺状の負極集電体と、該集電体の長手方向に沿って上記正極活物質層を超える幅で形成された負極活物質層とを備える。また、上記負極の捲回軸方向の一の端部には、上記負極活物質層が形成されずに露出している上記負極集電体が配置されており、上記負極の捲回軸方向の他の一の端部には、上記負極活物質層の一部である領域Aとして、上記正極活物質層に対向しない非対向部からなる領域、あるいは上記非対向部に加えて近接する上記正極活物質層に対向する対向部の一部とから構成される領域Aが設けられている。そして、上記領域Aには、少なくとも黒鉛材料と増粘剤とが備えられており、上記領域AにおけるX線回折法に基づく(002)面のピーク強度I(002)と(110)面のピーク強度I(110)との比(I(110)/I(002))は、上記領域Aに含まれない上記対向部よりも大きく、且つ上記領域AにおけるI(110)/I(002)の値は、0.01以上0.5以下である。
負極端部(典型的には正極活物質層の非対向部)にI(110)/I(002)比の高い領域Aを有することによって、不可逆的に吸蔵される電荷担体の量を抑制し得る。このため、正極電位の過度な上昇を抑えることができ、正極活物質からの構成元素(典型的には金属元素、例えばMn元素)の溶出を好適に抑制することができる。したがって、ここで開示される電池は、例えばSOC(State of Charge)が高い状態で長期間保存した場合であっても、内部短絡等の不具合や電池容量の低下が生じ難い。加えて、捲回軸方向の一の端部にのみ領域Aを設けること、および領域Aに増粘剤を含むことによって、電極体の幅方向における電解液の含浸性を維持向上し得、負極活物質層内に電解液が好適に含浸し得る。したがって、上記構成によれば、内部抵抗が低く、耐久性(サイクル特性や保存特性)と入出力特性とを高いレベルで両立可能な非水電解液二次電池を実現し得る。
なお、本明細書において「非水電解液二次電池」とは常温(例えば25℃)において液状を呈する非水電解液(典型的には、非水溶媒中に支持塩を含む電解液)を備えた電池をいう。また、「リチウムイオン二次電池」とは、支持塩としてリチウムイオンを利用し、正負極間のリチウムイオンの移動により充放電が実現される二次電池をいう。
ここで開示される好適な一態様では、上記黒鉛材料は粒子状である。そして、上記領域Aに含まれる黒鉛粒子全体を100個数%としたときに、少なくとも50個数%の該黒鉛粒子で、炭素六角網面と上記負極集電体表面とのなす角θが60°≦θ≦90°である。上記構成によれば、負極活物質層の非対向部において、不可逆的に吸蔵される電荷担体の量を好適に抑制することができる。このため、内部短絡等の不具合の発生をより一層低減し得、高い耐久性を発揮することができる。したがって、本願発明の効果をより高いレベルで発揮し得る。
このような負極は、例えば、(1)少なくとも黒鉛材料と増粘剤とを含むスラリー状またはペースト状の組成物を用意すること;(2)上記用意した組成物を、長尺状の負極集電体の表面に長手方向に沿って正極活物質層を超える幅で塗布すること;(3)塗布された組成物の一部領域に対して、負極集電体の表面と直交する方向の磁場を印加すること;(4)磁場の印加後に、組成物を乾燥して負極活物質層を形成すること;によって作製し得る。
なお、本発明のように捲回電極体を用いた場合、主に負極活物質層の幅方向の端部から電解液が含浸し得る。このため、後述する試験例にも示す通り、負極活物質層の全ての領域に含まれる黒鉛材料に対して負極集電体の表面と直交する方向の磁場を印加した場合、換言すれば負極活物質層全てを領域Aとした場合は、負極の幅方向における電解液の含浸性が低いため負極活物質層内に電解液が含浸し難く、入出力特性が大きく悪化する虞がある。
ここで開示される好適な一態様では、上記負極の捲回軸方向の一の端部から他の一の端部に向かう方向として規定される幅方向において、上記負極活物質層の長さLに対する上記領域Aの長さLaの比(La/L)は0.05以上0.3以下である。La/L≧0.05を満たす場合、負極活物質層の非対向部において不可逆的に吸蔵される電荷担体の量を好適に抑制し得る。さらに、La/L≦0.3を満たす場合、電解液の含浸性を好適に確保し得るため、高い入出力特性を発揮し得る。このため、本願発明の効果をより高いレベルで発揮することができる。
ここで開示される好適な一態様では、上記増粘剤は温度上昇に伴って粘度が上昇する感温性増粘剤である。感温性増粘剤を含むことによって、室温より高い温度環境下(例えば50℃以上の高温環境下)において、負極活物質層と電解液との親和性(換言すれば、電解液の含浸性)が一層向上し得る。さらに、感温性増粘剤は電荷担体(典型的にはリチウムイオン)の移動を抑制するように作用し得るため、これによって正極活物質から溶出した成分(典型的には金属元素)と電荷担体とが反応して不可逆的に固定されることを抑制し得、充放電に寄与できなくなる電荷担体の量を低減し得る。かかる反応は正極活物質層に対向しない部位(非対向部)で起こりやすいため、上記非対向部を含む領域Aに感温性増粘剤を含ませることで電池特性を高いレベルに維持しながら、高温保存時の容量劣化を効果的に抑制することができる。このような性質を有する感温性増粘剤としては、例えばβ−1,3−グルカンを含む直鎖状または分岐鎖状(好適には直鎖状)の多糖類が挙げられる。なかでも、カードランを好ましく採用し得る。
なお、本明細書において「感温性増粘剤」とは、常温(20℃〜30℃)では増粘作用を示さないが、加熱等の温度上昇に伴って該増粘剤が含まれている組成物(液状、ペースト状、スラリー状であり得る。)の粘度を上昇させる性質を有する増粘剤をいう。
ここで開示される非水電解液二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)は、内部短絡等の不具合の発生が抑制され、サイクル特性と入出力特性とを高いレベルで両立し得る。例えば、耐性が高く、高温環境であっても長期に渡り優れた入出力密度を発揮し得る。したがって、かかる特徴を活かして、例えばハイブリッド車両や電気車両の動力源(駆動電源)として好適に利用し得る。このため、ここで開示される他の側面として上記非水電解液二次電池を備えた車両が提供される。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、正極活物質や負極活物質の製造方法、電池の構築に係る一般的技術等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、非水電解液二次電池の一形態として、リチウムイオン二次電池を例に説明する場合があるが、本発明の適用対象をかかる形態に限定する意図ではない。
特に限定することを意図したものではないが、以下では本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池の概略構成として、扁平に捲回された電極体(捲回電極体)と非水電解液とを扁平な直方体形状の容器に収容した形態の非水電解液二次電池を例として、本発明を詳細に説明する。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池の概略構成を図1〜図4に示す。
図1および図2に示すように、非水電解液二次電池100は、扁平な直方体形状の電池ケース50と、該電池ケース内に収容される捲回電極体80とを備える。また、該電池ケース内には図示しない非水電解液(非水電解液)が収容されている。かかる構成の非水電解液二次電池100は、例えば、ケース50の開口部から電極体80を内部に収容し、該ケース50の開口部に蓋体54を取り付けた後、蓋体54に設けられた図示しない電解液注入孔から非水電解液を注入し、次いでかかる注入孔を塞ぐことによって構築される。
図1および図2に示すように、非水電解液二次電池100は、扁平な直方体形状の電池ケース50と、該電池ケース内に収容される捲回電極体80とを備える。また、該電池ケース内には図示しない非水電解液(非水電解液)が収容されている。かかる構成の非水電解液二次電池100は、例えば、ケース50の開口部から電極体80を内部に収容し、該ケース50の開口部に蓋体54を取り付けた後、蓋体54に設けられた図示しない電解液注入孔から非水電解液を注入し、次いでかかる注入孔を塞ぐことによって構築される。
電池ケース50は、上端が開放された扁平な直方体状の電池ケース本体52と、その開口部を塞ぐ蓋体54とを備えている。電池ケース50の上面(すなわち蓋体54)には、電池ケース内部で発生したガスをケースの外部に排出するための安全弁55が備えられている。蓋体54にはまた、捲回電極体80の正極10と電気的に接続する正極端子70および捲回電極体80の負極20と電気的に接続する負極端子72が設けられている。
図3に示すように、捲回電極体80は、長尺シート状の正極(正極シート)10と、長尺シート状の負極(負極シート)20とを備える。正極シート10は、長尺状の正極集電体12とその少なくとも一方の表面(典型的には両面)に長手方向に沿って形成された正極活物質層14とを備える。負極シート20は、長尺状の負極集電体22とその少なくとも一方の表面(典型的には両面)に長手方向に沿って形成された負極活物質層24とを備える。正極活物質層14と負極活物質層24との間は、両者の直接接触を防ぐ絶縁層が配置されている。ここに示す例では、上記絶縁層として2枚の長尺シート状のセパレータ40を使用している。図3に示す形態の捲回電極体80は、例えば、正極シート10、セパレータシート40、負極シート20、セパレータシート40の順に重ね合わせた積層体を長手方向に捲回し、得られた捲回体を側面方向から押圧して拉げさせることによって扁平形状に成形される。
捲回電極体80の幅方向(捲回方向に直交する方向)の中心部には、正極集電体12の表面に形成された正極活物質層14と、負極集電体22の表面に形成された負極活物質層24とが重なり合って密に積層された部分が形成されている。また、正極シート10の幅方向の一方の端部には、正極活物質層14が形成されずに(あるいは除去されて)正極集電体12が露出した部分(正極活物質層非形成部16)が設けられている。この正極活物質層非形成部16は、セパレータシート40および負極シート20からはみ出た状態となっている。すなわち、捲回電極体80の幅方向の一端には、正極集電体12の正極活物質層非形成部16が重なり合った正極集電体積層部が形成されている。また、捲回電極体80の幅方向の他端にも、上記一端の正極シート10の場合と同様に、負極集電体22の負極活物質層非形成部26が重なり合った負極集電体積層部が形成されている。そして、正極集電体積層部には正極集電板が、負極集電体積層部には負極集電板が、それぞれ付設され、上記正極端子70(図2)および上記負極端子72(図2)とそれぞれ電気的に接続されている。
図4に示すように、負極活物質層24の幅b1は、正極活物質層14の幅a1よりも広くなるように構成(形成)されている。このため、正極シート10と負極シート20とを重ねあわせたとき(典型的には正極シート10と負極シート20とを重ねあわせて捲回したとき)に、負極活物質層24は、正極活物質層14に対向する対向部と正極活物質層14に対向しない非対向部とを有する。また、負極活物質層24は、領域Aと、領域A以外の領域B(対向部の大部分を含む領域)と、から構成される。領域Aは、非対向部ANFから構成される領域あるいは非対向部ANFとそれに近接する対向部の一部AFとから構成される領域(図4に示す形態では、後者)である。そして、この領域Aと領域Bとでは、構成材料やX線回折におけるピーク回折強度比I(110)/I(002)が異なるが、この点については後述する。また、セパレータ40の幅は、負極活物質層24の幅b1よりも広くなるように構成(形成)されている。このように正極活物質層14および負極活物質層24の積層部分に挟むようにセパレータ40を配することで、正極活物質層14および負極活物質層24が互いに接触して内部短絡が生じることを防いでいる。
次に、上述の非水電解液二次電池を構成する各構成要素について順に説明する。
≪正極10≫
正極10は、正極集電体12と、該正極集電体上に形成された少なくとも正極活物質を含む正極活物質層14とを備えている。このような正極10は、正極活物質と必要に応じて用いられる導電材やバインダ(結着剤)等とを適当な溶媒に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物(正極活物質スラリー)を、金属箔からなる正極集電体12に付与し、該組成物を乾燥させることにより好ましく作製することができる。正極集電体12には、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性部材を好適に使用し得る。また正極集電体12の形状は特に限定されず、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。正極集電体12の厚さも特に限定されず、例えば5μm〜30μmとすることができる。
正極10は、正極集電体12と、該正極集電体上に形成された少なくとも正極活物質を含む正極活物質層14とを備えている。このような正極10は、正極活物質と必要に応じて用いられる導電材やバインダ(結着剤)等とを適当な溶媒に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物(正極活物質スラリー)を、金属箔からなる正極集電体12に付与し、該組成物を乾燥させることにより好ましく作製することができる。正極集電体12には、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性部材を好適に使用し得る。また正極集電体12の形状は特に限定されず、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。正極集電体12の厚さも特に限定されず、例えば5μm〜30μmとすることができる。
正極活物質としては、従来から非水電解液二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。例えば、リチウムと少なくとも一種の遷移金属元素とを構成金属元素として含む、層状構造やスピネル構造等のリチウム遷移金属化合物;ポリアニオン型(例えばオリビン型)のリチウム遷移金属化合物;等を用いることができる。より具体的には、例えば以下(a)〜(d)の化合物を用いることができる。
(a)一般式:LiMO2で表わされる、典型的には層状構造のリチウム遷移金属化合物(酸化物)。ここで、Mは、Ni,Co,Mn等の遷移金属元素の少なくとも一種を含み、他の金属元素または非金属元素をさらに含み得る。上記複合酸化物としては、例えば、上記遷移金属元素を一種含むいわゆる一元系リチウム遷移金属複合酸化物、上記遷移金属元素を二種含むいわゆる二元系リチウム遷移金属複合酸化物、遷移金属元素としてNi、CoおよびMnを構成元素として含む三元系リチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。なかでも、三元系リチウム遷移金属複合酸化物が好ましい。具体例としては、Li〔Ni1/3Co1/3Mn1/3〕O2等が挙げられる。
(b)一般式:Li2MO3で表わされるリチウム遷移金属化合物(酸化物)。ここで、Mは、Mn,Fe,Co等の遷移金属元素の少なくとも一種を含み、他の金属元素または非金属元素をさらに含み得る。具体例としては、Li2MnO3,Li2PtO3等が挙げられる。
(c)LiMO2とLi2MO3との固溶体。ここで、LiMO2は上記(a)に記載の一般式で表わされる組成を指し、Li2MO3は上記(b)に記載の一般式で表わされる組成を指す。具体例としては、0.5LiNiMnCoO2−0.5Li2MnO3で表される固溶体が挙げられる。
(d)一般式:LiMPO4Aqで表わされるポリアニオン型のリチウム遷移金属化合物(リン酸塩)。ここで、Mは、Mn,Fe,Ni,Co等の遷移金属元素の少なくとも一種を含み、他の金属元素または非金属元素をさらに含み得る。qは、0≦q≦1であり、qが0より大きい場合、AはFまたはClであり得る。具体例としては、LiMnPO4,LiFePO4,LiMnPO4F等が挙げられる。
(b)一般式:Li2MO3で表わされるリチウム遷移金属化合物(酸化物)。ここで、Mは、Mn,Fe,Co等の遷移金属元素の少なくとも一種を含み、他の金属元素または非金属元素をさらに含み得る。具体例としては、Li2MnO3,Li2PtO3等が挙げられる。
(c)LiMO2とLi2MO3との固溶体。ここで、LiMO2は上記(a)に記載の一般式で表わされる組成を指し、Li2MO3は上記(b)に記載の一般式で表わされる組成を指す。具体例としては、0.5LiNiMnCoO2−0.5Li2MnO3で表される固溶体が挙げられる。
(d)一般式:LiMPO4Aqで表わされるポリアニオン型のリチウム遷移金属化合物(リン酸塩)。ここで、Mは、Mn,Fe,Ni,Co等の遷移金属元素の少なくとも一種を含み、他の金属元素または非金属元素をさらに含み得る。qは、0≦q≦1であり、qが0より大きい場合、AはFまたはClであり得る。具体例としては、LiMnPO4,LiFePO4,LiMnPO4F等が挙げられる。
また、上記正極活物質は、Na,Mg,Ca,Sr,Ti,Zr,V,Nb,Cr,Mo,Fe,Rh,Pd,Pt,Cu,Zn,B,Al,Ga,In,Sn,La,W,Ceの一種または二種以上の金属元素がさらに添加されたものであってもよい。これらの金属元素の添加量(配合量)は特に限定されないが、0.01質量%〜5質量%(例えば0.05質量%〜2質量%、典型的には0.1質量%〜0.8質量%)とするのが適当である。
ここで開示される技術では、上記正極活物質に含まれるM元素(遷移金属元素)のうち、原子数換算で10%以上(例えば20%以上)がMnであることが好ましい。このような組成を有する正極活物質は、豊富で安価な金属資源であるMnを主に利用するので、原料コストや原料の供給リスクを低減するという観点から好ましい。また、Mnを含む正極活物質(例えば、スピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物)を用いた正極は、環境温度が高い状態や正極の電位が高い状態等において、該正極活物質からMnが溶出しやすい傾向がある。このため、Mn元素を含む正極活物質を用いて構築された電池に本発明を適用することにより、金属元素(Mn)の溶出に起因する不都合(例えば内部短絡の発生や容量劣化)を抑制する効果が特に好適に発揮され得る。
このような正極活物質の性状は特に限定されないが、通常、平均粒径0.5μm〜20μm(典型的には1μm〜15μm、例えば2μm〜10μm)程度の粒子状であることが好ましい。また、正極活物質の比表面積は、通常0.1m2/g〜30m2/g程度が適当であり、典型的には0.2m2/g〜10m2/g、例えば0.5m2/g〜3m2/g程度のものを好ましく使用し得る。正極活物質の性状が上記範囲にある場合、緻密で導電性の高い正極活物質層を作製し得る。また正極活物質層内に適度な空隙を保持することができるため、非水電解液が浸漬し易く、内部抵抗を低減することができる。
バインダとしては、使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、非水溶媒を用いた正極活物質スラリーにおいては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のハロゲン化ビニル樹脂;ポリエチレンオキサイド(PEO)等のポリアルキレンオキサイド;等を好ましく採用することができる。また、水性溶媒を用いた正極活物質スラリーにおいては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂;スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム類;を好ましく採用することができる。このようなバインダは、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
導電材としては、例えば炭素材料を用いることができる。より具体的には、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック)、コークス、活性炭、黒鉛、炭素繊維(PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維)、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン等の炭素材料から選択される、一種または二種以上を用いることができる。なかでも、平均粒径が比較的小さく、且つ比表面積が大きいカーボンブラック(典型的には、アセチレンブラック)を好適に用いることができる。その他、分散剤等の各種添加剤を適宜使用することもできる。
正極活物質層14全体に占める正極活物質の割合は、凡そ60質量%以上(典型的には60質量%〜99質量%)とすることが適当であり、通常は凡そ70質量%〜95質量%であることが好ましい。バインダを使用する場合、正極活物質層全体に占めるバインダの割合は、例えば凡そ0.5質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。導電材を使用する場合、正極活物質層全体に占める導電材の割合は、例えば凡そ2質量%〜20質量%とすることができ、通常は凡そ3質量%〜10質量%とすることが好ましい。
正極集電体12の単位面積当たりに設けられる正極活物質層の目付量(正極集電体12の両面に正極活物質層を有する構成では両面の合計目付量)は、例えば5mg/cm2〜40mg/cm2(典型的には10mg/cm2〜20mg/cm2)程度であり得る。正極集電体12の両面に正極活物質層を有する構成において、正極集電体12の各々の面に設けられる正極活物質層12の目付量は、通常、概ね同程度とすることが好ましい。正極活物質層14の厚さは、正極集電体12の片面当たり30μm以上(例えば50μm以上、典型的には70μm以上)であり、120μm以下(例えば100μm以下、典型的には80μm以下)とすることが好ましい。また、正極活物質層の密度は、例えば1.5g/cm3〜4g/cm3(典型的には1.8g/cm3〜3g/cm3)程度であり得る。正極活物質層の密度を上記範囲とすることで、所望の容量を維持しつつ、リチウムイオンの拡散抵抗を低く抑えることができる。このため、入出力特性とエネルギー密度とをさらに高いレベルで両立させることができる。
≪負極20≫
負極は、負極集電体22と該負極集電体上に形成された少なくとも負極活物質を含む負極活物質層24とを備えている。そして、負極活物質層24は、少なくとも上記正極活物質層に対向しない非対向部ANFを含む領域Aと、それ以外の領域Bと、を有している。このような負極は、例えば、以下の工程を包含する製造方法によって作製することができる。
(S10)負極活物質スラリーを準備すること;
(S20)上記準備した負極活物質スラリーを付与すること;
(S30)上記付与したスラリーの一部に磁場を印加すること;
(S40)上記スラリー中の溶媒を乾燥させること;
負極は、負極集電体22と該負極集電体上に形成された少なくとも負極活物質を含む負極活物質層24とを備えている。そして、負極活物質層24は、少なくとも上記正極活物質層に対向しない非対向部ANFを含む領域Aと、それ以外の領域Bと、を有している。このような負極は、例えば、以下の工程を包含する製造方法によって作製することができる。
(S10)負極活物質スラリーを準備すること;
(S20)上記準備した負極活物質スラリーを付与すること;
(S30)上記付与したスラリーの一部に磁場を印加すること;
(S40)上記スラリー中の溶媒を乾燥させること;
図5は、かかる負極を製造する装置の概略構成を示す図である。図5に示す負極製造装置150は、大まかにいって、供給ロール114と、スラリー塗布部120と、磁場印加部130と、乾燥炉140と、回収ロール118と、を備えている。負極集電体22は、供給ロール114から供給され、所定の経路に沿って走行し得るガイド116に案内されて、各工程を経て回収ロール118で回収される。以下、各工程について順に説明する。
<S10;スラリー準備工程>
ここでは先ず、負極活物質層24を形成するためのペースト状またはスラリー状の組成物(負極活物質スラリー)を調製する。非対向部を含む領域Aの形成に用いられる負極活物質スラリー(以下、「領域A形成用スラリー」という。)は、少なくとも黒鉛粒子を含む負極活物質と増粘剤とを含んでいる。また、それ以外の領域Bの形成に用いられる負極活物質スラリー(以下、「領域B形成用スラリー」という。)は、少なくとも負極活物質を含んでいる。上記を満たす限りにおいて、領域A形成用スラリーと領域B形成用スラリーを構成する成分(材料)は同じであってもよく、異なっていてもよい。両スラリーは、上記材料と必要に応じて用いられるバインダ等の材料とを適当な溶媒中で混練することによって、調製することができる。
ここでは先ず、負極活物質層24を形成するためのペースト状またはスラリー状の組成物(負極活物質スラリー)を調製する。非対向部を含む領域Aの形成に用いられる負極活物質スラリー(以下、「領域A形成用スラリー」という。)は、少なくとも黒鉛粒子を含む負極活物質と増粘剤とを含んでいる。また、それ以外の領域Bの形成に用いられる負極活物質スラリー(以下、「領域B形成用スラリー」という。)は、少なくとも負極活物質を含んでいる。上記を満たす限りにおいて、領域A形成用スラリーと領域B形成用スラリーを構成する成分(材料)は同じであってもよく、異なっていてもよい。両スラリーは、上記材料と必要に応じて用いられるバインダ等の材料とを適当な溶媒中で混練することによって、調製することができる。
混練には、例えば、ボールミル、ロールミル、ミキサー、ディスパー、ニーダ等の従来公知の種々の攪拌・混合装置を適宜用いることができる。調製に用いる溶媒は、水系溶媒(水または水を主体とする混合溶媒。典型的には水。)であってもよく、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メチルエチルケトン、トルエン等の有機溶媒であってもよい。混練時の固形分濃度は特に限定されないが、例えば40質量%〜65質量%(好ましくは45質量%〜55質量%、より好ましくは45質量%〜50質量%)とすることができる。また、材料を混練する順序は特に限定されず、一度に全ての材料を溶媒中に投入してもよく、何度かに分けて(例えば一種の材料を溶媒中に添加して分散させた後に、他の材料を添加し分散させて)行ってもよい。
領域A形成用スラリーは、負極活物質として少なくとも黒鉛材料を含んでいる。黒鉛材料としては、例えば、天然黒鉛(石墨)、人造黒鉛、あるいは上記黒鉛に粉砕やプレス等の加工処理を施したもの等を用いることができる。より具体的には、鱗片状黒鉛や鱗状(塊状)黒鉛等の鱗状黒鉛、土状黒鉛、膨張黒鉛、熱分解黒鉛等が例示される。また、上記黒鉛材料は、非晶質(アモルファス)な炭素材料で表面をコート(被覆)された粒子状であり得る。このような形態の黒鉛粒子は、例えば、黒鉛粒子にピッチを混ぜて焼くことによって作製することができる。
領域A形成用スラリーには、上記黒鉛材料に加えて、従来から非水電解液二次電池に用いられる負極活物質のうち一種または二種以上の材料を使用することもできる。例えば、ハードカーボン(難黒鉛化炭素)、ソフトカーボン(易黒鉛化炭素)、カーボンナノチューブ等の炭素材料;酸化ケイ素、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化ニオブ、酸化錫、リチウムケイ素複合酸化物、リチウムチタン複合酸化物(Lithium Titanium Composite Oxide:LTO、例えばLi4Ti5O12、LiTi2O4、Li2Ti3O7)、リチウムバナジウム複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム錫複合酸化物等の金属酸化物材料;窒化リチウム、リチウムコバルト複合窒化物、リチウムニッケル複合窒化物等の金属窒化物材料;スズ、ケイ素、アルミニウム、亜鉛、リチウム等の金属もしくはこれらの金属元素を主体とする金属合金からなる金属材料;等を用いることができる。
負極活物質の性状は特に限定されないが、炭素原子の六角網面構造がより発達していることが好ましい。かかる発達度合い(炭素六角網面構造の配向性)は、黒鉛化度として把握することができる。黒鉛化度は、例えばX線回折法によって測定される平均格子面間隔d(002)として表すことができる。ここで開示される技術では、平均格子面間隔d(002)が0.335nm以上(好ましくは0.336nm以上)であって、0.355nm以下(好ましくは0.339nm以下)のものを好ましく使用し得る。上記を満たす負極活物質(典型的には黒鉛)は、配向性に優れ、高い電池容量を実現し得る。さらに、ここで開示される負極活物質層24の領域AにおけるI(110)/I(002)値を好適に実現し得るため好ましい。
上記X線回折法による測定は、CuKα線を用いたX線回折装置(XRD:X-ray diffraction)を用いて行うことができる。XRD測定では、試料(ここでは負極活物質粒子を試料ボードに詰めたもの)に対する入射角度をステップ的または連続的に変化させながらX線を照射し、試料によって回折されたX線を検査器で捉える。そして、X線の回折方向と入射方向の角度差(回折角2θ)と、回折X線強度を測定する。かかる測定は、種々の測定装置メーカーから市販されているX線回折測定装置を用いて行うことができる。例えば、株式会社リガク製のX線回折装置、型式「Ultima IV」を用いて下記条件にて行うことができる。
ターゲット:Cu(Kα線)黒鉛モノクロメーター
スリット:発散スリット=1°、受光スリット=0.1mm、散乱スリット=1°
ターゲット:Cu(Kα線)黒鉛モノクロメーター
スリット:発散スリット=1°、受光スリット=0.1mm、散乱スリット=1°
上記黒鉛化度はまた、例えばレーザーラマン分光法によっても把握し得る。ここで開示される技術では、レーザーラマン分光法に基づくR値(ID/IG)は通常0.2〜0.7程度であり、典型的には0.3〜0.6程度であり、例えば0.4〜0.6程度のものを好ましく使用し得る。なお、本明細書中において「R値」とは、アルゴンレーザーを使用したラマン分光器(例えば、日本分光社製の型式「NRS−5000」)を用いて、一般的なレーザーラマン分光法によって得られたラマンスペクトルにおいて、1360cm−1付近のラマンバンド(Dピーク)の強度IDと1580cm−1付近のラマンバンド(Gピーク)強度IGとの比(ID/IG)をいう。
負極活物質(典型的には黒鉛材料)は、平均粒径が0.5μm〜20μm(典型的には1μm〜15μm、例えば4μm〜10μm)程度の粒子状であり得る。また、比表面積は、通常0.1m2/g〜30m2/g程度が適当であり、典型的には0.5m2/g〜20m2/であり、例えば1m2/g〜10m2/g程度のものを好ましく使用し得る。また、タップ密度は、通常0.1g/cm3〜1.5g/cm3程度であり、典型的には0.5g/cm3〜1.3g/cm3であり、例えば0.7g/cm3〜1.2g/cm3程度のものを好ましく使用し得る。負極活物質の性状が上記範囲にある場合、緻密で導電性の高い負極活物質層を作製し得、高いエネルギー密度を実現し得る。また負極活物質層内に適度な空隙を保持することができるため、非水電解液が浸漬し易く、高い入出力密度を実現し得る。
なお、本明細書中において「平均粒径」とは、一般的な粒度分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製の型式「LA−920」)を用いて、レーザー回折・光散乱法により測定した体積基準の粒度分布において、微粒子側からの累積50%に相当する粒径(すなわち50%体積平均粒子径。メジアン径ともいう。)をいう。また、本明細書中において「比表面積」とは、一般的な比表面積測定装置(例えば日本ベル株式会社製の「BELSORP(商標)−18PLUS」)を用いて、窒素ガスを用いたBET法(例えば、BET1点法)により測定された表面積をいう。また、本明細書中において「タップ密度」とは、一般的なタッピング式の密度測定装置(例えば、筒井理化学器械社製の型式「TPM−3」)を用いて、JIS K1469に規定される方法により測定した密度をいう。
また、上記のような黒鉛化度の高い負極活物質(典型的には黒鉛粒子)は形状異方性を有し得、例えば、鱗片状、平板状等であり得る。或いは、鱗片状の黒鉛を球形化したものであり得る。ここで開示される技術では、該粒子の最も長い辺の長さと、最も短い辺の長さ(典型的には厚み)の比(いわゆるアスペクト比)が、2以上(好ましくは10以上)であって、100以下(典型的には、50以下、好ましくは10以下)のものを好適に使用し得る。上記黒鉛の形状は、一般的な走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することができる。より具体的には、少なくとも30個以上(例えば30個〜100個)の負極活物質粒子について、例えば、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡(FE−SEM)、型式「HITACHI S−4500」を用いて、SEM観察を行い、得られた画像から判断し得る。
領域B形成用スラリーに用いる負極活物質は、上記から上記領域A形成用として例示した負極活物質材料のなかから適当なものを選択し用いることができ、例えば黒鉛材料を好適に使用し得る。
領域A形成用スラリーに用いられる増粘剤としては、例えば天然から得られた高分子化合物(天然高分子化合物)や、上記得られた高分子化合物を加工(典型的には物理的または化学的修飾)したもの等が挙げられる。なかでも単糖類(単糖およびその誘導体)がグルコシド結合によって複数(例えば10以上)結合した高分子化合物(以下、多糖類という。)を好ましく用いることができる。具体的には、カードラン、パキマン、ラミナラン、澱粉、デキストリン、グルコマンナン、アガロース、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、クインシードガム、キサンタンガム、アラビアガム、プルラン、寒天、コンニャクマンナン、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC;典型的にはナトリウム塩)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等が挙げられる。領域Aに増粘剤を含むことによって、負極活物質層と電解液との親和性(換言すれば、電解液の含浸性)を向上させることができる。
増粘剤の性状は特に限定されないが、例えば重量平均分子量(Mw)が1万以上150万以下(例えば5万以上100万以下)のものを用いることができる。分子量が上記範囲より極端に小さい場合は増粘剤としての機能を発現させるために必要な添加量が増加するため、電池反応に伴う電荷担体(典型的にはリチウムイオン)の移動が妨げられ、電池性能が低下する虞がある。逆に、該分子量が極端に大きい場合は、溶媒中での分散が不安定となる虞がある。なお、かかる重量平均分子量(Mw)は、一般的なGPC(Gel Permeation Chromatography;ゲル浸透クロマトグラフィー)−RI(Refractive Index;示差屈折率検出器)の手法により得られた分子量分布から算出し得る。
好ましい一態様では、上記増粘剤は、加熱等による温度上昇に伴って粘度が上昇し得る、感温性増粘剤である。領域Aに感温性増粘剤を含むことによって、室温より高い温度環境下(典型的には50℃以上、例えば50℃〜80℃の高温環境下)において、負極活物質層内に電解液を好適に含浸させることができる。或いは、感温性増粘剤は、常温(20℃〜30℃)では増粘作用を示さないが、加熱により所定の温度に達すると該増粘剤が含まれている組成物の粘度を上昇させる性質を有するものであり得る。ここで、増粘作用を示すとは粘度が上昇することであり、本明細書においてはゲル化すること(例えばゲル強度が上昇すること)としても把握し得る。その場合、感温性増粘剤は、感温性ゲル化剤ということもできる。
上記ゲル強度は公知の手段によって測定することができる。例えば、まず測定対象となる試料(ここでは感温性増粘剤)を所定の濃度(例えば1質量%〜5質量%、典型的には3質量%)となるように脱イオン水に分散または溶解させる。次に、得られた水分散液または水溶液を所定の温度で加熱保持(例えば約10分)した後、室温(例えば20℃〜30℃)まで冷却する。そして、市販の測定機(例えばクリープメーター、小型卓上物性試験機等)を用いて、所定の接触面を有するプランジャー(例えば直径3mm〜16mmの円筒型プランジャー)を所定の移動速度(例えば1mm/秒〜3mm/秒)で測定対象に進入させて破断点の応力を測定することにより、ゲル強度を求めることができる。
上記感温性増粘剤は、高温保存時の容量劣化を抑制するように作用し得る。すなわち、感温性増粘剤を含むことによって、室温より高い温度環境下において、電荷担体(典型的にはリチウムイオン)の移動が抑制され得る。このため、正極活物質から溶出した成分(典型的には金属元素)と電荷担体とが反応して不可逆的に固定されることが少なくなり、充放電に寄与できなくなる電荷担体の量を低減し得る。
また、上記感温性増粘剤は、ゲル化した後、温度の下降によって再度非ゲル化状態(例えばゾル状態)に戻る、熱可逆性ゲル化剤であることが好ましい。このようなゲル化剤は、熱(温度変化)によって可逆的にゲル化/非ゲル化するものとして定義され得る。これにより、電池が高温状態のときにはLiイオンの移動を抑制して容量劣化を抑制するように作用し、例えば常温(20℃〜30℃)では非ゲル化状態であることによりLiイオンの移動を許容し充放電を阻害しないものとなり得る。また、感温性増粘剤は、所定の温度以上(例えば70℃以上、典型的には80℃以上)になると非可逆的にゲル化する、熱非可逆性ゲル化剤であってもよい。
感温性増粘剤としては、β−1,3−グルカンを含む直鎖状または分岐鎖状(好適には直鎖状)の多糖類が挙げられる。また、セルロースを含む多糖類であってもよい。感温性増粘剤の具体例としては、カードラン、パキマン、ラミナラン等のβ−1,3−グルカン、メチルセルロース等のセルロースが挙げられる。これらは一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、D‐グルコースのC1位とC3位でグルコシド結合したカードラン(β−1,3−グルカン)は、約50℃以上に加熱すると膨潤してゲル化する性質を有するため好ましく採用し得る。
バインダとしては、上記正極活物質層用のバインダとして例示した材料から適当なものを選択することができる。具体的には、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリエチレンオキサイド(PEO)等が例示される。また、その他の各種添加剤を適宜添加することもできる。
領域A形成用スラリーの固形分全体に占める負極活物質の割合は、凡そ50質量%以上とすることが適当であり、好ましくは90質量%〜99質量%(例えば95質量%〜99質量%)である。また、上記スラリーの固形分全体に占める増粘剤(好ましくは感温性増粘剤)の割合は、例えば凡そ0.1質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが適当である。増粘剤の使用量が上記の範囲であることにより、優れた電池特性(特に高温保存特性や高温サイクル特性)を発揮し得る。バインダを使用する場合、上記スラリーの固形分全体に占めるバインダの割合は、例えば凡そ0.1質量%〜5質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜3質量%とすることが適当である。
領域B形成用スラリーの固形分全体に占める負極活物質の割合は、凡そ50質量%以上とすることが適当であり、好ましくは90質量%〜99質量%(例えば95質量%〜99質量%)である。バインダを使用する場合、上記スラリーの固形分全体に占めるバインダの割合は、例えば凡そ0.1質量%〜5質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜3質量%とすることが適当である。増粘剤等の添加剤を使用する場合、上記スラリーの固形分全体に占める添加剤の割合は、例えば凡そ0.1質量%〜5質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜3質量%とすることが適当である。
<S20;スラリー付与工程>
次に、上記調製した負極活物質スラリーを、供給ロール114から送り出された長尺状の負極集電体22の表面に付与する。
次に、上記調製した負極活物質スラリーを、供給ロール114から送り出された長尺状の負極集電体22の表面に付与する。
負極集電体22としては、導電性の良好な金属(例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性材料が好ましく用いられる。負極集電体22の形状は構築される電池の形状等に応じて異なり得るため特に限定されないが、例えば棒状体、板状体、箔状体、網状体等を用いることができる。捲回電極体を備えた電池では、主に箔状体が用いられる。箔状集電体の厚みは特に限定されないが、電池の容量密度と集電体の強度との兼ね合いから通常5μm〜50μm(典型的には8μm〜30μm)程度であり得る。
上記スラリーの付与方法は特に限定されないが、例えば図5に示す形態では、スラリー塗布部120にダイコーター124を採用している。図6は、図5に示すスラリー塗布部120を模式的に示す図である。図6に示すスラリー塗布部120は、横長の吐出口126を有するダイ125を備えたダイコーター124である。吐出口126は、領域A形成用スラリーの吐出口126aと領域B形成用スラリー吐出口126bに仕切られており、ダイ125の内部には、それぞれの吐出口(126aおよび126b)に連なるスラリー流路が形成されている。すなわち、領域A形成用スラリー吐出口126aおよび領域B形成用スラリー吐出口126bには、異なるスラリー貯留タンク、異なるスラリー流路から、それぞれ領域A形成用スラリーと領域B形成用スラリーとが供給され得る。ここで、領域A形成用スラリー吐出口126aは、負極集電体22上の非対向部ANFとなる部分(負極集電体22の幅方向における一の端部)に合わせる。また、領域B形成用スラリー吐出口126bは、負極集電体22の対向部となる部分に合わせる。これにより、非対向部ANFに領域A形成用スラリーを付与(塗布)し、また、対向部に領域B形成用スラリーを付与することが可能となる。なお、ダイコーター124のその他の部分については、ダイ71の構成に適合するように従来公知の構成を適宜変更して構成すればよい。
このとき、捲回軸方向の領域Aの幅方向の長さLaは、全塗布幅L(LaとLbとの合計長さ)に対して0.05〜0.3となるよう行うことが好ましい。La/L≧0.05(典型的にはLa/L>0.05、好ましくはLa/L≧0.1、より好ましくはLa/L≧0.15)を満たす場合、負極活物質層の非対向部において不可逆的に吸蔵される電荷担体の量をより一層抑制し得る。さらに、La/L≦0.3(例えばLa/L<0.3)を満たす場合、電解液の含浸性を好適に確保し得るため、高い入出力特性を発揮し得る。
負極集電体22の単位面積当たりに設けられる負極活物質層24(領域Aおよび/または領域B)の目付量(負極活物質層形成用組成物の固形分換算の塗付量)は、負極集電体22の片面当たり、例えば2mg/cm2〜30mg/cm2(典型的には5mg/cm2〜20mg/cm2)程度であり得る。領域Aと領域Bとで異なる組成のスラリーを用いる場合は、各々の領域に設けられる負極活物質層24の目付量は、通常、概ね同程度とすることが好ましい。また、負極集電体22の両面に負極活物質層24を有する構成において、負極集電体22の各々の面に設けられる負極活物質層24の目付量は、通常、概ね同程度とすることが好ましい。
<S30;磁場印加工程>
次に、上記負極集電体22上に付与したばかりの(溶媒が残存した状態の)領域A形成用スラリーに磁場を印加する。磁場の印加は、例えば図5に示すように、領域A形成用スラリーが付与された部位を一対の磁場発生体132で挟むことによって行い得る。磁場発生体132としては、磁場を発生することができるものであれば特に限定されないが、例えば、永久磁石や電磁コイル等を用いることができる。作用させる磁場の強さは、例えば凡そ0.3T〜2.1Tとすることができ、通常は凡そ0.4T〜1.5T(例えば0.7T〜1.1T)である。また、磁場を印加する時間は、磁場の強さにも拠るが、例えば凡そ1秒〜60秒とすることができる。本実施形態のように負極集電体22が上流側から下流側(図5の矢印Xの方向)へと移動する場合には、磁場印加部130(磁場発生体132)を通過する時間が磁場を印加する時間となる。
次に、上記負極集電体22上に付与したばかりの(溶媒が残存した状態の)領域A形成用スラリーに磁場を印加する。磁場の印加は、例えば図5に示すように、領域A形成用スラリーが付与された部位を一対の磁場発生体132で挟むことによって行い得る。磁場発生体132としては、磁場を発生することができるものであれば特に限定されないが、例えば、永久磁石や電磁コイル等を用いることができる。作用させる磁場の強さは、例えば凡そ0.3T〜2.1Tとすることができ、通常は凡そ0.4T〜1.5T(例えば0.7T〜1.1T)である。また、磁場を印加する時間は、磁場の強さにも拠るが、例えば凡そ1秒〜60秒とすることができる。本実施形態のように負極集電体22が上流側から下流側(図5の矢印Xの方向)へと移動する場合には、磁場印加部130(磁場発生体132)を通過する時間が磁場を印加する時間となる。
図7は、磁場印加部分の一例を模式的に示す断面図である。ここに示す形態では、磁力線の向きが負極集電体22の表面と直交する方向となるように、一対の磁場発生体132が配置されている。より具体的には、負極集電体22の表面に付与された組成物の幅方向の一の端部を含む位置であって、磁場発生体132の幅広面と負極集電体22の幅広面とが平行となるように、負極集電体22の長手方向に沿って一対の磁場発生体132が配置されている。このように磁場発生体132が配置されることで、負極集電体22の表面に付与された組成物のうち領域Aに含まれる黒鉛材料25に対してのみ、長尺状の負極集電体22の表面と直交する方向に磁場を印加することができる。
上記S20工程において負極集電体22上に付与された黒鉛材料25は、該黒鉛材料の炭素六角網面と負極集電体22の表面とが平行に配向され易い傾向にある。本工程で領域A形成用スラリーに磁場を印加することによって、該領域Aに含まれる黒鉛材料25は、黒鉛材料25の炭素六角網面と負極集電体22の表面とが略垂直となる方向に配向され得る。好ましくは、上記黒鉛材料は粒子状であって、上記領域Aに含まれる黒鉛粒子全体を100個数%としたときに、少なくとも50個数%(好ましくは60個数%)の該黒鉛粒子で、炭素六角網面と上記負極集電体表面とのなす角θが60°≦θ≦90°となるように配向され得る。上記構成によれば、負極活物質層の非対向部において、不可逆的に吸蔵される電荷担体の量を好適に抑制することができる。
<S40;乾燥工程>
そして、上記磁場を印加した後に、負極集電体22上に付与されたスラリー中に含まれる溶媒を乾燥によって除去する。乾燥手段は特に限定されず、従来公知の乾燥手段を適宜採用することができる。図5に示す例では、加熱乾燥(典型的には熱風乾燥)を採用し、加熱乾燥炉140内を通過することによって、負極集電体22に付与されたスラリーの溶媒が除去される。乾燥温度は特に限定されないが、負極活物質層24の領域Aにおいて増粘剤の配置を良好なものとするため、例えば60℃〜180℃(好ましくは70℃〜150℃)とすることが好ましい。また、増粘剤として、所定の温度以上に加熱することによって不可逆的にゲル化する感温性増粘剤を用いる場合は、乾燥温度を100℃未満(例えば80℃未満、典型的には75℃以下)とすることが好ましい。乾燥時間は特に限定されないが、100℃以上で乾燥する場合、10秒〜100秒(例えば20秒〜60秒)程度が好ましい。100℃未満で乾燥する場合は、乾燥時間は30秒〜300秒(例えば60〜240秒)程度が好ましい。これにより負極集電体22の表面に、領域Aと領域Bとを備えた負極活物質層24を形成することができる。
そして、上記磁場を印加した後に、負極集電体22上に付与されたスラリー中に含まれる溶媒を乾燥によって除去する。乾燥手段は特に限定されず、従来公知の乾燥手段を適宜採用することができる。図5に示す例では、加熱乾燥(典型的には熱風乾燥)を採用し、加熱乾燥炉140内を通過することによって、負極集電体22に付与されたスラリーの溶媒が除去される。乾燥温度は特に限定されないが、負極活物質層24の領域Aにおいて増粘剤の配置を良好なものとするため、例えば60℃〜180℃(好ましくは70℃〜150℃)とすることが好ましい。また、増粘剤として、所定の温度以上に加熱することによって不可逆的にゲル化する感温性増粘剤を用いる場合は、乾燥温度を100℃未満(例えば80℃未満、典型的には75℃以下)とすることが好ましい。乾燥時間は特に限定されないが、100℃以上で乾燥する場合、10秒〜100秒(例えば20秒〜60秒)程度が好ましい。100℃未満で乾燥する場合は、乾燥時間は30秒〜300秒(例えば60〜240秒)程度が好ましい。これにより負極集電体22の表面に、領域Aと領域Bとを備えた負極活物質層24を形成することができる。
領域Aの固形分全体に占める負極活物質の割合は、凡そ50質量%以上とすることが適当であり、好ましくは90質量%〜99質量%(例えば95質量%〜99質量%)である。また、上記固形分全体に占める増粘剤(好ましくは感温性増粘剤)の割合は、例えば凡そ0.1質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが適当である。バインダを使用する場合、上記固形分全体に占めるバインダの割合は、例えば凡そ0.1質量%〜5質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜3質量%とすることが適当である。
領域Bの固形分全体に占める負極活物質の割合は、凡そ50質量%以上とすることが適当であり、好ましくは90質量%〜99質量%(例えば95質量%〜99質量%)である。バインダを使用する場合、上記固形分全体に占めるバインダの割合は、例えば凡そ0.1質量%〜5質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜3質量%とすることが適当である。増粘剤等の添加剤を使用する場合、上記固形分全体に占める添加剤の割合は、例えば凡そ0.1質量%〜5質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜3質量%とすることが適当である。
また、乾燥後に必要に応じて圧延処理(プレス)を行うことによって、負極活物質層24の厚みや密度を調製することができる。圧延処理には、従来公知のロールプレス法、平板プレス法等を採用することができる。プレス後の負極活物質層24の厚さは、例えば、負極集電体22の片面当たり20μm以上(例えば40μm以上、典型的には60μm以上)であり、100μm以下(例えば80μm以下、典型的には70μm以下)とすることが好ましい。プレス後の負極活物質層24の密度(ここでは、領域Aと領域Bとを含む全負極活物質層24における平均密度)は、例えば0.5g/cm3〜2g/cm3(典型的には1g/cm3〜1.5g/cm3)程度であり得る。領域Aと領域Bとで組成が異なる場合は、各々の領域の負極活物質層24の性状(厚さや密度)は、通常、概ね同程度とすることが好ましい。
上記工程を経て作製された負極シート(負極)20は、図3および図4に示すように、負極集電体22と、該負極集電体22の表面上に形成された負極活物質層24とを備えている。そして、負極活物質層24は、正極活物質層に対向しない非対向部を含む領域Aと、正極活物質層に対向する対向部の大部分を含む領域Bとを有する。典型的には、負極活物質層24は、領域Aと領域Bとからなるものであり得る。この場合、領域Bは、負極活物質層24において領域A以外の領域と定義され得る。
負極20の捲回軸方向の一の端部には、負極活物質層24が形成されずに露出している負極集電体(負極活物質層非形成部26)が配置されている。そして、負極20の捲回軸方向の他の一の端部には、負極活物質層24の一部である領域Aとして、正極活物質層に対向しない非対向部ANFからなる領域、あるいは非対向部ANFに加えて近接する上記正極活物質層と対向する対向部の一部ANFから構成される領域、が設けられている。すなわち、例えば図4に示すような負極シート20において、領域Aは、負極シート20の幅方向における負極活物質層24の両端部をそれぞれ端部E1(図4中、左側の端部)および端部E2(図4中、右側の端部)としたとき、端部E1を含む領域(図4中、符号Aで示す領域)である。ここで、端部E1は、負極活物質層24が負極集電体22の幅方向端部まで形成されている方の端部であり、端部E2は、負極集電体22上に負極活物質層非形成部26が設けられている方の端部である。
非対向部を含む領域Aの表層近傍には、電荷担体(ここではリチウムイオン)が豊富に存在している。一方、負極活物質層24に対向する正極活物質層14の端部(端面を含む)は、負極活物質層24の対向部と非対向部の両方に向けてリチウムイオンを放出し得る場所に位置している。そのため、リチウムイオンの放出量が他の部分より多くなり、電位が高くなりやすい傾向がある。電位が高くなると、正極活物質層からその構成成分(例えば遷移金属等の金属元素)が溶出しやすくなる傾向がある。そして、該溶出した成分は負極活物質層の非対向部に移動して、リチウムイオンと反応して不可逆的に固定される虞がある。上記から、領域Aは他の領域と比べて充放電に寄与すべきリチウムイオンを失活させる傾向が大きい領域であるといえる。このため、端部E1では、正極から溶出した成分(例えば遷移金属等の金属元素)とリチウムイオンとが反応して不可逆的に固定される傾向がとりわけ高い。このため、本発明では領域Aにおける電荷吸蔵能を低く抑えることで、好適に効果を発揮し得る。
領域Aは正極活物質層14に対向しない非対向部ANFとそれに近接する正極活物質層14に対向する対向部の一部AFとを有し得る。ただし、領域Aの占める割合が大きくなると、高温保存時の容量劣化を抑制する効果は高まる一方、他の電池特性の低下を招く虞がある。そこで、ここで開示される技術では、負極の捲回軸方向の一の端部から他の一の端部に向かう方向として規定される幅方向において、領域Aを対向部と非対向部の境界(線)から所定の距離Wの分だけ対向部側に張り出すように構成することが好ましい。上記距離Wは、電極体のサイズ等によって変わり得るため特に限定されないが、0mmより大きければよく、0.1mm以上(例えば0.5mm以上、典型的には1mm以上)であり得る。また、10mm以下(例えば5mm以下、典型的には3mm以下)であり得る。
あるいは、領域Aを、リチウムイオンの不可逆的な反応が最も起こりやすい部位(典型的には負極活物質層24の端面やその近傍)に限定して構成してもよい。典型的には、領域Aは、電極シートの幅方向において対向部と非対向部の境界(線)から所定の距離Wの分だけ負極活物質層24の端部側に張り出すように構成されたものであり得る。上記距離Wは、電極体のサイズ等によって変わり得るため特に限定されないが、0.1mm〜3mm(例えば0.5mm〜2mm、典型的には0.7mm〜1mm)であり得る。
上記幅方向において、負極活物質層24全体の長さLに対する領域Aの長さLaの比(La/L)は0.05以上0.3以下であることが好ましい。また、領域Aと領域Bの体積比(A:B)は特に限定されないが、例えば10:90〜40:60(例えば14:86〜33:67)であり得る。領域Aの幅方向の長さが長いおよび/または領域Aの体積比が大きいほど、負極における微短絡の発生が抑制され、サイクル特性や高温保存特性に優れる傾向がある。また、領域Bの幅方向の長さが長いおよび/または領域Bの体積比が大きいほどエネルギー密度や入出力特性に優れる傾向がある。
≪セパレータ40≫
セパレータ40としては、従来から非水電解液二次電池に用いられるものと同様の各種多孔質シートを用いることができ、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から成る多孔質樹脂シート(フィルム、不織布等)が挙げられる。かかる多孔質樹脂シートは、単層構造であってもよく、二層以上の複数構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。また、上記多孔質シート、不織布等の片面または両面(典型的には片面)に、多孔質の耐熱層を備える構成のものであってもよい。セパレータ40の厚みは、例えば、凡そ10μm〜40μmの範囲内で設定することが好ましい。
セパレータ40としては、従来から非水電解液二次電池に用いられるものと同様の各種多孔質シートを用いることができ、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から成る多孔質樹脂シート(フィルム、不織布等)が挙げられる。かかる多孔質樹脂シートは、単層構造であってもよく、二層以上の複数構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。また、上記多孔質シート、不織布等の片面または両面(典型的には片面)に、多孔質の耐熱層を備える構成のものであってもよい。セパレータ40の厚みは、例えば、凡そ10μm〜40μmの範囲内で設定することが好ましい。
≪電池ケース50≫
電池ケース50としては、従来から非水電解液二次電池に用いられる材料や形状を用いることができる。電池ケース50の材質は、例えば、アルミニウム、スチール等の金属材料;ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料;等であり得る。なかでも、放熱性向上やエネルギー密度を高める目的から、比較的軽量な金属(例えばアルミニウムやアルミニウム合金)を好ましく採用し得る。なお、電池ケース50の形状(容器の外形)は、ここでは扁平な直方体形状であるが、これに限定されず、円形(例えば、円筒形、コイン形、ボタン形)、六面体形(例えば、立方体形)、袋体形、およびそれらを加工し変形させた形状等であり得る。また、該ケースには電流遮断機構(電池の過充電時に、内圧の上昇に応じて電流を遮断し得る機構)等の安全機構を設けることもできる。
電池ケース50としては、従来から非水電解液二次電池に用いられる材料や形状を用いることができる。電池ケース50の材質は、例えば、アルミニウム、スチール等の金属材料;ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料;等であり得る。なかでも、放熱性向上やエネルギー密度を高める目的から、比較的軽量な金属(例えばアルミニウムやアルミニウム合金)を好ましく採用し得る。なお、電池ケース50の形状(容器の外形)は、ここでは扁平な直方体形状であるが、これに限定されず、円形(例えば、円筒形、コイン形、ボタン形)、六面体形(例えば、立方体形)、袋体形、およびそれらを加工し変形させた形状等であり得る。また、該ケースには電流遮断機構(電池の過充電時に、内圧の上昇に応じて電流を遮断し得る機構)等の安全機構を設けることもできる。
≪非水電解液≫
非水電解液としては、非水溶媒中に支持塩(リチウムイオン二次電池ではリチウム塩。)を溶解または分散させたものを好ましく採用し得る。支持塩としては、一般的な非水電解液二次電池と同様のものを適宜選択して採用し得、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、Li(CF3SO2)2N、LiCF3SO3等のリチウム塩を用いることができる。このような支持塩は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましい支持塩としてLiPF6が挙げられる。
非水電解液としては、非水溶媒中に支持塩(リチウムイオン二次電池ではリチウム塩。)を溶解または分散させたものを好ましく採用し得る。支持塩としては、一般的な非水電解液二次電池と同様のものを適宜選択して採用し得、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、Li(CF3SO2)2N、LiCF3SO3等のリチウム塩を用いることができる。このような支持塩は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましい支持塩としてLiPF6が挙げられる。
支持塩の濃度は特に制限されないが、極端に低すぎると非水電解液に含まれる電荷担体(典型的にはリチウムイオン)の量が不足し、イオン伝導性が低下する傾向がある。またかかる濃度が極端に高すぎると、室温以下の温度域(例えば0℃〜30℃)において非水電解液の粘度が高くなり、イオン伝導性が低下する傾向がある。このため、非水電解液は上記支持塩の濃度が0.7mol/L〜1.3mol/Lの範囲内となるように調製することが好ましい。
非水溶媒としては、一般的な非水電解液二次電池の電解液に用いられる各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を、特に限定なく用いることができる。なお、上記カーボネート類とは、環状カーボネートおよび鎖状カーボネートを包含する意味であり、上記エーテル類とは、環状エーテルおよび鎖状エーテルを包含する意味である。具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ビニレンカーボネート(VC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン等が例示される。このような非水溶媒は、一種を単独で、あるいは二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
好ましい一態様として、カーボネート類を主体とする非水溶媒が挙げられる。電解液としてかかる非水溶媒を用いた場合、充電(典型的には初回充電)によって負極活物質の表面に良質な被膜が形成され得る。なかでも比誘電率の高いECや、酸化電位が高い(電位窓の広い)DMCやEMC等を好適に採用し得る。例えば、非水溶媒として一種または二種以上のカーボネート類を含み、それらカーボネート類の合計体積が非水溶媒全体の体積の60体積%以上(より好ましくは75体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上であり、実質的に100体積%であってもよい。)を占める非水溶媒を好ましく用いることができる。
ここで開示される技術の好ましい適用対象として、電池容量が20Ah以上という比較的高容量タイプの非水電解液二次電池が挙げられる。例えば、電池容量が20Ah以上(典型的には22Ah以上、例えば25Ah以上)であって、100Ah以下の非水電解液二次電池が例示される。このような高容量タイプの電池では、正極活物質層に対向しない負極活物質層の面積が大きいため、リチウムイオンが不可逆的に固定される量も多くなりやすいといえる。そのような大型の電池に本発明の構成を適用することにより、サイクル特性等の電池特性を向上または維持しながら、高温保存時の容量劣化を好適に抑制することができる。
また、本発明によると、ここで開示される非水電解液二次電池(単電池)を複数組み合わせた組電池が提供される。単電池を複数個相互に(典型的には直列に)接続してなる組電池では、構成する単電池のなかで最も低い性能のものに全体の性能が左右され得る。ここで開示される非水電解液二次電池は、従来の電池に比べて信頼性が高く、耐久性や入出力特性に優れるため、組電池として一層高い電池性能を発揮し得る。
ここで開示される非水電解液二次電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)は各種用途に利用可能であるが、従来に比べ電池性能(例えば、耐久性や入出力特性)が優れていることを特徴とする。よって、このような性質を利用して、例えば車両に搭載される駆動用電源として好適に用いることができる。車両は、典型的には自動車であり、例えば、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車、電動車いす、電動アシスト自転車等であり得る。したがって、本発明の他の側面として、ここで開示されるいずれかの非水電解液二次電池を(好ましくは動力源として)備えた車両が提供される。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<例1>
[正極シートの作製]
正極活物質としてニッケルマンガンコバルト酸リチウム(Li[Ni1/3Mn1/3Co1/3]O2)粉末と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、これらの材料の質量比が100:5:3となるように秤量して混練機に投入し、固形分濃度が50質量%となるようにN−メチルピロリドン(NMP)で粘度を調製しながら混練し、正極活物質層形成用のスラリー状組成物(正極活物質スラリー)を調製した。このスラリーを、厚み20μm、幅78.0mmの長尺状アルミニウム箔(正極集電体)の両面に塗布した。次いで、温度120℃で20秒間、上記組成物を乾燥(熱風乾燥)した後、ロールプレス機を用いて圧延処理を施すことによって圧縮し、裁断することによって、長さ4500mm、総厚さ170μmのシート状の正極(正極シート)を作製した。この正極シートは、正極活物質層の幅が58mmであり、正極集電体露出部(正極活物質層非形成部)の幅が20mmである。
[正極シートの作製]
正極活物質としてニッケルマンガンコバルト酸リチウム(Li[Ni1/3Mn1/3Co1/3]O2)粉末と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、これらの材料の質量比が100:5:3となるように秤量して混練機に投入し、固形分濃度が50質量%となるようにN−メチルピロリドン(NMP)で粘度を調製しながら混練し、正極活物質層形成用のスラリー状組成物(正極活物質スラリー)を調製した。このスラリーを、厚み20μm、幅78.0mmの長尺状アルミニウム箔(正極集電体)の両面に塗布した。次いで、温度120℃で20秒間、上記組成物を乾燥(熱風乾燥)した後、ロールプレス機を用いて圧延処理を施すことによって圧縮し、裁断することによって、長さ4500mm、総厚さ170μmのシート状の正極(正極シート)を作製した。この正極シートは、正極活物質層の幅が58mmであり、正極集電体露出部(正極活物質層非形成部)の幅が20mmである。
[負極シートの作製]
負極活物質として天然黒鉛粉末と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これらの材料の質量比が100:0.5:1となるように秤量して混練機に投入し、固形分濃度が45質量%となるようにイオン交換水で粘度を調製しながら混練し、負極活物質層形成用のスラリー状組成物(負極活物質スラリー)を調製した。このスラリーを、厚み10μm、幅80.9mmの長尺状銅箔(負極集電体)の両面に塗布した。次いで、温度120℃で20秒間、上記組成物を乾燥(熱風乾燥)した後、ロールプレス機を用いて圧延処理を施すことによって圧縮し、裁断することによって、長さ4700mm、総厚さ150μmのシート状の負極(負極シート)を作製した。この負極シートは、負極活物質層の幅が60.9mmであり、負極集電体露出部(負極活物質層非形成部)の幅が20mmである。得られた負極シート状の負極活物質層について、既に上述の手法でXRD測定を行った。結果を表1の「I(110)/I(002)」の欄に示す。
負極活物質として天然黒鉛粉末と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これらの材料の質量比が100:0.5:1となるように秤量して混練機に投入し、固形分濃度が45質量%となるようにイオン交換水で粘度を調製しながら混練し、負極活物質層形成用のスラリー状組成物(負極活物質スラリー)を調製した。このスラリーを、厚み10μm、幅80.9mmの長尺状銅箔(負極集電体)の両面に塗布した。次いで、温度120℃で20秒間、上記組成物を乾燥(熱風乾燥)した後、ロールプレス機を用いて圧延処理を施すことによって圧縮し、裁断することによって、長さ4700mm、総厚さ150μmのシート状の負極(負極シート)を作製した。この負極シートは、負極活物質層の幅が60.9mmであり、負極集電体露出部(負極活物質層非形成部)の幅が20mmである。得られた負極シート状の負極活物質層について、既に上述の手法でXRD測定を行った。結果を表1の「I(110)/I(002)」の欄に示す。
[リチウムイオン二次電池の作製]
上記で作製した正極シートと負極シートとをセパレータシート(ここでは、ポリエチレン(PE)製であって、厚み20μm、幅63.0mmのものを用いた。)を介して楕円状に捲回して捲回電極体を作製した。この捲回電極体の正負の電極集電体の端部にそれぞれ電極端子を接合し、縦75mm、幅120mm、厚さ15mm、ケース厚み1mmのアルミ製電池ケース内に収容した。その後、非水電解液(ここでは、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジエチルカーボネート(DEC)とをEC:EMC:DEC=3:5:2の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた非水電解液を用いた。)を注入して密封することにより、角型のリチウムイオン二次電池を作製した。
上記で作製した正極シートと負極シートとをセパレータシート(ここでは、ポリエチレン(PE)製であって、厚み20μm、幅63.0mmのものを用いた。)を介して楕円状に捲回して捲回電極体を作製した。この捲回電極体の正負の電極集電体の端部にそれぞれ電極端子を接合し、縦75mm、幅120mm、厚さ15mm、ケース厚み1mmのアルミ製電池ケース内に収容した。その後、非水電解液(ここでは、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジエチルカーボネート(DEC)とをEC:EMC:DEC=3:5:2の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた非水電解液を用いた。)を注入して密封することにより、角型のリチウムイオン二次電池を作製した。
<例2>
増粘剤としてカードラン(ゲル化温度:約50℃)を用いたこと以外は上記例1と同様に、リチウムイオン二次電池を作製した。
増粘剤としてカードラン(ゲル化温度:約50℃)を用いたこと以外は上記例1と同様に、リチウムイオン二次電池を作製した。
<例3>
上記負極シートの作製において、負極活物質スラリーの付与後に該スラリーの全面に磁場(ここでは、磁場の強さを0.75T、印加時間を10秒とした。)を印加して、負極集電体の表面と直交する方向に天然黒鉛の炭素六角網面を配向させたこと以外は上記例1と同様に、リチウムイオン二次電池を作製した。
上記負極シートの作製において、負極活物質スラリーの付与後に該スラリーの全面に磁場(ここでは、磁場の強さを0.75T、印加時間を10秒とした。)を印加して、負極集電体の表面と直交する方向に天然黒鉛の炭素六角網面を配向させたこと以外は上記例1と同様に、リチウムイオン二次電池を作製した。
<例4>
上記負極シートの作製において、増粘剤としてカードランを用いた領域A形成用組成物および増粘剤としてCMCを用いた領域B形成用組成物をそれぞれ調製し、これら組成物を図6に示すダイコーターを備えた製造装置を用いて上記銅箔(負極集電体)にそれぞれ塗付し、領域Aおよび領域Bを形成したこと以外は上記例1と同様に、リチウムイオン二次電池を作製した。
上記負極シートの作製において、増粘剤としてカードランを用いた領域A形成用組成物および増粘剤としてCMCを用いた領域B形成用組成物をそれぞれ調製し、これら組成物を図6に示すダイコーターを備えた製造装置を用いて上記銅箔(負極集電体)にそれぞれ塗付し、領域Aおよび領域Bを形成したこと以外は上記例1と同様に、リチウムイオン二次電池を作製した。
<例5〜15>
上記例4の負極シートの作製において、下記表1に示す種類の増粘剤を用いて領域A形成用組成物および領域B形成用組成物をそれぞれ調製したことと、領域A形成用組成物にのみ図7に示す磁場印加部を備えた製造装置を用いて磁場の印加を行ったこと以外は、上記例4と同様にリチウムイオン二次電池を作製した。なお、表1中の「磁場配向」の欄に「有り」とあるのは、磁場の印加を行ったことを示している。ここで、例5〜例11では、磁場の強さを0.75Tとし、印加時間を10秒とした。また、例12〜例14では、磁場の強さを0.75Tとし、印加時間を例12で3秒、例13で1秒、例14で50秒とした。例15では、磁場の強さを1.00T、印加時間を50秒とした。なお、表1中の「磁場配向」の欄に「−」とあるのは、磁場の印加を行わなかったことを示している。
各例にかかる電池の構成について、表1に纏める。なお、表1中の「La/L」の欄は、幅方向における負極活物質層の長さLに占める領域Aの長さLaの割合を表している。
上記例4の負極シートの作製において、下記表1に示す種類の増粘剤を用いて領域A形成用組成物および領域B形成用組成物をそれぞれ調製したことと、領域A形成用組成物にのみ図7に示す磁場印加部を備えた製造装置を用いて磁場の印加を行ったこと以外は、上記例4と同様にリチウムイオン二次電池を作製した。なお、表1中の「磁場配向」の欄に「有り」とあるのは、磁場の印加を行ったことを示している。ここで、例5〜例11では、磁場の強さを0.75Tとし、印加時間を10秒とした。また、例12〜例14では、磁場の強さを0.75Tとし、印加時間を例12で3秒、例13で1秒、例14で50秒とした。例15では、磁場の強さを1.00T、印加時間を50秒とした。なお、表1中の「磁場配向」の欄に「−」とあるのは、磁場の印加を行わなかったことを示している。
各例にかかる電池の構成について、表1に纏める。なお、表1中の「La/L」の欄は、幅方向における負極活物質層の長さLに占める領域Aの長さLaの割合を表している。
<コンディショニング>
構築した例1〜例15に係る電池を、以下の(1)〜(4)に従ってコンディショニング処理した。
(1)1Cのレート(40A)で4.2Vまで定電流充電(CC充電)する。
(2)5分間休止する。
(3)1Cのレート(40A)で2.5Vまで定電流放電(CC放電)する。
(4)5分間休止する。
構築した例1〜例15に係る電池を、以下の(1)〜(4)に従ってコンディショニング処理した。
(1)1Cのレート(40A)で4.2Vまで定電流充電(CC充電)する。
(2)5分間休止する。
(3)1Cのレート(40A)で2.5Vまで定電流放電(CC放電)する。
(4)5分間休止する。
<定格容量(初期容量)の測定>
上記コンディショニング後の電池を、25℃の温度環境下において、以下の(1)〜(4)に従って3.0Vから4.2Vの電圧範囲で充放電し、初期容量の確認を行った。
(1)電池電圧が4.2Vとなるまで1Cのレート(40A)で定電流充電(CC充電)した後、電流が0.01Cのレート(0.4A)になるまで定電圧充電(CV充電)を行う。
(2)5分休止する。
(3)電池電圧が3.0Vとなるまで1Cのレート(40A)でCC放電した後、電流が0.01Cのレート(0.4A)になるまで定電圧放電(CV放電)を行う。
(4)5分休止する。
得られた放電容量(電流値と電圧値の積の総和)を定格容量(初期容量)とした。この評価用電池は、定格容量が凡そ25Ahだった。
上記コンディショニング後の電池を、25℃の温度環境下において、以下の(1)〜(4)に従って3.0Vから4.2Vの電圧範囲で充放電し、初期容量の確認を行った。
(1)電池電圧が4.2Vとなるまで1Cのレート(40A)で定電流充電(CC充電)した後、電流が0.01Cのレート(0.4A)になるまで定電圧充電(CV充電)を行う。
(2)5分休止する。
(3)電池電圧が3.0Vとなるまで1Cのレート(40A)でCC放電した後、電流が0.01Cのレート(0.4A)になるまで定電圧放電(CV放電)を行う。
(4)5分休止する。
得られた放電容量(電流値と電圧値の積の総和)を定格容量(初期容量)とした。この評価用電池は、定格容量が凡そ25Ahだった。
<ハイレートサイクル特性評価>
上記初期容量確認後の電池を以下の充放電パターンで充放電し、出力特性の評価を行った。充放電は25℃の温度環境下において、下記(1)〜(4)を1サイクルとして、1000サイクル繰り返した。
(1)10Cのレート(400A)で4.2Vまで定電流充電(CC充電)する。
(2)5分間休止する。
(3)10Cのレート(400A)で2.5Vまで定電流放電(CC放電)する。
(4)5分間休止する。
その後、上記初期容量と同様の方法で、電池容量(サイクル試験後容量)を確認した。サイクル試験後の電池容量の値を上記初期容量の値で除して100を掛けることにより、容量維持率(%)を算出した。得られた結果を、表2の「容量維持率」の欄に示す。かかる結果は、大電流の負荷(入出力)が繰り返される場合の耐久性を示している。
上記初期容量確認後の電池を以下の充放電パターンで充放電し、出力特性の評価を行った。充放電は25℃の温度環境下において、下記(1)〜(4)を1サイクルとして、1000サイクル繰り返した。
(1)10Cのレート(400A)で4.2Vまで定電流充電(CC充電)する。
(2)5分間休止する。
(3)10Cのレート(400A)で2.5Vまで定電流放電(CC放電)する。
(4)5分間休止する。
その後、上記初期容量と同様の方法で、電池容量(サイクル試験後容量)を確認した。サイクル試験後の電池容量の値を上記初期容量の値で除して100を掛けることにより、容量維持率(%)を算出した。得られた結果を、表2の「容量維持率」の欄に示す。かかる結果は、大電流の負荷(入出力)が繰り返される場合の耐久性を示している。
表2から明らかなように、磁場配向を全く行わなかった例1,2,4の電池では容量維持率が79%程度だった。これに対して、負極活物質層の前面に渡って磁場配向を施した例3の電池では容量維持率が65%程度と低く、磁場配向を行う範囲(すなわち領域A)が大きいほど入出力特性が悪化する虞があることが示された。また、捲回軸方向の一の端部にのみ領域Aを設けた例5〜例15の電池では、上記例3の電池よりも高い容量維持率を示した。この理由としては、捲回軸方向の一の端部にのみ領域Aを設けることで、電極体の幅方向において電解液の含浸性を維持し得たため、負極活物質層内に電解液が好適に含浸し得たことが考えられる。特に、I(110)/I(002)比を0.5以下とした例5〜例14の電池では、容量維持率が70%以上と高い値を示していた。一方、I(110)/I(002)比を0.55とした例15の電池では、容量維持率が70%より低かった。この理由としては、領域Aへの磁場の印加が強すぎたために、領域B(の一部)にまで磁場配向が生じたことが考えられる。かかる結果より、I(110)/I(002)を0.5以下、典型的にはI(110)/I(002)を0.1以下、例えばI(110)/I(002)を0.06以下とすることの技術的意義が示された。
また、領域Aの増粘剤としてカードランを用い、領域Bの増粘剤としてCMCを用いた例(例6,例7,例9〜例15)について比較すると、負極活物質層の長さLに対する領域Aの長さLaの比(La/L)を0.3以下とした例6,例7,例9,例10,例12〜例15の電池では、容量維持率が75%以上(典型的には78%以上)と、より高い入出力特性を発現した。さらに、La/Lが等しく、増粘剤の種類のみが異なる例4と例9の電池について比較すると、領域Aに増粘剤としてカードラン(感温性増粘剤)を含む場合に、より高い入出力特性を発現し得ることがわかった。かかる結果は本発明の効果を表すものである。
<高温保存後の内部短絡評価>
次に、所定の充電状態に調整した電池を高温環境で所定の時間保存した場合のOCV挙動を評価した。ここでは、SOC90%に調整した各電池を60℃の環境下で3日間保存した。そして、保存直後の電圧の値(V1)から3日後の電圧(V2)を差し引いて、その差をdVとして算出した。得られた結果を、表2の「OCV(dV)」の欄に示す。
また、高温保存後の電池を3Vまで放電させてから解体し、負極を観察して内部短絡の形跡(極板の変色の有無)を確認した。得られた結果を、表2の「極板変色」の欄に示す。ここでは、各例につきN=10で評価を行い、極板変色の認められた電池の個数を示している。
上記の結果(dVおよび極板変色の結果)は、高温保存のように正極活物質から構成元素が溶出し易い条件下における耐久性を示している。
次に、所定の充電状態に調整した電池を高温環境で所定の時間保存した場合のOCV挙動を評価した。ここでは、SOC90%に調整した各電池を60℃の環境下で3日間保存した。そして、保存直後の電圧の値(V1)から3日後の電圧(V2)を差し引いて、その差をdVとして算出した。得られた結果を、表2の「OCV(dV)」の欄に示す。
また、高温保存後の電池を3Vまで放電させてから解体し、負極を観察して内部短絡の形跡(極板の変色の有無)を確認した。得られた結果を、表2の「極板変色」の欄に示す。ここでは、各例につきN=10で評価を行い、極板変色の認められた電池の個数を示している。
上記の結果(dVおよび極板変色の結果)は、高温保存のように正極活物質から構成元素が溶出し易い条件下における耐久性を示している。
表2から明らかなように、領域Aに磁場配向を行わなかった例1,2,4の電池(換言すれば、領域AのI(110)/I(002)が凡そ0.006程度と相対的に低い電池)では、半数以上の電池で内部短絡の発生が確認された。また、領域Aに磁場配向を行った場合であっても、領域AのI(110)/I(002)が0.075と低い例13の電池では、一部の電池で内部短絡の発生が確認された。このことから、負極端部(典型的には正極活物質層の非対向部)にI(110)/I(002)比の高い領域A、換言すればI(110)/I(002)の値が0.01以上(典型的には0.04以上、例えば0.045以上)の領域Aを設けることで、不可逆的に吸蔵される電荷担体の量を抑制し得、負極における微短絡の発生を抑制し得ることが示された。
また、負極活物質層の長さLに対する領域Aの長さLaの比(La/L)が0.03と低い例6の電池では、一部の電池で内部短絡の発生が確認された。かかる結果より、負極活物質層の長さLに対する領域Aの長さLaの比(La/L)を0.05以上とすることで、より確実に内部短絡の発生を抑制し得ることが示された。かかる結果は本発明の効果を表すものである。
また、負極活物質層の長さLに対する領域Aの長さLaの比(La/L)が0.03と低い例6の電池では、一部の電池で内部短絡の発生が確認された。かかる結果より、負極活物質層の長さLに対する領域Aの長さLaの比(La/L)を0.05以上とすることで、より確実に内部短絡の発生を抑制し得ることが示された。かかる結果は本発明の効果を表すものである。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 正極シート(正極)
12 正極集電体
14 正極活物質層
16 正極活物質層非形成部
20 負極シート(負極)
22 負極集電体
24 負極活物質層
25 黒鉛材料
26 負極活物質層非形成部
40 セパレータシート(セパレータ)
50 電池ケース
52 電池ケース本体
54 蓋体
55 安全弁
70 正極端子
72 負極端子
80 捲回電極体
100 非水電解液二次電池
114 供給ロール
116 ガイド
118 回収ロール
120 スラリー塗布部
124 ダイコーター
125 ダイ
126 吐出口
126a 領域A形成用スラリー吐出口
126b 領域B形成用スラリー吐出口
130 磁場印加部
132 磁場発生体
140 乾燥炉
150 負極製造装置
12 正極集電体
14 正極活物質層
16 正極活物質層非形成部
20 負極シート(負極)
22 負極集電体
24 負極活物質層
25 黒鉛材料
26 負極活物質層非形成部
40 セパレータシート(セパレータ)
50 電池ケース
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54 蓋体
55 安全弁
70 正極端子
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116 ガイド
118 回収ロール
120 スラリー塗布部
124 ダイコーター
125 ダイ
126 吐出口
126a 領域A形成用スラリー吐出口
126b 領域B形成用スラリー吐出口
130 磁場印加部
132 磁場発生体
140 乾燥炉
150 負極製造装置
Claims (5)
- 正極と負極とを備えた捲回電極体と、非水電解液と、が所定の電池ケースに収容された非水電解液二次電池であって:
前記正極は、長尺状の正極集電体と、該集電体の長手方向に沿って所定の幅で形成された正極活物質層とを備え、
前記負極は、長尺状の負極集電体と、該集電体の長手方向に沿って前記正極活物質層を超える幅で形成された負極活物質層とを備え、
前記負極の捲回軸方向の一の端部には、前記負極活物質層が形成されずに露出している前記負極集電体が配置されており、
前記負極の捲回軸方向の他の一の端部には、前記負極活物質層の一部である領域Aとして、前記正極活物質層に対向しない非対向部からなる領域、あるいは前記非対向部に加えて近接する前記正極活物質層と対向する対向部の一部から構成される領域、が設けられており、
前記領域Aは、少なくとも黒鉛材料と増粘剤とを備え、
ここで、前記領域AにおけるX線回折法に基づく(002)面のピーク強度I(002)と(110)面のピーク強度I(110)との比(I(110)/I(002))は、前記領域Aに含まれない前記対向部よりも大きく、且つ
前記領域AにおけるI(110)/I(002)の値が0.01以上0.5以下であることを特徴とする、非水電解液二次電池。 - 前記増粘剤は、温度上昇に伴って粘度が上昇する感温性増粘剤である、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
- 前記感温性増粘剤はカードランである、請求項2に記載の非水電解液二次電池。
- 前記負極の捲回軸方向の一の端部から他の一の端部に向かう方向として規定される幅方向において、
前記負極活物質層の長さLに対する前記領域Aの長さLaの比(La/L)は0.05以上0.3以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池。 - 前記黒鉛材料は粒子状であって、
前記領域Aに含まれる前記黒鉛粒子全体を100個数%としたときに、少なくとも50個数%の該黒鉛粒子で、炭素六角網面と前記負極集電体表面とのなす角θが60°≦θ≦90°である、請求項1から4のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012234131A JP2014086258A (ja) | 2012-10-23 | 2012-10-23 | 非水電解液二次電池 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016115576A (ja) * | 2014-12-16 | 2016-06-23 | 株式会社日立ハイテクファインシステムズ | リチウムイオン電池の製造方法、リチウムイオン電池の製造装置およびリチウムイオン電池 |
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KR20180048131A (ko) * | 2016-11-02 | 2018-05-10 | 삼성에스디아이 주식회사 | 리튬 이차 전지 |
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-
2012
- 2012-10-23 JP JP2012234131A patent/JP2014086258A/ja active Pending
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