JP2014085408A - 熱線制御シート - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、太陽光等の光源からの光の入射角度に応じて熱線の遮断および可視光線の透過を効率良く行うことができ、且つ、良好な視認性を有する熱線制御シートを提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、一方の表面に複数本の溝部を有する光透過部と、上記光透過部の上記溝部内に形成された熱線吸収部と、を少なくとも有する熱線制御シートであって、上記熱線吸収部は、黒色粒子と可視光線を透過する透明熱線吸収粒子とを少なくとも有することを特徴とする熱線制御シートを提供することにより、上記目的を達成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽光等の光源からの光の入射角度に応じて熱線の遮断および可視光線の透過を効率良く行うことができ、且つ、良好な視認性を有する熱線制御シートに関する。
従来より、窓ガラス等を介して住宅やビルの室内および自動車の車内等に流入する太陽光等の光のうち、赤外光領域の光(以下、赤外光領域の光のことを「熱線」と略する場合がある。)を遮断し、室内や車内等の温度上昇を抑制する熱線制御シートの開発が行われている。
このような熱線制御シートとして、特許文献1では、フィルム基材上に赤外線吸収剤を主成分とする赤外線吸収層を有する熱線遮断フィルム基材が開示されている。これは、上記赤外線吸収層をストライプパターン状とすることで、窓ガラスに貼り付けた上記熱線遮断フィルム基材を介して太陽光等が入射する際に、熱線を遮断しつつ、可視光領域の光(以下、可視光領域の光のことを「可視光線」と略する場合がある。)を透過させるものである。
また、特許文献2では、太陽光等を透過する光透過性部、および太陽光等を吸収する遮光部群を有する光抑制シートが開示されている。これは、上記遮光部群を所定のピッチで配列させることにより、季節ごとの太陽光の入射角度の違いを利用して、夏季では室内への熱線の取り込みを遮断し、一方、冬季では熱線を取り込むものである。
特許第4858269号 特開2010−259406号公報
ところで、上述のような熱線制御シートでは、窓ガラス等の被着体に貼って使用する際に、上記被着体から見える外観等の視認性が低下する場合があることから、熱線制御シートの視認性について向上が求められている。
視認性の低下を招く現象について、具体的には、窓ガラス等の被着体に上記熱線制御シートを貼った状態で外観等を見る際に、上記被着体に映る外観等の像に上下方向に平行な複数のスジが入り、上記スジの入った方向に対して像の色が分解して虹状の不鮮明な像として見える場合がある。このため、像の色分解が生じにくく鮮明な像として視認が可能な熱線制御シートが求められる。なお、以下の説明において、スジの入る方向に色が分解して見える像を「多重像」と称する。
また、上述のような熱線制御シートは、熱線の遮断および可視光線の透過を調整することができるが、例えば、太陽光を光源とした時に冬季においても夏季と同様に熱線を遮断してしまう場合や、熱線を遮断すると同時に可視光線も遮断されてしまい、十分な採光が得られない場合等があることから、光の入射角度に応じた熱線の遮断および可視光線の透過を、より選択的に効率良く行うことも求められる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、太陽光等の光源からの光の入射角度に応じて熱線の遮断および可視光線の透過を効率良く行うことができ、且つ、良好な視認性を有する熱線制御シートを提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明においては、一方の表面に複数本の溝部を有する光透過部と、上記光透過部の上記溝部内に形成された熱線吸収部と、を少なくとも有する熱線制御シートであって、上記熱線吸収部は、黒色粒子と可視光線を透過する透明熱線吸収粒子とを少なくとも有することを特徴とする熱線制御シートを提供する。
本発明によれば、光透過部は太陽光等の光源からの光を透過する機能を有しており、熱線吸収部は、上記熱線吸収部に含有される黒色粒子が可視光線の一部を吸収する機能を有し、透明熱線吸収粒子が熱線を吸収すると共に可視光線を透過する機能を有するものである。そのため、上記熱線吸収部に光が入射すると、上記黒色粒子が可視光線の一部を吸収するため、熱線吸収部と光透過部との界面において反射する可視光線の強度を減衰させることができる。これにより熱線制御シート内において、可視光線の多重反射の発生が抑制され、多重像の発現を低減することができる。
また、上記構造を有することにより、光源からの光の入射角度の違いを利用して、光の選択的な取り込みを行うことができる。例えば、太陽光を光源とする場合に、太陽光の入射角度の大きい夏季においては、上記熱線吸収部の側面からの太陽光の入射が多くなるため、可視光線を取り込むことで採光を確保しつつ、上記熱線吸収粒子により室内等の温度上昇に寄与する熱線の取り込みを遮断することができる。一方、太陽光の入射角度が小さい冬季においては、熱線制御シート面に対して垂直に近い角度から太陽光が入射するため、上記光透過部において可視光線および熱線の取り込みを行うことができる。つまり、光源からの光の入射角度に応じて、熱線の遮断および可視光線の透過を選択的に効率良く行うことができる。
なお、光の入射角度とは、熱線制御シート面に対して垂直な平面と光源の位置とがなす角度をいう。
上記発明においては、上記熱線吸収部に含まれる上記黒色粒子の含有率が、上記熱線吸収部の全質量(100質量%)に対して、0.01質量%〜10質量%の範囲内であることが好ましい。上記熱線吸収部に含まれる上記黒色粒子の含有率を所定の量とすることにより、本発明の熱線制御シート全体の可視光領域における平均透過率を大幅に低減させることなく、上記黒色粒子が可視光線を適度に吸収することができるため、上記熱線吸収部と上記光透過部との界面において反射する可視光線の強度を減衰させることができ、多重反射の発生を抑制することができるからである。
上記発明においては、上記熱線吸収部において、上記黒色粒子の平均粒径と上記透明熱線吸収粒子の平均粒径とが異なることが好ましい。上記黒色粒子に吸収されて強度が減衰した可視光線の反射をランダムな方向に散乱させることができ、散乱した可視光線により発現される複数の像がずれて重なり多重像全体が白色化するため、上記多重像を視認しにくくすることができるからである。
また、本発明においては、窓材と、上記窓材の少なくとも一方の表面に粘着された熱線制御シートとを有する熱線制御シート付き窓であって、上記熱線制御シートが、一方の表面に複数本の溝部を有する光透過部と、上記光透過部の上記溝部内に形成された熱線吸収部と、を少なくとも有し、上記熱線吸収部は、黒色粒子と可視光線を透過する透明熱線吸収粒子とを少なくとも有することを特徴とする熱線制御シート付き窓を提供する。
本発明によれば、ガラス等の窓材の表面に上述した熱線制御シートが備わっているため、太陽光等の光源からの光が入射する際に可視光線の多重反射が抑制され、多重像を発現しにくい窓とすることができる。また、上記熱線制御シート付き窓は、光源からの光の入射角度に応じた熱線の遮断および可視光線の透過を効率良く行うことができ、例えば、太陽光を光源とする場合に、夏季においては採光を確保しつつ熱線の取り込みを遮断することができ、一方、冬季においては可視光線および熱線の取り込みを行うことができる。これにより、上記熱線制御シート付き窓を備える建物や車両等の室内空間は、年間を通じて適度な室内温度および採光が保持されるため、省エネ効果を得ることができる。
本発明によれば、光透過部および上記光透過部の表面上の溝部内に形成された複数の熱線吸収部を有する熱線制御シートにおいて、上記熱線吸収部に可視光線の一部を吸収する黒色粒子を含有させることにより、上記熱線制御シート内における可視光線の多重反射の発生を抑制し、多重像の発現による視認性の低下を防ぐことができるという作用効果を奏する。
また、上記光透過部では可視光線および熱線の両方を透過し、上記熱線吸収部では可視光線は透過するが熱線は吸収するという異なる機能を有することにより、太陽光等の光源からの光の入射角度に応じて熱線の遮断および可視光線の透過を効率良く行うことができるという作用効果を奏する。
本発明の熱線制御シートの一例を示す概略断面図である。 本発明における熱線吸収部の一例を示す概略断面図である。 本発明の熱線制御シートの使用態様の一例を示す概略断面図である。 本発明の熱線制御シート付き窓の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の熱線制御シート、および熱線制御シート付き窓について説明する。
A.熱線制御シート
本発明の熱線制御シートは、一方の表面に複数本の溝部を有する光透過部と、上記光透過部の上記溝部内に形成された熱線吸収部と、を少なくとも有する熱線制御シートであって、上記熱線吸収部は、黒色粒子と可視光線を透過する透明熱線吸収粒子とを少なくとも有することを特徴とするものである。
このような熱線制御シートについて、図面を参照して説明する。図1は本発明の熱線制御シートの一例を示す概略断面図であり、図2は本発明における熱線吸収部の一例を示す概略断面図である。本発明の熱線制御シート10は、図1に例示されるように、一方の表面に複数本の溝部3を有する光透過部1と、上記溝部3内に形成された熱線吸収部2と、を有するものである。また、熱線吸収部2は、図2で例示されるように、黒色粒子11と可視光線を透過する透明熱線吸収粒子12とを少なくとも有するものである。
なお、上記概略断面図の断面とは、後述する図3に例示されるように、本発明の熱線制御シートを窓ガラス等の被着体に貼り付けた際に、被着体の側面から見た面をいう。
本発明の熱線制御シートは、一方の表面に複数本の溝部を有し、可視光線を透過する光透過部と、上記溝部内に形成され、熱線は吸収するが可視光線は透過する透明熱線吸収粒子を含む熱線吸収部と、を有する構造とすることにより、光源からの光の入射角度の違いを利用して、熱線の遮断および可視光線の透過を効率良く行うことができる。
例えば、太陽光を光源とする場合、季節ごとの入射角度の違いを利用して太陽光の取り込みを行うことができる。具体的には、太陽光の入射角度が大きい夏季においては、熱線制御シート面に対して斜めから太陽光が入射するため、上記熱線吸収部の側面からの太陽光の入射が多くなる。上記熱線吸収部においては、可視光線を取り込むことで採光を確保しつつ、上記熱線吸収部に含まれる熱線吸収粒子が室内等の温度上昇に寄与する熱線の取り込みを遮断することができる。
このため、夏季の室内等においては、太陽光を利用した照度の向上と室内温度の上昇の抑制とを図ることができる。
一方、太陽光の入射角度が小さい冬季においては、熱線制御シート面に対して垂直に近い角度から太陽光が入射するため、太陽光は上記光透過部に入射することとなる。上記光透過部においては可視光線および熱線の両方を取り込むことができるため、冬季の室内等においては、太陽光を利用した照度の向上と室内温度の上昇とを図ることができる。
また、本発明者等は、上記熱線制御シートを介して見える像が多重像となる要因を検討した結果、上記要因が上記熱線制御シートの内部で可視光領域の光が多重反射するためであることを見出した。上記熱線制御シートの構造において、上記熱線吸収部と上記光透過部との界面で光の屈折率差を有するため、上記界面で反射された可視光線は上記熱線制御シート内において繰り返し多重反射を起こすものと考えられる。その結果、反射光および入射光は干渉現象を生じ、上記熱線制御シートを介して視認される像が多重像となるものと推定されるのである。
これに対し、上述した熱線制御シートにおける熱線吸収部に、可視光線を透過する透明熱線吸収粒子の他に、可視光線を吸収する黒色粒子を含有させることにより、熱線吸収部に光が入射する際に上記黒色粒子が可視光線の一部を吸収し、熱線吸収部と光透過部との界面において反射する可視光線の強度を減衰させることができる。これにより、上記熱線制御シート内での可視光線の多重反射の発生および干渉現象の発生を抑制することができ、熱線制御シート全体の可視光領域における透過率を大幅に低減させることなく、多重像の発現を抑制することを可能とした。
なお、本発明において、「光源からの光」とは、少なくとも可視光領域または赤外光領域に波長を有する光であれば特に限定されるものではなく、例えば、太陽光等の自然光、赤外線LED、ハロゲンランプ、キセノンランプ等の光源からの光が挙げられる。また、本発明においては、上記光を発する光源の位置が変化することが好ましい。
さらに、本発明において、可視光領域および赤外光領域とは、それぞれ一般的に定義される波長領域をいい、380nm〜780nmの範囲内を可視光領域、それよりも長波長領域を赤外光領域とするものである。
本発明の熱線制御シートは、光透過部および熱線吸収部を少なくとも有するものである。以下、本発明の熱線制御シートの各構成について順に説明する。
1.熱線吸収部
本発明における熱線吸収部は、後述する光透過部の複数本の溝部内に形成されるものである。また、上記熱線吸収部は、黒色粒子と可視光線を透過する透明熱線吸収粒子とを少なくとも有することを特徴とするものである。
上記熱線吸収部において、上記透明熱線吸収粒子は可視光線を透過しつつ熱線を吸収するという機能を有し、一方、上記黒色粒子は可視光線の一部を吸収するという機能を有する。そのため、上記熱線吸収部に光が入射すると、上記黒色粒子において可視光線の一部が吸収されることにより、上記熱線吸収部および光透過部の界面において反射する可視光線の強度を減衰させ、多重反射の発生および多重像の発現を抑制することができる。また、上記透明熱線吸収粒子において熱線が吸収されることにより、室内等への熱線の取り込みを遮断し、室内等の温度上昇を低減することができる。
(1)黒色粒子
上記熱線吸収部における黒色粒子としては、例えば黒色顔料等が挙げられ、具体的には、カーボンブラック、黒鉛、酸窒化チタン、窒化チタン、炭窒化チタン、硫化ビスマス、Cu、Fe、Mn、V、Ni、Co、Zr等の複合酸化物、黒色酸化鉄、黒色酸化チタン、二酸化マンガン等の金属酸化物およびその混合物、アニリンブラック、ポリアニリン、ポリピロ−ル等の黒色顔料を用いることができる。
また、上記黒色粒子は、可視光領域の光をほぼ全領域に渡って吸収するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、紺色、青色、紫色等の青みを帯びた粒子、赤みを帯びた粒子、黄色みを帯びた粒子等でもよい。このような粒子としては、黄鉛、モリブデン赤、紺青、群青、弁柄、カドミ系顔料、コバルト系顔料等の無機顔料、アゾ系顔料、アントラキノン系顔料、ピラントロン系顔料等の多環キノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ハロゲン化銅フタロシアニン顔料、銅フタロシアニン顔料、その他のフタロシアニン系顔料、ペリレン、ペリノン系顔料、インジゴ系顔料、ピロール系顔料、ピロロピロール系顔料等の有機顔料挙げられる。
さらに、上記黒色粒子は、複数種類の顔料等を混ぜ合わせて黒色とした粒子であってもよく、例えば、紺色、青色、紫色、赤色、黄色等の顔料を混合して実質的に黒色としたものであってもよく、レッド(R)、ブルー(B)、グリーン(G)の顔料を組み合わせて黒色を示すものであってもよい。なお、レッド(R)、ブルー(B)、グリーン(G)の顔料としては、通常インクジェットインク等で用いられている顔料を使用することができる。
さらにまた、上記黒色粒子は、アクリル等の透明樹脂粒子を上述した黒色顔料または可視光領域の光をほぼ全領域に渡って吸収する色の顔料を用いて染色し、黒色粒子としたものであってもよく、アクリル等の透明樹脂粒子を上述した黒色顔料、可視光領域の光をほぼ全領域に渡って吸収する色の顔料、または、アゾ系、ジスアゾ系、金属含有アゾ系、アントラキノン系、ペリノン系、ペリレン系、メチン系、キリノン系等の黒色染料等を混合分散させて着色し、黒色粒子としたものであってもよい。なお、上記黒色粒子は1種類であってもよく、2種類以上の黒色粒子を配合したものであってもよい。
上記黒色粒子の平均粒径としては、5nm〜400nmの範囲内であることが好ましく、中でも7nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、特に10nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。
黒色粒子の平均粒径が上記範囲よりも小さいと、上記黒色粒子の凝集力が大きくなり、熱線吸収部全体に分散されない場合があり、一方、上記範囲よりも大きいと、黒色粒子の平均粒径と可視光領域の波長とが重なることでヘイズが生じる場合や、回折現象による多重像が生じる場合があり、本発明の熱線制御シートの透明性が低下する場合がある。
なお、上記平均粒径は、黒色粒子を電子顕微鏡で観察し、算術平均により求めた値である。
また、黒色粒子の粒度分布は、粒度分布幅が広くブロード状となっていることが好ましい。中でも粒度分布幅が広くブロード状であり、且つ、黒色粒子の粒度分布のうち、累積粒度分布の累積90%の粒径D90が可視光領域と重ならないことが好ましい。黒色粒子の粒径D90が可視光領域内にあると、ヘイズが生じ、本発明の熱線制御シートの透明性を低下させる場合があるからである。
上記黒色粒子の粒度分布としては、後述する測定法を用いて測定し、累積粒度分布の微粒子側から累積10%の粒径をD10とし、累積90%の粒径をD90とした時に、D90の値が25nm以上400nm以下であることが好ましく、中でも50nm以上200nm以下であることが好ましい。また、累積10%の粒径D10と累積90%の粒径D90との比(D90/D10)が、2〜400の範囲内であることが好ましく、中でも3〜200の範囲内であることがさらに好ましく、特に4〜100の範囲内であることが好ましい。
黒色粒子の粒度分布のD90/D10の値が上記範囲内にあることにより、粒度分布幅が広くなり、熱線吸収部と光透過部との界面において反射する可視光線をランダムな方向へ散乱させることができる。このため、散乱した可視光線により発現される複数の像は、ずれて重なることにより多重像全体が白色化し、上記多重像を見えにくくすることができるからである。
なお、上記粒度分布は、粒度分布計による測定から得られる値である。
上記熱線吸収部に含まれる黒色粒子の含有率としては、可視光線を吸収することができ、且つ、本発明の熱線制御シートの可視光領域における透過率を損なわない程度の量であることが好ましく、例えば、熱線吸収部の全質量(100質量%)に対して、0.01質量%〜10質量%の範囲内であることが好ましく、中でも0.03質量%〜7質量%の範囲内であることが好ましく、特に0.05質量%〜5質量%の範囲内であることが好ましい。
熱線吸収部における黒色粒子の含有率が上記範囲よりも大きいと、本発明の熱線制御シート全体としての可視光領域における透過率が低下するため、上記熱線制御シートの外観が暗くなる場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、上記熱線吸収部に入る可視光線を適度に吸収できないため、反射する可視光線の強度が減衰されず、多重反射を抑制することができない場合がある。
(2)透明熱線吸収粒子
上記熱線吸収部における透明熱線吸収粒子は、可視光線を透過し、熱線を吸収するもの、すなわち、赤外光領域に吸収特性を有し、且つ、可視光領域に透過特性を有する粒子であればよい。好ましくは、以下の測定条件において、可視光領域における平均透過率が50%以上、中でも60%以上、特に70%以上であり、また、赤外光領域における平均吸収率が50%以上、中でも60%以上、特に70%以上を示すものであることが好ましい。
なお、可視光領域における平均透過率は、後述する実施例で用いられるバインダ樹脂95質量%に透明熱線吸収粒子を5質量%含有させて全体量を100質量%とした熱線吸収部形成用組成物を、東洋紡績製PETフィルム(品番:コスモシャインA4300、厚さ100μm)の上に膜厚1μmで塗布し、分光光度計((株)島津製作所製「UV−2450」、JIS K0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値である。
また、赤外光領域における平均吸収率は、上述した平均透過率の測定と同様のサンプルおよび測定方法を用い、測定波長780nm〜2500nmの範囲内で測定したときの、各波長における吸収率の平均値である。
このような透明熱線吸収粒子としては、透明性を有する無機ナノ粒子を用いることができ、例えば、アンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)、六ホウ化ランタン(LaB)、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、酸化タングステン、六ホウ化セリウム、無水アンチモン酸亜鉛および硫化銅またはそれらの混合物のナノ粒子等を用いることができる。中でもアンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)又はこれらの混合物を用いることが好ましい。
上記透明熱線吸収粒子はナノ微粒子であることが好ましく、その平均粒径(D50)としては、例えば、10nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、中でも20nm〜150nmの範囲内であることが好ましく、特に30nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。
透明熱線吸収粒子の平均粒径が上記範囲よりも大きいと、ヘイズを生じ本発明の熱線制御シートの透明性が低下する場合がある。また、上記範囲よりも小さいと、熱線を十分に吸収できず、熱線制御シートとしての機能が劣る場合がある。なお、上記平均粒径は、透明熱線吸収粒子を電子顕微鏡で観察し、算術平均により求めた値である。
上記透明熱線吸収粒子の粒度分布は、上述した黒色粒子と同様に、多重像全体を白色化させて上記多重像を更に見えにくくすることができる点から、粒度分布幅が広くブロード状であることが好ましい。中でも上記粒度分布幅が広くブロード状であり、且つ、透明熱線吸収粒子の粒度分布のうち、累積粒度分布の微粒子側から累積90%の粒径D90が可視光領域内にないことが好ましい。透明熱線吸収粒子の粒径D90が可視光領域内にあると、ヘイズが生じる場合があるからである。
上記透明熱線吸収粒子の粒度分布としては、後述する測定法を用いて測定し、累積粒度分布の微粒子側から累積10%の粒径をD10とし、累積90%の粒径をD90とした時に、D90の値が25nm以上400nm以下であることが好ましく、中でも50nm以上200nm以下であることが好ましい。また、累積10%の粒径D10と累積90%の粒径D90との比(D90/D10)が、2〜400の範囲内であることが好ましく、中でも3〜200の範囲内であることが好ましく、特に4〜100の範囲内であることが好ましい。
透明熱線吸収粒子の粒度分布のD90/D10の値が上記範囲内にあることにより、粒度分布幅が広くなり、より広域な波長の熱線を吸収することができる。なお、上記粒度分布は、粒度分布計による測定から得られる値である。
また、多重像全体を白色化させて上記多重像を更に見えにくくする効果に加え、多重像全体の白色化により観察者が受ける白濁感等の印象を低減させるためには、上述した粒度分布よりも狭くシャープな粒度分布幅とすることが好ましく、中でも上記粒度分布幅が狭くシャープ状であり、且つ、透明熱線吸収粒子の粒度分布のうち、累積粒度分布の微粒子側から累積90%の粒径D90が可視光領域内にないことが好ましい。透明熱線吸収粒子の粒径D90が可視光領域内にあると、ヘイズが生じ、本発明の熱線制御シートの透明性が低下する場合があるからである。
上記の場合の透明熱線吸収粒子の粒度分布としては、累積粒度分布の微粒子側から累積10%の粒径をD10とし、累積90%の粒径をD90とした時に、D90の値が25nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、中でも30nm〜80nmの範囲内であることが好ましい。なお、上記粒度分布の測定方法としては、粒度分布計による測定から得られる値である。
なお、上述した透明熱線吸収粒子の粒度分布幅は、本発明の熱線制御シートの用途に応じて適宜設定することができ、例えば、貼り付ける窓ガラス等の被着体にプライバシー機能やデザイン性を付与したい場合においては、透明熱線吸収粒子の粒度分布幅を所望の範囲内でブロード状とすることにより効果を奏することができる。一方、高い透明性および視認性が求められる場合においては、透明熱線吸収粒子の粒度分布幅を所望の範囲内でシャープ状とすることにより効果を奏することができる。
上記熱線吸収部に含まれる透明熱線吸収粒子の含有率としては、熱線吸収部の全質量(100質量%)に対して、0.1質量%〜50質量%の範囲内であることが好ましく、中でも0.2質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、特に0.5質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
透明熱線吸収粒子の含有率が上記範囲よりも多いと、黒色粒子の含有率が相対的に下がるため、上記熱線吸収部において可視光線の吸収が起こらず、熱線吸収部と光透過部との界面において生じる可視光線の反射を抑制することができない場合がある。一方、上記範囲よりも少ないと、熱線の吸収が不十分となり、熱線制御シートとしての機能が劣る場合がある。
(3)その他の材料
本発明における熱線吸収部は、上述した黒色粒子および透明熱線吸収粒子の他に、バインダ樹脂、光開始剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を有することができるが、少なくともバインダ樹脂を有することが好ましい。以下、バインダ樹脂について説明する。
上記熱線吸収部におけるバインダ樹脂は、電離放射線の照射により硬化し得る材料であれば特に限定されるものではない。なお、上記電離放射線とは、電磁波が有する量子エネルギーで区分することもあるが、本発明ではすべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、γ線、X線、電子線、活性エネルギー線等を意味する。
上記バインダ樹脂の材料としては、構造中にラジカル重合性の活性基を有するモノマー、オリゴマー、またはポリマーを主成分として重合された電離放射線硬化性樹脂であることが好ましく、上記電離放射線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、可視光線硬化性樹脂、近赤外線硬化性樹脂等が挙げられる。
本発明においては、中でも紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂を用いることが好ましく、具体的には、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリチオール系等の反応性オリゴマー、ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリテート等の反応性のモノマー等が挙げられる。
また、上記バインダ樹脂には光開始剤が含まれることが好ましい。波長300nm〜400nmの紫外線等の電離放射線を照射してバインダ樹脂を硬化させることができるからである。上記光開始剤としては、照射する電離放射線の種類に応じて適宜選択でき、例えば、ケトン系やアセトフェノン系の光開始剤、具体的には、サンドレー1000、Darocure1163、Darocure1173、Irgacure183、Irgacure651等を用いることができる。なお、上記光開始剤の含有率としてはバインダ樹脂の量に応じて適宜調整することができ、例えば、バインダ樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部程度の範囲内であることが好ましい。
上記熱線吸収部におけるバインダ樹脂は、可視光領域の光の屈折率が小さいことが好ましい。上述した透明熱線吸収粒子は可視光領域の光の屈折率が大きいため、バインダ樹脂の上記屈折率を小さくすることで、熱線吸収部全体の屈折率を調整することができるからである。
上記熱線吸収部におけるバインダ樹脂の含有率としては、熱線吸収部の全質量(100質量%)に対して、40質量%〜98質量%の範囲内であることが好ましく、中でも50質量%〜95質量%の範囲内であることが好ましい。バインダ樹脂の含有率が上記範囲よりも多いと、熱線吸収粒子の含有率が相対的に低下し、熱線を十分に吸収できない場合があり、一方、上記範囲よりも少ないと、後述の光透過部との密着性に劣る場合がある。
(4)熱線吸収部
本発明における熱線吸収部は、黒色粒子および透明熱線吸収粒子を有するものであり、上記黒色粒子の平均粒径(D50)と上記透明熱線吸収粒子の平均粒径(D50)とが異なることが好ましい。熱線吸収部と光透過部との界面において反射する可視光線を、よりランダムな方向に散乱させることが可能となり、散乱した可視光線により発現する複数の像がずれて重なることにより、多重像全体が白色化し上記多重像を見えにくくすることができるからである。
黒色粒子の平均粒径と透明熱線吸収粒子の平均粒径とが異なるとは、黒色粒子の平均粒径が透明熱線吸収粒子の平均粒径よりも大きくてもよく、透明熱線吸収粒子の平均粒径が黒色粒子の平均粒径よりも大きくてもよい。
なお、平均粒径の異なる黒色粒子を複数用いる場合は、少なくとも1種類の黒色粒子の平均粒径が、透明熱線吸収粒子の平均粒径と異なる大きさのものであればよい。
上記黒色粒子および上記透明熱線吸収粒子の平均粒径(D50)の差としては、22nm以上300nm以下であることが好ましく、中でも25nm以上200nm以下であることが好ましく、特に30nm以上100nm以下であることが好ましい。
上記黒色粒子および上記透明熱線吸収粒子の平均粒径(D50)の差が上記範囲よりも大きいと、どちらかの粒径が可視光領域の波長と近くなることでヘイズを生じたり、回折現象による多重像を生じる場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、熱線吸収部と光透過部との界面において反射する可視光線をよりランダムに散乱させることができない場合がある。
なお、上記平均粒径の差は、電子顕微鏡で観察し、算術平均により求めた値である。
また、上記熱線吸収部全体の粒度分布が、黒色粒子の粒度分布のピークおよび透明熱線吸収粒子の粒径分布のピークの2本のピークを有するブロード状となっていることが好ましい。中でも上記熱線吸収部全体の粒度分布が2本のピークを有するブロード状となっており、粒径の大きい領域(累積粒度分布の微粒子側から累積90%の粒径D90)が可視光領域と重ならないことが好ましい。粒径の大きい領域が可視光領域と重なる場合、ヘイズが生じ、本発明の熱線制御シートの透明性が低下する場合があるからである。
上記黒色粒子の粒度分布のピークと上記透明熱線吸収粒子との粒径分布のピークとは、22nm以上離れていることが好ましく、中でも25nm以上離れていることが好ましく、特に30nm以上離れていることが好ましい。
上記熱線吸収部全体の粒度分布において、2本のピーク値の差が上記範囲にあることにより、熱線吸収部全体としての粒度分布が広くなり、熱線吸収部と光透過部との界面において反射する可視光線を、よりランダムな方向に散乱させることが可能となるからである。
また、熱線吸収部全体の粒度分布のうち、累積粒度分布の微粒子側から累積90%の粒径D90の大きさとしては、D90の値が400nm以下であることが好ましく、中でも300nm以下であることが好ましく、特に200nm以下であることが好ましい。
なお、上記粒度分布は、粒度分布計により求めた値である。
本発明における熱線吸収部は、可視光領域において所望の透過率を有することが好ましい。熱線吸収部の可視光領域における平均透過率としては、50%以上であることが好ましく、中でも60%以上であることが好ましく、特に70%以上であることが好ましい。
熱線吸収部の可視光領域における平均透過率が上記範囲よりも低いと、本発明の熱線制御シート全体としての可視光領域における透過率も低下するため、上記熱線制御シートの外観が暗くなる場合がある。
なお、上記熱線吸収部の可視光領域における平均透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−2450」、JIS K 0115準拠品)を用い、東洋紡績製PETフィルム(品番:コスモシャインA4300、厚さ100μm)の上に膜厚10μmで上記熱線吸収部を形成した測定サンプルを、測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定した時の、各波長における透過率の平均値である。
本発明における熱線吸収部は、熱線に対して所望の吸収率を有することが好ましく、上記熱線吸収部に含まれる透明熱線吸収粒子の種類や平均粒径、含有率等によって調整することができる。上記熱線吸収部の赤外光領域における平均吸収率としては50%〜100%の範囲内であることが好ましく、中でも55%〜95%の範囲内であることが好ましく、特に60%〜90%の範囲内であることが好ましい。
熱線吸収部の赤外光領域における平均吸収率が上記範囲よりも低いと、本発明の熱線制御シート全体としての熱線の吸収率も低下するため、室内等への熱線の取り込みを遮断することができなくなる場合がある。
なお、上記熱線吸収部の赤外光領域における平均吸収率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−2450」、JIS K 0115準拠品)を用いて、東洋紡績製PETフィルム(品番:コスモシャインA4300、厚さ100μm)の上に膜厚10μmで上記熱線吸収部を形成した測定サンプルを、測定波長780nm〜2500nmの範囲内で測定した時の、各波長における吸収率の平均値である。
本発明における熱線吸収部は、後述する光透過部の有する複数本の溝部内に、上述した熱線吸収部の材料が充填されて形成されるものである。したがって、上記熱線吸収部は上記溝部の形状と同じ形状となる。
上記熱線吸収部の断面形状としては、三角形、正方形、長方形、台形状等が挙げられる。また、上記熱線吸収部の厚み方向の頂部および底部の角部は曲面を有していてもよく、上記熱線吸収部の側面が直線でもよく曲線であってもよい。なお、上記熱線吸収部の断面形状とは、後述する図3で例示されるように、本発明の熱線制御シートを窓ガラス等の被着体に貼り付けた際に、被着体の側面から見た時の形状をいう。
また、本発明の熱線制御シートの面方向から見た上記熱線吸収部の配置は、特に限定されるものではなく、後述する図3で例示されるように、上下に並列して配置されていてもよく、平行に並んで配置されていてもよく、他方向にランダムに配置されていてもよい。さらに、面方向から見た上記熱線吸収部の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、直線状であってもよく、曲線等の形状であってもよい。中でも本発明の熱線制御シートの面方向から見た熱線吸収部として好ましくは、直線状に平行に配置されるものである。
上記熱線吸収部の高さとしては、所望の熱線制御シートの大きさ等により適宜設定することができ、例えば10μm〜300μmの範囲内であることが好ましく、中でも25μm〜250μmの範囲内であることが好ましく、特に50μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。熱線吸収部の高さを上記範囲内とすることにより、例えば、夏季の太陽光のように入射角度の大きい光が、熱線吸収部の表面の広範囲において入射しやすくなるため、より多くの熱線が吸収されることで室内等の温度上昇を抑制することができるからである。
また、上述した熱線吸収部の高さは、後述する光透過部の厚さに対して、50%〜100%の範囲内であることが好ましく、中でも60%〜95%の範囲内であることが好ましく、特に70%〜90%の範囲内であることが好ましい。上記熱線吸収部の高さが光透過部の厚さに対して上記範囲よりも小さいと、相対的に熱線制御シートの厚みが増え、屈曲性が低下する可能性があるからである。
なお、上記熱線吸収部の高さとは、図1においてaで示される部分である。
上記熱線吸収部の幅としては、5μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、中でも7μm〜45μmの範囲内であることが好ましく、特に10μm〜40μmの範囲内であることが好ましい。熱線吸収部の幅が上記範囲よりも大きいと、熱線吸収部および熱線制御シート全体として可視光線を透過しにくくなる場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、熱線吸収部の高さを上述の範囲とすることができない場合や、上記熱線吸収部が熱線に対して所望の吸収率を有さない場合がある。
なお、上記熱線吸収部の幅とは、図1においてbで示される部分である。また、上記熱線吸収部の長尺方向の長さとしては、所望の熱線制御シートの横幅に応じて適宜選択されるものである。
上記熱線吸収部のピッチ幅としては、30μm〜200μmの範囲内であることが好ましく、中でも40μm〜150μmの範囲内であることが好ましく、特に50μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。熱線吸収部のピッチ幅が上記範囲よりも大きいと、入射角度の大きい光が上記熱線吸収部に入射しにくくなり、熱線を十分に吸収することができない場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、光透過部において可視光線が透過しにくくなる場合がある。
なお、上記熱線吸収部のピッチ幅とは、図1においてcで示される部分である。
2.光透過部
本発明における光透過部は、一方の表面に複数本の溝部を有するものである。また、上記光透過部は、太陽光等の光源からの光を透過するものである。
上記光透過部に用いられる材料としては、電離放射線の照射により硬化する材料、すなわち電離放射線硬化性樹脂であることが好ましい。なお、上記電離放射線については、上述した「1.熱線吸収部」の項で説明した内容と同様である。
上記電離放射線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、可視光線硬化性樹脂、近赤外線硬化性樹脂等が挙げられる。本発明においては、中でも紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂を用いることが好ましい。
上記紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂としては、従来から慣用されている重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。例えば、重合性オリゴマーないしはプレポリマー、特には、多官能の重合性オリゴマーないしはプレポリマーが挙げられる。重合性オリゴマーないしはプレポリマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマーやプレポリマー、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系やポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートやカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマーやプレポリマー等が挙げられ、これらを単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
また、上記光透過部に用いられる材料として多官能性のウレタン(メタ)アクリレートを用いる場合、その粘度を調整する等の目的で、メチル(メタ)アクリレートなどの単官能性(メタ)アクリレートのような希釈剤を併用することができる。上記単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、低分子量の多官能性(メタ)アクリレートを併用してもよい。また、希釈剤としては、上記のモノマーを用いて、塗布性を確保することもできる。
また、上記光透過部の材料として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合開始剤を併用することが好ましい。上記光重合開始剤の種類としては、従来慣用されているものを用いることができる。上記光透過部における光重合開始剤の含有率としては、上記紫外線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部程度の範囲内であることが好ましい。
さらに、上記光透過部は上述した材料に加え、耐候性をさらに向上させるために、耐候性改善剤として紫外線吸収剤(UVA)を含有させてもよい。紫外線吸収剤としては、無機系、有機系のいずれでもよい。
無機系の紫外線吸収剤としては、例えば酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などが挙げられる。上記無機系の紫外線吸収剤の平均粒径(D50)は5nm〜120nm程度の範囲内であることが好ましい。
また、有機系の紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、サリチレート系、アクリロニトリル系等を用いることができ、中でもトリアジン系が好ましい。紫外線吸収能が高く、紫外線等の高エネルギーに対しても劣化しにくいからである。
なお、上記光透過部は、さらにハードコート性や光安定剤や耐傷フィラー、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤等の添加剤を含有してもよい。
本発明における光透過部は、可視光領域において所望の透過率を有することが好ましい。光透過部の可視光領域における平均透過率としては、70%以上であることが好ましく、中でも80%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。
光透過部の可視光領域における平均透過率が上記範囲よりも低いと、本発明の熱線制御シート全体としての可視光領域における透過率も低下するため、上記熱線制御シートの外観が暗くなる場合や、室内等へ十分な採光が確保できずに室内等の照度が不足する場合がある。
なお、上記光透過部の可視光領域における平均透過率は、上述した熱線吸収部の平均透過率の測定と同様の方法を用いて測定される。
上記光透過部の厚さとしては、10μm〜300μmの範囲内であることが好ましく、中でも25μm〜250μmの範囲内であることが好ましく、特に50μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。光透過部の厚さが上記範囲よりも大きいと、熱線制御シートの透過性が低下する可能性があるからである。
本発明における光透過部は、一方の表面に複数本の溝部を有するものである。上記溝部内において上述した熱線吸収部が形成されるため、上記溝部の形状と上記熱線吸収部の形状とは同じものとなる。
上記溝部の形状、大きさ等については、上述した「1.熱線吸収部」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
3.その他の構成
本発明の熱線制御シートは、上述した熱線吸収部および光透過部を少なくとも有するものであるが、その他の部位として粘着層、保護層、フィルム基材等を有することが好ましい。以下、それぞれの部位について説明する。
(1)粘着層
本発明の熱線制御シートは、窓ガラス等の被着体に貼付するために、光耐候性を有する粘着層を有していることが好ましい。
粘着層に用いられる粘着剤の材料としては、光耐候性を有するものであればよく、例えば、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、ゴム系等の粘着剤を用いることができる。中でも光耐候性を有する材料として、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル等のアクリル系モノマーやの重合体や共重合体を主成分とするアクリル系粘着剤を用いることが好ましく、特にn−ブチルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート等を用いることが好ましい。
また、上記粘着層は紫外線吸収剤を含有していることが好ましい。紫外線吸収剤を含有させることにより、粘着層の光耐候性を向上させることができるからである。
上記紫外線吸収剤としては、無機系、有機系のいずれでもよく、分子内に反応性基を有する紫外線吸収剤を用いることもできる。無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5nm〜120nm程度の酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等を好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、サリチレート系、アクリロニトリル系等が好ましく挙げることができる。中でも紫外線の吸収能が高く、紫外線等の高エネルギーに対しても劣化しにくいトリアジン系がより好ましい。
上記粘着層における紫外線吸収剤の含有量としては、粘着剤100質量部に対して、0.1質量部〜25質量部の範囲内であることが好ましく、中でも1質量部〜25質量部の範囲内であることが好ましく、特に3質量部〜20質量部の範囲内であることが好ましい。
また、上記粘着層は光安定剤等を含有していてもよい。粘着層の耐候性を向上させることができるからである。
上記光安定剤としては、ヒンダードアミン系の光安定剤等が好ましく、また、分子内に反応性基を有するものであってもよい。光安定剤としては、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
上記粘着層における光安定剤の含有量としては、粘着剤100質量部に対して、0.05質量部〜7質量部の範囲内であることが好ましく、中でも0.5質量部〜5質量部の範囲内であることがより好ましく、特に1質量部〜5質量部の範囲内であることが好ましい。
上記粘着層の形成される位置は、本発明の熱線制御シートの使用態様に応じて適宜選択することができる。例えば、上記熱線制御シートを内貼り用として用いる場合は、熱線吸収部の表面を含む光透過部の表面上に形成されることが好ましく、上記熱線制御シートを外貼り用として用いる場合は、上述した熱線吸収部の表面を含む光透過部の表面と対向する表面上に形成されることが好ましい。上記粘着層の厚さとしては、5μm〜100μmの範囲内が好ましく、中でも10μm〜75μmの範囲内が好ましい。
上記粘着層の形成方法としては、例えば、上述した粘着層の材料を、酢酸エチル、トルエン等の溶剤で希釈し固形分20質量%〜60質量%の塗布液を調製し、上記塗布液を剥離シート等に塗布したものを、光透過部または熱線吸収部の少なくとも一方を有する表面に貼り付けることにより形成することができる。
上記粘着層の塗布方法としては、例えば、ナイフコーター、コンマコーター、グラビアコーター、ロールコーター等を用いることができる。
上述の形成方法において、粘着層の塗布量は、乾燥重量で10g/m〜30g/mの範囲が好ましい。上記範囲内とすることにより、被着体に対して十分な接着力が得られ、また、加工時に粘着層のはみ出し等を生じないからである。
(2)保護層
本発明の熱線制御シートは、耐候性や耐傷性などの観点から保護層を有していることが好ましい。
上記保護層の材料としては、電離放射線硬化性樹脂を用いることが好ましい。上記電離放射線硬化性樹脂としては、重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができ、中でも多官能の重合性オリゴマーないしはプレポリマーを用いることが好ましい。上記重合性オリゴマーないしはプレポリマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマーやプレポリマー、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系やポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートやカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマーやプレポリマーなどが挙げられ、特に多官能性のウレタン(メタ)アクリレート系が、耐候性とハードコート性を両立させる点で好ましく、分子量としては、1000〜5000程度のものが好ましい。
なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
上記電離放射線硬化性樹脂には、上記の多官能性の重合性オリゴマーの他に、カプロラクトン系ポリオールと有機イソシアネートとヒドロキシアクリレートとの反応により得られるカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートや、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレートなどのような高分子ウレタン(メタ)アクリレートを併用することができる。併用することにより、保護層の耐候性を向上することができるからである。中でもカプロラクトン系の材料を併用することが好ましい。
また、上記保護層の材料として多官能性のウレタン(メタ)アクリレートを用いる場合、その粘度を調整する等の目的で、メチル(メタ)アクリレートなどの単官能性(メタ)アクリレートのような希釈剤を併用することができる。上記単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、低分子量の多官能性(メタ)アクリレートを併用してもよい。また、希釈剤としては、上記のモノマーを用いて、塗布性を確保することもできる。
なお、上記保護層の材料に、紫外線吸収剤(UVA)や光安定剤、耐傷フィラー等を含有させることができる。
上記保護層が配置される位置は、本発明の熱線制御シートの貼り付け態様に応じて適宜選択されるものであり、本発明の熱線制御シートを窓ガラス等の被着体に貼り付けた際に、上記被着体に対して上記熱線制御シートの最外層となるように配置されるものである。
(3)フィルム基材
本発明の熱線制御シートは、熱線吸収部および光透過部を支持し、熱線制御シート全体の形状を保持するために、フィルム基材を有することが好ましい。上記フィルム基材とは、フィルム状の基材である。本発明においては、上記フィルム基材の一方の表面に熱線吸収部および光透過部が形成されるものであり、通常、熱線吸収部の表面を含む光透過部の表面と対向する表面側に位置するものである。
上記フィルム基材としては、可視光領域の光に対して透明性を有し、熱線吸収部および光透過部を支持する強度を有するものであればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、塩化ビニル、フッ素樹脂、ゴム等の樹脂フィルムを用いることができる。中でも透明性および強度の点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートの樹脂フィルムが好ましい。また、上記フィルム基材は、酸化防止剤や紫外線吸収剤等を含んでいてもよい。
なお、上記フィルム基材は、必要に応じて片面または両面に表面処理等を行っていてもよい。上記表面処理としては、コロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線照射処理等の酸化法による表面処理や、サンドブラスト法、溶剤処理法等の凹凸化法による表面処理、化学的表面処理等を用いることができる。
上記フィルム基材の厚さとしては、使用目的に応じて適宜選択することができるが、通常は5μm〜200μmの範囲内であることが好ましく、中でも10μm〜150μmの範囲内であることが好ましい。薄すぎるとカールやシワが入りやすく、本発明の熱線制御シートが所望の強度を有さない場合があるからである。
4.熱線制御シート
本発明の熱線制御シートは、熱線吸収部と光透過部との界面において可視光領域の光の屈折率差が小さいことが好ましい。上記熱線吸収部と上記光透過部との界面における可視光領域の光の屈折率差を小さいものとすることにより、上記界面において可視光線の多重反射が発生するのを抑制し、多重像を発現しにくくすることができるからである。
熱線吸収部と光透過部との界面における可視光線の屈折率差としては、0.001〜0.050の範囲内であることが好ましく、中でも0.001〜0.030の範囲内であることが好ましく、特に0.001〜0.020の範囲内であることが好ましい。
なお、上記熱線制御シートの可視光線の屈折率は、JIS K 7142に従い、アッベ屈折計を用いて、測定波長589nmで測定することにより確認される。
また、本発明の熱線制御シートはヘイズ値が低いことが好ましく、例えば20%以下であることが好ましく、中でも10%以下であることが好ましく、特に5%以下であることが好ましい。本発明の熱線制御シートのヘイズ値が上記範囲よりも高いと、上記熱線制御シートの透明性が低いものとなり、上記熱線制御シートを窓ガラス等の被着体に貼り付けた際に、窓ガラス等の被着体の視認性を所望のものとすることができない場合がある。
なお、上記ヘイズ値は、JIS K 7136に準じて測定することにより確認される。
本発明の熱線制御シートは、窓ガラス等の被着体の内側、すなわち室内側に貼付ける「内貼り用」として使用することもでき、また、上記被着体の外側、すなわち屋外側に貼付ける「外貼り用」として使用することもできる。
図3は本発明の熱線制御シートの使用態様の一例を示す概略断面図である。なお、図3における熱線制御シート10は、光透過部1および熱線吸収部2の他に、フィルム基材4および粘着層5を有する場合の構成を例示したものであり、図3中のXは、光源からの光の入射方向を示したものである。
また、図3(a)および(b)は、本発明の熱線制御シートを内貼り用として用いる場合の態様、図3(c)および(d)は、外貼り用として用いる場合の態様を例示するものである。
本発明の熱線制御シートを内貼り用として用いる場合、図3(a)に例示されるように、熱線制御シート10の表面のうち熱線吸収部2を有する表面側が被着体6側となるように貼り付けてもよく、図3(b)に例示されるように、熱線制御シート10の表面のうち熱線吸収部2を有さない表面側が被着体6側となるように貼り付けてもよい。
また、本発明の熱線制御シートを外貼り用として用いる場合も同様に、図3(c)に例示されるように、熱線制御シート10の表面のうち熱線吸収部2を有する表面側が被着体6側となるように貼り付けてもよく、図3(d)に例示されるように、熱線制御シート10の表面のうち熱線吸収部2を有さない表面側が被着体6側となるように貼り付けてもよい。
5.熱線制御シートの製造方法
本発明の熱線制御シートの製造方法としては、一方の表面に複数本の溝部を有する光透過部を形成し、上記光透過部の上記溝部内に熱線吸収部を形成することができる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、以下に説明する製造方法を用いることできる。
まず、フィルム基材上の一方の表面に光透過部の材料を含む塗布液を塗布し、光透過部形成層を形成する。上記光透過部形成層に対し、表面に複数本の凸部を有する金型ロールを押し当てながら紫外線を照射することにより、上記光透過部形成層が架橋硬化して、上記フィルム基材上に、複数の溝部を表面に有する光透過部を形成する。
次に、上記光透過部の複数の溝部を有する表面に、熱線吸収部の材料として、黒色粒子および透明熱線吸収粒子を少なくとも含む塗布液を塗布し、上記溝部に上記塗布液を充填させて熱線吸収部形成層を形成する。この時、上記溝部以外の領域に形成された上記熱線吸収部形成層はスキージにより除去する。
続いて、上記溝部に紫外線を照射することにより上記溝部内の熱線吸収部形成層が架橋硬化し、所望の形状を有する熱線吸収部が形成される。
このような方法により、熱線吸収部および光透過部を少なくとも有する本発明の熱線制御シートを形成することができる。
6.熱線制御シートの用途
本発明の熱線制御シートは、可視光線の多重反射による多重像の発現を抑制し、良好な視認性を有することができるという機能と、光源からの光の入射角度に応じて熱線の遮断および可視光線の透過を効率良く行うことができるという機能を有しており、高い視認性および光の選択的な取り込みが要求されるような部位への使用が好ましい。
中でも、高い視認性を発揮し、季節による太陽光の入射角度に応じて、採光を確保しながら室内温度の上昇および低下を制御することから、例えば、ビル、家屋、車両の窓ガラス等の被着体に貼り付けて使用することが好ましい。
また、本発明の熱線制御シートは、用途に応じて被着体に貼り付けて使用することも可能であり、単独で使用することも可能である。
B.熱線制御シート付き窓
本発明の熱線制御シート付き窓は、窓材と、上記窓材の少なくとも一方の表面に粘着された熱線制御シートとを有する熱線制御シート付き窓であって、上記熱線制御シートが、一方の表面に複数本の溝部を有する光透過部と、上記光透過部の上記溝部内に形成された熱線吸収部と、を少なくとも有し、上記熱線吸収部は、黒色粒子と可視光線を透過する透明熱線吸収粒子とを少なくとも有することを特徴とするものである。
このような熱線制御シート付き窓について、図面を参照して説明する。図4は本発明の熱線制御シート付き窓の一例を示す概略断面図である。本発明の熱線制御シート付き窓20は、窓材6と、上記窓材6の少なくとも一方の表面に粘着層5により粘着された熱線制御シート10を有するものである。また、上記熱線制御シート10は、一方の表面に複数本の溝部3を有する光透過部1と、上記溝部3内に形成された熱線吸収部2を少なくとも有しており、上記熱線吸収部2は、上述した図2で例示されるように、黒色粒子11および透明熱線吸収粒子12を含むものである。なお、図示していないが、上記熱線制御シート10は、フィルム基材、保護層等を有していてもよい。
本発明の熱線制御フィルムは、図4(a)で例示されるように、熱線制御シート10の表面のうち熱線吸収部2を有する表面が、窓材6の一方の表面に貼り合わされた態様であってもよく、図4(b)で例示されるように、熱線制御シート10の表面のうち熱線吸収部2を有さない表面が、窓材6の一方の表面に貼り合わされた態様であってもよい。また、上記熱線制御シート10が粘着層5を有さない場合は、塗布型、スプレー型、シート型等の粘着剤や両面テープ等を用いて窓材6に貼り付けて、熱線制御シート付き窓としたものであってもよい。
本発明の熱線制御シート付き窓は、太陽光等の光源から光が入射する際に可視光線の多重反射が抑制されるため、多重像を発現しにくいものとすることができる。
また、光源からの光の入射角度に応じた熱線の遮断および可視光線の透過を効率良く行うことができる。例えば、太陽光を光源とする場合に、夏季においては、採光を確保しつつ熱線の取り込みを遮断することができ、一方、冬季においては、可視光線および熱線の取り込みを行うことができる。これにより、本発明の熱線制御シート付き窓を備える建物や車両等の室内空間は、年間を通じて適度な室内温度および採光が保持され、省エネ効果を得ることができる。
本発明の熱線制御シート付き窓は、窓材と熱線制御シートとを少なくとも有するものである。以下、本発明の熱線制御シート付き窓の各構成について順に説明する。
(1)熱線制御シート
本発明に用いられる熱線制御シートについては、上述した「A.熱線制御シート」の項で説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(2)窓材
本発明に用いられる窓材としては、一般に用いられる材質の物を用いることができ、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ガラス等が挙げられる。
また、上記窓材は透明であってもよく、不透明なものであってもよいが、本発明の効果をより発揮するという観点から透明であることが好ましい。さらに、上記窓材は、無色であってもよく、着色されたものであってもよい。
(3)熱線制御シート付き窓
本発明の熱線制御シート付き窓は、少なくとも窓材の一方の表面に熱線制御シートを有するものであり、窓材に対する熱線制御シートの占有面積については適宜選択することができるが、中でも窓材の全面に上記熱線制御シートを有することが好ましい。また、上記熱線制御シート付き窓の大きさ等についても、用途に応じて適宜選択することができる。
また、本発明の熱線制御シート付き窓の使用態様としては、上述した図3で例示および説明したように、上記熱線制御シート付き窓の窓材側が、光源からの光の入射側となるように設置して使用してもよく(図3(a)および(b))、上記熱線制御シート付き窓の熱線制御シート側が、光源からの光の入射側となるように設置して使用してもよい(図3(c)および(d))。
本発明の熱線制御シート付き窓の用途としては、窓を備えるもの、例えば、ビル、家屋等の建築物、自動車等の走行車両、電車、列車、新幹線等の鉄道車両、航空機、船舶等の使用することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様は以下の実施例
に限定されるものではない。
[実施例1]
連続帯状の透明2軸延伸PETフィルム(東洋紡績社製、厚さ100μm)から成るフィルム基材の一方の表面に、液状のウレタンアクリレート系のプレポリマーおよびジペン
タエリスリトールヘキサアクリレート単量体、さらにベンゾフェノン系光開始剤の混合液から成る液状の光透過部形成用組成物を、硬化後の膜厚が100μmとなる様に塗布し、上記フィルム基材上に光透過部形成層を得た。
次に、高さ80μm、幅10μmの凸部が、50μmのピッチ幅で直線状となるように表面に配置されたロール金型を用い、上記ロール金型と上記フィルム基材との間に、上記光透過部形成層を挟んだ状態で水銀灯からの紫外線を照射することにより上記光透過部形成層を架橋硬化させた。上記ロール金型を離型することにより、ロール金型の上記凸部の形状が転写された溝部を表面に有する光透過部を、上記フィルム基材上に得た。なお、上記溝部の深さ、幅およびピッチ幅等については、上述したロール金型状の凸部と同様である。
次に、黒色粒子としてカーボンブラック(三菱化学社製、#2600、平均粒径φ=13nm)0.1質量%を、平均粒径φ=52nmの透明熱線吸収粒子およびバインダ樹脂と共に混合し、液状の熱線吸収部形成用組成物を調製した。上記熱線吸収部形成用組成物を上記光透過部の溝部に充填し、上記溝部以外の領域に塗布された上記熱線吸収部形成用組成物を鉄製ドクターブレードでスキージして掻き取り除去して、上記溝部内にのみ上記熱線吸収部形成用組成物が充填された状態とした。上記溝部に水銀灯から紫外線を照射することにより、上記熱線吸収部形成用組成物を架橋硬化させて熱線吸収部を形成し、熱線制御シートを得た。なお、上記熱線吸収部の形状等は、上述した溝部の形状等と同様であった。
[実施例2]
実施例1で用いた熱線吸収部形成用組成物のうち、カーボンブラックの平均粒径をφ=30nmとして熱線吸収部を形成したこと以外は、実施例1と同様にして熱線制御シートを作製した。
[実施例3]
実施例1で用いた熱線吸収部形成用組成物のうち、カーボンブラックの平均粒径をφ=75nmとして熱線吸収部を形成したこと以外は、実施例1と同様にして熱線制御シートを作製した。
[実施例4]
実施例1で用いた熱線吸収部形成用組成物のうち、平均粒径がφ=13nmのカーボンブラック0.1質量%、および平均粒径がφ=75nmのカーボンブラック0.4質量%を用いて熱線吸収部を形成したこと以外は、実施例1と同様にして熱線制御シートを作製した。
[実施例5]
実施例1で用いた熱線吸収部形成用組成物のうち、透明熱線吸収粒子の平均粒径をφ=74nmとし、カーボンブラックの平均粒径をφ=47nmとして熱線吸収部を形成したこと以外は、実施例1と同様にして熱線制御シートを作製した。
[実施例6]
実施例1で用いた熱線吸収部形成用組成物のうち、カーボンブラックの平均粒径をφ=47nmとして熱線吸収部を形成したこと以外は、実施例1と同様にして熱線制御シートを作製した。
[実施例7]
実施例1で用いた熱線吸収部形成用組成物のうち、透明熱線吸収粒子の平均粒径をφ=74nmとし、カーボンブラックの平均粒径をφ=75nmとして熱線吸収部を形成したこと以外は、実施例1と同様にして熱線制御シートを作製した。
[比較例1]
実施例1で用いた熱線吸収部形成用組成物のうち、カーボンブラックを添加せずに熱線吸収部を形成したこと以外は、実施例1と同様にして熱線制御シートを作製した。
(評価)
実施例1〜7および比較例1の熱線制御シートの表面に対し、He−Neレーザー(波長632.8nm、強度10mW)の光を垂直に照射し、熱線制御シートから10cm離れた位置における回折光の幅を測定した。また、その時の視認性について判定した。その結果を表1に示す。
なお、視認性の判定基準として、多重像が少ないもの(回折幅が10nm未満)を○、若干多重像が見られるものの、その数が減っているもの(回折幅が10nm以上30nm以下)を△、多重像が多いもの(回折幅が30nmよりも大きい)を×とした。
1 … 光透過部
2 … 熱線吸収部
3 … 溝部
6 … 被着体(窓材)
10 … 熱線制御シート
11 … 黒色粒子
12 … 透明熱線吸収粒子
20 … 熱線制御シート付き窓

Claims (4)

  1. 一方の表面に複数本の溝部を有する光透過部と、前記光透過部の前記溝部内に形成された熱線吸収部と、を少なくとも有する熱線制御シートであって、
    前記熱線吸収部は、黒色粒子と可視光線を透過する透明熱線吸収粒子とを少なくとも有することを特徴とする熱線制御シート。
  2. 前記熱線吸収部に含まれる前記黒色粒子の含有率が、前記熱線吸収部の全質量(100質量%)に対して、0.01質量%〜10質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の熱線制御シート。
  3. 前記熱線吸収部において、前記黒色粒子の平均粒径と、前記透明熱線吸収粒子の平均粒径とが異なることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱線制御シート。
  4. 窓材と、前記窓材の少なくとも一方の表面に粘着された熱線制御シートとを有する熱線制御シート付き窓であって、
    前記熱線制御シートが、一方の表面に複数本の溝部を有する光透過部と、前記光透過部の前記溝部内に形成された熱線吸収部と、を少なくとも有し、
    前記熱線吸収部は、黒色粒子と可視光線を透過する透明熱線吸収粒子とを少なくとも有することを特徴とする熱線制御シート付き窓。
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