JP6167986B2 - 熱線遮蔽フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、熱線遮蔽フィルムに関するものである。
従来から、ビル、住宅等の建築物や電車、乗用車等の交通機関の省エネルギー対策の一つとして、熱線遮蔽性能を有した透明フィルムの開発が進められている。そのための方法の1つとして、アルミニウム等の金属層を透明フィルム等の上に均一に蒸着させた窓板用透明フィルムが開発されている。
金属蒸着フィルムは、熱線を反射によって遮蔽しようとするものであるが、可視光線も反射してしまうため、金属光沢を有しているものの、可視光線の透過率が低く、屋内を明るく保つことに支障を有するものであった。
一方では、窓板に設置して、金属光沢感を付与して、屋外から見た際の加飾性を高めることができる窓板用透明フィルムに対する要望が存在していた。
窓板用透明フィルムに関しては、従来から多くの開発がなされている。特許文献1には、金属蒸着層等からなる光反射層と赤外線吸収剤を含有する赤外線吸収層とを有するウインドフィルムが開示されている。特許文献2には、シリカ質で表面を被覆された熱線遮蔽材粉末を含有した近赤外線吸収組成物が開示されている。
特開平9−249859号公報 特開2008−297414号公報
しかし、特許文献1のウインドフィルムは、金属蒸着層等を有していることから、可視光線の透過率が低いものであった。また特許文献2の近赤外線吸収組成物は、熱線遮蔽性能や日射遮蔽性能には優れているものの、金属光沢感に劣るものであった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、熱線の遮蔽性能および可視光線の透過性能に優れ、金属光沢感を有した熱線遮蔽フィルムを提供することを課題とする。
そこで、本発明者は、金属蒸着層等の金属層に依らずに金属光沢感を付与する方法について検討を進めた。従来から、nmオーダーの薄層フィルムを数十層から数百層積層させた構造を有するフィルムは、各層の界面で種々の波長の光を反射することができることから、金属光沢に近い外観を有することが知られている。例えば、特開2007−307893号公報には、金属調の光沢を有した多層フィルムの具体例が開示されている。
しかしながら、係る多層フィルムは、可視光線の一部を反射させる機能はあるものの、熱線を遮蔽する機能はない。そこで、係る多層フィルムの特性を生かしつつ、熱線を遮蔽し、可視光線の透過性を低下させないようにするための方法について検討を重ねた結果、本発明に到達したものである。すなわち、本発明は以下のような構成を有するものである。
(1)本発明の熱線遮蔽フィルムは、窓板に設置される熱線遮蔽フィルムであって、多層構造を有する透明樹脂からなる基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられた熱線吸収性金属化合物微粒子を含有する層とを有し、前記多層構造の1層当たりの厚さが50〜1000nmであり、前記多層構造の層数が1000〜1400であり、前記熱線吸収性金属化合物が金属または金属酸化物であり、前記熱線吸収性金属化合物微粒子の平均粒径が10〜100nmであり、熱線遮蔽係数が0.70以下であり、可視光線反射率が20%以上であり、可視光線透過率が55%以上であることを特徴とする熱線遮蔽フィルムである。
(2)本発明の熱線遮蔽フィルムは、熱貫流率が5.9未満であることが好ましい。
(3)本発明の熱線遮蔽フィルムは、日射吸収率が40%以下であることが好ましい。
(4)本発明の熱線遮蔽フィルムは、電磁波遮蔽率が10dB以下であることが好ましい。
本発明の熱線遮蔽フィルムは、熱線の遮蔽性能および可視光線の透過性能に優れ、金属光沢感を有している。
第1実施形態の熱線遮蔽フィルムの層構成を示す模式的断面図である。 第2実施形態の熱線遮蔽フィルムの層構成を示す模式的断面図である。 比較例の熱線遮蔽フィルムの層構成を示す模式的断面図である。 第3実施形態の熱線遮蔽フィルムの層構成を示す模式的断面図である。 第1実施形態および第2実施形態の熱線遮蔽フィルムの透過率・反射率のスペクトル図である。 比較例の熱線遮蔽フィルムの透過率・反射率のスペクトル図である。
本実施形態の熱線遮蔽フィルムは、窓板に設置されるものであり、多層構造を有する透明樹脂からなる基材フィルムと、基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられた熱線吸収性金属化合物微粒子を含有する層とを有している。熱線吸収性金属化合物微粒子を含有する層(以下、「熱線吸収層」という。)は、熱線を遮蔽する層として機能する。さらに、本実施形態の熱線遮蔽フィルムは、窓板に設置されるために、窓板側に接着層を有していてもよいし、外力によって表面が傷付くことを防止するために、最外層にハードコート層を有していてもよい。また、本実施形態の熱線遮蔽フィルムを2枚の透明なガラス板や樹脂板の間に挟んで窓板とすることもできる。
(電磁波、可視光線、近赤外線、遠赤外線、紫外線)
本実施形態において、電磁波とは、波長10mm〜10km、周波数30KHz〜30GHz程度の電磁波のことをいう。ラジオ放送、テレビ放送、無線通信、携帯電話、衛星通信等に使用される電磁波領域のものである。
本実施形態において、可視光線とは、電磁波のうち肉眼で認識することができる光のことであり、一般に波長380〜780nmの電磁波のことを指している。近赤外線とは、およそ波長800〜2500nmの電磁波であり、赤色の可視光線に近い波長を有する。近赤外線は、太陽光の中に含まれており、物体を加熱する作用がある。これに対して、遠赤外線は、およそ波長5〜20μm(5000〜20000nm)の電磁波であり、太陽光の中には含まれず、室温付近の物体から放射される波長に近いものである。また、紫外線とは、およそ波長10〜380nmの電磁波である。
本実施形態において、熱線とは、近赤外線のことを意味する。
以下に、本発明の実施形態について、具体的な実施形態例を挙げつつ説明する。但し、本発明の実施形態は、以下の実施形態に限定されるものではない。
[第1実施形態の熱線遮蔽フィルム]
図1は、第1実施形態の熱線遮蔽フィルムの層構成を示す模式的断面図である。
第1実施形態の熱線遮蔽フィルム1において、多層構造を有する透明樹脂からなる基材フィルム3の室内側には、熱線吸収層4が形成されている。一方、基材フィルム3の室外側には接着層2が形成されている。熱線遮蔽フィルム1は、窓板5と接着層2によって貼合されている。全体として、熱線遮蔽性窓板20(構成No.20)を構成している。
以下、第1実施形態の熱線遮蔽フィルム1を構成する各層および窓板5について、詳細に説明する。
(窓板5)
第1実施形態において、窓板5とは、建築物や交通車輛や船舶等の内部に外界から太陽光を取り込むための透明な板である。一般的には、透明ガラス板や透明樹脂板が窓板5として使われる。透明樹脂には、アクリル系、スチレン系、水添環状樹脂、ポリカーボネート系、ポリエステル系など種々の樹脂を使用することができる。
(基材フィルム3)
基材フィルム3は、熱線遮蔽フィルム1としての形態を維持するための基材であり、熱線吸収層4や接着層2等を保持する機能を有している。そのため、基材フィルム3は、機械的強度、可視光線透過率、加工性等に優れていることが好ましい。また、基材フィルム3は、多層構造を有する透明樹脂からなる。多層構造を有していることによって、熱線遮蔽フィルム1に金属光沢感を付与する。
基材フィルム3は、透明樹脂の機械的物性等にも因るが、厚さは、8〜800μmであることが好ましい。より好ましくは12〜400μmである。
基材フィルム3は、室外から照射される可視光線を幅広い波長領域で、反射させることができる。そのため、基材フィルム3は、表面にアルミニウムや銀を蒸着させたフィルムと同様の金属光沢感を有している。
本発明者は、熱線の遮蔽性能、可視光線の透過性能、金属光沢感の3つの機能を共に満足し得るフィルムを設計するために、金属光沢感を有した多層構造を有する透明樹脂からなる基材フィルム3をベースフィルムとして使用することとした。
多層構造を有する基材フィルム3は、多層フィルムによる方法や液晶樹脂のコーティングによる方法等によって形成することができるが、量産し易く、性能が安定していることから、多層フィルムによる方法が好ましい。
多層フィルムは、屈折率の異なる同種のポリマーまたは屈折率の異なる異種のポリマーを交互に積層させた構造を有するフィルムであることが好ましい。共押出する際の押出厚さや延伸率等を変更することによって、多層構造の1層当たりの厚さを調整することができる。
係る構造の多層フィルムを製造する方法は、例えば、特表平9−506837号公報、特開2007−307893号公報、特開2008−273186号公報、特開2013−209246号公報等に記載されている。
基材フィルム3は、多層構造の1層当たりの厚さが50〜1000nmであることによって、可視光線の波長領域において、高い反射率を有するものとなる。基材フィルム3に可視光線が照射されると、通常、屈折率が異なる多層構造の各界面において可視光線が反射する。そして、多層構造において、個々の層の界面から反射が生じ、各反射光の位相がずれて反射率を高めるためには、多層構造の1層当たりの厚さが上記範囲にあることが有効である。多層構造の1層当たりの厚さは、好ましくは70〜300nmである。
また、基材フィルム3の多層構造は、可視光線を幅広い波長領域で反射させるために、層数は200〜1400である。層数は220〜1200であることがより好ましい。多層構造の層数が、1400層を超えると、可視光線の反射が不均一となり、反射色が強くなる。一方、200層未満であると、可視光線の反射率は低いものとなり、金属光沢感に劣るものとなる。
基材フィルム3を構成する透明樹脂の屈折率は、光学設計の点から、1.40〜2.00であることが好ましい。さらに、多層構造を構成する透明樹脂は、交互に異なる屈折率を有している方が層数を削減できる点で好ましい。このとき、両者の屈折率の差は、光学設計の点で0.03〜0.3であることが好ましい。ここで、屈折率は、エリプソメトリー法を用いて測定することができる。
基材フィルム3を構成する樹脂としては、具体的には、アクリル系、ポリカーボネート系、スチレン系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、水添環状樹脂、フッ素系、シリコーン系、ウレタン系など種々の樹脂が使用できる。中でも、層間強度や耐久性の観点から、アクリル系、ポリカーボネート系、スチレン系、ポリエステル系などの樹脂が使用できる。さらに、上記の屈折率等の観点から、PET、PBT、PEN等のポリエステル系樹脂やアクリル系樹脂が好ましい。
(熱線吸収層4)
第1実施形態の熱線遮蔽フィルム1では、熱線遮蔽性能を付与するために、熱線吸収層4を有している。
熱線吸収性金属化合物とは、800〜2500nmに最大吸収波長ピークを有する金属または金属酸化物である。熱線吸収性金属化合物の具体例としては、スズ、銀、銀パラジウム合金、金、アルミニウム、等の金属、セシウム含有酸化タングステン(CsWO)、アンチモン含有酸化錫(ATO)、スズ含有酸化インジウム(ITO)、ガリウム含有酸化亜鉛(GZO)、等の金属酸化物を挙げることができる。
これらの中では、導電性に優れた金属化合物が、熱線吸収性能により優れているため、好ましい。具体的には、スズ含有酸化インジウム、スズ、銀、銀パラジウム合金、金、アルミニウム、等から選ばれるいずれか1種以上であることが好ましい。さらに、導電性に優れたスズ含有酸化インジウムが、特に好ましい。これらの熱線吸収性金属化合物は、単独で用いてもよいし、異なる種類の金属化合物を混合して用いてもよいし、異種の金属を微量添加して用いてもよい。
熱線吸収層4を構成する樹脂は、特に限定がある訳ではない。具体的には、アクリル系、ポリカーボネート系、スチレン系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、水添環状樹脂、フッ素系、シリコーン系、ウレタン系など種々の樹脂が使用できる。熱線吸収性金属化合物微粒子は、係る樹脂中に均一に分散させることが必要である。
図1の第1実施形態においては、熱線吸収性金属化合物微粒子はハードコート層を形成する樹脂中に添加されており、熱線吸収層4は、ハードコート層を兼ねている。
熱線吸収性金属化合物の平均粒径は、10〜100nmである。10nm未満であると、凝集が起こり易く加工適性に劣る。一方、100nmを超えると、光の拡散が大きくなり光学特性的に好ましくない。
また、微粒子を樹脂中に均一に分散させるために、熱線吸収性金属化合物粒子の表面を処理したり、分散剤等を適宜添加したりすることができる。
ここで、平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置、等によって測定することができる。
熱線吸収性金属化合物の含有量は、熱線吸収層4を構成する樹脂に対して、5〜40質量%であることが好ましい。5質量%未満であると、樹脂層を厚くする必要があり、ハンドリング性が低下する。一方、40質量%を超えると、耐摩耗性などの機械的特性が低下したり、電磁波遮蔽率が高くなる。
熱線吸収層4は、基材フィルム3に対して、室内側にも室外側にも、またはいずれの側にも設置することができる。しかし、室内側に設置する方が、遠赤外線の反射が増加し、熱貫流率が向上するため、好ましい。
(接着層2)
第1実施形態では、窓板5と基材フィルム3とを接着するため、接着層2が設けられている。接着層2は、接着する対象に応じて、接着剤の種類を変えることが好ましい。
第1実施形態においては、接着層2は、窓板5と基材フィルム3とを接着するものである。例えば、熱線遮蔽フィルム製品の購入者が熱線遮蔽フィルム1を窓板5に自ら設置する際に、熱線遮蔽フィルム1と窓板5を密着させるために使用する接着層である。そのため、常温でもある程度の粘着性を有していることが好ましい。この接着層には、取扱性向上のために、必要に応じて、離型シートを貼付する。窓板5に設置するときには、この離型シートを剥がしてから、接着層2を窓板5に密着させる。
係る使用方法に用いられる接着剤としては、一般にガラス貼着用に使用されている粘着剤を使用することができる。接着剤としては、例えば、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系、ブタジエン系、天然ゴム系等が挙げられる。これらの中では、耐久性の観点から、アクリル系およびシリコーン系が好ましい。接着層2の厚さは、5〜50μmであることが好ましい。
(ハードコート層)
外力によって熱線遮蔽フィルム1の表面が傷付いたり、内部が破損することを防止するため、最外層にハードコート層を設けることができる。
ハードコート層に用いられる材料としては、一般に、無機系、有機系、有機無機系、シリコーン系等の材料を使用することができる。中でも、紫外線硬化型のアクリル樹脂が好ましい。ハードコート層の厚さは、0.5〜20μmであることが好ましい。
上記したように、図1の第1実施形態においては、熱線吸収性金属化合物微粒子はハードコート層を形成する樹脂中に添加されており、熱線吸収層4は、ハードコート層を兼ねている。
[第1実施形態の変形例]
熱線吸収層4は、独自に係る層を設けてもよいが、熱線吸収性金属化合物微粒子をハードコート層だけでなく、他の機能を有する層中に含有させてもよい。例えば、窓板5と貼合させるために接着層2が存在するが、接着層2中に含有させることができる。製造上支障がなければ、基材フィルム3中に含有させることもできる。
熱線遮蔽フィルム1は、窓板5の室外側に設置することもできる。その場合の層構成は、図1において、「室内」との記載を「室外」、「室外」との記載を「室内」と読み替えたものとなる。
[第1実施形態の熱線遮蔽フィルムの性能]
以下、第1実施形態の熱線遮蔽フィルム1が有する各種性能について説明する。
(熱線遮蔽係数)
第1実施形態の熱線遮蔽フィルム1による熱線の遮蔽性能を定量化して評価するために、熱線遮蔽係数という指標を用いている。熱線遮蔽係数は、JIS A5759に準拠して、分光光度計を用いて測定される。Ni値は0.34として、熱線遮蔽係数を求める。
第1実施形態の熱線遮蔽フィルム1の熱線遮蔽係数は、0.70以下である。0.60以下であることがより好ましい。
熱線遮蔽係数の数値は、熱線吸収層4の熱線吸収性金属化合物の種類、粒径、含有量等によって調整することができる。
(可視光線透過率)
第1実施形態の熱線遮蔽フィルム1は、波長380〜780nmの可視光線を透過させる。熱線遮蔽フィルム1の可視光線透過率は、55%以上である。60%以上がより好ましい。可視光線透過率は、JIS A5759に準拠して、赤外反射測定機を用いて測定することができる。可視光線透過率の数値は、前記した熱線吸収層4の熱線吸収性金属化合物の種類、粒径、含有量等や基材フィルム3の素材や層構成等によって調整することができる。
(可視光線反射率)
第1実施形態の熱線遮蔽フィルム1は、可視光線反射率が10%以上である。可視光線反射率が10%未満であると、金属光沢感が少なくなり、屋外から見た際の加飾性が低下する。可視光線反射率は、20%以上がより好ましい。可視光線反射率は、JIS A5759、JIS R3106に準拠して、赤外反射測定機を用いて測定することができる。可視光線反射率の数値は、前記した基材フィルム3の素材や層構成等によって調整することができる。
(日射透過率)
第1実施形態の熱線遮蔽フィルム1は、波長300〜2500nmの範囲の可視光線と近赤外線の透過を抑制する。熱線遮蔽フィルム1の日射透過率は、70%以下であることが好ましい。日射透過率が70%以下であると、遮熱性能に優れたものとなる。60%以下がより好ましい。日射透過率は、JIS A5759に準拠して、赤外反射測定機を用いて測定することができる。日射透過率の数値は、前記した基材フィルム3の素材、層構成、熱線吸収性金属化合物の種類、粒径、含有量等によって調整することができる。
(日射反射率)
第1実施形態の熱線遮蔽フィルム1は、日射反射率が10%以上であることが好ましい。日射反射率が10%以上であると、遮熱性能に優れたものとなる。日射反射率は、13%以上がより好ましい。日射反射率は、JIS A5759に準拠して、赤外反射測定機を用いて測定することができる。日射反射率の数値は、前記した日射透過率の場合と同様に、基材フィルム3の素材、層構成、熱線吸収性金属化合物の種類、粒径、含有量等によって調整することができる。
(日射吸収率)
第1実施形態の熱線遮蔽フィルム1は、日射吸収率が40%以下であることが好ましい。日射吸収率が40%以下であると、熱線遮蔽フィルム1の温度が上昇して性能が劣化することが抑制され、窓板5を損傷させる弊害も抑制される。日射吸収率は、30%以下がより好ましい。日射吸収率は、JIS A5759に準拠して、赤外反射測定機を用いて測定することができる。日射吸収率の数値は、前記した日射透過率の場合と同様に、基材フィルム3の素材、層構成、熱線吸収性金属化合物の種類、粒径、含有量等によって調整することができる。
なお、日射透過率と日射反射率と日射吸収率の数値を合計すると、100%となる。
(熱貫流率)
本実施形態の熱線遮蔽フィルム1による遠赤外線の反射効率を定量化して評価するために、熱貫流率という指標を用いている。熱貫流率は、JIS A5759に準拠して、赤外反射測定機を使用して、測定することができる。
熱貫流率が、5.9未満であることが好ましい。熱貫流率は、一般に、熱線吸収層4を構成する金属化合物の表面抵抗値とある程度相関している。
(電磁波遮蔽率)
本実施形態の熱線遮蔽フィルム1は、電磁波の透過性能を定量化して評価するために、電磁波遮蔽率という指標を用いている。評価方法としては、KEC法を採用した。電磁波の測定範囲は、30MHz〜1GHzである。電磁波遮蔽率は、周波数800MHzにおける数値(dB)を用いる。
電磁波遮蔽率は、10dB以下であることが好ましい。電磁波遮蔽率が10dB以下であれば、屋内や車内における携帯電話や携帯テレビ等の使用に際して、支障が生じにくい。電磁波遮蔽率は、より好ましくは5dB以下であり、さらに好ましくは3dB以下である。
電磁波遮蔽率の数値は、前記した熱線吸収性金属化合物の種類、粒径、含有量等によって調整することができる。
[第1実施形態の熱線遮蔽フィルムの効果]
第1実施形態の熱線遮蔽フィルム1は、多層構造を有する透明樹脂からなる基材フィルム3が窓板5に近い側に存在するため、室外から見た場合に、窓板5に金属光沢感を付与することができる。一方、基材フィルム3の室内側には、ハードコート層を兼ねた熱線吸収層4が存在しているので、基材フィルムを通過してきた熱線を吸収・反射して、熱線を遮蔽することができる。また、熱線遮蔽フィルム1は、屋外から照射される可視光線をある程度は透過させるので、室内を明るく保つことができる。
また、熱線遮蔽フィルム1は、電磁波を透過させるので、室内において携帯電話や携帯テレビ等を使用することができる。
また、第1実施形態の熱線遮蔽フィルム1は、窓板5の室内側に設置されているため、雨風等による劣化を低減することができる。
このように、第1実施形態の熱線遮蔽フィルム1は、多層構造を有する透明樹脂からなる基材フィルム3と熱線吸収層4との複合効果によって、熱線の遮蔽性能、可視光線の透過性能、金属光沢感をバランスよく満足するものとなっている。
[第1実施形態の熱線遮蔽フィルムの製造方法]
第1実施形態の熱線遮蔽フィルム1は、熱線遮蔽フィルム1を構成する各層を基材フィルム3上に順次形成することによって、製造することができる。以下に各層を形成するための製造方法について、代表的な例を説明する。
熱線吸収層4を形成する方法について説明する。まず、所定の種類で所定の粒径の金属化合物微粒子を、所定量取り、樹脂とその溶剤中に添加して、混合溶液を作製する。このとき、必要に応じて、金属化合物微粒子の表面に官能基を付けたり、カップリング剤を添加したり、分散剤を添加することができる。
次に、濃度等を調整して、適切な粘度の溶液にする。その溶液を基材フィルム3等の上にコーティングする。その後乾燥させることによって、熱線吸収層4を形成することができる。
接着層2を形成する方法について説明する。粘着剤高分子を溶剤に適当量混合し、適切な粘度の溶液を調整する。その溶液を基材フィルム3の上にコーティングする。その後乾燥させることによって、接着層2を形成することができる。
ハードコート層を形成する方法について説明する。熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を溶剤に適当量混合し、適切な粘度の溶液を調整する。その溶液を基材フィルム3等の上にコーティングする。乾燥させた後、熱または光を用いて硬化反応をさせることによって、ハードコート層を形成することができる。
[第2実施形態の熱線遮蔽フィルム]
図2は、第2実施形態の熱線遮蔽フィルムの層構成を示す模式的断面図である。
第2実施形態の熱線遮蔽フィルム8において、多層構造を有する透明樹脂からなる基材フィルム3の室外側には、プライマー層を兼ねた熱線吸収層6が形成されている。さらに、基材フィルム3の熱線吸収層6の室外側には接着層2が形成されている。熱線遮蔽フィルム8は、窓板5と接着層2によって貼合されている。全体として、熱線遮蔽性窓板30(構成No.30)を構成している。
以下、第2実施形態の熱線遮蔽フィルム1を構成する各層について、説明するが、多くの層については、第1実施形態と同様であるので、第1実施形態に説明のない内容のみを以下に説明する。
図2の第2実施形態においては、熱線吸収性金属化合物微粒子はプライマー層を形成する樹脂中に添加されており、熱線吸収層6は、プライマー層を兼ねている。
(プライマー層)
基材フィルム3と接着層2との接着性を強化させるために、基材フィルム3の表面にプライマー層を設けることができる。プライマー層を構成する材料としては、シランカップリング剤やチタンカップリング剤を含有する紫外線硬化型のアクリル系樹脂、熱硬化性のアクリル樹脂やウレタン樹脂、熱可塑性のアクリル系やポリエステル系樹脂等を挙げることができる。
第2実施形態の熱線遮蔽フィルム8において、熱線吸収層4は、基材フィルム3に対して室外側に存在するため、日射反射率がやや低下し、日射吸収率がやや増加している。
第2実施形態の熱線遮蔽フィルム8のその他の変形例、性能、製造方法、効果は、第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
[第3実施形態の熱線遮蔽フィルム]
図4は、第3実施形態の熱線遮蔽フィルムの層構成を示す模式的断面図である。
第3実施形態の熱線遮蔽フィルム10は、両側から窓板5で挟まれた構造を有しており、いわゆる合わせガラスを構成している。第1実施形態の熱線遮蔽フィルム1の熱線吸収層4の上にさらに接着層2を形成することによって、熱線遮蔽フィルム10とした。新たに設けた接着層2によって、2枚目の窓板5と貼合されている。全体として、熱線遮蔽性窓板50(構成No.50)を構成している。
接着層2を用いて、合わせガラスを構成すると、合わせガラスに優れた耐貫通性能、耐衝撃性能、飛散防止効果を付与することができる。
以下、第3実施形態の熱線遮蔽フィルム10を構成する各層について、説明するが、多くの層については、第1実施形態と同様であるので、第1実施形態に説明のない内容のみを以下に説明する。
(接着層2)
第3実施形態では、窓板5と基材フィルム3とを接着するため、または窓板5と熱線吸収層4とを貼合するため、2層の接着層2が設けられている。接着層2としては合わせガラスの中間膜として汎用的に使用される樹脂膜であれば特に制限されないが、可視光領域や赤外線領域に吸収が無いものが好ましい。
第3実施形態において用いられる接着層2は、例えば、室温では粘着性のない接着剤として基材フィルム3等に塗布や積層され、熱線遮蔽性窓板50を構成する各材料を積層させた後に、加熱処理することによって、粘着性・接着性が発現し、各層間を接着させることを可能とする接着層である。
例えば、窓板5の素材として、2枚のガラス板を用いて、いわゆる合わせガラスを製造するときに、接着層2に用いられる材料としては、具体的には、ポリビニルブチラール系樹脂(PVB系樹脂)等のポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂(EVA系樹脂)等が挙げられる。
接着層2には、これらの樹脂を単独で用いても良いし、2種類以上を併用してもよい。
接着層2は公知の方法を用いて製造したものでもよいが、市販品を利用してもよい。市販品としては、例えば、積水化学工業社製や三菱樹脂社製の可塑化PVB、デュポン社製や武田薬品工業社製のEVA樹脂、東ソー社製の変性EVA樹脂等がある。
接着層2の厚さは、それぞれ100〜1000μmであることが好ましい。
接着層2を形成する接着剤には、紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色剤、接着調整剤等を適宜添加配合してもよい。
第3実施形態の熱線遮蔽性窓板50を作製する方法としては特に制限されず、一般的な合わせガラスの製造方法を用いればよい。具体的には、2枚のガラス板の間に、接着層2を有する熱線遮蔽フィルム10を積層して予備接着する工程と、予備接着後に残った気泡を高温高圧で圧着することによって取り除く工程とによって製造することができる。
第3実施形態の熱線遮蔽フィルム10は、2枚の透明なガラス板や樹脂板の間に挟んで窓板とすることができるものである。第3実施形態の熱線遮蔽フィルム10は、2枚の窓板5によって挟まれた構成であるため、いずれの側が室外側になっても、雨風等による劣化を低減することができる。
第3実施形態の熱線遮蔽フィルム10のその他の変形例、性能、製造方法、効果は、第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
[比較例の熱線遮蔽フィルム]
図3は、比較例の熱線遮蔽フィルムの層構成を示す模式的断面図である。
比較例の熱線遮蔽フィルム9は、多層構造を有せず、1層の透明樹脂からなる基材フィルム3の室外側には、アルミニウム蒸着層7が形成されている。さらに、アルミニウム蒸着層7の室外側には接着層2が形成されている。一方、基材フィルム3の室内側には、第1実施形態と同様に、ハードコート層を兼ねた熱線吸収層4が形成されている。熱線遮蔽フィルム9は、窓板5と接着層2によって貼合されている。全体として、熱線遮蔽性窓板40(構成No.40)を構成している。
熱線遮蔽フィルム9は、多層構造を有する透明樹脂からなるフィルムを有していない代わりに、アルミニウム蒸着層7を有しているため、金属光沢感は強いものの、可視光線透過率に劣るものである。
本実施形態を下記の実施例によって、さらに具体的に説明する。
(多層フィルム)
本発明に使用する多層構造を有する透明樹脂層としての多層フィルムには、市販されているものがあり、それらを入手して、実験に用いた。厚さ方向に交互に1000層積層された積層フィルムとして、東レ社製ピカサスGL−30およびGT−30がある。これらは、多層フィルムとしての厚さが100μmであり、多層構造の1層当たりの平均厚さは100nmである。樹脂の屈折率を調節して、光学特性を制御している。以下「多層フィルム」と記載する。
(熱線遮蔽フィルムF1)
メチルイソブチルケトン(MIBK)中に、平均粒径20nmのCsWO微粒子を18.5質量%分散させた溶液を作製した。この分散液を下記配合の組成物Aに添加して、CsWOを含有する溶液を作製した。得られた溶液をバーコーターを用いて多層フィルムGL−30の一方の面に塗工し、100℃の熱風オーブン中で2分間乾燥させた。その後、塗工面に高圧水銀灯にて紫外線(積算光量300mJ/cm)を照射することで硬化させ、熱線吸収層として、約4μm厚さの金属化合物微粒子を含有するハードコート層を形成した。形成されたハードコート層中のCsWO微粒子の含有率は7質量%であった。
一方、シリコーンで処理されたセパレータ(三菱樹脂社製、MRQ#38、38μm厚さ、以下「セパレータ」と記載する。)上に下記配合の組成物Bをアプリケータを用いて塗工した。その後100℃の熱風オーブン中で2分間乾燥させて、約22μm厚さの接着層を形成した。
<組成物A>
ジペンタエリスリトールポリアクレート系紫外線硬化型樹脂(荒川化学社製、ビームセット700) 83.3質量部
光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184) 1質量部
トルエン 所定量
熱線吸収性金属化合物微粒子分散液 所定量
<組成物B>
アクリル系中性粘着剤(綜研化学社製、SKダイン2975) 100質量部
硬化剤(綜研化学社製、Y−75) 0.2質量部
トリアジン系紫外線吸収剤(BASF社製、Tinuvin477) 3質量部
トルエン 100質量部
さらに、上記接着層を、上記多層フィルムGL−30の熱線吸収層を形成した側とは逆の面とラミネートして、熱線遮蔽フィルムF1を作製した。7日間放置後、セパレータを剥離し、接着層を3mm厚のアルカリガラス板(以下「ガラス板」と記載する。)に貼り合せて、各種性能の評価を行った。
以下、熱線吸収性金属化合物微粒子を表1に記載のものに変更した以外は、熱線遮蔽フィルムF1と同様にして、熱線遮蔽フィルムF2〜熱線遮蔽フィルムF14を作製した。具体的には以下のとおりである。
(熱線遮蔽フィルムF2)
メチルイソブチルケトン(MIBK)中に、平均粒径30nmのGZO微粒子を25質量%分散させた溶液を作製した。この分散液を用いて、熱線遮蔽フィルムF1の場合と同様にして、多層フィルムGL−30の一方の面に熱線吸収層として、膜厚5μmのGZO微粒子を含有する層を形成した。この層中のGZO微粒子の含有率は50質量%であった。
(熱線遮蔽フィルムF3)
トルエン中に、平均粒径20nmのITO微粒子を20質量%分散させた溶液を作製した。この分散液を用いて、熱線遮蔽フィルムF1の場合と同様にして、多層フィルムGL−30の一方の面に熱線吸収層として、膜厚5μmのITO微粒子を含有する層を形成した。この層中のITO微粒子の含有率は17質量%であった。
(熱線遮蔽フィルムF4)
トルエン中に平均粒径20nmのITO微粒子20質量%を分散させた溶液と、メチルイソブチルケトン(MIBK)中に平均粒径20nmのCsWO微粒子を18.5質量%分散させた溶液を作製した。これらの分散液を混合して用いて、熱線遮蔽フィルムF1の場合と同様にして、多層フィルムGL−30の一方の面に熱線吸収層として、膜厚2μmのITO微粒子とCsWO微粒子を含有する層を形成した。この層中のITO微粒子の含有率は35質量%であり、CsWO微粒子の含有率は13質量%であった。
(熱線遮蔽フィルムF5)
トルエン中に、平均粒径20nmのITO微粒子20質量%を分散させた溶液を作製した。この分散液を用いて、熱線遮蔽フィルムF1の場合と同様にして、多層フィルムGL−30の一方の面に熱線吸収層として、膜厚2μmのITO微粒子を含有する層を形成した。この層中のITO微粒子の含有率は70質量%であった。
(熱線遮蔽フィルムF6)
多層フィルムGL−30の代わりに多層フィルムGT−30を使用したこと以外は、熱線遮蔽フィルムF5と同様に作製して、熱線遮蔽フィルムF6を作製した。熱線吸収層の膜厚は2μmであり、この層中のITO微粒子の含有率は70質量%であった。
(熱線遮蔽フィルムF7)
トルエン中に、平均粒径20nmのITO微粒子を20質量%分散させた溶液を作製した。この分散液を下記配合の組成物Cに添加して、ITOを含有する溶液を作製した。熱線遮蔽フィルムF1の場合と同様にして、多層フィルムGL−30の一方の面に熱線吸収層として、膜厚2μmのITO微粒子を含有するプライマー層を形成した。このプライマー層中のITO微粒子の含有率は70質量%であった。
<組成物C>
組成物Aに下記シランカップリング剤を添加した。
N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製KBM−573)1質量部
(熱線遮蔽フィルムF8)
金属化合物微粒子を含有するハードコート層を形成しないこと以外は、熱線遮蔽フィルムF1と同様に作製して、熱線遮蔽フィルムF7を作製した。
(熱線遮蔽フィルムF9)
多層フィルムGL−30の代わりに多層フィルムGT−30を使用したこと以外は、熱線遮蔽フィルムF8と同様に作製して、熱線遮蔽フィルムF9を作製した。
(熱線遮蔽フィルムF10)
多層フィルムGL−30の代わりに易接着PETフィルム(東レ社製、U40、100μm厚さ、以下「PETフィルム」と記載する。)を使用したこと、ハードコート層に金属化合物微粒子を含有させないこと以外は、熱線遮蔽フィルムF1と同様に作製して、熱線遮蔽フィルムF10を作製した。
(熱線遮蔽フィルムF11)
多層フィルムGL−30の代わりにPETフィルムを使用したこと、金属化合物微粒子を含有するハードコート層の膜厚が5μmであること以外は、熱線遮蔽フィルムF1と同様に作製して、熱線遮蔽フィルムF11を作製した。
(熱線遮蔽フィルムF12)
多層フィルムGL−30の代わりにPETフィルムを使用したこと、金属化合物微粒子を含有するハードコート層の膜厚が2μmであること以外は、熱線遮蔽フィルムF2と同様に作製して、熱線遮蔽フィルムF12を作製した。
(熱線遮蔽フィルムF13)
多層フィルムGL−30の代わりにPETフィルムを使用したこと以外は、熱線遮蔽フィルムF5と同様に作製して、熱線遮蔽フィルムF13を作製した。
(熱線遮蔽フィルムF14)
多層フィルムGL−30の代わりにアルミニウム蒸着PETフィルムを使用したこと、熱線吸収層を設けないこと、PETフィルムのアルミニウム蒸着側に接着層を設けたこと以外は、熱線遮蔽フィルムF1と同様に作製して、熱線遮蔽フィルムF14を作製した。
上記の作製した熱線遮蔽フィルムF2〜熱線遮蔽フィルムF14を使用して、熱線遮蔽フィルムF1のときと同様にして、接着層を3mm厚のガラス板に貼り合せて、各種性能の評価を行った。
(実施例1〜6、参考例1、比較例1〜7)
熱線遮蔽フィルムF1〜熱線遮蔽フィルムF7による実験はそれぞれ、実施例1〜実施例5、参考例1、実施例6に相当する。また、熱線遮蔽フィルムF8〜熱線遮蔽フィルムF14による実験はそれぞれ、比較例1〜比較例7に相当する。
各熱線遮蔽フィルムの構成の概要は、表1にまとめて示した。尚、構成No.20、30、40はそれぞれ、図1、図2、図3と対応している。
<性能評価方法>
実施例、比較例において、熱線遮蔽係数、可視光線透過率、可視光線反射率、日射透過率、日射反射率、日射吸収率、熱貫流率、電磁波遮蔽率について、以下に記載の条件にて性能の評価を行った。尚、評価は、室外側から所定の光線を照射して、その透過光、反射光について行った。
(熱線遮蔽係数)
熱線遮蔽係数は、JIS A5759に準拠して、分光光度計を用いて測定される。Ni値を0.34として、熱線遮蔽係数を求めた。熱線遮蔽係数が、0.70以下のとき、熱線の遮蔽効率は優れていると判定される。
本実施例では、分光光度計(島津製作所社製、UV3160)を使用した。
(可視光線透過率)
JIS A5759に準拠する。本実施例では、分光光度計(島津製作所社製、UV3160)を使用した。
(可視光線反射率)
JIS A5759に準拠する。本実施例では、分光光度計(島津製作所社製、UV3160)を使用した。
(日射透過率)
JIS A5759に準拠する。本実施例では、分光光度計(島津製作所社製、UV3160)を使用した。
(日射反射率)
JIS A5759に準拠する。本実施例では、分光光度計(島津製作所社製、UV3160)を使用した。
(日射吸収率)
JIS A5759に準拠する。本実施例では、分光光度計(島津製作所社製、UV3160)を使用した。
(熱貫流率)
熱貫流率は、JIS A5759に準拠して、赤外反射測定機を使用して測定する。熱貫流率が、5.9未満のとき、遠赤外線の反射効率は優れていると判定される。本実施例では、赤外反射測定機(島津製作所社製、FTIR8700)を使用した。
(電磁波遮蔽率)
15cm×15cmのサンプルを使用して、KEC法によって、30MHz〜1GHzの周波数範囲で電磁波遮蔽率を測定した。電磁波遮蔽率の数値は、周波数800MHzの値(dB)とした。
実施例、比較例で得られた評価結果を表1に示した。
Figure 0006167986
図5は、第1実施形態の実施例5および第2実施形態の実施例の熱線遮蔽フィルムの透過率・反射率のスペクトル図である。
T1とR1は、それぞれ実施例5(熱線遮蔽フィルムF5)の透過率・反射率のスペクトル図である。T2とR2は、それぞれ実施例(熱線遮蔽フィルムF7)の透過率・反射率のスペクトル図である。
いずれも可視光領域において、比較的高い透過率と反射率を有している。一方、近赤外線領域においては、透過率は0に近いものであり、反射率もかなり低いものであった。熱線吸収層を室内側に有する実施例5の方が、室外側に有する実施例よりも、相対的に性能が優れていた。
図6は、比較例1、比較例6および比較例7の熱線遮蔽フィルムの透過率・反射率のスペクトル図である。
T3とR3は、それぞれ比較例1(熱線遮蔽フィルムF8)の透過率・反射率のスペクトル図である。T4とR4は、それぞれ比較例6(熱線遮蔽フィルムF13)の透過率・反射率のスペクトル図である。T5とR5は、それぞれ比較例7(熱線遮蔽フィルムF14)の透過率・反射率のスペクトル図である。
比較例1は、多層フィルムのみの熱線遮蔽フィルムであるが、可視光領域において、比較的高い反射率を有している。一方、近赤外線領域においては、透過率は90%に近いものであった。比較例6は、PETフィルムにITO微粒子含有層を形成した熱線遮蔽フィルムであるが、可視光領域および近赤外線領域において、低い反射率であった。一方、近赤外線領域においては、透過率は0%に近いものであった。比較例7は、アルミニウム蒸着PETフィルムであるが、可視光領域および近赤外線領域において、中程度の透過率および反射率であった。
本発明の実施例1〜は、熱線遮蔽係数、可視光線透過率、可視光線反射率、日射透過率、日射反射率、電磁波遮蔽率において、いずれも良好な性能を有するものであった。一方、比較例1〜6は、いずれも熱線遮蔽性能に劣るものであった。また、比較例7は、可視光線透過率に劣っていた。
1 熱線遮蔽フィルム
2 接着層
3 基材フィルム
4 熱線吸収層
5 窓板
20 熱線遮蔽性窓板

Claims (4)

  1. 窓板に設置される熱線遮蔽フィルムであって、
    多層構造を有する透明樹脂からなる基材フィルムと、
    前記基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられた熱線吸収性金属化合物微粒子を含有する層とを有し、
    前記多層構造の1層当たりの厚さが50〜1000nmであり、
    前記多層構造の層数が1000〜1400であり、
    前記熱線吸収性金属化合物が金属または金属酸化物であり、
    前記熱線吸収性金属化合物微粒子の平均粒径が10〜100nmであり、
    熱線遮蔽係数が0.70以下であり、
    可視光線反射率が20%以上であり、
    可視光線透過率が55%以上であることを特徴とする熱線遮蔽フィルム。
  2. 熱貫流率が5.9未満であることを特徴とする請求項1に記載の熱線遮蔽フィルム。
  3. 日射吸収率が40%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱線遮蔽フィルム。
  4. 電磁波遮蔽率が10dB以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱線遮蔽フィルム。
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