JP2015104865A - 熱線遮蔽フィルム及びセパレータ・粘着層付き熱線遮蔽フィルム - Google Patents

熱線遮蔽フィルム及びセパレータ・粘着層付き熱線遮蔽フィルム Download PDF

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剛 川瀬
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Abstract

【課題】高い可視光透過率、高い熱線遮蔽性能及び高い耐摩耗性を長期間に亘って維持することが可能な熱線遮蔽フィルム及びセパレータ・粘着層付き熱線遮蔽フィルムを提供する。
【解決手段】熱線遮蔽フィルムは、基材の一主面に、無機粒子を含有する透明樹脂組成物を含む熱線遮蔽膜及び反射防止層を積層してなる熱線遮蔽フィルムであり、この熱線遮蔽フィルムの可視光透過率の基材及び熱線遮蔽膜の合計の可視光透過率に対する上昇値は1%以上かつ3%以下、かつ日射透過率の上昇値は1%以上かつ3%以下、テーバー摩耗試験の前後におけるヘーズ値の上昇値は2%以下であり、この反射防止層の屈折率は1.4以上かつ1.55以下であり、この反射防止層の屈折率と前記熱線遮蔽膜の屈折率との差は0.05以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱線遮蔽フィルム及びセパレータ・粘着層付き熱線遮蔽フィルムに関し、更に詳しくは、太陽光等から発せられる熱線を反射・吸収する際に好適に用いられ、高い可視光透過率、高い熱線遮蔽性能及び高い耐摩耗性を実現することが可能な熱線遮蔽フィルム及びセパレータ・粘着層付き熱線遮蔽フィルムに関するものである。
従来より、自動車を始め、住宅、電車、建設機械等の分野では、居住性の向上と省エネルギーを目的として、フロントガラスや窓ガラスの表面に太陽光等から発せられる熱線を反射・吸収する熱線遮蔽フィルムを貼り付けることが行われている。
この熱線遮蔽フィルムとしては、熱線を反射・吸収する酸化スズ、アンチモン添加酸化スズ(ATO)、スズ添加酸化インジウム(ITO)、セシウム添加酸化タングステン、アルミニウム添加酸化亜鉛等の金属酸化物粒子、あるいは熱線を遮蔽するフタロシアニン化合物等の有機化合物を、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂等の透明樹脂中に分散させたものが一般に用いられている。
熱線遮蔽フィルムは、可視光透過率と熱線遮蔽性能の両立が不可欠である。そこで、半透明の熱線反射フィルムの少なくとも片面に可視光の反射を防止するする反射防止層を形成した透明積層フィルムが提案されている(特許文献1)。
一方、このような熱線遮蔽フィルムを得るためのコーティング材としては、メタクリロイル基またはアクリロイル基を反応性官能基として有する架橋性化合物と、酸化スズ、アンチモン添加酸化スズ(ATO)、スズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化バナジウムの少なくとも1種とを含む熱線遮蔽性コーティング組成物が提案されている(特許文献2)。
この熱線遮蔽性コーティング組成物では、高透明性、高硬度、高耐候性及び熱線遮蔽性を併せ持つとされている。
特開2001−310407号公報 特開2007−84605号公報
ところで、特許文献1に記載された熱線遮蔽フィルムでは、可視光透過率を向上させるためには、金属酸化物の含有量を低減する必要がある。しかしながら、金属酸化物の含有量を低減させると、確かに可視光透過率は向上するが、同時に熱線遮蔽性能に寄与する日射透過率がそれ以上に大幅に上昇してしまい、熱線遮蔽能が低下するという問題点があった。
また、半透明の熱線反射フィルムの少なくとも片面に可視光を反射する反射防止層を形成した透明積層フィルムでは、反射防止層にUV硬化型樹脂を含む場合、大気中にて硬化処理を行うと、酸素による硬化阻害により耐摩耗性、下地層との密着性に劣るという問題点があった。また、窒素雰囲気下にて硬化処理を行うと、硬化阻害は発生し難いが、耐摩耗性が不十分なものとなり、かつ製造コストが上昇するという問題点があった。
さらに、特許文献2に記載された熱線遮蔽性コーティング組成物では、このコーティング組成物を硬化させた場合、架橋性化合物と、金属酸化物粒子や金属複合酸化物粒子の表面との重合反応性に乏しく、したがって、得られたコーティング材の透明性及び耐摩耗性が低下し、特にフロントガラスや窓ガラスの表面に熱線遮蔽性を付与する場合に、透明性及び耐摩耗性が十分に得られないという問題点があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、高い可視光透過率、高い熱線遮蔽性能及び高い耐摩耗性を長期間に亘って維持することが可能な熱線遮蔽フィルム及びセパレータ・粘着層付き熱線遮蔽フィルムを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、基材の一主面に、無機粒子を含有する透明樹脂組成物を含む熱線遮蔽膜及び反射防止層を積層してなる熱線遮蔽フィルムの可視光透過率の前記基材及び前記熱線遮蔽膜の合計の可視光透過率に対する上昇値を1%以上かつ3%以下、かつ日射透過率の上昇値を1%以上かつ3%以下、テーバー摩耗試験の前後におけるヘーズ値の上昇値を2%以下とし、さらに、反射防止層の屈折率を1.4以上かつ1.55以下、この反射防止層の屈折率と熱線遮蔽膜の屈折率との差を0.05以上とすれば、高い可視光透過率及び高い熱線遮蔽性能を長期間に亘って両立させることができ、しかも高い耐摩耗性を長期間に亘って維持することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の熱線遮蔽フィルムは、基材の一主面に、無機粒子を含有する透明樹脂組成物を含む熱線遮蔽膜及び反射防止層を積層してなる熱線遮蔽フィルムであって、この熱線遮蔽フィルムの可視光透過率の前記基材及び前記熱線遮蔽膜の合計の可視光透過率に対する上昇値は1%以上かつ3%以下、かつ日射透過率の上昇値は1%以上かつ3%以下、テーバー摩耗試験の前後におけるヘーズ値の上昇値は2%以下であり、前記反射防止層の屈折率は1.4以上かつ1.55以下であり、この反射防止層の屈折率と前記熱線遮蔽膜の屈折率との差は0.05以上であることを特徴とする。
前記無機粒子は、アンチモン添加酸化スズ、スズ添加酸化インジウム、セシウム添加酸化タングステン、アルミニウム添加酸化亜鉛、ガリウム添加酸化亜鉛及びニオブ添加酸化チタンの群から選択される1種または2種以上の金属複合酸化物を含有してなることが好ましい。
前記透明樹脂組成物及び前記反射防止層それぞれに含まれる樹脂は、紫外線硬化型樹脂であることが好ましい。
可視光透過率は80%以上であることが好ましい。
本発明のセパレータ・粘着層付き熱線遮蔽フィルムは、本発明の熱線遮蔽フィルムの一主面に、粘着層及びセパレータを積層してなることを特徴とする。
本発明の熱線遮蔽フィルムによれば、基材の一主面に、無機粒子を含有する透明樹脂組成物を含む熱線遮蔽膜及び反射防止層を積層してなる熱線遮蔽フィルムの可視光透過率の、基材及び熱線遮蔽膜の合計の可視光透過率に対する上昇値を1%以上かつ3%以下、かつ日射透過率の上昇値を1%以上かつ3%以下、テーバー摩耗試験の前後におけるヘーズ値の上昇値を2%以下とし、さらに、反射防止層の屈折率を1.4以上かつ1.55以下、この反射防止層の屈折率と熱線遮蔽膜の屈折率との差を0.05以上としたので、熱線遮蔽膜と空気との界面にて生じる透過光の反射損失を概ね3%程度低減することができ、日射透過率の上昇を3%以下に抑えながら可視光透過率を高くすることができる。したがって、高い可視光透過率及び高い熱線遮蔽性能を長期間に亘って両立させることができ、しかも高い耐摩耗性を長期間に亘って維持することができる。
この透明樹脂組成物及び反射防止層それぞれに含まれる透明樹脂を紫外線硬化型樹脂としたので、この透明樹脂組成物及び反射防止層それぞれの構成樹脂が保有する反応性官能基を同じ種類とすることで、膜間の密着性を大きく向上させることができ、かつ硬化不良による耐摩耗性の低下を防ぐことができる。したがって、高い可視光透過率、高い熱線遮蔽性能及び高い耐摩耗性を、さらに長期間に亘って維持することができる。さらに、窒素雰囲気下にて硬化させる必要がないので、製造コストも安価である。
本発明のセパレータ・粘着層付き熱線遮蔽フィルムによれば、本発明の熱線遮蔽フィルムの一主面に、粘着層及びセパレータを積層したので、高い可視光透過率、高い熱線遮蔽性能及び高い耐摩耗性を長期間に亘って維持することができる。
本発明の実施例1〜4及び比較例2のITO粉体の添加量と可視光透過率との関係を示す図である。
本発明の熱線遮蔽フィルム及びセパレータ・粘着層付き熱線遮蔽フィルムを実施するための形態について説明する。
なお、以下の実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[熱線遮蔽フィルム]
本実施形態の熱線遮蔽フィルムは、基材の一主面に、無機粒子を含有する透明樹脂組成物を含む熱線遮蔽膜及び反射防止層を積層してなる熱線遮蔽フィルムであって、この熱線遮蔽フィルムの可視光透過率の前記基材及び前記熱線遮蔽膜の合計の可視光透過率に対する上昇値は1%以上かつ3%以下、かつ日射透過率の上昇値は1%以上かつ3%以下、テーバー摩耗試験の前後におけるヘーズ値の上昇値は2%以下であり、前記反射防止層の屈折率は1.4以上かつ1.55以下であり、この反射防止層の屈折率と前記熱線遮蔽膜の屈折率との差は0.05以上である。
上記の基材としては、可視光線を透過する樹脂を用いて形成されたシート状であってもよく、フィルム状であってもよいが、フィルム状であることが好ましい。
この基材の厚みは、その材料や、形成される熱線遮蔽膜の用途等に応じて適宜選択できるが、例えば、25μm〜200μm程度のものが好ましく用いられる。
この基材に用いられる樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の透明樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン(PTFE) 、ポリ塩化三フッ化エチレン(PCTFE)等の透明フッ素樹脂が挙げられる。これらの中でも、ポリエステルを材料としたフィルムが透明性、安定性、コスト等の点から好ましく、特に、ポリエステルの中でもポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましい。
上記の熱線遮蔽膜は、無機粒子と、樹脂と、1つの分子中にメタクリロイル基及びアクリロイル基のいずれか一方または双方を有する架橋性化合物とを含有している透明樹脂組成物からなる膜である。
この無機粒子としては、導電性を有することが好ましく、自由電子密度が1020/cm以上かつ1022/cm以下の導電性粒子が好ましい。
このような無機粒子としては、例えば、アンチモン添加酸化スズ(ATO)、スズ添加酸化インジウム(ITO)、セシウム添加酸化タングステン、アルミニウム添加酸化亜鉛、ガリウム添加酸化亜鉛及びニオブ添加酸化チタンの群から選択される1種または2種以上の金属複合酸化物が挙げられる。
これらの金属複合酸化物は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
無機粒子の平均一次粒子径は、用途に応じて適宜選択すればよいが、透明性及び耐摩耗性に優れたものとするためには、3nm以上かつ100nm以下であることが好ましく、より好ましくは5nm以上かつ75nm以下、さらに好ましくは7nm以上かつ40nm以下である。
本実施形態において、「平均一次粒子径」とは、個々の無機粒子そのものの粒子径のことである。
この平均一次粒子径の測定方法としては、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)等を用いて、無機粒子それぞれの長径、例えば、100個以上の金属酸化物粒子、好ましくは500個の金属酸化物粒子それぞれの長径を測定し、その算術平均値を算出する方法が挙げられる。
この透明樹脂組成物における無機粒子の含有率は、2体積%以上かつ30体積%以下が好ましく、10体積%以上かつ30体積%以下がより好ましい。
この透明樹脂組成物における無機粒子の含有率を上記の範囲とすることにより、この透明樹脂組成物における無機粒子の良好な分散安定性を得ることができる。
この無機粒子の表面は、1つの分子中にアクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基のうちいずれか一方または双方を含む有機基を有する有機化合物にて修飾されていることが好ましい。
このような有機化合物としては、特に限定されないが、反応性、透明性、耐候性、硬度に優れた多官能アクリレート、シランカップリング剤等が好ましい。ここで多官能アクリレートとは、3個以上の官能基を有するアクリレートのことである。3個以上の官能基は、全て同種の官能基であってもよく、異なる2種以上の官能基であってもよい。
多官能アクリレートの具体例としては、例えば、(メタ)トリメチロールプロパントリアクリレート、(メタ)ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、(メタ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(メタ)ペンタエリスリトールテトラアクリレート、(メタ)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールポリアクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、ポリシロキサンアクリレート等が挙げられる。これらの多官能アクリレートは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
シランカップリング剤としては、1つの分子中にアクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基のうちいずれか一方または双方を有していればよく、特に限定されないが、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、シランカップリング剤としては、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルエチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエチルジエトキシシラン、p−スチリルエチルジメトキシシラン、p−スチリルエチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルエチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルエチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルエチルジエトキシシラン、アリルエチルジメトキシシラン、アリルエチルジエトキシシラン等が挙げられる。
さらに、シランカップリング剤としては、ビニルジエチルメトキシシラン、ビニルジエチルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエチルメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエチルエトキシシラン、p−スチリルジエチルメトキシシラン、p−スチリルジエチルエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジエチルメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジエチルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジエチルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジエチルエトキシシラン、アリルジエチルメトキシシラン、アリルジエチルエトキシシラン等が挙げられる。
これらのシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を同時に用いてもよい。
この透明樹脂組成物における無機粒子の平均二次粒子径、すなわち平均分散粒径は、3nm以上かつ600nm以下であることが好ましく、より好ましくは10nm以上かつ500nm以下、さらに好ましくは20nm以上かつ300nm以下である。
この無機粒子の平均分散粒径を上記の範囲とした理由は、この範囲が無機粒子による可視光のミー散乱を抑制し、高い透明性を実現することができる範囲だからである。
ここで、無機粒子の平均分散粒径が3nm未満であると、分散液の粘度が高くなり過ぎるので好ましくない。
この透明樹脂組成物に用いられる樹脂としては、可視光に対して透明であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化型樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂等が挙げられる。
この樹脂としては、取り扱いの容易さ等を勘案すると、紫外線硬化型樹脂であることが好ましい。
1つの分子中にメタクリロイル基及びアクリロイル基のいずれか一方の官能基または双方の官能基を有する架橋性化合物とは、メタクリロイル基及びアクリロイル基のいずれか一方の官能基を1個以上、または双方の官能基をそれぞれ1個以上有するモノマー、及び、このモノマーから得られるメタクリロイル基及びアクリロイル基のいずれか一方または双方の官能基を1個以上、または双方の官能基をそれぞれ1個以上有するオリゴマーまたはポリマーである。
この架橋性化合物におけるメタクリロイル基及びアクリロイル基のいずれか一方または双方の官能基の個数は、1個または2個であってもよいが、3個以上かつ15個以下であることが好ましく、より好ましくは4個以上かつ10個以下、さらに好ましくは5個以上かつ8個以下である。
ここで、架橋性化合物におけるメタクリロイル基及びアクリロイル基のいずれか一方または双方の官能基の個数を3個以上かつ15個以下とした理由は、モノマー中におけるこれらの官能基数が3個以上となると、反応性が高くなり、よって架橋密度が向上し、膜強度及び耐候性が向上するからである。
このような架橋性化合物としては、反応性、透明性、耐候性、硬度に優れた多官能アクリレートが好ましい。ここで多官能アクリレートとは、3個以上の官能基を有するアクリレートのことである。3個以上の官能基は、全て同種の官能基であってもよく、異なる2種以上の官能基であってもよい。
上記の架橋性化合物が有するメタクリロイル基及びアクリロイル基以外の官能基としては、例えば、ビニル基、アリル基、アリルエーテル基、スチリル基、水酸基等が挙げられる。
多官能アクリレートの具体例としては、例えば、(メタ)トリメチロールプロパントリアクリレート、(メタ)ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、(メタ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(メタ)ペンタエリスリトールテトラアクリレート、(メタ)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールポリアクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、ポリシロキサンアクリレート等が挙げられる。これらの多官能アクリレートは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
反射防止層は、少なくとも上記の熱線遮蔽膜の屈折率よりも低い屈折率を有する透明性薄膜からなり、その屈折率は1.55以下であることが好ましい。これにより、熱線遮蔽膜と空気との界面で生ずる透過光の反射損失を概ね3%程度低減することができる。
この反射防止層においては、屈折率を1.55以下とすることができ、かつテーバー摩耗試験の前後におけるヘーズ値の上昇値を2%以下にすることができるのであれば、無機粒子を添加してもよい。
この反射防止層が無機粒子を含む場合、この無機粒子の屈折率は1.55以下が好ましく、より好ましくは1.40以下である。
ここで、無機粒子の屈折率が1.55より高いと、反射防止層の屈折率が低くならず、反射防止効果が低下するので好ましくない。この無機粒子の屈折率の下限に特に制限はないが、屈折率を低減する目的で中空構造のシリカを用いた場合には、膜強度を保つためにも、屈折率の下限は1.20とすることが好ましい。
このような無機粒子としては、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化アルミニウム等があげられる。
この反射防止層に用いられる樹脂としては、上記の透明樹脂組成物と同様、可視光に対して透明であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化型樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂等が挙げられる。
この樹脂としては、取り扱いの容易さ等を勘案すると、紫外線硬化型樹脂であることが好ましい。
本発明においては、反射防止層を設けることによる可視光透過率の向上の度合いは、大きいことが好ましいが、基材としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた場合、PETフィルムの片面の反射率は4.5%である。したがって、反射防止層によって向上させることができる透過率の最大値は4.5%となる。
この熱線遮蔽フィルムでは、透明性を損なわないためには、日本工業規格JIS K 5600−5−9「テーバー摩耗試験」に準じて、所定の条件下にてテーバー摩耗試験を行った場合に、このテーバー試験前のヘーズ値とテーバー試験後のヘーズ値との差であるΔヘーズ値(ΔHz)、すなわちテーバー摩耗試験の前後におけるヘーズ値の上昇値は2%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましい。
ここで、「ヘーズ値」とは、全光線透過光に対する拡散透過光の割合(%)のことであり、空気を基準として、ヘイズメーター NDH−2000(日本電色社製)を用い、日本工業規格JIS−K−7136に基づいて測定することにより得ることができる。
このΔヘーズ値(ΔHz)を2%以下とするためには、この熱線遮蔽フィルムに含まれる無機粒子の平均二次粒子径は3nm以上かつ600nm以下であることが好ましく、より好ましくは10nm以上かつ500nm以下である。
ここで、無機粒子の平均二次粒子径を3nm以上かつ600nm以下とした理由は、平均二次粒子径が3nm未満であると、分散液の粘度が高くなり過ぎるので好ましくないからである。
この熱線遮蔽フィルムは、基材の表面(一主面)に、上記の透明樹脂組成物を含む熱線遮蔽膜及び反射防止層を積層することにより、得ることができる。
この熱線遮蔽膜の膜厚は、用途に応じて適宜調整されるが、通常0.01μm以上かつ20μm以下であることが好ましく、0.5μm以上かつ10μm以下であることがより好ましい。
この熱線遮蔽膜は、上記の透明樹脂組成物を含む塗料を、基材上に塗工することで塗膜を形成する工程と、この塗膜を硬化させる工程とを有する。
塗膜を形成する塗工方法としては、例えば、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法、ディップコート法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースロールコート法、ナイフコータ法、スクリーン印刷法、キスコータ法等、通常のウェットコート法が用いられる。
塗膜を硬化させる硬化方法としては、含まれる透明樹脂の種類に応じて適宜選択される。
例えば、含まれる透明樹脂が熱硬化型樹脂の場合、この樹脂が硬化するのに十分な温度及び時間にて加熱することにより硬化させることができる。
また、含まれる透明樹脂が光硬化型樹脂の場合、この樹脂が硬化するのに十分なエネルギーを有する光を所定時間照射することにより硬化させることができる。
光硬化に用いるエネルギー線としては、塗膜が硬化すれば、特に限定されないが、例えば、紫外線、遠赤外線、近紫外線、赤外線、X線、γ線、電子線、プロトン線、中性子線等のエネルギー線が用いられる。これらのエネルギー線の中でも、硬化速度が速く、装置の入手および取り扱いが容易である点から、紫外線を用いることが好ましい。
紫外線照射による硬化の場合、200nm〜500nmの波長帯域の紫外線を発生する高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ等を用いて、100〜3,000mJ/cmのエネルギーにて、紫外線を照射する方法等が挙げられる。
次いで、この熱線遮蔽膜の表面(一主面)に反射防止層を積層する。
ここでは、上記の反射防止層を形成するための塗料を、公知の塗工法、例えば、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法、ディップコート法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースロールコート法、ナイフコータ法、スクリーン印刷法、キスコータ法等、通常のウェットコート法を用いて塗工し、加熱または紫外線等の光を照射することにより硬化させることで、上記の反射防止層が得られる。
さらに、上記の透明樹脂組成物は、発明の効果を阻害しない範囲内で分散剤、重合開始剤、帯電防止剤、屈折率調節剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、レベリング剤、消泡剤、無機充填剤、カップリング剤、防腐剤、可塑剤、流動調整剤、増粘剤、pH調整剤、重合開始剤等の各種添加剤が適宜含有されていてもよい。
分散剤としては、例えば、硫酸エステル系、カルボン酸系、ポリカルボン酸系等のアニオン型界面活性剤、アミン類等のカチオン型界面活性剤、高級脂肪酸ポリエチレングリコールエステル系等のノニオン型界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アマイドエステル結合を有する高分子系界面活性剤等が挙げられる。
これらの分散剤の種類や量は無機粒子の粒子径や目的とする分散媒の種類により適宜選択すればよく、上記分散剤のうち1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
アミン類としては、例えば、アミン、アミド、アミン系分散剤、アミン系界面活性剤、アミド型モノマー、アミン系溶媒、アミド系溶媒等が挙げられる。
アミンとしては、一級アミン、二級アミン、三級アミンのいずれを用いてもよく、これらを混合して用いてもよいが、三級アミンを用いることがより好ましい。
アミド型モノマーとしては、例えば、アクリルアミド型モノマーやメタクリルアミド型モノマーが好適に用いられる。このようなアミド型モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド等が挙げられる。
重合開始剤は、用いるモノマーの種類に応じて、適宜選択される。光硬化性樹脂のモノマーを用いる場合には、光重合開始剤が用いられる。光重合開始剤の種類や量は、使用する光硬化性樹脂のモノマーに応じて適宜選択される。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ジケトン系、アセトフェノン系、ベンゾイン系、チオキサントン系、キノン系、ベンジルジメチルケタール系、アルキルフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、フェニルフォスフィンオキサイド系等の公知の光重合開始剤が挙げられる。
増粘剤としては、例えば、ゼラチン、カゼイン、コラーゲン、ヒアルロン酸、アルブミン、デンプン等の天然の水溶性高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の半合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボマー(カルボキシビニルポリマー)、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキシド等の合成高分子、ベントナイト、ラポナイト、ヘクトライト等の無機鉱物等が好適に用いられる。これらの増粘剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[セパレータ・粘着層付き熱線遮蔽フィルム]
本実施形態のセパレータ・粘着層付き熱線遮蔽フィルムは、本実施形態の熱線遮蔽フィルムの表面(一主面)に、粘着層及びセパレータを積層した構成である。
ここで、粘着層としては、透明性が確保され、かつ所定の粘着力を有すればよく、特に限定しないが、例えば、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリビニルエーテル、ポリイソブチル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール等の粘着材料が好適に用いられる。
セパレータとしては、粘着層上に剥離可能に設けられたもので、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が好適に用いられ、熱線遮蔽フィルムをガラス等に粘着する際に、取り去って粘着層を露出させるものである。セパレータは透明でも不透明でもよいが、剥離する際に熱線遮蔽フィルムと区別がつきやすいように、熱線遮蔽フィルムと異なる色調に着色したものが好ましい。
以上説明したように、本実施形態の熱線遮蔽フィルムによれば、基材の一主面に、無機粒子を含有する透明樹脂組成物を含む熱線遮蔽膜及び反射防止層を積層してなる熱線遮蔽フィルムの可視光透過率の、基材及び熱線遮蔽膜の合計の可視光透過率に対する上昇値を1%以上かつ3%以下、かつ日射透過率の上昇値を1%以上かつ3%以下、テーバー摩耗試験の前後におけるヘーズ値の上昇値を2以下とし、さらに、反射防止層の屈折率を1.4以上かつ1.55以下、この反射防止層の屈折率と熱線遮蔽膜の屈折率との差を0.05以上としたので、反射防止層と熱線遮蔽膜の屈折率差が0.05以上であることから、熱線遮蔽膜と空気との界面で生ずる透過光の反射損失を概ね3%程度低減することができ、かつ熱線遮蔽膜と反射防止層を構成する樹脂が同じ種類の反応性官能基を保有することで、膜間の密着性を大きく向上させることができ、テーバー摩耗試験の前後におけるヘーズ値の上昇値を2%以下とすることができる。したがって、高い可視光透過率及び高い熱線遮蔽性能を長期間に亘って両立させることができ、しかも高い耐摩耗性を長期間に亘って維持することができる。
この透明樹脂組成物及び反射防止層それぞれに含まれる透明樹脂を紫外線硬化型樹脂としたので、大気中処理において酸素による硬化阻害が生じ難い紫外線硬化型樹脂を用いることで、窒素雰囲気にて硬化させる必要が無く、したがって、製造コストを安価にすることができる。
本実施形態のセパレータ・粘着層付き熱線遮蔽フィルムによれば、本実施形態の熱線遮蔽フィルムの表面(一主面)に、粘着層及びセパレータを積層したので、高い可視光透過率、高い熱線遮蔽性能及び高い耐摩耗性を長期間に亘って維持することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
(熱線遮蔽膜付き基材の作製)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)KAYARAD(日本化薬社製)を17g、アンチモン添加酸化スズ(ATO)を50質量%含むATO分散液(住友大阪セメント社製)を53g、イルガキュア127(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を0.8g、トルエンを29.2g混合した。
得られた混合物を、基材としてPETフィルムT4300(東洋紡社製)上に、乾燥膜厚が1.0μmとなるようにバーコーターにより塗布し、次いで、80℃にて1分間乾燥させた。次いで、高圧水銀灯(120W/cm)を用いて紫外線を300mJ/cmのエネルギーとなるように露光し、実施例1の膜形成用組成物を硬化してなる熱線遮蔽膜付き基材を得た。
(熱線遮蔽フィルムの作製)
紫外線硬化型樹脂セイカビームEXP−07(大日精化工業社製)をメチルイソブチルケトンに溶解し、紫外線硬化型樹脂の濃度が2.0質量%の溶液を得た。
さらに、この溶液にイルガキュア127を、紫外線硬化型樹脂セイカビームEXP−07の全質量に対して3質量%となるように添加して混合し、反射防止層形成用組成物を得た。
この反射防止層形成用組成物を、上記の熱線遮蔽膜の上に、乾燥膜厚が100nmになるようにバーコーターにより塗布し、次いで、80℃にて1分間乾燥させた。次いで、高圧水銀灯(120W/cm)を用いて紫外線を300mJ/cmのエネルギーとなるように露光し、実施例1の熱線遮蔽フィルムを得た。
[実施例2]
(熱線遮蔽膜付き基材の作製)
実施例1と同様にして、実施例2の膜形成用組成物を硬化してなる熱線遮蔽膜付き基材を得た。
(熱線遮蔽フィルムの作製)
メソポーラスシリカ微粒子SI−01(微粒子の一次粒子径:5〜15nm、微粒子の屈折率:1.26、住友大阪セメント製)20gと、2−プロパノール80gを混合した。次いで、この混合液と、ガラスビーズ(直径:0.1mm)150gをビーズミルに投入し、2500回転にて5時間分散処理を行った。次いで、ガラスビーズをフィルタ処理により分離し、メソポーラスシリカ分散液を得た。
次いで、得られたメソポーラスシリカ分散液をSiO量換算で0.8質量%、紫外線硬化型樹脂セイカビームEXP−07を1.2質量%となるように、メチルイソブチルケトン中に加え、さらにイルガキュア127を、メソポーラスシリカ分散液中のSiOと紫外線硬化型樹脂セイカビームEXP−07の合計質量に対して3質量%となるように添加して混合し、反射防止層形成用組成物を得た。
この反射防止層形成用組成物を、上記の熱線遮蔽膜の上に、乾燥膜厚が100nmになるようにバーコーターにより塗布し、次いで、80℃にて1分間乾燥させた。次いで、高圧水銀灯(120W/cm)を用いて紫外線を300mJ/cmのエネルギーとなるように露光し、実施例2の熱線遮蔽フィルムを得た。
[実施例3]
(熱線遮蔽膜付き基材の作製)
実施例1と同様にして、実施例3の膜形成用組成物を硬化してなる熱線遮蔽膜付き基材を得た。
(熱線遮蔽フィルムの作製)
アンチモン添加酸化スズ(ATO)を50質量%含むATO分散液(住友大阪セメント社製)をATO量換算で0.4質量%、紫外線硬化型樹脂セイカビームEXP−07(大日精化工業社製)を1.6質量%となるように、メチルイソブチルケトンに溶解した。
さらに、この溶液にイルガキュア127を、紫外線硬化型樹脂セイカビームEXP−07の全質量に対して3質量%となるように添加して混合し、反射防止層形成用組成物を得た。
この反射防止層形成用組成物を、上記の熱線遮蔽膜の上に、乾燥膜厚が100nmになるようにバーコーターにより塗布し、次いで、80℃にて1分間乾燥させた。次いで、高圧水銀灯(120W/cm)を用いて紫外線を300mJ/cmのエネルギーとなるように露光し、実施例3の熱線遮蔽フィルムを得た。
[実施例4]
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)KAYARAD(日本化薬社製)を27gに、アンチモン添加酸化スズ(ATO)を50質量%含むATO分散液(住友大阪セメント社製)を43gに、それぞれ変更した他は、実施例1と同様にして、実施例4の膜形成用組成物を硬化してなる熱線遮蔽膜付き基材及び熱線遮蔽フィルムを得た。
[実施例5]
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)KAYARAD(日本化薬社製)を7gに、アンチモン添加酸化スズ(ATO)を50質量%含むATO分散液(住友大阪セメント社製)を63gに、それぞれ変更した他は、実施例1と同様にして、実施例5の膜形成用組成物を硬化してなる熱線遮蔽膜付き基材及び熱線遮蔽フィルムを得た。
[比較例1]
実施例1と同様にして作製した膜形成用組成物を硬化してなる熱線遮蔽膜付き基材を、比較例1のフィルムとした。
[比較例2]
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)KAYARAD(日本化薬社製)を30gに、アンチモン添加酸化スズ(ATO)を50質量%含むATO分散液(住友大阪セメント社製)を40gに、それぞれ変更した他は、実施例1と同様にして、膜形成用組成物を硬化してなる熱線遮蔽膜付き基材を得、比較例2のフィルムとした。
[比較例3]
メソポーラスシリカ分散液をSiO量換算で1.2質量%、紫外線硬化型樹脂セイカビームEXP−07を0.8質量%となるように、メチルイソブチルケトン中に加えた他は、実施例2と同様にして、比較例3の熱線遮蔽フィルムを得た。
[比較例4]
アンチモン添加酸化スズ(ATO)を50質量%含むATO分散液(住友大阪セメント社製)をATO量換算で0.8質量%、紫外線硬化型樹脂セイカビームEXP−07(大日精化工業社製)を1.2質量%となるように、メチルイソブチルケトンに溶解した他は、実施例3と同様にして、比較例4の熱線遮蔽フィルムを得た。
[比較例5]
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)KAYARAD(日本化薬社製)を40gに、アンチモン添加酸化スズ(ATO)を50質量%含むATO分散液(住友大阪セメント社製)を30gに、それぞれ変更した他は、実施例1と同様にして、膜形成用組成物を硬化してなる熱線遮蔽膜付き基材を得、比較例5のフィルムとした。
[比較例6]
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)KAYARAD(日本化薬社製)を3gに、アンチモン添加酸化スズ(ATO)を50質量%含むATO分散液(住友大阪セメント社製)を67gに、それぞれ変更した他は、実施例1と同様にして、膜形成用組成物を硬化してなる熱線遮蔽膜付き基材を得、比較例6のフィルムとした。
[評価]
実施例1〜5各々の熱線遮蔽フィルム及び比較例1〜6各々のフィルムの評価を行った。評価項目は次のとおりである。
(1)屈折率
膜形成用組成物及び反射防止層それぞれの屈折率を、プリズムカプラ(Metoricon社製)を用いて測定した。
(2)可視光透過率
上記の熱線遮蔽フィルム(またはフィルム)を厚み3mmのガラス板に貼り付け、この熱線遮蔽フィルム(またはフィルム)及びガラス板を透過する可視光の透過率を分光光度計U−4100(日立製作所社製)を用いて測定した。
ここでは、比較例1のフィルムを基準とした場合の可視光透過率の上昇値も算出した。
(3)日射透過率
上記の熱線遮蔽フィルム(またはフィルム)を厚み3mmのガラス板に貼り付け、この熱線遮蔽フィルム(またはフィルム)及びガラス板を透過する太陽光の透過率を分光光度計U−4100(日立製作所社製)を用いて測定した。
ここでは、比較例1のフィルムを基準とした場合の日射透過率の上昇値も算出した。
(4)ΔHz
上記の熱線遮蔽フィルム(またはフィルム)について、日本工業規格JIS K 5600−5−9「テーバー摩耗試験」に準じて、摩耗輪CS−10F、荷重500g、回転数50回の条件下にてテーバー摩耗試験を行い、このテーバー試験前のヘーズ値とテーバー試験後のヘーズ値をヘイズメーター TC−1800MK/II(日本電色社製)を用いて測定し、テーバー試験前のヘーズ値とテーバー試験後のヘーズ値との差であるΔヘーズ値(ΔHz)を算出した。
ここでは、比較例1のフィルムを基準とした場合のΔヘーズ値(ΔHz)の上昇値も算出した。
実施例1〜5の熱線遮蔽フィルム及び比較例1〜6のフィルムの評価結果を表1に示す。
また、実施例2の熱線遮蔽フィルム及び比較例1、2のフィルムの可視光透過率と波長との関係を図1に示す。
Figure 2015104865
表1によれば、実施例1〜5の熱線遮蔽フィルムは、反射防止層の屈折率が1.4以上かつ1.55以下、可視光透過率の比較例1のフィルムに対する上昇値が1%以上かつ3%以下、日射透過率の比較例1のフィルムに対する上昇値が1%以上かつ3%以下、テーバー摩耗試験の前後におけるヘーズ値の上昇値が2%以下であり、これらの数値は比較例1〜6のフィルムと比べて優れていることが分かった。
また、実施例2の熱線遮蔽フィルムの可視光透過率と波長との関係を、比較例1、2のフィルムの可視光透過率と波長との関係と比べてみると、可視光透過率を高くしても、日射透過率の上昇を小さく抑えることができることが分かった。
本発明の熱線遮蔽フィルムは、基材の一主面に、無機粒子を含有する透明樹脂組成物を含む熱線遮蔽膜及び反射防止層を積層してなる熱線遮蔽フィルムの可視光透過率の基材及び熱線遮蔽膜の合計の可視光透過率に対する上昇値を1%以上かつ3%以下、かつ日射透過率の上昇値を1%以上かつ3%以下、テーバー摩耗試験の前後におけるヘーズ値の上昇値を2%以下とし、さらに、反射防止層の屈折率を1.4以上かつ1.55以下、この反射防止層の屈折率と熱線遮蔽膜の屈折率との差を0.05以上とすることにより、高い可視光透過率及び高い熱線遮蔽性能を長期間に亘って両立させることができ、しかも高い耐摩耗性を長期間に亘って維持することができるものであるから、自動車のフロントガラスや建築物の窓ガラスにて熱線を反射・吸収することはもちろんのこと、自動車のフロントガラスや建築物の窓ガラス以外の熱線を反射・吸収する必要がある部材へも適用することができ、その工業的価値は大きい。

Claims (5)

  1. 基材の一主面に、無機粒子を含有する透明樹脂組成物を含む熱線遮蔽膜及び反射防止層を積層してなる熱線遮蔽フィルムであって、
    この熱線遮蔽フィルムの可視光透過率の前記基材及び前記熱線遮蔽膜の合計の可視光透過率に対する上昇値は1%以上かつ3%以下、かつ日射透過率の上昇値は1%以上かつ3%以下、テーバー摩耗試験の前後におけるヘーズ値の上昇値は2%以下であり、
    前記反射防止層の屈折率は1.4以上かつ1.55以下であり、この反射防止層の屈折率と前記熱線遮蔽膜の屈折率との差は0.05以上であることを特徴とする熱線遮蔽フィルム。
  2. 前記無機粒子は、アンチモン添加酸化スズ、スズ添加酸化インジウム、セシウム添加酸化タングステン、アルミニウム添加酸化亜鉛、ガリウム添加酸化亜鉛及びニオブ添加酸化チタンの群から選択される1種または2種以上の金属複合酸化物を含有してなることを特徴とする請求項1記載の熱線遮蔽フィルム。
  3. 前記透明樹脂組成物及び前記反射防止層それぞれに含まれる樹脂は、紫外線硬化型樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の熱線遮蔽フィルム。
  4. 可視光透過率は80%以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の熱線遮蔽フィルム。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項記載の熱線遮蔽フィルムの一主面に、粘着層及びセパレータを積層してなることを特徴とするセパレータ・粘着層付き熱線遮蔽フィルム。
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