JP2014085211A - 試料搬送用ホルダー - Google Patents
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Abstract
【課題】試料台とその上に被せられる蓋体を有する試料搬送用ホルダーであって、蓋の開閉を外部から操作するための複雑な部材の設置や試料導入室の改装等の装置の改造を必要とせず、又分析の際に分析装置の外部からの煩雑な操作を必要とせずに蓋の開閉を行うことができる試料搬送用ホルダーを提供する。
【解決手段】試料載置部を有する試料台と、前記試料載置部と嵌合する凹部を有する蓋体と、試料台スライド手段を有し、記試料載置部は、前記上面に試料を収納する窪みを有し、かつ前記上面上に前記窪みを取囲む気密材を設け、凹部の1つの側面は開口しており、試料載置部は、前記蓋体の直下の位置から水平移動が可能であって、蓋体の直下の位置にあるときは、前記試料載置部の上面と前記凹部の底面が密着して前記窪みが気密状態となることを特徴とする試料搬送用ホルダー。
【選択図】図1
【解決手段】試料載置部を有する試料台と、前記試料載置部と嵌合する凹部を有する蓋体と、試料台スライド手段を有し、記試料載置部は、前記上面に試料を収納する窪みを有し、かつ前記上面上に前記窪みを取囲む気密材を設け、凹部の1つの側面は開口しており、試料載置部は、前記蓋体の直下の位置から水平移動が可能であって、蓋体の直下の位置にあるときは、前記試料載置部の上面と前記凹部の底面が密着して前記窪みが気密状態となることを特徴とする試料搬送用ホルダー。
【選択図】図1
Description
本発明は、真空環境での分析(測定)や加工に供せられる試料を、分析装置や加工装置内に導入し取出すために用いられる試料搬送用ホルダーに関する。より詳細には、試料台とその蓋体等から構成され、試料を、試料台と蓋体により形成される空間内に気密状態(大気と遮断状態)に保持して、煩雑な操作を必要とせずに装置内への搬入及び搬出を行うことができる試料搬送用ホルダーに関する。
近年、走査電子顕微鏡(SEM)、X線マイクロアナライザ(EMPA、XMA)、2次イオン質量分析装置(SIMS)、X線光電子分光分析装置(XPS、ESCA)等の分析装置が、各種の検査、品質管理、研究等で広く用いられている。これらの装置を用いた分析では、電子、イオン、X線等による試料の照射が真空中で行われる。又、集束イオンビーム(FIB)照射による試料の微細加工が行われているが、この加工も真空中で行われる。そこで、分析や加工の際、試料を真空の分析室又は加工室(装置内部)に内置する必要がある。
このような分析や加工において、大気中の酸素等と反応しやすい試料を真空の分析室等に内置する場合は、試料を保持する試料台に試料を大気から遮断する蓋体を被せてなる試料搬送用ホルダーが用いられる。このホルダーでは、試料台と蓋体により形成される空間を不活性ガスで充たして試料を保持し、装置の入口側に設置された試料導入室に導入する。そして試料導入室内を真空にしてから蓋体を取外して、試料上部(X線や電子線等により照射される側)を開放する。
ここで用いられる試料搬送用ホルダーについては、種々の提案がされている。例えば、特許文献1には、「分析用試料を保持する試料ホルダと、その試料ホルダに被せられ分析試料を大気と隔離して密閉し試料ホルダを内置する試料導入室の外部から操作して開閉もしくは着脱可能な試料蓋と、その試料蓋または試料ホルダにリリーフ弁とを備える搬送用試料容器(試料搬送用ホルダー)」が開示されている。
又、特許文献2にも、試料を露出可能に保持するホルダーと、前記ホルダーに被せられ試料を大気と隔離して密閉する蓋体等を備える試料搬送・分析キット(試料搬送用ホルダー)が開示されている。
特許文献1の搬送用試料容器では、蓋体の開閉又は着脱は、試料導入室の外部からの操作により行われる。このため、蓋体を開閉又は着脱するための装置を、蓋体や試料導入室に設ける必要がある。又、特許文献2の試料搬送・分析キットでも、蓋の開閉は、外部からの操作で行う必要がある。
しかし、このような方法では、蓋の開閉を外部から操作するための部材の設置や、試料導入室の改装等の装置の改造が必要となり、分析装置を複雑化しコストアップの要因となる。又、分析の際に、蓋を取外すために装置外部からの操作が必要であるので、分析の作業が煩雑になる。このため、蓋の開閉を外部から操作するための複雑な部材の設置や装置の改造を必要とせず、又試料導入室内に導入された試料搬送用ホルダーの蓋体の開閉を、分析装置の外部からの煩雑な操作を必要とせずに行うことができる、試料搬送用ホルダーの開発が望まれていた。
本発明は、試料台とその上に被せられる蓋体を有する試料搬送用ホルダーであって、蓋体の開閉を外部から操作するための複雑な部材の設置や装置の改造を必要とせず、又分析の際に、分析装置の外部からの煩雑な操作を必要とせずに蓋体の開閉を行うことができる試料搬送用ホルダーを提供することを課題とする。上記の課題は、以下に示す構成からなる試料搬送用ホルダーにより解決される。
本発明は、
四角形の平坦面を上面とする板状の試料載置部を有する試料台と、
四角形の平坦面を上底面とし前記試料載置部と嵌合する凹部を有する蓋体と、
前記試料台を水平移動させる試料台スライド手段を有し、
前記試料載置部は、前記上面に試料を収納する窪みを有し、かつ前記上面の上に前記窪みを取囲む気密材を設け、
前記蓋体の凹部の1つの側面は開口しており、
前記試料載置部は、前記凹部の開口した側面から前記凹部内に進入して、前記蓋体の直下の位置まで水平移動が可能であって、
前記蓋体の直下の位置に前記試料載置部があるときは、前記試料載置部の上面と前記凹部の底面が密着して前記窪みが気密状態となり、
前記蓋体の直下の位置から前記試料載置部が移動したときは、前記試料載置部の上面と前記凹部の上底面が離間して前記窪みの気密状態が解除される
ことを特徴とする試料搬送用ホルダー(請求項1)である。
四角形の平坦面を上面とする板状の試料載置部を有する試料台と、
四角形の平坦面を上底面とし前記試料載置部と嵌合する凹部を有する蓋体と、
前記試料台を水平移動させる試料台スライド手段を有し、
前記試料載置部は、前記上面に試料を収納する窪みを有し、かつ前記上面の上に前記窪みを取囲む気密材を設け、
前記蓋体の凹部の1つの側面は開口しており、
前記試料載置部は、前記凹部の開口した側面から前記凹部内に進入して、前記蓋体の直下の位置まで水平移動が可能であって、
前記蓋体の直下の位置に前記試料載置部があるときは、前記試料載置部の上面と前記凹部の底面が密着して前記窪みが気密状態となり、
前記蓋体の直下の位置から前記試料載置部が移動したときは、前記試料載置部の上面と前記凹部の上底面が離間して前記窪みの気密状態が解除される
ことを特徴とする試料搬送用ホルダー(請求項1)である。
この試料搬送用ホルダーでは、蓋体は、通常、試料導入室に固定されて設けられている。蓋体には、四角形の平坦面を上底面とする凹部が形成されている。凹部の形状は、(高さが底面に比べて小さい)四角柱状又は上面(上底面)が下面(下底面)より大きい四角錐台状であるが、その凹部の1側面側は開放されて開口部を形成し、又その側面に隣接する2側面は、蓋体が試料載置部と嵌合したとき、試料載置部の2側面とそれぞれ対向するように形成されている。前記試料載置部は、水平移動(以下「スライド」と言うことがある)して、前記開口部から、凹部内に進入し、又、凹部内から外部側に水平移動することができる。ただし、試料載置部は、蓋体の直下の位置までスライドできるように設けられている。
試料載置部の上面には、試料を保持する窪みが設けられている。この窪みには、試料を十分収納できる大きさが必要である。気密状態が安定的に得られるように、その上面には窪みを囲むように気密材が設けられている。気密材としては、輪状の弾性体が用いられ、例えば、弾性ゴムからなるOリングを挙げることができる。
試料台は、蓋体の直下から試料が分析に供せられる分析室内の位置(例えば、SEMの場合は、電子線が照射される位置)まで、水平方向に移動可能なように設けられている。試料台の水平移動は、試料台スライド手段の作用により行われる。試料台は、試料載置部のみからなるものでもよいし、例えば試料載置部と試料載置部を支持する支持部材からなるものでもよい。この場合は、支持部材に試料台スライド手段を設けることもできる。なお、ここで、水平方向とは、重力の方向に対し垂直な方向を意味する。又、ここでは重力の方向を、上下の方向とする。
本発明の試料搬送用ホルダーでは、試料載置部が、蓋体の直下の位置まで水平移動したとき、前記試料載置部の上面と前記凹部の上底面が密着するように、試料台と蓋体が設けられている。密着の結果、試料を保持する窪みを取囲むように前記上面上に設けられた気密材により、前記窪みは気密状態となる。安定的な気密状態を得るためには、試料載置部の上面と前記凹部の底面間に所定の圧力を加えることが望まれるが、試料台の水平移動により、試料載置部の上面と前記凹部の底面間に所定の圧力が生じるように、試料載置部の形状及び前記凹部の形状が形成される。
一方、試料載置部が、蓋体の直下の位置から移動したときは、前記試料載置部の上面と前記凹部の底面が離間して前記窪みの気密状態が解除される。すなわち、本発明の試料搬送用ホルダーによれば、試料台を、試料台スライド手段により水平方向にスライド(往復運動)させることのみにより、試料の収納部(窪み)に蓋をして気密状態にすること、及び蓋を外して試料の気密状態を解除することができる。従って、装置の大掛かりな改造が不要であり、分析装置の複雑化やコストアップを抑制し、又分析の作業の煩雑化を防止できる。
本発明は、又、前記の試料搬送用ホルダーであって、前記試料台スライド手段が、試料台と結合させることができる試料導入棒であることを特徴とする試料搬送用ホルダーを提供する(請求項2)。
試料台スライド手段としては、試料導入棒のような簡易な手段を用いることができる。試料導入棒は、試料台に結合してその往復運動により試料台をスライドできる棒である。試料導入棒の操作は装置外から行われるものの、試料導入棒を単に往復運動させるだけの簡単な操作で、試料台を、分析位置から蓋体直下まで水平方向にスライドさせることができる。従って、前記従来技術のような煩雑な操作を必要とせずに、より簡易な操作で蓋体の開封・封止を行うことができる。
又、試料導入棒は複雑な構造を有するものではないので、従来技術のような装置の改造は不要である。なお、前記のように、試料台が試料載置部と支持部から構成される場合、試料台スライド手段は支持部に結合されていてもよい。試料導入棒についても、試料載置部と支持部のいずれに結合されていてもよい。通常、試料台を安定的にスライドさせるために試料導入棒は支持部に結合させることが好ましい。
本発明は、又、前記の試料搬送用ホルダーであって、前記凹部の開放された側面(開口部)に隣接する2側面が、下方に向かってその間隔が狭くなるように上底面に垂直な面に対して傾斜しており、前記試料載置部が、前記凹部の2側面と密接する2側面を有し、かつ前記試料載置部が前記凹部内を前記蓋体の直下までスライドしたとき、前記試料載置部を上方に押圧する力が生じるように、前記凹部の2側面と前記試料載置部の2側面が設けられていることを特徴とする試料搬送用ホルダーを提供する(請求項3)。
本発明のこの態様において、凹部及び試料載置部は、いずれも上面(上底面)が下面(下底面)より大きい、いわゆるテーパー状である。又、試料載置部の2側面は、凹部の前記2側面と密接しながら凹部内をスライドするように設けられている。すなわち、試料載置部は、その側面を凹部の側面と摺動させながら、蓋体の直下までスライドすることができる。
さらに、試料載置部が蓋体の直下までスライドしたとき、試料載置部を上方に押圧する力が生じるように、試料載置部の2側面と凹部の2側面が設けられている。例えば、凹部の入り口(凹部の開口部側)では、凹部の2側面間の間隔を若干広くし、蓋体の直下では凹部の2側面の間隔を若干狭くする。すると、入り口側では凹部の下側において凹部の2側面の間隔が試料載置部の2側面の間隔と等しくなり、一方蓋体の直下では凹部の上側において凹部の2側面の間隔が試料載置部の2側面の間隔と等しくすることができる。このようにすれば、試料載置部を蓋体の直下側にスライドさせるときに、試料載置部を上方に移動させる押圧力が生じる。従って、蓋体の直下まで移動させたとき、この上方の押圧力により、試料載置部の上面を凹部の上底面に強く密着させるように、凹部及び試料載置部を構成することができ、窪みの中の試料を気密状態(外気からの遮断状態)とすることができる。
本発明は、又、前記の試料搬送用ホルダーであって、前記蓋体が、試料導入室の内部に着脱可能な手段により固定されていることを特徴とする試料搬送用ホルダーを提供する(請求項4)。
蓋体は、分析の際には、通常その上下方法及び水平方向の位置が固定されるように試料導入室の内部に設けられる。そこで、試料導入室の内部には蓋体を固定する手段が設けられるが、試料搬送用ホルダーの試料導入室への搬入、搬出を容易にするため着脱可能な手段により固定されている。
本発明の試料搬送用ホルダーは、試料台と蓋体を有し、蓋体を被せて試料を気密状態で保持するものであるが、この試料搬送用ホルダーによれば、蓋の開閉を外部から操作するための複雑な部材の設置や装置の改造を必要とせず、又分析や加工の際に装置の外部からの煩雑な操作を必要とせずに蓋体の開閉を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一及び均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
図1〜3は、本発明の試料搬送用ホルダーの1形態を示す斜視図である。図中、1は試料台を、2は分析に供せられる試料を、5は蓋体を、7は試料台スライド手段である試料導入棒を表す。
試料台1は、試料載置部11と試料載置部11を支持する支持部12からなる。図6は試料載置部11の上面を示す平面図である。図1及び図6に示されるように、試料載置部11の上面11aは四角形であり、その上面11a側には、窪み3が形成されており、試料2はこの窪み3の中に収納されている。又試料載置部11の上面11aの上には、窪み3を囲むように気密材であるゴム製のOリング4が設けられている。
蓋体5は、試料載置部11と嵌合する凹部6を有しており、凹部6の1側面、すなわち図1中では試料載置部11側にある側面が、試料載置部11が凹部6内に進入できるように開口して開口部を形成している。以後この側面を開口側面6aと言う。図に示されるように、開口側面6aに隣接する2つの側面6bは、(図中の)下方に向かってその間隔が狭くなるように凹部の上底面6cに垂直な面に対して傾斜しており、いわゆるテーパー状となっている。
又、試料載置部11は、前記凹部の傾斜している2側面6bと密接する2側面11bを有する。2側面11b間の間隔も2側面6bの間隔とほぼ同じ(ただし、試料載置部11が凹部6内に侵入できるように形成されている)であり、又側面6aと同じ角度で、上面11aに垂直な面に対して傾斜している。
試料台1は、図中の矢印の方向に水平移動(スライド)できるように設けられている。試料台1の支持部12には、試料台スライド手段である試料導入棒7が結合している。試料導入棒7を図中の矢印のように往復運動させることにより、支持部12を、スライドガイド8に沿って往復運動させることができ、さらには支持部12に支持されている試料載置部11も図中の矢印の方向に水平移動(スライド)される。ここで、スライドガイド8としては、支持部12の突起12aと係合する溝やレール等を使用することができる。
蓋体5は、分析装置の試料導入室内に、その上下方向及び水平方向の位置が固定されて設けられている。なお、蓋体5を固定する手段は図示されていない。固定する手段は、蓋体5の上下方向、水平方向の位置を固定できるものであれば特に限定されないが、蓋体5を、試料導入室の内部に取り外しが容易なように固定するものが好ましい。例えば、蓋体5上に設けられた磁性体と試料導入室内に固定して設けられている電磁石との組合せ等を挙げることができる。
試料台1は、前記のように、試料導入棒7の作用(往復運動)により水平移動(スライド)可能なように設けられている。そして、試料2が分析の供せられる位置(例えば、SEMの場合の電子線が照射される位置)から試料載置部11が凹部6に進入して蓋体5の直下となる位置までスライドし、又、その逆方向にスライドするように設けられている。
図1は、試料載置部11が凹部6に進入していない状態を表す。図2は、試料導入棒7の作用により試料台1をスライドさせて、試料載置部11の一部が凹部6に進入した状態を表す。又、図3は、試料台1が蓋体5の直下の位置までスライドして、試料載置部11の全体が凹部6内に進入した状態を表す。凹部6の2側面6bと試料載置部11の2側面11bは互いに密接しているので、2側面6bと2側面11bが摺動しながら、試料載置部11が凹部6に進入する。
図4は、図2のA−A部の断面図である。図5は、図3のB−B部の断面図である。図4に示されるように、試料載置部11が凹部6に一部進入した状態、すなわち試料載置部11が蓋体5の直下の位置にないときは、試料載置部11は凹部6内の下部に位置し、試料載置部11の上面11aと凹部の上(底)面6cが離間している。従って、前記窪み3は気密状態とはなっていない。
凹部6の2つの側面6b間の間隔は、開口側面6aから凹部6の奥に行くほど若干狭くなっている。側面11bと側面6b間は密接して摺動しているので、凹部6の奥に行くほど試料載置部11(側面11b間の間隔は一定)は(側面6b間の間隔が広い)上方に移動せざるを得ない。その結果、試料載置部11を凹部6の奥側に移動させる力を試料導入棒7により加えると、試料載置部11を上方に押し上げる押圧力が生じる。
図5は、試料載置部11の全体が凹部6に進入した状態を示すが、図に示されているように、試料載置部11は、凹部6内の上方に押し上げられて、Oリング4が凹部6の上底面6cに接触している。試料導入棒7により、試料載置部11を凹部6の奥にさらに移動させる力を加えると、試料載置部11にはさらに上方に押し上げる力が生じ、Oリング4の作用により窪み3は確実に気密状態となる。なお、図5中の6b’は図4における(すなわち凹部6の入口側の)側面6bの位置を表す。
一方、試料導入棒7により、試料載置部11を開口側面6a方向に移動させる力を加えると、Oリング4は凹部6の上底面6cから離間し、試料2を収納する窪み3の気密状態は解除される。このようにして、試料導入棒7に図1中の矢印で示す水平方向の力を加えるとの簡単な操作だけで、蓋体5を開閉することができる。すなわち試料2を気密状態とし、又、その気密状態を解除することができる。
なお、試料台1、蓋体5の材質としては、ステンレスが発錆しにくいこと、機械的強度が優れること等から好ましいが、他にも、アルミニウムやアルミニウム合金、銅や銅合金等公知の試料交換用ホルダーに用いられている材質と同じ材質を用いることができる。
図7は、本発明の試料搬送用ホルダーを使用して、気密状態に保った試料を分析装置内に搬入し、又分析後の試料を気密状態に保った試料を分析装置外に取出す様子を示す説明図である。
図7中、符号1、2、5、7、8及び11は、図1〜5の場合と同じ部材を表す。図7中の21は試料導入室を、22は分析室を、23及び24は圧力計を、26は試料が分析に供せられる分析位置(例えば電子線等が照射される位置)を、27は蓋体5の直下の位置を、28は試料導入室21と分析室22を仕切る試料搬送口を表す。図中では、圧力計23、24の針が(図中の)上を向いているときは大気圧下を表し、針が(図中の)下を向いているときは真空状態を表す。又、10は電磁石を9は蓋体5の上に設けられた磁性体を表し、電磁石10と磁性体9で蓋体固定手段を構成する。
図7(1)は、本発明の試料搬送用ホルダーが、分析の開始前に、試料導入室21内に搬入され、蓋体固定手段にセットされている様子を示す。試料搬送用ホルダーは、蓋体5が試料台1の試料載置部11に被さった状態で、試料導入室21内に搬入され、その後電磁石10により磁性体9を吸引して、試料搬送用ホルダーを試料導入室21内の所定の位置に固定する。
すなわち、試料2が、蓋体5(の下部側にある凹部)と試料載置部11が形成する密閉空間内に気密状態に保持されて(図3や図5で示すような状態で)試料導入室21内に搬入される。このとき試料導入室21内は大気圧下(圧力計24の針は上向き)にある。一方、分析室22内は真空(圧力計23の針は下向き)であり、試料導入室21と分析室22を仕切る試料搬送口28は閉じられている。又、密閉空間内は不活性ガスで充たされ、試料が酸素に触れるのが防がれている。ここで「不活性ガス」とは、試料と化学反応をしないガスという意味であり、条件により窒素、アルゴン等の希ガスが用いられる。
その後、試料導入室21内は真空にする。そして試料導入棒7に、図中の矢印の方向にスライドする力を加える。すると試料導入棒7に結合している試料台1は、蓋体5の直下の位置から水平に移動し、図2や図4で示すような状態となり、蓋体5の凹部6の上底面6cと、試料載置部11の上面11a(及びOリング4)は離間し、試料2の気密状態は解除される。
このとき、試料導入室21内及び分析室22内はともに真空である。図7(2)は、このとき(試料台1が移動を開始するとき)の様子を示す。従って圧力計23及び24の針はいずれも下向きである。そこで試料搬送口28を開けて、試料導入棒7の作用により試料台1(及び試料2)を、スライドガイド8に沿って水平移動させ、分析室22内に搬入する。
図7(3)は、試料台1(及び試料2)を、スライドガイド8に沿って、分析室22内の分析位置26までスライドさせた状態を示す。このとき分析室22内は真空(圧力計23の針は下向き)であり、この位置で試料2が分析に供せられる。
分析終了後、試料導入棒7の作用により(すなわち試料導入棒7を図中における右方向に動かして)試料台1(及び試料2)を、スライドガイド8に沿って、試料導入室21内の蓋体5の直下の位置27まで水平に移動させる。すると図7(2)で示す状態となる。
蓋体5の直下の位置27まで水平に移動させた結果、試料載置部の上面11aと蓋体5の下部側にある凹部6の上底面6cが接触し、密閉空間内に試料2が気密状態で保持される。試料導入棒7に、図中における右方向に動かす力をさらに加えることにより試料載置部11を上方に押圧する力が生じ、さらに確実な気密状態となる。その後、試料導入室21を大気圧とし、試料搬送用ホルダーが取出されるが、試料は気密状態に保持されているので、大気に曝されることはない。
本発明は、真空中で試料の観察をする各種の分析装置等に利用可能である。例えば、真空環境で、固体表面を電子やイオン又はX線で励起し、その表面から得られる2次電子、回折電子、散乱電子、オージェ電子、反射イオン、特性X線、光電子等の信号を検出することによって、固体表面にどのような元素が存在し、又、どのような化学結合状態にあるかを知る表面分析、すなわち、走査電子顕微鏡(SEM)、X線マイクロアナライザ(EPMA、XMA)、2次イオン質量分析装置(SIMS)、X線光電子分光分析装置(XPS、ESCA)等に利用可能である。これらの装置は、基礎研究用の分析のみならず、資源、エネルギー、公害などの検査、品質管理の広い分野に使用され、特に、金属固溶体の相、変態、粒界、析出物、介在物、地質鉱物の岩石、鉱石、隕石、セラミックス、セメント、ガラス、化学の触媒、塗料、プラスチック、ゴム、石油、生物医学の歯、骨、組織、葉、根、半導体材料、集積回路等の広い分野の非破壊微小領域元素分析、観察等に用いられているので、本発明は、産業上も非常に有用である。
1 試料台
11 試料載置部
12 支持部
2 試料
3 窪み
4 Oリング
5 蓋体
6 凹部
6a 開口側面
6b (開口側面6aに隣接する)側面
6c 上底面
7 試料導入棒
8 スライドガイド
9 電磁石
10 磁性体
21 試料導入室
22 分析室
23、24 圧力計
26 分析位置
27 蓋体の直下の位置
28 試料搬送口
11 試料載置部
12 支持部
2 試料
3 窪み
4 Oリング
5 蓋体
6 凹部
6a 開口側面
6b (開口側面6aに隣接する)側面
6c 上底面
7 試料導入棒
8 スライドガイド
9 電磁石
10 磁性体
21 試料導入室
22 分析室
23、24 圧力計
26 分析位置
27 蓋体の直下の位置
28 試料搬送口
Claims (4)
- 四角形の平坦面を上面とする板状の試料載置部を有する試料台と、
四角形の平坦面を上底面とし前記試料載置部と嵌合する凹部を有する蓋体と、
前記試料台を水平移動させる試料台スライド手段を有し、
前記試料載置部は、前記上面に試料を収納する窪みを有し、かつ前記上面の上に前記窪みを取囲む気密材を設け、
前記蓋体の凹部の1つの側面は開口しており、
前記試料載置部は、前記凹部の開口した側面から前記凹部内に進入して、前記蓋体の直下の位置まで水平移動が可能であって、
前記蓋体の直下の位置に前記試料載置部があるときは、前記試料載置部の上面と前記凹部の底面が密着して前記窪みが気密状態となり、
前記蓋体の直下の位置から前記試料載置部が移動したときは、前記試料載置部の上面と前記凹部の上底面が離間して前記窪みの気密状態が解除される
ことを特徴とする試料搬送用ホルダー。 - 前記試料台スライド手段が、試料台と結合させることができる試料導入棒であることを特徴とする請求項1に記載の試料搬送用ホルダー。
- 前記凹部の開放された側面に隣接する2側面が、下方に向かってその間隔が狭くなるように上底面に垂直な面に対して傾斜しており、前記試料載置部が、前記凹部の2側面と密接する2側面を有し、かつ前記試料載置部が前記凹部内を前記蓋体の直下までスライドしたとき、前記試料載置部を上方に押圧する力が生じるように、前記凹部の2側面と前記試料載置部の2側面が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の試料搬送用ホルダー。
- 前記蓋体が、試料導入室の内部に着脱可能な手段により固定されていることを特徴とする請求項1なし請求項3のいずれか1項に記載の試料搬送用ホルダー。
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JP2012233942A JP2014085211A (ja) | 2012-10-23 | 2012-10-23 | 試料搬送用ホルダー |
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- 2012-10-23 JP JP2012233942A patent/JP2014085211A/ja active Pending
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