JP2013190315A - 被処理物保持機構およびこれを用いたプレートホルダ - Google Patents
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Abstract
【課題】減圧室内で移動可能な可動体に、被処理物を保持するための新しい保持機構を提供する。
【解決手段】減圧された室内で移動機構によって移動される可動体2に設けられ、被処理物Sを保持させるための保持空間Aを囲むように配置される支持面3a,3bと、支持面3a,3bのいずれかに固定支持され、保持空間Aに入れられた被処理物Sに対し、室内が減圧状態のときに付勢力を与える減圧付勢機構4とからなり、減圧付勢機構4は気体が内部に封入され筒軸方向に伸縮可能な筒状体からなり、室内が減圧状態のときに筒状体内部との差圧により筒状体が伸張して減圧前の状態に比べて強い付勢力を発生するようにして被処理物Sを保持する。
【選択図】図9
【解決手段】減圧された室内で移動機構によって移動される可動体2に設けられ、被処理物Sを保持させるための保持空間Aを囲むように配置される支持面3a,3bと、支持面3a,3bのいずれかに固定支持され、保持空間Aに入れられた被処理物Sに対し、室内が減圧状態のときに付勢力を与える減圧付勢機構4とからなり、減圧付勢機構4は気体が内部に封入され筒軸方向に伸縮可能な筒状体からなり、室内が減圧状態のときに筒状体内部との差圧により筒状体が伸張して減圧前の状態に比べて強い付勢力を発生するようにして被処理物Sを保持する。
【選択図】図9
Description
本発明は、減圧された室内で移動する物体に、被処理物を保持させるための被処理物保持機構に関する。本発明は、具体的には、例えば、減圧された室内でサンプルプレートを保持して、高速で任意の位置に移動させるときに用いるプレートホルダとして利用される。このようなプレートホルダは、例えば、真空雰囲気でサンプルプレート上の複数の測定予定位置を、一箇所ずつ装置上の特定位置に移動して次々に分析を行う分析装置に利用される。より具体的には、例えば、装置上のレーザ照射位置に測定予定位置を移動してイオン化を行うレーザ脱離イオン化法(LDI)やマトリクス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)によるイオン源を備えた質量分析装置等で利用される。
近年、マトリクス支援レーザ脱離イオン化法による質量分析装置(MALDI−MS)を用いて、組織切片上にある生体分子や代謝物の局在状態を二次元画像にして可視化するマスイメージング法が注目されている。マスイメージング法では、例えば直径3〜5mm程度の測定領域に対し、0.5mm間隔で測定点を二次元的に設定し、各測定点を次々移動して質量分析を行う顕微質量分析装置が用いられている。
一般にマスイメージング法では、サンプルプレート上にサンプルが貼り付けられ、減圧されたイオン化室内で、サンプル上の各測定点に順次レーザ光を照射することにより、各測定点に含まれる物質をイオン化し、これを質量分析することで質量分布画像を得るようにしている。
一般にマスイメージング法では、サンプルプレート上にサンプルが貼り付けられ、減圧されたイオン化室内で、サンプル上の各測定点に順次レーザ光を照射することにより、各測定点に含まれる物質をイオン化し、これを質量分析することで質量分布画像を得るようにしている。
マスイメージング法による質量分析では、測定対象となる各測定点の位置にレーザビームが正確に照射されるようにサンプルプレートの位置移動が精度よく行われる必要があるとともに、多数の測定点での分析に要する時間を短くするために、できるだけ高速で各測定点間の移動が行われるようサンプルプレートを移動させる必要がある。また、サンプルプレートの移動を減圧されたイオン化室内で行う必要がある。
そこで、これらの要求に適した移動方法として、サンプルプレートの形状に合わせたプレートホルダを用いて当該サンプルプレートを固定保持し、減圧された室内で移動可能なステージに当該プレートホルダを装着し、ステージでプレートホルダを移動することによりサンプルプレート上の任意の位置をレーザ照射位置に移動するようにしたMALDI顕微質量分析装置が開示されている(特許文献1の図11,13参照)。
特許文献1に記載されたプレートホルダは、サンプルプレートの外形サイズに合わせた凹部が形成された本体部と、この本体部に被せられ、サンプルプレートの外形サイズより小さい開口窓を有する蓋部とからなる。蓋部の上面部分には2,3個のマーキングが設けられ、これらマーキングは位置決め用に用いられている。
使用の際には、サンプルプレートがプレートホルダの本体部の凹部に嵌め込まれ、その上に蓋部が被され、蓋部を本体部に対してネジで固定することでサンプルプレートの周縁が蓋部に押圧されてプレートホルダに固定保持される。
そして、蓋部と本体部とによりサンプルプレートが固定されたプレートホルダを、移動ステージに装着し、マーキングを探索することによってサンプルプレートの位置ずれを把握、補正することで正確に把握した上で、マスイメージングを実行するようにしている。
使用の際には、サンプルプレートがプレートホルダの本体部の凹部に嵌め込まれ、その上に蓋部が被され、蓋部を本体部に対してネジで固定することでサンプルプレートの周縁が蓋部に押圧されてプレートホルダに固定保持される。
そして、蓋部と本体部とによりサンプルプレートが固定されたプレートホルダを、移動ステージに装着し、マーキングを探索することによってサンプルプレートの位置ずれを把握、補正することで正確に把握した上で、マスイメージングを実行するようにしている。
特許文献1に記載されたプレートホルダでは、蓋部を本体部にネジで固定し、サンプルプレートの周縁を蓋部で本体部に押圧するようにしてサンプルプレートを固定するようにしている。そのためサンプルプレートがプレートホルダに確実に固定されるもののサンプルプレートを交換する度にプレートホルダを外部に取出し、ネジを外す必要があり、取り付け取り外し作業が非常に不便である。
そこで、プレートホルダへのサンプルプレートの着脱を容易にするため、図13に示すようなプレートホルダ100を考案した。すなわち、プレートホルダ100は、ホルダベース101の上に、左外枠ガイド102、右外枠ガイド103、奥側ガイド104が一体にされたブロック体が取り付けられる。左右外枠ガイド102,103の上面には枠部105,106が突き出るように形成してある。左右外枠ガイド102,103の間隔幅はサンプルプレートSPの左右幅寸法を合わせてある(わずかな隙間を含む)。したがって、サンプルプレートSPを、プレートホルダ100の片側端に設けた挿入口107から挿入すると、左右外枠ガイド102,103により案内されるようにして奥側ガイド104に当接するまで入り込む。このとき、枠部105,106がサンプルプレートSPの左右端部近傍の上面に被さるようになる。ホルダベース101上でサンプルプレートSPが挿入される空間(サンプル保持空間)の下には、板バネ108が取り付けてあり、挿入されたサンプルプレートSPを下から押圧するようにしてある。サンプルプレートSPは、板バネ108で押し上げられることにより上面が枠部105,106に当接するようになり、これにより板バネ108と枠部105,106とによって保持される。
このようなプレートホルダ100を用いれば、サンプルプレートSPを挿入口107から挿入するだけでプレートホルダ100に取り付けることができ、板バネの押圧力を利用して固定保持できるようになる。
しかしながら、板バネ108で押圧することによりサンプルプレートSPを保持させたプレートホルダ100をステージに装着して移動させてみると、ステージの移動速度が小さいときにはあまり問題とならないが、高速移動させると、板バネ108の押圧力によるサンプルプレートSPの保持力(摩擦による保持力)が、高速移動時の加速度によって水平方向に働く慣性力(発生力ともいう)に対し不足するようになり、位置ずれが生じるという問題が発生した。すなわち、プレート保持空間にはサンプルプレートSPを挿入するためのわずかな隙間があるので、これらの隙間の範囲で位置ずれが発生することがあった。また、挿入口107の方向にも位置ずれが発生することがあった。
これを解決するにはバネ定数を大きくした強力な板バネ108に交換すればよいが、その場合には、サンプルプレートSPを板バネ108に抗して大きな力で押し込んだり抜き取ったりすることが必要になり、治具を用いなければ挿入することができなかったり、大きな力で抜き取るときに、勢い余ってサンプルプレートSPを落としてしまうような不具合を生じることがあった。また、サンプルプレートSPを挿入できたとしても大きな摩擦力で接触面(サンプルプレート下面)がこすれるようになるため、サンプルプレートSPが摩耗したり傷ついたりすることがあった。
つまり、サンプルプレートSPを固定保持させる力とサンプルプレートSPを挿脱する力とはほぼ等しいので、位置ずれの問題(保持力を大きくすること)と挿脱をしやすくする問題(挿入力(抜取力)を小さくすること)とを同時に満足することは困難であった。
そこで、本発明はこれら相反する2つの課題を同時に解決し、ステージで測定点間を高速で移動できるとともに、サンプルプレートの挿脱が軽い力で行えるようにして、操作性に優れたプレートホルダを提供することを目的とする。
上記課題は、サンプルプレートを固定保持して高速移動させる分析装置のプレートホルダを例にして説明したが、同様の課題は、減圧された室内で移動する物体(可動体)に、被処理物を保持させる場合において共通の課題となりうる。すなわち、真空雰囲気中で基板等の被処理物を加工する加工装置や検査を行う検査装置等においても課題となる。
したがって、本発明は、減圧室内で移動可能な可動体に、被処理物を保持するための新しい保持機構を提供することを目的とする。
したがって、本発明は、減圧室内で移動可能な可動体に、被処理物を保持するための新しい保持機構を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の被処理物保持機構は、減圧された室内で移動機構によって移動される可動体に、被処理物を保持させるための被処理物保持機構であって、以下の構成を備えている。すなわち、被処理物保持機構は、可動体に設けられ、被処理物を保持させるための保持空間を少なくとも二方向から囲むように配置される支持面と、当該支持面のいずれかに固定支持され、前記保持空間に入れられた被処理物に対し前記室内が減圧状態のときに付勢力を与える減圧付勢機構とからなる。そして、この減圧付勢機構は気体が内部に封入され筒軸方向に伸縮可能な筒状体からなり、室内が減圧状態のときに筒状体内部との差圧により筒状体が伸張して減圧前の状態に比べて強い付勢力を発生するようにしてある。
本発明によれば、室内を減圧状態にする前に被処理物保持機構の支持面に囲まれた(あるいは挟むように囲まれた)保持空間に被処理物が入れられる。減圧前は、減圧付勢機構の筒状体の内部圧力と外部圧力(減圧前の室内圧力)との差圧は零あるいは小さくしてあり、筒状体の筒軸方向の長さは自然長さ程度になっている。続いて、室内を減圧状態にすると筒状体の内部圧力と外部圧力との差圧が発生し、筒状体は自然長さよりも伸張するようになって、減圧前よりも強い付勢力を被処理物に与えるようになり、この付勢力によって被処理物が保持空間内で減圧付勢機構と支持面とによって保持される。
上記発明において、減圧付勢機構の筒状体は、ベローズ状の側壁部を有するようにしてもよい。
本発明によれば、筒状体の内部圧力と外部圧力との差圧によってベローズ状の側壁部を伸縮するようにすることで付勢力を発生させることができる。
本発明によれば、筒状体の内部圧力と外部圧力との差圧によってベローズ状の側壁部を伸縮するようにすることで付勢力を発生させることができる。
上記発明において、可動体は移動機構と被処理物が載置されるステージとが一体に構成される移動ステージ装置としてもよい。
本発明によれば、ステージに直接被処理物を保持させた状態で移動することができる。
本発明によれば、ステージに直接被処理物を保持させた状態で移動することができる。
上記発明において、可動体は移動機構に対し着脱可能なホルダであってもよい。
本発明によれば、着脱可能なホルダに被処理物を載置してから移動機構に取り付けることができるので、着脱が容易になる。
本発明によれば、着脱可能なホルダに被処理物を載置してから移動機構に取り付けることができるので、着脱が容易になる。
そして、さらに別の観点からなされた本発明のプレートホルダは、移動機構により移動可能に設置されたプレートホルダでサンプルプレートを保持し、減圧された室内でプレートホルダを移動することによりサンプルプレート上面の任意の測定点の分析を行う分析装置用のプレートホルダであって、以下の構成を備えている。
すなわち、本発明のプレートホルダは、基台をなすホルダベースと、サンプルプレートの左右幅に合わせた間隔のプレート保持空間を開けてホルダベース上の左右両側に設けられ、プレート保持空間に挿入されるサンプルプレートの左右両側面を案内するとともに、サンプルプレート上面の左右周縁近傍に当接させるための枠部が形成された左右外枠ガイドと、プレート保持空間に挿入されたサンプルプレートの奥側側面に当接させる奥側ガイドと、ホルダベース上でプレート保持空間に挿入されたサンプルプレートの下部空間に設けられ、減圧状態にしたときに、減圧前の状態に比べて強くサンプルプレートの下面を押圧する力を発生する筒状体バネによる減圧付勢機構とを備え、減圧付勢機構は、気体が内部に封入され筒軸方向に伸縮可能な筒状体からなり、前記室内が減圧状態のときに前記筒状体内部との差圧により当該筒状体が伸張して付勢力を発生するようにしている。
ここで、「サンプルプレートの左右幅に合わせた間隔」とは、サンプルプレートの左右幅とほぼ等しいが、左右外枠ガイドの間にサンプルプレートを挿入できるように、挿入のためのわずかな隙間を加えた幅をいう。
すなわち、本発明のプレートホルダは、基台をなすホルダベースと、サンプルプレートの左右幅に合わせた間隔のプレート保持空間を開けてホルダベース上の左右両側に設けられ、プレート保持空間に挿入されるサンプルプレートの左右両側面を案内するとともに、サンプルプレート上面の左右周縁近傍に当接させるための枠部が形成された左右外枠ガイドと、プレート保持空間に挿入されたサンプルプレートの奥側側面に当接させる奥側ガイドと、ホルダベース上でプレート保持空間に挿入されたサンプルプレートの下部空間に設けられ、減圧状態にしたときに、減圧前の状態に比べて強くサンプルプレートの下面を押圧する力を発生する筒状体バネによる減圧付勢機構とを備え、減圧付勢機構は、気体が内部に封入され筒軸方向に伸縮可能な筒状体からなり、前記室内が減圧状態のときに前記筒状体内部との差圧により当該筒状体が伸張して付勢力を発生するようにしている。
ここで、「サンプルプレートの左右幅に合わせた間隔」とは、サンプルプレートの左右幅とほぼ等しいが、左右外枠ガイドの間にサンプルプレートを挿入できるように、挿入のためのわずかな隙間を加えた幅をいう。
本発明によれば、ホルダベース上であって、サンプルプレートの左右側面が案内される左右外枠ガイドと、挿入されたサンプルプレートの奥側側面が当接する奥側ガイドとにより、サンプルプレートの大きさに合わせたプレート保持空間が設けられている。すなわち左右外枠ガイドと奥側ガイドとによりプレート保持空間の三方の側面が規定されている。
そして残りの側面は解放され挿入口となる。このプレート保持空間に挿入口からサンプルプレートが挿入されると、左右外枠ガイドに沿って案内され、奥側ガイドに当接するまで入り込むようになる。減圧付勢機構は、挿入されたサンプルプレートの下部空間となる位置に設けられており、減圧状態にすると減圧前状態に比べてサンプルプレートの下面を押圧する力が強くなる。減圧前状態(大気圧状態)では、減圧付勢機構を、サンプルプレートの下面を全く押圧しないか、押圧するにしても軽い力で押圧する程度にしておく。これにより、大気圧状態でサンプルプレートを挿入するときは、減圧付勢機構による押圧力はサンプルプレートに働かないか、働いたとしても軽い力のため、簡単に挿入することができる。
そして、サンプルプレートを挿入した状態にしてプレートホルダが設置された室内を減圧状態にしていくと、減圧付勢機構は減圧前よりもサンプルプレートの下面を強く押圧するようになり、水平方向に加速度が加わったときにこれに対抗する保持力が増す。その結果、プレートホルダに大きな加速度が加わったとしても、サンプルプレートは強い保持力により位置ずれが回避される。
そして残りの側面は解放され挿入口となる。このプレート保持空間に挿入口からサンプルプレートが挿入されると、左右外枠ガイドに沿って案内され、奥側ガイドに当接するまで入り込むようになる。減圧付勢機構は、挿入されたサンプルプレートの下部空間となる位置に設けられており、減圧状態にすると減圧前状態に比べてサンプルプレートの下面を押圧する力が強くなる。減圧前状態(大気圧状態)では、減圧付勢機構を、サンプルプレートの下面を全く押圧しないか、押圧するにしても軽い力で押圧する程度にしておく。これにより、大気圧状態でサンプルプレートを挿入するときは、減圧付勢機構による押圧力はサンプルプレートに働かないか、働いたとしても軽い力のため、簡単に挿入することができる。
そして、サンプルプレートを挿入した状態にしてプレートホルダが設置された室内を減圧状態にしていくと、減圧付勢機構は減圧前よりもサンプルプレートの下面を強く押圧するようになり、水平方向に加速度が加わったときにこれに対抗する保持力が増す。その結果、プレートホルダに大きな加速度が加わったとしても、サンプルプレートは強い保持力により位置ずれが回避される。
上記発明において、減圧付勢機構の上に、上下に変位し、プレート保持空間に挿入されたサンプルプレートの下面と当接可能な可動プレートが設けられ、減圧状態で可動プレートがサンプルプレートの下面に面接するようにしてもよい。
可動プレートを介して押圧力を与えることにより、サンプルプレートに対し均一に押圧力が加わり位置ずれが発生しにくくなる。また、サンプルプレートに局所的な力が加わりにくくなり、サンプルプレートの変形が抑えられる。
可動プレートを介して押圧力を与えることにより、サンプルプレートに対し均一に押圧力が加わり位置ずれが発生しにくくなる。また、サンプルプレートに局所的な力が加わりにくくなり、サンプルプレートの変形が抑えられる。
上記発明において、ホルダベース上でプレート保持空間に挿入されたサンプルプレートの下部空間に設けられ、減圧する前の状態において当該サンプルプレートの下面を押圧するための力を発生する板バネを用いたバネ付勢機構をさらに備え、バネ付勢機構による押圧力が、減圧状態で減圧付勢機構が発生する押圧力よりも小さくなるように押圧力が設定されるようにしてもよい。
減圧前の状態では、減圧付勢機構による押圧力は作用していないか不安定であるため、積極的にバネ付勢機構で軽く押圧力を与えておくことで、減圧前にサンプルプレートが誤って落下したりするトラブルを防ぐことができる。なお、バネ付勢機構の押圧力は減圧付勢機構の押圧力よりも十分に小さく設定しているので、サンプルプレート挿入時の操作性を阻害することもなくなる。
減圧前の状態では、減圧付勢機構による押圧力は作用していないか不安定であるため、積極的にバネ付勢機構で軽く押圧力を与えておくことで、減圧前にサンプルプレートが誤って落下したりするトラブルを防ぐことができる。なお、バネ付勢機構の押圧力は減圧付勢機構の押圧力よりも十分に小さく設定しているので、サンプルプレート挿入時の操作性を阻害することもなくなる。
上記発明において、左右外枠ガイドと奥側ガイドとはコの字状のブロックで一体に形成するようにしてもよい。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。ここではレーザ脱離イオン化法(LDI)またはマトリクス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)によるイオン源を用いる質量分析装置を例にして被処理物保持機構を説明する。
図1は被処理物保持機構の一例であるプレートホルダが用いられる質量分析装置Mの外観を示す斜視図であり、図2はその概略構成を示す図である。
図1は被処理物保持機構の一例であるプレートホルダが用いられる質量分析装置Mの外観を示す斜視図であり、図2はその概略構成を示す図である。
質量分析装置Mは化粧パネル10の内側にイオン化室11および分析室12を備えており、これらは真空ポンプ(不図示)で排気することで室内を減圧状態に維持できるように気密構造にしてある。
このうちイオン化室11は、サンプル物質のイオン化を行うだけでなく、サンプル交換のための出入口室としても用いられる。そのためイオン化室11はイオン化の際には減圧状態に真空引きされ、サンプル交換時は大気圧状態に戻される。一方、分析室12は10−5Pa程度の高真空に維持されている。イオン化室11と分析室12とは、イオンを通過させるための小孔が形成された仕切壁14で仕切られている。またイオン化室11の側壁には大気圧状態のときに開閉可能な開閉弁13が設けてある。
このうちイオン化室11は、サンプル物質のイオン化を行うだけでなく、サンプル交換のための出入口室としても用いられる。そのためイオン化室11はイオン化の際には減圧状態に真空引きされ、サンプル交換時は大気圧状態に戻される。一方、分析室12は10−5Pa程度の高真空に維持されている。イオン化室11と分析室12とは、イオンを通過させるための小孔が形成された仕切壁14で仕切られている。またイオン化室11の側壁には大気圧状態のときに開閉可能な開閉弁13が設けてある。
イオン化室11の内部には、サンプルプレートSPを保持するためのプレートホルダ21とXYステージ22とが配置される。プレートホルダ21はXYステージ22に固定され、XYステージ22の可動範囲内で任意の位置に移動できるようにしてある。
そして開閉弁13が開かれたときに、プレートホルダ21からサンプルプレートSPを着脱することができるように、プレートホルダ21はXYステージ22により開閉弁13の開口から一部が外部に出るようにしてある。
さらに開閉弁13が閉じられてイオン化室11が減圧された状態で、サンプルプレートSP上の任意の測定位置が後述するレーザ光学系25の照射位置にくるように、XYステージ22により位置の調整ができるようにしてある。
そして開閉弁13が開かれたときに、プレートホルダ21からサンプルプレートSPを着脱することができるように、プレートホルダ21はXYステージ22により開閉弁13の開口から一部が外部に出るようにしてある。
さらに開閉弁13が閉じられてイオン化室11が減圧された状態で、サンプルプレートSP上の任意の測定位置が後述するレーザ光学系25の照射位置にくるように、XYステージ22により位置の調整ができるようにしてある。
イオン化室11の側壁には窓23,24が形成され、窓23にはレーザ光学系25から出射されるレーザビームが通過できるようにしてある。また測定点の位置確認のために窓24を介して観察光学系26により内部が観察できるようにしてある。レーザ光学系25はイオン化室11の特定位置である照射点にレーザビームが照射されるようにしてあり、上述したサンプルプレートSPの測定点をこの照射点に移動することで、測定点のサンプル物質をイオン化することができる。
分析室12には、イオン化された粒子の質量分析に用いるイオン輸送光学系27、質量分析器28、イオン検出器29が配置される。例えばイオン輸送光学系27に電磁レンズ、高周波イオンガイド等、質量分析器28に四重極型質量分離器、イオントラップ、飛行時間型分析器、磁場セクター型分析器等、イオン検出器29にパルスカウント型のイオン検出器等を用いることができるが、具体的な構成は特に限定されるものではない。
次に、プレートホルダ21の構成について説明する。質量分析装置Mでは長方形のサンプルプレートSPを用いているので、このプレートホルダ21は長方形のサンプルプレートSPを保持することができるようにしてある。
図3はプレートホルダの構成を示す外観図である。また、図4は図3におけるA−A断面図であり、図5は図3におけるB−B断面図、図6は図3におけるC方向から見た図(後述する挿入口30側から見た図)である。
図3はプレートホルダの構成を示す外観図である。また、図4は図3におけるA−A断面図であり、図5は図3におけるB−B断面図、図6は図3におけるC方向から見た図(後述する挿入口30側から見た図)である。
プレートホルダ21は外観が平面視で長方形であるホルダベース31と、左外枠ガイド32、右外枠ガイド33、奥側ガイド34とにより構成される。左外枠ガイド32、右外枠ガイド33、奥側ガイド34は一体のブロック体としてコの字状に形成されている。基台をなすホルダベース31の奥側に段差部分が形成してあり、これに奥側ガイド34を当接してブロック体を固定するようにしてある。そしてプレートホルダ21の四辺のうち左外枠ガイド32、右外枠ガイド33、奥側ガイド34が取り付けられる辺以外の残りの一辺はサンプルプレートSPの挿入口30となる。ホルダベース31の挿入口30近傍部分にはサンプルプレートSPの挿脱を容易にするための切り欠き31aが形成されている。
左外枠ガイド32は長手方向に沿って上面に枠部35が形成され、中段に突部36が形成されている。右外枠ガイド33も長手方向に沿って上面に枠部37が形成され、中段に突部38が形成される。枠部35と突部36の間、および、枠部37と突部38の間にはそれぞれ溝39,40が形成され、この溝39,40に、サンプルプレートSPの左右端部および可動プレート41の平板部41aの左右端部が入り込むようにしてある。すなわち、溝39,40の間の左右幅がサンプルプレートSPの左右幅に合わせてあり(わずかな隙間を含む)、挿入口30からサンプルプレートSPを入れたときに溝39,40によって案内されながら奥側ガイド34に当接するまで挿入できるようにしてある。この溝39と溝40との間のサンプルプレートSPが挿入される水平空間が「サンプル保持空間」となる。
可動プレート41は、平板部41aの下に左右に脚部41b,41cが設けてある。また、平板部41aの挿入口30側に切り欠きが形成してあり、ホルダベース31の切り欠き31aと同様に挿入口30近傍でサンプルプレートSPを把持しやすくしてある。可動プレート41の平板部41aの挿入口30側(手前側)の面の端部41e,41fは肉厚を薄くして、サンプルプレートSPをサンプル保持空間に挿入するときに挿入しやすくなるようにしてある。可動プレート41は上下方向に移動でき、下降したときに平板部41aの下面が突部36,38に当接し支持される。上昇したときにサンプルプレートSPが挿入されているときは、サンプルプレートSPの上面が枠部35,37に当接し、サンプルプレートSPが挿入されていないときは、可動プレート41の上面が枠部35,37に当接する。すなわち、枠部35,37の下面がサンプル保持空間を囲む(挟む)支持面のうちの一方の支持面となり、ホルダベース31の上面がサンプル保持空間を囲む(挟む)支持面のうちの他方の支持面となる。
ホルダベース31上で、可動プレート41の左右の脚部41b,41cの間の空間には、左右一対の板バネ42,43(バネ付勢機構)と、減圧状態にしたときに大気圧状態のときに比べて強くサンプルプレートSPの下面を押圧する力を発生する筒状体バネ45(減圧付勢機構)とが設けられている。
板バネ42,43は可動プレート41の平板部41aの下面を軽く押圧(例えば10N程度)するようにしてあり、サンプルプレートSPが挿入されたときに、枠部35,37と協働で補助的に保持するようにしている。なお、板バネ42,43のバネ定数が強すぎるとサンプルプレートSPを挿入するときに大きな力を加えなければならず、操作が困難になるので、板バネ42,43は、分析中にサンプルプレートSPを固定保持させるためのものではなく、大気圧状態で静止時の不用意な移動や不意の落下を防止するためのものである。
筒状体バネ45は、板バネ42,43の間で可動プレート41の下に取り付けられる。図7は筒状体バネ45の一例を示す断面図である。筒状体バネ45は円筒状のシリンダ46からなり、側壁には伸縮自在のベローズ47が気密に形成され、筒状体バネ45の内部には窒素や空気等の気体48が封入されている。ここでは気体の封入圧力は1気圧としてある。ただしベローズ47を伸縮させる量(押圧力)に応じて封入圧力を増減してもよい。
プレートホルダ21が配置されるイオン化室11は、サンプル交換時には大気圧状態(1気圧)、イオン化時は真空状態(0気圧)となっている。このため、筒状体バネ45の内圧との差圧は大気圧時に0気圧、イオン化時に1気圧となる。
プレートホルダ21が配置されるイオン化室11は、サンプル交換時には大気圧状態(1気圧)、イオン化時は真空状態(0気圧)となっている。このため、筒状体バネ45の内圧との差圧は大気圧時に0気圧、イオン化時に1気圧となる。
筒状体バネ45は、差圧が0気圧(大気圧状態)のときには可動プレート41(サンプルプレートSP)を押圧することなく、差圧が1気圧(真空状態)のときにサンプルプレートSPが固定保持されるようにするために十分な強い力で押圧するように取り付けてある。
ここで、筒状体バネ45の内圧を1気圧(0.1N/mm2)とし、筒状体バネ45の底面積を約1200mm2(半径20mm)とすると、筒状体バネ45がサンプルプレートSPを垂直に押圧する押圧力F1は差圧0気圧(大気圧状態)のとき0N、差圧1気圧(真空状態)のとき120Nとなる。
ここで、筒状体バネ45の内圧を1気圧(0.1N/mm2)とし、筒状体バネ45の底面積を約1200mm2(半径20mm)とすると、筒状体バネ45がサンプルプレートSPを垂直に押圧する押圧力F1は差圧0気圧(大気圧状態)のとき0N、差圧1気圧(真空状態)のとき120Nとなる。
一方、板バネ42,43がサンプルプレートSPを垂直に押圧する力は、差圧にかかわらず10Nとする。その場合、真空状態でサンプルプレートSPを押圧する押圧力F1は、両方を足した合計130Nとなる。大気圧状態での押圧力F1は10Nである。
ここで、摩擦係数μとすると、XYステージ22の移動で水平方向に加速度が加わったときに、これに対抗する保持力F2は次式(1)となる。
F2=F1×μ ・・・(1)
摩擦係数を0.1とすると、保持力F2は差圧0気圧(大気圧状態)で1N、差圧1気圧(真空状態)で13Nとなる。
ここで、摩擦係数μとすると、XYステージ22の移動で水平方向に加速度が加わったときに、これに対抗する保持力F2は次式(1)となる。
F2=F1×μ ・・・(1)
摩擦係数を0.1とすると、保持力F2は差圧0気圧(大気圧状態)で1N、差圧1気圧(真空状態)で13Nとなる。
一方、サンプルプレートSPに水平加速度が生じたときの水平方向への発生力F3は、サンプルプレートの質量m、加速度αとすると次式(2)となる。
F3=m×α ・・・(2)
F3=m×α ・・・(2)
ここで、サンプルプレートの質量を0.12Kgとし、加速度を1G(9.8m/S2)とすると、発生力F3は1.2N程度となる。XYステージ22を駆動することにより、発生する加速度は大きくても3G程度以下であるので、F3は最大でも3.6N程度である。ゆえに差圧1気圧(真空状態)では次式の関係が成り立つ。
保持力F2 > 発生力F3 ・・・(3)
したがって、筒状体バネ45を用いたことにより、差圧1気圧(真空状態)での保持力F2は、加速度により生じる水平方向への発生力F3よりもはるかに大きいので、XYステージ22を駆動してもサンプルプレートSPはしっかり固定されており、位置ずれの問題は生じない。
保持力F2 > 発生力F3 ・・・(3)
したがって、筒状体バネ45を用いたことにより、差圧1気圧(真空状態)での保持力F2は、加速度により生じる水平方向への発生力F3よりもはるかに大きいので、XYステージ22を駆動してもサンプルプレートSPはしっかり固定されており、位置ずれの問題は生じない。
一方、差圧0気圧の大気圧状態に戻すと、板バネ42,43だけによる保持力1N程度が加わるだけになるため、軽い挿入力(抜取力)でサンプルプレートSPを挿脱することができる。
したがって、プレートホルダ21を用いることにより、イオン化室11を大気圧状態に戻してサンプルプレートSPを交換するときは、軽い力で操作するだけで挿入したり抜き取ったりすることができるようになる。
また、イオン化室11を減圧状態にしてXYステージ22を高速移動するときは、筒状体バネ45が大気圧状態よりも強い力で押圧するので、位置ずれが発生しなくなる。
また、イオン化室11を減圧状態にしてXYステージ22を高速移動するときは、筒状体バネ45が大気圧状態よりも強い力で押圧するので、位置ずれが発生しなくなる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、これに限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適用することができる。
例えば、上記実施形態はイオン化室11を高真空排気するとして説明したが、室内を0.5気圧程度に減圧するだけでも、筒状体バネ45の内部圧やバネ定数を適切に選択すれば本発明を適用することが十分可能である。
また、上記実施形態ではサンプルプレートSPは長方形としたが、円形のサンプルプレート等であっても、左右の外枠ガイドと奥側ガイドで位置を定め、左右の外枠ガイドの枠部と減圧付勢機構とで保持できさえれば、長方形の場合と同様に使用することができる。
また、上記実施形態では板バネ42,43や、筒状体バネ45の押圧力は、可動プレート41を介してサンプルプレートSPに伝達されるようにして力の伝達が均一安定化するようにしたり、サンプルプレートSPに傷がつきにくくしたりしていたが、それらを問題としなければ、可動プレート41を取り付けずに直接押圧するようにしても本発明は実施できる。
例えば、上記実施形態はイオン化室11を高真空排気するとして説明したが、室内を0.5気圧程度に減圧するだけでも、筒状体バネ45の内部圧やバネ定数を適切に選択すれば本発明を適用することが十分可能である。
また、上記実施形態ではサンプルプレートSPは長方形としたが、円形のサンプルプレート等であっても、左右の外枠ガイドと奥側ガイドで位置を定め、左右の外枠ガイドの枠部と減圧付勢機構とで保持できさえれば、長方形の場合と同様に使用することができる。
また、上記実施形態では板バネ42,43や、筒状体バネ45の押圧力は、可動プレート41を介してサンプルプレートSPに伝達されるようにして力の伝達が均一安定化するようにしたり、サンプルプレートSPに傷がつきにくくしたりしていたが、それらを問題としなければ、可動プレート41を取り付けずに直接押圧するようにしても本発明は実施できる。
また、上述した実施形態は、レーザ脱離イオン化法(LDI)、マトリクス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)によるイオン源を用いる質量分析装置を例に説明したが、これ以外の分析装置にも適用することができる。具体的には蛍光X線分析(EDX)、X線回折装置(XRD)、電子線マイクロアナライザ(EPMA)、走査プローブ顕微鏡(SPM)、走査電子顕微鏡(SEM)、X線光電子分光分析装置(XPS)等にも適用することができる。
減圧付勢機構はベローズ状の筒状体バネ以外であってもよい。例えば、図8に断面図で示すように、筒状の有底内側容器71と、筒状の有底外側容器72とからなり、有底内側容器71の外側面と有底外側容器72の内側面とがOリング73で密封された構造とし、容器内部の密封空間に気体74を封入したものでもよい。
(被処理物保持機構の実施形態の説明)
次に、本発明の被処理物保持機構のいくつかの実施形態について概念図を用いて説明する。図9の各図は、本発明の被処理物保持機構の複数の実施態様における可動体、支持面、減圧付勢機構、被処理物の配置を示す概念図である。
本発明の被処理物保持機構1は、基本構成として、可動体2上に、被処理物Sが保持されるための保持空間Aが設けてあり、この保持空間Aを少なくとも二方向から囲むように(挟むように)複数の支持面3が配置される。複数の支持面3のうちの一つの支持面3aには減圧付勢機構4が固定される。被処理物Sは減圧付勢機構4が固定されていない支持面3bと減圧付勢機構4との間の保持空間Aに入れられる。そして、減圧状態にすると、減圧付勢機構4が伸張して付勢力を生じるようになり、支持面3bと減圧保持機構4とによって保持されるようになっている。
次に、本発明の被処理物保持機構のいくつかの実施形態について概念図を用いて説明する。図9の各図は、本発明の被処理物保持機構の複数の実施態様における可動体、支持面、減圧付勢機構、被処理物の配置を示す概念図である。
本発明の被処理物保持機構1は、基本構成として、可動体2上に、被処理物Sが保持されるための保持空間Aが設けてあり、この保持空間Aを少なくとも二方向から囲むように(挟むように)複数の支持面3が配置される。複数の支持面3のうちの一つの支持面3aには減圧付勢機構4が固定される。被処理物Sは減圧付勢機構4が固定されていない支持面3bと減圧付勢機構4との間の保持空間Aに入れられる。そして、減圧状態にすると、減圧付勢機構4が伸張して付勢力を生じるようになり、支持面3bと減圧保持機構4とによって保持されるようになっている。
第一の実施形態である図9(a)では、可動体2の上面に減圧付勢機構4が固定される。したがって可動体2の上面が支持面3aとなる。可動体2の上には保持空間Aを挟んでさらに上方に離隔部材5が設けられている。離隔部材5は、支持体6によって可動体2に固定支持されている。そして離隔部材5の下面が支持面3bとなるようにしてある。被処理物Sは減圧付勢機構4と支持面3bとの間の保持空間Aに配置される。
この実施形態には、既に図3〜図6で説明したプレートホルダ21が含まれる。すなわち、ホルダベース31が可動体2、筒状体バネ45が減圧付勢機構4、左右外枠ガイド32,33が離隔部材5および支持体6に対応し、ホルダベース31の上面が支持面3a、左右外枠ガイド32,33の枠部35,37の下面が支持面3b(左右に分割された支持面となる)に相当することになる。
この実施形態には、既に図3〜図6で説明したプレートホルダ21が含まれる。すなわち、ホルダベース31が可動体2、筒状体バネ45が減圧付勢機構4、左右外枠ガイド32,33が離隔部材5および支持体6に対応し、ホルダベース31の上面が支持面3a、左右外枠ガイド32,33の枠部35,37の下面が支持面3b(左右に分割された支持面となる)に相当することになる。
第二の実施形態である図9(b)では、可動体2の上に保持空間Aを挟んで離隔部材5が設けられている。離隔部材5は支持体6によって可動体2に固定支持されている。離隔部材5の下面には、減圧付勢機構4が固定される。したがって離隔部材5の下面が支持面3aとなり、可動体2の上面が支持面3bとなる。被処理物Sは減圧付勢機構4と支持面3bとの間の保持空間Aに配置される。
図10は図9(b)の実施形態の具体例である移動ステージ装置を示す図である。移動ステージ装置51は真空容器(図示せず)内で用いられ、被処理物Sを上面52aに載置するための方形のステージ52と、ステージ52と一体に固定されステージ52をXY方向に駆動する駆動機構53とを備えている。ステージ52の上面52aには、四隅のうち被処理物Sが載置される位置より外側であって対角をなす2箇所の位置に、被処理物保持機構54が設けてある。
図11は図10に示す被処理物保持機構54の斜視図である。被処理物保持機構54は、ステージ52の上面52a(支持面3bに相当)に固定され垂直に立設される支持体55と、支持体55に固定される離隔部材56とからなる。離隔部材56は下面(支持面3aに相当)がステージ上面52aに対向するようにしてあり、下面には図7で説明したものと同様の筒状体バネ45(減圧付勢機構4に相当)が固定してある。筒状体バネ45の真下には、上面52aの上に載置された被処理物Sの一部がくるようにしてある。したがって、移動ステージ装置51の上面52aに載置された被処理物Sは、真空容器が減圧されると、伸張した筒状体バネ45と上面52aとによって保持されるようになる。
第三の実施形態である図9(c)では、可動体2の上に、保持空間Aを挟んで離隔部材5a,5bが対向するように固定され、離隔部材5aの保持空間Aに面する側が支持面3aとなり、離隔部材5bの保持空間Aに面する側が支持面3bとなるようにしてある。支持面3aには減圧付勢機構4が固定される。被処理物Sは減圧付勢機構4と支持面3bとの間の保持空間Aに配置される。この実施形態では被処理物Sの側面を減圧付勢機構4と支持面3bとで挟むようにして保持することになる。
図12は図9(c)の実施形態の具体例である被処理物保持機構の一例を示す図である。被処理物保持機構61は、図9(b)と同様に、真空容器(図示せず)内で移動可能な移動ステージ装置62上に固定される。この例では被処理物Sとして円柱体を保持する。
被処理物保持機構61は保持空間Aを囲むように立設される、5つの側面、すなわち側面63a,63b1,63b2,63c1,63c2で構成される角筒体63を有している。角筒体63の下端は移動ステージ装置62の上面62aに固定してある。
被処理物保持機構61は保持空間Aを囲むように立設される、5つの側面、すなわち側面63a,63b1,63b2,63c1,63c2で構成される角筒体63を有している。角筒体63の下端は移動ステージ装置62の上面62aに固定してある。
角筒体63の形状は平面視すると、正方形の四隅の一角を斜めに切りだして第五の辺とした五角形状にしてある。すなわち、側面63c1と側面63b1のなす角、側面63b1と側面63b2のなす角、側面63b2と側面63c2のなす角は直角にしてあり、側面63c2と側面63aのなす角および側面63aと側面63c1のなす角は135°としてある。なお、側面63c1と側面63c2とを側面63a側に延長すると、両面は直交関係になっている。
また、各側面の水平方向の長さは、側面63b1と側面63b2とが同じであって水平長さが最も長く、側面63c1と側面63c2とは同じであって前者よりも水平長さを少し短くしてある。そして、側面63aの水平長さが最も短くなるようにしてある。なお、図12に示されるように、側面63aは、側面63b1と側面63b2とが交差する方向(対角方向)に向けてある。
そして、側面63a(支持面3aに相当)には角筒状の筒状体バネ64(減圧付勢部材4に相当)が保持空間Aに向け、水平方向に伸縮するように取り付けてある。
円柱形状の被処理物Sは、側面63b1(支持面3bに相当)、側面63b2(支持面3bに相当)と筒状体バネ64との間の保持空間Aに入れられる。
この状態で真空容器を減圧すると、筒状体バネ64が伸張するようになり、被処理物Sは筒状体バネ64と、側面63b1と、側面63b2とにより保持される。
また、各側面の水平方向の長さは、側面63b1と側面63b2とが同じであって水平長さが最も長く、側面63c1と側面63c2とは同じであって前者よりも水平長さを少し短くしてある。そして、側面63aの水平長さが最も短くなるようにしてある。なお、図12に示されるように、側面63aは、側面63b1と側面63b2とが交差する方向(対角方向)に向けてある。
そして、側面63a(支持面3aに相当)には角筒状の筒状体バネ64(減圧付勢部材4に相当)が保持空間Aに向け、水平方向に伸縮するように取り付けてある。
円柱形状の被処理物Sは、側面63b1(支持面3bに相当)、側面63b2(支持面3bに相当)と筒状体バネ64との間の保持空間Aに入れられる。
この状態で真空容器を減圧すると、筒状体バネ64が伸張するようになり、被処理物Sは筒状体バネ64と、側面63b1と、側面63b2とにより保持される。
なお、上記実施形態で説明したように、支持面3bに当接することによって保持される被処理物Sは、その当接面が平面でない場合は、その当接面の形状に合わせて支持面3bを2つあるいはそれ以上に増やせばよい。また、支持面3bに被処理物Sの当接面に合わせた面や曲面を形成するようにしてもよい。
本発明は、減圧下で被処理物を保持するための被処理物保持機構に利用することができる。具体的には、例えば減圧下でサンプルプレートを移動するための分析装置のプレートホルダに利用することができる。
M 質量分析装置
S 被処理物
2 可動体
3a,3b 支持面
4 減圧付勢機構
5 離隔部材
6 支持体
21 プレートホルダ
22 XYステージ(移動機構)
31 ホルダベース
32 左外枠ガイド
33 右外枠ガイド
35,37 枠部
39,40 溝
41 可動プレート
42,43 板バネ(バネ付勢機構)
45 筒状体バネ(減圧付勢機構)
51 移動ステージ装置
54,61 被処理物保持機構
63 角筒体
64 筒状体バネ(減圧付勢機構)
S 被処理物
2 可動体
3a,3b 支持面
4 減圧付勢機構
5 離隔部材
6 支持体
21 プレートホルダ
22 XYステージ(移動機構)
31 ホルダベース
32 左外枠ガイド
33 右外枠ガイド
35,37 枠部
39,40 溝
41 可動プレート
42,43 板バネ(バネ付勢機構)
45 筒状体バネ(減圧付勢機構)
51 移動ステージ装置
54,61 被処理物保持機構
63 角筒体
64 筒状体バネ(減圧付勢機構)
Claims (8)
- 減圧された室内で移動機構によって移動される可動体に、被処理物を保持させるための被処理物保持機構であって、
前記被処理物保持機構は、前記可動体に設けられ、前記被処理物を保持させるための保持空間を少なくとも二方向から囲むように配置される支持面と、
前記支持面のいずれかに固定支持され、前記保持空間に入れられた前記被処理物に対し前記室内が減圧状態のときに付勢力を与える減圧付勢機構とからなり、
前記減圧付勢機構は気体が内部に封入され筒軸方向に伸縮可能な筒状体からなり、前記室内が減圧状態のときに前記筒状体内部との差圧により前記筒状体が伸張して減圧前の状態に比べて強い付勢力を発生することを特徴とする被処理物保持機構。 - 前記減圧付勢機構の筒状体は、ベローズ状の側壁部を有する請求項1に記載の被処理物保持機構。
- 前記可動体は移動機構と被処理物が載置されるステージとが一体に構成される移動ステージ装置である請求項1または請求項2のいずれかに記載の被処理物保持機構。
- 前記可動体は移動機構に対し着脱可能なホルダである請求項1または請求項2のいずれかに記載の被処理物保持機構。
- 移動機構により移動可能に設置されたプレートホルダでサンプルプレートを保持し、減圧された室内で、前記プレートホルダを移動することにより前記サンプルプレート上面の任意の測定点の分析を行うプレートホルダであって、
前記プレートホルダは、基台をなすホルダベースと、
前記サンプルプレートの左右幅に合わせた間隔のプレート保持空間を開けて前記ホルダベース上の左右両側に設けられ、当該プレート保持空間に挿入されるサンプルプレートの左右両側面を案内するとともに、当該サンプルプレート上面の左右周縁近傍に当接させるための枠部が形成された左右外枠ガイドと、
前記プレート保持空間に挿入されたサンプルプレートの奥側側面に当接させる奥側ガイドと、
前記ホルダベース上で前記プレート保持空間に挿入されたサンプルプレートの下部空間に設けられ、減圧状態にしたときに、減圧前の状態に比べて強く当該サンプルプレートの下面を付勢する力を発生する減圧付勢機構とを備え、
前記減圧付勢機構は気体が内部に封入され筒軸方向に伸縮可能な筒状体からなり、前記室内が減圧状態のときに前記筒状体内部との差圧により当該筒状体が伸張して付勢力を発生することを特徴とするプレートホルダ。 - 前記減圧付勢機構の上に、上下に変位し、前記プレート保持空間に挿入されたサンプルプレートの下面と当接可能な可動プレートが設けられ、減圧状態で当該可動プレートがサンプルプレートの下面に面接する請求項5に記載のプレートホルダ。
- 前記ホルダベース上で、前記プレート保持空間に挿入されたサンプルプレートの下部空間に設けられ、減圧する前の状態において当該サンプルプレートの下面を押圧するための力を発生する板バネを用いたバネ付勢機構をさらに備え、
前記バネ付勢機構による押圧力が、減圧状態で前記減圧付勢機構が発生する押圧力よりも小さくなるように押圧力が設定された請求項5または請求項6のいずれかに記載のプレートホルダ。 - 前記左右外枠ガイドと前記奥側ガイドとは、コの字状のブロックで一体に形成された請求項5〜請求項7のいずれかに記載のプレートホルダ。
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JP2012056571A JP2013190315A (ja) | 2012-03-14 | 2012-03-14 | 被処理物保持機構およびこれを用いたプレートホルダ |
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-
2012
- 2012-03-14 JP JP2012056571A patent/JP2013190315A/ja active Pending
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