JP2017083235A - 試料フレームおよび試料の分析方法 - Google Patents

試料フレームおよび試料の分析方法 Download PDF

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【課題】試料表面に電子線などの一次線を照射して、分析試料に含まれる金属元素の情報を取得する分析方法において、分析試料の測定結果を解析する際に、試料フレームの写り込みによる影響を排除する。
【解決手段】金属製のフレーム本体41と、フレーム本体41に形成された試料用孔42、試料用孔42に内嵌され、かつ、内側に前記測定片を保持する試料ホルダ43とを備え、試料ホルダ43を、カーボン材料により構成することにより、測定機器による測定片からの金属元素の情報の取得の際に、試料ホルダ43の影響を排除する。
【選択図】図3

Description

本発明は、分析試料の測定片を試料フレームに固定し、試料に電子線などの一次線を照射して、分析試料に含まれる金属元素の情報を取得する分析方法、および、該分析方法に用いられる前記試料フレームに関する。
さまざまな材料の分析や評価手段として、エネルギ分散型X線分析(EDS:Energy Dispersive X-ray Spectrometry)が広く利用されている。エネルギ分散型X線分析では、分析試料の測定片に、電子線やX線などの一次線を照射し、分析試料から発生する特性X線や蛍光X線を、半導体検出器などのエネルギ分散型検出器を用いて検出し、そのエネルギと強度から、分析試料を構成する元素と濃度などを分析する。エネルギ分散型検出器を、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)に組み込んだ、SEMーEDSシステムを用いることにより、走査型電子顕微鏡の観察像の視野に存在する元素およびその濃度の情報を得ることが可能となる。
このような手法は、特に、エレクトロニクスデバイスの材料として不可欠なベースメタルおよびレアメタルの原料である天然の鉱石や工業原料などに含まれる鉱物の種類とその存在割合を分析するためにきわめて有効な手段である。具体的には、図1に示すような、SEMーEDSシステムをベースとした鉱物粒子解析装置(MLA:Mineral Liberation Analyzer)を用いた自動解析が行われている。
特開2015−040724号公報に開示されているように、鉱物粒子解析装置1を用いた鉱物分析は、次のように行われる。最初に、鉱石試料を樹脂に包埋し、測定面を研磨して測定片を作成する。次に測定片を試料フレーム30に固定し、走査型電子顕微鏡10に導入し、測定面の反射電子画像を得る。制御装置20は、反射電子画像における反射電子輝度の差を利用して、それぞれの鉱物粒子の鉱物領域を特定する。また、それぞれの鉱物粒子の鉱物領域中の代表点からEDSスペクトルを得る。上記の反射電子画像の取得からEDSスペクトルの取得までを、所定の条件(所定の視野、所定の粒子数、所定の測定時間など)に達するまで、視野を変更しつつ自動で繰り返し行う。測定終了後、制御装置20は、EDSスペクトルを基準にそれぞれの鉱物粒子の鉱物種の同定を行い、かつ、それぞれの鉱物領域の面積を求めて、鉱石中のそれぞれの鉱石種の存在割合を算出する。さらに、それぞれの鉱石種の存在割合とその組成から、鉱石の組成を算出する。
なお、前記鉱物試料の測定片を走査型電子顕微鏡10に導入するためには、図2に示される試料フレーム30が用いられる。試料フレーム30は、アルミニウムなどの金属製のフレーム本体31と、フレーム本体31に形成された試料用孔32と、アルミニウムなどの金属製で、試料用孔32に内嵌され、かつ、内側に前記測定片を保持する試料ホルダ33とを備える。このように、試料フレーム30は、測定片の導電性を確保して、一次線の照射時に分析試料が帯電することを回避するために、金属製となっている。これにより、測定片が、試料フレーム30を介して、電子顕微鏡10の試料ステージ12と導通するようになっている。
このような鉱物粒子解析装置1を用いることにより、鉱物試料内に含有される鉱物の特定とその存在割合について自動的に解析することが可能となるが、その際に、分析試料である鉱物試料の測定面を隅々まで満遍なく測定することが必要とされる。
特開2015−40724号公報
ところで、金属製の試料フレームを用いて試料の分析を行った場合、分析試料の測定片の端部を測定すると、走査型電子顕微鏡による反射電子画像の観察視野には、金属製の試料フレームが含まれてしまうため、鉱物に由来する金属元素の情報と試料フレームに由来する金属元素の情報とが混在して、測定および解析の結果に影響が生ずる場合がある。
したがって、分析試料の測定片の測定結果を解析する際に、観察視野内に含まれる試料フレームの画像を観察視野から除去するなどの作業を行う必要がある。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、エネルギ分散X線分析など、分析試料の測定片を試料フレームに固定し、試料表面に電子線などの一次線を照射して、分析試料に含まれる金属元素の情報を取得する分析方法において、分析試料の測定結果を解析する際に、試料フレームの写り込みによる影響を受けることのない、試料フレームを、および、この試料フレームを用いた分析方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、分析試料の測定片を測定装置に導入するために使用されるアルミニウムなどの金属製の試料フレームのうち、測定片を内嵌保持する試料ホルダをカーボン材料により構成することにより、測定片と、試料フレームと、測定機器の試料ステージとの間の導電性を確保しつつ、試料ホルダがEDS測定を行っても金属として検出されないために、分析試料の解析結果に影響を与えることなく、さらに、カーボン材料は、金属と比べて反射電子放出効率(反射電子輝度)が著しく低いため、反射電子画像において金属含有部分と大きな輝度差を設けることができる点に着眼し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一態様は、分析試料の測定片に対して一次線を照射し、該分析試料に含まれる金属元素の情報を取得する測定機器に対して、前記測定片を導入するための試料フレームに係る。該試料フレームは、金属製のフレーム本体と、該フレーム本体に形成された試料用孔と、該試料用孔に内嵌され、かつ、内側に前記測定片を保持する試料ホルダとを備える。特に、本発明の試料フレームでは、前記試料ホルダが、導電性を有するとともに、金属よりも反射電子放出効率(反射電子輝度)が低く、かつ、耐久性を備えた材料、すなわちカーボン材料からなることを特徴とする。
本発明の別の態様は、分析試料の測定片に対して一次線を照射し、該分析試料に含まれる金属元素の情報を取得する測定機器と、金属製のフレーム本体、該フレーム本体に形成された試料用孔、および、前記試料用孔に内嵌され、かつ、内側に前記測定片を保持する試料ホルダを備えた試料フレームと、前記金属元素の情報についての解析処理を行う解析装置とを用い、前記測定片を前記試料ホルダの内側に保持させた状態で、前記測定片を前記測定機器に導入し、該測定機器により、該測定片に対して一次線を照射し、該分析試料に含まれる金属元素の情報の取得を、所定条件に達するまで視野を変更しつつ自動で繰り返し行い、前記解析装置により、該取得された金属元素の情報についての解析処理を行う工程からなる分析方法に係る。
特に、本発明の分析方法は、前記試料ホルダとして、カーボン材料からなる試料ホルダを用い、前記測定機器による前記金属元素の情報の取得の際に、該試料ホルダの影響を排除することを特徴とする。
本発明の分析方法の好適な一態様では、前記測定機器が、走査型電子顕微鏡であり、エネルギ分散型X線分析またはラマン分光分析により、前記金属元素の情報を取得する。
前記分析試料が、金属元素を含有する粒子状固体を樹脂に包埋固結した分析試料であり、前記分析試料の情報として、前記測定片の測定面の反射電子画像を得て、該反射電子画像における反射電子輝度を、樹脂部が「0」で、かつ、金単体が「255」とする256階調の相対値を用いて表し、該反射電子輝度が20以上の部分を前記粒子状固体として抽出することが好ましい。
本発明の分析方法は、前記粒子状固体が鉱石であり、反射電子輝度の差を利用して、該鉱石を構成するそれぞれの鉱物粒子の鉱物領域を特定し、かつ、それぞれの鉱物粒子の鉱物領域中の代表点からEDSスペクトル得る、鉱物粒子解析に好適に適用される。
本発明によれば、たとえば、鉱石粒子解析装置などを用いて鉱石中の金属成分の分析を行う場合、すなわち、反射電子画像の観察を行い、同時にEDSスペクトルを測定する場合において、分析対象となる鉱石試料の測定片の端部であって試料フレームの試料ホルダを含む視野においても、画像処理でマスキングをすることなく、そのまま測定しても、何ら測定結果に影響が生ずることがない。また、分析試料の測定片全体を満遍なく観察および測定する場合において、視野を移動させ変更しながら観察および測定を行うが、上述のようにマスキングを行う必要がないため、連続的に自動で装置を動作させることが可能となる。したがって、反射電子画像の解析に要する時間を大幅に短縮させることが可能となる。
図1は、本発明が適用される、鉱物粒子解析装置の構成図である。 図2は、従来の試料ホルダの構成図である。 図3は、本発明に係る試料ホルダの構成図である。
本発明に係る試料フレームを説明する。図3に示すように、本発明の試料フレーム40も、図2に示す従来の試料フレーム30と同様の構造を備える。具体的には、試料フレーム40は、フレーム本体41と、フレーム本体41に形成された試料用孔42と、試料用孔42に内嵌され、かつ、内側に分析試料の測定片を保持する試料ホルダ43とを備える。
走査型電子顕微鏡10の試料ステージ12には、試料フレーム40を固定するためのネジ孔(図示せず)が設けられ、また、試料フレーム40の中心部には、ネジ(図示せず)が内蔵されている。試料ステージ12のネジ孔に試料ホルダ40のネジを、専用ドライバにより螺合させることにより、試料フレーム40を試料ステージ12に対して固定可能となっている。
以下、試料フレーム40について、そのサイズが長さ150mm×幅150mm×高さ40mmの矩形状のものを例示して説明するが、そのサイズや形状については任意であり、走査型電子顕微鏡10を用いて、エネルギ分散型X線分析またはオージェ分光分析に用いられる公知の試料フレームは、いずれも本発明に広く適用可能である。
試料フレーム40のフレーム本体41の中央部には、内径が30mmの円柱形状で有底(深さ24mm)の試料用孔42が設けられている。この試料用孔42には、外径が30mmの円柱形状の測定片を直接内嵌保持させることも可能であるが、通常は、外径が30mm、径方向幅2.5mmで、内側に内径が25mmの円柱状の嵌合孔が設けられた試料フレーム43を用い、試料ホルダ43をスペーサとして、内径が25mmの円柱状の測定片をこの試料フレーム43に内嵌保持する。
本発明において、試料フレーム40を構成するフレーム本体41は、従来の試料フレーム30と同様にアルミニウムなどの金属製である。一方、本発明では、試料ホルダ43は、従来のアルミニウムなどの金属製の試料ホルダ33とは異なり、カーボン材料により構成される。カーボン材料としては、グラファイト、カーボンブラックを固結したもの、炭素繊維もしくは炭素繊維をフィラーとして複合化した炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が、好適に適用可能であるが、これらには限られることはない。すなわち、カーボン粉末などを混合することにより導電性を付与された導電性樹脂で形成することも可能である。
本発明では、試料ホルダ43が、導電性を備えたカーボン材料により構成されているため、試料ホルダ43に内嵌および当接する測定片は、試料ホルダ43と電気的に接続する。同様に、試料ホルダ43はフレーム本体41に当接して、フレーム本体41と電気的に接続する。したがって、測定片と走査型電子顕微鏡10の試料ステージ12は、試料フレーム40を介して、電気的に接続可能である。このように、測定片と走査型電子顕微鏡10の試料ステージ12が電気的に接続しているので、本発明においても、走査型電子顕微鏡10を用いた反射電子画像取得時およびEDSスペクトル取得時において、測定片がチャージアップすることはとはない。
本発明では、試料フレーム40のうち、試料ホルダ43のみを、導電性を備え、かつ、金属よりも反射電子放出効率(反射電子輝度)が低いカーボン材料により構成することに特徴がある。試料フレーム40の全体をカーボン材料で形成することも可能だが、一般にカーボン材料は、金属材と比較して機械的に脆いため、試料片の挿抜時以外でもその取り扱いに注意を払う必要が生じ、また、高価であることから、試料フレーム40全体をカーボン材料で構成することは経済的ではない。
また、試料ホルダ43を含む試料フレーム40全体を、カーボン粉末などを混合することにより導電性を付与された導電性樹脂で形成することも可能であるが、試料フレーム40は、走査型電子顕微鏡10による測定中は一次線に照射され続けるため、フレーム本体41および試料ホルダに、劣化や変形を生じるおそれがある。よって、試料フレーム40を導電性樹脂で形成することは性能上望ましくない。したがって、本発明においても、フレーム本体41については、アルミニウムなどの金属材により構成する。
本発明の分析方法の一例である、エネルギ分散型X線分析による鉱物粒子解析装置を用いた鉱物試料の測定解析について、以下、説明する。なお、本発明において、一次線とは、分析装置が測定片に照射する電子線、X線を指す。また、本分析方法はオージェ分光分析法等にも適用が可能である。
本発明による鉱物試料の測定解析に用いられる鉱物粒子解析装置の一例の構成を図1に示す。図1に示すように、鉱物粒子解析装置1は、本発明における測定装置である、エネルギ分散型X線分析装置(EDS)11が組み込まれた走査型電子顕微鏡(SEM)10と、本発明における解析装置である制御装置(コンピュータ)20とを備える。走査型電子顕微鏡10は、制御装置20に接続されており、走査型電子顕微鏡10およびエネルギ分散型X線分析装置11の制御は制御装置20により行われる。また、制御装置20には、走査型電子顕微鏡10およびエネルギ分散型X線分析装置11により得られたデータ(金属元素の情報)が入力され、後述の解析処理が実行される。ここで制御装置20は、一般的なコンピュータなどの演算処理装置が広く適用されるが、特にこれに限定されることはない。
鉱物粒子解析装置1による鉱物分析は、大きく分けて測定処理と、解析処理の2段階で行われる。以下、順に説明する。
(測定処理)
まず、鉱石試料の測定片を作成する。鉱石試料としては、粉末状の鉱石を用いてもよく、塊状の鉱石を用いてもよい。たとえば、製錬工程で浮遊選鉱処理が行われる鉱石については、浮遊選鉱処理における粒径(粒径分布(D80)が5μm〜200μm)と同程度の粒径の粉末状の鉱石が用いられる。鉱石試料をベークライトやフェノール樹脂などの樹脂と混合して樹脂に包埋固結した後、測定面となる研磨面に、耐水研磨紙などで粗研磨と中間研磨を施し、ラシャやバフ研磨フェルトのような布の上に研磨砥粒を潤滑剤とともに含ませたものを用いて鏡面仕上げ(鏡面研磨)を施し、鏡面研磨が施された研磨面に導電性を付与するためのカーボン蒸着を施すことにより、測定片を得る。
得られた測定片を、試料ホルダ43に内嵌保持し、測定片を保持した試料ホルダ43をフレーム本体41の試料孔42に内嵌装着する。測定片が装着された試料フレーム40を走査型電子顕微鏡10内の試料室に導入して、試料ステージ12上に固定する。走査型電子顕微鏡10の光軸調整、焦点調整、フィラメント印可電圧などの条件の設定を行った上で、測定を開始する。
(1)反射電子画像の取得
測定において、まず、走査型電子顕微鏡10を用いて、測定片の測定面の一部(視野部分)の反射電子(BSE:Back Scattered Electron)画像を取得する。反射電子画像における反射電子輝度は、通常、白黒256階調で表現される。本発明においては、反射電子輝度は、樹脂部の反射電子輝度を「0」とし、金単体の反射電子輝度を「255」として、反射電子輝度を256階調の相対値を用いて表される。以下、反射電子輝度として、この相対値を用いて説明する。
(2) 試料の端部の画像処理
走査型電子顕微鏡10により、得られた測定片の反射電子画像において、それぞれの鉱物粒子の領域(以下、「鉱物領域」という)を特定する。この鉱物領域によりそれぞれの鉱物粒子の形状や大きさが分かる。
具体的には、鉱物領域の特定を行うことによって、鉱物部のみを抽出する。反射電子放出強度(反射電子輝度)は、平均原子量に依存し、平均原子量が大きいほど反射電子輝度は大きな値を示す。すなわち、樹脂部の反射電子輝度は相対的に小さく、鉱物部の反射電子輝度は相対的に高くなる。具体的には、樹脂部の反射電子輝度を「0」となるように設定する。本発明では、反射電子輝度が「20」以上の部分を鉱物として抽出する。なお、カーボン材料の反射電子輝度は「5〜15」の範囲である。
樹脂部の反射電子輝度と比較すると、鉱物部の反射電子輝度は相対的に高くなる。この反射電子輝度の差を利用して樹脂部と鉱物部とを分離し、鉱物部のみを抽出する。たとえば、反射電子輝度が「0〜19」までを樹脂部とし、「20」以上の部分を鉱物部として抽出する。
次に、隣接する異鉱物種の鉱物粒子同士を分離する。鉱物種が異なれば、すなわち、構成元素が異なれば、反射電子輝度が異なるため、その境界では反射電子輝度の位置変化率が高くなる。このため、反射電子輝度の位置変化率から境界を見つけ、異鉱物種の鉱物粒子同士を分離できる。
次に、反射電子画像で判別した鉱物粒子について、エネルギ分散型X線分析装置11により、それぞれの鉱物粒子の鉱物領域中の代表点のEDSスペクトルを取得する。ここで、EDSスペクトルとは、一次線を照射することにより試料から発生する特性X線、蛍光X線、オージェ電子などをエネルギで分光したスペクトルをいう。
鉱物分析装置1は、以上の反射電子画像取得からEDSスペクトル取得までを、制御装置20からあらかじめ与えられた解析ルーチンにより、所定の回数(所定の視野数、所定の粒子検出数、所定の測定時間)に達するまで、視野を変更しつつ、自動で繰り返し行う。
このように、反射電子画像の輝度により、鉱物粒子を包埋樹脂部分などから分離することができるが、従来のアルミニウムなどの金属製の試料ホルダを使用した場合、測定片の端部における反射電子画像では、金属製の試料ホルダを構成する金属元素の反射電子輝度と試料片の鉱物粒子を構成する金属元素の反射電子輝度がともに輝度が高くなる。EDSスペクトル測定プログラムは、輝度が高い部分のEDSスペクトルを取得するように設計されているため、得られた反射電子画像に対して何ら処理をせずに、EDSスペクトルを測定すると、測定片の端部では試料フレームを構成する金属元素も同時に検出してしまい、測定対象である鉱物部のみからの情報に誤差が生じてしまう。したがって、従来の試料の分析方法では、測定片内の鉱物のみから正しい情報を得るためには、画像解析の段階において、反射電子画像から画像処理によって試料ホルダを除去する必要があった。
これに対して、本発明の試料の分析方法により、この測定処理を行うと、測定片の周囲をカーボン材料による試料ホルダが周接することになり、試料フレームのフレーム本体自体は、視野に入ることはない。このため、反射電子画像の視野内に試料ホルダが含まれても、この試料ホルダからの反射電子輝度が「20」未満となるため、反射電子画像の段階で、試料ホルダは、金属元素として認識されず、測定対象から除外されている。すなわち、何ら画像処理を行わずとも、鉱物部のみからのEDSスペクトルを取得することが可能となる。
このように、従来の測定処理では、反射電子像の取得とEDSスペクトルの取得との作業間に、試料ホルダのような、測定に不要な部分の画像を手動で選択的に削除する操作が必要であったが、本発明の分析方法によれば、これらの部位に対する削除などの処理を行わずとも、解析ルーチンをそのまま自動的に進行させて、正しい結果を連続的に得ることが可能である。また、このような人為的な処理が不要になることから、本発明の分析方法では、測定時間のロスが生ずることを防止できる。
(解析処理)
解析処理は、従来の一般的に用いられる手法と同様である。たとえば、上記測定処理が終了した後、解析処理において、EDSスペクトルから得られる元素分率を用いて、それぞれの鉱物粒子の鉱物種を同定し、反射電子画像から鉱物領域の面積を求めて、それらの情報によって鉱石中の鉱物種の存在割合を求める。また、鉱物種の存在割合と化学組成から、鉱石の詳細な元素分率を算出する。
以下、本発明の実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(共通の条件)
実施例および比較例ともに、以下の条件で鉱物分析を行った。鉱物分析装置としてFEI社製、MLA650FEGを用いた。また、鉱石試料としてチリ産のモリブデン精鉱を用いた。なお、あらかじめ、このモリブデン精鉱についてICP発光分析により化学分析を行った。ICP発光分析により得られたモリブデン精鉱の組成を表1に示す。
モリブデン精鉱をフェノール樹脂(ストルアス社製、マルチファスト)に包埋して固結片を得て、固結片の測定面に対して、粗研磨、中間研磨、鏡面研磨を順次施し、さらにカーボン蒸着を施すことにより、測定片を得た。得られた測定片を走査型電子顕微鏡に導入して、その測定を行った。測定条件は、倍率400倍、解像度1μm/pixel、測定範囲6.75mm×6.75mmとした。
(実施例1)
測定片の固定には、アルミニウム製のフレーム本体41とカーボン製の試料ホルダ43とからなる試料フレーム40を用いた。
測定処理の段階において、反射電子画像から、反射電子輝度の差を利用して、樹脂部と鉱物部とを分離した。この際、試料ホルダ43の反射電子輝度は樹脂部と同程度であるとして、この段階で、樹脂部として分離された。
したがって、試料ホルダ43が視野内に存在しても樹脂部として認識されたため、EDSスペクトルの測定対象外となり、また、解析処理時に、EDSスペクトルを得ていないことから解析対象からも除外された。
この結果、カーボン製の試料ホルダの領域を画面上で選択して削除する作業はまったく行わなかった。1つの測定片につき測定処理と解析処理を入れて、合計2.25時間を要した。
解析処理により求めた鉱物種およびその存在割合からモリブデン精鉱の組成を算出した結果を表1に示す。
(比較例1)
試料の固定をアルミニウム製の試料ホルダ33を備えた試料フレーム30を用いたこと以外は、実施例1と同様に、鉱物の測定処理を行った。測定処理において、ホルダ33が測定視野の範囲に入っていた場合、反射電子輝度が「20」以上の部分となり、測定プログラム上で鉱物部として抽出されるため、反射電画像に明部として写る試料ホルダ33の像をモニタ画面上で選択して削除する作業を行なった。このとき、1つの測定片につき、測定処理と解析処理と、その間に行う削除作業を合わせて、2.5時間を要した。解析処理により求めた鉱物種およびその存在割合からモリブデン精鉱の組成を算出した結果を表1に示す。
(比較例2)
試料の固定をアルミニウム製の試料ホルダ33を用いたこと以外は、実施例1と同様に、鉱物の測定処理を行った。測定処理において、試料ホルダ33が測定視野範囲に入っていた場合、反射電子輝度が「20」以上の部分となり、測定プログラム上で鉱物部として抽出されたが、そのまま、解析処理を行った。このとき、1つの測定片につき、測定処理と解析処理と、その間に行う削除作業を合わせて、2.25時間を要した。解析処理により求めた鉱物種およびその存在割合からモリブデン精鉱の組成を算出した結果を表1に示す。
Figure 2017083235
Figure 2017083235
以上の結果より、実施例1のカーボン製の試料ホルダ43を用いた場合には、EDSスペクトル取得前の反射電子画像から、試料ホルダ43の像を選択して除去する作業を一切行わなかったため、比較例1と比べて、全処理時間で0.25時間の短縮が図られた。また、実施例1は、比較例2と比べると全作業時間は変わらないが、化学分析において、比較例1よりも正確な測定解析を行うことができた。
1 鉱物粒子解析装置
10 走査型電子顕微鏡
11 エネルギ分散型X線分析装置
12 試料ステージ
20 制御装置
30、40 試料フレーム
31、41 フレーム本体
32、42 試料孔
33、43 試料ホルダ

Claims (5)

  1. 分析試料の測定片に対して一次線を照射し、該分析試料に含まれる金属元素の情報を取得する測定機器に対して、前記測定片を導入するための試料フレームであって、
    金属製のフレーム本体と、該フレーム本体に形成された試料用孔と、該試料用孔に内嵌され、かつ、内側に前記測定片を保持する試料ホルダとを備え、
    前記試料ホルダが、カーボン材料からなることを特徴とする、試料フレーム。
  2. 分析試料の測定片に対して一次線を照射し、該分析試料に含まれる金属元素の情報を取得する測定機器と、金属製のフレーム本体、該フレーム本体に形成された試料用孔、および、前記試料用孔に内嵌され、かつ、内側に前記測定片を保持する試料ホルダを備えた試料フレームと、前記金属元素の情報についての解析処理を行う解析装置とを用い、
    前記測定片を前記試料ホルダの内側に保持させた状態で、前記測定片を前記測定機器に導入し、該測定機器により、該測定片に対して一次線を照射し、該分析試料に含まれる金属元素の情報の取得を、所定条件に達するまで視野を変更しつつ自動で繰り返し行い、前記解析装置により、該取得された金属元素の情報についての解析処理を行う工程からなる分析方法において、
    前記試料ホルダとして、カーボン材料からなる試料ホルダを用い、前記測定機器による前記金属元素の情報の取得の際に、該試料ホルダの影響を排除することを特徴とする、分析方法。
  3. 前記測定機器が、走査型電子顕微鏡であり、エネルギ分散型X線分析またはオージェ分光分析により、前記金属元素の情報を取得する、請求項2に記載の分析方法。
  4. 前記分析試料が、金属元素を含有する粒子状固体を樹脂に包埋固結した分析試料であり、前記分析試料の情報として、前記測定片の測定面の反射電子画像を得て、該反射電子画像における反射電子輝度を、樹脂部が0で、かつ、金単体が255とする256階調の相対値を用いて表し、該反射電子輝度が20以上の部分を前記粒子状固体として抽出することを特徴とする、請求項2に記載の分析方法。
  5. 前記粒子状固体が鉱石であり、反射電子輝度の差を利用して、該鉱石を構成するそれぞれの鉱物粒子の鉱物領域を特定し、かつ、それぞれの鉱物粒子の鉱物領域中の代表点からEDSスペクトル得ることを特徴とする、請求項4に記載の分析方法。
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