本発明によるデジタル放送受信装置は、世界中で使用されている様々な放送規格に対応した装置であり、2つ以上の任意の放送規格の番組を受信することが可能である。サポートされる放送規格は、DVB−T(Digital Video Broadcasting−Terrestrial)、DVB−T2(Digital Video Broadcasting−Terrestrial 2)、DVB−H(Digital Video Broadcasting−Handheld)、DVB−SH(Digital Video Broadcasting−Satellite services to Handheld)、DTMB(Digital Terrestrial Multimedia Broadcasting)、CMMB(China Mobile Multimedia Broadcasting)、T−DMB(Terrestrial−Digital Media Broadcasting)、S−DMB(Satellite−Digital Media Broadcasting)ISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting−Terrestrial)、ISDB−TSB(Integrated Services Digital Broadcasting−Terrestrial Sound Broadcasting)、ISDB−Tmm(Integrated Services Digital Broadcasting Mobile Multimedia)、ATSC(Advanced Television Systems Committee)、ATSC−M/H(Advanced Television Systems Committee−Mobile / Handheld)、MediaFLO(Forward Link Only)、DAB(Digital Audio Broadcasting)などを含む。以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
図1は、実施例1にかかるデジタル放送受信装置の構成図を示す。デジタル放送受信装置10は2つの異なる放送規格である第1放送規格と第2放送規格の番組を受信可能であり、2つのアンテナ1,2、フロントエンド処理部11、バックエンド処理部12、出力部22、制御部23、記憶部24、入力部25、通信部26を備えて構成される。フロントエンド処理部11は、第1選局部13、第2選局部14、第1切替部15、第2切替部16、第1放送復調部17、第2放送復調部18を含む。バックエンド処理部12は、第1放送デコード部19、第2放送デコード部20、出力選択部21を含む。このうち、第1放送復調部17と第1放送デコード部19は第1放送規格に対応し、第2放送復調部18と第2放送デコード部20は第2放送規格に対応する。以下、各部の動作を説明する。
アンテナ1は第1放送規格及び第2放送規格の放送電波を受信し第1選局部13に出力する。第1選局部13は制御部23の指示に従い、所定の周波数チャンネルを抽出・周波数変換した後、チャンネル信号を第1切替部15に出力する。第1切替部15は制御部23の指示に従い、供給されたチャンネル信号を第1放送復調部17又は第2放送復調部18のいずれか一方に出力する。またアンテナ2、第2選局部14、第2切替部16は、それぞれ前記したアンテナ1、第1選局部13、第1切替部15と同様の構成であり、制御部23の指示に従い、供給されたチャンネル信号を第1放送復調部17又は第2放送復調部18のいずれか一方に出力する。
第1放送復調部17は第1放送規格の伝送路復調処理が可能で、供給されたチャンネル信号に対し第1放送規格の伝送路復調処理を施した後、第1のデータストリーム信号を出力する。伝送路復調処理には伝送路で生じる誤りを訂正する処理が含まれ、誤り訂正符号化として、LDPC(Low Density Parity Check)符号化やRS(Reed Solomon)符号化などがある。その際第1放送復調部17は、第1切替部15又は第2切替部16のいずれか一方からチャンネル信号が供給された場合は1つの信号に基づく受信動作(以下、単一信号受信動作と呼ぶ)を行うが、第1切替部15及び第2切替部16の両方からチャンネル信号が供給された場合は、両者の信号を合成して伝送路復調処理(以下、ダイバーシティ受信動作と呼ぶ)を行う。ダイバーシティ受信動作はその方法を限定するものではなく、例えば、信号レベルが最大のチャンネル信号を選択する選択合成法、各チャンネル信号の位相を合わせて合成する等位相合成法、各チャンネル信号の位相を合わせた後に合成波のCNR(Carrier to Noise Ratio)が最大となるように各チャンネル信号を重み付け合成する最大比合成法などを適用することができる。
第2放送復調部18は第2放送規格の伝送路復調処理が可能で、供給されたチャンネル信号に対し第2放送規格の伝送路復調処理を施した後、第2のデータストリーム信号を出力する。その際第2放送復調部18は、第1切替部15又は第2切替部16のいずれか一方からチャンネル信号が供給された場合は単一信号受信動作を行うが、第1切替部15及び第2切替部16の両方からチャンネル信号が供給された場合は、両者の信号を合成してダイバーシティ受信動作を行う。
第1放送デコード部19は、第1放送復調部17から第1放送規格の第1のデータストリームを入力し、第1のデータストリームを映像データや音声データ、システム情報などに分離すると共に、映像データや音声データをそれらの符号化方式に従い復号(デコード)し、出力選択部21に出力する。システム情報は番組に関連する補助的な情報で、例えばISDB−T規格などではPSI/SI(Program Specific Information / Service Information)を含む。映像符号化方式には、例えば、MPEG−2(Moving Picture Experts Group−2)、H.264、AVS(Audio Video coding Standard)、音声符号化方式には、例えば、MPEG−2 AAC(Advanced Audio Coding)、AC−3(Audio Codec number 3)、DRA(Digital Rise Audio)などがある。
第2放送デコード部20は、第2放送復調部18から第2放送規格の第2のデータストリームを入力し、第2のデータストリームを映像データや音声データ、システム情報などに分離すると共に、映像データや音声データをそれらの符号化方式に従い復号し、出力選択部21に出力する。
出力選択部21は制御部23の指示に従い、第1放送デコード部19又は第2放送デコード部20のいずれか一方からの映像・音声復号データを選択し、出力部22に出力する。出力部22は、モニタやスピーカなどで構成され、供給された映像復号データをモニタに表示すると共に音声復号データをスピーカに出力する。
制御部23は、デジタル放送受信装置10の全体の動作制御を行う。特に本実施例では、通常受信時とサーチ処理時とで、ダイバーシティ受信動作と単一信号受信動作とを切り替える。すなわち、受信状態が良好な通常受信時には、放送規格に応じて第1放送復調部17又は第2放送復調部18にてダイバーシティ受信動作を行い、その映像/音声データを出力部22に出力するように、第1切替部15、第2切替部16及び出力選択部21を制御する。一方、受信状態が悪化し他チャンネルのサーチ処理を行う時は、第1放送復調部17と第2放送復調部18をいずれも単一信号受信動作に切り替え、2系統の信号処理を行うよう各切替部を制御する。一方の系統では、視聴中チャンネルの映像/音声データを出力部22へ出力する。他方の系統では、サーチ用チャンネルを受信し、そのシステム情報から所望の番組が含まれていることを確認し、フロントエンド処理部11にて映像/音声データの信号品質値を取得する。
記憶部24は、デジタル放送受信装置10に内蔵されるメモリ、又は取り外し可能な外部メモリで構成され、各種情報を格納する。特に本実施例では、後述する同一番組情報や中継局チャンネル情報などを格納し、これらの情報はサーチ処理の際に参照される。
入力部25は、リモコンボタンやモニタ上に表示されたタッチパネルを介してユーザが操作した情報を入力し、制御部23に送る。
通信部26は、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信、ICタグ機能、TransferJET(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)、HSPA(High Speed Packet Access)、EV−DO(Evolution Data Only)、及びWiMAXなどの無線通信機能、又は、Ethernet(登録商標)等の有線通信機能を備え、外部機器との間で各種情報を送受信する。通信部26は、無線通信のためにアンテナ及び変復調回路などを含む。
図2は、記憶部24に格納される同一番組情報のデータ構造の例を示す図である。同一番組情報200とは、異なる放送規格で放送されている番組のうち、互いに同一内容の番組がどれかを示す情報である。該当する番組については、それらの個別識別が可能な情報(例えば、サービスID)を並べて記憶する。本例では、第1放送規格と第2放送規格とで同一番組の組合せが3通り(No.1〜3)存在し、例えばNo.1では、第1放送規格のサービスID「0x2222」の番組と第2放送規格のサービスID「0x1234」の番組が同一内容の番組である。このように同一番組情報をサービスIDで管理するのは、サービスIDはシステム情報から容易に所得でき、また、同一内容の番組であってもそれらの番組名は放送規格によって同一とは限らないからである。
同一番組情報の入手については、番組情報サービスとして配信されている場合には通信部26よりダウンロードして取得する。また、同一番組情報が番組に含めて送出されている場合は、第1放送デコード部19又は第2放送デコード部20において抽出して取得できる。同一番組情報が外部から直接取得できない場合は、モニタ等に各放送規格の番組リストを表示し、ユーザが同一内容の番組を指定することで番組のペアリングを行うことができる。このようにして取得又は生成した同一番組情報は、予め記憶部24に格納しておく。なお、移動体受信の場合は、受信地域により放送番組が異なるので、随時新しい情報を取得し更新するようにする。
図3は、本実施例における受信番組の切り替え処理を説明する概念図である。この例では、第1放送規格の送信局Aと第2放送規格の送信局Bが存在し、それらの受信エリア内を移動体(自動車)で走行して(地点a〜dの走行経路)、これに搭載したデジタル放送受信装置10にて受信動作を行う。送信局Aから送出される第1放送規格の放送電波に対し、アンテナ1本で受信可能なエリアを符号301、アンテナ2本で受信可能なエリアを符号302で示す。同様に、送信局Bから送出される第2放送規格の放送電波に対し、アンテナ1本で受信可能なエリアを符号303、アンテナ2本で受信可能なエリアを符号304で示す。当然ながら、アンテナ1本で受信する場合は前記した単一信号受信動作となるので受信エリアは狭いが、アンテナ2本で受信する場合は前記したダイバーシティ受信動作となるので受信エリアは広くなる。
送信局Aからは第1放送規格の番組Aが送出され、送信局Bからは第2放送規格の番組Bが送出されている。移動体(受信装置)は地点aにて送信局Aからの番組Aを選局し、以後の走行中は番組A(又はその同一番組)を継続して視聴するものとする。地点cに達すると送信局Aからの受信エリアから外れるので、その前に受信可能な送信局Bからの番組Bをサーチ処理し、番組Bの受信に切り替えることができる。ここに本実施例では、記憶部24に格納した同一番組情報200を参照して、第1放送規格の番組Aと第2放送規格の番組Bとが同一内容の番組であるか否か(言い換えれば、第2放送規格において番組Aと同一内容の番組Bが存在するか否か)を判定し、判定結果に応じて受信切り替え動作を異ならせる。これを図3中の(1)(2)に分けて示す。
(1)は、第2放送規格において番組Aと同一内容の番組Bが存在しない場合である。この場合は、第2放送規格における番組Bのサーチ処理を行わず、現在受信中の番組Aのダイバーシティ受信を保持する。その結果、地点a〜cで番組Aをアンテナ2本でダイバーシティ受信することになり、アンテナ1本の場合の受信エリア301よりも広い受信エリア302にて安定して受信することができる。
(2)は、第2放送規格において番組Aと同一内容の番組Bが存在する場合である。この場合は、番組Aを受信しながら定期的にサーチ処理を行い、サーチ処理に成功したら番組Bの受信に切り替える。ここで定期的サーチ処理とは、番組Aのダイバーシティ受信動作の途中で、定期的に(又は番組Aの受信状態が低下したとき)同一内容番組Bのサーチ処理を繰り返す。サーチ処理の期間は番組Aの受信は単一信号受信動作(アンテナ1本)に切り替えて継続し、サーチ処理が失敗したら番組Aのダイバーシティ受信動作(アンテナ2本)に戻す。この例では、地点bを超え、アンテナ1本で番組Bを受信可能なエリア303に進入するとサーチ処理が成功し、番組Bのダイバーシティ受信動作(アンテナ2本)に切り替える。この結果、番組Aが受信不可となる前の適切なタイミングで番組Bの受信に切り替え、同一内容の番組を全走行経路(a〜d)に渡り継続して視聴することができる。
以上の切り替え動作を従来の動作と比較する。従来の動作では、同一内容の番組Bが存在するか否かに関わらず番組Bのサーチ処理を行っていた。その結果、同一内容の番組Bが存在しない場合にはサーチ処理を行っても所望の番組Bが探索できず、無駄なサーチ処理を繰り返して行うことになる。そして、サーチ処理中はアンテナ1本による単一信号受信動作であるため、視聴中の番組Aの受信状態が悪化し、またその受信エリアは符号302から301に狭くなる問題があった。これに対して本実施例では、現在視聴中の第1放送規格の番組Aと同一内容の番組Bが第2放送規格において存在するか否かに応じて、サーチ処理の要否を決定する。これにより、無駄なサーチ処理がなくなり、またダイバーシティ受信の期間が長くなることで良好で安定した受信状態を確保できる。
図4は、図3に示した受信切り替え処理の手順を示すフローチャートである。デジタル放送受信装置10の受信動作は、制御部23の指示に従って各部が実行する。ユーザからの選局操作情報が入力部25より入力されると、制御部23は本フローチャートを開始する。以下、ユーザが図3の地点aで第1放送規格の番組Aを選局したものとする。
ステップS400において、制御部23は、ダイバーシティ受信動作にて第1放送規格の番組Aを選局・受信する。具体的には、第1選局部13及び第2選局部14は番組Aの周波数チャンネルを選局し、第1切替部15及び第2切替部16は出力先を第1放送復調部17に設定し、第1放送復調部17はダイバーシティ受信動作を実行する。すなわち、全てのアンテナ1、2を用いて番組Aの受信が行われる。また出力選択部21は、第1放送デコード部19で復号した番組Aの映像・音声復号データを選択し、出力部22に供給する(図3、地点a)。
ステップS401において、第1放送デコード部19は入力したデータストリームからシステム情報を抽出し、この中に含まれる番組AのサービスIDを取得する。制御部23は、記憶部24に格納されている同一番組情報200を参照し、番組Aと同一内容の番組が第2放送規格の番組に存在するかどうかを判定する。同一内容の番組(番組Bとする)が存在する場合はステップS402に進み、存在しない場合は本フローチャートを終了する。すなわち、取得した番組AのサービスIDが図2の第1放送規格に記述されたサービスIDに該当しない場合は、以下のサーチ処理を実行しない。サーチ処理を行わない場合は、図3の地点a〜cの間で全てのアンテナ1、2を用いて番組Aのダイバーシティ受信動作を継続する。
ステップS402において、制御部23は、時間カウントを行い所定時間(例えば、1分、5分、10分など)が経過したかどうかを判定する。所定時間が経過した場合はステップS403に進みサーチ処理を実行し、所定時間が経過していない場合はステップS402を繰り返す。なお、所定時間が経過してステップS403のサーチ処理を実行した後にステップS402に戻るときは、時間カウントをリセットすることで、所定時間間隔で定期的にサーチ処理を実行することができる。
ステップS403において、制御部23は、フロントエンド処理部11のダイバーシティ受信動作を解除する。そして、第1選局部13からの単一信号受信動作に切り替えて番組Aの受信を継続しながら、第2放送規格で放送されている同一内容の番組Bをサーチする。具体的には、第2選局部14は番組Bの周波数チャンネルを選局し、第2切替部16は出力先を第2放送復調部18に設定する。第2放送復調部18は伝送路復調処理を実行し、第2放送デコード部20は入力したデータストリームからシステム情報を抽出する。制御部23は抽出したシステム情報から、選局したチャンネル信号に番組Bが含まれていることを確認した後、フロントエンド処理部11より番組Bの信号品質値を取得する。ここで信号品質値とは、例えば、同期状態、受信電力、CNR、誤り訂正処理におけるBER(Bit Error Rate)やPER(Packet Error Rate)などから算出される値である。なお、信号品質値が大きい(エラーレートが低い)ほど受信状態は良好であるものとする。
ステップS404において、制御部23は、取得した番組Bの信号品質値が所定条件を満足するかどうかを判定する。所定条件を満足する場合はステップS406に進み、所定条件を満足しない場合はステップS405に進む。この判定条件は、例えば、番組Bの信号品質値が受信中の番組Aの信号品質値よりも大きい場合、番組Bの信号品質値が番組Aの信号品質値に所定値αを加えた値よりも大きい場合、あるいは番組Bの信号品質値自身が受信に必要な最小値以上であれば、所定条件を満足すると判定する。前二者の条件によれば、少なくとも番組Aの品質よりも良好な品質で番組Bを受信できることが期待できる。
ステップS405において、制御部23はサーチ処理を完了し、ダイバーシティ受信動作による番組Aの選局・受信に戻す。そして、ステップS402に戻る。
ステップS406において、制御部23は、ダイバーシティ受信動作にて第2放送規格の番組Bを選局・受信する。具体的には、第1選局部13及び第2選局部14は番組Bの周波数チャンネルを選局し、第1切替部15及び第2切替部16は出力先を第2放送復調部18に設定し、第2放送復調部18は全てのアンテナ1、2を用いたダイバーシティ受信動作を実行する。また出力選択部21は、第2放送デコード部20で復号した番組Bの映像・音声復号データを選択し、出力部22に供給する(図3、地点b)。これにより、番組Aから番組Bへの受信切り替えを完了する。
なお、上記ステップS402においては、時間経過を判定する代わりに番組Aの受信状態から判定しても良い。具体的には、制御部23は、フロントエンド処理部11より番組Aの受信状態を示す信号品質値を取得し、信号品質値が所定値より低下していると判定した場合はステップS403に進み、低下していないと判定した場合はステップS402を繰り返す。経過時間に代えて信号品質値を判定することで、受信中の信号品質が所定値より悪化することなく、より適切なタイミングでサーチ処理を実行することができる。
以上のように、本実施例のデジタル放送受信装置10は、第1放送規格と第2放送規格で同一内容の番組(それぞれ番組Aと番組B)が放送されていない場合は、番組Aのダイバーシティ受信動作を保持し番組Bのサーチ処理を実行しないことで、無駄なサーチ処理をなくし、番組Aを良好な品質で安定して受信できる。一方、第1放送規格と第2放送規格で同一内容の番組が放送されている場合は、番組Aの受信中に定期的に(又は番組Aの受信状態が低下した際)サーチ処理を実行し、番組Aが受信不可となる前の適切なタイミングで番組Bの受信に切り替え、同一内容の番組A,Bを継続して視聴することができる。
実施例2は、第1放送規格と第2放送規格とで伝送容量やエラー耐性に差異を有している場合に好適な受信動作の例である。以下、第1放送規格は伝送容量が大きく高品質な放送であるが、エラー耐性に弱く放送電波の受信状態が比較的良好でないと受信することができないものとする。一方、第2放送規格は伝送容量が小さく低品質な放送であるが、エラー耐性に強く放送電波の受信状態が比較的不良であっても受信することができるものとする。このような放送方式の具体例として、例えば中国において、第1放送規格にはDTMB規格、第2放送規格にはCMMB規格が相当する。
デジタル放送受信装置10は、実施例1(図1)で説明した構成と同一であるため説明を省略し、制御部23の指示に従って実行される受信動作を説明する。ここで記憶部24には、第1放送規格と第2放送規格のどちらが高品質な放送であるかの品質情報を、予め記憶させている。
図5は、実施例2における受信番組の切り替え処理を説明する概念図である。この例では、第1放送規格の送信局Aと第2放送規格の送信局Bに続いて、第1放送規格の送信局Cを追加した。これは、第1放送規格(送信局A)から第2放送規格(送信局B)へ切り替える場合と、第2放送規格(送信局B)から第1放送規格(送信局C)へ切り替える場合とで、サーチ処理が異なることを説明するためである。移動体は各送信局A,B,Cの受信エリア内の経路(地点a〜e)を走行して、これに搭載したデジタル放送受信装置10にて受信動作を行う。エリア501,502は、それぞれ送信局Aから送出される放送電波をアンテナ1本及び2本で受信可能なエリアを示す。エリア503,504は、それぞれ送信局Bから送出される放送電波をアンテナ1本及び2本で受信可能なエリアを示す。さらにエリア505,506は、それぞれ送信局Cから送出される放送電波をアンテナ1本及び2本で受信可能なエリアを示す。
送信局Aからは第1放送規格の番組Aが送信され、送信局Bからは第2放送規格の番組Bが送信され、さらに送信局Cからは第1放送規格の番組Aが送信されている。上記したように、第1放送規格(番組A)は高品質な放送で第2放送規格(番組B)は低品質な放送である。移動体(受信装置)は走行しながらサーチ処理を行い、送信局Aからの番組A、送信局Bからの番組B、送信局Cからの番組Aの受信に切り替えることで、番組A(又はその同一番組)を継続して受信するものとする。本実施例においても、記憶部24に格納した同一番組情報200を参照して、第2放送規格において番組Aと同一内容の番組Bが存在するか否かに応じて、受信切り替え動作を異ならせる。さらに本実施例では、受信切り替え前後の放送規格の品質の違いに応じて、サーチ処理のタイミングを変えるようにした。これらの動作を図5中の(1)(2)に示す。
(1)は、第2放送規格において番組Aと同一内容の番組Bが存在しない場合である。この場合は、第2放送規格における番組Bのサーチ処理を行わず、送信局A及び送信局Cからの番組Aのダイバーシティ受信を保持する。その結果、地点a〜b、地点c〜eで番組Aをアンテナ2本でダイバーシティ受信することになり、アンテナ1本の場合の受信エリアよりも広い受信エリア502,506にて安定して受信することができる。
(2)は、第2放送規格において番組Aと同一内容の番組Bが存在する場合である。この場合は番組Aと番組Bとの間で切り替えを行うが、番組Aは番組Bよりも高品質であるので番組Aを優先して受信する。すなわち、番組Aから番組Bへ切り替える際のサーチ処理は、番組Aが受信不可となったタイミングで行うようにして、高品質な番組Aを長い期間(地点a〜b)においてダイバーシティ受信動作する。一方、番組Bから番組Aへ切り替える際のサーチ処理は定期的に行うようにして、番組Aへの切り替えタイミングを早くし、低品質の番組Bのダイバーシティ受信動作を短い期間(地点b〜d)で終了させるようにする。
図6は、図5に示した受信切り替え処理の手順を示すフローチャートである。ここでは前記実施例1(図4のフローチャート)と異なる箇所を中心に説明し、重複する箇所は省略、又は簡単に説明する。制御部23は記憶部24に記憶している第1放送規格と第2放送規格の品質情報を参照して、以下のフローチャートにおけるサーチ処理のタイミングを設定する。ユーザは図5の地点aで、送信局Aからの第1放送規格の番組A(高品質)を選局したものとする。
ステップS600において、制御部23は、ダイバーシティ受信動作にて第1放送規格の番組Aを選局・受信する。具体的には、第1選局部13及び第2選局部14で番組Aの周波数チャンネルを選局し、第1放送復調部17にてダイバーシティ受信動作を実行し、第1放送デコード部19で復号した番組Aの映像・音声復号データを出力する(図5、地点a)。
ステップS601において、第1放送デコード部19は番組AのサービスIDを取得し、制御部23は記憶部24に格納されている同一番組情報200を参照し、番組Aと同一内容の番組が第2放送規格の番組に存在するかどうかを判定する。同一内容の番組(番組B)が存在する場合はステップS602に進みサーチ処理を行い、存在しない場合はサーチ処理を行わずに本フローチャートを終了する。すなわち後者の場合は、図5の地点a〜b、及び地点c〜eの間で、番組Aのダイバーシティ受信動作を行うことになる。
ステップS602からステップS606は、第1放送規格の番組A(高品質、送信局A)から第2放送規格の番組B(低品質、送信局B)への受信切り替え動作である。
ステップS602において、制御部23は、番組Aの受信状態が低下して受信不可が発生したかどうかを判定する。具体的には、フロントエンド処理部11より番組Aの信号品質値を取得し、許容値と比較して受信不可の発生を判定する。受信不可が発生した場合はステップS603に進み、受信不可が発生していない場合はステップS602を繰り返す。
ステップS603において、制御部23は、フロントエンド処理部11のダイバーシティ受信動作を解除し、第1選局部13からの単一信号受信動作に切り替えて番組Aを継続受信しながら、第2放送規格で放送されている同一内容の番組Bをサーチする。制御部23は抽出したシステム情報から、選局したチャンネル信号に番組Bが含まれていることを確認した後、フロントエンド処理部11より番組Bの信号品質値を取得する。
ステップS604において、制御部23は、番組Bの信号品質値が所定条件を満足するかどうかを判定する。所定条件を満足する場合はステップS606に進み、所定条件を満足しない場合はステップS605に進む。この判定条件は、例えば番組Bの信号品質値が受信に必要な最小値以上であることとする。
ステップS605において、制御部23はサーチ処理を完了し、ダイバーシティ受信動作による番組Aの選局・受信に戻す。そして、ステップS602に戻る。
ステップS606において、制御部23は、ダイバーシティ受信動作にて第2放送規格の番組Bを選局・受信する。具体的には、第1選局部13及び第2選局部14で番組Bの周波数チャンネルを選局し、第2放送復調部18にてダイバーシティ受信動作を実行し、第2放送デコード部20で復号した番組Bの映像・音声復号データを出力する(図5、地点b)。これにより、第1放送規格の番組A(高品質)から第2放送規格の番組B(低品質)への受信切り替えを完了する。
次にステップS607からステップS611は、第2放送規格の番組B(低品質、送信局B)から第1放送規格の番組A(高品質、送信局C)への受信切り替え動作である。
ステップS607において、制御部23は、図4のステップS402と同様に、時間カウントを行い所定時間が経過したかどうかを判定する。所定時間が経過した場合はステップS608に進みサーチ処理を実行し、所定時間が経過していない場合はステップS607を繰り返す。
ステップS608において、制御部23は、フロントエンド処理部11のダイバーシティ受信動作を解除し、第2選局部14からの単一信号受信動作に切り替えて番組Bを継続受信しながら、第1放送規格で放送されている同一内容の番組Aをサーチする。具体的には、第1選局部13は番組Aの周波数チャンネルを選局し、第1切替部15は出力先を第1放送復調部17に設定する。第1放送復調部17は伝送路復調処理を実行し、第1放送デコード部19はシステム情報を抽出する。制御部23は抽出したシステム情報から、選局したチャンネル信号に番組Aが含まれていることを確認した後、フロントエンド処理部11より番組Aの信号品質値を取得する。
ステップS609において、制御部23は、番組Aの信号品質値が所定条件を満足するかどうかを判定する。所定条件を満足する場合はステップS611に進み、所定条件を満足しない場合はステップS610に進む。この判定条件は、例えば番組Aの信号品質値が受信に必要な最小値以上であることとする。
ステップS610において、制御部23はサーチ処理を完了し、ダイバーシティ受信動作による番組Bの選局・受信に戻す。そして、ステップS607に戻る。
ステップS611において、制御部23は、ダイバーシティ受信動作にて第1放送規格の番組Aを選局・受信する。具体的には、第1選局部13及び第2選局部14で番組Aの周波数チャンネルを選局し、第1放送復調部17にてダイバーシティ受信動作を実行し、第1放送デコード部19で復号した番組Aの映像・音声復号データを出力する(図5、地点d)。これにより、第2放送規格の番組B(低品質)から第1放送規格の番組A(高品質)への受信切り替えを完了する。
ステップS611の処理を実行した後、ステップS602に移行する。
なお、上記ステップS607においては、時間経過を判定する代わりに番組Bの受信状態から判定しても良い。具体的には、制御部23は、フロントエンド処理部11より番組Bの信号品質値を取得し、信号品質値が基準値よりも低下していると判定した場合はステップS608に進み、低下していないと判定した場合はステップS607を繰り返す。
以上のように、実施例2においても、第1放送規格と第2放送規格で同一内容の番組(それぞれ番組Aと番組B)が放送されていない場合は、視聴中の番組Aのダイバーシティ受信動作を保持し番組Bのサーチ処理を実行しないことで、無駄なサーチ処理を止め、番組Aを良好な品質で安定して受信できる。一方、第1放送規格と第2放送規格で品質の異なる同一内容の番組が放送されている場合は、高品質の番組Aを視聴中には番組Aが受信不可となった時点で低品質の番組Bのサーチ処理を実行し、番組を切り替える。逆に高品質の番組Bを視聴中には定期的に(あるいは番組Bの品質が基準値よりも低下した時点で)番組Aのサーチ処理を実行し、番組を切り替える。これにより、高品質の番組Aを低品質の番組Bよりも優先して受信することができる。
上記の実施例では、放送規格により品質が異なる場合について説明したが、ユーザの選択で受信する放送規格又は番組の優先度を設定することもできる。
図7は、出力部22のモニタ70に表示される優先受信設定メニューの例である。優先受信設定メニューとは、第1放送規格の番組と第2放送規格の番組で同一内容の番組が存在する場合に、いずれの放送規格の番組を優先的に受信するかをユーザが選択する機能である。ユーザは、リモコン操作又は画面タッチ操作にて優先させる放送規格を選択する。この例ではユーザが「第1放送規格」を選択した場合を示す(実線枠で示す)。ユーザが選択した情報は記憶部24に設定される。制御部23は受信動作の際、記憶部24の設定情報に従い、優先設定された放送規格を「第1放送規格」として図6で示したフローチャートを実行する。
また図8は、出力部22のモニタ80に表示される番組一覧メニューの例である。ユーザは、リモコン操作又は画面タッチ操作にて、優先して受信したい番組を選択する。この例では、第1放送規格の「番組A」と第2放送規格の「番組B」が同一内容の番組であるとき、ユーザが「番組A」を選択した場合を示す(実線枠で示す)。ユーザが選択した情報は記憶部24の同一番組情報200に追記して設定される。制御部23は受信動作の際、記憶部24の同一番組情報200を参照し、優先設定された番組が属する放送規格を「第1放送規格」として図6で示したフローチャートを実行する。
実施例3は、第1放送規格で放送する複数の送信局が異なる周波数チャンネルで放送電波を送出している場合に好適な受信動作の例である。以下、このような送信局を「中継局」と呼び、第2放送規格を放送している「送信局」と区別する。本実施例では、第1放送規格と第2放送規格の間の受信切り替えだけでなく、第1放送規格に属する複数の中継局の間での受信切り替えも可能とする。なお、前記実施例2と同様に、第1放送規格は高品質、第2放送規格は低品質な放送であって、第1放送規格を優先して受信するものとする。
図9は、実施例3にかかるデジタル放送受信装置の構成図を示す。同図において、実施例1(図1)で示したデジタル放送受信装置10と同一処理を行うブロックには同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
本実施例のデジタル放送受信装置90は、図1の構成と比較し、フロントエンド処理部91において、第1復調部17’と第2復調部18’を変更し、バックエンド処理部92において、経路選択部27、第1放送情報抽出部28、第2放送情報抽出部29を追加している。
第1復調部17’と第2復調部18’は、第1放送規格及び第2放送規格の両方の伝送路復調処理を行うことが可能であり、第1切替部15及び第2切替部16からチャンネル信号が供給された場合は、両者の信号を合成するダイバーシティ受信動作を行う。
経路選択部27は、第1復調部17’からのデータストリーム(端子a)と第2復調部18’からのデータストリーム(端子b)を入力する。また制御部23の指示に従い、入力したこれらのデータストリームを、第1放送デコード部19(端子c)、第2放送デコード部20(端子d)、第1放送情報抽出部28(端子e)、第2放送情報抽出部29(端子f)のいずれかに供給する。
第1放送情報抽出部28は、第1放送規格のデータストリームを入力し、システム情報を分離・抽出して制御部23に供給する。第2放送情報抽出部29は、第2放送規格のデータストリームを入力し、システム情報を分離・抽出して制御部23に供給する。
本実施例の構成により、第1放送規格と第2放送規格の2つの放送の同時受信だけでなく、第1放送規格に属する異なる2つの周波数チャンネルの同時受信も可能となる。
図10は、記憶部24に格納される中継局チャンネル情報のデータ構造の例を示す図である。中継局チャンネル情報1000は、番組(サービスID)毎にその番組を送出する全ての周波数チャンネルを記述した情報であって、ここでは第1放送規格における中継局チャンネル情報を示している。例えばサービスID「0x1111」の番組は、中継局チャンネルとして13、20、34、40チャンネルが存在することを示している。また、サービスID「0x3333」の番組は、中継局チャンネルとして15チャンネルのみ存在することを示している。中継局チャンネル情報1000は、放送番組のシステム情報に中継局チャンネル情報を含めて送出し、番組受信時にバックエンド処理部92より分離・抽出して取得することが可能である。あるいは、通信部26よりダウンロードして取得することが可能である。取得した中継局チャンネル情報1000は、記憶部24に格納しておく。
実施例3では、第1放送規格の番組Aを受信している場合、受信切り替え先として、これと同一番組である他の中継局からの番組Aと、同一内容の番組である第2放送規格の番組Bとが可能である。ここでは第1放送規格の放送を優先して受信するものとし、始めに他の中継局からの番組Aをサーチし、次に第2放送規格の番組Bをサーチするという、2段のサーチ処理を実行する。そして、いずれのサーチ処理においても、同一番組(同一内容の番組)の切替先チャンネルが存在するか否かを確認し、存在するときのみサーチ処理を実行することで無駄なサーチ処理を止めるようにしている。
図11は、実施例3における受信切り替え処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、実施例1(図4)のフローチャートに中継局チャンネルのサーチ処理を追加した構成になっており、重複する箇所は簡単に説明する。本例でも、ユーザが第1放送規格の番組A(高品質)を選局した状態から開始する。
ステップS1100において、制御部23は、ダイバーシティ受信動作にて第1放送規格の番組Aを選局・受信する。具体的には、第1選局部13及び第2選局部14で番組Aの周波数チャンネルを選局し、第1復調部17’にて第1放送規格のダイバーシティ受信動作を実行する。第1復調部17’にて伝送路復調処理された番組Aのデータストリームは、経路選択部27の端子a、端子cを経由し、第1放送デコード部19にて復号され、番組Aの映像・音声復号データが出力する。
ステップS1101において、制御部23は、時間カウントを行い所定時間が経過したかどうかを判定する。所定時間が経過した場合はステップS1102に進み、所定時間が経過していない場合はステップS1101を繰り返す。
ステップS1102からステップS1105は、第1放送規格の番組A(高品質)から同一番組Aの他の中継局への受信切り替え動作(第1段のサーチ処理)に関する。
ステップS1102において、制御部23は、記憶部24に記憶されている番組Aの中継局チャンネル情報1000を参照し、現在視聴しているチャンネル以外のチャンネルが存在するかどうか(すなわち、中継局チャンネルが2つ以上存在するかどうか)を判定する。他の中継局チャンネルが存在する場合はステップS1103に進み、中継局チャンネルのサーチ処理(第1段のサーチ処理)を行う。存在しない場合は中継局チャンネルのサーチ処理を行なわずにステップS1106に進む。図10で示した中継局チャンネル情報1000の例では、サービスID「0x3333」の番組の場合は、中継局チャンネルが1つだけであり他の中継局チャンネルが存在しないので、中継局チャンネルのサーチ処理を実行しない。
ステップS1103において、制御部23は、フロントエンド処理部91のダイバーシティ受信動作を解除し、第1選局部13からの単一信号受信動作に切り替える。そして、記憶部24に記憶されている番組Aの中継局チャンネル情報1000を参照し、これらの各中継局チャンネルについてサーチ処理を実行する。具体的には、第2選局部14は番組Aの中継局チャンネルの1つを選局し、第2切替部16の出力先を第2復調部18’に設定し、第2復調部18’は第1放送規格の伝送路復調処理を実行する。第2復調部18’から出力される番組Aのデータストリームは、経路選択部27の端子b、端子eを経由して、第1放送情報抽出部28に供給される。制御部23は、第1放送情報抽出部28にて抽出したシステム情報から番組Aが含まれていることを確認した後、フロントエンド処理部91より当該中継局チャンネルの信号品質値を取得する。上記処理を全ての中継局チャンネルについて実行し、その中で信号品質値が最大となる中継局チャンネルを選択する。
ステップS1104において、制御部23は、選択した中継局チャンネルの受信状態が良好かどうかを判定し、良好である場合はステップS1105に進み、良好でない場合はステップS1106に進む。この判定では、ステップS1103で選択した中継局チャンネルの信号品質値が、現在視聴中のチャンネルの信号品質値よりも大きい場合は、受信状態が良好であるとする。
ステップS1105において、制御部23は、ステップS1104にて受信状態が良好と判定した中継局チャンネルに対し、ダイバーシティ受信動作にて番組Aを選局・受信する。具体的には、第1選局部13及び第2選局部14で上記の中継局チャンネルを選局し、第1復調部17’にて第1放送規格のダイバーシティ受信動作を実行する。また、第1復調部17’で伝送路復調処理された番組Aのデータストリームを第1放送デコード部19で復号し、番組Aの映像・音声復号データを出力する。これにより、第1放送規格の番組A(高品質)から同一番組Aの他の中継局チャンネルへの受信切り替え動作を完了する。
ステップS1106からステップS1110は、同一番組Aの他の中継局への受信切り替え動作(第1段のサーチ処理)に失敗し、同一内容の番組である第2放送規格の番組B(低品質)への受信切り替え動作(第2段のサーチ処理)を行う場合である。
ステップS1106において、制御部23は、記憶部24に記憶されている同一番組情報200を参照し、番組Aと同一内容の番組が第2放送規格の番組に存在するかどうかを判定する。同一内容の番組が存在する場合はステップS1108に進み、第2放送規格に対するサーチ処理(第2段のサーチ処理)を行う。存在しない場合はサーチ処理を行わずにステップS1107に進む。
ステップS1107において、制御部23はサーチ処理を完了し、ダイバーシティ受信動作による番組Aの選局・受信に戻す。そして、ステップS1101に戻り上記したステップを繰り返す。
ステップS1108において、制御部23は、フロントエンド処理部91のダイバーシティ受信動作を解除し、第1選局部13からの単一信号受信動作に切り替えて番組Aを継続受信しながら、第2放送規格で放送されている同一内容の番組Bについてサーチ処理を行う。具体的には、第2選局部14は番組Bの周波数チャンネルを選局し、第2切替部16の出力先を第2復調部18’にし、第2復調部18’は第2放送方式の伝送路復調処理を実行する。第2復調部18’から出力される番組Bのデータストリームは、経路選択部27の端子b、端子fを経由して、第2放送情報抽出部29に供給される。制御部23は、第2放送情報抽出部29にて抽出したシステム情報から番組Bが含まれていることを確認した後、フロントエンド処理部91より番組Bの信号品質値を取得する。
ステップS1109において、制御部23は、番組Bの信号品質値が所定条件を満足するかどうかを判定し、所定条件を満足する場合はステップS1110に進み、所定条件を満足しない場合はステップS1107に戻る。この判定では、例えば、番組Bの信号品質値が受信中の番組Aの信号品質値よりも大きい場合、番組Bの信号品質値が番組Aの信号品質値に所定値αを加えた値よりも大きい場合、あるいは、番組Bの信号品質値自身が受信に必要な最小値以上であれば、所定条件を満足すると判定する。
ステップS1110において、制御部23は、ダイバーシティ受信動作にて第2放送規格の番組Bを選局・受信する。具体的には、第1選局部13及び第2選局部14で番組Bの周波数チャンネルを選局し、第2復調部18’にてダイバーシティ受信動作を実行し、第2放送デコード部20で復号した番組Bの映像・音声復号データを出力する。これにより、第1放送規格の番組A(高品質)から同一内容の番組である第2放送規格の番組B(低品質)への受信切り替え動作を完了する。
なお上記ステップS1101においては、時間経過を判定する代わりに番組Aの受信状態から判定しても良い。具体的には、制御部23は、フロントエンド処理部91より番組Aの受信状態を示す信号品質値を取得し、信号品質値が所定値より低下していると判定した場合はステップS1102に進み、低下していないと判定した場合はステップS1101を繰り返す。経過時間に代えて信号品質値を判定することで、受信中の信号品質が所定値より悪化することなく、より適切なタイミングでサーチ処理を実行することができる。
以上のように実施例3では、第1放送規格と第2放送規格における同一内容の番組間での切り替えだけでなく、第1放送規格に属する中継局間で同一番組の切り替えを行う。その際、前者では第2放送規格において同一内容の番組が存在しない場合、後者では同一番組を放送している他の中継局が存在しない場合には、サーチ処理を実行しないことで、無駄なサーチ処理を止めるようにした。
上記した実施例3では、2段階のサーチ処理が可能であるが、先に高品質な第1放送規格の中継局チャンネルをサーチし、次に低品質な第2放送規格のチャンネルをサーチすることで、より品質の良い状態で番組を視聴できる。よって、逆に第1放送規格が低品質で第2放送規格が高品質である場合は、先に高品質な第2放送規格のチャンネルをサーチすれば良い。さらに、前記図7、図8で述べたように、ユーザがいずれを優先させるかを設定することもできる。また本実施例の動作は2段階のサーチ処理としたが、中継局サーチ処理単独の場合にも有効であることは言うまでもない。
以上の各実施例におけるデジタル放送受信装置の構成は、様々な変形が可能である。図12A〜図12Cには、フロントエンド処理部とバックエンド処理部の他の構成例を示すが、いずれも前記各実施例に適用して同様の受信動作を実現することができる。
図12Aは、フロントエンド処理部とバックエンド処理部の変形例を示す図である。この例では、選局部と復調部を一体化した構成としている。
フロントエンド処理部120において、第1選局/復調部122及び第2選局/復調部123は、所望の周波数チャンネルを選局すると共に、第1放送規格及び第2放送規格の伝送路復調処理を実行する。その際、第1選局/復調部122と第2選局/復調部123を連携動作させてダイバーシティ受信動作を実行することが可能で、生成したデータストリームを第1選局/復調部122から出力する。第1選局/復調部122及び第2選局/復調部123からバックエンド処理部121に入力したデータストリームは、経路選択部124を介して第1放送デコード部19と第2放送デコード部20に供給され、映像・音声復号データに復号される。
第1放送規格の番組をダイバーシティ受信する場合は、第1選局/復調部122からダイバーシティ受信動作にて生成されたデータストリームが出力し、経路選択部124(端子a、c)を介して第1放送デコード部19に供給される。また、第2放送規格の番組をサーチ処理する場合は、ダイバーシティ受信動作を解除し、第2選局/復調部123により第2放送規格の伝送路復調処理を実行し、生成されたデータストリームを経路選択部124(端子b、d)を介して第2放送デコード部20に供給する。第2放送デコード部20より第2放送規格の番組のシステム情報を取得し、フロントエンド処理部120より信号品質値を取得する。
図12Bは、フロントエンド処理部の変形例を示す図である。この例では、入力する放送信号の数を3個に増加させている。フロントエンド処理部125は3本のアンテナからの放送信号を入力し、図12Aの構成に対し第3選局/復調部126を追加している。第1放送規格の番組をダイバーシティ受信する場合は、第1、第2、第3選局/復調部122,123,126を連携動作させてダイバーシティ受信動作を実行する。生成されたデータストリームは、第1選局/復調部122から図12Aの経路選択部124の端子aに出力する。また、第2放送規格の番組についてサーチ処理を行う場合は、第1、第2選局/復調部122,123を連携動作して第1放送規格の番組をダイバーシティ受信動作を継続すると共に、第3選局/復調部126にて第2放送規格の伝送路復調処理を実行し、生成された第2放送規格のデータストリームを経路選択部124の端子bに出力する。
図12Cは、フロントエンド処理部の変形例を示す図である。この例では、入力する放送信号の数を4個に増加させている。フロントエンド処理部127は、4本のアンテナからの放送信号を入力し、図12Bの構成に対し第4選局/復調部128を追加している。第1放送規格の番組をダイバーシティ受信動作にて受信する場合は、第1、第2、第3、第4選局/復調部122,123,126,128を連携動作させてダイバーシティ受信動作を実行する。生成されたデータストリームは、第1選局/復調部122から図12Aの経路選択部124の端子aに出力する。また、第2放送規格の番組についてサーチ処理を行う場合は、第1、第2選局/復調部122,123を連携動作させて第1放送規格のダイバーシティ受信動作を継続すると共に、第3、第4の選局/復調部126,128を連携動作させて第2放送規格のダイバーシティ受信動作を実行する。それぞれ生成された第1、第2放送規格のデータストリームは、第1選局/復調部122と第3選局/復調部126から経路選択部124の端子aと端子bに出力する。
このように3本以上の複数のアンテナを用いて受信する場合は、通常の受信動作では全てのアンテナからの入力信号を用いてダイバーシティ受信動作を行うことで、2本のアンテナを用いる場合よりも高品質なデータストリームを生成することができる。また、サーチ処理動作においては複数のアンテナを2つのグループに分け、第1のグループのアンテナを用いて第1の番組を受信すると共に、第2グループのアンテナを用いて第2の番組をサーチする構成とする。その場合、1つのグループに2本以上のアンテナを有する構成が可能となり、ダイバーシティ受信動作を実行することで、サーチ処理動作においてもより高品質なデータストリームを生成することができる。
本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、上記以外にも様々な変形例が可能である。上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも記載した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。