JP2014076984A - 美白剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一般式(1)で表される化合物又はその塩を含む美白剤。
(式中、Xは、水素原子又は置換されていてもよいアルキル基を示し、R1は、水素原子、ホルミル基、カルボキシ基、又はアルキル基を示し、R2は、水素原子又は置換されていてもよいアルキル基を示し、R3は、置換されていてもよいアルキル基を示す。)
【選択図】なし
Description
斯かる美白剤は、例えば皮膚外用剤の構成成分として配合されて用いられる。そして、斯かる美白剤は、皮膚においてメラニンが濃色化することを抑制することができる。
本発明に係る美白剤においては、前記一般式(1)におけるXが水素原子であり、R1が水素原子、メチル基、又はホルミル基であり、R2がメチル基、エチル基、又はイソプロピル基であり、R3がメチル基であることがより好ましい。
前記置換されていてもよいアルキル基としては、F、Cl、Br、又はIなどのハロゲン元素によりHが置換されたもの、又は、Hが置換されていないもの等が挙げられる。
また、前記置換されていてもよいアルキル基としては、直鎖状のもの、又は、分岐鎖状のものが挙げられる。
前記Xの置換されていてもよいアルキル基の炭素数としては、1〜3が好ましく、1又は2がより好ましい。
前記R1のアルキル基の炭素数としては、1〜3が好ましい。
前記R1としては、メラニンの濃色化がより抑制され得るという点で、水素原子、メチル基、又は、ホルミル基(−CHO)が好ましい。
前記R2の置換されていてもよいアルキル基としては、F、Cl、Br、又はIなどのハロゲン元素によりHが置換されたもの、又は、Hが置換されていないもの等が挙げられる。
また、前記R2の置換されていてもよいアルキル基の炭素数としては、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。斯かる置換されていてもよいアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよい。
前記R2としては、メラニンの濃色化がより抑制され得るという点で、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基がより好ましい。
前記R3の置換されていてもよいアルキル基としては、F、Cl、Br、又はIなどのハロゲン元素によりHが置換されたもの、又は、Hが置換されていないもの等が挙げられる。
また、前記R3の置換されていてもよいアルキル基の炭素数としては、1〜3が好ましい。斯かる置換されていてもよいアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
前記R3としては、メラニンの濃色化がより抑制され得るという点で、メチル基が好ましい。
前記一般式(1)の化合物の塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、カリウム塩又はナトリウム塩がより好ましい。
また、前記一般式(1)の化合物の塩としては、メラニンの濃色化がより十分に抑制され得るという点で、Xが水素原子である化合物において該Xの部分にてカリウム塩となったものであって、R1が水素原子又はホルミル基であり、R2及びR3が、いずれもメチル基であるものが好ましい。
即ち、前記一般式(1)の化合物又はその塩としては、式(15)の化合物、式(15)の化合物の塩、式(16)の化合物、又は、式(16)の化合物の塩が好ましい。
具体的には、例えば、式(14)に示す化合物は、無水炭酸カリウムの存在下、アセトンなどの溶媒中にて、市販されている式(12)に示す化合物にヨウ化メチルを反応させて式(13)に示す化合物を得て、さらに、ジクロロメタン及び塩化チタン(IV)の存在下、式(13)に示す化合物にジクロロメチルエーテルを反応させることによって合成することができる。
さらに、例えば、合成した式(14)に示す化合物を一般的な方法によって加水分解させることにより、式(16)に示す化合物を合成することができる。
また、例えば、合成した式(16)に示す化合物を、炭酸水素カリウムの存在下、ジメチルホルムアミドなどの溶媒中にてヨウ化メチルと反応させることにより、式(18)に示す化合物を合成することができる。
より具体的には、前記美白剤は、例えば、後述する実施例に記載された方法によって製造できる。
また、前記美白剤は、例えば、剤型に応じ、オイル、色素、界面活性剤、香料、顔料等と組み合わせて皮膚外用組成物などに配合され、医薬品、医薬部外品、又は化粧品の用途において使用することができる。
具体的には、前記美白剤は、例えば、前記式(1)に示す化合物が0.1〜50mMとなるように、前記一般式(1)の化合物を溶媒に溶解させることによって液剤を得て、前記一般式(1)の化合物を含む該液剤の態様で使用される。
式(12)に示す化合物(Ethyl 2,4-Dihydroxy-6-methylbenzoate)(東京化成社製の試薬)を原料として式(13)に示す化合物(Ethyl 2-hydroxy-4-methoxy-6-
methylbenzoate)を合成した。
詳しくは、式(12)に示す化合物(3.50g, 17.9mmol)と無水炭酸カリウム(1.1eq., 2.72g, 19.7mmol)とをアセトン21mlに溶解し、さらにヨウ化メチル(2.0eq, 2.2ml, 35.8mmol)を加え、65℃、環流条件下で一晩撹拌して反応液を得た。得られた反応液をひだ付き濾紙で濾過し、アセトンを減圧留去した。残渣に酢酸エチルを加え、氷冷しつつ10%塩酸を少量ずつ加え、溶液を得た。この溶液に対して酢酸エチルによる抽出操作を3回行い、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、さらに減圧濃縮することにより、式(13)に示す化合物(2.29g, 10.9mmol, 収率60.8%)を得た。式(13)に示す化合物の融点は、70.2〜73.6℃であった。
なお、反応の追跡においては、以後、特に言及しない限り、薄層クロマトグラフィー(TLC)(製品名「Silica gel 60 F」 Merck社製)を使用した。
1H NMRおよび13C NMR:分析機器 日本電子社製「JEOL EX-400」
IR:分析機器 島津製作所社製「FTIR−8400」
質量分析(MS):分析機器 Applied Biosystems社製「API3000」
1H-NMR (399.65MHz, CDCl3): δ
1.41 (t, 3H, J= 7.0 Hz, CH 3 CH2),
2.51 (s, 3H, Ar-CH 3 ),
3.80 (s, 3H, Ar-OCH 3 ),
4.39 (q, 2H, J= 7.1 Hz, C(=O)O-CH 2 CH3),
6.28-6.33 (dd, 2H, J= 20.0, 2.8 Hz, Ar-H),
11.87 (s, 1H, Ar-OH);
13C-NMR (100.40 MHz, CDCl3):δ
14.26, 24.44, 55.28, 61.24, 98.73, 105.37, 111.13, 143.18, 163.83,
165.59, 171.80;
IR (CHCl3):ν(cm-1)
2983.7, 2939.3, 2910.4, 2846.7, 1647.1, 1616.2, 1577.7, 1463.9, 1444.6,
1421.4, 1398.3, 1365.5, 1321.1, 1301.9, 1259.4, 1203.5, 1159.1, 1109.0,
1064.6, 1014.5, 952.8, 833.2, 804.3, 786.9, 771.5, 744.5, 732.9, 700.1, 667.3,
642.3, 601.7, 534.2;
ESI-MS m/z: 211.1 (M + H)+.
実施例1で合成した式(13)に示す化合物を原料として式(14)に示す化合物(Ethyl 3-formyl-2-hydroxy-4-methoxy-6-methylbenzoate)を合成した。
詳しくは、式(13)に示す化合物(1.00g, 4.8mmol)を五酸化リン存在下、デシケーター中で減圧し乾燥させた。乾燥させたものに、アルゴン雰囲気下において、ジクロロメタン1.5mlを加え氷冷しつつ撹拌した。さらに、塩化チタン(IV)(2.2eq., 1.2ml, 10.6mmol) を少量ずつ加えて1時間撹拌した。氷冷を止め、ジクロロメチルメチルエーテル(1eq., 434μl, 4.8mmol)を少量ずつ加え、2時間撹拌した。さらに、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応をクエンチし、撹拌を止めて1時間静置して溶液を得た。この溶液に対して酢酸エチルによる抽出操作を3回行い、次いで0.1N 塩酸で2回、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で2回、飽和食塩水で2回洗浄した。有機層を回収し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧留去にて溶媒を除去した。残渣に対して酢酸エチル/n−ヘキサン混合溶媒によって再結晶操作を行い、式(14)に示す化合物(913.9mg, 3.8m mol, 収率80.0%)を得た。式(14)に示す化合物の融点は、81.1〜84.5℃であった。
1H-NMR (399.65MHz, CDCl3): δ
1.39 (t, 3H, J= 7.0 Hz, CH 3 CH2),
2.38 (s, 3H, Ar-CH 3 ),
3.90 (s, 3H, Ar-OCH 3 ),
4.40 (q, 2H, J= 7.2 Hz, C(=O)O-CH 2 CH3),
6.23 (s, 1H, Ar-H),
11.87 (s, 1H, Ar-OH);
13C-NMR (100.40 MHz CDCl3):δ
14.26, 24.44, 55.28, 61.24, 98.73, 105.37, 111.13, 143.18, 163.83, 165.59,
171.80;
IR (CHCl3): ν (cm-1)
3026.1, 2981.7, 2941.2, 2902.7, 2858.3, 2341.4, 1718.5, 1631.7, 1573.8,
1448.4, 1463.9, 1394.4, 1353.9, 1298.0, 1278.7, 1226.6, 1191.9, 1159.1,
1126.4, 1095.5, 1066.6, 1022.2, 920.0, 864.1, 823.5, 786.9, 771.5, 758.0,
744.5, 669.3, 599.8, 586.3, 547.7;
ESI-MS m/z: 239.3 (M + H)+.
実施例1で合成した式(13)に示す化合物を原料として、式(15)に示す化合物(2-hydroxy-4-methoxy-6-methylbenzoate)を合成した。
詳しくは、式(13)に示す化合物(1.0g, 0.5mmol)に15%水酸化カリウム水溶液5mlを加え、110℃、環流条件下で1.5時間反応させ反応液を得た。反応液に10%塩酸を加え酸性化し、さらに酢酸エチルによって抽出処理を3回行った。有機層を回収し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。その後、減圧留去にて溶媒を除去し式(15)に示す化合物(0.33g, 1.8mmol, 収率76.6%)を得た。式(15)に示す化合物の融点は、156.3〜158.8℃であった。
1H-NMR (399.65MHz, DMSO-d6): δ
2.58(s, 3H, Ar-CH 3 ),
3.82 (s, 3H, Ar-OCH 3 ),
6.33-6.35 (dd, 2H, J= 6.4, 2.4 Hz, Ar-H),
11.53 (s, 1H, Ar-OH);
13C-NMR (100.40 MHz DMSO-d6):δ
23.31, 55.36, 98.82, 106.65, 109.86, 142.51, 163.06 164.09, 173.10;
IR (KBr): ν (cm-1)
3010.4, 1616.2, 1579.6, 1454.2, 1259.4, 1209.3, 1161.1, 1039.6, 785.0, 777.3,
748.3, 734.8, 667.3;
ESI-MS m/z: 183.2 (M + H)+.
実施例3で合成した式(15)に示す化合物を原料として、式(17)に示す化合物(Methyl 2-hydroxy-4-methoxy-6-methylbenzoate)を合成した。
詳しくは、式(15)に示す化合物(375mg, 2.1mmol)と炭酸水素カリウム(1.2eq., 247mg, 2.5mmol)とをジメチルホルムアミド3.15mlに溶解し、室温で5分撹拌した後、ヨウ化メチル(1.5eq., 0.2ml, 3.1mmol)を加えた。環流条件下で40℃にて一晩撹拌した反応液に水を入れた。さらに、酢酸エチルによって抽出処理を3回行い、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で3回洗浄し、さらに飽和食塩水で2回洗浄した。有機層を回収し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。その後、減圧留去にて溶媒を除去し式(17)に示す化合物(383.7mg, 1.96mmol, 収率95.0%)を得た。式(17)に示す化合物の融点は、58.8〜61.5℃であった。
1H-NMR (399.65MHz, CDCl3): δ
2.49 (s, 3H, Ar-CH 3 ),
3.80 (s, 3H, Ar-OCH 3 ),
3.92 (s, 3H, C(=O)OCH 3 ),
6.28-6.33 (dd, 2H, J= 19.2, 2.8 Hz, Ar-H),
11.79 (s, 1H, Ar-OH);
13C-NMR (100.40 MHz DMSO-d6):δ
24.28, 51.76, 55.20, 98.59, 105.13, 111.07, 143.04, 163.85, 165.49, 172.15;
IR (CHCl3): ν (cm-1)
3024.2, 2941.2, 2848.7, 1651.0, 1618.2, 1577.7, 1444.6, 1421.4, 1379.0,
1326.9, 1298.0, 1261.4, 1224.7, 1203.5, 1159.1, 1114.8, 1064.6, 1045.3,
952.8, 833.2, 804.3, 786.9, 777.3, 765.7, 752.2, 731.0, 700.1, 644.2;
ESI-MS m/z: 197.2 (M + H)+.
実施例2で合成した式(14)に示す化合物を原料として、実施例3と同様にして、式(16)に示す化合物(3-Formyl-2-hydroxy-4-methoxy-6-methylbenzoic acid)を合成した。斯かる化合物の融点は、190.1〜192.6℃であった。
1H-NMR (399.65MHz, DMSO-d6): δ
2.36 (s, 3H, Ar-CH 3 ),
3.90 (s, 3H, Ar-OCH 3 ),
6.58 (s, 1H, Ar-H),
10.20 (s, 1H, Ar-CHO);
13C-NMR (100.40 MHz DMSO-d6):δ
21.67, 56.76, 104.71, 108.75, 115.73, 148.44, 160.97, 161.34, 168.61,
193.25;
IR (KBr): ν (cm-1)
3018.4, 1730.0, 1635.5, 1217.0, 783.0, 759.9, 740.6, 727.1, 684.7;
ESI-MS m/z: 209.1 (M - H)-
実施例3で合成した式(16)に示す化合物を原料として、実施例4と同様にして、式(18)に示す化合物(Methyl 3-formyl-2-hydroxy-4-methoxy-6-methylbenzoate)を合成した。斯かる化合物の融点は、83.2〜85.2℃であった。
1H-NMR (399.65MHz, CDCl3): δ
2.38 (s, 3H, Ar-CH 3 ),
3.91 (s, 3H, Ar-OCH 3 ),
3.92 (s, 3H, C(=O)OCH 3 ),
6.24 (s, 1H, Ar-H),
10.25 (s, 1H, Ar-CHO),
12.55 (s, 1H, Ar-OH);
13C-NMR (100.40 MHz CDCl3):δ
21.74, 52.27, 55.95, 103.37, 108.70, 114.95, 149.06, 161.91, 162.88, 167.20,
193.30;
IR (CHCl3): ν (cm-1)
3024.2, 1722.3, 1631.7, 1573.8, 1463.9, 1436.9, 1394.4, 1353.9, 1298.0,
1282.6, 1224.7, 1195.8, 1126.4, 783.0, 746.4, 732.9, 669.3;
ESI-MS m/z: 225.2 (M + H)+.
実施例3で合成した式(15)に示す化合物をカリウム塩とした。即ち、式(3)の化合物を合成した。
詳しくは、式(16)に示す化合物(0.1g, 0.5mmol)を五酸化リン存在下、デシケーター中で減圧し乾燥させた。乾燥させたものに無水エタノール10mlを加え、さらにカリウムt−ブトキシド(73.8mg, 0.7mmol)を加えて撹拌した。溶媒を減圧留去し、カリウム塩(112.7mg, 0.46mmol, 収率93.2%)を合成した。斯かるカリウム塩は、186.0℃で分解した。
実施例7と同様にして、式(16)に示す化合物をカリウム塩とした。即ち、式(2)の化合物を合成した(33.7mg, 0.1mmol 収率95.0%)。斯かるカリウム塩は、163.9℃で分解した。
式(12)に示す化合物(Ethyl 2,4-Dihydroxy-6-methylbenzoate)(東京化成社製の試薬)を原料として式(19)に示す化合物(ethyl 2-hydroxy-4-isopropoxy-6-
methylbenzoate)を合成した。
詳しくは、式(12)に示す化合物(0.20g, 1.02mmol)と無水炭酸カリウム(1.1eq., 154.8mg, 1.12mmol)とをDMF1.4mlに溶解し、さらにヨウ化イソプロピル(2.0eq, 0.2ml, 2.04mmol)を加え、90℃で一晩撹拌した。得られた反応液をひだ付き濾紙で濾過後、DMFを減圧留去した。残渣に酢酸エチルを加え、氷冷しつつ10%塩酸を少量ずつ加えた。この液に対して酢酸エチルによる抽出操作を3回行い、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、さらに減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離し(溶出溶媒:n-ヘキサン、酢酸エチル混合液)、式(19)に示す化合物(140.4mg, 0.59mmol, 収率57.8%)を得た。式(19)に示す化合物の融点は、32.8〜34.3℃であった。
1H-NMR (399.65MHz, CDCl3): δ
1.23 (d, 6H, J= 6.0 Hz, (CH 3 )2CH),
1.30 (t, 3H, J= 7.2 Hz, CH 3 CH2),
2.39 (s, 3H, Ar-CH 3 ),
4.27 (q, 2H, J= 7.1 Hz, C(=O)O-CH 2 CH3),
4.46 (sep, 1H, J= 6.0 Hz, Ar-OCH(CH3)),
6.24 (d, 1H, J=2.4Hz, Ar-H)
6.30 (d, 1H, J=2.4Hz, Ar-H)
11.76 (s, 1H, Ar-OH);
13C-NMR (100.40 MHz, CDCl3):δ
14.41, 22.06, 24.55, 61.30, 69.99, 100.09, 105.11, 112.51, 143.33, 162.47, 165.77, 171.94;
ESI-MS m/z: 239 (M + H)+.
実施例9で合成した式(19)に示す化合物を原料として式(20)に示す化合物(ethyl 3-formyl-2-hydroxy-4-isopropoxy-6-methylbenzoate)を合成した。
詳しくは、式(19)に示す化合物(108.7mg, 0.46mmol)に、アルゴン雰囲気下において、ジクロロメタン0.16mlを加え氷冷しつつ撹拌した。さらに、塩化チタン(IV)(2.2eq., 0.11ml, 1.0mmol) を少量ずつ加えて1時間撹拌した。氷冷を止め、ジクロロメチルメチルエーテル(1eq., 41.3μl, 0.46mmol)を少量ずつ加え、2時間撹拌した。さらに、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を止め、この溶液を1時間静置した。この溶液に対して酢酸エチルによる抽出操作を3回行い、ここで得られた酢酸エチル抽出液を0.1N 塩酸で2回、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で2回、飽和食塩水で2回洗浄した。有機層を回収し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧留去にて溶媒を除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n-ヘキサン、酢酸エチル混合液)で分離し、式(20)に示す化合物(13.5mg, 0.05mmol, 収率11.1%)を得た。式(20)に示す化合物は常温でオイル状であった。
1H-NMR (399.65MHz, CDCl3): δ
1.38 (t, 3H, J= 7.2 Hz, CH 3 CH2),
1.39 (d, 6H, J= 6.0 Hz, (CH 3 )2CH),
2.37 (s, 3H, Ar-CH 3 ),
4.39 (q, 2H, J= 7.1 Hz, C(=O)O-CH 2 CH3),
4.69 (sep, 1H, J= 6.0 Hz, Ar-OCH(CH3)),
6.23 (d, 1H, J= x Hz, Ar-H),
10.25 (s, 1H, Ar-CHO);
12.49 (s, 1H, Ar-OH).
13C-NMR (100.40 MHz CDCl3):δ
14.23, 21.54, 21.83, 61.19, 71.32, 104.97, 109.40, 114.82, 148.39, 161.49, 161.81, 166.73, 193.62
ESI-MS m/z: 267 (M + H)+.
実施例10で合成した式(20)に示す化合物を原料として、実施例3と同様の合成方法によって、式(21)に示す化合物(3-Formyl-2-hydroxy-4-isopropoxy-6-methylbenzoic acid)を得た(収量132 mg, 0.55 mmol, 収率86.8%)。斯かる化合物は、褐色の結晶物であり、融点が157.6〜159.3℃であった。
1H-NMR (399.65MHz, DMSO-d6): δ
1.35 (d, 6H, J=5.8Hz, CH(CH 3 )2),
2.33 (s, 3H, Ph-CH 3 ),
4.82 (sep, 1H, J=6.0Hz, CH(CH3)2),
6.60 (s, 1H, Ph-H),
10.20 (s, 1H, Ph-CHO);
13C-NMR (100.40 MHz DMSO-d6):δ
21.11, 21.64, 71.31, 105.91, 109.01, 115.19, 147.83, 160.40, 160.89, 167.97, 193.37;
IR (KBr): ν (cm-1)
3018.3, 2358.7, 2341.4, 1731.9, 1633.5, 1213.1, 1114.7, 786.9, 767.6, 740.6, 729.0;
ESI-MS m/z: 237.1 (M−H)-.
実施例7と同様にして、式(21)に示す化合物をカリウム塩とした。即ち、式(6)の化合物を合成した(収量129 mg, 0.47 mmol, 収率94.3%)。斯かるカリウム塩は、褐色の結晶物であり、201〜202℃で分解した。
1H-NMR (399.65MHz, DMSO-d6): δ
1.21 (d, 6H, J=6.0Hz, CH(CH 3 )2),
2.47 (s, 3H, Ph-CH 3 ),
4.60 (sep, 1H, J=6.0Hz, CH(CH3)2),
5.96 (s, 1H, Ph-H),
10.22 (s, 1H, Ph-CHO);
13C-NMR (100.40 MHz DMSO-d6):
22.06, 24.35, 69.84, 103.39, 111.51, 112.15, 150.38, 160.33, 171.04, 172.85, 188.47;
ESI-MS m/z: 276.6(M + H)+.
式(12)に示す化合物(Ethyl 2,4-Dihydroxy-6-methylbenzoate)(東京化成社製の試薬)を原料として式(22)に示す化合物(ethyl 2-hydroxy-4-ethoxy-6-methylbenzoate)を合成した。
詳しくは、式(12)に示す化合物(3.00 g, 15.3 mmol)と無水炭酸カリウム(1.1 eq, 2.33 g, 16.83 mmol)とをアセトン21 mlに溶解し、さらにヨウ化エチル(2.0 eq, 2.45 ml, 30.6 mmol)を加え、一晩加熱還流下、撹拌した。得られた反応液をひだ付き濾紙で濾過後、DMFを減圧留去した。残渣に酢酸エチルを加え、氷冷しつつ10%塩酸を少量ずつ加えた。この液に対して酢酸エチルによる抽出操作を3回行い、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、さらに減圧濃縮した。残渣を再結晶(n-ヘキサン、酢酸エチル混合液)により精製し、式(22)に示す化合物(2.04 g, 9.1 mmol, 収率59.7%)を得た。式(22)に示す化合物は、無色の針状結晶物であり、融点が54.8〜56.8℃であった。
1H-NMR (399.65MHz, CDCl3): δ
1.40 (t, 3H, J=6.8Hz, Ph-OCH2CH 3 ),
1.41 (t, 3H, J=7.1Hz, C(=O)OCH2CH 3 ),
2.51 (s, 3H, Ph-CH 3 ),
4.03 (q, 2H, J=7.1Hz, Ph-OCH 2 CH3),
4.39 (q, 2H, J=7.3Hz, C(=O)OCH 2 CH3),
6.29 (d, 1H, J=14.2Hz, Ph-H),
6.30 (d, 1H, J=13.9Hz, Ph-H),
11.84 (s, 1H, Ph-OH);
13C-NMR (100.40 MHz CDCl3):
14.23, 14.58, 24.38, 61.15, 63.49, 99.15, 105.19, 111.52, 143.08, 163.21, 165.53, 171.78;
IR (CHCl3): ν (cm-1)
3026.1, 1647.1, 1616.2, 1577.7, 1321.1, 1259.4, 1176.5, 777.3, 769.5, 729.0;
ESI-MS m/z: 225.1(M + H)+.
実施例13で合成した式(22)に示す化合物を原料として式(23)に示す化合物(ethyl 3-formyl-2-hydroxy-4-ethoxy-6-methylbenzoate)を合成した。
詳しくは、式(22)に示す化合物(0.98 g, 4.38 mmol)に、アルゴン雰囲気下において、ジクロロメタン16 mlを加え氷冷しつつ撹拌した。さらに、塩化チタン(IV)(2.2eq., 0.10 ml, 9.64 mmol)を少量ずつ加えて1時間撹拌した。氷冷を止め、ジクロロメチルメチルエーテル(1eq., 0.39 ml, 0.46mmol)を少量ずつ加え、2時間撹拌した。さらに、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を止め、この溶液を1時間静置した。この溶液に対して酢酸エチルによる抽出操作を3回行い、ここで得られた酢酸エチル抽出液を0.1N 塩酸で2回、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で2回、飽和食塩水で2回洗浄した。有機層を回収し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧留去にて溶媒を除去した。残渣を再結晶(n-ヘキサン、酢酸エチル混合液)により精製し、式(23)に示す化合物(0.45 g, 1.79 mmol, 収率40.8%)を得た。式(23)に示す化合物は、淡黄色の針状結晶物であり、融点が82.2〜84.2℃であった。
1H-NMR (399.65MHz, CDCl3): δ
1.38 (t, 3H, J=7.2Hz, Ph-OCH2CH 3 ),
1.46 (t, 3H, J=6.8Hz, C(=O)OCH2CH 3 ),
2.37 (s, 3H, Ph-CH 3 ),
4.13 (q, 2H, J=6.8Hz, Ph-OCH 2 CH3),
4.39 (q, 2H, J=7.2Hz, C(=O)OCH 2 CH3),
6.21 (s, 1H, Ph-H),
10.27 (s, 1H, Ph-OH),
12.49 (s, 1H, Ph-CHO);
13C-NMR (100.40 MHz CDCl3):
14.24, 14.46, 21.55, 61.25, 64.47, 103.94, 108.72, 115.16, 148.60, 161.71, 162.24, 166.75, 193.39;
IR (CHCl3): ν (cm-1)
1716.5, 1633.5, 1388.6, 1278.7, 1226.6, 1176.5, 1161.0, 1124.4, 1031.8, 792.7, 756.0, 746.4, 729.0, 669.3;
ESI-MS m/z: 253.2(M + H)+.
実施例14で合成した式(23)に示す化合物を原料として、実施例3と同様の方法で式(24)に示す化合物(3-Formyl-2-hydroxy-4-ethoxy-6-methylbenzoic acid)を合成した(収量0.32 g, 1.41 mmol, 収率80.6%)。斯かる化合物は、褐色の結晶物であり、融点が165.4〜167.8℃であった。
1H-NMR (399.65MHz, DMSO-d6): δ
1.36 (t, 3H, J=7.2Hz, Ph-OCH2CH 3 ),
2.49 (s, 3H, Ph-CH 3 ),
4.17 (q, 2H, J=6.8Hz, Ph-OCH 2 CH3),
6.53 (s, 1H, Ph-H),
10.20(s, 1H, Ph-CHO);
13C-NMR (100.40 MHz, DMSO-d6):
14.31, 21.20, 64.60, 104.91, 108.37, 115.27, 147.97, 160.48, 161.63, 168.08, 192.99;
IR (CHCl3): ν (cm-1)
3018.3, 1730.0, 1633.5, 1560.3, 1452.3, 1350.0, 1294.1, 1228.5, 1215.0, 1151.4, 1122.4, 802.3, 688.5;
ESI-MS m/z: 223.1(M - H)-.
実施例7と同様にして、式(24)に示す化合物をカリウム塩とした。即ち、式(5)の化合物を合成した(収量178 mg, 0.68 mmol, 収率76.1%)。斯かるカリウム塩は、褐色の結晶物であり、185.4℃で分解した。
1H-NMR (399.65MHz, DMSO-d6): δ
1.28 (t, 3H, J=6.8Hz, Ph-OCH2CH 3 ),
2.49 (s, 3H, Ph-CH 3 ),
4.01 (q, 2H, J=6.8Hz, Ph-OCH 2 CH3),
5.95 (s, 1H, Ph-H),
10.26 (s, 1H, Ph-CHO);
13C-NMR (100.40 MHz, DMSO-d6): δ
15.15, 24.79, 63.77, 102.37, 111.78, 112.16, 151.04, 161.33, 171.42, 173.74, 188.94;
ESI-MS m/z: 262.8(M + H)+.
実施例5で合成した式(16)に示す化合物をナトリウム塩とした。即ち、式(8)の化合物を合成した。
詳しくは、式(16)に示す化合物(85.4 mg, 0.4 mmol)を五酸化リン存在下、デシケーター中で減圧し乾燥させた。乾燥させたものに無水エタノール10 mlを加え、そこへナトリウムエトキシド(27.7 mg, 0.4 mmol)を加えて撹拌した。溶媒を減圧留去し、式(8)で示されるナトリウム塩(82 mg, 0.35 mmol, 収率86.7%)を合成した。斯かるナトリウム塩は、褐色の結晶物であり、214.8℃で分解した。
式(25)に示す化合物(2,4-Dihydroxy-3,6-dimethylbenzoic acid)(Merck Schuchardt OHG社製の試薬)を原料として式(26)に示す化合物(methyl 2-hydroxy-4-methoxy-3,6-dimethylbenzoate)を合成した。
詳しくは、式(25)に示す化合物(0.30 g, 1.65 mmol)と無水炭酸カリウム(1.1 eq, 250 mg, 1.82 mmol)とをアセトン2.0mlに溶解し、さらにヨウ化メチル(3.0 eq, 308 μl, 4.95 mmol)を加え、一晩加熱還流下、撹拌した。得られた反応液をひだ付き濾紙で濾過後、DMFを減圧留去した。残渣に酢酸エチルを加え、氷冷しつつ10%塩酸を少量ずつ加えた。この液に対して酢酸エチルによる抽出操作を3回行い、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、さらに減圧濃縮した。残渣を再結晶(n-ヘキサン、酢酸エチル混合液)で精製し、式(26)に示す化合物(257 mg, 1.22 mmol, 収率74.3%)を得た。式(26)に示す化合物は、無色の針状結晶物であり、融点が90.9〜93.0℃であった。
1H-NMR (399.65MHz, CDCl3): δ
2.08 (s, 3H, Ph-CH 3 ),
2.53 (s, 3H, Ph-CH 3 ),
3.86 (s, 3H, Ph-OCH 3 ),
3.93 (s, 3H, C(=O)O-CH 3 ),
6.28 (s, 1H, Ph-H),
11.83 (s, 1H, Ph-OH);
13C-NMR (100.40 MHz CDCl3):
7.81, 24.67, 51.81, 55.46, 105.47, 105.86, 110.85, 140.13, 161.39, 162.09, 172.57;
IR (CHCl3): ν (cm-1)
3016.4, 2939.3, 1650.9, 1616.2, 1577.6, 1506.3, 1446.5, 1404.0, 1363.5, 1301.8, 1282.5, 1230.5, 1222.7, 1209.2, 1197.7, 1163.0, 1135.9, 1008.7, 806.2, 785.0, 746.4, 731.0, 671.2;
ESI-MS m/z: 211.2(M + H)+.
実施例18で合成した式(26)に示す化合物を原料として、実施例3と同様の方法で式(27)に示す化合物(2-hydroxy-4-methoxy-3,6-dimethylbenzoic acid)を合成した(175 mg, 0.89 mmol, 収率81.5%)。斯かる化合物は、無色の針状結晶物であり、融点が184.6〜186.2℃であった。
1H-NMR (399.65MHz, DMSO-d6): δ
1.94 (s, 3H, Ph-CH 3 ),
2.49 (s, 3H, Ph-CH 3 ),
3.89 (s, 3H, Ph-OCH 3 ),
6.46 (s, 1H, Ph-H);
13C-NMR (100.40 MHz, DMSO-d6):
7.97, 24.07, 55.64, 105.53, 106.01, 109.33, 140.41, 160.88, 161.71, 174.03;
IR (CHCl3): ν (cm-1)
3016.5, 1222.8, 1207.4, 1136.0, 786.9, 765.7, 732.9, 669.3;
ESI-MS m/z: 197.1(M + H)+.
実施例7と同様にして、式(27)に示す化合物をカリウム塩とした。即ち、式(9)の化合物を合成した(収量163 mg, 0.70 mmol, 収率88.9%)。斯かるカリウム塩は、淡赤色の結晶物であり、193.8℃で分解した。
1H-NMR (399.65MHz, DMSO-d6): δ
1.85 (s, 3H, Ph-CH 3 ),
2.49 (s, 3H, Ph-CH 3 ),
3.69 (s, 3H, Ph-OCH 3 ),
6.01 (s, 3H, Ph-H);
13C-NMR (100.40 MHz, DMSO-d6):
9.39, 24.67, 55.83, 103.29, 108.71, 113.25, 139.59, 158.58, 164.59, 173.43;
ESI-MS m/z: 234.9(M + H)+.
実施例13で合成した式(14)に示す化合物を原料として式(28)に示す化合物(ethyl 2-hydroxy-4-methoxy-6-methylisophthalate)を合成した。
詳しくは、式(14)に示す化合物(500 mg, 2.10 mmol)を1M リン酸二水素ナトリウム水溶液2.5 mlに懸濁し、そこへ2-メチル-2-ブテン(2.0 eq, 445 μl, 4.2 mmol)を加えた後、80%亜塩素酸ナトリウム(1.5 eq, 356.3 mg, 3.15 mmol)を加え、常温で2時間撹拌した。反応液に10%塩酸を少量ずつ加え、この溶液を酢酸エチルで3回抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣から酢酸エチル/n-ヘキサン混合溶媒で再結晶させ、式(28)に示す化合物を得た(155.8mg, 0.61mmol, 収率29.2%)。斯かる化合物は、無色の針状結晶物であり、融点が198.5〜200.7℃であった。
1H-NMR (399.65MHz, CDCl3): δ
1.39 (t, 3H, J=7.2Hz, OCH2CH 3 ,
2.37 (s, 3H, Ph-CH 3 ),
4.07 (s, 3H, Ph-OCH 3 ),
4.41 (q, 2H, J=7.6, OCH 2 CH3),
6.34 (s, 1H, Ph-H),
11.16 (br, 1H, Ph-C(=O)OH)
12.61 (s, 1H, Ph-OH);
13C-NMR (100.40 MHz CDCl3): δ
14.24, 20.78, 57.16, 61.48, 99.51, 103.32, 118.21, 145.13, 158.72, 161.65, 166.76, 170.26;
IR (CHCl3): ν (cm-1)
3018.4, 1693.4, 1624.0, 1577.7, 1417.6, 1276.6, 1234.4, 1199.6, 1186.1, 1116.8, 821.6, 707.8;
ESI-MS m/z: 252.8 (M - H)-.
実施例21で合成した式(28)に示す化合物を原料として、実施例3と同様の方法で式(29)に示す化合物(2-hydroxy-4-methoxy-6-methylisophthalic acid)を合成し、再結晶(酢酸エチル/n-ヘキサン混合溶媒)により、精製した(収量55 mg, 0.24 mmol, 収率61.4%)。斯かる化合物は、無色の針状結晶物であり、融点が205.8〜208.2℃であった。
1H-NMR (399.65MHz, DMSO-d6): δ
2.49 (s, 3H, Ph-CH 3 ),
3.82 (s, 3H, Ph-OCH 3 ),
6.54 (s, 1H, Ph-H),
12.81 (br, 1H, Ph-C(=O)OH);
13C-NMR (100.40 MHz DMSO-d6): δ
24.19, 56.79, 106.82, 108.67, 110.41, 145.02, 160.06, 161.00, 167.88, 173.27;
IR (CHCl3): ν (cm-1)
3018.4, 1222.8, 1209.3, 785.0, 758.0, 734.8, 669.3;
ESI-MS m/z: 227.1 (M + H)+.
実施例7と同様にして、式(29)に示す化合物をカリウム塩とした。即ち、式(11)の化合物を合成した(収量9.1mg, 0.03mmol, 収率 75.7%)。斯かるカリウム塩は、淡赤色の結晶物であり、208.1〜214.5℃で分解した。
試薬として市販されている4−メトキシサリチル酸に対して、実施例7における操作と同様の操作を行い、4−メトキシサリチル酸カリウム塩(以下、4MSKともいう)を得た(57.8mg, 0.28mmol, 収率94.2%)。
以下に示すように、B16マウスメラノーマ細胞を用いた試験、及び、ヒト皮膚3次元モデルを用いた試験によって、メラニン濃色化の評価を行った。
以下に試験の詳細(試験用試薬・機器類、前培養、化合物含有増殖用培地、観察、タンパク質定量、メラニン定量)を示す。
「試験用試薬・機器類」
・牛胎児血清(FBS) EQUITECH-BIO社製
・Pen-Strep, Penicillin 10000 Units/ml , Streptomycin 10000 μg/ml GIBCO社製
・DMEM培地 GIBCO, Wako社製
・タンパク質定量用試薬セット「BCA Protein Assay Kit」Thermo scientific社製
・プレートリーダー「MICRO PLATE READER SH-1000 Lab」CORONA ELECTRIC社製
・フォルスコリン(FSK), 製品名「Coleus forskohlii」CALBIOCHEM社製
・0.4 w/v % トリパンブルー溶液 和光純薬工業社製 (生細胞カウント用の細胞染色液)
・培養細胞溶解剤 製品名「ピッカジーン LCβ・PGC-51」 東洋インキ製造社製
前培養に当たって、10%牛胎児血清(FBS)と、ペニシリン(20 U/ml)と、ストレプトマイシン(20 μg/ml)とを添加したDulbecco's modified Eagle's 培地(DMEM、high glucose; Sigma-Ardrich,社製)を細胞増殖用培地として調製した。この増殖用培地を6ウェルプレートに2ml/ウェルずつ加えておき、各ウェルに1.0×105cells/ウェルの濃度になるよう調製したB16マウスメラノーマ細胞(JCRB0202: JCRB細胞バンク)の懸濁液を、播種した。その後、37℃、5%CO2の培養機中で24時間前培養した。
増殖用培地に終濃度15μMとなるようにフォルスコリン(DMSO溶液)を添加した。(DMSOの終濃度は0.1%以下になるようにした)さらに、終濃度0.25mM、0.5mM、1mMとなるように、実施例7の化合物又は実施例8の化合物の水溶液を添加した。別途、実施例7の化合物又は実施例8の化合物に代えて、終濃度1mMとなるように比較例1の4MSK水溶液を添加した。
前培養した細胞が入った6ウェルプレートから古い培地を除去し、上記の化合物含有増殖用培地を各ウェルに2ml加えた。上記の化合物含有増殖用培地を加えてから48時間後に、再び古い培地と化合物含有増殖用培地とを交換し、さらに24時間培養した。各培地交換時には1x PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で2回洗浄した。
各ウェルにおける細胞の色を顕微鏡によって観察した。その後、培地を除去し各ウェルに1x PBSを1mlずつ加え細胞を洗浄した。この操作を2回行い、その後、氷冷した1x PBS 1mlを各ウェルに入れ、ピペッティングで細胞を懸濁させた。この細胞懸濁液を1.5mlサンプルチューブに移し、懸濁液の細胞数を上記と同様にして(血球計算盤を使用)測定した。また、タンパク質濃度を測定するために、細胞懸濁液50μlを別のサンプルチューブにとっておいた。細胞懸濁液1mlの入った1.5mlサンプルチューブを15,000rpmで5分間遠心分離処理し、その後、サンプルチューブを並べて細胞の色を比較しつつ観察し、写真を撮影した。
上記の観察における各細胞懸濁液50μlに、上述した培養細胞溶解剤を8μl入れて37℃温浴で7〜8分間インキュベートした。これを−40℃の冷凍庫に1時間静置し、その後室温で解凍した。解凍した溶液を15,000rpmで5分間遠心処理し、その上清を96ウェルプレートのウェルに25ul移し入れた。これに、上述したタンパク質定量用試薬セットのビシンコニン酸(BCA)溶液を200ul加え、シェーカーで混合後、CO2インキュベーター中で30分静置した。プレートリーダーで540nmの吸光度を読み取り、検量線からタンパク濃度を求めた。
上記の観察において写真を撮った後のサンプルチューブからPBSを除去し、該チューブに1N NaOHを150μl添加し、細胞破片がみえなくなるまで充分に超音波で細胞を破砕した。37℃で一晩インキュベートした後、クロロホルム:メタノール(=1:1)混合液を50μl添加し、ミキサーによって混合処理した。15,000rpmで5分間、4℃で遠心処理し、上清を100μlずつ96ウェルプレートにいれ、415nmの吸光度を測定した。
図1は、式(15)に示す化合物のカリウム塩を用いた結果を示し、また、図2は、式(16)に示す化合物のカリウム塩を用いた結果を示す。なお、図1及び図2におけるグラフの縦軸は、タンパク質当たりの、対照(最も左側)に対するメラニン量の相対値を表す。
図1及び図2から把握できるように、フォルスコリンによるメラニンの濃色化刺激があるにもかかわらず、式(15)に示す化合物のカリウム塩(即ち、式(3)に示す化合物)、及び、式(16)に示す化合物のカリウム塩(即ち、式(2)に示す化合物)は、メラニンの濃色化を十分に抑制することができる。
(1)ヒト皮膚3次元モデル
ヒト皮膚3次元モデルとして、下記の市販キットを用いた。
使用キット:ヒト皮膚3次元モデル
(正常ヒト皮膚メラニン細胞を含む正常ヒト表皮角化細胞)
製品名「MEL-300」(倉敷紡績社製)
キット内容:皮膚モデルカップ24ウェル
6ウェルプレート
PBS洗浄液
EPI-100-LLMM維持培地
Sterile Washers (別売り)
(2)評価用サンプル
フォルスコリン(FSK)(終濃度10μM)
式(16)に示す化合物のカリウム塩(終濃度2mM)
4−メトキシサリチル酸カリウム塩(4MSK)(終濃度2mM)
ビタミンC(終濃度2mM)
(3)準備
上記キットの維持培地を37℃に温め、6ウェルプレートの各ウェルに0.9 mlずつ入れた。上記の評価用サンプルを添加する1時間前に、この6ウェルプレートにMEL-300皮膚モデルカップを一つずつピンセットで移した。そして、CO2インキュベーターにて37℃、5%CO2、加湿状態でプレインキュベートした。
(4)培養
上記のキットにおいて提供されるプロトコールに従って、上記の評価用サンプルとFSKとを添加した培地中で、ヒト皮膚3次元モデル細胞を培養した。2日毎に培地交換をし、9日間培養を行なった。
図3において、(a)は、評価用サンプルを含む培地で9日間培養した皮膚3次元モデル、又は、評価用サンプルを含まない培地で同様に培養した皮膚3次元モデル(「ブランク」と表記 最も左側)を示す。左から2番目は、10μM FSKのみを含む培地で培養したもの、左から3番目〜5番目は、10μM FSKを含みつつ、さらに、それぞれ式(16)に示す化合物のカリウム塩、4MSK、ビタミンC(2 mM)を含む培地で同様に培養したものである。(b)は、倍率10倍の光学顕微鏡写真である。(c)は、写真の全ピクセル数に対する、暗い部分(照度0〜140)のピクセル数の割合である。
図3から把握できるように、フォルスコリンによるメラニンの濃色化刺激があるにもかかわらず、式(2)に示す化合物は、メラニンの濃色化を十分に抑制することができる。
「実験方法」
フォルスコリンの存在下または非存在下において、検体(式(2)の化合物)を加えた培養液、または、加えていない培養液で、B16細胞を培養した。その後、B16細胞を集め、細胞溶解液で処理した。得られた細胞溶解液を100℃にて5分間加熱した後、13%SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、分離した。ゲル中のタンパク質をPVDF膜に転写させ、その膜にブロッキングを施した後、抗MITF一次抗体と抗β―アクチン抗体とで染色した。その後、ペルオキシダーゼ修飾2次抗体で一次抗体を染色し、市販の検出試薬キット(Amersham ECL Prime Western Blotting Detection Reagent「GE Healthcare, Little Chalfont, UK」)を用いて検出した。なお、β―アクチンを各細胞に一定量存在する対照タンパク質として検出した。
上記実験の結果に対する考察を以下に述べる。
MITFは、チロシナーゼの産生を促進する主要な転写因子として働くため、細胞内でのMITFの産生上昇は、メラニン産生の増加に結び付く。
フォルスコリンは、アデニル酸シクラーゼの活性化物質であり、一連の細胞内シグナル伝達により、B16細胞のMITF発現の上昇をもたらす。
図4は、12時間から24時間で、フォルスコリンによって顕著にMITF発現が上昇することを示している(図4中の左から2レーン目及び3レーン目)。
一方、式(2)の化合物(500 μM)を加えた場合、このMITF発現の上昇が有意に抑制されることが示された(図4中の左から6レーン目及び7レーン目)。この結果は、式(2)の化合物のメラニン濃色化抑制効果が、細胞内MITFの産生抑制作用に起因することを示している。
式(2)、式(3)、式(5)、式(6)、式(8)、式(9)に示す化合物を用いて、それぞれの化合物のメラニン産生抑制率を評価した。
評価方法の詳細は、下記の通りである。即ち、上記の「化合物含有増殖用培地」において記載されている操作において、実施例7の化合物又は実施例8の化合物の水溶液を増殖用培地に添加する代わりに、上記の化合物の終濃度が0.1mM、0.25mM、又は0.5mMとなるように上記の化合物を増殖用培地に添加した。そして、上記の「メラニン定量」と同様の操作によって、メラニン量を定量した。メラニン産生抑制率は、B16マウスメラノーマ細胞に対して15μMのフォルスコリンを添加したときに増加するメラニン量を基準として、上記の各化合物がメラニン量を抑制する程度を%で表したものである。
メラニン産生抑制率の評価結果を表1に示す。
Claims (3)
- 下記一般式(1)で表される化合物又はその塩を含むことを特徴とする美白剤。
- 前記一般式(1)におけるXが水素原子であり、R1が水素原子、メチル基、又はホルミル基であり、R2が炭素数1〜3のアルキル基であり、R3がメチル基である請求項1記載の美白剤。
- 前記一般式(1)におけるXが水素原子であり、R1が水素原子、メチル基、又はホルミル基であり、R2がメチル基、エチル基、又はイソプロピル基であり、R3がメチル基である請求項2記載の美白剤。
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