JP5234558B2 - タモキシフェン類縁体を有効成分として含有する抗ガン剤 - Google Patents

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本発明は、タモキシフェン類縁体を有効成分として含有する抗ガン剤、タモキシフェン類縁体の製造方法、及び新規タモキシフェン類縁体に関する。
タモキシフェンは、以下の構造を有する化合物であり、ホルモン依存性乳ガンの治療薬として用いられてきた。
Figure 0005234558

タモキシフェンは、組織特異的にエストロゲン性、あるいは抗エストロゲン性作用を有し、乳房細胞においては、抗エストロゲン作用を有することが知られている。
エストロゲンは、特に乳ガン細胞のエストロゲン受容体に結合し、ガン細胞の増殖を促進するが、タモキシフェンは、エストロゲンと競合的にエストロゲン受容体と結合することにより、エストロゲンとエストロゲン受容体の結合を阻止し、ガン細胞の増殖を抑制する。
このような作用を有するタモキシフェンにおいては、現在まで様々な類縁体が合成されており、これら類縁体を例示すると、4−ヒドロキシタモキシフェン、4−ブロモタモキシフェン、3−ヨードタモキシフェン、イドキシフェン等が挙げられる。
また、これらタモキシフェン類縁体を合成するための製法についても、様々なものが提案され、本発明者等も、オレフィン部位を有するタモキシフェン類縁体の前駆体を、異性化触媒として酸性物質あるいはアルカリ性物質を使用して転移させることにより、安価かつ効率的にタモキシフェン類縁体を合成する方法を開発している(特許文献1)。
しかし、これら従来のタモキシフェン類縁体においては、幾何異性体としてZ体、E体が存在し、Z体のみが抗ガン作用を有するので、Z体を分離する等の手段が必要であり、また、これらタモキシフェン誘導体は、もっぱらホルモン依存性乳ガンの治療剤として用いられており、他のガンについても有効であるとの実証はまったくなされていない。
特開2004−26664号公報
本発明の課題は、従来のタモキシフェン類縁体よりも、より立体構造的にエストロゲンと近似するとともに、さらに、効率的に製造し得るタモキシフェン類縁体を見いだし、その薬理作用を明らかにして、新たな抗ガン剤を提供するとともに、該類縁体の製造手段として、極めて効率的な手段を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、以下の(1)に示されるタモキシフェン類縁体が、エストロゲンと立体構造的に近似することを見いだし、さらに、該タモキシフェン類縁体が、特に白血病細胞に対し優れた細胞障害性を有するという全く予想できない作用を有し、該タモキシフェン誘導体が抗ガン剤としてきわめて有用であるという知見を得るとともに、該タモキシフェン類縁体が、その構造上の特徴によって、Z体の分離等の手段が不要であり、きわめて効率的に製造可能であることを確認した。また、上記タモキシフェン類縁体の作用メカニズムの解明を進めた結果、これらタモキシフェン類縁体が、血管新生を抑制するという驚くべき知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(9)のとおりである。
(1):以下の式(I)で表わされる化合物を有効成分として含有することを特徴とする、抗ガン剤。
Figure 0005234558

(但し、式中R及びRは、水素又はそれぞれ同一あるいは異なるアルキル基を表わし、RとRは一緒になって環を形成してもよい。また、nは0を含む整数を表わす。)
(2):有効成分が以下の式(II)で表わされる化合物である、前記第(1)項に記載の抗ガン剤。
Figure 0005234558

(3):有効成分が以下の式(III)で表わされる化合物である、前記第(1)項に記載の抗ガン剤。
Figure 0005234558

(4):有効成分が以下の式(IV)で表される化合物である、前記第(1)項に記載の抗ガン剤。
Figure 0005234558

(5):上記式(I)〜(IV)のいずれかで表される化合物を有効成分として含有することを特徴とする、血管新生抑制剤。
(6):以下の式(III)で表わされる、化合物。
Figure 0005234558

(7):以下の式(IV)で表される、化合物。
Figure 0005234558

(8):式(7)で表わされる化合物と、式(8)で表わされる化合物とを塩基の存在下で反応させることを特徴とする、前記第(1)項に記載の式(I)の化合物の製造方法。
Figure 0005234558
Figure 0005234558

(但し、式中R及びRは、水素又はそれぞれ同一あるいは異なるアルキル基を表わし、RとRは一緒になって環を形成してもよい。また、Rはハロゲン原子、アルキル硫酸エステル残基又はトリフルオロメタン硫酸エステル残基を表わし、nは0を含む整数を表わす。)
(9):式(7)の化合物が、下記の式(1)、(2)及び(3)で表わされる化合物を酸触媒の存在下で反応させて、下記の式(4)の化合物を生成させ、以下順に、加水分解反応、2重結合のマイグレーション化反応及びアルコキシ基の脱アルキル反応を行なうことにより製造されたものである、前記第(8)項に記載の製造方法。
Figure 0005234558

(但し、式中Rはアルカノイル基を表わす。)
Figure 0005234558
Figure 0005234558

(但し、式中Rはアルキル基を表わす。)
Figure 0005234558

(但し、式中R及びRは上記と同様の置換基を表わす。)
なお、上記式(II)の化合物を、以下リダイフェンAといい、式(III)、(IV)の化合物をそれぞれリダイフェンB、リダイフェンCという。
本発明のタモキシフェン類縁体は、より立体構造的にエストロゲンと近似し、特に白血病細胞に対して、その増殖を極めて効果的に抑制する。このことは、ホルモン依存性乳ガン治療剤として知られていた、タモキシフェン類縁体の作用効果としては、全く予想外のものである。また、これらタモキシフェン類縁体は、血管新生抑制作用を有する。血管新生は、ガン、糖尿病性網膜症、あるいは慢性関節リュウマチ等数多くの疾患の発生あるいは悪化に必要不可欠であることが明らかにされており、特にガンによる血管新生は、ガン細胞の増殖、湿潤、転位の原因でもある。したがって、この点で、本発明のタモキシフェン類縁体は、これら疾患、特にガンの新規な治療法の開発等において大いに寄与するものである。
一方、本発明のタモキシフェン類縁体は対称型の置換アミノエチルオキシフェニル基を有し、したがって幾何異性体が存在しないため、幾何異性体の分割あるいは立体特異的な合成工程が不要で、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニル−1−ブテン(式(7)の化合物)から1工程で、極めて効率的に製造できるという利点がある。
本発明のタモキシフェン誘導体は、以下の式(I)で表わされ、
Figure 0005234558

(但し、式中R及びRは、水素又はそれぞれ同一あるいは異なるアルキル基を表わし、RとRは一緒になって環を形成してもよい。また、nは0を含む整数を表わす。)
その化学構造上の特徴は、ブテンの末端2重結合の炭素原子に2つの同一置換基を有するフェニル基が置換されている点にあり、これにより幾何異性体が存在しない。
これに対して、上記式(a)で表わされるタモキシフェンは、ブテンの末端2重結合の炭素原子に、互いに置換基の異なるフェニル基が置換しているため、幾何異性体が存在する。タモキシフェンの活性はそのうちのZ体にあるので、このZ体を得るための工程を必要としていた。この点は、以下に示される従来のタモキシフェン類縁体も幾何異性体が存在する点で同様である。
上記式(I)中、R及びRが形成する環としては、例えばピロリジン環、ピリミジン環、モルフォリン環等が挙げられる。また、nは、例えば1〜30、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5である。
Figure 0005234558
本発明のタモキシフェン類縁体の構造は、上記製法上の利点に加えて、立体構造的に他の類縁体よりもよりエストロゲンに類似しているため、エストロゲン受容体に対して、高い親和性を有し、エストロゲンの受容体との結合を効果的に阻止するものと思われるが、特に白血病細胞に対して優れた細胞障害性を有することは全く予想外のことである。
図1は、本発明のタモキシフェン類縁体の一種である1,1−ビス(ジメチルアミノエトキシフェニル)2−フェニル−1−ブテンの立体構造を模式的に示したものである。本発明のタモキシフェン類縁体であるリダイフェンA(1,1−ビス(ジメチルアミノエトキシフェニル)2−フェニル−1−ブテン)と、タモキシフェン、イドキシフェンとにおいて、ブテン部分の2重結合面に対する各置換、非置換フェニル基が形成するa,b,cの2面角を、表1に示す。
また、エストラジオールにおける図1に示す2面角a、b、cを表1に併せて示す。
Figure 0005234558

表1に示したように、本発明のタモキシフェン類縁体は、aの2面角がエストラジオールのそれと一致し、また、他の類縁体に比べcの2面角が最も小さいので平面性が高く、エストラジオールの構造に近い。
本発明のタモキシフェン誘導体のうち式(II)で示される化合物は公知物質であるが、該化合物の抗ガン作用は実証されていない。一方、式(III)、(IV)で表わされる化合物は、新規化合物である。
これら本発明のタモキシフェン化合物の製法について、図2を参照して以下に説明する。本発明の式Iで表わされる化合物は、直接的には、式(7)の化合物(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニル−1−ブテンと、一般式(8)の化合物をそれぞれN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の極性溶媒からなる反応溶媒中において、触媒として、例えば、水素化ナトリウム等の塩基性化合物の存在下反応せしめることにより得られる(図2中、工程5)。
この工程の触媒としては、上記水素化ナトリウムに限らず、例えば、アルカリ金属、アルカリ金属塩等の塩基性化合物、遷移金属塩等の遷移金属触媒などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
反応溶媒としてはDMSO(ジメチルスルホキシド)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DME(1,2−ジメトキシエタン)等の極性溶媒の他、さらにヘキサン、ベンゼン、石油エーテル等の非極性溶媒等も使用でき、これら溶媒は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用しても良い。
この製法によれば、例えば、リダイフェンA(式(II)の化合物)及びリダイフェンC(式(IV)の化合物)の収率は80%以上であり、リダイフェンB(式(III)の化合物)の収率は100%に近い。また、他の本発明のタモキシフェン類縁体もこの反応方式を利用することにより、高収率で得られる。
したがって、式(7)の化合物(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニル−1−ブテンを原料化合物として用いることにより、きわめて高収率で、効率よく本発明のタモキシフェン化合物を製造することができる。
この式(7)の化合物は、例えば、図2に示される方法(工程1〜4)で合成可能である、この図2の方法について以下に説明する。ただし、本発明においては、この図2の方法のみに限定されない。
〔工程1〕
4−ピバロイルオキシベンズアルデヒド等の4位の水酸基がアルカノイル基等で保護された式(1)の化合物、アニソール等の式(3)の化合物、及び1−フェニル−3−トリメチルシリル−1−プロペン(式(2)の化合物)を、例えば、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルフォネート(TMSOTf)等を触媒としてHfCl等のルイス酸あるいはプロトン酸等の存在下、反応させ、式(4)の化合物を生成させる。この工程においては、触媒として上記TMSOTfの他トリメチルシリルクロリド等も使用でき、ルイス酸としては上記の他、Hf(OTf),TiCl,TiCl(OTf)等の第4属金属塩、AlCl,BCl,Sc(OTf)等の第3属金属塩、SnCl,Sn(OTf)等の第2属金属塩等が使用できる。またプロトン酸としては塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸等も使用可能である。これらは一種単独で使用してもよく、また2種以上併用してもよい。
〔工程2〕
ついで、式(4)の化合物を、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)等の溶媒の存在下、触媒として、例えば、カリウム第3級ブトキシド等の塩基性化合物を使用して加水分解し、一般式(5)の化合物を得る。
この加水分解工程において使用する触媒としては、塩基性化合物に限らず、酸性化合物及び遷移金属触媒も使用できる。
触媒として使用する塩基性化合物としては、例えば、アルカリ金属あるいはアルカリ金属塩等が挙げられ、酸性化合物としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、あるいは上記の各種ルイス酸が挙げられる。また、遷移金属触媒としては各種遷移金属塩等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用しても良い。
また、使用する溶媒としては、上記DMSOの他、N,N−ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン等の極性溶媒であってもよく、また、ヘキサン、ベンゼン、ジクロロメタン等の非極性溶媒も用いることができる。これらは一種単独で使用してもよく、また2種以上併用してもよい。
〔工程3〕
式(5)の化合物に対して、溶媒として、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)の存在下、触媒としてより多量のカリウム第3級ブトキシド等を使用して、2重結合の転移反応(マイグレーション)を行ない、一般式(6)の化合物を得る。
この工程の触媒としては、上記カリウム第3級ブトキシドの他、例えば、アルカリ金属あるいはアルカリ金属塩等の塩基性化合物、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、あるいは上記の各種ルイス酸等の酸性化合物、および各種遷移金属塩等の遷移金属触媒が用いられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用しても良い。
また、使用する溶媒としては、上記DMSOの他、N,N−ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン等の極性溶媒であってもよく、また、ヘキサン、ベンゼン、ジクロロメタン等の非極性溶媒も用いることができる。これらは一種単独で使用してもよくまた2種以上併用してもよい。
この工程3の反応系は触媒の使用量及び反応温度をのぞいて、工程2の反応系と同様であり、工程2において、あらかじめ触媒量を多くし、反応温度を高めに設定(例えば50℃)すれば、工程2と工程3を同時に行なうことができる。
なお、式(6)の化合物においては、幾何異性体として、Z体、E体が存在するが、本発明においてはこれらを分離することなく、次工程の原料化合物としてそのまま使用できる。
〔工程4〕
図2中、一般式(6)の化合物を例えば、ジクロロメタン等からなる溶媒中で、触媒として臭素化硼素等のルイス酸の存在下、アルコキシ基のアルキル基を脱離させ、式(7)の化合物を得る。
工程4における、触媒としては、上記臭素化硼素の他、上記各種ルイス酸等が使用できるが、さらに、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の酸性化合物、あるいはアルカリ金属、アルカリ金属塩等の塩基性化合物、遷移金属塩等の遷移金属触媒も用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、反応溶媒としては、上記ジクロロメタンの他の非極性溶媒の他、DMSO(ジメチルスルホキシド)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DME(1,2−ジメトキシエタン)等の極性溶媒が用いられる。また、他の非極性溶媒としては、ヘキサン、ベンゼン等が挙げられる。これら溶媒は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用しても良い。
一方、本発明のタモキシフェン類縁体は、ガン細胞、特に白血病細胞の細胞傷害剤として有用であり、そのIC50値は、タモキシフェンあるいは従来のタモキシフェン類縁体に比較して半分以下であり、極めて有効である。さらに、本発明のタモキシフェン類縁体は低濃度で血管新生抑制作用を有する。これに対して従来のタモキシフェンあるいはその類縁体は、このような血管新生抑制作用はないかあるいはあっても極めて低い。この点で本発明のタモキシフェン類縁体は特異的である。
特に、ガンについていえば、腫瘍は血管と結ばれていない状態では、1〜2mm以上に成長することができないが、腫瘍は自ら血管新生促進因子を産生して血管新生を誘導し、ガン細胞の増殖、湿潤に必要な、酸素、栄養素を補給するための新生血管網を構築する。そして、ガン細胞は、この新生血管網を通じて転位する。したがって、血管新生を抑制する本発明のタモキシフェンフェン類縁体は、このようなガンの増殖、湿潤、転位を抑制する新しいガン治療法の確立に大いに貢献する。
以下に本発明の実施例を、図3を参照しつつ示すが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
〔実施例1〕
<中間体1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニル−1−ブテン(図3中、式(7)の化合物)の製造>
(1):反応容器に、酸触媒としてHfCl4を80.1mg(1当量)を加えて0℃に維持しながら、アニソール0.5ml、アニソール1mlにトリメチルシリルトリフルオロメタンスルフォネート(TMSOTf)27.8mg(0.5当量)を溶解した溶液、4−ピバロイルオキシベンズアルデヒド(図3中、式(1)の化合物)51.6mg(0.25mM)、及びアニソール1mlに1−フェニル−3−トリメチルシリル−1−プロペン(図2、中式(2)の化合物)57.1mg(1.2当量)を溶解した溶液を順次加えた。なお、アニソールの合計使用量は2.5mlである。ついで、室温で反応を行い2時間経過後、反応生成物の一部に対し、薄層クロマトグラフィー(TLC)(展開溶媒;n−ヘキサン/酢酸エチル=10/1)を行って原料化合物が検出されなくなったことを確認した後、反応系を0℃に冷却するとともに、NaHCO水溶液を加えて反応を終了させた。
この後、反応生成物をエーテルで抽出した後、有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を濃縮後、分取薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=10/1)による精製を行ない、4−(4−ピバロイルオキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−3−フェニル−1−ブテン(図3中、式(4)の化合物)を64.7mg得た。収率は62%であった。
(2):反応容器に上記工程(1)において得られた、4−(4−ピバロイルオキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−3−フェニル−1−ブテン(図3中、式(4)の化合物)57.2mg(0.138mM)、カリウム第3級ブトキシド(tBuOK)15.5mg、及びジメチルスルホキシド(DMSO)0.69ml(0.2M)を加えて、室温で15分反応させ、ピバロイル基を加水分解した。次いで、反応系を0℃に冷却するとともに塩化アンモニウム水溶液を加え反応を終了させた。
反応生成物を酢酸エチルで抽出した後、有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を濃縮後、分取薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=3/1)による精製を行ない、4−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−3−フェニル−1−ブテン(図3中、式(5)の化合物)を46.7mg得た。収率は定量的であった。
(3):反応容器に上記工程(2)において得られた、4−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−3−フェニル−1−ブテン(図3中、式(5)の化合物)45.7mg、ジメチルスルホキシド(DMSO)1ml(0.138M)を加え反応系の温度を50℃に加温し、さらに、カリウム第3級ブトキシド283.9mg(18当量)を加えて、2重結合転移反応を行った。50℃で30分維持した後、反応生成物の一部に対し薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;n−ヘキサン/酢酸エチル=3/1)を行って、上記式(3)の化合物に対応するスポットが検出されなくなったことを確認した後、反応系を0℃に冷却するとともに塩化アンモニウム水溶液を加え反応を終了させた。
ついで、反応生成物を酢酸エチルで抽出した後、有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を濃縮後、分取薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=3/1)による精製を行ない、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−1−ブテン(図3中、式(6)の化合物)、を37.2mg得た。収率は81%であった。
(4):反応容器に上記工程(3)で得られた、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−1−ブテン(図3中、式6の化合物)145.2mg(0.439mM)とジクロロメタン2.2mlを加え、反応系を−78℃に冷却した。次いで臭素化硼素(BBr)10当量を含むヘプタン1M溶液4.39mlを加え、1時間維持した。次いで反応温度を0℃に上昇させた。さらに3時間経過後、反応生成物の一部に対し、薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;n−ヘキサン/酢酸エチル=3/1)を行って、上記式(6)の化合物に対応するスポットが検出されなくなったことを確認した後、NaHCO水溶液を加え、反応を終了させた。
反応生成物をジクロロメタンで抽出した後、有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を濃縮後、生じた固体を塩化メチレンに溶解し、再結晶させ、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニル−1−ブテン(図3中、式(7)の化合物)中の結晶61.4mgを得た。一方、液相を濃縮後、分取薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=3/1)による精製を行ない、中間体1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニル−1−ブテンを58.4mg得た。前者の結晶との合計は119.6mgであり、収率は86%であった。
上記各工程で得られた化合物のNMR測定結果を以下に示す。
式(4)の化合物
1H NMR(CDCl3)σ= 7.32-6.75(m, 11H, Ph), 6.57(d, J=8.6Hz, 2H, Ph), 5.94-5.84(m, 1H, 3-H), 4.90-4.80(m, 1H, 4-H), 4.25(d, J=11.6 HZ, 1H, 1-H), 4.06(dd, J=7.1, 9.6 Hz, 1H, 2-H), 3.66(s, 3H, MeO), 1.31(s, 9H, PivO)
式(6)の化合物(Z体とE体の等量混合物)
1H NMR(CDCl3) σ=7.27-6.45(m, 13H, Ph),3.82 and 3.67(s, 3H, MeO), 2.48(q, J=7.3Hz, 2H, 3-H), 0.93 and 0.92(t, J=7.3Hz, 3H, 4-H)
式(7)の化合物(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニル−1−ブテン)
1H NMR(CDCl3)σ=7.29-6.45(m, 13H, Ph), 2.48(q, J=7.6Hz, 2H, 3-H), 0.92(t, J=7.6 Hz, 3H, 4-H)
〔実施例2〕
<リダイフェンAの製造>
反応容器に、60重量%水素化ナトリウム(NaH)含有オイル63.2mg(水素化ナトリウム20当量)を加え、これを石油エーテルで洗浄した後乾燥させた。次に、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)0.8ml(0.1M)を投入し、0℃に保った。次いで、実施例1で得られた、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニル−1−ブテン(図3中、式(7)の化合物)25mg(0.079mM)を反応容器に加え、室温で15分維持した後、0℃に冷却し、1−ジメチルアミノ−2−クロロエタン塩酸塩(図3中式(8)の化合物)113.8mg(10当量)を加え、50℃で6時間反応させた後、反応系を0℃に冷却するとともに、塩化アンモニウム水溶液を加え、反応を終了させた。反応生成物をジクロロメタンで抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を濃縮後、分取薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;ベンゼン/トリエチルアミン=9/1)を行ない、リダイフェンA(1,1−ビス〔4−(2−ジメチルアミノエトキシ)フェニル〕−2−フェニル−1−ブテン;図3中、式(II)の化合物)30.0mgを得た。収率は83%であった。
得られた化合物のNMR測定結果は以下のとおりである。
1H NMR(CDCl3)σ=7.19-6.45(m, 13H, PH), 4.01 and 3.85(t, J=5.9 Hz, 4H, OCH2), 2.67 and 2.57(t, J=5.9Hz, 4H, NCH2), 2.40(q, J=7.3Hz, 2H, 3-H), 2.28 and 2.21(s, 12H, NMe2), 0.85(t, J=7.3Hz, 3H, 4-H)
〔実施例3〕
<リダイフェンBの製造>
反応容器に、60重量%水素化ナトリウム(NaH)含有オイル126.4mg(水素化ナトリウム20当量)を加え、これを石油エーテルで洗浄した後乾燥した。次にN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を1.58ml(0.1M)を投入し、0℃に保った。次いで、実施例1で得られた、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニル−1−ブテン(図3中、式(7)の化合物)50mg(0.158mM)を反応容器に加え、室温で15分維持した後、0℃に冷却し、1−(2−クロロエチル)−ピロリジン塩酸塩(図3中、式(9)の化合物)50mg(10当量)を加えて50℃で12時間反応を行った。反応生成物の一部に対し、薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;メタノール/ジクロロエタン=1/19を行なって、上記式7の化合物に対応するスポットが検出されなくなったことを確認した後、反応系を0℃に冷却するとともに、塩化アンモニウム水溶液を加えて終了させた。
次いで、反応生成物をジクロロメタンで抽出した後、有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を濃縮後、分取薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;ベンゼン/トリエチルアミン=19/1)による精製を行い、リダイフェンB(1,1−ビス[4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)フェニル]−2−フェニル−1−ブテン;図3中式(III)の化合物)79.7mgを得た。収率は99%であった。
得られた化合物のNMR測定結果は以下のとおりである。
1H NMR(CDCl3)σ=7.18-6.45(m, 13H, Ph), 4.09 and 3.89 (t, J= 5.9 Hz, 4H, OCH2), 2.84 and 2.73 (t, J= 5.9 Hz, 4H, NCH2), 2.58-2.47 (m, 8H, N(CH2CH2)2), 2.40 (q, J = 7.3 Hz, 2H, 3-H), 1.76-1.18 (m, 8H, N(CH2CH2)2), 0.85 (t, J= 7.3 Hz, 3H, 4-H)
<リダイフェンCの製造>
反応容器に、60重量%水素化ナトリウム(NaH)含有オイル50.4mg(水素化ナトリウム20当量)を加え、これを石油エーテルで洗浄した後乾燥させた。次に、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)0.6ml(0.1M)を投入し、0℃に保った。実施例1で得られた、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニル−1−ブテン(図3中、式(7)の化合物)20mg(0.0632mM)を反応容器に加え、室温で15分維持した後、0℃に冷却し、1−(2−クロロエチル)−ピペリジン塩酸塩116.4mg(10当量)を加え、50℃で6時間反応させた後、反応系を0℃に冷却するとともに、塩化アンモニウム水溶液を加え、反応を終了させた。反応生成物をジクロロメタンで抽出し、有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を濃縮後、薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム/メタノール=9/1)を行ないリダイフェンC(1,1−ビス[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)フェニル]−2−フェニル−1−ブテン;図3中式(IV)の化合物)30mgを得た。収率は88%であった。
得られた化合物のNMR測定結果は以下の通りである。
1HNMR(CDCl3)σ=7.19-6.52(m, 13H, Ph), 4.13 and 3.97(t, J=6.2 Hz, 4H, OCH2), 2.80 and 2.70(t, J=6.2 Hz, 4H, NCH2), 2.57-2.43(m, 8H, N(CH2CH2)2), 2.49(q, J=7.3Hz, 2H, 3-H), 1.67-1.54(m, 4H, N(CH2CH2)2), 1.50-1.42(m, 4H, N(CH2CH2)2CH2), 0.92(t, J=7.3 Hz, 3H, 4-H)
〔実施例4〕
前骨髄性白血病HL−60細胞を(2×10c/ml)を96穴プレートにまき、タモキシフェン、4−ブロモタモキシフェン、3−ヨードタモキシフェン、イドタモキシフェン、リダイフェンA及びリダイフェンBを、各々、finalで、0,1,5,10,20μg/mLになるように添加し5%COインキュベータ内で37℃培養した。測定1時間前にfinal0.5mg/mlMTT(3−(4,5−ジメチル−チアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム ブロマイド)を添加し、さらに1時間培養した。
上記前骨髄性白血病HL−60細胞に対する上記各薬剤の細胞障害性は、該細胞のミトコンドリア中のコハク酸デヒドロゲナーゼ活性を測定することにより行ない、該酵素活性の測定は、コハク酸デヒドロゲナーゼによるMTTのテトラゾリウム環の開裂に伴う不溶性の暗青色ホルマザン色素の生成量を、上記培養後、遠心して上澄みを除き、沈殿として残った上記色素をDMSOで溶解し、マイクロプレートリーダーでOD570を測定することにより行った。なお、MTTアッセイは、多検体にわたる細胞死を判定するための分析法としてよく知られているものである。
結果を図4に示す。また、該コハク酸デヒドロゲナーゼ活性が50%に低下する各薬剤量を図4から求め、細胞障害性のIC50値とした。使用した上記各薬剤のIC50値を以下の表2に示す。
Figure 0005234558
以上の結果から明らかなようにリダイフェンA及びリダイフェンBの細胞障害性は、顕著に高く、本発明のタモキシフェン類縁体誘導体は極めて効果的にガン細胞を死滅又は増殖抑制させることが明らかである。
以上の結果から明らかなようにリダイフェンA及びリダイフェンBの細胞障害性は、顕著に高く、本発明のタモキシフェン類縁体誘導体は極めて効果的にガン細胞を死滅又は増殖抑制させることが明らかである。
〔実施例5〕
<白血病T細胞であるJurkat細胞に対するリダイフェンA、Bのアポトーシス誘導>
(1)細胞傷害性の計測
Jurkat細胞を、10%FCS(牛胎児血清)を含有するRPMI1640培地で、37℃、5%COの条件下で培養し、2×10cells/ml濃度になるように調製した。
この2×10cells/ml濃度に調製したJurkat細胞試料溶液を96穴プレートの各ウエルに90μlずつ分注し、さらに、該細胞試料を含有する各ウエルに、リダイフェンA、リダイフェンB、タモキシフェン、4−ブロモタモキシフェン、3−ヨードタモキシフェン、イドキシフェンをそれぞれ10μM、20μM及び30μM添加した。
これら全てを入れ終わった後2時間インキュベレトした、2時間後インキュベーターから取り出し、各ウエルに、Cell Counting Kit-8(和光純薬工業社製)の反応試薬(WST−8)を10μlづつ加え、再び2hインキュベートした。その後マイクロプレートリーダー450nmで吸光度を測定した。結果を図5に示す。
Cell Counting Kit-8使用による解析法は、細胞試料のNAD(P)H活性を測ることにより、試料内の生細胞数を割り出すものであり、NAD(P)H活性は試料中の生細胞数とほぼ比例関係にある。図5の結果によれば、リダイフェンA及びBの極めて低い濃度で細胞傷害を引き起こしており、その細胞傷害性は、タモキシフェン及びその他のタモキシフェン類縁体に比べ遙かに高いことが分かる。また、タモキシフェンあるいはその類縁体は、乳ガン細胞膜上のエストロゲンレセプター(ER)に結合することにより、アポトーシスを誘導するとされているが、この実験で使用した白血病T細胞であるJurkat細胞は、エストロゲンレセプターを有していないものである(ER-negative)。それにもかかわらず、該細胞に対して本発明のリダイフェンA、リダイフェンBが高い細胞傷害性を示したことは、特筆すべきことである。
また、上記図5の結果に基づき、リダイフェンA、リダイフェンB、タモキシフェン及びその他の類縁体のIC50を算出した。これら薬剤のIC50を表3に示す。TAM3(3−ヨードタモキシフェン)は40μMまで添加しても障害性を有さなかった。
Figure 0005234558
(2)アポトーシスに伴うDNA断片化の確認
上記(1)と同様に培養して得たJurkat細胞を2×10cellsづつ、2×10cells/ml濃度で9cmシャーレに培地とともに分注し、リダイフェンA、リダイフェンB、タモキシフェン、4−ブロモタモキシフェン、3−ヨードタモキシフェン、及びイドキシフェンをそれぞれ以下の濃度で加え、4時間反応させた。
リダイフェンA;0.5μM、1μM、2μM
リダイフェンB;0.5μM、1μM、2μM、5μM
タモキシフェン;5μM、10μM、20μM、30μM
4−ブロモタモキシフェン;5μM、10μM、15μM、20μM
3−ヨードタモキシフェン;10μM、20μM、30μM、40μM
イドキシフェン;0.5μM、1μM、2μM、5μM

なお、これら薬剤の濃度は、上記(1)で算出された各薬剤のIC50に合わせて設定したものである(3−ヨードタモキシフェンは上限を40μMに設定)。
次いで、該反応液をプロテナーゼK(ProteinaseK)、RNaseAで処理し、DNAを抽出した。次いで、抽出されたDNAについて0.9%アガロースゲル電気泳動を行ない。UVトランスイルミネータで観察し、写真撮影した。
この電気泳動写真を図6に示す。なお、電気泳動写真における数字は、上記薬剤の濃度を示し、Cは上記薬剤無添加の場合を示す。
この電気泳動の結果によれば、リダイフェンA、リダイフェンBを加えた場合においては、無添加、タモキシフェン及びその他の類縁体を加えた場合に比べ、より低濃度でJurkat細胞において、アポトーシス特有のDNA断片化が起こっていることが分かる。
(3)ギムザ染色
上記(2)と同様の操作でリダイフェンA、リダイフェンB、タモキシフェン、4−ブロモタモキシフェン、3−ヨードタモキシフェン、及びイドキシフェンをそれぞれ上記(1)で算出されたIC50の濃度(表3)で加え(3−ヨードタモキシフェンは40μM)、4時間反応させた後、ギムザ染色を行い、Jurkat細胞の形態変化を顕微鏡で観察した。その結果を図7に示す。
これによれば、リダイフェンA、リダイフェンBを加えた場合においては、無添加、タモキシフェン及びその他の類縁体を加えた場合に比べ、より低濃度で顕著な核の凝縮が起こっており、Jurkat細胞に対して顕著な細胞傷害性を有することが分かる。
(4)キャスパーゼ−3(Caspase-3)の活性測定
上記(1)と同様に培養して得たJurkat細胞を2×10cellsづつ、2×10cells/ml濃度で9cmシャーレに入れ、リダイフェンA、リダイフェンB、タモキシフェン、4−ブロモタモキシフェン、3−ヨードタモキシフェン、及びイドキシフェンをそれぞれ上記(1)のIC50濃度(表3)で加え、反応させた(3−ヨードタモキシフェンは40μM)。この反応において、それぞれ0時間、1時間、2時間、3時間及び4時間反応させた場合の各細胞を回収し、RIPAbufferに懸濁し、該懸濁液にキャスパーゼ-3の人工基質であるAc−DEVD−pNAを加え、Ac−DEVD−pNAの切断により生じるpNAの吸光度を405nmの波長で測定した。また、その際のタンパク質量をBCA protein Assayで測定して、キャスパーゼ-3の比活性(Unit/mg)を算出し、上記反応0時間のときの比活性を1とした場合の各時間における比活性を求めた。結果を図8のグラフに示す。
キャスパーゼ−3はアポトーシスに特異的なプロテアーゼであり、本発明のリダイフェンA及びB、並びにタモキシフェン、4−ブロモタモキシフェン、及びイドキシフェンは、いずれも反応時間を長くすると、キャスパーゼ-3の比活性が増大するという同様の傾向を示しているが、本発明のリダイフェンA及びBは極めて低濃度でキャスパーゼ−3の比活性を増大せしめている。
これらの実験結果をまとめると、タモキシフェン及び3−ヨードタモキシフェンを除くその類縁体は、ER-nagative細胞にもアポトーシスを誘導するが、特にこの中でリダイフェンAおよびBは、極めて顕著なアポトーシス誘導能を有し、乳ガン以外の抗ガン剤としても極めて有用であるといえる。
〔実施例6〕
<リダイフェンA、B、Cによる血管新生抑制>
1.CAM(鶏胚漿尿膜法)による血管新生抑制活性の検定
(1)リダイフェンAの活性検定
a.サンプルの調製
5%EV(ethylene-vinyl acetate copolymer 40)にリダイフェンAを溶かし、10μlをガラスシャーレに滴下し、風乾させ、次に、スパーテルを用いて、風乾したフィルム状のEVを球形のペレットにして、一晩以上、冷凍庫保存した。
b.実験
鶏卵を37℃で培養し、培養4日後に、気室上部及び鶏卵側部の卵殻の2ヶ所に錐で穴を開け、側部の穴より約4mlの卵白を注射器で吸引除去した。また、上部の穴より駒込ピペット用シリコンスポイトをあてて吸引し、気室上部に仮気室を作り、仮気室上の卵殻膜を除去し、窓を作り、これらの穴をオートクレーブしたアルミ箔でキャップした。
培養5日後に、上記aで作成したEVペレットを漿尿膜上にのせ、再びアルミ箔でキャップした。
培養7日後に、観察しやすいように卵殻を取り除き、窓を広げ、さらに、血管網を見やすくするために漿尿膜内に脂肪乳剤を適当量注入し、漿尿膜上の血管網を実体顕微鏡下で観察した。この観察において3mm以上の無血管領域がある場合を血管新生を抑制するものと判定した。
結果を以下の表4、及び図9及び図10に示す。なお、上記a.のサンプルの調製においてリダイフェンAを使用しない他は上記と同様に実験を行なった結果もコントロールとして併せて示す。これらの結果により、リダイフェンAは、血管新生抑制作用を示すことが明らかとなった。
Figure 0005234558
(2)リダイフェンB,Cの活性検定
a.サンプルの調製
2%メチルセルロース溶液にエタノールに溶かしたリダイフェンB、Cをそれぞれを混合し(エタノールの終濃度5%)、テフロンロッドの上に20μlずつ滴下したあと、風乾してディスク状にする。
これをピンセットでテフロンロッドからはがし、シャーレに入れて、一晩以上冷凍庫保存した。
b.実験
このようにして得られた、サンプルディスクをそれぞれ用いて、上記(1)b.と同様の実験を行った。結果を表5、表6、及び図11、図12に示す。
Figure 0005234558
Figure 0005234558
これらの結果から明らかなように、リダイフェンB,CもリダイフェンAと同様に、血管新生抑制作用を示した。
〔実施例7〕
MTTアッセイによる血管内皮細胞生存率の測定
a.リダイフェンAについての測定
BAEC(ウシ冠動脈血管内皮細胞)を1×10cell/mlになるように調製し、96穴プレートに100μl/wellづつ播き、37℃、5%CO下で24時間培養した後、培養上清を除去し、リダイフェンA、タモキシフェン、4−ブロモタモキシフェン及びイドキシフェンを、それぞれ各濃度で含有するMEM培地に交換し、さらに24時間培養した後、MTT保存液(MTT 5mg/mlin PBS(-) )を1.1μl/wellづつ添加した。1時間後、上澄みを除去しDMSOを100μl/Wellづつ加え、マイクロプレートリーダー(575nm)で吸光度を測定した。結果を図13に示す。
b.リダイフェンB、Cについての測定
BAEC(ウシ冠動脈血管内皮細胞)を1×10cell/mlになるように調製した他は、上記Aと同様にして吸光度を測定した。結果を図14に示す。
MTTアッセイは、実施例4に示したように細胞数の測定を、ミトコンドリアの脱水素酵素活性を測定することにより行うものであり、図13、図14に示されるように、タモキシフェンA,B、Cはいずれも低濃度で(5μM以下)でウシ冠動脈血管内皮細胞の生残数を0にしているのに対し、タモキシフェン、4−ブロモタモキシフェン、イドキシフェンは、10μMでもかなりのウシ冠動脈血管内皮細胞の生残していることが分かる。すなわち、本発明のタモキシフェン類縁体は、タモキシフェンあるいはその類縁体の中で特異的に血管内皮細胞の細胞死を誘導する。
血管新生においては、血管内皮細胞の増殖を伴う。したがって、この結果は本発明のタモキシフェン類縁体の血管新生抑制作用を裏付けるものである。
本発明のタモキシフェン類縁体の立体構造を模式的に示した図である。 本発明のタモキシフェン類縁体の製造法の各工程を示す模式図である。 実施例で行った各工程の工程図である。 本発明のタモキシフェン類縁体と他の類縁体の、MTTアッセイによる細胞障害性を測定した結果を示すグラフである。 Jurat細胞に対する、本発明のタモキシフェン類縁体、タモキシフェン及びその他の類縁体の細胞傷害性を示すグラフである。 本発明のタモキシフェン類縁体、タモキシフェン及びその他の類縁体による、Jurat細胞のDNA断片化を確認した電気泳動写真である。 本発明のタモキシフェン類縁体、タモキシフェン及びその他の類縁体をJurat細胞に作用させた後ギムザ染色を行い、細胞の状態を観察した顕微鏡写真である。 本発明のタモキシフェン類縁体、タモキシフェン及びその他の類縁体をJurat細胞に作用させ、作用時間毎に該細胞のキャスパ−ゼ−3の活性変化を測定した結果を示すグラフである。 本発明のリダイフェンAを使用した場合と使用しない場合とにおける漿尿膜上の血管網形成の様子を実体顕微鏡下で観察した結果を示す写真である。 本発明のリダイフェンAを各濃度で使用した場合における漿尿膜上の血管網形成を実体顕微鏡下で観察した結果に基き作成された、血管新生抑制割合を示すグラフである。 本発明の本発明のリダイフェンBを各濃度で使用した場合における漿尿膜上の血管網形成を実体顕微鏡下で観察した結果に基き作成された血管新生抑制割合を示すグラフである。 本発明の本発明のリダイフェンCを各濃度で使用した場合における漿尿膜上の血管網形成を実体顕微鏡下で観察した結果に基き作成された血管新生抑制割合を示すグラフである リダイフェンA、タモキシフェン、4−ブロモタモキシフェン進歩性の点で安全ですンの各濃度に対するウシ冠動脈血管内皮細胞の生残率を、MTTアッセイで測定した結果を示すグラフである。 リダイフェンB,Cの各濃度に対するウシ冠動脈血管内皮細胞の生残率を、MTTアッセイで測定した結果を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 以下の式(I)で表わされる化合物を有効成分として含有することを特徴とする、抗ガン剤。
    Figure 0005234558

    (但し、式中、R10は、ジメチルアミノ基、ピロリジン−1−イル基又はピペリジン−1−イル基を表し、式中の2つのR 10 は同一基である。
  2. 以下の式(I)で表わされる化合物を有効成分として含有することを特徴とする、血管新生抑制剤。
    Figure 0005234558
    (但し、式中、R10は、ジメチルアミノ基、ピロリジン−1−イル基又はピペリジン−1−イル基を表し、式中の2つのR 10 は同一基である。
  3. 以下の式(I)で表わされる、化合物。
    Figure 0005234558

    (但し、式中、R10は、ピロリジン−1−イル基又はピペリジン−1−イル基を表し、式中の2つのR 10 は同一基である。
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